JP2022097824A - 導光板 - Google Patents
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Abstract
【課題】AR/MR用ウェアラブルデバイス等のメガネ型デバイスの導光板として使用した場合に、画像の色再現性を高めることが可能な導光板を提供する。【解決手段】ガラス板1と、ガラス板1の主面に形成された樹脂層2と、を備えた導光板10であって、ガラス板1及び樹脂層2のアッベ数νdの差が10未満であり、ガラス板1及び樹脂層2の屈折率ndが1.7以上、かつ、差が1.0以下であることを特徴とする導光板10。【選択図】図1
Description
本発明は、AR(拡張現実)/MR(複合現実)用ウェアラブルデバイス等のメガネ型デバイスに使用される導光板に関する。
近年、AR/MR用ウェアラブルデバイス等のメガネ型デバイスが開発されている。当該メガネ型デバイスは、外部の景色を見ながらメガネ部分の導光板に表示される映像を見ることができる、シースルー型のデバイスである。このようなシースルー型デバイスでは、ユーザーの左右の瞳に対応する導光板に異なる映像を表示することで3D表示を実現したり、瞳の水晶体を利用して網膜に像を結合させることで、ユーザーの網膜に直接映像を投射したりすることもできる。
導光板を用いた映像の表示方法としては、導光板上の入射側表面に形成された回折格子により、画像表示素子から発せられたコリメート光やレーザー光を導光板内部に入射させ、その入射した光を導光板内部で全反射させながら導波し、出射側表面に形成された回折格子で光を外部に取り出し、ユーザーの瞳に入射させるというものがある。導光板として、高屈折率で剛性に優れるガラス板の表面を樹脂でコーティングした後に、ナノインプリントにより高精細な回折格子を形成したものが提案されている(例えば特許文献1参照)。
樹脂でコーティングしたガラス板からなる導光板をAR/MR用ウェアラブルデバイス等のメガネ型デバイスに使用した場合、画像を色再現性良く投影できない場合がある。
以上に鑑み、本発明は、AR/MR用ウェアラブルデバイス等のメガネ型デバイスの導光板として使用した場合に、画像の色再現性を高めることが可能な導光板を提供することを目的とする。
本発明の導光板は、ガラス板と、ガラス板の主面に形成された樹脂層と、を備えた導光板であって、ガラス板及び樹脂層のアッベ数νdの差が10未満であり、ガラス板及び樹脂層の屈折率ndが1.7以上、かつ、差が1.0以下であることを特徴とする。
本発明の導光板はガラス板と樹脂層を備え、それぞれが各材質に応じた屈折率を有している。ここで、ガラス板と樹脂層の屈折率差が小さいと、両者の界面での光散乱を抑制することができる。ただし、各材料の屈折率には波長依存性があるため、波長によって屈折率差が異なる場合がある。例えばある波長ではガラス板と樹脂層の屈折率差が小さく、両者の界面での光散乱を抑制することができたとしても、別の波長ではガラス板と樹脂層の屈折率差が大きく、両者の界面での光散乱が大きくなる場合がある。そこで、本発明者は屈折率波長依存性の指標となるアッベ数νdに着目し、ガラス板と樹脂層のアッベ数νdの差を上記の通り小さくすることにより、前記課題を解決できることを見出した。具体的には、ガラス板と樹脂層のアッベ数νdの差を小さくすれば、両者の屈折率波長依存性曲線の傾きの差が小さくなるため、各波長での屈折率差のばらつきが小さくなり、その結果として各波長での両者の界面での光散乱を抑制することができる。それにより、画像の色再現性を高めることができる。
また本発明の導光板は、ガラス板と樹脂層の屈折率ndの差が1.0以下であるため、ガラス板と樹脂層の屈折率差が小さくなって、両者の界面での光散乱ロスが生じ難くなる。
また本発明の導光板は、ガラス板と樹脂層の屈折率ndの差が1.0以下であるため、ガラス板と樹脂層の屈折率差が小さくなって、両者の界面での光散乱ロスが生じ難くなる。
本発明の導光板は、ガラス板の厚みが0.1~1mm、樹脂層の厚みが1μm以下であることが好ましい。導光板に入射した光は、主にガラス板と樹脂層の界面での屈折率差により生じる光散乱によるロスと、ガラス板や樹脂層内部での吸収によるロスにより強度が低下する。ガラス板や樹脂層の厚みが小さい場合、その内部での吸収ロスが小さくなり、ガラス板と樹脂層の界面での光散乱ロスの影響が相対的に大きくなる傾向がある。従って、ガラス板や樹脂層の厚みが上記の通り小さい場合は、本発明の効果を享受しやすくなる。
本発明の導光板は、ガラス板の厚み10mmでの波長450~650nmにおける内部透過率が70%以上であることが好ましい。このようにすれば、光がガラス板内部を導波する際の吸収ロスが小さくなり、出射光強度を高めることができる。
本発明の導光板は、波長450nmと650nmにおける外部透過率の差が5%以下であることが好ましい。このようにすれば、導光板からの光出射強度の波長に応じたばらつきが小さくなり、画像の色再現性が向上しやすくなる。
本発明の導光板は、ガラス板の主面の表面粗さRaが5nm以下であることが好ましい。このようにすれば、光がガラス板の主面間を反射して導波する際に、ガラス板の主面における光散乱ロスを抑制でき、出射光強度を高めることができる。
本発明の導光板は、樹脂層の表面に凹凸構造が形成されていることが好ましい。このようにすれば、樹脂層が回折格子として機能し、外部からの光をガラス板内部に入射させたり、ガラス板内部の光を外部に出射させることができる。
本発明の導光板は、樹脂層が光硬化樹脂からなることが好ましい。このようにすれば、ナノオーダーの形状を有する凹凸構造を容易に得ることができる。
本発明のAR/MR用ウェアラブルデバイスは、上記いずれかの導光板を備えてなることを特徴とする。
本発明によれば、AR/MR用ウェアラブルデバイス等のメガネ型デバイスの導光板として使用した場合に、画像の色再現性が高めることが可能な導光板を提供することができる。
以下、本発明の導光板の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は本発明の導光板の一実施形態を示す模式的断面図である。導光板10は、ガラス板1と樹脂層2を備えている。樹脂層2は樹脂層2a及び2bから構成されており、それぞれガラス板1の一方の主面に形成されている。具体的には、樹脂層2aはガラス板1の光入射部の表面に形成され、樹脂層2bはガラス板1の光出射部の表面に形成されている。樹脂層2a及び2bの表面には凹凸構造が形成されており、それにより回折格子として機能する。
図示しない画像表示素子から出射された光は、入射光L1として導光板10に入射する。入射光L1は樹脂層2aにより回折されてガラス板1内部に入射する。入射光L1はガラス板1の両主面間で全反射しながらガラス板1内部を光出射部まで導波する。入射光L1は、光出射部に形成された樹脂層2bにより回折されて、出射光L2としてガラス板1外部に出射され、人間の瞳に入射する。このようにして、画像表示素子から投射された映像を見ることができる。また、導光板1自体は透明でシースルー型であるため、導光板1を通して外部の景色も同時に見ることができる。なお、入射光L1及び出射光L2は可視光であり、例えば波長400~800nm範囲の光である。
(ガラス板1)
ガラス板1の屈折率(nd)は1.7以上であり、1.8以上、1.9以上、1.95以上、特に1.98以上であることが好ましい。一方、ガラス板1の屈折率の上限は2.1以下、2.05以下、2.03以下、特に2.01以下であることが好ましい。ガラス板1の屈折率が低すぎると、AR/MR用ウェアラブルデバイス等の導光板として使用した場合に、視野角(FOV)が狭くなる傾向がある。一方、屈折率が高すぎると、失透や脈理等の欠陥が発生し、内部透過率が低下しやすくなる。
ガラス板1の屈折率(nd)は1.7以上であり、1.8以上、1.9以上、1.95以上、特に1.98以上であることが好ましい。一方、ガラス板1の屈折率の上限は2.1以下、2.05以下、2.03以下、特に2.01以下であることが好ましい。ガラス板1の屈折率が低すぎると、AR/MR用ウェアラブルデバイス等の導光板として使用した場合に、視野角(FOV)が狭くなる傾向がある。一方、屈折率が高すぎると、失透や脈理等の欠陥が発生し、内部透過率が低下しやすくなる。
光学ガラス1のアッベ数は特に限定されないが、屈折率1.7以上の樹脂の多くのアッベ数は30以下であるため、樹脂層2とのアッベ数差を小さくする観点から、光学ガラス1のアッベ数の下限は20以上、22以上、特に25以上であることが好ましく、上限は30以下、特に28以下であることが好ましい。
ガラス板1の厚みは0.1mm以上、0.15mm以上、特に0.2mm以上であることが好ましく、1mm以下、0.5mm以下、0.4mm以下、特に0.3mm以下であることが好ましい。ガラス板1の厚みが小さすぎると機械的強度が低下しやすくなる。一方、ガラス板1の厚みが大きすぎると、ガラス板1を使用したウェアラブルデバイスの重量が大きくなり、デバイス装着時の不快感が増す傾向がある。
ガラス板1の主面の長径(矩形の場合は対角線)の長さは100mm以下、80mm以下、特に50mm以下であることが好ましい。このようにすれば、ウェアラブルデバイスの小型化が可能となる。下限は特に限定されないが、現実的には10mm以上、特に300mm以上である。
なお、ガラス板1がコンパクトになる(厚みや長径が小さくなる)ほど、ガラス板1内部で光が導波する際の光路長が短くなって内部吸収ロスが小さくなり、ガラス板1と樹脂層2の界面での光散乱ロスの影響が相対的に大きくなる傾向がある。従って、ガラス板1の厚みが上記の通り小さい場合は、本発明の効果を享受しやすくなる。
ガラス板1の厚み10mmでの波長450~650nmにおける内部透過率は70%以上、80%以上、90%以上、特に95%以上であることが好ましい。このようにすれば、光がガラス板1内部を導波する際の吸収ロスが抑制でき、出射光強度を高めることができる。
ガラス板1の第1の主面1a及び第2の主面1bの表面粗さRaは5nm以下、3nm以下、特に2nm以下であることが好ましい。ガラス板1の第1の主面1a及び第2の主面1bの表面粗さRaが大きすぎると、ガラス板1内部に入射した光が全反射を繰り返して導波する際に散乱損失が生じやすく、明るく鮮明な画像を得にくくなる。ガラス板1の第1の主面1a及び第2の主面1bの表面粗さRaの下限は特に限定されないが、現実的には0.1nm以上である。
ガラス板1の第1の主面1a及び第2の主面1bの距離の最大値と最小値の差(TTV=Total Thickness Variation)は5μm以下、3μm以下、特に1μm以下であることが好ましい。TTVが大きすぎると、ガラス板1内部に入射した各波長の光が、ガラス板1内部を正確に導波しにくくなり、得られる画像の鮮明度が低下しやすくなる。
ガラス板1は、ガラス組成として、ガラス化の安定性を向上させる成分であるSiO2やB2O3、屈折率を高める成分であるLa2O3やNb2O5を含有することが好ましい。これらの成分を含有することにより、高屈折率かつ量産性に優れたガラスを得やすくなる。
以下に、各成分の好ましい範囲について説明する。なお以下の説明において、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味する。
SiO2はガラス化に有効であるが、屈折率を大きく低下させる成分である。従って、SiO2の含有量は1~45%、特に3~35%であることが好ましい。
B2O3はガラス化に有効であるが、アッベ数を高める成分であるため、その含有量が多すぎると所望のアッベ数(例えば30以下)を得にくくなる。よって、B2O3の含有量は10%以下、特に9.5%以下であることが好ましい。下限は特に限定されないが、ガラス化の安定性を高めるためには、1%以上、特に2%以上であることが好ましい。
なおSiO2+B2O3の含有量は1~55%、特に5~40%であることが好ましい。なお本明細書において、「x+y+・・・」は各成分の合量を意味する。
La2O3は屈折率を顕著に高め、またガラス化の安定性を向上させる成分である。La2O3の含有量は0~60%、10~55%、20~52%、特に30~50%であることが好ましい。La2O3の含有量が多すぎると、耐失透性が低下して量産性に劣る傾向がある。
Nb2O5は屈折率を顕著に高める成分である。またアッベ数を低下させる効果がある。Nb2O5の含有量は0~40%、3~40%、特に5~39%であることが好ましい。
なおLa2O3+Nb2O5の含有量は20~70%、特に30~65%であることが好ましい。
その他、La2O3やNb2O5の他に屈折率を高める成分としてGd2O3、Y2O3またはYb2O3を含有させることができる。
Gd2O3はLa2O3同様にガラス中に高含有させることができるが、多すぎるとガラス密度が大きくなる。また失透しやすくなる。従って、Gd2O3の含有量は0~20%、特に1~10%であることが好ましい。
Y2O3及びYb2O3の含有量は各々0~10%、特に0.1~8%であることが好ましい。これらの成分の含有量が多すぎると失透しやすくなる。
Ln2O3(LnはLa、Gd、Y及びYbから選択される少なくとも1種)の含有量を多くすることで所望の高屈折率(例えば1.7以上、1.8以上、さらには1.9以上)を達成しやすくなる。ただし、Ln2O3の含有量が多すぎると失透しやすくなる。従って、Ln2O3の含有量は40~65%、45~63%、特に48~60%であることが好ましい。
上記成分以外にも、屈折率向上に寄与するTiO2やZrO2を含有していることが好ましい。
TiO2は屈折率を高め、アッベ数を低下させる成分である。TiO2の含有量は5~40%、特に10~30%であることが好ましい。TiO2の含有量が少なすぎると、上記効果を得にくくなる。一方、TiO2の含有量が多すぎると、透過率が低下したり、ガラス化が不安定になる。
ZrO2も屈折率を高め、アッベ数を低下させる成分である。ZrO2の含有量は1~10%、特に3~8%であることが好ましい。ZrO2の含有量が少なすぎると、上記効果を得にくくなる。一方、ZrO2の含有量が多すぎると、透過率が低下したり、ガラス化が不安定になる。
その他に、ガラス化安定性向上を目的として、アルカリ金属成分(Li2O、Na2OまたはK2O)、アルカリ土類金属成分(MgO、CaO、SrOまたはBaO)またはZnOを合量で0~30%含有させることができる。なおアルカリ金属成分は屈折率やアッベ数の調整を目的に含有させることができる。具体的には、アルカリ金属成分は屈折率及びアッベ数を低下させる傾向がある。アルカリ成分の含有量は0~20%であることが好ましい。
Sb2O3は清澄や透過率向上を目的として0.1%以下の範囲で含有させることができる。
As成分(As2O3等)、Pb成分(PbO等)及びフッ素成分(F2等)は環境負荷が大きいため実質的に含有しないことが好ましい。またBi2O3及びTeO2は着色成分であり、可視域の透過率が低下しやすくなるため、実質的に含有しないことが好ましい。ここで「実質的に含有しない」とは、意図的に原料として含有させないことを意味し、不可避的不純物の混入を排除するものではない。客観的には、上記各成分の含有量が0.1%未満であることを意味する。
ガラス板1は複数枚積層させて積層体として使用してもよい。このようにすればガラス板1をウェアラブルデバイスの導光板として使用した場合に、表示画面の奥行方向に映像を重ねて投影することが可能になり、3D映像を得ることができる。積層枚数は3枚以上、特に6枚以上であることが好ましい。
(樹脂層2)
樹脂層2の屈折率(nd)は1.7以上であり、1.8以上、1.9以上、1.95以上、特に1.98以上であることが好ましい。一方、樹脂層2の屈折率の上限は2.1以下、2.05以下、2.03以下、特に2.01以下であることが好ましい。このようにすれば、ガラス板1との屈折率差が小さくなって、ガラス板1と樹脂層2の界面での光散乱ロスが生じ難くなる。
樹脂層2の屈折率(nd)は1.7以上であり、1.8以上、1.9以上、1.95以上、特に1.98以上であることが好ましい。一方、樹脂層2の屈折率の上限は2.1以下、2.05以下、2.03以下、特に2.01以下であることが好ましい。このようにすれば、ガラス板1との屈折率差が小さくなって、ガラス板1と樹脂層2の界面での光散乱ロスが生じ難くなる。
ガラス板1と樹脂層2の屈折率(nd)の差は1.0以下であり、0.5以下、0.3以下、0.2以下、特に0.15以下であることが好ましい。このようにすれば、ガラス板1との屈折率差が小さくなって、ガラス板1と樹脂層2の界面での光散乱ロスが生じ難くなる。
樹脂層2のアッベ数は、光学ガラス1とのアッベ数差を考慮し、例えば、下限は10以上、15以上、20以上、特に25以上であることが好ましく、上限は45以下、40以下、35以下、特に30以下であることが好ましい。
ガラス板1及び樹脂層2のアッベ数(νd)の差は10未満であり、8以下、5以下、特に3以下であることが好ましい。このようにすれば、上述した理由により、各波長においてガラス板1及び樹脂層2の界面での光散乱を抑制することができ、画像の色再現性を高めることができる。
なお画像の色再現性の指標として、例えばガラス板1と樹脂層2の積層体である導光板10の波長450nmと650nmにおける外部透過率(反射損失を含む透過率)の差が挙げられる。導光板10の波長450nmと650nmにおける外部透過率の差は、5%以下、4%以下、3%以下、特に2.5%以下であることが好ましい。このようにすれば、導光板10からの光出射強度の波長に応じたばらつきが小さくなり、画像の色再現性が向上しやすくなる。
樹脂層2の厚みは5μm以下、1μm以下、特に0.5μm以下であることが好ましい。樹脂層2の厚みが大きすぎると光吸収が大きくなって、導光板10からの出射光強度が低下しやすくなる。樹脂層2の厚みの下限は特に限定されないが、表面に所望の凹凸構造を形成するためには0.01μm以上、特に0.1μm以上であることが好ましい。なお樹脂層2の厚みが小さいほど、樹脂層2内部での吸収ロスが小さくなり、ガラス板1と樹脂層2の界面での光散乱ロスの影響が相対的に大きくなる傾向がある。従って、樹脂層2の厚みが上記の通り小さい場合は、本発明の効果を享受しやすくなる。
樹脂層2の表面に凹凸構造を形成する場合、その高さは所望の回折能が得られるように適宜設定すればよい。例えば、凹凸構造の高さは0.01~0.2μm、さらには0.03~0.1μmとすることができる。
樹脂層2は光硬化性樹脂であることが好ましい。このようにすれば、ナノオーダーの形状を有する凹凸構造を容易に得ることができる。
以下、実施例に基づき本発明を説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
表1は本発明の実施例(No.1~3)及び比較例(No.4)を示す。また表2は実施例及び比較例で使用したガラス板の組成を示す。
本実施例では、表1及び2に記載の特性や組成を有する、ガラス板の表面に樹脂層が形成された導光板について、波長に応じた外部透過率の差を評価した。具体的には、導光板の450nmと650nmの各波長における外部透過率の差を測定した。ガラス板は、表2に記載の組成となるように原料を調合し、大気中で白金るつぼを用いて1250~1400℃で溶融、鋳込みすることによりガラス成形体を得た後、当該ガラス成形体を切断及び研磨することにより作製した。樹脂層を構成する樹脂としては、屈折率1.71~2.10、アッベ数24~36、内部透過率99%であるものを用いた。なお、図2に実施例2の導光板の外部透過率曲線を示す。図2には、参考までに実施例2で使用したガラス板の外部透過率曲線も併せて示している。
ガラス板の表面粗さRaは、Bruker社製のAFM Dimension Iconを用い、10μmのスキャンサイズ、1Hzのスキャン速度で測定した。
ガラス板の屈折率は以下のようにして測定した。厚み0.3mmのガラス板を直角切断または直角研磨し、切断面または研磨面を#1000の研磨紙で鏡面研磨した後に、屈折率1.78の屈折率整合浸液(カルニュー)で上記ガラス板2枚を貼り合わせ、島津製作所製のKPR-2000を用いて測定した。また、得られたd線、C線、F線の各波長の屈折率からアッベ数を算出した。
ガラス板の内部透過率は以下のように測定した。上述の方法により作製したガラス成形体から10×10mm以上のサイズで厚み10mmのガラス板と厚み3mmのガラス板を作製し、それらを#1000の研磨紙またはセリウム研磨粉で鏡面研磨した。これらのガラス板について、島津製作所製のUV-3100を用いて測定することにより得られた透過率から反射損失の含まない内部透過率を求めた。
樹脂の屈折率は、大塚電子製のエリプソメーターEF-5000を用いて測定した。また、得られたd線、C線、F線の各波長の屈折率からアッベ数を算出した。
ガラス板の表面に樹脂層が形成されてなる導光板の透過率は、島津製作所製のUV-3100を用いて測定した。
表1に示す通り、実施例であるNo.1~3の導光板は、ガラス板と樹脂層のアッベ数差が8以下と小さく、450nm及び650nmの各波長における透過率の差が2%と小さかった。そのため、AR/MR用ウェアラブルデバイス用の導光板として使用した際の色再現性が高いと考えられる。一方、比較例であるNo.4の導光板は、ガラス板と樹脂層のアッベ数差が11と大きく、450nm及び650nmの各波長における透過率の差が7%と大きくなった。そのため、AR/MR用ウェアラブルデバイス用の導光板として使用した際の色再現性に劣ると考えられる。
Claims (8)
- ガラス板と、ガラス板の主面に形成された樹脂層と、を備えた導光板であって、
ガラス板及び樹脂層のアッベ数νdの差が10未満であり、
ガラス板及び樹脂層の屈折率ndが1.7以上、かつ、差が1.0以下であることを特徴とする導光板。 - ガラス板の厚みが0.1~1mm、樹脂層の厚みが1μm以下であることを特徴とする請求項1に記載の導光板
- ガラス板の厚み10mmでの波長450~650nmにおける内部透過率が70%以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の導光板。
- 波長450nmと650nmにおける外部透過率の差が5%以下であることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の導光板。
- ガラス板の主面の表面粗さRaが5nm以下であることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の導光板。
- 樹脂層の表面に凹凸構造が形成されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の導光板。
- 樹脂層が光硬化樹脂からなることを特徴とする請求項1~6のいずれか一項に記載の導光板。
- 請求項1~7のいずれか一項に記載された導光板を備えてなることを特徴とするAR/MR用ウェアラブルデバイス。
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