JP2022097456A - スイッチキャビネット機構 - Google Patents

Abstract

【課題】スケーリング可能な保護レベルと、容易な事後的な認証とを可能にする、モジュール形式で拡張可能な低コストなハウジング保護コンセプトを電気装備品のために提供する。【解決手段】本発明は、スイッチキャビネットS、器具ハウジングG、およびこれら両者で形成される機構Lに関し、スイッチキャビネットの壁部が器具ハウジングの開口部を選択的に閉止または解放する。【選択図】図３

Description

本発明は、器具ハウジングと共同で配置するための、電気設備を収容するためのスイッチキャビネットに関する。

器具または機械の電気装備品（制御器具、電源部、電磁接触器など）は、通常、ハウジングの中に配置される。ここでの「ハウジング」とは、内部に位置する空間を、この空間を外部の影響から保護することを目的として少なくとも部分的に、好ましくは全面的に取り囲む装置を意味する。保護は機械的な作用に関わるとともに、固体、液体、または気体の侵入にも同様に関わる。そのつど求められる保護にとってのハウジングの適性は、いわゆるハウジング保護等級によって指定することができる。たとえばハウジング保護等級ＩＰ６９Ｋを有するＸ線検査器具は、外部の影響に対して特別に良好に保護される。

以下においては、機械や器具のためのハウジングを簡略に器具ハウジングと呼ぶことにする。これらは通常、操作者のための保護としてアクセス制限を備えている。それにより、電圧を通す部品に誤って触れることがなく、あるいは液体や汚れと接触することがないことを保証することが意図される。通常、そのために器具ハウジングは、カバー、フラップ、ハウジング扉などによって閉止可能なハウジング開口部を備えていて、これを通して、電気コンポーネントが中にあるハウジングの内部空間にアクセス可能である。器具ハウジングは可能な限りすべての側で封止されるのがよく、場合により存在する開口部は、危険性のある電流を通す部品に外からアクセス可能でないように配置、保護されていなければならない。

たとえばＸ線検査器具などのいくつかの器具は、流体（流動性のある媒体、たとえば空気／圧縮空気、作動油、またはその他の液体）を用いて作動する。このような流体は潤滑剤として、または特にＸ線源を冷却するための冷却剤としての役目を果たすことができる。このとき器具ハウジングの内部では、操作者を保護するために、または短絡や火災の発生を予防するために、電圧を通す部品と流体との接触を回避するように特別に入念に配慮されなければならない。そのために通常、ハウジングの内部で電気部品から厳密に（気密に）分離されたセクション（英語ではコンパートメント）に液体循環路を配置することが試みられるが、法律上の規定もしくはこれに加えてそのつど遵守されるべき規格は、国ごとに相違している場合がある。

たとえば利用者の国では製造者の国よりも厳格な要求事項が適用され、そのため、たとえば液体循環路と電気装備品の配置を、製造者のもとでは単一のハウジングの内部で行うことが許容されるのに対して、利用者の国では、電気装備品が別個のスイッチキャビネットの中に気密に分離されて格納される場合にのみ器具の作動が認められるということが考えられる。要求される器具のいっそう高い動作安全性がしばしば検査機関によって検査実験室で評価され、認証される。そして相応の認証のない器具は、利用者またはそれぞれの立法者によって容認されない。

器具の開発や製作にあたってすでにいっそう高い要求事項が存在する場合には、あるいは、たとえば法律上の要求事項の改正に基づき、または一般に承認された新たな規格に基づき、または改造や拡張の一環として、事後になって初めて必要性が生じた場合には、新たな要求事項を満たすためにそのつど適切な方策を講じなければならない。その際には、器具のそれまでのコンフィグレーションを前提としたうえで、器具のさらなる開発や装備変更が、可能な限り簡易かつ低コストに可能であるのがよい。

したがって本発明の課題は、スケーリング可能な保護レベルと、容易な事後的な認証とを可能にする、モジュール形式で拡張可能な低コストなハウジング保護コンセプトを電気装備品のために提供することにある。この課題は、請求項１に記載のスイッチキャビネット、請求項３に記載の器具ハウジング、およびに請求項５に記載の機構によって解決される。その他の好ましい実施形態は従属請求項から明らかとなる。

本発明は、器具ハウジングの中にある電気装備品を、可能性のある流体との接触が起こらないように保護するという思想を前提とする。そのために器具ハウジングの内部で空間的に分離された領域に、電気装備品の格納を行うことができるであろう。本発明によると、電気装備品がほぼ、または完全に、器具ハウジングから切り離され、これとは別個のスイッチキャビネットに格納されることによって、求められる保護がさらに追加的に改善される。このとき本発明の思想の１つの特別に実際的な具体化では、スイッチキャビネットが、一方ではその内部空間に配置される電気装備品を器具ハウジングに対して封止し、他方では器具ハウジングを同時に閉止することによって、スイッチキャビネットに二重機能が与えられる。

このとき本発明によるスイッチキャビネットは、電気装備品を収容するために、周囲に対して区分けないしは封止されるべきスイッチキャビネット内部空間を有し、区分け部は少なくとも１つの壁部を含む。これは、たとえば好ましくは平坦であるスイッチキャビネットの後壁であってよい。壁部はスイッチキャビネットに対して、ないしスイッチキャビネット内部空間に対して、相対的に不動であるのが好ましい。壁部はスイッチキャビネットフレームと、またはスイッチキャビネットハウジングのその他の部分と、固定的に結合されていてよい。本発明によるとスイッチキャビネットは、スイッチキャビネットに隣接する器具ハウジングのハウジング開口部を壁部によって閉止するために構成される。ハウジング開口部は、ハウジング内部へのアクセスを保証するために、たとえば器具ハウジングの後側に設けられていてよい。本発明のキャビネットによって、器具ハウジングから分離された電気装備品のための空間を（事後的にも）創出し、そのようにして、いっそう高い安全性要求事項や認証要求事項ないし要請されるハウジング保護等級を満たせるようにすることが、特別に容易に可能である。

たとえば次のような事例が考えられる：Ｘ線検査器具において、ホース、ポンプ、または液体を運ぶその他のコンポーネントや配管が、当初は電気装備品と一緒に器具ハウジングの中に格納されている。しかし特別な安全性要求事項に基づき、および／または特別な認証を取得するために、電気装備品を部分的または全面的に器具ハウジングから取り出して、たとえばこれから気密に分離されるように配置することが特定の利用者にとって必要となる。本発明によるスイッチキャビネットは、一方では、電気装備品を器具ハウジングから引き取ることを可能にし、他方では、その壁部によって前述のハウジング開口部を器具ハウジングに向かって閉止することを可能にし、このハウジング開口部が、壁部ないしスイッチキャビネットが取り外されたときに、器具ハウジングの中に残っているコンポーネントへのアクセスを可能にする。そしてスイッチキャビネットが、モジュール形式での器具ハウジングの拡張部を形成する。

それにより、Ｘ線検査器具の装備変更およびこれに引き続く取扱が特別に簡易になる。装備変更の前にハウジング開口部を閉止していた上述のハウジング扉が、本発明によるスイッチキャビネットの壁部によって置き換えられ、該スイッチキャビネットは、ハウジング開口部を通してのハウジング内部へのアクセスを、選択的に、可能にするか、または確実に防止するために、ハウジング開口部に対して相対的に旋回可能または移動可能である。スイッチキャビネットがその壁部をもってハウジング開口部から離れる開放位置では、たとえばインストール、メンテナンス、補修作業などのために、器具ハウジングの中に残っているコンポーネントへアクセス可能である。スイッチキャビネットの壁部がハウジング開口部を（好ましくは気密に）閉止する閉止位置では、スイッチキャビネットの中に配置されることとなった電気装備品に対する、器具ハウジングの中のコンポーネントの所望の分離を壁部が惹起する。このとき壁部は、ハウジング内部空間だけでなくスイッチキャビネット内部空間も封止ないし分離するので、本発明に基づいて二重機能を果たす。

その場合、器具の前述した（たとえば本来の器具ハウジングから電気装備品を取り外すための）装備変更は、あるいは一般に器具ハウジングのモジュール形式での拡張は、ハウジング扉が取り外され、その代わりに本発明によるスイッチキャビネットが準備され、これが器具ハウジングから移されるべき電気コンポーネントを収容すると同時に、閉止位置にあるときハウジング扉に代わってハウジング開口部を密閉して閉止するために構成されることによって、簡易な方式で行うことができる。そしてスイッチキャビネットが拡張モジュールとして器具ハウジングの特別に近傍に位置決めされ、スイッチキャビネットと器具ハウジングとの間の不必要に長い電気接続が不要である。

それと同時に、器具ハウジングの内部空間をスイッチキャビネットの内部空間から分離するスイッチキャビネットの壁部は、スイッチキャビネットから器具ハウジングの中への電気接続を可能にするために、適当なケーブルブッシングを有することができる。器具ハウジングとスイッチキャビネットとによって形成されるハウジング複合体の外部での配線敷設は、インストールや装備変更のために必要ない。壁部と器具ハウジングとの間のブッシングと接触領域は、いっそう高い安全性要求事項が満たされ、たとえば汚れやダストや液体や気体などが器具ハウジングから壁部を通って隣接するスイッチキャビネットの空間へと通過することが防止されるように、封止されるのが好都合である。

器具ハウジングとスイッチキャビネットハウジングとからなる本発明の機構は、たとえばハウジング開口部を空けるためにスイッチキャビネットが器具ハウジングに対して相対的に動かされたときでさえ、スイッチキャビネットを閉止されたまま保つことができるという特徴もある。スイッチキャビネットの中に配置されたコンポーネントのために求められる保護が、スイッチキャビネットが閉止位置に配置されているか開放位置に配置されているかに関わりなく与えられる。

本発明の好ましい実施形態では、手動式に取外し可能な差込接続によって、スイッチキャビネットと器具ハウジングとの間で少なくとも１つの電気接続を成立させることが意図される。それにより、たとえばメンテナンス作業や補修作業を行えるようにするために、スイッチキャビネットないしその電気装備品を、器具ハウジングから容易に分断することができる。代替的な実施形態では、閉止位置をとると自動的に電気接続が成立し、スイッチキャビネットが開放位置に動くと自動的に分断されることが意図される。このことは、２部分からなる好ましくは相補的な適当な差込接続を用いて行うことができ、その各部分が一方の器具ハウジングおよび他方のスイッチキャビネットに配置されて、閉止位置をとったときに互いに協同作用する。

本発明によるスイッチキャビネットは、特に気体や液体の侵入に対して、器具ハウジングのハウジング開口部を気密に封止するために構成されるのが好ましい。このことは、ハウジング開口部を閉止するスイッチキャビネットの壁部が、このような封止を実現するために、適当な手段を有することによって与えられていてよい。たとえば壁部は、閉止位置にあるときに器具ハウジングとハウジング開口部の領域で協同作用するために構成された形材、シール手段、または金具を有することができる。あるいは、壁部が閉止位置にあるスイッチキャビネットをハウジング開口部に向かって動かしてクランプおよび／またはロックするために、器具ハウジングにある適当なクランプ手段と協同作用することができるスイッチキャビネットの（壁部からは離れた）クランプ手段も考えられる。

本発明によるスイッチキャビネットは、その壁部をもってハウジング開口部を閉止する閉止位置からハウジング開口部を解放する開放位置へと動かすために、およびこれと逆に動かすために、さまざまな方式で構成されていてよい。たとえば、好ましくは垂直方向または水平方向の旋回軸を中心としてキャビネットを旋回させることができ、キャビネットの壁部が１つの旋回位置のときにハウジング開口部を閉止し、別の旋回位置のときにこれを開放する。そのために、キャビネットがヒンジによって器具ハウジングに恒久的に、または取外し可能に取り付けられていてよい。その代替としてキャビネットは、その壁部をもって当該壁部と平行にハウジング開口部の前へ、またはこれから離れるように、スライドドアのような方式でスライドさせることができる手段を有することができる。たとえばキャビネットは、器具ハウジングないしハウジング開口部に対して相対的にこのような運動を可能にする、もしくはコントロールする、（好ましくはリミットストッパを有する）ガイドレールを有することができ、もしくはこれを利用することができる。キャビネットをコントロールしながらハウジング開口部に対して垂直方向でこれに近づくように、またはこれから離れるようにスライドさせる、類似の案内手段が設けられていてもよい。

本発明は、上に説明した本発明によるスイッチキャビネットの壁部によってハウジング開口部を閉止するために構成された、上に説明した方式の器具ハウジングも対象とする。器具ハウジングは、たとえば器具ハウジングのために設けられるハウジング扉によって、または本発明のスイッチキャビネットの壁部によって、ハウジング開口部を選択的に閉止可能であることによって、この目的のために好適であり得る。その代替として器具ハウジングは、閉止位置をとることができるようにするために、本発明によるスイッチキャビネットの壁部と的確に協同作用するための手段を有することができる。器具ハウジングは適当な金具によっても、本発明によるスイッチキャビネットないしその後壁を閉止位置で器具ハウジングに固定するために好適であり得る。

本発明による機構は、器具ハウジングと、上に説明した種類の少なくとも１つのスイッチキャビネットとを含み、器具ハウジングとスイッチハウジングは、スイッチキャビネットの壁部がハウジング開口部を的確に（かつ好ましくは気密に）閉止することができるように互いに相互作用するために構成されることを特徴とする。スイッチキャビネットはヒンジを介して器具ハウジングに取り付けられていてよく、それにより、ハウジング開口部を選択的に解放または閉止するために、器具ハウジングに対して相対的に旋回可能である。開放位置と閉止位置との間でのスイッチキャビネットと器具ハウジングの相対運動をコントロールする、ガイドレールまたはその他の案内手段も考えられる。

本発明によるスイッチキャビネットは、一方の（好ましくは壁部に向かい合う）側に、スイッチキャビネット扉によって従来の方式で閉止可能であるスイッチキャビネット開口部を有することができる。このような扉を通してスイッチキャビネットの内部空間にアクセス可能であり、スイッチキャビネット扉が閉止されれば、無資格者がスイッチキャビネットへアクセスするのが阻まれる。ハウジング開口部を閉止するスイッチキャビネットの壁部がその後側を形成するのが好ましく、それに対してスイッチキャビネット扉は壁部に対向して、スイッチキャビネットの前側を形成する。

器具ハウジングのモジュール形式の拡張という本発明の思想は、２つのスイッチキャビネットに拡張して応用することもできる。たとえば第１のスイッチキャビネットのスイッチキャビネット扉を、第２のスイッチキャビネットの壁部ないし後壁によって置き換えることができ、この第２のスイッチキャビネットが、第１のスイッチキャビネットのスイッチキャビネット扉に代わって第１のスイッチキャビネットの前に位置決めされて、これを閉止する。たとえば１つのスイッチキャビネットを、または、器具ハウジングとこれに付属するスイッチキャビネットとの本発明に基づく機構を、モジュール形式ないしカスケード形式でさらに拡張することができる。このような機構の互いに直接的に隣接する、たとえば互いに前後して配置される２つのスイッチキャビネットでは、第１の（前側の）スイッチキャビネットの（後）壁が、他方の（後側の）スイッチキャビネットの（前側の）スイッチキャビネット開口部を閉止して、そのスイッチキャビネット扉を省略することができる。

このように互いに前後して配置されるスイッチキャビネットの封止が、これらの間に位置する壁部によって気密に、すなわちほぼガス密かつ液密に行われていれば、液体や気体で負荷を受けるコンポーネントを１つのスイッチキャビネットの中に配置し、それに対して隣接するスイッチキャビネットが、上で説明した「器具ハウジング－スイッチキャビネット」の組合せと同様に、これから分離された電気装備品を収容することも考えられる。

器具ハウジングとスイッチキャビネットの本発明による機構の１つの好ましい実施形態では、スイッチキャビネットが、スイッチキャビネット開口部を閉止するためのスイッチキャビネット扉を有することが意図される。スイッチキャビネット開口部ないしこれに付属するスイッチキャビネット扉は、スイッチキャビネットの壁部に向かい合うのが好ましく、それにより、壁部がスイッチキャビネットの後壁を形成し、それに対してスイッチキャビネット扉は、スイッチキャビネットの前側のスイッチキャビネット開口部を閉止する。この実施形態では、器具ハウジングないしそのハウジング開口部は、器具ハウジングのハウジング開口部を閉止するために、取り外されるべきスイッチキャビネットの壁部に代えてそのスイッチキャビネット扉を利用可能であるように構成され、扉が両方の開口部に「適合」する。スイッチキャビネット開口部とハウジング開口部の両方についてのスイッチキャビネット扉の代替的な利用可能性は、たとえば次のようにして惹起することができる：

ａ）両方の開口部の幾何学寸法がほぼ一致している、および／または
ｂ）扉を配置するための金具が両方の開口部で同じである、および／または
ｃ）扉がそれぞれ異なる取付手段を備えていて、そのうちいくつかをスイッチキャビネット開口部に扉を取り付けるために利用可能であり、他の取付手段をハウジング開口部に扉を取り付けるために利用可能である。

前述した扉の二重の利用可能性は、本発明による機構に１つまたは複数の（好ましくは同種類の）スイッチキャビネットをモジュール形式で拡張すること、または縮減することを簡易化する。たとえば、Ｘ線検査器具の器具ハウジングに１つのスイッチキャビネットを初めて拡張しようとする場合、それまでＸ線検査器具のハウジング開口部を閉止していた扉が、追加的に設けられるべきスイッチキャビネットの前側へと移設され、そこでスイッチキャビネット開口部を閉止する。Ｘ線検査器具のハウジング開口部は、その代わりに本発明による方式で、付け加えられるべきスイッチキャビネットの壁部によって閉止される。さらに別のスイッチキャビネットを付け加えるときは、相応の方式で１番前のスイッチキャビネットのスイッチキャビネット開口部への扉の移設が行われ、それに対して、個々のスイッチキャビネットのこれらの間に位置するスイッチキャビネット開口部は、その前にそれぞれ配置される次のスイッチキャビネットの壁部によって閉止される。

これと逆の方式で、１つの器具ハウジングと、その前に配置される１つまたは複数のスイッチキャビネットとからなる本発明の機構から、これらのうち１つまたは複数のスイッチキャビネットを取り外すことができ、このときスイッチキャビネット扉を、その際に空くスイッチキャビネット開口部に配置することができ（少なくとも１つのスイッチキャビネットが機構に残る場合）、または、ハウジング開口部に配置することができる（装備変更後に器具ハウジングだけが残る場合）。

ハウジング開口部にもスイッチキャビネット開口部にも適合する扉を有するこのような実施形態は、在庫保管のコストと、準備しておくべき部品の数を削減するという利点がある。扉、シール、および金具が両方の用途のために考慮の対象となるからである。

器具ハウジングと、これと協同作用する少なくとも１つのスイッチキャビネットとからなる本発明の機構は、スイッチキャビネットが閉止位置にあるとき、すなわちその壁部がハウジング開口部を閉止しているとき、キーも含むことができる適当なロック手段によって、ハウジングとロック可能であるように構成されるのが好ましい。これは、スイッチキャビネット扉をロック可能である、スイッチキャビネットキーであるのが好ましい。直接的に隣接する複数のスイッチキャビネットであって、そのうちそれぞれ１つが直接的に隣接する他のスイッチキャビネットのスイッチキャビネット開口部を上に説明した方式で閉止しているものを、このようなスイッチキャビネットキーによって互いに相対的にロック可能であってもよい。その場合には、事実上１つのキーだけで十分であり、これによって１番前のスイッチキャビネットのスイッチキャビネット扉だけでなく、たとえばこれに互いに隣接する２つのスイッチキャビネットと、器具ハウジングのハウジング開口部を覆うスイッチキャビネットとを、閉止位置のときにロック可能である。その代替として、異なるアクセス権とリンクされた、異なるキーないしアクセス手段が設けられていてよく、それにより、たとえばハウジング開口部のロック解除ないしアクセスには、スイッチキャビネット開口部のロック解除ないしアクセスとは別のキーが必要となる。

器具ハウジングと、１つまたは複数のスイッチキャビネットとを有する機構では、スイッチキャビネットの重量が確実に受け止められなければならない。そのためにスイッチキャビネットは、床面に立てたまま器具ハウジングまたは他のスイッチキャビネットに対して相対的に可動もしくは移動可能であるために、たとえば独自の脚部またはローラを備えていてよい。スイッチキャビネットが器具ハウジングに、または隣接する他のスイッチキャビネットに懸架されて配置され、これらに対して相対的に扉のように旋回可能であり、その重量が隣接するハウジングによって受け止められるというケースも考えられる。その場合には全体の（組み合わされた）機構を、たとえば設置場所の変更のために、個別に立つ複数のスイッチキャビネットを有する器具ハウジングよりもいっそう容易に動かすことができる。ただしその場合、ローラまたはスタンド脚部を有する器具ハウジングは、これにより支持されるスイッチキャビネットを含めて、１つまたは複数のスイッチキャビネットが開放位置へと移行するときにも確実に立っているように構成されなければならない。

次に、２つの実施形態を参照しながら本発明について詳しく説明する。図面は次のものを示す。

本発明による機構を第１の視点で示す図である。 本発明による機構を第１の視点で示す図である。 図１の機構を別の視点から示す図である。 図１の機構を別の視点から示す図である。 複数のスイッチキャビネットを含む機構である。

図１は、詳しくは図示しない底面に載っている、器具ハウジングＧを有するＸ線検査装置Ｒを簡略化した斜視図で示している。器具ハウジングＧはその器具内部空間Ｉ（図２参照）に、Ｘ線検査器具Ｒの詳しくは図示しないコンポーネントを収容しており、これには、たとえばＸ線管、チラー、除湿器、冷却器具、付属の管またはホースなど、冷却剤の供給を受けるコンポーネントが含まれ得る。奥行方向Ｚで、器具ハウジングＧにスイッチキャビネットＳが直接的に後続している。スイッチキャビネットＳは、Ｘ線検査器具Ｒを作動させるために必要な、詳しくは図示しない電気装備品を収容するために意図されるスイッチキャビネット内部空間Ｍ（図３参照）を包囲する。特別な安全性要求事項を満たすために、スイッチキャビネットＳの内部空間ＭはＸ線検査器具Ｒの内部空間Ｉから気密に分離される。図２に明示するとおり、そのためにスイッチキャビネットＳはその後壁を形成する壁部Ｗを含んでいる。

壁部Ｗと反対を向くほうの、操作者によりアクセス可能な前側では、スイッチキャビネットＳは、図２および図３では若干開いた位置で、および図４では閉じた位置で示されている扉Ｔによって閉止される。

特に別の斜視図の図３が明示するように、器具ハウジングＧはスイッチキャビネットＳのほうを向く後側にハウジング開口部Ｏ_Gを有していて、これを通して器具内部空間Ｉにアクセス可能である。ハウジング開口部Ｏ_Gを、およびこれに伴ってハウジング内部空間Ｉを、周囲に対して閉止するために、スイッチキャビネットＳは垂直方向の旋回軸Ａを中心として器具ハウジングＧに対して相対的に、開放位置Ｓ_Oと、図４に示す閉止位置Ｓ_Xとの間で旋回可能である。閉止位置では、スイッチキャビネットの壁部Ｗがハウジング開口部Ｏ_Gを全面的かつ気密に閉止し、それにより、たとえば液体や気体の冷却剤がハウジング開口部Ｏ_Gを通って周囲へ、および特にスイッチキャビネットＳの中へ侵入し得ない。ハウジング開口部Ｏ_Gの縁部で器具ハウジングに設けられた、開口部を周回するシール材Ｄによって封止がサポートされ、閉止位置にあるときこのシール材がスイッチキャビネットＳの壁部Ｗによって付勢される。

それに対して図２および図３に示す開放位置Ｓ_Oでは、Ｘ線検査器具Ｒのハウジング内部空間Ｉへアクセス可能である（図示している開放位置Ｓ_Oは例示として選択されているにすぎない。この開放位置は、図示している小さな開放角のときでもハウジング内部Ｉへのアクセスを保証するが、ハウジング開口部から離れていくスイッチキャビネットＳのさらなる旋回によって、このようなアクセスをいっそう改善することもできる。旋回軸Ａの領域での器具ハウジングＧへのスイッチキャビネットＳの結合の実施形態に応じて、スイッチキャビネットＳを閉止位置から９０°を超えて旋回させて、ハウジング内部Ｉへのほぼ妨げられることのないアクセスを許容することもできる）。

さらに図３は、スイッチキャビネット内部空間Ｍへと通じるスイッチキャビネット開口部Ｏ_SをスイッチキャビネットＳが有することを示している。スイッチキャビネット開口部はスイッチキャビネットの壁部Ｗに向かい合っており、スイッチキャビネットＴによって閉止することができる。そのためにスイッチキャビネット扉ＴはスイッチキャビネットＳのフレームに、旋回軸Ａに対して平行の旋回軸Ａ’を中心として、スイッチキャビネットＳのフレームに対して相対的に旋回可能であるように配置されている。ここでは両方の旋回軸Ａ，Ａ’は機構の同じ側に位置しており、それにより、（機構を見る上からの視線で）スイッチキャビネットＳとそのスイッチキャビネット扉Ｔが両方とも、それぞれの開口部Ｏ_G，Ｏ_Sを開くためにそれぞれ反時計周りに旋回する。しかしながらその代替として、旋回軸をたとえば機構の一方の側と他方の側へ交互にオフセットして設けることも可能であり、それにより、開放運動が時計回りと反時計回りへ交互に行われる。

Ｘ線検査器具Ｒのハウジング開口部Ｏ_Gは、スイッチキャビネット開口部と同じ寸法を有している。それと同時にスイッチキャビネットＴは、スイッチキャビネットのフレームにではなく器具ハウジングＧに直接取り付けるためにも構成されており、それによりハウジング開口部Ｏ_Gは－スイッチキャビネットＳを省略できる場合には－スイッチキャビネットＳの壁部Ｗによってではなく、スイッチキャビネットＳから器具ハウジングへ直接的に移設されるスイッチキャビネット扉Ｔによって閉止することもできる。ハウジング開口部Ｏ_Gとスイッチキャビネット開口部Ｏ_Sは、この目的のために同種類に製作される。このケースではスイッチキャビネット扉は、組付けに応じて選択的に器具ハウジングＧかスイッチキャビネットＳかを閉止することができるので、ハウジング扉と呼ぶこともできる。その逆に、それまでハウジング開口部Ｏ_Gを覆っていたハウジング扉を、スイッチキャビネットＳを介在させた後に、代わりにスイッチキャビネットＳの前側へ移設して、そこでスイッチキャビネット開口部Ｏ_Sを選択的に閉止または解放することができることも明らかである。

図１から図４により明らかなとおり、器具ハウジングＧをスイッチキャビネットＳによって簡易な方式によりモジュール形式で拡張または縮減することができる。当初は補足のスイッチキャビネットＳなしで構成されていたＸ線検査器具Ｒを、図示している方式でスイッチキャビネットＳを配置することで、たとえばＸ線検査器具Ｒの器具内部空間Ｉから隣接するスイッチキャビネットＳに特定のコンポーネントを取り出し、それによってハウジング内部空間から分離するために、容易に装備変更することができる。別個に配置されるべき独立したスイッチキャビネットをそのために設ける代わりに、本発明によるとスイッチキャビネットＳは、その壁部Ｗによって閉止位置でハウジング内部空間Ｉをスイッチキャビネット内部空間Ｍから分離するように、器具ハウジングに配置される。このとき壁部Ｗは、ハウジング内部空間とスイッチキャビネット内部空間とをいずれも封止ないし分離するので、二重機能を果たす。

図５は、本発明の根底にある思想の発展例を簡略化した図面で示している。器具ハウジングＧは、すでに説明した方式でスイッチキャビネットＳが拡張されている。器具ハウジングＧとスイッチキャビネットＳからなる機構に、２つの別のスイッチキャビネットＳ₁およびＳ₂が追加されている。スイッチキャビネットＳは本発明に基づく方式により、その壁部Ｗによって、ハウジングＧのハウジング開口部Ｏ_Gを閉止する（その際に隠れる開口部ないし壁部は図５には見えていない）。さらに、付け加えられた次のスイッチキャビネットＳ₁が、本発明に基づく方式により、その後壁によってスイッチキャビネットＳのスイッチキャビネット開口部を閉止し、それに対して、さらに付け加えられたスイッチキャビネットＳ₂が、第１のスイッチキャビネットＳ₁のスイッチキャビネット開口部をさらに閉止する。スイッチキャビネットＳ₂はその前側で、スイッチキャビネット扉Ｔによって閉止される。すべてのスイッチキャビネットが互いに相対的に、詳しくは図示しない垂直方向の旋回軸を中心として旋回可能であり、それにより、個々のスイッチキャビネットのスイッチキャビネット内部空間に、もしくは器具ハウジングＩのハウジング内部空間に、該当する開口部の前に配置されたスイッチキャビネットＳを横へ離反旋回させることによってアクセス可能である。

Ａ、Ａ’ 旋回軸
Ｄ シール材
Ｇ 器具ハウジング
Ｉ ハウジング内部空間
Ｌ 機構
Ｍ スイッチキャビネット内部空間
ＯＧ ハウジング開口部
ＯＳ スイッチキャビネット開口部
Ｒ Ｘ線検査器具
Ｓ、Ｓ１、Ｓ２ スイッチキャビネット
ＳＯ 開放位置
ＳＸ 閉止位置
Ｔ スイッチキャビネット扉
Ｚ 奥行方向
Ｗ スイッチキャビネットの壁部

Claims (12)

1. 器具ハウジング（Ｇ）と少なくとも１つのスイッチキャビネット（Ｓ）とを含む機構（Ｌ）において、
   ａ）前記スイッチキャビネット（Ｓ）は電気装備品を収容するために構成され、周囲に対して区分けされるべきスイッチキャビネット内部空間（Ｍ）を含み、前記区分けは好ましくは平坦な壁部（Ｗ）を含み、
   ｂ）前記器具ハウジング（Ｇ）は流体で負荷可能なＸ線検査器具のコンポーネントを有し、そのＸ線源が冷却剤流体によって、特に空気または冷却剤液によって、冷却され、
   ｃ）前記器具ハウジング（Ｇ）はハウジング開口部（Ｏ_G）を含み、前記器具ハウジング（Ｇ）の前記ハウジング開口部（Ｏ_G）に隣接する前記スイッチキャビネット（Ｓ）は前記Ｘ線検査器具の電気コンポーネントおよび／または制御部材を含み、
   ｄ）前記スイッチキャビネット（Ｓ）はその壁部（Ｗ）によって、前記スイッチキャビネット（Ｓ）に隣接する前記器具ハウジング（Ｇ）のハウジング開口部（Ｏ_G）を閉止位置（Ｓ_X）にあるとき閉止するとともに開放位置（Ｓ_O）にあるとき解放するために構成され、
   ｅ）前記スイッチキャビネット（Ｓ）の前記壁部（Ｗ）は前記器具ハウジング（Ｇ）の前記ハウジング開口部（Ｏ_G）を閉止位置（Ｓ_X）で閉止し、
   ｆ）前記スイッチキャビネット（Ｓ）の前記壁部（Ｗ）は前記ハウジング開口部（Ｏ_G）を閉止位置（Ｓ_X）で液体の通過に対して封止する、機構。
2. 前記スイッチキャビネット（Ｓ）の前記壁部は前記ハウジング開口部（ＯＧ）に対して相対的に閉止位置（Ｓｘ）から開放位置（Ｓｏ）へ、およびこれから戻るように可動であり、それは前記スイッチキャビネットがその壁部（Ｗ）をもって、
   ａ）好ましくは垂直方向または水平方向の旋回軸（Ａ）を中心として旋回することによってであり、または、
   ｂ）前記壁部に対して平行に前記ハウジング開口部（Ｏ_G）の前へ、もしくはこれから離れるようにスライドすることによってであり、または、
   ｃ）前記ハウジング開口部（Ｏ_G）に対して垂直の運動でこれに近づくように、もしくはこれから離れるようにスライドすることによってであり、または、
   ｄ）前記ａ）から前記ｃ）に記載の運動のうちの複数の重ね合わせで動くことによってであることを特徴とする、請求項１に記載の機構（Ｌ）。
3. 前記器具ハウジング（Ｇ）は、特に請求項２の構成要件ａ）からｄ）に基づいて前記器具ハウジング（Ｇ）とスイッチキャビネット（Ｓ）との間のコントロールされた相対運動を可能にするために、請求項１または２に記載のスイッチキャビネット（Ｓ）と協同作用するために意図されて構成された金具を有することを特徴とする、請求項１に記載の機構（Ｌ）。
4. 請求項１に記載の複数のスイッチキャビネット（Ｓ，Ｓ₁，Ｓ₂．．．）を含み、少なくとも１つの前記スイッチキャビネット（Ｓ，Ｓ₁）の空間（Ｍ）は、隣接する別のスイッチキャビネット（Ｓ₁，Ｓ₂）の前記壁部（Ｗ）により閉止されるスイッチキャビネット開口部（Ｏ_S）を有することを特徴とする、請求項１に記載の機構（Ｌ）。
5. 前記スイッチキャビネット（Ｓ，Ｓ₁，Ｓ₂．．．）の前記壁部（Ｗ）はハウジング開口部（Ｏ_S）またはスイッチキャビネット開口部（Ｏ_S）を閉止位置のときに封止し、特に汚れ、ダスト、気体、または液体の通過に対して封止することを特徴とする、請求項４に記載の機構（Ｌ）。
6. 前記器具ハウジング（Ｇ）の中に流体で負荷可能なコンポーネント、特に管、容器、またはホースが設けられることを特徴とする、請求項１に記載の機構（Ｌ）。
7. 前記器具ハウジング（Ｇ）に隣接する少なくとも１つの前記スイッチキャビネット（Ｓ）は、スイッチキャビネット扉（Ｔ）によって閉止可能である、好ましくはその壁部（Ｗ）に向かい合うスイッチキャビネット開口部（Ｏ_S）を有し、前記器具ハウジング（Ｇ）は、前記スイッチキャビネット（Ｓ）から取り外された前記スイッチキャビネット扉（Ｔ）を前記器具ハウジング（Ｇ）に取り付けて、前記スイッチキャビネット（Ｓ）の前記壁部（Ｗ）の代わりにその前記スイッチキャビネット扉（Ｔ）を、前記器具ハウジング（Ｇ）の前記ハウジング開口部（Ｏ_G）を閉止するために利用可能にするために構成されることを特徴とする、請求項１に記載の機構（Ｌ）。
8. 前記器具ハウジング（Ｇ）の前記ハウジング開口部（Ｏ_G）は扉によって閉止可能であり、前記器具ハウジング（Ｇ）に隣接する前記スイッチキャビネット（Ｓ）は、スイッチキャビネット扉（Ｔ）によって閉止可能である、好ましくはその壁部（Ｗ）に向かい合うスイッチキャビネット開口部（Ｏ_S）を有し、前記器具ハウジング（Ｇ）の扉は前記ハウジング開口部（Ｏ_G）から取外し可能であるとともに、前記スイッチキャビネット開口部（Ｏ_S）を閉止するためにスイッチキャビネット扉（Ｔ）として前記スイッチキャビネット開口部（Ｏ_S）に取付可能であり、それに対して前記ハウジング開口部（Ｏ_G）は前記スイッチキャビネット（Ｓ）の前記壁部（Ｗ）によって閉止可能であることを特徴とする、請求項１に記載の機構（Ｌ）。
9. 前記器具ハウジング（Ｇ）は前記器具開口部（Ｏ_G）に、および前記スイッチキャビネット（Ｓ）は前記スイッチキャビネット開口部（Ｏ_S）に、それぞれ前記スイッチキャビネット扉（Ｔ）と適合する同じ配置の金具を有し、それにより前記スイッチキャビネット扉（Ｔ）を前記スイッチキャビネット開口部（Ｏ_S）から前記ハウジング開口部（Ｏ_G）へ、またはこれと逆に、容易に移設可能であることを特徴とする、先行する２つの請求項７と８のうちいずれか１項に記載の機構（Ｌ）。
10. ａ）前記器具ハウジング（Ｇ）は、器具または機械の、流体で負荷可能なコンポーネントを有し、前記器具ハウジング（Ｇ）の前記ハウジング開口部（Ｏ_G）に隣接するスイッチキャビネット（Ｓ）は前記器具または前記機械のための電気コンポーネントおよび／または制御部材を含み、
    ｂ）前記壁部（Ｗ）は、前記ハウジング開口部（Ｏ_G）を通して前記器具ハウジング（Ｇ）から出る、またはその中に入る、汚れ、ダスト、液体、または気体の漏出または侵入を低減または防止する設定可能なハウジング保護等級を得るために、前記閉止位置（Ｓｘ）で前記ハウジング開口部（Ｏ_G）を（好ましくは前記ハウジング開口部（Ｏ_G）を周回するシール材を利用したうえで）封止する、請求項１に記載の機構（Ｌ）。
11. 前記器具または機械は、
    ａ）測定器具、特に秤であり、または、
    ｂ）検査器具またはコントロール器具であることを特徴とする、先行請求項１から１０のいずれか１項に記載の機構。
12. 前記ハウジング開口部（Ｏ_G）は１つの平面に位置する縁部によって区切られる、請求項１に記載の機構（Ｌ）。

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