JP2022097070A - 搬送システム及び搬送システムの制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】可動子の位置の検出時における可動子の移動量を低減し得る搬送システムを提供する。【解決手段】搬送方向に沿って所定の間隔で配され、各々に流れる電流を独立に制御可能な複数のコイルと、前記搬送方向に沿って所定の間隔で配された複数の磁石よりなる磁石群を備え、前記複数のコイルと前記磁石群との間に生じる磁力に応じて前記搬送方向に移動する可動子と、前記複数のコイルの各々のインダクタンスの測定値に基づいて前記可動子の位置を推定する位置推定部と、を有する。【選択図】図4
Description
本発明は、搬送システム及び搬送システムの制御方法に関する。
特許文献1には、リニアモータにおける磁極の位置検出方法が開示されている。特許文献1には、初期調整時における磁極の位置検出方法として、出力電圧の位相角を調整することにより、モータを左側に移動させたときの移動後の位置と、右側に移動させたときの移動後の位置との中心を初期励磁位置として検出することが記載されている。
特許文献1に記載された技術においては、磁極の位置を検出するために可動子を移動させる処理が行われる。しかしながら、可動子と他の構造物との干渉の回避等の理由により、可動子の移動量を低減することが望まれる場合もある。
そこで、本発明は、可動子の位置の検出時における可動子の移動量を低減し得る搬送システム及び搬送システムの制御方法を提供することを目的とする。
本発明の一観点によれば、搬送方向に沿って所定の間隔で配され、各々に流れる電流を独立に制御可能な複数のコイルと、前記搬送方向に沿って所定の間隔で配された複数の磁石よりなる磁石群を備え、前記複数のコイルと前記磁石群との間に生じる磁力に応じて前記搬送方向に移動する可動子と、前記複数のコイルの各々のインダクタンスの測定値に基づいて前記可動子の位置を推定する位置推定部と、を有することを特徴とする搬送システムが提供される。
本発明の他の一観点によれば、搬送方向に沿って所定の間隔で配され、各々に流れる電流を独立に制御可能な複数のコイルと、前記搬送方向に沿って配された複数の磁石よりなる磁石群を備え、前記複数のコイルと前記磁石群との間に生じる磁力に応じて前記搬送方向に移動する可動子と、を有する搬送システムの制御方法であって、前記複数のコイルの各々のインダクタンスの測定値に基づいて前記可動子の位置を推定するステップを有することを特徴とする制御方法が提供される。
本発明によれば、可動子の位置の検出時における可動子の移動量を低減し得る搬送システム及び搬送システムの制御方法が提供される。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。複数の図面にわたって同一の要素又は対応する要素には共通の符号が付されており、その説明は省略又は簡略化されることがある。また、同一の数字の符号の末尾に小文字のアルファベットを識別子として付記することにより、異なる位置に配された同種の構成要素を区別することもある。また、特に区別して説明する必要がない場合には、識別子を付さず数字のみの符号を用いることもある。
[第1実施形態]
まず、本実施形態に係る搬送システム1の構成について図1(a)、図1(b)、図1(c)、図2(a)、図2(b)及び図3を相互に参照しつつ説明する。図1(a)、図1(b)及び図1(c)は、本実施形態に係る可動子101及び固定子201(201a、201b)を含む搬送システム1の全体構成を示す概略図である。なお、図1(a)は搬送システム1をZ方向から見た平面図であり、図1(b)は搬送システム1をY方向から見た側面図であり、図1(c)は搬送システム1をX方向から見た断面図である。
まず、本実施形態に係る搬送システム1の構成について図1(a)、図1(b)、図1(c)、図2(a)、図2(b)及び図3を相互に参照しつつ説明する。図1(a)、図1(b)及び図1(c)は、本実施形態に係る可動子101及び固定子201(201a、201b)を含む搬送システム1の全体構成を示す概略図である。なお、図1(a)は搬送システム1をZ方向から見た平面図であり、図1(b)は搬送システム1をY方向から見た側面図であり、図1(c)は搬送システム1をX方向から見た断面図である。
図1(a)に示すように、本実施形態による搬送装置を有する搬送システム1は、台車、スライダ又はキャリッジを構成する可動子101と、搬送路を構成する複数の固定子201とを有している。可動子101には搬送方向に沿って複数の永久磁石を含む永久磁石群102が配されており、固定子201には搬送方向に沿って複数のコイル202及び複数のリニアエンコーダ203が配されている。このように、搬送システム1は、可動磁石型リニアモータ(ムービング永久磁石リニアモータ、可動界磁型リニアモータ)による搬送システムである。
搬送システム1は、可動子101を搬送することにより、可動子101上に配されたワーク110を、ワーク110に対して加工作業を施す工程装置等に搬送するものであり得る。ワーク110に加工作業を施すことにより、高品質な物品を製造することができる。なお、図1(a)及び図1(b)では、複数の固定子201に対して1つの可動子101が図示されているが、可動子101及び固定子201の個数はこれに限定されるものではない。搬送システム1においては、複数の可動子101が1つ又は複数の固定子201上を搬送され得る。本実施形態は、そのような複数の可動子101が配置される状況にも適用可能である。
ここで、以下の説明において用いる座標軸、方向等を定義する。まず、可動子101の搬送方向である水平方向に沿ってX軸をとり、可動子101の搬送方向、すなわち、コイル202が並ぶ方向をX方向(搬送方向)とする。また、X方向に直交する方向である鉛直に沿ってZ軸をとり、鉛直方向をZ方向とする。また、X方向及びZ方向に直交する方向に沿ってY軸をとり、X方向及びZ方向に直交する方向をY方向とする。なお、可動子101の搬送方向は必ずしも水平方向である必要はないが、その場合も搬送方向をX方向として同様にY方向及びZ方向を定めることができる。また、以下の数式において、乗算の記号として“*”を使用することがある。
次に、本実施形態による搬送システム1における搬送対象である可動子101について、主として図2(a)及び図2(b)を用いて説明する。図2(a)及び図2(b)は、本実施形態に係る可動子101の構成を示す概略図である。なお、図2(a)は可動子101をY方向から見た側面図であり、図2(b)は可動子101をX方向から見た断面図である。
図2(a)及び図2(b)に示すように、可動子101は、永久磁石群102、バックヨーク104及びリニアスケール103を有している。
永久磁石群102は、複数の永久磁石により構成された磁石群である。永久磁石群102は、固定子201のコイル202側(Y軸の正方向)に向かう外側の磁極の極性が交互になるようにX方向に沿って配置されている。なお、永久磁石群102を構成する永久磁石の数は、5個に限定されるものではなく、複数個であればよい。更に、図2(a)において永久磁石群102は、搬送方向であるX方向に沿って1列に配置されているが、コイル202の配置に合わせて2列以上配されていてもよい。永久磁石群102が配された可動子101は、固定子201に配された複数のコイル202から永久磁石が受ける磁力により搬送方向に移動可能に構成されている。
永久磁石群102は、バックヨーク104に取り付けられている。バックヨーク104は、鉄等の大きな透磁率を有する物質で構成されている。これにより、永久磁石群102からの磁束の外部への漏出を低減する効果が得られる。
リニアスケール103は、固定子201のリニアエンコーダ203に対向するように、X方向に沿って帯状に配置されている。
また、可動子101は、固定子201のガイドレール204によってY方向及びZ方向に移動しないように規制されている。なお、可動子101の規制に用いられる規制部材はガイドレール204に限定されない。本実施形態ではガイドレール204によって規制する例を示しているが、例えば、ガイドローラーによってY方向及びZ方向に可動子101が移動しないような規制を行ってもよい。
可動子101は、その上面に搬送すべきワーク110を載置又は装着した状態で搬送される。可動子101は、例えば、ワークホルダ等のワーク110を可動子101に保持する保持機構を有していてもよい。この場合、可動子101の下面にワーク110が保持されていてもよい。
次に、本実施形態による搬送システム1における固定子201について、図1(a)及び図1(b)を用いてより詳細に説明する。
図1(a)及び図1(b)に示すように、固定子201は、可動子101の搬送方向であるX方向に沿って1列に所定の間隔を空けて配された複数のコイル202を有している。固定子201a、201bは、搬送方向であるX方向に延在して可動子101の搬送路を形成する。複数のコイル202は、可動子101の側面の永久磁石群102と対向可能なように、X方向に沿って1列に配されて固定子201に取り付けられている。
複数のコイル202は、後述するコイルコントローラ302に接続されている。複数のコイル202の各々を流れる電流は、独立に制御可能である。また、複数のコイル202の各々を流れる電流は、複数個(例えば3個)の群を単位として制御されてもよい。複数のコイル202は、コイルコントローラ302の制御に応じて通電されることにより、可動子101の永久磁石群102との間で磁力を発生する。これにより、複数のコイル202は、可動子101に対して力を印加する。
固定子201は、可動子101の搬送方向であるX方向に沿って配された複数のリニアエンコーダ203を有している。複数のリニアエンコーダ203は、可動子101に配されたリニアスケール103に対向するように、固定子201に取り付けられている。リニアエンコーダ203は、リニアスケール103を読み取ることにより、可動子101のX方向の位置を検出することができる。
複数のリニアエンコーダ203が配される間隔は、リニアスケール103のX方向の長さ以下であることが望ましい。この構成によれば、可動子101がどの位置にあっても、複数のリニアエンコーダ203のうちのいずれかがリニアスケール103を読み取って可動子101の位置を検出することができる。
リニアエンコーダ203は、インクリメンタル方式のリニアエンコーダである。インクリメンタル方式は、基本的には相対位置を検出する方式であるため、可動子101の絶対位置を取得するためには電源投入時に可動子101の初期位置を設定する必要がある。本実施形態の搬送システム1は、複数のコイル202のインダクタンスを測定し、インダクタンスの測定値に基づいて可動子101の初期位置を推定する機能を有している。
また、上述のように、固定子201は、可動子101の搬送方向であるX方向に沿って配されたガイドレール204を有している。ガイドレール204は、可動子101がY方向及びZ方向に移動しないように規制する規制部材である。
次に、本実施形態による搬送システム1を制御する制御システム30について、図3を用いて説明する。図3は、本実施形態による搬送システム1を制御する制御システム30の構成を示す概略図である。
図3に示すように、搬送システム1の制御システム30は、上位コントローラ300、統合コントローラ301、コイルコントローラ302及びセンサコントローラ303を有する。これらのコントローラは、協働して、可動子101と固定子201とを含む搬送システム1の全体を制御する。上位コントローラ300には、複数の統合コントローラ301が通信可能に接続されている。1つの統合コントローラ301には、複数のコイルコントローラ302とセンサコントローラ303とが通信可能に接続されている。1つのコイルコントローラ302には、複数のコイル202が接続されている。センサコントローラ303には、複数のリニアエンコーダ203が接続されている。各コントローラは、制御に必要な情報を記憶する記憶装置を含み得る。
上位コントローラ300は、搬送システム1全体の制御を行う。また、上位コントローラ300は、搬送装置と可動子101上のワーク110に加工作業を施す工程装置等を含めた生産装置全体の制御を行ってもよい。上位コントローラ300は、統合コントローラ301に対して、可動子101の移動指令を送信する。移動指令は、移動先の位置、移動速度、移動時の加減速等に関する情報を含み得る。
複数の統合コントローラ301の各々は、上位コントローラ300から移動指令を受信する。各統合コントローラ301は、対応するセンサコントローラ303から受信した可動子101の現在位置に基づいて位置指令(可動子101の移動先を示す指令)を生成し、複数のコイルコントローラ302に送信する。また、各統合コントローラ301は、対応する1つの固定子201に対して制御を行う。すなわち、図3では、統合コントローラ301aは、固定子201aの複数のコイル202を制御し、統合コントローラ301bは、固定子201bの複数のコイル202を制御する。
コイルコントローラ302は、統合コントローラ301から位置指令を受信し、各コイル202に対応する電流指令を出力する。コイルコントローラ302は、接続された複数のコイル202の各々を流れる電流を制御する。
コイルコントローラ302は、接続された複数のコイル202の各々に対して、個別に電流の制御を行うことができる。また、順番に接続された3個のコイル202に対して、U相、V相及びW相からなる三相交流の電流を流すような制御を行うこともできる。
コイルコントローラ302は、電流検出部(図示しない)を有する。電流検出部は、接続された複数のコイル202の各々を流れる電流を個別に計測することができる。
こうして、制御システム30の上位コントローラ300、統合コントローラ301、コイルコントローラ302及びセンサコントローラ303は、協働して可動子101の搬送の制御を行うことができる。なお、図3に示している制御システム30の構成は例示であり、これ以外の構成であってもよい。例えば、上位コントローラ300は、搬送システム1の外部の装置であってもよい。
なお、本実施形態では、コイルコントローラ302が電流指令を算出する例を挙げているが、他のコントローラが電流指令の算出を行ってもよい。例えば、統合コントローラ301が電流指令を算出してコイルコントローラ302に送信してもよい。この場合、コイルコントローラ302は、電流指令に基づいて、複数のコイル202の各々に指令値通りの電流が流れるようにする制御を行う。
次に、本実施形態における可動子101の初期位置推定方法について図4乃至図7を相互に参照しつつ説明する。図4は、本実施形態に係る搬送システム1における可動子101の初期位置推定方法を示すフローチャートである。図4におけるステップS101からステップS104は、初期位置推定を行うための事前準備の処理であり、搬送システム1の起動後に少なくとも1度実施される。事前準備の完了後、ステップS105からステップS107の初期位置推定の処理を行うことができる。なお、図4の処理は、上述の上位コントローラ300、統合コントローラ301、コイルコントローラ302及びセンサコントローラ303の1つ又は複数の協働により実行される。以下の説明では事前準備又は初期位置推定の処理を行うコントローラを具体的に特定せずに、単に制御システム30と呼ぶこともある。言い換えると、制御システム30は、可動子101の位置を推定する位置推定部として機能し得る。
搬送システム1の起動後等において、図4に示す処理が開始される。ステップS101において、制御システム30は、コイル固有情報が制御システム30内の記憶領域に既に登録済みであるか否かを判定する。この判定は、例えば、コイル固有情報が登録されていることを示すフラグを参照することにより行われる。コイル固有情報とは、可動子101が近傍にないときの複数のコイル202の各々のインダクタンス等の、複数のコイル202の各々に固有の情報である。ステップS101においてコイル固有情報が登録済みではないと判定された場合(ステップS101におけるNo)、処理はステップS102に移行する。ステップS101においてコイル固有情報が登録済みであると判定された場合(ステップS101におけるYes)、処理はステップS103に移行する。
ステップS102において、制御システム30は、コイル固有情報の登録を行う。コイル固有情報の登録処理及びコイル固有情報の具体例については後述する。
ステップS103において、制御システム30は、インダクタンス値変化パターンが制御システム30内の記憶領域に既に登録済みであるか否かを判定する。インダクタンス値変化パターンとは、可動子101とコイル202の位置関係を変化させたときのコイル202のインダクタンスの変化を示す情報である。この判定は、例えば、インダクタンス値変化パターンが登録されていることを示すフラグを参照することにより行われる。インダクタンス値変化パターンについては後述する。ステップS103においてインダクタンス値変化パターンが登録済みではないと判定された場合(ステップS103におけるNo)、処理はステップS104に移行する。ステップS103においてインダクタンス値変化パターンが登録済みであると判定された場合(ステップS103におけるYes)、処理はステップS105に移行する。
ステップS104において、制御システム30は、インダクタンス値変化パターンの登録を行う。インダクタンス値変化パターンの登録処理及びインダクタンス値変化パターンの具体例については後述する。
上述のステップS101からステップS104の事前準備について図5(a)及び図5(b)を用いてより詳細に説明する。図5(a)及び図5(b)は、上述の事前準備の処理を説明する概略図である。図5(a)は、図4のステップS102(コイル固有情報登録)について説明する図であり、図5(b)は、図4のステップS104(インダクタンス値変化パターン登録)について説明する図である。図5(a)及び図5(b)に示されているコイル202等の部材は、Z方向から見たものが図示されている。
まず、図5(a)を参照して、ステップS102(コイル固有情報登録)の処理について説明する。図5(a)に示すように、制御システム30は、可動子101を制御して、固定子201のコイル202の近傍に可動子101がない状態にする。そして、制御システム30は、複数のコイル202を制御して各々のインダクタンス値(図5における「L」)を測定し、コイル202の番号(図5における「Coil_No.」)と対応付けた形でコイル固有情報501として制御システム30内に登録する。なお、コイル固有情報501は、コイルコントローラ302内の記憶装置に記憶されていてもよく、統合コントローラ301内の記憶装置に記憶されていてもよい。
また、コイル固有情報501は、インダクタンス値の情報の他に、各コイル202のX位置情報(図5における「Pos」)も登録されている。本実施形態では、各コイル202のX位置の原点Ocは、固定子201の上流端としている。このように、コイル固有情報501は、可動子101がコイル202に近接していない状態に相当するコイル202のインダクタンスの基準値と、複数のコイル202の空間配置を示す配置情報とを含む。これらの情報は後述する処理において、可動子の位置の推定に用いられ得る。
また、本実施形態におけるインダクタンス値の測定方法は、各コイル202に正弦波状の交流電圧を印加して、その時にコイル202に流れる電流を計測し、逐次パラメータ推定法に基づいてコイル202のインダクタンス値を推定するものである。
逐次パラメータ推定法の具体例を説明する。コイル202を抵抗とインダクタの直列等価回路と仮定する。このとき、以下の式(1)乃至式(3)に基づいて逐次計算を繰り返す。誤差Verr[k]が所定の閾値以下となった時の推定抵抗Rest[k]と推定インダクタンスLest[k]を推定値とする。
Verr[k]=Vref[k]-Rest[k-1]*i[k]+Lest[k-1]*di/dt[k] ・・・(1)
Rest[k]=Rest[k-1]-α*i[k]*Verr[k] ・・・(2)
Lest[k]=Lest[k-1]-β*di/dt[k]*Verr[k] ・・・(3)
Verr[k]=Vref[k]-Rest[k-1]*i[k]+Lest[k-1]*di/dt[k] ・・・(1)
Rest[k]=Rest[k-1]-α*i[k]*Verr[k] ・・・(2)
Lest[k]=Lest[k-1]-β*di/dt[k]*Verr[k] ・・・(3)
ここで、[k]及び[k-1]が付された量は引数に対応した時点のデータを示す。Vrefは指令電圧、Verrは指令電圧と推定電圧との間の誤差、iは出力電流、α及びβは推定速度を決める係数である。また、コイル202に印加する交流電圧は、共振を避けるために、可動子101の固有振動数よりも高い周波数に設定されていることが望ましい。なお、可動子101の固有振動数は、固有値解析ソフト等を用いたシミュレーションにより求めてもよく、可動子101に対するハンマリング試験及び周波数応答解析といった手法により実験的に求めてもよい。
次に、図5(b)を参照して、ステップS104(インダクタンス値変化パターン登録)の処理について説明する。図5(b)に示すように、制御システム30は、可動子101の位置を所定のピッチで順次変えつつ、固定子201の所定のコイル202のインダクタンス値を測定する。そして、制御システム30は、測定したインダクタンス値を可動子101のX位置に紐づけて、インダクタンス値変化パターン502(第2パターン)として制御システム30内、例えば、統合コントローラ301に登録する。したがって、インダクタンス値変化パターン502は、搬送方向におけるインダクタンスの測定値の分布を示している。なお、インダクタンス値変化パターン502は、例えば、統合コントローラ301内の記憶装置に記憶される。
ここで、登録されるインダクタンス測定値は、実測のインダクタンス値と上述のコイル固有情報に含まれるインダクタンス値(基準値)との差分値であってもよい。この場合、固定子201に位置に応じたインダクタンス値の変化量を高精度に抽出することができる。以下の説明では、インダクタンス値変化パターン502は、この差分値、すなわち、インダクタンス値変化量であるものとする。
図5(b)のインダクタンス値変化パターン502に示されるように、コイル202に可動子101が対向していないX位置Aでは、インダクタンス値変化量は0付近である。コイル202にバックヨーク104が対向するX位置Bでは、インダクタンス値変化量はX位置Aに比べて大きい。更に、コイル202に永久磁石群102の永久磁石が対向するX位置Cでは、インダクタンス値変化量がB点に比べて小さく、永久磁石間の中点であるX位置Dではインダクタンス値変化量がX位置Cに比べて大きい。このように、インダクタンス値変化パターン502は、永久磁石群102の配置に応じた周期的な変化を示す。本実施形態では、このようなインダクタンス値変化パターン502の特性を利用して可動子101の初期位置推定を行う。
次に、再び図4を参照して、上述の事前準備の後に行われる、ステップS105からステップS107の初期位置推定について説明する。ステップS105において、制御システム30は、可動子101の初期位置が既に検出済みであり、初期位置情報が制御システム30内の記憶領域に既に登録済みであるか否かを判定する。この判定は、例えば、初期位置検出が既に行われていることを示すフラグを参照することにより行われる。ステップS105において初期位置が検出済みではないと判定された場合(ステップS105におけるNo)、処理はステップS106に移行する。ステップS105において初期位置が検出済みであると判定された場合(ステップS105におけるYes)、処理は終了する。
ステップS106において、制御システム30は、固定子201の複数のコイル202に順次正弦波状の交流電圧を印加して、複数のコイル202の各々のインダクタンス値を測定する制御を行う。ステップS107において、制御システム30は、測定されたインダクタンス値と、インダクタンス値変化パターンとのパターンマッチングにより、可動子101の初期位置を推定する処理を行う。
図6及び図7を用いてステップS105からステップS107の初期位置推定の処理をより詳細に説明する。図6及び図7は、図4のS107(パターンマッチングによる可動子位置推定)の処理を説明する概略図である。図6は、パターンマッチングの具体的な方法を説明する模式図であり、図7は、パターンマッチング時のマッチング誤差から初期位置を推定する手法を示すグラフである。
まず、ステップS106(コイルインダクタンス値測定)の処理により、複数のコイル202の各々のインダクタンス値の測定が行われる。図6において、複数のコイル202には、X方向に並ぶ順に沿って1から16までの番号jが付与されている。以下では、複数のコイル202の各々のインダクタンス測定値は、この番号jを付してL(j)と表記することがある。すなわち、インダクタンス測定値L(j)は、インダクタンスの測定値の搬送方向における分布を示すデータ(第1パターン)である。なお、以下の説明において、インダクタンス測定値は、ステップS106において実際に測定されたインダクタンス値と、上述のコイル固有情報に含まれている、可動子101がないときのインダクタンス値との差分値であるものとする。
次に、ステップS107(パターンマッチングによる可動子位置推定)について説明する。図6に示されているグラフにおいて、横軸は複数のコイル202の各々のX位置を示しており、縦軸は複数のコイル202の各々におけるインダクタンスの測定値(差分値)を示している。図6中の黒色の点は、ステップS106において測定されたコイル202のインダクタンス測定値L(j)を示しており、図6中の破線により示された曲線は、ステップS104において登録されたインダクタンス値変化パターン502を示している。
ステップS107の処理では、制御システム30は、所定のピッチでインダクタンス値変化パターン502のX位置をオフセットしつつ、各オフセット量Xにおいてインダクタンス値変化パターン502とインダクタンス測定値L(j)とを比較する。そして、インダクタンス値変化パターン502とインダクタンス測定値L(j)とが最も一致するオフセット量Xを探索する。
具体的には、図6において破線で示されている状態、すなわち、インダクタンス値変化パターン502の原点Oと固定子201の原点Ocを一致させた状態を探索開始位置とする。この探索開始位置から所定のピッチでインダクタンス値変化パターン502を図6における右方にオフセットする。ここで、制御システム30は、各オフセット量Xにおいて、インダクタンス値変化パターン502とインダクタンス測定値L(j)との差分を二乗して得られる誤差e(j,X)を以下の式(4)を用いて算出する。
e(j,X)=(P(Xcoil(j)+X)-L(j))^2 ・・・(4)
e(j,X)=(P(Xcoil(j)+X)-L(j))^2 ・・・(4)
ここで、P(x)はOを原点とした所定の位置xに対応するインダクタンス値変化パターン502の値であり、Xcoil(j)はOcを原点としたj番目のコイル202のX位置である。すなわち、原点Oと原点Ocのオフセット量がXのとき、j番目のコイル202のX位置に対応するインダクタンス値変化パターン502の値はP(Xcoil(j)+X)である。
次に、制御システム30は、インダクタンス値変化パターン502とインダクタンス測定値L(j)とが重複する範囲において、各コイル202における誤差e(j,X)を積算したマッチング誤差E(X)を、以下の式(5)を用いて算出する。
E(X)=Σ(e(j,X))/N ・・・(5)
E(X)=Σ(e(j,X))/N ・・・(5)
ここで、Nはインダクタンス値変化パターン502の範囲内にあるコイル202の数である。図6に示されている例では、インダクタンス値変化パターン502の範囲は、XaからXbの間である。例えば、図6に示されている破線の例においてオフセット量Xが0である場合、式(5)の演算に用いられるコイル202は1番目から6番目の6個(すなわち、N=6)である。したがって、式(5)の演算に用いられるインダクタンス測定値はL(1)からL(6)であり、式(5)の演算に用いられる誤差はe(1,0)からe(6,0)である。
このようにして、制御システム30は、インダクタンス値変化パターン502を所定のピッチでオフセットしつつ、各オフセット量Xにおけるマッチング誤差E(X)を算出する。
図7のグラフは、各オフセット量Xにおけるマッチング誤差E(X)の例を示している。図7の横軸はオフセット量Xを示しており、図7の縦軸はマッチング誤差E(X)を示している。図7中の破線の円で示す箇所は、マッチング誤差E(X)が最小値となる点である。本処理では、マッチング誤差E(X)を最小にするオフセット量Xが、可動子101の推定位置Xestであると算出される。このような処理によりマッチングを行うことにより、可動子101の位置を推定することができる。
上述のように、本実施形態の搬送システム1は、複数のコイル202のインダクタンスを測定し、この測定値に基づいて可動子101の初期位置を推定することができる。そのため、特許文献1のような可動子101を移動させる処理を要せずに初期位置の推定を行うことができる。したがって、本実施形態によれば、可動子101の位置の検出時における可動子101の移動量を低減し得る搬送システム1が提供される。
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る搬送システム1について図8乃至図10(c)を用いて説明する。本実施形態において、第1実施形態と相違する点は搬送システム1の制御方法であり、搬送システム1の装置構成は第1実施形態と共通であるため、説明を省略する。
次に、第2実施形態に係る搬送システム1について図8乃至図10(c)を用いて説明する。本実施形態において、第1実施形態と相違する点は搬送システム1の制御方法であり、搬送システム1の装置構成は第1実施形態と共通であるため、説明を省略する。
図8は、本実施形態に係る搬送システム1における可動子101の初期位置推定方法を示すフローチャートである。図8におけるステップS101、S102は、初期位置推定を行うための事前準備の処理であり、搬送システム1の起動後に少なくとも1度実施される。事前準備の完了後、ステップS105、S106、S201、S202の初期位置推定の処理を行うことができる。ここで、ステップS101、S102、S105、S106の処理は、第1実施形態と同様であるため説明を省略する。
本実施形態においては、ステップS106の処理の後に、第1実施形態のステップS17の処理に代えてステップS201、S202の処理が行われる。ステップS201において、制御システム30は、測定されたインダクタンス値と閾値とを比較することにより、可動子101の初期位置を推定する処理を行う。ステップS202において、制御システム30は、測定されたインダクタンス値の空間周波数解析を行うことにより、可動子101の位相を推定する処理を行う。なお、本実施形態においても、インダクタンス測定値は、ステップS106において実際に測定されたインダクタンス値と、コイル固有情報に含まれている、可動子101がないときのインダクタンス値との差分値であるものとする。
まず、図9(a)、図9(b)、図10(a)、図10(b)及び図10(c)を用いてステップS201及びステップS202の処理をより詳細に説明する。図9(a)及び図9(b)は、図8のステップS201(閾値判定による可動子位置推定)の処理を説明する概略図である。図10(a)、図10(b)及び図10(c)は、図8のS202(空間周波数解析による可動子位相推定)を説明する概略図である。
まず、図9(a)及び図9(b)を参照して、ステップS201(閾値判定による可動子位置推定)について説明する。図9(a)に示されているグラフにおいて、横軸は複数のコイル202の各々のX位置を示しており、縦軸は、複数のコイル202の各々におけるインダクタンスの測定値(差分値)を示している。図9(a)中の黒色の点は、ステップS106において測定されたコイル202のインダクタンス測定値L(j)を示しており、図9(a)中の一点鎖線は、可動子101の有無の判定に用いられる閾値を示している。なお、図9(a)中に破線で示されている曲線は、可動子101と対向しているコイル202のインダクタンス測定値をよりわかり易くするために、第1実施形態で説明したインダクタンス値変化パターン502を示すものである。しかしながら、本実施形態においては、インダクタンス値変化パターン502は処理に用いられなくてもよい。
図9(a)に示すように、ステップS201においては、制御システム30は、各コイル202のインダクタンス測定値L(j)が所定の閾値以上であるX位置の推定範囲を求め、その範囲の中点を可動子101の推定位置X’とする。より具体的には、図9(a)においては、6番目から14番目のコイル202のインダクタンス測定値である、L(6)からL(14)が閾値以上である。したがって、Ocを原点としたj番目のコイル202のX位置をXcoil(j)とした場合、インダクタンス測定値L(j)が所定の閾値以上となる範囲は、Xcoil(6)からXcoil(14)の間である。その範囲の中点である推定位置X’は以下の式(6)で算出される。
X’=(Xcoil(14)+Xcoil(6))/2 ・・・(6)
X’=(Xcoil(14)+Xcoil(6))/2 ・・・(6)
図9(a)に示す推定手法を用いることにより、比較的簡易な判定処理によって可動子101の推定位置X’を推定することができる。しかしながら、閾値を用いた判定手法はこれに限定されるものではなく、状況に応じて他の手法も用いられ得る。図9(b)を参照しつつステップS201の処理の変形例を説明する。
図9(a)のインダクタンス測定値L(6)の例は、6番目のコイル202に可動子101が対向する際に、コイル202から出た磁束が透磁率の大きいバックヨーク104を通ることにより、インダクタンス測定値が大きくなることを示している。しかしながら、コイル202に可動子101が対向した状態で高周波電流を流すと、バックヨーク104で渦電流が発生してインダクタンス値が小さくなる現象も発生する場合がある。したがって、実際には、コイル202を流れる電流の周波数、コイル202とバックヨーク104の間の距離等の条件によっては、可動子101が接近するときにインダクタンス値が可動子101がないときよりも小さくなる場合も考えられる。そこで、図9(b)の例では、インダクタンス値の変化が大きいエリアを検出するために、隣接するコイル202間のインダクタンス値の変化量と閾値とを比較して判定を行う。
図9(b)は、図9(a)の縦軸をj番目のコイル202とその1つ前(j-1番目)のコイル202の差の絶対値である変化量D(j)に置き換えたグラフである。変化量D(j)は、以下の式(7)で定義される。図9(b)中の一点鎖線は変化量に対する可動子101の有無の判定に用いられる閾値を示している。また、変化量D(j)に対応するOcを原点としたX位置D_x(j)は、j番目のコイル202とj-1番目のコイル202との中点の位置とする。
D(j)=|L(j)-L(j-1)| ・・・(7)
D(j)=|L(j)-L(j-1)| ・・・(7)
図9(b)に示すように、本変形例のステップS201においては、制御システム30は、各コイル202の変化量D(j)が所定の閾値以上となる範囲を求め、その範囲の中点を可動子101の推定位置X’とする。より具体的には、図9(b)においては、6番目から15番目のコイル202のインダクタンス測定値に基づく、変化量D(6)からD(15)が閾値以上である。したがって、変化量D(j)が所定の閾値以上となる範囲は、D_x(6)からD_x(15)の間である。その範囲の中点である推定位置X’は以下の式(8)で算出される。
X’=(D_x(15)+D_x(6))/2 ・・・(8)
X’=(D_x(15)+D_x(6))/2 ・・・(8)
図9(b)に示す推定手法を用いることにより、可動子101が接近するときにインダクタンス値が可動子101がないときよりも小さくなる場合であっても、可動子101の推定位置X’を推定することができる。
なお、可動子101がコイル202に近接したときにインダクタンス測定値L(j)が小さくなることがあらかじめわかっている場合もある。このような場合には、図9(a)の推定範囲の判定において、判定条件をインダクタンス測定値L(j)が所定の閾値以下であるというものに変形してもよい。
次に、図10(a)、図10(b)及び図10(c)を参照して、ステップS202(空間周波数解析による可動子位相推定)について説明する。上述のステップS201の処理で算出される可動子101の推定位置X’は、コイル202のX位置に基づいて算出されるものであるため、最大でコイルピッチ分の誤差が生じる可能性がある。そこで、制御システム30は、ステップS202の処理を行うことにより、可動子101の位相を算出して、より詳細に可動子101の位置を推定する。
図10(a)及び図10(b)は、インダクタンス測定値L(j)についての空間周波数の解析結果の例を示している。図10(a)は振幅スペクトルを示すグラフであり、図10(b)は位相特性を示すグラフである。図10(c)は本実施形態におけるコイル間隔CoilPitchと磁石間隔MagPitchを説明する概略図である。
なお、本実施形態における空間周波数解析は、例えば、インダクタンス測定値L(j)の数値データに対して離散フーリエ変換、高速フーリエ変換等の演算処理を行うものであり得る。これにより、空間ドメインから空間周波数ドメインに数値データが変換され、振幅スペクトルと位相特性を算出することができる。
第1実施形態において述べたように、インダクタンス値の変化は永久磁石群102の配置に依存する。永久磁石群102に含まれる各永久磁石は等間隔で配置されているため、図10(a)に示すように、永久磁石の配置に対応する空間周波数fmag(第2空間周波数)において、振幅スペクトルのピークが現れる。
また、空間周波数解析におけるサンプリング周波数fs(第1空間周波数)は複数のコイル202の間隔によって決まる。本実施形態では、図10(c)に示すように永久磁石群102の配置間隔MagPitchと複数のコイル202の配置間隔CoilPitchが3:2の関係であるものとする。また、ナイキスト周波数をfnとすると、ナイキスト周波数fnはサンプリング周波数fsの1/2である。したがって、ナイキスト周波数fsと空間周波数fmagの関係は、以下の式(9)のようになる。すなわち、これらの関係はサンプリング定理を満たさないものであるため、図10(a)に示すようにエイリアシングが発生する。
fn=1/2*fs<fmag ・・・(9)
fn=1/2*fs<fmag ・・・(9)
本処理では、ナイキスト周波数fnと永久磁石配置の空間周波数fmagが既知であるため、これらに基づいて折り返し後のエイリアスの空間周波数fmag’(第3空間周波数)を算出することができる。したがって、図10(b)に示すように空間周波数fmag’における位相特性から可動子101の推定位相φを算出することができる。
なお、図10(c)に示す例では永久磁石群102の配置間隔MagPitchとコイル202の配置間隔CoilPitchがサンプリング定理を満たさないような関係であるが、サンプリング定理を満たすような関係であってもよい。例えば、図10(c)の構成よりも複数のコイル202の間隔を十分に狭くすることで、サンプリング定理が満たされ得る。その場合には、エイリアシングを考慮せずに永久磁石配置の空間周波数fmagにおいて推定位相φを算出すればよい。
これらの関係を整理すると以下のことが言える。コイル202のピッチに対応するサンプリング周波数fsが磁石のピッチに対応する空間周波数fmagの2倍未満である場合には、空間周波数fmag’における位相特性から可動子101の推定位相φを算出することができる。他方、コイル202のピッチに対応するサンプリング周波数fsが磁石のピッチに対応する空間周波数fmagの2倍以上である場合には、空間周波数fmagにおける位相特性から可動子101の推定位相φを算出することができる。
この推定位相φを用いてステップS201で算出された可動子101のおおよその推定位置X’に対して、推定位相φを用いた補正を行うことにより、可動子101の位置をより精度良く算出することができる。具体的には、以下の式(10)により可動子101の推定位置Xestを算出することができる。なお、φ0は、可動子101が原点Ocにある場合の基準位相である。
Xest=X’+(φ-φ0)/(2πfmag’) ・・・(10)
Xest=X’+(φ-φ0)/(2πfmag’) ・・・(10)
以上のように、本実施形態によれば、第1実施形態と同様の理由により、可動子101の位置の検出時における可動子101の移動量を低減し得る搬送システム1が提供される。
[第3実施形態]
図11は、本実施形態に係る加工システム2の構成を示すブロック図である。図11に示す加工システム2は、上述の第1又は第2実施形態に係る搬送システム1を有する装置である。すなわち、本実施形態に係る加工システム2は、上述の第1又は第2実施形態に係る搬送システム1が適用され得る装置の一例である。
図11は、本実施形態に係る加工システム2の構成を示すブロック図である。図11に示す加工システム2は、上述の第1又は第2実施形態に係る搬送システム1を有する装置である。すなわち、本実施形態に係る加工システム2は、上述の第1又は第2実施形態に係る搬送システム1が適用され得る装置の一例である。
加工システム2は、第1又は第2実施形態に係る搬送システム1と、加工装置20とを有している。搬送システム1は、第1又は第2実施形態で述べた可動子101、固定子201等を有する搬送装置10と、第1又は第2実施形態で述べた制御システム30とを有している。搬送装置10は、制御システム30により制御される。
加工装置20は、ワーク110に加工を施すことにより物品を製造する装置である。加工装置20の用途は、特に限定されるものではないが、例えば、工業製品の組立装置、基板上に薄膜を形成する成膜装置、フォトリソグラフィー用の露光装置等であり得る。搬送システム1は、部品、半製品、半導体基板等のワーク110を加工装置20に搬送する装置である。ワーク110は、可動子101により加工装置20内に搬送される。加工装置20はワーク110に対して加工を施す。なお、加工システム2内に複数の加工装置20が設けられていてもよく、その場合、搬送システム1は、複数の加工装置20間でワーク110の搬送を行うものであってもよい。
本実施形態によれば、上述の第1又は第2実施形態に係る搬送システム1が適用された加工システム2が提供される。
なお、加工システム2の構成は例示であり、加工システム2の構成は適宜変更可能である。例えば、制御システム30が加工システム2全体の制御を行ってもよい。その場合、加工装置20は制御システム30によって制御される。
[その他の実施形態]
なお、上述の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。上述の説明におけるハードウェア構成、ソフトウェア構成、処理フロー、寸法、形状等は、本発明の範囲を限定する趣旨のものではない。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を、他の実施形態に追加した実施形態、あるいは他の実施形態の一部の構成と置換した実施形態も本発明を適用し得る実施形態であると理解されるべきである。
なお、上述の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。上述の説明におけるハードウェア構成、ソフトウェア構成、処理フロー、寸法、形状等は、本発明の範囲を限定する趣旨のものではない。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を、他の実施形態に追加した実施形態、あるいは他の実施形態の一部の構成と置換した実施形態も本発明を適用し得る実施形態であると理解されるべきである。
上述の実施形態においては、主に搬送システム1に含まれる可動子101の数が1つである例を示しているが、可動子101の個数は複数であってもよい。この場合、複数の可動子101が近接して配置され得る。この状態で特許文献1のように可動子101を移動させる処理を要する初期位置の推定手法を適用すると、複数の可動子101同士が干渉する可能性がある。上述の実施形態では、可動子101の位置の検出時における可動子101の移動量を低減することができるため、複数の可動子101同士が干渉する可能性を低減することができる。したがって、上述の実施形態の構成は、搬送システム1に含まれる可動子101の数が複数である場合においても好適に用いられ得る。
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
1 搬送システム
30 制御システム
101 可動子
102 永久磁石群
201 固定子
202 コイル
30 制御システム
101 可動子
102 永久磁石群
201 固定子
202 コイル
Claims (20)
- 搬送方向に沿って所定の間隔で配され、各々に流れる電流を独立に制御可能な複数のコイルと、
前記搬送方向に沿って所定の間隔で配された複数の磁石よりなる磁石群を備え、前記複数のコイルと前記磁石群との間に生じる磁力に応じて前記搬送方向に移動する可動子と、
前記複数のコイルの各々のインダクタンスの測定値に基づいて前記可動子の位置を推定する位置推定部と、
を有することを特徴とする搬送システム。 - 前記位置推定部は、前記可動子が近接していない状態に相当する前記複数のコイルの各々のインダクタンスの基準値に更に基づいて前記可動子の位置を推定する
ことを特徴とする請求項1に記載の搬送システム。 - 前記位置推定部は、前記複数のコイルの各々のインダクタンスの前記測定値と前記基準値との差に基づいて前記可動子の位置を推定する
ことを特徴とする請求項2に記載の搬送システム。 - 前記位置推定部は、前記複数のコイルの前記搬送方向における配置を示す配置情報に更に基づいて前記可動子の位置を推定する
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の搬送システム。 - 前記位置推定部は、前記複数のコイルの各々のインダクタンスの測定値の前記搬送方向における分布を示す第1パターンに更に基づいて前記可動子の位置を推定する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の搬送システム。 - 前記位置推定部は、前記第1パターンと、前記複数のコイルのうちの1つのコイルに対する前記可動子の位置関係を変化させたときの前記1つのコイルにおけるインダクタンスの変化を示す第2パターンと、に基づいて前記可動子の位置を推定する
ことを特徴とする請求項5に記載の搬送システム。 - 前記位置推定部は、前記第1パターンと前記第2パターンのマッチング誤差が最小になるように前記可動子の位置を推定する
ことを特徴とする請求項6に記載の搬送システム。 - 前記位置推定部は、前記第1パターンにおいて、インダクタンスが所定の閾値以上である範囲を前記可動子の推定範囲とする
ことを特徴とする請求項5に記載の搬送システム。 - 前記位置推定部は、前記第1パターンにおいて、インダクタンスが所定の閾値以下である範囲を前記可動子の推定範囲とする
ことを特徴とする請求項5に記載の搬送システム。 - 前記位置推定部は、前記第1パターンにおいて、前記搬送方向において隣接するコイル間のインダクタンスの差分が所定の閾値以上である範囲を前記可動子の推定範囲とする
ことを特徴とする請求項5に記載の搬送システム。 - 前記位置推定部は、前記推定範囲の中点を前記可動子の位置と推定する
ことを特徴とする請求項8乃至10のいずれか1項に記載の搬送システム。 - 前記位置推定部は、前記第1パターンを空間周波数ドメインに変換して得られた位相に更に基づいて前記可動子の位置を推定する
ことを特徴とする請求項8乃至11のいずれか1項に記載の搬送システム。 - 前記複数のコイルの間隔に対応する第1空間周波数は、前記複数の磁石の間隔に対応する第2空間周波数の2倍未満であり、
前記位置推定部は、前記第2空間周波数のエイリアスである第3空間周波数における位相に基づいて前記可動子の位置を推定する
ことを特徴とする請求項12に記載の搬送システム。 - 前記複数のコイルの間隔に対応する第1空間周波数は、前記複数の磁石の間隔に対応する第2空間周波数の2倍以上であり、
前記位置推定部は、前記第2空間周波数における位相に基づいて前記可動子の位置を推定する
ことを特徴とする請求項12に記載の搬送システム。 - 複数の前記可動子を有する
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか1項に記載の搬送システム。 - 請求項1乃至15のいずれか1項に記載の搬送システムと、
前記可動子により搬送されるワークに対して加工を施す加工装置と、
を有することを特徴とする加工システム。 - 請求項16に記載の加工システムを用いて物品を製造する製造方法であって、
前記可動子により前記ワークを搬送する工程と、
前記可動子により搬送された前記ワークに対して前記加工装置により前記加工を施す工程と、
を有することを特徴とする製造方法。 - 搬送方向に沿って所定の間隔で配され、各々に流れる電流を独立に制御可能な複数のコイルと、
前記搬送方向に沿って所定の間隔で配された複数の磁石よりなる磁石群を備え、前記複数のコイルと前記磁石群との間に生じる磁力に応じて前記搬送方向に移動する可動子と、
を有する搬送システムの制御方法であって、
前記複数のコイルの各々のインダクタンスの測定値に基づいて前記可動子の位置を推定するステップ
を有することを特徴とする制御方法。 - コンピュータに請求項18に記載の制御方法を実行させるためのプログラム。
- コンピュータに請求項18に記載の制御方法を実行させるためのプログラムを記憶する記憶媒体。
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