JP2022095486A - 拡散性採光板および建築物 - Google Patents

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崇人 森井
Takahito Morii
克彰 高橋
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【課題】光拡散性を発揮しつつ、優れた耐火性および強度を備えた拡散性採光板、および、かかる拡散性採光板を備え信頼性に優れた建築物を提示すること。【解決手段】本発明の拡散性採光板100は、入射面から入射された入射光を出射面から拡散された出射光として出射させるものであり、平板状をなす樹脂基材40、および、この樹脂基材40の一方の面側に積層され、一方の面側の表面に凹凸パターンを備える硬化型樹脂層50(樹脂層)を有する異方性拡散板10(拡散板)と、樹脂基材40の他方の面側に配置された、平板状をなす第1補強基材21と、樹脂基材40と第1補強基材21との間に配置された、第1境界層(第1粘着層31)を備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、拡散性採光板および建築物に関する。
住宅、事務所、製造工場、店舗、宿泊施設、学校、集会場、図書館、駅舎、劇場、車庫、倉庫、病院、競技場および空港等の建築物における屋根や壁部が備える採光窓に、採光板として、このものを介した建築物内への採光効率の向上を図ることを目的に、拡散性を有する拡散性採光板を設けることが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
この拡散性採光板として、例えば、特許文献2に記載のような、液晶表示装置が備える、平板状をなす樹脂基材と、出射面側の表面に凹凸パターンが設けられた樹脂層とを有する拡散板を用いることが考えられる。
しかしながら、この拡散板では、樹脂基材と樹脂層とが共に樹脂材料で構成される。そのため、採光窓が備える採光板として用いるには、優れた耐火性および強度を必要とするという問題があった。
特開2006-317846号公報 特開2011-213051号公報
本発明の目的は、光拡散性を発揮しつつ、優れた耐火性および強度を備えた拡散性採光板、および、かかる拡散性採光板を備え信頼性に優れた建築物を提示することにある。
このような目的は、下記(1)~(12)に記載の本発明により達成される。
(1) 入射面から入射された入射光を出射面から拡散された出射光として出射させる拡散性採光板であって、
平板状をなす樹脂基材、および、該樹脂基材の一方の面側に積層され、前記一方の面側の表面に凹凸パターンを備える樹脂層を有する拡散板と、
前記樹脂基材の他方の面側に配置された、平板状をなす第1補強基材と、
前記樹脂基材と前記第1補強基材との間に配置された第1境界層とを備えることを特徴とする拡散性採光板。
(2) 前記樹脂基材と、前記第1境界層との屈折率差は、0.8以下である上記(1)に記載の拡散性採光板。
(3) 前記第1境界層は、その屈折率が1.0以上1.8以下である上記(1)または(2)に記載の拡散性採光板。
(4) 前記第1補強基材と、前記第1境界層との屈折率差は、0以上0.8以下である上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の拡散性採光板。
(5) 前記第1補強基材は、ガラス基材または透明樹脂基材である上記(1)ないし(4)のいずれかに記載の拡散性採光板。
(6) 前記ガラス基材は、透明ガラス、網入りガラス、型板ガラス、網入り型板ガラス、すりガラス、強化ガラス、複層ガラス、合わせガラスまたはLow-Eガラスである上記(5)に記載の拡散性採光板。
(7) 前記透明樹脂基材は、ポリカーボネート系樹脂を主材料として構成される上記(5)に記載の拡散性採光板。
(8) 前記樹脂基材は、ポリカーボネート系樹脂を主材料として構成される上記(1)ないし(7)のいずれかに記載の拡散性採光板。
(9) 前記樹脂層は、前後方向に沿った前記凹凸パターンを備え、これにより、前記出射光を出射させる際に、左右方向の光拡散能と前記前後方向の光拡散能とが異なるよう構成されている上記(1)ないし(8)のいずれかに記載の拡散性採光板。
(10) 前記入射面に対して垂直に3mmΦの大きさの前記入射光を光源から入射させ、前記出射光の前記左右方向の拡散光分布と前記前後方向の拡散光分布とを輝度計で評価し、
前記入射光の光軸が通る中心における中心輝度値に対して半分の輝度値となる半分輝度値を示す位置の前記中心からの距離の2倍を半値長さとし、前記左右方向の半値長さをMD[mm]、前記前後方向の半値長さをTD[mm]としたとき、比率(MD/TD)は、1.4以上10.0未満の異方性拡散を示す領域を有する上記(9)に記載の拡散性採光板。
(11) 前記3mmΦの大きさの前記入射光に対する前記出射光の全光線透過率は、70%以上99%以下である上記(1)ないし(10)のいずれかに記載の拡散性採光板。
(12) 上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の拡散性採光板を備えることを特徴とする建築物。
本発明によれば、拡散性採光板に、光拡散性を発揮させつつ、拡散性採光板を、優れた耐火性および強度を備えるものとすることができる。その結果、この拡散性採光板を備える建築物は、優れた信頼性を有する。
本発明の拡散性採光板の第1実施形態を示す縦断面図である。 図1に示す拡散性採光板が備える異方性拡散板の実施形態を示す斜視図である。 図2に示す異方性拡散板のA部を拡大して示す部分拡大縦断面図である。 本発明の拡散性採光板の第2実施形態を示す縦断面図である。 本発明の拡散性採光板の第3実施形態を示す縦断面図である。
以下、本発明の拡散性採光板および建築物を添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
本発明の拡散性採光板は、入射面から入射された入射光を出射面から拡散された出射光として出射させるものであり、平板状をなす樹脂基材、および、該樹脂基材の一方の面側に積層され、前記一方の面側の表面に凹凸パターンを備える樹脂層を有する拡散板と、前記樹脂基材の他方の面側に配置された、平板状をなす第1補強基材と、前記樹脂基材と前記第1補強基材との間に配置された第1境界層とを備えることを特徴とする。
拡散性採光板をかかる構成をなすものとすることで、拡散性採光板に、光拡散性を発揮させつつ、拡散性採光板を、十分な耐火性および強度を備えるものとすることができる。その結果、住宅、事務所、製造工場、店舗、宿泊施設、学校、集会場、図書館、駅舎、劇場、車庫、倉庫、病院、競技場および空港等の建築物における屋根や壁部が備える採光窓に、採光板として、この拡散性採光板を用いることで、建築物を、優れた信頼性を有するものとすることができる。
以下、この拡散性採光板について詳述するが、以下では、拡散性採光板が備える拡散板において、樹脂基材側を入射面側とし、樹脂層側を出射面側として、すなわち、拡散板に対して、第1補強基材側を入射面側とし、第1補強基材と反対側を出射面側として説明する。
<拡散性採光板>
<<第1実施形態>>
図1は、本発明の拡散性採光板の第1実施形態を示す縦断面図、図2は、図1に示す拡散性採光板が備える異方性拡散板の実施形態を示す斜視図、図3は、図2に示す異方性拡散板のA部を拡大して示す部分拡大縦断面図である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」、下側を「下」と言う。また、図2、図3中のX方向を「左右方向」、Y方向を「前後方向」、Z方向を「上下方向」と言う。また、使用する図面(図1~図3および以下で示す図を含む)は、説明する部分が認識可能な状態となるように、適宜拡大または縮小して表示している。
拡散性採光板100は、図1に示すように、本実施形態では、建築物の外側からの光を建築物内に採光する際に、この光を拡散させることで、建築物内への採光効率の向上を図る異方性拡散板10と、異方性拡散板10の入射面側(建築物の外側)に配置された、平板状をなす第1補強基材21と、異方性拡散板10と第1補強基材21との間に配置された第1粘着層31と、異方性拡散板10の出射面側(建築物の内側)に配置された、平板状をなす第2補強基材22と、異方性拡散板10と第2補強基材22との間に配置された第2粘着層32とを備えている。以下、拡散性採光板100を構成する各部について、説明する。
異方性拡散板10は、建築物の外側からの光を建築物内に採光する際に、この光を拡散させることで、建築物内への採光効率の向上を図るために、拡散性採光板100が備えており、本実施形態では、光を拡散させる際に、左右方向の光拡散能と、上下方向の光拡散能とが異なる異方性を示して拡散させるものである。
異方性拡散板10は、図2、図3に示すように、平面視において長方形状の平板をなし、建築物の外側の入射面41および建築物の内側の出射面51が、それぞれ、平坦面および凹凸面で構成されている。そして、入射面41側に位置する樹脂基材40と、出射面51側に位置し、樹脂基材40に積層された硬化型樹脂層50とを有する積層体で構成されている。
この異方性拡散板10において、異方性拡散板10すなわち硬化型樹脂層50の出射面51が凹凸面(凹凸パターン)で構成され、さらに、異方性拡散板10を構成する、樹脂基材40および硬化型樹脂層50が、ともに透明性を有する樹脂材料で構成されている。以下、これら樹脂基材40および硬化型樹脂層50について、順次、説明する。
樹脂基材40は、硬化型樹脂層50を支持する機能を有するとともに、加熱により左右方向に収縮し、かつ、前後方向に延伸する機能を有している。かかる機能により、硬化型樹脂層50の出射面51を、異方性を示す凹凸面(凹凸パターン)で構成させることができる。
この樹脂基材40は、熱可塑性を有する透明樹脂(ベース樹脂)を主材料として含有し、これにより、樹脂基材40に、前記機能が付与されている。
この透明樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリアセタール系樹脂等の透明性を備える樹脂が挙げられ、これらのうち1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、特に、ポリカーボネート系樹脂であるのが好ましい。ポリカーボネート系樹脂は、透明性(透光性)や剛性等の機械的強度に富み、さらに耐熱性も高いため、透明樹脂にポリカーボネート系樹脂を用いることで、樹脂基材40における透明性や樹脂基材40の耐衝撃性、耐熱性を向上させることができる。また、ポリカーボネート系樹脂は、伸縮性に優れる透明性樹脂であることから、加熱により左右方向に収縮し、かつ、前後方向に延伸し得る機能を、確実に樹脂基材40に付与することができる。
このポリカーボネート系樹脂としては、各種の樹脂を用いることができるが、中でも、芳香族系ポリカーボネート系樹脂であることが好ましい。芳香族系ポリカーボネート系樹脂は、その主鎖に芳香族環を備えており、これにより、より優れた強度を有する樹脂基材40を得ることができる。
この芳香族系ポリカーボネート系樹脂は、例えば、ビスフェノールとホスゲンとの界面重縮合反応、ビスフェノールとジフェニルカーボネートとのエステル交換反応等により合成される。
ビスフェノールとしては、例えば、ビスフェノールAや、下記式(1)に示すポリカーボネートの繰り返し単位の起源となるビスフェノール(変性ビスフェノール)等が挙げられる。
Figure 2022095486000002
(式(1)中、Xは、炭素数1~18のアルキル基、芳香族基または環状脂肪族基であり、RaおよびRbは、それぞれ独立して、炭素数1~12のアルキル基であり、mおよびnは、それぞれ0~4の整数であり、pは、繰り返し単位の数である。)
なお、前記式(1)に示すポリカーボネートの繰り返し単位の起源となるビスフェノールとしては、具体的には、例えば4,4’-(ペンタン-2,2-ジイル)ジフェノール、4,4’-(ペンタン-3,3-ジイル)ジフェノール、4,4’-(ブタン-2,2-ジイル)ジフェノール、1,1’-(シクロヘキサンジイル)ジフェノール、2-シクロヘキシル-1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、2,3-ビスシクロヘキシル-1,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ベンゼン、1,1’-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン、2,2’-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)プロパン等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
特に、ポリカーボネート系樹脂としては、ビスフェノールに由来する骨格を有するビスフェノール型ポリカーボネート系樹脂を主成分とするのが好ましい。かかるビスフェノール型ポリカーボネート系樹脂を用いることにより、樹脂基材40は、さらに優れた強度を発揮する。
また、樹脂基材40には、さらに、蛍光増白剤が含まれていてもよい。樹脂基材40を蛍光増白剤が含まれる構成とすることで、異方性拡散板10により、建築物の外側からの入射光を建築物の内側に出射光として出射させる際に、白色系の光(出射光)をより確実に出射させることができる。
具体的には、樹脂基材40に蛍光増白剤が含まれることで、異方性拡散板10が設けられた面発光光源は、そのxy色度図において、0.28≦x≦0.40、かつ、0.28≦y≦0.40の関係を満足する光を出射することが好ましく、0.30≦x≦0.36、かつ、0.30≦y≦0.36の関係を満足する光を出射することがより好ましい。これにより、異方性拡散板10は、建築物の外側からの光を建築物の内側に、確実に白色系の光として出射させることができる。
この蛍光増白剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾフェノン型、ベンゾトリアゾール型、ヒドロキシフェニルトリアジン型およびベンゾオキザゾリルチオフェン型の化合物が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、中でも、ベンゾオキザゾリルチオフェン型であることが好ましい。これにより、xy色度図において、比較的容易に前記関係を満足するxおよびyとすることができる。
また、樹脂基材40における蛍光増白剤の含有量は、好ましくは0.001重量%以上0.07重量%以下、より好ましくは0.003重量%以上0.01重量%以下に設定される。これにより、xy色度図において、容易に前記関係を満足するxおよびyとすることができる。
また、樹脂基材40には、建築物の外側からの光(入射光)が、異方性拡散板10を透過して建築物の内側に、出射光として出射される際に、この出射光を等方的に拡散させる光拡散剤が含まれていてもよい。
このような光拡散剤は、粒子状をなし、透明樹脂に対して屈折率差を有する化合物であれば、いかなる構成材料で構成される化合物であってもよいが、この構成材料としては、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウムカリウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、二酸化ケイ素、酸化チタン、フッ化カルシウム、フッ化カリウムのような無機系材料、シリコーン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルニトリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、オレフィン系樹脂のような有機系材料(樹脂系材料)が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができるが、中でも、ポリオルガノシロキサン骨格を有するシリコーン系樹脂であることが好ましい。構成材料としてシリコーン系樹脂(シリコーン系材料)を用いることで、前記屈折率差を有する光拡散剤を、比較的容易に形成することができる。
シリコーン系樹脂は、RSiO0.5(Rは一価の有機基)で表される1官能性シロキサン単位(M単位)、RSiO1.0で表される2官能性シロキサン単位(D単位)、RSiO1.5で表される3官能性シロキサン単位(T単位)、およびSiO2.0で表される4官能性シロキサン単位(Q単位)のうちの少なくとも1種(ただし、Q単位単独で構成される樹脂を除く)を主成分とするポリオルガノシロキサン骨格を有する樹脂である。そして、これらM単位、D単位、T単位およびQ単位の組み合わせを適宜選択することにより、透明樹脂に対して屈折率差を有する光拡散剤を容易に形成することができる。
また、各単位中における有機基Rとしては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、デシル基、ドデシル基のような炭素原子数が1~20のアルキル基、シクロヘキシル基のような環状アルキル基、フェニル基、キシリル基のようなアリール基、フェニルエチル基のようなアラルキル基等が挙げられる。
さらに、光拡散剤の平均粒径は、好ましくは1.0μm以上5.0μm以下、より好ましくは1.5μm以上3.0μm以下に設定される。
また、光拡散剤を含む場合、光拡散剤の樹脂基材40における含有量は、好ましくは0.1重量%以上10重量%以下、より好ましくは1.0重量%以上5.0重量%以下に設定される。
樹脂基材40は、必要に応じて、上述した、透明樹脂、蛍光増白剤および光拡散剤の他に、さらに、酸化防止剤、フィラー、可塑剤、光安定剤、紫外線吸収剤、熱線吸収剤、難燃剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
以上のような構成をなす樹脂基材40は、加熱により左右方向(X方向)に収縮し、かつ、前後方向(Y方向)に延伸する機能を有するが、前後方向に対する伸び率が2%以上40%以下の範囲内で延伸されていることが好ましく、10%以上25%以下の範囲内で延伸されていることがより好ましい。前記伸び率を前記範囲内に設定することにより、硬化型樹脂層50の出射面51を、後述する比率(MD/TD)が1.4以上10.0未満の異方性を示す凹凸面(凹凸パターン)で、比較的容易に構成させることができる。
樹脂基材40は、その平均厚さが好ましくは0.05mm以上1.0mm以下程度、好ましくは0.1mm以上0.5mm以下程度に設定される。樹脂基材40の平均厚さがかかる範囲内に設定されることで、異方性拡散板10の薄型化を図りつつ、拡散性採光板100において、異方性拡散板10に撓みが生じるのを的確に抑制または防止することができる。そのため、異方性拡散板10に、その全体に亘って、より均一な異方性をもった光拡散性および光透過性を付与することができる。
硬化型樹脂層50は、図2、図3に示すように、樹脂基材40の入射面41と反対側に積層され、放射線の照射により硬化する層であり、出射面51(出射面51側の表面)に、凸部における稜線が前後方向に沿った、全体形状が波状をなす凹凸パターンを備えている。
この硬化型樹脂層50は、出射面51に前後方向に延在する、左右方向における断面形状がそれぞれ波状をなす、複数の凹部と凸部とが交互に繰り返して形成された凹凸パターンを備えることで、出射面51から建築物の内側に出射される光の拡散性が異方性を示す。
このような硬化型樹脂層50は、放射線の照射により硬化する樹脂組成物を主材料として含有する。これにより、微細な形状をなす、前記凹凸パターンを有する出射面51を確実に形成することができる。そのため、出射面51から建築物の内側に出射される光の拡散性を、確実に異方性を示すものとすることができる。また、後述する、出射面51の比率(MD/TD)の大きさを、比較的容易に1.4以上10.0未満を満足するものに設定することができる。
なお、硬化型樹脂層50は、放射線の照射により硬化する層であれば、特に限定されないが、好ましくは、紫外線の照射により硬化するUV硬化型の層が用いられ、これにより、凹凸パターンを備える硬化型樹脂層50を、比較的安価に形成することができる。そのため、以下では、紫外線の照射により硬化する樹脂組成物を主材料として含有するUV硬化型の硬化型樹脂層50を代表に説明する。
((メタ)アクリレートモノマー)
この樹脂組成物は、紫外線の照射により硬化する材料であれば、特に限定されないが、主として(メタ)アクリレートモノマーを含んでいることが好ましい。これにより、(メタ)アクリレートモノマーが有する(メタ)アクリロイル基同士が結合して、(メタ)アクリレートモノマーによるネットワークが形成され、その結果、樹脂組成物が硬化された硬化型樹脂層50が形成される。
このような樹脂組成物により形成される硬化型樹脂層50は、その表面硬度が高くなるため、出射面51から建築物の内側に出射される光の拡散性を、確実に異方性を示すものとすることができる。また、後述する出射面51の比率(MD/TD)の大きさを、比較的容易に1.4以上10.0未満の大きさに設定することができる。
(メタ)アクリレートモノマーとしては、特に限定されないが、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジトリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリスアクリロキシエチルイソシアヌレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールアクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化水添ビスフェノールAジアクリレート、エトキシ化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシブチルアクリレート、3-ヒドロキシブチルアクリレート、ウレタンアクリレート、イソボロニルアクリレート等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
(その他の材料)
さらに、樹脂組成物には、上述した(メタ)アクリレートモノマー以外に、その他の材料が含まれていてもよい。
その他の材料としては、特に限定されないが、例えば、前記(メタ)アクリレートモノマー以外のモノマーやポリマー等の樹脂材料、光重合開始剤、紫外線吸収剤、着色剤、増感剤、安定剤、界面活性剤、酸化防止剤、還元防止剤、帯電防止剤、表面調整剤、親水化添加剤および光拡散剤等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
((紫外線吸収剤))
なお、樹脂組成物は、さらに、紫外線吸収剤を含むことにより、樹脂組成物から得られる硬化型樹脂層50の耐候性がより優れる。
この紫外線吸収剤としては、特に限定されないが、トリアジン系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、シアノアクリレート系の紫外線吸収剤が挙げられ、これらのうち1種または2種を組み合わせて用いることができる。
また、樹脂組成物中における前記紫外線吸収剤の含有量は、特に限定されないが、(メタ)アクリレートモノマー100質量部に対して、0.1質量部以上20質量部以下であるのが好ましく、1質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。(メタ)アクリレートモノマーに対する紫外線吸収剤の含有量が前記下限値未満であると、紫外線吸収剤の種類によっては、硬化型樹脂層50の強度が低下するおそれがある。また、(メタ)アクリレートモノマーに対する紫外線吸収剤の含有量が前記上限値を超えても、それ以上の耐候性の向上は見られず、紫外線吸収剤の種類によっては、硬化型樹脂層50の透明性を損ねるおそれがある。
((光重合開始剤))
また、樹脂組成物は、さらに、光重合開始剤を含むことにより、樹脂組成物を紫外線照射による光重合により硬化させることで得られる硬化型樹脂層50の硬化度がより優れる。そのため、より優れた強度を有する硬化型樹脂層50を得ることができる。
この光重合開始剤としては、特に限定されないが、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインまたはベンゾインアルキルエーテル類、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸等の芳香族ケトン類、ベンジル等のアルファ-ジカルボニル類、ベンジルジメチルケタール、ベンジルジエチルケタール等のベンジルケタール類、アセトフェノン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルホリノプロパノン-1等のアセトフェノン類、2-メチルアントラキノン、2-エチルアントラキノン、2-t-ブチルアントラキノン等のアントラキノン類、2,4-ジメチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド等のフォスヒンオキサイド類、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム等のアルファ-アシルオキシム類、p-ジメチルアミノ安息香酸エチル、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル等のアミン類等が挙げられ、これらの中でも特に、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-プロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチル-プロパン-1-オン、2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルホリノプロパノン-1等のアセトフェノン類であることが好ましい。これにより、樹脂組成物の硬化を、紫外線照射による光重合により、より迅速に進行させることができる。
また、樹脂組成物中における光重合開始剤の含有量は、特に限定されないが、(メタ)アクリレートモノマー100質量部に対して、0.5質量部以上15質量部以下であるのが好ましく、1質量部以上10質量部以下であるのがより好ましい。(メタ)アクリレートモノマーに対する光重合開始剤の含有量が前記下限値未満であると、光重合開始剤の種類によっては、樹脂組成物を十分に硬化させることが難しい場合があり、また、(メタ)アクリレートモノマーに対する光重合開始剤の含有量が前記上限値を超えても、それ以上の向上は見られない。
((表面調整剤))
さらに、表面調整剤は、樹脂組成物で構成される塗膜の樹脂基材40への濡れ性や均一性、表面の平滑性および硬化した塗膜の表面スリップ性の向上を目的として添加される。例えば、フッ素系、変性シリコーン系、アクリル系の調整剤を使用することができる。中でも、フッ素系および変性シリコーン系のうちの少なくとも一方の調整剤を含んでいることが好ましい。これらの調整剤は、ポリエーテル変性体、アルキル変性体、ポリエステル変性体から構成されている化合物が好ましく、特にポリエーテル変性体から構成されている化合物がより好ましい。
((光拡散剤))
また、硬化型樹脂層50には、建築物の外側からの光(入射光)が、異方性拡散板10を透過して建築物の内側に、出射光として出射される際に、この出射光を等方的に拡散させる光拡散剤が含まれていてもよい。
このような光拡散剤は、前述した樹脂基材40に含まれる光拡散剤で説明したのと同様の化合物を用いることができる。
さらに、光拡散剤の平均粒径は、好ましくは0.5μm以上5μm以下、より好ましくは1.0μm以上3μm以下に設定される。
また、光拡散剤を含む場合、光拡散剤の硬化型樹脂層50における含有量は、好ましくは1.0重量%以上40重量%以下、より好ましくは5.0重量%以上25重量%以下に設定される。
異方性拡散板10を、かかる構成をなすものとすることで、建築物の外側の入射面41から入射された入射光を、建築物の内側の出射面51から拡散された出射光として出射させる際に、左右方向の光拡散能と前後方向の光拡散能とを異なる異方性をもって拡散させることができるが、この光拡散能の異方性は、以下に示すように設定されていることが好ましい。すなわち、入射面41に対して垂直に3mmΦの大きさの前記入射光を光源から入射させ、出射光の左右方向の拡散光分布と前後方向の拡散光分布とを輝度計で評価し、入射光の光軸が通る中心における中心輝度値に対して半分の輝度値となる半分輝度値を示す位置の中心からの距離の2倍を半値長さとし、左右方向の半値長さをMD[mm]、前後方向の半値長さをTD[mm]としたとき、比率(MD/TD)が1.4以上10.0未満の異方性拡散を示す領域を有しているのが好ましい。そして、前記3mmΦの大きさの前記入射光に対する前記出射光の全光線透過率は、70%以上99%以下となっているのが好ましい。異方性拡散板10が、このような光拡散性および全光線透過率を有することで、異方性拡散板10を、優れた異方性をもった光拡散性および優れた光透過性の両立が図られていると言うことができるため、拡散性採光板100が備える拡散板として好ましく用いることができる。
そのため、建築物が備える採光窓に、採光板として、この拡散性採光板100を設けることで、建築物の外側からの光(太陽光や照明光等)を建築物内に採光する際に、建築物内に対して優れた採光効率で取り込むことができる。
異方性拡散板10は、上記の通り、樹脂基材40の建築物の外側の入射面41および硬化型樹脂層50の建築物の内側の出射面51が、それぞれ、平坦面および凹凸面で構成される。このような異方性拡散板10において、前記比率(MD/TD)が1.4以上10.0未満の異方性拡散を示す領域を有することが好ましいが、かかる構成とし得るのは、入射面41および出射面51のうち、出射面51が、前後方向に延在する、左右方向における断面形状がそれぞれ波状をなす、複数の凹部と凸部とが交互に繰り返して形成された凹凸パターンを備えることによる(図2、図3参照)。
このような出射面51において、波状をなす凹凸パターンは、異方的に光(出射光)を拡散させる光拡散手段として機能し、これにより、出射面51から出射される出射光を、前記比率(MD/TD)が1.4以上10.0未満を満足する異方性拡散をもって拡散させることができる。
この凹凸パターンは、その幅の平均値である平均ピッチをP[μm]とし、その深さの平均値である平均深さをD[μm]としたとき、そのアスペクト比D/Pが0.1以上3.0以下であることが好ましく、0.15以上1.0以下であることがより好ましく、0.2以上0.7以下であることがさらに好ましく、0.22以上0.43以下であることが特に好ましい。アスペクト比D/Pの大きさをかかる範囲内に設定することで、前記比率(MD/TD)の大きさを、1.4以上10.0未満の範囲内に設定することが可能となる。
また、このとき、凹凸パターンの平均ピッチPは、1.0μm以上40μm以下であることが好ましく、2.0μm以上25μm以下であることがより好ましく、4.0μm以上15μm以下であることがさらに好ましく、8.0μm以上12μm以下であることが特に好ましい。また、凹凸パターンの平均深さDは、0.5μm以上30μm以下であることが好ましく、1.0μm以上10μm以下であることがより好ましく、2.0μm以上6.0μm以下であることがさらに好ましく、3.0μm以上4.5μm以下であることが特に好ましい。これにより、異方性拡散板10の平面視で、異方性拡散板10の全面において、前記比率(MD/TD)の大きさを好ましくは1.4以上10.0未満の関係を満足した状態で、出射面51から出射光をほぼ均一に出射させることができる。
ここで、硬化型樹脂層50の出射面51は、入射面41に対して垂直に3mmΦの大きさの前記入射光を光源から入射させ、出射光の左右方向の拡散光分布と前後方向の拡散光分布とを輝度計で評価し、入射光の光軸が通る中心における中心輝度値に対して半分の輝度値となる半分輝度値を示す位置の中心からの距離の2倍を半値長さとし、左右方向の半値長さをMD[mm]、前後方向の半値長さをTD[mm]としたとき、比率(MD/TD)が好ましくは1.4以上10.0未満の異方性拡散を示す領域を有していればよいが、比率(MD/TD)がより好ましくは1.5以上6.0未満、さらに好ましくは1.8以上3.0以下の異方性拡散を示す領域を有しているのがよい。これにより、異方性拡散板10は、より優れた異方性をもった拡散能を発揮すると言うことができる。そのため、拡散性採光板100において、異方性拡散板10を介して、建築物の外側からの光(太陽光や照明光等)を建築物内に採光する際に、採光された光が、建築物内を局所的に照射してしまうのを、的確に抑制または防止することができる。
なお、本明細書中において、「比率(MD/TD)」とは、出射面51から出射された出射光の光拡散能を示すパラメーター(特性値)である。具体的には、光源から出射された光を異方性拡散板10に、異方性拡散板10の入射面41側から垂直に、入射光として入射させると、出射面51側において入射光の光軸上に配置された輝度計を用いて測定される、出射光の光度分布は、出射面51の法線方向すなわち入射光の光軸方向が大きく、出射面51の接線方向すなわち入射光の光軸と垂直をなす垂直方向に近いほど小さくなる。このような光度分布を示す出射光において、本明細書では、入射光の光軸が通る中心における出射光の中心輝度値に対して、出射光が半分の輝度値となる半分輝度値を示す位置の前記中心からの距離の2倍を半値長さと言う。そして、本実施形態では、出射光の左右方向(X方向)の光度分布における半値長さは、前後方向(Y方向)の光度分布における半値長さよりも大きくなっている。そのため、出射光の左右方向の光度分布における半値長さと出射光の前後方向の光度分布における半値長さとの商を求めることで、「比率(MD/TD)」を得ることができる。また、この「比率(MD/TD)」が大きいほど、異方性拡散板10は、異方性が大きい光拡散能を有していることを示す。
以上のような、硬化型樹脂層50は、これを構成する樹脂、すなわち、放射線の照射により硬化する樹脂組成物の硬化物の破断伸びが5%以上であることが好ましく、7.5%以上200%以下であることがより好ましく、7.5%以上50%以下であることがさらに好ましい。前記破断伸びを前記範囲内に設定することで、樹脂基材40の左右方向に対する収縮および前後方向に対する延伸により、硬化型樹脂層50の出射面51に形成された凹凸パターンを、前記平均ピッチPおよび前記平均深さDの大きさが上述した範囲内に設定されているパターンとして、比較的容易に形成することができる。また、出射面51に対する凹凸パターンの形成の際に、凹凸パターンにクラック等の欠陥が生じるのを的確に抑制または防止することができる。
また、硬化型樹脂層50の平均厚さは、特に限定されないが、0.2μm以上20μm以下であることが好ましく、1μm以上10μm以下であることがより好ましい。硬化型樹脂層50の厚さが前記下限値未満であると、硬化型樹脂層50の強度が低下する場合がある。一方、硬化型樹脂層50の厚さが前記上限値を超えると、樹脂基材40の左右方向に対する収縮、および、前後方向に対する延伸により、硬化型樹脂層50の出射面51に、異方性を示す凹凸面(凹凸パターン)を形成することができなくなるおそれがある。
さらに、以上のような、樹脂基材40と硬化型樹脂層50との積層体で構成される異方性拡散板10は、凹凸パターンが形成されている領域において、入射面41に対して垂直に3mmΦの大きさの入射光を光源から入射させたとき、この入射光が出射光として出射される光の全光線透過率は、70%以上99%以下であるのが好ましいが、80%以上99%以下であることがより好ましく、87%以上99%以下であることがさらに好ましい。これにより、異方性拡散板10は、より優れた光透過性を発揮すると言うことができる。そのため、拡散性採光板100において、建築物の外側からの光量を十分に得ることができるため、優れた採光効率を備える拡散性採光板100とすることができる。
また、異方性拡散板10は、その光学的位相差が200nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましい。ここで、異方性拡散板10は、建築物において拡散性採光板100が設けられる位置によっては、60℃以上の高温に曝されるケースが有り、位相差が200nmより大きい場合、樹脂基材を構成する高分子鎖の配向による異方性拡散板10に高温下で歪が生じ、異方拡散性能が変化するおそれがある。
なお、本実施形態では、出射面51において、波状をなす凹凸パターンを、その延伸方向がY方向(前後方向)と平行となるように配置することとしたが、これに限らず、例えば、凹凸パターンの延伸方向がX方向(左右方向)と平行となるように凹凸パターンを配置することもできる。
また、本実施形態では、異方性拡散板10において、硬化型樹脂層50を、樹脂基材40の建築物の内側(出射面51側)に積層する場合について説明したが、これに限定されず、例えば、硬化型樹脂層50は、樹脂基材40の建築物の内側(出射面51側)と、建築物の外側(入射面41側)との双方に積層されていてもよい。
図1に示すように、樹脂基材40の入射面41側には、第1補強基材21が最外層として配置され、また、硬化型樹脂層50の出射面51側には、第2補強基材22が最外層として配置されている。
これら補強基材21、22は、拡散性採光板100において、異方性拡散板10を保護する保護板(補強板)としての機能を発揮することから、異方性拡散板10の下面側と上面側とに、それぞれ、第1補強基材21と第2補強基材22とが配置されることで、拡散性採光板100に優れた耐火性および強度を付与することができる。
これら第1補強基材21と第2補強基材22とは、配置箇所が異なること以外は、同じ構成であるため、以下、第1補強基材21について代表的に説明する。
第1補強基材21は、拡散性採光板100に優れた耐火性および強度を付与し得るものであれば、特に限定されないが、好ましくはガラス基材または透明樹脂基材で構成され、より好ましくはガラス基材で構成されている。これにより、拡散性採光板100に優れた耐火性および強度を確実に付与することができる。また、拡散性採光板100の光透過性が低下するのを的確に抑制または防止することができる。
また、ガラス基材としては、例えば、透明ガラス、網入りガラス、型板ガラス、網入り型板ガラス、すりガラス、強化ガラス、複層ガラス、合わせガラスまたはLow-Eガラスであることが好ましい。これにより、第1補強基材21としての前記機能を、第1補強基材21に確実に発揮させることができる。また、これらのものは、後述する第1粘着層31と第1補強基材21との屈折率差を、下記範囲内に比較的容易に設定することができるため、かかる観点からもガラス基材として、好ましく用いられる。
さらに、透明樹脂基材としては、例えば、前述した、樹脂基材40で挙げた透明樹脂を主材料として構成されるものを同様に用いることができ、特に、主としてポリカーボネート系樹脂で構成されるものを好ましく用いることができる。ポリカーボネート系樹脂を用いることで、後述する第1粘着層31と第1補強基材21との屈折率差を、下記範囲内に比較的容易に設定することができることから、透明樹脂基材として、好ましく用いられる。なお、第1補強基材21として、透明樹脂基材を選択する場合、樹脂基材40と比較して、優れた耐火性および強度を備える透明樹脂の種類を選択すること、厚い層厚に設定すること等により、第1補強基材21としての前記機能を、第1補強基材21に確実に発揮させることができる。
この第1補強基材21と、後述する第1粘着層31との屈折率差は、例えば、0以上0.8以下であることが好ましく、0以上0.6以下であることがより好ましい。これにより、第1補強基材21と第1粘着層31との界面において、第1補強基材21側から入射された入射光が反射されるのを的確に抑制または防止することができる。そのため、前記入射光を、第1粘着層31側に透過させることができる。
第1補強基材21の屈折率としては、具体的には、1.0以上2.0以下であるのが好ましく、1.3以上1.7以下であるのがより好ましい。これにより、第1補強基材21と第1粘着層31との屈折率差を、比較的容易に前記範囲内に設定することができる。
第1補強基材21の平均厚さは、好ましくは1mm以上10mm以下であり、より好ましくは3mm以上8mm以下である。平均厚さが前記下限値未満であると、第1補強基材21を構成する構成材料の種類によっては、拡散性採光板100に優れた耐火性および強度を付与することができないおそれがあり、また、平均厚さが前記上限値を超えると、拡散性採光板100を装着する採光窓の位置、形状等によっては、拡散性採光板100の見栄えが悪くなるおそれがある。さらに、第1補強基材21の平均厚さと第2補強基材22の平均厚さとは、異なっていてもよいが、同じであるのが好ましい。これらの平均厚さが同じである場合、例えば、拡散性採光板100が高温下にさらされたとしても、拡散性採光板100における反りの発生を的確に抑制または防止することができると言う利点が得られる。
図1に示すように、第1粘着層31は、樹脂基材40(異方性拡散板10)の入射面41側において、第1補強基材21と樹脂基材40との間に設けられる境界層(第1境界層)であり、これにより、第1補強基材21と樹脂基材40とを接合する。また、第2粘着層32は、硬化型樹脂層50(異方性拡散板10)の出射面51側において、第2補強基材22と硬化型樹脂層50との間に設けられる境界層(第2境界層)であり、これにより、第2補強基材22と硬化型樹脂層50とを接合する。
第1粘着層31および第2粘着層32は、それぞれ、特に限定されないが、例えば、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤、アクリル系接着剤、シリコーン系接着剤、アクリル系粘着剤等の各種接着剤または粘着剤の他、ポリエステル系、変性オレフィン系の各種ホットメルト接着剤で構成されている。これにより、第1補強基材21と樹脂基材40との接合、および、第2補強基材22と硬化型樹脂層50との接合を確実に行なうことができ、拡散性採光板100を長期間の使用に耐え得るものとすることができる。
また、この第1粘着層31と、樹脂基材40との屈折率差は、好ましくは0.8以下に設定され、より好ましくは0以上0.7以下、さらに好ましくは0以上0.6以下に設定されている。これにより、第1粘着層31と、樹脂基材40との界面において、第1補強基材21側から入射された入射光が反射されるのを的確に抑制または防止することができる。そのため、前記入射光を、樹脂基材40側に透過させることができる。
第1粘着層31の屈折率としては、具体的には、1.0以上1.8以下であるのが好ましく、1.0以上1.7以下であるのがより好ましい。これにより、第1粘着層31と、樹脂基材40との屈折率差を、比較的容易に前記範囲内に設定することができる。
第1粘着層31の平均厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.01mm以上3.0mm以下であり、より好ましくは0.05mm以上1.6mm以下である。第1粘着層31の平均厚さが前記下限値未満であると、接着剤の種類によっては、接着力の低下を招くおそれがあり、また、第1粘着層31の平均厚さが前記上限値を超えても、それ以上の接着力の向上を望めない。
また、この第2粘着層32と、硬化型樹脂層50との屈折率差は、好ましくは0.01以上に設定され、より好ましくは0.05以上1.0以下、さらに好ましくは0.1以上0.7以下に設定されている。これにより、第2粘着層32と、硬化型樹脂層50との界面、すなわち、硬化型樹脂層50の出射面51において、第1補強基材21側から硬化型樹脂層50に入射された入射光が反射されるのを的確に抑制または防止しつつ、硬化型樹脂層50の出射面51において、第2粘着層32に出射される光を、拡散されたもの、より詳しくは、拡散性が異方性を示すものとし得る。
第2粘着層32の屈折率としては、具体的には、1.0以上2.0以下であるのが好ましく、1.0以上1.7以下であるのがより好ましい。これにより、第2粘着層32と、硬化型樹脂層50との屈折率差を、比較的容易に前記範囲内に設定することができる。
第2粘着層32の硬化型樹脂層50側の入射面は、図1に示すように、第2粘着層32と硬化型樹脂層50とを接合するため、硬化型樹脂層50の出射面51と同様に、凹凸パターンで構成されている。そして、第2粘着層32と硬化型樹脂層50との間の接合強度を高くするために、第2粘着層32の硬化型樹脂層50側の入射面における凹凸パターンは、硬化型樹脂層50の出射面51の凹凸パターンと、凹部と凸部とが対称をなす形状となっている。これにより、第2粘着層32と硬化型樹脂層50との間の接合強度を確実に高くすることができるとともに、第1補強基材21側から入射された入射光を、硬化型樹脂層50から第2粘着層32に確実に透過させることができる。
第2粘着層32の平均厚さは、特に限定されないが、好ましくは0.01mm以上3.0mm以下であり、より好ましくは0.05mm以上1.6mm以下である。平均厚さが前記下限値未満であると、第2粘着層32の平均厚さが前記下限値未満であると、接着剤の種類によっては、接着力の低下を招くおそれがあり、また、第2粘着層32の平均厚さが前記上限値を超えても、それ以上の接着力の向上を望めない。
以上のような構成をなす、本実施形態の拡散性採光板100は、例えば、以下のようにして製造することができる。
(拡散性採光板100の製造方法)
[1]まず、X方向(左右方向)に延伸された樹脂基材40を用意する。すなわち、加熱によりX方向に収縮可能な熱収縮性を示す樹脂基材40を用意する。
この延伸された樹脂基材40の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、まず、カレンダー法、インフレーション押出し法、Tダイ押出し法のような押出成形法、湿式キャスティング法等の一般的な成形方法を用いて無延伸の樹脂基材40を成形した後、無延伸の樹脂基材40に対して、一軸の延伸処理を施すことで、X方向に延伸された樹脂基材40を得る方法が挙げられる。
なお、樹脂基材40をX方向に延伸する延伸倍率は、後工程[3]において、樹脂基材40を加熱することにより熱収縮させる際に、樹脂基材40がX方向に熱収縮する収縮率が好ましくは25%以上60%以下、より好ましくは30%以上50%以下となるように設定される。
[2]次に、樹脂基材40の上面に、出射面51に対する凹凸パターンの形成が省略された硬化型樹脂層50を形成する。すなわち、上面が平坦面で構成される硬化型樹脂層50を形成する。
樹脂基材40の表面(上面)には、樹脂基材40と硬化型樹脂層50との密着性を向上させることを目的に、プラズマ処理、コロナ処理、クロム酸処理、オゾン暴露処理、火炎暴露処理、高圧電撃暴露処理、イオン化放射線処理、プライマー処理、アンカーコート処理のような表面処理が施されていてもよい。
また、凹凸パターンの形成が省略された硬化型樹脂層50は、樹脂基材40上に、硬化型樹脂層50を構成する構成材料である樹脂組成物を溶剤に溶解してワニス状にした液状材料を、塗布または散布し、その後、溶剤を揮発させた後に、放射線を照射して樹脂組成物を硬化させることで得ることができる。
なお、樹脂組成物を含有する液状材料を調製する際に用いられる溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール、メチルエチルケトン、2-ぺンタノン、イソホロン、ジイソブチルケトンなどのケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸メトキシプロピルなどのエステル、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶剤、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、メトキシブタノールなどのグリコール系溶剤などが挙げられる。これらは単独または混合して使用することができる。
また、樹脂基材40上への液状材料の塗布または散布は、例えば、ダイコート、カーテンダイコート、グラビアコート、コンマコート、バーコートおよびリップコート等の方法を用いて行うことができる。
[3]次に、上面に硬化型樹脂層50が積層された樹脂基材40を、加熱してX方向に沿って収縮させるとともに、Y方向に沿って延伸させる。
この樹脂基材40の加熱および延伸のうち、樹脂基材40の加熱により、樹脂基材40の収縮方向すなわちX方向に沿って樹脂基材40が収縮し、その結果、硬化型樹脂層50がその出射面51(上面)において、Y方向に沿って折り畳まれるように変形することで、Y方向に沿った波状をなす凹凸パターンが出射面51に形成される。これにより、樹脂基材40上に硬化型樹脂層50が設けられた異方性拡散板10を得ることができる。
樹脂基材40を加熱する方法としては、例えば、樹脂基材40の下面に対して、熱風または蒸気を吹き付ける方法の他、熱水中に樹脂基材40の下面側を浸漬する方法、熱風中で樹脂基材40(フィルム)の幅方向をクランプしながら搬送方向に向かって収縮制御できるテンター延伸方法等が挙げられる。
また、樹脂基材40のY方向に沿った延伸により、外観不良となるX方向の収縮時に生じるY方向に沿って生じた長周期のうねりを抑制できる。これは、樹脂基材40がX方向に収縮すると同時に、ポアソン比相当の厚み方向およびY方向への膨張が生じるため、Y方向の膨張を制御できるように、X方向の収縮と同時に、Y方向の延伸をすることが、Y方向に沿って生じる長周期の凹凸うねりの抑制に有効となることによる。
上記の通り、樹脂基材40の加熱によるX方向に沿った収縮とともに、樹脂基材40をY方向に沿って延伸させる工程により、樹脂基材40の上面に積層された硬化型樹脂層50の出射面51に、凹凸パターンを形成する構成とすることで、異方性を示す凹凸面(凹凸パターン)を、比較的容易に形成することができる。
具体的には、樹脂基材40の延伸によるY方向に沿った伸び率は、2%以上40%以下であることが好ましく、10%以上25%以下であることがより好ましい。前記伸び率を前記範囲内に設定することにより、硬化型樹脂層50の出射面51を、異方性を示す凹凸面(凹凸パターン)で、好ましくは、前記比率(MD/TD)が1.4以上10.0未満の異方性を示す凹凸面(凹凸パターン)で比較的容易に構成させることができる。
[4]次に、補強基材21、22と、粘着層31、32を形成するための接着剤(粘着剤)を用意する。そして、異方性拡散板10の樹脂基材40側に第1補強基材21を配置し、また、異方性拡散板10の硬化型樹脂層50側に第2補強基材22を配置し、さらに、これら同士の間に、接着剤を介在させた状態で、接着剤を乾燥させることで固化もしくは硬化させる。
これにより、樹脂基材40と第1補強基材21との間に、これら同士を接合する第1粘着層31が形成され、また、硬化型樹脂層50と第2補強基材22の間に、これら同士を接合する第2粘着層32が形成される。
以上のような工程を経ることで、拡散性採光板100を製造することができる。
なお、本実施形態では、第1補強基材21と樹脂基材40との間に第1粘着層31が設けられ、また、第2補強基材22と硬化型樹脂層50との間に第2粘着層32が設けられており、これにより、第1補強基材21と樹脂基材40とが接合され、第2補強基材22と硬化型樹脂層50とが接合される場合、すなわち、第1境界層および第2境界層を、それぞれ、第1粘着層31および第2粘着層32で構成する場合について説明したが、かかる構成に限定されるものではない。例えば、第1境界層および第2境界層は、それぞれ、粘着性(接着性)を有しない液相で構成される第1液剤層および第2液剤層で構成されていてもよい。
この場合、第1液剤層および第2液剤層は、それぞれ、第1補強基材21と樹脂基材40との間および第2補強基材22と硬化型樹脂層50との間の屈折率を調整する屈折率調整層としての機能を発揮する。この屈折率調整層(第1液剤層および第2液剤層)の構成材料としては、それぞれ、第1補強基材21と樹脂基材40との間および第2補強基材22と硬化型樹脂層50との間の設定すべき屈折率の大きさに応じて、適宜選択され、例えば、蒸留水、精製水、純水などの水、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサンなどの脂肪族炭化水素、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、メタノール、エタノール、プロパノール(イソプロピルアルコール)、ブタノールなどのアルコール、メチルエチルケトン、2-ぺンタノン、イソホロン、ジイソブチルケトンなどのケトン、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸メトキシプロピル、(メタ)アクリル酸エステルなどのエステル、エチルセロソルブなどのセロソルブ系溶剤、メトキシプロパノール、エトキシプロパノール、メトキシブタノールなどのグリコール系溶剤、(メタ)アクリレート、等の液剤(屈折率調整剤)が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、第1境界層および第2境界層が、それぞれ、第1液剤層および第2液剤層で構成される拡散性採光板100では、拡散性採光板100の中央部における、建築物の外側からの光を建築物内に拡散させつつ採光する有効領域において、液剤層が形成される。そして、拡散性採光板100の縁部、すなわち、建築物の窓部に固定される非有効領域において、第1補強基材21と樹脂基材40との間、および、第2補強基材22と硬化型樹脂層50との間に粘着層が形成されている。これにより、拡散性採光板100を構成する各部同士が接合されるとともに、有効領域における、第1補強基材21と樹脂基材40との間、および、第2補強基材22と硬化型樹脂層50との間に、それぞれ、液剤が充填された、第1液剤層および第2液剤層が形成される。
<<第2実施形態>>
次に、本発明の拡散性採光板の第2実施形態について説明する。
図4は、本発明の拡散性採光板の第2実施形態を示す縦断面図である。
以下、この図を参照して本発明の拡散性採光板の第2実施形態について説明するが、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
すなわち、本実施形態の拡散性採光板100は、第1境界層および第2境界層として、第1粘着層31および第2粘着層32に代えて、それぞれ、第1空気層61および第2空気層62を備えること以外は、前記第1実施形態の拡散性採光板100と同様である。
図4に示すように、本実施形態では、第1空気層61は、第1粘着層31に代えて、樹脂基材40(異方性拡散板10)の入射面41側において、第1補強基材21と樹脂基材40との間に空気が充填されている構成をなしている。また、第2空気層62は、第2粘着層32に代えて、硬化型樹脂層50(異方性拡散板10)の出射面51側において、第2補強基材22と硬化型樹脂層50との間に空気が充填されている構成をなしている。
なお、かかる構成をなす本実施形態の拡散性採光板100では、拡散性採光板100の中央部における、建築物の外側からの光を建築物内に拡散させつつ採光する有効領域において、空気層61、62が形成されている。そして、拡散性採光板100の縁部、すなわち、建築物の窓部に固定される非有効領域において、第1補強基材21と樹脂基材40との間、および、第2補強基材22と硬化型樹脂層50との間に粘着層が形成されている。これにより、拡散性採光板100を構成する各部同士が接合されるとともに、有効領域における、第1補強基材21と樹脂基材40との間、および、第2補強基材22と硬化型樹脂層50との間に、それぞれ、空気が充填された、第1空気層61および第2空気層62が形成される。
空気層61、62の屈折率、すなわち空気(大気)の屈折率は、1.00程度であると言える。そのため、本実施形態では、この屈折率の大きさを考慮して、補強基材21、22と空気層61、62との屈折率差が、それぞれ、好ましくは0.3以上1.0以下、より好ましくは0.4以上0.7以下に設定されるように、補強基材21、22の種類が選択される。
このような第2実施形態の拡散性採光板100によっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、各部の寸法は、前記第1実施形態の拡散性採光板100と同様である。
<第3実施形態>
次に、本発明の拡散性採光板の第3実施形態について説明する。
図5は、本発明の拡散性採光板の第3実施形態を示す縦断面図である。
以下、この図を参照して本発明の拡散性採光板の第3実施形態について説明するが、前述した第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
すなわち、本実施形態の拡散性採光板100は、第2補強基材22および第2粘着層32の形成が省略されていること以外は、前記第1実施形態の拡散性採光板100と同様である。
図5に示すように、本実施形態では、硬化型樹脂層50の出射面51側における、第2補強基材22および第2粘着層32の形成が省略されている。
かかる構成をなす拡散性採光板100は、第2補強基材22の省略によっても、第1補強基材21の形成により、拡散性採光板100に十分な耐火性および強度を付与し得る場合に選択される。
このような第3実施形態の拡散性採光板100によっても、前記第1実施形態と同様の効果が得られる。
なお、各部の寸法は、前記第1実施形態の拡散性採光板100と同様である。
以上のような第1~第3実施形態の拡散性採光板100を、住宅、事務所、製造工場、店舗、宿泊施設、学校、集会場、図書館、駅舎、劇場、車庫、倉庫、病院、競技場および空港等の建築物の屋根や壁部が備える採光窓における、採光板として用いることができる。したがって、拡散性採光板100を備える建築物を、優れた信頼性を有するものとすることができる。
以上、本発明の拡散性採光板および建築物について説明したが、本発明は、これに限定されない。
例えば、前記実施形態では、本発明の拡散性採光板が、拡散板として、左右方向の光拡散能と、上下方向の光拡散能とが異なる異方性を示して入射光を拡散させる異方性拡散板、すなわち、出射光を異方的に拡散させる異方性拡散板を備える場合について説明したが、これに限定されず、出射光を等方的に拡散させる等方性拡散板を備えていてもよい。
さらに、前記実施形態では、拡散性採光板100を、異方性拡散板10に対して第1補強基材21側を入射面側とし、第2補強基材22側を出射面側として配置して用いる場合について説明したが、これに限定されず、拡散性採光板100を設置する建築物の種類や、拡散性採光板100の用途によっては、拡散性採光板100は、逆の配置位置、すなわち、異方性拡散板10に対して第1補強基材21側を出射面側とし、第2補強基材22側を入射面側として配置されていてもよい。ただし、前述の通り、拡散性採光板100を、異方性拡散板10に対して第1補強基材21側を入射面側とし、第2補強基材22側を出射面側として配置することで、拡散性採光板100から出射される出射光の拡散効率の向上を図ることができる。
また、本発明の拡散性採光板において、各構成は、同様の機能を発揮し得る任意のものと置換することができ、あるいは、任意の構成のものを付加することができる。
さらに、本発明では、前記第1~第3実施形態で示した任意の2以上の構成を組み合わせるようにしてもよい。
以下、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明する。なお、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されない。
1.第1補強基材および第1境界層の種類の検討
1-1.原材料の準備
まず、各実施例の拡散性採光板100の製造のために用意した補強基材および粘着剤を、原材料として以下に示す。
(補強基材1)
補強基材1として、透明ガラス(ミスミ社製、「GLKF3」、屈折率:1.52)を用意した。
(補強基材2)
補強基材2として、ポリカーボネート樹脂基板(住友ベークライト社製、「ECK100UU」、屈折率:1.58)を用意した。
(粘着剤1)
粘着剤1として、アクリル系接着剤(PANAC社製、「PDR5」、屈折率:1.47)を用意した。
(粘着剤2)
粘着剤2として、シリコーン系接着剤(PANAC社製、「PDX1」、屈折率:1.41)を用意した。
1-2.異方性拡散板の製造
<1>ポリカーボネート樹脂(三菱瓦斯化学工業社製、「ユーピロンE-2000-N」)がTダイで押出された樹脂板を加熱ロール間で延伸した後に、冷却固化した厚さ0.3mmの平板状をなすポリカーボネート基板(屈折率:1.58)を樹脂基材40として用意した。
なお、樹脂基材40をX方向にロール延伸する延伸倍率を、後工程<3>において、樹脂基材40を加熱することにより熱収縮させる際に、樹脂基材40がX方向に熱収縮する収縮率が50%となるまで収縮し得るように設定した。
<2>次いで、硬化型樹脂層50を形成するにあたり、以下に示す、樹脂組成物を調製した。
すなわち、ウレタンアクリレート(新中村化学工業社製、「UA-122P」):80質量部、エトキシ化ビスフェノールAジアクリレート(新中村化学工業社製、「A-BPE-4」):20質量部を調製して、混合体(主成分)を得た。
さらに、得られた混合体100質量部に対して、添加物として、重合開始剤(Lamberti社製、「KIP100F」):7質量部と、表面調整剤(ビックケミー社製、「BYK-378」):0.01質量部を添加し、不揮発分が50%になるように溶剤としてのメトキシプロパノールを加え撹拌し、全ての成分を溶解させることで、樹脂組成物を得た。
次に、樹脂基材40に、得られた樹脂組成物を、バーコーターにて乾燥後の厚さ(コート層の厚さ)が3μmになるように塗布して塗布層を得た。
そして、塗布層が塗布された樹脂基材40を100℃の熱風オーブンにて10分間乾燥させてコート層を形成した後、FUSIONシステムズ製無電極UVランプを用い、照射距離95mm、コンベア速度3mm/min、照射強度450mW/cm、積算光量1000mJ/cmという条件下で紫外線を照射することでコート層を光硬化させた。これにより、樹脂基材40上に硬化型樹脂層50(屈折率:1.53)を形成した。
なお、硬化型樹脂層50を形成するために調整した樹脂組成物をアルミカップに入れ、100℃の熱風オーブンにて3時間乾燥させた後に、FUSIONシステムズ製無電極UVランプを用い、照射距離95mm、コンベア速度3mm/min、照射強度450mW/cm、積算光量1000mJ/cmという条件下で紫外線を照射することで1mm厚の硬化型樹脂層50の樹脂板を作製した。そして、作製された硬化型樹脂層50の破断伸びを、ASTM-D638に準じてオートグラフ装置(株式会社島津製作所社製、AG-5kNG)を用いて測定したところ、8.2%であった。
<3>次いで、X方向220mm×Y方向100mmの硬化型樹脂層50を形成した樹脂基材40を2軸延伸試験装置(株式会社東洋精機製作所社製、EX10-B)を用い、加熱温度180℃にて、X方向に178mm/minの速度にて収縮率44%で収縮させ、異方性拡散板10を得た。
また、出射面51に形成された凹凸パターンにおける平均ピッチPおよび平均深さDを、レーザー顕微鏡(KEYENCE社製、「VK-9700」)を用いて測定したところ、それぞれ、8.5μmおよび5.3μmであった(D/P=0.6)。
1-3.異方性拡散板の製造
(実施例1A)
上記で得られた異方性拡散板10の両面に、予め用意した補強基材2および補強基材1を、それぞれ、第1補強基材21および第2補強基材22として配置した。
次いで、第1補強基材21と異方性拡散板10(樹脂基材40)との間の中央部(有効領域)に第1空気層61が形成されるように、第1補強基材21と異方性拡散板10とを離間させた状態で、第1補強基材21と異方性拡散板10との縁部(非有効領域)において、第1補強基材21と異方性拡散板10とを、粘着剤1を介して接合した。これにより、第1補強基材21と異方性拡散板10との間の中央部(有効領域)に第1空気層61を形成した。
次いで、第2補強基材22と異方性拡散板10(硬化型樹脂層50)との間の中央部(有効領域)に第2空気層62が形成されるように、第2補強基材22と異方性拡散板10とを離間させた状態で、第2補強基材22と異方性拡散板10との縁部(非有効領域)において、第2補強基材22と異方性拡散板10とを、粘着剤1を介して接合した。これにより、第2補強基材22と異方性拡散板10との間の中央部(有効領域)に第2空気層62を形成した。
以上の工程を経ることにより、第1境界層および第2境界層として、それぞれ、第1空気層61および第2空気層62を備える、実施例1Aの拡散性採光板100を得た。
(実施例2A)
第1補強基材21として、補強基材1を用いたこと以外は、前記実施例1Aと同様にして、実施例2Aの拡散性採光板100を得た。
(実施例3A)
上記で得られた異方性拡散板10の両面に、予め用意した補強基材1を、それぞれ、第1補強基材21および第2補強基材22として配置した。
次いで、第1補強基材21と異方性拡散板10(樹脂基材40)との間に粘着剤2を介在させた状態で、粘着剤2を固化させて第1粘着層31を形成することで、第1補強基材21と異方性拡散板10とを、粘着剤2を介して接合した。これにより、第1補強基材21と異方性拡散板10との間の中央部(有効領域)に第1粘着層31を形成した。
次いで、第2補強基材22と異方性拡散板10(硬化型樹脂層50)との間の中央部(有効領域)に第2空気層62が形成されるように、第2補強基材22と異方性拡散板10とを離間させた状態で、第2補強基材22と異方性拡散板10との縁部(非有効領域)において、第2補強基材22と異方性拡散板10とを、粘着剤1を介して接合した。これにより、第2補強基材22と異方性拡散板10との間の中央部(有効領域)に第2空気層62を形成した。
以上の工程を経ることにより、第1境界層および第2境界層として、それぞれ、第1粘着層31および第2空気層62を備える、実施例3Aの拡散性採光板100を得た。
(実施例4A)
第1粘着層31の形成に用いる粘着剤として、粘着剤1を用いたこと以外は、前記実施例3Aと同様にして、実施例4Aの拡散性採光板100を得た。
1-4.評価
各実施例の拡散性採光板100を、以下の方法で評価した。
1)半値長さMD、TD、比率(MD/TD)
各実施例の拡散性採光板100について、それぞれ、出射面51の凹凸パターンが形成されている領域に対応する、第1補強基材21(入射面41)側から垂直に3mmΦの大きさの入射光を光源から入射させた。そして、このときに第2補強基材22(出射面51)側から出射される、出射光のY方向(前後方向)の光度分布と、出射光のX方向(左右方向)の光度分布とを輝度計測装置(HI-LAND社製、「RISA-COLOR/ONE」)を用いて測定した。
その後、得られた光度分布に基づいて、出射光のX方向(左右方向)の光度分布における半値長さMDと、出射光のY方向(前後方向)の光度分布における半値長さTDとを求め、さらに、これら半値長さから比率(MD/TD)を求めた。
2)全光線透過率
各実施例の拡散性採光板100について、それぞれ、ヘーズメーター(村上色彩技術研究所製、「HR-100」)を使用して、その厚み方向の全光線透過率をASTM D1003に従い測定した。
以上のようにして得られた各実施例の拡散性採光板100における評価結果を、それぞれ、下記の表1に示す。
Figure 2022095486000003
表1に示したように、各実施例の拡散性採光板100において、拡散性採光板100の出射面51から出射される出射光の光度分布、および、拡散性採光板100の厚み方向の全光線透過率はともに優れた値を示した。また、各実施例の拡散性採光板100の通り、拡散性採光板100が備える第1補強基材21および第1境界層の種類を適宜選択することにより、拡散性採光板100の出射面51から出射される出射光の光度分布、および、拡散性採光板100の厚み方向の全光線透過率を適宜設定し得ることが明らかとなった。
なお、各実施例の拡散性採光板100について、その耐火性を検討したところ、各実施例の拡散性採光板100は、各実施例の拡散性採光板100において第2補強基材22の形成が省略されたものと比較して、それぞれ、優れた耐火性を備えている結果を示した。
2.第2補強基材および第2境界層の種類の検討
2-1.原材料の準備
まず、各実施例の拡散性採光板100の製造のために用意した補強基材、液剤および粘着剤を、原材料として以下に示す。
(補強基材1)
補強基材1として、透明ガラス(ミスミ社製、「GLKF3」、屈折率:1.52)を用意した。
(補強基材2)
補強基材2として、ポリカーボネート樹脂基板(住友ベークライト社製、「ECK100UU」、屈折率:1.58)を用意した。
(粘着剤1)
粘着剤1として、アクリル系接着剤(PANAC社製、「PDR5」、屈折率:1.47)を用意した。
(液剤1)
液剤1として、ヤマト科学社製WG202によって精製された蒸留水(屈折率:1.33)を用意した。
(液剤2)
液剤2として、イソプロピルアルコール(和光純薬工業社製、屈折率:1.38)を用意した。
(液剤3)
液剤3として、1-メトキシ-2-プロパノール(ダイセル社製、屈折率:1.40)を用意した。
(液剤4)
液剤4として、(メタ)アクリル酸エステル(新中村化学社製、「A-600」、屈折率:1.47)を用意した。
(液剤5)
液剤5として、(メタ)アクリル酸エステル(新中村化学社製、「A-BPE-4」、屈折率:1.54)を用意した。
2-2.異方性拡散板の製造
前記1-2と同様にして、異方性拡散板10を得た。
2-3.異方性拡散板の製造
(実施例1B)
上記で得られた異方性拡散板10の入射面に、予め用意した補強基材2を、第1補強基材21として配置した。
次いで、第1補強基材21と異方性拡散板10(樹脂基材40)との間の中央部(有効領域)に第1空気層61が形成されるように、第1補強基材21と異方性拡散板10とを離間させた状態で、第1補強基材21と異方性拡散板10との縁部(非有効領域)において、第1補強基材21と異方性拡散板10とを、粘着剤1を介して接合した。これにより、第1補強基材21と異方性拡散板10との間の中央部(有効領域)に第1空気層61を形成した。
以上の工程を経ることにより、第1境界層として第1空気層61を備え、第2補強基材22および第2境界層の形成が省略された、実施例1Bの拡散性採光板100を得た。
(実施例2B)
上記で得られた異方性拡散板10の両面に、予め用意した補強基材2を、それぞれ、第1補強基材21および第2補強基材22として配置した。
次いで、第1補強基材21と異方性拡散板10(樹脂基材40)との間の中央部(有効領域)に第1空気層61が形成されるように、第1補強基材21と異方性拡散板10とを離間させた状態で、第1補強基材21と異方性拡散板10との縁部(非有効領域)において、第1補強基材21と異方性拡散板10とを、粘着剤1を介して接合した。これにより、第1補強基材21と異方性拡散板10との間の中央部(有効領域)に第1空気層61を形成した。
次いで、第2補強基材22と異方性拡散板10(硬化型樹脂層50)との間の中央部(有効領域)に第2空気層62が形成されるように、第2補強基材22と異方性拡散板10とを離間させた状態で、第2補強基材22と異方性拡散板10との縁部(非有効領域)において、第2補強基材22と異方性拡散板10とを、粘着剤1を介して接合した。これにより、第2補強基材22と異方性拡散板10との間の中央部(有効領域)に第2空気層62を形成した。
以上の工程を経ることにより、第1境界層および第2境界層として、それぞれ、第1空気層61および第2空気層62を備える、実施例2Bの拡散性採光板100を得た。
(実施例3B)
第2補強基材22として、補強基材1を用いたこと以外は、前記実施例2Bと同様にして、実施例3Bの拡散性採光板100を得た。
(実施例4B)
上記で得られた異方性拡散板10の両面に、予め用意した補強基材2および補強基材1を、それぞれ、第1補強基材21および第2補強基材22として配置した。
次いで、第1補強基材21と異方性拡散板10(樹脂基材40)との間の中央部(有効領域)に第1空気層61が形成されるように、第1補強基材21と異方性拡散板10とを離間させた状態で、第1補強基材21と異方性拡散板10との縁部(非有効領域)において、第1補強基材21と異方性拡散板10とを、粘着剤1を介して接合した。これにより、第1補強基材21と異方性拡散板10との間の中央部(有効領域)に第1空気層61を形成した。
次いで、第2補強基材22と異方性拡散板10(硬化型樹脂層50)との間の中央部(有効領域)に第2液剤層が形成されるように、第2補強基材22と異方性拡散板10とを離間させ、第2補強基材22と異方性拡散板10との中央部(有効領域)に、液剤1を介在させた状態で、第2補強基材22と異方性拡散板10との縁部(非有効領域)において、第2補強基材22と異方性拡散板10とを、粘着剤1を介して接合した。これにより、第2補強基材22と異方性拡散板10との間の中央部(有効領域)に第2液剤層を形成した。
以上の工程を経ることにより、第1境界層および第2境界層として、それぞれ、第1空気層61および第2液剤層を備える、実施例4Bの拡散性採光板100を得た。
(実施例5B)
第2液剤層の形成に用いる液剤として、液剤2を用いたこと以外は、前記実施例4Bと同様にして、実施例5Bの拡散性採光板100を得た。
(実施例6B)
第2液剤層の形成に用いる液剤として、液剤3を用いたこと以外は、前記実施例4Bと同様にして、実施例6Bの拡散性採光板100を得た。
(実施例7B)
第2液剤層の形成に用いる液剤として、液剤4を用いたこと以外は、前記実施例4Bと同様にして、実施例7Bの拡散性採光板100を得た。
(実施例8B)
第2液剤層の形成に用いる液剤として、液剤5を用いたこと以外は、前記実施例4Bと同様にして、実施例8Bの拡散性採光板100を得た。
2-4.評価
各実施例の拡散性採光板100を、以下の方法で評価した。
1)半値長さMD、TD、比率(MD/TD)
各実施例の拡散性採光板100について、それぞれ、出射面51の凹凸パターンが形成されている領域に対応する、第1補強基材21(入射面41)側から垂直に3mmΦの大きさの入射光を光源から入射させた。そして、このときに第2補強基材22(出射面51)側から出射される、出射光のY方向(前後方向)の光度分布と、出射光のX方向(左右方向)の光度分布とを輝度計測装置(HI-LAND社製、「RISA-COLOR/ONE」)を用いて測定した。
その後、得られた光度分布に基づいて、出射光のX方向(左右方向)の光度分布における半値長さMDと、出射光のY方向(前後方向)の光度分布における半値長さTDとを求め、さらに、これら半値長さから比率(MD/TD)を求めた。
2)全光線透過率
各実施例の拡散性採光板100について、それぞれ、ヘーズメーター(村上色彩技術研究所製、「HR-100」)を使用して、その厚み方向の全光線透過率をASTM D1003に従い測定した。
以上のようにして得られた各実施例の拡散性採光板100における評価結果を、それぞれ、下記の表2に示す。
Figure 2022095486000004
表2に示したように、各実施例の拡散性採光板100において、拡散性採光板100の出射面51から出射される出射光の光度分布、および、拡散性採光板100の厚み方向の全光線透過率がともに優れた値を示した。また、各実施例の拡散性採光板100の通り、拡散性採光板100が備える第2補強基材22および第2境界層の種類を適宜選択することにより、拡散性採光板100の出射面51から出射される出射光の光度分布、および、拡散性採光板100の厚み方向の全光線透過率を適宜設定し得ることが明らかとなった。
なお、各実施例の拡散性採光板100について、その耐火性を検討したところ、各実施例の拡散性採光板100は、各実施例の拡散性採光板100において第1補強基材21の形成が省略されたものと比較して、それぞれ、優れた耐火性を備えている結果を示した。
10 異方性拡散板
21 第1補強基材
22 第2補強基材
31 第1粘着層
32 第2粘着層
40 樹脂基材
41 入射面
50 硬化型樹脂層
51 出射面
61 第1空気層
62 第2空気層
100 拡散性採光板
D 平均深さ
P 平均ピッチ

Claims (12)

  1. 入射面から入射された入射光を出射面から拡散された出射光として出射させる拡散性採光板であって、
    平板状をなす樹脂基材、および、該樹脂基材の一方の面側に積層され、前記一方の面側の表面に凹凸パターンを備える樹脂層を有する拡散板と、
    前記樹脂基材の他方の面側に配置された、平板状をなす第1補強基材と、
    前記樹脂基材と前記第1補強基材との間に配置された第1境界層とを備えることを特徴とする拡散性採光板。
  2. 前記樹脂基材と、前記第1境界層との屈折率差は、0.8以下である請求項1に記載の拡散性採光板。
  3. 前記第1境界層は、その屈折率が1.0以上1.8以下である請求項1または2に記載の拡散性採光板。
  4. 前記第1補強基材と、前記第1境界層との屈折率差は、0以上0.8以下である請求項1ないし3のいずれか1項に記載の拡散性採光板。
  5. 前記第1補強基材は、ガラス基材または透明樹脂基材である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の拡散性採光板。
  6. 前記ガラス基材は、透明ガラス、網入りガラス、型板ガラス、網入り型板ガラス、すりガラス、強化ガラス、複層ガラス、合わせガラスまたはLow-Eガラスである請求項5に記載の拡散性採光板。
  7. 前記透明樹脂基材は、ポリカーボネート系樹脂を主材料として構成される請求項5に記載の拡散性採光板。
  8. 前記樹脂基材は、ポリカーボネート系樹脂を主材料として構成される請求項1ないし7のいずれか1項に記載の拡散性採光板。
  9. 前記樹脂層は、前後方向に沿った前記凹凸パターンを備え、これにより、前記出射光を出射させる際に、左右方向の光拡散能と前記前後方向の光拡散能とが異なるよう構成されている請求項1ないし8のいずれか1項に記載の拡散性採光板。
  10. 前記入射面に対して垂直に3mmΦの大きさの前記入射光を光源から入射させ、前記出射光の前記左右方向の拡散光分布と前記前後方向の拡散光分布とを輝度計で評価し、
    前記入射光の光軸が通る中心における中心輝度値に対して半分の輝度値となる半分輝度値を示す位置の前記中心からの距離の2倍を半値長さとし、前記左右方向の半値長さをMD[mm]、前記前後方向の半値長さをTD[mm]としたとき、比率(MD/TD)は、1.4以上10.0未満の異方性拡散を示す領域を有する請求項9に記載の拡散性採光板。
  11. 前記3mmΦの大きさの前記入射光に対する前記出射光の全光線透過率は、70%以上99%以下である請求項1ないし10のいずれか1項に記載の拡散性採光板。
  12. 請求項1ないし11のいずれか1項に記載の拡散性採光板を備えることを特徴とする建築物。
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