JP2022095471A - パワー部品内蔵基板及び部品内蔵基板形成方法 - Google Patents

パワー部品内蔵基板及び部品内蔵基板形成方法 Download PDF

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Abstract

【課題】パワー半導体素子とゲートドライバ素子とを同一の絶縁層で支持して配置することで高機能化、高信頼性化及び小型化されたパワーデバイスを簡素化された製造工程で作成するパワー部品内蔵基板を提供する。【解決手段】パワー部品内蔵基板1において、絶縁樹脂12に埋め込まれたパワー半導体素子(MOSFET10)と、MOSFET10が埋め込まれた絶縁樹脂と同一の絶縁樹脂に埋め込まれたゲートドライバ11と、絶縁樹脂の表面側及び裏面側の両方の面にMOSFET10の電極端子に接続する配線14を備えると共に、絶縁樹脂の表面側又は裏面側のいずれか一方の面にゲートドライバ11の電極端子に接続する配線14とを備える。表面側又は裏面側のいずれか一方のめっき配線層20が、MOSFET10の電極端子全面と直接接触して接続されており、他方の配線14がMOSFET10の電極端子とビア15を介して接続されている。【選択図】図1

Description

本発明は、パワー半導体素子とその制御回路とを同一層内に内蔵したパワー部品内蔵基板に関する。
近年、温暖化防止、低炭素社会の実現のために省エネルギー化を実現するパワーデバイスの技術開発が期待されている。パワーデバイスをきめ細かく制御することで省エネルギーを実現することが可能となり、更なる低損失化が求められている。パワーデバイスの電力損失にはオン状態の電流経路に存在するオン抵抗による導通損失と、オン状態とオフ状態との切り替え時に発生するスイッチング損失がある。これらの損失を低減させるために、近年はSiパワーデバイスに代わりWBG(Wide Band Gap)半導体であるGaN(窒化ガリウム)、SiC(炭化ケイ素)、GaO(酸化ガリウム)等の半導体が実用化されて始めており、その制御回路が重要な要素となっている。
また、パワーデバイスのスイッチング周波数を大きくすることによってスイッチング損失を低減させる場合、実際には寄生成分の影響で過渡的に発生するサージやリンギングによってスイッチング損失が発生し、サージ電圧がパワーデバイスの許容電圧を超える場合、パワーデバイスの破壊につながる恐れもある。そのため、スイッチング周波数を大きくしてスイッチング損失を低減させる場合、寄生成分である寄生インダクタンスを小さくする回路設計が不可欠である。寄生インダクタンスは物理的配線のみであっても発生し、配線の長さの影響を大きく受ける。以上のようなことから、寄生インダクタンスを小さくするための自由な配線レイアウトを可能とし、且つ製造工程も簡素化できるパワーモジュールの開発が求められている。
非特許文献1に示す技術は、部品内蔵技術を用いたパワーデバイスに関するものであり、ガラスエポキシ樹脂層にパワーコンポーネントを埋め込み、上面側をビアで接続し下面側を銅めっきプロセスで接続する構造が開示されている。樹脂層には銅インレイ(銅ブロック)が埋め込まれている。
また、パワー半導体の機能を最大限に活かすために、ドライブ配線を極力短くし(ゲートドライバをパワー半導体のゲート端子とソース端子にできる限り近くに配置し)、ゲートループ電流とパワーループ電流とが互いに直交するように配置することで相互誘導を受けないようにするといったことが行われている(例えば、図17を参照)。
H. Stahr, M. Morianz, S. Gross, M. Unger, J. Nicolics, L. Böttcher, "Investigation of a power module with double sided cooling using a new concept for chip embedding",9th International Conference on Integrated Power Electronics Systems, Nuremberg, Germany, 2016, pp. 1-10.
しかしながら、上述したように寄生インダクタンスなどの影響を考慮した設計や配置の制限などから十分に高機能化、高信頼性化、及び小型化されたパワーデバイスを少ない作業工程で作成するのは非常に困難性を有するものとなっている。
非特許文献1に示す技術は、パワー半導体素子を部品内蔵で実装するものであり、底面側を銅めっき、上面側をビアで接続することで製造工程を低減しつつ、小型化されたパワーデバイスを提供しているが、パワー半導体素子のドライブ回路の構造については開示されていない。
本発明は、パワー部品内蔵基板によりパワー半導体素子とゲートドライバ素子とを同一の絶縁層で支持して配置することで高機能化、高信頼性化、及び小型化されたパワーデバイスを簡素化された製造工程で作成することを可能とするパワー部品内蔵基板及び部品内蔵基板形成方法を提供する。
本発明に係るパワー部品内蔵基板は、絶縁層に埋め込まれたパワー半導体素子と、前記パワー半導体素子が埋め込まれた前記絶縁層と同一の絶縁層に埋め込まれた前記パワー半導体素子を制御するためのゲートドライバ素子と、前記絶縁層の表面側及び裏面側の両方の面に前記パワー半導体素子の電極端子に接続する配線を備えると共に、前記絶縁層の表面側又は裏面側のいずれか一方の面に前記ゲートドライバ素子の電極端子に接続する配線とを備え、前記パワー半導体素子の表面側又は裏面側のいずれか一方の配線が少なくとも前記パワー半導体素子の電極端子全面と直接接触して接続されており、他方の配線が前記パワー半導体素子の電極端子とビアを介して接続されているものである。
このように、本発明に係るパワー部品内蔵基板においては、絶縁層に埋め込まれたパワー半導体素子と、当該パワー半導体素子が埋め込まれた前記絶縁層と同一の絶縁層に埋め込まれた前記パワー半導体素子を制御するためのゲートドライバ素子と、前記絶縁層の表面側及び裏面側の両方の面に前記パワー半導体素子の電極端子に接続する配線を備えると共に、前記絶縁層の表面側又は裏面側のいずれか一方の面に前記ゲートドライバ素子の電極端子に接続する配線とを備えるため、パワー半導体素子とゲートドライバ素子とを可能な限り近づけて配置することができ、且つ表面実装が不要となることで基板の表裏の凹凸が発生せず、パワー半導体素子の表面及び裏面に対してヒートスプレッダを取付やすくなるという効果を奏する。
また、パワー半導体素子の表面側又は裏面側のいずれか一方の配線が少なくとも前記パワー半導体素子の電極端子全面と直接接触して接続されており、他方の配線が前記パワー半導体素子の電極端子とビアを介して接続されているため、一方の面におけるパワー半導体素子の配線との接触面積を最大にすることが可能となり、高電流密度、高放熱性、高信頼性、パワー半導体素子への応力低減を実現することができるという効果を奏する。
さらに、他方の面のみがビアでの接続になるため一方の面側でビアを形成する必要がなくなり絶縁樹脂のラミネート回数や裏面側の電極露出工程を削減して製造工程を簡素化することができるという効果を奏する。
本発明に係るパワー部品内蔵基板は、前記パワー半導体素子と前記ゲートドライバ素子との間のループ接続配線がツイスト状に形成されているものである。
このように、本発明に係るパワー部品内蔵基板においては、前記パワー半導体素子と前記ゲートドライバ素子との間のループ接続配線がツイスト状に形成されているため、パワー半導体素子とゲートドライバ素子との間のループの寄生インダクタンスを大幅に低減することが可能となり、スイッチング損失を減らすことができるという効果を奏する。
本発明に係るパワー部品内蔵基板は、前記ループ接続配線が、前記絶縁層の表面側と裏面側とに交互に配設されてツイストを形成するものである。
このように、本発明に係るパワー部品内蔵基板においては、ループ接続配線が、前記絶縁層の表面側と裏面側とに交互に配設されてツイストを形成するため、表面実装することなく部品内蔵工程で容易にツイスト配線を形成することができるという効果を奏する。
本発明に係るパワー部品内蔵基板は、前記ループ接続配線が、前記絶縁層の表面側又は裏面側のいずれか一方の面に複数の配線層をビアを介して交互に配設されてツイストを形成するものである。
このように、本発明に係るパワー部品内蔵基板においては、ループ接続配線が、前記絶縁層の表面側又は裏面側のいずれか一方の面に複数の配線層をビアを介して交互に配設されてツイストを形成するため、表面実装することなく部品内蔵工程で容易にツイスト配線を形成することができるという効果を奏する。
本発明に係るパワー部品内蔵基板は、前記配線の外側に配設される絶縁層と、当該絶縁層の外側に当該絶縁層を介して配設されるヒートスプレッダとを備えるものである。
このように、本発明に係るパワー部品内蔵基板においては、前記配線の外側に配設される絶縁層と、当該絶縁層の外側に当該絶縁層を介して配設されるヒートスプレッダとを備えるため、ヒートスプレッダを絶縁状態にすることができるという効果を奏する。特に、パワー半導体素子の表面又は裏面をめっき配線で直接接触して接続した場合には、非常に優れた放熱効果を実現することが可能となる。また、絶縁層を熱伝導率が高い絶縁樹脂で形成することで、セラミックスのように割れを防止するために厚みを厚くする必要なくなり小型化することができるという効果を奏する。
本発明に係るパワー部品内蔵基板は、前記ヒートスプレッダにダイヤモンドが複合されているものである。
このように、本発明に係るパワー部品内蔵基板においては、ヒートスプレッダにダイヤモンドが複合されているため、放熱性を向上させて高性能なパワー内蔵部品を実現することができるという効果を奏する。
本発明に係るパワー部品内蔵基板は、前記パワー半導体素子を配置する銅張積層板の配置領域に形成される第1開口部内に、中心部分に第2開口部を有する銅ブロックが配置され、前記第2開口部内に前記パワー半導体素子が配置されるものである。
このように、本発明に係るパワー部品内蔵基板においては、前記パワー半導体素子を配置する銅張積層板の配置領域に形成される第1開口部内に、中心部分に第2開口部を有する銅ブロックが配置され、前記第2開口部内に前記パワー半導体素子が配置されるため、銅の量を増大させて電流増加、高放熱性化及び剛性を強くすることができるという効果を奏する。
本発明に係る部品内蔵基板形成工程は、銅張積層板における少なくともパワー半導体素子及びゲートドライバ素子が内蔵される領域にキャビティ加工を行うキャビティ加工工程と、前記銅張積層板の裏面側に仮固定テープを配設する仮固定テープ貼付け工程と、前記キャビティ加工で形成された開口部に前記パワー半導体素子及びゲートドライバ素子を搭載して前記仮固定テープに固定する素子搭載工程と、前記銅張積層板の表面から絶縁樹脂を真空状態でラミネートするラミネート工程と、前記仮固定テープを剥離する仮固定テープ剥離工程と、前記銅張積層板の裏面側に平板状の配線層をめっきで形成すると共に、表面側にビア及び配線層をめっきで形成するめっき工程と、形成された前記配線層に配線パターン形成するパターン形成工程とを含むものである。
このように、本発明に係る部品内蔵基板形成工程においては、銅張積層板における少なくともパワー半導体素子及びゲートドライバ素子が内蔵される領域にキャビティ加工を行うキャビティ加工工程と、前記銅張積層板の裏面側に仮固定テープを配設する仮固定テープ貼付け工程と、前記キャビティ加工で形成された開口部に前記パワー半導体素子及びゲートドライバ素子を搭載して前記仮固定テープに固定する素子搭載工程と、前記銅張積層板の表面から絶縁樹脂を真空状態でラミネートするラミネート工程と、前記仮固定テープを剥離する仮固定テープ剥離工程と、前記銅張積層板の裏面側に平板状の配線層をめっきで形成すると共に、表面側にビア及び配線層をめっきで形成するめっき工程と、形成された前記配線層に配線パターン形成するパターン形成工程とを含むため、仮固定テープ側の面における絶縁樹脂のラミネート回数や電極露出工程を削減しつつ、パワー半導体素子とゲートドライバ素子とを同一の絶縁層に埋め込んだ部品内蔵基板を効率的に作成することができるという効果を奏する。
また、ラミネート工程において銅張積層板の表面から真空状態で絶縁樹脂をラミネートすることで、パワー半導体素子と仮固定テープとの間のボイドを確実に除去し、パワー半導体素子の裏面側に回り込む絶縁樹脂が原因となって生じるクラックの発生を抑制することができるという効果を奏する。
第1の実施形態に係るパワー部品内蔵基板の構造を示す第1の図である。 ゲート駆動素子の一例を示す回路図である。 内蔵された半導体素子に加わる応力の実験結果を示す図である。 第1の実施形態に係るパワー部品内蔵基板の構造を示す第2の図である。 第1の実施形態に係るパワー部品内蔵基板の製造工程を示す第1の図である。 第1の実施形態に係るパワー部品内蔵基板の製造工程を示す第2の図である。 第1の実施形態に係るパワー部品内蔵基板の製造工程を示す第3の図である。 第1の実施形態に係るパワー部品内蔵基板のいくつかの製造工程における実際の写真である。 第1の実施形態に係るパワー部品内蔵基板の他の製造方法を示す第1の図である。 第1の実施形態に係るパワー部品内蔵基板の他の製造方法を示す第2の図である。 第1の実施形態に係るパワー部品内蔵基板の他の製造方法を示す第3の図である。 第1の実施形態に係るパワー部品内蔵基板の他の製造方法を示す第4の図である。 第1の実施形態に係るパワー部品内蔵基板の他の製造方法を示す第5の図である。 第1の実施形態に係るパワー部品内蔵基板の他の製造方法を示す第6の図である。 第2の実施形態に係るパワー部品内蔵基板の構造を示す上面及び断面写真である。 第3の実施形態に係るパワー部品内蔵基板の構造を示す第1の図である。 従来のパワー半導体モジュールにおける表面実装の構造を示す図である。
(本発明の第1の実施形態)
本実施形態に係るパワー部品内蔵基板について、図1ないし図14を用いて説明する。本実施形態に係るパワー部品内蔵基板は、パワー半導体素子とこのパワー半導体素子を制御する駆動回路とを同一の絶縁層内に埋め込む部品内蔵基板である。
図1は、本実施形態に係るパワー部品内蔵基板の構造を示す第1の図であり、パワー半導体素子であるMOSFET10とその駆動を制御するゲートドライバ11とが同一の絶縁層12内に埋め込まれ、MOSFET10の裏面側の全面をめっき配線層20で接続しているパワー部品内蔵基板1の構造を示す図である。図1(A)はヒートスプレッダーがない場合、図1(B)はヒートスプレッダーなしでゲート駆動素子を有する場合、図1(C)はヒートスプレッダーがある場合のそれぞれの構造を示している。なお、図1(B)のゲート駆動素子については詳細を後述する。
図1(A)において、絶縁層12にMOSFET10、ゲートドライバ11及び銅ブロック13が埋め込まれて支持されており、MOSFET10は表面側の配線14にビア15を介して接続され、裏面側はビアを介することなく裏面全面に接続されるめっき配線層20が形成されている。ゲートドライバ11は表面側の配線14にビア15を介して接続され、配線14でMOSFET10と電気的に接続されている。銅ブロック13は、基板の剛性の向上、放熱性の向上及び表裏面の配線接続のために設けられており、裏面全面がめっき配線層20と接続されている。また、配線14のさらに表面側及び裏面側はソルダーレジスト16で被覆されている。
図1(B)においても、図1(A)と類似の構造となっているが、MOSFET10とゲートドライバ11との間にゲート駆動素子17を有している。ここで、ゲート駆動素子17について説明する。図2は、ゲート駆動素子の一例を示す回路図である。MOSFET10の誤動作防止やターンオフ時間を短くするために、ゲートドライバ11とMOSFET10の間にはゲート駆動素子17(例えば、抵抗等の受動部品からなる)が配設されており、ゲートドライバ11とゲート駆動素子17とでゲート駆動回路18を形成し、MOSFET10に接続する。図1(B)はゲート駆動素子17も含めたゲート駆動回路18がMOSFET10と同一の絶縁層内に埋め込まれた場合の部品内蔵基板の構造となっている。ゲートドライバ11及びゲート駆動素子17は、ビア15を介して表面側の配線14で電気的に接続される。
図1(C)は、図1(A)の構造においてヒートスプレッダ19を備える場合の構造である。部品内蔵基板の表裏面又はいずれか一方の面にヒートスプレッダー19を配設する構造は一般的に知られた構造であるが、多くはセラミックスの絶縁層を介したものである。セラミックスを用いると放熱効果を高めることが可能であるが、割れを防止するためにどうしても厚みが必要となってしまう。本実施形態に係るパワー部品内蔵基板1においては、セラミックスではなく放熱性が高い樹脂を絶縁層21に用いることで、放熱性を高めつつ厚みを薄くすることが可能となっている。具体的には、高分子絶縁材料に高い熱伝導率を持つフィラーを混合するコンポジット絶縁材料を用いることが可能である。例えば高分子絶縁材料として、熱硬化型のエポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂及び熱硬化性ポリイミド等を用いてもよく、高い熱伝導率を持つフィラーとして、アルミナ(Al)やシリカ(SiO)、窒化ホウ素(BN)のような無機セラミックス、ダイヤモンド及びカーボンナノチューブ等を用いてもよい。図1(C)においては、MOSFET10の配置位置に対応して、その表裏面に放熱性が高い絶縁材料を介してヒートスプレッダ19が配設されることで放熱効果を高めている。
図1(A)~(C)に示される通り、絶縁層12の裏面側はビア15が形成されておらず、MOSFET10や銅ブロック13の裏面全面に接続されるめっき配線層20が直接形成されている。MOSFET10は表裏面の間で通電する必要があり、表面側はビア15を介して配線14に接続し、裏面側はめっき配線層20に直接接続している。ゲートドライバ11やゲート駆動素子17は表裏面の間で通電する必要がないため、表面側のみがビア15を介して配線14に接続し、裏面側は接続する必要がない。なお、銅ブロック13については、必要に応じて表裏面の間で導通するように接続されてもよいし、裏面側のみがめっき配線層20に接続するようにしてもよい。
図1において、内蔵される各構成部品の裏面側は、めっき配線層20の面に沿って同一平面上に配置される。また、各構成部品の表面側は耐電圧を考慮する必要があるため、必ず絶縁材が充填される。つまり、各構成部品はそれぞれ異なる高さを有しているため、表面側は各構成部品の高さに応じたビア15を介して配線14に接続しつつ、配線14との間の空間は絶縁樹脂で充填される。このような構造を形成するために、各構成部品を内蔵するフレームは、各構成部品の厚み以上の厚みを有するものとなっている。また、MOSFET10や銅ブロック13の裏面全面をめっき接続するため、配線層20はMOSFET10や銅ブロック13の裏面全体を包含するようなサイズで形成される。
このように裏面全体をめっきで配線することで、裏面側にビア15を形成する必要がないため、絶縁樹脂のラミネート回数を減らし、MOSFET10の裏面側の電極露出工程を低減することが可能となる。また、裏面側におけるめっき配線層20の平坦化とMOSFET10の裏面全体を接続することによる高電流密度、高放熱性、高信頼性、MOSFET10への応力低減を実現することが可能となる。
ここで、上記のMOSFET10への応力低減についてさらに詳細に説明する。図3は、内蔵された半導体素子に加わる応力の実験結果を示す図である。発明者らは配線14(Cu配線)の厚みごとに、内蔵された半導体素子に加わる応力を調べた。図3(A)の断面写真が示すように、表面及び裏面側をどちらもビア15を介して配線14に接続した場合は、配線14の厚みが20μmを超えると半導体素子にクラックが入ってしまう。一方で、図3(B)の断面写真が示すように、半導体素子の裏面側全面にめっき配線層20を形成した場合は、100μmの厚みでめっき配線層20及び配線14を形成した場合であってもクラックが生じないことが示された。
図3(A)のように、両面をビア15で接続した場合にクラックが入った原因として考えられるのが、表面側と裏面側とにおける電極の接続面積の差によるものである。図3(A)に示す通り、クラックは接続面積が小さい表面側に向かって引っ張られるように入っていることがわかる。つまり、図3(A)の場合は、裏面側に比べて表面側の電極の接続面積が小さいため、このようなクラックが生じたと考えられる。一方で、図3(B)においては表面側と裏面側とで接続面積が異なるにも関わらずクラックが生じていない。これは、図3(B)に示す端部領域Rにおける半導体素子とめっき配線層20との接続状態に大きく依存していると考えられる。すなわち、半導体素子の裏面側における端部領域Rを含む裏面全面がめっき配線層20に接続されることで、内蔵される半導体素子への応力を緩和することが可能であることが明らかとなった。これは、スイッチング用半導体素子やRFアンプに用いられる半導体素子のように、表面側と裏面側とで電極面積が異なるような部品内蔵基板において非常に有効な構造となる。また、半導体素子の裏面側端部におけるエッジ部分には応力が集中しやすくなるため、裏面側端部のエッジが露出しないように裏面側全面をめっき配線層20に接合することで、配線にある程度の厚みがあっても半導体素子のクラックを防止することが可能となる。
図4は、本実施形態に係るパワー部品内蔵基板の構造を示す第2の図である。図1の場合と同様に、MOSFET10とゲートドライバ11とが同一の絶縁層内に埋め込まれているパワー部品内蔵基板1の構造を示す図であるが、図1の場合と異なるのはMOSFET10とゲートドライバ11との間の接続配線をツイスト状に形成していることである。図4(A)はコア層を介してツイスト配線を形成した場合、図4(B)は表面側でツイスト配線を形成した場合の構造を示し、図4(C)はツイスト配線構造の一例を示している。
図4においてゲート・ソースループをツイスト配線構造にしている。そのため、ゲートループの寄生インダクタンスを大幅に下げることが可能となっている。したがって、この構造によりスイッチング半導体素子のスイッチング損失を低減して高速なスイッチングが可能となる。図4(A)の場合はコア層を介してのツイスト配線構造であり、コア層は銅ブロック13又はビア15で層間を貫通し(図4(A)においては銅ブロック13を使用した場合を示す)、表面側及び裏面側において配線14でそれぞれの銅ブロック13又はビア15を接続することで図4(C)に示すようなツイスト配線構造を実現することが可能となっている。図4(B)の場合は表面側でツイスト配線構造を形成しており、コア層の表面側を第1層(n1層とする)とし、その更に表面側の第2層(n2層とする)との間でツイスト配線構造が形成されている。n1層とn2層との間はビア15で接続され、各n1層及びn2層においてはビア15同士を配線14で接続することで図4(C)に示すようなツイスト配線構造を実現することが可能となっている。
図4(A)の場合はコア層の厚みが200~500μmであることからツイストの幅も同様のサイズとなる。これに対して図4(B)の場合は表面側のn1層及びn2層の厚みが20μm程度となりツイストの幅も小さくなるため、図4(B)の構造の方が磁束の影響をより抑えることが可能になる。
次に、本実施形態に係るパワー部品内蔵基板の製造方法について説明する。ここでは、図1(A)に示した構造の製造工程について説明する。図5ないし図7は、本実施形態に係るパワー部品内蔵基板の製造工程を示す図、図8は、本実施形態に係るパワー部品内蔵基板のいくつかの製造工程における実際の写真である。なお、以下の製造工程において、一般的なプリント基板プロセスとして知られているステップについては詳細に説明することを省略している。
まず、図5(A)で銅張積層板(CCL:Copper Clad Laminate)を用意する。銅張積層板に対してアラインメント用スルーホールを形成し、ドライフィルム(DRF)ラミネート、プリント基板用露光機によるDRF露光、プリント基板用現像機によるDRF現像、ケミカルエッチング(例えば、水平搬送タイプで塩化銅を用いる)によるCuエッチング、レジスト剥離装置によるDRF剥離により、図5(B)のアラインメントマークを形成する。図5(C)でルータ加工、パンチング加工又はレーザ加工等により部品を搭載するための貫通孔のキャビティ加工を行う。ここまでの工程により図8(A)のフレームが製造される。図5(D)で搭載する部品を仮固定するための仮固定テープを基板の裏面側に張り付ける。このときのフレーム厚は、搭載される部品のうち最も厚い(高さがある)部品の厚み以上のフレーム厚としておく。ここまでの工程により図8(B)が製造される。図5(E)で部品を搭載する。裏面側の接続を行うMOSFET10はフェイスアップ搭載を行い、裏面側の接続が不要なゲートドライバ11はフェイスダウン搭載を行う。本実施形態においては、MOSFET10やゲートドライバ11以外にも、例えば半導体パッケージ、受動部品、銅ブロック13等を含むその他部品等を搭載することが可能であり、それぞれは異なる厚みを有するものであってもよい。
図5(E)で部品が搭載されると、図6(A)でフィルム状絶縁樹脂ラミネートを行う。ここでは、絶縁樹脂をラミネートする前にMOSFET10やその他部品と仮固定テープとの間のボイドを抜いて密着性を向上させるために真空ラミネートを行う。図6(B)で仮固定テープを剥離してプラズマ洗浄する。仮固定テープを用いることでMOSFET10の裏面側を研磨して露出させるといった作業が必要なくなり、製造効率を上げることが可能となっている。図6(C)で表現側にレーザービア加工をしてデスミア処理を行う。ここまでの工程により図8(C)が製造される。図6(D)で表面及び裏面に無電解銅めっきを行う。無電解銅めっき以外にもTi/Cuスパッタを表面及び裏面に行ってもよい。ここまでの工程により図8(D)が製造される。図6(E)で表面側及び裏面側の両面同時に電解銅めっきを行いパターンを形成し、ドライフィルムラミネートの密着性を良くするためにソフトエッチングを行う。ここまでの工程により図8(E)が製造される。
図6(E)でソフトエッチングが行われると、図7(A)でドライフィルム(DRF)ラミネートを行う。その後、プリント基板用露光機によるDRF露光、プリント基板用現像機によるDRF現像、ケミカルエッチング(例えば、水平搬送タイプで塩化銅を用いる)によるCuエッチング、レジスト剥離装置によるDRF剥離、オーブンによるベーキング処理を行うことで図7(B)のようなパターンが形成される。図7(C)でCu配線の表面を粗化し、図7(D)でソルダーレジストラミネートを行う。その後、プリント基板用露光機によるソルダーレジスト露光、プリント基板用現像機によるソルダーレジスト現像を行い、オーブンでソルダーレジストキュアを行い、表面及び裏面にプラズマ洗浄を行う。そして、図7(E)で無電解Ni/Auめっき装置による最終表面処理を行い、ピース分離して製造工程を完了する。
以上のような工程により本実施形態に係るパワー部品内蔵基板が製造される。なお、上記製造工程はあくまで一例を示したものであり、本実施形態に係るパワー部品内蔵基板の製造工程は上記に限定されるものではない。上記以外に例えば以下のような手法も実現可能である。
図9は、本実施形態に係るパワー部品内蔵基板の他の製造方法を示す第1の図である。ここでは、MOSFET10をフェイスダウン搭載する場合に、当該MOSFET10の裏面側(パワー部品内蔵基板の表面側)を全面接続する。図9(A)では全面接続をしたいMOSFET10の裏面側を上にして(フェイスダウンで)仮固定テープに部品を搭載する。図9(B)で絶縁樹脂をラミネートし部品を埋め込む。図9(C)で仮固定テープを剥がし、パワー部品内蔵基板の裏面側に絶縁樹脂をラミネートする。図9(D)で表面側はプラズマエッチング又はサンドブラストを行い、裏面側はレーザービア加工する。図9(E)で表層のパターンを形成する。なお、図9の製造工程において、他の製造工程は図5ないし図7に示した場合と同じであるため詳細な説明は省略する。
図10は、本実施形態に係るパワー部品内蔵基板の他の製造方法を示す第2の図である。ここでは、MOSFET10等の半導体素子の表面側の電極をレーザービアを用いずに露出させる。図10(A)は全面接続したい面を仮固定テープ側にして部品搭載し、表面側の配線14に接続するためのCu電極体22を半導体素子等の端子に配設する。この状態で図10(B)で絶縁樹脂による部品埋め込みを行い、図10(C)でCu電極体22が露出する程度に絶縁樹脂を切削又はプラズマエッチングを行う。これにより、レーザービアを用いずにパワー部品内蔵基板のパッケージを製造することが可能となる。
図11は、本実施形態に係るパワー部品内蔵基板の他の製造方法を示す第3の図である。ここでは、銅張積層板のCu配線を残したまま図5ないし図7の工程を行うことで銅量を増やし導電性と放熱性を向上させるものである。図5においては、図5(A)から図5(B)の工程の間のCuエッチングにより銅張積層板の銅箔が除去されているが、図11(A)ではフレームに銅箔の配線パターンを残したまま部品搭載を行う。図11(B)で部品の埋め込みを行い、図11(C)でレーザービア加工を行う。この部品内蔵工程は図5ないし図7の場合と同じである。そして、図11(D)においてフレームの銅箔と銅めっきを一体的にした表層パターンを形成することで、銅の量を増加したパワー部品内蔵基板の製造が可能となる。
図12は、本実施形態に係るパワー部品内蔵基板の他の製造方法を示す第4の図である。ここでは、裏面接続が必要なMOSFET10はフェイスアップ搭載を行い、表面接続のみが必要な半導体素子等についてはフェイスダウン搭載を行う。図12(A)の部品搭載時に、MOSFET10についてはフェイスアップで搭載し、例えばゲートドライバ11についてはフェイスダウンで搭載する。図12(B)で部品の埋め込みを行い、図12(C)でレーザービア加工を行う。この部品内蔵工程は図5ないし図7の場合と同じである。そして、図12(D)において表層の配線パターンを形成する。この手法を用いれば、部品搭載時にフェイスダウンとフェイスアップを混載することが可能となる。
図13は、本実施形態に係るパワー部品内蔵基板の他の製造方法を示す第5の図である。ここでは、図12と同様に、裏面接続が必要なMOSFET10はフェイスアップ搭載を行い、表面接続のみが必要な半導体素子等についてはフェイスダウン搭載を行う。このとき、フェイスダウン側に一度絶縁層をラミネートして配線を行うことで半導体素子の絶縁性を確実に確保する。図13(A)~(C)は図12(A)~(C)と同じである。図13(D)で表面接続が必要な半導体素子以外(例えばゲートドライバ11以外)の配線について表層パターンを形成する。図13(E)で裏面側に絶縁樹脂をラミネートし、表面接続する半導体素子の接続用にレーザービア加工する。そして、図13(F)で裏面側配線を形成する。
図14は、本実施形態に係るパワー部品内蔵基板の他の製造方法を示す第6の図である。ここでは、図14(A)~(D)の工程が図13(A)~(D)の工程と同じである。図13(E)では裏面側にのみ絶縁樹脂をラミネートしたが、図14(E)では表面側にも絶縁樹脂をラミネートしている。工程としては同じ処理であるため、図14(F)に示すように、作業工数を増やすことなく銅の配線量を増やすことが可能になる。
このように、本実施形態に係るパワー部品内蔵基板においては、絶縁層12に埋め込まれたMOSFET10等のパワー半導体素子と、当該パワー半導体素子が埋め込まれた絶縁層12と同一の絶縁層12に埋め込まれたパワー半導体素子を制御するためのゲートドライバ11と、絶縁層12の表面側及び裏面側の両方の面にパワー半導体素子の電極端子に接続する配線14を備えると共に、絶縁層12の表面側又は裏面側のいずれか一方の面にゲートドライバ11の電極端子に接続する配線14とを備えることで、パワー半導体素子とゲートドライバ11とを可能な限り近づけて配置することができ、且つ表面実装が不要となることで基板の表裏の凹凸が発生せず、パワー半導体素子の表面及び裏面に対してヒートスプレッダ19を取付やすくなる。
また、MOSFET10の裏面側の配線が当該MOSFET10の電極端子全面と直接接触するめっき配線層20で接続されており、他方の配線14がパワー半導体素子の電極端子とビア15を介して接続されているため、裏面側におけるパワー半導体素子のめっき配線層20との接触面積を最大にすることが可能となり、高電流密度、高放熱性、高信頼性、パワー半導体素子への応力低減を実現することができる。また、表面側のみがビア15での接続になるため裏面側でビア15を形成する必要がなくなり絶縁樹脂のラミネート回数や裏面側の電極露出工程を削減して製造工程を簡素化することができる。
さらに、MOSFET10等のパワー半導体素子とゲートドライバ11との間のループ接続配線がツイスト状に形成されているため、パワー半導体素子とゲートドライバ11との間のループの寄生インダクタンスを大幅に低減することが可能となり、スイッチング損失を減らすことができる。
さらにまた、配線14の外側に配設される放熱性が高い樹脂からなる絶縁層21と、当該絶縁層21の外側に当該絶縁層21を介して配設されるヒートスプレッダ19とを備えるため、ヒートスプレッダ19を絶縁状態にすることが可能となる。特に、パワー半導体素子の表面又は裏面をめっき配線層20で直接接触して接続した場合には、非常に優れた放熱効果を実現することが可能となる。また、絶縁層21を熱伝導率が高い絶縁樹脂で形成することで、セラミックスのように割れを防止するために厚みを厚くする必要なくなり小型化することができる。
なお、銅ブロック13は、必ずしもCuに限定するものではなく、Cu-W、Cu-Mo、CPC、invar、42Alloy等を用いた合金を含む金属ブロックであればよい。このとき、周囲の絶縁受信や半導体素子の線膨張係数に合わせて適宜最適な金属ブロックを適用することで、応力を分散させてクラック等の発生を低減することができる。
(本発明の第2の実施形態)
本実施形態に係るパワー部品内蔵基板について、図15を用いて説明する。本実施形態に係るパワー部品内蔵基板は、パワー半導体素子を配置する銅張積層板の配置領域のコア層に第1開口部を設け、その第1開口部に中心部分に第2開口部を有する銅ブロックを配置し、第2開口部内にパワー半導体素子を配置することで、銅の量を増加させて許容電流の増加と高放熱化を実現するものである。なお、本実施形態において前記第1の実施形態と重複する説明は省略する。
図15は、本実施形態に係るパワー部品内蔵基板の構造を示す上面及び断面写真であり、図15(A)が上面写真、図15(B)が断面写真である。図15に示すように、銅張積層板30におけるパワー半導体素子(ここでは、MOSFET10とする)が配置される配置領域R1のコア層に矩形状の第1開口部31が形成されている。この第1開口部31の中には当該第1開口部31の矩形よりも僅かに小さい外形を有する銅ブロック32が嵌入されており、銅ブロック32の中心部分にはMOSFET10を搭載するための矩形状の第2開口部33が形成されている。第2開口部33の矩形は、MOSFET10の外形より大きく形成されており、銅ブロック32とMOSFET10との間には絶縁樹脂が充填されている。このような構造により銅ブロック32による許容電流の増加と高放熱性を実現することが可能となっている。
なお、ここでも、第1の実施形態において説明したようにMOSFET10の裏面側端部のエッジが露出しないようにMOSFET10の裏面側全面がめっき配線層20と直接接触するようにめっき配線層20が形成されることが望ましい。
また、銅ブロック32は、第1の実施形態の場合と同様に必ずしもCuに限定するものではなく、Cu-W、Cu-Mo、CPC、invar、42Alloy等を用いた合金を含む金属ブロックであればよい。
(本発明の第3の実施形態)
本実施形態に係るパワー部品内蔵基板について、図16を用いて説明する。本実施形態に係るパワー部品内蔵基板は、ダイヤモンドを含有する銅めっきにより放熱性を向上させるものである。なお、本実施形態において前記各実施形態と重複する説明は省略する。
上記に示したようなMOSFET10等のパワー半導体素子とゲートドライバ11とを同一の絶縁層に埋め込む場合に、GaN基板(窒化ガリウム基板)を用いることで非常に高品質なパワー部品内蔵基板を実現することができる。この場合パワー半導体素子の裏面側の電極は、電気的には不要であるものの放熱のためには必要である。すなわち、熱伝導率が高い材料であれば抵抗が大きい材料であっても使用することが可能である。熱伝導率が高く放熱性が良い材料としては銀やダイヤモンドがあり、本実施形態においては銅めっきにダイヤモンドを複合させることでGaN基板の裏面側の放熱性を高めるものである。また、本実施形態においてはヒートスプレッダ19の銅板にダイヤモンドを含有させることで放熱性が高い埋め込み型のヒートスプレッダ19とする。
図16は、本実施形態に係るパワー部品内蔵基板の構造を示す図である。図16(A)はヒートスプレッダなしで裏面側のみをダイヤモンド含有銅めっきとした場合、図16(B)は図16(A)においてゲート駆動素子17を有する場合、図16(C)はヒートスプレッダの銅めっきにダイヤモンドを含有する場合の構造を示している。
図16に示すように、電気的な機能が必要ない箇所における銅めっき層にダイヤモンドを複合することで、放熱性を高めた配線及びヒートスプレッダを実現することが可能となる。
ここで、ダイヤモンドの熱伝導率と線膨張係数について説明する。ダイヤモンドの粒形に対する熱伝導率に関するデータが参考文献1(Katsuhito Yoshida, Hideaki Morigami, “Thermal properties of diamond/cupper composite material”, Microelectronics Reliability, Volume 44, Issue 2, February 2004, Pages 303-308.)に開示されている。参考文献1のFig.3において、ダイヤモンドの粒形が20-30μmの場合はダイヤモンドの量に応じて200~450W/mk程度の熱伝導率を示し、ダイヤモンドの粒形が40-60μmの場合はダイヤモンドの量に応じて500~700W/mk程度の熱伝導率を示し、ダイヤモンドの粒形が90-100μmの場合はダイヤモンドの量に応じて550~750W/mk程度の熱伝導率を示すことが開示されている。
これらのデータから、銅の熱伝導率が400W/mk程度であることを考えると、本実施形態において銅めっきに複合するダイヤモンドの粒形を20μm以上とすることで銅よりも高い熱伝導率とすることができる。
なお、ダイヤモンドの粒形を20μm以上とした場合に、銅めっきの配線の厚みに対して大きすぎるときは、粒形がナノサイズ(数nm~数十nm程度)のダイヤモンドが複合された銅めっき配線を形成するようにしてもよい。
また、ダイヤモンドの線膨張係数について、ダイヤモンドの量が増えるに連れて線膨張係数が反比例して小さくなるというデータがFig.4に開示されており、ダイヤモンドの量が50%の場合に11.5ppm/K程度の線膨張係数、ダイヤモンドの量が10%増えるごとに2.5ppm/K程度ずつの線膨張係数の低下を示すことが知られている。つまり、例えば銅(18ppm/K程度)とシリコン(3ppm/K程度)との線膨張係数の差があった場合に、銅のめっき層にダイヤモンドを70%程度複合すると銅+ダイヤモンド(約6.5ppm/K程度)とシリコン(3ppm/K程度)との線膨張係数の差は3.5ppm/K程度となり、線膨張係数の差による応力を格段に低減することができる。したがって、本実施形態においては、銅の線膨張係数18ppm/K程度よりも小さい線膨張係数となるようなダイヤモンドの含有量である25%程度以上とすることが望ましい。
このように、本実施形態に係るパワー部品内蔵基板においては、パワー半導体素子の裏面側のめっき配線層20やヒートスプレッダ19にダイヤモンドが複合されているため、放熱性を向上させて高性能なパワー内蔵部品を実現することができる。
1 パワー部品内蔵基板
10 MOSFET
11 ゲートドライバ
12 絶縁樹脂
13 銅ブロック
14 配線
15 ビア
16 ソルダーレジスト
17 ゲート駆動素子
18 ゲート駆動回路
19 ヒートスプレッダ
20 めっき配線層
21 絶縁層
22 Cu電極体
30 銅張積層板
31 第1開口部
32 銅ブロック
33 第2開口部

Claims (8)

  1. 絶縁層に埋め込まれたパワー半導体素子と、
    前記パワー半導体素子が埋め込まれた前記絶縁層と同一の絶縁層に埋め込まれた前記パワー半導体素子を制御するためのゲートドライバ素子と、
    前記絶縁層の表面側及び裏面側の両方の面に前記パワー半導体素子の電極端子に接続する配線を備えると共に、前記絶縁層の表面側又は裏面側のいずれか一方の面に前記ゲートドライバ素子の電極端子に接続する配線とを備え、
    前記パワー半導体素子の表面側又は裏面側のいずれか一方の配線が少なくとも前記パワー半導体素子の電極端子全面と直接接触して接続されており、他方の配線が前記パワー半導体素子の電極端子とビアを介して接続されていることを特徴とするパワー部品内蔵基板。
  2. 請求項1に記載のパワー部品内蔵基板において、
    前記パワー半導体素子と前記ゲートドライバ素子との間のループ接続配線がツイスト状に形成されているパワー部品内蔵基板。
  3. 請求項2に記載のパワー部品内蔵基板において、
    前記ループ接続配線が、前記絶縁層の表面側と裏面側とに交互に配設されてツイストを形成するパワー部品内蔵基板。
  4. 請求項2に記載のパワー部品内蔵基板において、
    前記ループ接続配線が、前記絶縁層の表面側又は裏面側のいずれか一方の面に複数の配線層をビアを介して交互に配設されてツイストを形成するパワー部品内蔵基板。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載のパワー部品内蔵基板において、
    前記配線の外側に配設される絶縁層と、
    当該絶縁層の外側に当該絶縁層を介して配設されるヒートスプレッダとを備えるパワー部品内蔵基板。
  6. 請求項5に記載のパワー部品内蔵基板において、
    前記ヒートスプレッダにダイヤモンドが複合されているパワー部品内蔵基板。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載のパワー部品内蔵基板において、
    前記パワー半導体素子を配置する銅張積層板の配置領域に形成される第1開口部内に、中心部分に第2開口部を有する金属ブロックが配置され、前記第2開口部内に前記パワー半導体素子が配置されるパワー部品内蔵基板。
  8. 銅張積層板における少なくともパワー半導体素子及びゲートドライバ素子が内蔵される領域にキャビティ加工を行うキャビティ加工工程と、
    前記銅張積層板の裏面側に仮固定テープを配設する仮固定テープ貼付け工程と、
    前記キャビティ加工で形成された開口部に前記パワー半導体素子及びゲートドライバ素子を搭載して前記仮固定テープに固定する素子搭載工程と、
    前記銅張積層板の表面から絶縁樹脂を真空状態でラミネートするラミネート工程と、
    前記仮固定テープを剥離する仮固定テープ剥離工程と、
    前記銅張積層板の裏面側に平板状の配線層をめっきで形成すると共に、表面側にビア及び配線層をめっきで形成するめっき工程と、
    形成された前記配線層に配線パターン形成するパターン形成工程とを含むことを特徴とする部品内蔵基板形成方法。

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