JP2022095393A - 二色発泡成形品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 優れた断熱性及び強度を有し、かつ一次発泡成形品と二次発泡成形品の密着性に優れた二色発泡成形品の製造方法を提供する。【解決手段】 超臨界流体を含む第一の溶融樹脂を第一の金型内の第一のキャビティに充填する第一の充填工程(a-1)と、第一のキャビティに充填された第一の溶融樹脂が固化し終わる前に、第一の金型の一部を移動させて、第一のキャビティの容積を拡大させる第一のコアバック工程(a-2)とを含む、一次発泡成形品を成形する工程(A)と、一次発泡成形品が配置された前記第一の金型内の第二のキャビティに、超臨界流体を含む第二の溶融樹脂を充填する第二の充填工程(b-1)と、第二のキャビティに充填された第二の溶融樹脂が固化し終わる前に、第一の金型の一部を移動させて、第二のキャビティの容積を拡大させる第二のコアバック工程(b-2)とを含む、一次発泡成形品と接する二次発泡成形品を成形する工程(B)とを備える二色発泡成形品の製造方法。【選択図】 図5
Description
本発明は、二色発泡成形品の製造方法に関する。
発泡成形体は、一般的に樹脂組成物を発泡させることで得られ、軽量化、コスト削減ができ、また、断熱性をもたせることができる。そのため、食品用容器、日用品、家庭用電化製品等の様々な用途に用いられている。
樹脂成形品の加工方法の一つとして、二つの材料を一体成形する二色成形がある。上記発泡成形体は、二色成形に用いられることもある。例えば、特許文献1では、一面に突出形成された突条部を有する基材と、上記基材における突条部が設けられた位置を上記突条部の先端部を除いて覆う発泡体とを備えた複層部材の製造方法が開示されており、上記基材の成形後に画成した第2のキャビティに発泡樹脂原料を注入した後、コアバックを行うことで、上記発泡樹脂原料を発泡膨張させて上記発泡体を成形することが開示されている。
発泡成形品は、断熱性に優れるものの、充分な強度を確保するには検討の余地があった。発泡成形品を一次成形品として、更に二次成形品を付加することで、強度を向上させることも考えられるが、二色成形によって得られた成形品(二色成形品)は、一次成形品と二次成形品との密着性が不充分であると剥離することがあった。
本発明は、上記現状に鑑みてなされたものであり、優れた断熱性及び強度を有し、かつ一次発泡成形品と二次発泡成形品の密着性に優れた二色発泡成形品の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、断熱性に優れた発泡成形品を得る方法として、超臨界流体を含む溶融樹脂を用いて、コアバック法により射出成形する方法に着目した。このような製造方法により得られた発泡成形品は、断面が無発泡層/発泡層/無発泡層で構成されており、断熱性に優れる。本発明者らは、上記発泡成形品の強度を向上させる方法を検討し、上記発泡成形品を一次成形品として、二次成形品を付加する二色成形方法を検討し、一次成形品、二次成形品をともに、超臨界流体を含む溶融樹脂を用いてコアバック法により射出成形することで、一次成形品と二次成形品の密着性を向上させることができることを見出し、本発明を完成した。
本発明の一形態は、超臨界流体を含む第一の溶融樹脂を第一の金型内の第一のキャビティに充填する第一の充填工程(a-1)と、上記第一のキャビティに充填された上記第一の溶融樹脂が固化し終わる前に、上記第一の金型の一部を移動させて、上記第一のキャビティの容積を拡大させる第一のコアバック工程(a-2)とを含む、一次発泡成形品を成形する工程(A)と、上記一次発泡成形品が配置された上記第一の金型内の第二のキャビティに、超臨界流体を含む第二の溶融樹脂を充填する第二の充填工程(b-1)と、上記第二のキャビティに充填された上記第二の溶融樹脂が固化し終わる前に、上記第一の金型の一部を移動させて、上記第二のキャビティの容積を拡大させる第二のコアバック工程(b-2)とを含む、上記一次発泡成形品と接する二次発泡成形品を成形する工程(B)とを備える二色発泡成形品の製造方法である。
本発明の他の一形態は、超臨界流体を含む第一の溶融樹脂を第一の金型内の第一のキャビティに充填する第一の充填工程(a-1)と、上記第一のキャビティに充填された上記第一の溶融樹脂が固化し終わる前に、上記第一の金型の一部を移動させて、上記第一のキャビティの容積を拡大させる第一のコアバック工程(a-2)とを含む、一次発泡成形品を成形する工程(A)と、上記第一の金型から取り出した上記一次発泡成形品を第二の金型内に配置し、上記一次発泡成形品が配置された上記第二の金型内の第三のキャビティに、超臨界流体を含む第二の溶融樹脂を充填する第三の充填工程(c-1)と、上記第三のキャビティに充填された上記第二の溶融樹脂が固化し終わる前に、上記第二の金型の一部を移動させて、上記第三のキャビティの容積を拡大させる第三のコアバック工程(c-2)とを含む、上記一次発泡成形品と接する二次発泡成形品を成形する工程(C)とを備える二色発泡成形品の製造方法である。
上記第一の溶融樹脂に主成分として含まれる樹脂と、上記第二の溶融樹脂に主成分として含まれる樹脂とは、同種類の樹脂であることが好ましい。
上記第一の溶融樹脂に主成分として含まれる樹脂と、上記第二の溶融樹脂に主成分として含まれる樹脂とは、異なる種類の樹脂であり、かつ、上記第一の溶融樹脂及び上記第二の溶融樹脂の少なくとも一方の溶融樹脂は、他方の溶融樹脂に主成分として含まれる樹脂を含むことが好ましい。
本発明の製造方法により製造される二色発泡成形品は、少なくとも一部の断面が、無発泡層、発泡層、無発泡層、発泡層、無発泡層の5層をこの順に含むことが好ましい。
本発明の二色発泡成形品の製造方法により製造された優れた二色発泡成形品は、優れた断熱性及び強度を有し、かつ一次発泡成形品と二次発泡成形品との密着性に優れる。
以下に実施形態を掲げ、本発明について図面を参照して更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではない。また、各実施形態の構成は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜組み合わされてもよいし、変更されてもよい。
<実施形態1>
実施形態1では、一つの金型を用いて、一次発泡成形品と二次発泡成形品とを連続して成形する二色発泡成形品の製造方法について説明する。
実施形態1では、一つの金型を用いて、一次発泡成形品と二次発泡成形品とを連続して成形する二色発泡成形品の製造方法について説明する。
実施形態1に係る二色発泡成形品の製造方法は、超臨界流体を含む第一の溶融樹脂を第一の金型内の第一のキャビティに充填する第一の充填工程(a-1)と、上記第一のキャビティに充填された上記第一の溶融樹脂が固化し終わる前に、上記第一の金型の一部を移動させて、上記第一のキャビティの容積を拡大させる第一のコアバック工程(a-2)とを含む、一次発泡成形品を成形する工程(A)と、上記一次発泡成形品が配置された上記第一の金型内の第二のキャビティに、超臨界流体を含む第二の溶融樹脂を充填する第二の充填工程(b-1)と、上記第二のキャビティに充填された上記第二の溶融樹脂が固化し終わる前に、上記第一の金型の一部を移動させて、上記第二のキャビティの容積を拡大させる第二のコアバック工程(b-2)とを含む、上記一次発泡成形品と接する二次発泡成形品を成形する工程(B)とを備えることを特徴とする。
以下に図1~図6を用いて、実施形態1に係る二色発泡成形品の製造方法について説明する。実施形態1に係る二色発泡成形品の製造方法は、一次発泡成形品を成形する工程(A)と、上記一次発泡成形品と接する二次発泡成形品を成形する工程(B)とを備える。
(一次発泡成形品の成形)
一次発泡成形品を成形する工程(A)は、第一の充填工程(a-1)と、第一のコアバック工程(a-2)とを含む。第一の充填工程(a-1)は、超臨界流体を含む第一の溶融樹脂を第一の金型内の第一のキャビティに充填する工程である。第一の充填工程(a-1)は、樹脂組成物に超臨界流体を含浸しながら射出成形を行なう方法(以後、超臨界射出成形ともいう。)により行われることが好ましい。第一の充填工程(a-1)は、例えば、射出成形機と超臨界流体発生機とが連結された装置を用いて行うことができる。射出成形機と超臨界流体発生機とが連結された装置としては、例えば、MuCell射出成形機(MuCellはTrexel.co.Ltdの登録商標)等が挙げられる。
一次発泡成形品を成形する工程(A)は、第一の充填工程(a-1)と、第一のコアバック工程(a-2)とを含む。第一の充填工程(a-1)は、超臨界流体を含む第一の溶融樹脂を第一の金型内の第一のキャビティに充填する工程である。第一の充填工程(a-1)は、樹脂組成物に超臨界流体を含浸しながら射出成形を行なう方法(以後、超臨界射出成形ともいう。)により行われることが好ましい。第一の充填工程(a-1)は、例えば、射出成形機と超臨界流体発生機とが連結された装置を用いて行うことができる。射出成形機と超臨界流体発生機とが連結された装置としては、例えば、MuCell射出成形機(MuCellはTrexel.co.Ltdの登録商標)等が挙げられる。
図1は、二色発泡成形品の作製に使用する成形装置の一例を説明するための模式図である。図1に示したように、成形装置20は、材料を投入するホッパ21、スクリュ23を備えた加熱シリンダ22、ノズル24を備える射出成形機に、注入制御部27を介してボンベ25及び超臨界流体発生部26が接続されている。加熱シリンダ22内で溶解させた樹脂組成物に、超臨界流体発生部26から発生した超臨界流体を高圧力下で注入し、スクリュ23で攪拌することで、樹脂組成物と超臨界流体との単一相溶解物である第一の溶融樹脂が得られる。
図2は、実施形態1における第一の充填工程を説明する模式図であり、コアバック前の状態を示す。図2に示したように、射出成形装置のノズル24から注入された第一の溶融樹脂30は、ランナ103を通って、金型の樹脂注入口104から第一の金型100内の第一のキャビティ110に充填される。図中、点線で囲んだ領域が第一のキャビティ110である。
第一の金型100としては、凸形状を有する雄型101と凹形状を有する雌型102を有するものが挙げられる。雄型101と雌型102を嵌合させた状態で形成される空隙が、第一のキャビティ110となる。雄型101及び/又は雌型102の少なくとも一部分は、第一のキャビティ110の容積を増大させる方向に可動することが好ましい。樹脂注入口104は、雄型101と雌型102のいずれに設けられてもよい。
第一の溶融樹脂30に含まれる樹脂としては、例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン、ポリ乳酸(PLA)、ポリスチレン(PS)、ポリフェニレンエーテル(PPE)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリブチレンサクシネートアジペート(PBSA)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリアセタール(POM)、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンアジペートテレフタレート(PBAT)等が挙げられる。これらは、単独で用いてもよく、2種以上の樹脂を併用してもよい。上記樹脂は、熱可塑性樹脂であることが好ましい。
第一の溶融樹脂30は、上記樹脂のいずれか一つを主成分として含むことが好ましい。第一の溶融樹脂30に主成分として含まれる樹脂とは、第一の溶融樹脂30に含まれる樹脂のうち、重量換算で最も含有量が多い樹脂をいう。
第一の溶融樹脂30は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリカプロラクトン又はポリブチレンアジペートテレフタレート等を主成分として含むことが好ましい。ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネートは、単独で発泡起点を形成しにくく、加えて、発泡起点の形成よりも結晶化が優先的に進みやすく、発泡生成を阻害する傾向がある。そのため、発泡起点を形成させやすくする観点からは、第一の溶融樹脂30は、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリカプロラクトン又はポリブチレンアジペートテレフタレート等を2種以上含むことが好ましい。
第一の溶融樹脂30は、上記樹脂以外に、酸変性ポリオレフィン等を含有してもよい。上記酸変性ポリオレフィンとしては、例えば、ポリオレフィンに不飽和カルボン酸、不飽和カルボン酸のエステル、又は、不飽和カルボン酸の無水物を付加反応することによって得られるものが挙げられる。不飽和カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、及び、イタコン酸等が挙げられる。不飽和カルボン酸のエステルとしては、例えば、マレイン酸モノメチルエステル、マレイン酸モノエチルエステル、マレイン酸ジエチルエステル、及び、フマル酸モノメチルエステル等が挙げられる。不飽和カルボン酸の無水物としては、例えば、無水イタコン酸、及び、無水マレイン酸等が挙げられる。上記酸変性ポリオレフィンとしては、無水マレイン酸変性ポリプロピレン、無水マレイン酸変性ポリエチレン等の無水マレイン酸変性ポリオレフィン、グリシジルメタクリレート変性ポリオレフィン等が好適に用いられる。上記酸変性ポリオレフィンは、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第一の溶融樹脂30が複数の種類の樹脂を含有する場合、加工温度が近い樹脂を含むことが好ましい。例えば、第一の溶融樹脂30としては、ポリプロピレン又はポリエチレンと、ポリ乳酸と、酸変性ポリオレフィンとの混合物が好適に用いられる。ポリプロピレン及びポリエチレンは、ポリ乳酸とは互いに溶解しない非相溶系のポリマーであるため、混合しても互いに溶解せず、界面が形成される。したがって、超臨界流体を用いた発泡において、その界面を発泡起点(発泡核)として用いることができる。一方で、均一に発泡した発泡成形品を製造するためには、発泡させる前の第一の溶融樹脂30を均一に分散することが求められる。このため、酸変性ポリオレフィンを添加することで、ポリプロピレン又はポリエチレンと、ポリ乳酸とを相溶化し、分散性を向上させる。これにより、発泡成形品の内部に、多数の微細な気泡(粒子径の小さい発泡粒子)を均一に存在させることができ、断熱性、強度及び軽量性等の特性に優れた発泡成形品を製造できる。
第一の溶融樹脂30としては、加工温度が近いポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド6、ポリアミド66、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂及びポリスチレンのうち、いずれか一つを主成分とし、他の樹脂を主成分以外の成分として含むことが好ましい。これらの樹脂は、単独でも発泡起点を形成しやすく、結晶化による発泡阻害が起こり難い。また、上記ポリプロピレン等と比べて、強度、耐熱性が高い発泡成形品を得ることができる。
第一の溶融樹脂30は、タルク、マイカ、モンモリロナイト等の層状ケイ酸塩;炭酸カルシウム、グラスファイバー、セルロース繊維等のフィラーを含有してもよい。これらのフィラーは、発泡成形品の表面に発生しやすい膨れ等の成形不良を改善し、また発泡起点としても機能する。
上記発泡成形品は、その表面等に、模様、色彩又は文字等の装飾を施してもよい。このような装飾を施す場合、上記第一の溶融樹脂に顔料フィラー、カラーマスターバッチ等を添加してもよい。
第一の溶融樹脂30は、超臨界流体を含む。上記超臨界流体としては、例えば、二酸化炭素、窒素、アルゴン、及び、ヘリウム等の不活性ガスの超臨界流体が挙げられる。なかでも、二酸化炭素、又は、窒素の超臨界流体が好ましく、窒素の超臨界流体がより好ましい。超臨界流体を用いることで、発泡粒子径を小さくすることができる。また、超臨界流体を用いた発泡成形品は、化学発泡剤を用いた発泡成形品より、発泡成形後にガスが発生し難いため、一次発泡成形品と二次発泡成形品との間に発生したガスが滞留することなく、一次発泡成形品と二次発泡成形品との密着性が低下することを抑制できる。
下記式(1)で表される超臨界流体の充填量は、0.05重量%以上、4.0重量%以下であることが好ましい。上記超臨界流体の充填量のより好ましい下限は0.08重量%であり、より好ましい上限は3.5重量%である。
超臨界流体の充填量(単位:重量%)=[(超臨界流体の流量×超臨界流体の流入時間×換算係数27.8)÷樹脂組成物の重量]×100 (1)
超臨界流体の充填量(単位:重量%)=[(超臨界流体の流量×超臨界流体の流入時間×換算係数27.8)÷樹脂組成物の重量]×100 (1)
超臨界流体が窒素の超臨界流体である場合、超臨界流体の充填量は0.05重量%以上、1.4重量%以下であることが好ましい。上記窒素の超臨界流体の充填量のより好ましい下限は0.08重量%であり、より好ましい上限は1.0重量%である。超臨界流体が二酸化炭素の超臨界流体である場合、超臨界流体の充填量は、1.0%以上、4.0重量%以下であることが好ましい。上記二酸化炭素の超臨界流体の充填量のより好ましい下限は1.2重量%であり、より好ましい上限は3.5重量%である。
第一のコアバック工程(a-2)は、上記第一のキャビティに充填された上記第一の溶融樹脂が固化し終わる前に、上記第一の金型の一部を移動させて、上記第一のキャビティの容積を拡大させる工程である。通常、金型温度は、樹脂組成物を溶解させる加熱シリンダの温度よりも低い温度に設定されている。そのため、金型内のキャビティに充填された溶融樹脂は冷却され、固化が進行する。本明細書中、溶融樹脂が固化し終わる前に、金型の一部を動かすことによってキャビティを強制的に広げ、金型内の圧力を急激に低下させることで、溶融樹脂中の超臨界流体を気体へ相転移させ、発泡を促進させる方法をコアバックという。コアバック後に、移動させた金型の一部を保持してもよい。金型の一部を保持し、キャビティの容量を一定に保ちながら、溶融樹脂を固化させることで、所望の発泡量以上に発泡が進行させないようすることができる。図3は、実施形態1における第一のコアバック工程を説明する模式図であり、コアバック後の状態を示す。第一のキャビティ110を強制的に広げることで、急激な圧力減少が引き起こされ、第一の溶融樹脂中の超臨界流体が気体へ相転移して気泡が発生する。その結果、図3に示した一次発泡成形品31が得られる。第一のコアバック工程(a-2)に得られる一次発泡成形品31は、断面が無発泡層、発泡層、無発泡層をこの順で含む。コアバックを行うことで、発泡層の発泡量を大幅に増大させることができるため、優れた断熱性が得られる。
図4は、第一のコアバック工程を行い、一次発泡成形品を成形した後に金型の一部を移動させた状態を説明する模式図である。実施形態1では、第一のコアバック工程後に、第一の溶融樹脂を固化して一次発泡成形品を成形した後、同じ金型を用いて連続して二次発泡成形品を成形するため、図4に示したように、第一の金型100内に一次発泡成形品31が保持された状態で、第一の金型100の一部を移動させて、第二のキャビティ111を成形する。図中、一点鎖線で囲んだ領域が第二のキャビティ111である。
(二次発泡成形品の成形)
二次発泡成形品を成形する工程(B)は、第二の充填工程(b-1)と第二のコアバック工程(b-2)とを含む。第二の充填工程(b-1)及び第二のコアバック工程(b-2)に用いる成形装置は、図1に示した成形装置を用いることができるため、説明は省略する。
二次発泡成形品を成形する工程(B)は、第二の充填工程(b-1)と第二のコアバック工程(b-2)とを含む。第二の充填工程(b-1)及び第二のコアバック工程(b-2)に用いる成形装置は、図1に示した成形装置を用いることができるため、説明は省略する。
第二の充填工程(b-1)は、一次発泡成形品31が配置された第一の金型100内の第二のキャビティ111に、超臨界流体を含む第二の溶融樹脂を充填する工程である。
上記第二の溶融樹脂に含まれる樹脂としては、第一の溶融樹脂30に含まれる樹脂として例示した樹脂を用いることができる。上記第二の溶融樹脂は、上記第一の溶融樹脂30に含まれる樹脂として例示した樹脂のいずれか一つを主成分として含むことが好ましい。上記第二の溶融樹脂に主成分として含まれる樹脂とは、上記第二の溶融樹脂に含まれる樹脂のうち、重量換算で最も含有量が多い樹脂をいう。
実施形態1では、上記第二の溶融樹脂に含まれる樹脂が、第一の溶融樹脂30に含まれる樹脂と同素材である場合について説明する。以下、第一の溶融樹脂30と同素材である第二の溶融樹脂を「第二の溶融樹脂40」とし、第二の溶融樹脂40を用いて成形された二次発泡成形品を「二次発泡成形品41」とする。第一の溶融樹脂30と第二の溶融樹脂40とが同素材である場合、第一の溶融樹脂30に主成分として含まれる樹脂と、第二の溶融樹脂40に主成分として含まれる樹脂とは、同種類の樹脂であることが好ましい。第一の溶融樹脂30の主成分と第二の溶融樹脂40の主成分とが同種類の樹脂であることで、一次発泡成形品と二次発泡成形品の密着性をより高めることができる。
第一の溶融樹脂30と第二の溶融樹脂40とは、主成分が同種類であればよく、第一の溶融樹脂30と第二の溶融樹脂40とで、各溶融樹脂に含まれる主成分の含有量、主成分以外の樹脂、添加物等の含有量が異なってもよい。第二の溶融樹脂40は、第一の溶融樹脂30の説明で例示した酸変性ポリオレフィン、フィラーを含有してもよい。第二の溶融樹脂40に含まれる超臨界流体としては、第一の溶融樹脂30の説明で例示した超臨界流体を用いることができる。
図5は、実施形態1における第二の充填工程を説明する模式図である。図5に示したように、第二の充填工程(b-1)では、第一の金型100と一次発泡成形品31とに囲まれた第二のキャビティ111に、第一の溶融樹脂30と同素材である第二の溶融樹脂40を充填する。第二の溶融樹脂40の充填量、充填速度等は、上記第一の充填工程(a-1)における第一の溶融樹脂30の充填量、充填速度等と同じであってもよいし、異なってもよい。
第二のコアバック工程(b-2)は、第二のキャビティ111に充填された第二の溶融樹脂40が固化し終わる前に、第一の金型100の一部を移動させて、第二のキャビティ111の容積を拡大させる工程である。図6は、実施形態1における第二のコアバック工程を説明する模式図であり、コアバック後の状態を示す。第二のキャビティ111の容積を拡大させることにより、急激な圧力減少が引き起こされ、第二の溶融樹脂40が発泡して、図6に示したように二次発泡成形品41が得られる。第二のコアバック工程(b-2)におけるコアバック量(金型の移動距離)、コアバック速度等は、第一のコアバック工程(a-2)におけるコアバック量、コアバック速度等と同じであってもよいし、異なってもよい。
図7は、実施形態1に係る二色発泡成形品の断面模式図である。二色発泡成形品10Aは、第一の溶融樹脂30を用いて成形した一次発泡成形品31と、第一の溶融樹脂30と同素材である第二の溶融樹脂40を用いて成形した二次発泡成形品41とを含み、一次発泡成形品31と二次発泡成形品41とは接している。二色発泡成形品10Aの少なくとも一部の断面は、一次発泡成形品31側から順に、第一の無発泡層11、第一の発泡層12、第二の無発泡層13、第二の発泡層14、第三の無発泡層15を含んでもよい。同素材を用いた二色発泡成形品10Aでは、第一の無発泡層11、第一の発泡層12、第二の無発泡層13、第二の発泡層14及び第三の無発泡層15は、同種類の熱可塑性樹脂を含む。上記無発泡層は、スキン層ともいい、顕微鏡を用いて断面を30~200倍で観察した場合に、発泡粒子を含まない領域をいう。上記発泡層は、二つの無発泡層の間に位置し、発泡粒子を有する領域をいう。
一次発泡成形品31と二次発泡成形品41がともに発泡成形品であるため、一次発泡成形品31と二次発泡成形品41の収縮率の差が小さく、優れた密着性が得られる。また、二色発泡成形品10Aは、表面に第一の無発泡層11と第三の無発泡層15とを有し、かつ、中間に第二の無発泡層13を有するため、優れた強度を有する。第一の無発泡層11、第二の無発泡層13及び第三の無発泡層15の間には、それぞれ発泡層を有するため、軽量化できるだけではなく、熱が伝わり難いため、優れた断熱性を有する。
一次発泡成形品と二次発泡成形品の境界に位置する第二の無発泡層13は、一層であってもよいし、二層であってもよい。第一のコアバック工程(a-2)の終了から第二の充填工程(b-1)を開始するまでの時間が長いと、一次発泡成形品の固化が進み、第二の無発泡層13が二層となることがある。
二色発泡成形品10Aの厚さは、2mm以上、60mm以下であることが好ましい。二色発泡成形品10Aの厚さが2mm未満であると、充分な断熱性が得られないことがあり、60mmを超えると成形品にシワや変形が生じることがある。断熱性をより高められることから、二色発泡成形品10Aの厚さは30mm以上であることがより好ましい。二色発泡成形品10Aは、一次発泡成形品と二次発泡成形品とを有することから、一次発泡成形品のみの場合よりも二色発泡成形品10Aの総厚を厚くすることができる。一次発泡成形品のみで断熱性を向上させようとすると、発泡層を厚くすることが考えられるが、発泡層を厚くし過ぎると、成形品の中央が盛り上がる等の変形が起こり、上記変形により、外観を損ねたり、強度が低下することがある。また、発泡層を厚くすることで、発泡粒子が破断し、発泡層中に空間が生じてしまうと、発泡層内で空気の対流が起こり易くなるため、断熱性が低下してしまう。一次発泡成形品と二次発泡成形品とを有する二色発泡成形品とすることで、変形や強度低下を抑制しつつ、優れた断熱性を得ることができる。
第一の無発泡層11及び第三の無発泡層15の厚さは、0.1mm以上、1.5mm以下であることが好ましい。第二の無発泡層13の厚さは、0.2mm以上、3mm以下であることが好ましい。第一の無発泡層11及び第三の無発泡層15の厚さが0.1mm未満、又は、第二の無発泡層13の厚さが0.2mm未満であると、充分な強度が得られないことがある。一方で、第一の無発泡層11及び第三の無発泡層15の厚さが1.5mmを超えるか、第二の無発泡層13の厚さが3mmを超えると、発泡層の厚みが薄くなり充分な断熱性が得られないことがある。また、無発泡層を厚くすると、成形に必要な樹脂量が多くなり、成形品が重くなる、コストが高くなる等のおそれがある。
第一の発泡層12及び第二の発泡層14の厚さは、0.8mm以上、30mm以下であることが好ましい。第一の発泡層12及び第二の発泡層14の厚さが0.8mm未満であると、充分な断熱性、強度が得られないことがある。一方で、第一の発泡層12及び第二の発泡層14の厚さが30mmを超えると、成形品にシワや変形が生じたり、変形することで強度が低下してしまうことがある。第一の発泡層12及び第二の発泡層14の少なくとも一方の厚みは、10mm以上であることがより好ましく、20mm以上であることが更に好ましく、25mm以上であることが特に好ましい。
二色発泡成形品10Aの用途は特に限定されないが、軽量であり、断熱性に優れ、強度が高いことから、例えば、食品用容器、日用品、家庭用電化製品、車両用部品等に用いることができる。また、総厚を厚くすることができることから、浴槽の蓋、デッキ材等にも用いることができる。
<実施形態2>
実施形態2では、上記第二の溶融樹脂に含まれる樹脂が、第一の溶融樹脂30に含まれる樹脂と異なる場合について説明する。以下、第一の溶融樹脂30と異素材である第二の溶融樹脂を「第二の溶融樹脂50」とし、第二の溶融樹脂50を用いて成形された二次発泡成形品を「二次発泡成形品51」とする。一次発泡成形品を成形する工程(A)に含まれる第一の充填工程(a-1)及び第一のコアバック工程(a-2)は、実施形態1と同様であるため説明を省略する。
実施形態2では、上記第二の溶融樹脂に含まれる樹脂が、第一の溶融樹脂30に含まれる樹脂と異なる場合について説明する。以下、第一の溶融樹脂30と異素材である第二の溶融樹脂を「第二の溶融樹脂50」とし、第二の溶融樹脂50を用いて成形された二次発泡成形品を「二次発泡成形品51」とする。一次発泡成形品を成形する工程(A)に含まれる第一の充填工程(a-1)及び第一のコアバック工程(a-2)は、実施形態1と同様であるため説明を省略する。
(二次発泡成形品の成形)
以下に図8及び図9を用いて、異素材を用いた場合の二次発泡成形品の製造工程を説明する。図8は、実施形態2における第二の充填工程を説明する模式図である。図9は、実施形態2における第二のコアバック工程を説明する模式図であり、コアバック後の状態を示す。実施形態2における第二の充填工程(b-1)及び第二のコアバック工程(b-2)に用いる成形装置は、図1に示した成形装置を用いることができるため、説明は省略する。
以下に図8及び図9を用いて、異素材を用いた場合の二次発泡成形品の製造工程を説明する。図8は、実施形態2における第二の充填工程を説明する模式図である。図9は、実施形態2における第二のコアバック工程を説明する模式図であり、コアバック後の状態を示す。実施形態2における第二の充填工程(b-1)及び第二のコアバック工程(b-2)に用いる成形装置は、図1に示した成形装置を用いることができるため、説明は省略する。
図8に示したように、第二の充填工程(b-1)では、第一の金型100と一次発泡成形品31とに囲まれた第二のキャビティ111に、第一の溶融樹脂30と異素材である第二の溶融樹脂50を充填する。
第一の溶融樹脂30と第二の溶融樹脂50とが異素材である場合、第一の溶融樹脂30に主成分として含まれる樹脂と、上記第二の溶融樹脂50に主成分として含まれる樹脂とは、異なる種類の樹脂であり、かつ、第一の溶融樹脂30及び第二の溶融樹脂50の少なくとも一方の溶融樹脂は、他方の溶融樹脂に主成分として含まれる樹脂を含むことが好ましい。第一の溶融樹脂30と第二の溶融樹脂50とが異なる樹脂を主成分として含有することで、一次発泡成形品31と二次発泡成形品51とを含む二色発泡成形品全体の熱的、力学的な特性が調整し易いという観点からは、第一の溶融樹脂30と第二の溶融樹脂50とが異素材であることが好ましい。一方で、一次発泡成形品の無発泡層と二次成形品との密着性を向上させる観点からは、第一の溶融樹脂30と第二の溶融樹脂50とが、共通する樹脂を含有していることが好ましい。例えば、第一の溶融樹脂30が主成分として樹脂Xを含み、第二の溶融樹脂50が主成分として樹脂Yを含む場合、第一の溶融樹脂30は、更に、主成分以外の成分として樹脂Yを含むことが好ましく、第二の溶融樹脂50は、更に、主成分以外の成分として樹脂Xを含むことが好ましい。
第二の溶融樹脂50に含まれる樹脂としては、第一の溶融樹脂30の説明で例示した樹脂を用いることができる。なお、ポリプロピレンとポリエチレンとは、ともにポリオレフィンに含まれるが、本明細書中、ポリプロピレンとポリエチレンとは異なる種類の樹脂として取り扱う。また、ポリアミド6とポリアミド66とは、ともにポリアミドであるが、異なる種類の樹脂として取り扱う。第二の溶融樹脂50は、第一の溶融樹脂30の説明で例示した樹脂のいずれか一つを主成分として含むことが好ましい。第二の溶融樹脂50は、第一の溶融樹脂30の説明で例示した酸変性ポリオレフィン、フィラーを含有してもよい。第二の溶融樹脂50に含まれる超臨界流体としては、第一の溶融樹脂30の説明で例示した超臨界流体を用いることができる。
第一の溶融樹脂30に含まれる樹脂と、第二の溶融樹脂50に含まれる樹脂とは、加工温度が近いことが好ましい。例えば、第一の溶融樹脂30及び第二の溶融樹脂50は、それぞれ、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ乳酸又はポリブチレンサクシネートを1種又は2種以上含んでもよいし、これらの樹脂のいずれか1種を主成分として含んでもよい。また、第一の溶融樹脂30及び第二の溶融樹脂50は、それぞれ、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアミド6、ポリアミド66、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂又はポリスチレンを1種又は2種以上含んでもよいし、これらの樹脂のいずれか1種を主成分として含んでもよい。
図9に示したように、第二のコアバック工程(b-2)では、第二のキャビティ111に充填された第二の溶融樹脂50が固化し終わる前に、第一の金型100の一部を移動させて、第二のキャビティ111の容積を拡大させることにより、急激な圧力減少が引き起こされ、第二の溶融樹脂50が発泡して二次発泡成形品51が得られる。
図10は、実施形態2に係る二色発泡成形品の断面模式図である。二色発泡成形品10Bは、第一の溶融樹脂30を用いて成形した一次発泡成形品31と、第一の溶融樹脂30と異素材である第二の溶融樹脂50を用いて成形した二次発泡成形品51とを含み、一次発泡成形品31と二次発泡成形品51とは接している。二色発泡成形品10Bの少なくとも一部の断面は、一次発泡成形品31側から順に、第一の無発泡層11、第一の発泡層12、第二の無発泡層13、第二の発泡層14、第三の無発泡層15を含んでもよい。第二の無発泡層13は、第一の発泡層12と接する無発泡層13aと、第二の発泡層14と接する無発泡層13bとを含んでもよい。異なる素材を用いた二色発泡成形品10Bでは、一次発泡成形品に含まれる第一の無発泡層11、第一の発泡層12及び無発泡層13aと、二次発泡成形品に含まれる無発泡層13b、第二の発泡層14及び第三の無発泡層15とは、異なる樹脂を含む。
<実施形態3>
実施形態3では、一次発泡成形品と二次発泡成形品とを異なる金型を用いて成形する二色発泡成形品の製造方法について説明する。
実施形態3では、一次発泡成形品と二次発泡成形品とを異なる金型を用いて成形する二色発泡成形品の製造方法について説明する。
実施形態3に係る二色発泡成形品の製造方法は、超臨界流体を含む第一の溶融樹脂を第一の金型内の第一のキャビティに充填する第一の充填工程(a-1)と、上記第一のキャビティに充填された上記第一の溶融樹脂が固化し終わる前に、上記第一の金型の一部を移動させて、上記第一のキャビティの容積を拡大させる第一のコアバック工程(a-2)とを含む、一次発泡成形品を成形する工程(A)と、上記第一の金型から取り出した上記一次発泡成形品を第二の金型内に配置し、上記一次発泡成形品が配置された上記第二の金型内の第三のキャビティに、超臨界流体を含む第二の溶融樹脂を充填する第三の充填工程(c-1)と、上記第三のキャビティに充填された上記第二の溶融樹脂が固化し終わる前に、上記第二の金型の一部を移動させて、上記第三のキャビティの容積を拡大させる第三のコアバック工程(c-2)とを含む、上記一次発泡成形品と接する二次発泡成形品を成形する工程(C)とを備えることを特徴とする。
以下に図11~図13を用いて、実施形態3に係る二色発泡成形品の製造方法について説明する。実施形態3に係る二色発泡成形品の製造方法は、一次発泡成形品を成形する工程(A)と、上記一次発泡成形品と接する二次発泡成形品を成形する工程(C)とを備える。一次発泡成形品を成形する工程(A)に含まれる第一の充填工程(a-1)と、第一のコアバック工程(a-2)は、実施形態1と同様であるため、説明を省略する。
(二次発泡成形品の成形)
二次発泡成形品を成形する工程(C)は、第三の充填工程(c-1)と第三のコアバック工程(c-2)とを含む。第三の充填工程(c-1)及び第三のコアバック工程(c-2)に用いる成形装置は、図1に示した成形装置を用いることができるため、説明は省略する。
二次発泡成形品を成形する工程(C)は、第三の充填工程(c-1)と第三のコアバック工程(c-2)とを含む。第三の充填工程(c-1)及び第三のコアバック工程(c-2)に用いる成形装置は、図1に示した成形装置を用いることができるため、説明は省略する。
第三の充填工程(c-1)は、上記第一の金型から取り出した上記一次発泡成形品を第二の金型内に配置し、上記一次発泡成形品が配置された上記第二の金型内の第三のキャビティに、超臨界流体を含む第二の溶融樹脂を充填する工程である。図11は、実施形態3において第二の金型に一次発泡成形品を配置した状態を説明する模式図である。実施形態3では、一次発泡成形品31を成形した後、異なる金型を用いて二次発泡成形品を成形するため、図11に示したように、上記第一の金型から取り出した一次発泡成形品31を、第二の金型200内に配置する。
第二の金型200としては、特に限定されず、第一の金型100と同様に、凸形状を有する雄型と凹形状を有する雌型を有するものを用いることができる。雄型201と雌型202を嵌合させた状態で形成される空隙に一次発泡成形品31を配置し、一次発泡成形品31と第二の金型200とに囲まれた領域が、第三のキャビティ211となる。図中、二点鎖線で囲んだ領域が第三のキャビティ211である。雄型201及び/又は雌型202の少なくとも一部分は、第三のキャビティ211の容積を増大させる方向に可動することが好ましい。
上記第二の溶融樹脂は、実施形態1で説明した第一の溶融樹脂30と同素材である第二の溶融樹脂40を用いてもよいし、実施形態2で説明した第一の溶融樹脂30と異素材である第二の溶融樹脂50を用いてもよい。以下では、第一の溶融樹脂30と同素材である第二の溶融樹脂40を用いた場合について説明する。
図12は、実施形態3における第三の充填工程を説明する模式図である。図12に示したように、射出成形装置のノズル24から注入された第二の溶融樹脂40は、ランナ203を通って、金型の樹脂注入口204から、第三のキャビティ211に充填される。第二の溶融樹脂40の充填量、充填速度等は、上記第一の充填工程(a-1)における第一の溶融樹脂30の充填量、充填速度等と同じであってもよいし、異なってもよい。
第三のコアバック工程(c-2)は、第三のキャビティ211に充填された上記第二の溶融樹脂が固化し終わる前に、第二の金型200の一部を移動させて、第三のキャビティ211の容積を拡大させる工程である。図13は、実施形態3における第三のコアバック工程を説明する模式図であり、コアバック後の状態を示す。第三のキャビティ211の容積を拡大させることにより、急激な圧力減少が引き起こされ、第二の溶融樹脂40が発泡して、図11に示したように二次発泡成形品41が得られる。第三のコアバック工程(c-2)におけるコアバック量(金型の移動距離)、コアバック速度等は、第一のコアバック工程(a-2)におけるコアバック量、コアバック速度等と同じであってもよいし、異なってもよい。
一次発泡成形品を成形する工程(A)と二次発泡成形品を成形する工程(C)により、一次発泡成形品と二次発泡成形品と接する二色発泡成形品が得られる。第二の溶融樹脂として、第一の溶融樹脂30と同素材である第二の溶融樹脂40を用いた場合は、図7に示したような実施形態1に係る二色発泡成形品10Aと同様の二色発泡成形品が得られる。第二の溶融樹脂として、第一の溶融樹脂30と異素材である第二の溶融樹脂50を用いた場合は、図10に示したような実施形態2に係る二色発泡成形品10Bと同様の二色発泡成形品が得られる。
以下、本発明について実施例を掲げてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。
以下の実施例及び比較例では、下記表1に示した樹脂組成物を用いた。下記表1に示した材料を下記表2に示した配合比でドライブレンドし、下記表3に示した条件で、二軸押出機(日本製鋼所製、TEX30α)を使って加熱混練し、ペレット状の樹脂組成物を得た。
(実施例1)
超臨界射出成形機(東芝機械製)に表2の組成1で示した樹脂組成物を投入し、樹脂組成物を溶解させながら超臨界流体を含浸させて、第一の溶融樹脂を調製した。超臨界流体には窒素の超臨界流体を使用した。
超臨界射出成形機(東芝機械製)に表2の組成1で示した樹脂組成物を投入し、樹脂組成物を溶解させながら超臨界流体を含浸させて、第一の溶融樹脂を調製した。超臨界流体には窒素の超臨界流体を使用した。
下記式(1)で表される超臨界流体の充填量は、0.08重量%であった。
超臨界流体の充填量(単位:重量%)=[(超臨界流体の流量×超臨界流体の流入時間×換算係数27.8)÷樹脂組成物の重量]×100 (1)
超臨界流体の充填量(単位:重量%)=[(超臨界流体の流量×超臨界流体の流入時間×換算係数27.8)÷樹脂組成物の重量]×100 (1)
得られた第一の溶融樹脂を金型のキャビティ(第一のキャビティ)に充填し、以下の条件で超臨界射出成形を用いてコアバック法により一次発泡成形品を得た。
シリンダ温度:200℃
金型温度:30℃
射出速度:100mm/sec
スクリュ背圧:15MPa
シリンダ温度:200℃
金型温度:30℃
射出速度:100mm/sec
スクリュ背圧:15MPa
次に、第二の溶融樹脂として、組成1の樹脂組成物を用い、上記第一の溶融樹脂と同様に第二の溶融樹脂を調製した。上記一次発泡成形品の成形に用いた金型と同じ金型を用いて、上記一次発泡成形品が配置された状態で金型の一部を移動させてキャビティ(第二のキャビティ)を形成し、上記キャビティに上記第二の樹脂を充填し、上記一次発泡成形品の成形と同じ条件で、超臨界射出成形を用いてコアバック法により二次発泡成形品を成形した。
得られた板状の二色発泡成形品の断面を、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製の「S-4800」)を用いて観察した。得られた二色発泡成形品は、断面の一部が、図7に示したような、無発泡層、発泡層、無発泡層、発泡層、無発泡層の5層をこの順で含む二色発泡成形品であった。
(実施例2)
超臨界流体の充填量、コアバック量を下記表4に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして、超臨界射出成形により一次発泡成形品を成形した。その後、一次発泡成形品を金型から取り出して他の金型に配置し、キャビティ(第三のキャビティ)に、組成1の樹脂組成物を用いた第二の樹脂を充填し、超臨界射出成形を用いてコアバック法により二次発泡成形品を成形した。二次発泡成形品の成形は、超臨界流体の充填量、コアバック量を下記表4に示したように変更した以外は、実施例1と同様の条件で超臨界射出成形を行った。
超臨界流体の充填量、コアバック量を下記表4に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして、超臨界射出成形により一次発泡成形品を成形した。その後、一次発泡成形品を金型から取り出して他の金型に配置し、キャビティ(第三のキャビティ)に、組成1の樹脂組成物を用いた第二の樹脂を充填し、超臨界射出成形を用いてコアバック法により二次発泡成形品を成形した。二次発泡成形品の成形は、超臨界流体の充填量、コアバック量を下記表4に示したように変更した以外は、実施例1と同様の条件で超臨界射出成形を行った。
(実施例3、5、7、9、11、12、14、16~21)
下記表2に示した樹脂組成物を用い、超臨界流体の種類、充填量又はコアバック量を下記表4に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして、一つの金型を用いて、超臨界射出成形により一次発泡成形品及び二次発泡成形品を成形し、実施例3、5、7、9、11、12、14、16~21に係る二色発泡成形品を作製した。
下記表2に示した樹脂組成物を用い、超臨界流体の種類、充填量又はコアバック量を下記表4に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして、一つの金型を用いて、超臨界射出成形により一次発泡成形品及び二次発泡成形品を成形し、実施例3、5、7、9、11、12、14、16~21に係る二色発泡成形品を作製した。
(実施例4、6、8、10、13及び15)
下記表2に示した樹脂組成物を用い、超臨界流体の種類、充填量又はコアバック量を下記表4に示したように変更した以外は、実施例2と同様にして、異なる金型を用いて、超臨界射出成形により一次発泡成形品及び二次発泡成形品を成形し、実施例4、6、8、10、13及び15に係る二色発泡成形品を作製した。
下記表2に示した樹脂組成物を用い、超臨界流体の種類、充填量又はコアバック量を下記表4に示したように変更した以外は、実施例2と同様にして、異なる金型を用いて、超臨界射出成形により一次発泡成形品及び二次発泡成形品を成形し、実施例4、6、8、10、13及び15に係る二色発泡成形品を作製した。
(比較例1)
比較例1では、第二の溶融樹脂に超臨界流体を含浸せず、また、コアバックを行なわずに二次成形品を成形した。超臨界流体の充填量及びコアバック量を下記表4に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして超臨界射出成形により一次発泡成形品を成形した。その後、一次発泡成形品を成形した金型に、組成1の樹脂組成物に超臨界流体を含浸せずに溶融させた溶融樹脂を充填し、コアバックを行わない射出成形により二次成形品を成形した。上記射出成形のシリンダ温度、金型温度、射出速度及びスクリュ背圧は、実施例1で実施した上記超臨界射出成形の条件と同様とした。
比較例1では、第二の溶融樹脂に超臨界流体を含浸せず、また、コアバックを行なわずに二次成形品を成形した。超臨界流体の充填量及びコアバック量を下記表4に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして超臨界射出成形により一次発泡成形品を成形した。その後、一次発泡成形品を成形した金型に、組成1の樹脂組成物に超臨界流体を含浸せずに溶融させた溶融樹脂を充填し、コアバックを行わない射出成形により二次成形品を成形した。上記射出成形のシリンダ温度、金型温度、射出速度及びスクリュ背圧は、実施例1で実施した上記超臨界射出成形の条件と同様とした。
(比較例2)
比較例2では、第二の溶融樹脂に超臨界流体を含浸せず、また、コアバックを行なわずに二次成形品を成形した。組成2の樹脂組成物を用い、超臨界流体の種類、充填量及びコアバック量を下記表4に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして超臨界射出成形により一次発泡成形品を成形した。その後、一次発泡成形品を金型から取り出して他の金型に配置し、キャビティに、組成2の樹脂組成物に超臨界流体を含浸せずに溶融させた溶融樹脂を充填し、比較例1と同様にして、コアバックを行わない射出成形により二次成形品を成形した。
比較例2では、第二の溶融樹脂に超臨界流体を含浸せず、また、コアバックを行なわずに二次成形品を成形した。組成2の樹脂組成物を用い、超臨界流体の種類、充填量及びコアバック量を下記表4に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして超臨界射出成形により一次発泡成形品を成形した。その後、一次発泡成形品を金型から取り出して他の金型に配置し、キャビティに、組成2の樹脂組成物に超臨界流体を含浸せずに溶融させた溶融樹脂を充填し、比較例1と同様にして、コアバックを行わない射出成形により二次成形品を成形した。
(比較例3)
比較例3では、第一の溶融樹脂に超臨界流体を含浸させるが、コアバックを行なわずに一次発泡成形品を成形した。組成3の樹脂組成物を用い、超臨界流体の充填量を下記表4に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして第一の溶融樹脂を調製した。得られた第一の溶融樹脂を金型に充填し、コアバックを行わない超臨界射出成形により一次発泡成形品を成形した。その後、一次発泡成形品を成形した金型に、組成3の樹脂組成物を用い、下記表4に示した超臨界流体の充填量、コアバック量で超臨界射出成形を行い、二次発泡成形品を成形した。
比較例3では、第一の溶融樹脂に超臨界流体を含浸させるが、コアバックを行なわずに一次発泡成形品を成形した。組成3の樹脂組成物を用い、超臨界流体の充填量を下記表4に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして第一の溶融樹脂を調製した。得られた第一の溶融樹脂を金型に充填し、コアバックを行わない超臨界射出成形により一次発泡成形品を成形した。その後、一次発泡成形品を成形した金型に、組成3の樹脂組成物を用い、下記表4に示した超臨界流体の充填量、コアバック量で超臨界射出成形を行い、二次発泡成形品を成形した。
(比較例4)
比較例4では、第二の溶融樹脂に超臨界流体を含浸させるが、コアバックを行なわずに二次発泡成形品を成形した。超臨界流体の充填量を下記表4に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして超臨界射出成形により一次発泡成形品を成形した。その後、一次発泡成形品を金型から取り出して他の金型に配置し、キャビティに、組成3の樹脂組成物を用い、超臨界流体の充填量を下記表4に示したように調整した第二の溶融樹脂を充填し、コアバックを行わない超臨界射出成形により二次発泡成形品を成形した。
比較例4では、第二の溶融樹脂に超臨界流体を含浸させるが、コアバックを行なわずに二次発泡成形品を成形した。超臨界流体の充填量を下記表4に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして超臨界射出成形により一次発泡成形品を成形した。その後、一次発泡成形品を金型から取り出して他の金型に配置し、キャビティに、組成3の樹脂組成物を用い、超臨界流体の充填量を下記表4に示したように調整した第二の溶融樹脂を充填し、コアバックを行わない超臨界射出成形により二次発泡成形品を成形した。
(比較例5)
比較例5では、一次成形品、二次成形品ともに射出成形により成形した。組成2の樹脂組成物に超臨界流体を含浸せずに溶融させた溶融樹脂を金型のキャビティに充填し、比較例1と同様にして、コアバックを行わない射出成形により一次成形品を成形した。その後、一次成形品を成形した金型に、組成4の樹脂組成物に超臨界流体を含浸せずに溶融させた溶融樹脂を充填し、比較例1と同様にして、コアバックを行わない射出成形により二次成形品を成形した。
比較例5では、一次成形品、二次成形品ともに射出成形により成形した。組成2の樹脂組成物に超臨界流体を含浸せずに溶融させた溶融樹脂を金型のキャビティに充填し、比較例1と同様にして、コアバックを行わない射出成形により一次成形品を成形した。その後、一次成形品を成形した金型に、組成4の樹脂組成物に超臨界流体を含浸せずに溶融させた溶融樹脂を充填し、比較例1と同様にして、コアバックを行わない射出成形により二次成形品を成形した。
(比較例6)
比較例6では、二次成形品を成形せず、一次発泡成形品のみを成形する単色成形を行った。超臨界流体の充填量及びコアバック量を下記表4に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして超臨界射出成形により一次発泡成形品を成形した。
比較例6では、二次成形品を成形せず、一次発泡成形品のみを成形する単色成形を行った。超臨界流体の充填量及びコアバック量を下記表4に示したように変更した以外は、実施例1と同様にして超臨界射出成形により一次発泡成形品を成形した。
下記表4は、実施例及び比較例で、一次成形品及び二次成形品に用いた樹脂組成物の組成をまとめた表である。下記表5は、一次成形品及び二次成形品の成形条件をまとめた表である。
実施例及び比較例に係る二色成形品又は単色成形品について、断面を、走査型電子顕微鏡(日立ハイテクノロジーズ社製の「S-4800」)を用いて観察し、無発泡層の厚み、発泡層の厚み及び総厚を測定した。また、以下の方法で耐荷重、断熱性、密着性及び外観を評価した。結果を下記表6にまとめた。
(耐荷重)
強度の指標として、耐荷重を評価した。実施例及び比較例について、それぞれ幅40mm、長さ200mmの試験片を作製し、試験片の一方の端を固定し、他方の端に所定の重りを吊るし、試験片が割れたときの重りの重量により耐荷重を評価した。重りが500g未満で試験片が割れた場合を×、重りが500gで試験片が割れない場合を〇、重りが1000gで試験片が割れない場合を◎とした。
強度の指標として、耐荷重を評価した。実施例及び比較例について、それぞれ幅40mm、長さ200mmの試験片を作製し、試験片の一方の端を固定し、他方の端に所定の重りを吊るし、試験片が割れたときの重りの重量により耐荷重を評価した。重りが500g未満で試験片が割れた場合を×、重りが500gで試験片が割れない場合を〇、重りが1000gで試験片が割れない場合を◎とした。
(断熱性)
断熱ボックスの中間を実施例及び比較例に係る二色成形品又は単色成形品で仕切り、体積が同じ二つの部屋を作製した。一方の部屋にヒーターと熱電対を配置し、他方の部屋には熱電対のみを配置した。その後、ヒーターで加温し、ヒーターを配置した部屋の温度と、他方の部屋の温度との差が30℃になるまでに要した時間を測定した。この時間が120分未満であれば×、120分以上150分未満であれば〇、150分以上であれば◎とした。
断熱ボックスの中間を実施例及び比較例に係る二色成形品又は単色成形品で仕切り、体積が同じ二つの部屋を作製した。一方の部屋にヒーターと熱電対を配置し、他方の部屋には熱電対のみを配置した。その後、ヒーターで加温し、ヒーターを配置した部屋の温度と、他方の部屋の温度との差が30℃になるまでに要した時間を測定した。この時間が120分未満であれば×、120分以上150分未満であれば〇、150分以上であれば◎とした。
(密着性)
X線CTスキャン装置を用いて、実施例及び比較例に係る二色成形品の断面を撮影し、一次成形品と二次成形品の界面に空洞がなければ〇、空洞があれば×とした。
X線CTスキャン装置を用いて、実施例及び比較例に係る二色成形品の断面を撮影し、一次成形品と二次成形品の界面に空洞がなければ〇、空洞があれば×とした。
(外観)
実施例及び比較例に係る二色成形品又は単色成形品の表面を目視で観察し、膨れ、シワ、変形が生じていないものを〇とし、膨れ、シワ及び変形のいずれかが生じたものを×とした。
実施例及び比較例に係る二色成形品又は単色成形品の表面を目視で観察し、膨れ、シワ、変形が生じていないものを〇とし、膨れ、シワ及び変形のいずれかが生じたものを×とした。
実施例1~21は、いずれも断面が無発泡層/発泡層/無発泡層/発泡層/無発泡層の5層である二色発泡成形品が得られた。実施例1~21は、二色発泡成形品の表面と中間に3層の無発泡層を有することから優れた耐荷重を有し、無発泡層に挟持された2層の発泡層を有することから断熱性に優れる。また、実施例1~21は、一次成形品、二次成形品がともに発泡成形品であるため、収縮率の差が小さく、優れた密着性が得られた。特に、第一の発泡層及び第二の発泡層のいずれか一方の厚みが25mm以上であるか、又は、発泡成形体の層総厚が30mm以上であるとより高い断熱性が得られる傾向があった。また、材料が同じ場合は、発泡成形体の層総厚が厚いほど優れた耐荷重を有する傾向があった。
比較例1及び2は、二次成形品の成形において、超臨界流体を含まない溶融樹脂を用い、かつコアバックを行わなかったことから、二次成形品は発泡層が形成されず、無発泡層のみであった。なお、得られた成形品の断面は、一次発泡成形品の無発泡層、発泡層、無発泡層の3層に、二次成形品(無発泡層)が接着しており、一次発泡成形品の無発泡層と二次成形品との密着性がよい場合には3層構造として観察されるが、一次発泡成形品の無発泡層と二次成形品との密着性が悪い場合には4層構造として観察される。比較例1及び2の密着性に関し、無発泡層/発泡層/無発泡層の3層構造である一次発泡成形品と、無発泡層のみからなる二次成形品とでは、収縮率が異なるため、一次発泡成形品と二次成形品との密着性が不充分であり、界面が剥離したと考えられる。また、比較例2は比較例1と比べて、成形品の総厚が薄いため、耐荷重及び断熱性が低くなったと考えられる。
比較例3は、一次成形品の成形において、超臨界流体を含む溶融樹脂を用いたものの、コアバックを行わなかった。また、比較例4は、二次成形品の成形において、超臨界流体を含む溶融樹脂を用いたものの、コアバックを行わなかった。そのため、比較例3では、二色発泡成形品の一次成形品の表面が膨れる外観不良が発生し、比較例4では、二色発泡成形品の二次成形品側の表面が膨れる外観不良が発生した。また、比較例3は、実施例1と比べて、第一の発泡層及び第二の発泡層の厚みが薄いため、耐荷重及び断熱性の評価が悪くなったと考えられる。
比較例5は、一次成形品、二次成形品ともに超臨界射出成形を行わず、射出成形により成形したため、得られた二色成形品の断面は、無発泡層/無発泡層の2層構造であった。比較例5は、発泡層を有さないため、断熱性が不充分であり、総厚が薄いことから、耐荷重が不充分であった。また、発泡層を形成することで、発泡成形時の発泡圧により、第一又は第二の溶融樹脂が固化する際の収縮(成形収縮)が抑制されるが、比較例5は、一次成形品、二次成形品ともに無発泡層を有さないことから、成形収縮量が大きくなりが起こりやすく、一次成形品と二次成形品との界面において部分的に隙間を生じたため密着性が不充分であった。
比較例6は、断面が無発泡層/発泡層/無発泡層の3層であり、充分な断熱性が得られなかった。また、比較例1よりも総厚が薄いことから、比較例1よりも断熱性は低くなった。
10A、10B:二色発泡成形品
11:第一の無発泡層
12:第一の発泡層
13、13a、13b:第二の無発泡層
14:第二の発泡層
15:第三の無発泡層
20:成形装置
21:ホッパ
22:加熱シリンダ
23:スクリュ
24:ノズル
25:ボンベ
26:超臨界流体発生部
27:注入制御部
30:第一の溶融樹脂
31:一次発泡成形品
40、50:第二の溶融樹脂
41、51:二次発泡成形品
100:第一の金型
101、201:雄型
102、202:雌型
103、203:ランナ
104、204:樹脂注入口
110:第一のキャビティ
111:第二のキャビティ
200:第二の金型
211:第三のキャビティ
11:第一の無発泡層
12:第一の発泡層
13、13a、13b:第二の無発泡層
14:第二の発泡層
15:第三の無発泡層
20:成形装置
21:ホッパ
22:加熱シリンダ
23:スクリュ
24:ノズル
25:ボンベ
26:超臨界流体発生部
27:注入制御部
30:第一の溶融樹脂
31:一次発泡成形品
40、50:第二の溶融樹脂
41、51:二次発泡成形品
100:第一の金型
101、201:雄型
102、202:雌型
103、203:ランナ
104、204:樹脂注入口
110:第一のキャビティ
111:第二のキャビティ
200:第二の金型
211:第三のキャビティ
Claims (5)
- 超臨界流体を含む第一の溶融樹脂を第一の金型内の第一のキャビティに充填する第一の充填工程(a-1)と、前記第一のキャビティに充填された前記第一の溶融樹脂が固化し終わる前に、前記第一の金型の一部を移動させて、前記第一のキャビティの容積を拡大させる第一のコアバック工程(a-2)とを含む、一次発泡成形品を成形する工程(A)と、
前記一次発泡成形品が配置された前記第一の金型内の第二のキャビティに、超臨界流体を含む第二の溶融樹脂を充填する第二の充填工程(b-1)と、前記第二のキャビティに充填された前記第二の溶融樹脂が固化し終わる前に、前記第一の金型の一部を移動させて、前記第二のキャビティの容積を拡大させる第二のコアバック工程(b-2)とを含む、前記一次発泡成形品と接する二次発泡成形品を成形する工程(B)とを備えることを特徴とする二色発泡成形品の製造方法。 - 超臨界流体を含む第一の溶融樹脂を第一の金型内の第一のキャビティに充填する第一の充填工程(a-1)と、前記第一のキャビティに充填された前記第一の溶融樹脂が固化し終わる前に、前記第一の金型の一部を移動させて、前記第一のキャビティの容積を拡大させる第一のコアバック工程(a-2)とを含む、一次発泡成形品を成形する工程(A)と、
前記第一の金型から取り出した前記一次発泡成形品を第二の金型内に配置し、前記一次発泡成形品が配置された前記第二の金型内の第三のキャビティに、超臨界流体を含む第二の溶融樹脂を充填する第三の充填工程(c-1)と、前記第三のキャビティに充填された前記第二の溶融樹脂が固化し終わる前に、前記第二の金型の一部を移動させて、前記第三のキャビティの容積を拡大させる第三のコアバック工程(c-2)とを含む、前記一次発泡成形品と接する二次発泡成形品を成形する工程(C)とを備えることを特徴とする二色発泡成形品の製造方法。 - 前記第一の溶融樹脂に主成分として含まれる樹脂と、前記第二の溶融樹脂に主成分として含まれる樹脂とは、同種類の樹脂であることを特徴とする請求項1又は2に記載の二色発泡成形品の製造方法。
- 前記第一の溶融樹脂に主成分として含まれる樹脂と、前記第二の溶融樹脂に主成分として含まれる樹脂とは、異なる種類の樹脂であり、かつ、
前記第一の溶融樹脂及び前記第二の溶融樹脂の少なくとも一方の溶融樹脂は、他方の溶融樹脂に主成分として含まれる樹脂を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の二色発泡成形品の製造方法。 - 請求項1~4のいずれかに記載の製造方法により製造される二色発泡成形品は、少なくとも一部の断面が、無発泡層、発泡層、無発泡層、発泡層、無発泡層の5層をこの順に含むことを特徴とする二色発泡成形品の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020208696A JP2022095393A (ja) | 2020-12-16 | 2020-12-16 | 二色発泡成形品の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2020208696A Pending JP2022095393A (ja) | 2020-12-16 | 2020-12-16 | 二色発泡成形品の製造方法 |
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2020
- 2020-12-16 JP JP2020208696A patent/JP2022095393A/ja active Pending
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