JP2022094873A - 山形鋼鉄塔の主柱材取替装置および主柱材取替方法 - Google Patents

山形鋼鉄塔の主柱材取替装置および主柱材取替方法 Download PDF

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信 山城
Makoto Yamashiro
宗矩 宮城
Munenori Miyagi
剛 長浜
Tsuyoshi Nagahama
浩昭 久場
Hiroaki Kuba
和夫 林
Kazuo Hayashi
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Abstract

【課題】山形鋼鉄塔の主柱のベンド点をまたいで主柱材取替装置を設置して、ベンド点付近の主柱材を取り替えることができる山形鋼鉄塔の主柱材取替装置および主柱材取替方法を提供する。【解決手段】取替主柱材の両端に連なる2つの主柱材に、各々固定される2つの固定具と、これら2つの固定具の間に設置される支持部材とを備えた鉄塔の主柱材取替装置において、前記固定具は、前記主柱材の外側面に固定される連結金具と、前記連結金具に固定され、互いに平行で、前記主柱材に対して直角に設置される長尺の一対の支持フレームと、前記一対の支持フレーム間に回動可能に取り付けられる接続金具とを有しており、前記支持部材は、上方側の固定具の接続金具に固定される上端接続具と、使用する種類及び個数によって全体の長さが調整可能な1つ又は複数の単位部材で形成される支持鋼管と、下方側の固定具の接続金具に固定されるジャッキとを有する。【選択図】図1

Description

本発明は、山形鋼鉄塔の主柱材を取り替えるための主柱材取替装置および主柱材取替方法に関するものである。
一般に山形鋼鉄塔は、地上から縦方向に沿って立設される鉄塔本体と、鉄塔本体から横方向に突出する腕金とを備えている。前記鉄塔本体は、縦方向に沿って配置され、鉄塔本体の上端まで延びる4本の主柱と、横方向に配置され、隣接する主柱同士を連結する複数の水平材と、主柱や水平材に対して傾斜するように配置され、隣接する主柱同士を連結する複数の斜材とを備えている。前記主柱は、端部に継手部を有する山形鋼で形成された主柱材を複数連設し、各主柱材の継手部同士を重ね合わせてボルトナットで接合して構成されている。
前記主柱は、上方へ向かうにつれて対角に位置する他の主柱側へ接近するように傾斜している。この主柱の傾斜角度は、地上から所定の高さの位置(ベンド点)で変化しており、地上からベンド点までの各主柱の傾斜角度に比べて、ベンド点より上方の各主柱の傾斜角度が小さくなっている。これにより、各主柱はベンド点において屈曲している。なお、前記腕金は、通常、鉄塔本体のベンド点より上方の位置に設置されている。
この山形鋼鉄塔の主柱材に、経年変化や災害等に起因して腐食や変形等の損傷が生じた場合、損傷した主柱材の取り替えが行われている。主柱材を取り替える場合には、送電経路を迂回させる仮線路を設け、送電線を山形鋼鉄塔から取り外して主柱材の取替作業を行っているが、仮線路の設置と送電経路の変更には多額の費用がかかるという問題があった。
そこで、ジャッキを用いて山形鋼鉄塔の主柱材を取り替える工法が提案されている。例えば、取替主柱材の上側に連なる上側主柱材に固定される上側固定具と、取替主柱材の下側に連なる下側主柱材に固定される下側固定具と、上側固定具と下側固定具との間にジャッキが介在されて設置される支持部材とを備えた主柱材取替装置を用いて、前記ジャッキにより支持部材を押し上げて取替主柱材の応力を支持部材に移した後、取替主柱材を取り外して新たな主柱材を挿入し、新たな主柱材を組み付けることで、主柱材の取り替えを行っている(例えば、特許文献1参照。)。なお、上側固定具と下側固定具との間に設置される支持部材は、取替主柱材側から鉄塔本体を対角方向に見て、取替主柱材の左右に位置し、取替主柱材,上側主柱材および下側主柱材と平行に設置されている。
しかしながら、特許文献1の主柱材取替装置は、取替主柱材,上側主柱材および下側主柱材と平行に支持部材を設置するものであり、主柱はベンド点において傾斜角度が変化して屈曲していることから、取替主柱材がベンド点付近の主柱材の場合、ベンド点をまたいで主柱に主柱材取替装置を設置することができないという問題があった。
また、特許文献1の主柱材取替装置は、取替主柱材側から鉄塔本体を対角方向に見て、支持部材が取替主柱材の左右に位置していることから、支持部材が鉄塔本体から横方向に突出する腕金と干渉する場合があり、主柱材取替装置を設置することができないという問題があった。この場合、主柱材取替装置を設置するためには腕金を取り外す必要がある。
そこで、山形鋼鉄塔のベンド点付近の主柱材の取り替えを行う方法として、嵩上げ工法を利用することが考えられる。(例えば、特許文献2参照。)。この嵩上げ工法は、既設の鉄塔に、腕金が設けられた上部を囲む仮設鉄塔を設置し、送電線を腕金から撤去して仮設鉄塔に仮止めした後、腕金を鉄塔から撤去すると共に仮設鉄塔に仮腕金を設置する。この仮腕金に送電線を移設した後、鉄塔を、仮設鉄塔を支持する下部と、仮設鉄塔に囲まれる上部とに分離し、この上部を所定高さまで上昇させて仮設鉄塔で支持する。この後、鉄塔の上部と下部との間に新たな部材を組み付け、上部に新たな腕金を設置して送電線を仮腕金から移設する。最後に仮腕金と仮設鉄塔を撤去して、嵩上げされた鉄塔が得られる。この嵩上げ工法を利用すれば、山形鋼鉄塔のベンド点付近の主柱材を取り替えることができる。
特開2011-149171号公報 特開2000-110407号公報
しかしながら、特許文献2の嵩上げ工法を利用した主柱材の取替方法は、既設の鉄塔に、腕金が設けられた上部を囲む仮設鉄塔を設置する必要があることから、工事が非常に大掛かりとなるという問題があった。
そこで、本発明の課題は、主柱のベンド点をまたいで主柱材取替装置を設置して、ベンド点付近の主柱材を取り替えることができるとともに、従来の嵩上げ工法を利用した主柱材の取替方法のように、既設鉄塔の上部を囲む大きさの仮設鉄塔を設置するような大掛かりな工事を必要とせず、工事の作業手間やコストを削減することができる山形鋼鉄塔の主柱材取替装置および主柱材取替方法を提供することにある。
上記の課題を解決するため、本発明の山形鋼鉄塔の主柱材取替装置は、取替主柱材の両端に連なる2つの主柱材に、各々固定される2つの固定具と、これら2つの固定具の間に設置される支持部材とを備えた鉄塔の主柱材取替装置において、前記固定具は、前記主柱材の外側面に固定される連結金具と、前記連結金具に固定され、互いに平行で、前記主柱材に対して直角に設置される長尺の一対の支持フレームと、前記一対の支持フレーム間に回動可能に取り付けられる接続金具とを有しており、前記支持部材は、上方側の固定具の接続金具に固定される上端接続具と、使用する種類及び個数によって全体の長さが調整可能な1つ又は複数の単位部材で形成される支持鋼管と、下方側の固定具の接続金具に固定されるジャッキとを有していることを特徴としている。
また、前記連結金具は、前記主柱材のフランジ幅よりも大きい幅のL字形状体で形成されていること、前記連結金具には、L字形状の内側面に前記主柱材と接続するためのボルト穴が設けられ、L字形状の幅方向の両端部には前記支持フレームと接続するためのボルト穴が設けられていること、前記連結金具は、L字形状の内側面を前記主柱材の外側面に当接させて前記主柱材に固定されることを特徴としている。
また、前記支持フレームの中央部付近には、前記連結金具と接続するためのボルト穴が設けられ、前記支持フレームの両端部には、前記接続金具とピン接続するための穴が設けられていること、前記一対の支持フレームは、中央部付近に設けられたボルト穴の位置で連結金具の両端部にそれぞれ固定されることを特徴としている。
また、取替主柱材の上側に連なる主柱材に固定される上方側の固定具の接続金具は、下方が開放された箱状体で形成されており、上面には前記支持部材の上端接続具を固定するための穴が設けられ、側面のうち前記支持フレームと相対する面には、支持フレームとピン接続するための穴が設けられていること、この前記接続金具の側面に設けられた穴と、前記支持フレームの両端部に設けられた穴とにピンを挿通して前記支持フレームに接続されることを特徴としている。
また、取替主柱材の下側に連なる主柱材に固定される下方側の固定具の接続金具は、上方が開放された箱状体で形成されており、下面には前記支持部材のジャッキを固定するための穴が設けられ、側面のうち前記支持フレームと相対する面には、支持フレームとピン接続するための穴が設けられていること、この前記接続金具の側面に設けられた穴と、前記支持フレームの両端部に設けられた穴とにピンを挿通して前記支持フレームに接続されることを特徴としている。
また、前記支持部材は、支持鋼管とジャッキとの間に、ネジの螺合位置に応じて長さが調節可能なネジ調整部を備えることを特徴としている。
本発明の山形鋼鉄塔の主柱材取替方法は、取替主柱材の両端に連なる2つの主柱材に連結金具を固定し、前記連結金具に支持フレームを固定し、前記支持フレーム両端の一対の支持フレーム間に接続金具を回動可能に接続して、主柱材に固定具を固定する工程と、下方側の固定具の接続金具にジャッキを固定し、支持鋼管の上端に上端接続具を接続し、上方側の固定具の接続金具に上端接続具を固定し、支持鋼管とジャッキとの間にネジ調整部を接続して、2つの固定具間に支持部材を設置する工程と、ジャッキを伸張させて、取替主柱材の荷重を支持部材に移す工程と、取替主柱材を撤去し、新たな主柱材を取り付ける工程とを備えることを特徴としている。
また、本発明の山形鋼鉄塔の主柱材取替方法は、取替主柱材の両端に連なる2つの主柱材に連結金具を固定し、前記連結金具に支持フレームを固定し、前記支持フレーム両端の一対の支持フレーム間に接続金具を回動可能に接続して、主柱材に固定具を固定する工程と、下方側の固定具の接続金具にジャッキを固定し、支持鋼管の上端に上端接続具を接続し、上方側の固定具の接続金具に上端接続具を固定し、支持鋼管とジャッキとの間にネジ調整部を接続して、2つの固定具間に支持部材を設置する工程と、取替主柱材の取外しに伴って鉄塔のトラス構造が失われる範囲に、取替主柱材を有する主柱と隣接する主柱との間に仮設斜材を設置する工程と、ジャッキを伸張させて、取替主柱材の荷重を支持部材に移す工程と、取替主柱材を撤去し、新たな主柱材を取り付ける工程とを備えることを特徴としている。
本発明の山形鋼鉄塔の主柱材取替装置および主柱材取替方法によれば、支持部材の上端接続具が固定される上側固定具の接続金具が、上側固定具の支持フレームと回動可能にピン接続されていること、および、支持部材のジャッキが固定される下側固定具の接続金具が、下側固定具の支持フレームと回動可能にピン接続されていることから、主柱の傾斜角度が変化するベンド点をまたいで主柱材取替装置を設置することができ、ベンド点付近の主柱材を取り替えることができる。つまり、主柱材取替装置の支持部材が、取替主柱材,上側主柱材および下側主柱材と平行にならない箇所に、主柱材取替装置を設置することができる。
また、取替主柱材と隣接する主柱材側から鉄塔本体を対角方向に見て、上側固定具と下側固定具の間に設置される支持部材は、取替主柱材の左右に位置し、一方の支持部材が鉄塔本体内に配置され、もう一方の支持部材が鉄塔本体外に配置されることから、支持部材が鉄塔本体から横方向に突出する腕金と干渉することなく、主柱材取替装置を設置することができる。したがって、腕金を取り外すことなくベンド点付近の主柱材を取り替えることができる。
さらに、支持部材の支持鋼管は、単位部材の種類及び個数を選択して長さを調整することができ、支持鋼管とジャッキとの間に設置されるネジ調整部は、ネジの螺合位置を調整して長さを調節することができる。これにより、支持部材とネジ調整部とを合わせた長さを、主柱材に固定された2つの固定具間の距離に適合させることができる。したがって、主柱材への固定具の固定位置を、支持部材の長さによる制限を受けることなく、高い自由度で選択できる。その結果、主柱材取替装置は、取替主柱材の長さや、固定具を固定する主柱材における金具やボルト等の設置状況に影響を受けることなく、多様な山形鋼鉄塔に設置できるので、高い汎用性が得られる。
さらに、取替主柱材を有する主柱と隣接する主柱との間に設置される仮設斜材により、山形鋼鉄塔が補強される。特に、取替主柱材の取外しに伴い、取替主柱材に対する斜材の接続が解消されて、山形鋼鉄塔のトラス構造が失われても、仮設斜材により、仮設のトラス構造を形成することができる。したがって、取替主柱材が撤去されても、山形鋼鉄塔を安定に保持することができる。
さらに、本発明の山形鋼鉄塔の主柱材取替装置は、取替主柱材の両端に連なる2つの主柱材に、各々固定される2つの固定具と、これら2つの固定具の間に設置される支持部材とを備えた簡単な構成の装置であり、取替主柱材の両端に連なる2つの主柱材間に設置するものであることから、従来の嵩上げ工法を利用した主柱材の取替方法のように、既設鉄塔の上部を囲む大きさの仮設鉄塔を設置する必要がなく、工事の作業手間やコストを削減することができる。
本発明の主柱材取替装置の取付状態の一例を示す正面図である。 図1のA-A線から見た上側固定具の平面図である。 上側固定具および下側固定具の連結金具の上面図である。 図3のB-B線から見た連結金具の正面図である。 図3のC-C線から見た連結金具の側面図である。 図2のD-D線から見た上側固定具の断面図である。 上側固定具の接続金具の支持フレームと相対する面を示す側面図である。 図1のE-E線から見た下側固定具の平面図である。 図8のF-F線から見た下側固定具の断面図である。 下側固定具の接続金具の支持フレームと相対する面を示す側面図である。 本発明の主柱材取替装置の取付状態の一例を示す正面図(取替主柱材と隣接する主柱材側から鉄塔本体を対角方向に見た図)である。 主柱材取替装置を設置した後の鉄塔本体の断面の一例を示す図である。 主柱材の取り替えを行う鉄塔の一例を示す模式図である。 鉄塔の主柱材を撤去した様子を示す模式図である。 主柱材の取り替えを行う他の鉄塔の一例を示す模式図である。 仮設斜材を設置しないで鉄塔の主柱材を撤去した様子を示す模式図である。 仮設斜材を設置して鉄塔の主柱材を撤去した様子を示す模式図である。 仮設斜材の一例を示す概要図である。 山形鋼鉄塔の一例を示す正面図である。 山形鋼鉄塔の中間部付近の一例を示す拡大正面図である。 鉄塔本体の断面の一例を示す図である。
以下、本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図16は山形鋼鉄塔の一例を示す正面図、図17は山形鋼鉄塔の中間部付近の一例を示す拡大正面図である。山形鋼鉄塔100は、地上から縦方向に沿って立設される鉄塔本体101と、鉄塔本体101から横方向に突出する腕金102とを備えている。鉄塔本体101は、縦方向に沿って配置され、鉄塔本体101の上端まで延びる4本の主柱111を備えている。また、鉄塔本体101は、横方向に配置され、隣接する主柱111同士を連結する複数の水平材112と、主柱111や水平材112に対して傾斜するように配置され、隣接する主柱111同士を連結する複数の斜材113とを備えている。なお、鉄塔本体101の四角形状の断面には、図18に示すように、断面の変形を抑えるために断面材116が設置されている。
各主柱111は、端部に継手部を有する山形鋼で形成された主柱材114を複数連接し、各主柱材114の継手部同士を重ね合わせてボルトナットで接合されて構成されている。また、各主柱111は、上方へ向かうにつれて対角に位置する他の主柱111側へ接近するように傾斜している。この主柱111の傾斜角度は、地上から所定の高さの位置(ベンド点115)で変化しており、地上からベンド点115までの各主柱111の傾斜角度に比べて、ベンド点115より上方の各主柱111の傾斜角度が小さくなっている。これにより、各主柱111はベンド点115において屈曲している。
各腕金102は、通常、鉄塔本体101のベンド点115より上方の位置に設置されており、鉄塔本体101から横方向(図16および図17の鉄塔正面視で左右方向)に沿って突出される一対の腕金主材121を備えている。また、各腕金102は、鉄塔本体101から突出し、腕金主材121に対して傾斜するように配置されて、鉄塔本体101と腕金主材121の先端とを連結する一対の腕金吊材122を備えている。
図1は、本発明の主柱材取替装置1の取付状態の一例を示す正面図であり、鉄塔本体101のベンド点115が取替主柱材9の下側に連なる下側主柱材11に位置する場合の例を示している。本発明の主柱材取替装置1は、取替主柱材9の上側に連なる上側主柱材10に固定される上側固定具2と、取替主柱材9の下側に連なる下側主柱材11に固定される下側固定具3と、上側固定具2と下側固定具3との間に設置される支持部材4とを備えている。なお、上側主柱材10には上側固定具2を接続するためのボルト穴が設けられており、下側主柱材11には下側固定具3を接続するためのボルト穴が設けられている。
まず、上側主柱材10に固定される上側固定具2について説明する。図2は、図1のA-A線から見た上側固定具2の平面図である。上側固定具2は、連結金具12と、支持フレーム13と、接続金具14と、ピン21とで構成されている。
図3は上側固定具2および下側固定具3の連結金具12,22の上面図、図4は図3のB-B線から見た連結金具12,22の正面図、図5は図3のC-C線から見た連結金具12,22の側面図である。上側固定具2の連結金具12は、上側主柱材10のフランジ幅よりも大きい幅のL字形状体で形成されており、L字形状の内側面には上側主柱材10と接続するためのボルト穴15が設けられ、連結金具12の幅方向の両端部には支持フレーム13と接続するためのボルト穴16が設けられている。この連結金具12のL字形状の内側面を上側主柱材10の外側面に当接させ、上側主柱材10の上側固定具2と接続するためのボルト穴と、連結金具12の上側主柱材10と接続するためのボルト穴15とにボルトを挿通して、ボルトナットで接続することで、連結金具12は上側主柱材10に固定される。
上側固定具2の支持フレーム13は、長尺の溝形状体で形成されており、支持フレーム13の中央部付近には、連結金具12と接続するためのボルト穴17が設けられ、支持フレーム13の両端部には、接続金具14とピン接続するための穴18が設けられている。この支持フレーム13の連結金具12と接続するためのボルト穴17と、連結金具12の支持フレーム13と接続するためのボルト穴16とにボルトを挿通して、ボルトナットで接続することで、一対の支持フレーム13が連結金具12の幅方向の両端部にそれぞれ固定される。このようにして連結金具12に固定された一対の支持フレーム13は、互いに平行で、上側主柱材10に対して直角に設置された状態となる。また、支持フレーム13の両端には、一対の支持フレーム13間に2つの接続金具14が回動可能に取り付けられており、図2に示す上側固定具2の平面視において、上側固定具2は一対の支持フレーム13と2つの接続金具14とで矩形状に形成されている。この矩形状の中央を上側主柱材10が上下方向に貫通するようにして、上側固定具2は上側主柱材10に固定される。
図6は図2のD-D線から見た上側固定具2の断面図、図7は上側固定具2の接続金具14の支持フレーム13と相対する面を示す側面図である。上側固定具2の接続金具14は、下方が開放された箱状体で形成されており、上面には支持部材4を固定するためのボルト穴20が設けられ、側面のうち支持フレーム13と相対する面には、支持フレーム13とピン接続するための穴19が設けられている。この接続金具14の支持フレーム13とピン接続するための穴19と、前記支持フレーム13の接続金具14とピン接続するための穴18とにピン21を挿通して接続することで、一対の支持フレーム13間に2つの接続金具14が回動可能に取り付けられる。
次に、下側主柱材11に固定される下側固定具3について説明する。図8は、図1のE-E線から見た下側固定具3の平面図である。下側固定具3は、上側固定具2と同様に、連結金具22と、支持フレーム23と、接続金具24と、ピン21とで構成されている。
下側固定具3の連結金具22は、上側固定具2の連結金具12と同様の形状であり、図3から図5に示すように、下側主柱材11のフランジ幅よりも大きい幅のL字形状体で形成されており、L字形状の内側面には下側主柱材11と接続するためのボルト穴25が設けられ、連結金具22の幅方向の両端部には支持フレーム23と接続するためのボルト穴16が設けられている。この連結金具22のL字形状の内側面を下側主柱材11の外側面に当接させ、下側主柱材11の下側固定具3と接続するためのボルト穴と、連結金具22の下側主柱材11と接続するためのボルト穴25とにボルトを挿通して、ボルトナットで接続することで、連結金具22は下側主柱材11に固定される。
下側固定具3の支持フレーム23は、上側固定具2の支持フレーム13と同様の形状であり、長尺の溝形状体で形成されており、支持フレーム23の中央部付近には、連結金具22と接続するためのボルト穴17が設けられ、支持フレーム23の両端部には、接続金具24とピン接続するための穴18が設けられている。この支持フレーム23の連結金具22と接続するためのボルト穴17と、連結金具22の支持フレーム23と接続するためのボルト穴16とにボルトを挿通して、ボルトナットで接続することで、一対の支持フレーム23が連結金具22の幅方向の両端部にそれぞれ固定される。このようにして連結金具22に固定された一対の支持フレーム23は、互いに平行で、下側主柱材11に対して直角に設置された状態となる。また、支持フレーム23の両端には、一対の支持フレーム23間に2つの接続金具24が回動可能に取り付けられており、図8に示す下側固定具3の平面視において、下側固定具3は一対の支持フレーム23と2つの接続金具24とで矩形状に形成されている。この矩形状の中央を下側主柱材11が上下方向に貫通するようにして、下側固定具3は下側主柱材11に固定される。
図9は図8のF-F線から見た下側固定具3の断面図、図10は下側固定具3の接続金具24の支持フレーム23と相対する面を示す側面図である。下側固定具3の接続金具24は、上方が開放された箱状体で形成されており、下面にはジャッキ5を固定するための穴26が設けられ、側面のうち支持フレーム23と相対する面には、支持フレーム23とピン接続するための穴19が設けられている。この接続金具24の支持フレーム23とピン接続するための穴19と、支持フレーム23の接続金具24とピン接続するための穴18とにピン21を挿通して接続することで、一対の支持フレーム23間に2つの接続金具24が回動可能に取り付けられる。
次に、上側固定具2と下側固定具3との間に設置される支持部材4について説明する。支持部材4は、上端接続具7と、支持鋼管8と、ジャッキ5とを有している。支持鋼管8は、長さの異なる複数種類の単位部材としての鋼管ピース8a,8b,8c,8dによって形成されている。上側固定具2を上側主柱材10に固定し、下側固定具3を下側主柱材11に固定した後、これら上側固定具2と下側固定具3の間の距離に応じて鋼管ピース8a,8b,8c,8dの種類と数を設定することにより、高い自由度で支持部材4の長さを調整可能になっている。
支持鋼管8の上端には、上端接続具7が接続されている。上端接続具7は、雄ネジで形成されたネジ部7aと、ネジ部7aが上端に固定された接続鋼管7bと、ネジ部7aに螺合するナット7cを有している。前記ネジ部7aは、上側固定金具2の接続金具14の上面に設けられた支持部材4を固定するためのボルト穴20に挿通可能な径に形成されている。上端接続具7は、ネジ部7aを上側固定金具2の接続金具14の上面に設けられた支持部材4を固定するためのボルト穴20に挿通し、ネジ部7aにナット7cを螺合することで、接続金具14に固定される。また、接続鋼管7bの下端は支持鋼管8aの上端に固定される。これにより、支持部材4は上端接続具7を介して上側固定金具2の接続金具14に固定される。
ジャッキ5は、シリンダ5aとロッド5bとロッド接続鋼管5cとを有している。シリンダ5aは、下側固定具3の接続金具24の下面に設けられたジャッキ5を固定するための穴26に固定されると共に、図示しない油圧ポンプに接続されている。ロッド接続鋼管5cは、シリンダ5aで進退駆動されるロッド5bの先端に下端が固定されると共に、上端に、支持鋼管8dあるいは後述するネジ調整部6の下端が固定される。このジャッキ5は、取替主柱材9と支持部材4との間で荷重を移す際に、操作者による油圧ポンプの操作に基づいてシリンダ5aを伸縮駆動し、上側固定具2と下側固定具3との間の距離を調整するようになっている。
なお、支持部材4は、支持鋼管8とジャッキ5との間に、ネジの螺合位置に応じて長さが調節可能なネジ調整部6を接続してもかまわない。ネジ調整部6は、雄ネジで形成されたネジ本体6aと、ネジ本体6aの上側部分に螺合する上側フランジ6bと、ジャッキ5のロッド接続鋼管5cの上端に固定され、ネジ本体6aの下側部分に螺合する下側フランジ6cと、支持鋼管8dの下端に固定され、上側フランジ6bが下端に固定されたネジ接続鋼管6dとで構成されている。このネジ調整部6は、上側フランジ6b又は下側フランジ6cをネジ本体6aに対して回転させて、軸方向の全体の長さを調整するようになっている。上記支持鋼管8a,8b,8c,8dの種類と数によって支持部材4の全長を調整した後、このネジ調整部6の全長を調整することにより、上側固定具2と下側固定具3の間の距離に応じて、支持部材4とネジ調整部6との全長を正確に適合させることが可能になっている。なお、このネジ調整部6は、通常、支持鋼管8とジャッキ5との間に接続されるが、支持鋼管8と上端接続具7との間に接続しても構わない。この場合、ネジ調整部6は、ネジ接続鋼管6dを上端接続具7の下端に固定し、下側フランジ6cを支持鋼管8aの上端に固定して接続される。
次に、上記構成の本発明の主柱材取替装置1を用いて、山形鋼鉄塔100の取替主柱材9を取り替える方法について説明する。ここでは、山形鋼鉄塔100の主柱111のベンド点115をまたいで主柱材取替装置1を設置し、ベンド点115直上の取替主柱材9を取り替える場合を例に説明する。図11は、取替主柱材9と隣接する主柱材側から鉄塔本体101を対角方向に見たときの主柱材取替装置1の取付状態の一例を示す正面図である。
第1の工程では、取替主柱材9の上側および下側に連なる主柱材10,11に主柱材取替装置1の上側固定具2および下側固定具3を設置するための穴あけ加工を行う。
まず、取替主柱材9の上側に連なる上側主柱材10に主柱材取替装置1の上側固定具2を固定するための穴あけ加工を行う。この上側主柱材10に設けられる上側固定具2と接続するためのボルト穴について、ボルト穴の径および配置は、上側固定具2の連結金具12に設けられている上側主柱材10と接続するためのボルト穴15に対応している。次に、取替主柱材9の下側に連なる下側主柱材11に主柱材取替装置1の下側固定具3を固定するための穴あけ加工を行う。この下側主柱材11に設けられる下側固定具3と接続するためのボルト穴について、ボルト穴の径および配置は、下側固定具3の連結金具22に設けられている下側主柱材11と接続するためのボルト穴25に対応している。
第2の工程では、取替主柱材9の下側に連なる下側主柱材11に下側固定具3を固定する。
まず、下側固定具3の連結金具22を、L字形状の内側面を下側主柱材11の外側面に当接させるようにして配置する。このとき連結金具22に設けられている下側主柱材11と接続するためのボルト穴25を、下側主柱材11の下側固定具3と接続するためのボルト穴に重ねるようにして配置し、これらのボルト穴にボルトを挿通して、ボルトナットで接続することで、下側固定具3の連結金具22を下側主柱材11に固定する。
次に、下側主柱材11に固定された連結金具22に支持フレーム23を固定する。このとき支持フレーム23の中央部付近に設けられている連結金具22と接続するためのボルト穴17を、連結金具22の幅方向の両端部に設けられている支持フレーム23と接続するためのボルト穴16に重ねるようにして配置し、これらのボルト穴16,17にボルトを挿通して、ボルトナットで接続することで、一対の支持フレーム23を連結金具22の幅方向の両端部にそれぞれ固定する。このようにして連結金具22に固定された一対の支持フレーム23は、互いに平行で、下側主柱材11に対して直角に設置された状態となる。
次に、連結金具22に固定された支持フレーム23に接続金具24を取り付ける。このとき接続金具24の側面に設けられている支持フレーム23とピン接続するための穴19を、支持フレーム23の両端部に設けられている接続金具24とピン接続するための穴18に重ねるようにして、一対の支持フレーム23間に接続金具24を配置し、これらの穴18,19にピン21を挿通して接続することで、一対の支持フレーム23間に2つの接続金具24を回動可能に取り付ける。
上記の第2の工程により、図8に示す下側固定具3の平面視において、下側固定具3は一対の支持フレーム23と2つの接続金具24とで矩形状に形成され、この矩形状の中央を下側主柱材11が上下方向に貫通するようにして、下側固定具3は下側主柱材11に固定される。
第3の工程では、取替主柱材9の上側に連なる上側主柱材10に上側固定具2を固定する。
まず、上側固定具2の連結金具12を、L字形状の内側面を上側主柱材10の外側面に当接させるようにして配置する。このとき連結金具12に設けられている上側主柱材10と接続するためのボルト穴15を、上側主柱材10の上側固定具2と接続するためのボルト穴に重ねるようにして配置し、これらのボルト穴にボルトを挿通して、ボルトナットで接続することで、上側固定具2の連結金具12を上側主柱材10に固定する。
次に、上側主柱材10に固定された連結金具12に支持フレーム13を固定する。このとき支持フレーム13の中央部付近に設けられている連結金具12と接続するためのボルト穴17を、連結金具12の幅方向の両端部に設けられている支持フレーム13と接続するためのボルト穴16に重ねるようにして配置し、これらのボルト穴16,17にボルトを挿通して、ボルトナットで接続することで、一対の支持フレーム13を連結金具12の幅方向の両端部にそれぞれ固定する。このようにして連結金具12に固定された一対の支持フレーム13は、互いに平行で、上側主柱材10に対して直角に設置された状態となる。
次に、連結金具12に固定された支持フレーム13に接続金具14を取り付ける。このとき接続金具14の側面に設けられている支持フレーム13とピン接続するための穴19を、支持フレーム13の両端部に設けられている接続金具14とピン接続するための穴18に重ねるようにして、一対の支持フレーム13間に接続金具14を配置し、これらの穴18,19にピン21を挿通して接続することで、一対の支持フレーム13間に2つの接続金具14を回動可能に取り付ける。
上記の第3の工程により、図2に示す上側固定具2の平面視において、上側固定具2は一対の支持フレーム13と2つの接続金具14とで矩形状に形成され、この矩形状の中央を上側主柱材10が上下方向に貫通するようにして、上側固定具2は上側主柱材10に固定される。
第4の工程では、上側固定具2と下側固定具3との間に支持部材4を設置する。ここでは、支持鋼管8とジャッキ5との間にネジ調整部6を接続する場合について説明する。
取替主柱材9の上側および下側に連なる主柱材10,11への上側固定具2および下側固定具3の固定が完了すると、下側固定具3の接続金具24にジャッキ5のシリンダ5aを固定し、シリンダ5aに油圧配管を接続して、下側固定具3にジャッキ5を動作可能に設置する。そして、ジャッキ5のロッド接続鋼管5cの上端にネジ調整部6の下側フランジ6cを固定して、ジャッキ5とネジ調整部6を接続する。
この後、上側固定具2と下側固定具3の間の距離を測定し、測定値に適合する支持鋼管8の長さを設定し、この設定長さに適合する鋼管ピース8a,8b,8c,8dの種類と数を決定する。決定された種類と数の鋼管ピース8a,8b,8c,8dを互いに連結して支持鋼管8を形成し、この支持鋼管8の上端部に上端接続具7を接続する。上端接続具7は、ネジ部7aを上側固定具2の接続金具14の上面に設けられた支持部材4を固定するためのボルト穴20に挿通し、ネジ部7aにナット7cを螺合することで、接続金具14に固定される。これにより、支持部材4は上端接続具7を介して上側固定具2の接続金具14に固定される。
なお、上側固定具2はベンド点115より上方の上側主柱材10に固定されており、下側固定具3はベンド点115より下方の下側主柱材11に固定されていることから、上側固定具2と下側固定具3は互いに傾斜角度が異なっている。この傾斜角度の異なる上側固定具2と下側固定具3の間に直線状の支持部材4を設置するために、上側固定具2の接続金具14をピン21位置で回動させるとともに、下側固定具3の接続金具24をピン21位置で回動させて、接続金具14,24の角度を、上側固定具2と下側固定具3の間に直線状の支持部材4が設置できる角度に設定する。
この後、ネジ調整部6のネジ本体6aを下側フランジ6cに対して回動させ、また、ネジ本体6aに対して上側フランジ6bおよびネジ接続鋼管6dを回動させて、ネジ調整部6の長さ調整を行う。ネジ調整部6の長さ調整により、ネジ接続鋼管6dの上端のフランジが、支持鋼管8の下端に設けられた鋼管ピース8dの下端のフランジに接すると、ネジ接続鋼管6dと鋼管ピース8dをボルトナットで固定する。こうして、上側固定具2と下側固定具3の両端の間に、2組の支持部材4とネジ調整部6とが、各々の全長を調整して設置される。
この上側固定具2と下側固定具3の両端の間に設置される支持部材4は、図11および図12に示すように、取替主柱材9と隣接する主柱材側から鉄塔本体101を対角方向に見て、取替主柱材9の左右に位置し、一方の支持部材4が鉄塔本体101内に配置され、もう一方の支持部材4が鉄塔本体101外に配置される。このとき、鉄塔本体101内に配置される支持部材4が、鉄塔本体101の断面に設置されている断面材116と干渉する場合は、干渉する断面材116を撤去する。なお、断面材116の撤去により鉄塔本体101の断面の強度が不足する場合は、干渉しない側の断面材116の部材サイズを大きくしたり、鉄塔本体101の断面の支持部材4と干渉しない位置に仮設材を設置する等の補強を施す。上記第1から第4の工程により、主柱111のベンド点115をまたいで主柱材取替装置1の設置が完了する。
第5の工程では、必要に応じて取替主柱材9を有する主柱Pと隣接する主柱PNとの間に仮設斜材27を設置する。
図13Aに示すようなダブルワーレントラス構造の山形鋼鉄塔100の主柱材取替作業では、図13Bに示すように、取替主柱材9を撤去すると、斜材113a,113bの荷重伝達機能が消失する。一方、斜材113c,113dの荷重伝達機能は残存するので、これらの斜材113c,113dにより構成されるシングルワーレントラス構造が残存する。したがって、隣接主柱PNと主柱材取替装置1に対する負荷が比較的小さいため、仮設斜材を設置することなく、取替主柱材9の取替作業を行うことができる。なお、図13では、腕金102は省略しており、鉄塔本体101において荷重伝達機能が実質的に失われる部材を破線で示している。
これに対して、図14Aに示すような取替主柱材9に部材結合点が2つ以上存在する場合、取替主柱材9を撤去すると、図14Bに示すように、斜材113a,113b,113c,113dの荷重伝達機能が失われると共に、斜材113f,113gの荷重伝達機能も失われる。したがって、トラス構造が消失することとなる。そこで、図14Cに示すように、取替主柱材9を有する主柱Pと隣接主柱PNとの間に、仮設斜材27を設置して、斜材113eと仮設斜材27により構成される仮設のシングルワーレントラス構造を形成する。なお、図14では、腕金102は省略しており、鉄塔本体101において荷重伝達機能が実質的に失われる部材を破線で示している。
なお、仮設斜材27については、山形鋼鉄塔100の主柱P,PN間に設置可能で、荷重伝達能力を有するものであればどのような構造でも構わないが、既設の斜材113や水平材112を取り外さずに設置することができ、長さ調整が可能な構造の仮設斜材27が好ましい。例えば、図15に示すような、固定部28と連結部材29と調整部30とで構成された仮設斜材27が用いられる。この仮設斜材27は、取替主柱材9を有する主柱Pと隣接主柱PNとに取り付ける固定部28が仮設斜材27の両端に取付けられ、固定部28は調整部30を介して連結部材29に接続されている。前記固定部28は、一対のL字形状体で構成されており、主柱材あるいは主柱材に取り付けられたプレートとボルトナットで接合される。前記連結部材29は、長さの異なる複数種類の単位部材としての鋼管部材によって形成されており、主柱P,PNに取り付けられた固定部28,28間の距離に応じて鋼管部材の種類と数を設定することにより、高い自由度で連結部材29の長さを調整可能になっている。また、連結部材29は、2本の連結部材29が主柱材の幅よりも広い間隔を保って主柱P,PN間に取付けられ、既設の斜材113や水平材112を取り外さずに設置することができる。前記調整部30は、ネジ部30aと調整ナット30bにより構成され、ネジ部30aは固定部28に設けられた通し孔を貫通させて連結部材29の端部に固定されており、固定部28の通し孔箇所には調整ナット30bが取付けられ、調整ナット30bの位置を移動させることで、主柱P,PNに取り付けられた固定部28,28間の距離を調整することができる。このように長さ調整が可能な仮設斜材27を用いることで、主柱P,PN間の距離が異なる鉄塔について、種々の位置の主柱材の取替作業に用いることができ、高い汎用性を有する。
このように、取替主柱材9を有する主柱Pと隣接主柱PNとの間に、仮設斜材27を設置することで、取替主柱材9の取外しに伴って山形鋼鉄塔100のトラス構造が失われても、仮設のシングルワーレントラス構造を形成できる。したがって、取替主柱材9が撤去されても、山形鋼鉄塔100を安定に保持することができる。
第6の工程では、ジャッキ5を伸張させて、取替主柱材9の荷重を支持部材4に移す。
取替主柱材9に接続されている斜材113や水平材112を、これらの結合位置に締結されていたボルトナットを取り外して、取替主柱材9から切り離す。続いて、取替主柱材9と下側主柱材11を接合するボルトナットと、取替主柱材9と上側主柱材10を接続するボルトナットを緩め、油圧ポンプを作動させてシリンダ5aを伸縮駆動し、取替主柱材9に作用していた荷重を支持部材4に移す。このとき2台のジャッキ5,5に対して、同時に油圧ポンプを作動させてシリンダ5a,5aを伸縮駆動させるが、各ジャッキ5,5の伸縮量が均等にならない場合があるため、下側固定具3と支持鋼管8間に伸縮計を取り付けて、各ジャッキ5,5の伸縮量を管理しながらジャッキ5操作を行っても構わない。
第7の工程では、取替主柱材9を撤去し、新たな主柱材を取り付ける。
取替主柱材9に作用していた荷重を支持部材4に移すと、取替主柱材9を撤去し、新たな主柱材を下側主柱材11の上端と上側主柱材10の下端との間に組み付ける。新たな主柱材を組み付けた後、第6の工程で取替主柱材9から切り離した斜材113や水平材112を新たな主柱材に接続する。その後、ジャッキ5を収縮駆動して支持部材4の荷重を新たな主柱材に移し、支持部材4およびネジ調整部6を撤去する。最後に、仮設斜材27を撤去し、下側主柱材10から下側固定具3を撤去し、上側主柱材9から上側固定具2を撤去して、取替作業が完了する。
上記の山形鋼鉄塔100の主柱材取替装置1および主柱材取替方法によれば、上端接続具7が固定される上側固定具2の接続金具14が、上側固定具2の支持フレーム13と回動可能にピン接続されていること、および、ジャッキ5が固定される下側固定具3の接続金具24が、下側固定具3の支持フレーム23と回動可能にピン接続されていることから、主柱111の傾斜角度が変化するベンド点115をまたいで主柱材取替装置1を設置することができ、ベンド点115付近の主柱材を取り替えることができる。つまり、主柱材取替装置1の支持部材4が、取替主柱材9,上側主柱材10および下側主柱材11と平行にならない箇所に、主柱材取替装置1を設置することができる。
さらに、上側固定具2と下側固定具3間に設置される支持部材4は、取替主柱材9と隣接する主柱材側から鉄塔本体101を対角方向に見て、取替主柱材9の左右に位置し、一方の支持部材4が鉄塔本体101内に配置され、もう一方の支持部材4が鉄塔本体101外に配置されることから、支持部材4が鉄塔本体101から横方向に突出する腕金102と干渉することなく、主柱材取替装置1を設置することができる。したがって、主柱材取替装置1を設置するために腕金102を取り外すことなくベンド点115付近の主柱材を取り替えることができる。
さらに、支持部材4の支持鋼管8は、単位部材の種類及び個数を選択して長さを調整することができ、支持鋼管8とジャッキ5との間に設置されるネジ調整部6は、ネジの螺合位置を調整して長さを調節することができる。これにより、支持部材4とネジ調整部6とを合わせた長さを、主柱材10,11に固定された2つの固定具2,3間の距離に適合させることができる。したがって、主柱材10,11への固定具2,3の固定位置を、支持部材4の長さによる制限を受けることなく、高い自由度で選択できる。その結果、主柱材取替装置1は、取替主柱材9の長さや、固定具2,3を固定する主柱材10,11における金具やボルト等の設置状況に影響を受けることなく、多様な山形鋼鉄塔100に設置できるので、高い汎用性が得られる。
なお、上記の山形鋼鉄塔100の主柱材取替装置1および主柱材取替方法は、上側固定具2の接続金具14および下側固定具3の接続金具24が、支持フレーム13,23と回動可能にピン接続されていることから、主柱材取替装置1の支持部材4が、取替主柱材9,上側主柱材10および下側主柱材11と平行となる箇所にも主柱材取替装置1を設置することができ、ベンド点115付近以外の主柱材の取り替えにも適用することができる。
1 主柱材取替装置
2 上側固定具
3 下側固定具
4 支持部材
5 ジャッキ
5a シリンダ
5b ロッド
5c ロッド接続鋼管
6 ネジ調整部
6a ネジ本体
6b 上側フランジ
6c 下側フランジ
6d ネジ接続鋼管
7 上端接続具
7a ネジ部
7b 接続鋼管
7c ナット
8 支持鋼管
9 取替主柱材
10 上側主柱材
11 下側主柱材
12 上側固定具の連結金具
13 上側固定具の支持フレーム
14 上側固定具の接続金具
15 連結金具の上側主柱材と接続するためのボルト穴
16 連結金具の支持フレームと接続するためのボルト穴
17 支持フレームの連結金具と接続するためのボルト穴
18 支持フレームの接続金具とピン接続するための穴
19 接続金具の支持フレームとピン接続するための穴
20 接続金具の支持部材を固定するためのボルト穴
21 ピン
22 下側固定具の連結金具
23 下側固定具の支持フレーム
24 下側固定具の接続金具
25 連結金具の下側主柱材と接続するためのボルト穴
26 接続金具のジャッキを固定するための穴
27 仮設斜材
28 固定部
29 連結部材
30 調整部
30a ネジ部
30b 調整ナット
100 山形鋼鉄塔
101 鉄塔本体
102 腕金
111 主柱
112 水平材
113 斜材
114 主柱材
115 ベンド点
116 断面材
121 腕金主材
122 腕金吊材
P 取替主柱材を有する主柱
PN 隣接主柱

Claims (8)

  1. 取替主柱材の両端に連なる2つの主柱材に、各々固定される2つの固定具と、これら2つの固定具の間に設置される支持部材とを備えた山形鋼鉄塔の主柱材取替装置において、
    前記固定具は、
    前記主柱材の外側面に固定される連結金具と、
    前記連結金具に固定され、互いに平行で、前記主柱材に対して直角に設置される長尺の一対の支持フレームと、
    前記一対の支持フレーム間に回動可能に取り付けられる接続金具と、
    を有しており、
    前記支持部材は、
    上方側の固定具の接続金具に固定される上端接続具と、
    使用する種類及び個数によって全体の長さが調整可能な1つ又は複数の単位部材で形成される支持鋼管と、
    下方側の固定具の接続金具に固定されるジャッキと、
    を有していることを特徴とする山形鋼鉄塔の主柱材取替装置。
  2. 請求項1に記載の山形鋼鉄塔の主柱材取替装置において、
    前記連結金具は、前記主柱材のフランジ幅よりも大きい幅のL字形状体で形成されていること、
    前記連結金具には、L字形状の内側面に前記主柱材と接続するためのボルト穴が設けられ、L字形状の幅方向の両端部には前記支持フレームと接続するためのボルト穴が設けられていること、
    前記連結金具は、L字形状の内側面を前記主柱材の外側面に当接させて前記主柱材に固定されること、
    を特徴とする山形鋼鉄塔の主柱材取替装置。
  3. 請求項1に記載の山形鋼鉄塔の主柱材取替装置において、
    前記支持フレームの中央部付近には、前記連結金具と接続するためのボルト穴が設けられ、前記支持フレームの両端部には、前記接続金具とピン接続するための穴が設けられていること、
    前記一対の支持フレームは、中央部付近に設けられたボルト穴の位置で連結金具の両端部にそれぞれ固定されること、
    を特徴とする山形鋼鉄塔の主柱材取替装置。
  4. 請求項1に記載の山形鋼鉄塔の主柱材取替装置において、取替主柱材の上側に連なる主柱材に固定される上方側の固定具の接続金具は、
    下方が開放された箱状体で形成されており、上面には前記支持部材の上端接続具を固定するための穴が設けられ、側面のうち前記支持フレームと相対する面には、支持フレームとピン接続するための穴が設けられていること、
    この前記接続金具の側面に設けられた穴と、前記支持フレームの両端部に設けられた穴とにピンを挿通して前記支持フレームに接続されること、
    を特徴とする山形鋼鉄塔の主柱材取替装置。
  5. 請求項1に記載の山形鋼鉄塔の主柱材取替装置において、取替主柱材の下側に連なる主柱材に固定される下方側の固定具の接続金具は、
    上方が開放された箱状体で形成されており、下面には前記支持部材のジャッキを固定するための穴が設けられ、側面のうち前記支持フレームと相対する面には、支持フレームとピン接続するための穴が設けられていること、
    この前記接続金具の側面に設けられた穴と、前記支持フレームの両端部に設けられた穴とにピンを挿通して前記支持フレームに接続されること、
    を特徴とする山形鋼鉄塔の主柱材取替装置。
  6. 請求項1に記載の山形鋼鉄塔の主柱材取替装置において、
    前記支持部材は、支持鋼管とジャッキとの間に、ネジの螺合位置に応じて長さが調節可能なネジ調整部を備えること、
    を特徴とする山形鋼鉄塔の主柱材取替装置。
  7. 取替主柱材の両端に連なる2つの主柱材に連結金具を固定し、前記連結金具に支持フレームを固定し、前記支持フレーム両端の一対の支持フレーム間に接続金具を回動可能に接続して、主柱材に固定具を固定する工程と、
    下方側の固定具の接続金具にジャッキを固定し、支持鋼管の上端に上端接続具を接続し、上方側の固定具の接続金具に上端接続具を固定し、支持鋼管の下端とジャッキの上端との間にネジ調整部を接続して、2つの固定具間に支持部材を設置する工程と、
    ジャッキを伸張させて、取替主柱材の荷重を支持部材に移す工程と、
    取替主柱材を撤去し、新たな主柱材を取り付ける工程と、
    を備えることを特徴とする山形鋼鉄塔の主柱材取替方法。
  8. 取替主柱材の両端に連なる2つの主柱材に連結金具を固定し、前記連結金具に支持フレームを固定し、前記支持フレーム両端の一対の支持フレーム間に接続金具を回動可能に接続して、主柱材に固定具を固定する工程と、
    下方側の固定具の接続金具にジャッキを固定し、支持鋼管の上端に上端接続具を接続し、上方側の固定具の接続金具に上端接続具を固定し、支持鋼管の下端とジャッキの上端との間にネジ調整部を接続して、2つの固定具間に支持部材を設置する工程と、
    取替主柱材の取外しに伴って山形鋼鉄塔のトラス構造が失われる範囲に、取替主柱材を有する主柱と隣接する主柱との間に仮設斜材を設置する工程と、
    ジャッキを伸張させて、取替主柱材の荷重を支持部材に移す工程と、
    取替主柱材を撤去し、新たな主柱材を取り付ける工程と、
    を備えることを特徴とする山形鋼鉄塔の主柱材取替方法。
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