JP2022094688A - 熱硬化性樹脂組成物、および半導体装置 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物、および半導体装置 Download PDF

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Abstract

【課題】基板の反りの低減と、良好な成形性が得られる熱硬化性樹脂組成物を提供する。【解決手段】本発明の熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂、およびベンゾオキサジン樹脂を含み、熱機械分析装置を用いて、温度50℃から150℃の昇温過程で測定される、当該熱硬化性樹脂組成物の線膨張係数α1が3ppm/℃以上16ppm/℃以下である。【選択図】図1

Description

本発明は、熱硬化性樹脂組成物、および半導体装置に関する。より詳細には、熱硬化性樹脂組成物、これを用いた樹脂膜、キャリア付樹脂膜およびプリプレグ、ならびに半導体装置に関する。
近年、電子機器の小型化・軽量化に伴い、リードフレーム等の半導体素子搭載基板の薄型化の検討が進んでいる。しかしながら、粘着フィルムのラミネート後、樹脂封止後、封止樹脂研磨後等の各工程の後で、リードフレームの反りの問題が発生しやすい。例えば、特許文献1には、粘着剤層がポリイミド共重合体を含有し、ポリイミド共重合体が少なくとも酸無水物残基とジアミン残基を有し、ジアミン残基に一般式(1)で表されるポリシロキサン系ジアミン残基を全ジアミン残基中30~100モル%含有し、耐熱性フィルムの50~200℃の平均線膨張係数α(ppm/℃)と、封止樹脂の50~200℃の平均線膨張係数β(ppm/℃)を制御した電子部品製造用粘着フィルムが開示されている。
特開2020-136600号公報
しかしながら、本件発明者の検討によれば、従来技術においては、金属板に埋め込まれた封止樹脂上に配置された電極パッドに対しワイヤーボンディングを行うと、電極パッドが封止樹脂内に沈み込む場合があることが新たに見出された。これにより、半導体装置を高精度に得る点で改善の余地があった。また、より高精度な半導体装置を得る観点から、金属板の反り低減の向上が求められる。
本件発明者は、基板の反りを抑制しつつ、電極パッドの沈み込みを抑制するという2つの課題を解決するため、封止樹脂材料に着目し検討を行った結果、封止材料としてエポキシ樹脂およびベンゾオキサジン樹脂を用いつつ、その線膨張係数を制御することが有効であるという知見を得た。すなわち、特定の線膨張係数を指標としながら、樹脂材料の種類としてエポキシ樹脂とベンゾオキサジン樹脂の組み合わせることが、かかる2つの異なる課題を両立させるのに有効であることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、
エポキシ樹脂、およびベンゾオキサジン樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物であって、
熱機械分析装置を用いて、温度50℃から150℃の昇温過程で測定される、当該熱硬化性樹脂組成物の線膨張係数α1が3ppm/℃以上16ppm/℃以下である、熱硬化性樹脂組成物を提供する。
本発明は、上記の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂膜を提供する。
本発明は、
キャリア基材と、
前記キャリア基材上に設けられている、上記の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂膜と、を備える、キャリア付樹脂膜を提供する。
本発明は、
上記の熱硬化性樹脂組成物を繊維基材に含浸してなるプリプレグを提供する。
本発明は、
基板上に設けられた半導体素子と、
前記半導体素子に接続されるボンディングワイヤと、
当該ボンディングワイヤと電気的に接続される電極パッドと、
を備え、
前記電極パッドが、上記の熱硬化性樹脂脂組成物の硬化物上に配置されている、半導体装置を提供する。
本発明によれば、基板の反りの低減と、良好な成形性が得られる熱硬化性樹脂組成物を提供できる。
本実施形態の半導体装置の一例を示す模式断面図である。 本実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す工程断面図である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。
本明細書中、数値範囲の説明における「a~b」との表記は、特に断らない限り、a以上b以下のことを表す。例えば、「1~5質量%」とは「1質量%以上5質量%以下」を意味する。
<半導体装置>
図1は、本実施形態の半導体装置の一例を示す模式断面図である。
本実施形態の半導体装置100は、基板(リードフレーム12)上に設けられた半導体素子31と、半導体素子31に接続されるボンディングワイヤ41と、ボンディングワイヤ41と電気的に接続される電極パッド30と、を備え、電極パッド30が、後述する本実施形態の熱硬化性樹脂20の硬化物上に配置されている。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物によれば、ワイヤーボンディング時の電極パッドの沈み込みを抑制しつつ、基板の反りを抑制できる。その結果、精度よく半導体装置を製造することができる。
<半導体装置の製造方法>
まず、本実施形態の半導体装置の製造方法の一例について説明する。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物を用いた半導体装置の製造方法は、用途等に応じて適宜選択されるが、以下、基板としてリードフレームを用い、熱硬化性樹脂組成物がリードフレームの埋め込みに用いられた場合の半導体装置の製造方法について、説明する。
図2は、本実施形態の半導体装置の製造方法の一例を示す工程断面図である。
まず、図2(a)に示すように、金属板10を用意する。金属板10は、のちにリードフレーム12となる。
金属板10を構成する金属としては、例えば、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、鉄、錫等から選択される一種または二種以上が挙げられる。これらの中でも、金属板10は、好ましくは銅層またはアルミニウム層であり、特に好ましくは銅層である。銅またはアルミニウムを用いることで、金属板10の回路加工性を良好なものとすることができる。金属板10は、板状で入手できる金属箔を用いてもよいし、ロール状で入手できる金属箔を用いてもよい。
金属板10の厚みの下限値は、例えば、0.01mm以上であり、好ましくは0.05mm以上、さらに好ましくは0.10mm以上である。このような数値以上であれば、高電流を要する用途であっても、回路パターンの発熱を抑えることができる。
金属板10の厚みの上限値は、例えば、2.0mm以下であり、好ましくは1.5mm以下であり、さらに好ましくは1.0mm以下である。このような数値以下であれば、回路加工性を向上させることができ、また、基板全体としての薄型化を図ることができる。
次に、図2(b)に示すように、金属板10の一方の面(表面)に所定の回路パターン11を形成する。回路パターン11の形成方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。すなわち、エッチングにより金属板10の一部を除去し、所定の回路パターン11を有する金属板10を形成することができる。
続けて、図2(c)に示すように、回路パターン11を埋め込むようにして、真空ラミネーターにより金属板10上に本実施形態の熱硬化性樹脂組成物20を100~130℃でラミネート(配置)する。このとき、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物20を用いることで回路パターン11への充填性を高め、ボイド発生を低減できる。その後、オーブンにて加熱処理を施し、熱硬化性樹脂組成物20を硬化させる。硬化条件は、例えば、180~220℃で50~80分とすることができる。このとき、硬化による熱収縮などが生じるが、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物20を用いることで、熱硬化性樹脂組成物20の硬化時の温度から室温までの範囲において、熱硬化性樹脂組成物20と金属板10との線膨張係数の差を小さくでき、金属板10の反りを抑制できる。
続いて、図2(d)に示すように、熱硬化性樹脂組成物20の硬化物の一部を研磨して、回路パターン11の上面を露出させる。研磨方法は特に限定されないが、レーザー加工、化学的研磨、機械的研磨などが挙げられる。本実施形態の熱硬化性樹脂組成物20を用いることで、熱硬化性樹脂組成物20の硬化物の弾性を高めることができる。
次に、金属板10の他方の面(裏面)をエッチングし、回路パターン11に埋め込まれた熱硬化性樹脂組成物20の硬化物を金属板10の他方の面側に露出させ、さらに、熱硬化性樹脂組成物20の硬化物上に電極パッド30を形成する。エッチング方法は、公知の方法を用いることができる。このとき、回路パターン11に本実施形態の熱硬化性樹脂組成物20の硬化物が充填されているため、金属板10のエッチングによって生じる反りを抑制できる。
その後、図2(f)に示されるように、半導体素子31と電極パッド30がボンディングワイヤ41により接続される。
ここで、ボンディングワイヤ41と電極パッド30とを電気的に接続するためには、ボンディングワイヤ41の先端を電極パッド30に押し付けるとともに、ボンディングワイヤ41の先端を溶融させ、超音波振動などを与えることによって行われる。
ここで、本件発明者は、電極パッド30に対しボンディングワイヤ41からの荷重がかかることで、電極パッド30が熱硬化性樹脂組成物20の硬化物中にわずかに沈み込むことに着目した。そして、かかる沈み込みを低減することで、より高精度に半導体装置が得られることが判明した。
ボンディングワイヤ41を構成する材料としては、金、銅、およびアルミニウムなどが挙げられるが、導電性、コスト面な銅が好ましい。また、銅は、金、アルミニウムよりも硬度が高いため、ワイヤーボンディング工程において電極パッドに荷重がかかりやすい。そこで、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物を用いることで、ボンディングワイヤ41を構成する材料として銅を用いたとしても、電極パッド30の沈み込みを抑制し、精度よく半導体装置を得ることができる。
その後、公知の方法で、金属板10からなる基板(リードフレーム12)上に設けられた半導体チップ31を樹脂封止することにより、封止体42により半導体チップ31が封止された半導体装置100が得られる(図1)。
<熱硬化性樹脂組成物>
次に、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物について説明する。
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、エポキシ樹脂、およびベンゾオキサジン樹脂を含み、熱機械分析装置を用いて、温度50℃から150℃の昇温過程で測定される、当該熱硬化性樹脂組成物の線膨張係数α1が3ppm/℃以上16ppm/℃以下である。
これにより、基板の反りを効果的に低減できる。
本実施形態において、上記線膨張係数α1は、3ppm/℃以上16ppm/℃以下であり、好ましくは、5ppm/℃以上15ppm/℃以下であり、より好ましくは、8ppm/℃以上14.5ppm/℃以下であり、さらに好ましくは9ppm/℃以上13.5ppm/℃以下である。
線膨張係数α1を上記数値範囲内とすることにより、銅板との線膨張係数の差を小さくし、基板の反りを一層抑制しやすくなる。
また、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、当該熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂膜のBステージ状態の動的粘弾性試験による、測定範囲50~200℃、昇温速度3℃/min、周波数62.83rad/secでの複素動的粘度の極小値をηとしたとき、ηが、1Pa・s以上2000Pa・s以下であることが好ましい。
これにより、熱硬化性樹脂組成物の弾性を向上し、電極パッドの埋め込みを低減しやすくなり、半導体パッケージの良好な成形性が得られる。
当該ηは、100Pa・s以上5000Pa・s以下であり、好ましくは、500~4500であり、より好ましくは750~4000Pa・sである。
上記の樹脂膜の詳細については、後述する。
本実施形態の線膨張係数α1および複素動的粘度の極小値ηは、樹脂材料、無機充填材の選択および含有量の調整などによって、制御できる。
以下、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物に含まれる各成分について説明する。
[エポキシ樹脂]
上記エポキシ樹脂としては、1分子内にエポキシ基を2個以上有するモノマー、オリゴマー、ポリマー全般を用いることができ、その分子量や分子構造は特に限定されない。
本実施形態において、エポキシ樹脂としては、例えば、ビフェニル型エポキシ樹脂;ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂などのビスフェノール型エポキシ樹脂;スチルベン型エポキシ樹脂;フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂などのノボラック型エポキシ樹脂;トリフェノールメタン型エポキシ樹脂、アルキル変性トリフェノールメタン型エポキシ樹脂などの多官能エポキシ樹脂;フェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニレン骨格を有するフェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂などのアラルキル型エポキシ樹脂;ジヒドロキシナフタレン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシナフタレンの2量体をグリシジルエーテル化して得られるエポキシ樹脂などのナフトール型エポキシ樹脂;トリグリシジルイソシアヌレート、モノアリルジグリシジルイソシアヌレートなどのトリアジン核含有エポキシ樹脂;ジシクロペンタジエン変性フェノール型エポキシ樹脂などの有橋環状炭化水素化合物変性フェノール型エポキシ樹脂が挙げられ、これらは1種類を単独で用いても2種類以上を併用してもよい。
これらの中でも、エポキシ樹脂としては、耐湿信頼性と成形性のバランスを向上させる観点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、およびトリフェノールメタン型エポキシ樹脂からなる群から選択される1種または2種以上を含むことが好ましく、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂およびフェノールアラルキル型エポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含むことがより好ましい。
エポキシ樹脂(A)としては、以下の式(1)で表されるエポキシ樹脂、以下の式(2)で表されるエポキシ樹脂、および以下の式(3)で表されるエポキシ樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を含有するものを用いることがさらに好ましい。
Figure 2022094688000002
(式(1)中、Arはフェニレン基またはナフチレン基を表し、Arがナフチレン基の場合、グリシジルエーテル基はα位、β位のいずれに結合していてもよい。Arはフェニレン基、ビフェニレン基またはナフチレン基のうちのいずれか1つの基を表す。RおよびRは、それぞれ独立に炭素数1~10の炭化水素基を表す。gは0~5の整数であり、hは0~8の整数である。nは重合度を表し、その平均値は1~3である。)
Figure 2022094688000003
(式(2)中、複数存在するRは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1~4の炭化水素基を表す。nは重合度を表し、その平均値は0~4である。)
Figure 2022094688000004
(式(3)中、複数存在するRおよびRは、それぞれ独立に水素原子または炭素数1~4の炭化水素基を表す。nは重合度を表し、その平均値は0~4である。)
本実施形態において、熱硬化性樹脂組成物中におけるエポキシ樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂組成物全体を100質量%としたとき、1質量%以上であることが好ましく、3質量%以上であることがより好ましく、5質量%以上であることがさらに好ましい。エポキシ樹脂の含有量を上記下限値以上とすることにより、成形時において、十分な流動性を実現し、充填性や成形性の向上を図ることができる。
一方で、熱硬化性樹脂組成物中におけるエポキシ樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂組成物全体を100質量%としたとき、20質量%以下であることが好ましく、10質量%以下であることがより好ましく、8質量%以下であることがさらに好ましい。エポキシ樹脂の含有量を上記上限値以下とすることにより、熱硬化性樹脂組成物の硬化物における耐湿信頼性や耐リフロー性を向上させることができる。
[ベンゾオキサジン樹脂]
本実施形態のベンゾオキサジン樹脂は、ベンゾオキサジン環を2つ以上有する化合物の(共)重合体である。ベンゾオキサジン環を2つ以上有する化合物は、耐熱性を向上させる観点から、たとえば以下一般式(4)に示す化合物および以下一般式(4)に示す化合物のうちの少なくとも一方を含むことができ、好ましくは以下一般式(4)に示す化合物を少なくとも含む。
Figure 2022094688000005
上記一般式(4)において、Rは炭素数1~30の二価の有機基であり、酸素原子および窒素原子のうちの1種以上を含んでいてもよい。封止材の高温保管特性を向上させる観点からは、Rが芳香環を含む有機基であることが好ましい。本実施形態においては、上記一般式(4)に示す化合物として、たとえば以下式(4a)に示す化合物を用いることができる。
Figure 2022094688000006
Figure 2022094688000007
上記一般式(5)において、Rは炭素数1以上30以下の2価の有機基であり、酸素原子、窒素原子、および硫黄原子のうちの1種以上を含んでいてもよい。2つのRは、それぞれ独立して炭素数1以上12以下の芳香族炭化水素基である。
本実施形態において、熱硬化性樹脂組成物中におけるベンゾオキサジン樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂組成物全体を100質量%としたとき、8質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましい。ベンゾオキサジン樹脂の含有量を上記下限値以上とすることにより、充填性や成形性の向上を図ることができる。
一方で、熱硬化性樹脂組成物中におけるベンゾオキサジン樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂組成物全体を100質量%としたとき、30質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、18質量%以下であることがさらに好ましい。ベンゾオキサジン樹脂の含有量を上記上限値以下とすることにより、熱硬化性樹脂組成物の硬化物における良好な弾性を保持できる。
[シアネート樹脂]
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、シアネート樹脂を含むことが好ましい。シアネート樹脂により、低熱膨張係数、低誘電率、低誘電正接が得られやすくなる。また、ピール強度を良好にし、耐熱性を向上できる。
シアネート樹脂としては、芳香族シアネート樹脂が好ましく、具体的には、フェノールノボラック型、およびクレゾールノボラック型などのノボラック型シアネート樹脂;フェニルアラルキル型、ビフェニルアラルキル型、およびナフタレンアラルキル型などのアラルキル型シアネート樹脂;ビスフェノールA型シアネート樹脂、ビスフェノールE型シアネート樹脂、およびテトラメチルビスフェノールF型シアネート樹脂などのビスフェノール型シアネート樹脂などを挙げることができる。
これらの中でも、ビスフェノール型シアネートおよび/またはノボラック型シアネート樹脂が好ましく、両者を併用することがより好ましい。この理由としては、ビスフェノール型シアネートエステル樹脂は、架橋点が少ないため、トリアジン環を形成した際に未反応のシアネート基が残りにくく、誘電特性を良好に維持しやすくなると考えられる。また、ノボラック型シアネート樹脂は、硬化反応後にトリアジン環を形成するため、剛性や耐熱性を向上できる。
上記のノボラック型シアネート樹脂としては、例えば、以下の式(I)で示されるものを使用することができる。
Figure 2022094688000008
一般式(I)で示されるノボラック型シアネート樹脂の平均繰り返し単位nは任意の整数である。平均繰り返し単位nは、特に限定されないが、1以上が好ましく、2以上がより好ましい。平均繰り返し単位nが上記下限値以上であると、ノボラック型シアネート樹脂の耐熱性が向上し、加熱時に低量体が脱離、揮発することを抑制できる。また、平均繰り返し単位nは、特に限定されないが、10以下が好ましく、7以下がより好ましい。nが上記上限値以下であると、溶融粘度が高くなるのを抑制でき、プリプレグの成形性を向上させることができる。
また、シアネート樹脂は、変性されたものであってもよく、例えば、ブタジエンにより変性されたブタジエン変性シアネートを含むものであってもよい。ブタジエン変性シアネートの詳細は、シアン酸エステル化合物とポリブタジエンを混合した後、熱重合によって得られたもの、および/またはシアン酸エステル化合物の重合物とポリブタジエンを混合した後、熱重合によって得られたものであってもよい。これにより、誘電特性および低反り両立しつつ、耐熱性を良好に保持できる。
シアネート樹脂の重量平均分子量(Mw)の下限値は、特に限定されないが、Mw500以上が好ましく、Mw600以上がより好ましい。Mwが上記下限値以上であると、プリプレグを作製した場合にタック性の発生を抑制でき、プリプレグ同士が接触したとき互いに付着したり、プリプレグの転写が生じたりするのを抑制することができる。
また、Mwの上限値は、特に限定されないが、Mw4,500以下が好ましく、Mw3,000以下がより好ましい。Mwが上記上限値以下であると、シアネート樹脂(C)の環化反応が速くなるのを抑制でき、絶縁層に不良が生じたり、絶縁層と金属層とのピール強度が低下したりするのを抑制することができる。
シアネート樹脂のMwは、例えば、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー、標準物質:ポリスチレン換算)で測定することができる。
また、シアネート樹脂は1種類を単独で用いてもよいし、異なるMwを有する2種類以上を併用してもよく、1種類または2種類以上と、それらのプレポリマーとを併用してもよい。
本実施形態において、熱硬化性樹脂組成物中におけるシアネート樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂組成物全体を100質量%としたとき、0.01質量%以上であることが好ましく、0.05質量%以上であることがより好ましく、0.1質量%以上であることがさらに好ましく、0.3質量%以上がことさらに好ましい。
一方で、熱硬化性樹脂組成物中におけるシアネート樹脂の含有量は、熱硬化性樹脂組成物全体を100質量%としたとき、10質量%以下であることが好ましく、5質量%以下であることがより好ましく、2質量%以下であることがさらに好ましい。
[無機充填材]
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は無機充填材を含むことが好ましい。これにより、低線膨張率を得つつ、吸水性を抑制し、機械的強度を高めることができる。
本実施形態の無機充填材としては、例えば、タルク、焼成クレー、未焼成クレー、マイカ、ガラスなどのケイ酸塩;酸化チタン、アルミナ、ベーマイト、シリカ、溶融シリカなどの酸化物;炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ハイドロタルサイトなどの炭酸塩;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウムなどの水酸化物;硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜硫酸カルシウムなどの硫酸塩または亜硫酸塩;ホウ酸亜鉛、メタホウ酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸ナトリウムなどのホウ酸塩;窒化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化ケイ素、窒化炭素などの窒化物;チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウムなどのチタン酸塩などを挙げることができる。
これらの中でも、酸化チタン、タルク、アルミナ、ガラス、シリカ、マイカ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウムが好ましく、酸化チタン、シリカがより好ましい。無機充填材としては、これらの中の1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
上記無機充填材の平均粒子径の下限値は、特に限定されないが、例えば、0.01μm以上としてもよく、0.1μm以上としてもよく、0.5μm以上としてもよい。これにより、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物を用いたワニスの粘度が高くなるのを抑制でき、埋め込み時の作業性を向上させることができる。
また、無機充填材の平均粒子径の上限値は、特に限定されないが、例えば、5.0μm以下が好ましく、2.0μm以下がより好ましく、1.5μm以下がさらに好ましい。これにより、上記熱硬化性樹脂のワニス中における無機充填材の沈降などの現象を抑制でき、より均一な樹脂膜を得ることができる。
また、無機充填材は、特に限定されないが、平均粒子径が単分散の無機充填材を用いてもよいし、平均粒子径が多分散の無機充填材を用いてもよい。さらに平均粒子径が単分散および/または多分散の無機充填材を1種類または2種類以上で併用してもよい。多分散の場合、レーザー回折散乱法によって測定される粒径分布において、粒径0.001~0.1μmと、0.5~3μmの範囲内にそれぞれピークを有していることが好ましい。
本実施形態において、無機充填材の平均粒子径は、例えば、レーザー回折式粒度分布測定装置(HORIBA社製、LA-500)により、粒子の粒度分布を体積基準で測定し、そのメディアン径(D50)を平均粒子径とすることができる。
無機充填材の含有量の下限値は、樹脂組成物の全固形分100質量部に対して、特に限定されないが、例えば、50質量部以上が好ましく、60質量部以上がより好ましく、70質量部以上がさらに好ましい。これにより、樹脂膜の硬化物を特に低熱膨張とすることができ、半導体パッケージの反りを抑制することができる。
一方で、無機充填材の含有量の上限値は、樹脂組成物の全固形分100質量部に対して、95質量部以下が好ましく、90質量部以下がより好ましく、85質量部以下がさらに好ましい。これにより、ハンドリング性が向上し、樹脂膜を形成するのが容易となる。
[その他の添加剤]
本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、その他必要に応じて、着色剤、カップリング剤、硬化促進剤、硬化剤、熱可塑性樹脂、および有機充填材などの添加剤を適宜配合することができる。本実施形態の熱硬化性樹脂組成物は、上記成分を有機溶剤などにより溶解および/または分散させた液状形態で好適に用いることができる。
(着色剤)
着色剤としては、たとえば、黒色酸化チタン、ピッチ、およびカーボンブラックの中から選ばれる1種または2種以上を用いることができる。これらを用いることにより、レーザーマーキングの際において、着色剤によるレーザーのエネルギーの吸収が過度に大きくなることを抑えることができる。このため、レーザーによる着色剤の消失に起因して、マークに過度に深い部分が生じることを抑制できる。また、炭化も抑制しやすくなる。
黒色酸化チタンは、Ti(2n-1)(nは正の整数)として存在する。本実施形態において用いられる黒色酸化チタンTi(2n-1)としては、nが4以上6以下であるものを用いることが好ましい。nを4以上とすることにより、着色剤の分散性を向上させることができる。一方、nを6以下とすることにより、レーザーマーキング性を向上させることができる。ここでは、着色剤は、黒色酸化チタンとしてTi、Ti、およびTi11のうちの少なくとも一つを含むことが好ましい。
また、ピッチは、石油、石炭、木材等の有機物質の乾留によって得られるタールを蒸留したときの残留物である。着色剤としてのピッチは、とくに限定されないが、たとえば石油ピッチまたは石炭ピッチである。また、ピッチとしては、等方性ピッチ、メソフェーズピッチ、またはメソフェーズピッチを冷却することにより生成され、キノリンの不溶分として分離されるメソフェーズ小球体を用いることができる。これらの中でも、レーザーマーキング性や、封止用樹脂組成物中における分散性を向上させる観点からは、メソフェーズ小球体を用いることがより好ましい。
(カップリング剤)
カップリング剤は、熱硬化性樹脂と無機充填材との界面の濡れ性を向上させたり、繊維基材に対して樹脂組成物を均一に定着させるためなどに用いられる。
本実施形態のカップリング剤としては、カップリング剤として通常用いられるものであれば使用できるが、具体的にはエポキシシランカップリング剤、カチオニックシランカップリング剤、アミノシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤およびシリコーンオイル型カップリング剤の中から選ばれる1種以上のカップリング剤を使用することが好ましい。これにより、充填材の界面との濡れ性を高くすることができ、それによって耐熱性をより向上させることができる。
カップリング剤の含有量の下限は、無機充填材の比表面積に依存するので特に限定されないが、例えば、無機充填材100質量部に対して0.05~3質量部が好ましく、0.1~2質量部がより好ましい。カップリング剤の含有量を上記下限値以上とすることにより、無機充填材を十分に被覆でき、耐熱性を向上しやすくなる。一方、カップリング剤の含有量を上記上限値以下とすることにより、良好な反応を維持でき、良好な曲げ強度などが得られる。
また、カップリング剤の含有量は、熱硬化性樹脂組成物に対して、0.05~3質量%が好ましく、0.1~2質量%がより好ましい。
(硬化促進剤)
本実施形態の硬化促進剤としては公知のものを用いることができる。例えば、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、オクチル酸スズ、オクチル酸コバルト、オクチル酸亜鉛、ビスアセチルアセトナートコバルト(II)、トリスアセチルアセトナートコバルト(III)などの有機金属塩;トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジアザビシクロ[2,2,2]オクタンなどの3級アミン類;2,3―ジヒドロ―1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、2-エチル-4-エチルイミダゾール、2-フェニル-4-エチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシイミダゾール、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシイミダゾールなどのイミダゾール類;フェノール、ビスフェノールA、ノニルフェノールなどのフェノール化合物;酢酸、安息香酸、サリチル酸、パラトルエンスルホン酸などの有機酸;オニウム塩化合物など、およびこれらの誘導体などが挙げられる。これらは1種類を単独で用いてもよいし2種類以上を併用してもよい。
なかでも、樹脂硬化性を安定的に向上させる観点から、イミダゾール、オニウム塩化合物であることが好ましい。かかるオニウム塩化合物としては、特に限定されないが、例えば、以下の式(IX)で表されるオニウム塩化合物が挙げられる。
Figure 2022094688000009
(式(IX)中、Pはリン原子、R、R、RおよびRは、それぞれ、置換もしくは無置換の芳香環または複素環を有する有機基、あるいは置換もしくは無置換の脂肪族基を示し、互いに同一であっても異なっていてもよい。Aは分子外に放出しうるプロトンを少なくとも1個以上分子内に有するn(n≧1)価のプロトン供与体のアニオン、またはその錯アニオンを示す。)
硬化促進剤の含有量の下限は、特に限定されないが、樹脂組成物全体の0.005~5質量%が好ましく、0.01~2質量%がより好ましい。
硬化促進剤の含有量を上記下限値以上とすることにより、良好な硬化促進効果が得られる。一方、硬化促進剤の含有量を上記下限値以上とすることにより、プリプレグの保存性を良好に保持できる。
<ワニス>
本実施形態において、ワニス状の熱硬化性樹脂組成物は、溶剤を含むことができる。
上記溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、酢酸エチル、シクロヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコール、セルソルブ系、カルビトール系、アニソール、およびN-メチルピロリドンなどの有機溶剤が挙げられる。これらを単独で用いても2種以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物がワニス状である場合において、樹脂組成物の固形分含有量は、例えば30質量%以上80質量%以下としてもよく、より好ましくは40質量%以上70質量%以下としてもよい。これにより、作業性や成膜性に非常に優れた樹脂組成物が得られる。
ワニス状の樹脂組成物は、上述の各成分を、例えば、超音波分散方式、高圧衝突式分散方式、高速回転分散方式、ビーズミル方式、高速せん断分散方式、および自転公転式分散方式などの各種混合機を用いて溶剤中に溶解、混合、撹拌することにより調製することができる。
以下、本実施形態の熱硬化性樹脂組成物を用いた例について説明する。
<樹脂膜>
次いで、本実施形態の樹脂膜について説明する。
本実施形態の樹脂膜は、ワニス状である上記樹脂組成物をフィルム化することにより得ることができる。例えば、本実施形態の樹脂膜は、ワニス状の樹脂組成物を塗布して得られた塗布膜に対して、溶剤を除去することにより得ることができる。このような樹脂膜においては、溶剤含有率が樹脂膜全体に対して5質量%以下とすることができる。本実施形態において、例えば100℃~150℃、1分~5分の条件で溶剤を除去する工程を実施してもよい。これにより、熱硬化性樹脂を含む樹脂膜の硬化が進行することを抑制しつつ、十分に溶剤を除去することが可能となる。
本実施形態の樹脂膜は、樹脂膜単独で構成されてもよく、繊維基材を内部に含むように構成されてもよい。
<プリプレグ>
本実施形態のプリプレグは、樹脂組成物中に繊維基材を含むように構成される。プリプレグは、上記樹脂組成物を繊維基材に含浸してなるものである。
例えば、プリプレグは、樹脂組成物を繊維基材に含浸させ、その後、半硬化させて得られるシート状の材料として利用できる。このような構造のシート状材料は、誘電特性、高温多湿下での機械的、電気的接続信頼性などの各種特性に優れ、プリント配線基板の絶縁層の製造に適している。
本実施形態において、樹脂組成物を繊維基材に含浸させる方法としては、特に限定されないが、例えば、樹脂組成物を溶剤に溶かして樹脂ワニスを調製し、繊維基材を上記樹脂ワニスに浸漬する方法、各種コーターにより上記樹脂ワニスを繊維基材に塗布する方法、スプレーにより上記樹脂ワニスを繊維基材に吹き付ける方法、樹脂組成物からなる上記樹脂膜で繊維基材の両面をラミネートする方法などが挙げられる。
上記繊維基材としては、例えば、ガラス繊布、ガラス不繊布などのガラス繊維基材、あるいはガラス以外の無機化合物を成分とする繊布または不繊布などの無機繊維基材、芳香族ポリアミドイミド樹脂、ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂などの有機繊維で構成される有機繊維基材などが挙げられる。これら基材の中でも強度の点でガラス織布に代表されるガラス繊維基材を用いると、プリント配線基板の機械的強度、耐熱性を良好なものとすることができる。
繊維基材の厚みは、特に限定されないが、好ましくは5μm以上150μm以下であり、より好ましくは10μm以上100μm以下であり、さらに好ましくは12μm以上90μm以下である。このような厚みを有する繊維基材を用いることにより、プリプレグ製造時のハンドリング性がさらに向上できる。
繊維基材の厚みが上記上限値以下であると、繊維基材中の樹脂組成物の含浸性が向上し、ストランドボイドや絶縁信頼性の低下の発生を抑制することができる。また炭酸ガス、UV、エキシマなどのレーザーによるスルーホールの形成を容易にすることができる。また、繊維基材の厚みが上記下限値以上であると、繊維基材やプリプレグの強度を向上させることができる。その結果、ハンドリング性が向上できたり、プリプレグの作製が容易となったり、樹脂基板の反りを抑制できたりする。
上記ガラス繊維基材として、例えば、Eガラス、Sガラス、Dガラス、Tガラス、NEガラス、UTガラス、Lガラス、HPガラスおよび石英ガラスから選ばれる1種または2種以上のガラスにより形成されたガラス繊維基材が好適に用いられる。
本実施形態において、プリプレグは、例えば、プリント配線基板におけるビルドアップ層中の絶縁層やコア層中の絶縁層を形成するために用いることができる。プリプレグをプリント配線基板におけるコア層中の絶縁層を形成するために用いる場合は、例えば、2枚以上のプリプレグを重ね、得られた積層体を加熱硬化することによりコア層用の絶縁層とすることもできる。
<金属張積層板>
本実施形態の積層板は、上記プリプレグの硬化物の少なくとも一方の面に金属層が配置された金属張積層板である。
また、プリプレグを用いた金属張積層板製造方法は、例えば以下の通りである。
プリプレグまたはプリプレグを2枚以上重ね合わせた積層体の外側の上下両面または片面に金属箔を重ね、ラミネーター装置やベクレル装置を用いて高真空条件下でこれらを接合する、あるいはそのままプリプレグの外側の上下両面または片面に金属箔を重ねる。また、プリプレグを2枚以上積層するときは、積層したプリプレグの最も外側の上下両面もしくは片面に金属箔を重ねる。次いで、プリプレグと金属箔とを重ねた積層体を加熱加圧成形することで金属張積層板を得ることができる。ここで、加熱加圧成形時に、冷却終了時まで加圧を継続することが好ましい。
上記金属箔を構成する金属としては、例えば、銅、銅系合金、アルミ、アルミ系合金、銀、銀系合金、金、金系合金、亜鉛、亜鉛系合金、ニッケル、ニッケル系合金、錫、錫系合金、鉄、鉄系合金、コバール(商標名)、42アロイ、インバー、スーパーインバーなどのFe-Ni系の合金、W、Moなどが挙げられる。これらの中でも、金属箔105を構成する金属としては、導電性に優れ、エッチングによる回路形成が容易であり、また安価であることから銅または銅合金が好ましい。すなわち、金属箔105としては、銅箔が好ましい。
また、金属箔としては、キャリア付金属箔なども使用することができる。
金属箔の厚みは、好ましくは0.5μm以上20μm以下であり、より好ましくは1.5μm以上18μm以下である。
<キャリア付き樹脂膜>
次いで、本実施形態のキャリア付樹脂膜について説明する。
キャリア付樹脂膜の一例は、キャリア基材と、キャリア基材上に設けられた、樹脂組成物からなる樹脂膜とを備えるものである。巻き取り可能なロール状でもよいし、矩形形状の枚葉状であってもよい。
上記キャリア基材としては、例えば、高分子フィルムや金属箔などを用いることができる。当該高分子フィルムとしては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリカーボネート、シリコーンシートなどの離型紙、フッ素系樹脂、ポリイミド樹脂などの耐熱性を有した熱可塑性樹脂シートなどが挙げられる。当該金属箔としては、特に限定されないが、例えば、銅および/または銅系合金、アルミおよび/またはアルミ系合金、鉄および/または鉄系合金、銀および/または銀系合金、金および金系合金、亜鉛および亜鉛系合金、ニッケルおよびニッケル系合金、錫および錫系合金などが挙げられる。これらの中でも、ポリエチレンテレフタレートで構成されるシートが安価および剥離強度の調節が簡便なため最も好ましい。これにより、上記キャリア付樹脂膜から、適度な強度で剥離することが容易となる。
キャリア基材の厚みは、特に限定されないが、例えば、10~100μmとしてもよく、10~70μmとしてもよい。これにより、キャリア付樹脂膜を製造する際の取り扱い性が良好となり好ましい。
本実施形態のキャリア付樹脂膜の樹脂膜は、単層でも多層でもよく、1種または2種以上の膜で構成されていてもよい。当該樹脂シートが多層の場合、同種で構成されてもよく、異種で構成されてもよい。
上記樹脂膜の膜厚の下限値は、例えば、5μm以上であり、好ましくは20μm以上である。これにより、絶縁信頼性を向上させることができる。一方、上記樹脂膜の膜厚の上限値は、例えば、200μm以下であり、好ましくは100μm以下である。これにより、プリント配線基板の薄層化を実現できる。また、樹脂膜の膜厚を上記範囲内とすることにより、プリント配線基板を製造する際に、内層回路の凹凸を充填して成形することができるとともに、好適なビルドアップ層の絶縁樹脂層厚みを確保することができる。
また、キャリア付樹脂膜の表面は、例えば、露出していてもよく、保護フィルム(カバーフィルム)で覆われていてもよい。保護フィルムとしては、公知の保護機能を有するフィルムを用いることができるが、例えば、PETフィルムを使用してもよい。例えば、樹脂膜がキャリア基材とカバーフィルムとの間に形成されていてもよい。これにより、樹脂膜のハンドリング性が向上する。
<プリント配線基板>
本実施形態のプリント配線基板は、上記の樹脂膜の硬化物(樹脂組成物の硬化物)で構成された絶縁層を備えるものである。
本実施形態において、樹脂膜の硬化物は、例えば、通常のプリント配線基板のビルドアップ層、コア層を有しないプリント配線基板におけるビルドアップ層、PLPに用いられるコアレス基板のビルドアップ層、MIS基板のビルドアップ層などに用いることができる。このようなビルドアップ層を構成する絶縁層は、複数の半導体パッケージを一括して作成するために利用させる大面積のプリント配線基板において、当該プリント配線基板を構成するビルドアップ層にも好適に用いることができる。
また、本実施形態において、絶縁膜形成用の樹脂組成物からなる樹脂膜において、ガラス繊維を含浸する構成とすることができる。このような樹脂膜をビルドアップ層に用いた半導体パッケージにおいても、樹脂膜の硬化物の線膨張係数を低くすることができるので、パッケージ反りを十分に抑制することができる。
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用することもできる。
次に、実施例により本発明を詳しく説明するが、本発明の内容は実施例に限られるものではない。
以下、本発明について実施例を参照して詳細に説明するが、本発明は、これらの実施例の記載に何ら限定されるものではない。
1)熱硬化性樹脂組成物の調製
表1に示す固形分割合で各成分を溶解または分散させ、メチルエチルケトンで不揮発分70質量%となるように調整し、高速撹拌装置を用い撹拌して、ワニス状の熱硬化性樹脂組成物(樹脂ワニスP)を調製した。
なお、表1における各成分の配合割合を示す数値は、樹脂組成物の固形分全体に対する各成分の配合割合(質量%)を示している。
(原料)
表1における各成分の原料の詳細は下記のとおりである。
・無機充填材1:シリカ粒子(アドマテックス社製、SC4050、平均粒径1.1μm)
・無機充填材2:シリカナノ粒子(アドマテックス社製、アドマナノ、平均粒径55nm)
・ベンゾオキサジン樹脂;上記の式(4a)で表されるP-d型ベンゾオキサジン(四国化成社製)
・エポキシ樹脂1;ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂「NC-3000H」日本化薬社製
・エポキシ樹脂2;ビスフェノールF型エポキシ樹脂「エピクロン830S」大日本インキ化学工業社製)
・エポキシ樹脂3;フェノールノボラック型エポキシ樹脂「エピクロンHP-4710」大日本インキ化学工業社製)
・エポキシ樹脂4;変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂「エピクロンEXA-4850-150」大日本インキ化学工業社製)
・シアネート樹脂;フェノールノボラック型シアネート樹脂「PT-30」ロンザ社製
・エラストマー:エポキシ化ポリブタジエン JP-200 日本曹達社製
・カップリング剤;エポキシシランカップリング剤(γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)「A-187」モメンティブ社製
・レベリング剤;ポリアクリレート化合物「BYK-361N」BYK-Chemie社製
・硬化促進剤;TBZ(四国化成社製、2,3―ジヒドロ―1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール
2)得られた熱硬化性樹脂組成物を用いて、以下の評価・測定を行った。
・線膨張係数α1
熱膨張係数は、TMA(熱機械的分析)装置(TAインスツルメント社製、Q400)を用いて、4mm×20mmの試験片を作製し、温度範囲30~300℃、10℃/分、荷重5gの条件で2サイクル目の50~150℃の昇温過程で測定される線膨張係数(CTE)α1を測定した。
試験片は、以下の手順で作成した。
100μm程度に成形した上記の熱硬化性樹脂組成物を200℃/1hrの条件でプレス硬化し、所定のサイズにカットして試験片を作成した。
・複素動的粘度
当該熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂膜のBステージ状態の動的粘弾性試験による、測定範囲50~200℃、昇温速度3℃/min、周波数62.83rad/secでの複素動的粘度を測定し、極小値ηを求めた。
・弾性率
動的粘弾性装置を用いて、JISC-6481(DMA法)に準拠して、30℃、250℃で貯蔵弾性率(GPa)を算出した。なお、測定用の試験片は、100μm程度に成形した上記の熱硬化性樹脂組成物を200℃/1hrの条件でプレス硬化して作成した。
・反り
140μm厚の銅板に100μmの銅ポストをエッチングによりパターン形成した銅フレームを用意した。銅フレーム上に上記の熱硬化性樹脂組成物を厚さ100μmとなるようにしてラミネートし、200℃、60分で硬化し、積層体を作成した。得られた積層体の反りについて、サンプルサイズ200mm×80mmサイズにて、樹脂面を上にした状態で平面上に静置し、平面からの高さを反りとして、以下の評価基準に従い評価した。
◎;反りはなかった。
〇;反りは2mm未満だった。
×;反りは2mm以上だった。
・電極パッドの沈み込み
上記の熱硬化性樹脂組成物を200℃、60分で硬化し、厚み100μmの硬化物を得た。得られた硬化物上に、銅パッドを形成し、ボンディング装置(UTC-5000 NeoCu(新川社製))を用いて銅パッドの上方から打突(荷重200g、超音波300、温度170℃)を実施し、銅パッドの沈み込みについて、以下の評価基準に従い評価した。
◎;沈み込みなし。
〇;5μm程度の沈み込み。
×;樹脂中にクラックあり。
Figure 2022094688000010
10 金属板
11 回路パターン
12 リードフレーム
20 熱硬化性樹脂組成物
30 電極パッド
31 半導体素子
41 ボンディングワイヤ
42 封止体
100 半導体装置

Claims (10)

  1. エポキシ樹脂、およびベンゾオキサジン樹脂を含む熱硬化性樹脂組成物であって、
    熱機械分析装置を用いて、温度50℃から150℃の昇温過程で測定される、当該熱硬化性樹脂組成物の線膨張係数α1が3ppm/℃以上16ppm/℃以下である、熱硬化性樹脂組成物。
  2. 請求項1に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    当該熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂膜のBステージ状態の動的粘弾性試験による、測定範囲50~200℃、昇温速度3℃/min、周波数62.83rad/secでの複素動的粘度の極小値をηとしたとき、ηが、100Pa・s以上5000Pa・s以下である、熱硬化性樹脂組成物。
  3. 請求項1または2に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    無機充填材をさらに含む、熱硬化性樹脂組成物。
  4. 請求項3に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    前記無機充填材はシリカを含む、熱硬化性樹脂組成物。
  5. 請求項3または4に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    前記無機充填材の含有量が、当該熱硬化性樹脂組成物全質量に対して60質量%以上95質量%以下である、熱硬化性樹脂組成物。
  6. 請求項1乃至5いずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物であって、
    当該熱硬化性樹脂組成物が、シアネート樹脂をさらに含む、熱硬化性樹脂組成物。
  7. 請求項1乃至6いずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂膜。
  8. キャリア基材と、
    前記キャリア基材上に設けられている、請求項1乃至6いずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物からなる樹脂膜と、を備える、キャリア付樹脂膜。
  9. 請求項1乃至6いずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物を繊維基材に含浸してなるプリプレグ。
  10. 基板上に設けられた半導体素子と、
    前記半導体素子に接続されるボンディングワイヤと、
    当該ボンディングワイヤと電気的に接続される電極パッドと、
    を備え、
    前記電極パッドが、請求項1乃至6いずれか一項に記載の熱硬化性樹脂組成物の硬化物上に配置されている、半導体装置。
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