JP2022094446A - 二次電池の制御装置 - Google Patents

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義宏 内田
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Abstract

【課題】二次電池の劣化時のSOC-OCV特性を精度良く求めることを可能とする。【解決手段】定電流による二次電池100の充電開始後、分極が飽和した以降の二次電池の容量および電圧を記憶する。記憶した容量および電圧を用いて、容量-電圧の対応関係である取得CCV特性Lcを算出する。取得CCV特性Lcを、過電圧ΔVの大きさだけ、電圧方向に移動した取得OCV特性Loを算出する。取得OCV特性Loにおける所定区間を高電圧方向に外挿した外挿線Logが点Tを通るよう、取得OCV特性Loおよび外挿線Logを容量方向に移動し、容量-OCV特性を得る。点Tは、SOC100%のOCVおよび容量を示す点である。【選択図】図2

Description

本開示は、二次電池の制御装置に関する。
二次電池の充電状態を表す充電率(SOC(State of Charge))を求める(推定する)ときには、SOCと二次電池の開回路電圧(OCV(Open Circuit Voltage))との対応関係を示すSOC-OCV特性が用いられる。また、二次電池を搭載した車両において、SOC-OCV特性は、車両における各種制御に利用される。特開2014-147222号公報(特許文献1)には、定電流で充電を行った際の閉回路電圧(CCV(Closed Circuit Voltage))を用いて、二次電池の劣化後のSOC-OCV特性を求めることが開示されている。
特開2014-147222号公報
特許文献1では、充電開始から充電終了までにおけるCCV特性(CCVの変化)に基づいて、劣化後のSOC-OCV特性を求めている。この際、充電開始時のSOCと充電終了時のSOCは、特に考慮されていない。このため、充電開始時のSOCと充電終了時のSOCが、二次電池の劣化によってSOC-OCV特性の傾きが大きく変化する領域に含まれる場合、その領域のCCV特性に基づいてSOC-OCV特性を求めても、精度良くSOC-OCV特性を求めることができない可能性がある。
本開示は、二次電池の劣化時のSOC-OCV特性を精度良く求めることが可能な、二次電池の制御装置を提供することを、目的とする。
本開示の二次電池の制御装置は、定電流による二次電池の充電開始後、または、定電流による二次電池の放電開始後、二次電池の分極が飽和した以降の二次電池の容量および電圧を記憶する記憶手段を備える。制御装置は、記憶手段に記憶された容量および電圧を用いて、容量-電圧の対応関係である取得CCV特性を算出する取得CCV特性算出手段と、取得CCV特性を、二次電池の過電圧の大きさだけ、電圧方向に移動した取得OCV特性を算出する取得OCV特性算出手段と、取得OCV特性における高電圧側所定区間を高電圧側に外挿して、外挿線を算出する外挿手段と、外挿線が特定の点を通るよう、取得OCV特性および外挿線を容量方向に移動し、容量-OCV特性を算出する、容量-OCV算出手段と、を備える。特定の点は、高電圧側所定区間より高電圧側領域における、二次電池の開回路電圧および容量を示す点である。
この構成によれば、二次電池の定電流による充放電の開始後、記憶手段は、二次電池の分極が飽和した以降の二次電池の容量および電圧を記憶する。取得CCV算出手段は、容量-電圧の対応関係である取得CCV特性を算出する。取得OCV算出手段は、取得CCV特性を、二次電池の過電圧の大きさだけ電圧方向に移動し、取得OCV特性を算出する。外挿手段は、取得OCV特性における高電圧側所定区間を高電圧側に外挿して、外挿線を算出する。容量-OCV特性算出手段は、外挿線が特定の点を通るよう、取得OCV特性および外挿線を容量方向に移動し、容量-OCV特性を算出する。特定の点は、高電圧側所定区間より高電圧側領域における、二次電池の開回路電圧および容量を示す点とされている。
二次電池の高SOC領域(SOCが大きな領域)におけるSOC-OCV特性の傾きは、二次電池の劣化による変化が小さい。取得OCV特性における高電圧側所定区間は、二次電池が劣化しても、SOC-OCV特性の傾きの変化が小さい。特定の点は、取得OCV特性の高電圧側所定区間より高電圧側領域に存在し、二次電池の劣化によるSOC-OCV特性の傾きの変化が小さい領域に位置する。このため、外挿線が特定の点を通るよう、取得OCV特性および外挿線を容量W方向に移動して算出した、容量-OCV特性は、二次電池の容量-OCV特性を精度良く表す。したがって、この容量-OCV特性を用いて、二次電池の劣化時のSOC-OCV特性を精度良く求めることが可能になる。
本開示の二次電池の制御装置によれば、二次電池の劣化時のSOC-OCV特性を精度良く求めることが可能になる。
本実施の形態に係る二次電池の制御装置を搭載した、電動車両の全体構成図である。 (A)、(B)、(C)は、バッテリ100の劣化時のSOC-OCV特性を精度良く求める手段を説明する図である。 制御装置としてのECU300で実行される、容量W-SOC特性算出ルーチンの概略を示すフローチャートである。 (A)、(B)、(C)は、バッテリ100の放電時にSOC-OCV特性を精度良く求める手段を説明する図である。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
図1は、本実施の形態に係る二次電池の制御装置を搭載した、電動車両の全体構成図である。本実施の形態において、電動車両1は、たとえば、電気自動車である。電動車両1は、回転電機であるモータジェネレータ(MG:Motor Generator)10と、動力伝達ギヤ20と、駆動輪30と、電力制御ユニット(PCU:Power Control Unit)40と、システムメインリレー(SMR:System Main Relay)50と、バッテリ100と、監視ユニット200と、制御装置の一例である電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)300とを備える。
MG10は、たとえば埋込構造永久磁石同期電動機(IPMモータ)であって、電動機(モータ)としての機能と発電機(ジェネレータ)としての機能を有する。MG10の出力トルクは、減速機および差動装置等を含んで構成された動力伝達ギヤ20を介して駆動輪30に伝達される。
電動車両1の制動時には、駆動輪30によりMG10が駆動され、MG10が発電機として動作する。これにより、MG10は、電動車両1の運動エネルギーを電力に変換する回生制動を行なう制動装置としても機能する。MG10における回生制動力により生じた回生電力は、バッテリ100に蓄えられる。
PCU40は、MG10とバッテリ100との間で双方向に電力を変換する電力変換装置である。PCU40は、たとえば、ECU300からの制御信号に基づいて動作するインバータとコンバータとを含む。
コンバータは、バッテリ100の放電時に、バッテリ100から供給された電圧を昇圧してインバータに供給する。インバータは、コンバータから供給された直流電力を交流電力に変換してMG10を駆動する。
インバータは、バッテリ100の充電時に、MG10によって発電された交流電力を直流電力に変換してコンバータに供給する。コンバータは、インバータから供給された電圧をバッテリ100の充電に適した電圧に降圧してバッテリ100に供給する。
また、PCU40は、ECU300からの制御信号に基づいてインバータおよびコンバータの動作を停止することによって充放電を休止する。なお、PCU40は、コンバータを省略した構成であってもよい。
SMR50は、バッテリ100とPCU40とを結ぶ電力線に電気的に接続されている。SMR50がECU300からの制御信号に応じて閉成(ON)されている(すなわち、導通状態である)場合、バッテリ100とPCU40との間で電力の授受が行なわれ得る。一方、SMR50がECU300からの制御信号に応じて開放(OFF)されている(すなわち、遮断状態である)場合、バッテリ100とPCU40との間の電気的な接続が遮断される。
バッテリ100は、MG10を駆動するための電力を蓄える。バッテリ100は、再充電が可能な二次電池であり、複数個の単電池(電池セル)が電気的に直列に接続されて構成された組電池である。単電池は、たとえば負極材にグラファイト、正極材に三元系(コバルト、ニッケル、マンガンの三元素の化合物)を用いた、リチウムイオン電池から構成される。
監視ユニット200は、電圧検出部210と、電流センサ220と、温度検出部230とを含む。電圧検出部210は、バッテリ100(組電池)の端子間電圧を検出したり、各単電池の端子間電圧を検出したりする。バッテリ100を構成する複数の単電池が複数の電池ブロックに分けられているとき、電圧検出部210は、電池ブロックの端子間電圧を検出することもできる。各電池ブロックは、直列に接続された複数の単電池を有しており、複数の電池ブロックが直列に接続されることにより、バッテリ100(組電池)が構成される。なお、電池ブロックには、並列に接続された複数の単電池が含まれていてもよい。電流センサ220は、バッテリ100に入出力される電流IBを検出する。温度検出部230は、複数の単電池の各々の温度TBを検出する。各検出部は、その検出結果をECU300に出力する。
電動車両1はDCインレット60を備えており、バッテリ100は、充電設備である外部の直流(DC)電源から急速充電が可能とされている。DCインレット60は、外部DC電源(充電設備)400の充電ケーブル410の先端に設けられたコネクタ420が接続可能に構成される。充電リレー70は、DCインレット60とバッテリ100とを結ぶ電力線に電気的に接続されている。充電リレー70は、ECU300からの制御信号に応じて、DCインレット60とバッテリ100との間での電力の供給と遮断とを切り替える。充電リレー70が閉成されることにより、バッテリ100の外部充電(急速充電)が実行される。
電動車両1はACインレット80を備えており、バッテリ100は、充電設備である外部の交流(AC)電源から普通充電が可能とされている。ACインレット80は、外部AC電源(充電設備)500の充電ケーブル510の先端に設けられたコネクタ520が接続可能に構成される。ACインレット80とバッテリ100の間の電力線には、車載充電器130が設けられており、外部AC電源から供給される交流電力を直流電力に変換するとともに、バッテリ100を充電可能な電圧に変換する。充電リレー90は、車載充電器130とバッテリ100とを結ぶ電力線に電気的に接続されている。充電リレー90は、ECU300からの制御信号に応じて、車載充電器130とバッテリ100との間での電力の供給と遮断とを切り替える。充電リレー90が閉成されることにより、バッテリ100の外部充電(普通)が実行される。
ECU300は、CPU(Central Processing Unit)301と、メモリ(たとえば、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等を含む)302とを含む。ECU300は、監視ユニット200から受ける信号、図示しない各種センサからの信号(たとえば、アクセル開度信号、車速信号、等)、メモリ302に記憶されたマップおよびプログラム等の情報に基づいて、電動車両1が所望の状態となるように各機器を制御する。
ところで、バッテリ100の充電状態(蓄電状態)は、たとえば、バッテリ100の満充電容量に対する現在の蓄電量を百分率で表したSOCが用いられる。SOCは、SOCと開回路電圧(OCV)との対応関係を示すSOC-OCV特性(SOC-開回路電圧特性)を用いて演算(推定)される。また、SOC-OCV特性は、電動車両1の各種制御に利用されることもある。SOC-OCV特性は、バッテリ100(二次電池)の劣化によって変化する。したがって、バッテリ100の劣化状態に応じたSOC-OCV特性を精度良く求めることが望まれる。
本実施の形態では、バッテリ100が劣化しても、SOC-OCV特性の高SOC領域(SOCが大きな領域)における、SOC-OCV特性の傾きの変化が小さいことに着目し、バッテリ100の劣化時のSOC-OCV特性を精度良く求めることを可能としている。
図2は、バッテリ100の劣化時のSOC-OCV特性を精度良く求める手段を説明する図である。図2(A)において、横軸はバッテリ100の容量W(Ah)(放電容量(Ah))であり、縦軸はバッテリ100の電圧VB(V)である。電圧VBは、SOC-OCV特性を求める単位の端子間電圧であり、単電池の端子間電圧であっても、電池ブロックの端子間電圧であっても、あるいは、バッテリ100の端子間電圧であってもよい。本実施の形態では、直列に接続された複数の単電池を有する複数の電池ブロックが直列に接続されたバッテリ100において、単電池のSOC-OCV特性を求めるため、電圧検出部210は単電池の端子間電圧をVBとして検出する。
図2(A)の点aで、DCインレット60に充電ケーブル410が接続され、あるいは、ACインレット80に充電ケーブル510が接続されて、バッテリ100の充電が開始される。バッテリ100は、定電流充電(CC(Constant Current)充電)により充電される。充電が開始されると、充電開始時のSOCに基づいて、充電開始時(点a)におけるバッテリ100(単電池)の容量Wを算出する。図2(A)に示す例では、充電開始時の容量WはAsである。
充電開始から所定時間経過すると、バッテリ100の分極が飽和したと判断し、充電中の電圧VBおよび容量Wの記憶を開始する。容量Wは、充電開始時の容量Wに充電開始時からの充電量を積算することにより算出する。充電量は、電流センサ220で検出した電流IBによって求めることができ、電圧VBおよび容量Wは、メモリ302に書き込まれ記憶される。容量Wが所定量変化する毎に、電圧VBおよび容量Wを記憶するようにしてもよい。なお、バッテリ100の分極が飽和したと判断するためのパラメータは、充電開始からの通電量(Ah)、充電開始からの電圧VBの変化量であってもよい。予め実験等により、分極が飽和すると見做される、「充電開始からの所定時間」、「充電開始からの通電量」、「充電開始からの電圧VBの変化量」を求めておけばよい。
バッテリ100のSOCが充電終了SOCに達し、あるいは、充電ケーブル410若しくは充電ケーブル510の接続が解除されて、充電が終了すると、メモリ302に記憶された電圧VBおよび容量Wを読み出し、取得CCV特性Lcを算出する。図2(A)では、容量WがAbからAfの範囲において電圧VBおよび容量Wがメモリ302に記憶されており、記憶された電圧VBと容量Wを読み出すことにより、取得CCV特性Lcを算出する。なお、充電中の電圧VBはCCV(閉回路電圧)であり、取得CCV特性は、容量(Ah)-CCV特性である。
取得CCV特性Lcを算出すると、図2(A)の矢印で示すように、バッテリ100の過電圧ΔVの大きさだけ取得CCV特性Lcを引き下げて(ΔVだけ電圧VB方向の負側にオフセットして)、取得OCV特性Loを得る。本実施の形態において過電圧ΔVとは、分極が生じているときの電圧VBの差であり、たとえば、充電開始直後の電圧VBと充電開始直前の電圧VBの差として算出する。また、過電圧ΔVは、充電終了時の電圧VBと充電終了後所定時間が経過して分極が解消したときの電圧VBとの差として求めてもよい。
取得OCV特性Loを算出したあと、図2(B)に示すように、取得OCV特性Loにおける高電圧側所定区間を電圧VBの高電圧側(容量Wの高容量側)に外挿して、外挿線Logを得る。高電圧側所定区間は、バッテリ100が劣化してもSOC-OCV特性の傾きの変化が小さい、SOC-OCV特性の高SOC領域(SOCが大きな領域)である。本実施の形態では、たとえば、SOCが60%以上の領域を所定区間としている。また、本実施の形態では、取得OCV特性Loにおける高電圧側所定区間を線形外挿することにより、外挿線Logを算出する。
外挿線Logを算出したあと、図2(B)の矢印に示すように、外挿線Logが点Tを通るよう、取得OCV特性Loおよび外挿線Logを容量W方向に移動して(容量W方向にオフセットして)、容量W-OCV特性を得る。点Tは、バッテリ100の劣化によるSOC-OCV特性の傾きの変化が小さい、SOC-OCV特性の高SOC領域(SOCが大きな領域)に存在する。より特定的には、点Tは、取得OCV特性Loの高電圧側所定区間より高電圧側(高容量側)に存在し、バッテリ100の劣化によるSOC-OCV特性の傾きの変化が小さい領域に位置する。本実施の形態において、点Tは、バッテリ100(単電池)のSOCが100%のときにおけるOCV(V)と容量W(Ah)を示す点である。SOC100%のOCVおよびSOC100%の容量Wの値は、充電開始時におけるバッテリ100(現在のバッテリ100)の値である。バッテリ100の劣化により、SOC100%の容量W(放電容量)が減少する。したがって、バッテリ100の温度TB、使用時間、充放電履歴等から公知の手法を用いて、現在の容量維持率を推定し、充電開始時におけるバッテリ100のSOC100%の容量W(放電容量)を求める。なお、この容量維持率は、充電開始時の容量Wを算出する際にも用いられる。SOC100%のOCVは、バッテリ100が劣化してもほとんど変化しないため、バッテリ100の新品時のOCVを用いてよい。
図2(C)は、外挿線Logが点Tを通るよう、取得OCV特性Loおよび外挿線Logを容量W方向に移動して算出した、容量W-OCV特性を示している。この容量W-OCV特性は、バッテリ100が劣化してもSOC-OCV特性の傾きの変化が小さい、取得OCV特性Loの高電圧側所定区間を外挿した外挿線Logを、SOC100%のOCVおよびSOC100%の容量Wを示す点Tを通るようにオフセットしたものである。点Tは、取得OCV特性Loの高電圧側所定区間より高電圧側(高容量側)に存在し、バッテリ100の劣化によるSOC-OCV特性の傾きの変化が小さい領域に位置する。したがって、容量W-OCV特性は、現時点(劣化後)におけるバッテリ100の容量W-OCV特性を精度良く表すことになる。
図3は、制御装置としてのECU300で実行される、容量W-SOC特性算出ルーチンの概略を示すフローチャートである。このフローチャートは、DCインレット60に充電ケーブル410が接続され、あるいは、ACインレット80に充電ケーブル510が接続され、定電流充電によりバッテリ100の充電が開始されると、実行される。
ステップ(以下、ステップを「S」と略す。)10において、定電流充電の開始から所定時間が経過し、バッテリ100の分極が飽和したか否かを判定する。充電開始から所定時間が経過し、バッテリ100の分極が飽和したと判定(肯定判定)されると、S11へ進む。なお、上記の通り、バッテリ100の分極が飽和したと判断するためのパラメータは、充電開始からの通電量(Ah)、充電開始からの電圧VBの変化量であってもよい。
S11では、充電中の電圧VBおよび容量Wの記憶をする。上記の通り、容量Wは、充電開始時の容量Wに充電開始時からの充電量を積算することにより算出する。容量Wが所定量変化する毎に、電圧VBおよび容量Wをメモリ302に書き込み記憶する。
続く、S12では、充電が終了したか否かを判定する。たとえば、バッテリ100のSOCが充電終了SOCに達して充電が終了した場合、あるいは、充電ケーブル410若しくは充電ケーブル510の接続が解除されて、充電が終了した場合に、充電が終了したと判定する。充電中であれば、S12で否定判定され、S11が繰り返し処理されることにより、充電中の容量Wが所定量変化する毎に、電圧VBおよび容量Wがメモリ302に書き込まれる。充電が終了し、S12で肯定判定されるとS13へ進む。
S13では、メモリ302に記憶された電圧VBおよび容量Wを読み出し、取得CCV特性Lcを算出したあと、S14へ進む。S14において、分極による電圧VBの差である過電圧ΔVを、充電開始直後の電圧VBと充電開始直前の電圧VBの差(ΔV=充電開始直後の電圧VB-充電開始直前の電圧VB)として算出するとともに、過電圧ΔVの大きさだけ取得CCV特性Lcを引き下げて(ΔVだけ電圧VB方向の負側にオフセットして)、取得OCV特性Loを算出する。
続く、S15では、取得OCV特性Loにおける高電圧側所定区間を電圧VBの高電圧側(容量Wの高容量側)に線形外挿して、外挿線Logを算出したあと、S16へ進む。S16では、外挿線Logが点Tを通るよう、取得OCV特性Loおよび外挿線Logを容量W方向に移動して(容量W方向にオフセットして)、容量W-OCV特性を算出したあと、今回のルーチンを終了する。
S15で算出した容量W-OCV特性を、バッテリ100の満充電容量(本実施の形態では、点TにおけるSOC100%の容量W)で割ることにより、バッテリ100のSOC-OCV特性を得ることができる。したがって、本実施の形態によれば、バッテリ100の劣化時におけるSOC-OCV特性を精度良く求めることが可能になる。
本実施の形態では、充電開始後、分極が飽和した際のSOCが、たとえば30%の場合、SOC30~100%のSOC-OCV特性を得ることはできるが、SOC0~30%のSOC-OCV特性を算出することはできない。この場合、SOC0~30%のSOC-OCV特性を求めるために、SOC30%におけるOCVの変化率を用いてもよい。たとえば、今回求めたSOC30%のOCVの値(OCV今回値)を前回求めたSOC30%のOCVの値(OVC前回値)で割ることにより(OCV今回値÷OCV前回値)、OCVの変化率を求める。そして、現在記憶されているSOC0~30%のSOC-OCV特性に、この変化率と予め定めた係数とを乗算して、SOC0~30%の新たなSOC-OCV特性を算出してもよい。
バッテリ100(単電池)の正極OCP(Open Circuit Potential:開回路電位)と負極OCPとを記憶しておき、記憶した正極OCPと負極OCPに基づいてSOC-OCV特性を算出している場合には、容量W-OCV特性から求めたSOC-OCV特性を用いて、全域(SOC0~100%)の新たなSOC-OCV特性を求めてもよい。たとえば、正極OCPと負極OCPに基づいたSOC-OCV特性が、容量W-OCV特性から求めたSOC-OCV特性に一致するよう、正極OCPと負極OCPを補正し、補正後の正極OCPと負極OCPから、全域の新たなSOC-OCV特性を算出するようにすればよい。
なお、S15で算出した容量W-OCV特性は、バッテリ100のOCVから現在の容量(Ah)を算出する際に用いることもできる。
本実施の形態では、定電流充電(CC充電)による充電中の電圧VBと容量Wを記憶し、容量W-OCV特性を求めていた。しかし、充電電流値の変化が小さい場合は、定電力充電(CP(Constant Power)充電)による充電中の電圧VBと容量Wを記憶し、容量W-OCV特性を求めてもよい。
また、充電中に充電が停止した場合、あるいは、充電電流値が大きく変化した場合、一旦、電圧VBと容量Wの記憶を中止し、安定した充電電流による充電が再開したあと、電圧VBと容量Wの記憶を再開してもよい。
本実施の形態では、取得OCV特性Loにおける高電圧側所定区間をSOCが60%以上の領域としている。しかし、高電圧側所定区間は、バッテリ100が劣化してもSOC-OCV特性の傾きの変化が小さい、SOC-OCV特性の高SOC領域(SOCが大きな領域)であればよく、また、線形性を備えることが望ましい。たとえば、車両制御において許容可能な程度の精度で容量W-OCV特性が算出可能な、SOC-OCV特性の傾きの変化が小さい高SOC領域であってよい。たとえば、容量維持率が100%から70%に低下したとき、SOC-OCV特性の傾き(勾配)の変化が5%以内のSOC領域であることが好ましい。なお、記憶された電圧VBおよび容量Wによって算出した取得OCV特性Loに、高電圧側所定区間が含まれない場合には、容量W-SOC特性を算出しない(外挿線Logを算出しない)。
本実施の形態では、点Tは、バッテリ100(単電池)のSOC100%のOCV(V)および容量W(Ah)を示す点としている。しかし、点Tは、取得OCV特性Loにおける高電圧側所定区間よりも高電圧側(高容量側)に位置する、バッテリ100のOCVおよび容量Wを示す点であればよい。たとえば、高電圧側所定区間が、SOC60~70%の場合には、点Tは、SOC80%のOCVおよび容量W、SOC90%のOCVおよび容量W、あるいは、SOC95%のOCVおよび容量Wを示す点であってもよい。点Tは、取得OCV特性Loの高電圧側所定区間より高電圧側(高容量側)に位置し、バッテリ100の劣化によるSOC-OCV特性の傾きの変化が小さい領域にあるので、現時点(劣化後)におけるバッテリ100の容量W-OCV特性を精度良く算出できる。
図1に示す電動車両1は電気自動車であるが、たとえば、エンジンとモータジェネレータとを備えるプラグインハイブリッド車両であってもよい。フォークリフト等の産業用車両であってもよい。プラグインハイブリッド車両の場合、エンジンの駆動力によってモータジェネレータで発電を行い、定電流でバッテリ100が充電されている際に、図3の処理が実行されてもよい。また、車両以外に適用されるバッテリ100であってもよい。
本実施の形態では、バッテリ100の充電時について説明したが、定電流で放電を行う場合には、放電時にも容量W-OCV特性を取得することができる。図4は、バッテリ100の放電時にSOC-OCV特性を精度良く求める手段を説明する図である。
図4(A)の点bで、バッテリ100の放電が開始される。バッテリ100は、定電流充電で放電を行う。放電が開始されると、放電開始時のSOCに基づいて、放電開始時(点b)におけるバッテリ100の容量Wを算出する。図4(A)に示す例では、充電開始時の容量WはA1である。
放電開始から所定時間経過すると、バッテリ100の分極が飽和したと判断し、放電中の電圧VBおよび容量Wの記憶を開始する。容量Wは、放電開始時の容量Wから、放電開始時からの放電量の積算値を減算することにより算出する。容量Wが所定量変化する毎に、電圧VBおよび容量Wを記憶するようにしてもよい。
放電が終了すると、メモリ302に記憶された電圧VBおよび容量Wを読み出し、取得CCV特性Lcを算出する。図4(A)では、容量WがA2からA3の範囲において電圧VBおよび容量Wがメモリ302に記憶されており、記憶された電圧VBと容量Wを読み出すことにより、取得CCV特性Lcを算出する。放電中の電圧VBはCCV(閉回路電圧)であり、取得CCV特性は、容量(Ah)-CCV特性である。
取得CCV特性Lcを算出すると、図4(A)の矢印で示すように、バッテリ100の過電圧ΔVの大きさだけ取得CCV特性Lcを引き上げて(ΔVだけ電圧VB方向の正側にオフセットして)、取得OCV特性Loを得る。過電圧ΔVは、たとえば、放電開始直後の電圧VBと放電開始直前の電圧VBの差として算出する。
取得OCV特性Loを算出したあと、図4(B)に示すように、取得OCV特性Loにおける高電圧側所定区間を電圧VBの高電圧側(容量Wの高容量側)に外挿して、外挿線Logを得る。高電圧側所定区間は、バッテリ100が劣化してもSOC-OCV特性の傾きの変化が小さい、SOC-OCV特性の高SOC領域(SOCが大きな領域)であり、たとえば、SOCが60%以上の領域を所定区間であってよい。
外挿線Logを算出したあと、図4(B)の矢印に示すように、外挿線Logが点Tを通るよう、取得OCV特性Loおよび外挿線Logを容量W方向に移動して(容量W方向にオフセットして)、容量W-OCV特性を得る。点Tは、現在(劣化後)のバッテリ100のSOCが100%のときにおけるOCV(V)と容量W(Ah)を示す点である。これにより、図4(C)に示す、容量W-OCV特性を算出することができる。
本開示における実施態様を例示すると、次のような態様を例示できる。
1)二次電池(100)の制御装置(300)であって、制御装置(300)は、定電流による二次電池(100)の充電開始後、または、定電流による二次電池(100)の放電開始後、二次電池(100)の分極が飽和した以降の二次電池(100)の容量および電圧を記憶する記憶手段(302、S11)と、記憶手段(302、S11)に記憶された容量および電圧を用いて、容量-電圧の対応関係である取得CCV特性(Lc)を算出する取得CCV特性算出手段(S13)と、取得CCV特性(Lc)を、二次電池(100)の過電圧(ΔV)の大きさだけ、電圧方向に移動した取得OCV特性(Lo)を算出する取得OCV特性算出手段(S14)と、取得OCV特性(Lo)における高電圧側所定区間を高電圧方向に外挿して、外挿線(Log)を算出する外挿手段(S15)と、外挿線(Log)が特定の点(点T)を通るよう、取得OCV特性(Lo)および外挿線(Log)を容量方向に移動し、容量-OCV特性を算出する、容量-OCV算出手段(S16)と、を備え、特定の点(点T)は、高電圧側所定区間より高電圧側の領域における、二次電池(100)の開回路電圧および容量を示す点である、二次電池の制御装置。
2)1において、取得OCV特性(Lo)における高電圧側所定区間は、二次電池(100)の劣化によるSOC-0CV特性の傾きの変化が所定値以下であるSOC領域の区間である。
3)1または2において、特定の点(点T)は、二次電池(100)のSOC100%における開回路電圧および容量である。
4)1~3において、過電圧(ΔV)は、充電開始直前と充電開始直後の二次電池の電圧の差、あるいは、放電開始直前と放電開始直後の二次電池の電圧の差、である。
5)1~4において、二次電池(100)は、リチウムイオン電池である。
6)1~5において、二次電池(100)は、車両(1)に搭載されており、外部電源から供給される電力により外部充電可能に構成され、外部充電の終了後、取得CCV特性算出手段(S13)により取得CCV特性(Lc)を算出する。
この構成によれば、定電流で二次電池(100)を充電する機会を容易に実現できる。
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1 電動車両、10 モータジェネレータ(MG)、20 駆動伝達ギヤ、30 駆動輪、40 PCU、50 SMR、60 DCインレット、70 充電リレー、80 ACインレット、90 充電リレー、100 バッテリ、130 車載充電器、200 監視ユニット、300 ECU、301 CPU、302 メモリ、400 DC電源、410 充電ケーブル、420 コネクタ、500 AC電源、510 充電ケーブル、520 コネクタ。

Claims (1)

  1. 二次電池の制御装置であって、
    前記制御装置は、
    定電流による前記二次電池の充電開始後、または、定電流による前記二次電池の放電開始後、前記二次電池の分極が飽和した以降の前記二次電池の容量および電圧を記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶された前記容量および前記電圧を用いて、容量-電圧の対応関係である取得CCV特性を算出する取得CCV特性算出手段と、
    前記取得CCV特性を、前記二次電池の過電圧の大きさだけ、電圧方向に移動した取得OCV特性を算出する取得OCV特性算出手段と、
    前記取得OCV特性における高電圧側所定区間を高電圧方向に外挿して、外挿線を算出する外挿手段と、
    前記外挿線が特定の点を通るよう、前記取得OCV特性および前記外挿線を容量方向に移動し、容量-OCV特性を算出する、容量-OCV算出手段と、を備え、
    前記特定の点は、前記高電圧側所定区間より高電圧側の領域における、前記二次電池の開回路電圧および容量を示す点である、二次電池の制御装置。
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