JP2022093019A - 複層フィルム、粘着フィルム及び半導体製造工程用粘着フィルム - Google Patents

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Abstract

【解決課題】樹脂をフィルム状に成形する際の製膜性に優れ、且つ得られたフィルムのエキスパンド性にも優れたフィルムを提供すること。【解決手段】ポリオレフィン系樹脂およびスチレン成分の含有量が20質量%以上60質量%以下の範囲内であるスチレン系エラストマーを含有し、構成する樹脂の総量を100質量%とした際の、該スチレン系エラストマーの含有量が60質量%以上であるエラストマー層を少なくとも1層以上有し、フィルムの総厚みにおける該エラストマー層の厚みの割合が70%以上であることを特徴とする複層フィルム。

Description

本発明は、半導体製造工程で使用される粘着フィルム(テープ)、看板、自動車等へ意匠性を付与するために貼り付けされるステッカー、ラベル及びマーキングフィルム等の粘着フィルム(テープ)、化粧シート等の基材に好適に用いられる複層フィルム及びその複層フィルムに粘着層を設けた粘着フィルムに関する。
従来、粘着フィルム(テープ)、看板、自動車等へ意匠性を付与するために貼り付けされるステッカー、ラベル及びマーキングフィルム等の粘着フィルム(テープ)、化粧シート等には、着色性、加工性、耐傷付き性、耐候性等が優れるポリ塩化ビニル樹脂製のフィルム(以下、「PVC系フィルム」ともいう。)が基材として多用されている。
上記PVC系フィルムは、それ自体剛性を有しているが、粘着フィルムとして機能し得るように、柔軟性付与の目的で可塑剤が添加される。しかしながら、用いる可塑剤によっては、粘着剤との相溶性が悪く、粘着フィルムとした場合に安定性が悪く、可塑剤のブリードアウトが著しくなるという問題がある。また、可塑剤の使用自体に規制が強まる傾向もある。
そこで、PVC系フィルムに代わる材料として、ポリオレフィン系樹脂フィルムが広く用いられてきている。
また、半導体を製造する工程においても、半導体ウェハやパッケージ等を切断する際に半導体ウェハ加工用の粘着フィルムが用いられており、上記のような問題からポリオレフィン系樹脂フィルムが用いられるケースが増加している。
このような半導体製造工程用のフィルムとして、PVC系、ポリオレフィン系樹脂を用いたフィルムが開発されている(例えば特許文献1)。また、特許文献2には、帯電防止性能の付与および柔軟性と耐熱性に優れた半導体製造工程用基材フィルムが開示されている。
さらに、近年、半導体素子の小型化・薄型化が進み、半導体ウェハのチップ同士の間隔を拡張するためのエキスパンド工程における、フィルムの拡張性がより求められる傾向にある。チップが小さくなるに伴い、チップ同士の接触によるチップやデバイスの破損が起こりやすくなり、それに起因する歩留まりの低下といった経済性への影響も大きくなる。
それらの課題の解決のため、特許文献3および特許文献4には、スチレン系エラストマーを多く含有するエキスパンド性に優れたダイシング用基材フィルムが開示されている。
特開平9-8111号公報 特開2020-84143号公報 特許4259050号公報 特開2018-125521号公報
しかしながら、特許文献1および2に記載されている発明では、拡張性が十分ではないポリオレフィン系樹脂やオレフィン系エラストマーが主成分であり、エキスパンド性が不足するものであった。
また、特許文献3に記載されている発明はスチレン系エラストマーが多く用いられているものの、同文献では、フィルムの加工性や取り扱い性を考慮した材料が選定されておらず、スチレン系エラストマーについての詳細な記載はない。
特許文献4に記載されている発明は、中間層がスチレン系エラストマーのものが記載されており、エキスパンド性にも優れるとの内容の記載がある。ただし、樹脂をフィルム状に成形する際の製膜性を考慮した際の、スチレン系エラストマーの選択には改善の余地があった。
本発明は、かかる問題に鑑みて、樹脂をフィルム状に成形する際の製膜性に優れ、且つ得られたフィルムのエキスパンド性にも優れたフィルムを提供することを目的とする。また、本発明は、エキスパンド性に優れ、チップ同士の間隔を十分に確保することの可能な半導体製造工程用粘着フィルムを提供することも目的とする。
本発明者は、樹脂をフィルム状に成形する際の製膜性に優れ、且つ得られたフィルムのエキスパンド性にも優れたフィルムを鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]
少なくとも2つ以上の層を有する複層フィルムであって、
少なくとも1つの層は、ポリオレフィン系樹脂及びスチレン系エラストマーを含有するエラストマー層であり、
前記スチレン系エラストマーは、スチレン成分含有率が20質量%以上60質量%以下であり、
前記エラストマー層を構成する樹脂の総量を100質量%とした際の、前記スチレン系エラストマーの含有量が60質量%以上であり、かつ、複層フィルムの総厚みにおける前記エラストマー層の厚み割合が70%以上である、
複層フィルム。
[2]
総厚みが150μm以下である[1]に記載の複層フィルム。
[3]
ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂である[1]又は[2]に記載の複層フィルム。
[4]
前記エラストマー層がフィルムの中間に位置する層に用いられる[1]~[3]のいずれか1項に記載の複層フィルム。
[5]
[1]~[4]のいずれか1項に記載の複層フィルムの少なくとも片方の面に粘着層を設けてなる粘着フィルム。
[6]
半導体製造工程に用いられる[5]に記載の半導体製造工程用粘着フィルム。
本発明により、樹脂をフィルム状に成形する際の製膜性に優れ、且つ得られたフィルムのエキスパンド性にも優れたフィルムを提供することが可能となる。また、本発明により、エキスパンド性に優れ、チップ同士の間隔を十分に確保することの可能な半導体製造工程用粘着フィルムを提供することが可能となる。
以下に本発明について詳述するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。尚、本明細書において「~」という表現を用いる場合、その前後の数値又は物性値を含む表現として用いるものとする。
本発明の1つの実施態様は、ポリオレフィン系樹脂およびスチレン成分の含有量が20~60質量%の範囲内であるスチレン系エラストマーを含有し、構成する樹脂の総量を100質量%とした際の、前記スチレン系エラストマーの含有量が60質量%以上であるエラストマー層を少なくとも1層以上有し、複層フィルムの総厚みに対する当該層の厚みの割合が70%以上である複層フィルムである。
<ポリオレフィン系樹脂>
本発明に用いられる複層フィルムのエラストマー層には、ポリオレフィン系樹脂が必須成分として含まれる。
ポリオレフィン系樹脂は入手のし易さ、耐熱性や柔軟性の調整が比較的容易であること、また、後述するスチレン系エラストマーとの相溶性の観点から好適に用いられる。
ポリオレフィン系樹脂としては、ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、オレフィン系エラストマーから選択される1種以上の樹脂が、入手のし易さや柔軟性、取り扱い性、経済性等の観点から、好適に用いられる。中でもポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂が、入手のし易さや経済性の観点、耐熱性や柔軟性の調節が比較的容易であることから好ましい。
ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、プロピレンの単独重合体(ホモポリプロピレン)、プロピレンを主成分とするプロピレンと共重合可能な他の単量体との共重合体、これらの混合物等が例示できる。
前記プロピレンを主成分とするプロピレンと共重合可能な他の単量体との共重合体としては、プロピレンとエチレンまたは他のα-オレフィンとのランダム共重合体(ランダムポリプロピレン)やブロック共重合体(ブロックポリプロピレン)、ゴム成分を含むブロック共重合体あるいはグラフト共重合体等が挙げられる。
前記プロピレンと共重合可能な他の単量体として用いられるα-オレフィンとしては、炭素原子数が4~12のものが好ましく、例えば、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1-ヘプテン、1-オクテン、4-メチル-1-ペンテン、1-デセン等が挙げられ、その1種または2種以上の混合物が用いられる。
ポリエチレン系樹脂としては、例えば、エチレンの単独重合体、エチレンを主成分とするエチレンと共重合可能な他の単量体との共重合体(低密度ポリエチレン(LDPE)、高圧法低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、メタロセン系触媒を用いて重合して得られるエチレン系共重合体(メタロセン系ポリエチレン)、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸ブチル共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン-(メタ)アクリル酸共重合体の金属イオン架橋樹脂(アイオノマー)等が挙げられる。
中でも入手のし易さや樹脂の取り扱い性、得られるフィルムへの柔軟性の調整が容易であるとの観点から、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)を用いることが好ましい。
オレフィン系エラストマーとは、ポリオレフィン系樹脂とゴム成分とを含んでなる軟質樹脂であり、ポリオレフィン系樹脂にゴム成分が分散しているものでもよいし、互いが共重合されているものでもよい。
オレフィン系エラストマーの具体例としては、例えば、エチレン-プロピレン共重合体エラストマー、エチレン-1-ブテン共重合体エラストマー、エチレン-プロピレン-1-ブテン共重合体エラストマー、エチレン-1-ヘキセン共重合体エラストマー、エチレン-1-オクテン共重合体エラストマー、エチレン-スチレン共重合体エラストマー、エチレン-ノルボルネン共重合体エラストマー、プロピレン-1-ブテン共重合体エラストマー、エチレン-プロピレン-非共役ジエン共重合体エラストマー、エチレン-1-ブテン-非共役ジエン共重合体エラストマー、及びエチレン-プロピレン-1-ブテン-非共役ジエン共重合体エラストマー等のオレフィンを主成分とする無定型の弾性共重合体、その誘導体及び酸変性誘導体等を挙げることができる。
前述したポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、オレフィン系エラストマー等のメルトフローレイトは、その適用する成形方法や用途により適宜選択されるものの、190℃もしくは230℃の温度条件下、荷重2.16kgで測定した値が0.1~50g/10分であることが好ましい。0.1g/10分以上であればフィルムの成形性が良好となり、50g/10分以下であればフィルムの厚み精度を良好に保つことが可能となる。より好ましくは0.5~40g/10分、さらに好ましくは1.0~30g/10分である。
ポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、オレフィン系エラストマー等の強度については、それらの樹脂単独で得られるフィルムの引張弾性率が50~2000MPaの範囲内であることが好ましい。引張弾性率が50~2000MPaの範囲内であれば、本発明のフィルムに適度な柔軟性を付与することが可能となる。より好ましくは80~1900MPaの範囲内、さらに好ましくは100~1800MPaの範囲内である。
上記ポリオレフィン系樹脂は、1種類の樹脂を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。得られる複層フィルムの柔軟性や耐熱性、製膜性を考慮し、必要に応じて適宜選択することができる。
<スチレン系エラストマー>
本発明に用いられる複層フィルムのエラストマー層には、前述したポリオレフィン系樹脂に加え、スチレン系エラストマーが必須成分として含まれる。
また、エラストマー層を構成する樹脂の総量を100質量%とした際の、該スチレン系エラストマーの含有量が60質量%以上であることにより、ポリオレフィン系樹脂を主成分とするフィルムでは発現の困難なエキスパンド性を本発明の複層フィルムに付与することが可能となることから、スチレン系エラストマーが必要となる。
スチレン系エラストマーとは、下記式(I)または(II)で表されるブロック共重合体であることが好ましい。
X-(Y-X)n …(I)
(X-Y)n …(II)
一般式(I)および(II)におけるXはスチレンに代表される芳香族ビニル重合体ブロック(以下、スチレン成分)で、式(I)においては分子鎖両末端で重合度が同じであってもよいし、異なっていてもよい。また、Yとしてはブタジエン重合体ブロック、イソプレン重合体ブロック、ブタジエン/イソプレン共重合体ブロック、水添されたブタジエン重合体ブロック、水添されたイソプレン重合体ブロック、水添されたブタジエン/イソプレン共重合体ブロック、部分水添されたブタジエン重合体ブロック、部分水添されたイソプレン重合体ブロックおよび部分水添されたブタジエン/イソプレン共重合体ブロックの中から選ばれた少なくとも1種である。また、nは1以上の整数である。
具体例としては、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレン共重合体、スチレン-エチレン・プロピレン-スチレン共重合体、スチレン-エチレン・エチレン・プロピレン-スチレン共重合体、スチレン-ブタジエン-ブテン-スチレン共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合体、スチレン-イソプレン-スチレン共重合体、スチレン-水添ブタジエンジブロック共重合体、スチレン-水添イソプレンジブロック共重合体、スチレン-ブタジエンジブロック共重合体、スチレン-イソプレンジブロック共重合体等が挙げられ、その中でもスチレン-エチレン・ブチレン-スチレン共重合体、スチレン-エチレン・プロピレン-スチレン共重合体、スチレン-エチレン・エチレン・プロピレン-スチレン共重合体、スチレン-ブタジエン-ブテン-スチレン共重合体が好適である。また、スチレン-エチレン・ブチレン-結晶性オレフィン共重合体であるブロック共重合体を用いることもできる。
本発明では、前記スチレン系エラストマーにおけるスチレン成分の含有量は20質量%以上60質量%以下の範囲内であることが必要である。スチレン成分の含有量が20質量%以上であれば、得られるフィルムが柔軟になり過ぎることなく、取り扱い性に優れるフィルムとすることが可能となり、60質量%以下であればポリオレフィン系樹脂との相溶性を大きく損なうことがなく、相溶性の低下に伴う著しい物性の低下を抑制することが可能となる。好ましくは22~55質量%、より好ましくは25~50質量%の範囲内である。
スチレン成分の含有量およびそれ以外の成分の含有量は、H-NMRや13C-NMRを用いることにより測定することができる。ここで、「スチレン成分の含有量」とは、スチレン系エラストマーの質量を基準としてスチレンに代表される芳香族ビニル重合体ブロックの含有割合(質量%)をいう。
スチレン系エラストマーのメルトフローレイト(230℃の温度条件下、荷重2.16kgで測定した値)は、0.1~10g/10分であることが好ましく、0.15~9g/10分であることがより好ましく、0.2~8g/10分であることが特に好ましい。スチレン系エラストマーのメルトフローレイトが0.1g/10分未満および、10g/10分を越えるとポリオレフィン系樹脂との相溶性の低下や製膜性の悪化により、十分な柔軟性やエキスパンド性が発現しない場合がある。
スチレン系エラストマーの市販品としては、例えば、タフプレンA、タフプレン125、アサプレンT-438、アサプレンT-439、タフテックH1221、タフテックH1041、タフテックH1052、タフテックH1053、タフテックH1517(以上、旭化成社製)、セプトン4099、セプトンHG252、セプトン8004、セプトン8006、セプトン8007L、セプトンHG252、セプトンV9461、セプトンV9475、ハイブラー7311、ハイブラー7125F、ハイブラー5127、ハイブラー5125(以上、クラレ社製)、ダイナロン1320P、ダイナロン4600P、ダイナロン8300P、ダイナロン8903P、ダイナロン9901P(以上、JSR社製)等が挙げられる。
中でもスチレン成分の含有量が20質量%以上60質量%以下の範囲内であるスチレン系エラストマーの市販品としては、例えば、タフテックH1041、タフテックH1052、タフテックH1053、タフテックH1517(以上、旭化成社製)、セプトン8007L、セプトンHG252、ハイブラー5125(以上、クラレ社製)、ダイナロン4600P、ダイナロン8903P、ダイナロン9901P(以上、JSR社製)等が挙げられる。
上記スチレン系エラストマーは、1種類のエラストマーを単独で用いてもよいし、2種類以上を併用して用いてもよい。複層フィルムを得る際の製膜性や、得られる複層フィルムの柔軟性や取扱い性、エキスパンド性を考慮し、必要に応じて適宜選択することができる。複層フィルムの製膜性や、得られるフィルムの性能の観点から、2種類以上を併用することがより好ましい。
<その他樹脂>
本発明の積層フィルムのエラストマー層には、前述したポリプロピレン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、オレフィン系エラストマー、スチレン系エラストマー以外の樹脂として、環状オレフィン系樹脂、ポリメチルペンテン系樹脂等を添加することもできる。
環状オレフィン系樹脂としては、例えば、ノルボルネン系重合体、ビニル脂環式炭化水素重合体、環状共役ジエン重合体等が挙げられる。これらの中でも、ノルボルネン系重合体が好ましい。また、ノルボルネン系重合体としては、ノルボルネン系単量体の開環重合体、ノルボルネン系単量体とエチレン等のα-オレフィンを共重合したノルボルネン系共重合体等が挙げられる。また、これらの水素添加物も用いることができる。
<その他成分>
本発明の複層フィルム(即ち、エラストマー層及びエラストマー層以外の層)には、得られるフィルムに必要とされる性能を付与するために、ポリオレフィン系樹脂、スチレン系エラストマー以外の成分として、耐熱性や耐候性、帯電防止性能等を付与するために各種添加剤を配合することができる。
具体例としては、例えば、帯電防止剤、酸化防止剤、中和剤、滑剤、アンチブロッキング剤、可塑剤、熱安定剤、光安定剤、染顔料、結晶核剤、紫外線吸収剤、充填剤、剛性を付与する無機フィラー、及び柔軟性を付与するために前述したもの以外のエラストマー等を、本発明の効果を阻害しない範囲において用いてもよい。
また、複層フィルムの各層のそれぞれに異なった性能を付与する必要がある場合は、各層毎に各種添加剤を付与することも可能である。
帯電防止剤としては、公知のものを使用することができるが、得られる複層フィルムとの相溶性や、長期的な帯電防止性能の付与、経時での帯電防止剤のブリードアウトの抑制といった観点から、高分子型帯電防止剤を用いることが好ましい。
高分子型帯電防止剤としては公知のものを使用することができ、例えば、疎水性ブロックと親水性ブロックとのブロック共重合体を用いることができる。高分子型帯電防止剤は、疎水性ブロックと親水性ブロックとが、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、イミド結合、ウレタン結合及びウレア結合等によってブロック共重合体を形成している。
疎水性ブロックには、例えば、ポリオレフィンブロックを挙げることができ、ポリオレフィンブロックには、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体からなるブロック等を挙げることができる。
ポリオレフィンブロック等の疎水性ブロックは、その両末端にカルボニル基、水酸基、及び、アミノ基等の極性基を有している。疎水性ブロックが両末端に有している極性基を、親水性ブロックの両末端に存在するカルボニル基、水酸基、及び、アミノ基等に重合させるか、或いは、ジイソシアネートやジグリシジルエーテル等によって架橋させることにより、疎水性ブロックと親水性ブロックとのブロック共重合体を得ることができる。
親水性ブロックには、例えば、ポリエーテルブロック、ポリエーテル含有親水性ポリマーブロック、カチオン性ポリマーブロック及びアニオン性ポリマーブロックを挙げることができる。
なお、高分子型帯電防止剤は、本発明の効果を損なわない範囲において、更に帯電防止性を向上させるために、アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩、4級アンモニウム塩、界面活性剤及びイオン性液体等が配合されていてもよい。
高分子型帯電防止剤の一つであるポリエーテル-ポリオレフィンブロック共重合体の市販品としては、例えば、ペレスタット300、ペレスタット230、ペレクトロンUC、ペレクトロンPVL、ぺレクトロンPVH(以上、三洋化成工業社製)等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、トリアジン系紫外線吸収剤等を挙げることができる。
光安定剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、ヒンダードアミン系光安定剤等を挙げることができる。
滑剤やアンチブロッキング剤としては、有機系粒子や無機系粒子、アマイド系化合物といった公知のものを使用することができる。また、前述したポリオレフィン系樹脂との相溶性に優れ、得られるフィルムの表面へのブリードアウトによる不具合や長期的な耐傷付き性や滑り性の付与を可能にすることから、シリコーン-オレフィン共重合体を用いることが好ましい。
<複層フィルム>
本発明の複層フィルムは、少なくとも2つ以上の層を有する複層フィルムであって、前述したポリオレフィン系樹脂およびスチレン系エラストマーを含有し、該スチレン系エラストマーの含有量が60質量%以上であるエラストマー層を少なくとも1層以上有し、複層フィルムの総厚みにおける該エラストマー層の厚みの割合が70%以上であることを特徴とする複層フィルムである。
本発明の複層フィルムは、少なくとも2つ以上の層を有し、その全ての層がエラストマー層であってもよく、一部の層がエラストマー層であってもよい。
エラストマー層が2層以上となる場合は、それらの層の合計が複層フィルムの総厚みの70%以上を占めるように設計することで、十分なエキスパンド性を付与することが可能になる。
また、エラストマー層が2層以上となる場合は、各エラストマー層の樹脂組成物の組成は同じであっても異なってもよい。
当該エラストマー層は、複層フィルムの表裏層や中間に位置する層のいずれの層にあっても構わないが、スチレン系エラストマーが表裏層に配置された場合、スチレン系エラストマーに起因するタック性がフィルム表面に生じ、フィルムを製膜する際のフィルムのロールへの貼りつきや搬送の不具合、フィルムを巻き取った際のフィルム同士のブロッキングが顕著となるといった問題が発生する可能性があることから、エラストマー層は複層フィルムの中間に位置する層に用いられることが好ましい。
ここで、複層フィルムの中間に位置する層は、複層フィルムが例えば3層からなる場合は、所謂中間層を意味するが、複層フィルムが4層以上からなる場合は、真中の層だけではなく、その前後の層も含まれる。例えば、複層フィルムが4層からなる場合は、「複層フィルムの中間に位置する層」には表層から数えて2番目及び3番目の層も含まれ、複層フィルムが5層からなる場合は、表層から数えて3番目の層に加えて、表層から2番目及び4番目の層も「複層フィルムの中間に位置する層」に含まれる。従って、複層フィルムが4層からなる場合は、「複層フィルムの中間に位置する層」の全てがエラストマー層であってもよく、「複層フィルムの中間に位置する層」の一部がエラストマー層であってもよい。
本発明の複層フィルムのエラストマー層以外の層は、種々のポリマーを主成分とする層とすることができるが、好適には、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする層である。
複層フィルムの具体的な構成としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする層を表層としエラストマー層を裏層とした2種2層の構成、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする層を表裏層としエラストマー層を中間層とした2種3層の構成、表裏で異なるポリオレフィン系樹脂が用いられたポリオレフィン系樹脂を主成分とする表裏層とエラストマー層を中間層とした3種3層の構成、その他それ以上の複層構造を有する複層フィルムといったものが挙げられる。製膜のし易さや設備の取り扱い性の観点から、2種2層、2種3層、3種3層の構成であることが好ましい。
また、複層フィルムの表裏層などのエラストマー層以外の層を、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする層とする場合は、当該層に用いられる樹脂組成物中のポリオレフィン系樹脂の含有量が50質量%以上であることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂の含有量を50質量%以上とすることで、フィルム状に加工する際の製膜性を良好にすることができ、得られる複層フィルムの柔軟性や耐熱性を調整することも容易となる。より好ましくは55質量%以上、さらに好ましくは60質量%以上である。複層フィルムの表裏層などのエラストマー層以外の層には、ポリオレフィン系樹脂以外の樹脂としては前述したスチレン系エラストマーやその他の樹脂の項で説明したものを用いることができる。
また、本発明の複層フィルムの総厚みは、30~250μmであることが好ましい。30μm以上であればフィルムを生産する際の製膜性や得られるフィルムの取り扱い性が良好となり、250μm以下であれば経済性の観点やフィルムを用いた粘着加工等の工程通過性を良好に保つことが可能となる。また、経済性の観点やエキスパンド性の観点から30~200μmの範囲内であることがより好ましく、30~150μmの範囲内であることがさらに好ましい。
また、本発明の複層フィルムの引張弾性率が、50~1500MPaの範囲内であることが好ましい。50MPa以上であればフィルムに十分な剛性が付与されていることから、取り扱い性を良好に保つことが可能となり、1500MPa以下であれば該フィルムに粘着層を積層する工程におけるフィルムの加工性を良好に保つことが可能となり、さらにエキスパンド時に当該フィルムや装置にかかる負荷を適正なものとすることが可能となる。より好ましくは50~1000MPa、さらに好ましくは50~500MPaの範囲内である。
また、複層フィルムのエキスパンド性は、ヒューグルエレクトロニクス社製のウェハ拡張装置を用いて測定することができる。また、複層フィルムに積層される粘着層の影響の確認のために、粘着層を積層した後の粘着フィルムを用いることが好ましい。粘着フィルムについては後述する。
エキスパンド性の測定方法としては、以下の条件により測定することができる。
<エキスパンド性の測定方法>
粘着フィルムのサンプル中央に線を引き、そこからMD方向、TD方向に30mm間隔でさらに線を引くことで、30mm角のマス目を記載した。エキスパンド後、そのマス目の長さをMD方向で3点、TD方向で3点測定し、以下の計算式を用いて各点の拡張率を求める。
<計算式>
Figure 2022093019000001
上記エキスパンド条件にて測定した際の拡張率が、110%以上であるものをエキスパンド性が良好であると判断することが可能である。110%以上の拡張率を示すことで、エキスパンド後のチップの間隔を十分なものとすることが可能となる。より好ましくは112%以上、さらに好ましくは114%以上である。
エキスパンド試験のリングサイズ、突き上げ速度、突き上げ量、ステージ温度については、ウェハのサイズ、エキスパンド時のフィルムの破れや裂けの防止、チップの間隔を十分なものとすることができるような条件であれば、任意に設定することが可能である。
本発明の複層フィルムの成形方法としては、公知の方法を用いることができるが、溶融押出成形法を用いることが好ましい。溶融押出成形法の中でも、Tダイを有する押出機より溶融状態の樹脂を押出し、冷却固化させてフィルムを得るTダイ成形法がより好ましい。
フィルムを得るためには、複数の押出機を利用した共押出Tダイ成形法とすることが好ましい。複数の押し出し機を利用した共押出Tダイ成形法を用いることで、複層のフィルムを得ることが可能となり、本発明の樹脂組成物からなる層を表裏の一方の面のみとすることも、表裏の両面とすることも可能となる。
さらに全ての押出機から同一の樹脂を押出すことで全層が同一の樹脂組成物からなる実質的に単層のフィルムを得ることも可能となる。
共押出Tダイ成形法としては、マルチマニホールドダイを用いて、複数の樹脂層をフィルム状としたのち、Tダイ内で接触させて複層化させフィルムを得る方法と、フィードブロックと称する溶融状態の樹脂を合流させる装置を用い、複数の樹脂を合流させ密着した後、複層のフィルムを得る方法が挙げられる。
フィルムには必要に応じて、片面または両方の面にプラズマ処理やコロナ処理、オゾン処理および火炎処理等の方法による表面処理を行ってもよい。得られるフィルムの用途に応じて、片面または両方の面に表面処理を行うかを選択することができる。
また、エラストマー層の厚みが、複層フィルムの総厚みの70%以上を占めることが好ましい。70%以上とすることで、得られる複層フィルムに十分なエキスパンド性を付与することが可能となる。より好ましくは複層フィルムの総厚みの75%以上、さらに好ましくは80%以上である。
<粘着フィルム>
本発明の複層フィルムには、少なくとも片方の面に粘着層を積層することで、粘着フィルムとすることができる(以下「本発明の粘着フィルム」ともいう)。
粘着剤層として用いられる粘着剤は特に限定されないが、例えば、天然ゴム系樹脂、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、シリコン系樹脂、ポリビニルエーテル系樹脂等の各種粘着剤が用いられる。また粘着剤層の上にさらに接着剤層や熱硬化性樹脂層等の機能層を設けてもよい。
本発明の粘着フィルムにおいて、粘着層を積層する前のフィルムの片面もしくは両方の面に、前述した表面処理を行ってもよい。また、基材フィルムと粘着層の間には、必要に応じて、プライマー層を設けてもよい。
粘着層やプライマー層の厚さは、必要に応じて適宜決めることができる。
本発明の粘着フィルムは、エキスパンド性に優れるフィルムを用いていることから、半導体製造工程用途に好適に用いることができる。
以下、本発明の実施例及び比較例を示して、具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例により何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例及び比較例で使用した材料、評価した特性の測定方法等は、次の通りである。
[使用材料]
<ポリオレフィン系樹脂>
ホモポリプロピレン:
日本ポリプロ社製、「FLX80H5」(ホモポリプロピレン、230℃、2.16kgにおけるメルトフローレイト:8.0g/10分、融点:163℃、単独フィルムの引張弾性率:900MPa)
ランダムポリプロピレン:
サンアロマー社製、「PC630A」(ランダムポリプロピレン、230℃、2.16kgにおけるメルトフローレイト:7.5g/10分、融点:135℃、単独フィルムの引張弾性率:600MPa)
オレフィン系エラストマー:
日本ポリプロ製、「ウェルネクスRFX4V」(オレフィン系エラストマー、230℃、2.16kgでのメルトフローレイト:6.0g/10分、融点:127℃、単独フィルムの引張弾性率:250MPa)
低密度ポリエチレン:
日本ポリエチレン社製、「ノバテックLC500」(低密度ポリエチレン、190℃、2.16kgにおけるメルトフローレイト:4.0g/10分、融点:106℃、単独フィルムの引張弾性率:140MPa)
<スチレン系エラストマー>
スチレン系エラストマー(A):
旭化成社製、「タフテックH1221」(230℃、2.16kgにおけるメルトフローレイト:4.5g/10分、スチレン成分含有量:12質量%、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレン共重合体)
スチレン系エラストマー(B):
旭化成社製、「タフテックH1041」(230℃、2.16kgにおけるメルトフローレイト:5.0g/10分、スチレン成分含有量:30質量%、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレン共重合体)
スチレン系エラストマー(C):
旭化成社製、「タフテックH1517」(230℃、2.16kgにおけるメルトフローレイト:3.0g/10分、スチレン成分含有量:43質量%、スチレン-エチレン・ブチレン-スチレン共重合体)
スチレン系エラストマー(D):
JSR社製、「ダイナロン4600P」(230℃、2.16kgにおけるメルトフローレイト:5.5g/10分、スチレン成分含有量:20質量%、スチレン-エチレン・ブチレン-結晶性オレフィン共重合体)
<樹脂組成物の調製>
上記のポリオレフィン系樹脂とスチレン系エラストマーを合計で100質量部となるよう配合し、ドライブレンドにより混合した。目視にて均一に混合できていることを確認し、表層、中間層、裏層の各層毎にフィルム成形用の樹脂組成物を作成した。
<フィルムの製膜方法>
3台の東芝機械製単軸押出機(表層用:35φmm,L/D=25mm、中間層用:50φmm,L/D=32、裏層用:35φmm,L/D=25mm)のそれぞれのホッパーにドライブレンドした原料を投入し、各押出機の押出機温度を190~240℃に設定し、フィードブロック部にて、表層/中間層/裏層の3層構成に合流させ、650mm幅Tダイ(温度設定240℃、リップ開度0.5mm)から押し出した。厚み構成は、表1に記載の厚みとなるよう各押出機回転数を設定した。
押出された溶融樹脂は、鏡面状の冷却ロールを備えた巻き取り機(冷却ロール700mm幅×φ350mm、ロール温度約30℃)にて冷却固化後、両面にコロナ処理を実施し巻き取りを行い、所定の厚みを有する2種3層もしくは3種3層となる複層のフィルムを得た。
また、本発明では、得られたフィルムの鏡面上の冷却ロール側の面を表層と表現している。
[各層の厚み]
各押出機から押し出される樹脂の吐出量から計算し、各層の厚みを設定した。また、得られたフィルムの断面観察の結果から、設定通りの厚みになっていることを確認した。
[フィルムの総厚み]
接触式厚み計を用いてフィルムの中央部、両端部の厚みの測定を行い、所定の厚みになっていることを確認した。
[フィルムの製膜性]
前述した製膜方法でフィルムを生産した際の、フィルムの厚みの安定性と取扱性を以下の基準により評価した。
〇:取扱い性が良好であり、厚みの安定性も良好(±5%以内)
×:柔軟すぎるため取扱いが困難であり、搬送中に伸縮し厚み精度不良
(±5%以上)
[エキスパンド性]
フィルムにアクリル系粘着剤を塗布した粘着フィルムを、ヒューグルエレクトロニクス社製のウェハ拡張装置「HS-1840」を用い、以下の条件により拡張することでエキスパンド性を確認した。
また、粘着フィルムにはサンプル中央に線を引き、そこからMD方向、TD方向に30mm間隔でさらに線を引くことで、30mm角のマス目を記載した。エキスパンド後、そのマス目の長さをMD方向で3点、TD方向で3点測定し、以下の計算式を用いて各点の拡張率を求め、MD方向、TD方向の平均値をエキスパンド性(%)の値として用いた。下記、エキスパンド条件にて110%以上拡張できたものをエキスパンド性が良好なものと判断した。

<エキスパンド条件>
リングサイズ:直径180mm
突き上げ量:50mm
突き上げ速度:6.2mm/sec
ステージ温度:60℃
<計算式>
Figure 2022093019000002
[実施例1]
表層用の樹脂としてランダムポリプロピレン、中間層用の樹脂として、ランダムポリプロピレン、低密度ポリエチレン、スチレン系エラストマー(B)およびスチレン系エラストマー(C)、裏層用の樹脂として低密度ポリエチレンを表1に記載の含有量で用い、前述した製膜方法にて3種3層からなる厚さ80μmのフィルムを得た。各層の厚みは、表層が4μm、中間層が68μm、裏層が8μmであり、各厚みの比率は、表層が5%、中間層が85%、裏層が10%であった。
該フィルムの製膜性は良好であり、厚みも大きく変化することがなく、フィルムを採取することが可能であった。また、フィルムも柔軟過ぎることがなく、取扱い性にも優れるものと判断した。
得られたフィルムの引張弾性率は270MPaであり、十分に取扱い性が可能な剛性を有していることが確認され、引張破断伸度は670%であり、スチレン系エラストマーとポリオレフィン系樹脂との相溶性の悪化に起因する破断伸度の低下も確認されなかった。
次に、アクリル系粘着剤をセパレータ上にコンマコート法にて、乾燥後の粘着剤層の厚みが25μmになるように塗工し、80℃の熱風乾燥機にて5分間乾燥させた後、粘着剤層を形成した。作成したセパレータの粘着剤層側の面を本フィルムの冷却ロール側の面に貼り合わせることで本発明のフィルムと粘着剤層とが積層された粘着フィルムを得た。
得られた粘着フィルムのセパレータを剥離し、前述したエキスパンド条件にてエキスパンド試験を行ったところ、エキスパンド性はMD方向の3点の平均値が123.3%、TD方向3点の平均値が123.3%を示し、110%以上拡張したことから、良好なエキスパンド性を有することが確認され、半導体工程用途に用いられた際のチップ間隔を十分なものとすることができると判断した。
[実施例2]
各層の厚みを、表層が4μm、中間層が60μm、裏層が16μmとし、各厚みの比率を、表層が5%、中間層が75%、裏層が20%とした以外は、実施例1と同様に行った。
該フィルムの製膜性は良好であり、厚みも大きく変化することがなく、フィルムを採取することが可能であった。また、フィルムも柔軟過ぎることがなく、取扱い性にも優れるものと判断した。
得られたフィルムの引張弾性率は260MPaであり、十分に取扱い性が可能な剛性を有していることが確認され、引張破断伸度は650%であり、スチレン系エラストマーとポリオレフィン系樹脂との相溶性の悪化に起因する破断伸度の低下も確認されなかった。
次に、アクリル系粘着剤をセパレータ上にコンマコート法にて、乾燥後の粘着剤層の厚みが25μmになるように塗工し、80℃の熱風乾燥機にて5分間乾燥させた後、粘着剤層を形成した。作成したセパレータの粘着剤層側の面を本フィルムの冷却ロール側の面に貼り合わせることで本発明のフィルムと粘着剤層とが積層された粘着フィルムを得た。
得られた粘着フィルムのセパレータを剥離し、前述したエキスパンド条件にてエキスパンド試験を行ったところ、エキスパンド性はMD方向の3点の平均値が120.0%、TD方向3点の平均値が121.7%を示し、110%以上拡張したことから、良好なエキスパンド性を有することが確認され、半導体工程用途に用いられた際のチップ間隔を十分なものとすることができると判断した。
[実施例3]
中間層用のスチレン系エラストマーとして、スチレン系エラストマー(C)およびスチレン系エラストマー(D)を用い、各種樹脂を表1に記載の含有量とした以外は、実施例2と同様に行った。
該フィルムの製膜性は良好であり、厚みも大きく変化することがなく、フィルムを採取することが可能であった。また、フィルムも柔軟過ぎることがなく、取扱い性にも優れるものと判断した。
得られたフィルムの引張弾性率は260MPaであり、十分に取扱い性が可能な剛性を有していることが確認され、引張破断伸度は640%であり、スチレン系エラストマーとポリオレフィン系樹脂との相溶性の悪化に起因する破断伸度の低下も確認されなかった。
次に、アクリル系粘着剤をセパレータ上にコンマコート法にて、乾燥後の粘着剤層の厚みが25μmになるように塗工し、80℃の熱風乾燥機にて5分間乾燥させた後、粘着剤層を形成した。作成したセパレータの粘着剤層側の面を本フィルムの冷却ロール側の面に貼り合わせることで本発明のフィルムと粘着剤層とが積層された粘着フィルムを得た。
得られた粘着フィルムのセパレータを剥離し、前述したエキスパンド条件にてエキスパンド試験を行ったところ、エキスパンド性はMD方向の3点の平均値が112.8%、TD方向3点の平均値が114.4%を示し、110%以上拡張したことから、良好なエキスパンド性を有することが確認され、半導体工程用途に用いられた際のチップ間隔を十分なものとすることができると判断した。
[実施例4]
中間層用のスチレン系エラストマーとして、スチレン系エラストマー(C)およびスチレン系エラストマー(D)を用い、各種樹脂を表1に記載の含有量とした以外は、実施例3と同様に行った。
該フィルムの製膜性は良好であり、厚みも大きく変化することがなく、フィルムを採取することが可能であった。また、フィルムも柔軟過ぎることがなく、取扱い性にも優れるものと判断した。
得られたフィルムの引張弾性率は210MPaであり、十分に取扱い性が可能な剛性を有していることが確認され、引張破断伸度は640%であり、スチレン系エラストマーとポリオレフィン系樹脂との相溶性の悪化に起因する破断伸度の低下も確認されなかった。
次に、アクリル系粘着剤をセパレータ上にコンマコート法にて、乾燥後の粘着剤層の厚みが25μmになるように塗工し、80℃の熱風乾燥機にて5分間乾燥させた後、粘着剤層を形成した。作成したセパレータの粘着剤層側の面を本フィルムの冷却ロール側の面に貼り合わせることで本発明のフィルムと粘着剤層とが積層された粘着フィルムを得た。
得られた粘着フィルムのセパレータを剥離し、前述したエキスパンド条件にてエキスパンド試験を行ったところ、エキスパンド性はMD方向の3点の平均値が113.3%、TD方向3点の平均値が114.4%を示し、110%以上拡張したことから、良好なエキスパンド性を有することが確認され、半導体工程用途に用いられた際のチップ間隔を十分なものとすることができると判断した。
[実施例5]
表層用の樹脂として、ホモポリプロピレン、中間層用の樹脂として、ホモポリプロピレン、低密度ポリエチレン、スチレン系エラストマー(B)およびスチレン系エラストマー(C)、裏層用の樹脂として低密度ポリエチレンを表1に記載の含有量で用い、前述した製膜方法にて3種3層からなる厚さ100μmのフィルムを得た。各層の厚みは、表層が10μm、中間層が80μm、裏層が10μmであり、各厚みの比率は、表層が10%、中間層が80%、裏層が10%であった。
該フィルムの製膜性は良好であり、厚みも大きく変化することがなく、フィルムを採取することが可能であった。また、フィルムも柔軟過ぎることがなく、取扱い性にも優れるものと判断した。
得られたフィルムの引張弾性率は310MPaであり、十分に取扱い性が可能な剛性を有していることが確認され、引張破断伸度は630%であり、スチレン系エラストマーとポリオレフィン系樹脂との相溶性の悪化に起因する破断伸度の低下も確認されなかった。
次に、アクリル系粘着剤をセパレータ上にコンマコート法にて、乾燥後の粘着剤層の厚みが25μmになるように塗工し、80℃の熱風乾燥機にて5分間乾燥させた後、粘着剤層を形成した。作成したセパレータの粘着剤層側の面を本フィルムの冷却ロール側の面に貼り合わせることで本発明のフィルムと粘着剤層とが積層された粘着フィルムを得た。
得られた粘着フィルムのセパレータを剥離し、前述したエキスパンド条件にてエキスパンド試験を行ったところ、エキスパンド性はMD方向の3点の平均値が115.6%、TD方向3点の平均値が114.4%を示し、110%以上拡張したことから、良好なエキスパンド性を有することが確認され、半導体工程用途に用いられた際のチップ間隔を十分なものとすることができると判断した。
[比較例1]
表層用の樹脂として、ホモポリプロピレンおよびオレフィン系エラストマー、中間層用の樹脂として、ホモポリプロピレン、オレフィン系エラストマーおよびスチレン系エラストマー(B)、裏層用の樹脂としてホモポリプロピレンおよびオレフィン系エラストマーを表1に記載の含有量で用い、前述した製膜方法にて2種3層からなる厚さ80μmのフィルムを得た。各層の厚みは、表層が4μm、中間層が72μm、裏層が4μmであり、各厚みの比率は、表層が5%、中間層が90%、裏層が5%であった。
該フィルムの製膜性は良好であり、厚みも大きく変化することがなく、フィルムを採取することが可能であった。また、フィルムも柔軟過ぎることがなく、取扱い性にも優れるものと判断した。
得られたフィルムの引張弾性率は330MPaであり、十分に取扱い性が可能な剛性を有していることが確認され、引張破断伸度は740%であり、スチレン系エラストマーとポリオレフィン系樹脂との相溶性の悪化に起因する破断伸度の低下も確認されなかった。
次に、アクリル系粘着剤をセパレータ上にコンマコート法にて、乾燥後の粘着剤層の厚みが25μmになるように塗工し、80℃の熱風乾燥機にて5分間乾燥させた後、粘着剤層を形成した。作成したセパレータの粘着剤層側の面を本フィルムの冷却ロール側の面に貼り合わせることで本発明のフィルムと粘着剤層とが積層された粘着フィルムを得た。
得られた粘着フィルムのセパレータを剥離し、前述したエキスパンド条件にてエキスパンド試験を行ったところ、エキスパンド性はMD方向の3点の平均値が105.0%、TD方向3点の平均値が103.9%を示した。
取扱い性には優れるものの、所定のスチレン系エラストマーの含有量が少なく、110%以上の拡張が認められなかったことから、エキスパンド性に劣り、半導体工程用途に用いられた際に十分なチップ間隔を確保できないものであると判断した。
[比較例2]
表層用の樹脂としてランダムポリプロピレン、中間層用の樹脂として、ランダムポリプロピレン、低密度ポリエチレン、スチレン系エラストマー(A)、裏層用の樹脂として低密度ポリエチレンを表1に記載の含有量で用い、前述した製膜方法にて3種3層からなる厚さ80μmのフィルムの作成を実施した。
各層の厚みは、表層が4μm、中間層が68μm、裏層が8μm、各厚みの比率は、表層が5%、中間層が85%、裏層が10%となるよう設定したものの、スチレン成分の少ないスチレン系エラストマー(A)の影響により、フィルムが柔軟になり過ぎたことから、製膜時の張力の影響によるフィルムの伸長が観察され、MD方向の厚みの振れが±5%を超えたことから、安定した厚みのフィルムを採取することが困難であった。
[比較例3]
各層の厚みを、表層が16μm、中間層が48μm、裏層が16μmとし、各厚みの比率を、表層が20%、中間層が60%、裏層が20%とした以外は、実施例3と同様に行った。
該フィルムの製膜性は良好であり、厚みも大きく変化することがなく、フィルムを採取することが可能であった。また、フィルムも柔軟過ぎることがなく、取扱い性にも優れるものと判断した。
得られたフィルムの引張弾性率は300MPaであり、十分に取扱い性が可能な剛性を有していることが確認され、引張破断伸度は650%であり、スチレン系エラストマーとポリオレフィン系樹脂との相溶性の悪化に起因する破断伸度の低下も確認されなかった。
次に、アクリル系粘着剤をセパレータ上にコンマコート法にて、乾燥後の粘着剤層の厚みが25μmになるように塗工し、80℃の熱風乾燥機にて5分間乾燥させた後、粘着剤層を形成した。作成したセパレータの粘着剤層側の面を本フィルムの冷却ロール側の面に貼り合わせることで本発明のフィルムと粘着剤層とが積層された粘着フィルムを得た。
得られた粘着フィルムのセパレータを剥離し、前述したエキスパンド条件Aにてエキスパンド試験を行ったところ、エキスパンド性はMD方向の3点の平均値が106.1%、TD方向3点の平均値が107.2%を示した。
取扱い性に優れ、所定のスチレン系エラストマーを所定の量添加されていたものの、エラストマー層の厚みが不足し、110%以上の拡張が認められなかったことから、エキスパンド性に劣り、半導体工程用途に用いられた際に十分なチップ間隔を確保できないものであると判断した。
Figure 2022093019000003
[産業上の利用可能性]
本発明により、樹脂をフィルム状に成形する際の製膜性に優れ、且つ得られたフィルムのエキスパンド性にも優れたフィルムを提供することが可能となる。また、エキスパンド性に優れ、チップ同士の間隔を十分に確保することの可能な半導体製造工程用粘着フィルムを提供することが可能となる。

Claims (6)

  1. 少なくとも2つ以上の層を有する複層フィルムであって、
    少なくとも1つの層は、ポリオレフィン系樹脂及びスチレン系エラストマーを含有するエラストマー層であり、
    前記スチレン系エラストマーは、スチレン成分含有率が20質量%以上60質量%以下であり、
    前記エラストマー層を構成する樹脂の総量を100質量%とした際の、前記スチレン系エラストマーの含有量が60質量%以上であり、かつ、複層フィルムの総厚みにおける前記エラストマー層の厚み割合が70%以上である、
    複層フィルム。
  2. 総厚みが150μm以下である請求項1に記載の複層フィルム。
  3. ポリオレフィン系樹脂が、ポリプロピレン系樹脂及び/又はポリエチレン系樹脂である請求項1又は2に記載の複層フィルム。
  4. 前記エラストマー層がフィルムの中間に位置する層に用いられる請求項1~3のいずれか1項に記載の複層フィルム
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の複層フィルムの少なくとも片方の面に粘着層を設けてなる粘着フィルム。
  6. 半導体製造工程に用いられる請求項5に記載の半導体製造工程用粘着フィルム。
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