JP2022091574A - 水洗大便器 - Google Patents

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祐紀 吾郷
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【課題】水位検知センサなどによらず、洗浄水タンク内の洗浄水の有無を検知すること。洗浄水タンク内の洗浄水の有無の検知を精度よく行うこと。【解決手段】実施形態に係る水洗大便器は、洗浄水によって洗浄される水洗大便器であって、便器本体と、洗浄水タンクと、ポンプと、制御部と、回転数検知手段と、電流値検知手段とを備える。洗浄水タンクは、洗浄水を貯留する。ポンプは、洗浄水タンクに貯留された洗浄水を便器本体に供給する。制御部は、ポンプの駆動を制御する。回転数検知手段は、ポンプの回転数を測定する。電流値検知手段は、ポンプに流れる電流値を測定する。制御部は、回転数検知手段によって測定された回転数に基づいて洗浄水タンク内の洗浄水の有無を判定する第1判定と、電流値検知手段によって測定された電流値に基づいて洗浄水タンク内の洗浄水の有無を判定する第2判定とを有する水あり/水なし検知を行う。【選択図】図5

Description

開示の実施形態は、水洗大便器に関する。
従来、洗浄水によって便器本体を洗浄する水洗大便器には、洗浄水タンクに貯留された洗浄水を便器本体に供給するポンプを備えるものが知られている。このような水洗大便器では、洗浄水タンク内に洗浄水がない状態でポンプを駆動すると、たとえば、ポンプの封止構造(メカニカルシール)が破損して漏水するなど、ポンプ性能に悪影響を与えるおそれがある。
このため、たとえば、洗浄水タンク内の上方および下方に洗浄水タンク内の水位を検知するためのフロートスイッチを備え、洗浄水タンク内の下方のフロートスイッチが所定水位を検知した場合にはポンプを停止するものがある(たとえば、特許文献1参照)。
また、たとえば、洗浄水タンク内に洗浄水がある場合と洗浄水がない場合とでポンプが受ける水の抵抗が変化するため、ポンプに流れる電流値に差異が生じ、このような電流値の差異によって洗浄水タンク内に洗浄水がないと判定された場合にはポンプを停止するものがある(たとえば、特許文献2参照)。
特開2009-2075号公報 特開2001-342989号公報
しかしながら、上記したような従来技術のうち、上方および下方のフロートスイッチを用いたものは、水位検知センサであるフロートスイッチが2つあるため、コスト面や洗浄水タンクの小型化の面から好ましくない。
また、ポンプ特性による電流値の差異を利用したものは、ポンプ駆動時の洗浄水タンク内の水量、モータ温度などの外乱、ポンプ特性の個体間のばらつきなどによって、洗浄水タンク内の洗浄水の有無を誤検知するおそれがある。また、洗浄水タンク内の洗浄水がなくなるタイミングにも様々あるため、洗浄水タンク内の洗浄水の有無の検知を精度よく行うためには、これらに対応する必要がある。
実施形態の一態様は、水位検知センサなどによらず、洗浄水タンク内の洗浄水の有無を検知することができ、また、洗浄水タンク内の洗浄水の有無の検知を精度よく行うことができる水洗大便器を提供することを目的とする。
実施形態の一態様に係る水洗大便器は、洗浄水によって洗浄される水洗大便器であって、便器本体と、洗浄水を貯留する洗浄水タンクと、前記洗浄水タンクに貯留された洗浄水を前記便器本体に供給するポンプと、前記ポンプの駆動を制御する制御部と、前記ポンプの回転数を測定する回転数検知手段と、前記ポンプに流れる電流値を測定する電流値検知手段とを備え、前記制御部は、前記回転数検知手段によって測定された前記回転数に基づいて前記洗浄水タンク内の洗浄水の有無を判定する第1判定と、前記電流値検知手段によって測定された前記電流値に基づいて前記洗浄水タンク内の洗浄水の有無を判定する第2判定とを有する水あり/水なし検知を行うことを特徴とする。
このような構成によれば、ポンプ回転数およびポンプ電流値によって洗浄水タンク内の洗浄水の有無を判定することができるため、水位検知センサなどによらず、洗浄水タンク内の洗浄水の有無の検知(水あり/水なし検知)を行うことができる。この場合、ポンプ回転数およびポンプ電流値のそれぞれに基づいて、水あり/水なし検知を精度よく行うことができる。具体的には、洗浄水タンク内に洗浄水がない場合、ポンプの回転負荷が小さいため、ポンプ回転数が洗浄水タンク内に洗浄水がある場合と比べて高い状態となり、ポンプ電流値が洗浄水タンク内に洗浄水がある場合と比べて低い状態となる。これら2つの状態を検知することで、水あり/水なし検知を精度よく行うことができる。
また、上記した水洗大便器では、前記制御部は、前記第1判定では、前記ポンプの起動時から前記回転数が所定の目標回転数に到達するまでの時間が所定時間よりも長い場合には前記洗浄水タンク内に洗浄水がないと判定し、前記第2判定では、前記第1判定の後、前記電流値が所定の電流値よりも低い場合には前記洗浄水タンク内に洗浄水がないと判定することを特徴とする。
このような構成によれば、第1判定を行い、第1判定を行った後に第2判定を行うことで、第1判定において洗浄水がない場合には、ポンプ回転数が(ポンプの回転負荷が小さいため)オーバーシュートして所定の目標回転数に到達するまでの時間が洗浄水がある場合よりも長くなる。また、第1判定の後の第2判定において洗浄水がない場合には、所定の目標回転数を維持するために流すポンプ電流値が(ポンプの回転負荷が小さいため)洗浄水がある場合よりも小さくなる。このため、第1判定時には洗浄水がある状態から第2判定時には洗浄水がなくなった場合も検知することができ、水あり/水なし検知を精度よく行うことができる。
また、上記した水洗大便器では、前記所定時間は、前記洗浄水タンク内に洗浄水がある場合に前記ポンプの回転数が前記所定の目標回転数に到達するまでの時間であり、前記所定の電流値は、前記洗浄水タンク内に洗浄水がある場合に前記ポンプに流れる電流値であることを特徴とする。
このような構成によれば、洗浄水がある場合のポンプ回転数の所定の目標到達時間と比較することで、洗浄水タンク内の洗浄水の有無を判定することができ、また、洗浄水がある場合のポンプ電流値と比較することで、洗浄水タンク内の洗浄水の有無を判定することができる。
また、上記した水洗大便器では、前記制御部は、前記第1判定または前記第2判定において前記洗浄水タンク内に洗浄水がないと判定した場合に前記ポンプを停止することを特徴とする。
このような構成によれば、洗浄水がないと判定した場合には即座にポンプを停止するため、ポンプの空運転の時間を最小限に抑えることができ、ポンプの空運転によってポンプ性能に悪影響を与えるのを抑制することができる。
実施形態の一態様によれば、水位検知センサなどによらず、洗浄水タンク内の洗浄水の有無を検知することができ、また、洗浄水タンク内の洗浄水の有無の検知を精度よく行うことができる。
図1は、実施形態に係る水洗大便器の構成の概要を示す図である。 図2は、水洗大便器の全体構成を示す図である。 図3Aは、水あり/水なしの場合のポンプ回転数を示す図である。 図3Bは、図3AにおけるA部拡大図である。 図4は、水あり/水なしの場合のポンプ電流値を示す図である。 図5は、水あり/水なし検知制御の処理手順を示すフローチャートである。
以下、添付図面を参照して、本願の開示する水洗大便器の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
まず、図1を参照して、実施形態に係る水洗大便器1の構成の概要について説明する。図1は、実施形態に係る水洗大便器1の構成の概要を示す図である。なお、図1においては、水洗大便器1を模式的に示している。
図1に示すように、水洗大便器1は、便器本体10と、洗浄水タンク20と、給水部40と、ポンプ50と、制御部60とを備える。
便器本体10は、リム吐水部15と、リム導水路16とを備える。リム吐水部15は、たとえば、ボウル部11(図2参照)へ洗浄水を吐水する吐水口である。リム導水路16は、リム吐水部15へ洗浄水を流通させる流路である。
洗浄水タンク20は、洗浄水を貯留する。洗浄水タンク20は、たとえば、給水源から給水路41を介して供給される洗浄水を貯留する。また、洗浄水タンク20内には、水位検知センサ30が設けられる。水位検知センサ30は、洗浄水タンク20に貯留される洗浄水の水位を検出する。
給水部40は、たとえば、給水路41に設けられる開閉弁である。給水部40は、洗浄水タンク20の水位に応じて、後述するポンプ50の駆動中に給水路41を開閉する。給水部40は、たとえば、洗浄水タンク20の水位が満水水位W0を下回った場合、すなわち、便器洗浄が開始してポンプ50が駆動する場合に開弁して、洗浄水を洗浄水タンク20へ供給する。給水部40は、洗浄水タンク20の水位が満水水位W0になると閉弁して、洗浄水タンク20への洗浄水の供給を停止する。
このように、水洗大便器1は、便器洗浄中(ポンプ50の駆動中)に、給水源から洗浄水タンク20に対して給水を行うとともに、洗浄水を補給するように構成される。これにより、洗浄水を補給しながら、便器洗浄を行うことができるため、洗浄水タンク20の容積を小さくすることができ、小型化を図ることができる。
ポンプ50は、洗浄水タンク20の洗浄水を加圧する。具体的には、ポンプ50は、洗浄水タンク20に貯留された洗浄水を、洗浄水タンク20内に配置された吸入口51aから吸入流路51を介して吸入して加圧する。ポンプ50は、加圧した洗浄水を吐出流路52を介してリム導水路16へ吐出する。
制御部60は、ポンプ50の駆動を制御する。制御部60は、ポンプ50の駆動を制御して便器本体10へ洗浄水を供給する。すなわち、制御部60は、ポンプ50の駆動を制御して便器洗浄を行う。
また、水洗大便器1は、回転数検知手段71と、電流値検知手段72とを備える。回転数検知手段71は、ポンプ50の回転数を測定する。電流値検知手段72は、ポンプ50の駆動中、ポンプ50に流れる電流値を測定する。
ところで、このような、ポンプ50によって加圧した洗浄水を供給する水洗大便器1の場合、洗浄水タンク20内に洗浄水がない状態でポンプ50を駆動すると、すなわち、ポンプ50を空運転すると、上記したように、たとえば、ポンプ50の封止構造(メカニカルシール)が破損して漏水するなど、ポンプ性能に悪影響を与えるおそれがある。
このため、本実施形態では、制御部60は、洗浄水タンク20内の洗浄水の有無の検知(以下、「水あり/水なし検知」という)を行う。また、水あり/水なし検知においては、制御部60が実行する、回転数検知手段71を用いた第1判定と、電流値検知手段72を用いた第2判定とを有する。
制御部60は、第1判定において、回転数検知手段71によって測定されたポンプ50の回転数(以下、「ポンプ回転数」という)に基づいて、洗浄水タンク20内の洗浄水の有無を判定する。また、制御部60は、第2判定において、電流値検知手段72によって測定されたポンプ50に流れる電流値(以下、「ポンプ電流値」という)に基づいて、洗浄水タンク20内の洗浄水の有無を判定する。
次に、図2を参照して、水洗大便器1の全体構成について詳細に説明する。図2は、水洗大便器1の全体構成を示す図である。なお、図2においても、図1と同様、水洗大便器1を模式的に示している。
図2に示すように、水洗大便器1の便器本体10は、たとえば、陶器で形成される。便器本体10は、ボウル部11と、排水トラップ管路12とを備える。なお、図2においては、図示の簡略化のため、便器本体10が備える便座や便座を覆う便蓋などの一部の部材の図示を省略している。また、図2においては、床置き式の便器本体10を例示しているが、これに限定されず、たとえば、壁掛け式でもよい。
ボウル部11は、上記したリム導水路16に接続されるとともに、汚物を受けることが可能なボウル状に形成される。ボウル部11は、汚物を受ける汚物受け面11aと、汚物受け面11aの上縁に形成されるリム部14と、上記したリム吐水部15とを備える。
リム吐水部15は、リム部14の内周面14aに開口され、上記したリム導水路16に接続される。これにより、リム吐水部15は、リム導水路16から供給された洗浄水をボウル部11の汚物受け面11aへ吐水して汚物受け面11aにおいて旋回流を生じさせる。なお、以下では、リム吐水部15から洗浄水が吐出されることを「リム吐水」という場合がある。
排水トラップ管路12は、入口部12aと、トラップ上昇部12bと、トラップ下降部12cとを備える。入口部12aは、汚物受け面11aの底部に対して連続するように設けられる。入口部12aは、ボウル部11からの洗浄水を排水トラップ管路12へ流入させる。トラップ上昇部12bは、入口部12aから斜め上方へ向けて延びるように形成される。トラップ下降部12cは、トラップ上昇部12bから下方へ向けて延びるように形成される。
また、トラップ下降部12cの下端には、排水管17が接続される。水洗大便器1においては、便器洗浄を行う場合、ボウル部11の洗浄水は、排水トラップ管路12の入口部12a、トラップ上昇部12bおよびトラップ下降部12cを介して排水管17へと排水される。
また、水洗大便器1においては、便器洗浄を行った後、排水トラップ管路12およびボウル部11には、洗浄水が溜まる。なお、排水トラップ管路12などに溜まった洗浄水を「溜水」という。このように、排水トラップ管路12などが溜水で満たされることで、溜水が封水として機能し、排水管17からの臭気などがボウル部11側へ逆流することを防止する。
ここで、洗浄水タンク20内に配置される水位検知センサ30の一例について説明する。水位検知センサ30は、たとえば、第1フロートスイッチ31と、第2フロートスイッチ32とを有する。
第1フロートスイッチ31は、洗浄水タンク20内において満水水位W0の位置に配置され、洗浄水タンク20内の水位が満水水位W0である場合に、水位が満水水位W0であることを示す満水信号を制御部60へ出力する。なお、満水水位W0は、便器洗浄前の初期水位であるが、初期水位が満水水位W0に限定されるものではない。
第2フロートスイッチ32は、洗浄水タンク20内において所定水位W1の位置に配置され、水位が所定水位W1である場合に、水位が所定水位W1であることを示す水位信号を制御部60へ出力する。
所定水位W1は、たとえば、便器洗浄時にポンプ50の回転を低下させる場合の閾値となる水位である。所定水位W1は、たとえば、ポンプ50の吸入口51aよりも上方の水位に設定される。
制御部60は、CPU(Central Processing Unit)などの図示しない演算処理装置や、RAM(Random Access Memory)などの図示しない記憶装置を備える。また、制御部60は、第1フロートスイッチ31、第2フロートスイッチ32、回転数検知手段71および電流値検知手段72などから入力される信号などに基づいて、ポンプ50を制御する。
なお、制御部60は、たとえば、ポンプ50を制御して便器洗浄を行う。このとき、制御部60は、第1フロートスイッチ31から満水信号が入力された状態で、便器洗浄が開始されるものとする。
ポンプ50は、たとえば、DCモータ(図示せず)を駆動源に有するDCポンプである。このため、ポンプ50の回転数(ポンプ回転数)を測定する回転数検知手段71は、たとえば、DCモータの回転数を測定する。回転数検知手段71は、たとえば、電磁ピックアップや光電センサなどの回転数検知センサであり、検知信号がパルス信号に変換されて回転数を測定する。
また、ポンプ50に流れる電流値(ポンプ電流値)を測定する電流値検知手段72は、たとえば、DCモータの巻線電流の電流値を測定する。電流値検知手段72は、たとえば、電流検出回路によって構成される。
ここで、制御部60は、洗浄水タンク20内に洗浄水がない場合にポンプ50を駆動することを避けるために、洗浄水タンク20内の洗浄水の有無の検知(水あり/水なし検知)を行う。また、制御部60は、水あり/水なし検知を実行する場合に、第1判定や第2判定を行う。第1判定では、ポンプ回転数に基づいて、洗浄水タンク20内の洗浄水の有無を判定する。第2判定では、ポンプ電流値に基づいて、洗浄水タンク20内の洗浄水の有無を判定する。
図3Aは、水あり/水なしの場合のポンプ回転数を示す図である。図3Bは、図3AにおけるA部拡大図である。洗浄水タンク20(図2参照)内に洗浄水があること(水あり)を想定したポンプ回転数制御の場合、図3Aに示すように、水あり水なしに関係なく、指定時間までポンプ50(図2参照)が回転し続ける。図示の例では、ポンプ50は、回転開始から回転終了までの約5秒間、最終的に約2800rpmを維持するように回転し続ける。
図3Aおよび図3Bに示すように、洗浄水タンク20内に洗浄水がある場合(以下、水ありの場合という)、ポンプ50の回転初期において、ポンプ回転数が予め設定された所定の目標回転数L(たとえば、約3900rpm)まで上昇する。なお、水ありの場合は、ポンプ50が回転するときの洗浄水による抵抗が後述する水なしの場合に比べて大きい。
一方で、洗浄水タンク20内に洗浄水がない場合(以下、水なしの場合という)、ポンプ50が回転するときの洗浄水による抵抗が小さいことから、ポンプ50の回転初期において、ポンプ回転数が所定の目標回転数Lを大きく上回る。すなわち、ポンプ50の回転初期において、ポンプ回転数がオーバーシュートする。
水ありの場合と水なしの場合とでポンプ回転数が所定の目標回転数Lに到達する時間を比較すると、水なしの場合にはポンプ回転数がオーバーシュートするため、水なしの場合の到達時間t2の方が水ありの場合の到達時間t1よりも長く(遅く)なる(t1<t2)。
このように、第1判定では、ポンプ回転数の所定の目標回転数Lまで到達する時間の長短(到達時間t1,t2)によって、洗浄水タンク20内の洗浄水の有無を判定する。
また、第1判定では、ポンプ50の回転初期のポンプ回転数で洗浄水の有無を判定している。たとえば、ポンプ50が回転してから水ありと判定した直後に水なしになった場合は、指定時間が経過するまでポンプ50が回転する。すなわち、指定時間が経過する以外にポンプ50を停止させることができない。このため、本実施形態では、第1判定の後にポンプ電流値で洗浄水の有無を判定する第2判定を行う。
図4は、水あり/水なしの場合のポンプ電流値を示す図である。なお、図4には、図中、右側に水ありの場合のポンプ電流値を示し、左側に水なしの場合のポンプ電流値を示している。また、図4においては、縦方向は電流値(A)であり、横方向は時間(秒)である。また、図4中のB部は、図3AにおけるB部に相当するタイミングである。
図4に示すように、水ありの場合、ポンプ50が回転するときの洗浄水による抵抗が大きいことから、ポンプ50が回転するための電流値は大きくなる。一方で、水なしの場合、ポンプ50が回転するときの洗浄水による抵抗が小さいことから、ポンプ50が回転するための電流値は小さくなる。図示の例では、図中のB部おいて、水ありの場合と水なしの場合とで差dがある。
このように、第2判定では、ポンプ電流値の高低によって、洗浄水タンク20内の洗浄水の有無を判定する。
次に、図5を参照して、制御部60(図2参照)による水あり/水なし検知制御の処理手順の一例について説明する。図5は、水あり/水なし検知制御の処理手順を示すフローチャートである。
図5に示すように、水あり/水なし検知制御では、制御部60は、便器洗浄が開始してポンプ50の回転が開始すると(ステップS101)、第1判定を行う。すなわち、制御部60は、ポンプ50の回転初期において、ポンプ回転数が所定の目標回転数まで到達する時間が所定時間よりも長いか否かを判定する(ステップS102)。なお、制御部60は、ステップS102における判定を、たとえば、判定部(図示せず)で行う。また、所定時間とは、水ありの場合の到達時間t1である。
次いで、制御部60は、ステップS102の処理においてポンプ回転数の到達時間t2が所定時間よりも長いと判定した場合(ステップS102:Yes)、水なしと判定する(ステップS103)。そして、制御部60は、水なしと判定すると、すなわち、水なしを検知すると、ポンプ50を停止し(ステップS104)、水あり/水なし検知制御を終了する。
また、制御部60は、ステップS102の処理においてポンプ回転数の到達時間t2が所定時間よりも短いと判定した場合(ステップS102:No)、第2判定を行う。すなわち、制御部60は、ポンプ電流値が所定の電流値よりも低いか否かを判定する(ステップS105)。なお、制御部60は、ステップS105における判定を、ステップS102の場合と同様、たとえば、判定部で行う。また、所定の電流値とは、水ありの場合にポンプ50に流れる電流値である。
次いで、制御部60は、ステップS105の処理においてポンプ電流値が所定の電流値よりも低いと判定した場合(ステップS105:Yes)、水なしと判定する(ステップS106)。そして、制御部60は、水なしと判定すると、すなわち、水なしを検知すると、ポンプ50を停止し(ステップS104)、水あり/水なし検知制御を終了する。
なお、制御部60は、ステップS105の処理においてポンプ電流値が所定の電流値よりも高いと判定した場合(ステップS105:No)、水ありと判定する。また、制御部60において水ありと判定した場合、ポンプ50は、指定時間が経過するまで引き続き回転する。
以上説明したように、実施形態に係る水洗大便器1によれば、ポンプ回転数およびポンプ電流値によって洗浄水タンク20内の洗浄水の有無を判定することができるため、水位検知センサなどによらず、水あり/水なし検知を行うことができる。この場合、ポンプ回転数およびポンプ電流値のそれぞれに基づいて、水あり/水なし検知を精度よく行うことができる。すなわち、水なしの場合、ポンプ50の回転負荷が小さいため、ポンプ回転数が水ありの場合と比べて高い状態となり、ポンプ電流値が水ありの場合と比べて低い状態となる。これら2つの状態を検知することで、水あり/水なし検知を精度よく行うことができる。
また、第1判定を行い、第1判定を行った後に第2判定を行うことで、第1判定において水なしの場合には、ポンプ回転数がオーバーシュートして所定の目標回転数に到達するまでの時間が水ありの場合よりも長くなる。また、第1判定の後の第2判定において水ありの場合には、所定の目標回転数を維持するために流すポンプ電流値が水ありの場合よりも小さくなる。このため、第1判定時には洗浄水がある状態から第2判定時には洗浄水がなくなった場合も検知することができ、水あり/水なし検知を精度よく行うことができる。
この場合、水ありの場合のポンプ回転数の所定の目標到達時間と比較することで、洗浄水タンク20内の洗浄水の有無を判定することができ、また、水ありの場合のポンプ電流値と比較することで、洗浄水タンク20内の洗浄水の有無を判定することができる。
また、制御部60において水なしと判定した場合には即座にポンプ50を停止するため、ポンプ50の空運転の時間を最小限に抑えることができ、ポンプ50の空運転によってポンプ性能に悪影響を与えるのを抑制することができる。
なお、上記した実施形態では、制御部60は、水あり/水なし検知制御において、第1判定を行い、第1判定で水なしと判定した場合に第2判定を行うが、これに限定されず、制御部60は、第1判定および第2判定のいずれか一方のみを行うようにしてもよい。このように構成することで、水位検知センサなどによらず、水あり/水なし検知を行うことができる。
また、制御部60は、第1判定および第2判定の両方を行うようにしてもよい。すなわち、第1判定で水ありと判定しても、第2判定を行うようにしてもよい。このように構成することで、ポンプ回転数およびポンプ電流値のそれぞれに基づいて、水あり/水なし検知を精度よく行うことができる。
また、上記した実施形態では、ポンプ50によって加圧した洗浄水を、便器本体10のリム吐水部15へ供給して便器洗浄を行う、いわゆるフルポンプ式の水洗大便器であるが、これに限定されず、たとえば、ジェット吐水部をさらに備え、ジェット吐水部からの吐水によってサイホン作用を発生させる、いわゆるハイブリッド式の水洗大便器でもよい。
この場合、たとえば、ポンプ50の下流に切替弁を設け、制御部60によって切替弁を制御することで、ポンプ50で加圧された洗浄水を、リム吐水部15に通じるリム導水路16へ供給するか、ジェット吐水部に通じるジェット導水路へ供給するかを選択することができる。
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
1 水洗大便器
10 便器本体
20 洗浄水タンク
50 ポンプ
60 制御部
71 回転数検知手段
72 電流値検知手段
L 所定の目標回転数
t1 到達時間
t2 到達時間

Claims (4)

  1. 洗浄水によって洗浄される水洗大便器であって、
    便器本体と、
    洗浄水を貯留する洗浄水タンクと、
    前記洗浄水タンクに貯留された洗浄水を前記便器本体に供給するポンプと、
    前記ポンプの駆動を制御する制御部と、
    前記ポンプの回転数を測定する回転数検知手段と、
    前記ポンプに流れる電流値を測定する電流値検知手段と
    を備え、
    前記制御部は、前記回転数検知手段によって測定された前記回転数に基づいて前記洗浄水タンク内の洗浄水の有無を判定する第1判定と、前記電流値検知手段によって測定された前記電流値に基づいて前記洗浄水タンク内の洗浄水の有無を判定する第2判定とを有する水あり/水なし検知を行うこと
    を特徴とする水洗大便器。
  2. 前記制御部は、前記第1判定では、前記ポンプの起動時から前記回転数が所定の目標回転数に到達するまでの時間が所定時間よりも長い場合には前記洗浄水タンク内に洗浄水がないと判定し、前記第2判定では、前記第1判定の後、前記電流値が所定の電流値よりも低い場合には前記洗浄水タンク内に洗浄水がないと判定すること
    を特徴とする請求項1に記載の水洗大便器。
  3. 前記所定時間は、前記洗浄水タンク内に洗浄水がある場合に前記ポンプの回転数が前記所定の目標回転数に到達するまでの時間であり、
    前記所定の電流値は、前記洗浄水タンク内に洗浄水がある場合に前記ポンプに流れる電流値であること
    を特徴とする請求項2に記載の水洗大便器。
  4. 前記制御部は、前記第1判定または前記第2判定において前記洗浄水タンク内に洗浄水がないと判定した場合に前記ポンプを停止すること
    を特徴とする請求項1~3のいずれか一つに記載の水洗大便器。
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