JP2022090448A - 1液形金属用下塗り塗料組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】幅広い下地に適用でき、幅広い上塗り塗料組成物を適用でき、防錆性にも優れ、常温乾燥および焼付乾燥にも対応できる1液形金属用下塗り塗料組成物を提供する。【解決手段】エポキシ樹脂と、イソシアネート樹脂と、防錆顔料と、有機溶剤とを含み、エポキシ樹脂の水酸基と、イソシアネート樹脂のイソシアネート基の当量比(NCO基/OH基)は、0.02~0.12であり、防錆顔料の含有量(A)とエポキシ樹脂の含有量(B)との質量比(A/B)は、0.05~0.3である、1液形金属用下塗り塗料組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、1液形金属用下塗り塗料組成物に関する。より詳細には、本発明は、幅広い下地に適用でき、幅広い上塗り塗料組成物を適用でき、防錆性にも優れ、常温乾燥および焼付乾燥にも対応できる1液形金属用下塗り塗料組成物に関する。
従来、金属材料に適用される下塗り塗料が開発されている(特許文献1~3)。これらの塗料組成物は、金属に対して塗工され、乾燥されて塗膜が形成される。また、これらの塗料組成物は、耐食性を得るために、防錆剤が多く配合される。
特開2017-179261号公報 特開2012-12497号公報 特開平3-66766号公報
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の下塗り塗料組成物は、塗膜の乾燥工程で焼付乾燥が必要であり、塗装品の生産性が劣る。また、特許文献1に記載の下塗り塗料は、高い防錆性を得るために多量の防錆顔料を必要とする。また、特許文献3に記載の防錆塗料は、上塗り塗料組成物が粉体塗料に限定される。そのため、特許文献3に記載の防錆塗料は、塗装時に粉体塗料に適した設備が必要となる。
本発明は、このような従来の課題に鑑みてなされたものであり、幅広い下地に適用でき、幅広い上塗り塗料組成物を適用でき、防錆性にも優れ、常温乾燥および焼付乾燥にも対応できる1液形金属用下塗り塗料組成物を提供することを目的とする。
上記課題を解決する本発明の1液形金属用下塗り塗料組成物には、以下の構成が主に含まれる。
(1)エポキシ樹脂と、イソシアネート樹脂と、防錆顔料と、有機溶剤とを含み、前記エポキシ樹脂の水酸基と、前記イソシアネート樹脂のイソシアネート基の当量比(NCO基/OH基)は、0.02~0.12であり、前記防錆顔料の含有量(A)と前記エポキシ樹脂の含有量(B)との質量比(A/B)は、0.05~0.3である、1液形金属用下塗り塗料組成物。
このような構成によれば、1液形金属用下塗り塗料組成物は、下地となる種々の金属基材との付着性が優れる。また、1液形金属用下塗り塗料組成物は、粉体塗料だけでなく、種々の上塗り塗料組成物との付着性も優れる。さらに、塗膜の乾燥条件は、0~40℃といった常温を含む乾燥温度でも乾燥でき、かつ、焼付乾燥も可能である。得られる塗装品は、防錆性にも優れ、耐久性が優れる。
(2)前記防錆顔料は、亜鉛またはカルシウムの少なくとも1種の金属元素を含むリン酸塩または亜リン酸塩を含む、(1)記載の1液形金属用下塗り塗料組成物。
このような構成によれば、1液形金属用下塗り塗料組成物は、得られる塗装品の防錆性がより優れ、耐久性を向上させることができる。
(3)前記有機溶剤は、含酸素有機溶剤を含み、前記含酸素有機溶剤は、基準となる酢酸ブチルの蒸発速度を1としたときの相対蒸発速度が0.5以上であり、前記含酸素有機溶剤の含有量は、前記有機溶剤中、10質量%以上である、(1)または(2)記載の1液形金属用下塗り塗料。
このような構成によれば、1液形金属用下塗り塗料組成物は、樹脂成分を溶解させやすい。また、1液形金属用下塗り塗料組成物は、金属基材に塗布して乾燥する際に、0~40℃といった常温を含む乾燥温度や、120~200℃といった焼付温度でも乾燥させやすく、汎用性が高い。
(4)顔料体積濃度(PVC)が25~35%である、(1)~(3)のいずれかに記載の1液形金属用下塗り塗料組成物。
このような構成によれば、1液形金属用下塗り塗料組成物は、金属基材に塗布して乾燥し、その後、さらに上塗り塗料組成物を塗布する場合であっても、上塗り塗料組成物の光沢を損ないにくい。
(5)(1)~(4)のいずれかに記載の1液形金属用下塗り塗料組成物を金属基材に塗布する下塗り工程と、塗布した前記1液形金属用下塗り塗料組成物を0~40℃で乾燥する下塗り乾燥工程と、を含む、塗装品の製造方法。
このような構成によれば、塗装品の製造方法は、上記した1液形金属用下塗り塗料組成物が用いられることにより、金属基材に塗布して乾燥する際に、0~40℃といった常温を含む乾燥温度を採用されても、付着性の優れた塗膜を形成することができる。そのため、塗装品の製造方法は、乾燥工程において、乾燥炉等の設備が必須でなく、塗装品の生産性が向上する。
(6)前記下塗り乾燥工程の後に、上塗り塗料組成物を塗布する上塗り工程と、塗布した前記上塗り塗料組成物を0~40℃で乾燥する上塗り乾燥工程と、を含む、(5)記載の塗装品の製造方法。
このような構成によれば、塗装品の製造方法は、下塗り層だけでなく、上塗り層を設ける際も、0~40℃といった常温を含む乾燥温度を採用している。そのため、塗装品の製造方法は、下塗り層だけでなく上塗り層の乾燥工程においても、乾燥炉等の設備が必須でなく、塗装品の生産性が向上する。
(7)前記下塗り乾燥工程の後に、上塗り塗料組成物を塗布する上塗り工程と、塗布した前記上塗り塗料組成物を120~200℃で5~60分間焼付乾燥する焼付乾燥工程と、を含む、(5)記載の塗装品の製造方法。
このような構成によれば、塗装品の製造方法は、120~200℃といった焼付温度で上塗り塗料組成物を乾燥させて、上塗り層を形成する。そのため、得られる塗装品は、焼付乾燥工程により、塗膜中の樹脂の反応がより促進され、塗膜性能がより向上する。
本発明によれば、幅広い下地に適用でき、幅広い上塗り塗料組成物を適用でき、防錆性にも優れ、常温乾燥および焼付乾燥にも対応できる1液形金属用下塗り塗料組成物を提供することができる。
<1液形金属用下塗り塗料組成物>
本発明の一実施形態の1液形金属用下塗り塗料組成物(以下、単に下塗り塗料組成物ともいう)は、エポキシ樹脂と、イソシアネート樹脂と、防錆顔料と、有機溶剤とを含む。エポキシ樹脂の水酸基と、イソシアネート樹脂のイソシアネート基の当量比(NCO基/OH基)は、0.02~0.12である。防錆顔料の含有量(A)とエポキシ樹脂の含有量(B)との質量比(A/B)は、0.05~0.3である。以下、それぞれについて説明する。
(エポキシ樹脂)
エポキシ樹脂は、種々の条件で乾燥させることで、硬化し、塗膜を形成する成分となる。
エポキシ樹脂は特に限定されない。エポキシ樹脂は、有機溶剤に溶解するエポキシ樹脂であればよい。一例を挙げると、エポキシ樹脂は、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂等である。なお、「有機溶剤に溶解する」とは、典型的な有機溶媒であるトルエン100gに25℃にて1g以上溶解することを指す。また、エポキシ樹脂は、併用されてもよい。
ビスフェノール型エポキシ樹脂は、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等およびこれらの臭素化物、水添加物等が例示される。ノボラック型エポキシ樹脂は、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が例示される。芳香族エポキシ樹脂としては、トリスフェノールメタントリグリシジルエーテル等が例示される。
脂環族エポキシ樹脂は、3,4-エポキシシクロへキシルメチル-3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、3,4-エポキシ-2-メチルシクロヘキシルメチル-3,4-エポキシ-2-メチルシクロヘキサンカルボキシレート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシル)アジペート、ビス(3,4-エポキシシクロヘキシルメチルアジペート、ビス(3,4-エポキシ-6-メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル-5,5-スピロ-3,4-エポキシシクロヘキサ
ノン-メタ-ジオキサン、ビス(2,3-エポキシシクロペンチル)エーテル等が例示される。
脂肪族エポキシ樹脂は、1,4-ブタンジオールのジグリシジルエーテル、1,6-へキサンジオールのジグリシジルエーテル、グリセリンのトリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル、炭素数が2~9のアルキレン基を含むポリオキシアルキレングリコールやポリテトラメチレンエーテルグリコール等を含む長鎖ポリオールのポリグリシジルエーテル等が例示される。
グリシジルエステル型エポキシ樹脂は、フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、へキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ジグリシジル-p-オキシ安息香酸、サリチル酸のグリシジルエーテル-グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等が例示される。
グリシジルアミン型エポキシ樹脂は、トリグリシジルイソシアヌレート、環状アルキレン尿素のN,N’-ジグリシジル誘導体、p-アミノフェノールのN,N,O-トリグリシジル誘導体、m-アミノフェノールのN,N,O-トリグリシジル誘導体等が例示される。
これらの中でも、エポキシ樹脂は、塗膜の耐候性や柔軟性が優れ、下地との付着性が優れる点から、ビスフェノール型エポキシ樹脂であることが好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂であることがより好ましい。
エポキシ樹脂の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、エポキシ樹脂の含有量は、下塗り塗料組成物中、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましい。また、エポキシ樹脂の含有量は、下塗り塗料組成物中、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましい。エポキシ樹脂の含有量が上記範囲内であることにより、下塗り塗料組成物は、塗膜のバリア性や塗装時の作業性が優れる。
エポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、特に限定されない。一例を挙げると、Mwは、10000以上であることが好ましく、30000以上であることがより好ましい。また、Mwは、100000以下であることが好ましく、50000以下であることがより好ましい。エポキシ樹脂のMwが上記範囲内であることにより、得られる塗膜は、塗膜強度、加工性が優れ、かつ、平滑性が良好となりやすい。なお、本実施形態において、Mwは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法等によって測定することができる。より具体的には、Mwは、示差屈折計(RI)検出器を備えるGPC装置(HLC-8220;東ソー(株)製)にて屈折率の差を測定し、ポリスチレン換算にて算出することができる。
エポキシ樹脂の酸価は特に限定されない。一例を挙げると、エポキシ樹脂の酸価は、5mgKOH/g以下であることが好ましく、1mgKOH/g以下であることがより好ましい。エポキシ樹脂の酸価が上記範囲内であることにより、得られる塗膜は、耐薬品性が向上しやすい。なお、本実施形態において、酸価は、JIS K 0070-1992に準ずる電位差手規定法によって測定し得る。
エポキシ樹脂の水酸基価は特に限定されない。一例を挙げると、エポキシ樹脂は、50mgKOH/g以上であることが好ましく、100mgKOH/g以上であることがより好ましい。また、エポキシ樹脂の水酸基価は、1000mgKOH/g以下であることが好ましく、500mgKOH/g以下であることがより好ましい。エポキシ樹脂の水酸基価が上記範囲内であることにより、塗料組成物は、得られる塗膜の耐擦り傷性および塗膜強度が優れる。なお、本実施形態において、水酸基価は、樹脂中の水酸基をアセチル化して、アセチル化に要した酢酸を中和するのに要する水酸化カリウムの量を、樹脂1gに対するmg数で表すことによって算出し得る。
(イソシアネート樹脂)
イソシアネート樹脂は、種々の条件で乾燥させることで、硬化し、塗膜を形成する成分となる。
イソシアネート樹脂(ポリイソシアネート化合物)は特に限定されない。一例を挙げると、ポリイソシアネート化合物は、リジンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;水素添加キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチルシクロヘキサン-2,4-ジイソシアネート、メチルシクロヘキサン-2,6-ジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、1,3-(イソシアナトメチル)シクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;リジントリイソシアネート等の3価以上のポリイソシアネート等の有機ポリイソシアネートそれ自体、またはこれらの各有機ポリイソシアネートと多価アルコール、低分子量ポリエステル樹脂もしくは水等との付加物、あるいは上記した各有機ジイソシアネート同士の環化重合体(例えば、イソシアヌレート)、ビゥレット型付加物等のブロック型イソシアネートである。ブロック剤の例を挙げると、ε-カプロラクタム、メチルエチルケトオキシム、メチルイソアミルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム等ケトオキシム系ブロック化剤;フェノール、クレゾール、カテコール、ニトロフェノール等のフェノール系ブロック化剤;イソプロパノール、トリメチロールプロパン等のアルコール系ブロック化剤;マロン酸エステル、アセト酢酸エステル等の活性メチレン系ブロック化剤、複素環式化合物のピラゾール等が挙げられる。ポリイソシアネート化合物は、併用されてもよい。
これらの中でも、イソシアネート樹脂は、塗膜の黄変を防ぎ、貯蔵安定性が優れる点から、脂肪族系のブロック型イソシアネート樹脂が好ましく、ブロック型ヘキサメチレンジイソシアネート系ポリイソシアネートであることがより好ましい。
(防錆顔料)
防錆顔料は特に限定されない。一例を挙げると、防錆顔料は、亜鉛、カルシウム、アルミニウム、マグネシウム、チタン、マンガン、ストロンチウム、バリウム、鉄、ジルコニウム、セリウム等から選ばれる1種以上の金属元素の金属酸化物および/または硝酸金属塩、炭酸金属塩、リン酸金属塩、フッ素含有金属化合物、アンモニウム錯塩や亜鉛末等である。防錆顔料は併用されてもよい。
これらの中でも、防錆顔料は、得られる塗装品の防錆性がより優れ、耐久性を向上させることができる点から、亜鉛、カルシウム、アルミニウムのうち、いずれか1種の金属元素を含むリン酸金属塩、亜リン酸金属塩またはトリポリリン酸金属塩を含むことが好ましく、亜鉛またはカルシウムの少なくとも1種の金属元素を含むリン酸塩または亜リン酸金属塩を含むことがより好ましい。
防錆顔料の含有量は、防錆顔料の含有量(A)とエポキシ樹脂の含有量(B)との質量比(A/B)が0.05~0.3である限り、特に限定されない。一例を挙げると、防錆顔料の含有量は、下塗り塗料組成物中、1.0質量%以上であることが好ましく、2.0質量%以上であることがより好ましい。また、防錆顔料の含有量は、下塗り塗料組成物中、10.0質量%以下であることが好ましく、5.5質量%以下であることがより好ましい。このように、本実施形態の下塗り塗料組成物は、防錆顔料の含有量が少ないにもかかわらず、優れた防錆性を発揮する。
本実施形態の下塗り塗料組成物は、上記防錆顔料以外のその他の顔料を含んでもよい。その他の顔料は特に限定されない。一例を挙げると、その他の顔料は、各種着色顔料、体質顔料等である。その他の顔料は、併用されてもよい。
着色顔料は特に限定されない。一例を挙げると、着色顔料は、酸化チタン、カーボンブラック、酸化第二鉄等である。
体質顔料は特に限定されない。一例を挙げると、体質顔料は、タルク、硫酸バリウム、マイカ、炭酸カルシウム等である。
その他の顔料の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、その他の顔料の含有量は、所望する色彩のほか、後述する顔料体積濃度(PVC)等を適宜考慮して定められてもよい。
(有機溶剤)
有機溶剤は、上記したエポキシ樹脂およびイソシアネート樹脂を溶解または分散するために配合される。有機溶剤は特に限定されない。一例を挙げると、有機溶剤は、ヘキサン、ベンゼン、シクロヘキサン、ヘプタン、トルエン、キシレン、ミネラルスピリット等の炭化水素系;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、シクロヘキサノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のアルコール系;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系、1,4-ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系有機溶剤等である。有機溶剤は、併用されてもよい。
これらの中でも、有機溶剤は、含酸素有機溶剤を含み、基準となる酢酸ブチルの蒸発速度を1としたときの相対蒸発速度が0.5以上である含酸素有機溶剤を含むことが好ましく、1.0以上である含酸素有機溶剤を含むことがより好ましい。さらに、基準となる酢酸ブチルの蒸発速度を1としたときの相対蒸発速度が0.5以上である含酸素有機溶剤の含有量は、有機溶剤中、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがよりさらに好ましい。含酸素有機溶剤の含有量が上記範囲内であることにより、下塗り塗料組成物は、樹脂成分を溶解させやすい。また、下塗り塗料組成物は、金属基材に塗布して乾燥する際に、0~40℃といった常温を含む乾燥温度や、120~200℃といった焼付温度でも乾燥させやすく、汎用性が高い。含酸素有機溶剤は、アルコール系、エステル系、エーテル系、ケトン系等の酸素元素を含む有機溶剤であれば良い。含酸素有機溶剤の蒸発速度は、具体的には、エチレングリコールモノブチルエーテル(蒸発速度:0.09)、シクロヘキサノン(蒸発速度:0.32)、n-ブタノール(蒸発速度:0.37)、酢酸ブチル(蒸発速度:1.00)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(蒸発速度:0.70)、メチルエチルケトン(蒸発速度:6.00)、等である。なお、本実施形態において、蒸発速度は、温度23℃、相対湿度50%における酢酸ブチルの蒸発速度1.00に対する各有機溶剤の蒸発速度の割合で表したものである。なお、蒸発速度の測定方法は、ASTM D 3539-87標準試験法で規定されているように、温度が25℃および相対湿度が55%RHのときの酢酸ブチルの単位時間当たりの重量減少量に対する相対速度として求められる。有機溶剤の蒸発速度は数値が大きいほど蒸発しやすい。
下塗り塗料組成物の引火点は特に限定されない。一例を挙げると、下塗り塗料組成物の引火点は21℃以上であることが好ましく、23℃以上に有機溶剤で調整することがより好ましい。下塗り塗料組成物の引火点が上記範囲内であることにより、下塗り塗料組成物は、保管方法等の観点で、取り扱いやすい。なお、本実施形態において、下塗り塗料組成物の引火点を調整する方法は特に限定されない。一例を挙げると、下塗り塗料組成物の引火点は、引火点の異なる複数の有機溶剤を併用する等により、調整し得る。本実施形態において、引火点は、JIS K 2265-1:2007に準拠して測定された引火点である。
有機溶剤の含有量は特に限定されない。一例を挙げると、有機溶剤の含有量は、下塗り塗料組成物中、40質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。また、有機溶剤の含有量は、下塗り塗料組成物中、70質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましい。有機溶剤の含有量が上記範囲内であることにより、下塗り塗料組成物は、塗膜の平滑性が優れ、塗装時の作業性や塗着効率が優れる。
本実施形態の下塗り塗料組成物は、上記したエポキシ樹脂、イソシアネート樹脂、防錆剤量および有機溶剤を含むことに加え、エポキシ樹脂の水酸基と、イソシアネート樹脂のイソシアネート基の当量比(NCO基/OH基)、および、防錆顔料の含有量(A)とエポキシ樹脂の含有量(B)との質量比(A/B)に特徴を有する。
(エポキシ樹脂の水酸基と、イソシアネート樹脂のイソシアネート基の当量比(NCO基/OH基)について)
本実施形態の下塗り塗料組成物は、エポキシ樹脂の水酸基と、イソシアネート樹脂のイソシアネート基の当量比(NCO基/OH基)が0.02以上であり、0.03以上であることが好ましい。また、当量比(NCO基/OH基)は、0.12以下であり、0.10以下であることが好ましい。当量比(NCO基/OH基)が0.02未満である場合、下塗り塗料組成物は、金属基材に下塗り塗料組成物を塗布して下塗り層の塗膜を設けた場合、および、さらに上塗り層を設けた場合において、塗膜表面に縮みを生じやすい。一方、当量比(NCO基/OH基)が0.12を超える場合、下塗り塗料組成物は、金属基材に下塗り塗料組成物を塗布して下塗り層の塗膜を設けた場合、金属基材と下塗り層との付着性が悪く、金属基材と下塗り層との層間で剥離が生じやすい。さらに上塗り層を設けた場合においても、下塗り層と上塗り層との付着性が悪く、下塗り層と上塗り層との層間で剥離を生じやすい。
(防錆顔料の含有量(A)とエポキシ樹脂の含有量(B)との質量比(A/B)について)
本実施形態の下塗り塗料組成物は、防錆顔料の含有量(A)とエポキシ樹脂の含有量(B)との質量比(A/B)が0.05以上であり、0.1以上であることが好ましい。また、質量比(A/B)は、0.3以下であり、0.2以下であることが好ましい。質量比(A/B)が、上記範囲内であることにより、下塗り塗料組成物は、防錆性が良く、金属基材を腐食から保護することができ、耐久性が優れる。
また、本実施形態の下塗り塗料組成物は、好適な顔料体積濃度(PVC)が25~35%である。
(顔料体積濃度(PVC)について)
顔料体積濃度(PVC)は、塗料組成物における全樹脂分と全顔料との合計固形分に占める顔料の体積百分率(%)である。本実施形態において、顔料体積濃度(PVC)は、25%以上であることが好ましく、26%以上であることがより好ましい。また、顔料体積濃度(PVC)は、35%以下であることが好ましく、32%以下であることがより好ましい。顔料体積濃度(PVC)が上記範囲内であることにより、下塗り塗料組成物は、金属基材に塗布して乾燥し、その後、さらに上塗り塗料組成物を塗布する場合であっても、上塗り塗料組成物の光沢を損ないにくい。
(添加剤)
本実施形態の下塗り塗料組成物は、増粘剤、分散剤、艶消し剤、消泡剤、レベリング剤、たれ防止剤、表面調整剤、粘性調整剤、紫外線吸収剤、ワックス等が含まれてもよい。添加剤は併用されてもよい。
以上、本実施形態によれば、下塗り塗料組成物は、下地となる種々の金属基材との付着性が優れる。また、下塗り塗料組成物は、粉体塗料だけでなく、種々の上塗り塗料組成物との付着性も優れる。さらに、塗膜の乾燥条件は、0~40℃といった常温を含む乾燥温度でも乾燥でき、かつ、焼付乾燥も可能である。得られる塗装品は、防錆性にも優れ、耐久性が優れる。そのため、本実施形態の下塗り塗料組成物は、たとえば、屋内外、潮風や雨等に曝される環境下、工場排出ガスに曝される環境下等で使用される、自動車、家電、OA機器等の様々な金属基材を用いた製品に好適に使用される。
本実施形態の1液形金属用下塗り塗料組成物の調製方法は特に限定されない。一例を挙げると、下塗り塗料組成物は、上記エポキシ樹脂、イソシアネート樹脂、防錆顔料、有機溶剤、および、適宜の着色顔料、体質顔料、添加剤等を混合、攪拌することにより調製し得る。
<塗装品の製造方法>
本発明の一実施形態の塗装品の製造方法は、上記した1液形金属用下塗り塗料組成物を金属基材に塗布する下塗り工程と、塗布した1液形金属用下塗り塗料組成物を0~40℃で乾燥する下塗り乾燥工程とを含む。1液形金属用下塗り塗料組成物の下塗り乾燥工程は、上塗り塗料組成物との適正や、焼付乾燥が可能な設備がある場合等、適宜、120~200℃で5~60分間の焼付乾燥する工程であってもよい。また、塗装品の製造方法は、さらに上塗り塗料組成物が付与されて、上塗り層の塗膜が形成されてもよい。以下、それぞれについて説明する。
(下塗り工程)
下塗り工程は、上記した下塗り塗料組成物を金属基材に塗布する工程である。
金属基材は特に限定されない。一例を挙げると、金属基材は、炭素鋼板、合金鋼板およびめっき鋼板等、より具体的には、冷延鋼板、熱延鋼板、溶融亜鉛めっき鋼板、アルミニウム含有亜鉛めっき鋼板、電気亜鉛めっき鋼板、合金化亜鉛めっき鋼板、亜鉛ニッケルめっき鋼板、亜鉛コバルトめっき鋼板、蒸着亜鉛めっき鋼板、ニッケルめっき鋼板、スズめっき鋼板(ブリキ板)、ステンレス鋼板等;アルミニウム板、銅板、チタン板、マグネシウム板、真鍮板等の鋼板以外の金属板等である。
金属基材に下塗り塗料組成物を塗布する方法は特に限定されない。一例を挙げると、下塗り塗料組成物は、ロールコーター法、スプレー法、ディッピング法、はけ塗り法、カーテンコーター法、フローコーター法、浸漬法等の方法で金属基材表面に塗布され得る。なお、下塗り塗料組成物が塗布される前に、金属基材の表面は、溶剤脱脂されてもよい。溶剤脱脂とは、各種脱脂剤を用いて、基材表面の汚れを除去する工程である。また、下塗り塗料組成物を塗布する際に、塗布しやすいように、下塗り塗料組成物の粘度等をシンナーで適宜調整してもよい。
(下塗り乾燥工程)
下塗り乾燥工程は、塗布した下塗り塗料組成物を0~40℃で乾燥する工程である。
このように、下塗り乾燥工程は、0~40℃といった常温を含む乾燥温度を採用している。上記のとおり、下塗り塗料組成物は、焼付乾燥における焼付温度(たとえば120~200℃)と比べて比較的低温でも充分に乾燥することができる。そのため、乾燥炉等の設備が必須でなく、塗装品の生産性が向上する。
乾燥温度は、0℃以上であればよく、10℃以上であることが好ましい。また、乾燥温度は、40℃以下であればよく、30℃以下であることが好ましい。上記範囲内であれば、有機溶剤の揮発速度が適当であるため、下塗り塗料組成物は、塗装時の作業性が優れ、塗膜の外観も優れる。
乾燥時間は特に限定されない。一例を挙げると、乾燥時間は、10分以上であればよく、30分以上であることが好ましく、60分以上であればさらに好ましい。乾燥時間が上記範囲内であることにより、塗布された下塗り塗料組成物は、充分に乾燥され、塗膜(下塗り層)が形成される。
下塗り層の厚みは特に限定されない。一例を挙げると、下塗り層の厚みは、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましい。また、下塗り層の厚みは、50μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましい。下塗り層の厚みが上記下限値以上であることにより、下塗り層は、金属基材の保護ができ、耐水性、耐酸性等の耐食性が優れる。一方、上限値以下であることにより、下塗り層は、塗膜外観が良く、塗装時の作業性も優れる。
本実施形態の塗装品の製造方法は、上記した下塗り塗料組成物が用いられていることにより、金属基材に塗布して乾燥する際に、0~40℃といった常温を含む低い乾燥温度が採用されても、付着性の優れた塗膜を形成することができる。そのため、塗装品の製造方法は、乾燥工程において、乾燥炉等の設備が必須でなく、塗装品の生産性が向上する。
本実施形態の塗装品の製造方法は、下塗り層を設けた後に、意匠性を付与したり、耐食性をより向上させるために、上塗り層が適宜設けられてもよい。この場合、上塗り層を構成する上塗り塗料組成物は、0~40℃で乾燥されてもよく、焼付乾燥されてもよい。
・0~40℃で上塗り塗料組成物を乾燥する場合
本実施形態の塗装品の製造方法は、下塗り乾燥工程の後に、上塗り塗料組成物を塗布する上塗り工程と、塗布した上塗り塗料組成物を0~40℃で乾燥する上塗り乾燥工程とを含んでもよい。
(上塗り工程)
上塗り工程は、下塗り乾燥工程の後に、上塗り塗料組成物を塗布する工程である。上塗り塗料組成物の種類は、特に限定されない。一例を挙げると、上塗り塗料組成物は、フタル酸樹脂塗料、ウレタン樹脂塗料、アクリルウレタン樹脂塗料、シリコン樹脂塗料、メラミンアルキド樹脂塗料、アクリルメラミン樹脂塗料、ポリエステル樹脂塗料、エポキシ樹脂塗料、フッ素樹脂塗料等の1液形溶剤塗料、2液形溶剤塗料または粉体塗料である。
下塗り層に上塗り塗料組成物を塗布する方法は特に限定されない。一例を挙げると、上塗り塗料組成物は、ロールコーター法、スプレー法、ディッピング法、はけ塗り法、カーテンコーター法、フローコーター法、浸漬法等の方法で下塗り層の表面に塗布され得る。
(上塗り乾燥工程)
上塗り乾燥工程は、塗布した上塗り塗料組成物を0~40℃で乾燥する工程である。
乾燥温度は、0℃以上であればよく、10℃以上であることが好ましい。また、乾燥温度は、40℃以下であればよく、30℃以下であることが好ましい。上記範囲内であれば、有機溶剤の揮発速度が適当であり、上塗り塗料組成物は、乾燥効率が良く、塗膜の外観にも優れる。
乾燥時間は特に限定されず、上塗り塗料組成物に適した乾燥時間であれば良い。一例を挙げると、乾燥時間は、10分以上であることが好ましく、30分以上であることがより好ましく、60分以上であることがさらに好ましい。乾燥時間が上記範囲内であることにより、塗布された上塗り塗料組成物は、充分に乾燥され、塗膜(上塗り層)が形成される。
上塗り層の厚みは特に限定されず、上塗り塗料組成物に適した厚みであれば良い。一例を挙げると、上塗り層の厚みは、10μm以上であることが好ましく、20μm以上であることがより好ましい。また、上塗り層の厚みは、50μm以下であることが好ましく、40μm以下であることがより好ましい。上塗り層の厚みが上記範囲内であることにより、下限値以上であることにより、上塗り層は、金属基材を保護しやすく、耐水性、耐酸性等の耐食性が優れる。一方、上限値以下であることにより、上塗り層は、塗膜外観が良く、塗装時の作業性も優れる。
このように、上塗り層を設ける際に、上塗り乾燥工程として、塗布した上塗り塗料組成物を0~40℃で乾燥する工程を採用する場合、本実施形態の塗装品の製造方法は、下塗り層だけでなく、上塗り層を設ける際も、0~40℃といった常温を含む乾燥温度を採用している。そのため、塗装品の製造方法は、下塗り層だけでなく上塗り層の乾燥工程においても、乾燥炉等の設備が必須でなく、塗装品の生産性が向上する。
・焼付により上塗り塗料組成物を乾燥する場合
本実施形態の塗装品の製造方法は、下塗り乾燥工程の後に、上塗り塗料組成物を塗布する上塗り工程と、塗布した上塗り塗料組成物を120~200℃で5~60分間焼付乾燥する焼付乾燥工程とを含んでもよい。
(上塗り工程)
上塗り工程は、「0~40℃で上塗り塗料組成物を乾燥する場合」に関連して上記した上塗り工程と同様である。
(焼付乾燥工程)
焼付乾燥工程は、塗布した上塗り塗料組成物を120~200℃で5~60分間焼付乾燥する工程である。
焼付乾燥温度は、120℃以上であればよく、130℃以上であることが好ましい。また、焼付乾燥温度は、200℃以下であればよく、180℃以下であることが好ましい。焼付乾燥温度が上記範囲内であることにより、上塗り層は、樹脂の硬化反応が進みやすく、乾燥効率が良く、塗膜の外観も優れる。
焼付乾燥時間は特に限定されず、上塗り塗料組成物に適した乾燥時間であれば良い。一例を挙げると、焼付乾燥時間は、5分以上であればよく、10分以上であることが好ましく、20分以上であることがさらに好ましい。また、焼付乾燥時間は、60分以下であればよく、40分以下であることが好ましい。上記範囲内であれば、樹脂の硬化反応が進み、乾燥効率が良く、塗膜の外観にも優れる。
上塗り層の厚みは特に限定されない。上塗り層の厚みは、「0~40℃で上塗り塗料組成物を乾燥する場合」に関連して上記した上塗り層の厚みと同様である。
このように、焼付乾燥によって上塗り層を設ける場合、得られる塗装品は、焼付乾燥工程により、塗膜中の樹脂の反応がより促進され、塗膜性能がより向上する。
なお、本実施形態では、下塗り乾燥工程として、塗布した下塗り塗料組成物を0~40℃で乾燥する工程を例示した。これに代えて、本実施形態の塗装品の製造方法は、下塗り塗料組成物を焼付乾燥することも可能である。
以下、実施例により本発明をより具体的に説明する。本発明は、これら実施例に何ら限定されない。なお、特に制限のない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味する。
使用した原料を以下に示す。
<エポキシ樹脂>
エポキシ樹脂:ビスフェノールA型エポキシ樹脂、重量平均分子量(Mw):35000、水酸基価:210mgKOH/g
<イソシアネート樹脂>
イソシアネート樹脂:旭化成ケミカルズ(株)製、デュラネートK6000、NCO:7.3%
<防錆顔料>
防錆顔料1:リン酸亜鉛・亜リン酸カルシウム系防錆顔料
防錆顔料2:トリポリリン酸アルミニウム系防錆顔料
<有機溶剤>
キシレン:蒸発速度:0.76
シクロヘキサノン:蒸発速度:0.32
酢酸ブチル:蒸発速度1.00
n-ブタノール:蒸発速度0.37
エチレングリコールモノブチルエーテル:蒸発速度0.09
プロピレングリコールモノメチルエーテル:蒸発速度:0.70
メチルエチルケトン:蒸発速度:6.00
*蒸発速度は、基準となる酢酸ブチルの蒸発速度を1としたときの相対蒸発速度である(測定条件:ASTM D 3539-87標準試験法に準拠する)。
<その他>
酸化チタン:古河ケミカルズ(株)製、酸化チタンFR-48
カーボンブラック:三菱ケミカル(株)製、三菱カーボンブラック
炭酸カルシウム:丸尾カルシウム(株)製、MC-SII
沈降性硫酸バリウム:SOLVAY BARIO E DERIVATI S.p.A社製、沈降性硫酸バリウム
表面調整剤:東レ・ダウコーニング(株)製、FZ-2122、10%希釈
(実施例1~11、比較例1~4)
以下の表1に記載の処方にしたがって、各成分をタンクに投入し、ディスパーで攪拌し、1液形金属用下塗り塗料組成物を作製した。
Figure 2022090448000001
実施例1~11および比較例1~4の1液形金属用下塗り塗料組成物について、以下の評価方法により、乾燥性、付着性(リフティング性)、防錆性(耐中性塩水噴霧性)、付着性(リコート性)、20度鏡面光沢保持率、60度鏡面光沢保持率を測定した。結果を表1に示す。
(乾燥性)
23℃の環境下において、1液形金属用下塗り塗料組成物を以下の試験板に塗布し、塗膜の乾燥性を確認した。
・試験板作成条件
試験片:0.8mm×75mm×150mm、ダル鋼板
表面処理:溶剤脱脂
塗膜厚:20~25μm
・評価方法
指触乾燥:JIS K 5600-1-1に準じ、下塗り塗料組成物を塗装後、一定時間後(10、20、30分後)に塗面の中央に指先で軽く触れて、指先が汚れない状態になるまでの時間を測ることにより評価した。
<下塗り層単膜の評価(付着性(リフティング性)、防錆性(耐中性塩水噴霧性))>
1液形金属用下塗り塗料組成物を以下の試験板に塗布し、塗膜の性能を確認した。
・試験板作成条件
試験片:0.8mm×75mm×150mm、ダル鋼板
表面処理:溶剤脱脂
塗装系:実施例1~8および比較例1~4の下塗り塗料組成物は、23℃で10分間乾燥し、得られた塗膜を評価した。実施例9の下塗り塗料組成物は、23℃で30分間乾燥し、得られた塗膜を評価した。
塗膜厚:20~25μm
・試験条件および評価方法
リフティング性:得られた塗膜を目視で観察し、塗膜表面におけるちぢみの有無を確認した。
耐中性塩水噴霧性:JIS K 5400;1990 8.5.3 Xカットテープ法を準拠し、Xカットのスクラッチを入れた試験片を準備し、試験片を、JIS K 5600 7-1に準拠し、耐中性塩水噴霧試験機(スガ試験機(株)製、STP-160)にて、5%NaCl水溶液を用いて35℃120時間の試験を実施した。その後、スクラッチのXカット部の交点からいずれかの方向に、3mm以内のはがれのものを合格とした。
<下塗り層および上塗り層を設けた場合の評価(付着性(リコート性)、20度鏡面光沢保持率、60度鏡面光沢保持率)>
1液形金属用下塗り塗料組成物を以下の試験板に塗布し、得られた下塗り層の上に、さらに上塗り塗料組成物を塗布して上塗り層を設け、性能を確認した。
・試験板作成条件
試験片:0.8×75×150mm、ダル鋼板
表面処理:溶剤脱脂
塗装系:実施例1~10、比較例1~4は、下塗り塗料組成物を塗布し(下塗り工程)、23℃で10分間乾燥した(下塗り乾燥工程)。次いで、下塗り層に上塗り塗料組成物を塗布し(上塗り工程)、120℃で20分間の焼付乾燥を行った(焼付乾燥工程)。なお、実施例11は、下塗り乾燥工程において、乾燥時間を30分間とした以外は、実施例1と同様の方法により、塗装品を作製した。
上塗り塗料組成物は、焼付形メラミンアルキド樹脂塗料((株)トウペ製、トアメラタイト#300)を用いた。
塗膜厚:下塗り層は20~25μm、上塗り層は25~30μmとした。
・試験条件および評価方法
リコート性:得られた塗膜を目視で観察し、上塗り層の剥がれの有無を確認した。
20度鏡面光沢保持率:JIS K 5600 4-7に準拠し、上塗り塗料組成物単膜での光沢値を基準とし、下塗り塗料組成物を塗布後に、上塗り塗料組成物を塗布した塗膜の、20度鏡面光沢度を測定し、保持率を算出した(日本電色工業(株)製、光沢計VG7000)。
60度鏡面光沢保持率:JIS K 5600 4-7に準拠し、上塗り塗料組成物単膜での光沢値を基準とし、下塗り塗料組成物を塗布後に、上塗り塗料組成物を塗布した塗膜の、60度鏡面光沢度を測定し、保持率を算出した(日本電色工業(株)製、光沢計VG7000)。
表1に記載のとおり、実施例1~11の下塗り塗料組成物は、23℃における乾燥性が優れ、付着性および防錆性が優れた。一方、エポキシ樹脂の水酸基と、イソシアネート樹脂のイソシアネート基との当量比(NCO基/OH基)が0.05未満であった比較例1の下塗り塗料組成物は、塗膜にちぢみが発生した。エポキシ樹脂の水酸基と、イソシアネート樹脂のイソシアネート基との当量比(NCO基/OH基)が0.12を超えた比較例2の下塗り塗料組成物は、基材への付着性が劣った。防錆顔料の含有量(A)とエポキシ樹脂の含有量(B)との質量比(A/B)が0.05未満であった比較例3の下塗り塗料組成物は、防錆性が劣った。防錆顔料の含有量(A)とエポキシ樹脂の含有量(B)との質量比(A/B)が0.3を超えた比較例4の下塗り塗料組成物は、防錆性が劣った。
<下地適正評価>
実施例1~2の1液形金属用下塗り塗料組成物を、以下の試験条件にしたがって、表2に記載の各基材に塗布し、塗膜の付着性を確認した。
・試験板作成条件
試験片:0.8×75×150mm
表面処理:溶剤脱脂
塗装系:通常の乾燥条件では、23℃で10分間乾燥し、下塗り層を形成した。焼付乾燥条件では、140℃で20分間乾燥し、下塗り層を形成した。
塗膜厚:20~25μm
・試験条件および評価方法
付着性:JIS K 5600 5-6に準拠し、1mm碁盤目のクロスカットを入れた試験板にテープを付着させ、テープを引きはがし、JIS K 5600 5-6 表1に従い、分類0~5で評価した。評価結果が、分類0~1を合格とした。
耐湿性:JIS K 5600 5-6に準拠し、1mm碁盤目のクロスカットを入れた試験板を準備し、JIS K 5600 7-2に準拠し、50℃、RH95%以上×240時間で試験した。試験版にテープを付着させ、テープを引きはがし、JIS K 5600 5-6 表1に従い、分類0~5で評価した。評価結果が、分類0~1を合格とした。
耐中性塩水噴霧性:JIS K 5400;1990 8.5.3 Xカットテープ法を準拠し、Xカットのスクラッチを入れた試験片を準備し、試験片を、JIS K 5600 7-1に準拠し、耐中性塩水噴霧試験機(スガ試験機(株)製、STP-160)にて、5%NaCl水溶液を用いて35℃120時間の試験を実施した。その後、スクラッチのXカット部の交点からいずれかの方向に、3mm以内のはがれのものを合格とした。
Figure 2022090448000002
表2に記載のとおり、本発明の1液形金属用下塗り塗料組成物は、種々の金属基材に対して、焼付乾燥だけでなく、常温程度の通常の乾燥条件でも下塗り層を形成することができ、かつ、優れた付着性、耐湿性および防錆性を示した。
<上塗り塗料組成物の適正評価>
実施例1の1液形金属用下塗り塗料組成物を、以下の試験条件にしたがって試験板(金属基材)に塗布して下塗り層を形成し、次いで、表3に記載の各上塗り塗料組成物を塗布し、得られた塗膜の性能を確認した。
・上塗り塗料組成物
2液形アクリルウレタン樹脂塗料:(株)トウペ製、ネオウレタン
焼付形メラミンアルキド樹脂塗料:(株)トウペ製、トアメラタイト#300
1液形焼付ウレタン樹脂塗料:(株)トウペ製、トアメタルウレタンCW
ポリエステル樹脂系粉体塗料:(株)トウペ製、トアパウダー#4000P
・試験板作成条件
試験片:0.8mm×75mm×150mm、ダル鋼板
表面処理:溶剤脱脂
塗装系:通常の乾燥条件では、実施例1の下塗り塗料組成物を、23℃で10分間乾燥し、下塗り層を形成した。なお、上塗り塗料が、粉体塗料の場合は、下塗り塗料組成物を140℃で20分間焼付乾燥を行い、下塗り層を形成した。その後、各種上塗り塗料組成物を、表3の乾燥条件で塗布し、上塗り層を形成した。
塗膜厚:下塗り層の厚みを20~25μmとし、各種上塗り層の厚みを25~30μmとした(粉体塗料(ポリエステル樹脂系粉体塗料)を用いた場合の上塗り層の厚みは60~80μmとした)。
・試験条件および評価方法
仕上がり外観:JIS K 5600 4-7に準拠し、60度鏡面光沢度を測定し光沢値が40~80を合格とした(日本電色工業(株)製、光沢計VG7000)。
付着性:JIS K 5600 5-6に準拠し、1mm碁盤目のクロスカットを入れた試験板にテープを付着させ、テープを引きはがし、JIS K 5600 5-6 表1に従い、分類0~5で評価した。評価結果が、分類0~1を合格とした。
耐中性塩水噴霧性:JIS K 5400;1990 8.5.3 Xカットテープ法を準拠し、Xカットのスクラッチを入れた試験片を準備し、試験片を、JIS K 5600 7-1に準拠し、耐中性塩水噴霧試験機(スガ試験機(株)製、STP-160)にて、5%NaCl水溶液を用いて35℃120時間の試験を実施した。その後、スクラッチのXカット部の交点からいずれかの方向に、3mm以内のはがれのものを合格とした。
Figure 2022090448000003
表3に記載のとおり、本発明の1液形金属用下塗り塗料組成物は、種々の上塗り塗料組成物を用いて上塗り層を形成した場合であっても、光沢に影響を与えにくく、かつ、優れた付着性および防錆性を示した。

Claims (7)

  1. エポキシ樹脂と、イソシアネート樹脂と、防錆顔料と、有機溶剤とを含み、
    前記エポキシ樹脂の水酸基と、前記イソシアネート樹脂のイソシアネート基の当量比(NCO基/OH基)は、0.02~0.12であり、
    前記防錆顔料の含有量(A)と前記エポキシ樹脂の含有量(B)との質量比(A/B)は、0.05~0.3である、1液形金属用下塗り塗料組成物。
  2. 前記防錆顔料は、亜鉛またはカルシウムの少なくとも1種の金属元素を含むリン酸塩または亜リン酸塩を含む、請求項1記載の1液形金属用下塗り塗料組成物。
  3. 前記有機溶剤は、含酸素有機溶剤を含み、
    前記含酸素有機溶剤は、基準となる酢酸ブチルの蒸発速度を1としたときの相対蒸発速度が0.5以上であり、
    前記含酸素有機溶剤の含有量は、前記有機溶剤中、10質量%以上である、請求項1または2記載の1液形金属用下塗り塗料。
  4. 顔料体積濃度(PVC)が25~35%である、請求項1~3のいずれか1項に記載の1液形金属用下塗り塗料組成物。
  5. 請求項1~4のいずれか1項に記載の1液形金属用下塗り塗料組成物を金属基材に塗布する下塗り工程と、
    塗布した前記1液形金属用下塗り塗料組成物を0~40℃で乾燥する下塗り乾燥工程と、を含む、塗装品の製造方法。
  6. 前記下塗り乾燥工程の後に、上塗り塗料組成物を塗布する上塗り工程と、
    塗布した前記上塗り塗料組成物を0~40℃で乾燥する上塗り乾燥工程と、を含む、請求項5記載の塗装品の製造方法。
  7. 前記下塗り乾燥工程の後に、上塗り塗料組成物を塗布する上塗り工程と、
    塗布した前記上塗り塗料組成物を120~200℃で5~60分間焼付乾燥する焼付乾燥工程と、を含む、請求項5記載の塗装品の製造方法。
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