本発明の吸収性物品は、トップシートとバックシートとこれらの間に配された吸収性コアとを有するものである。本発明の吸収性物品は、例えば、使い捨ておむつ、尿パッド(失禁パッドを含む)、生理用ナプキン等に適用できる。
吸収性物品は、前後方向と幅方向とを有する。前後方向とは、吸収性物品を着用者が着用した際、着用者の股間の前後方向に延びる方向を意味する。幅方向とは、吸収性物品と同一面上にあり前後方向と直交する方向を意味し、吸収性物品を着用した際の着用者の左右方向に相当する。また、前後方向と幅方向から形成される面に対して平行な方向を平面方向とし、垂直方向を厚み方向とする。吸収性物品は厚み方向に対して肌面側と外面側を有する。肌面側とは、吸収性物品を着用した際の着用者の肌に向く側を意味し、外面側とは、吸収性物品を着用した際の着用者とは反対側に向く側を意味する。
吸収性物品の形状は特に限定されない。吸収性物品が尿パッドや生理用ナプキンである場合、吸収性物品の形状としては、長円形、略長方形、砂時計形、羽子板形等が示される。
吸収性物品が使い捨ておむつである場合、使い捨ておむつは、例えば、前側部と後側部とこれらの間に位置し吸収性コアが備えられた股部とから構成される。使い捨ておむつは、例えば、前側部と後側部とこれらの間に位置する股部とを有するパンツ部材の股部に、トップシートとバックシートの間に吸収性コアが配された積層体が備えられて構成される。使い捨ておむつはまた、トップシートとバックシートの間に吸収性コアが配された積層体が、前側部と後側部とこれらの間に位置する股部とを有するパンツ形状に形成されていてもよい。なお、前側部は、使い捨ておむつを着用の際に着用者の腹側に当てる部分に相当し、後側部は、使い捨ておむつを着用の際に着用者の背側に当てる部分に相当する。股部は、前側部と後側部との間に位置し、着用者の股間に当てる部分に相当する。
使い捨ておむつは、後側部の左右両側に止着テープが設けられ、当該止着テープにより着用時にパンツ形状に形成するテープタイプの使い捨ておむつであってもよく、前側部と後側部とが接合されることによりウェスト開口部と一対の脚開口部とが形成されたパンツタイプの使い捨ておむつであってもよい。
トップシートは、吸収性コアの肌面側に設けられ、液透過性であることが好ましい。トップシートとしては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や;ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシートとして、織布、編布、孔が形成されたプラスチックフィルムを用いてもよい。
バックシートは、吸収性コアの外面側に設けられ、液不透過性であることが好ましい。バックシートとしては、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。また、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。
吸収性物品は、肌面側の幅方向の両側に立ち上がりフラップが設けられることが好ましい。立ち上がりフラップを設けることにより、尿等の横漏れが防止される。立ち上がりフラップは、例えば、トップシートの幅方向の両側に、前後方向に延在するサイドシートを接合し、サイドシートの幅方向の内方部分(立ち上がりフラップが立ち上がったときの上端近傍)に弾性部材を設けることにより形成することができる。このようにサイドシートと弾性部材とを設けることにより、弾性部材の収縮力によりサイドシートの幅方向の内方部分が着用者の肌に向かって立ち上がり、立ち上がりフラップが形成される。立ち上がりフラップまたはサイドシートは、液不透過性のプラスチックフィルムや液不透過性の不織布等により構成されることが好ましい。
トップシートやバックシートやサイドシートが不織布から構成される場合、不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。各シートの単位面積あたりの質量は、例えば、10g/m2以上が好ましく、12g/m2以上がより好ましく、また40g/m2以下が好ましく、30g/m2以下がより好ましい。
吸収性コアは、尿等の排泄物を吸収できる吸収性材料を含むものであれば特に限定されない。吸収性コアとしては、例えば、吸収性材料を所定形状に成形した成形体を用いることができる。吸収性コアは、紙シート(例えば、ティッシュペーパーや薄葉紙)や親水性不織布等の被覆シートで覆われていてもよい。吸収性材料としては、例えば、パルプ繊維等の親水性繊維や、ポリアクリル酸系、ポリアスパラギン酸系、セルロース系、デンプン・アクリロニトリル系等の吸水性樹脂等が挙げられる。また、吸水性材料には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン繊維や、PET等のポリエステル繊維、ポリアミド繊維等の熱融着性繊維が含まれてもよい。これらの熱融着性繊維は、尿等との親和性を高めるために、界面活性剤等により親水化処理がされていてもよい。
吸収性材料は、尿等の吸収速度を高める点から、親水性繊維を含むことが好ましい。また、吸収容量を高める点からは、吸収性材料は吸水性樹脂を含むことが好ましい。従って、吸収性コアは親水性繊維(特にパルプ繊維)と吸水性樹脂を含むことが好ましい。この場合、例えば、親水性繊維の集合体に吸水性樹脂を混合または散布したものを用いることが好ましい。
吸収性コアは、シート状吸収体であってもよい。シート状吸収体としては、不織布間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように形成されたものが挙げられる。このように形成されたシート状吸収体は、不織布間に吸水性樹脂を有するため、高い吸収容量を実現できる。また、シート状吸収体は不織布間にパルプ繊維を有しないため、嵩張らず薄型に形成することができる。
吸収性コアは、吸収性材料として吸水性繊維を用いたものであってもよい。吸水性繊維としては、プロトン化または塩形成したカルボキシル基を含有する繊維が挙げられる。例えば、アクリル繊維を加水分解して、アクリル繊維に含まれるニトリル基をカルボキシル基に変換することにより、吸水性繊維を得ることができる。このとき、吸水性繊維に含まれるカルボキシル基は、アルカリ金属塩またはアンモニア塩を形成していることが好ましい。また吸水性繊維は、親水性繊維をアクリル酸に浸漬し、繊維表面でアクリル酸を析出させることにより製造することができる。
吸収性コアの形状(平面形状)は特に限定されない。吸収性コアの形状は、用途に応じて適宜決定すればよく、例えば、略長方形、砂時計形、羽子板形、長円形等が挙げられる。
トップシートと吸収性コアの間には親水性不織布が配されており、親水性不織布には、前後方向に延びる線状のパターンでエンボスされた、または面状にエンボスされた特定領域が形成されている。このような特定領域を有する親水性不織布をトップシートと吸収性コアの間に配することにより、トップシート上に排泄された尿等が親水性不織布によって内部に速やかに引き込まれるとともに、トップシートを透過した尿等が親水性不織布の特定領域で平面方向に広がりやすくなり、吸収性コアがより広い範囲にわたって尿等の吸収に寄与しやすくなる。例えば、着用者が仰向けで寝たり着座している状態では、吸収性物品は体圧がかかっている箇所で尿等の拡散性が低下しやすくなり、特に前後方向への拡散性が低下しやすくなる。そのため、そのような状態で着用者から尿等が排泄されると、尿等が吸収性コアの広い範囲に行きわたらず、吸収性コアによって十分に吸収されず、横漏れが起こりやすくなる。しかし、トップシートと吸収性コアの間に、前後方向に延びる線状のパターンでエンボスされた、または面状にエンボスされた特定領域を有する親水性不織布を配することにより、特定領域で尿等が前後方向に拡散しやすくなる。すなわち、親水性不織布は、特定領域の一部または全部が圧密されることにより、尿等が特定領域を透過しにくくなり、尿等の平面方向の拡散性が高まる。一方、親水性不織布の特定領域以外の領域では、尿等は、親水性不織布を厚み方向に透過しやすくなる。そのため、尿等が吸収性コアの広い範囲に分散され、吸収性コアの吸収能がより広い範囲にわたって有効に活用され、尿等の吸収性に優れるものとなる。
特定領域は、親水性不織布をエンボスすることにより形成することができる。特定領域は、親水性不織布を非加熱状態でエンボスすることによって形成されてもよく、加熱状態でエンボスすることによって形成されてもよい。後者の場合、特定領域は、親水性不織布を熱エンボスすることにより形成されるものとなる。この場合、親水性不織布を発熱体と接触させて親水性不織布の一部を溶融させたり(いわゆるヒートシール)、親水性不織布を超音波振動子と接触させて親水性不織布の一部を溶融する(いわゆる超音波溶着)ことにより、熱エンボスすることができる。なお、特定領域で親水性不織布が圧密された状態で安定して保持され、特定領域での尿等の平面方向への拡散性を高める観点から、特定領域は親水性不織布を熱エンボスすることにより形成されることが好ましい。
特定領域は、親水性不織布を単独でエンボスすることにより形成されることが好ましく、例えばトップシートとともにエンボスされたり、吸収性コアとともにエンボスされないことが好ましい。これにより、トップシートを透過した尿等が親水性不織布の特定領域で平面方向に広がりやすくなる。また、親水性不織布を透過した尿等が、吸収性コアの広い範囲で、例えば特定領域と重なる部分においても、好適に吸収されやすくなる。特定領域が親水性不織布を熱エンボスすることにより形成される場合は、親水性不織布は、特定領域において、トップシートや吸収性コアなどの他の部材と溶着していないことが好ましい。
親水性不織布は、特定領域において、前後方向に延びる線状のパターンでエンボスされるか、面状にエンボスされる。前者の場合、線状のエンボスパターンは、全体として前後方向に延びる線状のパターンで形成されればよく、直線状であってもよく、曲線状であってもよく、これらの組み合わせであってもよい。前後方向に延びる直線状のエンボスパターンは、前後方向に対して0°以上45°未満の角度で延びる直線状、すなわち前後方向に対して平行または0°超45°未満の角度で傾斜して延びる直線状に形成されればよい。線状のエンボスパターンは、前後方向に延びる蛇行線状に形成されてもよい。線状のエンボスパターンは、前後方向に延びる線状のエンボス部が幅方向に複数並んで構成されることが好ましい。親水性不織布が特定領域において面状にエンボスされる場合は、親水性不織布は特定領域の全体が連続的にエンボスされることが好ましい。
親水性不織布は、特定領域において、例えばストライプ状のパターンでエンボスされていることが好ましい。具体的には、親水性不織布は、特定領域において、前後方向に対して0°以上45°未満の角度で延びる複数の直線部から構成されたストライプ状のパターンでエンボスされていることが好ましい。このように特定領域が形成されていれば、特定領域において尿等の前後方向への拡散性が高まる。ストライプ状のパターンの直線部は、前後方向に対して30°以下の角度で延びていることが好ましく、15°以下の角度で延びていることがより好ましく、5°以下の角度で延びていることがさらに好ましい。
親水性不織布は、特定領域において、格子状のパターンでエンボスされていることも好ましい。具体的には、親水性不織布は、特定領域において、前後方向に対して時計回りに5°以上45°未満の角度で延びる複数の直線部と前後方向に対して反時計回りに5°以上45°未満の角度で延びる複数の直線部とから構成された格子状のパターンでエンボスされていることが好ましい。このように特定領域が形成されていても、特定領域において尿等の前後方向への拡散性を高めることができる。格子状のパターンの直線部は、前後方向に対して時計回りまたは反時計回りに15°以上の角度で延びていることが好ましく、20°以上がより好ましく、また40°以下が好ましく、35°以下がより好ましい。
親水性不織布は、特定領域以外では、エンボスされていないか、エンボスされる場合は、線状または面状以外のパターンでエンボスされる。例えば、親水性不織布は、特定領域以外で、点状(散点状)のパターンでエンボスされていてもよい。
親水性不織布は、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維や、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維であって、当該繊維の表面が界面活性剤により親水化された繊維から形成することができる。なお、親水性不織布は、構成繊維として熱融着性繊維を含むことが好ましく、これにより、親水性不織布を熱エンボスすることにより特定領域を形成することができる。従って、親水性不織布は、熱融着性繊維から構成され、当該繊維の表面が界面活性剤により親水化されたものを用いることが好ましい。熱融着性繊維は、例えば、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等から構成することができる。
親水性不織布としては、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布、スパンレース不織布等が好ましく挙げられる。このような不織布を用いれば、親水性不織布を比較的嵩高に形成することができ、親水性不織布によって、トップシート上に排泄された尿等をより速やかに内部に引き込むことができる。また、親水性不織布をエンボスして特定領域を形成した際、特定領域で親水性不織布の表面を比較的深く窪ませて形成することができ、特定領域に流入した尿等が特定領域で広く拡散しやすくなる。親水性不織布としてはSMS不織布を用いてもよく、この場合は、親水性不織布を薄く形成することが容易になるとともに、親水性不織布の表面において、特定領域以外でも尿等の拡散性を確保しやすくなる。
親水性不織布は、構成繊維が前後方向に配向していることが好ましい。これにより、尿等が親水性不織布を前後方向に拡散しやすくなる。不織布の構成繊維の配向方向は、不織布の表面を顕微鏡等で観察することにより確認できる。例えば、エアスルー不織布やポイントボンド不織布では、不織布を製造するに当たり、繊維塊形成の際の原料短繊維の集積方法やウェブ形成の際の開繊方法を適宜設定することにより、構成繊維の配向方向を揃えることができる。スパンレース不織布では、不織布を形成する際に、短繊維が分散した水流の流れを制御して繊維を堆積させることで、構成繊維の配向方向を揃えることができる。スパンボンド不織布は、ポリマー原料を溶融し、紡糸口金から押し出して延伸し、これをコンベアベルト等の上に集積して、ウェブ状に形成することにより得られるが、この際、コンベアベルト上に集積されたウェブ(繊維)はコンベアベルトの進行方向に沿って配列されることとなる。従って、この場合、ウェブ(繊維)はコンベアベルトの進行方向(MD方向)に沿って配向することとなる。
親水性不織布は、短繊維不織布から構成されることが好ましい。親水性不織布を短繊維不織布から構成することにより、親水性不織布を嵩高に形成しやすくなり、トップシート上に排泄された尿等をより速やかに内部に引き込むことができるとともに、特定領域以外において親水性不織布の尿等の透過性を高めることができる。短繊維不織布としては、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンレース不織布等が挙げられる。
親水性不織布の単位面積あたりの質量は、例えば、3g/m2以上が好ましく、4g/m2以上がより好ましく、5g/m2以上がさらに好ましく、また80g/m2以下が好ましく、60g/m2以下がより好ましく、40g/m2以下がさらに好ましい。
特定領域は、親水性不織布の一部のみに設けられる。特定領域は、例えば、親水性不織布の3%以上の面積で設けられることが好ましく、5%以上がより好ましく、8%以上がさらに好ましく、また50%以下の面積で設けられることが好ましく、40%以下がより好ましく、30%以下がさらに好ましい。
特定領域は、前後方向に延びるように設けられることが好ましい。すなわち、特定領域は、前後方向の長さが幅方向の長さよりも長く形成されていることが好ましい。特定領域は、例えば、前後方向に直線状に延びていてもよく、ジクザグ状や曲線状や蛇行状に延びていてもよい。特定領域は、全体として前後方向に延びていればよく、例えば前後方向に対して斜め方向に延びていてもよい。
特定領域は、親水性不織布に1つのみ設けられてもよく、2つ以上設けられてもよい。後者の場合、特定領域は、幅方向に並んで配置されてもよく、前後方向に並んで配置されてもよく、幅方向と前後方向に並んで配置されてもよい。
特定領域は、分岐部を有していてもよい。なお、特定領域において尿等の前後方向への拡散性を高める観点から、特定領域は前後方向に対して略平行に直線状に延びる部分を有することが好ましく、詳細には、前後方向に対して±10°以内の角度(好ましくは±5°以内の角度)で直線状に延びる部分を有することが好ましい。特定領域は、前後方向に少なくとも30mm以上の長さで設けられることが好ましく、50mm以上がより好ましく、80mm以上がさらに好ましく、また特定領域は、前後方向に延びる直線部がこのような長さで設けられることが好ましい。特定領域の前後方向の長さの上限は特に限定されず、親水性不織布の前後方向の全体にわたって設けられてもよい。
特定領域は、帯状に前後方向に延びるように設けられることが好ましい。帯状の特定領域の幅、すなわち帯状の特定領域の延在方向に対する垂直方向の長さは、1mm以上が好ましく、3mm以上がより好ましく、5mm以上がさらに好ましく、また40mm以下が好ましく、35mm以下がより好ましく、30mm以下がさらに好ましい。
特定領域は、吸収性コアの幅方向の中央部と重なって、前後方向に延びるように設けられることが好ましい。このように特定領域が設けられることにより、着用者から排泄されトップシートを透過した尿等が親水性不織布の特定領域に到達しやすくなる。そのため、トップシートを透過した尿等のより多くが、特定領域において前後方向に拡散しやすくなる。また、特定領域が着用者の座骨によって圧迫されにくくなり、尿等が特定領域で前後方向に拡散しやすくなる。特定領域は、例えば、吸収性コアの幅方向の中央部として、吸収性コアの中央1/3の部分の一部または全部のみと重なって設けられることが好ましい。
特定領域は、吸収性コアの前後方向の30%以上の領域と重なるように設けられることが好ましく、40%以上がより好ましく、45%以上がさらに好ましい。このように特定領域が設けられれば、尿等が前後方向のより広い範囲にわたって拡散しやすくなる。一方、特定領域は、吸収性コアの前後方向100%以下の領域と重なるように設けられればよいが、特定領域は、吸収性コアの前後方向の80%以下の領域と重なるように設けられることが好ましく、70%以下がより好ましく、65%以下がさらに好ましい。
特定領域は、吸収性コアの前後方向の中央1/3の領域の少なくとも一部と重なって設けられることが好ましい。このように特定領域が設けられることにより、特定領域が着用者の排尿部付近に位置し、着用者から排泄されトップシートを透過した尿等のより多くが、特定領域において前後方向に拡散しやすくなる。特定領域は、吸収性コアの前後方向の中心と重なって設けられることがより好ましい。
特定領域は、例えば、吸収性コアの前後方向の中央1/3の領域から前方1/3の領域にかけて重なるように設けられることが好ましい。このように特定領域が設けられていれば、尿等が吸収性コアの前後方向の中央領域から前方領域に移行しやすくなり、吸収性コアの前方領域の吸収能が有効に活用されやすくなる。吸収性コアの前方領域の吸収能をより有効に活用する観点からは、特定領域は前側端が複数に分岐していてもよい。
特定領域は、吸収性コアの前後方向の中央1/3の領域から後方1/3の領域にかけて重なるように設けられることも好ましい。このように特定領域が設けられていれば、尿等が吸収性コアの前後方向の中央領域から後方領域に移行しやすくなり、吸収性コアの後方領域の吸収能が有効に活用されやすくなる。吸収性コアの後方領域の吸収能をより有効に活用する観点からは、特定領域は後側端が複数に分岐していてもよい。
特定領域は、吸収性コアの前後方向の中央1/3の領域から前方1/3の領域にかけて重なるように設けられるとともに、吸収性コアの前後方向の中央1/3の領域から後方1/3の領域にかけて重なるように設けられることも好ましい。このように特定領域が設けられれば、尿等が吸収性コアの前後方向の中央領域から前方領域および後方領域に移行しやすくなり、吸収性コアの前方領域と後方領域の吸収能が有効に活用されやすくなる。吸収性コアの前方領域と後方領域の吸収能をより有効に活用する観点からは、特定領域は前側端と後側端が複数に分岐していてもよい。
なお、特定領域は、親水性不織布の前側縁および後側縁まで延在しないように設けられていることが好ましい。すなわち、特定領域は、前側端が親水性不織布の前側縁よりも後方に位置し、後側端が親水性不織布の後側縁よりも前方に位置することが好ましい。このように特定領域が設けられることにより、尿等が親水性不織布の前側縁よりも前方および後側縁よりも後方に拡散しにくくなり、親水性不織布において前後方向に適度に拡散されるようになる。そのため、その後親水性不織布を透過した尿等が吸収性コアで好適に吸収されやすくなる。同様の観点から、特定領域は、吸収性コアの前側縁および後側縁まで延在しないように設けられることが好ましい。
特定領域は、吸収性コアの後側に偏って設けられていることが好ましい。このように特定領域が設けられていれば、尿等が吸収性コアの後方領域に移行しやすくなり、吸収性コアの後方領域の吸収能が有効に活用されやすくなる。吸収性コアの後方領域は、着用者が仰向けで寝たり着座している状態で、着用者からの体圧を受け、尿等が流れにくくなるところ、このように特定領域が設けられることにより、尿等の吸収性コアの後方領域への拡散性が高まる。尿等の吸収性コアの後方領域への拡散性を高める観点からは、特定領域は後側端が複数に分岐していることが好ましい。
親水性不織布は吸収性コアと重なって設けられるが、親水性不織布は、吸収性コアの前側縁よりも前方に延在していてもよく、吸収性コアの前側縁まで延在していなくてもよく、また吸収性コアの後側縁よりも後方に延在していてもよく、吸収性コアの後側縁まで延在していなくてもよい。
親水性不織布は、いわゆるセカンドシートとして、トップシートと吸収性コアの間に設けることができる。この場合、親水性不織布は、全体が吸収性コアの肌面側に位置することとなる。セカンドシートとして設けられる親水性不織布は、比較的嵩高に形成されることが好ましく、例えばエアスルー不織布、ポイントボンド不織布、スパンボンド不織布またはスパンレース不織布から構成されることが好ましい。このときの親水性不織布の単位面積当たりの質量は、20g/m2以上が好ましく、22g/m2以上がより好ましく、24g/m2以上がさらに好ましく、また80g/m2以下が好ましく、60g/m2以下がより好ましく、40g/m2以下がさらに好ましい。
親水性不織布は、吸収性コアの被覆シートとして設けることもできる。この場合、親水性不織布は、幅方向の両端部が吸収性コアの幅方向の両側縁に沿って外面側に折り返され、幅方向の両端部が吸収性コアの外面側に位置するように設けたり、幅方向の両端部が吸収性コアの幅方向の両側縁に沿って肌面側に折り返され、幅方向の両端部が吸収性コアの肌面側に位置するように設けることができる。後者の場合、被覆シートは、吸収性コアの肌面側で、親水性不織布の幅方向の一方端部と他方端部が互いに重ねられていることが好ましい。親水性不織布が吸収性コアの被覆シートとして設けられる場合、親水性不織布は、全体が吸収性コアの肌面側に位置するように設けられてもよい。被覆シートとして設けられる親水性不織布は、比較的薄手で液透過性が形成されることが好ましく,例えばエアスルー不織布、ポイントボンド不織布またはスパンレース不織布から構成されることが好ましい。このときの親水性不織布の単位面積当たりの質量は、14g/m2以上が好ましく、17g/m2以上がより好ましく、また30g/m2以下が好ましく、25g/m2以下がより好ましい。親水性不織布が被覆シートとして設けられる場合、親水性不織布は単位面積当たりの質量がトップシートよりも小さくなるように形成されていてもよい。これにより、特定領域以外において、親水性不織布の尿等の透過性を高めることができ、尿等の速やかな吸収を実現することができる。
次に、本発明の吸収性物品の構成例について、図面を参照して説明する。なお本発明は、図面に示された実施態様に限定されるものではない。
図1および図2には、本発明の吸収性物品の第1構成例を示した。図1および図2には、吸収性物品として尿パッドの構成例が示されており、図1は、尿パッドを肌面側から見た平面図を表し、図2は、図1に示した尿パッドのII-II断面図を表す。本願の図では、矢印xが幅方向、矢印yが前後方向を表し、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が厚み方向zを表す。図1では、図面の上側が吸収性物品の前側に相当し、図面の下側が吸収性物品の後側に相当する。
吸収性物品1(1A)は、トップシート2とバックシート3とこれらの間に設けられた吸収性コア4とを有する。トップシート2は吸収性コア4の肌面側に配され、バックシート3は吸収性コア4の外面側に配されている。トップシート2を透過した排泄物は、吸収性コア4により収容される。バックシート3は排泄物が外へ漏れるのを防いでいる。図面では、吸収性コア4は砂時計形に形成されている。
トップシート2の幅方向xの両側には、前後方向yに延在する液不透過性のサイドシート5が接合されている。サイドシート5は、トップシート2と接合部5Aで接合され、接合部5Aよりも幅方向xの内方部分がトップシート2から起立可能に形成され、接合部5Aよりも幅方向xの外方部分がバックシート3に積層されている(図2を参照)。サイドシート5の幅方向xの内方部分が起立することにより立ち上がりフラップ6が形成され、これにより尿等の幅方向xの横漏れを防止することができる。なお、サイドシート5の幅方向xの内方部分がトップシート2から起立可能に形成されるために、サイドシート5には、接合部5Aよりも幅方向xの内方部分に前後方向yに延びる起立用弾性部材7が設けられることが好ましい。
トップシート2と吸収性コア4の間には親水性不織布8が配されている。図1および図2では、親水性不織布8はセカンドシートとして設けられており、親水性不織布8の全体が吸収性コア4の肌面側に位置するように設けられている。
親水性不織布8は特定領域9を有する。親水性不織布8は、特定領域9において、前後方向yに延びる線状のパターンでエンボスされているか、面状にエンボスされている。このように特定領域9が形成された親水性不織布8がトップシート2と吸収性コア4の間に配されることにより、トップシート2上に排泄された尿等が速やかに吸収性物品1の内部に引き込まれるとともに、トップシート2を透過した尿等が親水性不織布8の特定領域9で前後方向yに広がりやすくなり、吸収性コア4が前後方向yの広い範囲にわたって尿等の吸収に寄与しやすくなる。これにより、吸収性コア4の尿等の吸収能を高めることができ、尿等の吸収性に優れるものとなる。
図1では、特定領域9は、吸収性コア4の幅方向xの中央部と重なって、前後方向yに延びるように設けられている。また、特定領域9は、吸収性コア4の後側に偏って設けられている。このように特定領域9が設けられることにより、特定領域9が着用者の排尿部に面するように位置し、着用者から排泄されトップシート2を透過した尿等が、親水性不織布8の特定領域9に到達しやすくなる。そのため、トップシート2を透過した尿等のより多くが、特定領域9において前後方向yに拡散しやすくなる。特定領域9では、尿等が前後方向yの後方に移行しやすくなり、吸収性コア4の後方領域の吸収能が有効に活用されやすくなる。また、特定領域9が座骨によって圧迫されにくくなり、尿等が特定領域9で前後方向yに拡散しやすくなる。
図1では、特定領域9は、親水性不織布8の前側縁および後側縁まで延在しないように設けられている。このように特定領域9が設けられることにより、尿等が特定領域9において前後方向yに過度に拡散せず、その後親水性不織布8を透過した尿等が吸収性コア4で好適に吸収されやすくなる。
図3には、親水性不織布8の特定領域9の様々な形成例を示した。図3(a)では、特定領域9は後側端が複数に分岐して形成されている。このように特定領域9が設けられていれば、尿等が特定領域9の後側端で幅方向xに拡散し、吸収性コア4の後方領域の吸収能が有効に活用されやすくなる。図3(b)では、特定領域9は前側に偏って設けられている。このように特定領域9が設けられていれば、特定領域9において尿等が吸収性コア4の前方領域に移行しやすくなり、吸収性コア4の前方領域の吸収能が有効に活用されやすくなる。図3(c)では、特定領域9は前側端が複数に分岐している。このように特定領域9が設けられていれば、尿等が特定領域9の前側端で幅方向xに拡散し、吸収性コア4の前方領域の吸収能が有効に活用されやすくなる。図3(d)では、特定領域9は前後方向yに複数(図では3つ)並んで配置されている。このように特定領域9が設けられていれば、尿等が特定領域9で前後方向yに拡散する際に、前後方向yに並んだ特定領域9の間の部分で尿等の一部が親水性不織布8を透過し、尿等の他部はさらに特定領域9で前後方向yに拡散する。そのため、吸収性コア4の吸収能がより広い範囲にわたって有効に活用されやすくなる。
図4および図5には、本発明の吸収性物品の第2構成例を示した。図4および図5には、吸収性物品としてテープタイプの使い捨ておむつの構成例が示されており、図4は、テープタイプの使い捨ておむつを肌面側から見た平面図を表し、図5は、図4に示した使い捨ておむつのV-V断面図を表す。なお、下記において、上記の第1構成例に係る説明と重複する部分の説明は省略する。
図4および図5に示した吸収性物品1(1B)では、前後方向yの後側部の幅方向xの両側にファスニングテープ12が設けられ、前後方向yの前側部のバックシート3の外面側にターゲットテープ15が設けられている。ファスニングテープ12はテープ基材14に面ファスナーのフック部材13が設けられて構成されている。吸収性物品1Bは、着用者の股間に当てて、ファスニングテープ12のフック部材13を吸収性物品1Bの前側部のターゲットテープ15に止着することで、装着することができる。
ファスニングテープ12において、フック部材13はテープ基材14の肌面側に設けられている。テープ基材14は、幅方向xの内方部がサイドシート5および/またはバックシート3に固定され、幅方向xの外方部にフック部材13が取り付けられる。フック部材13は、基盤から係合素子が多数突出して形成される。係合素子の形状は特に限定されず、鉤形、錨形、きのこ形、柱形等が挙げられる。テープ基材14としては、不織布、織布、編布、樹脂フィルム、あるいはこれらの積層体等を用いることができる。
ターゲットテープ15は面ファスナーのループ部材から構成されることが好ましい。面ファスナーのループ部材は、基盤上に、フック部材13の係合素子と係合可能なループ部が設けられて構成される。ループ部は一部が基盤に固定され他部が基盤と非固定とされ、これによりフック部材13の係合素子がループ部の基盤との非固定部分に係合することができる。
吸収性物品1Bの幅方向xの両側には、前後方向yに延びる脚用弾性部材10が設けられることが好ましい。脚用弾性部材10により、着用者の脚周りにギャザーを形成して脚周りのフィット性を高めたり、横漏れを防止することができる。
吸収性物品1Bの前後方向yの端部には、幅方向xに延びるウェスト弾性部材11が設けられることが好ましい。ウェスト弾性部材11により着用者の腰周りに沿ったウェストギャザーが形成され、腹部や背部からの尿等の漏れが防止される。
トップシート2と吸収性コア4の間には親水性不織布8が配されている。吸収性物品1Bでは、親水性不織布8は吸収性コア4の被覆シートとして設けられている。
図4に示すように、吸収性物品1Bでは、特定領域9は、吸収性コア4の幅方向xの中央部と重なって、前後方向yに延びるように形成されている。また、特定領域9は、吸収性コア4の前後方向yの中央1/3の領域から前方1/3の領域にかけて重なるように形成されるとともに、吸収性コア4の前後方向yの中央1/3の領域から後方1/3の領域にかけて重なるように形成されている。このように特定領域9が形成されれば、尿等が吸収性コア4の前後方向yの中央領域から前方領域および後方領域に移行しやすくなり、吸収性コア4の前方領域と後方領域の吸収能が有効に活用される。
図5では、親水性不織布8は、幅方向xの両端部が吸収性コア4の幅方向xの両側縁に沿って外面側に折り返され、幅方向xの両端部が吸収性コア4の外面側に位置している。そして親水性不織布8には、吸収性コア4の肌面側に位置する部分に特定領域9が形成されている。このように特定領域9が形成されていても、トップシート2を透過した尿等が親水性不織布8の特定領域9で前後方向yに広がりやすくなり、吸収性コア4が前後方向yのより広い範囲にわたって尿等の吸収に寄与しやすくなる。これにより、吸収性コア4の尿等の吸収能を高めることができる。
図5では、親水性不織布8は、幅方向xの両端部が吸収性コア4の外面側で互いに離隔して設けられているが、幅方向xの両端部は吸収性コア4の外面側で互いに重なって設けられていてもよい。また特定領域9は、図4に示した形態に限らず、図1や図3(a)~(d)に示した形態など、様々な形態で設けることができる。
図6には、図4に示した吸収性物品のV-V断面図の変形例を示した。図6では、親水性不織布8は、幅方向xの両端部が吸収性コア4の幅方向xの両側縁に沿って肌面側に折り返され、幅方向xの両端部が吸収性コア4の肌面側に位置している。親水性不織布8の幅方向xの両端部は吸収性コア4の肌面側で互いに重ねられて重ね合わせ部が形成され、親水性不織布8の両端部の重ね合わせ部に特定領域9が形成されている。このように特定領域9が形成されていても、トップシート2を透過した尿等が親水性不織布8の特定領域9で前後方向yに広がりやすくなり、吸収性コア4が前後方向yの広い範囲にわたって尿等の吸収に寄与しやすくなる。これにより、吸収性コア4の尿等の吸収能を高めることができる。