JP3242336U - 吸収性物品 - Google Patents
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Abstract
【課題】尿等の吸収性に優れた吸収性物品を提供する。【解決手段】液透過性のトップシート2と液不透過性のバックシート3とこれらの間に設けられた吸収体11を有する吸収性物品1であって、吸収体11として特定の吸収体のみが設けられており、特定の吸収体は、シート部材の間に吸水性樹脂が配され、パルプ繊維が配されておらず、シート部材どうしが接合された封止部15と、シート部材どうしが接合されない非封止部16とを有し、非封止部16に吸水性樹脂が配されており、非封止部16は前後方向yに延びるストライプ状に設けられ、トップシート2は、四角格子状のエンボス部7と、エンボス部7に囲まれた非エンボス部9とを有し、非エンボス部9は封止部15と重なって設けられ、非エンボス部9は前後方向yの長さが幅方向xの長さよりも長く、封止部15と重なる位置と非封止部16と重なる位置の両方に四角格子状のエンボス部7の格子点が存在する。【選択図】図1
Description
本考案は、尿パッド(軽失禁パッドを含む)、生理用ナプキン、使い捨ておむつ等の吸収性物品に関するものである。
従来、シート部材間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しない吸収体を備えた吸収性物品が知られている。例えば特許文献1~4には、このような吸収体を有する吸収性物品が開示されている。
シート部材間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように構成された吸収体は、パルプ繊維を有しないため、吸収容量を確保しつつ薄型に形成することができる。一方、このように構成された吸収体は、パルプ繊維を有しないために、尿等の引き込み力が不十分となる場合があることから、尿等を速やかに吸収できることが望ましい。
本考案は前記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、シート部材間に吸水性樹脂を有しパルプ繊維を有しないように構成された吸収体を有する吸収性物品であって、尿等の吸収性に優れた吸収性物品を提供することにある。
前記課題を解決することができた本考案の吸収性物品とは、前後方向と幅方向を有し、液透過性のトップシートと液不透過性のバックシートとこれらの間に設けられた吸収体を有する吸収性物品であって;吸収体は、複数層のシート部材を有し、シート部材の間に吸水性樹脂が配され、パルプ繊維が配されておらず;吸収体は、シート部材どうしが接合された封止部と、シート部材どうしが接合されない非封止部とを有し、非封止部に吸水性樹脂が配されており;非封止部は前後方向に延びるストライプ状に設けられ;トップシートは、前後方向に対して傾斜して一方向と他方向に延びる複数の直線部から構成された四角格子状のエンボス部と、エンボス部に囲まれた非エンボス部とを有し;非エンボス部は封止部と重なって設けられ、非エンボス部は前後方向の長さが幅方向の長さよりも長いところに特徴を有する。
本考案の吸収性物品は、上記のようにトップシートにエンボス部が形成されているため、トップシートにおいて尿等の前後方向への拡散性が高まる。トップシート上で拡散した尿等は、非エンボス部でトップシートを速やかに透過することができる。トップシートの非エンボス部を透過した尿等は、吸収体の封止部で前後方向へ拡散し、これにより尿等が吸収体によって速やかに吸収されやすくなる。そのため、本考案の吸収性物品は、尿等の吸収性に優れるものとなる。
エンボス部は、トップシートの吸収体と重なる領域の全体に設けられていることが好ましい。このようにエンボス部が設けられることにより、尿等がトップシート上の広範囲に拡散しやすくなり、吸収体の全体が尿等の吸収に寄与しやすくなる。
トップシートは短繊維不織布から構成され、当該不織布の構成繊維が前後方向に配向していることが好ましい。これにより、尿等がトップシート上を前後方向に優先的に拡散しやすくなるとともに、幅方向への拡散性も確保される。
非エンボス部の前後方向の長さは幅方向の長さの1.2倍以上4.0倍以下であることが好ましい。このように非エンボス部が形成されていれば、尿等がトップシート上を前後方向に優先的に拡散しやすくなるとともに、幅方向への拡散性も確保される。
非エンボス部の幅方向の長さは、封止部の幅方向の長さよりも長いことが好ましい。このように非エンボス部が形成されていれば、非エンボス部の一部が吸収体の非封止部と重なって存在することとなる。そのため、トップシートの非エンボス部を透過した尿等が、吸収体の非封止部に配された吸水性樹脂によって速やかに吸収されやすくなる。一方、非エンボス部の幅方向の長さは、非封止部の幅方向の長さよりも短いことが好ましい。これにより、吸収体の非封止部と重なる位置に四角格子状のエンボス部の格子点が存在することになり、トップシートの吸収体の非封止部と重なる領域で尿等の拡散性が高まる。そのため、吸収体の非封止部は尿等の拡散性が低くなるものの、この拡散性の低さをトップシートの四角格子状のエンボス部が補うものとなる。非エンボス部の幅方向の長さは、封止部の幅方向の長さよりも長く、非封止部の幅方向の長さよりも短いことがより好ましい。
エンボス部は熱エンボス部であることが好ましい。エンボス部が熱エンボスにより形成されていれば、エンボス部での尿等の拡散性をより高めることができる。
本考案の吸収性物品は、トップシートのエンボス部で尿等が前後方向へ拡散しやすくなり、トップシート上で拡散した尿等は、非エンボス部でトップシートを速やかに透過することができる。トップシートの非エンボス部を透過した尿等は、吸収体の封止部で前後方向へ拡散し、これにより尿等が吸収体によって速やかに吸収されやすくなる。そのため、本考案の吸収性物品は、尿等の吸収性に優れるものとなる。
本考案の吸収性物品について、図面を参照して説明する。なお本考案は、図面に示された実施態様に限定されるものではない。
図1~図4には、本考案の吸収性物品の一例として、軽失禁パッドの構成例を示した。図1は、吸収性物品(軽失禁パッド)をトップシート側から見た平面図を表し、図2は、図1に示した吸収性物品のII-II断面図を表し、図3は、図2に示した吸収性物品に備えられた吸収体の幅方向断面図を表し、図4は、図3に示した吸収体を肌面側から見た一部切欠き平面図を表す。本願の図では、矢印xが幅方向、矢印yが前後方向を表し、矢印x,yにより形成される面に対して垂直方向が厚み方向zを表す。図1では、図面の上側が吸収性物品の前側に相当し、図面の下側が吸収性物品の後側に相当する。
吸収性物品1は、トップシート2とバックシート3とこれらの間に設けられた吸収体11とを有する。トップシート2は吸収体11の肌面側に配され、バックシート3は吸収体11の非肌面側に配されている。トップシート2を透過した排泄物は、吸収体11により収容される。バックシート3は排泄物が外へ漏れるのを防いでいる。
吸収性物品1は、前後方向yと幅方向xを有する。前後方向yとは、吸収性物品を着用した際に着用者の股間の前後方向に延びる方向に相当する。幅方向xとは、吸収性物品と同一面上にあり前後方向yと直交する方向を意味し、吸収性物品を着用した際の着用者の左右方向に相当する。また、吸収性物品を着用者が着用した際に、着用者の肌に向かう側を肌面側とし、その反対側を非肌面側とする。
トップシート2は吸収体11の肌面側に配され、吸収性物品の着用の際に着用者の肌に面するように設けられる。トップシート2は、液透過性であることが好ましい。トップシート2としては、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や;ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたもの等を用いることができる。また、トップシート2として、織布、編布、有孔プラスチックフィルム等を用いてもよい。
バックシート3は吸収体11の非肌面側に配され、液不透過性であることが好ましい。バックシート3としては、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布や、プラスチックフィルム等を用いることができる。また、バックシート3として、不織布とプラスチックフィルムとの積層体を用いてもよい。
吸収性物品1には、トップシート2の幅方向xの両側に、前後方向yに延在するサイドシート5が設けられることが好ましい。サイドシート5は、トップシート2の幅方向xの両側に接合される。図1および図2では、幅方向xの一方側と他方側のサイドシート5に、各々起立用弾性部材6が3本設けられている。吸収性物品の使用時には、起立用弾性部材6の収縮力によりサイドシート5の内方部が着用者の肌に向かって立ち上がり、これにより立ち上がりフラップが形成され、尿等の排泄物の横漏れが防止される。サイドシート5は、液不透過性のプラスチックフィルムや液不透過性の不織布等により構成することができ、バックシート3に使用可能なシート材料を用いることができる。
図面ではバックシート3と吸収体11との間に台紙4が設けられており、台紙4により吸収性物品1の形状保持性を向上させることができる。台紙4は、クレープ紙や不織布から構成することができる。台紙4は設けなくてもよい。
トップシート2やバックシート3やサイドシート5として不織布を用いる場合、不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、ポイントボンド不織布、メルトブロー不織布、エアレイド不織布、SMS不織布等を用いることが好ましい。
吸収体11の詳細について、図3および図4を参照して説明する。図3には、吸収体11の幅方向xの断面図が示されており、図4には、吸収体11を肌面側から見た一部切欠き平面図が示されている。
吸収体11は、複数層のシート部材12を有し、シート部材12の間に吸水性樹脂13が配され、パルプ繊維が配されない。すなわち吸収体11は、肌面側と非肌面側にそれぞれシート部材12が配され、これらのシート部材12の間に吸水性樹脂13が配されるが、これらのシート部材12の間にはパルプ繊維は配されない。なお、シート部材12間には、製造上不可避的に混入するパルプ繊維の存在は許容される。吸収体11はこのように構成されることにより、高い吸収容量を有しつつ薄型に形成することができる。
吸収体11の形状(平面形状)は特に限定されない。吸収体11の形状としては、例えば、略長方形、砂時計形、ひょうたん形、羽子板形等が挙げられる。
吸水性樹脂13としては、ポリアクリル酸ナトリウム等のポリアクリル酸系の吸水性樹脂;デンプン-アクリロニトリルグラフト共重合体、デンプン-アクリル酸グラフト共重合体、デンプン-アクリルアミドグラフト共重合体等のデンプン系の吸水性樹脂;ポリビニルアルコール架橋体等のポリビニルアルコール系の吸水性樹脂等を用いることができる。吸水性樹脂13としては、高い液吸収量を有する点で、ポリアクリル酸ナトリウム等のポリアクリル酸系の吸水性樹脂を用いることが好ましい。
シート部材12は液透過性であり、例えば、セルロース、レーヨン、コットン等の親水性繊維から形成された不織布や、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の疎水性繊維から形成された不織布であって、疎水性繊維の表面が界面活性剤により親水化されたものを用いることができる。また、シート部材12として、織布、編布、有孔プラスチックフィルム等を用いてもよい。好ましくは、シート部材12として、不織布製シート部材、すなわち不織布シートを用いる。
シート部材12は、肌面側のシート部材と非肌面側のシート部材が別々に設けられてもよく、1つのシート部材を折り返し、折り返された一方側を肌面側のシート部材とし、他方側を非肌面側のシート部材としてもよい。
吸収体11は、シート部材12どうしが接合された封止部15と、シート部材12どうしが接合されない非封止部16とを有し、非封止部16に吸水性樹脂13が配されている。封止部15は、シート部材12どうしを接着剤で接合したり、溶着(ヒートシールや超音波溶着等)することにより形成される。非封止部16は、シート部材12どうしが接合されない部分として規定され、封止部15以外の部分が非封止部16に相当する。なお、吸収体11は、封止部15にも吸水性樹脂13が配されていてもよい。
図3では、シート部材12に接着剤が塗布されて接着剤層14が形成され、非封止部16において、吸水性樹脂13が接着剤層14によりシート部材12に固定されている。接着剤層14は、肌面側のシート部材12と非肌面側のシート部材12の少なくとも一方に設けられればよいが、好ましくは、接着剤層14は両方のシート部材12に設けられる。吸水性樹脂13は、少なくとも一部が接着剤層14に固定されていればよい。吸水性樹脂13が接着剤層14によりシート部材12に固定されていれば、吸水性樹脂13の吸収前においては、吸水性樹脂13がシート部材12間で移動しにくくなり、吸収体11における尿等の吸収能力が確保されやすくなる。吸水性樹脂13の吸収後においても、ゲル化した吸水性樹脂13がシート部材12間で移動しにくくなる結果、吸水性樹脂13が塊になって着用者に違和感を与えにくくなる。
接着剤層14は、吸水性樹脂13を固定しつつ、吸水性樹脂13による吸水や膨潤を阻害しないことが好ましい。そのような接着剤層14を形成するために、カーテンスプレー法、スパイラルコーティング法、オメガコーティング法、コーター法等により接着剤層14が形成されることが好ましい。
封止部15は、吸水性樹脂13が吸水しても、シート部材12どうしの接合が維持されることが好ましい。これにより、吸水性樹脂13の吸水後も、吸収体11における尿等の吸収能力が確保されやすくなる。このような観点から、封止部15は、シート部材12どうしをゴム系接着剤やスチレン系エラストマー等の接着剤で接合したり、溶着することにより形成されることが好ましい。
吸収体11では、非封止部16が前後方向yに延びるストライプ状に設けられている。すなわち、非封止部16は前後方向yに延びるように少なくとも2つ設けられる。この場合、封止部15は、幅方向xに対して非封止部16に挟まれて、前後方向yに延びるように少なくとも1つ設けられることとなる。好ましくは、吸収体11の幅方向xの一方側の端部と他方側の端部に、前後方向yに延びる封止部15がそれぞれ設けられる。従って、封止部15も前後方向yに延びるストライプ状に配されることが好ましい。封止部15は前後方向yの全体にわたって形成されることが好ましい。このように吸収体11が形成されていれば、尿等が封止部15において前後方向yに拡散しやすくなり、トップシート2を透過し吸収体11に到達した尿等が、吸収体11上で前後方向yに拡散しやすくなり、尿等が吸収体11に速やかに吸収されやすくなる。非封止部16は、幅方向xに並んで3つ以上設けられることが好ましく、4つ以上設けられることが好ましい。封止部15は、幅方向xに並んで4つ以上設けられることが好ましく、5つ以上設けられることが好ましい。
封止部15の1つ当たりの幅方向xの長さは、1mm以上が好ましく、2mm以上がより好ましく、また10mm以下が好ましく、8mm以下がより好ましい。非封止部16の1つ当たりの幅方向xの長さは、5mm以上が好ましく、8mm以上がより好ましく、また50mm以下が好ましく、30mm以下がより好ましく、20mm以下がさらに好ましい。封止部15と非封止部16の幅方向xの長さの比は、封止部15の幅方向xの長さ/非封止部16の幅方向xの長さとして、5/95以上が好ましく、10/90以上がより好ましく、15/85以上がさらに好ましく、また50/50以下が好ましく、60/40以下がより好ましい。
非封止部16に配される吸水性樹脂13の量は特に限定されないが、100g/m2以上が好ましく、150g/m2以上がより好ましく、また400g/m2以下が好ましく、385g/m2以下がより好ましい。非封止部16に吸水性樹脂13が100g/m2以上の量で配されていれば、吸収体11の吸収容量を高めやすくなる。一方、非封止部16に吸水性樹脂13が400g/m2以下の量で配されていれば、吸水性樹脂13が吸水しても、封止部15でシート部材12どうしの接合が維持されやすくなる。
図1に示すように、トップシート2には、四角格子状のエンボス部7が形成されている。四角格子状のエンボス部7は、前後方向yに対して傾斜して一方向と他方向に延びる複数の直線部8から構成されており、直線部8においてトップシート2が押圧されている。このようにトップシート2が形成されることにより、尿等がトップシート2上で拡散しやすくなる。すなわち、エンボス部7でトップシート2が圧密されることにより、トップシート2において尿等の平面方向への拡散性が高まる。一方、トップシート2には、四角格子状のエンボス部7に囲まれて非エンボス部9が形成されるが、非エンボス部9ではトップシート2が圧密されず、尿等のトップシート2の透過性が確保される。つまり、エンボス部7でトップシート2の平面方向に拡散した尿等が、非エンボス部9でトップシート2を速やかに透過しやすくなる。トップシート2を透過した尿等は、上記に説明したように、吸収体11に封止部15が形成されることによって、吸収体11での拡散性が高まり、尿等が吸収体11によって速やかに吸収されやすくなる。エンボス部7での拡散性を高め、非エンボス部9での液透過性を高める観点から、トップシート2は不織布から構成されることが好ましい。
エンボス部7は、トップシート2が非加熱状態で押圧されることによって形成されるものであってもよく、加熱状態で押圧されることによって形成されるものであってもよい。いずれの場合も、エンボス部7はトップシート2が単独で押圧されることによって形成されることが好ましい。なお、エンボス部7での尿等の拡散性を高める観点から、エンボス部7は加熱状態で押圧されることによって形成されることが好ましく、すなわち、エンボス部7は熱エンボス部であることが好ましい。この場合、トップシート2は熱融着性繊維を含む不織布から構成されていることが好ましい。また、熱エンボス部では不織布の構成繊維の少なくとも一部が溶融していることが好ましい。熱融着性繊維としては、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン)、ポリエステル(例えば、PET)、ポリアミド(例えば、ナイロン)等の熱可塑性樹脂から構成された繊維が挙げられる。
四角格子状のエンボス部7は、前後方向yに対して傾斜して一方向に延びる複数の直線部8A(以下、「第1直線部」と称する)と前後方向yに対して傾斜して他方向に延びる複数の直線部8B(以下、「第2直線部」と称する)とが交差することにより形成される。複数の第1直線部8Aと複数の第2直線部8Bが互いに交差することによって、トップシート2には、略ひし形の非エンボス部9が複数形成されることが好ましい。「略ひし形」には、完全なひし形のみならず、角が丸まったひし形や角がカットされたひし形も含まれる。例えばトップシート2を四角格子状のパターンでエンボスした場合、第1直線部8Aと第2直線部8Bの交点では、第1直線部8Aおよび/または第2直線部8Bの線幅がそれ以外の部分よりも太くなる場合がある。そのような場合は、非エンボス部9は、角が丸まったひし形や角がカットされたひし形に形成され得る。略ひし形の非エンボス部9は、幅方向xと前後方向yに複数並んで形成されることが好ましい。
第1直線部8Aは、前後方向yに対して時計回りに5°以上の角度で傾斜していることが好ましく、10°以上がより好ましく、15°以上がさらに好ましく、また44°以下が好ましく、35°以下がより好ましく、30°以下がさらに好ましい。第2直線部8Bは、前後方向yに対して反時計回りに5°以上の角度で傾斜していることが好ましく、10°以上がより好ましく、15°以上がさらに好ましく、また44°以下が好ましく、35°以下がより好ましく、30°以下がさらに好ましい。このように第1直線部8Aと第2直線部8Bが設けられることにより、尿等がトップシート2上を幅方向xよりも前後方向yに拡散しやすくなる。
複数の第1直線部8Aは略等ピッチで一方向に傾斜して配されることが好ましく、複数の第2直線部8Bは略等ピッチで他方向に傾斜して配されることが好ましい。複数の第1直線部8Aのピッチ長さおよび複数の第2直線部8Bのピッチ長さは、3mm以上が好ましく、4mm以上がより好ましく、5mm以上がさらに好ましく、また15mm以下が好ましく、12mm以下がより好ましく、10mm以下がさらに好ましい。複数の第1直線部8A(または第2直線部8B)のピッチ長さは、隣接する第1直線部8A(または第2直線部8B)の線幅の中心間の距離を意味する。第1直線部8Aと第2直線部8Bの線幅は0.5mm以上が好ましく、0.8mm以上がより好ましく、また2.5mm以下が好ましく、2.0mm以下がより好ましい。なお、複数の第1直線部8Aのピッチ長さは、第1直線部8Aの線幅よりも大きいことが好ましく、例えば、複数の第1直線部8Aのピッチ長さは第1直線部8Aの線幅の2倍以上が好ましく、3倍以上がより好ましく、また20倍以下が好ましく、15倍以下がより好ましく、10倍以下がさらに好ましい。複数の第2直線部8Bのピッチ長さは、第2直線部8Bの線幅よりも大きいことが好ましく、例えば、複数の第2直線部8Bのピッチ長さは第2直線部8Bの線幅の2倍以上が好ましく、3倍以上がより好ましく、また20倍以下が好ましく、15倍以下がより好ましく、10倍以下がさらに好ましい。
非エンボス部9は、前後方向yの長さが幅方向xの長さよりも長く形成されている。詳細には、四角格子状のエンボス部7によって囲まれた各非エンボス部9が、前後方向yの長さが幅方向xの長さよりも長く形成されている。このように非エンボス部9が形成されることにより、尿等がトップシート2上で前後方向yに拡散しやすくなる。非エンボス部9の前後方向yの長さは幅方向xの長さの1.2倍以上であることが好ましく、1.5倍以上がより好ましく、また4.0倍以下が好ましく、3.0倍以下がより好ましい。このように非エンボス部9が形成されていれば、尿等がトップシート2上を前後方向yに優先的に拡散しやすくなるとともに、幅方向xへの拡散性も確保される。
非エンボス部9の前後方向yの長さは、例えば5mm以上が好ましく、7mm以上がより好ましく、10mm以上がさらに好ましく、また25mm以下が好ましく、22mm以下がより好ましく、20mm以下がさらに好ましい。非エンボス部9の幅方向xの長さは、例えば3mm以上が好ましく、4mm以上がより好ましく、5mm以上がさらに好ましく、また16mm以下が好ましく、14mm以下がより好ましく、12mm以下がさらに好ましい。
非エンボス部9は、吸収体11の封止部15と重なって設けられる。このように非エンボス部9が設けられれば、トップシート2を透過した尿等が吸収体11の封止部15に直接移行しやすくなり、吸収体11において前後方向yにさらに拡散しやすくなる。
エンボス部7は、トップシート2の吸収体11と重なる領域の少なくとも一部に設けられていればよく、トップシート2の吸収体11と重なる領域の全体に設けられていることが好ましい。このようにエンボス部7が設けられることにより、尿等がトップシート2上の広範囲に拡散しやすくなり、吸収体11の全体が尿等の吸収に寄与しやすくなる。エンボス部7は、トップシート2の全領域にわたって設けられてもよい。
非エンボス部9の幅方向xの長さは、吸収体11の封止部15の幅方向xの長さよりも長いことが好ましい。詳細には、四角格子状のエンボス部7によって囲まれた各非エンボス部9の幅方向xの長さが、吸収体11の封止部15の幅方向xの長さよりも長いことが好ましい。このように非エンボス部9が形成されていれば、封止部15と重なって設けられた非エンボス部9において、当該非エンボス部9の全体が封止部15と重なることなく、当該非エンボス部9の一部は非封止部16と重なって存在することとなる。そのため、吸収体11と重なる領域に設けられた非エンボス部9のいずれにおいても、非エンボス部9を透過した尿等が、吸収体11の非封止部16に配された吸水性樹脂13によって速やかに吸収されやすくなる。
一方、非エンボス部9の幅方向xの長さは、吸収体11の非封止部16の幅方向xの長さよりも短いことが好ましい。詳細には、四角格子状のエンボス部7によって囲まれた各非エンボス部9の幅方向xの長さが、吸収体11の非封止部16の幅方向xの長さよりも短いことが好ましい。これにより、吸収体11の非封止部16と重なる位置に四角格子状のエンボス部7の格子点が存在することになり、トップシート2の吸収体11の非封止部16と重なる領域で尿等の拡散性が高まる。そのため、吸収体11の非封止部16は尿等の拡散性が低くなるものの、この拡散性の低さをトップシート2の四角格子状のエンボス部7が補うものとなる。
エンボス部7の直線部8における幅方向xの長さは、吸収体11の封止部15の幅方向xの長さよりも短いことが好ましい。これにより、トップシート2が吸収体11の封止部15と重なる部分において、前後方向yの全体にわたって、トップシート2から尿等が封止部15に移行しやすくなる。なお、エンボス部7の直線部8における幅方向xの長さとは、第1直線部8Aと第2直線部8Bとの交点以外での直線部8の幅方向xの長さを意味する。
トップシート2において尿等が前後方向yに拡散しやすくなる観点から、トップシート2は不織布から構成され、当該不織布の構成繊維が前後方向yに配向していることが好ましい。より好ましくは、トップシート2は短繊維不織布から構成され、当該不織布の構成繊維が前後方向yに配向している。これにより、尿等がトップシート2上を前後方向yに優先的に拡散しやすくなるとともに、幅方向xへの拡散性も確保される。
構成繊維が一方向に配向した不織布としては、スパンボンド不織布、エアスルー不織布、スパンレース不織布等が挙げられる。不織布の構成繊維の配向方向は、不織布の表面を顕微鏡等で観察することにより確認できる。例えばスパンボンド不織布では、構成繊維の配向方向について次のように説明される。スパンボンド不織布は、例えば、ポリマー原料を溶融し、紡糸口金から押し出して延伸し、これをコンベアベルト等の上に集積して、ウェブ状に形成することにより得られるが、この際、コンベアベルト上に集積されたウェブ(繊維)はコンベアベルトの進行方向に沿って配列されることとなる。従って、この場合、ウェブ(繊維)はコンベアベルトの進行方向(MD方向)に沿って配向することとなる。エアスルー不織布では、不織布を製造するに当たり、繊維塊形成の際の原料短繊維の集積方法やウェブ形成の際の開繊方法を適宜設定することにより、構成繊維の配向方向を揃えることができる。スパンレース不織布では、不織布を形成する際に、短繊維が分散した水流の流れを制御して繊維を堆積させることで、構成繊維の配向方向を揃えることができる。
トップシート2は、短繊維不織布として、エアスルー不織布またはスパンレース不織布から構成されていることが好ましい。スパンレース不織布やエアスルー不織布は比較的嵩密度を低く形成することができるため、尿等の透過性に優れるものとなる。また上記に説明したように、スパンレース不織布とエアスルー不織布は、当該不織布の構成繊維が前後方向yに配向していることが好ましく、これにより前後方向yへの拡散性を高めることができる。
以上、本考案の吸収性物品について図面を参照して説明したが、本考案の吸収性物品は図面に示したような軽失禁パッドに限定されず、使い捨ておむつや生理用ナプキンであってもよい。
吸収性物品が使い捨ておむつである場合、使い捨ておむつは、例えば、前腹部と後背部とこれらの間に位置し吸収体が備えられた股部とから構成される。前腹部は、使い捨ておむつを着用の際に着用者の腹側に当てる部分に相当し、後背部は、使い捨ておむつを着用の際に着用者の背側に当てる部分に相当する。股部は、前腹部と後背部との間に位置し、着用者の股間に当てる部分に相当する。
使い捨ておむつは、テープタイプの使い捨ておむつであってもよく、パンツタイプの使い捨ておむつであってもよい。テープタイプの使い捨ておむつは、例えば、後背部の幅方向の両端部に止着部材が設けられて構成され、当該止着部材を前腹部に止着することにより、着用時にパンツ形状に形成することができる。パンツタイプの使い捨ておむつは、ウェスト開口部と一対の脚開口部とを有するパンツ形状を有し、着用前からパンツ形状に形成されているものである。
吸収性物品が使い捨ておむつである場合は、使い捨ておむつは、例えば、トップシートとバックシートの間に吸収体が配された積層体が、前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とを有するように形成される。使い捨ておむつはまた、前腹部と後背部とこれらの間に位置する股部とを有する外装部材の股部に、トップシートとバックシートの間に吸収体が配された吸収性本体を設けて構成することもできる。後者の場合、外装部材をパンツ形状に形成することで、パンツタイプの使い捨ておむつとすることができる。いずれの場合も、吸収性物品のトップシートや吸収体を上記に説明したように構成することにより、本考案の吸収性物品とすることができる。
1:吸収性物品
2:トップシート
3:バックシート
4:台紙
5:サイドシート
6:起立用弾性部材
7:エンボス部
8:直線部、8A:第1直線部、8B:第2直線部
9:非エンボス部
11:吸収体
12:シート部材
13:吸水性樹脂
14:接着剤層
15:封止部
16:非封止部
2:トップシート
3:バックシート
4:台紙
5:サイドシート
6:起立用弾性部材
7:エンボス部
8:直線部、8A:第1直線部、8B:第2直線部
9:非エンボス部
11:吸収体
12:シート部材
13:吸水性樹脂
14:接着剤層
15:封止部
16:非封止部
Claims (8)
- 前後方向と幅方向を有し、液透過性のトップシートと液不透過性のバックシートとこれらの間に設けられた吸収体を有する吸収性物品であって、
前記吸収体として特定の吸収体のみが設けられており、
前記特定の吸収体は、複数層のシート部材を有し、シート部材の間に吸水性樹脂が配され、パルプ繊維が配されておらず、
前記特定の吸収体は、シート部材どうしが接合された封止部と、シート部材どうしが接合されない非封止部とを有し、前記非封止部に吸水性樹脂が配されており、
前記非封止部は前後方向に延びるストライプ状に設けられ、
前記トップシートは、前後方向に対して傾斜して一方向と他方向に延びる複数の直線部から構成された四角格子状のエンボス部と、前記エンボス部に囲まれた非エンボス部とを有し、
前記非エンボス部は前記封止部と重なって設けられ、前記非エンボス部は前後方向の長さが幅方向の長さよりも長く、
前記封止部と重なる位置と前記非封止部と重なる位置の両方に前記四角格子状のエンボス部の格子点が存在することを特徴とする吸収性物品。 - 前記エンボス部は、前記トップシートの前記吸収体と重なる領域の全体に設けられている請求項1に記載の吸収性物品。
- 前記トップシートは短繊維不織布から構成され、当該不織布の構成繊維が前後方向に配向している請求項1または2に記載の吸収性物品。
- 前記非エンボス部の前後方向の長さは幅方向の長さの1.2倍以上4.0倍以下である請求項1~3のいずれか一項に記載の吸収性物品。
- 前記非エンボス部の幅方向の長さは、前記封止部の幅方向の長さよりも長い請求項1~4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
- 前記非エンボス部の幅方向の長さは、前記非封止部の幅方向の長さよりも短い請求項1~5のいずれか一項に記載の吸収性物品。
- 前記非エンボス部の幅方向の長さは、前記封止部の幅方向の長さよりも長く、前記非封止部の幅方向の長さよりも短い請求項1~4のいずれか一項に記載の吸収性物品。
- 前記エンボス部は熱エンボス部である請求項1~7のいずれか一項に記載の吸収性物品。
Priority Applications (1)
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JP2023001244U JP3242336U (ja) | 2023-04-13 | 2023-04-13 | 吸収性物品 |
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2023
- 2023-04-13 JP JP2023001244U patent/JP3242336U/ja active Active
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