JP2022084240A - 歯科用治療装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】根管や根尖において骨欠損が生じる場合であっても、良好な術後の経過を促すことができる歯科用治療装置を提供することを目的とする。【解決手段】歯科用治療装置10は、ファイルホルダ13と、高周波信号発生回路19と、制御回路21と、を備える。ファイルホルダ13は、歯科治療部位に配置されるファイル11を保持する。高周波信号発生回路19は、ファイル11に高周波電流を通電する。制御回路21は、高周波信号発生回路19からファイル11に高周波電流を通電させる出力範囲を複数設定することができ、少なくとも第1出力範囲と、前記第1出力範囲の電流値に対して25倍以上の高周波電流を通電させる第2出力範囲とを設定する。【選択図】図4

Description

本発明は、歯科治療部位に高周波電流を通電する歯科用治療装置に関する。
歯科分野において、歯髄を除去するため、あるいは根尖の炎症を抑えるために歯の根管治療が行われる場合がある。従来の根管治療では、リ-マ、ファイルを用いて根管を切削拡大し、根管内の汚染組織や汚染物質を取り除いたうえで、根管内に薬を充填する治療が行われていた。
しかし、根管の形状は複雑で、歯の種類によっても人よっても形状が異なる。そのため、根管治療においては、リ-マ、ファイルを用いての根管拡大が困難な部分があり、根管拡大ができない部分には起炎因子が残ったままとなり、術後に炎症が生じる場合があった。
そこで、特許文献1では、根管の内部に高周波電子パルスを印加する歯科用の医療機器が開示されている。当該医療機器では、針形の電極(たとえば、ファイル)を根管に挿し込み、針の先端が根尖に達したときに高周波電子パルスを印加して歯髄などを焼灼する。
また、特許文献2では、歯の根管内の起炎因子、細菌などを低減するための根管治療を行う歯科用治療装置が開示されている。当該歯科用治療装置では、根尖の位置を測定する測定器と通信する歯科器具に、根管に挿入される電極が含まれている。さらに、当該歯科器具は、電気パルスを印加するユニットと通信することができる。そのため、当該歯科用治療装置は、根管に挿入された電極を介して根管に電気パルスを印加することができ、印加した電気パルスによって根管内の起炎因子、細菌などを低減することができる。
特許第4041165号公報 国際公開第2008/114244号
しかし、根尖において骨欠損が生じる場合があり、当該骨欠損が生じると術後の経過が遅くなるなど問題があった。
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、根管や根尖において骨欠損が生じた症状でも、良好な術後の経過を促すことができる歯科用治療装置を提供することを目的とする。
本開示に係る歯科用治療装置は、歯科治療部位に高周波電流を通電する歯科用治療装置であって、歯科治療部位に配置される電極を保持する保持部と、電極に高周波電流を通電する電源部と、電源部から電極に高周波電流を通電させる出力範囲を複数設定することができる制御部と、を備え、制御部は、少なくとも第1出力範囲と、第1出力範囲の電流値に対して25倍以上の高周波電流を通電させる第2出力範囲とを設定する。
本開示に係る歯科用治療装置では、制御部が、少なくとも第1出力範囲と、第1出力範囲の電流値に対して25倍以上の高周波電流を通電させる第2出力範囲とを設定することができるので、出力範囲のダイナミックレンジが大きく通常の根管治療と骨欠損が生じた根管や根尖において骨再生を促進の両方に良好な術後の経過を促すことができる。
実施の形態1に係る歯科用治療装置の外観図を示す。 実施の形態1に係る歯科用治療装置の構成を示すブロック図である。 歯の根管を説明するための概略図である。 実施の形態1に係る歯科用治療装置の電極に通電する電流の波形を示す図である。 実施の形態2に係る歯科用治療装置の電極に通電する電流の波形を示す図である。 実施の形態2に係る歯科用治療装置の制御を説明するためのフローチャートである。 実施の形態2に係る歯科用治療装置の殺菌モードの制御を説明するためのフローチャートである。 実施の形態2の変形例に係る歯科用治療装置の電極に通電する電流の波形を示す図である。 実施の形態3に係る歯科用治療装置の殺菌モードで電極に通電する電流の波形を示す図である。 実施の形態3に係る歯科用治療装置の制御を説明するためのフローチャートである。 実施の形態3に係る歯科用治療装置の殺菌モードの制御を説明するためのフローチャートである。 実施の形態4に係る歯科用治療装置の殺菌モードの制御を説明するためのフローチャートである。
以下、本発明に係る実施の形態について図面を参照して説明する。
(実施の形態1)
図1は、実施の形態1に係る歯科用治療装置の外観図を示す。図2は、実施の形態1に係る歯科用治療装置の構成を示すブロック図である。図3は、歯の根管を説明するための概略図である。歯の根管を切削拡大する根管治療は、人により根管が湾曲している程度や根管が石灰化して閉塞している状況などが異なっており、非常に難しい治療である。図3に示す歯900は、大臼歯であり、1つの歯に複数の根管901が含まれている。このような複雑な形状の根管をすべて治療するのは困難である。特に、リ-マ、ファイルなどの切削工具を用いて根管を切削拡大することが困難な部分が存在し、当該部分で根管を切削拡大できずに根管内に歯髄、起炎因子が残ったままになると、術後に炎症が生じる場合があった。
そこで、歯科用治療装置では、根管の内部に電極を差し込み、当該電極に高周波電流を通電する治療が行われている。この治療は、人体、特に歯、その中でも根管、歯周組織、骨に高周波電流を通電することで、通電されている部位、特に電極近傍、および電流密度が高い部分が高周波電流によるジュール熱で焼灼し、起炎因子、細菌などを低減させる。なお、この治療で完全に殺菌できなくてもよく、歯髄や肉芽を熱変性させて、壊死、失活させることができればよい。また、この治療は、EMAT(Electro-Magnetic Apical Treatment)とも呼ばれ、文献(例えば、坂東直樹、富永敏彦、湯本浩通、住友孝史、平尾早希、平尾功治、松尾敬志、「電磁波照射の歯内療法への応用-EMAT (Electro-Magnetic Apical Treatment)」、2011年、歯内療法誌、第32巻、p.184-200)などに開示がある。当該開示では、治療前、治療後に患部に高周波電流を通電することで、歯科治療部位の起炎因子、細菌などを低減できて予後の経過が極めて良好であると報告されている。
さらに、微弱な電流を利用して骨再生を促進するための研究が成されており、直流電流刺激法(DC法)、交流電流刺激法(AC法)、容量結合型電気刺激法(CCEF法)などが知られている。特に、文献(Yumoto H, Hirao K, Tominaga T, Bando N, Takahashi K, Matsuo T "Electromagnetic wave irradiation promotes osteoblastic cell proliferation and up-regulates growth factors via activation of the ERK1/2 and p38 MAPK pathways." Cell Physiol Biochem, 35:601-615, 2015.)では、500kHz~1000kHzの高周波で骨芽細胞を5秒間刺激するのみで、細胞の増殖促進や成長因子の産生が生じたと報告されている。
そこで、実施の形態1に係る歯科用治療装置10では、根管に挿入される電極に高周波電流を通電すること、根管や根尖において骨欠損が生じた部位の骨再生を促進することができるように構成されている。つまり、歯科用治療装置10では、根管に挿入される電極に微弱な電流値の高周波電流を通電することで骨再生を促進する骨再生モードと、根管に挿入される電極に所定の範囲の電流値の高周波電流を通電することで根管内を殺菌する殺菌モードとを使用者が切り替えて使用することができる。なお、歯科用治療装置10が、骨再生を促進する骨再生モードのみで動作する骨再生専用の装置であってもよい。
具体的に、歯科用治療装置10は、図1に示すように、切削工具であるファイル11(図2参照)に高周波電流を通電するユニット12と、ファイル11を保持するためのファイルホルダ13と、を備えており、ファイルホルダ13の先端に取り付けられたファイル11に対して高周波電流を通電することができる。なお、本開示では、ファイルホルダ13の先端にファイル11を取り付け、当該ファイル11が歯科治療部位に配置される電極であると説明するが、ファイルホルダ13とファイル11とが一体となった構成でもよい。
ファイルホルダ13は、略棒状の筐体によって形成され、ファイル11の金属部分を保持することができる。ファイルホルダ13は、ファイル11の金属部分を保持することでファイルとユニット12とを電気的に接続することができる。ユニット12には、表示部14、設定操作部15が設けられているとともに、フートスイッチ16および受動電極22が接続されている。
ユニット12は、図2に示すように、表示部14、設定操作部15の他に、高周波信号発生回路19、検出部20、制御回路21、根管長測定回路23、およびスイッチSW1~スイッチSW2が設けられている。
設定操作部15は、歯科用治療装置10の動作を設定するために設けられた設定ボタンである。設定操作部15では、ファイル11に通電する高周波電流の電流値、周波数、通電期間、表示部14の表示設定などを設定可能である。ここで、通電期間とは、1回の操作で高周波電流の通電を1ショットで行う場合、1回の通電する時間であり、1回の操作で高周波電流の通電を複数回に分割して行う場合、複数に分割して通電する時間の和である。
フートスイッチ16は、高周波電流の通電を操作するために設けられた操作部であり、使用者が踏み込むことで制御回路21から高周波信号発生回路19に制御信号が送信される。高周波信号発生回路19は、受信した制御信号に基づき、設定操作部15で設定した高周波電流をファイル11に通電する。
高周波信号発生回路19は、殺菌モードでファイル11と受動電極22との間に、例えば周波数が300kHz~1000kHzで、電流値が20mA~200mA(根管内の起炎因子、細菌などを低減するための根管治療に必要な電流値の範囲)の高周波電流を通電する(第2出力範囲)。また、高周波信号発生回路19は、骨再生モードでファイル11と受動電極22との間に、例えば周波数が300kHz~1000kHzで、電流値が10μA~3mA(根管や根尖において骨欠損が生じた部位の骨再生を促進するための根管治療に必要な電流値)の高周波電流を通電する(第1出力範囲)。高周波信号発生回路19は、殺菌モードでファイル11に通電する高周波電流の電流値(第2出力範囲)が骨再生モードでファイル11に通電する高周波電流の電流値(第1出力範囲)の約25倍以上となる。もちろん、高周波信号発生回路19が発生することができる高周波電流は、上記の周波数および電流値に限定されない。
図4は、実施の形態1に係る歯科用治療装置の電極に通電する電流の波形を示す図である。使用者は、設定操作部15で殺菌モードとするか骨再生モードとするかを切り替え、通電位置でフートスイッチ16を操作することで高周波信号発生回路19からファイル11に高周波電流を通電させる。図4(a)に示す波形は、殺菌モードで高周波信号発生回路19を駆動させた場合の波形で、根管内の起炎因子、細菌などを低減するための根管治療に必要な電流値の範囲の電流値(例えば、30mA~50mA)の高周波電流を通電させた波形である。一方、図4(b)に示す波形は、骨再生モードで高周波信号発生回路19を駆動させた場合の波形で、根管や根尖において骨欠損が生じた部位の骨再生を促進するための根管治療に必要な電流値(例えば、1mA以下)の高周波電流を通電させた波形である。
この高周波信号発生回路19から出力される高周波電流の電流値、周波数、通電期間などは、設定操作部15を操作することによって設定できる。設定操作部15で設定した高周波電流の電流値を高周波信号発生回路19が出力できるように、制御回路21が検出部20で検出した電流値に基づいて、高周波信号発生回路19を制御している。ただし、制御回路21が検出部20で検出した電流値に基づいて、高周波信号発生回路19を制御しないのであれば、歯科用治療装置10に検出部20を設けなくてもよい。なお、高周波電流を通電する際は、ファイル11が根管901内に挿入され、その先端が、例えば根尖903付近の組織に当てられ、受動電極22が歯肉902や口唇904等、患者の体の一部に当てられる。つまり、ファイルホルダ13は、歯科治療部位に配置される電極であるファイル11を保持する保持部であり、高周波信号発生回路19は、当該電極に高周波電流を通電する電源部である。
検出部20は、高周波信号発生回路19からファイル11に高周波電流を通電した場合に、実際にファイル11に流れた電流値を検出する電流検出器である。制御回路21は、検出部20で検出した電流値に基づいて、ファイル11に通電させる高周波電流の電流値の制御を高周波信号発生回路19に対して行う。制御回路21は、ハードウェア構成として、例えば、CPU(Central Processing Unit)、当該処理をCPUで実行させるためのプログラムやデータ等を記憶する記憶部、CPUのワークエリアとして機能するRAM(Random Access Memory)、主に画像処理を行うGPU(Graphics Processing Unit)、周辺機器との信号の整合性を保つための入出力インターフェイス等が設けられている。記憶部には、制御回路21の内部に設けられた不揮発性メモリ等の記憶装置、ネットワークを介して接続される記憶装置などが含まれる。
根管長測定回路23は、根管長測定用信号をファイル11と受動電極22との間に流してファイル11の先端位置を測定する。具体的に、根管長測定回路23は、ファイル11と受動電極22との間に2つの異なる周波数の電圧を印加することで、それぞれのインピーダンスの値を求め、その2つの値(実際にはインピーダンスの値に対応する電圧や電流の値)の差分や比等から、根尖903からのファイル11の先端位置を特定する。なお、根管長測定の測定方法は、このようなものに限られるものではなく、従来、提案されている測定方法を含む種々の技術を利用することが可能である。根管長測定の際においても、受動電極22は、歯肉902や口唇904等、患者の体の一部に当てられる。
スイッチSW1は、ファイル11と、高周波信号発生回路19または根管長測定回路23との間の電気的接続を切り替えるために設けられている。また、スイッチSW2は、受動電極22と、高周波信号発生回路19または根管長測定回路23との間の電気的接続を切り替えるために設けられている。
スイッチSW1およびスイッチSW2の切り替えは、設定操作部15からの入力情報に基づいて制御回路21により実現される。具体的に、制御回路21は、高周波電流をファイル11に通電する場合、ファイル11および受動電極22を高周波信号発生回路19に接続されるようにスイッチSW1およびスイッチSW2を制御する。また、制御回路21は、根管長測定用信号をファイル11と受動電極22との間に流す場合、ファイル11および受動電極22が根管長測定回路23に接続されるようにスイッチSW1およびスイッチSW2を制御する。実施の形態1では、設定操作部15で設定した動作モードに応じて、スイッチSW1およびスイッチSW2を制御してファイル11および受動電極22の接続先を切り替える。なお、スイッチSW1およびスイッチSW2の切り替えは、フートスイッチ16のオン・オフ操作に連動してもよい。
実施の形態1では、スイッチSW1およびスイッチSW2によって高周波信号発生回路19と根管長測定回路23とを電気的に分離している。したがって、高周波電流がファイル11へ出力されている間、根管長測定回路23は、スイッチSW1およびスイッチSW2によりファイル11および受動電極22から電気的に切断されている。そのため、高周波電流が根管長測定回路23に通電することがなく、高周波電流によって根管長測定回路23が故障することを抑制することができる。
また、実施の形態1では、根管長測定回路23によりファイル11の先端位置が根尖からどの位置にあるかを知ることができる。そのため、使用者は、根管長測定回路23で根管内でのファイル11の先端位置が高周波電流を通電する位置に到達したことを確認したうえで、設定操作部15を操作して根管長測定モードから高周波通電モードに切り替えることができる。そのため、歯科用治療装置10では、適切な位置でファイル11の先端位置を保持した状態で高周波電流をファイル11に通電することができる。もちろん、歯科用治療装置10は、根管長測定回路23を設けずに高周波電流をファイル11に通電する構成のみであってもよく、別の根管長測定器でファイル11の先端位置を確認して高周波電流をファイル11に通電してもよい。
表示部14は、例えば液晶ディスプレイで構成されており、高周波信号発生回路19でファイル11に通電している電流値、根管長測定回路23で測定したファイル11の先端の位置などを表示し、歯科用治療装置10の使用者に必要な情報を報知する報知部として機能している。表示部14は、例えば、検出部20で検出される電流値が根管内の起炎因子、細菌などを低減するための根管治療に必要な電流値の範囲外となった場合、通電している高周波電流の電流値が当該根管治療に必要な電流値の範囲外である旨の情報を報知してもよい。なお、表示部14は、有機ELディスプレイ、電子ペーパー、発光ダイオード等で構成されていてもよい。また、報知部は、表示部14以外に、図示していないランプ、スピーカなどであってもよく、ランプの点灯で使用者に報知したり、スピーカからブザー音を出力して使用者に報知したりしてもよい。
このように、実施の形態1に係る歯科用治療装置10は、歯科治療部位(例えば、根管など)に高周波電流を通電する歯科用治療装置である。歯科用治療装置10は、歯科治療部位に配置されるファイル11を保持するファイルホルダ13と、ファイル11に高周波電流を通電する高周波信号発生回路19と、高周波信号発生回路19からファイル11に高周波電流を通電させる出力範囲を複数設定することができる制御回路21と、を備える。制御回路21は、少なくとも第1出力範囲と、第1出力範囲の電流値に対して25倍以上の高周波電流を通電させる第2出力範囲とを設定する。好ましくは、設定する複数の出力範囲には、少なくとも高周波電流の電流値が1mA以下の出力範囲を含む。
このように構成することで、実施の形態1に係る歯科用治療装置10は、第2出力範囲に対して25分の1以下の第1出力範囲の電流値で電極に高周波電流を通電させることができるので、骨欠損が生じた根管や根尖において骨再生を促進して良好な術後の経過を促すことができる。
(実施の形態2)
実施の形態1では、殺菌モードおよび骨再生モードにおいて予め設定してある電流値の高周波電流をファイル11に通電する歯科用治療装置10について説明した。実施の形態2は、ファイル11に通電する高周波電流の電流値の制御について詳しく説明する。なお、実施の形態2において、実施の形態1で説明した歯科用治療装置10の構成と同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明を繰り返さない。また、実施の形態1で説明した内容を実施の形態2と矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
実施の形態2では、歯科用治療装置10を、まず根管を殺菌する殺菌モードで動作させて、その後根管の骨再生を促進させる骨再生モードに切り替えて動作させた場合について説明する。図5は、実施の形態2に係る歯科用治療装置の電極に通電する電流の波形を示す図である。使用者は、根管長測定回路23に基づいて高周波電流の通電位置を決定し、当該通電位置でフートスイッチ16を操作することで高周波信号発生回路19からファイル11に高周波電流を通電させる。歯科用治療装置10は、高周波通電モードとして、根管を殺菌する殺菌モードで動作する。
まず、高周波信号発生回路19からは、本格的に高周波電流をファイル11に通電する前に、予備的に高周波電流をファイル11に通電する。図5に示す第1期間(TP1)の通電が予備的な通電であり、その後の第2期間(TP2)が本格的な通電である。なお、図5に示す図は概念図であり、図示している波数は実際の高周波の波数とは異なる。以下、高周波の波形でも同様である。第2期間の通電では、根管内の起炎因子、細菌などを低減するための根管治療に必要な電流値の範囲の電流値(例えば、30mA~50mA)の高周波電流を通電させるが、第1期間の通電では、当該根管治療に必要な電流値の範囲内の電流値の最小電流値(例えば、30mA)より小さい電流値を予備電流として通電すれば第1期間の通電時の痛みなどを軽減できる。なお、高周波信号発生回路19は、定電圧回路を含み、定電圧制御でファイル11に高周波電流を通電する。そのため、高周波信号発生回路19は、第2期間で印加する高周波電圧に比べて低い高周波電圧を第1期間で印加することで、第2期間で通電する電流値に比べて小さい電流値を第1期間に通電することができる。もちろん、第1期間で通電する電流値と第2期間で通電する電流値との間で差を持たせなくてもよい。さらに、高周波信号発生回路19は、定電流回路で構成される場合もあり、定電流制御でファイル11に高周波電流を通電してもよい。高周波信号発生回路19が定電流回路を含み、定電流駆動でファイル11に高周波電流を通電する場合、制御回路21は、定電流回路の出力電圧の電圧値が所定値以上となる場合、ファイル11への高周波電流の通電を開始させない、あるいは停止させる制御を高周波信号発生回路19に対して行なってもよい。また、制御回路21は、定電流回路の出力電圧の電圧値が所定値以上となり、高周波信号発生回路19からファイル11への高周波電流の通電を停止させた場合、高周波電流の通電を停止した情報を表示部14に表示してもよい。
制御回路21は、ファイル11から受動電極22に至る経路が通常時のインピーダンスであると仮定した場合に、予備電流の電流値がファイル11に通電されるように高周波信号発生回路19の電圧を制御する。そして、高周波信号発生回路19からファイル11に予備電流を通電するために予備電圧を印加し、ファイル11から受動電極22に至る経路のインピーダンスが通常時から変化した場合、検出部20で検出される電流値は、想定した予備電流の電流値に対して差が生じる。なお、ファイル11から受動電極22に至る経路のインピーダンスは、ファイル11の表面に形成される絶縁膜の有無、ファイル11の表面への血液やタンパク質などの付着の有無、根管のインピーダンスなどによって変化する。
制御回路21は、予備電流をファイル11に流したときに検出部20で検出した電流値に基づいて、第2期間の通電において高周波信号発生回路19からファイル11に流れる高周波電流の電流値が所定の範囲内となるように制御する。想定した予備電流の電流値と検出部20で検出した電流値との差や比に応じて、制御回路21は、ファイル11に流れる高周波電流の電流値が所定の範囲内となる最適な電圧を変更して高周波信号発生回路19に印加する。つまり、制御回路21は、ファイル11に流れる高周波電流の電流値が所定の範囲内となるように高周波信号発生回路19に印加する電圧を最適化している。ここで、所定の範囲とは、根管内の起炎因子、細菌などを低減するための根管治療に必要な電流値の範囲で、当該所定の範囲内に含まれるとは、症状に応じて(1)所定値以上、(2)所定値以下、(3)第1の所定値以上、かつ第2の所定値(>第1の所定値)以下の3通り場合が考えられる。一般的に、(3)第1の所定値以上、かつ第2の所定値(>第1の所定値)以下を使用する場合が多い。なお、ファイル11に流れる高周波電流の電流値は、根管内の起炎因子、細菌などを低減するための根管治療に必要な電流値に限定されるものではない。また、制御回路21は、予備電流の電流値と検出部20で検出した電流値と比較を差で行うと説明したが、比などの他の比較方法で行ってもよい。
高周波信号発生回路19は、第1期間として例えば0.02秒(20ms)の通電を行い、その後休止期間(TC)として例えば0.03秒(30ms)を開けて、第2期間として例えば0.07秒(70ms)の通電を行う。高周波信号発生回路19は、1回の通電(例えば、フートスイッチ16の1回の操作)に対して、第2期間と休止期間との期間(合計0.1秒(100ms))をN回(例えば、10回)繰り返す。歯科用治療装置10では、使用者がフートスイッチ16を1回踏み込むことで約1秒間(休止期間を含む)、高周波信号発生回路19からファイル11に高周波電流が通電する。なお、休止期間と第2期間との制御の繰り返し回数は、設定操作部15で使用者があらかじめ設定可能であり、実施の形態2では例えば10回と設定してある。もちろん、休止期間と第2期間との制御の繰り返し回数は、10回以外の値を設定してもよい。また、設定操作部15では、休止期間と第2期間との制御の繰り返し回数として設定するのではなく、通電期間(例えば、1秒)として設定してもよい。
次に、歯科用治療装置10は、殺菌モードで動作した後、骨再生モードで動作する。骨再生モードでは、殺菌モードで通電した高周波電流の電流値に対して約25分の1の微弱な電流値の高周波電流を高周波信号発生回路19からファイル11に通電する。図5に示す第3期間(TP3)の通電が骨再生モードの通電である。第2期間の通電では、所定の範囲の電流値(例えば、30mA~100mA)の高周波電流を通電させるが、第3期間の通電では、微弱な電流値(例えば、10μA~1mA)の高周波電流をファイル11に通電する。つまり、制御回路21は、第3期間で通電する出力範囲(第1出力範囲)に対して25倍以上の高周波電流を通電させる第2期間で通電する出力範囲(第2出力範囲)を設定する。さらに好ましくは、第3期間で通電する出力範囲(第1出力範囲)の電流値を、1mA以下とする。なお、図5では、第3期間の長さが、第2期間の長さよりも短く記載されているが、当該第3期間は数秒程度~5秒程度の長さであってもよい。また、制御回路21は、予備電流をファイル11に流したときに検出部20で検出した電流値に基づいて、第3期間の通電において高周波信号発生回路19からファイル11に流れる高周波電流の電流値が微弱な電流値となるように高周波信号発生回路19で印加する電圧を決定してもよい。
次に、歯科用治療装置10においてファイル11に通電する高周波モードの制御についてフローチャートを用いて説明する。図6は、実施の形態2に係る歯科用治療装置の制御を説明するためのフローチャートである。図7は、実施の形態2に係る歯科用治療装置の殺菌モードの制御を説明するためのフローチャートである。まず、使用者が、根管長測定回路23に基づいて高周波電流の通電位置を決定し、当該通電位置において骨再生モードで歯科用治療装置10を動作させるか、殺菌モードで歯科用治療装置10を動作させるかを決め、動作モードを設定操作部15で歯科用治療装置10に入力する。制御回路21は、設定操作部15で入力された動作モードが骨再生モードか否かを判断する(ステップS10)。入力された動作モードが骨再生モードでない場合(ステップS10でNO)、制御回路21は、動作モードが殺菌モードであると判断して、表示部14に殺菌モードを実行する旨の情報を報知する(ステップS11)。制御回路21は、ステップS11で実行する動作モードを表示して図7に示す殺菌モードの処理を開始する。
一方、入力された動作モードが骨再生モードである場合(ステップS10でYES)、制御回路21は、表示部14に骨再生モードを実行する旨の情報を報知する(ステップS12)。さらに、制御回路21は、骨再生モードで通電する電流値で高周波電流をファイル11に通電する(ステップS13)。ここで、骨再生モードで通電する電流値は、予め定められた設定値であって、設定操作部15などで使用者が設定することができる。
骨再生を促進させるためには、所定期間(図5に示す第3期間(TP3))、設定した微弱な電流値(設定値)を根管に挿入されたファイル11に通電する必要がある。そこで、制御回路21は、検出部20で検出した電流値が、設定値(第1出力範囲)となっているか否かを判断する(ステップS14)。検出部20で検出した電流値が設定値でない場合(ステップS14でNO)、制御回路21は、高周波信号発生回路19に対してファイル11へ通電する高周波電流の電流値が設定値となるように調整する(ステップS15)。制御回路21は、ステップS15で通電する高周波電流を調整した後、処理をステップS14に戻しフィードバック制御を行っている。制御回路21は、通電期間、高周波電流の電流値をフィードバック制御している場合に、検出部20で検出した電流値が変化して所定の範囲を外れた場合、表示部14に電流値が所定の範囲を外れた旨の表示を行ってもよい。
検出部20で検出した電流値がほぼ設定値である場合(ステップS14でYES)、制御回路21は、骨再生モードでの通電期間が所定期間を経過したか否かを判断する(ステップS16)。骨再生モードでの通電期間が所定期間を経過していない場合(ステップS16でNO)、制御回路21は、処理をステップS13に戻す。一方、骨再生モードでの通電期間が所定期間を経過した場合(ステップS16でYES)、制御回路21は、骨再生モードでの動作を終了する。なお、図示していないが、制御回路21は、ステップS16でYESの場合に、設定操作部15で殺菌モードが入力されたか否かを判断し、殺菌モードが入力された場合、殺菌モードでの動作を開始させてもよい。なお、電流値がほぼ設定値であるかどうかを判断するために、上限値と下限値を定めてもよい。
次に、殺菌モードでの動作について説明する。まず、使用者が、殺菌モードを設定操作部15で歯科用治療装置10に入力し、通電位置でフートスイッチ16を操作すると、制御回路21は、高周波信号発生回路19からファイル11に第1期間、予備電流を通電する(ステップS101)。
次に、制御回路21は、予備電流をファイル11に流したときに検出部20で検出した電流値に基づき、根管内の起炎因子、細菌などを低減するための根管治療に必要な電流値の範囲(以下、所定の範囲ともいう)内となる高周波電流の電流値をファイル11に通電するための高周波信号発生回路19の電圧値を決定する(ステップS102)。具体的に、制御回路21は、検出部20で検出した電流値と、その時の高周波信号発生回路19に印加されている電圧値から根管のインピーダンスを算出し、当該根管のインピーダンスにおいてファイル11に通電する電流値が所定の範囲内の電流値となる高周波信号発生回路19の電圧値を決定する。なお、ステップS102で決定した電流値は、殺菌モードで通電する電流値で、所定の範囲内で設定される設定値である。骨再生モードで通電する電流値を第1出力範囲内の電流値とすると、殺菌モードで通電する電流値は第2出力範囲内の電流値で、第1出力範囲の電流値に対して25倍以上の高い電流値である。制御回路21は、第1期間経過後、高周波信号発生回路19からファイル11への通電を休止期間、停止する(ステップS103)。なお、制御回路21は、休止期間中に高周波通電モードから根管長測定モードに切り替えて、ファイル11の先端の位置を測定してもよい。つまり、制御回路21は、休止期間に測定信号をファイル11に通電させる制御を根管長測定回路23に対して行なってもよい。
制御回路21は、第2期間、高周波電流を通電した回数をカウントするために通電回数カウンタのカウントを1加算する(ステップS104)。制御回路21は、高周波信号発生回路19からファイル11に第2期間、ステップS102で決定した電圧値を高周波信号発生回路19に印加することで、所定の範囲内の電流値を高周波信号発生回路19からファイル11に第2期間、通電する(ステップS105)。制御回路21は、ステップS102で決定した電圧値を高周波信号発生回路19に印加したときに検出部20で検出した電流値が所定の範囲内の電流値か否かを判断する(ステップS106)。
検出した電流値が所定の範囲内の電流値である場合(ステップS106でYES)、制御回路21は、通電回数カウンタがN回(例えば、10回)以上か否かを判断する(ステップS107)。通電回数カウンタがN回以上でない場合(ステップS107でNO)、制御回路21は、処理をステップS103に戻し、休止期間と第2期間との制御を繰り返す。一方、通電回数カウンタがN回以上である場合(ステップS107でYES)、制御回路21は、通電回数カウンタをリセットしてカウンタを0(ゼロ)にして(ステップS108)、高周波電流をファイル11に通電する処理を停止する。なお、図示していないが、制御回路21は、ステップS108の処理後に、設定操作部15で骨再生モードが入力されたか否かを判断(ステップS10)し、骨再生モードが入力された場合、骨再生モードでの動作を開始させてもよい。
ステップS106に戻って、検出した電流値が所定の範囲内の電流値でない場合(ステップS106でNO)、制御回路21は、通電している高周波電流の電流値が所定の範囲外である旨の情報を表示部14に表示する(ステップS110)。具体的に、制御回路21は、高周波電流をファイル11に通電中に根管内の異物が外れ、検出部20で検出した電流値が所定の範囲(30mA~50mA)から60mA、90mA、80mAと変化した場合、表示部14に「所定の範囲外」の文字を表示したり、画面の背景色を黄色にしたりするなどが考えられる。報知部としてスピーカが設けられていれば、警告音で通電している高周波電流の電流値が所定の範囲外である旨の情報を使用者に報知してもよい。
次に、制御回路21は、ステップS102で決定した電圧値を高周波信号発生回路19に印加した場合であっても、検出部20で検出した電流値が所定の範囲内の最小電流値より小さいか否かを判断する(ステップS111)。検出した電流値が所定の範囲外(ステップS105でNO)で、かつ所定の範囲内の最小電流値より小さい場合(ステップS111でYES)、制御回路21は、再度、高周波電流をファイル11に通電する処理が必要な旨の情報を表示部14に表示する(ステップS112)。具体的に、制御回路21は、表示部14に「再通電」の文字を表示したり、画面の背景色を黄色にして明滅させたりするなどが考えられる。報知部としてスピーカが設けられていれば、警告音で再通電を行う必要がある旨の情報を使用者に報知してもよい。
さらに、制御回路21は、検出した電流値が所定の範囲内の最小電流値より小さい通電期間を計時する(ステップS113)。図7に示すフローチャートでは、検出した電流値が所定の範囲内の最小電流値より小さくなった時点で高周波電流をファイル11に通電する処理を停止するのではなく、休止期間と第2期間との制御をN回(例えば、10回)繰り返した後に停止する。そのため、制御回路21は、繰り返し回数N回のうち、検出した電流値が所定の範囲内の最小電流値より小さい第2期間が何回生じたのかで最小電流値より小さい通電期間を計時することができる。最小電流値より小さい通電期間を計時することで、制御回路21は、再度通電を行う場合にステップS113で計時した期間だけ再度通電すればよい。もちろん、検出した電流値が所定の範囲内の最小電流値より小さくなった時点で高周波電流をファイル11に通電する処理を停止する場合、制御回路21は、ステップS113後に処理をステップS108の処理に移行してもよい。ここで、検出した電流値が所定の範囲内の最小電流値より小さいと判断できる場合とは、通電中に根管内の環境が変化して、根管のインピーダンスが高くなり所定の範囲内の最小電流値より小さい電流値が流れてしまった場合である。また、制御回路21は、検出した電流値が所定の範囲内の最小電流値より小さい場合、高周波信号発生回路19に印加する電圧を大きくして、ファイル11に通電する高周波電流の電流値が所定の範囲内の最小電流値以上となるように制御してもよい。
ステップS111に戻って、検出した電流値が所定の範囲外(ステップS105でNO)で、かつ所定の範囲内の最小電流値より小さくない場合(ステップS111でNO)、制御回路21は、検出した電流値が所定の範囲内の最大電流値より大きいと判断できるので、高周波電流をファイル11に通電する処理を停止する(ステップS115)。なお、制御回路21では、ステップS115のように、本格的な通電が開始されてから検出した電流値が所定の範囲内の最大電流値より大きくなった場合、通電を停止させるが、予備的な通電中に検出した電流値が所定の範囲内の最大電流値より大きくなった場合、そもそも本格的な通電を開始させない。制御回路21は、高周波電流をファイル11に通電する処理を停止した旨の情報を表示部14に表示する(ステップS116)。具体的に、制御回路21は、表示部14に「停止」の文字を表示したり、画面の背景色を赤色にして明滅させたりするなどが考えられる。報知部としてスピーカが設けられていれば、警告音で通電を停止した旨の情報を使用者に報知してもよい。ここで、検出した電流値が所定の範囲内の最大電流値より大きいと判断できる場合とは、通電中に根管内の環境が変化して、根管のインピーダンスが低くなり所定の範囲内の最大電流値より大きい電流値が流れてしまった場合である。また、制御回路21は、検出した電流値が所定の範囲内の最大電流値より大きい場合、高周波信号発生回路19に印加する電圧を小さくして、ファイル11に通電する高周波電流の電流値が所定の範囲内の最大電流値以下となるように制御してもよい。
図5および図7で示した例では、最初1回の第1期間で検出した予備電流の電流値から、その後N回の第2期間で通電する高周波電流の電流値が所定の範囲内の電流値となる高周波信号発生回路19の電圧値を決定する構成を説明した。しかし、歯科用治療装置10は、高周波電流をファイル11に通電する場合、図5および図7で示した制御に限定されない。例えば、歯科用治療装置10は、第2期間で通電する前に毎回予備電流の電流値を検出する第1期間を設ける制御でもよい。つまり、制御回路21は、第2期間で通電する電流値を、予備電流の検出結果でフィードバック制御を行ってもよい。制御回路21は、通電期間、高周波電流の電流値をフィードバック制御している場合に、検出部20で検出した電流値が変化して所定の範囲を外れた場合、表示部14に電流値が所定の範囲を外れた旨の表示を行ってもよい。例えば、高周波電流をファイル11に通電中に根管内の異物が外れ、検出部20で検出した電流値が所定の範囲(30mA~50mA)から60mA、90mA、80mAと変化した場合、表示部14は、電流値が所定の範囲を外れた警告表示を表示する。なお、検出部20で検出される電流値が所定の範囲内であっても所定の割合(例えば±30%程度)以上に変化した場合、通電している高周波電流の電流値が急激に変化した旨の情報を、表示部14に表示してもよい。もちろん、制御回路21は、電流値が所定の範囲を外れた場合、ファイル11に通電する高周波電流の電流値が所定の範囲となるように高周波信号発生回路19に印加する電圧を制御してもよい。
図8は、実施の形態2の変形例に係る歯科用治療装置の電極に通電する電流の波形を示す図である。図8では、予備的な通電期間である第1期間と、本格的な通電期間である第2期間とが繰り返し設けられている。つまり、歯科用治療装置10は、第2期間で通電する前に必ず第1期間を設ける制御を行っている。
歯科用治療装置10は、図8に示すように第1期間で検出した予備電流の電流値に基づいて、第2期間でファイル11に通電する高周波電流の電流値が所定の範囲内の電流値となる高周波信号発生回路19の電圧値を毎回決定する。そのため、歯科用治療装置10では、ファイル11から受動電極22に至る経路の状況変化により適応した電流値の制御が行える。なお、図示していないが、制御回路21は、各々の第2期間でファイル11に通電する高周波電流の電流値を変更してもよい。
このように、実施の形態2に係る歯科用治療装置10は、制御回路21が、ファイル11に通電させる高周波電流の電流値が第1出力範囲内となるように高周波信号発生回路19に対して制御を行う骨再生モード(第1制御モード)と、ファイル11に通電させる高周波電流の電流値が第1出力範囲の電流値に対して25倍以上の第2出力範囲内の電流値となるように高周波信号発生回路19に対して制御を行う殺菌モード(第2制御モード)と、切り替えることができるようにしてもよい。これにより、歯科用治療装置10は、使用者に動作モードとして骨再生モード(第1制御モード)と殺菌モード(第2制御モード)との切り替えを選択させることができる。
さらに、歯科用治療装置10は、高周波信号発生回路19からファイル11に通電される電流値を検出する検出部20をさらに備える。制御回路21は、骨再生モードにおいて、検出部20で検出される電流値が第1出力範囲内となるように、ファイル11に通電させる高周波電流の電流値の制御を高周波信号発生回路19に対して行い、殺菌モードにおいて、検出部20で検出される電流値が第2出力範囲内となるように、ファイル11に通電させる高周波電流の電流値の制御を高周波信号発生回路19に対して行う。これにより、歯科用治療装置10は、それぞれの動作モードにおいて、ファイル11に通電させる電流値が設定値となるようにフィードバック制御を行うことができる。
また、制御回路21は、第2出力範囲が所定の範囲内の電流値に設定され、所定の範囲の最小電流値より小さい電流値の予備電流を高周波信号発生回路19からファイル11に通電させ、検出部20で検出した予備電流の電流値に基づいて、ファイル11に通電させる高周波電流の電流値の制御を高周波信号発生回路19に対して行ってもよい。これにより、歯科用治療装置10は、予備電流の通電による組織損傷を低減しつつ、本格的に高周波電流をファイル11に通電する前に、歯科治療部位に通電する高周波電流を最適な電流値に設定することができる。
さらに、制御回路21は、予備電流を高周波信号発生回路19からファイル11に通電させる第1期間を、高周波電流を高周波信号発生回路19からファイル11に通電させる第2期間より短くし、第1期間と第2期間との間に休止期間を設けてもよい。これにより、歯科用治療装置10は、休止期間にファイル11の先端の位置を測定することができる。なお、前記制御部は、前記第1期間を、前記第2期間より短くしてもよい。これにより、歯科用治療装置10は、予備電流を通電する期間が短くなるので、歯科治療部位に通電する高周波電流を最適な電流値に設定するまでの期間を短縮することができる。
また、制御回路21は、第1期間、休止期間および第2期間を含む期間を1つのセットとして繰り返しファイル11に高周波電流を通電させる制御を高周波信号発生回路19に対して行ってもよい。これにより、歯科用治療装置10は、高周波電流をファイル11に通電する第2期間ごとに、最適な電流値に設定することができる。
さらに、制御回路21は、検出部20で所定の範囲の最大電流値より大きい電流値が検出された場合、ファイル11への高周波電流の通電を開始させない制御、停止させる制御、通電する電流値を低減する制御のいずれかの制御を高周波信号発生回路19に対して行ってもよい。これにより、歯科用治療装置10は、患者に負担や不快な感じを与えることなく治療を行うことができる。
また、使用者に情報を報知する表示部14をさらに備え、制御回路21は、検出部20で検出される電流値が所定の範囲外となった場合、通電している高周波電流の電流値が所定の範囲外である旨の情報を、表示部14に報知させてもよい。これにより、歯科用治療装置10は、使用者に通電している高周波電流の状況を適切に報知することができる。
さらに、制御回路21は、検出部20で所定の範囲の最大電流値より大きい電流値が検出され、高周波信号発生回路19からファイル11への高周波電流の通電を停止させた場合には、高周波電流の通電を停止した情報を表示部14に報知させてもよい。これにより、歯科用治療装置10は、高周波電流の通電が停止した原因を使用者に認識しやすくなる。
また、制御回路21は、検出部20で所定の範囲の最小電流値より小さい電流値が検出された場合には、高周波電流の通電を再度行うことを促す情報を表示部14に報知させてもよい。これにより、歯科用治療装置10は、歯科治療部位の起炎因子、細菌などを十分に低減されていない等の情報を報知することができる。
また、制御回路21は、検出部20で所定の範囲の最小電流値より小さい電流値が検出された期間を計時し、計時した当該期間を表示部14に報知させてもよい。これにより、歯科用治療装置10は、残りどの程度、高周波電流をファイル11に通電すれば、歯科治療部位の起炎因子、細菌などを十分に低減されていない等の情報を使用者に報知することができる。
(実施の形態3)
実施の形態2では、殺菌モードにおいて第1期間で検出した予備電流の電流値に基づいて、第2期間でファイル11に通電する高周波電流の電流値を制御する歯科用治療装置10について説明した。実施の形態3に係る歯科用治療装置では、検出した電流値に基づいて骨再生モードにおいて高周波電流を通電する期間を制御し、殺菌モードにおいて第1期間で検出した予備電流の電流値に基づいて、第2期間でファイルに通電する高周波電流の通電期間を制御する構成について説明する。なお、実施の形態3において、実施の形態1で説明した歯科用治療装置10の構成と同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明を繰り返さない。また、実施の形態1で説明した内容を実施の形態3と矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
図9は、実施の形態3に係る歯科用治療装置の殺菌モードで電極に通電する電流の波形を示す図である。図9では、殺菌モードのみの電流の波形が示されており、予備的な通電期間である第1期間と、本格的な通電期間である第2期間とが繰り返し設けられている。つまり、歯科用治療装置10は、第2期間で通電する前に必ず第1期間を設ける制御を行っている。
歯科用治療装置10は、図9に示すように第1期間で検出した予備電流の電流値に基づいて、第2期間でファイル11に通電する高周波電流の通電期間を毎回決定するので、1回目の第2期間、2回目の第2期間、3回目の第2期間のそれぞれで高周波電流の通電期間が異なっている。つまり、歯科用治療装置10では、図9に示すような波形で高周波電流をファイル11に通電するので、ファイル11から受動電極22に至る経路の状況変化により適応した通電期間の制御が行える。
次に、歯科用治療装置10においてファイル11に通電する高周波電流の通電期間の制御についてフローチャートを用いて説明する。図10は、実施の形態3に係る歯科用治療装置の制御を説明するためのフローチャートである。図11は、実施の形態3に係る歯科用治療装置の殺菌モードの制御を説明するためのフローチャートである。まず、使用者が、根管長測定回路23に基づいて高周波電流の通電位置を決定し、当該通電位置において骨再生モードで歯科用治療装置10を動作させるか、殺菌モードで歯科用治療装置10を動作させるかを決め、動作モードを設定操作部15で歯科用治療装置10に入力する。制御回路21は、設定操作部15で入力された動作モードが骨再生モードか否かを判断する(ステップS10)。入力された動作モードが骨再生モードでない場合(ステップS10でNO)、制御回路21は、動作モードが殺菌モードであると判断して、表示部14に殺菌モードを実行する旨の情報を報知する(ステップS11)。制御回路21は、ステップS11で実行する動作モードを表示して図11に示す殺菌モードの処理を開始する。
一方、入力された動作モードが骨再生モードである場合(ステップS10でYES)、制御回路21は、表示部14に骨再生モードを実行する旨の情報を報知する(ステップS12)。さらに、制御回路21は、骨再生モードで通電する電流値で高周波電流をファイル11に通電する(ステップS13)。
骨再生を促進させるためには、所定期間、設定した微弱な電流値(設定値)を根管に挿入されたファイル11に通電する必要がある。しかし、設定値(第1出力範囲)よりも小さい電流値がファイル11に通電されている場合、骨再生を促進させるためには、骨再生モードで通電する通電期間を所定期間より延長する必要がある。そこで、制御回路21は、検出部20で検出した電流値が、設定値(第1出力範囲)以上か否かを判断する(ステップS14A)。検出部20で検出した電流値が設定値より小さい場合(ステップS14AでNO)、制御回路21は、高周波信号発生回路19に対してファイル11へ通電する通電期間を所定期間より延長するように調整する(ステップS15A)。制御回路21は、ステップS15Aで延長した所定期間を、ステップS16の所定期間に設定する。
検出部20で検出した電流値が設定値以上である場合(ステップS14AでYES)、制御回路21は、骨再生モードでの通電期間が所定期間を経過したか否かを判断する(ステップS16)。なお、制御回路21は、ステップS15Aで所定期間の延長を行った場合、延長した所定期間に対して骨再生モードでの通電期間が経過したか否かを判断する。骨再生モードでの通電期間が所定期間を経過していない場合(ステップS16でNO)、制御回路21は、処理をステップS13に戻す。一方、骨再生モードでの通電期間が所定期間を経過した場合(ステップS16でYES)、制御回路21は、骨再生モードでの動作を終了する。なお、図示していないが、制御回路21は、ステップS16でYESの場合に、設定操作部15で殺菌モードが入力されたか否かを判断し、殺菌モードが入力された場合、殺菌モードでの動作を開始させてもよい。
次に、殺菌モードでの動作について説明する。まず、使用者が、殺菌モードを設定操作部15で歯科用治療装置10に入力し、通電位置でフートスイッチ16を操作すると、制御回路21は、高周波信号発生回路19からファイル11に第1期間、予備電流を通電する(ステップS101)。
次に、制御回路21は、予備電流をファイル11に流したときに検出部20で検出した電流値に基づいて、ファイル11に通電する高周波電流の通電期間を決定する(ステップS102A)。具体的に、制御回路21は、例えば、ファイル11に流した電流値に対して検出部20で検出した電流値が20%低下していた場合、高周波電流の通電期間を1.2倍に決定する。制御回路21は、第1期間経過後、高周波信号発生回路19からファイル11への通電を休止期間、休止する(ステップS103)。
制御回路21は、第2期間、高周波電流を通電した回数をカウントするために通電回数カウンタのカウントを1加算する(ステップS104)。制御回路21は、高周波信号発生回路19からファイル11にステップS102Aで決定した第2期間、高周波電流を通電するように高周波信号発生回路19を制御する(ステップS105)。制御回路21は、高周波電流をファイル11に流し検出部20で検出した電流値が所定の範囲内の電流値か否かを判断する(ステップS106)。
検出した電流値が所定の範囲内の電流値である場合(ステップS106でYES)、制御回路21は、通電回数カウンタがN回(例えば、10回)以上か否かを判断する(ステップS107A)。通電回数カウンタがN回以上でない場合(ステップS107AでNO)、制御回路21は、処理をステップS101に戻し、第1期間と休止期間と第2期間との制御を繰り返す。制御回路21は、処理をステップS101に戻す際に、図示していないが休止期間を設けている。なお、実施の形態2で説明したように、通電回数カウンタがN回以上でない場合(ステップS107AでNO)、制御回路21は、処理をステップS103に戻し、休止期間と第2期間との制御を繰り返すようにしてもよい。一方、通電回数カウンタがN回以上である場合(ステップS107AでYES)、制御回路21は、通電回数カウンタをリセットしてカウンタを0(ゼロ)にして(ステップS108)、高周波電流をファイル11に通電する処理を停止する。なお、図示していないが、制御回路21は、ステップS108の処理後に、設定操作部15で骨再生モードが入力されたか否かを判断(ステップS10)し、骨再生モードが入力された場合、骨再生モードでの動作を開始させてもよい。
ステップS106に戻って、検出した電流値が所定の範囲内の電流値でない場合(ステップS106でNO)、制御回路21は、通電している高周波電流の電流値が所定の範囲外である旨の情報を表示部14に表示する(ステップS110)。
次に、制御回路21は、ファイル11に高周波電流を流して検出部20で検出した電流値が所定の範囲内の最小電流値より小さいか否かを判断する(ステップS111)。検出した電流値が所定の範囲外(ステップS105でNO)で、かつ所定の範囲内の最小電流値より小さい場合(ステップS111でYES)、制御回路21は、再度、高周波電流をファイル11に通電する処理が必要な旨の情報を表示部14に表示する(ステップS112)。
さらに、制御回路21は、検出した電流値が所定の範囲内の最小電流値より小さい通電期間を計時する(ステップS113)。
ステップS111に戻って、検出した電流値が所定の範囲外(ステップS105でNO)で、かつ所定の範囲内の最小電流値より小さくない場合(ステップS111でNO)、制御回路21は、検出した電流値が所定の範囲内の最大電流値より大きいと判断できるので、高周波電流をファイル11に通電する処理を停止する(ステップS115)。制御回路21は、高周波電流をファイル11に通電する処理を停止した旨の情報を表示部14に表示する(ステップS116)。
このように、実施の形態3に係る歯科用治療装置10では、制御回路21が、検出部20で検出した電流値に基づいて、骨再生モードの設定値(第1出力範囲)または殺菌モードの電流値(第2出力範囲)の高周波電流をファイル11に通電させる期間の制御を高周波信号発生回路19に対して行う。このように構成することで、実施の形態3に係る歯科用治療装置10は、検出部20で検出した電流値に基づいて、ファイル11に通電させる高周波電流の通電期間を制御することで、様々な状況の変化に対して適切な通電期間、高周波電流をファイル11に通電することができる。
また、制御回路21は、殺菌モードの電流値(第2出力範囲)が所定の範囲内の電流値に設定され、所定の範囲内の最小電流値より小さい電流値の予備電流を高周波信号発生回路19からファイル11に通電させ、検出部20で検出した予備電流の電流値に基づいて、所定の範囲内の電流値の高周波電流をファイル11に通電させる期間の制御を前記電源部に対して行ってもよい。これにより、歯科用治療装置10は、第2期間の高周波電流をファイル11に通電する前に、歯科治療部位に通電する高周波電流の最適な通電期間を設定することができる。
(実施の形態4)
実施の形態1では、殺菌モードにおいて第1期間で検出した予備電流の電流値に基づいて、第2期間でファイル11に通電する高周波電流の電流値が所定の範囲内の電流値となる高周波信号発生回路19の電圧値を制御する歯科用治療装置10について説明した。実施の形態4に係る歯科用治療装置では、殺菌モードにおいて第1期間で検出した予備電流の電流値と第1期間との積が所定の範囲内に収まるように、第2期間でファイルに通電する高周波電流の電流値および通電期間のうち少なくとも一方を制御する構成について説明する。なお、実施の形態4において、実施の形態1で説明した歯科用治療装置10の構成と同じ構成については同じ符号を付して詳細な説明を繰り返さない。また、実施の形態1で説明した内容を実施の形態4と矛盾しない範囲で組み合わせることができる。
歯科用治療装置10においてファイル11に通電する高周波電流の電流値と通電期間との積に基づく制御についてフローチャートを用いて説明する。図12は、実施の形態4に係る歯科用治療装置の制御を説明するためのフローチャートである。まず、使用者が、根管長測定回路23に基づいて高周波電流の通電位置を決定し、当該通電位置でフートスイッチ16を操作すると、制御回路21は、高周波信号発生回路19からファイル11に第1期間、予備電流を通電する(ステップS101)。
次に、制御回路21は、予備電流をファイル11に流したときに検出部20で検出した電流値とその通電期間(第1期間)との積に基づいて、所定の範囲内となる高周波電流の電流値をファイル11に通電するための高周波信号発生回路19の電圧値および通電期間を決定する(ステップS102B)。具体的に、根管内の起炎因子、細菌などを低減するためには、所定の範囲の電流値の高周波電流を所定の期間、通電する必要がある。例えば、30mAの高周波電流を1秒間、ファイル11に通電することで根管内の起炎因子、細菌などを低減することができる。そこで、制御回路21は、予備電流を第1期間、ファイル11に流して、実際にファイル11に流れた電流値とその通電期間との積から、根管内の起炎因子、細菌などを低減するための根管治療に必要な高周波電流の電流値を確保するための高周波信号発生回路19の電圧値および通電期間を決定する。もちろん、制御回路21は、予備電流をファイル11に流し検出部20で検出した電流値とその通電期間との積に基づいて、ファイル11に通電する高周波電流の電流値を確保するための高周波信号発生回路19の電圧値または通電期間のいずれか一方を決定してもよい。例えば、通電期間はあらかじめ規定期間が定められており、制御回路21は、検出した電流値とその通電期間との積に基づいて、ファイル11に通電する高周波電流の電流値を確保するための高周波信号発生回路19の電圧値のみを決定する。なお、制御回路21は、検出部20で検出した電流値と、その時の高周波信号発生回路19に印加されている電圧値から根管のインピーダンスを算出し、当該根管のインピーダンスにおいてファイル11に通電する電流値を確保するための高周波信号発生回路19の電圧値を決定する。
制御回路21は、第1期間経過後、高周波信号発生回路19からファイル11への通電を休止期間、休止する(ステップS103)。制御回路21は、第2期間、高周波電流を通電した回数をカウントするために通電回数カウンタのカウントを1加算する(ステップS104)。制御回路21は、高周波信号発生回路19からファイル11にステップS102Bで決定した高周波信号発生回路19の電圧値および第2期間、高周波電流を通電するように高周波信号発生回路19を制御する(ステップS105)。制御回路21は、高周波電流をファイル11に流し検出部20で検出した電流値が所定の範囲内の電流値か否かを判断する(ステップS106)。
検出した電流値が所定の範囲内の電流値である場合(ステップS106でYES)、制御回路21は、通電回数カウンタがN回(例えば、10回)以上か否かを判断する(ステップS107)。通電回数カウンタがN回以上でない場合(ステップS107でNO)、制御回路21は、処理をステップS103に戻し、休止期間と第2期間との制御を繰り返す。なお、実施の形態3で説明したように、通電回数カウンタがN回以上でない場合(ステップS107でNO)、制御回路21は、処理をステップS101に戻し、第1期間と休止期間と第2期間との制御を繰り返すようにしてもよい。一方、通電回数カウンタがN回以上である場合(ステップS107でYES)、制御回路21は、通電回数カウンタをリセットしてカウンタを0(ゼロ)にして(ステップS108)、高周波電流をファイル11に通電する処理を停止する。なお、図示していないが、制御回路21は、ステップS108の処理後に、設定操作部15で骨再生モードが入力されたか否かを判断(ステップS10)し、骨再生モードが入力された場合、骨再生モードでの動作を開始させてもよい。
ステップS106に戻って、検出した電流値が所定の範囲内の電流値でない場合(ステップS106でNO)、制御回路21は、通電している高周波電流の電流値が所定の範囲外である旨の情報を表示部14に表示する(ステップS110)。
次に、制御回路21は、ファイル11に高周波電流を流して検出部20で検出した電流値が所定の範囲内の最小電流値より小さいか否かを判断する(ステップS111)。検出した電流値が所定の範囲外(ステップS105でNO)で、かつ所定の範囲内の最小電流値より小さい場合(ステップS111でYES)、制御回路21は、再度、高周波電流をファイル11に通電する処理が必要な旨の情報を表示部14に表示する(ステップS112)。
さらに、制御回路21は、検出した電流値が所定の範囲内の最小電流値より小さい通電期間を計時する(ステップS113)。
ステップS111に戻って、検出した電流値が所定の範囲外(ステップS105でNO)で、かつ所定の範囲内の最小電流値より小さくない場合(ステップS111でNO)、制御回路21は、検出した電流値が所定の範囲内の最大電流値より大きいと判断できるので、高周波電流をファイル11に通電する処理を停止する(ステップS115)。制御回路21は、高周波電流をファイル11に通電する処理を停止した旨の情報を表示部14に表示する(ステップS116)。
このように、実施の形態4に係る歯科用治療装置10では、制御回路21が、検出部20で検出した電流値と高周波電流を通電させた期間との積が所定値以上となるように、殺菌モードにおいてファイル11に通電させる高周波電流を確保するための高周波信号発生回路19の電圧値、および高周波電流をファイル11に通電させる期間のうち少なくとも一方の制御を高周波信号発生回路19に対して行う。
このように構成することで、実施の形態4に係る歯科用治療装置10は、殺菌モードにおいて検出部20で検出した電流値と通電させた期間との積に基づいて、ファイル11に通電させる高周波電流の電流値および通電期間のうち少なくとも一方の制御を高周波信号発生回路19に対して行うので、様々な状況の変化に対しても、歯科治療部位に配置されるファイル11に所定の範囲の電流値の高周波電流を通電することができる。なお、歯科用治療装置10は、骨再生モードにおいて同様に検出部20で検出した電流値と通電させた期間との積に基づいて、ファイル11に通電させる高周波電流の電流値および通電期間のうち少なくとも一方の制御を高周波信号発生回路19に対して行ってもよい。
(変形例)
歯科用治療装置は、前述の実施の形態で説明したような、ファイル11を取り付けるファイルホルダ13を有し、根管長測定と、高周波電流を通電することができる構成に限定されず、治療工具をモータ駆動する構成、治療工具を超音波で駆動する構成などと組み合わせてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10 歯科用治療装置、11 ファイル、12 ユニット、13 ファイルホルダ、14 表示部、15 設定操作部、16 フートスイッチ、17 モータ、18 モータ駆動回路、19 高周波信号発生回路、20 検出部、21 制御回路、22 受動電極、23 根管長測定回路。

Claims (14)

  1. 歯科治療部位に高周波電流を通電する歯科用治療装置であって、
    前記歯科治療部位に配置される電極を保持する保持部と、
    前記電極に高周波電流を通電する電源部と、
    前記電源部から前記電極に高周波電流を通電させる出力範囲を複数設定することができる制御部と、を備え、
    前記制御部は、少なくとも第1出力範囲と、前記第1出力範囲の電流値に対して25倍以上の高周波電流を通電させる第2出力範囲とを設定する、歯科用治療装置。
  2. 前記制御部は、
    前記第1出力範囲内の電流値の高周波電流を前記電極に通電させる第1制御モードと、
    前記第2出力範囲内の電流値の高周波電流を前記電極に通電させる第2制御モードとを、切り替えることができる、請求項1に記載の歯科用治療装置。
  3. 前記制御部は、
    前記電極に高周波電流を通電させる1回の通電期間を複数の区間に分け、
    少なくとも前記第1出力範囲内の電流値の高周波電流を前記電極に通電させる第1区間と、
    前記第2出力範囲内の電流値の高周波電流を前記電極に通電させる第2区間とを前記通電期間に含める、請求項1に記載の歯科用治療装置。
  4. 前記電源部から前記電極に通電される電流値を検出する検出部をさらに備え、
    前記制御部は、
    前記第1制御モードまたは前記第1区間において、前記検出部で検出される電流値が前記第1出力範囲内となるように、前記電極に通電させる高周波電流の電流値の制御を前記電源部に対して行い、
    前記第2制御モードまたは前記第2区間において、前記検出部で検出される電流値が前記第2出力範囲内となるように、前記電極に通電させる高周波電流の電流値の制御を前記電源部に対して行う、請求項2または請求項3に記載の歯科用治療装置。
  5. 前記制御部は、
    前記第2出力範囲内の電流値より小さい電流値の予備電流を前記電源部から前記電極に通電させ、
    前記検出部で検出した前記予備電流の電流値に基づいて、前記電極に通電させる高周波電流の電流値の制御を前記電源部に対して行う、請求項4に記載の歯科用治療装置。
  6. 前記制御部は、
    前記第2出力範囲の電流値より小さい電流値の予備電流を前記電源部から前記電極に通電させ、
    前記検出部で検出した前記予備電流の電流値に基づいて、前記第2出力範囲内の電流値の高周波電流を前記電極に通電させる時間の制御を前記電源部に対して行う、請求項4に記載の歯科用治療装置。
  7. 前記制御部は、前記検出部で前記第2出力範囲の最大電流値より大きい電流値が検出された場合、前記電極への高周波電流の通電を開始させない制御、停止させる制御、通電する電流値を低減する制御のいずれかの制御を前記電源部に対して行う、請求項4~請求項6のいずれか1項に記載の歯科用治療装置。
  8. 使用者に情報を報知する報知部をさらに備え、
    前記制御部は、前記第1制御モードまたは前記第1区間で制御しているのか、前記第2制御モードまたは前記第2区間で制御しているのかを、前記報知部に報知させる、請求項4~請求項7のいずれか1項に記載の歯科用治療装置。
  9. 前記制御部は、前記検出部で検出される電流値が前記第2出力範囲外となった場合、通電している高周波電流の電流値が前記第2出力範囲外である旨の情報を、前記報知部に報知させる、請求項8に記載の歯科用治療装置。
  10. 前記制御部は、前記検出部で前記第2出力範囲の最大電流値より大きい電流値が検出され、前記電源部から前記電極への高周波電流の通電を停止させた場合、高周波電流の通電を停止した情報を前記報知部に報知させる、請求項8または請求項9に記載の歯科用治療装置。
  11. 前記制御部は、前記検出部で前記第2出力範囲の最小電流値より小さい電流値が検出された場合、高周波電流の通電を再度行うことを促す情報を前記報知部に報知させる、請求項8または請求項9に記載の歯科用治療装置。
  12. 前記制御部は、前記検出部で前記第2出力範囲の最小電流値より小さい電流値が検出された時間を計時し、計時した当該時間を前記報知部に報知させる、請求項8~請求項11のいずれか1項に記載の歯科用治療装置。
  13. 前記第1出力範囲内の電流値は、1mA以下である、請求項1~請求項12のいずれか1項に記載の歯科用治療装置。
  14. 歯科治療部位に高周波電流を通電する歯科用治療装置であって、
    前記歯科治療部位に配置される電極を保持する保持部と、
    前記電極に高周波電流を通電する電源部と、
    前記電源部から前記電極に高周波電流を通電させる出力範囲を複数設定することができる制御部と、を備え、
    設定する複数の出力範囲には、少なくとも高周波電流の電流値が1mA以下の出力範囲を含む、歯科用治療装置。
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