JP2022083826A - 菌又はウイルスの不活化装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】菌等の不活化効果を担保しながらも、装置の温度上昇を抑制した不活化装置を提供する。【解決手段】菌又はウイルスの不活化装置は、190nm~235nmの範囲内に属する特定波長域に光出力を示す紫外線を出射する光源と、光源の点灯制御を行う制御部と、紫外線の照射領域の一部であるか又は前記照射領域に隣接する領域である検知対象領域内に人間が存在するか否かを検知する検知部とを備える。制御部は、検知部における検知結果に応じて前記光源に対する制御内容の切り替えが可能に構成されており、検知部が人間の不存在を検知すると、制御内容を、相対的に高い発光強度で前記光源を点灯する第一制御と、第一制御の実行時よりも相対的に低い発光強度で前記光源を点灯するか又は消灯する第二制御とを繰り返す第一動作制御モードに設定する。【選択図】図1
Description
本発明は、菌又はウイルスの不活化装置に関する。
空間中又は物体表面に存在する菌(細菌や真菌等)やウイルスは、人や人以外の動物に対して感染症を引き起こすことがあり、感染症の拡大によって生活が脅かされることが懸念される。特に、医療施設、学校、役所等、頻繁に人が集まる施設や、自動車、電車、バス、飛行機、船等の乗物においては、感染症が蔓延しやすいことから、菌やウイルスを不活化させる有効な手段が必要とされている。
従来、菌やウイルス(以下、「菌等」と総称することがある。)の不活化を行う方法として、紫外線を照射する方法が知られている。DNAは波長260nm付近に最も高い吸収特性を示す。そして、低圧水銀ランプは、波長254nm付近に高い発光スペクトルを示す。このため、低圧水銀ランプを用いて殺菌を行う技術が広く利用されている。
しかし、このような波長帯の紫外線を人体に照射すると、人体に影響を及ぼすリスクがあることが知られている。皮膚は、表面に近い部分から表皮、真皮、その深部の皮下組織の3つの部分に分けられ、表皮は、更に表面に近い部分から順に、角質層、顆粒層、有棘層、基底層の4層に分けられる。波長254nmの紫外線が人体に照射されると、角質層を透過して、顆粒層や有棘層、場合によっては基底層に達し、これらの層内に存在する細胞のDNAに吸収される。この結果、皮膚がんのリスクが発生する。よって、このような波長帯の紫外線は、人が存在し得る場所で積極的に利用することは難しい。
そこで、下記特許文献1には、除染対象空間としてのトイレ内に人が存在しないことを検知した後に、紫外線(UVC光)を照射させる内容が開示されている。
また、特許文献2には、エレベータに人感センサ、ドアセンサを設置し、上記センサがエレベータ内に人間が不在で、ドアが閉まった状態を検知した際、エレベータ内に殺菌用の紫外線を照射するシステムが開示されている。ここで、用いられる紫外線の波長は、約240nmと約280nmとの間とされている。
特許文献1には、UVC光としか記載されておらず、その波長の詳細は不明である。ただし、上述したように、従来、菌等の不活化に最も一般的に利用されている波長帯は254nm近傍の波長であること、UVC光としか記載せずに波長について特段の記載をしていないこと、及び、人の不存在を確認した後に紫外線の照射を行う制御が行われていること等に鑑みると、特許文献1で用いられている紫外線の波長は254nm近傍であると考えるのが自然である。特許文献2においても同様に理解される。
本願出願日の時点では、人体に対して1日(8時間)あたりの紫外線照射量に関して、ACGIH(American Conference of Governmental Industrial Hygienists:米国産業衛生専門家会議)やJISZ 8812(有害紫外放射の測定方法)等によって、波長ごとの許容限界値(TLV:Threshold Limit Value)が定められている。つまり、人間が存在する環境下で紫外線が利用される場合には、所定の時間内に照射される紫外線の積算照射量がTLVの基準値以内となるように、紫外線の照度や照射時間を決定することが推奨されている。
一方で、紫外線が照射される領域(照射領域)内に人間が存在しない時間帯であれば、紫外線の照度を高めたり照射時間を長くしても、TLVの基準値を考慮する必要がない。そして、紫外線の積算照射量を高めるほど、その空間内における菌等の不活化効果が高められる。
つまり、特許文献1の技術においても、菌等の不活化効果を高めるべく、人間の不存在を確認した後に、高い照度で紫外線を連続的に照射して積算照射量を高める方法が考えられる。
しかしながら、高い照度で長時間にわたって連続的に紫外線を照射すると、光源に対して電力を供給するためのインバータを含む電源回路が発熱してしまい、大型の冷却系統が必要になる場合がある。このような冷却系統が必要になると、不活化装置自体が大型化し、取り付け箇所に制限を受けるおそれがあり、好ましくない。更に、一日あたりの積算照射量があまりに高くなると、光源が早期に寿命に達してしまい、使用可能期間が短くなるおそれがある。
更に、菌等の中には、例えば波長254nmの紫外光が照射されることで不活化された後、300nm以上500nm以下の波長域の光が照射されると、DNAの損傷を修復させる作用を起こすものがある。これは、菌が保有する光回復酵素(例えば、FAD(フラビンアデニンジヌクレオチド))の働きによるものであり、この現象を以下では「菌の光回復」と呼ぶ。300nm以上500nm以下の波長範囲には、太陽光や白色照明の可視光も含まれており、明るい環境において菌の光回復が進むことが知られている。このような事情の存在により、自然光や室内光を含む照明環境下で紫外光を照射することで菌等の不活化を行った場合には、この不活化された状態を維持することが困難となりやすい。
特に、人間が出入りする可能性のある空間に対して不活化処理を行う場合には、人間が存在している時間帯には紫外線の照射が停止されるため、この時間内に可視光が照射されることで菌が回復するおそれがある。かかる観点から、従来の方法で高い不活化効果を実現するためには、人間が存在しない時間帯に高い照度で紫外線を連続的に照射し続ける必要がある。この結果、上記のように、電源回路を冷却するための大型の冷却装置が必要となる。
本発明は、上記の課題に鑑み、菌等の不活化効果を担保しながらも、装置の温度上昇を抑制した、不活化装置を提供することを目的とする。
本発明に係る菌又はウイルスの不活化装置は、
190nm~235nmの範囲内に属する特定波長域に光出力を示す紫外線を出射する光源と、
前記光源の点灯制御を行う制御部と、
前記紫外線の照射領域の一部であるか又は前記照射領域に隣接する領域である検知対象領域内に人間が存在するか否かを検知する検知部とを備え、
前記制御部は、前記検知部における検知結果に応じて前記光源に対する制御内容の切り替えが可能に構成されており、
前記制御部は、前記検知部が人間の不存在を検知すると、前記制御内容を、相対的に高い発光強度で前記光源を点灯する第一制御と、前記第一制御の実行時よりも相対的に低い発光強度で前記光源を点灯するか又は消灯する第二制御とを繰り返す、第一動作制御モードに設定することを特徴とする。
190nm~235nmの範囲内に属する特定波長域に光出力を示す紫外線を出射する光源と、
前記光源の点灯制御を行う制御部と、
前記紫外線の照射領域の一部であるか又は前記照射領域に隣接する領域である検知対象領域内に人間が存在するか否かを検知する検知部とを備え、
前記制御部は、前記検知部における検知結果に応じて前記光源に対する制御内容の切り替えが可能に構成されており、
前記制御部は、前記検知部が人間の不存在を検知すると、前記制御内容を、相対的に高い発光強度で前記光源を点灯する第一制御と、前記第一制御の実行時よりも相対的に低い発光強度で前記光源を点灯するか又は消灯する第二制御とを繰り返す、第一動作制御モードに設定することを特徴とする。
本明細書において、「不活化」とは、菌やウイルスを死滅させる又は感染力や毒性を失わせることを包括する概念を指し、「菌」とは、細菌や真菌(カビ)等の微生物を指す。以下において、「菌又はウイルス」を「菌等」と総称することがある。
本発明に係る不活化装置が備える光源は、190nm~235nmの範囲内に属する特定波長域に光出力を示す紫外線を発する構成である。このような紫外線によれば、不活化の対象領域に対して照射された後に可視光が照射されても「菌の光回復」が行われにくく、言い換えれば「菌の光回復」の阻害効果を奏する。この理由としてはいくつか推考できるが、その一つとして、この波長帯の紫外線が光回復酵素に対して作用し、光回復機能が阻害されるためと考えられる。このため、不活化処理時において、人体への影響に鑑みて仮に人間の存在が検知されている時間帯に紫外線の照射を停止する制御が行われる等により、紫外線の照射が断続的に行われたとしても、照度が低い時間帯又は照射されていない時間帯に菌の増殖が進みにくい。
このため、従来の紫外線を用いた不活化装置と比較して、同一時間内における紫外線の積算照射量を低くしても、高い不活化効果を奏することができる。
なお、光回復機能を阻害する効果をより高める観点からは、光源から出射される紫外線が光出力を示す波長域は、200nm~235nmの範囲内であるのがより好ましく、215nm~230nmの範囲内であるのが特に好ましい。
上記のように、本発明に係る不活化装置は、人間の不存在が検知されている時間帯において、相対的に高い発光強度で光源を点灯する第一制御と、前記第一制御の実行時よりも相対的に低い発光強度で光源を点灯するか又は消灯する第二制御とを繰り返す、第一動作制御モードに設定される。この結果、第二制御の実行時には、インバータ等の電源回路に流れる電流量が抑制されるため、電源回路の発熱量を抑制できる。これにより、大型の冷却系統を設けることなく、高い不活化効果を実現できる。
一方で、不活化装置が設置される場所によっては、人間の出入りが頻繁に行われる可能性が考えられる。このため、仮に、人間の不存在が検知されている時間帯において、単に極めて低い照度で紫外線を照射し続ける制御が行われる場合、人間の不存在時間が短いと、単位時間内における紫外線の積算照射量が十分確保できず、高い不活化効果が得られないおそれがある。
これに対し、上記の構成のように、相対的に高い発光強度で光源を点灯する第一制御と、相対的に低い発光強度で光源を点灯するか又は消灯する第二制御とが繰り返されることで、第一制御の実行時には短い時間内に高い積算照射量を確保しつつ、第二制御の実行によって電源回路の発熱量を抑制することが可能となる。
なお、第二制御において光源を消灯する制御が行われた場合であっても、上述したように、第一制御の実行時には190nm~235nmの範囲内に属する特定波長域に光出力を示す紫外線が照射されるため、第二制御の実行時に「菌の光回復」が生じにくい。このため、高い不活化効果が確保できる。
ところで、前記不活化装置が備える光源から出射される、190nm~235nmの範囲内に属する特定波長域に光出力を示す紫外線は、波長240nm以上の紫外線と比べて人体への影響度が抑制されることが知られている。一方で、上述したように、人間が存在する環境下で紫外線が利用される場合には、紫外線の積算照射量がTLVの基準値以内となるように、紫外線の照度や照射時間を決定することが推奨されている。このため、前記検知部が人間の存在を検知している時間帯においても、前記TLVの基準値を満たすように照度が低く設定された状態で、前記光源から紫外線が照射されるように制御されていても構わない。
前記制御部は、前記検知部が人間の存在を検知すると、前記制御内容を、前記光源を消灯する第二動作制御モードに設定し、前記検知部が人間の不存在を検知すると、前記制御内容を、前記第二動作制御モードから前記第一動作制御モードに移行するものとしても構わない。
上記構成によれば、検知対象領域内に人間が存在する時間帯には前記光源からの紫外線の照射が停止されるため、人体への影響が最大限抑制されると共に、利用者への心理的な不安を払拭できる。一方、検知対象領域内に人間が不存在である時間帯に前記光源から照射される紫外線は、190nm~235nmの範囲内に属する特定波長域に光出力を示すため、人間が存在する時間帯にこの紫外線の照射が停止されていても、同時間帯に菌の光回復が生じることが抑制できている。これにより、高い不活化効果が奏される。
前記第一動作制御モードは、第一所定時間にわたって前記光源を点灯する前記第一制御の実行後、前記第一所定時間以上の長さの第二所定時間にわたって前記光源を消灯する前記第二制御を実行する動作を繰り返すモードであり、
前記制御部は、前記第一動作制御モードの実行中に前記検知部が人間の存在を検知すると、直ちに、前記制御内容を前記第一動作制御モードから前記第二動作制御モードに移行し、
前記制御部は、前記第二動作制御モードの実行中に前記検知部が人間の不存在を検知すると、前記第一動作制御モードから前記第二動作制御モードに移行された時刻からの経過時間に応じて設定される移行待機期間の経過後に、前記第二動作制御モードから前記第一動作制御モードに移行して前記第一制御を実行するものとしても構わない。
前記制御部は、前記第一動作制御モードの実行中に前記検知部が人間の存在を検知すると、直ちに、前記制御内容を前記第一動作制御モードから前記第二動作制御モードに移行し、
前記制御部は、前記第二動作制御モードの実行中に前記検知部が人間の不存在を検知すると、前記第一動作制御モードから前記第二動作制御モードに移行された時刻からの経過時間に応じて設定される移行待機期間の経過後に、前記第二動作制御モードから前記第一動作制御モードに移行して前記第一制御を実行するものとしても構わない。
なお、ここでいう「直ちに」とは、例えば3秒以内の時間経過後を意味し、より好ましくは1秒以内の時間経過後を意味し、特に好ましくは500μ秒以内の時間経過後を意味する。
検知部が人間の不存在を検知するタイミングは、人間の移動に伴って決定されるため、装置側で制御することはできない。つまり、人間が検知対象領域内に極めて短い時間内だけ留まる場合も想定される。
このような事態が生じると、検知部が人間の存在を検知して紫外線の照射が停止された後、極めて短い時間の経過後に検知部が人間の不存在を検知することになる。このとき、仮に検知部が人間の不存在を検知した後に直ちに第一動作制御モードが実行されて高い発光強度で光源が点灯されると、この点灯開始直前における光源の消灯時間が極めて短くなる。このような動作が複数回実行されてしまうと、電源回路の発熱が高まるおそれがある。
これに対し、上記の構成によれば、検知部が人間の不存在を検知した際、直前に人間の存在を検知した時刻からの経過時間に応じて、第二動作制御モードから第一動作制御モードに移行するまでの移行待機期間が設定される。言い換えれば、人間の不存在を検知しても、直前に人間の存在を検知してからの経過時間が短い場合には、しばらく消灯状態が継続された後、光源が点灯される。これにより、人間の検知対象領域内への出入りという、不活化装置側で制御できない外的因子の影響によらず、電源回路の発熱を抑制することができる。
なお、上記の構成によれば、前記第一動作制御モードの実行時、すなわち人間が不存在である時間帯において、光源が点灯されている時間(第一所定時間)は、光源が消灯されている時間(第二消灯時間)よりも短く設定される。つまり、第一動作制御モードの実行中は、光源がひとたび点灯してから次に点灯するまでに要する時間に対する、光源の連続点灯時間の割合(ONデューティ比)が50%以下に設定されている。これにより、第一動作制御モードの実行中においても、電源回路の発熱が抑制される。
前記移行待機期間は、直前に前記光源が消灯してから前記第一動作制御モードに移行する迄の連続消灯時間が、直前に前記光源が点灯していた連続点灯時間以上の長さとなるように設定されるものとしても構わない。
かかる構成によれば、検知対象領域内に人間の出入りが頻繁に行われた場合であっても、前記ONデューティ比が50%以下となるように設定されるため、電源回路の発熱を抑制する効果が高められる。
前記紫外線は、200nm~230nmの範囲内にピーク波長を有するものとしても構わない。
より詳細には、前記光源が、Kr及びClを含む発光ガスが封入されたエキシマランプや、Kr及びBrを含む発光ガスが封入されたエキシマランプで構成することができる。前者の場合は、紫外線のピーク波長が222nm近傍を示し、後者の場合は、紫外線のピーク波長が207nm近傍を示す。また、別の例として、前記光源は、LEDやLDといった固体光源で構成されても構わない。
本発明によれば、菌等の不活化効果を担保しながらも、不活化装置の温度上昇を抑制することが可能となる。
本発明に係る菌又はウイルスの不活化装置の実施形態につき、適宜図面を参照して説明する。なお、以下では、「菌又はウイルスの不活化装置」を単に「不活化装置」と略記することがある。
図1は、本発明に係る菌又はウイルスの不活化装置が利用される場面の一例を模式的に示す図面である。図1に示す例では、会議室などの部屋50に、不活化装置1が設置されている状況が図示されている。この不活化装置1は、部屋50内に設置された机51、椅子52、壁紙53、及び部屋50の空間内に対して、菌等の不活化を行う目的で設置されている。
不活化装置1は、後述する紫外線L1を発する構成であり、この紫外線L1が照射されることで、不活化の対象となる物品や空間に対して不活化処理が行われる。
図2は、不活化装置1の構成を模式的に示す図面である。図3は、不活化装置1の構成を説明するための機能ブロック図である。
不活化装置1は、紫外線L1を出射する光源2と、検知対象領域40内に人間が存在するか否かを検知するための検知部20と、光源2の点灯制御を行う制御部9を備える。ここでいう、検知対象領域40とは、検知部20において人間が存在するか否かの検知が行われる領域であって、且つ、少なくとも一部分に対して紫外線L1が照射され得る領域である。ただし、この検知対象領域40は、紫外線L1が照射される領域に対して完全に一致していなくても構わない。言い換えれば、検知対象領域40は、紫外線L1の照射領域の一部であるか、又は前記照射領域に隣接する領域である。
なお、不活化装置1は、光源2に対して電力を供給するための電源回路(不図示)を搭載している。
本実施形態では、検知部20は、赤外線L2を用いた人感センサで構成される。制御部9は、検知部20において、検知対象領域40内に人間が存在するか否かの検知が行われると、この検知結果に応じて、光源2に対する制御内容の切り替えが可能に構成されている。光源2に対するこの制御内容については後述される。
図4は、光源2の外観の一例を模式的に示す斜視図である。図5は、図4から、光源2のランプハウス12の本体ケーシング部12aと蓋部12bとを分解した斜視図である。
以下の図4~図6では、紫外線L1の取り出し方向をX方向とし、X方向に直交する平面をYZ平面とした、X-Y-Z座標系を参照して説明される。より詳細には、図5及び図6を参照して後述されるように、ランプハウス12内に配置されたエキシマランプ3の管軸方向をY方向とし、X方向及びY方向に直交する方向をZ方向とする。
図4及び図5に示すように、光源2は、一方の面に光取り出し面10が形成されたランプハウス12を備える。ランプハウス12は、本体ケーシング部12aと蓋部12bとを備え、本体ケーシング部12a内には、エキシマランプ3と、電極(5,6)とが収容されている。図5では、一例として、ランプハウス12内に4本のエキシマランプ3が収容されている場合が図示されている。電極(5,6)は、給電線18と電気的に接続されており、各エキシマランプ3に対して給電するための電極を構成する。図6は、エキシマランプ3と、電極(5,6)との位置関係を模式的に示す平面図である。
図4~図6に示すように、この実施形態における光源2は、それぞれのエキシマランプ3の発光管の外表面に接触するように、2つの電極(5,6)が配置されている。電極(5,6)は、Y方向に離間した位置に配置されている。電極(5,6)は、導電性の材料からなり、好ましくは、エキシマランプ3から出射される紫外線L1に対する反射性を示す材料からなる。一例として、電極(5,6)は、共に、Al、Al合金、ステンレスなどで構成される。電極(5,6)は、いずれも各エキシマランプ3の発光管の外表面に接触しつつ、Z方向に関して各エキシマランプ3に跨るように配置されている。
エキシマランプ3はY方向を管軸方向とした発光管を有し、Y方向に離間した位置において、エキシマランプ3の発光管の外表面が各電極(5,6)に対して接触している。エキシマランプ3の発光管には、発光ガス3Gが封入されている。制御部9(図3参照)からの制御に基づいて、各電極(5,6)の間に、電源回路(不図示)及び給電線18(図4参照)を通じて例えば数kHz~5MHz程度の高周波の交流電圧が印加されると、エキシマランプ3の発光管を介して発光ガス3Gに対して前記電圧が印加される。このとき、発光ガス3Gが封入されている放電空間内で放電プラズマが生じ、発光ガス3Gの原子が励起されてエキシマ状態となり、この原子が基底状態に移行する際にエキシマ発光を生じる。
発光ガス3Gは、エキシマ発光時に、190nm~235nmの範囲内に属する特定波長域に光出力を示す紫外線L1を出射する材料からなる。一例として、発光ガス3Gとしては、KrCl、KrBr、ArFが含まれる。
例えば、発光ガス3GにKrClが含まれる場合には、エキシマランプ3から主ピーク波長が222nm近傍の紫外線L1が出射される。発光ガス3GにKrBrが含まれる場合には、エキシマランプ3からは、主たるピーク波長が207nm近傍の紫外線L1が出射される。発光ガス3GにArFが含まれる場合には、エキシマランプ3からは、主たるピーク波長が193nm近傍の紫外線L1が出射される。なお、エキシマランプ3の発光管の管壁に蛍光体が塗布されることで、エキシマ光の波長に対して長波長の紫外線L1を発する構成としてもよい。図7は、発光ガス3GにKrClが含まれるエキシマランプ3から出射される紫外線L1のスペクトルの一例を示す図面である。
図8Aは、制御部9による光源2に対する制御内容の一例を模式的に示すタイミングチャートである。より詳細には、図8Aでは、制御部9による制御結果に応じて、光源2から出射される紫外線L1の光出力(発光強度)の変化が模式的に示されている。なお、この図示の方法は、後述する図8B、図10A、図10B、図11A及び図11Bにおいても共通である。
本実施形態において、制御部9は、検知部20によって検知対象領域40内に人間の不存在が検知されているときは、光源2に対して通電を行う時間(ON時間)と、通電を行わない時間(OFF時間)とが交互に生じるように、光源2を制御する。言い換えれば、制御部9は、検知対象領域40内に人間の不存在が検知されている時間帯において、光源2に対して、点灯動作と消灯動作とを繰り返す動作制御モード(「第一動作制御モード」に対応する。)の実行が可能な構成である。この場合、点灯動作が「第一制御」に対応し、消灯動作が「第二制御」に対応する。この用語を用いて説明すると、第一動作制御モードとは、ある時間にわたって第一制御が実行された後、ある時間にわたって第二制御が実行されるという動作が繰り返される制御モードである。
なお、本実施形態の不活化装置1は、検知部20によって検知対象領域40内に人間の存在が検知されているときは、制御部9が光源2を消灯する制御を行う。この動作制御モードは、「第二動作制御モード」に対応する。そして、再び検知部20が検知対象領域40内に人間の不存在を検知すると、制御部9によって行われる動作制御モードが、第二動作制御モードから第一動作制御モードに移行される。
一例として、時刻Taにおいて検知部20によって人間の不存在が検知されると、その後、時間Tn1(「第一所定時間」に対応する。)にわたって光源2に対して通電が行われることで、この時間にわたって光源2から紫外線L1が照射される。その後、時間Tf1(「第二所定時間」に対応する。)にわたって光源2に対する通電が停止され、紫外線L1の照射が停止される。図8Aの例では、時間Tn1と時間Tf1とが同一の時間で設定されており、いずれも5分間である。この場合、光源2がひとたび点灯してから次に点灯するまでに要する時間に対する、光源2の連続点灯時間の割合(ONデューティ比)は50%である。時間Tn1や時間Tf1は適宜調整が可能であり、例えば10秒間~10分間の範囲内で設定される。
なお、図8Aでは、光源2からの光出力の変化、すなわち紫外線L1の照射/非照射が、極めて直線的に図示されているが、これは説明の都合上あくまで模式的に描かれたものである。時間軸を細かく分析すると、光出力が滑らかに減少/上昇しているものとしても構わない。制御部9からの制御信号が変化したことに対する、光源2からの光出力が変動する速度(応答性)は、光源2の構成に依存する。図8Aは、制御部9からの制御信号に基づいて、光源2がON/OFF制御されることが模式的に示されているに過ぎず、光源2が極めて高い応答性を有していることを示唆するものではない。言い換えれば、本発明において、制御部9からの制御信号に基づく光源2からの光出力の変動速度は限定されない。この点は、後述する図8B、図10A、図10B、図11A及び図11Bにおいても共通である。
図8Bは、制御部9による光源2に対する制御内容の一例を模式的に示す別のタイミングチャートである。図8Bに示すように、点灯時間Tn1が消灯時間Tf1よりも短くなるように設定されていても構わない。例えば、時間Tn1が15秒間であり、時間Tf1が1分間である。この場合、光源2がひとたび点灯してから次に点灯するまでに要する時間に対する、光源2の連続点灯時間の割合(ONデューティ比)は20%である。このように、本実施形態では、検知対象領域40内に人間が存在しない時間帯において、ONデューティ比が50%以下となる範囲内で、制御部9によって光源2に対するON/OFF制御が行われる。
このように、人間の不存在が検知されている時間帯においても、光源2に対するON/OFF制御が行われることで、光源2に対する通電量が抑制される。この結果、光源2に対する電源供給のための電源回路の発熱量が抑制され、不活化装置1が大型の冷却装置を設ける必要がなくなる。
また、不活化装置1が備える光源2は、190nm~235nmの範囲内に属する特定波長域に光出力を示す紫外線L1を発する構成である。この波長帯の紫外線L1の場合、一般的に殺菌等で広く用いられている低圧水銀ランプなどの波長254nmの紫外線と比較して、連続的に紫外線を照射しなくても高い不活化効果が実現できる。つまり、図8Aや図8Bのタイミングチャートに示されるように、人間の不存在が検知されている時間帯において光源2からの紫外線L1が照射されない時間帯(時間Tf1)が存在していても、高い不活化効果を実現できる。この点につき、図9A及び図9Bを参照して説明する。
図9A及び図9Bは、紫外線を連続的に照射した場合と間欠的に照射した場合とで、照射される紫外線の波長によって菌等に対する不活化効果に差が生じることを説明するためのグラフである。いずれのグラフも、以下の実験の結果である。
φ35mmのシャーレに、濃度106CFU/mL程度の黄色ブドウ球菌を1mL入れ、シャーレの上方から、低圧水銀ランプからの紫外線(比較例)と、KrClエキシマランプからの紫外線(実施例)とを照射した。なお、CFUはコロニー形成単位(Colony forming unit)を意味する。その後、照射後のシャーレ内の溶液を、生理食塩水で所定の倍率に希釈し、希釈後の溶液0.1mLを標準寒天培地に播種した。そして、温度37℃、湿度70%の培養環境下で48時間培養し、コロニー数をカウントした。
なお、比較例と実施例の双方において、紫外線を連続的に照射した場合と、紫外線を間欠的に照射した場合の双方の実験が行われた。なお、間欠的な紫外線照射は、50秒間照射した後、59分10秒間照射しないという制御が繰り返されることで行われた。また、この実験は、暗幕等が設置されていない、通常の室内で行われた。
図9A及び図9Bは、上記実験結果をグラフ化したものであり、横軸が紫外線の照射量、縦軸が黄色ブドウ球菌の生存率に対応する。なお、縦軸は、紫外線の照射前の時点における黄色ブドウ球菌のコロニー数を基準としたときの、照射後の黄色ブドウ球菌のコロニー数の比率のLog値に対応する。
図9Aによれば、波長254nmの紫外線によれば、連続的に照射した場合と比べて、間欠的に照射すると、黄色ブドウ球菌の生存率が明らかに高くなっていることが分かる。これに対し、波長222nmの紫外線によれば、間欠的な照射であっても、黄色ブドウ球菌の生存率は、連続的な照射とほぼ同等の結果を示すことが分かる。特に、今回の実験では、50秒間照射した後、59分10秒間照射しないという照射モードであり、60分間という単位時間内における照射時間はたったの1.3%の時間であるにもかかわらず、ほぼ連続的な紫外線の照射と同等の不活化効果が得られたことが分かる。
これは、波長254nmの紫外線が照射されて菌が不活化された後、紫外線が照射されていない時間内に、照明光や自然光が照射されたことで、菌が保有する光回復酵素によってDNAの損傷が修復されたことによるものと推察される。一方で、波長222nmの紫外線によれば、この光回復酵素に対しても作用したことで、紫外線が照射されていない時間内であっても光回復機能が阻害されたままの状態が実現されたものと推察される。このような機能は、190nm~235nmの範囲内に属する特定波長域に光出力を示す紫外線L1であれば実現され、特に200nm~235nmの波長であればその作用は高く、更に、215nm~230nmの波長であればその作用は顕著に現れる。
本実施形態の不活化装置1は、検知部20において検知対象領域40内に人間が不存在であることが検知されている時間帯において、光源2を間欠的に点灯させる制御を行っている。このため、紫外線L1が照射されない時間帯(時間Tf1)が存在するが、紫外線L1が190nm~235nmの範囲内に属する特定波長域に光出力を示すことから、この紫外線L1が照射されていない時間帯内において菌の光回復が生じることが抑制されている。この結果、菌等に対する高い不活化効果が奏される。
この点は、人間が存在している時間帯において光源2が消灯されていることにも同様に当てはまる。すなわち、人間が存在している時間帯において紫外線L1の照射が停止されている場合であっても、それよりも以前の人間が存在している時間帯において、190nm~235nmの範囲内に属する特定波長域に光出力を示す紫外線L1が照射されているため、やはり菌の光回復の機能は抑制される。
そして、人間が不存在であることが検知されている時間帯において、高い照度で紫外線L1を連続的に照射する必要がないため、光源2に対する電源回路の発熱量が抑制される。つまり、不活化装置1によれば、菌等の不活化効果を担保しながらも、電源回路の温度上昇を抑制することが可能となる。
ところで、検知対象領域40内に人間が存在する状態から存在していない状態への変化や、逆に、人間が存在していない状態から存在するようになる状態への変化の頻度は、不活化装置1の設置場所や利用態様等に依存する。また、図1に示すような、会議室等の部屋50に不活化装置1が設置されている場合であっても、会議終了後に参加者の全員が部屋50から退出した後に、参加者の一人が部屋50に忘れ物を取りに戻り、忘れ物を手にした後すぐに再び部屋50から退出するという状況も起こり得る。
図10Aは、時刻Tb以前の時間帯で、検知部20が検知対象領域40内に人間が不存在であることを検知して、制御部9が光源2に対して点灯動作と消灯動作とを繰り返す動作制御モード(第一動作制御モード)を実行している場合のタイミングチャートである。この制御中、時刻Tbより前の時刻T1において光源2が点灯状態から消灯状態に遷移した後、ほどなくして時刻Tbで検知部20が検知対象領域40内に人間の存在を検知したとする。
上述したように、制御部9は、検知部20が人間の存在を検知すると、第一動作制御モードから第二動作制御モードに移行する。時刻Tbでは、第一動作制御モードの実行中においても光源2に対する消灯制御が行われている時間帯であるため、引き続き光源2は消灯状態が継続する。
ここで、時刻Tbから短時間経過後の時刻Tcにおいて、検知部20が人間の不存在を検知したとする。この状況は、一例として、上述したように、時刻Tbに忘れ物を取りに来た人間が部屋50内に入った後、この人間が時刻Tcに部屋50を退出するような場合が想定される。
上記の状況において、検知部20が時刻Tcにおいて人間の不存在を検知したことをもって、制御部9の動作制御モードが直ちに第二動作制御モードから第一動作制御モードに移行し、光源2に対する点灯制御が行われた場合について検討する。この場合、図10Aに示すように、時刻Tcとほぼ同時刻又は極めて短い時間の経過後である時刻T2において、光源2に対して点灯制御が行われる。すると、この時刻T2の直前における連続消灯時間はTfaとなり、この時間は、通常の第一動作制御モードの実行時に設定されている連続消灯時間(Tf1)よりも大幅に短くなるおそれがある。この結果、光源2のONデューティ比が一時的に高まってしまう。
人間が検知対象領域40内に出入りする頻度は、不活化装置1側で制御することはできない。よって、図10Aに示したような点灯制御の頻度が高まることも生じ得るところ、この場合には光源2のONデューティ比が高まってしまい、電源回路の発熱量が高まるおそれがある。
かかる観点から、図10Bに示すように、検知部20が時刻Tcにおいて人間の不存在を検知した後、移行待機期間Tfwの経過を待って、制御部9の動作制御モードを第二動作制御モードから第一動作制御モードに移行させるものとするのが好適である。この構成によれば、直前に人間の存在が検知された時刻Tbから、再び人間の不存在が検知された時刻Tcまでの時間が短時間である場合であっても、連続消灯時間を長く設定できるため、ONデューティ比の上昇が抑制できる。
なお、この移行待機時間Tfwの値は、直前に光源2が消灯動作が行われてから、第一動作制御モードにおいて予め設定された時間Tf1又はこの時間Tf1以上の時間が経過した時刻Tdから逆算して設定されるものとしても構わない。
図10A及び図10Bを参照して説明した状況は、第一動作制御モードの実行中において光源2が消灯されている時間内に、検知対象領域40内に人間の存在/不存在の状況が変化する場合に対応する。一方で、同様の現象は、第一動作制御モードの実行中において、光源2が点灯されている時間内に、検知対象領域40内に人間の存在/不存在の状況が変化する場合についても起こり得る。
図11Aは、図10Aと同様に、時刻Tb以前の時間帯で、検知部20が検知対象領域40内に人間が不存在であることを検知して、制御部9が光源2に対して点灯動作と消灯動作とを繰り返す動作制御モード(第一動作制御モード)を実行している場合のタイミングチャートである。この制御中、時刻Tbより前の時刻T3において光源2が消灯状態から点灯状態に遷移した後、ほどなくして時刻Tbで検知部20が検知対象領域40内に人間の存在を検知したとする。
上述したように、制御部9は、検知部20が人間の存在を検知すると、第一動作制御モードから第二動作制御モードに移行する。ここで、時刻Tbでは光源2に対する点灯制御が行われている時間帯であるため、制御部9は、時刻Tbとほぼ同時刻又は極めて短い時間の経過後である時刻T4において、光源2に対して消灯制御を行う。
ここで、時刻Tbから短時間経過後の時刻Tcにおいて、検知部20が人間の不存在を検知したとする。このとき、図10Aの場合と同様に、検知部20が時刻Tcにおいて人間の不存在を検知したことをもって、制御部9の動作制御モードが直ちに第二動作制御モードから第一動作制御モードに移行し、光源2に対する点灯制御が行われた場合について検討する。この場合、図11Aに示すように、時刻Tcとほぼ同時刻又は極めて短い時間の経過後である時刻T5において、光源2に対して点灯制御が行われる。すると、この時刻T5の直前における連続消灯時間はTfaとなり、この時間は、通常の第一動作制御モードの実行時に設定されている連続消灯時間(Tf1)よりも大幅に短くなるおそれがある。
仮に、時刻T3から時刻T4に掛けての連続点灯時間Tnaが短い場合であっても、時刻T5以後の連続点灯時間は、第一動作制御モードの実行時に設定されているTn1となる。この結果、時刻T4から時刻T5の間の時間帯の前後において、光源2のONデューティ比が一時的に高まってしまう。これにより、図10Aを参照して説明した状況と同様の理由により、電源回路の発熱量が高まるおそれがある。
かかる観点から、図11Bに示すように、検知部20が時刻Tcにおいて人間の不存在を検知した後、移行待機期間Tfwの経過を待って、制御部9の動作制御モードを第二動作制御モードから第一動作制御モードに移行させるものとするのが好適である。この構成によれば、直前に人間の存在が検知された時刻Tbから、再び人間の不存在が検知された時刻Tcまでの時間が短時間である場合であっても、連続消灯時間を長く設定できるため、ONデューティ比の上昇が抑制できる。この図11Bに示す状態であっても、図10Bを参照して上述したのと同様、待機時間Tfwの値は、直前に光源2が消灯動作が行われてから第一動作制御モードにおいて予め設定された時間Tf1又はこの時間Tf1以上の時間が経過した時刻Tdから逆算して設定されるものとしても構わない。
図12~図14は、不活化装置1が利用される場面の別の一例を模式的に示す図面である。
図12には、建物や乗り物内の通路60に対して不活化装置1が設置されている状況が示されている。不活化装置1aは、検知部20において人間61の存在を検知しなかったので、第一動作制御モードが実行されている。図12では、光源2が点灯中にあり、領域62内に紫外線L1が照射されている。一方、不活化装置1bは、検知部20において人間61の存在を検知したので、第二動作制御モードが実行されている。すなわち、図12に示すように、不活化装置1bが備える光源2は消灯されており、領域63に対して紫外線L1が照射されていない。
図13には、部屋70に対して不活化装置1が設置されている状況が示されている。不活化装置1cは、例えば部屋70の空間内や床面に対して菌等の不活化を行う目的で設置されている。また、不活化装置1dは、部屋70の空調や照明を制御するためのリモコンなどの操作部71に対して菌等の不活化を行う目的で設置されている。この図13に示す例においても、不活化装置1(1c,1d)において、人間(図示していない)の不存在を検知すると、第二動作制御モードから第一動作制御モードに移行され、光源2が間欠的に点灯制御される。これにより、不活化装置1の発熱を抑制しつつ、部屋70の床面や空間、操作部71に対して菌等の不活化効果が高められる。
図14には、自動販売機80に対して不活化装置1が設置されている状況が示されている。不活化装置1eは、例えば自動販売機80の操作部81や、釣り銭の取り出し口82や、商品の取り出し口83に対して、菌等の不活化を行う目的で設置されている。この図14に示す例においても、不活化装置1(1e)において、人間(図示していない)の不存在を検知すると、第二動作制御モードから第一動作制御モードに移行され、光源2が間欠的に点灯制御される。これにより、不活化装置1の発熱を抑制しつつ、操作部81、取り出し口(82,83)に対して菌等の不活化効果が高められる。
[別実施形態]
以下、別実施形態につき説明する。
以下、別実施形態につき説明する。
〈1〉上記実施形態では、不活化装置1が、人間の存在/不存在を検知するための検知部20としての人感センサを内蔵する場合について説明した。しかし、不活化装置1が設置される場所に、予め別途の人感センサなどの検知手段が設けられている場合には、不活化装置1は、この検知手段からの信号を受信する受信部によって、検知部20を構成するものとして構わない。
また、検知部20は人間の存在/不存在を直接的又は間接的に判定できるものであれば良い。例えば、検知部20は、接触センサや重量センサ、ドアセンサ等を単独で、又は、併用して人間の存在/不存在を判定するものであってもよく、不活化対象となる空間中に設けられた照明器具の点灯有無や室内の鍵の開閉状況等に基づき、判定を行うものであっても構わない。
〈2〉上記実施形態では、光源2としてエキシマランプ3を備える場合について説明したが、光源2は、190nm~235nmの範囲内に属する特定波長域に光出力を示す紫外線L1を発する構成であれば、その態様は限定されず、例えば、LEDやレーザダイオード等の固体光源で構成されていても構わない。
〈3〉上記実施形態では、「第一動作制御モード」が、点灯動作が実行される第一制御と、消灯動作が実行される第二制御とが繰り返される動作制御モードである場合について説明した。しかし、「第一動作制御モード」が、相対的に高い発光強度で点灯する第一制御と、この第一制御の実行時よりも相対的に低い発光強度で点灯する第二制御とが繰り返される動作制御モードであるものとしても構わない。
一例として、第一制御の実行時には、光取り出し面10上における紫外線L1の照度が0.3mW/cm2より高く、第二制御の実行時には、光取り出し面10上における紫外線L1の照度が0.3mW/cm2未満となるように、制御部9において、光源2の輝度が調整される。なお、ここでの照度の区分値(照度基準値)は、0.1mW/cm2~3mW/cm2の範囲内で任意に定めても構わない。例えば、光取り出し面10上における紫外線L1の照度基準値を、3mW/cm2、2.5mW/cm2、2mW/cm2、1.5mW/cm2、1mW/cm2、0.5mW/cm2、及び0.1mW/cm2からなる設定値群の中から選択された一の値で設定した上で、第一制御の実行時には前記照度基準値より高い照度となるよう制御し、第二制御の実行時には前記照度基準値未満となるよう制御するものであってもよい。
また、第二制御の実行時における紫外線L1の照度は、第一制御の実行時における紫外線L1の照度に対して、50%未満であるのが好ましく、30%未満であるのがより好ましく、15%未満であるのが特に好ましい。第二制御の実行時における紫外線L1の照度が、第一制御の実行時における紫外線L1の照度に対して1%未満である場合には、第二制御が実質的に「消灯」動作であるものとして構わない。
このように、相対的に高い発光強度で光源2を点灯する制御(光源2からの光出力を相対的に高くする制御)と、相対的に低い発光強度で光源2を点灯する制御(光源2からの光出力を相対的に低くする制御)とを繰り返すことでも、高い発光強度で連続的に光源2を点灯する場合と比べて、光源2の電源回路の発熱量を抑制する効果が得られる。
〈4〉上記実施形態では、検知部20は検知対象領域40内に人間が存在するか否かを検知した上で、制御部9は検知部20における検知結果に応じて光源2の制御を行うものとして説明した。しかし、検知部20は、人間以外の動物の不存在を検知するものとしても構わない。この場合、本発明に係る不活化装置1は、190nm~235nmの範囲内に属する特定波長域に光出力を示す紫外線L1を出射する光源2と、光源2の点灯制御を行う制御部9と、紫外線L1の照射領域の一部であるか又は前記照射領域に隣接する領域である検知対象領域40内に「動物」が存在するか否かを検知する検知部20とを備える。そして、制御部9は、検知部20が「動物」の不存在を検知すると、上述した第一動作制御モードを実行するものとしても構わない。
なお、この場合において、検知対象となる動物としては、イヌ、ネコ、ウサギ等の愛玩動物(ペット)であっても構わないし、ウシ、ブタ、ニワトリ、ウマなどの家畜であっても構わないし、動物園で飼育された動物や、保護されている動物であっても構わない。
1(1a,1b,1c,1d,1e) :不活化装置
2 :光源
3 :エキシマランプ
3G :発光ガス
9 :制御部
10 :光取り出し面
12 :ランプハウス
12a :本体ケーシング部
12b :蓋部
18 :給電線
20 :検知部
40 :検知対象領域
50 :部屋
51 :机
52 :椅子
53 :壁紙
60 :通路
61 :人間
62,63 :領域
70 :部屋
71 :操作部
80 :自動販売機
81 :操作部
82 :取り出し口
83 :取り出し口
L1 :紫外線
L2 :赤外線
Tf1 :消灯時間
Tfw :移行待機期間
Tn1 :点灯時間
2 :光源
3 :エキシマランプ
3G :発光ガス
9 :制御部
10 :光取り出し面
12 :ランプハウス
12a :本体ケーシング部
12b :蓋部
18 :給電線
20 :検知部
40 :検知対象領域
50 :部屋
51 :机
52 :椅子
53 :壁紙
60 :通路
61 :人間
62,63 :領域
70 :部屋
71 :操作部
80 :自動販売機
81 :操作部
82 :取り出し口
83 :取り出し口
L1 :紫外線
L2 :赤外線
Tf1 :消灯時間
Tfw :移行待機期間
Tn1 :点灯時間
Claims (5)
- 190nm~235nmの範囲内に属する特定波長域に光出力を示す紫外線を出射する光源と、
前記光源の点灯制御を行う制御部と、
前記紫外線の照射領域の一部であるか又は前記照射領域に隣接する領域である検知対象領域内に人間が存在するか否かを検知する検知部とを備え、
前記制御部は、前記検知部における検知結果に応じて前記光源に対する制御内容の切り替えが可能に構成されており、
前記制御部は、前記検知部が人間の不存在を検知すると、前記制御内容を、相対的に高い発光強度で前記光源を点灯する第一制御と、前記第一制御の実行時よりも相対的に低い発光強度で前記光源を点灯するか又は消灯する第二制御とを繰り返す、第一動作制御モードに設定することを特徴とする、菌又はウイルスの不活化装置。 - 前記制御部は、前記検知部が人間の存在を検知すると、前記制御内容を、前記光源を消灯する第二動作制御モードに設定し、前記検知部が人間の不存在を検知すると、前記制御内容を、前記第二動作制御モードから前記第一動作制御モードに移行することを特徴とする、請求項1に記載の、菌又はウイルスの不活化装置。
- 前記第一動作制御モードは、第一所定時間にわたって前記光源を点灯する前記第一制御の実行後、前記第一所定時間以上の長さの第二所定時間にわたって前記光源を消灯する前記第二制御を実行する動作を繰り返すモードであり、
前記制御部は、前記第一動作制御モードの実行中に前記検知部が人間の存在を検知すると、直ちに、前記制御内容を前記第一動作制御モードから前記第二動作制御モードに移行し、
前記制御部は、前記第二動作制御モードの実行中に前記検知部が人間の不存在を検知すると、前記第一動作制御モードから前記第二動作制御モードに移行された時刻からの経過時間に応じて設定される移行待機期間の経過後に、前記第二動作制御モードから前記第一動作制御モードに移行して前記第一制御を実行することを特徴とする、請求項2に記載の、菌又はウイルスの不活化装置。 - 前記移行待機期間は、直前に前記光源が消灯してから前記第一動作制御モードに移行する迄の連続消灯時間が、直前に前記光源が点灯していた連続点灯時間以上の長さとなるように設定されることを特徴とする、請求項3に記載の、菌又はウイルスの不活化装置。
- 前記紫外線は、200nm~230nmの範囲内にピーク波長を有することを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の、菌又はウイルスの不活化装置。
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