JP2022077244A - ロックアップクラッチのジャダ判定装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ロックアップクラッチにおけるフレックスロックアップ制御中のジャダ判定の精度を向上する。【解決手段】ジャダ判定用の学習済みのニューラルネットワーク34として、タービン回転数の時系列データを含む状態変数x1~xnを入力とし、ジャダ発生の尤度を示す変数であるジャダ有り尤度変数y1、及びジャダ無し尤度変数y2を出力とするニューラルネットワークを用いる。ニューラルネットワーク34の学習用の教師データには、外部からの回転加振によりタービン回転数の変動が生じたときの状態変数x1~xnの計測値を学習用の入力値X1~Xnの値とし、及びジャダの発生無しを示すジャダ有り尤度変数y1、及びジャダ無し尤度変数y2の値を学習用の出力値Y1、Y2の値とするデータセットが含まれている。【選択図】図2

Description

本発明は、フレックスロックアップ制御中のロックアップクラッチにおけるジャダの発生の有無を判定するロックアップクラッチのジャダ判定装置に関する。
トルクコンバータのロックアップクラッチとして、ロックアップクラッチをスリップ状態とするとともに、同クラッチのスリップ量を目標とする量に維持するフレックスロックアップ制御を行うものがある。作動油の劣化やクラッチ表面の荒れなどにより、フレックスロックアップ制御中のクラッチの滑り状態が不安定となることがある。そしてその結果、ロックアップクラッチにおけるタービン側のばね-マス系が自励振動する現象、いわゆるジャダと呼ばれる現象が発生することがある。
従来、特許文献1に見られるように、フレックスロックアップ制御中に、上記ジャダの発生の有無を判定し、ジャダの発生有りと判定した場合には、フレックスロックアップ制御の中止やクラッチ油圧の調整等により、ジャダを抑制する技術が知られている。ジャダの発生の有無の判定は、タービン回転数に基づき行われている。例えば特許文献1では、タービン回転数の変動の振幅が一定値以上の状態が一定の期間継続した場合にジャダの発生有りと判定している。
特開平8-159271号公報
ところで、路面の凹凸やμ変化による車輪の回転変動やエンジンの出力変動などの、ロックアップクラッチの外部からの回転加振によっても、タービン回転数の変動が大きくなることがある。そして、タービン回転数の変動の振幅やその継続期間を見ただけでは、外部からの回転加振によるタービン回転数の変動とジャダとを区別できない場合がある。そのため、従来のジャダの判定態様では、外部からの回転加振によるタービン回転数の変動を誤ってジャダと判定する虞があった。
上記課題を解決するロックアップクラッチのジャダ判定装置は、車両の動力伝達系に設けられたロックアップクラッチにおけるジャダの発生の有無を判定する装置である。同ジャダ判定装置は、動力伝達系の動作の状態を示す変数である状態変数を入力とし、ジャダの発生の尤度を示す尤度変数を出力とするニューラルネットワークであって、状態変数の計測値を学習用の入力値とし、同計測値の計測時のジャダの発生の有無に応じた尤度変数の値を学習用の出力値とするデータセットを教師データに用いて学習された学習済みニューラルネットワークが記憶された記憶装置と、状態変数の計測値を入力とした学習済みニューラルネットワークの出力に基づきジャダの発生の有無を判定する実行装置と、を備えている。さらに、同ジャダ判定装置では、ロックアップクラッチのタービン回転数の時系列データを上記状態変数に含めている。また、同ジャダ判定装置では、ニューラルネットワークの学習に用いる教師データに、ロックアップクラッチの外部からの回転加振によりタービン回転数を変動させたときの状態変数の計測値を学習用の入力値とし、ジャダが発生していないことを示す尤度変数の値を学習用の出力値とするデータセットを含めている。
ジャダの発生時と、外部からの回転加振によるタービン回転数の変動が発生したときとでは、タービン回転数の変動パターン、例えば変動の振幅や持続時間には違いがあると考えられる。ただし、タービン回転数の変動パターンは、ロックアップクラッチの入力回転数や伝達トルクなどによっても変化する。そのため、外部からの回転加振によるタービン回転数の変動とジャダとの、タービン回転数の変動パターンの境界条件は、一次関数で近似できるような簡単なものとはならず、非線形で離散化した関数のような、法則性を見出すことが困難な複雑な関数となる場合がある。
これに対して、上記態様でニューラルネットワークの学習を行えば、たとえ非線形で離散化した複雑な関数であったとしても、外部からの回転加振によるタービン回転数の変動とジャダとの境界条件を学習できる。そして、そうしたニューラルネットワークを用いれば、ジャダ判定において、外部からの回転加振によるタービン回転数の変動と真のジャダとを区別できる。よって、上記ロックアップクラッチのジャダ判定装置によれば、ロックアップクラッチにおけるフレックスロックアップ制御中のジャダ判定の精度を向上できる。
ロックアップクラッチのジャダ判定装置の一実施形態の構成を模式的に示す図。 同ジャダ判定装置の記憶装置に記憶される学習済みニューラルネットワークの構成を模式的に示す図。 同ジャダ判定装置の実行装置が実行するジャダ判定ルーチンのフローチャート。
以下、ロックアップクラッチのジャダ判定装置の一実施形態を、図1~図3を参照して詳細に説明する。
<車両の動力伝達系の構成>
まず、図1を参照して、本実施形態のジャダ判定装置の適用対象となるロックアップクラッチが設けられた車両の動力伝達系の構成について説明する。車両10には、駆動源としてのエンジン11が搭載されている。エンジン11の出力軸であるクランク軸12は、トルクコンバータ13を介して自動変速機14の入力軸である変速機入力軸15に接続されている。自動変速機14の出力軸であるプロペラ軸16は、ディファレンシャル17を介して左右の車輪軸18に接続されている。
トルクコンバータ13は、対向した配置された2つの羽根車であるポンプインペラ20及びタービンランナ21を備えている。ポンプインペラ20はクランク軸12に、タービンランナ21は変速機入力軸15に、それぞれ接続されている。ポンプインペラ20及びタービンランナ21は、ポンプインペラ20と一体化したコンバータケース22内に収容されている。コンバータケース22内には、ポンプインペラ20、タービンランナ21間のトルクの伝達媒体となるオイルが充填されている。
また、トルクコンバータ13は、ロックアップクラッチ23を備えている。ロックアップクラッチ23は、ダンパ24を介してタービンランナ21に連結されている。ロックアップクラッチ23は、油圧の印加により、コンバータケース22に押し当てられるようになっている。ロックアップクラッチ23がコンバータケース22から離間した状態、すなわちロックアップクラッチ23の解放状態では、コンバータケース22内のオイルを介してのみ、クランク軸12、変速機入力軸15間のトルク伝達が行われる。ポンプインペラ20及びタービンランナ21が一体回転する状態となるまでロックアップクラッチ23がコンバータケース22に押し当てられた状態、すなわちロックアップクラッチ23の完全係合状態では、クランク軸12と変速機入力軸15とが直結された状態となる。
車両10には、エンジン制御ユニット30が搭載されている。エンジン制御ユニット30は、エンジン11の制御用の電子制御ユニットであり、燃料噴射量、点火時期、吸気量などのエンジン11の制御量を操作する。
また、車両10には、変速機制御ユニット31が搭載されている。変速機制御ユニット31は、自動変速機14及びロックアップクラッチ23の制御を行う電子制御ユニットであり、それらの制御のための処理を実行する実行装置32と、制御用のプログラムやデータが記憶された記憶装置33と、を備えている。変速機制御ユニット31には、エンジン制御ユニット30から、エンジン回転数NE、エンジントルクTEといったエンジン11の運転状態を示す情報が入力されている。また、変速機制御ユニット31には、車両10の動力伝達系に設置された各種のセンサから、タービン回転数NT、ペラ軸回転数NO、ロックアップ油圧PC、変速機油温x4、車両前後加速度Gxといった動力伝達系の動作の状態を示す情報が入力されている。タービン回転数NTは、変速機入力軸15の回転数、すなわちタービンランナ21の回転数を示している。ペラ軸回転数NOは、プロペラ軸16の回転数を示している。ロックアップ油圧PCは、ロックアップクラッチ23への印加油圧を示している。変速機油温x4は、自動変速機14の作動油の温度を示している。なお、自動変速機14の作動油は、トルクコンバータ13やロックアップクラッチ23の作動油としても利用されている。車両前後加速度Gxは、車両10の前後方向に作用する加速度を示している。
変速機制御ユニット31は、ロックアップクラッチ23の制御の一つとしてフレックスロックアップ制御を実行する。フレックスロックアップ制御に際して変速機制御ユニット31は、ロックアップクラッチ23がコンバータケース22に対して半係合したスリップ状態となり、かつコンバータケース22に対するロックアップクラッチ23のスリップ量が目標とする量となるように、ロックアップ油圧PCを操作する。
また、変速機制御ユニット31は、フレックスロックアップ制御の実行中に、ロックアップクラッチ23でジャダが発生しているか否かのジャダ判定を行っている。そして、変速機制御ユニット31は、ジャダが発生していると判定した場合には、フレックスロックアップ制御を中止することで、ジャダによるドライバビリティの悪化を抑えている。本実施形態では、こうしたジャダ判定を行う変速機制御ユニット31がジャダ判定装置に対応している。変速機制御ユニット31の記憶装置33には、ジャダ判定に用いるニューラルネットワーク34が記憶されている。
<ニューラルネットワークの構成>
次に、図2を参照して、ジャダ判定に使用するニューラルネットワーク34の構成を説明する。ニューラルネットワーク34は、「n」個のノードを有する入力層と、「m」個のノードを有する中間層と、2個のノードを有する出力層と、を備えている。なお、以下の説明における「i」は、1以上かつn以下の任意の整数を表している。また、以下の説明における「j」は、1以上かつm以下の任意の整数を表している。
図2では、入力層の各ノードへの入力値をX1、X2、…、Xnと示す。各入力値X1~Xnは、動力伝達系の動作の状態を示す変数である状態変数xiとなっている。例えば入力値X1は、ロックアップクラッチ23の係合状態を示す係合状態変数x1である。係合状態変数x1は、例えばロックアップクラッチ23が解放状態にあるときには「0」を、スリップ状態にあるときには「1」を、完全係合状態にあるときには「2」を、それぞれ値として取る変数として設定されている。入力値X2は、差回転x2であり、その値はエンジン回転数NEからタービン回転数NTを引いた差(=NE-NT)を示している。入力値X3は、ペラ軸回転数NOの変動振幅x3である。入力値X4は、変速機油温x4である。入力値X5は、ポンプインペラ20、タービンランナ21間の伝達トルクx5である。そして、入力値X6~Xnは、タービン回転数NTの時系列データ{x6、…、xn}となっている。タービン回転数NTの時系列データ{x6、…、xn}は、既定のサンプリング周期T毎に取得した(n-5)個のタービン回転数NTの値を、時系列に並べた配列である。そして、そうした配列における各タービン回転数NTの値が、入力値X6~Xnのそれぞれに対応している。
また、図2では、中間層の各ノードへの入力値をU1、U2、…、Um、中間層の各ノードの出力値をZ1、Z2、…、Zmと示す。中間層の各ノードの入力値Ujは、入力層の入力値X1、X2、…、Xnのそれぞれに重みWijを乗じた値の和として算出される。中間層の各ノードの出力値Zjは、該当ノードの入力値Ujを引数とした活性化関数Fの戻値として算出される。本実施形態では、シグモイド関数を活性化関数Fとして用いている。
出力層の2つのノードのうちの一方の入力値A1には、中間層の各ノードの出力値Zjのそれぞれに重みVj1を乗じた値の和が入力される。また、出力層における、もう一方のノードの入力値A2には、中間層の各ノードの出力値Zjのそれぞれに重みVj2を乗じた値の和が入力される。そして、出力層の両ノードの出力値Y1、Y2は、各々のノードの入力値A1、A2を引数としたソフトマックス関数Gの戻値として算出される。これにより、出力層の両ノードの出力値Y1、Y2は、それぞれが0以上、1以下の値を取り、かつ出力値Y1、Y2の合計が1となるように算出される。このニューラルネットワーク34では、出力値Y1は、ジャダ判定の結果としてジャダの発生有りとの判定がなされる尤度を示す変数であるジャダ有り尤度変数y1とされている。また、出力値Y2は、ジャダ判定の結果としてジャダの発生無しとの判定がなされる尤度を示す変数であるジャダ無し尤度変数y2とされている。
<ニューラルネットワークの学習>
次に、こうしたニューラルネットワーク34の生成方法、すなわち同ニューラルネットワーク34の学習について説明する。ニューラルネットワーク34の学習は、学習用の電子計算機により行われる。そして、変速機制御ユニット31の記憶装置33には、学習用の電子計算機による学習が完了したニューラルネットワーク34、すなわち学習済みネットワークが記憶されている。
ニューラルネットワーク34の学習に際しては、同一車種の複数の車両10において、フレックスロックアップ制御中に、入力値X1~Xnとして用いられる各状態変数xiの計測を行う。この計測に用いる車両10には、ジャダが発生するまでにロックアップクラッチ23の経年劣化が進んだ車両と、そうでない車両と、が含まれている。そして、それらの計測結果から、各状態変数xiの計測値を学習用の入力値X1~Xnの値とし、それらの計測時のジャダの発生の有無に対応したジャダ有り尤度変数y1、及びジャダ無し尤度変数y2の値を学習用の出力値Y1、Y2の値とするデータセットを多数作成する。作成されるデータセットには、次の2種のデータセットが存在する。一つは、ジャダが発生しているときの各状態変数xiの計測値が学習用の入力値X1~Xnの値として設定されるとともに、学習用の出力値Y1の値として「1」が、学習用の出力値Y2の値として「0」が、それぞれ設定されたデータセットである。もう一つは、ジャダが発生していないときの各状態変数xiの計測値が学習用の入力値X1~Xnの値として設定されるとともに、学習用の出力値Y1の値として「0」が、学習用の出力値Y2の値として「1」が、それぞれ設定されたデータセットである。
さらに、本実施形態では、車両10をモータベンチ試験機に設置し、ロックアップクラッチ23に外部から回転加振を加えた状態で各状態変数xiの計測を行っている。そして、その計測結果からも、教師データ用のデータセットを作成している。このデータセットは、外部からの回転加振を加えた状態での各状態変数xiの計測値が学習用の入力値X1~Xnの値として設定されるとともに、「0」が学習用の出力値Y1の値として、「1」が学習用の出力値Y2の値として、それぞれ設定されたデータセットとなっている。すなわち、このデータセットにおける学習用の出力値Y1、Y2には、ジャダの発生無しを示すジャダ有り尤度変数y1、及びジャダ無し尤度変数y2の値が設定されている。
ニューラルネットワーク34の学習では、次の処理が行われる。まず、各データセットにおける各状態変数xiの値を、入力層の各入力値X1~Xnの値としてニューラルネットワーク34に入力する。そして、それらの入力に対する出力層の両出力値Y1、Y2とデータセットにおけるジャダ有り尤度変数y1及びジャダ無し尤度変数y2の値との誤差が小さくなるように、誤差逆伝搬法を用いて、各重みWij、Vj1、Vj2の値を修正する。こうした重みWij、Vj1、Vj2の修正処理を、上記誤差が予め定めた値以下となるまで繰り返す。そして、上記誤差が予め定めた値以下となると、ニューラルネットワーク34の学習が完了したものと判定している。
<ジャダ判定>
続いて、本実施形態でのジャダ判定の実施態様を説明する。図3は、ジャダ判定に際して変速機制御ユニット31が実行するジャダ判定ルーチンのフローチャートである。変速機制御ユニット31は、フレックスロックアップ制御の実行中、既定の制御周期毎に、本ルーチンの処理を繰り返し実行する。
本ルーチンの処理が開始されると、まずステップS100において、各状態変数xiの計測値が読み込まれる。すなわち、係合状態変数x1、差回転x2、ペラ軸回転数の変動振幅x3、変速機油温x4、伝達トルクx5、及びタービン回転数NTの時系列データ{x6、…、xn}のそれぞれの計測値が読み込まれる。
続いて、ステップS110において、読み込んだ各状態変数xiの計測値がニューラルネットワーク34の各入力値X1~Xnに設定される。そして、ステップS120において、上記のように入力値X1~Xnを設定した状態でのニューラルネットワーク34の出力値Y1、Y2の値が、すなわちジャダ有り尤度変数y1及びジャダ無し尤度変数y2の値が演算される。
続いて、ステップS130において、出力値Y1、Y2の演算結果に基づくジャダ判定が行われる。ここでのジャダ判定は、例えば次の態様で行われる。すなわち、出力値Y1の演算値、すなわちジャダ有り尤度変数y1の演算値が既定の閾値を超えている場合にはジャダの発生有りと判定する。これに対して、ジャダ無し尤度変数y1の演算値が上記閾値以下の場合にはジャダの発生無しと判定する。
こうしたステップS130でのジャダ判定においてジャダの発生無しと判定された場合(S140:NO)には、そのまま今回の本ルーチンの処理が終了される。一方、上記ジャダ判定においてジャダの発生有りと判定された場合(S140:YES)にはステップS150に処理が進められる。そしてそのステップS150において、現在実行中のフレックスロックアップ制御が中止された後、今回の本ルーチンの処理が終了される。
<実施形態の作用、効果>
本実施形態の作用及び効果について説明する。
フレックスロックアップ制御では、ロックアップクラッチ23をスリップ状態とするとともに、コンバータケース22に対するロックアップクラッチ23のスリップ量を目標とする量に保つようにロックアップ油圧が調整される。経年劣化によるロックアップクラッチ23の表面荒れや作動油の劣化などで、フレックスロックアップ制御中のロックアップクラッチ23の滑り状態が悪化することがある。すなわち、コンバータケース22に対するロックアップクラッチ23の滑りが間欠的に止まることがある。そして、その結果、ロックアップクラッチ23におけるタービン側のばね-マス系に自励振動が発生して、タービン回転数NTが大きく変動する現象が、いわゆるロックアップクラッチ23のジャダが発生することがある。
一方、路面の凹凸による車輪軸18の回転変動やエンジン11の出力変動などにより、外部からのロックアップクラッチ23の回転加振によっても、ジャダの発生時と似たタービン回転数NTの回転変動が生じることがある。以下の説明では、ロックアップクラッチ23の滑り状態の悪化に起因したタービン回転数NTの回転変動を真性ジャダと記載し、外部からの回転加振によるタービン回転数NTの回転変動を偽性ジャダと記載する。真性ジャダの発生時と偽性ジャダの発生時とでは、タービン回転数NTの変動パターン、例えば変動の振幅や持続時間には違いがあると考えられる。ただし、タービン回転数NTの変動パターンは、ロックアップクラッチ23の入力回転数や伝達トルクなどによっても変化する。そのため、タービン回転数NTの変動パターンについての真性ジャダ、偽性ジャダの境界条件は、一次関数で近似できるような簡単なものとはならず、法則性を見出すことが困難な、非線形で離散化した複雑な関数となる場合がある。
これに対して、本実施形態では、記憶装置33に記憶された学習済みのニューラルネットワーク34を用いてジャダ判定を行っている。ニューラルネットワーク34は、動力伝達系の動作の状態を示す変数である状態変数xiを入力とし、ジャダの発生の尤度を示す変数であるジャダ有り尤度変数y1及びジャダ無し尤度変数y2を出力とするニューラルネットワークとして構成されている。ニューラルネットワーク34の入力となる状態変数xiには、タービン回転数NTの時系列データ{x6、…、xn}が含まれている。さらにニューラルネットワーク34は、状態変数xiの計測値を学習用の入力値X1~Xnの値とし、その計測時のジャダの発生の有無に応じたジャダ有り尤度変数y1及びジャダ無し尤度変数y2の値を学習用の出力値Y1、Y2の値とするデータセットを教師データに用いて学習されている。
そして、本実施形態では、教師データに、次のデータセットを含めている。すなわち、同データセットにおける学習用の入力値X1~Xnには、ロックアップクラッチ23の外部からの回転加振によりタービン回転数NTを変動させたときの、すなわち偽性ジャダの発生時の各状態変数xiの計測値が設定されている。また、同データセットにおける学習用の出力値Y1、Y2には、ジャダの発生無しを示すジャダ有り尤度変数y1及びジャダ無し尤度変数y2の値が設定されている。こうしたデータセットを教師データに含めることで、真性ジャダ、偽性ジャダの境界条件がニューラルネットワーク34に学習される。
以上の本実施形態のロックアップクラッチのジャダ判定装置によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)上記のように、真性ジャダ、偽性ジャダの境界条件をニューラルネットワーク34に学習させられる。そのため、ロックアップクラッチにおけるフレックスロックアップ制御中のジャダ判定の精度を向上できる。
(2)フレックスロックアップ制御中にも、その開始時や終了時などには、ロックアップクラッチ23が完全係合状態や解放状態となっていることがある。そして、ロックアップクラッチ23の係合状態は、タービン回転数NTの回転変動に多大な影響を与える。これに対して本実施形態では、ロックアップクラッチ23の係合状態を示す変数である係合状態変数x1をニューラルネットワーク34の入力に含めている。そのため、ロックアップクラッチ23の係合状態がタービン回転数NTの回転変動に与える影響を反映したかたちで精度よくジャダ判定を行える。
(3)エンジン回転数NEに対するタービン回転数NTの差回転x2が大きいときには、タービン回転数NTが大きく変化し易くなる。これに対して本実施形態では、エンジン回転数NEとタービン回転数NTとの差回転x2をニューラルネットワーク34の入力に含めている。そのため、差回転x2によるタービン回転数NTの変化を反映したかたちで精度よくジャダ判定を行える。
(4)路面の凹凸やμ変化による車輪軸18の回転変動によっても、タービン回転数NTが変動することがある。これに対して本実施形態では、動力伝達系におけるロックアップクラッチ23よりも車輪軸18側の部分の回転変動の状態を示す状態変数であるペラ軸回転数NOの変動振幅x3をニューラルネットワーク34の入力に含めている。そのため、路面の凹凸やμ変化による車輪軸18の回転変動がタービン回転数NTの変動に与える影響を反映したかたちで精度よくジャダ判定を行える。
(5)変速機油温x4が、すなわちロックアップクラッチ23の作動油の温度が低い時には、同作動油の粘度が高まって、ロックアップクラッチ23の滑り状態が悪化し易くなる。これに対して本実施形態では、変速機油温x4をニューラルネットワーク34の入力に含めている。そのため、作動油の粘度がロックアップクラッチ23の滑り状態に与える影響を反映したかたちで精度よくジャダ判定を行える。
(6)ポンプインペラ20、タービンランナ21間の伝達トルクx5の変動によっても、ロックアップクラッチ23の滑り状態が変化する。これに対して本実施形態では、伝達トルクx5をニューラルネットワーク34の入力に含めている。そのため、ロックアップクラッチ23の滑り状態に伝達トルクx5が与える影響を反映したかたちで精度よくジャダ判定を行える。
<他の実施形態>
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、変速機制御ユニット31がジャダ判定を行うジャダ判定装置としての役割を担っていた。ジャダ判定を実行する実行装置32、及び学習済みのニューラルネットワーク34を記憶した記憶装置33を備えるジャダ判定装置を、変速機制御ユニット31とは別に設けるようにしてもよい。また、無線通信網を通じて車両10と通信可能な施設にジャダ判定装置を設け、車両10から受信した状態変数xiの計測値に基づきジャダ判定を行うようにしてもよい。
・ニューラルネットワーク34の入力とする状態変数xiの中から、タービン回転数NTの時系列データ{x6、…、xn}以外の状態変数x1~x5のうちの1つ以上を割愛してもよい。また、動力伝達系の動作の状態を示す他の状態変数をニューラルネットワーク34の入力に加えるようにしてもよい。例えば差回転x2の代わりに、同差回転x2の変動振幅を加えるようにしてもよい。また、ペラ軸回転数NOの変動振幅x3の代わりに、車輪軸18の回転数の変動振幅、車速の変動振幅、或いは車両前後加速度Gxを、ニューラルネットワーク34の入力に加えるようにしてもよい。
・上記実施形態では、ジャダ有り尤度変数y1が閾値を超えているか否かにより、ジャダ判定を行っていたが、ジャダ無し尤度変数y2を用いるなど、それ以外の態様でジャダ判定を行うようにしてもよい。
・上記実施形態では、ジャダの発生有りと判定した場合にはフレックスロックアップ制御を中止していたが、ロックアップ油圧を低下、或いは上昇させることで、ジャダを抑制するようにしてもよい。
・上記実施形態では、ジャダ有り尤度変数y1及びジャダ無し尤度変数y2をニューラルネットワーク34の出力値Y1、Y2としていたが、それらのいずれか一方のみをニューラルネットワーク34の出力としてもよい。
・上記実施形態では、ニューラルネットワーク34の中間層は1層となっているが、2層以上の中間層を有するようにニューラルネットワーク34を構成してもよい。
・上記実施形態のニューラルネットワーク34で用いる活性化関数としてシグモイド関数以外の関数を活性化関数として用いるようにしてもよい。
10…車両
11…エンジン
12…クランク軸
13…トルクコンバータ
14…自動変速機
15…変速機入力軸
16…プロペラ軸
17…ディファレンシャル
18…車輪軸
20…ポンプインペラ
21…タービンライナ
22…コンバータケース
23…ロックアップクラッチ
24…ダンパ
30…エンジン制御ユニット
31…変速機制御ユニット(ジャダ判定装置)
32…実行装置
33…記憶装置
34…ニューラルネットワーク

Claims (1)

  1. 車両の動力伝達系に設けられたロックアップクラッチにおけるジャダの発生の有無を判定する装置であって、
    前記動力伝達系の動作の状態を示す変数である状態変数を入力とし、前記ジャダの発生の尤度を示す尤度変数を出力とするニューラルネットワークであって、前記状態変数の計測値を学習用の入力値とし、同計測値の計測時の前記ジャダの発生の有無に応じた前記尤度変数の値を学習用の出力値とするデータセットを教師データに用いて学習された学習済みニューラルネットワークが記憶された記憶装置と、
    前記状態変数の計測値を入力とした前記学習済みニューラルネットワークの出力に基づき前記ジャダの発生の有無を判定する実行装置と、
    を備えており、
    前記状態変数には、前記ロックアップクラッチのタービン回転数の時系列データが含まれており、かつ前記教師データには、前記ロックアップクラッチの外部からの回転加振により前記タービン回転数を変動させたときの前記状態変数の計測値を学習用の入力値とし、前記ジャダが発生していないことを示す前記尤度変数の値を学習用の出力値とするデータセットが含まれている
    ロックアップクラッチのジャダ判定装置。
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