JP2022077151A - スクリーン印刷機構 - Google Patents
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Abstract
【課題】スクリーン印刷において、圧胴などの基材支持体の表面に、スキージが基材にスクリーン版面を押し付ける圧力によって厚みが変化する弾力性保持材を設けて印刷するスクリーン印刷機構を提供する。【解決手段】基材支持体、スキージ及び印刷画線に対応する開口部を有するスクリーン版面により、基材に印刷画線を印刷するスクリーン印刷機構であって、基材支持体の表層の少なくとも一部に弾力性保持材が形成されて成るスクリーン印刷機構とする。【選択図】 図1
Description
本発明は、スクリーン印刷において、圧胴などの基材支持体に弾力性保持材を施して印刷を行う、スクリーン印刷機構に関する。
一般に、スクリーン印刷は、版面にスクリーンインキが通過する開口部(貫通孔)と、スクリーンインキが通過しない非開口部(非貫通孔)を形成し、スキージによりスクリーンインキを開口部に押し込んで被印刷物に転写することで印刷を行うものである。
具体的には、スクリーン印刷機構は、ポリメッシュあるいは金属メッシュの表面に樹脂を塗付し、樹脂の一部を、意図した図柄に沿って化学的あるいは物理的に除去することにより、開口部を形成してスクリーン版面として使用し、樹脂を塗布したスクリーン版面の裏面にスクリーンインキを供給して、そのスクリーンインキをゴム材質のスキージで掻き取ると同時に、開口部の中にスクリーンインキを押し込みながら、スクリーン版面を被印刷物(以下、「基材」という。)に押し付けて、開口部から吐出するスクリーンインキを基材に転移させる印刷機構である。
また、金属板に穿孔したメタルマスク版面を、スクリーン版面と代替することによって実施されるメタルマスク印刷も、広義にはスクリーン印刷の一種である。
平面状の版面を用いるフラットベッドスクリーン印刷機構、または平面状の版面を円筒状に加工したものを使用した、ロータリースクリーン印刷機構もスクリーン印刷機構の一つであり、これらのスクリーン印刷機構は、従来から加飾印刷や捺染といった用途で利用されているほか、導電性ペーストを使用することによって、電子回路基板を形成するプリンテッドエレクトロニクス分野では標準的な技術となっている。
さらに、プリンテッドエレクトロニクス分野のほか、偽造防止技術が施され、高い印刷品質が求められるセキュリティ印刷物にスクリーン印刷が用いられることがあり、それらのセキュリティ印刷物には、高精細な印刷画線が求められる。
高精細な印刷画線とは、画線幅が約80μmから500μm、画線間隔が約30μmから300μmの範囲であり、例えば、光沢凸形状を有する画線上又は画素上に、一定方向からの入射光に対して光の反射率の異なる領域を設け、複数の潜像を効果的に施すことが可能な真偽判別性に優れた光沢差を利用した潜像印刷物(特開2007-106116)においては、凸形状の画線の盛り上がり高さや、その形状が潜像の視認性に大きく影響を及ぼすことが示されている。
ところで、スクリーン印刷機構は、オフセット印刷、凸版印刷、あるいはグラビア印刷等のように、基材と版面やブランケットとを、強い力で密着させることでインキを転移させる機構とは異なり、スキージによってスクリーン版面の開口部にスクリーンインキを押し込んでスクリーンインキを吐出させ、基材と版面及びスクリーンインキが接触し、その直後に離反する、いわゆる版離れの機構によってスクリーンインキが転移する機構である。
この際、基材と版面及びスクリーンインキの密着性は重要な要素であり、基材と版面及びインキとの接触が足りない場合は、基材にスクリーンインキが十分に転移せず、図柄の欠けや画線切れ、あるいは印刷の濃度不良が生じる場合があった。
また、版面の開口部から吐出するスクリーンインキは、基材と版面が密着することにより、一度に転移する量が、版面の開口部容積によって制限されることで、常に一定の転移量で印刷されるが、密着が不十分である場合は、スクリーンインキが版面の開口部から過剰に吐出して、図柄や画線の再現不良を引き起こす場合があった。
こうした技術に関連して、印刷胴や圧胴の有効周囲長を変化させ、高い精度、再現性で印刷イメージを生成するために、印刷胴軸と圧胴軸の間の距離を調節するための調節装置や、印刷胴及び/又は圧胴の半径を調節するための調節装置が設けられているロータリースクリーン印刷装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、特許文献1記載の技術は、印刷画線の精度を高めるために、印刷胴や圧胴の距離や半径を変化させるための複雑な機構が必要であった。
また、前述したようなセキュリティ印刷物は、スクリーン印刷を行う前に、凹版印刷や偽造防止用の箔を貼付することがあるが、それらの加工により基材の表面には30μm程度の凹凸が生じることがある。
さらに、スクリーン印刷を行う前に凹版印刷や偽造防止用箔の貼付などの加工によって、基材に圧力がかかると、本来持っていた基材の厚み方向の弾力性が減じられ、基材が部位ごとに異なる弾力性を有することがある。そして、これらの加工された印刷物にスクリーン印刷を行う場合、基材と版面及びスクリーンインキとの密着が足りないことにより、インキ転移不良が生じるという問題があった。
上記の問題について、特許文献1記載の技術は、基材表面の凹凸や基材の厚みムラに起因する、圧胴と基材との接触ムラによって生じる品質上の課題への解決を提供するものではなかった。
また、別の観点として、オフセット印刷、凸版印刷あるいはグラビア印刷等では、印刷品質を安定させるために、基材と版面やブランケットとの接触圧、いわゆる印圧の最適化が重要視されており、印圧の調整には胴仕立の方法が一般的となっている。一方で、スクリーン印刷では、インキ転移が印圧によらない機構であるため、従来、スクリーン印刷は、スキージによる版面へのインキ充てんと、版面と基材が接触直後に離反する、いわゆる版離れの過程が重要視されており、他の印刷方式のような、仕立材を用いたシビアな印圧調整の必要はないと考えられていた。そのため、フラットベッド式においてもロータリー式においても基材を保持する胴あるいは架台に仕立てを行うことは一般に行われてこなかった。
本発明は、前述した課題の解決を目的とするものであり、圧胴などの基材支持体の表面に、スキージが基材に版面を押し付ける圧力によって厚みが変化する弾力性保持材を設けて印刷するスクリーン印刷機構を提供する。
本発明のスクリーン印刷機構は、基材支持体、スキージ及び印刷画線に対応する開口部を有するスクリーン版面により、基材に印刷画線を印刷するスクリーン印刷機構であって、基材支持体の表層の少なくとも一部に弾力性保持材が形成されてなることを特徴とする。
また、本発明のスクリーン印刷機構は、スクリーン版面が、金属材料にて構成されることを特徴とする。
また、本発明のスクリーン印刷機構は、ロータリースクリーン印刷機構であることを特徴とする。
本発明によれば、高精細な印刷画線が求められる印刷物や、スクリーン印刷前の加工等により基材の表面に凹凸がある印刷物、また、基材の部位により、基材の厚み方向の弾力性のムラがある印刷物において、圧胴などの基材支持体の表面に弾力性保持材を形成することにより、基材表面の凹凸や厚みムラを吸収させることができる。それにより、版面及びスクリーンインキと、基材との密着が良好となり、接触の弱い箇所における図柄の欠けや画線切れ、あるいは印刷の濃度不良がない高品質なスクリーン印刷物を得ることができる。また、印刷胴軸と圧胴軸の間の距離を調節するための調節装置等の必要がなく、極めて簡単な機構で高品質なスクリーン印刷物を得ることが可能となる。
本発明を実施するための形態について、図面を参照して説明する。しかしながら、本発明は、以下に述べる実施するための形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲記載における技術的思想の範囲内であれば、その他のいろいろな実施の形態が含まれる。
本実施の形態における硬度は、デュロメータ硬さ試験によるショアA硬度を示すものである。
(第一の実施の形態)
(第一の実施の形態)
(印刷方式)
図1は、本発明の一実施例によるスクリーン印刷機構を説明する構成図である。本発明は、フラットベッドスクリーン印刷方式、シリンダー印刷方式、ロータリー印刷方式などを適用することができるが、ここでは、ロータリースクリーン印刷方式における適用例について説明する。
図1は、本発明の一実施例によるスクリーン印刷機構を説明する構成図である。本発明は、フラットベッドスクリーン印刷方式、シリンダー印刷方式、ロータリー印刷方式などを適用することができるが、ここでは、ロータリースクリーン印刷方式における適用例について説明する。
ロータリースクリーン印刷機は、図1に示すような印刷部を有し、給紙部及び排紙部(図示せず)等を備える。給紙部は、少なくとも基材積載手段、給紙手段を備えている。基材積載手段は、基材を積載するものであり、給紙手段は、基材積載手段から印刷部(1)へ基材を供給するものである。供給手段により印刷部(1)に供給された基材は、印刷部(1)にて印刷され、排紙部(図示せず)へ搬送される。
図1(a)に示すように、印刷部(1)は、基本構成として、圧胴(2)、版胴(3)及びスキージ(5)を備えている。圧胴(2)と版胴(3)は、基材(7)を介して対向するように配置されており、印刷時に版胴(3)が時計回りに回転駆動し、圧胴(2)が反時計回りに回転駆動する。また、本発明における印刷部(1)は、圧胴(2)に弾力性保持材(4)が形成されている。
圧胴(2)は、ロータリースクリーン印刷機の場合は、図1(b)に示すような円筒状の部材であり、回転可能に支持され、基材(7)を保持しながら印圧を加えることにより、基材(7)上に印刷画線(10)を転移させることができるようになっている。
なお、フラットベッド方式の場合、基材を支持するテーブル状の平台が圧胴(2)に相当する。本発明においては、圧胴(2)及びテーブル状の平台を含め、基材支持体(2)と定義し、以下の説明に使用する。
本発明に用いられる版胴(3)としては、金属材料にて構成されるものであり、例えばステンレス等の金属繊維を編み込んだメッシュに感光膜を塗布した版材を円筒状に加工したラッカー版面や、電鋳により円筒状の金属版面を作製し、腐食により画線等を形成するピアスエッチング版面等がある。版胴(3)の厚みは30μmから120μmの範囲が好ましい。
版胴(3)は、スクリーンインキ(8)を通過させる貫通孔(図示せず)が形成された中空の円筒状をなし、円筒の端部が回転体に連結されることで回転可能に支持される。版胴(3)内には、スクリーンインキ(8)を蓄えており、スクリーンインキ(8)は、版胴(3)の回転駆動に合わせ時計方向に循環し、スキージ機構(5)による余剰インキの掻きとりと、貫通孔へのスクリーンインキ(8)の押し込み作用により、基材(7)にスクリーンインキ(8)を転移させ、印刷画線(10)を形成する。
スキージ(5)は、余剰インキの掻きとり及びスクリーンインキ(8)の押し込みを行うものであり、スキージ(5)は、インキ滞留量を制御するスキージホルダ(図示せず)により挟持される。
スキージ(5)は、ゴム又は金属から形成されるとともに、先端が版胴(3)の内周面に当接するように、固定設置されることにより、スクリーンインキ(8)を版胴(3)の開口部(6)へ押し込む作用とともに、版胴(3)の内周面に付着した余剰のスクリーンインキ(8)を掻きとる作用を有していれば、先端の形状は、円弧状、長方形又は剣形を成していてもよく、特に限定されない。
スキージ(5)に用いられる材質としては、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、シリコンゴム等の樹脂製スキージと、ステンレス等の金属製スキージがある。金属製のスクリーン版面(3)を用いる場合、スキージ(5)の硬度は60°から90°の範囲が好ましい。スキージ(5)の硬度が60°未満であると、スキージ(5)が柔らかいため、版面にスクリーンインキ(8)が多く押し込まれ、繊細な印刷画線が得られない。また、スキージ(5)の硬度が90°を超えると、スキージ(5)及び金属製のスクリーン版面(3)が変形しないため、基材の凹凸に追従しづらくなり、版面(3)と基材の密着性が劣ることから、繊細な印刷画線が得られないので好ましくない。
(印刷画線)
本発明における印刷画線(10)は、印刷画像を形成する最小単位の小さな点である網点や、網点特定の方向に一定の距離連続して配置した点線や破線の分断線、直線、曲線及び破線等が含まれる。また、網点又は網点を複数集めて一塊にした円や三角形、四角形を含む多角形、星形等の各種図形、モチーフ、あるいは文字や記号、数字等も含まれる。
本発明における印刷画線(10)は、印刷画像を形成する最小単位の小さな点である網点や、網点特定の方向に一定の距離連続して配置した点線や破線の分断線、直線、曲線及び破線等が含まれる。また、網点又は網点を複数集めて一塊にした円や三角形、四角形を含む多角形、星形等の各種図形、モチーフ、あるいは文字や記号、数字等も含まれる。
(弾力性保持材)
本発明における弾力性保持材(4)は、弾力性を保つことができる材料であり、弾力性保持材(4)が有する弾力性は、スキージ(5)が圧力によって、スクリーン版面(3)を基材(7)に押し付ける際には、弾力性保持材(4)の厚みが減じられ、スキージ(5)が基材(7)から離れる際は、弾力性保持材(4)の減じられた厚みが元に戻る性質を有する必要がある。
本発明における弾力性保持材(4)は、弾力性を保つことができる材料であり、弾力性保持材(4)が有する弾力性は、スキージ(5)が圧力によって、スクリーン版面(3)を基材(7)に押し付ける際には、弾力性保持材(4)の厚みが減じられ、スキージ(5)が基材(7)から離れる際は、弾力性保持材(4)の減じられた厚みが元に戻る性質を有する必要がある。
弾力性保持材(4)は、市販の仕立材料を利用することができ、例えば、ウレタンゴムシート、天然ゴムシート、ニトリルゴムシート、シリコンゴムシートなど、単体で用いることができるほか、前述のゴムシートを樹脂シートや布、紙などと積層したシートなども弾力性保持材(4)として使用することができる。また、弾力性保持材(4)は、上記に記載した各種ゴムシート(弾力層)以外に支持層や接着層を含んでいてもよい。
ゴムシートと樹脂シートや布、紙との積層したシートを用いる場合は、表層がゴムシートとなるように圧胴(2)に形成する。また、弾力性保持材(4)の表面は、平滑性があるものや、物理的に粗面加工されたものなどがあるが、使用するスクリーン印刷機構や、求める印刷品質、あるいは図柄等に応じて選択すればよい。なお、弾力性保持材(4)の弾力層の有する硬度は特に制限はないが、良好な画線の再現性を得るためには90°以下が好ましい。
弾力性保持材(4)の厚みは、使用する基材(7)の種類によって異なるが、例えば、基材(7)が坪量79g/m2、紙厚95μmの用紙の場合、弾力性保持材(4)の厚みは、0.10mm~1.00mmの範囲が望ましい。弾力性保持材(4)の厚みが0.10mmより薄い場合は、充分な弾力性が得られないため良好な画線の再現性が得られない。また、弾力性保持材(4)が1.00mmより厚い場合は、弾力性が強いため、スキージ(5)が版面(3)を基材に押し付ける力が均一にならず、良好な画線の再現性が得られない。また、弾力性保持材(4)が1.00mmより厚いと、基材支持体(2)と基材支持体(2)上に形成された弾力性保持材(4)の表面上で段差が生じ、印刷品質に影響するので、好ましくない。
弾力性保持材(4)の厚みについては、使用する基材(7)の種類や、前加工等で基材(7)の表面上に凹凸形状が形成されているものや、基材厚み方向に厚みムラがあるものなどの程度に合わせて、適宜選択する。また、弾力性保持材(4)の厚みは、一様に同じ厚みであっても、図柄や基材の凹凸形状等に合わせて部分的に異なっていてもよい。
基材支持体(2)の表面への弾力性保持材(4)の形成は、基材支持体(2)の全ての表面を覆うようにしてもよいし、印刷しようとする図柄と相対する位置に部分的に形成してもよい。形成方法は、弾力性保持材(4)を基材支持体(2)に、テープや接着剤等を用いて固定される。
ここで、版胴(3)及び基材支持体(2)が共に硬度が高い金属材料により構成される場合、弾力性保持材(4)を形成しないと、基材(7)の表面上の凹凸形状に伴い、基材(7)と版面(3)及びスクリーンインキ(8)との間に隙間が発生し、それによる密着不良により、インキ転移不良が生じるが、弾力性保持材(4)を形成すると、スクリーン版面(3)が基材(7)に押し付ける際に、弾力性保持材(4)の厚みが減じられ、基材(7)と版面(3)及びスクリーンインキ(8)との間の隙間が解消し、インキ転移が良好となることから、この形態での基材支持体(2)の使用が最も効果が得られる。
(基材)
本発明において、基材(7)は、上質紙、コート紙、アート紙等の紙や、フィルム、紙をフィルムでコーティングした複合基材等が利用可能である。基材(7)に紙を用いる場合、紙の厚さ、坪量は特に限定されるものではなく、一般的な範囲で用いることができる。薄紙の例としては、坪量20~30g/m2、厚さ30~40μm程度であり、厚紙の例としては、坪量250~300g/m2、厚さ300~500μm程度である。なお、印刷物の取扱性や耐久性の点から坪量75~100g/m2、厚さ90~120μm程度の紙を用いることが好ましい。
本発明において、基材(7)は、上質紙、コート紙、アート紙等の紙や、フィルム、紙をフィルムでコーティングした複合基材等が利用可能である。基材(7)に紙を用いる場合、紙の厚さ、坪量は特に限定されるものではなく、一般的な範囲で用いることができる。薄紙の例としては、坪量20~30g/m2、厚さ30~40μm程度であり、厚紙の例としては、坪量250~300g/m2、厚さ300~500μm程度である。なお、印刷物の取扱性や耐久性の点から坪量75~100g/m2、厚さ90~120μm程度の紙を用いることが好ましい。
(基材表面の凹凸形状)
本発明の実施の形態に使用される基材(7)は、基材(7)の表面が平滑であり、厚みムラがないもののほか、基材(7)の表面に凹凸形状があるもの及び基材(7)の厚みムラがあるものが適用できるが、このような凹凸形状や厚みムラが生じる理由は、セキュリティ印刷物は偽造防止を目的として、様々な偽造防止技術が複数の工程で施されることによる。例えば、スクリーン印刷の前工程として、凹版印刷や、偽造防止用の箔が施されることがあり、ここでは、スクリーン印刷に使用される基材(7)に予め凹版印刷が施されている例について説明する。
本発明の実施の形態に使用される基材(7)は、基材(7)の表面が平滑であり、厚みムラがないもののほか、基材(7)の表面に凹凸形状があるもの及び基材(7)の厚みムラがあるものが適用できるが、このような凹凸形状や厚みムラが生じる理由は、セキュリティ印刷物は偽造防止を目的として、様々な偽造防止技術が複数の工程で施されることによる。例えば、スクリーン印刷の前工程として、凹版印刷や、偽造防止用の箔が施されることがあり、ここでは、スクリーン印刷に使用される基材(7)に予め凹版印刷が施されている例について説明する。
(従来の印刷機構)
図2(a)及び(b)は、表面に生じている凹凸形状及び基材の厚み方向の厚みムラを有する基材について、従来の印刷機構による適用を説明する図である。
図2(a)及び(b)は、表面に生じている凹凸形状及び基材の厚み方向の厚みムラを有する基材について、従来の印刷機構による適用を説明する図である。
スクリーン印刷に、凹版印刷が施された基材(7)を用いた場合、凹版印刷の際に、凹版版面の凹版画線部内に基材(7)が食い込むことでエンボスが形成され、同時に、凹版版面の凹版画線部内の凹版インキ(9)が基材(7)に転移することで、基材(7)に凹版インキ(9)が形成される。そのため、図2(a)のスクリーン機構の断面図に示すように、基材(7)の上に形成された凹版インキ(9)と基材(7)の表面に高低差(S)が生じる。
また、凹版印刷の印圧は、一般的に線圧1cm当たり1トンといわれており、例えば、もともとの紙の紙厚が95μmの場合は、85μm程度に圧縮される。そのため、図2(b)のスクリーン機構の断面図に示すように、基材(7)の厚み方向が減じられることによる基材(7)の表面上の高低差(S’)が生じる。
上述したように、従来の印刷機構では、凹版インキ(9)による盛りが形成される部分及び印圧により基材(7)の厚みが減じられている部分があることから、これらの基材(7)の凹凸により、版面(3)及びスクリーンインキ(8)と基材(7)との密着性が足りないことにより、基材(7)にスクリーンインキ(8)が十分に転移せず、図柄の欠けや画線切れ、あるいは印刷の濃度不良や、スクリーンインキ(8)が版面開口部から過剰に吐出して、図柄や画線の再現不良を引き起こす場合があった。
(本発明の印刷機構)
これに対して、表面に生じている凹凸形状及び基材の厚み方向の厚みムラを有する基材について、本発明の印刷機構による適用を図3(a)及び(b)を用いて説明する。
これに対して、表面に生じている凹凸形状及び基材の厚み方向の厚みムラを有する基材について、本発明の印刷機構による適用を図3(a)及び(b)を用いて説明する。
スクリーン印刷に、予め凹版印刷が施された基材(7)を用いた場合、基材(7)の上に形成された凹版インキ(9)と基材(7)の表面による高低差(S)が生じている場合でも、基材支持体(2)の表面に形成された弾性支持体(4)により、図3(a)に示すように基材(7)の上に形成された凹版インキ(9)と基材(7)の表面の高低差(S)が減じられ、版面(3)及びスクリーンインキ(8)と基材(7)との密着が良好になる。
また、同様に、基材(7)の厚み方向が減じられることによる基材(7)の表面上の高低差(S’)が生じている場合でも、基材支持体(2)の表面に形成された弾性支持体(4)により、基材(7)の表面上の高低差(S’)が減じられ、版面(3)及びスクリーンインキ(8)と基材(7)との密着性が良好になる。
本実施例において、凹版印刷により基材(7)の表面に形成された凹凸形状を測定したところ、凹版画線部では、最高点と最低点の差は最大約30μmであり、凹版非画線部では最高点と最低点の差は最大で約10μmであった。このことから、予め、凹版印刷を施した基材(7)にスクリーン印刷を行う場合は、基材支持体(2)の表面に、前述のとおり、スキージ(5)が版面(3)を基材(7)に押し付ける圧力に対して、厚み方向に約30μm以上の変形を与えるシートを弾力性保持材(4)として形成することで、凹版印刷で基材(7)上に施された凹版印刷画線の凹凸に沿って弾力性保持材(4)が変形し、版面(3)と基材(7)の密着性の向上に十分な効果が期待できる。なお、弾力性保持材(4)の厚み方向の変形量については、弾力性保持材(4)が変形する限りにおいて、その変形量に相応の密着性向上効果が期待できることは言うまでもない。
(スクリーン印刷機構)
本発明における実施の形態ではロータリースクリーン方式を例に説明したが、以下に示すような、フラットベッド方式も、シリンダー方式も適用可能である。本発明の弾力性保持材(4)の一実施例を図4(a)から(c)に、適用した図を示す。
本発明における実施の形態ではロータリースクリーン方式を例に説明したが、以下に示すような、フラットベッド方式も、シリンダー方式も適用可能である。本発明の弾力性保持材(4)の一実施例を図4(a)から(c)に、適用した図を示す。
例えば、図4(a)に示すように、スクリーン印刷方式の一つであるフラットベッドスクリーン方式は、平坦な基材支持体(2)に載置された基材(7)に対して、平面状のスクリーン版面(3)をスキージ(5)で押圧摺動して印刷する機構である。
また、図4(b)は、シリンダー(曲面)方式であり、円筒型にされた基材の円筒側面に対して、当該円筒を回転させながら平板状スクリーン版面(3)をスキージ(5)で押圧して印刷する機構であり、この機構は、スクリーン版面(3)は水平方向に往復移動し、スキージは移動せずにその場で押圧するのみであり、円筒型の基材が円筒型にされて、スクリーン版面(3)の水平移動に同期して回転することにより、印刷位置が移動する。
さらに、図4(c)のロータリースクリーン方式は、平坦な基材支持体(2)の基材(7)を移動させながら円筒型スクリーン版面(3)が基材に接するようにスキージで押圧して、当該円筒型スクリーン版面(3)を回転させる印刷機構である。
(効果)
本発明によれば、スクリーン印刷において、印刷に用いる基材(7)の表面が平滑であるものはもちろんであるが、スクリーン印刷前の加工等により、表面に凹凸形状や、基材(7)の部位ごとに基材(7)の厚み方向の弾力性のムラがある場合においても、弾力性保持材(4)を設けることにより、基材表面の凹凸形状や厚みのムラを吸収させることができる。
本発明によれば、スクリーン印刷において、印刷に用いる基材(7)の表面が平滑であるものはもちろんであるが、スクリーン印刷前の加工等により、表面に凹凸形状や、基材(7)の部位ごとに基材(7)の厚み方向の弾力性のムラがある場合においても、弾力性保持材(4)を設けることにより、基材表面の凹凸形状や厚みのムラを吸収させることができる。
そのため、スクリーン版面(3)及びスクリーンインキ(8)と、基材(7)との密着が良好となり、接触の弱い箇所における図柄の欠けや画線切れ、あるいは印刷の濃度不良がない高品質なスクリーン印刷物を得ることが極めて簡単な機構で可能となる。
また、長期的な高速連続印刷において、安定した品質を得ることができるため、生産性の向上を図ることができる。
実施例1は、図1に示したロータリースクリーン印刷機に関する。印刷装置は、給紙部、印刷部、紫外線照射部、排紙部からなる。印刷速度は80m/minとした。
(印刷部)
印刷部においては、圧胴(2)が版胴(3)に対して上部に位置する印刷機構(1)を用いた。版胴(3)は、厚み80μm、150メッシュ(線/インチ)のステンレスメッシュによるラッカー版を用い、印刷画線(10)は、画線幅280μm、画線間隔120μmのライン図柄とした。
印刷部においては、圧胴(2)が版胴(3)に対して上部に位置する印刷機構(1)を用いた。版胴(3)は、厚み80μm、150メッシュ(線/インチ)のステンレスメッシュによるラッカー版を用い、印刷画線(10)は、画線幅280μm、画線間隔120μmのライン図柄とした。
(弾力性保持材)
弾力性保持材(4)には、厚み0.40mmのUPブランケットベース(フォーレックスイメージング社製 FOLABAS SOFT A)を使用し、弾力性保持材(4)を圧胴(2)全体に巻き付け、テープで貼りつけた。
弾力性保持材(4)には、厚み0.40mmのUPブランケットベース(フォーレックスイメージング社製 FOLABAS SOFT A)を使用し、弾力性保持材(4)を圧胴(2)全体に巻き付け、テープで貼りつけた。
(スキージ)
スキージ(5)は、硬度70°(A型硬度計、高分子計器株式会社製)のウレタンゴム(ミノプレン、ミノグループ製)を使用し、スキージ角度は、27.5°とした。スキージ押し込み量を0.40mmとした。
スキージ(5)は、硬度70°(A型硬度計、高分子計器株式会社製)のウレタンゴム(ミノプレン、ミノグループ製)を使用し、スキージ角度は、27.5°とした。スキージ押し込み量を0.40mmとした。
(印刷材料)
スクリーンインキ(8)は、紫外線硬化型インキを用いた。また、基材(7)は、コート紙(坪量79g/m2、紙厚95μm)を使用し、当該基材(7)に対して、ロータリースクリーン印刷を行った。
スクリーンインキ(8)は、紫外線硬化型インキを用いた。また、基材(7)は、コート紙(坪量79g/m2、紙厚95μm)を使用し、当該基材(7)に対して、ロータリースクリーン印刷を行った。
実施例1において得られた印刷物は、図5(a)に示すように、均一かつ、高精細な印刷画線(10)であった。また、連続印刷においても印刷物品質に変化がなかった。
実施例2は、基材(7)として、表裏凹版印刷済のコート紙(坪量79g/m2、紙厚95μm)を用い、当該基材(7)表面に形成された凹版画線部における最高点と最低点の差は最大30μmあった。基材(7)以外については実施例1と同じ条件で、ロータリースクリーン印刷を行った。
実施例2において得られた印刷物は、図5(b)に示すように、均一かつ、高精細な印刷画線(10)であった。また、連続印刷においても印刷物品質に変化がなかった。
(比較例1)
(比較例1)
比較例1は、本発明の実施例1において得られる画線再現性と、従来のスクリーン印刷方法において得られる画線再現性との程度を比較するための実験である。
比較例1は、実施例1の印刷条件のうち、弾力性保持材(4)を使用せず、スキージ押し込み量を0.40mmとした。それ以外は実施例1と同じ条件で印刷実験を行った。
比較例1において得られた印刷物は、図5(c)に示すように、印刷画線(10)の欠けやかすれが発生し、インキ膜厚についても安定しなかった。
(比較例2)
(比較例2)
比較例2は、基材(7)として、表裏凹版印刷済のコート紙(坪量79g/m2、紙厚95μm)を用いた。基材(7)以外は実施例1と同じ条件で、ロータリースクリーン印刷を行った。
比較例2において得られた印刷物は、図5(d)に示すように、印刷画線(10)の欠けやかすれが発生し、インキ膜厚についても安定しなかった。
1 印刷機構
2 基材支持体(圧胴)
3 版面(スクリーン版面)、版胴
4 弾力性保持材
5 スキージ
6 開口部
7 基材
8 スクリーンインキ
9 凹版インキ
10 印刷画線
2 基材支持体(圧胴)
3 版面(スクリーン版面)、版胴
4 弾力性保持材
5 スキージ
6 開口部
7 基材
8 スクリーンインキ
9 凹版インキ
10 印刷画線
Claims (3)
- 基材支持体、スキージ及び印刷画線に対応する開口部を有するスクリーン版面により、基材に前記印刷画線を印刷するスクリーン印刷機構であって、
前記基材支持体の表層の少なくとも一部に弾力性保持材が形成されてなることを特徴とするスクリーン印刷機構。
- 前記スクリーン版面が、金属材料にて構成されることを特徴とする請求項1に記載のスクリーン印刷機構。
- 前記スクリーン印刷機構が、ロータリースクリーン印刷機構であることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載のスクリーン印刷機構。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020187850A JP2022077151A (ja) | 2020-11-11 | 2020-11-11 | スクリーン印刷機構 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020187850A JP2022077151A (ja) | 2020-11-11 | 2020-11-11 | スクリーン印刷機構 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2022077151A true JP2022077151A (ja) | 2022-05-23 |
Family
ID=81654242
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2020187850A Pending JP2022077151A (ja) | 2020-11-11 | 2020-11-11 | スクリーン印刷機構 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2022077151A (ja) |
-
2020
- 2020-11-11 JP JP2020187850A patent/JP2022077151A/ja active Pending
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