JP2022076449A - 粘度指数向上剤及び潤滑油組成物 - Google Patents

粘度指数向上剤及び潤滑油組成物 Download PDF

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Shinnosuke Kiguchi
将大 橋本
Masahiro Hashimoto
亮太 佐藤
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健司 山崎
Kenji Yamazaki
弘記 山下
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Abstract

【課題】粘度指数向上効果が高く、40℃動粘度の低減効果が高く、潤滑油組成物の剪断安定性に優れる粘度指数向上剤を提供する。【解決手段】単量体(a)及び一般式(1)で示されるポリオレフィン系単量体(b)を必須構成単量体とする共重合体(A)を含有する粘度指数向上剤であって、前記単量体(a)が、アシル基中に炭素数1~17のアルキル基を有するビニルエステル(a1)、炭素数1~10のアルキル基を有するビニルエーテル(a2)、炭素数1~10のアルキル基を有する(ジ)アルキルフマレート(a3)、炭素数1~10のアルキル基を有する(ジ)アルキルマレエート(a4)、アシル基中に炭素数1~10のアルキル基を有するクロトン酸エステル(a5)及び炭素数3~10のアルコキシアルキル基を有するアルコキシアルキルアクリレート(a6)からなる群より選ばれる少なくとも1種である粘度指数向上剤。【選択図】なし

Description

本発明は粘度指数向上剤及び潤滑油組成物に関する。
自動車等に使用される潤滑油や作動油等は、高温になるほど粘度が低下するが、実用上は低温から高温までの広範囲にわたり、粘度ができるだけ変化しないことが望ましい。そこで潤滑油に粘度指数向上剤を添加して粘度の温度依存性を改善する方法が広く行われている。そのような粘度指数向上剤としては、メタクリル酸エステル共重合体(特許文献1~4)、オレフィン共重合体(特許文献5)及びマクロモノマー共重合体(特許文献6)等が知られている。また、省燃費性能においては40℃における動粘度を低減させることが重要である。
しかしながら、上記の粘度指数向上剤は、粘度指数向上効果、40℃動粘度の低減が未だ十分ではなく、また、実用時に長時間運転後の剪断安定性が未だ十分でないという問題があった。
特許第2732187号公報 特許第2941392号公報 特開平7-62372号公報 特開2004-307551号公報 特開2005-200454号公報 特表2008-546894号公報
本発明の目的は、粘度指数向上効果が高く、40℃動粘度の低減効果が高く、潤滑油組成物の剪断安定性に優れる粘度指数向上剤及びこの粘度指数向上剤を含有してなる潤滑油組成物を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成するべく検討を行った結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明は、重合性炭素-炭素二重結合を有する単量体(a)及び下記一般式(1)で示されるポリオレフィン系単量体(b)を必須構成単量体とする共重合体(A)を含有する粘度指数向上剤であって、前記単量体(a)が、アシル基中に炭素数1~17のアルキル基を有するビニルエステル(a1)、炭素数1~10のアルキル基を有するビニルエーテル(a2)、炭素数1~10のアルキル基を有する(ジ)アルキルフマレート(a3)、炭素数1~10のアルキル基を有する(ジ)アルキルマレエート(a4)、アシル基中に炭素数1~10のアルキル基を有するクロトン酸エステル(a5)及び炭素数3~10のアルコキシアルキル基を有するアルコキシアルキルアクリレート(a6)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、前記共重合体(A)を構成する単量体中の前記単量体(a)と前記単量体(b)との重量比率(a/b)が0.05~4.0である粘度指数向上剤;前記粘度指数向上剤を含有してなる潤滑油組成物である。
Figure 2022076449000001
[一般式(1)においてRはメチル基;-X-は-O-、-O(AO)-又は-NH-で表される基であって、Aは炭素数2~4のアルキレン基であり、mは1~10の整数であり、mが2以上の場合のAは同一でも異なっていてもよい;Rは1,2-ブチレン基を構成単位として含む炭化水素重合体から水素原子を1つ除いた残基;qは0又は1の数。]
本発明の粘度指数向上剤を含有してなる潤滑油組成物は、粘度指数向上効果が高く、40℃動粘度及び剪断安定性に優れるという効果を奏する。
本発明の粘度指数向上剤は、重合性炭素-炭素二重結合を有する単量体(a)及び下記一般式(1)で示されるポリオレフィン系単量体(b)を必須構成単量体とする共重合体(A)を含有する粘度指数向上剤であって、前記単量体(a)が、アシル基中に炭素数1~17のアルキル基を有するビニルエステル(a1)、炭素数1~10のアルキル基を有するビニルエーテル(a2)、炭素数1~10のアルキル基を有する(ジ)アルキルフマレート(a3)、炭素数1~10のアルキル基を有する(ジ)アルキルマレエート(a4)、アシル基中に炭素数1~10のアルキル基を有するクロトン酸エステル(a5)及び炭素数3~10のアルコキシアルキル基を有するアルコキシアルキルアクリレート(a6)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、前記共重合体(A)を構成する単量体中の前記単量体(a)と前記単量体(b)との重量比率(a/b)が0.05~4.0である粘度指数向上剤である。
Figure 2022076449000002
[一般式(1)においてRはメチル基;-X-は-O-、-O(AO)-又は-NH-で表される基であって、Aは炭素数2~4のアルキレン基であり、mは1~10の整数であり、mが2以上の場合のAは同一でも異なっていてもよい;Rは1,2-ブチレン基を構成単位として含む炭化水素重合体から水素原子を1つ除いた残基;qは0又は1の数。]
単量体(b)に由来する構成単位は、極性基(エステル基等)に対する(b)の有するR(炭化水素重合体から水素原子を1つ除いた残基)が長いため極性が低く、従来、単量体(b)を構成単量体として含む共重合体を用いると、基油中でのポリマー鎖の挙動(低温では基油に対して極性の高い構成単位を覆い隠すようにR(炭化水素鎖)が凝集し、高温ではRが広がる)の温度依存性が大きくなり、粘度指数向上剤として優れる傾向があると推察されるところ、本発明においては、メタクリロイル基を有する単量体(b)とメタクリロイル基以外の反応性基とアルキル基とを有する特定の単量体(a)とを併用することにより、反応性の異なる単量体(a)がブロック状に結合した構造になると推察され、さらに、(a)と(b)との重量比率を特定の範囲とすることにより、基油中でポリマー鎖が、高温(特に100℃)では広がり基油の温度による粘度低下を抑制し、低温(特に40℃)では凝集しやすくなり、ポリマーを含有することによる粘度上昇を抑え、粘度指数効果が高いものとなると推察される。また、ブロック状の構造になることにより、ポリマー内での極性の偏りが大きく、ランダムな構造のものと比較して1分子あたりの増粘性が低下し、せん断の影響を受けにくく、せん断安定性が高いものとなると推察される。
<重合性炭素-炭素二重結合を有する単量体(a)>
本発明において、単量体(a)は、アシル基中に炭素数1~17のアルキル基を有するビニルエステル(a1)、炭素数1~10のアルキル基を有するビニルエーテル(a2)、炭素数1~10のアルキル基を有する(ジ)アルキルフマレート(a3)、炭素数1~10のアルキル基を有する(ジ)アルキルマレエート(a4)、アシル基中に炭素数1~10のアルキル基を有するクロトン酸エステル(a5)及び炭素数3~10のアルコキシアルキル基を有するアルコキシアルキルアクリレート(a6)からなる群より選ばれる少なくとも1種である。
(a1)~(a6)はそれぞれ1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。また、(a)としては1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、「(ジ)アルキルフマレート」は「モノアルキルフマレート及び/又はジアルキルフマレート」を意味し、「(ジ)アルキルマレエート」は「モノアルキルマレエート及び/又はジアルキルマレエート」を意味する。
アシル基中に炭素数1~17のアルキル基を有するビニルエステル(a1)としては、ビニルアルコールと炭素数2~18の鎖状脂肪族モノカルボン酸とがエステル化した構造を有するものが含まれる。
炭素数2~18の鎖状脂肪族モノカルボン酸としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族モノカルボン酸が含まれ、例えば、エタン酸、プロパン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ウンデカン酸、ドデカン酸、トリデカン酸、テトラデカン酸、ペンタデカン酸、ヘキサデカン酸、ヘプタデカン酸及びオクタデカン酸等が挙げられる。
(a1)として具体的には、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、吉草酸ビニル、カプロン酸ビニル、エナント酸ビニル、カプリル酸ビニル、ペラルゴン酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル及びステアリン酸ビニル等が挙げられる。
これらのうち、粘度指数向上効果の観点から、酢酸ビニル、ラウリン酸ビニル及びステアリン酸ビニルが好ましく、さらに好ましくは酢酸ビニルである。
炭素数1~10のアルキル基を有するビニルエーテル(a2)としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を有するものが含まれ、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ペンチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、ヘプチルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、ノニルビニルエーテル及びデシルビニルエーテル等が挙げられる。
これらのうち、粘度指数向上効果の観点から、炭素数4~10のアルキル基を有するビニルエーテルが好ましく、さらに好ましくはブチルビニルエーテル及びデシルビニルエーテルであり、特に好ましくはブチルビニルエーテルである。
炭素数1~10のアルキル基を有する(ジ)アルキルフマレート(a3)としては、フマル酸と炭素数1~10の鎖状脂肪族モノアルコールとがモノエステル化又はジエステル化した構造を有するものが含まれる。
炭素数1~10の鎖状脂肪族モノアルコールとしては、メタノール、エタノール、直鎖脂肪族モノアルコール(例えば、n-プロパノール、n-ブタノール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、n-ヘプタノール、n-オクタノール、n-ノナノール、n-デカノール等)、分岐鎖状脂肪族モノアルコール(例えば、イソプロパノール、2-ブタノール等)等が挙げられる。
(a3)として具体的には、フマル酸モノメチル、フマル酸ジメチル、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル、フマル酸メチルエチル、フマル酸モノプロピル、フマル酸ジプロピル、フマル酸メチルプロピル、フマル酸モノブチル、フマル酸ジブチル、フマル酸メチルブチル、フマル酸モノペンチル、フマル酸ジペンチル、フマル酸メチルペンチル、フマル酸モノヘキシル、フマル酸ジヘキシル、フマル酸メチルヘキシル、フマル酸モノヘプチル、フマル酸ジヘプチル、フマル酸メチルヘプチル、フマル酸モノオクチル、フマル酸ジオクチル、フマル酸メチルオクチル、フマル酸モノノニル、フマル酸ジノニル、フマル酸メチルノニル、フマル酸モノデシル、フマル酸ジデシル、フマル酸メチルデシル等が挙げられる。
これらのうち、粘度指数向上効果の観点から、炭素数4~10のアルキル基を有するジアルキルフマレートが好ましく、さらに好ましくはフマル酸ジブチル、フマル酸ジヘキシル、フマル酸ジオクチル及びフマル酸ジデシルであり、特に好ましくはフマル酸ジブチル及びフマル酸ジヘキシルである。
炭素数1~10のアルキル基を有する(ジ)アルキルマレエート(a4)としては、マレイン酸と前記炭素数1~10の鎖状脂肪族モノアルコールとがモノエステル化又はジエステル化した構造を有するものが含まれる。
(a4)として具体的には、マレイン酸モノメチル、マレイン酸ジメチル、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸メチルエチル、マレイン酸モノプロピル、マレイン酸ジプロピル、マレイン酸メチルプロピル、マレイン酸モノブチル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸メチルブチル、マレイン酸モノペンチル、マレイン酸ジペンチル、マレイン酸メチルペンチル、マレイン酸モノヘキシル、マレイン酸ジヘキシル、マレイン酸メチルヘキシル、マレイン酸モノヘプチル、マレイン酸ジヘプチル、マレイン酸メチルヘプチル、マレイン酸モノオクチル、マレイン酸ジオクチル、マレイン酸メチルオクチル、マレイン酸モノノニル、マレイン酸ジノニル、マレイン酸メチルノニル、マレイン酸モノデシル、マレイン酸ジデシル、マレイン酸メチルデシル等が挙げられる。
これらのうち、粘度指数向上効果の観点から、炭素数4~10のアルキル基を有するジアルキルマレエートが好ましく、さらに好ましくはマレイン酸ジブチル、マレイン酸ジヘキシル、マレイン酸ジオクチル及びマレイン酸ジデシルであり、特に好ましくはマレイン酸ジブチル及びマレイン酸ジヘキシルである。
アシル基中に炭素数1~10のアルキル基を有するクロトン酸エステル(a5)としては、クロトン酸と前記炭素数1~10の鎖状脂肪族モノアルコールとがエステル化した構造を有するものが含まれる。
(a5)として具体的には、クロトン酸メチル、クロトン酸エチル、クロトン酸プロピル、クロトン酸ブチル、クロトン酸ペンチル、クロトン酸ヘキシル、クロトン酸ヘプチル、クロトン酸オクチル、クロトン酸ノニル、クロトン酸デシル等が挙げられる。
これらのうち、粘度指数向上効果の観点から、アシル基中に炭素数4~10のアルキル基を有するクロトン酸エステルが好ましく、さらに好ましくはクロトン酸ヘキシル及びクロトン酸オクチルであり、特に好ましくはクロトン酸ヘキシルである。
炭素数3~10のアルコキシアルキル基を有するアルコキシアルキルアクリレート(a6)としては、炭素数1~8の直鎖状又は分岐鎖状脂肪族モノアルコールに炭素数2~4のアルキレンオキサイドを1モル付加させた化合物であって炭素数が3~10のものとアクリル酸とをエステル化した構造を有するものが含まれる。
炭素数1~8の直鎖モノアルコールとしては、例えば、メタノール、エタノール、n-プロパノール、n-ブタノール、n-ペンタノール、n-ヘキサノール、n-ヘプタノール、n-オクタノール等が挙げられる。
分岐モノアルコールとしては、例えば、イソプロパノール、イソブチルアルコール、sec-ブチルアルコール、tert-ブチルアルコール、2-エチルヘキサノール等が挙げられる。
炭素数2~4のアルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、1,2-又は1,3-プロピレンオキサイド、及び1,2-、1,3-又は1,4-ブチレンオキサイド等が挙げられる。
(a6)としては、例えば、メトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、プロポキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ペントキシエチルアクリレート、ヘキソシキエチルアクリレート、ヘプトキシエチルアクリレート、オクトキシエチルアクリレート、メトキシプロピルアクリレート、エトキシプロピルアクリレート、プロポキシプロピルアクリレート、ブトキシプロピルアクリレート、ペントキシプロピルアクリレート、ヘキソシキプロピルアクリレート、ヘプトキシプロピルアクリレート、オクトキシプロピルアクリレート、メトキシブチルアクリレート、エトキシブチルアクリレート、プロポキシブチルアクリレート、ブトキシブチルアクリレート、ペントキシブチルアクリレート、ヘキソシキブチルアクリレート、ヘプトキシブチルアクリレート、オクトキシブチルアクリレート等が挙げられる。
これらのうち、粘度指数向上効果の観点から、炭素数3~6のアルコキシアルキル基を有するアルコキシアルキルアクリレートが好ましく、さらに好ましくはメトキシエチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート及びブトキシエチルアクリレートであり、特に好ましくはn-ブトキシエチルアクリレートである。
重合性炭素-炭素二重結合を有する単量体(a)としては、粘度指数向上効果及び40℃動粘度の低減効果の観点から、アシル基中に炭素数1~17のアルキル基を有するビニルエステル(a1)、(a2)のうち炭素数4~10のアルキル基を有するビニルエーテル、(a3)のうち炭素数4~10のアルキル基を有するジアルキルフマレート、(a4)のうち炭素数4~10のアルキル基を有するジアルキルマレエート、(a5)のうちアシル基中に炭素数4~10のアルキル基を有するクロトン酸エステル及び(a6)のうち炭素数3~6のアルコキシアルキル基を有するアルコキシアルキルアクリレートが好ましく、さらに好ましくはアシル基中に炭素数1~17のアルキル基を有するビニルエステル(a1)、(a3)のうち炭素数4~10のアルキル基を有するジアルキルフマレート及び(a4)のうち炭素数4~10のアルキル基を有するジアルキルマレエートであり、特に好ましくは酢酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジヘキシル、フマル酸ジオクチル、フマル酸ジデシル、マレイン酸ジブチル、マレイン酸ジヘキシル、マレイン酸ジオクチル及びマレイン酸ジデシルである。
<ポリオレフィン系単量体(b)>
上記一般式(1)で示されるポリオレフィン系単量体(b)について説明する。
本発明において、(b)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
一般式(1)におけるRは、水素原子又はメチル基である。これらのうち、粘度指数向上効果及びHTHS粘度低下効果の観点から、好ましいのはメチル基である。
一般式(1)における-X-は、-O-、-O(AO)-又はNH-で表される基である。
Aは炭素数2~4のアルキレン基であり、エチレン基、1,2-又は1,3-プロピレン基及び1,2-、1,3-、1,4-又は2,3-ブチレン基等が挙げられる。
AOは炭素数2~4のアルキレンオキシ基であり、エチレンオキシ基、1,2-又は1,3-プロピレンオキシ基、及び1,2-、1,3-又は1,4-ブチレンオキシ基等が挙げられる。
mはアルキレンオキサイドの付加モル数であり、1~10の整数であり、粘度指数向上効果の観点から、好ましくは1~4の整数、更に好ましくは1~2の整数である。
mが2以上の場合のAは同一でも異なっていてもよく、(AO)部分の結合形式はランダム状でもブロック状でもよい。
-X-のうち、粘度指数向上効果の観点から好ましいのは、-O-及び-O(AO)-で表される基であり、更に好ましくは-O-及び-O(CHCHO)-で表される基である。
qは0又は1の数である。
一般式(1)におけるRは1,2-ブチレン基を構成単位として含む炭化水素重合体から水素原子を1つ除いた残基であり、1-ブテンを必須構成単量体とする炭化水素重合体、又はブタジエン(1,3-ブタジエン等)を必須構成単量体とする炭化水素重合体の有する炭素-炭素二重結合の少なくとも一部が水素化された重合体から水素原子を1つ除いた残基である。炭化水素重合体としては、炭素数37以上のものが好ましい。
一般式(1)における炭化水素重合体において、炭化水素重合体を構成する全単量体のうち1,3-ブタジエンの比率は、粘度指数向上効果及びHTHS粘度低下効果の観点から、50重量%以上が好ましく、さらに好ましくは75重量%以上、次にさらに好ましくは85重量%以上、特に好ましくは90重量%以上である。
一般式(1)における炭化水素重合体において、全構成単位中の1,2-ブチレン基の比率は、基油(本発明においては炭化水素油(B)、以下においても同じ。)への溶解性の観点から、1~80モル%が好ましく、さらに好ましくは20~75モル%である。
一般式(1)における炭化水素重合体の1-ブテン及び/又は1,3-ブタジエン由来の構造について、全構成単位中の1,2-ブチレン基の比率は、13C-NMRによって測定することができる。具体的には、例えば、単量体として炭素数4のもののみを用いた場合、炭化水素重合体を13C-NMRにより分析し、下記数式(1)を用いて、炭化水素重合体の構成単位の合計モル数に基づく1,2-ブチレン基のモル%を計算し決定することができる。13C-NMRにおいて、1,2-ブチレン基の3級炭素原子(-CHCH(CHCH)-)に由来するにピークが26~27ppmの積分値(積分値B)に現れる。上記ピークの積分値と、炭化水素重合体の全炭素のピークに関する積分値(積分値C)から求めることができる。
1,2-ブチレン基の比率(モル%)={(積分値B)×4}/(積分値C)×100 (1)
なお、1,2-ブチレン基の比率を大きくするには、例えば1,3-ブタジエンを用いたアニオン重合においては、反応温度を1,3-ブタジエンの沸点(-4.4℃)以下とし、且つ、重合開始剤の投入量を1,3-ブタジエンに対して少なくすればよく、1,2-ブチレン基の比率を小さくするには、反応温度を1,3-ブタジエンの沸点以上とし、開始剤量を多くすればよい。
における炭化水素重合体が構成単量体にブタジエン、又はブタジエン及び1-ブテンを含む場合、一般式(1)中のRの一部又は全部を構成するブタジエン、又はブタジエン及び1-ブテン由来の構造において、1,2-ブチレン基(1,2-付加体)と1,4-ブチレン基(1,4-付加体)のモル比(1,2-付加体/1,4-付加体)は、粘度指数向上効果、HTHS粘度及び基油への溶解性の観点から、好ましくは1/99~55/45、更に好ましくは10/90~53/47、特に好ましくは20/80~50/50である。
における炭化水素重合体が構成単量体にブタジエン、又は、ブタジエン及び1-ブテンを含む場合、一般式(1)中のRの一部又は全部を構成するブタジエン、又は、ブタジエン及び1-ブテン由来の構造における1,2-付加体/1,4-付加体のモル比はH-NMRや13C-NMR、ラマン分光法などで測定することができる。
一般式(1)におけるRは、粘度指数向上効果の観点から、1,2-ブチレン基に加えて、さらにイソブチレン基(-C(CH-CH-)を構成単位として含む炭化水素重合体から水素原子を1つ除いた残基であることが好ましい。イソブチレン基を構成単位として含む炭化水素重合体とする方法としては、構成単量体(不飽和炭化水素(x))としてイソブテンを用いる等の方法が挙げられる。
炭化水素重合体におけるイソブチレン基と1,2-ブチレン基との合計比率は、炭化水素重合体の合計構成単位数に基づいて、粘度指数向上効果の観点から、30モル%以上が好ましく、更に好ましくは40モル%以上、特に好ましくは50モル%以上、最も好ましくは60モル%以上である。
炭化水素重合体の合計構成単位数に基づき、イソブチレン基と1,2-ブチレン基との合計比率は、炭化水素重合体を13C-核磁気共鳴スペクトルにより分析し、下記数式(2)を用いて計算し決定することができる。具体的には、13C-核磁気共鳴スペクトルにおいて、イソブチレン基のメチル基に由来するピークが30~32ppmの積分値(積分値A)、1,2-ブチレンの3級炭素原子(-CH-CH(CHCH)-)に由来するピークが26~27ppmの積分値(積分値B)に現れる。上記ピークの積分値と、炭化水素重合体の全炭素のピークに関する積分値(積分値C)から求めることができる。
イソブチレン基と1,2-ブチレン基との合計比率(モル%)={(積分値A)×2+(積分値B)×4}/(積分値C)×100 (2)
一般式(1)における炭化水素重合体は、上記ブタジエン、1-ブテン及びイソブチレン以外に、不飽和炭化水素(x)として以下の(1)~(3)を構成単量体としてもよい。
(1)脂肪族不飽和炭化水素[炭素数2~36のオレフィン(例えばエチレン、プロピレン、2-ブテン、イソブテン、ペンテン、ヘプテン、ジイソブチレン、オクテン、ドデセン、オクタデセン、トリアコセン及びヘキサトリアコセン等)及び炭素数4~36のジエン(例えば、イソプレン、1,4-ペンタジエン、1,5-ヘキサジエン及び1,7-オクタジエン等)等]
(2)脂環式不飽和炭化水素[例えばシクロヘキセン、(ジ)シクロペンタジエン、ピネン、リモネン、インデン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン等]
(3)芳香族基含有不飽和炭化水素(例えばスチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4-ジメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、フェニルスチレン、シクロヘキシルスチレン、ベンジルスチレン、クロチルベンゼン、ビニルナフタレン、ジビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルキシレン及びトリビニルベンゼン等)等が挙げられる。
これらによって構成される炭化水素重合体は、ブロック重合体でもランダム重合体であってもよい。また炭化水素重合体が、二重結合を有する場合には、水素添加により、二重結合の一部又は全部を水素化したものであってもよい。一態様において、Rにおける炭化水素重合体は、構成単量体として炭素数4の単量体のみを用いた炭化水素重合体であってよく、炭素数4の単量体は、1-ブテン、1,3-ブタジエン及びイソブテンからなる群より選択される少なくとも1種であってよい。
単量体(b)の重量平均分子量(以下Mwと略記する)及び数平均分子量(以下Mnと略記する)は以下の条件でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下GPCと略記する)によって測定することができる。
<単量体(b)のMw及びMnの測定条件>
装置 :「HLC-8320GPC」[東ソー(株)製]
カラム :「TSKgel GMHXL」[東ソー(株)製]2本
「TSKgel Multipore HXL-M 1本
測定温度 :40℃
試料溶液 :0.25重量%のテトラヒドロフラン溶液
溶液注入量:10.0μl
検出装置 :屈折率検出器
基準物質 :標準ポリスチレン(TS 基準物質 :標準ポリスチレン(TSKstandard POLYSTYRENE)
12点(分子量:589、1,050、2,630、9,100、19,500、37,900、96,400、190,000、355,000、1,090,000、2,110,000、4,480,000)[東ソー(株)製]
単量体(b)のMnは、好ましくは800~10,000であり、さらに好ましくは1,000~9,000、特に好ましくは1,200~8,500である。
単量体(b)のMnが800以上であると粘度指数向上効果が良好である傾向があり、10,000以下であると長期間使用時の剪断安定性が良好である傾向がある。
単量体(b)のMwは、粘度指数向上効果の観点から、好ましくは900~13,000であり、さらに好ましくは1,200~12,000、特に好ましくは1,500~11,000である。
単量体(b)は、片末端に水酸基を含有する重合体(Y){上記炭化水素重合体の片末端に水酸基を導入したもの}と(メタ)アクリル酸とのエステル化反応、又は重合体(Y)と(メタ)アクリル酸メチル等の(メタ)アクリル酸アルキル(好ましくはアルキル基の炭素数が1~4)エステルとのエステル交換反応等により得ることができる。また、片末端にアミノ基(-NH)を有する重合体と(メタ)アクリル酸とのアミド化反応により得ることができる。
単量体(b)に由来する構成単位((b)のビニル基が反応して単結合になった構造)の溶解性パラメーター(以下においてSP値と略記する)は、潤滑油への溶解性の観点から、好ましくは7.0~9.0(cal/cm1/2であり、更に好ましくは7.3~8.5(cal/cm1/2である。
なお、本発明におけるSP値は、Fedors法(Polymer Engineering and Science,February,1974,Vol.14、No.2 P.147~154)の152頁(Table.5)に記載の数値(原子又は官能基の25℃における蒸発熱及びモル体積)を用いて、同153頁の数式(28)により算出される値を意味する。具体的には、Fedors法のパラメーターである下記表1に記載のΔe及びviの数値から、分子構造内の原子及び原子団の種類に対応した数値を用いて、下記数式に当てはめることで算出することができる。
SP値=(ΣΔe/Σv1/2
Figure 2022076449000003
単量体(b)に由来する構成単位のSP値は、単量体(b)に由来する構成単位の分子構造に基づいて、前記パラメーターを用いて算出することができ、使用する単量体(不飽和炭化水素(x))、単量体(不飽和炭化水素(x))の重量分率を適宜調整することにより所望の範囲にすることができる。
また、共重合体(A)が2種以上の単量体(b)を併用している場合は、(b)を構成する複数の構成単位それぞれのSP値を前記の方法で算出し、それぞれの単量体(b)に由来する構成単位のSP値を、構成単量体単位の重量分率に基づいて相加平均値した値が前記単量体(b)に由来する構成単位のSP値の範囲を満たすことが好ましい。
片末端に水酸基を含有する重合体(Y)の具体例としては、以下の(Y1)~(Y4)が挙げられる。
アルキレンオキサイド付加物(Y1);不飽和炭化水素(x)をイオン重合触媒(リチウム触媒及びナトリウム触媒等)存在下に重合して得られた重合体に、アルキレンオキサイド(エチレンオキサイド及びプロピレンオキサイド等)を付加して得られたもの等(一般式(1)において、-X-が-(AO)-であり、q=0であるもの)。
ヒドロホウ素化物(Y2);片末端に二重結合を有する不飽和炭化水素(x)の重合体のヒドロホウ素化反応物(例えば米国特許第4,316,973号明細書に記載のもの)等(一般式(1)において、-X-が-O-であり、q=0であるもの)。
無水マレイン酸-エン-アミノアルコール付加物(Y3);片末端に二重結合を有する不飽和炭化水素(x)の重合体と無水マレイン酸とのエン反応で得られた反応物を、アミノアルコールでイミド化して得られたもの等(一般式(1)において、-X-が-O-であり、q=1であるもの)。
ヒドロホルミル-水素化物(Y4);片末端に二重結合を有する不飽和炭化水素(x)の重合体をヒドロホルミル化し、次いで水素化反応して得られたもの(例えば特開昭63-175096号公報に記載のもの)等(一般式(1)において、-X-が-O-であり、q=0であるもの)。
これらの片末端に水酸基を含有する重合体(Y)のうち、HTHS粘度低下効果及び粘度指数向上効果の観点から、好ましいのはアルキレンオキサイド付加物(Y1)、ヒドロホウ素化物(Y2)及び無水マレイン酸-エン-アミノアルコール付加物(Y3)であり、更に好ましいのはアルキレンオキサイド付加物(Y1)である。
本発明において、共重合体(A)は、下記一般式(2)で示される単量体(c)を構成単量体として含んでもよい。100℃でのHTHS粘度(高温高剪断粘度)の観点から、単量体(c)を構成単量体として含むことが好ましい。単量体(c)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
Figure 2022076449000004
[一般式(2)においてRはメチル基;-X-は-O-又は-NH-で表される基;Rは炭素数2~4のアルキレン基;tは1~20の整数であり、tが2以上の場合のRは同一でも異なっていてもよい;Rは炭素数1~8の直鎖又は分岐アルキル基。]
一般式(2)におけるRは、水素原子又はメチル基である。これらのうち、粘度指数向上効果の観点から、好ましいのはメチル基である。
一般式(2)における-X-は、-O-又は-NH-で表される基である。これらのうち、粘度指数向上効果の観点から、好ましいのは-O-で表される基である。
一般式(2)におけるRは、炭素数2~4のアルキレン基である。
炭素数2~4のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、イソプロピレン基、1,2-又は1,3-プロピレン基、イソブチレン基、及び1,2-、1,3-又は1,4-ブチレン基等が挙げられる。
Oは炭素数2~4のアルキレンオキシ基であり、例えば、エチレンオキシ基、1,2-又は1,3-プロピレンオキシ基、及び1,2-、1,3-又は1,4-ブチレンオキシ基等が挙げられる。
一般式(2)におけるtは1~20の整数であり、粘度指数向上効果の観点から、好ましくは1~5の整数であり、更に好ましくは1~2の整数である。
tが2以上の場合のROは同一でも異なっていてもよく、(RO)部分の結合形式はランダム状でもブロック状でもよい。
一般式(2)におけるRは、炭素数1~8の直鎖又は分岐アルキル基である。例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、s-ブチル基、t-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘプチル基、2-エチルヘキシル基、n-ヘプチル基及びn-オクチル基等が挙げられる。
炭素数1~8の直鎖又は分岐アルキル基のうち、粘度指数向上効果の観点から好ましいのは、炭素数1~4の直鎖アルキル基であり、更に好ましいのは炭素数4の直鎖アルキル基(n-ブチル基)である。
単量体(c)として具体的には、メトキシエチルメタクリレート、エトキシエチルメタクリレート、プロポキシエチルメタクリレート、ブトキシエチルメタクリレート、メトキシプロピルメタクリレート、エトキシプロピルメタクリレート、プロポキシプロピルメタクリレート、ブトキシプロピルメタクリレート、メトキシブチルメタクリレート、エトキシブチルメタクリレート、プロポキシブチルメタクリレート及びブトキシブチルメタクリレート、並びに炭素数1~8の直鎖又は分岐アルキルアルコールにエチレンオキサイド、プロピレンオキサイド及びブチレンオキサイドからなる群より選ばれる少なくとも1種を2~20モル付加したものとメタクリル酸とのエステル化物等が挙げられる。
単量体(c)のうち、粘度指数向上効果の観点から好ましいのは、エトキシエチルメタクリレート及びブトキシエチルメタクリレートであり、更に好ましくはn-ブトキシエチルメタクリレートである。
共重合体(A)において、(A)の構成単量体のうち単量体(a)の重量と単量体(b)の重量との重量比率(a/b)は0.05~4.0であり、0.5~2.5が好ましく、さらに好ましくは0.8~1.5である。
重量比率(a/b)が0.05未満又は4.0を超えると、粘度指数向上効果、40℃動粘度の低減効果が低く、剪断安定性が劣る傾向がある。
共重合体(A)において、(A)の構成単量体のうち単量体(a)の重量割合は、(A)を構成する単量体の合計重量に基づいて、粘度指数向上効果、40℃動粘度の低減効果及び剪断安定性の観点から、1~40重量%が好ましく、さらに好ましくは10~20重量%である。
共重合体(A)において、(A)の構成単量体のうち単量体(b)の重量割合は、(A)を構成する単量体の合計重量に基づいて、粘度指数向上効果、40℃動粘度の低減効果及び剪断安定性の観点から、5~40重量%が好ましく、さらに好ましくは10~20重量%である。
共重合体(A)において、(A)の構成単量体のうち単量体(c)の重量割合は、(A)を構成する単量体の合計重量に基づいて、100℃でのHTHS粘度及び粘度指数向上効果の観点から、1~40重量%が好ましく、さらに好ましくは10~20重量%である。
共重合体(A)において、(A)の構成単量体のうち単量体(a)と前記単量体(c)との重量比率(a/c)は、粘度指数向上効果、40℃動粘度の低減効果、剪断安定性及び100℃でのHTHS粘度の観点から、0.025~40が好ましく、さらに好ましくは0.4~2.5である。
本発明において、共重合体(A)は、炭素数2~4のアルキル基を有する(メタ)アクリロイル単量体(d)及び/又は炭素数9~36の直鎖又は分岐アルキル基を有する(メタ)アクリロイル単量体(e)を構成単量体として含む共重合体であってもよい。100℃でのHTHS粘度の観点から、(d)を構成単量体として含むことが好ましく、基油への溶解性の観点から、(e)を構成単量体として含むことが好ましい。
なお、単量体(d)及び(e)はそれぞれ1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
炭素数2~4のアルキル基を有する(メタ)アクリロイル単量体(d)としては、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、N-エチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸ブチル(例えば、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル等)及びN-ブチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
これらのうち、粘度指数向上効果の観点から、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-ブチルが好ましく、さらに好ましくは(メタ)アクリル酸n-ブチルである。
共重合体(A)において、(A)の構成単量体のうち単量体(d)の重量割合は、粘度指数向上効果の観点から、(A)を構成する単量体の合計重量に基づいて、25~75重量%が好ましく、さらに好ましくは25~50重量%である。
炭素数9~36の直鎖又は分岐アルキル基を有する(メタ)アクリロイル単量体(e)としては、(b)以外のものであり、炭素数9~36の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリロイル単量体(e1)及び下記一般式(3)で表される炭素数9~36の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリロイル単量体(e2)等が含まれる。
Figure 2022076449000005
[一般式(3)においてRは水素原子又はメチル基;-X-は-O-又は-NH-で表される基;ROは炭素数2~4のアルキレンオキシ基;R及びRはそれぞれ独立に炭素数1~24の直鎖アルキル基であり、R及びRの合計炭素数は7~34;sは0~20の整数であり、sが2以上の場合のROは同一でも異なっていてもよい。]
炭素数9~36の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリロイル単量体(e1)(以下、単量体(e1)と略記することがある)としては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル{炭素数9~36の直鎖アルキルアルコールとアクリル酸とのエステル化物であり、例えば、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸n-ウンデシル、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸n-トリデシル、(メタ)アクリル酸n-テトラデシル、(メタ)アクリル酸n-ペンタデシル、(メタ)アクリル酸n-ヘキサデシル、(メタ)アクリル酸n-オクタデシル、(メタ)アクリル酸n-イコシル、(メタ)アクリル酸n-ドコシル、(メタ)アクリル酸n-テトラコシル、(メタ)アクリル酸n-トリアコンチル及び(メタ)アクリル酸n-ヘキサトリアコンチル等}、炭素数9~36の直鎖アルキルアルコールのアルキレンオキサイド(炭素数2~4)1~20モル付加物と(メタ)アクリル酸とのエステル化物、及び(メタ)アクリル酸アルキルアミド{炭素数9~36の直鎖アルキルアミンとアクリル酸とのアミド化物等}等が挙げられる。
単量体(e1)のうち、粘度指数向上効果の観点から、好ましいのは炭素数12~28の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステルであり、更に好ましいのは炭素数12~24の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルであり、特に好ましいのは炭素数12~20の直鎖アルキル基を有する(メタ)アクリル酸エステルである。
単量体(e1)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体(e2)において、一般式(3)におけるRは、水素原子又はメチル基である。これらのうち、粘度指数向上効果の観点から、好ましいのはメチル基である。
一般式(3)における-X-は、-O-又は-NH-で表される基である。これらのうち、粘度指数向上効果の観点から、好ましいのは-O-で表される基である。
一般式(3)におけるRは、炭素数2~4のアルキレン基である。炭素数2~4のアルキレン基としては、例えば、エチレン基、イソプロピレン基、1,2-又は1,3-プロピレン基、イソブチレン基及び1,2-1,3-又は1,4-ブチレン基が挙げられる。
Oは炭素数2~4のアルキレンオキシ基であり、例えば、エチレンオキシ基、1,2-又は1,3-プロピレンオキシ基、及び1,2-、1,3-又は1,4-ブチレンオキシ基等が挙げられる。
一般式(3)におけるsは0~20の整数であり、粘度指数向上効果の観点から、0~5の整数が好ましく、さらに好ましくは0~2の整数である。
sが2以上である場合のROは同一でも異なっていてもよく、(RO)部分はランダム結合でもブロック結合でもよい。
一般式(3)におけるR及びRは、それぞれ独立に、炭素数1~24の直鎖アルキル基である。具体的には、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ヘプチル基、n-ヘキシル基、n-ペンチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、n-ウンデシル基、n-ドデシル基、n-テトラデシル基、n-ヘキサデシル基、n-オクタデシル基、n-エイコシル基及びn-テトラコシル基等が挙げられる。炭素数1~24の直鎖アルキル基のうち、粘度指数向上効果の観点から好ましいのは、少なくとも一方が炭素数6~24の直鎖アルキル基であることであり、更に好ましいのは少なくとも一方が炭素数6~20の直鎖アルキル基であることであり、特に好ましいのは少なくとも一方が炭素数8~16の直鎖アルキル基であることである。
及びRの合計炭素数は、7~34であり、粘度指数向上効果の観点から、12~30が好ましく、さらに好ましくは14~26である。
単量体(e2)として具体的には、(メタ)アクリル酸2-オクチルデシル、エチレングリコールモノ-2-オクチルペンタデシルエーテルと(メタ)アクリル酸とのエステル化物、(メタ)アクリル酸2-n-オクチルドデシル、(メタ)アクリル酸2-n-デシルテトラデシル、(メタ)アクリル酸2-n-ドデシルヘキサデシル、(メタ)アクリル酸2-n-テトラデシルオクタデシル、(メタ)アクリル酸2-n-ドデシルペンタデシル、(メタ)アクリル酸2-n-テトラデシルヘプタデシル、(メタ)アクリル酸2-n-ヘキサデシルヘプタデシル、(メタ)アクリル酸2-n-ヘプタデシルイコシル、(メタ)アクリル酸2-n-ヘキサデシルドコシル、(メタ)アクリル酸2-n-エイコシルドコシル、(メタ)アクリル酸2-n-テトラコシルヘキサコシル及びN-2-オクチルデシル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。
単量体(e2)は1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
単量体(e)のうち、基油への溶解性及び低温粘度の観点から好ましいのは、上記一般式(3)で表される炭素数9~36の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリロイル単量体(e2)であり、更に好ましいのは(e2)のうち炭素数14~32の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリロイル単量体であり、特に好ましいのは(e2)のうち炭素数16~28の分岐アルキル基を有する(メタ)アクリロイル単量体である。
共重合体(A)において、(A)の構成単量体のうち単量体(e)の重量割合は、粘度指数向上効果及び共重合体(A)を好ましいSP値にする観点から、(A)を構成する単量体の合計重量に基づいて、1~25重量%が好ましく、さらに好ましくは1~10重量%である。
本発明における共重合体(A)は、上記単量体(a)~(e)に加え、更に窒素原子含有単量体(f)、水酸基含有単量体(g)、リン原子含有単量体(h)、芳香環含有ビニル単量体(i)及び単量体(j)~単量体(n)を構成単量体として含んでもよい。
単量体(f)~(n)はそれぞれ1種を用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
窒素原子含有単量体(f)としては、単量体(a)~(e)を除く、以下の単量体(f1)~(f4)が挙げられる。
アミド基含有単量体(f1):
(メタ)アクリルアミド、N-メチル(メタ)アクリルアミド、N-(N’-モノアルキルアミノアルキル)(メタ)アクリルアミド[窒素原子に炭素数1~4のアルキル基が1つ結合したアミノアルキル基(炭素数2~6)を有するもの;例えばN-(N’-メチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(N’-エチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(N’-イソプロピルアミノ-n-ブチル)(メタ)アクリルアミド及びN-(N’-n-又はイソブチルアミノ-n-ブチル)(メタ)アクリルアミド等]、ジアルキル(メタ)アクリルアミド[窒素原子に炭素数1~4のアルキル基が2つ結合したもの;例えばN,N-ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジエチル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジイソプロピル(メタ)アクリルアミド及びN,N-ジ-n-ブチル(メタ)アクリルアミド等]、N-(N’,N’-ジアルキルアミノアルキル)(メタ)アクリルアミド[アミノアルキル基の窒素原子に炭素数1~4のアルキル基が2つ結合したアミノアルキル基(炭素数2~6)を有するもの;例えばN-(N’,N’-ジメチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(N’,N’-ジエチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(N’,N’-ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド及びN-(N’,N’-ジ-n-ブチルアミノブチル)(メタ)アクリルアミド等];N-ビニルカルボン酸アミド[N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-n-又はイソプロピオン酸アミド及びN-ビニルヒドロキシアセトアミド等]等が挙げられる。
ニトロ基含有単量体(f2):
4-ニトロスチレン等が挙げられる。
1~3級アミノ基含有単量体(f3):
1級アミノ基含有単量体{炭素数3~6のアルケニルアミン[(メタ)アリルアミン及びクロチルアミン等]、アミノアルキル(炭素数2~6)(メタ)アクリレート[アミノエチル(メタ)アクリレート等]};2級アミノ基含有単量体{モノアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート[窒素原子に炭素数1~6のアルキル基が1つ結合したアミノアルキル基(炭素数2~6)を有するもの;例えばN-t-ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びN-メチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]、炭素数6~12のジアルケニルアミン[ジ(メタ)アリルアミン等]};3級アミノ基含有単量体{ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート[窒素原子に炭素数1~6のアルキル基が2つ結合したアミノアルキル基(炭素数2~6)を有するもの;例えばN,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びN,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等]、窒素原子を有する脂環式(メタ)アクリレート[モルホリノエチル(メタ)アクリレート等]、芳香族系単量体[N-(N’,N’-ジフェニルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノスチレン、4-ビニルピリジン、2-ビニルピリジン、N-ビニルピロール、N-ビニルピロリドン及びN-ビニルチオピロリドン等]}、及びこれらの塩酸塩、硫酸塩、リン酸塩又は低級アルキル(炭素数1~8)モノカルボン酸(酢酸及びプロピオン酸等)塩等が挙げられる。
ニトリル基含有単量体(f4):
(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
単量体(f)のうち好ましいのは、(f1)及び(f3)であり、更に好ましいのは、N-(N’,N’-ジフェニルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(N’,N’-ジメチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(N’,N’-ジエチルアミノエチル)(メタ)アクリルアミド、N-(N’,N’-ジメチルアミノプロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びN,N-ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートである。
水酸基含有単量体(g):
水酸基含有芳香族単量体(p-ヒドロキシスチレン等)、ヒドロキシアルキル(炭素数2又は11~20)(メタ)アクリレート[2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等]、モノ-又はビス-ヒドロキシアルキル(炭素数1~4)置換(メタ)アクリルアミド[N,N-ビス(ヒドロキシメチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミド等]、ビニルアルコール、炭素数3~12のアルケノール[(メタ)アリルアルコール、クロチルアルコール、イソクロチルアルコール、1-オクテノール及び1-ウンデセノール等]、炭素数4~12のアルケンモノオール又はアルケンジオール[1-ブテン-3-オール、2-ブテン-1-オール及び2-ブテン-1,4-ジオール等]、ヒドロキシアルキル(炭素数1~6)アルケニル(炭素数3~10)エーテル(2-ヒドロキシエチルプロペニルエーテル等)、多価(3~8価)アルコール(グリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ソルビタン、ジグリセリン、糖類及び蔗糖等)のアルケニル(炭素数3~10)エーテル又は(メタ)アクリレート[蔗糖(メタ)アリルエーテル等]等;
ポリオキシアルキレングリコール(アルキレン基の炭素数2~4、重合度2~50)、ポリオキシアルキレンポリオール[上記3~8価のアルコールのポリオキシアルキレンエーテル(アルキレン基の炭素数2~4、重合度2~100)]、ポリオキシアルキレングリコール又はポリオキシアルキレンポリオールのアルキル(炭素数1~4)エーテルのモノ(メタ)アクリレート[ポリエチレングリコール(Mn:100~300)モノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコール(Mn:130~500)モノ(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(Mn:110~310)(メタ)アクリレート、ラウリルアルコールエチレンオキサイド付加物(2~30モル)(メタ)アクリレート及びモノ(メタ)アクリル酸ポリオキシエチレン(Mn:150~230)ソルビタン等]等;が挙げられる。
リン原子含有単量体(h)としては、以下の単量体(h1)~(h2)等が挙げられる。
リン酸エステル基含有単量体(h1):
(メタ)アクリロイロキシアルキル(炭素数2~4)リン酸エステル[(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート及び(メタ)アクリロイロキシイソプロピルホスフェート]及びリン酸アルケニルエステル[リン酸ビニル、リン酸アリル、リン酸プロペニル、リン酸イソプロペニル、リン酸ブテニル、リン酸ペンテニル、リン酸オクテニル、リン酸デセニル及びリン酸ドデセニル等]等が挙げられる。なお、「(メタ)アクリロイロキシ」は、アクリロイロキシ又はメタクリロイロキシを意味する。
ホスホノ基含有単量体(h2):
(メタ)アクリロイロキシアルキル(炭素数2~4)ホスホン酸[(メタ)アクリロイロキシエチルホスホン酸等]及びアルケニル(炭素数2~12)ホスホン酸[ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸及びオクテニルホスホン酸等]等が挙げられる。
単量体(h)のうち好ましいのは(h1)であり、更に好ましいのは(メタ)アクリロイロキシアルキル(炭素数2~4)リン酸エステルであり、特に好ましいのは(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェートである。
芳香環含有ビニル単量体(i):
スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、2,4-ジメチルスチレン、4-エチルスチレン、4-イソプロピルスチレン、4-ブチルスチレン、4-フェニルスチレン、4-シクロヘキシルスチレン、4-ベンジルスチレン、4-クロチルベンゼン、インデン及び2-ビニルナフタレン等が挙げられる。
単量体(i)のうち好ましいのは、スチレン及びα-メチルスチレンであり、更に好ましいのはスチレンである。
不飽和基を2つ以上有する単量体(j)としては、例えば、ジビニルベンゼン、炭素数4~12のアルカジエン(ブタジエン、イソプレン、1,4-ペンタジエン、1,6-ヘプタジエン及び1,7-オクタジエン等)、(ジ)シクロペンタジエン、ビニルシクロヘキセン及びエチリデンビシクロヘプテン、リモネン、エチレンジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレンオキサイドグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアリルエーテル、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、国際公開WO01/009242号公報に記載の、Mnが500以上の不飽和カルボン酸とグリコールとのエステル及び不飽和アルコールとカルボン酸のエステルなどが挙げられる。
ビニルエステル、ビニルエーテル、ビニルケトン類(k)(単量体(k)と略記することがある):
アリール又はアルコキシアルキルビニルエーテル(フェニルビニルエーテル、ビニル-2-メトキシエチルエーテル及びビニル-2-ブトキシエチルエーテル等)及び炭素数1~8のアルキル又はアリールビニルケトン(メチルビニルケトン、エチルビニルケトン及びフェニルビニルケトン等)等が挙げられる。
エポキシ基含有単量体(l)(単量体(l)と略記することがある):
グリシジル(メタ)アクリレート及びグリシジル(メタ)アリルエーテル等が挙げられる。
ハロゲン元素含有単量体(m)(単量体(m)と略記することがある):
塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、塩化(メタ)アリル及びハロゲン化スチレン(ジクロロスチレン等)等が挙げられる。
不飽和ポリカルボン酸のエステル(n)(単量体(n)と略記することがある):
不飽和ポリカルボン酸(炭素数5~20の不飽和ポリカルボン酸が含まれ、例えば、イタコン酸等)のアルキル、シクロアルキル又はアラルキルエステル等が挙げられる。
共重合体(A)において、(A)の構成単量体のうち単量体(f)の重量割合は、実行温度でのHTHS粘度及び粘度指数向上効果の観点から、(A)を構成する単量体の合計重量に基づいて、50重量%以下が好ましく、更に好ましくは1~40重量%である。
共重合体(A)において、(A)の構成単量体のうち単量体(g)の重量割合は、HTHS粘度及び粘度指数向上効果の観点から、(A)を構成する単量体の合計重量に基づいて、40重量%以下が好ましく、更に好ましくは1~30重量%である。
共重合体(A)において、(A)の構成単量体のうち単量体(h)の重量割合は、HTHS粘度及び粘度指数向上効果の観点から、(A)を構成する単量体の合計重量に基づいて、30重量%以下が好ましく、更に好ましくは1~20重量%である。
共重合体(A)において、(A)の構成単量体のうち単量体(i)の重量割合は、HTHS粘度及び粘度指数向上効果の観点から、(A)を構成する単量体の合計重量に基づいて、20重量%以下が好ましく、更に好ましくは1~15重量%である。
共重合体(A)において、(A)の構成単量体のうち単量体(j)の重量割合は、実効温度でのHTHS粘度の観点から、10重量%以下が好ましく、更に好ましくは1~5重量%である。
共重合体(A)において、(A)の構成単量体のうち単量体(k)の重量割合は、粘度指数向上効果の観点から、(A)を構成する単量体の合計重量に基づいて、5重量%以下が好ましく、更に好ましくは0.5~2重量%である。
共重合体(A)において、(A)の構成単量体のうち単量体(l)の重量割合は、粘度指数向上効果の観点から、(A)を構成する単量体の合計重量に基づいて、20重量%以下が好ましく、更に好ましくは1~10重量%である。
共重合体(A)において、(A)の構成単量体のうち単量体(m)の重量割合は、粘度指数向上効果の観点から、(A)を構成する単量体の合計重量に基づいて、5重量%以下が好ましく、更に好ましくは0.1~2重量%である。
共重合体(A)において、(A)の構成単量体のうち単量体(n)の重量割合は、粘度指数向上効果の観点から、(A)を構成する単量体の合計重量に基づいて、1重量%以下が好ましく、更に好ましくは0.01~0.5重量%である。
共重合体(A)のMwは、好ましくは5,000~2,000,000であり、更に好ましくは5,000~1000,000、特に好ましくは10,000~800,000、最も好ましくは15,000~700,000であり、最も好ましくは30,000~600,000である。共重合体(A)のMwが5,000以上であると粘度温度特性の向上効果や粘度指数向上効果が良好である傾向がある。また粘度指数向上剤の添加量が多すぎず、コスト面でも有利である。2,000,000以下であると剪断安定性が良好である傾向がある。
なお、共重合体(A)のMwのより好ましい範囲は、粘度指数向上剤及び潤滑油組成物の用途によって異なり、表2に記載の範囲である。
Figure 2022076449000006
共重合体(A)のMnは、好ましくは2,500以上であり、更に好ましくは5,000以上であり、特に好ましくは7,500以上であり、最も好ましくは15,000以上である。また、好ましくは100,000以下であり、更に好ましくは150,000以下であり、特に好ましくは300,000以下である。
Mnが2,500以上であると粘度温度特性の向上効果や粘度指数向上効果が良好である傾向がある。また粘度指数向上剤の添加量が多すぎず、コスト面でも有利である。Mnが100,000以下であると剪断安定性が良好である傾向がある。
共重合体(A)の分子量分布(Mw/Mn)は、剪断安定性の観点から、1.0~4.0が好ましく、更に好ましくは1.5~3.5である。
なお、共重合体(A)のMw、Mn及び分子量分布の測定条件は上記単量体(b)のMw及びMnの測定条件と同様である。
共重合体(A)は、公知の製造方法によって得ることができ、具体的には前記の単量体を溶剤中で重合触媒存在下に溶液重合することにより得る方法が挙げられる。
溶剤としては、トルエン、キシレン、炭素数9~10のアルキルベンゼン、メチルエチルケトン、鉱物油、合成油等及びこれらの混合物が挙げられる。
重合触媒としては、アゾ系触媒(2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)及び2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)等)、過酸化物系触媒(ベンゾイルパーオキサイド、クミルパーオキサイド及びラウリルパーオキサイド等)及びレドックス系触媒(ベンゾイルパーオキサイドと3級アミンの混合物等)が挙げられる。更に分子量調整のために必要により、公知の連鎖移動剤(炭素数2~20のアルキルメルカプタン等)を使用することもできる。
重合温度は、好ましくは25~140℃であり、更に好ましくは50~120℃である。また、上記の溶液重合の他に、塊状重合、乳化重合又は懸濁重合により共重合体(A)を得ることができる。
共重合体(A)の重合形態としては、ランダム付加重合体又は交互共重合体のいずれでもよく、また、グラフト共重合体又はブロック共重合体のいずれでもよい。
共重合体(A)のSP値は、基油への溶解性の観点から、8.0~10.0(cal/cm1/2が好ましく、更に好ましくは8.5~9.5(cal/cm1/2である。
共重合体(A)のSP値は、前記SP値の算出方法を用いて(A)を構成する各単量体に由来する構成単位(ビニル基が重合反応により単結合となった構造)のSP値を算出し、仕込み時の各構成単量体の重量分率に基づいて相加平均した値を意味する。例えば、単量体がメタクリル酸メチルの場合、メタクリル酸メチルに由来する構成単位は、原子団として、CHが2個、CHが1個、Cが1個、COが1個なので、下記数式により、メタクリル酸メチルに由来する構成単位のSP値は9.933(cal/cm1/2であることが分かる。同様に計算して、メタクリル酸エチルに由来する構成単位のSP値は9.721(cal/cm1/2であることがわかる。
ΣΔe=1125×2+1180+350+4300=8080
Σv=33.5×2+16.1-19.2+18.0=81.9
δ=(8080/81.9)1/2=9.933(cal/cm1/2
共重合体がメタクリル酸メチル50重量%とメタクリル酸エチル50重量%との重合物である場合、共重合体のSP値は、下記の通り各単量体に由来する構成単位のSP値の重量分率に基づいて相加平均することにより算出される。
共重合体のSP値=(9.933×50+9.721×50)/100=9.827
共重合体(A)のSP値は、使用する単量体、重量分率を適宜調整することにより所望の範囲にすることができる。具体的には、アルキル基の炭素数の長い単量体を多く使用することでSP値を小さくすることができ、アルキル基の炭素数の短い単量体を多く使用することでSP値を大きくすることができる。
共重合体(A)の剪断安定性指数(SSI)は、潤滑油組成物の使用寿命の観点から、70以下が好ましく、更に好ましくは60以下である。
なお、本発明において、共重合体(A)のSSIとは、共重合体(A)の剪断による粘度低下をパーセンテージで示すものであり、ASTM D6278に準拠して測定された値である。より具体的には、下記数式(3)により算出された値である。
SSI=(Κν-Κν)/(Κν-Κνoil) (3)
上記数式(3)中、Κνは、共重合体(A)を含む粘度指数向上剤を鉱油に希釈した試料油の100℃における動粘度の値であり、Κνは、当該の共重合体(A)を含む粘度指数向上剤を鉱油に希釈した試料油をASTM D6278の手順にしたがって、30サイクル高剪断ボッシュ・ディーゼルインジェクターに通過させた後の100℃における動粘度の値である。また、Κνoilは、当該粘度指数向上剤を希釈する際に用いた鉱油の100℃における動粘度の値である。
本発明の粘度指数向上剤は、上記共重合体(A)に加えて、更に共重合体(A)以外の(メタ)アクリル酸アルキルエステル(共)重合体(B)を含有してもよく、(共)重合体(B)を含有することが低温粘度の観点から好ましい。
(共)重合体(B)としては、単量体(b)を含まない(共)重合体が含まれ、例えば炭素数9~36の直鎖又は分岐アルキル基を有する(メタ)アクリル酸アルキルエステル(e)を構成単量体として含む(共)重合体等が挙げられる。具体的には、(メタ)アクリル酸n-ドデシル、(メタ)アクリル酸n-テトラデシル、(メタ)アクリル酸n-ヘキサデシル及び(メタ)アクリル酸n-オクタデシル共重合体、(メタ)アクリル酸n-オクタデシル/(メタ)アクリル酸n-ドデシル(モル比10~30/90~70)共重合体、(メタ)アクリル酸n-テトラデシル/(メタ)アクリル酸n-ドデシル(モル比10~30/90~70)共重合体、(メタ)アクリル酸n-ヘキサデシル/(メタ)アクリル酸n-ドデシル/(メタ)アクリル酸メチル(モル比20~40/55~75/0~10)共重合体及びアクリル酸n-ドデシル/メタクリル酸n-ドデシル(モル比10~40/90~60)共重合体等が挙げられ、これらは単独でも2種以上を併用してもよい。
(共)重合体(B)の含有量は、低温粘度の観点から、共重合体(A)の重量に基づいて、0.01~30重量%が好ましく、更に好ましくは0.01~10重量%である。
(共)重合体(B)のMwは、流動点温度低下の観点から、5,000~100,000が好ましく、更に好ましくは10,000~80,000である。
(共)重合体(B)のSP値は、基油への溶解性の観点から、7.0~10が好ましく、更に好ましくは8.0~9.5である。なお、(B)のSP値は、前記SP値の算出方法を用いて(B)を構成する各単量体に由来する構成単位(ビニル基が重合反応により単結合となった構造)のSP値を算出し、仕込み時の各構成単量体の重量分率に基づいて相加平均した値を意味する。
また、(共)重合体(B)のMwの測定条件は上記単量体(b)のMwの測定条件と同様である。
本発明の粘度指数向上剤は、粘度指数向上効果及び低温粘度の観点から、共重合体(A)を粘度指数向上剤の重量に基づいて0.1~40重量%含有することが好ましい。
本発明の粘度指数向上剤において、低温粘度の観点から、(共)重合体(B)を粘度指数向上剤の重量に基づいて0.01~5重量%含有することが好ましい。
本発明の粘度指数向上剤は、上記共重合体(A)を含有するものであるが、さらに潤滑油基油を含有してもよい。
潤滑油基油としては、公知の潤滑油基油を特に制限なく用いることができ、鉱油系基油や合成系基油が好適に挙げられる。
鉱油系基油としては、パラフィン系やナフテン系等の基油が挙げられる。
鉱物系基油には、原料基油を溶剤精製したり、水素化分解又は水素化異性化処理したものも含まれる。
合成系基油としては、炭化水素系、エステル系、エーテル系、シリコーン系、フッ素系等の基油が挙げられる。潤滑油基油は、上述したように、重合体を製造する際の重合反応溶媒として用いることもできる。
鉱油系基油の具体例としては、以下に示す油(1)~(7)を原料とし、この原料油及び/又はこの原料油から回収された潤滑油留分を、所定の精製方法によって精製し、潤滑油留分を回収することによって得られる基油を挙げることができる。得られる粘度指数向上剤の品質を高めることが容易な点を考慮すると、潤滑油基油として、(1)~(7)から選ばれる基油又は当該基油から回収された潤滑油留分について所定の処理を行うことにより得られる下記基油(8)又は(9)が好ましく用いられる。
(1)パラフィン基系原油及び/又は混合基系原油の常圧蒸留残渣油の減圧蒸留による留出油(WVGO)
(2)潤滑油脱ろう工程により得られるワックス(スラックワックス等)及び/又はガストゥリキッド(GTL)プロセス等により得られる合成ワックス(フィッシャートロプシュワックス、GTLワックス等)
(3)基油(1)~(2)から選ばれる1種又は2種以上の混合油及び/又は当該混合油のマイルドハイドロクラッキング処理油
(4)基油(1)~(3)から選ばれる2種以上の混合油
(5)基油(1)~(4)のいずれかの脱れき油(DAO)
(6)基油(5)のマイルドハイドロクラッキング処理油(MHC)
(7)基油(1)~(6)から選ばれる2種以上の混合油
(8)上記基油(1)~(7)から選ばれる基油又は当該基油から回収された潤滑油留分を水素化分解し、その生成物又はその生成物から蒸留等により回収される潤滑油留分について溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう処理を行い、又は当該脱ろう処理をした後に蒸留することによって得られる水素化分解鉱油。
(9)上記基油(1)~(7)から選ばれる基油又は当該基油から回収された潤滑油留分を水素化異性化し、その生成物又はその生成物から蒸留等により回収される潤滑油留分について溶剤脱ろうや接触脱ろうなどの脱ろう処理を行い、又は、当該脱ろう処理をしたあとに蒸留することによって得られる水素化異性化鉱油。
合成系基油としては、具体的には、ポリα-オレフィン又はその水素化物、イソブテンオリゴマー又はその水素化物、イソパラフィン、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ジエステル(ジトリデシルグルタレート、ジ-2-エチルヘキシルアジペート、ジイソデシルアジペート、ジトリデシルアジペート、ジ-2-エチルヘキシルセバケート等)、ポリオールエステル(トリメチロールプロパンカプリレート、トリメチロールプロパンペラルゴネート、ペンタエリスリトール2-エチルヘキサノエート、ペンタエリスリトールペラルゴネート等)、ポリオキシアルキレングリコール、ジアルキルジフェニルエーテル、ポリフェニルエーテル等が挙げられ、中でもポリα-オレフィンが好ましい。ポリα-オレフィンとしては、典型的には、炭素数2~32、好ましくは6~16のα-オレフィンのオリゴマー又はコオリゴマー(1-オクテンオリゴマー、デセンオリゴマー、エチレン-プロピレンコオリゴマー等)及びそれらの水素化物が挙げられる。
本発明の粘度指数向上剤において、潤滑油基油を単独で用いてもよく、また他の基油の1種又は2種以上と併用してもよい。
本発明の粘度指数向上剤中の潤滑油基油の粘度指数(JIS-K2283で測定したもの)は、100以上であることが好ましく、120以上がより好ましく、また160以下が好ましい。
本発明の粘度指数向上剤中の潤滑油基油の100℃における動粘度(JIS-K2283で測定したもの)は、粘度指数向上効果の観点から好ましくは1~15mm/sであり、更に好ましくは2~5mm/sである。
本発明の粘度指数向上剤を用いれば、粘度指数向上効果が高く、40℃動粘度の低減効果が高く、潤滑油組成物の剪断安定性に優れるので、本発明の粘度指数向上剤を含む潤滑油組成物は、ギヤ油(デファレンシャル油及び工業用ギヤ油等)、MTF、変速機油[ATF、DCTF及びbelt-CVTF等]、トラクション油(トロイダル-CVTF等)、ショックアブソーバー油、パワーステアリング油、作動油(建設機械用作動油及び工業用作動油等)及びエンジン油(ガソリン用及びディーゼル用)に好適に用いることができる。
<潤滑油組成物>
本発明の潤滑油組成物は、本発明の粘度指数向上剤を含むものであり、さらに清浄剤、分散剤、酸化防止剤、油性向上剤、流動点降下剤、摩擦摩耗調整剤、極圧剤、消泡剤、抗乳化剤、金属不活性剤及び腐食防止剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の添加剤を含有してもよい。
本発明の潤滑油組成物は、省燃費性の観点から、共重合体(A)を潤滑油組成物の重量に基づいて0.1~20重量%となるように含有することが好ましい。
本発明の潤滑油組成物において、低温粘度の観点から、(共)重合体(B)を潤滑油組成物の重量に基づいて0.01~5重量%となるように含有することが好ましい。
潤滑油組成物の粘度指数は、200以上であることが好ましく、230以上がより好ましく、255以上がさらに好ましく、また350以下であることが好ましく、300以下がより好ましい。粘度指数が上記の範囲内であれば、省燃費効果に優れるものとなる。
潤滑油組成物中の潤滑油基油の100℃における動粘度(JIS-K2283で測定したもの)は、粘度指数向上効果の観点から好ましくは1~15mm/sであり、更に好ましくは2~5mm/sである。
潤滑油組成物中の潤滑油基油の粘度指数(JIS-K2283で測定したもの)は、潤粘度指数向上効果の観点から、好ましくは100以上である。
潤滑油組成物中の潤滑油基油の曇り点(JIS-K2269で測定したもの)は、好ましくは-5℃以下であり、更に好ましくは-15℃以下である。基油の曇り点がこの範囲内であると潤滑油組成物の低温粘度が良好となる傾向がある。
潤滑油組成物がエンジン油として使用される場合には、100℃における動粘度が4~10mm/sの潤滑油基油に、潤滑油基油の重量を基準として、共重合体(A)を1~10重量%含有しているものが好ましい。
ギヤ油として使用される場合には、100℃における動粘度が2~10mm/sの潤滑油基油に、潤滑油基油の重量を基準として、共重合体(A)を3~20重量%含有しているものが好ましい。
自動変速機油(ATF及びbelt-CVTF等)として使用される場合には、100℃における動粘度が2~6mm/sの潤滑油基油に、潤滑油基油の重量を基準として、共重合体(A)を3~20重量%含有しているものが好ましい。
トラクション油として使用される場合には、100℃における動粘度が1~5mm/sの潤滑油基油に、潤滑油基油の重量を基準として、共重合体(A)を0.5~10重量%含有しているものが好ましい。
本発明の潤滑油組成物は、各種添加剤を含有してもよい。添加剤としては、以下のものが挙げられる。
(1)清浄剤:
塩基性、過塩基性又は中性の金属塩[スルフォネート(石油スルフォネート、アルキルベンゼンスルフォネート及びアルキルナフタレンスルフォネート等)の過塩基性又はアルカリ土類金属塩等]、サリシレート類、フェネート類、ナフテネート類、カーボネート類、フォスフォネート類及びこれらの混合物;
(2)分散剤:
コハク酸イミド類(ビス-又はモノ-ポリブテニルコハク酸イミド類)、マンニッヒ縮合物及びボレート類等;
(3)酸化防止剤:
ヒンダードフェノール類及び芳香族2級アミン類等;
(4)油性向上剤:
長鎖脂肪酸及びそれらのエステル(オレイン酸及びオレイン酸エステル等)、長鎖アミン及びそれらのアミド(オレイルアミン及びオレイルアミド等)等;
(5)流動点降下剤
ポリアルキルメタクリレート、エチレン-酢酸ビニル共重合体等;
(6)摩擦摩耗調整剤:
モリブデン系及び亜鉛系化合物(モリブデンジチオフォスフェート、モリブデンジチオカーバメート及びジンクジアルキルジチオフォスフェート等)等;
(7)極圧剤:
硫黄系化合物(モノ又はジスルフィド、スルフォキシド及び硫黄フォスファイド化合物)、フォスファイド化合物及び塩素系化合物(塩素化パラフィン等)等;
(8)消泡剤:
シリコン油、金属石けん、脂肪酸エステル及びフォスフェート化合物等;
(9)抗乳化剤:
4級アンモニウム塩(テトラアルキルアンモニウム塩等)、硫酸化油及びフォスフェート(ポリオキシエチレン含有非イオン性界面活性剤のフォスフェート等)、炭化水素系溶剤(トルエン、キシレン、エチルベンゼン)等;
(10)金属不活性剤
窒素原子含有化合物(ベンゾトリアゾール等)、窒素原子含有キレート化合物(N,N’-ジサリチデン-1,2-ジアミノプロパン等)、窒素・硫黄原子含有化合物(2-(n-ドデシルチオ)ベンズイミダゾール等)等;
(11)腐食防止剤:
窒素原子含有化合物(ベンゾトリアゾール及び1,3,4-チオジアゾリル-2,5-ビスジアルキルジチオカーバメート等)等。
これらの添加剤は1種だけ添加してもよいし、必要に応じて2つ以上の添加剤を添加することもできる。またこれらの添加剤を配合したものを性能添加剤、又はパッケージ添加剤と呼ぶこともあり、それを添加してもよい。
これらの添加剤のそれぞれの含有量は潤滑油組成物全量を基準として0.1~15重量%であることが好ましい。また各添加剤を合計した含有量は潤滑油組成物全量を基準として0.1~30重量%が好ましく、さらに好ましくは0.3~20重量%である。
本発明の潤滑油組成物は、ギヤ油(デファレンシャル油及び工業用ギヤ油等)、MTF、変速機油[ATF、DCTF及びbelt-CVTF等]、トラクション油(トロイダル-CVTF等)、ショックアブソーバー油、パワーステアリング油、作動油(建設機械用作動油及び工業用作動油等)及びエンジン油(ガソリン用及びディーゼル用)に好適に用いられる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
炭化水素重合体の構成単位中の1,2-ブチレン基の比率は、重合体を13C-NMRにより分析し、上記の方法で上記数式(1)を用いて求め、イソブチレン基及び1,2-ブチレン基の合計比率は、重合体を13C-NMRにより分析し、上記の方法で上記数式(2)を用いて求めた。
炭化水素重合体中の1,2-付加体/1,4-付加体のモル比(ブタジエン由来の構造におけるモル比)は、重合体を13C-NMRにより分析し、上記数式(1)に使用した積分値Bの値及び積分値Cの値から、下記数式(3)により求めた。
1,2-付加体/1,4-付加体のモル比={100×積分値B×4/積分値C}/{100-(100×積分値B×4/積分値C)} (3)
<実施例1~23、比較例1~4>
撹拌装置、加熱冷却装置、温度計及び窒素導入管を備えた反応容器に、基油(鉱油[製品名:YUBASE4(SKルブリカンツ社製)]、100℃の動粘度:4.2mm/s、粘度指数:128)375重量部、表3~4に記載の単量体配合物125重量部、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)0.2重量部及び2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)0.13重量部を投入し、窒素置換(気相酸素濃度100ppm)を行った後、密閉下、撹拌しながら76℃に昇温し、同温度で4時間重合反応を行った。120~130℃に昇温後、同温度で減圧下(0.027~0.040MPa)未反応の単量体を2時間かけて除去し共重合体(A-1)~(A-23)及び(A’-1)~(A’-4)を得た。得られた共重合体(A-1)~(A-23)及び(A’-1)~(A’-4)を25重量%含有する粘度指数向上剤(R-1)~(R-23)及び(R’-1)~(R’-4)中の重合体(A-1)~(A-23)及び(A’-1)~(A’-4)のSP値を上記の方法で計算し、Mwを上記の方法で測定した。Mwの結果を表3~4に示す。
Figure 2022076449000007
Figure 2022076449000008
表3~4に記載の単量体(a)~(h)の組成は、以下に記載した通りである。
(a1-1):酢酸ビニル
(a1-2):ラウリン酸ビニル
(a1-3):ステアリン酸ビニル
(a2-1):ブチルビニルエーテル
(a3-1):フマル酸ジヘキシル
(a4-1):マレイン酸ジヘキシル
(a5-1):クロトン酸ヘキシル
(a6-1):2-n-ブトキシエチルアクリレート
(b-1):片末端1級水酸基水添ポリブタジエン[製品名:L-1203(クラレ社製)、1,2-ブチレンの比率=45モル%、イソブチレン及び1,2-ブチレンの合計比率=45モル%、1,2-付加体/1,4-付加体のモル比=45/55、Mn:7,000、SP値:8.3]のメタクリル酸エステル化物
(b-2):片末端1級水酸基水添ポリブタジエン[製品名:L-3203(クラレ社製)、1,2-ブチレンの比率=65モル%、イソブチレン及び1,2-ブチレンの合計比率=65モル%、1,2-付加体/1,4-付加体のモル比=65/35、Mn:7,000、SP値:8.3]のメタクリル酸エステル化物
(c-1):エトキシエチルメタクリレート
(c-2):2-n-ブトキシエチルメタクリレート
(d-1):メタクリル酸エチル
(d-2):メタクリル酸n-ブチル
(d’-1):メタクリル酸メチル
(e-1):SHELL社製NEODOL23のメタクリル酸エステル
(e-2):SHELL社製NEODOL45のメタクリル酸エステル
(e-3):メタクリル酸n-ヘキサデシル
(e-4):メタクリル酸n-オクタデシル
(e-5):メタクリル酸2-n-デシルテトラデシル
(e-6):メタクリル酸2-n-ドデシルヘキサデシル
(e-7):メタクリル酸2-n-テトラデシルオクタデシル
(f-1):N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート
(g-1):2-ヒドロキシエチルメタクリレート
(h-1):メタクリロイロキシエチルホスフェート
<実施例24~46及び比較例5~8:0W-20評価>
撹拌装置を備えたステンレス製容器に、基油(鉱油[製品名:YUBASE4(SKルブリカンツ社製)]、100℃の動粘度:4.2mm/s、粘度指数:128)90重量部とパッケージ添加剤(Infineum P5741)10重量部を投入し、得られる潤滑油組成物の150℃のHTHS粘度が2.60±0.05(mm/s)になるように、それぞれ粘度指数向上剤(R-1)~(R-23)又は(R’-1)~(R’-4)を添加し、潤滑油組成物(V-1)~(V-23)及び(V’-1)~(V’-4)を得た。
潤滑油組成物(V-1)~(V-23)及び(V’-1)~(V’-4)の剪断安定性、HTHS粘度(150℃、100℃)、動粘度(100℃、40℃)、粘度指数、低温粘度(-40℃)を以下の方法で測定した。結果を表5~6に示す。
Figure 2022076449000009
Figure 2022076449000010
<実施例47~69及び比較例9~12:0W-16評価>
撹拌装置を備えたステンレス製容器に、基油(鉱油[製品名:YUBASE4(SKルブリカンツ社製)]、100℃の動粘度:4.2mm/s、粘度指数:128)90重量部とパッケージ添加剤(Infineum P5741)10重量部を投入し、得られる潤滑油組成物の150℃のHTHS粘度が2.30±0.05(mm/s)になるように、それぞれ粘度指数向上剤(R-1)~(R-23)又は(R’-1)~(R’-4)を添加し、潤滑油組成物(V-24)~(V-46)及び(V’-5)~(V’-8)を得た。
潤滑油組成物(V-24)~(V-46)及び(V’-5)~(V’-8)の剪断安定性、HTHS粘度(150℃、100℃)、動粘度(100℃、40℃)、粘度指数、低温粘度(-40℃)を以下の方法で測定した。結果を表7~8に示す。
Figure 2022076449000011
Figure 2022076449000012
<潤滑油組成物のHTHS粘度の測定方法>
ASTM D 5481の方法により100℃及び150℃で測定した。100℃のHTHS粘度が低いほど、良好であることを意味する。
<潤滑油組成物の動粘度の測定方法及び粘度指数の計算方法>
ASTM D 445の方法で40℃と100℃の動粘度を測定し、ASTM D 2
270の方法で計算した。40℃での動粘度が低く、粘度指数の値が大きいほど粘度指数向上効果が高いことを意味する。
<潤滑油組成物の剪断安定性(BOSCH SSI)の測定方法及び計算方法>
ASTM D 6278の方法で測定し、ASTM D 6022の方法で計算した。値が小さいほど、剪断安定性が高いことを意味する。
<潤滑油組成物の低温粘度測定方法>
JPI-5S-42-2004の方法で-40℃での粘度を測定した。値が小さいほど、低温粘度が低いことを意味する。
表5~8の結果から、実施例24~69の本発明の粘度指数向上剤を含有する潤滑油組成物は、粘度指数が高く、40℃動粘度が低く、剪断安定性に優れており、さらに低温粘度も低く、極めて優れていることが分かる。特に、同じ単量体を用いて重量比率を変えた実施例1~13の粘度指数向上剤を用いた実施例24~36及び47~59から、重量比率(a/b)が0.5~2.5の範囲内であり、重量比率(a/c)が0.4~2.5の範囲内である実施例は、100℃のHTHS粘度が極めて低く(0W-20評価の場合は4.70mPa・s以下、0W-16評価の場合は4.30mPa・s以下)、粘度指数も極めて高く(0W-20評価の場合は260以上、0W-16評価の場合は230以上)なることが分かる。また、単量体(a)の種類を変更した以外は同じ実施例1及び14~20の粘度指数向上剤を用いた実施例24及び37~43と47及び60~66から、単量体(a)としてビニルエステル(a1)、(ジ)アルキルフマレート(a3)及び(ジ)アルキルマレエート(a4)からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いたものは、より粘度指数が高くなることがわかる。
一方、単量体(a)を用いていない比較例1の粘度指数向上剤を用いたもの(比較例5、9)単量体(b)を用いていない比較例2の粘度指数向上剤を用いたもの(比較例6、10)、重量比率(a/b)が0.05未満の粘度指数向上剤を用いたもの(比較例7、11)、重量比率(a/b)が4.0を超える粘度指数向上剤を用いたもの(比較例8、12)は、粘度指数が低く、40℃動粘度が高く、剪断安定性が悪く、低温粘度も高いことが分かる。
本発明の粘度指数向上剤は、粘度指数向上効果が高く、40℃動粘度の低減効果が高く、本発明の粘度指数向上剤を含有する潤滑油組成物は、粘度指数が高く、40℃動粘度が低く、剪断安定性に優れるので、本発明の粘度指数向上剤を含有する潤滑油組成物は、ギヤ油(デファレンシャル油及び工業用ギヤ油等)、MTF、変速機油[ATF、DCTF及びbelt-CVTF等]、トラクション油(トロイダル-CVTF等)、ショックアブソーバー油、パワーステアリング油、作動油(建設機械用作動油及び工業用作動油等)及びエンジン油(ガソリン用及びディーゼル用)に好適に用いられる。

Claims (7)

  1. 重合性炭素-炭素二重結合を有する単量体(a)及び下記一般式(1)で示されるポリオレフィン系単量体(b)を必須構成単量体とする共重合体(A)を含有する粘度指数向上剤であって、前記単量体(a)が、アシル基中に炭素数1~17のアルキル基を有するビニルエステル(a1)、炭素数1~10のアルキル基を有するビニルエーテル(a2)、炭素数1~10のアルキル基を有する(ジ)アルキルフマレート(a3)、炭素数1~10のアルキル基を有する(ジ)アルキルマレエート(a4)、アシル基中に炭素数1~10のアルキル基を有するクロトン酸エステル(a5)及び炭素数3~10のアルコキシアルキル基を有するアルコキシアルキルアクリレート(a6)からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、前記共重合体(A)を構成する単量体中の前記単量体(a)と前記単量体(b)との重量比率(a/b)が0.05~4.0である粘度指数向上剤。
    Figure 2022076449000013
    [一般式(1)においてRはメチル基;-X-は-O-、-O(AO)-又は-NH-で表される基であって、Aは炭素数2~4のアルキレン基であり、mは1~10の整数であり、mが2以上の場合のAは同一でも異なっていてもよい;Rは1,2-ブチレン基を構成単位として含む炭化水素重合体から水素原子を1つ除いた残基;qは0又は1の数。]
  2. 前記共重合体(A)が、下記一般式(2)で示される単量体(c)を構成単量体として含む請求項1に記載の粘度指数向上剤。
    Figure 2022076449000014
    [一般式(2)においてRはメチル基;-X-は-O-又は-NH-で表される基;Rは炭素数2~4のアルキレン基;tは1~20の整数であり、tが2以上の場合のRは同一でも異なっていてもよい;Rは炭素数1~8の直鎖又は分岐アルキル基。]
  3. 前記共重合体(A)を構成する単量体中の前記単量体(a)と前記単量体(c)との重量比率(a/c)が0.025~40である請求項2に記載の粘度指数向上剤。
  4. 前記共重合体(A)が、炭素数2~4のアルキル基を有する(メタ)アクリロイル単量体(d)及び/又は炭素数9~36の直鎖又は分岐アルキル基を有する(メタ)アクリロイル単量体(e)を構成単量体として含む共重合体である請求項1~3のいずれか1項に記載の粘度指数向上剤。
  5. 前記共重合体(A)が、構成単量体として(A)を構成する単量体の合計重量に基づいて前記単量体(a)を1~40重量%、前記単量体(b)を5~40重量%、前記単量体(c)を1~40重量%、前記(メタ)アクリロイル単量体(d)を25~75重量%、前記(メタ)アクリロイル単量体(e)を1~25重量%含有する請求項4に記載の粘度指数向上剤。
  6. 前記共重合体(A)の重量平均分子量が5,000~2,000,000である請求項1~5のいずれか1項に記載の粘度指数向上剤。
  7. 請求項1~6のいずれか1項に記載の粘度指数向上剤を含有してなる潤滑油組成物。
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