以下、遠隔操作システムの一実施形態について、図を参照しながら説明する。
<第1実施形態>
まず、遠隔操作システムの第1実施形態について説明する。第1実施形態では、操作対象となる電子機器が電子錠である。
図1に示すように、遠隔操作システム11は、放音装置12と、操作対象となる電子機器の一例である電子錠13とを備える。第1実施形態の遠隔操作システム11は、例えば、百貨店、ショッピングセンターなどの商業施設14で使用されるが、その他の建物、例えば一般家庭の住宅で使用されてもよい。商業施設14には、複数の扉15が設けられる。扉15は、例えば、非常口に繋がる扉であり、緊急時に使用される。
図1及び図2に示すように、放音装置12は、音響信号16を放音する装置である。第1実施形態の放音装置12は、商業施設14に設けられる。そのため、第1実施形態では、放音装置12は、商業施設14に音響信号16を放音する。音響信号16は、放音装置12から出力される音である。音響信号16は、可聴域の周波数を含む音波である。そのため、音響信号16は、商業施設14を利用する利用客17に聞こえる。放音装置12のオペレーターは、例えば、商業施設14の管理者である。
放音装置12は、放音制御部21と、放音部22とを有する。
放音制御部21は、放音装置12が有する制御部である。放音制御部21は、放音装置12を制御する。放音制御部21は、放音部22と接続される。
放音制御部21は、α:コンピュータープログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサー、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路等の1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはγ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる媒体を含む。
放音制御部21は、複数の音響信号16を記憶する。複数の音響信号16には、音声アナウンス、音楽などが含まれる。放音制御部21は、自身が記憶する複数の音響信号16から一の音響信号16を選択する。放音制御部21は、選択した音響信号16を放音部22に放音させる。
放音制御部21は、1又は複数の音響信号16で構成される放音テーブルを記憶している。放音制御部21は、例えば、表1に示す放音テーブルを記憶している。
表1に示す放音テーブルには、音響信号16として第1音響信号と第2音響信号とが格納されている。第1音響信号は、例えば、BGMである。BGMとは、バックグラウンドミュージックである。第2音響信号は、緊急時に放音される緊急アナウンスである。放音テーブルには、音響信号16として第3音響信号が格納されていてもよいし、第4音響信号が格納されていてもよい。音響信号16は、BGM及び緊急アナウンスに限らず、商業施設14を案内するための案内アナウンスでもよい。
放音制御部21は、例えば、平常時に、第1音響信号を放音部22から放音させる。放音制御部21は、例えば、地震、火災などの災害が発生した緊急時に、第2音響信号を放音部22から放音させる。第1実施形態では、第2音響信号は、利用客17に避難を促すアナウンスである。放音制御部21は、例えば、所定の時間に、音響信号16を放音部22から放音させてもよい。
放音制御部21は、例えば、ネットワークを介して接続されるサーバーに記憶される放音テーブルから音響信号16を読み出してもよい。この場合、放音制御部21は、読み出した音響信号16を放音部22から放音させる。
音響信号16には、埋込情報が埋め込まれている。埋込情報は、音声透かしによって音響信号16に埋め込まれている。埋込情報は、例えば、エコー拡散法によって音響信号16に埋め込まれるが、スペクトラム拡散法によって埋め込まれてもよい。
埋込情報は、例えば、識別情報を含む。識別情報は、電子錠13が音響信号16を識別するための情報である。
第1音響信号に埋め込まれている埋込情報は、第1埋込情報である。第1埋込情報が含む識別情報は、第1識別情報である。第2音響信号に埋め込まれている埋込情報は、第2埋込情報である。第2埋込情報が含む識別情報は、第2識別情報である。第1識別情報と第2識別情報とは、互いに異なる情報である。そのため、第1埋込情報と第2埋込情報とは、互いに異なる情報である。
第1実施形態の放音制御部21は、予め設定された放音テーブルを記憶しているが、別途放音テーブルを生成してもよい。この場合、放音制御部21は、音響信号16を生成する。詳しくは、放音装置12のオペレーターが、放音制御部21に指示を与えることによって、音響信号16を生成する。
放音制御部21は、原音信号に埋込情報を埋め込むことによって、音響信号16を生成する。例えば、放音制御部21は、音源から切り出したり、録音したりすることによって、原音信号を生成する。放音制御部21は、例えば、ネットワークを通じて原音信号を取得してもよい。原音信号は、BGM、アナウンスなどである。
放音制御部21は、生成した原音信号に、予め記憶している埋込情報を埋め込む。詳しくは、放音装置12のオペレーターが、放音制御部21に指示を与えることによって、原音信号に埋込情報を埋め込む。放音制御部21は、例えば、埋込情報を符号化するエンコードを実行し、符号化された埋込情報を原音信号に埋め込む。放音制御部21は、例えば、エコー拡散法によって原音信号に埋込情報を埋め込む。放音制御部21には、例えば、原音信号に埋込情報を埋め込むための埋込アプリケーションがインストールされている。放音制御部21は、埋込アプリケーションを実行することによって、原音信号に埋込情報を埋め込む。このようにして、放音制御部21は、音響信号16を生成する。この点で、放音制御部21は、音響信号16を生成する生成部23として機能する。すなわち、放音装置12は、生成部23を有する。
放音制御部21は、生成部23によって生成された1又は複数の音響信号16を所定の記憶領域に格納することによって、放音テーブルを生成する。放音制御部21は、放音テーブルから選択した音響信号16を放音部22から放音させてもよいし、生成部23によって放音された音響信号16を放音部22からその都度放音させてもよい。
放音部22は、遠隔操作システム11において、1又は複数設けられる。第1実施形態では、放音部22は、複数設けられる。放音部22は、例えば、商業施設14において複数のフロアに設けられる。放音部22は、例えば、スピーカーである。
放音部22は、放音制御部21と接続される。放音部22は、放音制御部21が選択した音響信号16を放音する。放音部22は、商業施設14内に向けて音響信号16を放音する。
電子錠13は、扉15を施錠する鍵である。電子錠13は、扉15に設けられる。電子錠13は、扉15ごとに設けられる。そのため、第1実施形態では、電子錠13は、複数設けられる。第1実施形態では、電子錠13は、第1電子錠24と、第2電子錠25とを含む。第1実施形態では、第1電子錠24と第2電子錠25とは、同一の構成を有する。そのため、本明細書では、第1電子錠24と第2電子錠25とを区別しない場合、単に電子錠13と表記する。
電子錠13は、電力によって施錠及び解錠される。そのため、電子錠13は、電池を内蔵する、又は電線と接続される。これにより、電子錠13に電力が供給される。電子錠13が施錠されると、扉15が施錠される。電子錠13が解錠されると、扉15が解錠される。
電子錠13は、収音部26と、機器制御部27とを有する。第1実施形態の電子錠13は、収音部26と、機器制御部27とを内蔵する。
収音部26は、例えば、マイクロホンである。収音部26は、機器制御部27と接続される。収音部26は、音響信号16を収音する。すなわち、収音部26には、放音部22から出力される音響信号16が入力される。収音部26は、収音した音響信号16を機器制御部27に送信する。このように、遠隔操作システム11では、音響通信によって、放音装置12から電子機器である電子錠13に情報が伝達される。
機器制御部27は、電子機器である電子錠13が有する制御部である。機器制御部27は、電子錠13を制御する。機器制御部27は、放音制御部21と同様に、α:コンピュータープログラムに従って各種処理を実行する1つ以上のプロセッサー、β:各種処理のうち少なくとも一部の処理を実行する、特定用途向け集積回路等の1つ以上の専用のハードウェア回路、或いはγ:それらの組み合わせ、を含む回路として構成し得る。プロセッサーは、CPU並びに、RAM及びROM等のメモリーを含み、メモリーは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコードまたは指令を格納している。メモリーすなわちコンピューター可読媒体は、汎用または専用のコンピューターでアクセスできるあらゆる媒体を含む。
機器制御部27は、収音部26が収音した音響信号16から埋込情報を抽出する。機器制御部27は、音響信号16をデコードすることによって埋込情報を抽出する。機器制御部27には、例えば、音響信号16を復号するための復号アプリケーションがインストールされている。機器制御部27は、復号アプリケーションを実行することによって、音響信号16から埋込情報を抽出する。機器制御部27は、抽出した埋込情報と対応する動作を実行する。具体的には、機器制御部27は、抽出した埋込情報に含まれる識別情報と対応する動作を実行する。
機器制御部27は、埋込情報と対応する動作パターンを記憶している。第1実施形態では、機器制御部27は、識別情報と対応する動作パターンを記憶している。第1実施形態の機器制御部27は、例えば、複数の動作パターンを記憶している。機器制御部27は、音響信号16から抽出した埋込情報に含まれる識別情報と対応する動作パターンを実行する。
機器制御部27は、埋込情報と動作パターンとが関連付いたデータである動作テーブルを記憶している。第1実施形態では、機器制御部27は、識別情報と動作パターンとが関連付いたデータである動作テーブルを記憶している。第1実施形態の機器制御部27は、表2に示す動作テーブルを記憶している。
表2に示す動作テーブルにおいて、扉15の施錠又は解錠を示す動作パターンと識別情報とが関連付いている。例えば、第1識別情報には、動作パターンとして施錠動作が関連付いている。例えば、第2識別情報には、動作パターンとして解錠動作が関連付いている。施錠動作は、施錠する動作を示す動作パターンである。解錠動作は、解錠する動作を示す動作パターンである。
第1識別情報と第2識別情報とは、互いに異なる情報である。そのため、機器制御部27は、識別情報によって、音響信号16を識別できる。すなわち、機器制御部27は、受信する音響信号16の種類によって、異なる動作パターンを実行できる。
機器制御部27は、音響信号16から識別情報を抽出した場合に、動作テーブルを参照することによって、抽出した識別情報と対応する動作パターンを実行する。詳しくは、機器制御部27は、抽出した識別情報と対応する動作パターンを動作テーブルから選択する。機器制御部27は、選択した動作パターンを実行する。
第1実施形態では、機器制御部27は、収音部26が第1音響信号を収音すると、施錠動作を実行する。機器制御部27は、施錠動作を実行することによって、扉15を施錠する。機器制御部27は、収音部26が第2音響信号を収音すると、解錠動作を実行する。機器制御部27は、解錠動作を実行することによって、扉15を解錠する。
まとめると、機器制御部27は、音響信号16から抽出した識別情報に基づいて、施錠又は解錠する。機器制御部27は、音響信号16から抽出した識別情報が第1識別情報である場合に施錠する。機器制御部27は、音響信号16から抽出した識別情報が第2識別情報である場合に解錠する。
第1実施形態では、放音装置12から第1音響信号が放送されると、電子錠13が一斉に施錠される。例えば、商業施設14から最終退出者が退出する場合に、放音装置12が第1音響信号を放送する。こうすると、電子錠13が一斉に施錠されるため、施錠忘れを防止できる。これにより、商業施設14のセキュリティを向上できる。
第1実施形態では、放音装置12から第2音響信号が放送されると、電子錠13が一斉に解錠される。例えば、地震、火災などの災害が発生した緊急時に、放音装置12は、緊急アナウンスとして第2音響信号を放送する。こうすると、利用客17に避難を促しつつ、電子錠13が一斉に解錠される。そのため、利用客17を速やかに避難させることができる。また、電子錠13が一斉に解錠されることによって、救急隊、消防隊などが商業施設14に速やかに進入できる。
こうした災害が発生した場合、信号線の切断、ノイズなどによって、電気通信が途切れる、すなわちネットワークが途切れることが考えられる。この点、音響通信であれば、ネットワークが途切れたとしても、すなわちオフラインの状態でも、電子錠13を遠隔操作できる。また、ネットワークを構成する電気通信回線を用意できない環境であっても、電子錠13を遠隔操作できる。すなわち、遠隔操作システム11は、スタンドアローンの電子機器を遠隔操作できる。
次に、電子錠13の動作について、一連の流れを説明する。
機器制御部27は、収音部26が音響信号16を受信すると、図3に示す一連の処理を実行する。図3に示す一連の処理は、収音した音響信号16に対応する動作を機器制御部27が実行する処理である。
図3に示すように、機器制御部27は、ステップS11において、収音部26によって収音した音響信号16から埋込情報を抽出する。これにより、音響信号16から識別情報が抽出される。
機器制御部27は、ステップS12において、埋込情報の抽出に成功したか否かを判定する。このとき、機器制御部27は、例えば、抽出した埋込情報に含まれる識別情報と動作テーブルとを照合する。抽出した埋込情報に含まれる識別情報が動作テーブルにある場合、機器制御部27は、埋込情報の抽出に成功したとして、ステップS13に処理を移行する。一方、抽出した埋込情報に含まれる識別情報と対応する動作パターンが動作テーブルにない場合、又は埋込情報が抽出できなかった場合には、機器制御部27は、埋込情報の抽出に失敗したとして図3に示す一連の処理を終了する。
次に、機器制御部27は、ステップS13において、動作テーブルにおいて、抽出した埋込情報と対応する動作パターンを実行する。詳しくは、機器制御部27は、抽出した埋込情報に含まれる識別情報と対応する動作パターンを選択する。機器制御部27は、選択した動作パターンを実行する。施錠動作を実行する場合、機器制御部27は、電子錠13を施錠する。解錠動作を実行する場合、機器制御部27は、電子錠13を解錠する。機器制御部27は、ステップS13の処理を終えると、動作処理を終了する。
第1実施形態の作用及び効果について説明する。
(1-1)機器制御部27は、音響信号16から抽出した埋込情報と対応する動作を実行する。
音響信号16による音響通信によって、放音装置12から電子機器である電子錠13に埋込情報が伝達される。これにより、スタンドアローンの電子機器である電子錠13を遠隔操作できる。第1実施形態では、識別情報が埋め込まれた音響信号16を放音することによって、電子錠13を施錠又は解錠させることができる。
<第2実施形態>
次に、遠隔操作システムの第2実施形態について説明する。第2実施形態では、操作対象となる電子機器がPTZカメラである。
図4に示すように、遠隔操作システム31は、放音装置32と、スタンドアローンの電子機器であるPTZカメラ33とを備える。遠隔操作システム31は、例えば、学校の運動会、スポーツの競技大会などで活用されるが、これに限らない。遠隔操作システム31は、例えば、競技が行われる会場34に設置される。
放音装置32は、第1実施形態の放音装置12と同様の構成である。すなわち、放音装置32は、放音部35と、放音制御部36とを有する。放音部35は、例えば、会場34全体に音が届くように、埋込情報が埋め込まれた音響信号37を放音する。放音制御部36は、生成部38を有する。放音部35及び放音制御部36の詳細な構成は第1実施形態と同様であるため、第2実施形態ではその詳しい説明を省略する。
PTZカメラ33は、いわゆるパンチルトズームカメラのことであり、レンズを移動させることによって、撮影する領域を自由自在に設定できるカメラである。PTZカメラ33は、放音装置32を通じて遠隔操作される。
PTZカメラ33は、例えば、会場34を見渡せるような位置に設けられる。したがって、PTZカメラ33は、会場34の様々な箇所を撮影できる。
PTZカメラ33は、電力によって稼働する。そのため、PTZカメラ33は、電池を内蔵する、又は電線と接続される。これにより、PTZカメラ33に電力が供給される。
PTZカメラ33は、第1実施形態の電子錠13と同様に、収音部41と、機器制御部42とを有する。収音部41は、第1実施形態の収音部26と同様に、例えばマイクロホンである。機器制御部42は、第1実施形態の機器制御部27と同様の構成であって、PTZカメラ33を統括的に制御する。
機器制御部42は、第1実施形態の機器制御部27と同様に、識別情報と動作パターンとが関連付いたデータである動作テーブルを記憶している。機器制御部42は、例えば、表3に示す動作テーブルを記憶している。
表3に示す動作テーブルにおいて、予め定められた撮影動作を示す動作パターンと識別情報とが関連付いている。例えば、第1識別情報には、動作パターンとして第1撮影動作が関連付いている。例えば、第2識別情報には、動作パターンとして第2撮影動作が関連付いている。第1撮影動作は、例えば、会場34の第1競技領域43を所定の倍率で撮影する動作である。第2撮影動作は、例えば、会場34の第2競技領域44を所定の倍率で撮影する動作である。
動作パターンは、PTZカメラ33が静止した状態で撮影する動作に限らず、PTZカメラ33が動きながら撮影する動作であってもよいし、倍率を変化させながら撮影する動作であってもよい。また、所定時間ごとに、予め定められた領域を順番に撮影する動作であってもよい。動作テーブルに格納される動作パターンは、2つに限らず、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
機器制御部42は、収音部41が第1音響信号を収音すると、第1音響信号から第1埋込情報を抽出する。機器制御部42は、第1埋込情報に含まれる第1識別情報と対応する第1撮影動作を実行する。機器制御部42は、第1撮影動作を実行することによって、第1競技領域43を撮影する。
機器制御部42は、収音部41が第2音響信号を収音すると、第2音響信号から第2埋込情報を抽出する。機器制御部42は、第2埋込情報に含まれる第2識別情報と対応する第2撮影動作を実行する。機器制御部42は、第2撮影動作を実行することによって、第2競技領域44を撮影する。
例えば、放音装置12のオペレーターは、第1競技領域43で競技が開始されるタイミングで、第1音響信号を放音部35から放音させる。第1音響信号は、競技開始のアナウンスであってもよいし、競技に合わせた音楽であってもよい。これにより、オペレーターは、競技が行われている第1競技領域43をPTZカメラ33が撮影するように、PTZカメラ33を遠隔操作できる。
例えば、放音装置12のオペレーターは、第2競技領域44で競技が開始されるタイミングで、第2音響信号を放音部35から放音させる。第2音響信号は、競技開始のアナウンスであってもよいし、競技に合わせた音楽であってもよい。これにより、オペレーターは、競技が行われている第2競技領域44をPTZカメラ33が撮影するように、PTZカメラ33を遠隔操作できる。
このように、放音装置32を制御することに伴い、PTZカメラ33が操作されるため、オペレーターの負担が軽減される。ネットワークを構成する電気通信回線を用意することが難しい環境であっても、音響通信によってPTZカメラ33を遠隔操作できる。すなわち、スタンドアローンのPTZカメラ33であっても遠隔操作できる。
第2実施形態の作用及び効果について説明する。
(2-1)機器制御部42は、音響信号37から抽出した埋込情報と対応する動作を実行する。
音響信号37による音響通信によって、放音装置32から電子機器であるPTZカメラ33に埋込情報が伝達される。これにより、スタンドアローンの電子機器であるPTZカメラ33を遠隔操作できる。第2実施形態では、識別情報が埋め込まれた音響信号37を放音することによって、PTZカメラ33に所定の領域を撮影させることができる。
<第3実施形態>
次に、遠隔操作システムの第3実施形態について説明する。第3実施形態では、操作対象となる電子機器がパトランプである。
図5に示すように、遠隔操作システム51は、放音装置52と、スタンドアローンの電子機器であるパトランプ53とを備える。遠隔操作システム51は、例えば、防災無線に活用されるが、これに限らない。
放音装置52は、第1実施形態の放音装置12と同様の構成である。すなわち、放音装置52は、放音部54と、放音制御部55とを有する。放音部54は、例えば、防災放送として、埋込情報が埋め込まれた音響信号56を放音する。音響信号56は、例えば、降雨量、河川の増水状況などに応じて住民に注意喚起を促すアナウンスである。放音制御部55は、生成部57を有する。放音部54及び放音制御部55の詳細な構成は第1実施形態と同様であるため、第3実施形態ではその詳しい構成を省略する。
パトランプ53は、例えば、堤防58に設置される。パトランプ53は、電力によって稼働する。そのため、パトランプ53は、電池を内蔵する、又は電線と接続される。これにより、パトランプ53に電力が供給される。
パトランプ53は、例えば、発光することによって、降雨量、河川の増水状況などに応じた危険度を住民に知らせる。パトランプ53は、例えば、その回転速度によって、危険度の大きさを住民に知らせる。例えば、パトランプ53の回転速度が速いほど、危険度が大きい。危険度は、例えば、警戒レベルである。
パトランプ53は、第1実施形態の電子錠13と同様に、収音部61と、機器制御部62とを有する。収音部61は、第1実施形態の収音部61と同様に、例えばマイクロホンである。機器制御部62は、第1実施形態の機器制御部62と同様の構成であって、パトランプ53を統括的に制御する。
機器制御部62は、第1実施形態の機器制御部62と同様に、識別情報と動作パターンとが関連付いたデータである動作テーブルを記憶している。機器制御部62は、例えば、表4に示す動作テーブルを記憶している。
表4に示す動作テーブルにおいて、予め定められた撮影動作を示す動作パターンと識別情報とが関連付いている。例えば、第1識別情報には、動作パターンとして第1発光動作が関連付いている。例えば、第2識別情報には、動作パターンとして第2撮影動作が関連付いている。第1発光動作は、例えば、パトランプ53が第1速度で回転しながら発光する動作である。第1発光動作は、例えば、第2発光動作は、例えば、パトランプ53が第1速度よりも速い速度である第2速度で回転しながら発光する動作である。
動作パターンは、パトランプ53が回転しながら発光する動作に限らず、パトランプ53が点滅する動作であってもよいし、発光強度が変化する動作であってもよい。動作テーブルに格納される動作パターンは、2つに限らず、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
機器制御部62は、収音部61が第1音響信号を収音すると、第1音響信号から第1埋込情報を抽出する。機器制御部62は、第1埋込情報に含まれる第1識別情報と対応する第1発光動作を実行する。機器制御部62は、第1発光動作を実行することによって、第1発光動作に対応する危険度を住民に知らせる。
機器制御部62は、収音部61が第2音響信号を収音すると、第2音響信号から第2埋込情報を抽出する。機器制御部62は、第2埋込情報に含まれる第2識別情報と対応する第2発光動作を実行する。機器制御部62は、第2発光動作を実行することによって、第2発光動作に対応する危険度を住民に知らせる。
例えば、放音装置52のオペレーターは、降雨量、河川の増水状況などに応じて、その危険度を住民に知らせるアナウンスとして音響信号56を放音部54から放音させる。音響信号56が放音されると、その音響信号56に対応する動作パターンでパトランプ53が動作する。このようにして、パトランプ53が遠隔操作される。堤防58のように、ネットワークを構成する電気通信回線の用意が難しい環境であっても、音響通信によってパトランプ53を遠隔操作できる。すなわち、スタンドアローンのパトランプ53であっても遠隔操作できる。
第3実施形態の作用及び効果について説明する。
(3-1)機器制御部62は、音響信号56から抽出した埋込情報と対応する動作を実行する。
音響信号56による音響通信によって、放音装置52から電子機器であるパトランプ53に埋込情報が伝達される。これにより、スタンドアローンの電子機器であるパトランプ53を遠隔操作できる。第3実施形態では、識別情報が埋め込まれた音響信号56を放音することによって、パトランプ53を発光及び回転させることができる。
<第4実施形態>
次に、遠隔操作システムの第4実施形態について説明する。第4実施形態では、埋込情報に認証情報が含まれる点で、その他の実施形態と異なる。埋込情報は、認証情報に加えて、識別情報を含んでいてもよい。そのため、第4実施形態は、第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態に適用できる。第4実施形態では、埋込情報は、識別情報を含んでいない。
図6に示すように、遠隔操作システム71は、放音装置72と、スタンドアローンの電子機器73とを備える。放音装置72は、放音部74と、第1時刻計測部75と、放音制御部76とを有する。
放音部74は、認証情報が埋め込まれた音響信号77を放音する。認証情報は、音響信号77の真正性を確認するための情報である。すなわち、認証情報は、収音した音響信号77が放音装置72から放音された信号であるかを電子機器73が確認するための情報である。認証情報によって、電子機器73のセキュリティが向上する。
第1時刻計測部75は、放音装置72が有する時刻計測部である。第1時刻計測部75は、現在の時刻を計測するように構成される。第1時刻計測部75は、例えば、リアルタイムクロックである。第1時刻計測部75は、例えば、現在の時刻を1分単位で計測する。すなわち、第1時刻計測部75が計測する単位時間は、1分である。第1時刻計測部75は、現在の時刻を5分単位で計測してもよいし、30秒単位で計測してもよい。第1時刻計測部75が計測する単位時間は、任意である。
第1時刻計測部75は、現在の時刻を示す時刻情報である第1時刻情報78を保持する。そのため、第4実施形態では、第1時刻情報78は、1分ごとに更新される。第1時刻情報78は、例えば、32bitであらわされる。
放音制御部76は、生成部79と生成カウンター80とを有する。放音制御部76は、所定のプログラムを実行することによって、生成部79として機能する。放音制御部76は、所定のプログラムを実行することによって、生成カウンター80として機能する。
生成部79は、放音部74が音響信号77を放音する場合に、音響信号77をその都度生成する。放音部74は、生成された音響信号77を放音する。生成部79は、原音信号に埋込情報として認証情報を埋め込むことによって音響信号77を生成する。埋込情報が識別情報を含む場合、生成部79は、原音信号に識別情報と認証情報とを埋め込むことによって音響信号77を生成してもよいし、原音信号に識別情報が予め埋め込まれた信号に認証情報を埋め込むことによって音響信号77を生成してもよい。
音響信号77に埋め込まれる埋込情報のデータ量は、例えば、32bitである。その理由は、音声透かしによって安定的に埋め込むことができるデータ量がおおよそ32bitであるためであるが、埋込情報のデータ量は32bitに限らない。第4実施形態では、埋込情報が認証情報のみであるため、認証情報のデータ量が32bitである。埋込情報が識別情報を含む場合、識別情報と認証情報との合計データ量が32bitである。
生成カウンター80は、音響信号77を生成した回数をカウントする。生成カウンター80は、音響信号77を生成した回数を示す生成カウント情報81を保持する。生成カウント情報81は、例えば、4bitであらわされる。生成カウント情報81は、認証情報として使用されてもよい。この場合、認証情報は、生成カウント情報81を含む。
生成カウンター80は、所定のタイミングで生成カウント情報81をリセットする。生成カウント情報81は、例えば、第1時刻計測部75が保持する第1時刻情報78が更新されることに伴いリセットされる。そのため、生成カウンター80は、例えば、1分ごとに生成カウント情報81をリセットする。
放音制御部76は、データとして、第1固有情報82と、第1ハッシュ関数83と、第1ハッシュ値84とを記憶している。
第1固有情報82は、放音装置72が保有する固有の情報である。第1固有情報82は、例えば、予め放音制御部76に記憶される固有キーである。第1固有情報82は、予め割り当てられた乱数でもよい。第1固有情報82は、例えば、32bitであらわされる。
第1ハッシュ関数83は、ハッシュ値を形成するために使用される関数である。第4実施形態では、第1ハッシュ関数83は、データ量を削減するために使用される。第1ハッシュ関数83は、入力された情報を不可逆変換する。第1ハッシュ関数83は、例えば、所定の情報が入力されることによって、その所定の情報に基づく第1ハッシュ値84を出力する。第4実施形態では、第1ハッシュ関数83は、第1固有情報82と第1時刻情報78とが入力されることによって、第1固有情報82と第1時刻情報78とに基づく第1ハッシュ値84を出力する。
第1ハッシュ値84は、第1ハッシュ関数83に第1固有情報82を入力することによって得られた値でもよいし、第1ハッシュ関数83に第1時刻情報78を入力することによって得られた値でもよい。第1ハッシュ値84は、認証情報として使用されてもよい。この場合、認証情報は、第1ハッシュ値84を含む。第4実施形態では、第1ハッシュ値84と生成カウント情報81とが、認証情報として使用される。
放音制御部76は、第1時刻情報78が更新されるたびに、第1ハッシュ値84を出力する。すなわち、放音制御部76は、第1時刻情報78が更新されるたびに、第1ハッシュ関数83に第1固有情報82と第1時刻情報78とを入力し、第1ハッシュ値84を更新する。そのため、放音制御部76は、更新後の最新の第1ハッシュ値84を記憶する。
第1固有情報82と第1時刻情報78とは、それぞれ32bitであらわされる。そのため、第1ハッシュ関数83は、64bitのデータに基づいて64bitよりも小さいデータ量となる第1ハッシュ値84を出力する。第1ハッシュ値84は、例えば、28bitであらわされる。生成カウント情報81が認証情報として使用されない場合、第1ハッシュ値84は、32bitであらわされてもよい。
放音制御部76は、例えば、放音部74に音響信号77を放音させる場合に、図7に示す一連の処理を開始する。放音制御部76は、例えば、オペレーターの指示に基づいて、放音部74に音響信号77を放音させる。
図7に示すように、放音制御部76は、ステップS21において、第1ハッシュ値84を取得する。このとき、取得した第1ハッシュ値84の生成に使用された第1時刻情報78は、ステップS21の処理時における第1時刻情報78であり、生成時刻情報である。生成時刻情報は、生成部79が音響信号77を生成するときの時刻を示す時刻情報である。放音制御部76は、第1固有情報82及び生成時刻情報に基づく第1ハッシュ値84を取得する。
放音制御部76は、ステップS22において、生成カウンター80から生成カウント情報81を取得する。
放音制御部76は、ステップS23において、認証情報を生成する。このとき、放音制御部76は、第1ハッシュ値84と生成カウント情報81とを合わせる。第4実施形態では、第1ハッシュ値84は28bitであらわされ、生成カウント情報81は4bitであらわされるため、認証情報は32bitであらわされる。
放音制御部76は、ステップS24において、生成部79によって音響信号77を生成する。このとき、放音制御部76は、原音信号に認証情報を埋め込むことによって音響信号77を生成する。
放音制御部76は、ステップS25において、生成した音響信号77を放音部74から放音する。
放音制御部76は、ステップS26において、生成カウント情報81をインクリメントする。すなわち、生成カウンター80は、生成カウント情報81が示す回数を1だけカウントアップする。
放音制御部76は、ステップS26の処理を終えると、図7に示す一連の処理を終了する。
図6に示すように、電子機器73は、収音部86と、第2時刻計測部87と、機器制御部88とを有する。電子機器73は、例えば、第1実施形態の電子錠13、第2実施形態のPTZカメラ33、第3実施形態のパトランプ53などである。
収音部86は、第1実施形態、第2実施形態及び第3実施形態と同様に、例えばマイクロホンである。
第2時刻計測部87は、電子機器73が有する時刻計測部である。第2時刻計測部87は、放音装置72が有する第1時刻計測部75と同様の構成である。第2時刻計測部87は、現在の時刻を計測するように構成され、例えば、リアルタイムクロックである。第2時刻計測部87が計測する単位時間は、第1時刻計測部75が計測する単位時間と同じである。そのため、第2時刻計測部87は、第1時刻計測部75と同様に、現在の時刻を1分単位で計測する。
第2時刻計測部87は、現在の時刻を示す時刻情報である第2時刻情報89を保持する。第2時刻情報89は、第1時刻情報78と同様に、例えば32bitであらわされる。第2時刻計測部87は、第1時刻計測部75と同じ時間を刻む。そのため、第2時刻情報89は、第1時刻情報78と同じ情報である。
機器制御部88は、電子機器73を統括的に制御する。機器制御部88は、データとして、第2固有情報90と、第2ハッシュ関数91と、第2ハッシュ値92とを記憶している。
第2固有情報90は、電子機器73が保有する固有の情報である。第2固有情報90は、例えば、予め機器制御部88に記憶される固有キーである。第2固有情報90と第1固有情報82とは、同一の情報である。そのため、第1固有情報82及び第2固有情報90は、放音装置72と電子機器73との対応関係を示すデータであるともいえる。第2固有情報90は、第1固有情報82と同じ情報であるため、32bitであらわされる。
第2ハッシュ関数91は、第1ハッシュ関数83と同様に、入力された情報を不可逆変換する。第2ハッシュ関数91は、例えば、所定の情報が入力されることによって、その所定の情報に基づく第2ハッシュ値92を出力する。
第2ハッシュ関数91は、第1ハッシュ関数83と同じ関数である。そのため、第1ハッシュ関数83に入力される情報と同じ情報が第2ハッシュ関数91に入力されると、第2ハッシュ関数91は、第1ハッシュ関数83と同じ値を出力する。この場合、第2ハッシュ値92は、第1ハッシュ値84と同じ値となる。第2ハッシュ値92は、32bitであらわされる。
機器制御部88は、第1ハッシュ関数83に入力される情報と同種の情報を第2ハッシュ関数91に入力する。すなわち、例えば、第1ハッシュ関数83に第1固有情報82が入力される場合、機器制御部88は、第2ハッシュ関数91に第2固有情報90を入力する。例えば、第1ハッシュ関数83に第1時刻情報78が入力される場合、機器制御部88は、第2ハッシュ関数91に第2時刻情報89を入力する。第4実施形態では、第1ハッシュ関数83に第1固有情報82及び第1時刻情報78が入力されるため、機器制御部88は、第2ハッシュ関数91に第2固有情報90及び第2時刻情報89を入力する。そのため、第2ハッシュ値92は、第2固有情報90及び第2時刻情報89に基づく値である。
機器制御部88は、第2時刻情報89が更新されるたびに、第2ハッシュ値92を生成する。すなわち、機器制御部88は、1分ごとに、第2ハッシュ関数91に第2固有情報90と第2時刻情報89とを入力し、第2ハッシュ値92を更新する。機器制御部88は、更新後の最新の第2ハッシュ値92を記憶する。
機器制御部88は、第2ハッシュ値92を複数保持してもよい。例えば、機器制御部88は、現在の第2ハッシュ値92と前回の第2ハッシュ値92とを保持してもよい。この場合、第2時刻情報89が更新されると、機器制御部88は、保持していた前回の第2ハッシュ値92を、新たに生成した第2ハッシュ値92に更新する。現在の第2ハッシュ値92、及び、前回の第2ハッシュ値92は、照合情報として使用されてもよい。この場合、照合情報は、複数の第2ハッシュ値92を含む。
照合情報は、音響信号77の真正性を確認するための情報である。照合情報は、例えば、32bitであらわされる。
機器制御部88は、収音部86が収音した音響信号77から認証情報を抽出する。機器制御部88は、例えば、認証情報と照合情報とを照合することによって、音響信号77について認証を行う。機器制御部88は、認証が成立した場合に、埋込情報と対応する動作を実行する。
機器制御部88は、認証カウンター93を有する。機器制御部88は、所定のプログラムを実行することによって、認証カウンター93として機能する。
認証カウンター93は、認証が成立した回数をカウントする。認証カウンター93は、認証が成立した回数を示す認証カウント情報94を保持する。認証カウント情報は、生成カウント情報と同じbit数であらわされる。そのため、認証カウント情報は、例えば、4bitであらわされる。
認証カウンター93は、所定のタイミングで認証カウント情報94をリセットする。認証カウント情報94は、例えば、第2時刻情報89が更新されることに伴いリセットされる。そのため、認証カウンター93は、例えば、1分ごとに認証カウント情報94をリセットする。
認証カウント情報94は、照合情報として使用されてもよい。この場合、照合情報は、認証カウント情報94を含む。
照合情報は、認証情報と同種の情報を含む。例えば、認証情報が第1ハッシュ値84を含む場合、照合情報は、第2ハッシュ値92を含む。例えば、認証情報が生成カウント情報81を含む場合、照合情報は、認証カウント情報94を含む。第4実施形態では、照合情報が第1ハッシュ値84と生成カウント情報81とを含むため、照合情報は、第2ハッシュ値92と認証カウント情報94とを含む。
機器制御部88は、例えば、収音部86によって音響信号77を収音すると、図8に示す一連の処理を開始する。
図8に示すように、機器制御部88は、ステップS31において、収音した音響信号77から埋込情報を抽出する。このとき、機器制御部88は、第1実施形態の機器制御部27が識別情報を抽出するとき同様の手法によって、埋込情報を抽出する。これにより、音響信号77から認証情報が抽出される。
機器制御部88は、ステップS32において、第2ハッシュ値92を取得する。このとき、取得した第2ハッシュ値92の生成に使用された第2時刻情報89は、ステップS32の処理時における第2時刻情報89であり、収音時刻情報である。収音時刻情報は、音響信号77を収音した時刻を示す時刻情報である。機器制御部88は、ステップS32において、第2固有情報90及び収音時刻情報に基づく第2ハッシュ値92を取得する。この第2ハッシュ値92は、収音時の第2ハッシュ値92である。
機器制御部88は、ステップS33において、認証カウンター93から認証カウント情報94を取得する。
機器制御部88は、ステップS34において、照合情報を生成する。このとき、放音制御部76は、第2ハッシュ値92と認証カウント情報94とを合わせる。第4実施形態では、第2ハッシュ値92が28bitであらわされ、認証カウント情報94が4bitであらわされるため、照合情報は32bitであらわされる。
機器制御部88は、ステップS35において、認証情報と照合情報とを照合する。このとき、機器制御部88は、認証情報と照合情報とを照合することによって、音響信号77について認証を行う。具体的には、機器制御部88は、認証情報に含まれる第1ハッシュ値84と照合情報に含まれる第2ハッシュ値92とを照合する。さらに、機器制御部88は、認証情報に含まれる生成カウント情報81と照合情報に含まれる認証カウント情報94とを照合する。
機器制御部88は、ステップS36において、認証が成立するか否か判定する。第4実施形態では、第1ハッシュ値84と第2ハッシュ値92とが一致する場合、且つ、認証カウント情報94が示す回数よりも生成カウント情報81が示す回数が多い場合に、認証が成立する。これらの条件により、音響信号77が再利用された場合、認証が不成立となる。このように、機器制御部88は、ステップS36において、条件に基づいて、認証を成立させたり、認証を成立させなかったりする。
第1ハッシュ値84と第2ハッシュ値92とが一致する場合とは、第1ハッシュ関数83に入力される情報と第2ハッシュ関数91に入力される情報とが一致する場合である。すなわち、第1ハッシュ値84と第2ハッシュ値92とが一致する場合とは、第1固有情報82と第2固有情報90とが一致する場合、且つ、生成時刻情報と収音時刻情報とが一致する場合である。
第1固有情報82と第2固有情報90とが一致する場合とは、電子機器73が収音した音響信号77が、その電子機器73と対応する放音装置72が生成した信号である場合である。生成時刻情報と収音時刻情報とが一致する場合とは、電子機器73が収音した音響信号77が、その直近となる時刻に生成された信号である場合である。そのため、仮に、第三者が音響信号77を録音したとしても、録音した音響信号77に埋め込まれた認証情報に含まれる第1ハッシュ値84が、照合情報に含まれる第2ハッシュ値92と一致しない限り、認証が成立しない。このように、認証情報及び照合情報に基づく認証によって、例えば、第三者によって録音された音響信号77、すなわち再利用された音響信号77で電子機器73が操作されるおそれが低減される。すなわち、電子機器73のセキュリティが向上する。
遠隔操作システム71においては、放音装置72が音響信号77を生成してからその音響信号77を電子機器73が収音するまでの間で、タイムラグが生じる。このタイムラグによって、第1ハッシュ値84の生成に使用された生成時刻情報と、第2ハッシュ値92の生成に使用された収音時刻情報とが異なる場合がある。これにより、第1ハッシュ値84と第2ハッシュ値92とが一致しない場合がある。そのため、機器制御部88は、ステップS31で抽出した認証情報が含む第1ハッシュ値84と、ステップS34で生成した照合情報が含む今回の第2ハッシュ値92とが一致しない場合、その第1ハッシュ値84と自身が記憶する前回の第2ハッシュ値92とを照合する。これにより、タイムラグによって生成時刻情報と収音時刻情報がずれた場合でも、第1ハッシュ値84と第2ハッシュ値92とが一致する。
認証カウント情報が示す回数よりも生成カウント情報81が示す回数が多い場合とは、遠隔操作システム71が通常通りに使用されている場合である。例えば、放音装置72が初めて音響信号77を放音する場合、生成カウント情報81が示す回数は1回である。一方、電子機器73は、まだ認証が成立していないため、認証カウント情報94が示す回数は0回である。音響信号77が電子機器73に収音され、認証が成立すると、認証カウント情報94が示す回数が1回となる。このように、認証カウント情報94は、生成カウント情報81に対して遅れてカウントアップされる。そのため、通常、遠隔操作システム71を使用する場合、収音時において、生成カウント情報81が示す回数は、認証カウント情報94が示す回数よりも多くなる。
仮に、第三者が音響信号77を録音していた場合を考える。この場合、その音響信号77に埋め込まれた認証情報に含まれる生成カウント情報81が示す回数は1回である。音響信号77は電子機器73に収音されるため、電子機器73において認証が成立すると、認証カウント情報94が示す回数が1回となる。そのため、第三者が録音した音響信号77を先に音響信号77について認証を行った電子機器73に収音させても、生成カウント情報81が示す回数と認証カウント情報94が示す回数とが1回であるため、認証が成立しない。このように、認証情報及び照合情報に基づく認証によって、例えば、第三者によって録音された音響信号77、すなわち再利用された音響信号77で電子機器73が操作されるおそれが低減される。
機器制御部88は、ステップS36において、認証が成立した場合に、ステップS37に処理を移行する。機器制御部88は、ステップS36において、認証が成立しなかった場合、すなわち認証が不成立の場合に、図8に示す一連の処理を終了する。
機器制御部88は、ステップS37において、認証カウント情報94をインクリメントする。すなわち、認証カウンター93は、認証カウント情報94が示す回数を1だけカウントアップする。
機器制御部88は、ステップS38において、埋込情報と対応する動作を実行する。埋込情報が識別情報を含まない場合、埋込情報と対応する動作は、埋込情報に基づいて行われる認証の成立に対応して行われる動作を示す。埋込情報が識別情報を含む場合、埋込情報と対応する動作は、埋込情報に含まれる識別情報に対応して行われる動作を示す。第4実施形態の電子機器73は、認証が成立した場合に、所定の動作を実行するように構成されている。すなわち、電子機器73が特定の動作パターンのみを記憶する場合、埋込情報に識別情報が含まれていなくともよい。電子機器73が動作パターンを複数記憶している場合、埋込情報に識別情報が含まれている必要がある。機器制御部88は、ステップS38の処理を終えた後、図8に示す一連の処理を終了する。
次に、第4実施形態の作用及び効果について説明する。
(4-1)機器制御部88は、認証情報と照合情報とを照合することによって、認証を行う。
認証情報と照合情報とを照合することによって認証が行われるため、電子機器73のセキュリティが向上する。
(4-2)機器制御部88は、第1固有情報82に基づく第1ハッシュ値84と第2固有情報90に基づく第2ハッシュ値92とを照合することによって、認証を行う。
第1ハッシュ値84及び第2ハッシュ値92は、生成に使用された情報によって変化する。そのため、第1固有情報82と第2固有情報90とが一致しない限り、第1ハッシュ値84と第2ハッシュ値92とが一致しない。このように、第1ハッシュ値84と第2ハッシュ値92とを照合することによって認証が行われるため、電子機器73のセキュリティが向上する。
(4-3)機器制御部88は、生成時刻情報に基づく第1ハッシュ値84と収音時刻情報に基づく第2ハッシュ値92とを照合することによって、認証を行う。
第1ハッシュ値84及び第2ハッシュ値92は、生成に使用された情報によって変化する。そのため、生成時刻情報と収音時刻情報とが一致しない限り、第1ハッシュ値84と第2ハッシュ値92とが一致しない。これに対し、生成時刻情報及び収音時刻情報は、時刻の経過に伴い変化する情報である。そのため、第1ハッシュ値84及び第2ハッシュ値92は、時刻の経過に伴い変化する。このように、時刻の経過に伴い変化する第1ハッシュ値84と第2ハッシュ値92とを照合することによって認証を行うため、電子機器73のセキュリティが向上する。
(4-4)機器制御部88は、生成カウント情報81と認証カウント情報94とを照合することによって、認証を行う。機器制御部88は、生成カウント情報81が示す回数が、認証カウント情報94が示す回数よりも多い場合に、認証を成立させる。
放音装置72が音響信号77を生成し、放音した後に、電子機器73がその音響信号77を収音し、認証が行われる。そのため、遠隔操作システム71が通常使用される場合、収音時において、生成カウント情報81が示す回数は、認証カウント情報94が示す回数よりも多くなる。そのため、生成カウント情報81が示す回数が、認証カウント情報94が示す回数以下となる場合は、音響信号77が再利用されているおそれがある。上記構成によれば、音響信号77が再利用された場合には認証が成立しないため、電子機器73のセキュリティが向上する。
<その他の実施形態>
第1実施形態、第2実施形態、第3実施形態及び第4実施形態は、以下のように変更して実施することができる。第1実施形態から第4実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・第1実施形態において、第1電子錠24と、第2電子錠25とは、互いに異なる動作テーブルを記憶していてもよい。この変更例では、第1電子錠24は、表5に示す動作テーブルを記憶している。
表5に示す動作テーブルにおいては、第3識別情報に施錠動作が関連付いている。第4識別情報に施錠動作が関連付いている。第5識別情報に解錠動作が関連付いている。第6識別情報に解錠動作が関連付いている。一方、第2電子錠25は、表6に示す動作テーブルを記憶している。
表6に示す動作テーブルにおいては、第3識別情報に施錠動作が関連付いている。第4識別情報に解錠動作が関連付いている。第5識別情報に施錠動作が関連付いている。第6識別情報に解錠動作が関連付いている。
この変更例では、第3識別情報が埋め込まれた音響信号16が放音された場合、第1電子錠24と第2電子錠25とは施錠される。第4識別情報が埋め込まれた音響信号16が放音された場合、第1電子錠24は施錠される一方、第2電子錠25は解錠される。第5識別情報が埋め込まれた音響信号16が放送された場合、第1電子錠24は解錠される一方、第2電子錠25は施錠される。第6識別情報が埋め込まれた音響信号16が放送される場合、第1電子錠24と第2電子錠25とは解錠される。この変更例によれば、第1電子錠24と第2電子錠25とは異なる動作テーブルを記憶しているため、同じ音響信号16で、第1電子錠24と第2電子錠25とに異なる動作を実行させることができる。第1実施形態に限らず、第2実施形態及び第3実施形態でも同様である。
・第1実施形態において、収音部26は、電子錠13に内蔵されるマイクロホンであるが、外付けのマイクロホンであってもよい。例えば、収音部26は、扉15に設けられるインターホンでもよい。
・第1実施形態において、電子錠13は、鍵、カードキー、指紋、RFIDカード、セキュリティトークンなどの道具によって施錠又は解錠可能に構成されていてもよい。
・第1実施形態において、電子錠13は、キーコード、パスワードなどの秘密情報によって施錠又は解錠可能に構成されていてもよい。
・第1実施形態において、電子錠13は、音響信号16を収音することによって施錠のみを実行するように構成されてもよいし、音響信号16を受信することによって解錠のみを実行するように構成されてもよい。すなわち、機器制御部27は、施錠動作のみを記憶していてもよいし、解錠動作のみを記憶していてもよい。
・第1実施形態から第3実施形態において、動作テーブルに格納される動作パターンは、埋込情報が抽出された場合に即時動作を開始する動作パターンに限らず、例えば、所定時間後に動作を開始する動作パターンであってもよい。第1実施形態を例にすると、例えば、電子錠13は、埋込情報を抽出した10分後に解錠動作を開始する動作パターンを記憶していてもよい。
・第1実施形態から第3実施形態において、埋込情報に動作の開始タイミングを指定する情報が含まれていてもよい。これにより、電子機器を任意のタイミングで動作させることができる。したがって、電子機器の動作パターンの自由度が向上する。
・第4実施形態において、第1固有情報82を認証情報として使用し、第2固有情報90を照合情報として使用してもよい。この場合、機器制御部88は、第1固有情報82と第2固有情報90とを照合する。機器制御部88は、第1固有情報82と第2固有情報90とが一致する場合、認証を成立させる。
・第4実施形態において、生成時刻情報を認証情報として使用し、収音時刻情報を照合情報として使用してもよい。この場合、機器制御部88は、生成時刻情報と収音時刻情報とを照合する。機器制御部88は、生成時刻情報と収音時刻情報とが一致する場合、認証を成立させる。
・第4実施形態において、第1時刻情報78に代えて、別の情報を第1ハッシュ関数83に入力してもよい。電子機器73のセキュリティを向上させる観点では、第1ハッシュ関数83に入力される情報は、時刻を示す情報に限らず、一定の周期で変化する情報でもよい。第2ハッシュ関数91についても同様である。