以下、添付図面を参照しながら本開示での実施形態を詳細に説明する。図面の説明において同一または同等の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
[システムの概要]
実施形態に係る情報管理システム1は、ユーザの移動経路を示す経路データを管理するコンピュータシステムである。移動経路とは、現実世界における或る地点から別の地点までの移動に関する情報をいい、典型的には出発地から目的地までの移動に関する情報をいう。出発地とは、移動経路を検索するための始点として設定される場所をいい、目的地とはその検索のための終点として設定される場所をいう。出発地および目的地はいずれも経路検索の基準点となり得る場所である。
一例では、移動経路は、出発地から目的地までの経路だけでなく、その経路の属性(以下では「経路属性」という)も示すことができる。経路属性とは、経路の性質、特徴、状況、あるいは、経路を移動するユーザの情報(年齢、性別、国籍、体調など)を表す任意の情報である。例えば、経路属性は、交通機関などの移動手段と、経路を移動する日時と、経路を移動するための所要時間または費用と、経路の状況(例えば交通情報)と、経路に関連する地物(すなわち地物情報)と、経路に関連する事業者(すなわち事業者情報)と、経路に関連するサービス情報(例えば広告情報、クーポン情報など)と、経路を移動するユーザに関する情報(年齢、性別、国籍、体温、心拍数、発汗量、血糖値、カロリー消費量など)と、経路を移動するユーザの目的情報(ビジネス、観光、買い物、健康、暇つぶしなど)とのうちの少なくとも一つを含んでもよい。経路データとは移動経路を示す電子データであり、典型的には緯度経度情報で表される時系列の点列座標であるが、これに限られない。経路データにおいて、リンクおよびノードから構成されるネットワークデータに点列座標を照合(いわゆる、マップマッチング)して得られるリンクIDおよびノードIDが用いられてもよい。マップマッチングとは、緯度経度などの位置情報からネットワーク上の移動経路(ノード、リング)を特定する技術である。経路データは、経路を移動する日時(時刻)を示すテキストデータを含んでもよい。時刻に関するテキストデータは、リンクIDおよびノードIDに関連付けられてもよい。ユーザとは自己の経路データを情報管理システム1に提供する人をいう。ユーザは個人でもよいし複数人から成るグループでもよい。
移動手段とは、移動するための方法をいう。移動手段は移動体に限定されず、移動体を用いない方法も含む概念である。移動手段は公共交通機関でもよいし、ユーザが自分で操作する移動体でもよい。移動手段は、地上または地下の移動体でもよいし、空中の移動体でもよいし、水上または水中の移動体でもよい。移動手段の例として徒歩、自転車、バイク、自家用車、バス、タクシー、在来線、高速鉄道、航空機、ドローン、空飛ぶクルマ、およびフェリーが挙げられるが、当然ながら移動手段はこれらに限定されるものではない。
公共交通機関とは、運行する経路および時刻が決まっており、且つ不特定の一般の人々が共同で利用する交通機関をいう。公共交通機関の例として鉄道(モノレール等を含む)、路面電車、路線バス、航空機、フェリーなどが挙げられるが、公共交通機関はこれらに限定されない。タクシーは公共交通機関ではない。
経路データによって示される移動経路の種類は限定されない。経路データは、候補として検索された移動経路、ユーザにより選択された移動経路、またはユーザにより実際に利用された移動経路を示してもよい。本開示では、候補として検索された移動経路を「候補経路」といい、1以上の候補経路の中からユーザにより選択された移動経路を「計画経路」といい、ユーザにより実際に利用された移動経路を「実績経路」という。一の移動経路が候補経路、計画経路、および実績経路のうちの2以上に該当することがあり得る。
地物とは、地上に存在する任意の有体物または無体物である。地物は自然物でも人工物でもよい。例えば、地物は、山地、農地、住宅地、更地、河川、湖、海、観光地、道路、鉄道、建物、公園、塔、信号機、踏切、横断歩道、歩道橋、浮標などを含み得る。無体物である地物の例として、任意の目的で設定された区域(例えば、撮影禁止区域、一時的な進入禁止区域など)、イベントが開催される区域、集合場所、撮影スポットなどが挙げられる。当然ながら、地物の種類はこれらに限定されない。
情報管理システム1によって管理される1以上のユーザの経路データは任意の目的のために利用され得る。例えば、経路データは、「サービスとしての移動」(Mobility as a Service(MaaS))、都市計画、交通計画、環境対策、防災対策、防犯対策、需要予測、マーケティング、人流解析などの、人々の生活または地球環境の維持もしくは改善に役立つ様々な目的のために利用されてよい。経路データは任意の事業者および他のユーザによって利用され得る。事業者の例として、鉄道、ロープウェー、バス、タクシー、飛行機、ドローン、船舶などの各種の交通機関の事業者と、自動車、自転車などの各種の移動手段のレンタル事業者と、配車サービスの事業者と、ショッピング、レストラン、駐車場などの各種施設を運営する事業者と、広告、クーポンなどの各種情報を提供する事業者と、決済事業者と、国または自治体の各種の組織とが挙げられる。事業者には、個人事業主も含まれ得る。
しかし、経路データはユーザの個人情報を含むかまたは示す可能性がある。ここで、個人情報とは、生存する個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができる情報をいう。個人を識別可能な経路データが事業者に利用可能であると、事業者がその経路データに基づいて、特定の個人の行動のような個人情報を把握する可能性がある。情報管理システム1は、ユーザから提供される経路データによってそのユーザが特定されない一方で、ユーザの移動に関するビックデータとして、人々の生活または地球環境の維持もしくは改善に役立つ様々な目的のために利用され得る程度の具体性は残すように(すなわち、その経路データからユーザの個人情報が特定されないが、データとしての分析利用価値は残すように)、その経路データを抽象化する。「経路データを抽象化する」とは、経路データが有する具体的な情報要素の一部を切り捨てて、より概念的な意味を示すように該経路データを定義し直す処理をいう。端的に言うと、「経路データを抽象化する」とは、経路データが有する情報要素または意味を意図的に曖昧にする処理をいう。抽象化された経路データから個人を特定することはできないが、データとしての分析利用価値は経路データに残される。経路データの抽象化は、特定の個人を識別できないように、ユーザの用に供する経路データを変換する処理であるので、「経路データの匿名化」ということもできる。
本開示では、抽象化されようとする経路データを「オリジナル経路データ」ともいい、抽象化された経路データを「抽象経路データ」ともいう。また、オリジナル経路データによって示される移動経路を「オリジナル移動経路」ともいい、抽象経路データによって示される移動経路を「抽象移動経路」ともいう。このため、オリジナル経路データが、リンクIDおよびノードIDと通過時刻とが関連付けられた電子データである場合には、通過時刻のみが抽象化(すなわち、時間的な抽象化)された抽象経路データが生成される場合もある。あるいは、リンクIDおよびノードIDのみが抽象化(すなわち、空間的な抽象化)されてもよいし、時間的抽象化および空間的抽象化の双方が為されてもよい。
一例では、情報管理システム1は、様々な目的で用いられ得る経路データを統括的に制御または管理するプラットフォームとしての役割を果たし得る。これに関連して、情報管理システム1の管理者または運営者はプラットフォーマであり得る。一例では、情報管理システム1は任意の事業者または他のユーザに抽象経路データを提供することができる。事業者はその抽象経路データに基づいて任意の事業を実施してよい。抽象経路データは複数の事業者または他のユーザによって共有され得る。
[システムの構成]
図1は情報管理システム1の適用の一例を示す図である。一例では、情報管理システム1はプラットフォーマサーバ10および1以上のユーザ端末20を備える。プラットフォーマサーバ10および個々のユーザ端末20は通信ネットワークNWを介して互いにデータを送受信することができる。プラットフォーマサーバ10は通信ネットワークNWを介してデータベース群30にアクセスしてデータを読み取ったり書き込んだりすることができる。データベース群30に記憶されたデータの少なくとも一部は、通信ネットワークNWを介して1以上の事業者サーバ40によってアクセスされ得る。プラットフォーマサーバ10は通信ネットワークNWを介して外部システム50にアクセスして必要な情報を取得することもできる。
プラットフォーマサーバ10は経路データを収集するコンピュータである。プラットフォーマサーバ10として機能するコンピュータは限定されない。一例では、プラットフォーマサーバ10は業務用サーバなどの大型のコンピュータによって構成される。プラットフォーマサーバ10は一つまたは複数のコンピュータにより構成され得る。複数のコンピュータが用いられる場合には、通信ネットワークを介してこれらのコンピュータが互いに接続されることで論理的に一つのプラットフォーマサーバ10が構成される。
ユーザ端末20はユーザによって操作されるコンピュータである。一例では、ユーザ端末20は、後述する抽象経路データベース32にアクセスして、整備済みの他のユーザの抽象経路データを取得することができる。ユーザ端末20は固定端末でもよいし携帯端末でもよい。ユーザ端末20の例として、携帯電話機、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブル端末、およびパーソナルコンピュータなどのデバイスが挙げられる。しかし、ユーザ端末20の種類はこれらに限定されない。ユーザ端末20は、一つの筐体から構成されるデバイスでもよいし、複数のデバイスによって構成されてもよい。例えば、ユーザ端末20はウェアラブル端末とスマートフォンとの組合せでもよい。情報管理システム1にアクセスするユーザ端末20の台数は限定されない。
データベース群30は、情報管理システム1において用いられるデータを記憶するデータベースの集合である。一例では、データベース群30は地図データベース31および抽象経路データベース32を含む。それぞれのデータベースは情報管理システム1の一部として構築されてもよいし、情報管理システム1とは別のコンピュータシステムに設けられてもよい。地図データベース31は、地図を構成する地図要素を示す地図データを永続的に記憶する非一時的な記憶媒体または記憶装置である。抽象経路データベース32は抽象経路データを永続的に記憶する非一時的な記憶媒体または記憶装置である。
事業者サーバ40は事業者によって管理または運用されるコンピュータである。一例では、事業者サーバ40は抽象経路データベース32にアクセスして抽象経路データを取得することができる。事業者サーバ40として機能するコンピュータは限定されない。例えば、事業者サーバ40は業務用サーバなどの大型のコンピュータによって構成されてもよいし、パーソナルコンピュータによって構成されてもよい。情報管理システム1にアクセスする事業者サーバ40の台数は限定されない。
外部システム50は情報管理システム1の外部に存在するコンピュータシステムである。外部システム50の具体的な構成および機能は限定されない。例えば、外部システム50はインターネット上の所定のウェブサイト上に投稿されたコンテンツを公開するコンピュータシステムである。典型的には、そのウェブサイトはソーシャル・ネットワークング・サービス(SNS)に関し、コンテンツは写真、映像、テキスト、またはこれらの2以上の組合せである。本開示では、ウェブサイト上にコンテンツを投稿する人を「投稿者」という。
一例では、情報管理システム1では、ユーザ端末20がオリジナル経路データを抽象化して抽象経路データを生成する。言い換えると、ユーザ端末20はオリジナル経路データを抽象経路データに変換する。ユーザ端末20はその抽象経路データをプラットフォーマサーバ10に向けて送信する。送信のタイミングは、典型的にはユーザが目的地に到着した後であるが、目的地に到着する前でもよい。移動経路の種類が候補経路または計画経路である場合には、送信のタイミングはユーザが出発地から移動を開始する前でもよい。移動経路の種類が実績経路である場合でも、ユーザ端末20は、目的地に到着する途中までの実績経路をそのタイミングで送信してもよい。一例では、プラットフォーマサーバ10はその抽象経路データを抽象経路データベース32に登録する。したがって、ユーザ端末20は抽象経路データをプラットフォーマサーバ10に向けて送信して、抽象経路データベース32への該抽象経路データの登録をプラットフォーマサーバ10に実行させてもよい。ユーザ端末20はオリジナル経路データを、ユーザの意思に基づく場合を除き、基本的にはプラットフォーマサーバ10に向けて送信しないので、プラットフォーマサーバ10はオリジナル経路データにアクセスすることができない。したがって、プラットフォーマサーバ10、事業者サーバ40、および他のユーザ端末20は、抽象経路データを利用することはできるが、オリジナル経路データを参照および利用することはできない。このような仕組みによって、プラットフォーマサーバ10および事業者サーバ40の運用者、あるいはユーザ端末20を使用する他ユーザは、ユーザの個人情報を経路データから把握することができない。
別の例では、情報管理システム1では、プラットフォーマサーバ10がオリジナル経路データを抽象化して抽象経路データを生成し、その抽象経路データを抽象経路データベース32に登録する。この例でも、事業者サーバ40、および他のユーザ端末20は、抽象経路データを利用することはできるが、オリジナル経路データを参照および利用することはできない。したがって、事業者サーバ40の運用者、あるいはユーザ端末20を使用する他ユーザは、或るユーザの個人情報を経路データから把握することができない。
このように、情報管理システム1では、ユーザ端末20がオリジナル経路データを抽象経路データに変換してもよいし、プラットフォーマサーバ10がその変換を実行してもよい。すなわち、情報管理システム1において、経路データを抽象化するコンピュータは限定されない。
さらに別の例として、ユーザの意思に基づく場合には、ユーザ端末20はオリジナル経路データをプラットフォーマサーバ10に向けて送信してもよい。この場合、プラットフォーマサーバ10および事業者サーバ40の運用者、またはユーザ端末20を使用する他ユーザは、ユーザの個人情報を経路データから把握し、抽象経路データの場合と比較して有用なデータ分析を行うことができる。この場合、オリジナル経路データを提供したユーザに対して、事業者サーバ40の運用者からプラットフォーマサーバ10を介して一定の経済的メリットが還元されてもよい。
図2は、情報管理システム1で用いられるコンピュータ110のハードウェア構成の一例を示す図である。例えば、コンピュータ110は制御回路100を有する。一例では、制御回路100は、一つまたは複数のプロセッサ101と、メモリ102と、ストレージ103と、通信ポート104と、入出力ポート105とを有する。プロセッサ101はオペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを実行する。ストレージ103はハードディスク、不揮発性の半導体メモリ、または取り出し可能な媒体(例えば、磁気ディスク、光ディスクなど)の記憶媒体で構成され、オペレーティングシステムおよびアプリケーションプログラムを記憶する。メモリ102は、ストレージ103からロードされたプログラム、またはプロセッサ101による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ101は、メモリ102と協働してプログラムを実行することで、個々の機能モジュールとして機能する。通信ポート104は、プロセッサ101からの指令に従って、通信ネットワークNWを介して他の装置との間でデータ通信を行う。入出力ポート105は、プロセッサ101からの指令に従って、キーボード、マウス、モニタ、タッチパネルなどの入出力装置(ユーザインタフェース)との間で電気信号の入出力を実行する。
搭載されるハードウェアモジュールはコンピュータの種類によって異なり得る。例えば、プラットフォーマサーバ10に搭載されるCPU、メモリ、ネットワークカードなどのモジュールはユーザ端末20のものよりも高性能であり得る。プラットフォーマサーバ10の入力装置としては一般にキーボードおよびマウスが用いられ、出力装置としてはモニタが用いられる。ユーザ端末20がパーソナルコンピュータである場合には、入力装置としては一般にキーボードおよびマウスが用いられ、出力装置としてはモニタが用いられる。ユーザ端末20が携帯端末である場合には、一般にはタッチパネルが入出力装置として用いられる。
図3は情報管理システム1の機能構成の一例を示す図である。より具体的には、図3はプラットフォーマサーバ10およびユーザ端末20の機能構成の一例を示す。この例では、ユーザ端末20がオリジナル経路データを抽象経路データに変換する。
プラットフォーマサーバ10は機能モジュールとして検索部11、地図管理部12、および登録部13を備える。検索部11はユーザ端末20からの要求に応答して移動経路を検索する機能モジュールである。地図管理部12は地図データベース31内の地図データを管理する機能モジュールである。登録部13は抽象経路データを抽象経路データベース32に登録する機能モジュールである。
ユーザ端末20は機能モジュールとして経路取得部21、地図記憶領域22、地図更新部23、抽象化部24、および送信部25を備える。経路取得部21は経路検索機能28または経路追跡機能29からオリジナル経路データを取得する機能モジュールである。経路検索機能28はプラットフォーマサーバ10の検索部11と連携して、ユーザにより設定された検索条件に合致する移動経路(すなわち、候補経路)の情報をユーザ端末20上に表示する。経路追跡機能29はユーザ端末20の現在位置の履歴を実績経路として取得する。一例では、経路追跡機能29は全地球測位システム(GPS)機能を利用する。あるいは、経路追跡機能29は携帯電話基地局データ、WiFi(登録商標)アクセスポイントデータ、交通系ICカードデータなどの他の手段で実績経路を取得してもよい。地図記憶領域22は地図データのマスタの少なくとも一部のコピーを永続的に記憶する機能モジュール(記憶領域)である。地図更新部23はそのコピーをマスタと整合させる機能モジュールである。抽象化部24はオリジナル経路データを抽象化して抽象経路データを生成する機能モジュールである。送信部25は抽象経路データをプラットフォーマサーバ10に向けて送信する機能モジュールである。
[地図データ]
地図データは例えば経路検索のために用いられる。地図データのデータ構造は限定されない。地図データにより示される地図要素の種類および表現方法は限定されず、任意の方針で設計されてよい。地図要素の例としてノード、リンク、ポリゴンノード、およびPOI(Point of Interest)が挙げられる。
ノードとは経路を特徴づける位置をいい、より具体的には、移動体の移動方法(例えば方向、速度など)を変えることができる位置、または該移動方法が変わる位置をいう(例えば、駅、バス停、駐車場等の乗り換え地点、交差点など)。
リンクとは経路を示すために設定される仮想的な線のことをいい、隣接するノード間を結ぶ。リンクの形状は直線でも曲線でもよく、あるいは、直線と曲線との組合せでもよい。地上においては、リンクの形状は道路の形状、または鉄道などの軌道の形状に依存し得る。二つのノードを結ぶリンクが複数個存在してもよい。例えば、二つのノードが鉄道に関するリンクと道路に関するリンクとの双方によって結ばれる場合があり得る。
ポリゴンノードとは二次元状に広がる特定の地理的領域を示す面をいい、複数のリンクによって囲まれた2次元の閉空間として表現される。ポリゴンノードの形状は何ら限定されない。ポリゴンノードにより表される地理的領域の例として、公園、広場、ペディストリアンデッキ、駅構内のコンコース、施設または建物の敷地、施設または建物のフロア、地下街が挙げられる。しかし、その地理的領域は何ら限定されない。ポリゴンノードは複数の小領域に分割されてもよいし分割されなくてもよい。
図4は地図データによって表される地図ネットワークの一例を示す図である。この例では、地図ネットワーク150は複数のノード151と複数のリンク152と、一つのポリゴンノード153とを含む。ポリゴンノード153は三つの小領域153a,153b,153cから成る。ノード、リンク、およびポリゴンノードが設定される位置は限定されず、例えば、ノード、リンク、およびポリゴンノードは地上、地下、空中、水上、または水中に設定され得る。これに対応して地図ネットワークも地上、地下、空中、水上、または水中に設定され得る。
POIとは地図上の特定の地点のことをいい、典型的には特定の地物に対応する。住宅(個人住宅および集合住宅)、公共施設などの任意の地点または地物がPOIになり得る。住宅とは人が居住する建築物をいう。個人住宅とは一つの敷地に一世帯が居住する住宅をいう。集合住宅とは複数の世帯が居住する住宅をいい、したがって二世帯住宅を含む。公共施設とは不特定多数の人または特定多数の人が利用可能な施設をいう。
一例では、地図データは、複数のノードを示すノードデータと、複数のリンクを示すリンクデータと、少なくとも一つのポリゴンノードを示すポリゴンノードデータと、複数のPOIを示すPOIデータとを含む。図5を参照しながら、これらのデータのそれぞれの構造について説明する。図5は地図データのデータ項目の一例を示す図である。この例では地図データ200はノードデータ201、リンクデータ202、ポリゴンノードデータ203、およびPOIデータ204を含む。
一例では、ノードデータ201はデータ項目としてノードID、座標、およびノード属性を含む。ノードIDは個々のノードを一意に特定する識別子である。座標はノードの2次元または3次元の地理的位置を示す値である。座標の設定方法は限定されず、例えば、座標は緯度および経度を用いて表現されてもよいし、他の任意の座標系に従って設定されてもよい。ノード属性とは、ノードの性質、特徴、または状況を表す任意の情報である。例えば、ノード属性は、ノードに関連する地物に関する地物情報を含んでもよいし、ノードに関連する事業者に関する事業者情報を含んでもよい。ノード属性はノードを抽象化するか否かを示す抽象化フラグを含んでもよい。
一例では、リンクデータ202はデータ項目としてリンクID、第1ノードID、第2ノードID、およびリンク属性を含む。リンクIDは個々のリンクを一意に特定する識別子である。第1ノードIDおよび第2ノードIDはいずれも、リンクの端に位置するノードを特定するノードIDである。リンク属性とは、リンクの性質、特徴、または状況を表す任意の情報である。例えば、リンク属性は、交通機関などの移動手段と、リンクを移動するための所要時間または費用と、リンクの状況(例えば交通情報)と、リンクに関連する地物(すなわち地物情報)と、リンクに関連する事業者(すなわち事業者情報)と、リンクに関連するサービス情報(例えば広告情報、クーポン情報など)のうちの少なくとも一つを含んでもよい。リンク属性はリンクを抽象化するか否かを示す抽象化フラグを含んでもよい。
一例では、ポリゴンノードデータ203はデータ項目としてポリゴンノードID、関連ノードID群、関連リンクID群、およびポリゴンノード属性を含む。ポリゴンノードIDは個々のポリゴンノードを一意に特定する識別子である。関連ノードID群はポリゴンノードの外縁に位置する複数のノードを示す複数のノードIDである。関連リンクID群はポリゴンノードの外縁を形成する複数のリンクを示す複数のリンクIDである。ポリゴンノード属性とは、ポリゴンノードの性質、特徴、または状況を表す任意の情報である。例えば、ポリゴンノード属性は、ポリゴンノードの代表座標と、ポリゴンノードに関連する地物に関する地物情報と、ポリゴンノードに関連する事業者に関する事業者情報とのうちの少なくとも一つを含んでもよい。ポリゴンノード属性はポリゴンノードを抽象化するか否かを示す抽象化フラグを含んでもよい。ポリゴンノードが複数の小領域に分割される場合には、ポリゴンノードデータ203はデータ項目としてさらに小領域ID、および小領域属性を含む。小領域IDは個々の小領域を一意に特定する識別子である。小領域属性とは小領域の性質、特徴、または状況を表す任意の情報である。小領域属性は、小領域の代表座標と、小領域の境界を示す境界情報と、小領域に関連する地物に関する地物情報と、小領域に関連する事業者に関する事業者情報とのうちの少なくとも一つを含んでもよい。小領域属性は小領域を抽象化するか否かを示す抽象化フラグを含んでもよい。
一例では、POIデータ204はデータ項目としてPOI_ID、到着地点、およびPOI属性を含む。POI_IDは個々のPOIを一意に特定する識別子である。到着地点はPOIの出入口が接続するリンク(道路)を示し、このデータ項目にはそのリンクのリンクIDが設定される。経路検索においてPOIが目的地に設定された場合には、例えば、この到着地点で示されるリンクの位置が目的地の位置として処理される。到着地点は、POIとリンクとの接続を示すデータ項目の一例である。POI属性とはPOIの性質、特徴、または状況を表す任意の情報である。一例では、POI属性は名称、種別、地物情報、利用可能時間(または利用不可時間)を含んでよい。名称とはPOIの正式名称または通称であり、例えば世帯主の名称、屋号、建物名などによって表される。種別とはPOIが属する種類(カテゴリ)をいい、例えば個人所有物か公共物かを表す。地物情報はPOIに関連する地物についての任意の情報である。利用可能時間(または利用不可時間)とはPOIを利用可能な時間幅(または利用できない時間幅)をいう。利用可能時間(または利用不可時間)の長さは限定されず、例えば時間帯、日付、曜日などの任意の長さであってよい。POI属性はPOIを抽象化するか否かを示す抽象化フラグを含んでもよい。
一例では、地図データは、交通結節点および交通施設を示すデータをさらに含む。この場合には、ノード属性は交通結節点または交通施設に関する情報を含んでもよい。
交通結節点とは移動手段の変更が実施される場所(要するに、移動手段が変わる場所)をいう。より具体的には、交通結節点は、複数の同種あるいは異種の移動手段の接続が行われる場所をいう。交通結節点は複数の交通施設を含む。
「移動手段の変更」とは或る移動手段から別の移動手段に変えることをいう。移動手段が限定されないことに対応して、移動手段の変更も限定されない。或る移動手段から別の移動手段への乗換は、移動手段の変更の一例である。移動手段の変更の例として、タクシーから在来線への乗換、或る路線(鉄道路線、バス路線など)から別の路線(鉄道路線、バス路線など)への乗換、自家用車から徒歩への変更、徒歩から在来線への変更などが挙げられる。
交通施設とは、移動手段を変更するためにユーザに利用される施設をいう。交通施設は、交通結節点を構成する要素として情報管理システム1により処理される。交通施設はノードの一種であり得る。交通施設の例として、駅、バス停、タクシー乗り場、港、空港、ヘリポート、レンタカーの営業所、レンタサイクルのサイクルポート、駐車場、および駐輪場が挙げられるが、交通施設はこれらに限定されない。一つの交通施設が複数の交通結節点と関連付けられてもよい。したがって、交通結節点および交通施設は多対多の関係(言い換えるとM:Nの関係)にある。それぞれの交通結節点では、該交通結節点を代表する一つの交通施設が設定される。本開示ではその代表の交通施設を「代表施設」という。また、本開示では、それぞれの交通結節点において代表施設以外の交通施設を「構成施設」という。
代表施設は任意の手法によって設定されてよい。例えば、代表施設は、交通結節点または特定の区域の中で最も中心的な役割を果たす施設、最も利用者が多い交通施設、あるいはランドマークの役割を持つ交通施設でもよい。
構成施設も任意の方針で設定されてよい。或る交通施設を構成施設としていずれかの交通結節点に所属させる場合には、その交通施設にいちばん近い代表施設が特定され、その交通施設が、該特定された代表施設と同じ交通結節点に構成施設として追加されてもよい。あるいは、異なる交通手段を利用するユーザの利用実績または地形上の関係に基づいて、交通施設をどの交通結節点に所属させるかが決定されてもよい(例えば、或る交通施設を、川向いにある代表施設に所属させないように構成施設が決定されてもよい)。
図6および図7を参照しながら、交通結節点および交通施設を示す地図データについて説明する。図6は交通結節点の一例を示す図である。図7は交通結節点を示す地図データの一例を示す図であり、図6に対応する。
図6は、地下鉄310、在来線320、道路ネットワーク330、および道路ネットワーク340を含む地図300を模式的に示す。地図300において、白丸は交通施設を表し、破線は交通結節点を表す。図6ではハブHaおよびHbという2個の交通結節点を例示するが、地図300内においてさらなる交通結節点が存在し得ることに留意されたい。この例において、ハブHaは地下鉄のA駅と、在来線のA駅と、バス停Bxとにより構成される。人々はハブHaで、地下鉄、在来線、およびバスの間で乗換をしたり、地下鉄、在来線、またはバスを降りて徒歩で移動したりするなどの様々な方法で移動手段を変更することができる。ハブHbは在来線のB駅とバス停Byとにより構成される。人々はハブHbで、在来線とバスとの間で乗換をしたり、駅まで歩いて来て在来線またはバスに乗ったりするなどの様々な方法で移動手段を変更することができる。
図7はハブHaおよびHbに関する地図データ210を示す。この地図データ210は交通結節点テーブル211、交通施設テーブル212、および乗換テーブル213を含む。
交通結節点テーブル211は、交通結節点に関する情報を示す交通結節点データを記憶するデータテーブルである。一例では、交通結節点データの各レコードは、個々の交通結節点を一意に特定する交通結節点IDと、交通結節点の名称(交通結節点名)と、抽象化フラグとを含む。抽象化フラグは交通結節点の全体を抽象化するか否かを示す。
交通施設テーブル212は、交通施設に関する情報を示す交通施設データを記憶するデータテーブルである。一例では、交通施設データの各レコードは、個々の交通施設を一意に特定する交通施設IDと、交通施設の名称(施設名)と、交通施設に対応する交通結節点IDと、代表フラグと、抽象化フラグとを含む。代表フラグは、交通施設が代表施設および構成施設のどちらであるかを示す情報であり、二値で示される。一例では、代表フラグは代表施設を示す「1」と構成施設を示す「0」とのいずれかである。図7の例は、在来線のA駅がハブHaの代表施設であり、B駅がハブHbの代表施設であることを示す。抽象化フラグは交通施設を抽象化するか否かを示す。
乗換テーブル213は、交通結節点での乗換に関する情報を示す乗換データを記憶するデータテーブルである。一例では、乗換データの各レコードは、個々の乗換方法を一意に特定する乗換IDと、乗換に用いられる二つの交通施設のID(第1交通施設IDおよび第2交通施設ID)と、移動コストとを含む。移動コストは移動に掛かる負荷であり、例えば移動時間で表される。図7の例は、ハブHaでは在来線、地下鉄、およびバスの間で任意に乗換ができ、ハブHbでは在来線とバスとの間で乗換ができることを示す。
交通施設テーブル212は交通結節点IDによって交通結節点テーブル211と関連付けられ、この関係によって、交通結節点に属する交通施設を特定することができる。乗換テーブル213は二つの交通施設IDによって交通施設テーブル212と関連付けられ、この関係によって、交通結節点で可能な乗換方法を特定することができる。
一例ではノード、リンク、ポリゴンノード、小領域、POI、交通結節点、および交通施設から選択される任意の一種類以上の地図要素に抽象化フラグが関連付けられる。本実施形態では、抽象化フラグは、処理対象としての経路データ(緯度経度、ノード、リンク、ポリゴンノード、小領域、POI、交通結節点、または交通施設)を抽象化することを示す値「1」と、該経路データを抽象化しないことを示す値「0」とのうちのいずれか一方の値を取ることとする。しかし、抽象化フラグの表現方法はこの例に限定されず、任意の方針で設計されてよい。上述したようにノード属性が交通結節点または交通施設に関する情報を含んでもよい。したがって、ノードデータの抽象化フラグが、交通結節点または交通施設を抽象化するか否かを示してもよく、この場合には、交通結節点データおよび交通施設データは抽象化フラグを含まなくてもよい。いずれにしても地図データは、地図要素と経路データを抽象化するか否かを示す抽象化フラグとの組合せを示す。
地図データの個々のデータ項目は静的に設定されてもよいし動的に設定されてもよい。「静的に設定される」とは、値が予め設定され、人手の介入がない限りはその設定が変更されないことをいう。一方、「動的に設定される」とは、値が任意の事象に応じて人手の介入無しに変更され得ることをいう。動的な設定は、所与のデータ項目を制御するプログラムが所定のコンピュータ上で実行されることで実現される。動的な設定は情報管理システム1により実行されてもよいし、別のコンピュータシステムにより実行されてもよい。
[経路データ]
経路データのデータ構造は限定されない。例えば、経路データは複数のノードIDおよび複数のリンクIDによって表現されてもよい。より具体的には、経路データは、交通施設または交通結節点に対応するノードのノードIDと、そのノード間(すなわち交通施設間または交通結節点間)を結ぶリンクのリンクIDとによって表現されてもよい。上述したように移動経路は経路属性を示すことができるので、経路データはその経路属性に対応するデータ項目を含み得る。例えば、経路データは、経路上での移動に関する日時(本開示ではこれを「移動日時」という)を示してもよい。移動日時の例として、個々のノードでの出発日時、通過日時、乗換日時、または到着日時が挙げられる.しかし、移動日時の種類はこれらに限定されない。移動日時は、候補経路および計画経路では予定の日時を示し、実績経路では実際の日時を示す。別の例では、経路データは移動経路における交通費の見込額または実額を示してもよい。この交通費は交通手段ごとに示されてもよいし、移動経路の全体における総額として示されてもよい。
抽象経路データの少なくとも一部は、抽象化された複数のノードに対応するノードIDと、抽象化された複数のリンクに対応するリンクIDとによって表現される可能性がある。別の例では、抽象経路データは抽象化された移動日時を表す可能性がある。抽象経路データベース32に格納される抽象経路データの個々のレコードは、個々の移動経路またはひとまとまりの移動経路群を特定する識別子である経路IDを含む。
サンプル経路データおよび抽象経路データの双方について、経路IDの設定方法は限定されない。例えば、一つの候補経路、一つの計画経路、または一つの実績経路に対して一つの経路IDが設定されてもよい。あるいは、ひとまとまりの移動経路群(例えば、1回の検索処理で抽出された複数の移動経路の集合)に対して一つの経路IDが設定されてもよい。
[システムでの処理手順]
(抽象化フラグの設定)
図8は個々の地図要素の抽象化フラグを設定する処理の一例を処理フローS1として示すフローチャートである。ステップS11では、地図管理部12が地図データベース31を参照して、処理する一つの地図要素を選択する。例えば、地図管理部12は一つのノード、一つのリンク、一つのポリゴンノード、一つのPOI、一つの交通結節点、または一つの交通施設を選択する。ステップS12では、地図管理部12がその地図要素の抽象化フラグを所定のルールに基づいて設定する。本実施形態では、地図管理部12はその抽象化フラグを「1」または「0」のいずれかの値に設定する。抽象化フラグを設定するためのルールは限定されず、任意の方針で設計されてよい。ステップS13に示すように、地図管理部12は処理すべき地図要素のすべてについて抽象化フラグを設定するまで、ステップS11,S12の処理を繰り返す。
抽象化フラグの設定(ステップS12)に関する様々な例について説明する。例えば、地図管理部12は住宅に対応するノード、ポリゴンノード、小領域、およびPOIの抽象化フラグを「1」に設定し、公共施設に対応するノード、ポリゴンノード、小領域、およびPOIの抽象化フラグを「0」に設定してもよい。
一例では、地図管理部12はリンクに対応する交通網の種別に応じて該リンクの抽象化フラグを設定してもよい。例えば、地図管理部12は鉄道、高速道路、一般国道、都道府県道などのような主要交通網に対応するリンクの抽象化フラグを「0」に設定し、主要交通網を構成しないリンク(例えば、市町村道、私道など)に対応するリンクの抽象化フラグを「1」に設定してもよい。
一例では、地図管理部12はリンクに関連付けられるPOIの種類に基づいて該リンクの抽象化フラグを設定してもよい。ここで、「リンクと関連付けられるPOI」および「POIと関連付けられるリンク」とは、リンクとPOIの到着地点とが互いに接続されていることを示す。例えば、地図管理部12は公共施設と関連付けられないリンクの抽象化フラグを「1」に設定し、少なくとも一つの公共施設と関連付けられるリンクの抽象化フラグを「0」に設定してもよい。あるいは、地図管理部12はリンクと関連付けられるPOIの個数に基づいて該リンクの抽象化フラグを設定してもよい。例えば、地図管理部12は関連付けられる住宅の個数が閾値Ta未満であるリンクの抽象化フラグを「1」に設定し、その個数が閾値Ta以上であるリンクの抽象化フラグを「0」に設定してもよい。一例では、地図管理部12は一つの集合住宅を一つの住宅としてカウントする。あるいは、地図管理部12は関連付けられる世帯の個数が閾値Tb未満であるリンクの抽象化フラグを「1」に設定し、その個数が閾値Tb以上であるリンクの抽象化フラグを「0」に設定してもよい。地図管理部12は一つの集合住宅の世帯数として、実際に入居している世帯数をカウントしてもよいし、入居可能な世帯数をカウントしてもよい。閾値Ta,Tbの具体的な値は限定されず、任意の方針で設定されてよい。地図管理部12は、ノードに関連付けられるPОIの種類に基づいて該ノードの抽象化フラグを設定してもよい。
一例では、地図管理部12は所定の時間幅においてリンクを通過した人の数に基づいて該リンクの抽象化フラグを設定してもよい。具体的には、地図管理部12はその通過人数が閾値Tc未満であるリンクの抽象化フラグを「1」に設定し、通過人数が閾値Tc以上であるリンクの抽象化フラグを「0」に設定してもよい。通行人が用いる交通手段は何ら限定されず、例えば任意の移動体でもよいし徒歩でもよい。リンクの通過人数を特定する手法は限定されない。地図管理部12はSNS上に投稿されたコンテンツに基づいてリンクの通過人数を特定してもよい。例えば、地図管理部12は投稿されたテキストおよび投稿数のうちの少なくとも一つに基づいて通過人数を特定してもよい。あるいは、地図管理部12は、SNSの投稿者が所有する携帯端末のGPS機能から得られる位置情報に基づいて通過人数を特定してもよい。閾値Tcの具体的な値も限定されず、任意の方針で設定されてよい。
地図管理部12はすべての交通結節点および交通施設について抽象化フラグを「0」に設定してもよい。その理由は、一般に交通結節点および交通施設はいずれも、不特定多数または特定多数の人が往来する場所であり、したがって個人が特定される場所とはいえないからである。もちろん、地図管理部12は交通結節点および交通施設の抽象化フラグを通過人数などのデータに基づいて「0」または「1」のいずれか一方に設定してもよい。
図9は個々のリンクの抽象化フラグを設定する処理の一例を処理フローS2として示すフローチャートである。処理フローS2は処理フローS1の一つのより具体的な例であるといえる。
ステップS21では、地図管理部12が地図データベース31を参照して、処理する一つのリンクを選択する。
ステップS22では、地図管理部12が地図データベース31を参照して、そのリンクと関連付けられたPOIを特定する。具体的には、地図管理部12はPOIデータを参照して、そのリンクが到着地点として設定されているPOIを特定する。
ステップS23では、地図管理部12が、そのリンクが公共施設と関連付けられているか否かを判定する。例えば、地図管理部12は特定されたPOIの属性(例えば種別または地物情報)を参照して、そのPOIが公共施設か否かを判定する。リンクが公共施設と関連付けられていない場合、すなわち、特定されたすべてのPOIが公共施設でない場合には(ステップS23においてNO)、処理はステップS24に進む。一方、リンクが公共施設と関連付けられている場合、すなわち、特定された1以上のPOIのうちの少なくとも一つが公共施設である場合には(ステップS23においてYES)、処理はステップS29に進む。国・地方公共団体などの行政組織に属さない施設であっても、フランチャイザーの出店計画などの裏付けがあって類型的に不特定多数の者が利用すると認められる施設(例えば有名コンビニエンスストアのチェーン店)であれば、地図管理部12はその施設を公共施設とみなしてステップS23以降の処理を実行してよい。
ステップS24では、地図管理部12が、そのリンクと関連付けられた住宅(または世帯)の個数を特定する。例えば、地図管理部12は特定されたPOIの属性を参照して、住宅(または世帯)の個数をカウントする。
ステップS25では、地図管理部12が、そのリンクと関連付けられた住宅の個数が閾値Ta未満であるか否かを判定する。あるいは、地図管理部12はリンクと関連付けられた世帯の個数が閾値Tb未満であるか否かを判定する。住宅数に基づく判定の場合には、その個数が閾値Ta未満であれば(ステップS25においてYES)処理はステップS26に進み、その個数が閾値Ta以上であれば(ステップS25においてNO)処理はステップS29に進む。世帯数に基づく判定の場合には、その個数が閾値Tb未満であれば(ステップS25においてYES)処理はステップS26に進み、その個数が閾値Tb以上であれば(ステップS25においてNO)処理はステップS29に進む。
ステップS26では、地図管理部12がそのリンクの通過者数を特定する。上述したように、地図管理部12はSNS上に投稿されたコンテンツに基づいてリンクの通過人数を特定してもよい。あるいは、地図管理部12は、SNSの投稿者が所有する携帯端末のGPS機能から得られる位置情報に基づいて通過人数を特定してもよい。
ステップS27では、地図管理部12が、その通過者数が閾値Tc未満であるか否かを判定する。通過者数が閾値Tc未満であれば(ステップS27においてYES)処理はステップS28に進む。一方、通過者数が閾値Tc以上であれば(ステップS27においてNO)処理はステップS29に進む。
ステップS28では、地図管理部12がそのリンクの抽象化フラグを「1」に設定する。公共施設が存在せず、存在する住宅(または世帯)の個数が相対的に少なく、かつ人通りが少ないリンクは、特定の個人が識別される蓋然性が高い場所である。この点を考慮して、地図管理部12はそのようなリンクの抽象化フラグを「1」に設定する。
一方、ステップS29では、地図管理部12はその抽象化フラグを「0」に設定する。公共施設と関連付けられたリンク、相対的に多くの住宅(または世帯)が存在するリンク、および人通りが多いリンクはいずれも、特定の個人が識別される蓋然性が低い場所である。この点を考慮して、地図管理部12はこれらのリンクの抽象化フラグを「0」に設定する。
ステップS30に示すように、地図管理部12は処理すべきリンクのすべてについて抽象化フラグを設定するまで、ステップS21~S29の処理を繰り返す。
リンクに関連するPOIの変化(例えば、建物の建築または解体)は短期間では起こらないのに対して、リンクの通過者数は特定の期間において大きく変わることがある。例えば、SNS上で高い情報発信力を持つ人であるインフルエンサーの投稿によって特定の場所が短期的に注目を集め、多くの人がその場所を訪れることがある。この場合に、普段は人通りが少ないリンクの通過人数が、その人気の影響を受けて特定の期間において増大し得る。
そのような比較的短期間での通過人数の変動を考慮して、プラットフォーマサーバ10は図10に示す処理を実行してもよい。図10は個々のリンクの抽象化フラグを設定する処理の別の例を処理フローS3として示すフローチャートである。ステップS31では、地図管理部12が、抽象化フラグを更新する一つのリンクを選択する。例えば、地図管理部12は、公共施設が存在せず、且つ存在する住宅数が閾値Ta未満であるリンクを選択してもよい。あるいは、地図管理部12は、公共施設が存在せず、且つ存在する世帯数が閾値Tb未満であるリンクを選択してもよい。その後、地図管理部12は、ステップS26~S30の同様の処理であるステップS32~S36を実行する。このような一連の処理によって、更新対象として選択されたリンクの抽象化フラグが、通過者数の変動によって「1」から「0」に、または「0」から「1」に変わり得る。
図11はリンクの抽象化フラグを設定する処理の一例を示す図である。この例では、道路401,402が一定の距離を置いて並行に延びており、互いに並行に延びる3本の道路403~405のそれぞれが道路401,402を繋いでいる。道路401からは、道路403~405とは逆方向に道路406が延びている。道路401,402は主要交通網に該当し、道路403~406は主要交通網に該当しないものとする。道路403沿いには10件の個人住宅が存在し、道路404沿いには2件の個人住宅が存在し、道路405沿いには5件の個人住宅が存在する。道路406の突き当りには公共施設が存在する。道路401に沿ってリンク411~415が設定され、道路402に沿ってリンク416~419が設定される。道路403に対してリンク420が設定され、道路404に対してリンク421が設定され、道路405に対してリンク422が設定され、道路406に対してリンク423が設定される。
一例では、地図管理部12は主要交通網である道路401,402を構成するリンク411~419の抽象化フラグを「0」に設定する。住宅の個数に関する閾値Taが10であるとすると、地図管理部12は10件の住宅が存在するリンク420(道路403)の抽象化フラグを「0」に設定する。リンク421(道路404)の通過人数が閾値Tc以上であり、リンク422(道路405)の通過人数が閾値Tc未満であるとすると、地図管理部12はリンク421の抽象化フラグを「0」に設定し、リンク422の抽象化フラグを「1」に設定する。地図管理部12は公共施設が存在するリンク423(道路406)の抽象化フラグを「0」に設定する。したがって、図11の例ではリンク422のみが抽象化される。
図11はリンクに関する処理の例を示すが、地図管理部12は同様の処理をノードに対して実行してもよい。
処理フローS1~S3によって例示されるように、抽象化フラグは地図管理部12によって統括的に管理される。地図管理部12は任意のタイミングで抽象化フラグを設定または更新して、地図データの最新のマスタを地図データベース31に格納する。ユーザ端末20の地図更新部23は任意のタイミングでその最新のマスタの少なくとも一部のコピーをプラットフォーマサーバ10からダウンロードし、そのコピーを地図記憶領域22に格納する。地図更新部23は、ユーザの現在地等を含む所定範囲の地域に関する地図データのみダウンロードし、ユーザが移動した場合には、その移動に応じた地図データをダウンロードしてもよい。この処理により、ユーザ端末20の処理負荷を軽減することができる。地図データをダウンロードする方法は限定されず、任意の方針に基づいて設計されてよい。例えば、地図管理部12が、地図データが更新されたことを示す通知をユーザ端末20に向けて送信し、この送信を契機にそのダウンロードが実行されてもよい。具体的には、地図更新部23がその通知に応答して、自動的にまたはユーザ入力に基づいてプラットフォーマサーバ10に最新の地図データを要求する。地図管理部12はその要求に応答して、地図データベース31から最新のマスタの少なくとも一部のコピーを読み出し、そのコピーをユーザ端末20に向けて送信する。地図更新部23はそのコピーを地図記憶領域22に格納する。
(経路データの抽象化)
図12を参照しながら、経路データを抽象化する処理について説明する。図12はその処理の一例を処理フローS4として示すシーケンス図である。この例では、ユーザ端末20がオリジナル経路データを抽象経路データに変換する。
ステップS41では、ユーザ端末20の経路取得部21がオリジナル経路データを取得する。例えば、経路取得部21は経路検索機能28または経路追跡機能29からオリジナル経路データを取得してもよい。
経路取得部21は、候補経路または計画経路を示すオリジナル経路データを経路検索機能28から取得してもよい。経路検索機能28は所定のユーザ操作に応答して検索条件をプラットフォーマサーバ10に向けて送信する。検索条件は出発地および目的地に加えて、出発日時および到着日時のうちの少なくとも一つ、少なくとも一つの経由地、利用する交通手段、変更経路の条件などのデータ項目を含んでもよい。プラットフォーマサーバ10では、検索部11が地図データベース31を参照して、その検索要求を満たす1以上の移動経路を検索し、検索結果をユーザ端末20に向けて送信する。一例では、経路検索機能28はその検索結果を受信および表示し、これによりユーザはその検索結果を視認することができる。経路取得部21は、検索結果で示される1以上の移動経路の少なくとも一つを示すデータをオリジナル経路データとして取得する。
経路取得部21は、実績経路を示すオリジナル経路データを経路追跡機能29から取得してもよい。経路追跡機能29は所定のユーザ操作に応答してユーザ端末20の現在位置の履歴を実績経路として取得することができる。経路取得部21はその実績経路を示すデータをオリジナル経路データとして取得する。
ステップS42では、ユーザ端末20の抽象化部24がオリジナル経路データを抽象化して抽象経路データを生成する。抽象化部24は1以上のオリジナル経路データのそれぞれを次のように抽象化する。すなわち、抽象化部24はそのオリジナル経路データと地図記憶領域22内の地図データとを参照して、抽象化フラグが「1」である地図要素がオリジナル移動経路上に存在するか否かを判定する。そのような地図要素が1以上存在する場合には、抽象化部24は該1以上の地図要素のそれぞれを抽象化して、抽象経路データを生成する。地図要素を抽象化する具体的な手法は限定されない。例えば、抽象化部24は抽象化フラグが「1」である地図要素をオリジナル経路データから削除してもよい。あるいは、抽象化部24は抽象化フラグが「1」である第1地図要素を、抽象化フラグが「0」であり且つ該第1地図要素の近くに位置する第2地図要素に変換してもよい。オリジナル移動経路が、或るポリゴンノードに属し且つ抽象化フラグが「1」である第1小領域を含むとする。そして、そのポリゴンノードが、抽象化フラグが「0」である第2小領域をさらに含むとする。この場合には、抽象化部24は第1小領域を第2小領域に変換してもよいし、第1小領域をそのポリゴンノードに変換してもよい。或る一つのオリジナル経路データについて、抽象化すべき地図要素が存在しない場合には、抽象化部24はオリジナル経路データをそのまま抽象経路データとして処理してよい。
一例では、抽象化部24はオリジナル移動経路における移動手段の利用料である交通費を算出し、その交通費の情報(単に金額を示す情報)をそのまま残しつつオリジナル経路データを抽象化し、その交通費と対応した抽象経路データを生成してもよい。この場合、交通費はオリジナル経路データに基づいて算出されるため、金額の正確性が担保される。複数の移動手段が利用される場合、交通費は移動手段毎に算出されてもよい。抽象化部24は、算出された交通費の情報を、テキスト、音声などの任意の手法によってユーザに向けて出力し、ユーザに認識させてもよい。出力された交通費の情報を不信に思うユーザ操作に応じて、抽象化部24は交通費を再計算してもよい。
抽象化部24はオリジナル経路データを抽象化したことを示す通知をテキスト、音声などの任意の手法によってユーザに向けて出力してもよい。この通知は、処理されたオリジナル経路データ(すなわちオリジナル移動経路)と、抽象経路データ(すなわち抽象移動経路)との少なくとも一方を示してもよい。この通知によって、移動経路が抽象化された事実、抽象化の前または後の移動経路の詳細などの情報をユーザに伝えることができる。抽象化部24は、抽象移動経路および交通費をプラットフォーマサーバ10に送信する際に、ユーザによる明確な意思を確認してもよい。
ステップS43では、ユーザ端末20の送信部25が抽象経路データをプラットフォーマサーバ10に向けて送信する。プラットフォーマサーバ10では登録部13が抽象経路データを受信する。
ステップS44では、登録部13がその抽象経路データを抽象経路データベース32に登録する。登録部13は、新たな経路IDを生成してその経路IDを抽象経路データに関連付けた上で、その抽象経路データを抽象経路データベース32に格納する。登録された抽象経路データは様々な目的のために様々な事業者または他のユーザによって利用され得る。
処理フローS4では、ユーザ端末20はオリジナル経路データを送信することなく抽象経路データをプラットフォーマサーバ10に向けて送信する。したがって、プラットフォーマサーバ10はオリジナル経路データを取得せず、データベース群30はオリジナル経路データを記憶しない。この結果、オリジナル経路データがサーバ側で参照される状況は生じない。サーバ側にはオリジナル経路データに代えて抽象経路データが提供され、オリジナル経路データはユーザ端末20から外には出ないので、ユーザの移動経路が適切に匿名化される。また、ユーザ端末20は、算出された交通費の情報をプラットフォーマサーバ10に向けて送信する。そのため、プラットフォーマサーバ10はユーザに課金するべき交通費を正確に把握することが可能となり、例えば、交通事業者に代わって、交通費の決済を実行できる。ユーザ端末20は、抽象経路データまたは交通費の情報をプラットフォーマサーバ10に向けて送信する際に、ユーザの明確な意思を確認してもよい。
[プログラム]
コンピュータ110をプラットフォーマサーバ10として機能させるためのプログラムは、コンピュータ110を検索部11、地図管理部12、および登録部13として機能させるためのプログラムコードを含む。コンピュータ110をユーザ端末20として機能させるためのプログラムは、コンピュータ110を経路取得部21、地図記憶領域22、地図更新部23、抽象化部24、および送信部25として機能させるためのプログラムコードを含む。それぞれのプログラムは、CD-ROM、DVD-ROM、半導体メモリなどの非一時的な記録媒体に固定的に記録された上で提供されてもよい。あるいは、それぞれのプログラムは、搬送波に重畳されたデータ信号として通信ネットワークを介して提供されてもよい。提供されたプログラムはストレージ103に記憶される。プロセッサ101がメモリ102と協働してそのプログラムを実行することで、対応する機能モジュールが実現する。
[効果]
以上説明したように、本開示の一側面に係るコンピュータシステムはプロセッサを備える。プロセッサは、地図要素と経路データを抽象化するか否かを示す抽象化フラグとの組合せを示す地図データに基づいて、ユーザの移動経路を示すオリジナル経路データを抽象化して抽象経路データを生成する。
本開示の一側面に係る地図データのデータ構造は、地図要素と経路データを抽象化するか否かを示す抽象化フラグとの組合せを示す。
本開示の一側面に係るプログラムは、地図要素と経路データを抽象化するか否かを示す抽象化フラグとの組合せを示す地図データに基づいて、ユーザの移動経路を示すオリジナル経路データを抽象化して抽象経路データを生成するステップをコンピュータに実行させる。
このような側面においては、地図要素の抽象化フラグに基づいてオリジナル経路データが抽象化されるので、ユーザの移動経路を適切に匿名化できる。
他の側面に係るコンピュータシステムでは、地図要素がリンクおよびノードを含んでもよい。プロセッサは、リンクまたはノードと関連付けられる住宅および世帯の少なくとも一方の個数に基づいて、リンクまたはノードに対応する抽象化フラグを設定してもよい。この仕組みにより、リンクまたはノードの周辺の居住者の数に応じて抽象化フラグを設定できる。
他の側面に係るコンピュータシステムでは、地図要素がリンクおよびノードを含んでもよい。プロセッサは、不特定多数の人の利用を予定する施設とリンクまたはノードとの関連に基づいて、リンクまたはノードに対応する抽象化フラグを設定してもよい。施設が不特定多数の人によって利用されるか否かは個人を特定できるか否かに関係する。この関係を考慮して抽象化フラグを設定することで、ユーザの移動経路を適切に匿名化できる。
他の側面に係るコンピュータシステムでは、地図要素がリンクおよびノードを含んでもよい。プロセッサは、リンクまたはノードの通過人数に基づいて、リンクまたはノードに対応する抽象化フラグを設定してもよい。この仕組みによって、リンクの実際の通行状況に応じて抽象化フラグを設定できる。
他の側面に係るコンピュータシステムでは、地図要素が、第1小領域および第2小領域を含むポリゴンノードを含んでもよい。地図データは、第1小領域を抽象化することを示し、且つ第2小領域を抽象化しないことを示してもよい。プロセッサは、移動経路が第1小領域を含む場合に、第1小領域を第2小領域およびポリゴンノードのいずれか一方に変換して、オリジナル経路データを抽象化してもよい。この仕組みによって、二次元状に広がる地理的領域におけるユーザの移動経路を適切に匿名化できる。
[変形例]
以上、本開示をその実施形態に基づいて詳細に説明した。しかし、本開示は上記実施形態に限定されるものではない。本開示は、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
上記実施形態では、一つの地図要素に対して抽象化フラグが「(抽象化することを示す)1」または「(抽象化しないことを示す)0」のいずれかの値を持つが、この抽象化フラグは日時、季節などの時間的要因毎に設定されてもよい。すなわち、抽象化フラグは多義的であってもよい。たとえば、或る地図要素の抽象化フラグが日中は「0」、夜間は「1」と設定されてもよい。このように抽象化フラグを設定することにより、より詳細に抽象化の要否を設定できる。
上記実施形態では、ユーザ端末20が、抽象経路データベース32への抽象経路データの登録をプラットフォーマサーバ10に実行させるために該抽象経路データを該プラットフォーマサーバ10に向けて送信する。しかし、抽象経路データをサーバに向けて送信する目的はこれに限定されない。端末はサーバに他の処理を実行させるために抽象経路データを該サーバに向けて送信してもよい。
上記実施形態ではデータベース群30を示すが、各データベースのコピーがプラットフォーマおよび複数の事業者のそれぞれに配置されてもよい。この場合には、プラットフォーマおよび複数の事業者の間でデータベースの同期が実行され、これにより各種のデータの整合性が保証される。抽象経路データを記憶するシステムにおいて、ブロックチェーン技術ないし分散型台帳技術が適用されてもよい。
本開示において、第1コンピュータが第2コンピュータ“に向けて”データまたは情報を送信するとは、第1コンピュータが、直接に、または少なくとも一つの通信装置を介して(すなわち間接的に)、第2コンピュータにデータまたは情報を送信することを意味する。
本開示において、「少なくとも一つのプロセッサが、第1の処理を実行し、第2の処理を実行し、…第nの処理を実行する。」との表現、またはこれに対応する表現は、第1の処理から第nの処理までのn個の処理の実行主体(すなわちプロセッサ)が途中で変わる場合を含む概念を示す。すなわち、この表現は、n個の処理のすべてが同じプロセッサで実行される場合と、n個の処理においてプロセッサが任意の方針で変わる場合との双方を含む概念を示す。
コンピュータシステム内で二つの数値の大小関係を比較する際には、「以上」および「よりも大きい」という二つの基準のどちらを用いてもよく、「以下」および「未満」の二つの基準のうちのどちらを用いてもよい。このような基準の選択は、二つの数値の大小関係を比較する処理についての技術的意義を変更するものではない。
少なくとも一つのプロセッサにより実行される方法の処理手順は上記実施形態での例に限定されない。例えば、上述したステップ(処理)の一部が省略されてもよいし、別の順序で各ステップが実行されてもよい。また、上述したステップのうちの任意の2以上のステップが組み合わされてもよいし、ステップの一部が修正または削除されてもよい。あるいは、上記の各ステップに加えて他のステップが実行されてもよい。
以上の実施形態の全部または一部に記載された態様は、移動経路に関する制御、処理速度の向上、処理精度の向上、使い勝手の向上、データを利用した機能の向上または適切な機能の提供その他の機能向上または適切な機能の提供、データおよび/またはプログラムの容量の削減、装置および/またはシステムの小型化等の適切なデータ、プログラム、記録媒体、装置および/またはシステムの提供、並びにデータ、プログラム、装置またはシステムの制作・製造コストの削減、制作・製造の容易化、制作・製造時間の短縮等のデータ、プログラム、記録媒体、装置および/またはシステムの制作・製造の適切化のいずれか一つの課題を解決する。