JP2022073223A - 食品組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】肌に潤いを与え得る、あるいは、肌のバリア機能を増強若しくは回復させ得る、新規な手法の提供。【解決手段】分子量500万以上のプロテオグリカンを含有する、角層水分量保持若しくは回復用食品組成物。【選択図】なし

Description

本開示は、食品組成物等に関し、詳細にはプロテオグリカンを含有する食品組成物に関する。なお、本明細書に記載される全ての文献の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
肌に潤いを与え、また肌のバリア機能を増強若しくは回復させることは、特に女性に需要が高い。このため、このような種々の機能を好ましく奏する方法が求められている。
国際公開第2011/007885号 国際公開第2014/017570号 国際公開第2012/099224号 国際公開第2012/099216号 特開2017-066097号公報
本発明者らは、肌に潤いを与え得る、あるいは、肌のバリア機能を増強若しくは回復させ得る、新規な手法の開発を主な目的として検討を行った。
本発明者らは、特に高分子量のプロテオグリカンを経口摂取することにより、上記課題を解決し得る可能性を見出し、さらに改良を重ねた。
本開示は例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
分子量500万以上のプロテオグリカンを含有する、角層水分量保持若しくは回復用食品組成物。
項2.
分子量500万以上のプロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物を含む、項1に記載の食品組成物。
項3.
界面活性剤が皮膚に適用されたことにより減少した角層水分量を回復させるための、項1又は2に記載の食品組成物。
項4.
界面活性剤が皮膚に適用されたことにより角層水分量が減少した人に用いられる、項1又は2に記載の食品組成物。
肌に潤いを与え得る、あるいは、肌のバリア機能を増強若しくは回復させ得る、新規な食品組成物が提供される。
高分子量プロテオグリカンを含む魚類軟骨水抽出物(サンプルNo.10)を、ゲル濾過クロマトグラフィーにより解析して得たウロン酸量クロマトグラム及び280nmタンパク質量クロマトグラムを重ねて描いた図を示す。 高分子量プロテオグリカンを含む魚類軟骨水抽出物(サンプルNo.10)を、ゲル濾過クロマトグラフィーにより解析して得たウロン酸量クロマトグラムを各分子量マーカーが溶出されたフラクションの位置とともに示す。 高分子量プロテオグリカンを含む魚類軟骨水抽出物(サンプルNo.10)をイオン交換クロマトグラフィーで解析して得たウロン酸量クロマトグラムを示す。 図2のプロテオグリカン画分をゲル濾過クロマトグラフィーで解析して得たウロン酸量クロマトグラム及び280nmタンパク質量クロマトグラムを示す。 SLS(ラウリル硫酸ナトリウム)水溶液処理による経表皮水分蒸散量(TEWL)の増加とその回復の程度について、プロテオグリカン経口摂取が及ぼす影響について検討した結果を、コントロールに対する比で示す。(プロテオグリカンの5週間経口摂取の前後に、その都度SLS処理を行い、SLSによって与えられるダメージの強さが変わるか、その後の回復速度が変わるか、を評価している。) SLS(ラウリル硫酸ナトリウム)水溶液処理により紅斑が生じた皮膚において、プロテオグリカン経口摂取により当該紅斑の色(a値)がどう変化するか検討した結果を、コントロールに対する比で示す。(プロテオグリカンの5週間経口摂取の前後に、その都度SLS処理を行い、SLSによって与えられるダメージの強さが変わるか、その後の回復速度が変わるか、を評価している。) SLS(ラウリル硫酸ナトリウム)水溶液処理により紅斑が生じた皮膚において、プロテオグリカン経口摂取により当該紅斑の色(a値)がどう変化するか検討した結果の一例を示す。 SLS(ラウリル硫酸ナトリウム)水溶液処理により角層水分量が減少した皮膚において、プロテオグリカン経口摂取により角層水分量がどう変化するか検討した結果を示す。(プロテオグリカンの5週間経口摂取の前後に、その都度SLS処理を行い、SLSによって与えられるダメージの強さが変わるか、その後の回復速度が変わるか、を評価している。) SLS(ラウリル硫酸ナトリウム)水溶液処理により経表皮水分蒸散量(TEWL)が増加した皮膚(上腕)において、プロテオグリカン経口摂取によりTWELがどう変化するか検討した結果を、コントロールに対する差で示す。(プロテオグリカンの5週間経口摂取の前後に、その都度SLS処理を行い、SLSによって与えられるダメージの強さが変わるか、その後の回復速度が変わるか、を評価している。) SLS(ラウリル硫酸ナトリウム)水溶液処理により経表皮水分蒸散量(TEWL)が増加した皮膚(上腕)において、プロテオグリカン経口摂取によりTWELがどう変化するか検討した結果を、SLS刺激5時間後のコントロール差を0とした時の24時間後及び48時間後の差で示す。(プロテオグリカンの5週間経口摂取の前後に、その都度SLS処理を行い、SLSによって与えられるダメージの強さが変わるか、その後の回復速度が変わるか、を評価している。) SLS(ラウリル硫酸ナトリウム)水溶液処理により紅斑が生じた皮膚(前腕)において、プロテオグリカン経口摂取により当該紅斑の色(a値)がどう変化するか検討した結果を、コントロールに対する差で示す。(プロテオグリカンの5週間経口摂取の前後に、その都度SLS処理を行い、SLSによって与えられるダメージの強さが変わるか、その後の回復速度が変わるか、を評価している。) プロテオグリカン経口摂取により角層水分量がどう変化するか検討した結果を示す。(プロテオグリカンの5週間経口摂取の前後に、その都度SLS処理を行い、SLSによって与えられるダメージの強さが変わるか、その後の回復速度が変わるか、を評価している。) プロテオグリカンを経口摂取した対象に対して、肌全体の状態についてアンケートをとり、集計した結果を示す。 プロテオグリカンを経口摂取した対象に対して、健康状態についてアンケートをとり、集計した結果を示す。 [検討1]の試験スケジュールの概要を示す。 [検討2]の試験スケジュールの概要を示す。
以下、本開示に包含される各実施形態について、さらに詳細に説明する。本開示は、食品組成物及びその製造方法等を好ましく包含するが、これらに限定されるわけではなく、本開示は本明細書に開示され当業者が認識できる全てを包含する。
本開示に包含される食品組成物は、高分子量のプロテオグリカンを含有する。以下、本開示に包含される当該食品組成物を「本開示の組成物」ということがある。
プロテオグリカンは、グリコサミノグリカン(ムコ多糖)及びタンパク質が結合した構造を有する化合物である。グリコサミノグリカンは、2糖の繰り返し構造を有する酸性糖であり、具体的にはコンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸等が例示できる。これら酸性糖成分が有する2糖の繰り返し構造において、当該2糖のうち通常1つはアミノ糖、もう1つはウロン酸である。従って、プロテオグリカンの検出には、ウロン酸検出法の常法の1つであるカルバゾール硫酸法を用いることができる。
また、タンパク質に、櫛の歯状にグリコサミノグリカンが結合した化合物はプロテオグリカンモノマーとも呼ばれる(プロテオグリカンモノマーにおける当該タンパク質はコアタンパク質と呼ばれる。)。特に生体内では、このプロテオグリカンモノマーがリンクタンパク質を介してヒアルロン酸と結合した会合体を形成していると考えられており、当該会合体はプロテオグリカン集合体(proteoglycanaggregate)とも呼ばれる。本明細書における用語「プロテオグリカン」は、特に断らない限り、プロテオグリカンモノマー及びプロテオグリカン集合体を包含する意味で用いられる。なお、ヒアルロン酸もグリコサミノグリカンの一種である。
なお、本開示の組成物に含まれる高分子量プロテオグリカンは、下述するように特定の方法により魚類軟骨から調製される水抽出物に含有される形で得られる。従って、本開示の組成物の好ましい一形態は、当該魚類軟骨水抽出物を含有する食品組成物ということができる。
本開示の組成物に含まれる高分子量プロテオグリカンは、具体的には分子量40万以上のプロテオグリカンであり、50万、60万、70万、80万、90万、100万、110万、120万、130万、140万、150万、160万、170万、180万、190万、200万、210万、220万、230万、240万、250万、260万、270万、280万、290万、300万、310万、320万、330万、340万、350万、360万、370万、380万、390万、400万、410万、420万、430万、440万、450万、460万、470万、480万、490万、又は500万以上であってもよい。また、本開示の組成物に含まれる高分子量プロテオグリカンは、好ましくは40万~2000万のプロテオグリカンである。当該範囲(40万~2000万)の上限又は下限は、例えば50万、60万、70万、80万、90万、100万、110万、120万、130万、140万、150万、160万、170万、180万、190万、200万、210万、220万、230万、240万、250万、260万、270万、280万、290万、300万、310万、320万、330万、340万、350万、360万、370万、380万、390万、400万、410万、420万、430万、440万、450万、460万、470万、480万、490万、500万、510万、520万、530万、540万、550万、560万、570万、580万、590万、600万、610万、620万、630万、640万、650万、660万、670万、680万、690万、700万、710万、720万、730万、740万、750万、760万、770万、780万、790万、800万、810万、820万、830万、840万、850万、860万、870万、880万、890万、900万、910万、920万、930万、940万、950万、960万、970万、980万、990万、1000万、1010万、1020万、1030万、1040万、1050万、1060万、1070万、1080万、1090万、1100万、1110万、1120万、1130万、1140万、1150万、1160万、1170万、1180万、1190万、1200万、1210万、1220万、1230万、1240万、1250万、1260万、1270万、1280万、1290万、1300万、1310万、1320万、1330万、1340万、1350万、1360万、1370万、1380万、1390万、1400万、1410万、1420万、1430万、1440万、1450万、1460万、1470万、1480万、1490万、1500万、1510万、1520万、1530万、1540万、1550万、1560万、1570万、1580万、1590万、1600万、1610万、1620万、1630万、1640万、1650万、1660万、1670万、1680万、1690万、1700万、1710万、1720万、1730万、1740万、1750万、1760万、1770万、1780万、1790万、1800万、1810万、1820万、1830万、1840万、1850万、1860万、1870万、1880万、1890万、1900万、1910万、1920万、1930万、1940万、1950万、1960万、1970万、1980万、又は1990万であってもよい。例えば当該範囲は40万~500万であってもよい。例えば、魚類軟骨水抽出物を、下記条件のゲル濾過クロマトグラフィーにより処理し、得られる各フラクションに含まれるウロン酸量(プロテオグリカン量を反映する)をカルバゾール硫酸法で定量し、当該ウロン酸量に基づくクロマトグラムを作成することにより、上記の分子量以上のプロテオグリカンの存在を確認することができる。このようなウロン酸量に基づくクロマトグラムを以下「ウロン酸量クロマトグラム」ということがある。また、各フラクションの280nmでの吸光度を測定することで、含まれるタンパク質量を相対値化し(すなわち、含まれるタンパク質量を反映する値とし)、当該吸光度に基づくクロマトグラムを描くこともできる。このようなクロマトグラムを以下「280nmタンパク質量クロマトグラム」ということがある。
〔ゲル濾過クロマトグラフィー条件〕
カラム:SepharoseCL-2B 充填カラム(Sepharose CL-2Bを担体としてφ1cm×50cmのカラムに充填したもの。Sepharose CL-2Bのデキストランの分画範囲は100~20,000kDaであり、GE Healthcare社等から入手できる。Sepharose CL-2Bは、2%架橋アガロース、粒子径60~200μm(レーザー回折散乱法による)、CAS登録番号65099-79-8である。)
バッファー:0.1Mリン酸緩衝液(pH 7.1, 0.2M NaCl含有)
アプライサンプル量:魚類軟骨水抽出物4mg(乾燥質量換算)(1mLバッファーに溶解させて使用)
流速: 0.15mL/min
分画フラクション量:1mL/tube
分子量検量線:次の各種デキストラン分子量マーカーについて上記と同様の条件でゲル濾過クロマトグラフィーを行い、糖検出のための周知の方法であるフェノール・硫酸法により各フラクションの吸光度(デキストラン量を反映する)を測定し、各マーカーが溶出されたフラクションを求め、当該条件のゲル濾過クロマトグラフィーの各フラクションに含まれる成分の分子量を反映する検量線を作成する。“各マーカーが溶出されたフラクション”とは、各マーカーが最も多く溶出されたフラクションをいう。換言すれば、各デキストラン分子量マーカーをゲル濾過した際の、デキストラン量を反映するクロマトグラムにおけるピークトップに相当するフラクションである。
<デキストラン分子量マーカー>
Dextran from Leuconostoc mesenteroides(mol wt 5,000,000-40,000,000)(SIGMA)・・・カラムのvoid volume測定用、20000kDa
Dextran Standard 1,400,000(SIGMA)・・・1400kDa
Dextran Standard 670,000(SIGMA) ・・・670kDa
Dextran Standard 410,000(SIGMA) ・・・410kDa
Dextran Standard 270,000(SIGMA) ・・・270kDa
但し、Dextran from Leuconostoc mesenteroidesについては、これに含まれる低分子のデキストランを除去する前処理を行った後、マーカーとして用いる。当該前処理は、上述の〔ゲル濾過クロマトグラフィー条件〕によりDextran from Leuconostoc mesenteroidesそのものを溶出させ、分子量20,000kDa以上の分子を回収し、凍結乾燥させることで行う。具体的には、フェノール・硫酸法により各フラクションの吸光度を測定して作成した、デキストラン量を反映するクロマトグラムにおいて、最初に出現したピークに相当するフラクションを回収し、これを凍結乾燥する(これにより、分子量20,000kDa以上の分子を回収、凍結乾燥できると考えられる)。この凍結乾燥物を実際にマーカー(カラムのvoidvolume測定用)として用いる。
デキストラン量を反映するクロマトグラムを得るための吸光度測定は、Hodge, J. E. and Hofreiter, B. T., Method in Carbohydrate Chemistry, 1, 338 (1962)に記載の方法(フェノール・硫酸法)に従う。具体的には、次のようにして行う。
〔1〕105×15mmの試験管に試料水溶液を500μL加える。
〔2〕フェノール試薬(5 v/v%フェノール水溶液)を500μL加え、撹拌する。
〔3〕濃硫酸を2.5mL加え、すぐに10秒間激しく撹拌する。
〔4〕室温に20分以上放置する。
〔5〕分光光度計で490nmの吸収を測定する。
なお、カルバゾール硫酸法とは、ウロン酸(グルクロン酸(GlcA)、イズロン酸等)の発色色素であるカルバゾール溶液を測定検体に添加し、分光光度計を用いて吸光度を測定し、当該吸光度を基にウロン酸量を算出する周知の方法である。濃度を規定したグルクロン酸標準溶液を用いて検量線を作成し、検体中のグルクロン酸含量を求める。より具体的には、次のようにして行う。ホウ酸ナトリウム・10水和物0.95gを濃硫酸100mLに溶解した試薬2.5mLを試験管にとり、氷冷する。これに被検体0.5mL(2~20μgのウロン酸を含むようにするのが好ましい)を静かに重層する。室温以上にならないように水冷しながらよく攪拌する。ガラス球で蓋をした後に、沸騰湯浴中で10分間加熱し、室温まで水冷する。これに、カルバゾール125mgを無水メチルアルコール100mLに溶解した試薬を0.1mL加えて混合し、更に15分間沸騰湯浴中で加熱する。その後、室温まで水冷し530nmにおける吸光度を測定する。ブランクは蒸留水0.5mLを用いる。同時に、グルクロン酸を用いて検量線を作成する。(下述する実施例のカルバゾール硫酸法も、ここに記載した方法で行った。)
特に限定はされないが、乾燥質量換算で、魚類軟骨水抽出物に含まれるウロン酸量(カルバゾール硫酸法により定量)全量のうち、10質量%以上は、分子量180万以上のプロテオグリカンに由来するのが好ましい。換言すれば、魚類軟骨水抽出物は、乾燥質量換算で、分子量180万以上のプロテオグリカンが含むウロン酸量が、抽出物に含まれるウロン酸全量の10質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、又は55質量%以上である。当該割合は大きい程好ましい。
また、魚類軟骨水抽出物は、乾燥質量換算で、分子量250万以上のプロテオグリカンが含むウロン酸量が、抽出物に含まれるウロン酸全量の10質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、又は60質量%以上である。当該割合は大きい程好ましい。
また、特に限定はされないが、魚類軟骨水抽出物は、乾燥質量換算で、分子量500万以上のプロテオグリカンが含むウロン酸量が、抽出物に含まれるウロン酸全量の7質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、10質量%以上、13質量%以上、16質量%以上、20質量%以上、24質量%以上、27質量%以上、30質量%以上、34質量%以上、又は37質量%以上である。当該割合は大きいほど好ましい。
なお、特定の分子量(仮にXとする)以上のプロテオグリカンが含むウロン酸量が、抽出物に含まれるウロン酸全量のどの程度の割合を占めるのかは、上述したウロン酸量クロマトグラムのピーク面積から求めることができる。具体的には、当該ウロン酸量クロマトグラムのピーク面積全体に対して、分子量X以上のウロン酸が占める面積割合を求めればよい。より具体的には、縦軸がウロン酸量、横軸がフラクションNo.であるウロン酸量クロマトグラムにおいて、分子量Xのプロテオグリカンを含むフラクションを通るように垂線を引き、その垂線で分断されたピーク部分のうち、分子量のより大きいプロテオグリカンを含むピーク部分の面積が、ピーク全体の面積のどの程度の割合を占めるかを求めればよい。
なお、魚類軟骨水抽出物に含まれるウロン酸は、プロテオグリカンに含まれるものの他、プロテオグリカンから分断された糖鎖に含まれるもの等も想定される。
また、魚類軟骨水抽出物に含まれるウロン酸量(カルバゾール硫酸法により測定)は、乾燥質量換算で、当該抽出物の好ましくは5質量%以上、より好ましくは7.5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、よりさらに好ましくは12.5質量%以上、なお好ましくは15質量%以上、特に好ましくは17.5質量%以上である。なお、本明細書(特に図表)において、ウロン酸量を示す際にグルクロン酸の略記であるGlcAを用いて「GlcA(μg)」などと表す場合がある。なお、魚類軟骨水抽出物に含まれるプロテオグリカン中のグリコサミノグリカンは、ほぼコンドロイチン硫酸と考えられる。そして、おおよそのコンドロイチン硫酸量は、ウロン酸量に係数2.593を乗ずることで求められることが知られている。よって、本発明の魚類軟骨水抽出物に含まれるおおよそのプロテオグリカン量は、ウロン酸量に係数2.593を乗ずることで算出できる。
魚類軟骨水抽出物は、魚類軟骨(魚類の軟骨)から抽出される。魚類としては、サケ科サケ属の魚が好ましく、具体的にはマス(カラフトマス、サクラマス、サツキマス等)、サケ(シロザケ、ベニザケ、ギンザケ、マスノスケ、スチールヘッド等)、等が例示される。また、サメ、タラ等も用いることができる。特にサケ又はマスが好ましい。また、軟骨としては、特に制限されないが、頭部軟骨、中でも鼻軟骨が好ましい。また、通常、魚類(特にサケやマス)が食品製品等へ加工される際に頭部は廃棄されることから、頭部軟骨の入手コストは安く、大量に安定供給され得るという利点もある。魚類軟骨水抽出物としては、サケ鼻軟骨水抽出物が最も好ましい。
抽出は、水を用いて行われる。魚類軟骨は、生体から採取した軟骨をそのまま抽出に供してもよく、微細化(より具体的には、小片化又は粉末化)してから抽出に供してもよい。また、下述するように、抽出前に例えばエタノールなどの有機溶媒を用いて魚類軟骨に脱脂処理を施しても良い。このようにして、水によりプロテオグリカン(高分子量プロテオグリカンを含む)を抽出することができる。また、あるいは、水抽出を行う際、水を加熱しつつ行なうことにより、もしくは熱水や沸騰水を用いることにより、効率的により効果が高い魚類軟骨水抽出物を得ることができる。
上記の通り、生体から採取した魚類軟骨をそのまま抽出に供することができる。抽出に供するまで、凍結して保存しておくことが好ましい。凍結方法は特に制限されず、公知の凍結方法を用いることができる。例えば、フリーザーを用いて、魚類軟骨を-20~-80℃程度で24~72時間程度保存する方法が例示できる。また、魚類軟骨は、脱脂(すなわち脂肪除去)処理されているものを用いることもできる。脱脂処理されたものを用いることで、脂質の混入が少ない精製度の高い魚類軟骨水抽出物を得ることができる点で好ましい。脱脂処理方法としては、下述する「脱脂処理された魚類軟骨」を得る方法が例示できる。
小片化魚類軟骨は、魚類軟骨を小片化したものである。小片化は、公知の方法により行うことができる。例えば、公知のブレンダーやミル等の機器を用いて、魚類軟骨(好ましくは凍結魚類軟骨)を小片化することができる。小片化操作は、できるだけ低温で行うことが好ましい。例えば、小片化された魚類軟骨が凍結状態を保持可能な温度であることが好ましい。具体的には0℃以下が例示できる。
また、小片化魚類軟骨は、抽出効率の観点からは、凍結された小片化魚類軟骨(凍結小片化魚類軟骨)であることが好ましい。凍結小片化魚類軟骨は、(i)魚類軟骨を凍結した後小片化することで、又は(ii)魚類軟骨を小片化した後凍結することで、得ることができるが、(i)により得られるものが特に好ましい。凍結方法は特に制限されず、公知の凍結方法を用いることができる。例えば、フリーザーを用いて、魚類軟骨を-20~-80℃程度で24~72時間程度保存する方法が例示できる。
小片化魚類軟骨又は凍結小片化魚類軟骨は、1小片あたり0.001~0.5g程度が好ましく、0.005~0.3g程度がより好ましく、0.01~0.1g程度がさらに好ましい。小片化操作は、このような小片が得られるように行われるのが好ましい(使用機器条件を検討することにより、このような小片が得られる機器使用条件は簡単に決定できる)。
粉末化魚類軟骨は、魚類軟骨を粉末化したもの(魚類軟骨粉末)である。粉末化は、公知の方法により行うことができる。例えば、公知のブレンダーやミル等の機器を用いて、魚類軟骨(好ましくは凍結魚類軟骨)を粉末化することができる。粉末化操作は、できるだけ低温(例えば0℃以下)で行うことが好ましい。
また、粉末化魚類軟骨は、抽出効率の観点からは、凍結された粉末化魚類軟骨(凍結粉末化魚類軟骨)であることが好ましい。凍結粉末化魚類軟骨は、(i’)魚類軟骨を凍結した後粉末化することで、又は(ii’)魚類軟骨を粉末化した後凍結することで、得ることができるが、(i’)により得られるものが特に好ましい。凍結方法は特に制限されず、公知の凍結方法を用いることができる。例えば、フリーザーを用いて、魚類軟骨を-20~-80℃程度で24~72時間程度保存する方法が例示できる。
なお、「粉末」は「小片」に比べて、小さいものを指すが、明確に区別することを意図する訳ではない。魚類軟骨を微細化したもののうち、比較的大きめの欠片のものを「小片」、比較的小さめの欠片のものを「粉末」と称している。従って、特に制限される訳ではないが、粉末としては、粒径約10~1000μm程度、好ましくは50~500μm程度、より好ましくは100~200μm程度(レーザー回折散乱法により測定)の粒径を有する粒子を含む粉末が望ましい。これらの粒径を有する粒子は、粉末中多く(例えば50質量%以上、好ましくは70質量%以上)含まれることが好ましい。
用いられる小片化魚類軟骨又は粉末化魚類軟骨は、脱脂(すなわち脂肪除去)されているものも使用できる。つまり、小片化脱脂魚類軟骨又は粉末化脱脂魚類軟骨も使用できる。脱脂処理されたものを用いることで、脂質の混入が少ない精製度の高い魚類軟骨水抽出物を得ることができるからである。小片化脱脂魚類軟骨又は粉末化脱脂魚類軟骨は、(α)脱脂処理された魚類軟骨を小片化又は粉末化することにより、あるいは(β)魚類軟骨を小片化又は粉末化した後に脱脂処理することにより、得ることができる。
脱脂方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、上記(α)において魚類軟骨を脱脂処理する方法としては、例えば、魚類軟骨を1~24時間程度流水(例えば水道蛇口からの流水)にさらす方法が例示される。また、魚類軟骨の入手は公知の方法で行うことができ、例えば魚類組織(好ましくは魚類頭部)を水に1~24時間程度漬けて膨潤させ、軟骨(好ましくは鼻軟骨)以外の組織を除去する方法や、あるいは、凍結サケ頭部を解凍後、直ちに鼻軟骨を取り出し、さらに流水に1~24時間程度さらして洗浄及び脱脂する方法が例示される。肉片等が残存する場合は、ピンセット等により残存する肉片等を取り除くことが好ましい。なお、この段階では魚類軟骨は小片化又は粉末化されていないため、流水にさらす等しても、ほとんどプロテオグリカンは抽出されないと考えられる。また、下記の(β)の場合と同様に、有機溶媒により脂質を抽出除去する方法も用いることができる。
また、例えば、(β)において、小片化魚類軟骨又は粉末化魚類軟骨を脱脂処理する方法としては、例えば、有機溶媒により脂質を抽出除去する方法が例示される。有機溶媒としては、エタノール、ヘキサン、アセトン等が例示される。より具体的には、上記(β)の方法として、特開2009-173702号公報に記載される方法を好ましく用いることができる。つまり、例えば、以下の工程A~Eを含む方法により、粉末化脱脂魚類軟骨を得、これを本発明に用いることができる(より詳細な条件も特開2009-173702号公報に記載されている)。
A.凍結した水棲動物組織(魚類組織)を破砕し、これに水を加え、温度0~20℃、pH4.8~7で処理する工程
B.Aの固液混合物を遠心分離し、最上部の脂質層と中間層の水層を取り除き、沈殿物を回収する工程
C.沈殿物を乾燥し、微粉末化する工程
D.得られた乾燥微粉末に、溶媒としてヘキサン、アセトン又はエタノールを加え、残存脂質を抽出除去する工程
E.溶媒を除去する工程
なお、凍結処理及び脱脂処理が両方なされた小片化魚類軟骨又は粉末化魚類軟骨(凍結小片化脱脂魚類軟骨又は凍結粉末化脱脂魚類軟骨)を用いるのが、さらに好ましい。これらは、例えば、脱脂処理された魚類軟骨を凍結し、これを小片化又は粉末化することにより得ることができる。
これらの脱脂方法は、小片化魚類軟骨又は粉末化魚類軟骨だけでなく、生体から採取した軟骨そのものにも適用できる。
魚類軟骨(小片化魚類軟骨及び粉末化魚類軟骨を含む。なお、以下小片化魚類軟骨及び粉末化魚類軟骨まとめて「微細化魚類軟骨」ということがある。)は水抽出に供される。水抽出に用いる水(以下「抽出水」という場合がある)としては、例えば、ミリQ水、蒸留水、脱イオン水、精製水、水道水等が例示される。また、抽出水のpHは、通常5.5~8.0程度、好ましくはpH6.0~7.5程度、より好ましくはpH6.5~7.5程度である。酸やアルカリ、塩基類などpHを大きく変動される物質を溶解させるのは好ましくない。なお、有機酸や無機酸等の酸化合物や水酸化ナトリウム等のアルカリ化合物を抽出水に添加すると、高分子量プロテオグリカン(特に分子量が1000万を超える高分子量プロテオグリカン)が減少若しくは消失するため、酸化合物やアルカリ化合物は添加しないことが好ましい。なお、限定的な解釈を望むものではないが、これは、酸化合物やアルカリ化合物の影響により、抽出処理中にプロテオグリカン集合体が崩壊することが原因ではないかと推測される。
水抽出は、例えば、魚類軟骨を水に適当時間(例えば30分以上、好ましくは30分~24時間程度、より好ましくは1~12時間程度、さらに好ましくは2~6時間程度、よりさらに好ましくは3~4時間程度)浸漬させることで行うことができる。水の量は、特に制限されないが、例えば抽出に供される小片化魚類軟骨又は粉末化魚類軟骨が全て水に浸かる程度の量が例示される。水抽出の際、静置してもよいし、撹拌してもよい。撹拌することが好ましい。また、抽出時の水の温度は、特に制限はされないが、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上である。そのため、抽出時に加温してもよいし、抽出前に予め温めておいてもよい。加熱温度(すなわち用いる水の温度)は、具体的には、好ましくは50~100℃程度、より好ましくは70~100℃程度、さらに好ましくは80~100℃程度、よりさらに好ましくは90~100℃程度が例示される。また、加圧下で加熱してもよい。また、加熱を行う場合は、高分子量プロテオグリカンが熱により分解されるおそれがあるため、加熱された抽出水を抽出処理中に置換してもよい。抽出水を置換する場合の各抽出水における抽出時間間隔は、例えば15分~4時間毎、好ましくは30分~2時間又は1時間程度が例示される。好ましい一態様としては、魚類軟骨に、これらを全量浸漬できる量の水(好ましくは加熱された水)を加え、3~4時間加熱しつつ静置若しくは撹拌する、という方法が挙げられる。また、他の好ましい一態様としては、“魚類軟骨に、これらを全量浸漬できる量の水(好ましくは加熱された水)を加え、1時間加熱しつつ静置し、この水を回収する”という工程を4回繰り返す方法が挙げられる(この場合、合計4時間の水抽出を行うことになる)。
水抽出後は、液体部分を回収することで、魚類軟骨水抽出物を得ることができる。液体部分の回収は、例えば遠心分離(例えば5000rpm、20分、4℃での遠心分離が例示できる)処理や連続遠心分離処理などを行い、上清を回収することで行い得る。当該液体(上清)をそのまま本発明の魚類軟骨水抽出物として用いてもよいし、公知の方法により更に精製(例えば脱脂)してもよい。あるいは、減圧蒸留法等により、濃縮してもよい。またあるいは、凍結乾燥法やスプレードライ法等により、乾燥や粉末化してもよい。
例えば上記のようにして得られる、高分子量プロテオグリカン(あるいは高分子量プロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物)を、本開示の組成物に好ましく用いることができる。
本開示の組成物は、皮膚バリア機能の増強若しくは改善、皮膚保水性の改善、皮膚の炎症の改善等に好ましく用いることができる。
皮膚バリア機能としては、より具体的には、経表皮透過蒸散水分量(TEWL)を指標とすることができる。TEWL値が大きいほど皮膚バリア機能(皮膚の外から体内への異物の侵入を防ぐ機能及び体内の水分が外へ逃げていくのを防ぐ機能)が低下していることを示す。よって、本開示の組成物は、より具体的には、経表皮透過蒸散水分量(TEWL)の上昇抑制効果を好ましく奏するということができる。
皮膚保水性としては、角層水分量を測定することにより計測することができる。なお、経表皮透過蒸散水分量(TEWL)及び角層水分量はマルチプローブ式皮膚計測器により計測される。
本開示の組成物には、高分子量プロテオグリカン(あるいは高分子量プロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物)の他に、食品分野で用いられる公知の成分を含有することができる。このような成分としては、例えば、食品衛生学上許容される基剤、担体、添加剤や、その他食品として利用され得る成分・材料等が挙げられる。例えば、高分子量プロテオグリカン(あるいは高分子量プロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物)とこれらの成分を適宜配合・混合して本開示の組成物を調製することができる。
より具体的には、例えば、本発明の魚類軟骨水抽出物を含む、加工食品、飲料、栄養補助食品、特別用途食品(病者用食品、特定保健用食品、えん下困難者用食品等)、美容食品等が例示できる。さらに、このような本発明に係る飲食品組成物からなる保湿剤、抗皮膚老化剤も本発明に包含される。当該保湿剤、抗皮膚老化剤は、美容用や抗皮膚老化用(例えば乾燥肌、肌荒れ、肌のシワ・たるみ等の予防又は改善用)のドリンク剤、錠剤、タブレット剤、カプセル剤、顆粒剤、ゼリー剤、トローチ剤、ペースト剤、粘稠剤、粉末剤、ブロックバーなどの形態で供給され得る。
また、本開示の組成物は、肌に潤いを与え、また肌のバリア機能を増強若しくは回復させ得ることから、特に肌荒れ改善用として好ましく用いることができる。中でも、界面活性剤による肌荒れを改善するために有用である。個々での界面活性剤による肌荒れとしては、界面活性剤を用いた洗浄剤(例えば手洗いや食器洗い等のための洗浄剤)の使用により肌がダメージを受けて生じる肌荒れが好ましく例示される。
本開示の組成物における、高分子量プロテオグリカン、あるいは高分子量プロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物の配合量は、上記効果が発揮される限り特に制限はされず、例えば、0.0005~100質量%、より好ましくは0.005~90質量%、さらに好ましくは0.05~80質量%が挙げられる。
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term "comprising" includes "consisting essentially of” and "consisting of.")。また、本開示は、本明細書に説明した構成要件を任意の組み合わせを全て包含する。
また、上述した本開示の各実施形態について説明した各種特性(性質、構造、機能等)は、本開示に包含される主題を特定するにあたり、どのように組み合わせられてもよい。すなわち、本開示には、本明細書に記載される組み合わせ可能な各特性のあらゆる組み合わせからなる主題が全て包含される。
以下、例を示して本開示の実施形態をより具体的に説明するが、本開示の実施形態は下記の例に限定されるものではない。
サケ鼻軟骨からのプロテオグリカンの抽出検討
<抽出に用いた試料>
以下のようにして調製した脱脂サケ鼻軟骨粉末を、プロテオグリカン抽出検討に用いた。なお、サケ鼻軟骨としては、凍結サケ頭部を解凍後、直ちに鼻軟骨を取り出し、さらに流水に6時間さらして洗浄及び脱脂した後、さらにピンセットで肉片等を取り除き、手で水洗いして得られたサケ鼻軟骨を用いた。
サケ鼻軟骨をフリーザーに保存して凍結させ、これを凍結サケ鼻軟骨ブロックとして用いた。なお、用いたサケ頭部の大きさにもよるが、凍結サケ鼻軟骨ブロックは、およそ、大きさ 2.5×1.5 ~ 4.5×2 cm、重さ 1.71 ~ 6.91 gの塊(7個あたりの平均の重さは3.701g)であった。
得られた凍結サケ鼻軟骨ブロックを用いて、特許文献6(特開2009-173702号公報)の実施例1に記載の方法により、脱脂サケ鼻軟骨粉末を得た。凍結サケ鼻軟骨ブロック100gから、脱脂サケ鼻軟骨粉末は5.83g得られた。
特許文献6の実施例1の記載を次に抜粋する。
『凍結サケ鼻軟骨100gを破砕し、これに15℃の水道水を同容量加え、緩やかに撹件して十分混ぜ合わせ、5℃前後に維持された混合物をただちに遠心分離器9,000rpm、30分、4℃で遠心分離し、脂質とプロテオグリカン他組成物を分けた。遠心分離層は3層に分かれ、最上部の脂質層と中間層の水層を取り除き、沈殿物を回収した。沈殿物は凍結乾燥後、遠心式粉砕機で粉砕し、水脱脂微粉末を得た。この段階で、一部をエーテル抽出にて脂質を測定した結果、脂質は8.8%残存しており、脱脂前の脂質を100%とした場合の除去率は75.0%となり、弱い異臭を含んでいた。ついで、水脱脂微粉末に10倍容量のエタノールを加えて、異臭を含む脂質を溶解抽出した。本操作を2回繰り返してエタノール溶液を濾過除去し、溶媒を蒸発させると微黄褐色無臭のプロテオグリカン組成物粉末を得た。サケ鼻軟骨に対する収率58.7%(ドライベース)、プロテオグリカン含有率77.7%であった。プロテオグリカン組成物粉末の異臭は全く消失した。』
特許文献6実施例1の「凍結サケ鼻軟骨」は、上記「凍結サケ鼻軟骨ブロック」に相当する。また、「ドライベース」とは、乾燥質量換算のことである。
上記脱脂サケ鼻軟骨粉末20gに1000mLの常温の精製水(pH6.5)を加え、30分間撹拌した後、遠心分離(8000rpm,30分,4℃)を行い、上清を回収し、当該上清を凍結乾燥して魚類軟骨水抽出物を得た。当該魚類軟骨水抽出物を以下サンプルNo.10とよぶことがある。
このサンプルNo.10を、下記条件のゲル濾過クロマトグラフィーにより各フラクションに分離した。そして、各フラクションに含まれるウロン酸量をカルバゾール硫酸法により定量した。また、各フラクションの280nmでの吸光度を測定し、当該吸光度を、含まれるタンパク質量を反映する値とした。そして、これらの結果を基にして、ウロン酸量クロマトグラム及び280nmタンパク質量クロマトグラムを描いた。ウロン酸量クロマトグラム及び280nmタンパク質量クロマトグラムを重ねて描いた図を図1aに、また、ウロン酸量クロマトグラムにおいて各分子量マーカーが溶出されたフラクションの位置を示した図を図1bに、それぞれ示す。なお、ゲル濾過クロマトグラフィーの分画フラクション量は下記の通り 1mL/tubeとしたため、図1の横軸「Elution Volume(mL)」は、フラクションNo.も反映する。
『〔ゲル濾過クロマトグラフィー条件〕
カラム:Sepharose CL-2B 充填カラム(Sepharose CL-2Bを担体としてφ1cm×50cmのカラムに充填したもの。Sepharose CL-2Bのデキストランの分画範囲は100~20,000kDaであり、GE Healthcare社等から入手できる。Sepharose CL-2Bは、2%架橋アガロース、粒子径60~200μm(レーザー回折散乱法による)、CAS登録番号65099-79-8である。)
バッファー:0.1Mリン酸緩衝液(pH 7.1, 0.2M NaCl含有)
アプライサンプル量:サンプルNo.10を4mg(1mLバッファーに溶解させて使用)
流速: 0.15mL/min
分画フラクション量:1mL/tube
分子量検量線:次の各種デキストラン分子量マーカーについて上記と同様の条件(但しサンプル量は1mg/1mLバッファー)でゲル濾過クロマトグラフィーを行い、フェノール・硫酸法により各フラクションの吸光度(デキストラン量を反映する)を測定し、検量線を作製した。
<デキストラン分子量マーカー>
Dextran from Leuconostoc mesenteroides(mol wt 5,000,000-40,000,000)(SIGMA)・・・カラムのvoid volume測定用、20000kDa
Dextran Standard 1,400,000(SIGMA)・・・1400kDa
Dextran Standard 670,000(SIGMA) ・・・670kDa
Dextran Standard 410,000(SIGMA) ・・・410kDa
Dextran Standard 270,000(SIGMA) ・・・270kDa
但し、Dextran from Leuconostoc mesenteroidesについては、当該マーカーに含まれる低分子のデキストランを除去する前処理を行った後、用いた。当該前処理は、上述の〔ゲル濾過クロマトグラフィー条件〕(アプライ量はマーカー用の量)によりDextran from Leuconostoc mesenteroidesそのものを溶出させ、分子量2000万以上の分子を回収し、凍結乾燥させることで行った。具体的には、フェノール・硫酸法により各フラクションの吸光度を測定して作成した、デキストラン量を反映するクロマトグラムにおいて、最初に出現したピークに相当するフラクションを回収し、これを凍結乾燥した(これにより、分子量20,000kDa以上の分子を回収、凍結乾燥できると考えられる)。この凍結乾燥物を実際にマーカー(カラムのvoid volume測定用)として用いた。
デキストラン量を反映するクロマトグラムを得るための吸光度測定は、Hodge, J. E. and Hofreiter, B. T., Method in Carbohydrate Chemistry, 1, 338 (1962)に記載の方法(フェノール・硫酸法)に従った。具体的には、次のようにして行った。
〔1〕105×15mmの試験管に試料水溶液を500μL加える。
〔2〕フェノール試薬(5 v/v%フェノール水溶液)を500μL加え、撹拌する。
〔3〕濃硫酸を2.5mL加え、すぐに10秒間激しく撹拌する。
〔4〕室温に20分以上放置する。
〔5〕分光光度計で490nmの吸収を測定する。』
なお、得られた検量線は(y = -4.1355Ln(x)+59.47 ; R=0.9869)であり、R値から考えて分子量とフラクションNo.(即ち溶出液量)はよく相関していることがわかった。
図1bに示されるように、サンプルNo.10には、少なくとも分子量200万以上(さらには分子量250万以上)のプロテオグリカンが含まれることがわかった。なお、図1bに示すように、ウロン酸量クロマトグラムにおいて、特定の分子量に相当する溶出液量点に垂線を引き、該クロマトグラムを分割した際の2部分の面積比を求めることで、その特定の分子量以上(又は以下)の成分が魚類軟骨水抽出物に含有される比率を求めることができる。
次に、サンプルNo.10をさらに詳しく分析した。具体的には次のようにして行った。サンプルNo.10を、下記条件のイオン交換クロマトグラフィーに供し、プロテオグリカンを分画した。具体的には、溶出フラクションを16mLずつ採取して、ウロン酸量をカルバゾール硫酸法により定量した。
『〔イオン交換クロマトグラフィー条件〕
カラム:DEAE充填カラム(DEAE(GEヘルスケア社)を担体として、φ5.0cm×20cmのカラムに充填したもの)
バッファー: 7M尿素-トリス-塩酸緩衝液 (pH 7.2)
グラジェント:NaCl 濃度 0 → 0.75M
アプライサンプル量: サンプルNo.10(魚類軟骨水抽出物の凍結乾燥物)200mg (50mLバッファーに溶解させてアプライ)
流速:2.0mL/min
フラクション量:16mL/tube 』
得られたウロン酸量クロマトグラムを図2に示す。ウロン酸を含むフラクション(図2において両方向矢印で示される)を集め、透析した後、凍結乾燥を行ない、粉末を得た。当該粉末を「プロテオグリカン画分」とし、以下の検討に用いた。
上記のようにして得られたプロテオグリカン画分を、下記条件のゲル濾過クロマトグラフィーに供し、分画した。そして、各フラクションに含まれるウロン酸量をカルバゾール硫酸法により定量した。また、各フラクションの280nmでの吸光度を測定し、当該吸光度値を含まれるタンパク質量を反映する値とした。そして、これらの結果を基にして、ウロン酸量クロマトグラム及び280nmタンパク質量クロマトグラムを描いた。
『〔ゲル濾過クロマトグラフィー条件〕
カラム:Sepharose CL-2B充填カラム(Sepharose CL-2B(GEヘルスケア社)を担体として、φ5.0cm×50cmのカラムに充填したもの)
バッファー:0.1M リン酸緩衝液(pH7.1, 0.2M NaCl含有)
アプライサンプル量:150mg
流速:2.0mL/min
フラクション量:16mL/tube 』
また下記の各種デキストラン分子量マーカーについても、同様の条件(但しサンプル量は50mg)でゲル濾過クロマトグラフィーを行ない、フェノール・硫酸法により各溶出フラクションの吸光度(デキストラン量を反映する)を測定し、分子量とフラクションNo.の検量線を作成して、分子量が500万、40万となるフラクションNo.を求めた。
『<デキストラン分子量マーカー>
Dextran from Leuconostoc mesenteroides (mol wt 5,000,000 - 40,000,000)(SIGMA)・・・20,000kDa
Dextran Standard 1,400,000(SIGMA)・・・1,400kDa
Dextran Standard 270,000(SIGMA)・・・270kDa
但し、Dextran from Leuconostoc mesenteroidesについては、当該マーカーに含まれる低分子のデキストランを除去する前処理を行った後、用いた。当該前処理は、上述の〔ゲル濾過クロマトグラフィー条件〕(アプライ量はマーカー処理時の量)によりDextran from Leuconostoc mesenteroidesを溶出させ、分子量2000万以上の分子を回収し、凍結乾燥させることで行った。具体的には、デキストラン量を反映するクロマトグラムにおいて、最初に出現したピークに相当するフラクションを回収し、これを凍結乾燥した(これにより、分子量20,000kDa以上の分子を回収、凍結乾燥できると考えられる)。この凍結乾燥物を実際にマーカー(カラムのvoid volume測定用)として用いた。デキストラン量を反映するクロマトグラムを得るための吸光度測定は、上記と同様に行った。』
得られたクロマトグラムを図3に示す。ウロン酸を含むフラクションのうち、分子量500万以上、40万以上~500万未満、40万未満の3区分で、それぞれフラクションを集め、透析後、凍結乾燥を行ない、3種の分子量違い魚類軟骨水抽出物(粉末)を得た。これらの3種の魚類軟骨水抽出物を、PG-1抽出物(分子量500万以上のプロテオグリカンを含有)、PG-2抽出物(分子量40万以上~500万未満のプロテオグリカンを含有)、PG-3抽出物(分子量40万未満のプロテオグリカンを含有)とする。なお、この結果から、サンプルNo.10には、少なくとも分子量500万以上のプロテオグリカンが含まれることが確認できた。そして、このことから、上記脱脂サケ鼻軟骨粉末には少なくとも分子量500万以上のプロテオグリカンが含まれることも確認できた。
以下、プロテオグリカンをPGと表記することがある。
[検討1]
被験者
被験者は健常な25歳~55歳(試験開始時点)の女性14名をエントリーした(最終解析人数 試験群(R群)=7名、プラセボ群(G群)=7名)。被験者14名についての割付方法については、飲用前測定結果からTEWLや紅斑のa*値に有意な差ができないように割り付けた。
供試品
試験サンプルは、上記脱脂サケ鼻軟骨粉末を、プラセボサンプルは、セオラスFD-301(旭化成ケミカルズ(株):結晶セルオース粉末)を用いた。ハードカプセル(#2)にそれぞれ1日分(6粒)が500mgとなるように作製し、両サンプルをアルミパックに貼った記号(G=プラセボ群、R=試験群)でのみ区別できる状態にした。
飲用方法
被験者は試験サンプルまたはプラセボサンプルを1日6カプセル、5週間継続飲用し、飲用前と飲用5週間目に皮膚状態の測定を実施した。試験期間中、被験者へは表1に示した内容で、試験結果への影響が考えられる行為を禁止あるいは制限した。
Figure 2022073223000001
SLS刺激について
・刺激場所
上腕および前腕に0.5%のSLS(ラウリル硫酸ナトリウム)でそれぞれ2点ずつ刺激を行った。刺激場所は、上腕、前腕ともに内側で、曲げ伸ばしで起伏ができる所や血管を避け、無刺激時の2点の肌の色に差が出ないように選択した。
・刺激方法
被験者は上腕内側と前腕内側を洗浄後、22℃ 60%設定の恒温恒湿室に入室し、15分以上安静にした後に0.5% SLS(Sodium dodecyl sulfate : 和光純薬工業株式会社)を30μl含んだろ紙付きのチャンバー(200 LARGE FINN CHAMBERS ON SCANPOR, NORGESPLASTER Ltd.)を貼り付け、4時間閉塞刺激した。その後チャンバーを剥がし、1時間後に刺激部をぬるま湯で流し、評価を開始した。
なお、SLSによる刺激を与えなかった部位をコントロールとして用いた。
測定方法
・飲用前
被験者は上腕内側と前腕内側を洗浄後、22℃ 60%設定の恒温恒湿室に入室し、15分以上安静にした後に評価を開始した。
・飲用後
飲用前試験と反対の腕の同じ部位で、同様のスケジュールで評価を行った。温湿度や洗浄方法などの条件は飲用前後で統一させた。
被験者の腕部の測定は座位の状態で台に腕を乗せ実施した。測定部位は、前述のSLS刺激部位とした。測定項目と機器については表2に示す。
なお、当該試験スケジュールの概要を図12に示す。
統計解析
測定装置を用いた評価結果:各測定時点でのプラセボ群と試験群の差(群間差)については、等分散性を検定後、独立サンプルのt-検定により有意差検定を行った(有意確率0.05未満のものを有意、0.10未満のものを有意傾向とした)。統計学的検討には、統計計算ソフトSPSS version 17.0 for Windows(SPSS Japan Inc.)を用いた。
Figure 2022073223000002
結果
被験者の年齢
両群の平均年齢は、プラセボ群33.1歳、試験群 31.7歳であった。
評価結果
TEWL、色差、角層水分量の試験データは、変化率(各被験者その時の(非刺激部位の測定値/刺激部位の測定値)の平均値)で算出した。
Tewameter 水分蒸散量(バリア機能)
結果を図4に示す。どちらの群においても、上腕・前腕に関わらず、刺激後すぐにTEWLが上昇し、1週間かけて徐々に改善した。1週間後もまだコントロールとの間に差が認められた。サンプル飲用群(R)の飲用前後を比較すると、刺激後1日、2日でプラセボ群(G)よりバリア機能が改善されている傾向が見られた。飲用後の群間比較では、有意差は見られなかったが、G群よりもR群の方がTEWLの上昇が抑制され、バリア機能の改善も見られた(上腕)。前腕に関しては、R群で飲用前後の差がほぼなく、飲用による効果は見られなかった。
色彩色差計 紅斑量
結果を図5に示す。SLS刺激により、4時間で急激に赤み(紅斑:a*値)が上昇し、1日で大部分が消失した。その後1週間かけて徐々に非刺激部位の状態に戻った。前腕において、R群の結果において飲用前後を比較すると、飲用後の方が刺激1日後の紅斑消失量が有意に大きいことが分かった。また、飲用後の群間比較ではプラセボ群(G)に対しR群で、刺激1日後の紅斑消失量が大きいことが分かった。上腕においては、飲用前後、群間の比較ともに有意な結果は得られなかった。
なお、R群の紅斑抑制効果の例を図6に示す。
Corneometer 角層水分量
結果を図7に示す。上腕・前腕ともに、G群では、SLSの刺激により水分量は低下したが、R群では飲用後、SLS刺激による水分量低下が抑制された。
[検討2]
被験者
被験者は健常な38歳~56歳(試験開始時点)の女性31名をエントリーした(最終解析人数 プロテオグリカン群=11名、コラーゲン群=10名、プラセボ群=10名)。被験者31名の割付方法については、飲用前測定結果からSLS刺激5時間後のTEWL値(上腕)、紅斑a*値(前腕)および年齢に有意な差ができないようにコントローラーが割り付け、試験実施者には測定終了まで開示されなかった。
供試品
・カプセル
試験サンプルは、上記脱脂サケ鼻軟骨粉末を、プラセボサンプルは、セオラスFD-301(旭化成ケミカルズ(株):結晶セルオース粉末)を用いた。ハードカプセル(#2)にそれぞれ1日分(3粒)が500mgとなるように作製した。
・ドリンク
試験サンプルは、コラーゲンドリンクを、プラセボサンプルは酸性飲料をそれぞれ1日分を50mlとして用意した。各ドリンクの組成は以下の通りである。
Figure 2022073223000003
カプセルとドリンクを表4のようにセットにし、各サンプルセットにはそれぞれ記号(カタカナ:ア~ハ)を割り付け、どのサンプルか被験者も試験実施者も分からないようにした。
Figure 2022073223000004
飲用方法
被験者は毎日、朝に3カプセル、夜にドリンクを1本、約5週間継続飲用し、飲用前、飲用5週間後、ウォッシュアウト後(飲用終了3-6週間後:被験者により異なるが群間で差はなし)に皮膚状態の測定とアンケート調査を実施した。試験期間中、被験者へは表5に示した内容で、試験結果への影響が考えられる行為を禁止あるいは制限した。
Figure 2022073223000005
試験スケジュール
飲用前と飲用5週間目において、皮膚状態の測定(アンケート含む)を行った。SLS刺激の後測定を行い、その1日後及び2日後にさらに測定を行い、2日後の測定後に飲用を開始した。飲用終了の3日前から、同様の測定を行った。なお、当該試験スケジュールの概要を図13に示す。
SLS刺激について
・刺激場所
上記の検討1と同様に、上腕および前腕に0.5%のSLSでそれぞれ2点ずつ刺激を行った。刺激場所は、上腕、前腕ともに内側で、曲げ伸ばしで起伏ができる所や血管を避け、刺激前の2点の肌の色に差が出ないように選択した。
・刺激方法
被験者は、測定部位側の上腕内側と前腕内側を石鹸で洗浄後、水気を取り、15分以上安静にした後に0.5% SLS(Sodium dodecyl sulfate : 和光純薬工業株式会社 Lot.STQ8638)を30μl含んだろ紙付きのフィンチャンバー(12mm (株)スマートプラクティスジャパン)を貼り付け、4時間閉塞刺激した。その後チャンバーを剥がし、1時間後に刺激部をぬるま湯で流し、評価を開始した。
なお、SLSによる刺激を与えなかった部位をコントロールとして用いた。
測定方法
・飲用前
被験者は左上腕内側と左前腕内側を洗浄後、タオルで押さえて水気を取り、22℃ 60%設定の恒温恒湿室に入室し、15分以上安静にした後に評価を開始した。
・飲用後
右腕の上腕内側と前腕内側で、飲用前と同様のスケジュールで評価を行った。温湿度や洗浄方法などの条件は飲用前後で統一させた。
被験者の顔部の測定は、座位にて顔正面をやや上向けに安定させ、軽く目を閉じた状態を保たせて実施した。飲用前と飲用後の各試験日で顔部の測定部位が極力同一になるようにした。腕部の測定は座位の状態で台に腕を乗せ実施した。測定部位は、顔は目(黒目の中心)から2cm下とし、腕は前述のSLS刺激部位とした。腕の測定の際のコントロール(非刺激部位)としては、SLS刺激部位と同一線上の、少し手首側を測定した。測定項目と機器については表6に示す。
Figure 2022073223000006
統計解析
測定装置を用いた評価結果:各測定時点での同一群内の飲用前後差については、対応サンプルのt-検定を、群間の比較には独立サンプルのt-検定を用いて有意差検定を行った(有意確率0.05未満のものを有意、0.10未満のものを有意傾向とした)。また、絶対値アンケートはアンケートの設定上、連続した値であるため群内の比較の際は対応サンプルのt-検定を用いたが、比較アンケートは不連続な値であることから独立サンプルによるKruskal-Wallisの検定を用いて解析を行った。群内比較統計学的検討には、統計計算ソフトPASW version 18.0 for Windows (SPSS Japan Inc.)を用いた。
結果
被験者の年齢
各群の平均年齢は、プラセボ群 43.6歳、PG群43.8歳、コラーゲン群44.0歳であった。
評価結果
TEWL 経表皮水分蒸散量(バリア機能)
いずれの群においても、上腕・前腕に関わらず、刺激後5時間でTEWLが大きく上昇した。上腕では、PG群において5週間飲用後、刺激5時間後から48時間後にかけてバリア機能の改善傾向が見られた。他の2群では、刺激5時間後から48時間後にかけて、TEWL値の減少変化は見られなかった(図8a)。刺激5時間後のコントロールに対する差を0として、24時間後、48時間後の差を示したグラフが図8bである。5~48時間後の間のバリア機能改善という尺度で考えると、PG群のみ、48時間後の飲用前後比較で有意な改善が見られた。
前腕に関しては、いずれの群においても、各測定時点でのTEWL値が飲用前より高く、全体的にバリア機能が低くなっていた。
紅斑量 (a*値)
いずれの群においても、前回の試験と同様に、SLS刺激により、刺激後5hで赤み(紅斑:a*値)が上昇し、その後、刺激48h後にかけて徐々に紅斑が消失した。前腕に関しては、PG群において、刺激48h後の紅斑量が飲用前に比べて減少する傾向が見られた。その他のコラーゲン群、プラセボ群では飲用後の紅斑量は飲用前よりも少し高くなっていた(図9)。上腕においては、PG群、コラーゲン群で、刺激後48時間後の紅斑量が、飲用前よりも飲用後の方が抑制されたが、いずれも有意な傾向ではなかった。
角層水分量
5週間のPG飲用により、上腕の非刺激部位において、飲用前よりも水分量が増加する傾向が見られた。プラセボ群、コラーゲン群では、この傾向は見られなかった(図10左側)。
また、顔の水分量に関しては、コラーゲン群でのみ、飲用前後で左頬部の水分量が増加する傾向が見られた(図10右側)。
アンケート評価 (飲用前、飲用後、ウォッシュアウト後の絶対評価)
飲用前、飲用後、ウォッシュアウト後に、その時の肌・健康状態についてアンケートを行った。VAS(Visual Analogue Scale)法を採用し、スケール上の任意の箇所に印をつけてもらい、その項目の最も良い値を10とした時の評価値を算出し、飲用前vs飲用後、飲用後vsウォッシュアウト後で比較した(図11a、11b)。飲用前より飲用後が有意に改善していた場合は、各グラフの左側に、飲用後よりウォッシュアウト後が有意に悪化していた場合は各グラフの右側に「*」または「**」を示した(*p<0.05, **p<0.01)
<肌に関して(図11a)>
PG群において、飲用前と比較して飲用後で有意に改善が見られた項目は、「肌の調子」、「肌のハリ」、「乾燥・カサカサ」、「しっとり感」、「肌のキメ」であった。また、飲用後からウォッシュアウト後にその改善効果が失われた項目は、「肌のハリ」、「乾燥・カサカサ」であった。
コラーゲン群において、飲用前よりも飲用後で有意に改善が見られた項目は、「肌のハリ」、「皮脂やテカリ」、「しっとり感」、「シミ」、「シワ」であった。飲用後からウォッシュアウト後にその改善効果が失われた項目は、「肌のハリ」、「しっとり感」であった。
プラセボ群において、飲用前よりも飲用後で有意に改善が見られた項目は、「肌のハリ」、「皮脂やテカリ」であった。
<健康に関して(図11b)>
PG群において、飲用前と比較して飲用後で有意に改善が見られた項目は、「疲れやすさ」、「胃の調子」、「目の疲れ」であった。また、飲用後からウォッシュアウト後にその改善効果が失われた項目は、「目の疲れ」であった。
コラーゲン群において、飲用前よりも飲用後で有意に改善が見られた項目は、「体の重さ・だるさ」、「むくみ」であった。
プラセボ群において、飲用前よりも飲用後で有意に改善が見られた項目は、「むくみ」、「疲れやすさ」、「胃の調子」であった。飲用後からウォッシュアウト後にその改善効果が失われた項目は、「疲れやすさ」であった。
なお、図11a及び11bにおいては、左のグラフがプラセボ群を、中央のグラフがPG群を、右グラフがコラーゲン群を、それぞれ示す。

Claims (4)

  1. 分子量500万以上のプロテオグリカンを含有する、角層水分量保持若しくは回復用食品組成物。
  2. 分子量500万以上のプロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物を含む、請求項1に記載の食品組成物。
  3. 界面活性剤が皮膚に適用されたことにより減少した角層水分量を回復させるための、請求項1又は2に記載の食品組成物。
  4. 界面活性剤が皮膚に適用されたことにより角層水分量が減少した人に用いられる、請求項1又は2に記載の食品組成物。
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