JP2022070061A - 外用組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】外用組成物において、特に炎症の発症に深く関与すると考えられているサイトカインの働きを抑制し得る新規な手法を開発すること。【解決手段】分子量40万以上のプロテオグリカンを含有する、皮膚炎症抑制のための外用組成物。【選択図】なし

Description

本開示は、外用組成物等に関し、詳細にはプロテオグリカンを含有する外用組成物に関する。なお、本明細書に記載される全ての文献の内容は参照により本明細書に組み込まれる。
外用組成物は、皮膚に適用した場合に、炎症等を引き起こす等の悪影響を与えないことが重要である。悪影響を与える場合、他に有益な効果を奏するとしても、用いることが難しいからである。
国際公開第2011/007885号 国際公開第2014/017570号 国際公開第2012/099224号 国際公開第2012/099216号 特開2017-066097号公報 特開2009-173702号公報
そこで、本発明者らは、外用組成物において、特に炎症の発症に深く関与すると考えられているサイトカインの働きを抑制し得る新規な手法を開発すべく検討を行った。
本発明者らは、高分子量プロテオグリカンがサイトカインの働きを抑制し得る可能性を見出し、さらに改良を重ねた。
本開示は例えば以下の項に記載の主題を包含する。
項1.
分子量40万以上のプロテオグリカンを含有する、皮膚炎症抑制のための外用組成物。
項2.
医薬品組成物又は化粧品組成物である、項1に記載の外用組成物。
項3.
アトピー性皮膚炎の対象のための、項1又は2のいずれかに記載の外用組成物。
項4.
分子量40万~500万のプロテオグリカンを含有する、項1~3のいずれかに記載の外用組成物。
項5.
インターロイキン-6の産生が健常人よりも亢進している対象のための、項4に記載の外用組成物。
項6.
分子量40未満のプロテオグリカンを含有しない、項1~5のいずれかに記載の外用組成物。
皮膚炎症抑制のための好ましく用いることができる新規な外用組成物が提供される。
本開示のサケ鼻軟骨水抽出物の一例を、ゲル濾過クロマトグラフィーにより解析して得たウロン酸量クロマトグラム及び280nmタンパク質量クロマトグラムを重ねて描いた図を示す。 本開示のサケ鼻軟骨水抽出物の一例を、ゲル濾過クロマトグラフィーにより解析して得たウロン酸量クロマトグラムを各分子量マーカーが溶出されたフラクションの位置とともに示す。 本開示のサケ鼻軟骨水抽出物の一例をイオン交換クロマトグラフィーで解析して得たウロン酸量クロマトグラムを示す。 図2のプロテオグリカン画分をゲル濾過クロマトグラフィーで解析して得たウロン酸量クロマトグラム及び280nmタンパク質量クロマトグラムを示す。 分子量別のプロテオグリカンにより各種サイトカインの産生抑制が可能かを検討した結果を示す。
以下、本開示に包含される各実施形態について、さらに詳細に説明する。本開示は、高分子量プロテオグリカンを含有する外用組成物等を好ましく包含するが、これらに限定されるわけではなく、本開示は本明細書に開示され当業者が認識できる全てを包含する。
本開示に包含される外用組成物は、高分子量プロテオグリカンを含有する。以下、本開示に包含される当該組成物を「本開示の組成物」ということがある。
プロテオグリカンは、グリコサミノグリカン(ムコ多糖)及びタンパク質が結合した構造を有する化合物である。グリコサミノグリカンは、2糖の繰り返し構造を有する酸性糖であり、具体的にはコンドロイチン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパラン硫酸等が例示できる。これら酸性糖成分が有する2糖の繰り返し構造において、当該2糖のうち通常1つはアミノ糖、もう1つはウロン酸である。従って、プロテオグリカンの検出には、ウロン酸検出法の常法の1つであるカルバゾール硫酸法を用いることができる。
また、タンパク質に、櫛の歯状にグリコサミノグリカンが結合した化合物はプロテオグリカンモノマーとも呼ばれる(プロテオグリカンモノマーにおける当該タンパク質はコアタンパク質と呼ばれる。)。特に生体内では、このプロテオグリカンモノマーがリンクタンパク質を介してヒアルロン酸と結合した会合体を形成していると考えられており、当該会合体はプロテオグリカン集合体(proteoglycanaggregate)とも呼ばれる。本明細書における用語「プロテオグリカン」は、特に断らない限り、プロテオグリカンモノマー及びプロテオグリカン集合体を包含する意味で用いられる。なお、ヒアルロン酸もグリコサミノグリカンの一種である。
なお、本開示の組成物に含まれる高分子量プロテオグリカンは、下述するように特定の方法により魚類軟骨から調製される水抽出物に含有される形で得られる。従って、本開示の組成物の好ましい一形態は、当該魚類軟骨水抽出物を含有する化粧品組成物ということができる。
本開示の組成物に含まれる高分子量プロテオグリカンは、具体的には分子量40万以上のプロテオグリカンであり、好ましくは40万~2000万のプロテオグリカンである。当該範囲(40万~2000万)の上限又は下限は、例えば50万、60万、70万、80万、90万、100万、110万、120万、130万、140万、150万、160万、170万、180万、190万、200万、210万、220万、230万、240万、250万、260万、270万、280万、290万、300万、310万、320万、330万、340万、350万、360万、370万、380万、390万、400万、410万、420万、430万、440万、450万、460万、470万、480万、490万、500万、510万、520万、530万、540万、550万、560万、570万、580万、590万、600万、610万、620万、630万、640万、650万、660万、670万、680万、690万、700万、710万、720万、730万、740万、750万、760万、770万、780万、790万、800万、810万、820万、830万、840万、850万、860万、870万、880万、890万、900万、910万、920万、930万、940万、950万、960万、970万、980万、990万、1000万、1010万、1020万、1030万、1040万、1050万、1060万、1070万、1080万、1090万、1100万、1110万、1120万、1130万、1140万、1150万、1160万、1170万、1180万、1190万、1200万、1210万、1220万、1230万、1240万、1250万、1260万、1270万、1280万、1290万、1300万、1310万、1320万、1330万、1340万、1350万、1360万、1370万、1380万、1390万、1400万、1410万、1420万、1430万、1440万、1450万、1460万、1470万、1480万、1490万、1500万、1510万、1520万、1530万、1540万、1550万、1560万、1570万、1580万、1590万、1600万、1610万、1620万、1630万、1640万、1650万、1660万、1670万、1680万、1690万、1700万、1710万、1720万、1730万、1740万、1750万、1760万、1770万、1780万、1790万、1800万、1810万、1820万、1830万、1840万、1850万、1860万、1870万、1880万、1890万、1900万、1910万、1920万、1930万、1940万、1950万、1960万、1970万、1980万、又は1990万であってもよい。例えば当該範囲は40万~500万であってもよい。例えば、魚類軟骨水抽出物を、下記条件のゲル濾過クロマトグラフィーにより処理し、得られる各フラクションに含まれるウロン酸量(プロテオグリカン量を反映する)をカルバゾール硫酸法で定量し、当該ウロン酸量に基づくクロマトグラムを作成することにより、上記の分子量以上のプロテオグリカンの存在を確認することができる。このようなウロン酸量に基づくクロマトグラムを以下「ウロン酸量クロマトグラム」ということがある。また、各フラクションの280nmでの吸光度を測定することで、含まれるタンパク質量を相対値化し(すなわち、含まれるタンパク質量を反映する値とし)、当該吸光度に基づくクロマトグラムを描くこともできる。このようなクロマトグラムを以下「280nmタンパク質量クロマトグラム」ということがある。
〔ゲル濾過クロマトグラフィー条件〕
カラム: SepharoseCL-2B 充填カラム(Sepharose CL-2Bを担体としてφ1cm×50cmのカラムに充填したもの。Sepharose CL-2Bのデキストランの分画範囲は100~20,000kDaであり、GE Healthcare社等から入手できる。Sepharose CL-2Bは、2%架橋アガロース、粒子径60~200μm(レーザー回折散乱法による)、CAS登録番号65099-79-8である。)
バッファー: 0.1Mリン酸緩衝液(pH 7.1, 0.2M NaCl含有)
アプライサンプル量:魚類軟骨水抽出物4mg(乾燥質量換算)(1mLバッファーに溶解させて使用)
流速: 0.15mL/min
分画フラクション量: 1mL/tube
分子量検量線:次の各種デキストラン分子量マーカーについて上記と同様の条件でゲル濾過クロマトグラフィーを行い、糖検出のための周知の方法であるフェノール・硫酸法により各フラクションの吸光度(デキストラン量を反映する)を測定し、各マーカーが溶出されたフラクションを求め、当該条件のゲル濾過クロマトグラフィーの各フラクションに含まれる成分の分子量を反映する検量線を作成する。“各マーカーが溶出されたフラクション”とは、各マーカーが最も多く溶出されたフラクションをいう。換言すれば、各デキストラン分子量マーカーをゲル濾過した際の、デキストラン量を反映するクロマトグラムにおけるピークトップに相当するフラクションである。
<デキストラン分子量マーカー>
Dextran from Leuconostoc mesenteroides(mol wt 5,000,000-40,000,000)(SIGMA)・・・カラムのvoid volume測定用、20000kDa
Dextran Standard 1,400,000(SIGMA)・・・1400kDa
Dextran Standard 670,000(SIGMA) ・・・670kDa
Dextran Standard 410,000(SIGMA) ・・・410kDa
Dextran Standard 270,000(SIGMA) ・・・270kDa
但し、Dextran from Leuconostoc mesenteroidesについては、これに含まれる低分子のデキストランを除去する前処理を行った後、マーカーとして用いる。当該前処理は、上述の〔ゲル濾過クロマトグラフィー条件〕によりDextran from Leuconostoc mesenteroidesそのものを溶出させ、分子量20,000kDa以上の分子を回収し、凍結乾燥させることで行う。具体的には、フェノール・硫酸法により各フラクションの吸光度を測定して作成した、デキストラン量を反映するクロマトグラムにおいて、最初に出現したピークに相当するフラクションを回収し、これを凍結乾燥する(これにより、分子量20,000kDa以上の分子を回収、凍結乾燥できると考えられる)。この凍結乾燥物を実際にマーカー(カラムのvoidvolume測定用)として用いる。
デキストラン量を反映するクロマトグラムを得るための吸光度測定は、Hodge, J. E. and Hofreiter, B. T., Method in Carbohydrate Chemistry, 1, 338 (1962)に記載の方法(フェノール・硫酸法)に従う。具体的には、次のようにして行う。
〔1〕105×15mmの試験管に試料水溶液を500μL加える。
〔2〕フェノール試薬(5 v/v%フェノール水溶液)を500μL加え、撹拌する。
〔3〕濃硫酸を2.5mL加え、すぐに10秒間激しく撹拌する。
〔4〕室温に20分以上放置する。
〔5〕分光光度計で490nmの吸収を測定する。
なお、カルバゾール硫酸法とは、ウロン酸(グルクロン酸(GlcA)、イズロン酸等)の発色色素であるカルバゾール溶液を測定検体に添加し、分光光度計を用いて吸光度を測定し、当該吸光度を基にウロン酸量を算出する周知の方法である。濃度を規定したグルクロン酸標準溶液を用いて検量線を作成し、検体中のグルクロン酸含量を求める。より具体的には、次のようにして行う。ホウ酸ナトリウム・10水和物0.95gを濃硫酸100mLに溶解した試薬2.5mLを試験管にとり、氷冷する。これに被検体0.5mL(2~20μgのウロン酸を含むようにするのが好ましい)を静かに重層する。室温以上にならないように水冷しながらよく攪拌する。ガラス球で蓋をした後に、沸騰湯浴中で10分間加熱し、室温まで水冷する。これに、カルバゾール125mgを無水メチルアルコール100mLに溶解した試薬を0.1mL加えて混合し、更に15分間沸騰湯浴中で加熱する。その後、室温まで水冷し530nmにおける吸光度を測定する。ブランクは蒸留水0.5mLを用いる。同時に、グルクロン酸を用いて検量線を作成する。(下述する実施例のカルバゾール硫酸法も、ここに記載した方法で行った。)
特に限定はされないが、乾燥質量換算で、魚類軟骨水抽出物に含まれるウロン酸量(カルバゾール硫酸法により定量)全量のうち、10質量%以上は、分子量180万以上のプロテオグリカンに由来するのが好ましい。換言すれば、魚類軟骨水抽出物は、乾燥質量換算で、分子量180万以上のプロテオグリカンが含むウロン酸量が、抽出物に含まれるウロン酸全量の10質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、又は55質量%以上である。当該割合は大きい程好ましい。
また、魚類軟骨水抽出物は、乾燥質量換算で、分子量250万以上のプロテオグリカンが含むウロン酸量が、抽出物に含まれるウロン酸全量の10質量%以上であることが好ましい。より好ましくは、15質量%以上、20質量%以上、25質量%以上、30質量%以上、35質量%以上、40質量%以上、45質量%以上、50質量%以上、55質量%以上、又は60質量%以上である。当該割合は大きい程好ましい。
なお、特定の分子量(仮にXとする)以上のプロテオグリカンが含むウロン酸量が、抽出物に含まれるウロン酸全量のどの程度の割合を占めるのかは、上述したウロン酸量クロマトグラムのピーク面積から求めることができる。具体的には、当該ウロン酸量クロマトグラムのピーク面積全体に対して、分子量X以上のウロン酸が占める面積割合を求めればよい。より具体的には、縦軸がウロン酸量、横軸がフラクションNo.であるウロン酸量クロマトグラムにおいて、分子量Xのプロテオグリカンを含むフラクションを通るように垂線を引き、その垂線で分断されたピーク部分のうち、分子量のより大きいプロテオグリカンを含むピーク部分の面積が、ピーク全体の面積のどの程度の割合を占めるかを求めればよい。
なお、魚類軟骨水抽出物に含まれるウロン酸は、プロテオグリカンに含まれるものの他、プロテオグリカンから分断された糖鎖に含まれるもの等も想定される。
また、魚類軟骨水抽出物に含まれるウロン酸量(カルバゾール硫酸法により測定)は、乾燥質量換算で、当該抽出物の好ましくは5質量%以上、より好ましくは7.5質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、よりさらに好ましくは12.5質量%以上、なお好ましくは15質量%以上、特に好ましくは17.5質量%以上である。なお、本明細書(特に図表)において、ウロン酸量を示す際にグルクロン酸の略記であるGlcAを用いて「GlcA(μg)」などと表す場合がある。なお、魚類軟骨水抽出物に含まれるプロテオグリカン中のグリコサミノグリカンは、ほぼコンドロイチン硫酸と考えられる。そして、おおよそのコンドロイチン硫酸量は、ウロン酸量に係数2.593を乗ずることで求められることが知られている。よって、本発明の魚類軟骨水抽出物に含まれるおおよそのプロテオグリカン量は、ウロン酸量に係数2.593を乗ずることで算出できる。
魚類軟骨水抽出物は、魚類軟骨(魚類の軟骨)から抽出される。魚類としては、サケ科サケ属の魚が好ましく、具体的にはマス(カラフトマス、サクラマス、サツキマス等)、サケ(シロザケ、ベニザケ、ギンザケ、マスノスケ、スチールヘッド等)、等が例示される。また、サメ、タラ等も用いることができる。特にサケ又はマスが好ましい。また、軟骨としては、特に制限されないが、頭部軟骨、中でも鼻軟骨が好ましい。また、通常、魚類(特にサケやマス)が食品製品等へ加工される際に頭部は廃棄されることから、頭部軟骨の入手コストは安く、大量に安定供給され得るという利点もある。魚類軟骨水抽出物としては、サケ鼻軟骨水抽出物が最も好ましい。
抽出は、水を用いて行われる。魚類軟骨は、生体から採取した軟骨をそのまま抽出に供してもよく、微細化(より具体的には、小片化又は粉末化)してから抽出に供してもよい。また、下述するように、抽出前に例えばエタノールなどの有機溶媒を用いて魚類軟骨に脱脂処理を施しても良い。このようにして、水によりプロテオグリカン(高分子量プロテオグリカンを含む)を抽出することができる。また、あるいは、水抽出を行う際、水を加熱しつつ行なうことにより、もしくは熱水や沸騰水を用いることにより、効率的により効果が高い魚類軟骨水抽出物を得ることができる。
上記の通り、生体から採取した魚類軟骨をそのまま抽出に供することができる。抽出に供するまで、凍結して保存しておくことが好ましい。凍結方法は特に制限されず、公知の凍結方法を用いることができる。例えば、フリーザーを用いて、魚類軟骨を-20~-80℃程度で24~72時間程度保存する方法が例示できる。また、魚類軟骨は、脱脂(すなわち脂肪除去)処理されているものを用いることもできる。脱脂処理されたものを用いることで、脂質の混入が少ない精製度の高い魚類軟骨水抽出物を得ることができる点で好ましい。脱脂処理方法としては、下述する「脱脂処理された魚類軟骨」を得る方法が例示できる。
小片化魚類軟骨は、魚類軟骨を小片化したものである。小片化は、公知の方法により行うことができる。例えば、公知のブレンダーやミル等の機器を用いて、魚類軟骨(好ましくは凍結魚類軟骨)を小片化することができる。小片化操作は、できるだけ低温で行うことが好ましい。例えば、小片化された魚類軟骨が凍結状態を保持可能な温度であることが好ましい。具体的には0℃以下が例示できる。
また、小片化魚類軟骨は、抽出効率の観点からは、凍結された小片化魚類軟骨(凍結小片化魚類軟骨)であることが好ましい。凍結小片化魚類軟骨は、(i)魚類軟骨を凍結した後小片化することで、又は(ii)魚類軟骨を小片化した後凍結することで、得ることができるが、(i)により得られるものが特に好ましい。凍結方法は特に制限されず、公知の凍結方法を用いることができる。例えば、フリーザーを用いて、魚類軟骨を-20~-80℃程度で24~72時間程度保存する方法が例示できる。
小片化魚類軟骨又は凍結小片化魚類軟骨は、1小片あたり0.001~0.5g程度が好ましく、0.005~0.3g程度がより好ましく、0.01~0.1g程度がさらに好ましい。小片化操作は、このような小片が得られるように行われるのが好ましい(使用機器条件を検討することにより、このような小片が得られる機器使用条件は簡単に決定できる)。
粉末化魚類軟骨は、魚類軟骨を粉末化したもの(魚類軟骨粉末)である。粉末化は、公知の方法により行うことができる。例えば、公知のブレンダーやミル等の機器を用いて、魚類軟骨(好ましくは凍結魚類軟骨)を粉末化することができる。粉末化操作は、できるだけ低温(例えば0℃以下)で行うことが好ましい。
また、粉末化魚類軟骨は、抽出効率の観点からは、凍結された粉末化魚類軟骨(凍結粉末化魚類軟骨)であることが好ましい。凍結粉末化魚類軟骨は、(i’)魚類軟骨を凍結した後粉末化することで、又は(ii’)魚類軟骨を粉末化した後凍結することで、得ることができるが、(i’)により得られるものが特に好ましい。凍結方法は特に制限されず、公知の凍結方法を用いることができる。例えば、フリーザーを用いて、魚類軟骨を-20~-80℃程度で24~72時間程度保存する方法が例示できる。
なお、「粉末」は「小片」に比べて、小さいものを指すが、明確に区別することを意図する訳ではない。魚類軟骨を微細化したもののうち、比較的大きめの欠片のものを「小片」、比較的小さめの欠片のものを「粉末」と称している。従って、特に制限される訳ではないが、粉末としては、粒径約10~1000μm程度、好ましくは50~500μm程度、より好ましくは100~200μm程度(レーザー回折散乱法により測定)の粒径を有する粒子を含む粉末が望ましい。これらの粒径を有する粒子は、粉末中多く(例えば50質量%以上、好ましくは70質量%以上)含まれることが好ましい。
用いられる小片化魚類軟骨又は粉末化魚類軟骨は、脱脂(すなわち脂肪除去)されているものも使用できる。つまり、小片化脱脂魚類軟骨又は粉末化脱脂魚類軟骨も使用できる。脱脂処理されたものを用いることで、脂質の混入が少ない精製度の高い魚類軟骨水抽出物を得ることができるからである。小片化脱脂魚類軟骨又は粉末化脱脂魚類軟骨は、(α)脱脂処理された魚類軟骨を小片化又は粉末化することにより、あるいは(β)魚類軟骨を小片化又は粉末化した後に脱脂処理することにより、得ることができる。
脱脂方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、上記(α)において魚類軟骨を脱脂処理する方法としては、例えば、魚類軟骨を1~24時間程度流水(例えば水道蛇口からの流水)にさらす方法が例示される。また、魚類軟骨の入手は公知の方法で行うことができ、例えば魚類組織(好ましくは魚類頭部)を水に1~24時間程度漬けて膨潤させ、軟骨(好ましくは鼻軟骨)以外の組織を除去する方法や、あるいは、凍結サケ頭部を解凍後、直ちに鼻軟骨を取り出し、さらに流水に1~24時間程度さらして洗浄及び脱脂する方法が例示される。肉片等が残存する場合は、ピンセット等により残存する肉片等を取り除くことが好ましい。なお、この段階では魚類軟骨は小片化又は粉末化されていないため、流水にさらす等しても、ほとんどプロテオグリカンは抽出されないと考えられる。また、下記の(β)の場合と同様に、有機溶媒により脂質を抽出除去する方法も用いることができる。
また、例えば、(β)において、小片化魚類軟骨又は粉末化魚類軟骨を脱脂処理する方法としては、例えば、有機溶媒により脂質を抽出除去する方法が例示される。有機溶媒としては、エタノール、ヘキサン、アセトン等が例示される。より具体的には、上記(β)の方法として、特開2009-173702号公報に記載される方法を好ましく用いることができる。つまり、例えば、以下の工程A~Eを含む方法により、粉末化脱脂魚類軟骨を得、これを本発明に用いることができる(より詳細な条件も特開2009-173702号公報に記載されている)。
A.凍結した水棲動物組織(魚類組織)を破砕し、これに水を加え、温度0~20℃、pH4.8~7で処理する工程
B.Aの固液混合物を遠心分離し、最上部の脂質層と中間層の水層を取り除き、沈殿物を回収する工程
C.沈殿物を乾燥し、微粉末化する工程
D.得られた乾燥微粉末に、溶媒としてヘキサン、アセトン又はエタノールを加え、残存脂質を抽出除去する工程
E.溶媒を除去する工程
なお、凍結処理及び脱脂処理が両方なされた小片化魚類軟骨又は粉末化魚類軟骨(凍結小片化脱脂魚類軟骨又は凍結粉末化脱脂魚類軟骨)を用いるのが、さらに好ましい。これらは、例えば、脱脂処理された魚類軟骨を凍結し、これを小片化又は粉末化することにより得ることができる。
これらの脱脂方法は、小片化魚類軟骨又は粉末化魚類軟骨だけでなく、生体から採取した軟骨そのものにも適用できる。
魚類軟骨(小片化魚類軟骨及び粉末化魚類軟骨を含む。なお、以下小片化魚類軟骨及び粉末化魚類軟骨まとめて「微細化魚類軟骨」ということがある。)は水抽出に供される。水抽出に用いる水(以下「抽出水」という場合がある)としては、例えば、ミリQ水、蒸留水、脱イオン水、精製水、水道水等が例示される。また、抽出水のpHは、通常5.5~8.0程度、好ましくはpH6.0~7.5程度、より好ましくはpH6.5~7.5程度である。酸やアルカリ、塩基類などpHを大きく変動される物質を溶解させるのは好ましくない。なお、有機酸や無機酸等の酸化合物や水酸化ナトリウム等のアルカリ化合物を抽出水に添加すると、高分子量プロテオグリカン(特に分子量が1000万を超える高分子量プロテオグリカン)が減少若しくは消失するため、酸化合物やアルカリ化合物は添加しないことが好ましい。なお、限定的な解釈を望むものではないが、これは、酸化合物やアルカリ化合物の影響により、抽出処理中にプロテオグリカン集合体が崩壊することが原因ではないかと推測される。
水抽出は、例えば、魚類軟骨を水に適当時間(例えば30分以上、好ましくは30分~24時間程度、より好ましくは1~12時間程度、さらに好ましくは2~6時間程度、よりさらに好ましくは3~4時間程度)浸漬させることで行うことができる。水の量は、特に制限されないが、例えば抽出に供される小片化魚類軟骨又は粉末化魚類軟骨が全て水に浸かる程度の量が例示される。水抽出の際、静置してもよいし、撹拌してもよい。撹拌することが好ましい。また、抽出時の水の温度は、特に制限はされないが、好ましくは50℃以上、より好ましくは70℃以上である。そのため、抽出時に加温してもよいし、抽出前に予め温めておいてもよい。加熱温度(すなわち用いる水の温度)は、具体的には、好ましくは50~100℃程度、より好ましくは70~100℃程度、さらに好ましくは80~100℃程度、よりさらに好ましくは90~100℃程度が例示される。また、加圧下で加熱してもよい。また、加熱を行う場合は、高分子量プロテオグリカンが熱により分解されるおそれがあるため、加熱された抽出水を抽出処理中に置換してもよい。抽出水を置換する場合の各抽出水における抽出時間間隔は、例えば15分~4時間毎、好ましくは30分~2時間又は1時間程度が例示される。好ましい一態様としては、魚類軟骨に、これらを全量浸漬できる量の水(好ましくは加熱された水)を加え、3~4時間加熱しつつ静置若しくは撹拌する、という方法が挙げられる。また、他の好ましい一態様としては、“魚類軟骨に、これらを全量浸漬できる量の水(好ましくは加熱された水)を加え、1時間加熱しつつ静置し、この水を回収する”という工程を4回繰り返す方法が挙げられる(この場合、合計4時間の水抽出を行うことになる)。
水抽出後は、液体部分を回収することで、魚類軟骨水抽出物を得ることができる。液体部分の回収は、例えば遠心分離(例えば5000rpm、20分、4℃での遠心分離が例示できる)処理や連続遠心分離処理などを行い、上清を回収することで行い得る。当該液体(上清)をそのまま本発明の魚類軟骨水抽出物として用いてもよいし、公知の方法により更に精製(例えば脱脂)してもよい。あるいは、減圧蒸留法等により、濃縮してもよい。またあるいは、凍結乾燥法やスプレードライ法等により、乾燥や粉末化してもよい。
例えば上記のようにして得られる、高分子量プロテオグリカン(あるいは高分子量プロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物)を、本開示の組成物に好ましく用いることができる。
本開示の組成物には、高分子量プロテオグリカン(あるいは高分子量プロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物)の他に、例えば、外用医薬品分野又は化粧品分野で用いられる公知の成分を含有することができる。例えば、外用医薬品用又は化粧品用として許容される界面活性剤、湿潤剤、高分子剤、粉体、エステル類、アルコール類、動植物油脂、薬効剤、保存剤、着色剤、香料や、その他化粧品用として許容される成分、材料が挙げられる。
また、本開示の組成物は、高分子量プロテオグリカン(あるいは高分子量プロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物)、必要に応じてブチレングリコール、さらにはその他の成分を適宜配合して、常法(例えば混合)に従って製造され得る。また、本開示の組成物の形態も特に限定はされず、例えば外用医薬品組成物又は化粧品組成物として好ましく用いることができる。化粧品組成物としては、より具体的には、例えば、育毛剤、ヘアトニック、乳液、化粧水、クリーム、美容液、フェイスパック、フェイスマスク、日焼け止め等を挙げることができる。
本開示の組成物は、高分子量プロテオグリカン(あるいは高分子量プロテオグリカン)を含有することにより、皮膚に適用した際に、炎症性サイトカインの発現を抑制し、炎症抑制効果を奏し得る。このため、特に外部刺激(例えば細菌や刺激物質等による刺激)による炎症(皮膚炎)の予防又は治療のためのみならず、アトピー性皮膚炎の予防又は治療のためにも好ましく用いることができる。通常、皮膚に適用する成分は低分子量であることが好ましいと考えられているため、高分子量プロテオグリカンがこのような効果を奏し得ることは意外ということができる。
なお、特に限定されるわけではないが、本開示の組成物により抑制される炎症性サイトカインとしては、インターロイキン(IL)及び腫瘍壊死因子(TNF)、等が例示され、より具体的にはTNF-α、TNF-β、IL-2、IL-6等が好ましく例示される。これらの炎症性サイトカインの産生が健常人に比べて亢進している対象のために、本開示組成物を特に好ましく用いることができる。
本開示の組成物を適用する対象は、特に限定はされず、老若男女が対象となり得るが、特に例えば30歳以上のヒトが好ましく、40歳以上、50歳以上、若しくは60歳以上のヒトがより好ましい。また、年齢に関係なく、アトピー性皮膚炎のヒトに対して好ましく用いることもできる。また、対象もヒトのみならず、非ヒト哺乳動物に対して用いることもでき、例えばペット若しくは家畜(具体的には例えばイヌ、ネコ、サル、マウス、ラット、ブタ、ウシ、ヒツジ、ウマ、ヤギ、ラクダ、リャマ等)にも用いることができる。非ヒト哺乳動物のアトピー性皮膚炎の予防又は治療のために用いることもできる。
本開示の組成物における、高分子量プロテオグリカン、あるいは高分子量プロテオグリカンを含有する魚類軟骨水抽出物の配合量は、上記効果が発揮される限り特に制限はされず、例えば、0.0005~100質量%、より好ましくは0.005~90質量%、さらに好ましくは0.05~80質量%が挙げられる。
なお、本明細書において「含む」とは、「本質的にからなる」と、「からなる」をも包含する(The term "comprising" includes "consisting essentially of” and "consisting of.")。また、本開示は、本明細書に説明した構成要件を任意の組み合わせを全て包含する。
また、上述した本開示の各実施形態について説明した各種特性(性質、構造、機能等)は、本開示に包含される主題を特定するにあたり、どのように組み合わせられてもよい。すなわち、本開示には、本明細書に記載される組み合わせ可能な各特性のあらゆる組み合わせからなる主題が全て包含される。
以下、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の例に限定されるものではない。
サケ鼻軟骨からのプロテオグリカンの抽出検討
<抽出に用いた試料>
以下のようにして調製した脱脂サケ鼻軟骨粉末を、プロテオグリカン抽出検討に用いた。なお、サケ鼻軟骨としては、凍結サケ頭部を解凍後、直ちに鼻軟骨を取り出し、さらに流水に6時間さらして洗浄及び脱脂した後、さらにピンセットで肉片等を取り除き、手で水洗いして得られたサケ鼻軟骨を用いた。
サケ鼻軟骨をフリーザーに保存して凍結させ、これを凍結サケ鼻軟骨ブロックとして用いた。なお、用いたサケ頭部の大きさにもよるが、凍結サケ鼻軟骨ブロックは、およそ、大きさ 2.5×1.5 ~ 4.5×2 cm、重さ 1.71 ~ 6.91 gの塊(7個あたりの平均の重さは3.701g)であった。
得られた凍結サケ鼻軟骨ブロックを用いて、特許文献6(特開2009-173702号公報)の実施例1に記載の方法により、脱脂サケ鼻軟骨粉末を得た。凍結サケ鼻軟骨ブロック100gから、脱脂サケ鼻軟骨粉末は5.83g得られた。
特許文献6の実施例1の記載を次に抜粋する。
『凍結サケ鼻軟骨100gを破砕し、これに15℃の水道水を同容量加え、緩やかに撹件して十分混ぜ合わせ、5℃前後に維持された混合物をただちに遠心分離器9,000rpm、30分、4℃で遠心分離し、脂質とプロテオグリカン他組成物を分けた。遠心分離層は3層に分かれ、最上部の脂質層と中間層の水層を取り除き、沈殿物を回収した。沈殿物は凍結乾燥後、遠心式粉砕機で粉砕し、水脱脂微粉末を得た。この段階で、一部をエーテル抽出にて脂質を測定した結果、脂質は8.8%残存しており、脱脂前の脂質を100%とした場合の除去率は75.0%となり、弱い異臭を含んでいた。ついで、水脱脂微粉末に10倍容量のエタノールを加えて、異臭を含む脂質を溶解抽出した。本操作を2回繰り返してエタノール溶液を濾過除去し、溶媒を蒸発させると微黄褐色無臭のプロテオグリカン組成物粉末を得た。サケ鼻軟骨に対する収率58.7%(ドライベース)、プロテオグリカン含有率77.7%であった。プロテオグリカン組成物粉末の異臭は全く消失した。』
特許文献6実施例1の「凍結サケ鼻軟骨」は、上記「凍結サケ鼻軟骨ブロック」に相当する。また、「ドライベース」とは、乾燥質量換算のことである。
上記脱脂サケ鼻軟骨粉末20gに1000mLの常温の精製水(pH6.5)を加え、30分間撹拌した後、遠心分離(8000rpm,30分,4℃)を行い、上清を回収し、当該上清を凍結乾燥してサケ鼻軟骨水抽出物を得た。
このサケ鼻軟骨水抽出物を、下記条件のゲル濾過クロマトグラフィーにより各フラクションに分離した。そして、各フラクションに含まれるウロン酸量をカルバゾール硫酸法により定量した。また、各フラクションの280nmでの吸光度を測定し、当該吸光度を、含まれるタンパク質量を反映する値とした。そして、これらの結果を基にして、ウロン酸量クロマトグラム及び280nmタンパク質量クロマトグラムを描いた。ウロン酸量クロマトグラム及び280nmタンパク質量クロマトグラムを重ねて描いた図を図1aに、また、ウロン酸量クロマトグラムにおいて各分子量マーカーが溶出されたフラクションの位置を示した図を図1bに、それぞれ示す。なお、ゲル濾過クロマトグラフィーの分画フラクション量は下記の通り 1mL/tubeとしたため、図1の横軸「Elution Volume(mL)」は、フラクションNo.も反映する。
『〔ゲル濾過クロマトグラフィー条件〕
カラム: Sepharose CL-2B 充填カラム(Sepharose CL-2Bを担体としてφ1cm×50cmのカラムに充填したもの。Sepharose CL-2Bのデキストランの分画範囲は100~20,000kDaであり、GE Healthcare社等から入手できる。Sepharose CL-2Bは、2%架橋アガロース、粒子径60~200μm(レーザー回折散乱法による)、CAS登録番号65099-79-8である。)
バッファー: 0.1Mリン酸緩衝液(pH 7.1, 0.2M NaCl含有)
アプライサンプル量:サケ鼻軟骨水抽出物を4mg(1mLバッファーに溶解させて使用)
流速: 0.15mL/min
分画フラクション量: 1mL/tube
分子量検量線:次の各種デキストラン分子量マーカーについて上記と同様の条件(但しサンプル量は1mg/1mLバッファー)でゲル濾過クロマトグラフィーを行い、フェノール・硫酸法により各フラクションの吸光度(デキストラン量を反映する)を測定し、検量線を作製した。
<デキストラン分子量マーカー>
Dextran from Leuconostoc mesenteroides(mol wt 5,000,000-40,000,000)(SIGMA)・・・カラムのvoid volume測定用、20000kDa
Dextran Standard 1,400,000(SIGMA)・・・1400kDa
Dextran Standard 670,000(SIGMA) ・・・670kDa
Dextran Standard 410,000(SIGMA) ・・・410kDa
Dextran Standard 270,000(SIGMA) ・・・270kDa
但し、Dextran from Leuconostoc mesenteroidesについては、当該マーカーに含まれる低分子のデキストランを除去する前処理を行った後、用いた。当該前処理は、上述の〔ゲル濾過クロマトグラフィー条件〕(アプライ量はマーカー用の量)によりDextran from Leuconostoc mesenteroidesそのものを溶出させ、分子量2000万以上の分子を回収し、凍結乾燥させることで行った。具体的には、フェノール・硫酸法により各フラクションの吸光度を測定して作成した、デキストラン量を反映するクロマトグラムにおいて、最初に出現したピークに相当するフラクションを回収し、これを凍結乾燥した(これにより、分子量20,000kDa以上の分子を回収、凍結乾燥できると考えられる)。この凍結乾燥物を実際にマーカー(カラムのvoid volume測定用)として用いた。
デキストラン量を反映するクロマトグラムを得るための吸光度測定は、Hodge, J. E. and Hofreiter, B. T., Method in Carbohydrate Chemistry, 1, 338 (1962)に記載の方法(フェノール・硫酸法)に従った。具体的には、次のようにして行った。
〔1〕105×15mmの試験管に試料水溶液を500μL加える。
〔2〕フェノール試薬(5 v/v%フェノール水溶液)を500μL加え、撹拌する。
〔3〕濃硫酸を2.5mL加え、すぐに10秒間激しく撹拌する。
〔4〕室温に20分以上放置する。
〔5〕分光光度計で490nmの吸収を測定する。』
なお、得られた検量線は(y = -4.1355Ln(x)+59.47 ; R=0.9869)であり、R値から考えて分子量とフラクションNo.(即ち溶出液量)はよく相関していることがわかった。
図1bに示されるように、サケ鼻軟骨水抽出物には、少なくとも分子量200万以上(さらには分子量250万以上)のプロテオグリカンが含まれることがわかった。なお、図1bに示すように、ウロン酸量クロマトグラムにおいて、特定の分子量に相当する溶出液量点に垂線を引き、該クロマトグラムを分割した際の2部分の面積比を求めることで、その特定の分子量以上(又は以下)の成分が魚類軟骨水抽出物に含有される比率を求めることができる。
次に、サケ鼻軟骨水抽出物をさらに詳しく分析した。具体的には次のようにして行った。サケ鼻軟骨水抽出物を、下記条件のイオン交換クロマトグラフィーに供し、プロテオグリカンを分画した。具体的には、溶出フラクションを16mLずつ採取して、ウロン酸量をカルバゾール硫酸法により定量した。
『〔イオン交換クロマトグラフィー条件〕
カラム:DEAE充填カラム(DEAE(GEヘルスケア社)を担体として、φ5.0cm×20cmのカラムに充填したもの)
バッファー: 7M尿素-トリス-塩酸緩衝液 (pH 7.2)
グラジェント: NaCl 濃度 0 → 0.75M
アプライサンプル量: サケ鼻軟骨水抽出物200mg (50mLバッファーに溶解させてアプライ)
流速: 2.0mL/min
フラクション量: 16mL/tube 』
得られたウロン酸量クロマトグラムを図2に示す。ウロン酸を含むフラクション(図2において両方向矢印で示される)を集め、透析した後、凍結乾燥を行ない、粉末を得た。当該粉末を「プロテオグリカン画分」とし、以下の検討に用いた。
上記のようにして得られたプロテオグリカン画分を、下記条件のゲル濾過クロマトグラフィーに供し、分画した。そして、各フラクションに含まれるウロン酸量をカルバゾール硫酸法により定量した。また、各フラクションの280nmでの吸光度を測定し、当該吸光度値を含まれるタンパク質量を反映する値とした。そして、これらの結果を基にして、ウロン酸量クロマトグラム及び280nmタンパク質量クロマトグラムを描いた。
〔ゲル濾過クロマトグラフィー条件〕
カラム: Sepharose CL-2B充填カラム(Sepharose CL-2B(GEヘルスケア社)を担体として、φ5.0cm×50cmのカラムに充填したもの)
バッファー:0.1M リン酸緩衝液(pH7.1, 0.2M NaCl含有)
アプライサンプル量:150mg
流速:2.0mL/min
フラクション量:16mL/tube
また下記の各種デキストラン分子量マーカーについても、同様の条件(但しサンプル量は50mg)でゲル濾過クロマトグラフィーを行ない、フェノール・硫酸法により各溶出フラクションの吸光度(デキストラン量を反映する)を測定し、分子量とフラクションNo.の検量線を作成して、分子量が500万、40万となるフラクションNo.を求めた。
<デキストラン分子量マーカー>
Dextran from Leuconostoc mesenteroides (mol wt 5,000,000 - 40,000,000)(SIGMA)・・・20,000kDa
Dextran Standard 1,400,000(SIGMA)・・・1,400kDa
Dextran Standard 270,000(SIGMA)・・・270kDa
但し、Dextran from Leuconostoc mesenteroidesについては、当該マーカーに含まれる低分子のデキストランを除去する前処理を行った後、用いた。当該前処理は、上述の〔ゲル濾過クロマトグラフィー条件〕(アプライ量はマーカー処理時の量)によりDextran from Leuconostoc mesenteroidesを溶出させ、分子量2000万以上の分子を回収し、凍結乾燥させることで行った。具体的には、デキストラン量を反映するクロマトグラムにおいて、最初に出現したピークに相当するフラクションを回収し、これを凍結乾燥した(これにより、分子量20,000kDa以上の分子を回収、凍結乾燥できると考えられる)。この凍結乾燥物を実際にマーカー(カラムのvoid volume測定用)として用いた。デキストラン量を反映するクロマトグラムを得るための吸光度測定は、上記と同様に行った。
得られたクロマトグラムを図3に示す。ウロン酸を含むフラクションのうち、分子量500万以上、40万以上~500万未満、40万未満の3区分で、それぞれフラクションを集め、透析後、凍結乾燥を行ない、3種の分子量違い魚類軟骨水抽出物(粉末)を得た。これらの3種の魚類軟骨水抽出物を、PG-1抽出物(分子量500万以上のプロテオグリカンを含有)、PG-2抽出物(分子量40万以上~500万未満のプロテオグリカンを含有)、PG-3抽出物(分子量40万未満のプロテオグリカンを含有)とする。
マウス・マクロファージ細胞株(RAW264.7)にPG-1抽出物、PG-2抽出物、又はPG-3抽出物を添加し、LPS(リポポリサッカライド)刺激を行って炎症性サイトカインを誘導した後、炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1β、IL-6)の量を測定した。
より具体的には、次のようにして行った。2.0×10Cell/mLのマウス・マクロファージ細胞株(RAW264.7)に、各分子量別プロテオグリカン画分(PG-1抽出物、PG-2抽出物、又はPG-3抽出物)を10μg/mlになるように添加した。24時間培養後、無血清培地(D-MEM)を1ml加え、LPSを100ng/mlになるように添加した。24時間培養後培地を回収し、エライザキットにより炎症性サイトカイン(TNF-α、IL-1β、IL-6)の量を測定した。
結果を図4に示す。なお、図4において、***はp<0.001を、**はp<0.01を、*はp<0.05を、+はp<0.1を、N.Sは有意傾向なしを、それぞれ示す。
TNF-αは、いずれの分子量のプロテオグリカンによっても産生が抑制された。
IL-1βについては、PG-3抽出物(分子量40万未満のプロテオグリカン)ではむしろ産生量が増えてしまった。一方、IL-6については、PG-1抽出物(分子量500万以上のプロテオグリカン)及びPG-2抽出物(分子量40万以上~500万未満のプロテオグリカン)で産生量が抑制され、特にPG-2抽出物でより強く産生量が抑制された。
以上のことから、炎症性サイトカイン産生を抑制するためには、分子量40万以上のプロテオグリカンが好ましく、分子量40万~500未満のプロテオグリカンがより好ましいことが分かった。

Claims (5)

  1. 分子量40万以上のプロテオグリカンを含有する、皮膚炎症抑制のための外用組成物。
  2. 医薬品組成物又は化粧品組成物である、請求項1に記載の外用組成物。
  3. アトピー性皮膚炎の対象のための、請求項1又は2のいずれかに記載の外用組成物。
  4. 分子量40万~500万のプロテオグリカンを含有する、請求項1~3のいずれかに記載の外用組成物。
  5. インターロイキン-6の産生が健常人よりも亢進している対象のための、請求項4に記載の外用組成物。
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