JP2022073150A - 放射率調整方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022073150000001
【課題】放射温度計に設定する放射率を高い精度にて調整することができる放射率調整方法を提供する。
【解決手段】熱電対を付設した測定用ウェハーをハロゲンランプからの光照射によって昇温してから降温させるサイクル加熱処理を行う。測定用ウェハーにサイクル加熱処理を行いつつ、昇温した測定用ウェハーの温度を熱電対および放射温度計によって測定する。熱電対によって測定された測定用ウェハーの真の温度と放射温度計によって測定された温度との温度差が所定の閾値以内である場合には、放射温度計に設定されている放射率が正確であると判定され、調整処理を終了する。当該温度差が所定の閾値を超えている場合には、放射温度計に設定されている放射率を温度差に応じて修正する。
【選択図】図8

Description

本発明は、熱処理装置に設置されて半導体ウェハー等の薄板状精密電子基板(以下、単に「基板」と称する)の温度を測定する放射温度計に設定する放射率を調整する放射率調整方法に関する。
半導体ウェハーを加熱する熱処理装置(例えば、ランプアニール装置等)においては、ウェハー温度を適切に管理することが重要である。このためには、半導体ウェハーの温度を正確に測定することが必要となる。半導体ウェハーの温度を正確に測定する手法として熱電対によってウェハー温度を測定することが考えられる。しかし、熱電対を半導体ウェハーに直接接触させると汚染の原因となるだけでなく、半導体ウェハーの搬送が出来なくなるため、半導体ウェハーの温度測定に熱電対を使用することは困難である。このため、熱処理中の半導体ウェハーの温度を測定するツールとして非接触で半導体ウェハーの温度を測定する放射温度計が広く使用されている。
放射温度計には、測定対象に直接接触して温度測定を行う熱電対に比較して測定精度が低くなりやすいという問題がある。このため、特許文献1には、熱電対によって測定した実温度に基づいて温度較正用データを作成し、それによって放射温度計の測定温度を補正することが開示されている。また、特許文献2には、熱電対と放射温度計との誤差率を補正率として放射温度計の測定値を補正することが開示されている。さらに、特許文献3には、熱電対の測定温度に基づいて放射温度計の補正値を演算することが開示されている。これらはいずれも、熱電対は実温度を正確に測定できる点に着目し、その熱電対の測定値に基づいて放射温度計の測定温度を補正するものである。
特開昭62-110127号公報 特開平2-298829号公報 特開平3-232968号公報
しかしながら、実際には測定対象である半導体ウェハーの放射率が表面状態や温度等の種々の要因によって細かく変動する。このため、熱電対の測定値に基づいて放射温度計の測定温度を補正したとしても、放射温度計によって熱処理中の半導体ウェハーの温度を正確に測定することは困難であった。放射温度計によって熱処理中の半導体ウェハーの温度を正確に測定するためには、そのときの半導体ウェハーの正確な放射率を放射温度計に設定する必要がある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、放射温度計に設定する放射率を高い精度にて調整することができる放射率調整方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、熱処理装置に設置された放射温度計に設定する放射率を調整する放射率調整方法において、加熱処理によって昇温した基板の温度を熱電対によって測定する第1温度測定工程と、前記基板の温度を前記放射温度計によって測定する第2温度測定工程と、前記第1温度測定工程にて得られた第1測定温度と前記第2温度測定工程にて得られた第2測定温度との温度差に基づいて前記放射温度計に設定された放射率を修正する修正工程と、を備えることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る放射率調整方法において、前記修正工程では、前記第1測定温度と前記第2測定温度との温度差が所定の閾値を超えている場合には、予め設定された変化量だけ前記放射温度計に設定された放射率を修正することを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項2の発明に係る放射率調整方法において、前記修正工程では、前記第1測定温度が前記第2測定温度よりも高い場合には、前記放射温度計に設定された放射率を小さくすることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、熱処理装置に設置された放射温度計に設定する放射率を調整する放射率調整方法において、熱電対が付設された基板をチャンバー内に搬入する搬入工程と、連続点灯ランプからの光照射によって前記基板を昇温してから降温させる加熱処理を第1サイクル数繰り返すダミー処理工程と、前記連続点灯ランプからの光照射によって前記基板を昇温してから降温させる加熱処理を第2サイクル数繰り返す第1調整工程と、を備え、前記第1調整工程は、各サイクル毎に、昇温した前記基板の温度を前記熱電対によって測定して得られた第1測定温度と前記基板の温度を前記放射温度計によって測定して得られた第2測定温度とを比較する第1比較工程を備え、前記第1調整工程では、前記第2サイクル数の全てのサイクルにて前記第1測定温度と前記第2測定温度との温度差が所定の閾値以内である場合には前記放射温度計に設定された放射率の調整を終了するとともに、前記第2サイクル数の少なくとも1回のサイクルで前記第1測定温度と前記第2測定温度との温度差が前記閾値を超えている場合には前記放射温度計に設定された放射率を修正することを特徴とする。
また、請求項5の発明は、請求項4の発明に係る放射率調整方法において、前記第1調整工程では、前記第1測定温度と前記第2測定温度との温度差が前記閾値を超えている場合には、予め設定された変化量だけ前記放射温度計に設定された放射率を修正することを特徴とする。
また、請求項6の発明は、請求項5の発明に係る放射率調整方法において、前記第1調整工程では、前記第1測定温度が前記第2測定温度よりも高い場合には、前記放射温度計に設定された放射率を小さくすることを特徴とする。
また、請求項7の発明は、請求項6の発明に係る放射率調整方法において、前記第1調整工程にて前記放射温度計に設定された放射率を修正した後に、前記連続点灯ランプからの光照射によって前記基板を昇温してから降温させる加熱処理を前記第2サイクル数繰り返す第2調整工程をさらに備え、前記第2調整工程は、各サイクル毎に、前記第1測定温度と前記第2測定温度とを比較する第2比較工程を備え、前記第2調整工程では、前記第2サイクル数の全てのサイクルにて前記第1測定温度と前記第2測定温度との温度差が前記閾値以内である場合には前記放射温度計に設定された放射率の調整を終了するとともに、前記第2サイクル数の少なくとも1回のサイクルで前記第1測定温度と前記第2測定温度との温度差が前記閾値を超えている場合には前記放射温度計に設定された放射率をさらに修正することを特徴とする。
また、請求項8の発明は、請求項7の発明に係る放射率調整方法において、前記第2調整工程では、前記第1測定温度と前記第2測定温度との温度差が前記閾値を超えている場合には、前記第1比較工程での前記第1測定温度と前記第2測定温度との温度差および前記第2比較工程での前記第1測定温度と前記第2測定温度との温度差に基づく直線近似より得られた、前記第1測定温度と前記第2測定温度との温度差が0となる放射率を前記放射温度計に設定することを特徴とする。
また、請求項9の発明は、請求項8の発明に係る放射率調整方法において、前記第1比較工程での前記第1測定温度と前記第2測定温度との温度差と、前記第2比較工程での前記第1測定温度と前記第2測定温度との温度差と、が同じ値であった場合には警報を発報することを特徴とする。
また、請求項10の発明は、請求項9の発明に係る放射率調整方法において、前記第1調整工程または前記第2調整工程にて修正された前記放射温度計に設定された放射率が所定の上限値より大きくなった場合、または、所定の下限値未満となった場合には警報を発報することを特徴とする。
また、請求項11の発明は、請求項4から請求項10のいずれかの発明に係る放射率調整方法において、前記ダミー処理工程の途中にて前記熱電対によって測定した前記基板の温度と前記放射温度計によって測定した前記基板の温度とが異なる場合には、前記放射温度計に設定された放射率を予備修正することを特徴とする。
請求項1から請求項3の発明によれば、基板の温度を熱電対によって測定した第1測定温度と放射温度計によって測定した第2測定温度との温度差に基づいて放射温度計に設定された放射率を修正するため、基板の実温度に基づいて放射率を修正することとなり、放射温度計に設定する放射率を高い精度にて調整することができる。
請求項4から請求項11の発明によれば、基板の温度を熱電対によって測定した第1測定温度と放射温度計によって測定した第2測定温度との温度差が閾値を超えている場合には放射温度計に設定された放射率を修正するため、基板の実温度に基づいて放射率を修正することとなり、放射温度計に設定する放射率を高い精度にて調整することができる。
本発明に係る放射率調整方法の対象となる放射温度計を組み込んだ熱処理装置1の構成を示す縦断面図である。 保持部の全体外観を示す斜視図である。 サセプタの平面図である。 サセプタの断面図である。 移載機構の平面図である。 移載機構の側面図である。 複数のハロゲンランプの配置を示す平面図である。 放射温度計に設定する放射率を調整する手順を示すフローチャートである。 放射温度計に設定する放射率を調整する手順を示すフローチャートである。 放射温度計に設定する放射率を調整する手順を示すフローチャートである。 調整処理のサイクル加熱時における測定用ウェハーの温度変化を示す図である。 補正直線の一例を示す図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
まず、本発明に係る放射率調整方法の対象となる放射温度計を組み込んだ熱処理装置1の構成について説明する。図1は、熱処理装置1の構成を示す縦断面図である。図1の熱処理装置1は、基板として円板形状の半導体ウェハーWに対してフラッシュ光照射を行うことによってその半導体ウェハーWを加熱するフラッシュランプアニール装置である。処理対象となる半導体ウェハーWのサイズは特に限定されるものではないが、例えばφ300mmやφ450mmである。なお、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
熱処理装置1は、半導体ウェハーWを収容するチャンバー6と、複数のフラッシュランプFLを内蔵するフラッシュ加熱部5と、複数のハロゲンランプHLを内蔵するハロゲン加熱部4と、を備える。チャンバー6の上側にフラッシュ加熱部5が設けられるとともに、下側にハロゲン加熱部4が設けられている。また、熱処理装置1は、チャンバー6の内部に、半導体ウェハーWを水平姿勢に保持する保持部7と、保持部7と装置外部との間で半導体ウェハーWの受け渡しを行う移載機構10と、を備える。さらに、熱処理装置1は、ハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6に設けられた各動作機構を制御して半導体ウェハーWの熱処理を実行させる制御部3を備える。
チャンバー6は、筒状のチャンバー側部61の上下に石英製のチャンバー窓を装着して構成されている。チャンバー側部61は上下が開口された概略筒形状を有しており、上側開口には上側チャンバー窓63が装着されて閉塞され、下側開口には下側チャンバー窓64が装着されて閉塞されている。チャンバー6の天井部を構成する上側チャンバー窓63は、石英により形成された円板形状部材であり、フラッシュ加熱部5から出射されたフラッシュ光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。また、チャンバー6の床部を構成する下側チャンバー窓64も、石英により形成された円板形状部材であり、ハロゲン加熱部4からの光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。
また、チャンバー側部61の内側の壁面の上部には反射リング68が装着され、下部には反射リング69が装着されている。反射リング68,69は、ともに円環状に形成されている。上側の反射リング68は、チャンバー側部61の上側から嵌め込むことによって装着される。一方、下側の反射リング69は、チャンバー側部61の下側から嵌め込んで図示省略のビスで留めることによって装着される。すなわち、反射リング68,69は、ともに着脱自在にチャンバー側部61に装着されるものである。チャンバー6の内側空間、すなわち上側チャンバー窓63、下側チャンバー窓64、チャンバー側部61および反射リング68,69によって囲まれる空間が熱処理空間65として規定される。
チャンバー側部61に反射リング68,69が装着されることによって、チャンバー6の内壁面に凹部62が形成される。すなわち、チャンバー側部61の内壁面のうち反射リング68,69が装着されていない中央部分と、反射リング68の下端面と、反射リング69の上端面とで囲まれた凹部62が形成される。凹部62は、チャンバー6の内壁面に水平方向に沿って円環状に形成され、半導体ウェハーWを保持する保持部7を囲繞する。チャンバー側部61および反射リング68,69は、強度と耐熱性に優れた金属材料(例えば、ステンレススチール)にて形成されている。
また、チャンバー側部61には、チャンバー6に対して半導体ウェハーWの搬入および搬出を行うための搬送開口部(炉口)66が形設されている。搬送開口部66は、ゲートバルブ185によって開閉可能とされている。搬送開口部66は凹部62の外周面に連通接続されている。このため、ゲートバルブ185が搬送開口部66を開放しているときには、搬送開口部66から凹部62を通過して熱処理空間65への半導体ウェハーWの搬入および熱処理空間65からの半導体ウェハーWの搬出を行うことができる。また、ゲートバルブ185が搬送開口部66を閉鎖するとチャンバー6内の熱処理空間65が密閉空間とされる。
さらに、チャンバー側部61には、貫通孔61aが穿設されている。チャンバー側部61の外壁面の貫通孔61aが設けられている部位には放射温度計20が取り付けられている。貫通孔61aは、後述するサセプタ74に保持された半導体ウェハーWの下面から放射された赤外光を放射温度計20に導くための円筒状の孔である。貫通孔61aは、その貫通方向の軸がサセプタ74に保持された半導体ウェハーWの主面と交わるように、水平方向に対して傾斜して設けられている。よって、放射温度計20はサセプタ74の斜め下方に設けられることとなる。貫通孔61aの熱処理空間65に臨む側の端部には、放射温度計20が測定可能な波長領域の赤外光を透過させるフッ化バリウム材料からなる透明窓21が装着されている。
また、チャンバー6の内壁上部には熱処理空間65に処理ガスを供給するガス供給孔81が形設されている。ガス供給孔81は、凹部62よりも上側位置に形設されており、反射リング68に設けられていても良い。ガス供給孔81はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間82を介してガス供給管83に連通接続されている。ガス供給管83は処理ガス供給源85に接続されている。また、ガス供給管83の経路途中にはバルブ84が介挿されている。バルブ84が開放されると、処理ガス供給源85から緩衝空間82に処理ガスが送給される。緩衝空間82に流入した処理ガスは、ガス供給孔81よりも流体抵抗の小さい緩衝空間82内を拡がるように流れてガス供給孔81から熱処理空間65内へと供給される。処理ガスとしては、例えば窒素(N)等の不活性ガス、または、水素(H)、アンモニア(NH)等の反応性ガス、或いはそれらを混合した混合ガスを用いることができる(本実施形態では窒素ガス)。
一方、チャンバー6の内壁下部には熱処理空間65内の気体を排気するガス排気孔86が形設されている。ガス排気孔86は、凹部62よりも下側位置に形設されており、反射リング69に設けられていても良い。ガス排気孔86はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間87を介してガス排気管88に連通接続されている。ガス排気管88は排気部190に接続されている。また、ガス排気管88の経路途中にはバルブ89が介挿されている。バルブ89が開放されると、熱処理空間65の気体がガス排気孔86から緩衝空間87を経てガス排気管88へと排出される。なお、ガス供給孔81およびガス排気孔86は、チャンバー6の周方向に沿って複数設けられていても良いし、スリット状のものであっても良い。また、処理ガス供給源85および排気部190は、熱処理装置1に設けられた機構であっても良いし、熱処理装置1が設置される工場のユーティリティであっても良い。
図2は、保持部7の全体外観を示す斜視図である。保持部7は、基台リング71、連結部72およびサセプタ74を備えて構成される。基台リング71、連結部72およびサセプタ74はいずれも石英にて形成されている。すなわち、保持部7の全体が石英にて形成されている。
基台リング71は円環形状から一部が欠落した円弧形状の石英部材である。この欠落部分は、後述する移載機構10の移載アーム11と基台リング71との干渉を防ぐために設けられている。基台リング71は凹部62の底面に載置されることによって、チャンバー6の壁面に支持されることとなる(図1参照)。基台リング71の上面に、その円環形状の周方向に沿って複数の連結部72(本実施形態では4個)が立設される。連結部72も石英の部材であり、溶接によって基台リング71に固着される。
サセプタ74は基台リング71に設けられた4個の連結部72によって支持される。図3は、サセプタ74の平面図である。また、図4は、サセプタ74の断面図である。サセプタ74は、保持プレート75、ガイドリング76および複数の基板支持ピン77を備える。保持プレート75は、石英にて形成された略円形の平板状部材である。保持プレート75の直径は半導体ウェハーWの直径よりも大きい。すなわち、保持プレート75は、半導体ウェハーWよりも大きな平面サイズを有する。
保持プレート75の上面周縁部にガイドリング76が設置されている。ガイドリング76は、半導体ウェハーWの直径よりも大きな内径を有する円環形状の部材である。例えば、半導体ウェハーWの直径がφ300mmの場合、ガイドリング76の内径はφ320mmである。ガイドリング76の内周は、保持プレート75から上方に向けて広くなるようなテーパ面とされている。ガイドリング76は、保持プレート75と同様の石英にて形成される。ガイドリング76は、保持プレート75の上面に溶着するようにしても良いし、別途加工したピンなどによって保持プレート75に固定するようにしても良い。或いは、保持プレート75とガイドリング76とを一体の部材として加工するようにしても良い。
保持プレート75の上面のうちガイドリング76よりも内側の領域が半導体ウェハーWを保持する平面状の保持面75aとされる。保持プレート75の保持面75aには、複数の基板支持ピン77が立設されている。本実施形態においては、保持面75aの外周円(ガイドリング76の内周円)と同心円の周上に沿って30°毎に計12個の基板支持ピン77が立設されている。12個の基板支持ピン77を配置した円の径(対向する基板支持ピン77間の距離)は半導体ウェハーWの径よりも小さく、半導体ウェハーWの径がφ300mmであればφ270mm~φ280mm(本実施形態ではφ270mm)である。それぞれの基板支持ピン77は石英にて形成されている。複数の基板支持ピン77は、保持プレート75の上面に溶接によって設けるようにしても良いし、保持プレート75と一体に加工するようにしても良い。
図2に戻り、基台リング71に立設された4個の連結部72とサセプタ74の保持プレート75の周縁部とが溶接によって固着される。すなわち、サセプタ74と基台リング71とは連結部72によって固定的に連結されている。このような保持部7の基台リング71がチャンバー6の壁面に支持されることによって、保持部7がチャンバー6に装着される。保持部7がチャンバー6に装着された状態においては、サセプタ74の保持プレート75は水平姿勢(法線が鉛直方向と一致する姿勢)となる。すなわち、保持プレート75の保持面75aは水平面となる。
チャンバー6に搬入された半導体ウェハーWは、チャンバー6に装着された保持部7のサセプタ74の上に水平姿勢にて載置されて保持される。このとき、半導体ウェハーWは保持プレート75上に立設された12個の基板支持ピン77によって支持されてサセプタ74に保持される。より厳密には、12個の基板支持ピン77の上端部が半導体ウェハーWの下面に接触して当該半導体ウェハーWを支持する。12個の基板支持ピン77の高さ(基板支持ピン77の上端から保持プレート75の保持面75aまでの距離)は均一であるため、12個の基板支持ピン77によって半導体ウェハーWを水平姿勢に支持することができる。
また、半導体ウェハーWは複数の基板支持ピン77によって保持プレート75の保持面75aから所定の間隔を隔てて支持されることとなる。基板支持ピン77の高さよりもガイドリング76の厚さの方が大きい。従って、複数の基板支持ピン77によって支持された半導体ウェハーWの水平方向の位置ずれはガイドリング76によって防止される。
また、図2および図3に示すように、サセプタ74の保持プレート75には、上下に貫通して開口部78が形成されている。開口部78は、放射温度計20が半導体ウェハーWの下面から放射される放射光(赤外光)を受光するために設けられている。すなわち、放射温度計20が開口部78およびチャンバー側部61の貫通孔61aに装着された透明窓21を介して半導体ウェハーWの下面から放射された光を受光して当該半導体ウェハーWの温度を測定する。さらに、サセプタ74の保持プレート75には、後述する移載機構10のリフトピン12が半導体ウェハーWの受け渡しのために貫通する4個の貫通孔79が穿設されている。
図5は、移載機構10の平面図である。また、図6は、移載機構10の側面図である。移載機構10は、2本の移載アーム11を備える。移載アーム11は、概ね円環状の凹部62に沿うような円弧形状とされている。それぞれの移載アーム11には2本のリフトピン12が立設されている。移載アーム11およびリフトピン12は石英にて形成されている。各移載アーム11は水平移動機構13によって回動可能とされている。水平移動機構13は、一対の移載アーム11を保持部7に対して半導体ウェハーWの移載を行う移載動作位置(図5の実線位置)と保持部7に保持された半導体ウェハーWと平面視で重ならない退避位置(図5の二点鎖線位置)との間で水平移動させる。水平移動機構13としては、個別のモータによって各移載アーム11をそれぞれ回動させるものであっても良いし、リンク機構を用いて1個のモータによって一対の移載アーム11を連動させて回動させるものであっても良い。
また、一対の移載アーム11は、昇降機構14によって水平移動機構13とともに昇降移動される。昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置にて上昇させると、計4本のリフトピン12がサセプタ74に穿設された貫通孔79(図2,3参照)を通過し、リフトピン12の上端がサセプタ74の上面から突き出る。一方、昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置にて下降させてリフトピン12を貫通孔79から抜き取り、水平移動機構13が一対の移載アーム11を開くように移動させると各移載アーム11が退避位置に移動する。一対の移載アーム11の退避位置は、保持部7の基台リング71の直上である。基台リング71は凹部62の底面に載置されているため、移載アーム11の退避位置は凹部62の内側となる。なお、移載機構10の駆動部(水平移動機構13および昇降機構14)が設けられている部位の近傍にも図示省略の排気機構が設けられており、移載機構10の駆動部周辺の雰囲気がチャンバー6の外部に排出されるように構成されている。
図1に戻り、チャンバー6の上方に設けられたフラッシュ加熱部5は、筐体51の内側に、複数本(本実施形態では30本)のキセノンフラッシュランプFLからなる光源と、その光源の上方を覆うように設けられたリフレクタ52と、を備えて構成される。また、フラッシュ加熱部5の筐体51の底部にはランプ光放射窓53が装着されている。フラッシュ加熱部5の床部を構成するランプ光放射窓53は、石英により形成された板状の石英窓である。フラッシュ加熱部5がチャンバー6の上方に設置されることにより、ランプ光放射窓53が上側チャンバー窓63と相対向することとなる。フラッシュランプFLはチャンバー6の上方からランプ光放射窓53および上側チャンバー窓63を介して熱処理空間65にフラッシュ光を照射する。
複数のフラッシュランプFLは、それぞれが長尺の円筒形状を有する棒状ランプであり、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように平面状に配列されている。よって、フラッシュランプFLの配列によって形成される平面も水平面である。複数のフラッシュランプFLが配列される領域は半導体ウェハーWの平面サイズよりも大きい。
キセノンフラッシュランプFLは、その内部にキセノンガスが封入されその両端部にコンデンサーに接続された陽極および陰極が配設された円筒形状のガラス管(放電管)と、該ガラス管の外周面上に付設されたトリガー電極とを備える。キセノンガスは電気的には絶縁体であることから、コンデンサーに電荷が蓄積されていたとしても通常の状態ではガラス管内に電気は流れない。しかしながら、トリガー電極に高電圧を印加して絶縁を破壊した場合には、コンデンサーに蓄えられた電気がガラス管内に瞬時に流れ、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出される。このようなキセノンフラッシュランプFLにおいては、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが0.1ミリセカンドないし100ミリセカンドという極めて短い光パルスに変換されることから、ハロゲンランプHLの如き連続点灯の光源に比べて極めて強い光を照射し得るという特徴を有する。すなわち、フラッシュランプFLは、1秒未満の極めて短い時間で瞬間的に発光するパルス発光ランプである。なお、フラッシュランプFLの発光時間は、フラッシュランプFLに電力供給を行うランプ電源のコイル定数によって調整することができる。
また、リフレクタ52は、複数のフラッシュランプFLの上方にそれら全体を覆うように設けられている。リフレクタ52の基本的な機能は、複数のフラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光を熱処理空間65の側に反射するというものである。リフレクタ52はアルミニウム合金板にて形成されており、その表面(フラッシュランプFLに臨む側の面)はブラスト処理により粗面化加工が施されている。
チャンバー6の下方に設けられたハロゲン加熱部4は、筐体41の内側に複数本(本実施形態では40本)のハロゲンランプHLを内蔵している。ハロゲン加熱部4は、複数のハロゲンランプHLによってチャンバー6の下方から下側チャンバー窓64を介して熱処理空間65への光照射を行って半導体ウェハーWを加熱する。
図7は、複数のハロゲンランプHLの配置を示す平面図である。40本のハロゲンランプHLは上下2段に分けて配置されている。保持部7に近い上段に20本のハロゲンランプHLが配設されるとともに、上段よりも保持部7から遠い下段にも20本のハロゲンランプHLが配設されている。各ハロゲンランプHLは、長尺の円筒形状を有する棒状ランプである。上段、下段ともに20本のハロゲンランプHLは、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように配列されている。よって、上段、下段ともにハロゲンランプHLの配列によって形成される平面は水平面である。
また、図7に示すように、上段、下段ともに保持部7に保持される半導体ウェハーWの中央部に対向する領域よりも周縁部に対向する領域におけるハロゲンランプHLの配設密度が高くなっている。すなわち、上下段ともに、ランプ配列の中央部よりも周縁部の方がハロゲンランプHLの配設ピッチが短い。このため、ハロゲン加熱部4からの光照射による加熱時に温度低下が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部により多い光量の照射を行うことができる。
また、上段のハロゲンランプHLからなるランプ群と下段のハロゲンランプHLからなるランプ群とが格子状に交差するように配列されている。すなわち、上段に配置された20本のハロゲンランプHLの長手方向と下段に配置された20本のハロゲンランプHLの長手方向とが互いに直交するように計40本のハロゲンランプHLが配設されている。
ハロゲンランプHLは、ガラス管内部に配設されたフィラメントに通電することでフィラメントを白熱化させて発光させるフィラメント方式の光源である。ガラス管の内部には、窒素やアルゴン等の不活性ガスにハロゲン元素(ヨウ素、臭素等)を微量導入した気体が封入されている。ハロゲン元素を導入することによって、フィラメントの折損を抑制しつつフィラメントの温度を高温に設定することが可能となる。したがって、ハロゲンランプHLは、通常の白熱電球に比べて寿命が長くかつ強い光を連続的に照射できるという特性を有する。すなわち、ハロゲンランプHLは少なくとも1秒以上連続して発光する連続点灯ランプである。また、ハロゲンランプHLは棒状ランプであるため長寿命であり、ハロゲンランプHLを水平方向に沿わせて配置することにより上方の半導体ウェハーWへの放射効率が優れたものとなる。
また、ハロゲン加熱部4の筐体41内にも、2段のハロゲンランプHLの下側にリフレクタ43が設けられている(図1)。リフレクタ43は、複数のハロゲンランプHLから出射された光を熱処理空間65の側に反射する。
制御部3は、熱処理装置1に設けられた上記の種々の動作機構を制御する。制御部3のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部3は、各種演算処理を行う回路であるCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備えている。制御部3のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって熱処理装置1における処理が進行する。
上記の構成以外にも熱処理装置1は、半導体ウェハーWの熱処理時にハロゲンランプHLおよびフラッシュランプFLから発生する熱エネルギーによるハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6の過剰な温度上昇を防止するため、様々な冷却用の構造を備えている。例えば、チャンバー6の壁体には水冷管(図示省略)が設けられている。また、ハロゲン加熱部4およびフラッシュ加熱部5は、内部に気体流を形成して排熱する空冷構造とされている。また、上側チャンバー窓63とランプ光放射窓53との間隙にも空気が供給され、フラッシュ加熱部5および上側チャンバー窓63を冷却する。
次に、熱処理装置1における処理動作について説明する。ここでは、まず製品となる通常の半導体ウェハー(プロダクトウェハー)Wに対する典型的な熱処理動作について説明する。以下に説明する半導体ウェハーWの処理手順は、制御部3が熱処理装置1の各動作機構を制御することにより進行する。
まず、半導体ウェハーWの処理に先立って給気のためのバルブ84が開放されるとともに、排気用のバルブ89が開放されてチャンバー6内に対する給排気が開始される。バルブ84が開放されると、ガス供給孔81から熱処理空間65に窒素ガスが供給される。また、バルブ89が開放されると、ガス排気孔86からチャンバー6内の気体が排気される。これにより、チャンバー6内の熱処理空間65の上部から供給された窒素ガスが下方へと流れ、熱処理空間65の下部から排気される。
続いて、ゲートバルブ185が開いて搬送開口部66が開放され、装置外部の搬送ロボットにより搬送開口部66を介して処理対象となる半導体ウェハーWがチャンバー6内の熱処理空間65に搬入される。このときには、半導体ウェハーWの搬入にともなって装置外部の雰囲気を巻き込むおそれがあるが、チャンバー6には窒素ガスが供給され続けているため、搬送開口部66から窒素ガスが流出して、そのような外部雰囲気の巻き込みを最小限に抑制することができる。
搬送ロボットによって搬入された半導体ウェハーWは保持部7の直上位置まで進出して停止する。そして、移載機構10の一対の移載アーム11が退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12が貫通孔79を通ってサセプタ74の保持プレート75の上面から突き出て半導体ウェハーWを受け取る。このとき、リフトピン12は基板支持ピン77の上端よりも上方にまで上昇する。
半導体ウェハーWがリフトピン12に載置された後、搬送ロボットが熱処理空間65から退出し、ゲートバルブ185によって搬送開口部66が閉鎖される。そして、一対の移載アーム11が下降することにより、半導体ウェハーWは移載機構10から保持部7のサセプタ74に受け渡されて水平姿勢にて下方より保持される。半導体ウェハーWは、保持プレート75上に立設された複数の基板支持ピン77によって支持されてサセプタ74に保持される。また、半導体ウェハーWは、パターン形成のなされた表面を上面として保持部7に保持される。複数の基板支持ピン77によって支持された半導体ウェハーWの裏面(表面とは反対側の主面)と保持プレート75の保持面75aとの間には所定の間隔が形成される。サセプタ74の下方にまで下降した一対の移載アーム11は水平移動機構13によって退避位置、すなわち凹部62の内側に退避する。
半導体ウェハーWが石英にて形成された保持部7のサセプタ74によって水平姿勢にて下方より保持された後、ハロゲン加熱部4の40本のハロゲンランプHLが一斉に点灯して予備加熱(アシスト加熱)が開始される。ハロゲンランプHLから出射されたハロゲン光は、石英にて形成された下側チャンバー窓64およびサセプタ74を透過して半導体ウェハーWの下面に照射される。ハロゲンランプHLからの光照射を受けることによって半導体ウェハーWが予備加熱されて温度が上昇する。なお、移載機構10の移載アーム11は凹部62の内側に退避しているため、ハロゲンランプHLによる加熱の障害となることは無い。
ハロゲンランプHLからの光照射によって昇温する半導体ウェハーWの温度は放射温度計20によって測定される。測定された半導体ウェハーWの温度は制御部3に伝達される。制御部3は、ハロゲンランプHLからの光照射によって昇温する半導体ウェハーWの温度が所定の予備加熱温度T1に到達したか否かを監視しつつ、ハロゲンランプHLの出力を制御する。すなわち、制御部3は、放射温度計20による測定値に基づいて、半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1となるようにハロゲンランプHLの出力をフィードバック制御する。
半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達した後、制御部3は半導体ウェハーWをその予備加熱温度T1に暫時維持する。具体的には、放射温度計20によって測定される半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達した時点にて制御部3がハロゲンランプHLの出力を調整し、半導体ウェハーWの温度をほぼ予備加熱温度T1に維持している。
半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達して所定時間が経過した時点でフラッシュ加熱部5のフラッシュランプFLがサセプタ74に保持された半導体ウェハーWの表面にフラッシュ光照射を行う。このとき、フラッシュランプFLから放射されるフラッシュ光の一部は直接にチャンバー6内へと向かい、他の一部は一旦リフレクタ52により反射されてからチャンバー6内へと向かい、これらのフラッシュ光の照射により半導体ウェハーWのフラッシュ加熱が行われる。
フラッシュ加熱は、フラッシュランプFLからのフラッシュ光(閃光)照射により行われるため、半導体ウェハーWの表面温度を短時間で上昇することができる。すなわち、フラッシュランプFLから照射されるフラッシュ光は、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが極めて短い光パルスに変換された、照射時間が0.1ミリセカンド以上100ミリセカンド以下程度の極めて短く強い閃光である。そして、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射によりフラッシュ加熱される半導体ウェハーWの表面温度は、瞬間的に1000℃以上の処理温度T2まで上昇した後、急速に下降する。
フラッシュ加熱処理が終了した後、所定時間経過後にハロゲンランプHLが消灯する。これにより、半導体ウェハーWが予備加熱温度T1から急速に降温する。降温中の半導体ウェハーWの温度は放射温度計20によって測定され、その測定結果は制御部3に伝達される。制御部3は、放射温度計20の測定結果より半導体ウェハーWの温度が所定温度まで降温したか否かを監視する。そして、半導体ウェハーWの温度が所定以下にまで降温した後、移載機構10の一対の移載アーム11が再び退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12がサセプタ74の上面から突き出て熱処理後の半導体ウェハーWをサセプタ74から受け取る。続いて、ゲートバルブ185により閉鎖されていた搬送開口部66が開放され、リフトピン12上に載置された半導体ウェハーWが装置外部の搬送ロボットによりチャンバー6から搬出され、半導体ウェハーWの加熱処理が完了する。
熱処理装置1においては、放射温度計20によって半導体ウェハーWの温度を測定し、その測定値に基づいてハロゲンランプHLの出力を制御している。すなわち、放射温度計20はランプ制御用のセンサであり、放射温度計20には正確に半導体ウェハーWの温度を測定することが要求される。放射温度計20には温度測定対象である半導体ウェハーWの放射率が設定されており、その設定放射率に誤差があると放射温度計20は正確に半導体ウェハーWの温度を測定することができない。このため、本実施形態においては、以下のようにして放射温度計20に設定する放射率を自動調整している。
図8,図9,図10は放射温度計20に設定する放射率を調整する手順を示すフローチャートである。放射率の調整は、例えば、ロットの処理を開始する前に実行される。放射率の調整処理の準備作業として、熱電対が付設された測定用ウェハーをチャンバー6内に搬入してサセプタ74に載置する。測定用ウェハーは熱電対が付設されている点以外は通常の半導体ウェハーWと同じシリコンの円板状基板である。熱電対が付設された測定用ウェハーは、搬送ロボットによって搬送することができないため、手動にてチャンバー6内に搬入してサセプタ74に載置する。
準備作業が完了した後、まず、放射率の調整処理を実行するに際しての初期設定を行う(ステップS1)。ステップS1では、レシピの選択およびパラメータ設定を行う。レシピは、調整処理を行う際のサイクル加熱の処理条件を規定したものである。また、パラメータとしては、放射温度計20に設定する初期放射率、放射率の上限値および下限値、サイクル加熱のサイクル数、安定判断温度偏差、補正係数およびサンプリングタイミング等が設定される。
次に、ダミー処理を実行する(ステップS2)。このダミー処理では、ハロゲンランプHLからの光照射によって測定用ウェハーを昇温してから降温させる加熱処理をステップS1で設定されたダミー処理のサイクル数(例えば本実施形態では40回)だけ繰り返すサイクル加熱を実行する。ステップS2のダミー処理によって、サセプタ74等のチャンバー内構造物の温度を一定の安定温度に昇温する。これにより、後続の調整処理時にチャンバー内構造物の温度が変動する影響を受けないようにする。
ダミー処理が終了した後、第1巡の放射率調整処理を開始する。調整処理では、ハロゲンランプHLからの光照射によって測定用ウェハーを昇温してから降温させる加熱処理をステップS1で設定された調整処理のサイクル数(例えば本実施形態では3回)だけ繰り返すサイクル加熱を実行する。図11は、調整処理のサイクル加熱時における測定用ウェハーの温度変化を示す図である。本実施形態では1回の調整処理につき3サイクルの加熱処理を実行する。1サイクルの加熱処理の周期は例えば60秒である。
3サイクルの加熱処理の各サイクル毎に、一定の最高温度に昇温している測定用ウェハーの温度を熱電対および放射温度計20によって測定する。1サイクルにおける温度測定タイミングはステップS1で設定される。熱電対による測定値は測定用ウェハーの真の温度である。放射温度計20は、ステップS1で設定された初期放射率を用いて温度測定を行う。また、温度測定の精度を高めるため、熱電対によって測定用ウェハーの面内の2箇所の温度を測定する。放射温度計20による温度測定の位置はサセプタ74の開口部78に臨む測定用ウェハーの箇所である。熱電対による2箇所の測定位置の中心に放射温度計20による測定位置が存在していることが好ましい。
まず、時刻t1から時刻t2の期間、第1サイクルにおける熱電対および放射温度計20による温度測定を実行する(ステップS3)。熱電対による2箇所の温度測定値の平均値を熱電対温度(第1測定温度)とする。また、放射温度計20による温度測定値を放射温度(第2測定温度)とする。熱電対によって測定された熱電対温度および放射温度計20によって測定された放射温度は制御部3に伝達される。
続いて、制御部3は、第1サイクルにおける熱電対温度と放射温度との温度差を算定するとともに、その温度差が所定の閾値以内であるか否かを判定する(ステップS4)。この閾値は、ステップS1でパラメータとして設定された安定判断温度偏差であり、適宜の温度が設定され得る(本実施形態においては4℃)。熱電対温度と放射温度との温度差が閾値以内である場合には、ステップS5に進む。一方、当該温度差が閾値を超えている場合には、ステップS10に進んで後述する放射率修正を行う。
ステップS5では、第2サイクルにおける熱電対および放射温度計20による温度測定を時刻t3から時刻t4の期間実行する。続いて、制御部3は、第2サイクルにおける熱電対温度と放射温度との温度差を算定するとともに、その温度差が所定の閾値以内であるか否かを判定する(ステップS6)。ここでの閾値は第1サイクルでの閾値と同じである。熱電対温度と放射温度との温度差が閾値以内である場合には、ステップS7に進む。一方、当該温度差が閾値を超えている場合には、ステップS10に進んで放射率修正を行う。
ステップS7では、第3サイクルにおける熱電対および放射温度計20による温度測定を時刻t5から時刻t6の期間実行する。続いて、制御部3は、第3サイクルにおける熱電対温度と放射温度との温度差を算定するとともに、その温度差が所定の閾値以内であるか否かを判定する(ステップS8)。ここでの閾値は第1サイクルでの閾値と同じである。熱電対温度と放射温度との温度差が閾値以内である場合には、放射率の調整処理を終了する。一方、当該温度差が閾値を超えている場合には、ステップS10に進んで放射率修正を行う。
ステップS3からステップS12までが第1巡の放射率調整処理である。第1巡の放射率調整処理では、3サイクルのサイクル加熱を実行するとともに、各サイクル毎に測定用ウェハーの実温度である熱電対温度と放射温度とを比較する。そして、第1巡の放射率調整処理では、3サイクルのサイクル加熱の全てにおいて熱電対温度と放射温度との温度差が所定の閾値以内である場合には、放射温度計20による温度測定が正確である、つまり放射温度計20に設定されている放射率が正確であると判定され、放射率の調整処理を終了するのである。3サイクルのサイクル加熱を実施して3回とも熱電対温度と放射温度との温度差が所定の閾値以内である場合のみ、放射温度計20に設定されている放射率が正確であると判定しているため、測定誤差に起因した誤判定を防止することができる。一方、3サイクルのサイクル加熱の少なくとも1回のサイクルで熱電対温度と放射温度との温度差が所定の閾値を超えている場合には、放射温度計20に設定されている放射率に誤差があると判定され、放射温度計20に設定された放射率を修正する。
第1巡の放射率調整処理で放射温度計20に設定されている放射率に誤差があると判定されたとき、熱電対温度が放射温度よりも高い場合には、ステップS10からステップS11に進んで、制御部3が放射温度計20に設定された放射率を小さくする。逆に、熱電対温度が放射温度よりも低い場合には、ステップS10からステップS12に進んで、制御部3が放射温度計20に設定された放射率を大きくする。放射温度計20に設定された放射率は、予めステップS1で設定された補正係数より算定された変化量だけ修正される。具体的には、ステップS11およびステップS12では、熱電対温度と放射温度との温度差が4℃につき0.005の割合で放射率が修正される。例えば、熱電対温度が放射温度よりも8℃高い場合には、放射温度計20に設定された放射率が0.01減少される。また、熱電対温度が放射温度よりも12℃低い場合には、放射温度計20に設定された放射率が0.015増加される。
第1巡の放射率調整処理によって放射率が修正されることにより、放射温度計20には新たな放射率が設定されることとなる。そして、放射温度計20に設定された放射率が修正された後、第2巡の放射率調整処理を実行する。第2巡の放射率調整処理においても、第1巡の放射率調整処理と同様に、ハロゲンランプHLからの光照射によって測定用ウェハーを昇温してから降温させる加熱処理をステップS1で設定された調整処理のサイクル数(本実施形態では3回)だけ繰り返すサイクル加熱を実行する。そして、第1巡の放射率調整処理と同様に、3サイクルの加熱処理の各サイクル毎に、一定の最高温度に昇温している測定用ウェハーの温度を熱電対および放射温度計20によって測定する。放射温度計20は、第1巡の放射率調整処理によって修正された放射率を使用して温度測定を行う。
第2巡の放射率調整処理においても、まず、3サイクルのうちの第1サイクルにおける熱電対および放射温度計20による温度測定を実行する(ステップS13)。熱電対によって測定された熱電対温度および放射温度計20によって測定された放射温度は制御部3に伝達される。続いて、制御部3は、第1サイクルにおける熱電対温度と放射温度との温度差を算定するとともに、その温度差が所定の閾値以内であるか否かを判定する(ステップS14)。この閾値は、第1巡の放射率調整処理における閾値と同じ値である(本実施形態においては4℃)。熱電対温度と放射温度との温度差が閾値以内である場合には、ステップS15に進む。一方、当該温度差が閾値を超えている場合には、ステップS20に進んでさらなる放射率修正を行う。
ステップS15では、第2サイクルにおける熱電対および放射温度計20による温度測定を実行する。続いて、制御部3は、第2サイクルにおける熱電対温度と放射温度との温度差を算定するとともに、その温度差が所定の閾値以内であるか否かを判定する(ステップS16)。ここでの閾値は第1サイクルでの閾値と同じである。熱電対温度と放射温度との温度差が閾値以内である場合には、ステップS17に進む。一方、当該温度差が閾値を超えている場合には、ステップS20に進んで放射率修正を行う。
ステップS17では、第3サイクルにおける熱電対および放射温度計20による温度測定を実行する。続いて、制御部3は、第3サイクルにおける熱電対温度と放射温度との温度差を算定するとともに、その温度差が所定の閾値以内であるか否かを判定する(ステップS18)。ここでの閾値は第1サイクルでの閾値と同じである。熱電対温度と放射温度との温度差が閾値以内である場合には、放射率の調整処理を終了する。一方、当該温度差が閾値を超えている場合には、ステップS20に進んで放射率修正を行う。
ステップS13からステップS21までが第2巡の放射率調整処理である。第2巡の放射率調整処理でも、3サイクルのサイクル加熱を実行するとともに、各サイクル毎に測定用ウェハーの実温度である熱電対温度と放射温度とを比較する。そして、第2巡の放射率調整処理では、3サイクルのサイクル加熱の全てにおいて熱電対温度と放射温度との温度差が所定の閾値以内である場合には、第1巡の放射率調整処理で修正された放射温度計20に設定されている放射率が正確であると判定され、放射率の調整処理を終了するのである。一方、3サイクルのサイクル加熱の少なくとも1回のサイクルで熱電対温度と放射温度との温度差が所定の閾値を超えている場合には、放射温度計20に設定されている放射率に誤差があると判定され、放射温度計20に設定された放射率をさらに修正する。
第2巡の放射率調整処理で放射温度計20に設定されている放射率に誤差があると判定された場合、制御部3が直線近似により熱電対温度と放射温度との温度差が0となる放射率を算定する(ステップS20)。具体的には、制御部3が第1巡の放射率調整処理における温度差と放射温度計20に設定されていた放射率および第2巡の放射率調整処理における温度差と放射温度計20に設定されていた放射率から補正直線を取得する。
図12は、補正直線の一例を示す図である。温度差ΔT1は、第1巡の放射率調整処理における熱電対温度と放射温度との温度差であり、温度差ΔT2は、第2巡の放射率調整処理における熱電対温度と放射温度との温度差である。また、放射率E1は、第1巡の放射率調整処理にて放射温度計20に設定されていた放射率であり、放射率E2は、第2巡の放射率調整処理にて放射温度計20に設定されていた放射率である。制御部3は、第1巡の放射率調整処理と第2巡の放射率調整処理との2点を直線で結ぶことによって補正直線を取得する。
制御部3は、取得した補正直線より熱電対温度と放射温度との温度差が0となる放射率E3を求める。すなわち、制御部3は、第1巡の放射率調整処理における実績および第2巡の放射率調整処理における実績に基づいて熱電対温度と放射温度との温度差が0となる放射率E3を求めるのである。
続いて、制御部3は、直線近似により求めた熱電対温度と放射温度との温度差が0となる放射率E3を放射温度計20に設定する(ステップS21)。第2巡の放射率調整処理ではこのようにして放射温度計20に設定された放射率が修正される。
次に、放射温度計20に設定された放射率が修正された後、第3巡の放射率調整処理を実行する。第3巡の放射率調整処理においても、第1巡の放射率調整処理と同様に、ハロゲンランプHLからの光照射によって測定用ウェハーを昇温してから降温させる加熱処理をステップS1で設定された調整処理のサイクル数(本実施形態では3回)だけ繰り返すサイクル加熱を実行する。そして、第1巡の放射率調整処理と同様に、3サイクルの加熱処理の各サイクル毎に、一定の最高温度に昇温している測定用ウェハーの温度を熱電対および放射温度計20によって測定する。放射温度計20は、第2巡の放射率調整処理によって修正された放射率を使用して温度測定を行う。
第3巡の放射率調整処理においても、まず、3サイクルのうちの第1サイクルにおける熱電対および放射温度計20による温度測定を実行する(ステップS22)。熱電対によって測定された熱電対温度および放射温度計20によって測定された放射温度は制御部3に伝達される。続いて、制御部3は、第1サイクルにおける熱電対温度と放射温度との温度差を算定するとともに、その温度差が所定の閾値以内であるか否かを判定する(ステップS23)。この閾値は、第1巡の放射率調整処理における閾値と同じ値である(本実施形態においては4℃)。熱電対温度と放射温度との温度差が閾値以内である場合には、ステップS24に進む。一方、当該温度差が閾値を超えている場合には、ステップS20に戻ってさらなる放射率修正を行う。
ステップS24では、第2サイクルにおける熱電対および放射温度計20による温度測定を実行する。続いて、制御部3は、第2サイクルにおける熱電対温度と放射温度との温度差を算定するとともに、その温度差が所定の閾値以内であるか否かを判定する(ステップS25)。ここでの閾値は第1サイクルでの閾値と同じである。熱電対温度と放射温度との温度差が閾値以内である場合には、ステップS26に進む。一方、当該温度差が閾値を超えている場合には、ステップS20に戻って放射率修正を行う。
ステップS26では、第3サイクルにおける熱電対および放射温度計20による温度測定を実行する。続いて、制御部3は、第3サイクルにおける熱電対温度と放射温度との温度差を算定するとともに、その温度差が所定の閾値以内であるか否かを判定する(ステップS27)。ここでの閾値は第1サイクルでの閾値と同じである。熱電対温度と放射温度との温度差が閾値以内である場合には、放射率の調整処理を終了する。一方、当該温度差が閾値を超えている場合には、ステップS20に戻って放射率修正を行う。
第3巡の放射率調整処理でも、3サイクルのサイクル加熱を実行するとともに、各サイクル毎に測定用ウェハーの実温度である熱電対温度と放射温度とを比較する。そして、第3巡の放射率調整処理では、3サイクルのサイクル加熱の全てにおいて熱電対温度と放射温度との温度差が所定の閾値以内である場合には、第2巡の放射率調整処理で修正された放射温度計20に設定されている放射率が正確であると判定され、放射率の調整処理を終了するのである。一方、3サイクルのサイクル加熱の少なくとも1回のサイクルで熱電対温度と放射温度との温度差が所定の閾値を超えている場合には、放射温度計20に設定されている放射率に誤差があると判定され、放射温度計20に設定された放射率をさらに修正する。
第3巡の放射率調整処理で放射温度計20に設定されている放射率に誤差があると判定された場合、ステップS20およびステップS21の放射率修正処理を再度実行する。そして、放射温度計20に設定された放射率が修正された後、ステップS22からステップS27までの処理を再度実行する。すなわち、3サイクルのサイクル加熱の全てにおいて熱電対温度と放射温度との温度差が所定の閾値以内となるまで、ステップS20からステップS27までの処理が繰り返されるのである。
ところで、各巡の放射率調整処理において、放射温度計20に設定された放射率を修正したときに、修正後の放射率がステップS1で設定された放射率の上限値より大きくなる、または、下限値未満となることがある。放射温度計20の放射率が予め設定された上限値または下限値を超える場合は、明らかに放射率が異常な値となっている場合である。このため、修正された放射率がステップS1で設定された放射率の上限値より大きくなった場合、または、下限値未満となった場合には、制御部3が警報を発報して放射率調整処理を終了する。
また、ステップS20にて取得された補正直線の傾きが0となった場合、つまり第1巡の放射率調整処理における温度差ΔT1と第2巡の放射率調整処理における温度差ΔT2とが同じ値であった場合も、調整処理が異常となっている。従って、このような場合にも、制御部3は警報を発報して放射率調整処理を終了する。
本実施形態においては、測定用ウェハーにサイクル加熱処理を行いつつ、昇温した測定用ウェハーの温度を熱電対および放射温度計20によって測定している。そして、熱電対によって測定された測定用ウェハーの真の温度と放射温度計20によって測定された温度との温度差に基づいて放射温度計20に設定された放射率を修正している。このため、放射温度計20に設定する放射率を高い精度にて調整することができる。
また、放射温度計20に設定された放射率を自動で調整することができるため、人手が不要となり、熱処理装置1のオペレータは他の作業を行いながら、放射率の調整作業も行うことができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態においては、測定用ウェハーにサイクル加熱処理を行いつつ放射率の調整処理を行っていたが、これに限定されるものではない。測定用ウェハーをハロゲンランプHLからの光照射によって一定温度に継続して昇温しつつ、その測定用ウェハーの温度を熱電対および放射温度計20によって測定し、それらの温度差に基づいて放射温度計20に設定された放射率を修正するようにしても良い。
また、ステップS2のダミー処理の途中で放射温度計20に設定された放射率の予備修正を行うようにしても良い。具体的には、例えばダミー処理のサイクル数の半分のサイクルが終了した時点(上記実施形態では20回のサイクルが終了した時点)で熱電対によって測定した測定用ウェハーの温度と放射温度計20によって測定した測定用ウェハーの温度とが異なる場合に、放射温度計20に設定された放射率を予備修正する。この予備修正では、ステップS10からステップS12と同様の修正を行う。すなわち、熱電対によって測定した測定用ウェハーの温度が放射温度計20によって測定した測定用ウェハーの温度よりも高い場合には、温度差が4℃につき0.005の割合で放射温度計20に設定された放射率を減少させる。逆に、熱電対によって測定した測定用ウェハーの温度が放射温度計20によって測定した測定用ウェハーの温度よりも低い場合には、温度差が4℃につき0.005の割合で放射温度計20に設定された放射率を増加させる。
このような予備修正を行って予め放射温度計20に設定された放射率を正確な値に近づけておくことにより、放射率の調整処理を短時間で完了させることが可能となる。特に、熱電対によって測定した測定用ウェハーの温度が放射温度計20によって測定した測定用ウェハーの温度よりも高い場合には、その後の調整処理工程にて熱電対温度と放射温度とが近付きにくいため、予備修正が有効である。
また、熱電対温度と放射温度との温度差を判定するための閾値や放射率を修正する際の補正係数は上記実施形態の例に限定されるものではなく、ステップS1にて任意の値を設定することが可能である。
また、上記実施形態においては、フラッシュ加熱部5に30本のフラッシュランプFLを備えるようにしていたが、これに限定されるものではなく、フラッシュランプFLの本数は任意の数とすることができる。また、フラッシュランプFLはキセノンフラッシュランプに限定されるものではなく、クリプトンフラッシュランプであっても良い。また、ハロゲン加熱部4に備えるハロゲンランプHLの本数も40本に限定されるものではなく、任意の数とすることができる。
また、上記実施形態においては、1秒以上連続して発光する連続点灯ランプとしてフィラメント方式のハロゲンランプHLを用いて半導体ウェハーWの予備加熱を行っていたが、これに限定されるものではなく、ハロゲンランプHLに代えて放電型のアークランプ(例えば、キセノンアークランプ)を連続点灯ランプとして用いて予備加熱を行うようにしても良い。
また、熱処理装置1によって処理対象となる基板は半導体ウェハーに限定されるものではなく、液晶表示装置などのフラットパネルディスプレイに用いるガラス基板や太陽電池用の基板であっても良い。
1 熱処理装置
3 制御部
4 ハロゲン加熱部
5 フラッシュ加熱部
6 チャンバー
7 保持部
10 移載機構
20 放射温度計
65 熱処理空間
74 サセプタ
75 保持プレート
78 開口部
77 基板支持ピン
FL フラッシュランプ
HL ハロゲンランプ
W 半導体ウェハー

Claims (11)

  1. 熱処理装置に設置された放射温度計に設定する放射率を調整する放射率調整方法であって、
    加熱処理によって昇温した基板の温度を熱電対によって測定する第1温度測定工程と、
    前記基板の温度を前記放射温度計によって測定する第2温度測定工程と、
    前記第1温度測定工程にて得られた第1測定温度と前記第2温度測定工程にて得られた第2測定温度との温度差に基づいて前記放射温度計に設定された放射率を修正する修正工程と、
    を備えることを特徴とする放射率調整方法。
  2. 請求項1記載の放射率調整方法において、
    前記修正工程では、前記第1測定温度と前記第2測定温度との温度差が所定の閾値を超えている場合には、予め設定された変化量だけ前記放射温度計に設定された放射率を修正することを特徴とする放射率調整方法。
  3. 請求項2記載の放射率調整方法において、
    前記修正工程では、前記第1測定温度が前記第2測定温度よりも高い場合には、前記放射温度計に設定された放射率を小さくすることを特徴とする放射率調整方法。
  4. 熱処理装置に設置された放射温度計に設定する放射率を調整する放射率調整方法であって、
    熱電対が付設された基板をチャンバー内に搬入する搬入工程と、
    連続点灯ランプからの光照射によって前記基板を昇温してから降温させる加熱処理を第1サイクル数繰り返すダミー処理工程と、
    前記連続点灯ランプからの光照射によって前記基板を昇温してから降温させる加熱処理を第2サイクル数繰り返す第1調整工程と、
    を備え、
    前記第1調整工程は、各サイクル毎に、昇温した前記基板の温度を前記熱電対によって測定して得られた第1測定温度と前記基板の温度を前記放射温度計によって測定して得られた第2測定温度とを比較する第1比較工程を備え、
    前記第1調整工程では、前記第2サイクル数の全てのサイクルにて前記第1測定温度と前記第2測定温度との温度差が所定の閾値以内である場合には前記放射温度計に設定された放射率の調整を終了するとともに、前記第2サイクル数の少なくとも1回のサイクルで前記第1測定温度と前記第2測定温度との温度差が前記閾値を超えている場合には前記放射温度計に設定された放射率を修正することを特徴とする放射率調整方法。
  5. 請求項4記載の放射率調整方法において、
    前記第1調整工程では、前記第1測定温度と前記第2測定温度との温度差が前記閾値を超えている場合には、予め設定された変化量だけ前記放射温度計に設定された放射率を修正することを特徴とする放射率調整方法。
  6. 請求項5記載の放射率調整方法において、
    前記第1調整工程では、前記第1測定温度が前記第2測定温度よりも高い場合には、前記放射温度計に設定された放射率を小さくすることを特徴とする放射率調整方法。
  7. 請求項6記載の放射率調整方法において、
    前記第1調整工程にて前記放射温度計に設定された放射率を修正した後に、前記連続点灯ランプからの光照射によって前記基板を昇温してから降温させる加熱処理を前記第2サイクル数繰り返す第2調整工程をさらに備え、
    前記第2調整工程は、各サイクル毎に、前記第1測定温度と前記第2測定温度とを比較する第2比較工程を備え、
    前記第2調整工程では、前記第2サイクル数の全てのサイクルにて前記第1測定温度と前記第2測定温度との温度差が前記閾値以内である場合には前記放射温度計に設定された放射率の調整を終了するとともに、前記第2サイクル数の少なくとも1回のサイクルで前記第1測定温度と前記第2測定温度との温度差が前記閾値を超えている場合には前記放射温度計に設定された放射率をさらに修正することを特徴とする放射率調整方法。
  8. 請求項7記載の放射率調整方法において、
    前記第2調整工程では、前記第1測定温度と前記第2測定温度との温度差が前記閾値を超えている場合には、前記第1比較工程での前記第1測定温度と前記第2測定温度との温度差および前記第2比較工程での前記第1測定温度と前記第2測定温度との温度差に基づく直線近似より得られた、前記第1測定温度と前記第2測定温度との温度差が0となる放射率を前記放射温度計に設定することを特徴とする放射率調整方法。
  9. 請求項8記載の放射率調整方法において、
    前記第1比較工程での前記第1測定温度と前記第2測定温度との温度差と、前記第2比較工程での前記第1測定温度と前記第2測定温度との温度差と、が同じ値であった場合には警報を発報することを特徴とする放射率調整方法。
  10. 請求項9記載の放射率調整方法において、
    前記第1調整工程または前記第2調整工程にて修正された前記放射温度計に設定された放射率が所定の上限値より大きくなった場合、または、所定の下限値未満となった場合には警報を発報することを特徴とする放射率調整方法。
  11. 請求項4から請求項10のいずれかに記載の放射率調整方法において、
    前記ダミー処理工程の途中にて前記熱電対によって測定した前記基板の温度と前記放射温度計によって測定した前記基板の温度とが異なる場合には、前記放射温度計に設定された放射率を予備修正することを特徴とする放射率調整方法。
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WO2024189970A1 (ja) * 2023-03-14 2024-09-19 株式会社Screenホールディングス 放射率調整方法

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