JP2022122342A - 熱処理方法 - Google Patents

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Abstract

Figure 2022122342000001
【課題】簡易な構成にてハードウェアの劣化を検知することができる熱処理方法を提供する。
【解決手段】石英窓が設けられたチャンバーに収容された第1ウェハーに光源から所定のパターンにて光照射を行ったときの第1ウェハーの温度履歴を記憶しておく。その後、チャンバー内に収容された第2ウェハーに光源から第1ウェハーと同じパターンにて光照射を行うときに、第2ウェハーの温度履歴を取得する。そして、予め記憶されている第1ウェハーの温度履歴と新たに取得された第2ウェハーの温度履歴とを比較する。第1ウェハーの温度履歴と第2ウェハーの温度履歴とが不一致であるときには熱処理装置のハードウェアに劣化が生じているので、その旨のアラームを発報する。
【選択図】図9

Description

本発明は、半導体ウェハー等の薄板状精密電子基板(以下、単に「基板」と称する)に光を照射することによって該基板を加熱する熱処理方法に関する。
半導体デバイスの製造プロセスにおいて、極めて短時間で半導体ウェハーを加熱するフラッシュランプアニール(FLA)が注目されている。フラッシュランプアニールは、キセノンフラッシュランプ(以下、単に「フラッシュランプ」とするときにはキセノンフラッシュランプを意味する)を使用して半導体ウェハーの表面にフラッシュ光を照射することにより、半導体ウェハーの表面のみを極めて短時間(数ミリ秒以下)に昇温させる熱処理技術である。
キセノンフラッシュランプの放射分光分布は紫外域から近赤外域であり、従来のハロゲンランプよりも波長が短く、シリコンの半導体ウェハーの基礎吸収帯とほぼ一致している。よって、キセノンフラッシュランプから半導体ウェハーにフラッシュ光を照射したときには、透過光が少なく半導体ウェハーを急速に昇温することが可能である。また、数ミリ秒以下の極めて短時間のフラッシュ光照射であれば、半導体ウェハーの表面近傍のみを選択的に昇温できることも判明している。
このようなフラッシュランプアニールは、極短時間の加熱が必要とされる処理、例えば典型的には半導体ウェハーに注入された不純物の活性化に利用される。イオン注入法によって不純物が注入された半導体ウェハーの表面にフラッシュランプからフラッシュ光を照射すれば、当該半導体ウェハーの表面を極短時間だけ活性化温度にまで昇温することができ、不純物を深く拡散させることなく、不純物活性化のみを実行することができるのである。
このようなフラッシュランプアニール装置の典型的な構成例としては、半導体ウェハーを収容するチャンバーの上下に石英製のチャンバー窓を設け、上側チャンバー窓の上方にフラッシュランプを設けるとともに、下側チャンバー窓の下方にハロゲンランプを設けている(例えば、特許文献1)。特許文献1記載のフラッシュランプアニール装置においては、ハロゲンランプからの光照射によって半導体ウェハーを予備加熱した後、フラッシュランプから半導体ウェハーの表面にフラッシュ光を照射している。
フラッシュランプアニール装置にて、長期間にわたって半導体ウェハーの熱処理を繰り返し実行していると、装置を構成するハードウェアが劣化していく。例えば、フラッシュランプおよびハロゲンランプが経時劣化するとともに、石英のチャンバー窓の汚染が進行する。フラッシュランプアニール装置のハードウェアが劣化すると、熱処理時の半導体ウェハー温度が所定の処理温度に到達しなくなり、所望のデバイス特性が得られなくなることがある。このため、ハードウェアの劣化を早期に発見してメンテナンスを行うことが重要となる。従来より、一般的には、目視でハードウェアを確認したり定期的に熱処理後の半導体ウェハーのデバイス特性を測定して劣化を見出すようにしていた。しかし、目視では検査者の能力に依存し、定期的な測定では検査間に処理不良となるおそれがある。
このため、特許文献1には、ハロゲンランプから出射されて上下のチャンバー窓を透過した光を分光光度計によって受光し、その光の強度からチャンバー窓の汚染の有無を判定する技術が提案されている。特許文献1の技術によれば、目視で確認する必要がなくなるとともに、リアルタイムでチャンバー窓の汚染を確認することができる。
特開2019-165141号公報
しかしながら、特許文献1に開示の技術では、基本的な装置構成とは別途に分光光度計を設ける必要がある。また、ハロゲンランプ等の劣化も監視するためには、さらなる追加の分光光度計を設置する必要があった。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、簡易な構成にてハードウェアの劣化を検知することができる熱処理方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、請求項1の発明は、基板に光を照射することによって該基板を加熱する熱処理方法において、石英窓が設けられたチャンバー内に収容された第1基板に光源から所定のパターンにて光照射を行ったときの前記第1基板の温度履歴を記憶する記憶工程と、前記チャンバー内に収容された第2基板に前記光源から前記所定のパターンにて光照射を行うときに、前記第2基板の温度履歴を取得する取得工程と、前記記憶工程にて記憶された前記第1基板の温度履歴と前記取得工程にて取得された前記第2基板の温度履歴とを比較する比較工程と、前記第1基板の温度履歴と前記第2基板の温度履歴とが不一致であるときに警報を発報する発報工程と、を備えることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、請求項1の発明に係る熱処理方法において、前記光源は、連続点灯ランプを含み、前記記憶工程では、前記第1基板に前記連続点灯ランプから所定出力にて光照射を行ったときの前記第1基板の温度履歴を記憶し、前記取得工程では、前記第2基板に前記連続点灯ランプから前記所定出力にて光照射を行うときの前記第2基板の温度履歴を取得し、前記比較工程では、前記第1基板に前記連続点灯ランプから前記所定出力にて光照射を行ったときに前記第1基板が目標温度に到達するまでの時間と前記第2基板に前記連続点灯ランプから前記所定出力にて光照射を行うときに前記第2基板が前記目標温度に到達するまでの時間とを比較することを特徴とする。
また、請求項3の発明は、請求項1の発明に係る熱処理方法において、前記光源は、フラッシュランプを含み、前記記憶工程では、前記第1基板の表面に前記フラッシュランプから所定出力にて所定時間のフラッシュ光照射を行ったときの前記第1基板の表面の温度履歴を記憶し、前記取得工程では、前記第2基板の表面に前記フラッシュランプから前記所定出力にて前記所定時間のフラッシュ光照射を行うときの前記第2基板の表面の温度履歴を取得し、前記比較工程では、前記第1基板の表面に前記フラッシュランプから前記所定出力にて前記所定時間のフラッシュ光照射を行ったときの前記第1基板の表面の最高到達温度と前記第2基板の表面に前記フラッシュランプから前記所定出力にて前記所定時間のフラッシュ光照射を行うときの前記第2基板の表面の最高到達温度とを比較することを特徴とする。
また、請求項4の発明は、請求項1の発明に係る熱処理方法において、前記光源は、フラッシュランプを含み、前記記憶工程では、前記第1基板の表面に前記フラッシュランプから所定出力にて所定時間のフラッシュ光照射を行ったときの前記第1基板の裏面の温度履歴を記憶し、前記取得工程では、前記第2基板の表面に前記フラッシュランプから前記所定出力にて前記所定時間のフラッシュ光照射を行うときの前記第2基板の裏面の温度履歴を取得し、前記比較工程では、前記第1基板の表面に前記フラッシュランプから前記所定出力にて前記所定時間のフラッシュ光照射を行ったときの前記第1基板の裏面の最高到達温度と前記第2基板の表面に前記フラッシュランプから前記所定出力にて前記所定時間のフラッシュ光照射を行うときの前記第2基板の裏面の最高到達温度とを比較することを特徴とする。
請求項1から請求項4の発明によれば、記憶工程にて記憶された第1基板の温度履歴と取得工程にて取得された第2基板の温度履歴とを比較し、それらが不一致であるときに警報を発報するため、特別な構成を設けることなく簡易な構成にてハードウェアの劣化を検知することができる。
本発明に係る熱処理方法を実施する熱処理装置の構成を示す縦断面図である。 保持部の全体外観を示す斜視図である。 サセプタの平面図である。 サセプタの断面図である。 移載機構の平面図である。 移載機構の側面図である。 複数のハロゲンランプの配置を示す平面図である。 熱処理時における半導体ウェハーの表面温度の変化を示す図である。 ハロゲンランプおよび下側チャンバー窓の劣化を検知する手順を示すフローチャートである。 到達時間の比較を示す図である。 フラッシュランプおよび上側チャンバー窓の劣化を検知する手順を示すフローチャートである。 フラッシュ光照射時の最高到達温度の比較を示す図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明に係る熱処理方法を実施する熱処理装置1の構成を示す縦断面図である。図1の熱処理装置1は、基板として円板形状の半導体ウェハーWに対してフラッシュ光照射を行うことによってその半導体ウェハーWを加熱するフラッシュランプアニール装置である。処理対象となる半導体ウェハーWのサイズは特に限定されるものではないが、例えばφ300mmやφ450mmである(本実施形態ではφ300mm)。なお、図1および以降の各図においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数を誇張または簡略化して描いている。
熱処理装置1は、半導体ウェハーWを収容するチャンバー6と、複数のフラッシュランプFLを内蔵するフラッシュ加熱部5と、複数のハロゲンランプHLを内蔵するハロゲン加熱部4と、を備える。チャンバー6の上側にフラッシュ加熱部5が設けられるとともに、下側にハロゲン加熱部4が設けられている。また、熱処理装置1は、チャンバー6の内部に、半導体ウェハーWを水平姿勢に保持する保持部7と、保持部7と装置外部との間で半導体ウェハーWの受け渡しを行う移載機構10と、を備える。さらに、熱処理装置1は、ハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6に設けられた各動作機構を制御して半導体ウェハーWの熱処理を実行させる制御部3を備える。
チャンバー6は、筒状のチャンバー側部61の上下に石英製のチャンバー窓を装着して構成されている。チャンバー側部61は上下が開口された概略筒形状を有しており、上側開口には上側チャンバー窓63が装着されて閉塞され、下側開口には下側チャンバー窓64が装着されて閉塞されている。チャンバー6の天井部を構成する上側チャンバー窓63は、石英により形成された円板形状部材であり、フラッシュ加熱部5から出射されたフラッシュ光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。また、チャンバー6の床部を構成する下側チャンバー窓64も、石英により形成された円板形状部材であり、ハロゲン加熱部4からの光をチャンバー6内に透過する石英窓として機能する。
また、チャンバー側部61の内側の壁面の上部には反射リング68が装着され、下部には反射リング69が装着されている。反射リング68,69は、ともに円環状に形成されている。上側の反射リング68は、チャンバー側部61の上側から嵌め込むことによって装着される。一方、下側の反射リング69は、チャンバー側部61の下側から嵌め込んで図示省略のビスで留めることによって装着される。すなわち、反射リング68,69は、ともに着脱自在にチャンバー側部61に装着されるものである。チャンバー6の内側空間、すなわち上側チャンバー窓63、下側チャンバー窓64、チャンバー側部61および反射リング68,69によって囲まれる空間が熱処理空間65として規定される。
チャンバー側部61に反射リング68,69が装着されることによって、チャンバー6の内壁面に凹部62が形成される。すなわち、チャンバー側部61の内壁面のうち反射リング68,69が装着されていない中央部分と、反射リング68の下端面と、反射リング69の上端面とで囲まれた凹部62が形成される。凹部62は、チャンバー6の内壁面に水平方向に沿って円環状に形成され、半導体ウェハーWを保持する保持部7を囲繞する。チャンバー側部61および反射リング68,69は、強度と耐熱性に優れた金属材料(例えば、ステンレススチール)にて形成されている。
また、チャンバー側部61には、チャンバー6に対して半導体ウェハーWの搬入および搬出を行うための搬送開口部(炉口)66が形設されている。搬送開口部66は、ゲートバルブ185によって開閉可能とされている。搬送開口部66は凹部62の外周面に連通接続されている。このため、ゲートバルブ185が搬送開口部66を開放しているときには、搬送開口部66から凹部62を通過して熱処理空間65への半導体ウェハーWの搬入および熱処理空間65からの半導体ウェハーWの搬出を行うことができる。また、ゲートバルブ185が搬送開口部66を閉鎖するとチャンバー6内の熱処理空間65が密閉空間とされる。
さらに、チャンバー側部61には、貫通孔61aおよび貫通孔61bが穿設されている。貫通孔61aは、後述するサセプタ74に保持された半導体ウェハーWの上面から放射された赤外光を上部放射温度計25の赤外線センサー29に導くための円筒状の孔である。一方、貫通孔61bは、半導体ウェハーWの下面から放射された赤外光を下部放射温度計20の赤外線センサー24に導くための円筒状の孔である。貫通孔61aおよび貫通孔61bは、それらの貫通方向の軸がサセプタ74に保持された半導体ウェハーWの主面と交わるように、水平方向に対して傾斜して設けられている。貫通孔61aの熱処理空間65に臨む側の端部には、上部放射温度計25が測定可能な波長領域の赤外光を透過させるフッ化カルシウム材料からなる透明窓26が装着されている。また、貫通孔61bの熱処理空間65に臨む側の端部には、下部放射温度計20が測定可能な波長領域の赤外光を透過させるフッ化バリウム材料からなる透明窓21が装着されている。
また、チャンバー6の内壁上部には熱処理空間65に処理ガスを供給するガス供給孔81が形設されている。ガス供給孔81は、凹部62よりも上側位置に形設されており、反射リング68に設けられていても良い。ガス供給孔81はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間82を介してガス供給管83に連通接続されている。ガス供給管83は処理ガス供給源85に接続されている。また、ガス供給管83の経路途中にはバルブ84が介挿されている。バルブ84が開放されると、処理ガス供給源85から緩衝空間82に処理ガスが送給される。緩衝空間82に流入した処理ガスは、ガス供給孔81よりも流体抵抗の小さい緩衝空間82内を拡がるように流れてガス供給孔81から熱処理空間65内へと供給される。処理ガスとしては、例えば窒素(N)等の不活性ガス、または、水素(H)、アンモニア(NH)等の反応性ガス、或いはそれらを混合した混合ガスを用いることができる(本実施形態では窒素ガス)。
一方、チャンバー6の内壁下部には熱処理空間65内の気体を排気するガス排気孔86が形設されている。ガス排気孔86は、凹部62よりも下側位置に形設されており、反射リング69に設けられていても良い。ガス排気孔86はチャンバー6の側壁内部に円環状に形成された緩衝空間87を介してガス排気管88に連通接続されている。ガス排気管88は排気部190に接続されている。また、ガス排気管88の経路途中にはバルブ89が介挿されている。バルブ89が開放されると、熱処理空間65の気体がガス排気孔86から緩衝空間87を経てガス排気管88へと排出される。なお、ガス供給孔81およびガス排気孔86は、チャンバー6の周方向に沿って複数設けられていても良いし、スリット状のものであっても良い。また、処理ガス供給源85および排気部190は、熱処理装置1に設けられた機構であっても良いし、熱処理装置1が設置される工場のユーティリティであっても良い。
また、搬送開口部66の先端にも熱処理空間65内の気体を排出するガス排気管191が接続されている。ガス排気管191はバルブ192を介して排気部190に接続されている。バルブ192を開放することによって、搬送開口部66を介してチャンバー6内の気体が排気される。
図2は、保持部7の全体外観を示す斜視図である。保持部7は、基台リング71、連結部72およびサセプタ74を備えて構成される。基台リング71、連結部72およびサセプタ74はいずれも石英にて形成されている。すなわち、保持部7の全体が石英にて形成されている。
基台リング71は円環形状から一部が欠落した円弧形状の石英部材である。この欠落部分は、後述する移載機構10の移載アーム11と基台リング71との干渉を防ぐために設けられている。基台リング71は凹部62の底面に載置されることによって、チャンバー6の壁面に支持されることとなる(図1参照)。基台リング71の上面に、その円環形状の周方向に沿って複数の連結部72(本実施形態では4個)が立設される。連結部72も石英の部材であり、溶接によって基台リング71に固着される。
サセプタ74は基台リング71に設けられた4個の連結部72によって支持される。図3は、サセプタ74の平面図である。また、図4は、サセプタ74の断面図である。サセプタ74は、保持プレート75、ガイドリング76および複数の基板支持ピン77を備える。保持プレート75は、石英にて形成された略円形の平板状部材である。保持プレート75の直径は半導体ウェハーWの直径よりも大きい。すなわち、保持プレート75は、半導体ウェハーWよりも大きな平面サイズを有する。
保持プレート75の上面周縁部にガイドリング76が設置されている。ガイドリング76は、半導体ウェハーWの直径よりも大きな内径を有する円環形状の部材である。例えば、半導体ウェハーWの直径がφ300mmの場合、ガイドリング76の内径はφ320mmである。ガイドリング76の内周は、保持プレート75から上方に向けて広くなるようなテーパ面とされている。ガイドリング76は、保持プレート75と同様の石英にて形成される。ガイドリング76は、保持プレート75の上面に溶着するようにしても良いし、別途加工したピンなどによって保持プレート75に固定するようにしても良い。或いは、保持プレート75とガイドリング76とを一体の部材として加工するようにしても良い。
保持プレート75の上面のうちガイドリング76よりも内側の領域が半導体ウェハーWを保持する平面状の保持面75aとされる。保持プレート75の保持面75aには、複数の基板支持ピン77が立設されている。本実施形態においては、保持面75aの外周円(ガイドリング76の内周円)と同心円の周上に沿って30°毎に計12個の基板支持ピン77が立設されている。12個の基板支持ピン77を配置した円の径(対向する基板支持ピン77間の距離)は半導体ウェハーWの径よりも小さく、半導体ウェハーWの径がφ300mmであればφ270mm~φ280mm(本実施形態ではφ270mm)である。それぞれの基板支持ピン77は石英にて形成されている。複数の基板支持ピン77は、保持プレート75の上面に溶接によって設けるようにしても良いし、保持プレート75と一体に加工するようにしても良い。
図2に戻り、基台リング71に立設された4個の連結部72とサセプタ74の保持プレート75の周縁部とが溶接によって固着される。すなわち、サセプタ74と基台リング71とは連結部72によって固定的に連結されている。このような保持部7の基台リング71がチャンバー6の壁面に支持されることによって、保持部7がチャンバー6に装着される。保持部7がチャンバー6に装着された状態においては、サセプタ74の保持プレート75は水平姿勢(法線が鉛直方向と一致する姿勢)となる。すなわち、保持プレート75の保持面75aは水平面となる。
チャンバー6に搬入された半導体ウェハーWは、チャンバー6に装着された保持部7のサセプタ74の上に水平姿勢にて載置されて保持される。このとき、半導体ウェハーWは保持プレート75上に立設された12個の基板支持ピン77によって支持されてサセプタ74に保持される。より厳密には、12個の基板支持ピン77の上端部が半導体ウェハーWの下面に接触して当該半導体ウェハーWを支持する。12個の基板支持ピン77の高さ(基板支持ピン77の上端から保持プレート75の保持面75aまでの距離)は均一であるため、12個の基板支持ピン77によって半導体ウェハーWを水平姿勢に支持することができる。
また、半導体ウェハーWは複数の基板支持ピン77によって保持プレート75の保持面75aから所定の間隔を隔てて支持されることとなる。基板支持ピン77の高さよりもガイドリング76の厚さの方が大きい。従って、複数の基板支持ピン77によって支持された半導体ウェハーWの水平方向の位置ずれはガイドリング76によって防止される。
また、図2および図3に示すように、サセプタ74の保持プレート75には、上下に貫通して開口部78が形成されている。開口部78は、下部放射温度計20が半導体ウェハーWの下面から放射される放射光(赤外光)を受光するために設けられている。すなわち、下部放射温度計20が開口部78およびチャンバー側部61の貫通孔61bに装着された透明窓21を介して半導体ウェハーWの下面から放射された光を受光して当該半導体ウェハーWの温度を測定する。さらに、サセプタ74の保持プレート75には、後述する移載機構10のリフトピン12が半導体ウェハーWの受け渡しのために貫通する4個の貫通孔79が穿設されている。
図5は、移載機構10の平面図である。また、図6は、移載機構10の側面図である。移載機構10は、2本の移載アーム11を備える。移載アーム11は、概ね円環状の凹部62に沿うような円弧形状とされている。それぞれの移載アーム11には2本のリフトピン12が立設されている。移載アーム11およびリフトピン12は石英にて形成されている。各移載アーム11は水平移動機構13によって回動可能とされている。水平移動機構13は、一対の移載アーム11を保持部7に対して半導体ウェハーWの移載を行う移載動作位置(図5の実線位置)と保持部7に保持された半導体ウェハーWと平面視で重ならない退避位置(図5の二点鎖線位置)との間で水平移動させる。水平移動機構13としては、個別のモータによって各移載アーム11をそれぞれ回動させるものであっても良いし、リンク機構を用いて1個のモータによって一対の移載アーム11を連動させて回動させるものであっても良い。
また、一対の移載アーム11は、昇降機構14によって水平移動機構13とともに昇降移動される。昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置にて上昇させると、計4本のリフトピン12がサセプタ74に穿設された貫通孔79(図2,3参照)を通過し、リフトピン12の上端がサセプタ74の上面から突き出る。一方、昇降機構14が一対の移載アーム11を移載動作位置にて下降させてリフトピン12を貫通孔79から抜き取り、水平移動機構13が一対の移載アーム11を開くように移動させると各移載アーム11が退避位置に移動する。一対の移載アーム11の退避位置は、保持部7の基台リング71の直上である。基台リング71は凹部62の底面に載置されているため、移載アーム11の退避位置は凹部62の内側となる。なお、移載機構10の駆動部(水平移動機構13および昇降機構14)が設けられている部位の近傍にも図示省略の排気機構が設けられており、移載機構10の駆動部周辺の雰囲気がチャンバー6の外部に排出されるように構成されている。
図1に戻り、チャンバー6の上方に設けられたフラッシュ加熱部5は、筐体51の内側に、複数本(本実施形態では30本)のキセノンフラッシュランプFLからなる光源と、その光源の上方を覆うように設けられたリフレクタ52と、を備えて構成される。また、フラッシュ加熱部5の筐体51の底部にはランプ光放射窓53が装着されている。フラッシュ加熱部5の床部を構成するランプ光放射窓53は、石英により形成された板状の石英窓である。フラッシュ加熱部5がチャンバー6の上方に設置されることにより、ランプ光放射窓53が上側チャンバー窓63と相対向することとなる。フラッシュランプFLはチャンバー6の上方からランプ光放射窓53および上側チャンバー窓63を介して熱処理空間65にフラッシュ光を照射する。
複数のフラッシュランプFLは、それぞれが長尺の円筒形状を有する棒状ランプであり、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように平面状に配列されている。よって、フラッシュランプFLの配列によって形成される平面も水平面である。
キセノンフラッシュランプFLは、その内部にキセノンガスが封入されその両端部にコンデンサーに接続された陽極および陰極が配設された棒状のガラス管(放電管)と、該ガラス管の外周面上に付設されたトリガー電極とを備える。キセノンガスは電気的には絶縁体であることから、コンデンサーに電荷が蓄積されていたとしても通常の状態ではガラス管内に電気は流れない。しかしながら、トリガー電極に高電圧を印加して絶縁を破壊した場合には、コンデンサーに蓄えられた電気がガラス管内に瞬時に流れ、そのときのキセノンの原子あるいは分子の励起によって光が放出される。このようなキセノンフラッシュランプFLにおいては、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが0.1ミリセカンドないし100ミリセカンドという極めて短い光パルスに変換されることから、ハロゲンランプHLの如き連続点灯の光源に比べて極めて強い光を照射し得るという特徴を有する。すなわち、フラッシュランプFLは、1秒未満の極めて短い時間で瞬間的に発光するパルス発光ランプである。なお、フラッシュランプFLの発光時間は、フラッシュランプFLに電力供給を行うランプ電源のコイル定数によって調整することができる。
また、リフレクタ52は、複数のフラッシュランプFLの上方にそれら全体を覆うように設けられている。リフレクタ52の基本的な機能は、複数のフラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光を熱処理空間65の側に反射するというものである。リフレクタ52はアルミニウム合金板にて形成されており、その表面(フラッシュランプFLに臨む側の面)はブラスト処理により粗面化加工が施されている。
チャンバー6の下方に設けられたハロゲン加熱部4は、筐体41の内側に複数本(本実施形態では40本)のハロゲンランプHLを内蔵している。ハロゲン加熱部4は、複数のハロゲンランプHLによってチャンバー6の下方から下側チャンバー窓64を介して熱処理空間65への光照射を行って半導体ウェハーWを加熱する。
図7は、複数のハロゲンランプHLの配置を示す平面図である。40本のハロゲンランプHLは上下2段に分けて配置されている。保持部7に近い上段に20本のハロゲンランプHLが配設されるとともに、上段よりも保持部7から遠い下段にも20本のハロゲンランプHLが配設されている。各ハロゲンランプHLは、長尺の円筒形状を有する棒状ランプである。上段、下段ともに20本のハロゲンランプHLは、それぞれの長手方向が保持部7に保持される半導体ウェハーWの主面に沿って(つまり水平方向に沿って)互いに平行となるように配列されている。よって、上段、下段ともにハロゲンランプHLの配列によって形成される平面は水平面である。
また、図7に示すように、上段、下段ともに保持部7に保持される半導体ウェハーWの中央部に対向する領域よりも周縁部に対向する領域におけるハロゲンランプHLの配設密度が高くなっている。すなわち、上下段ともに、ランプ配列の中央部よりも周縁部の方がハロゲンランプHLの配設ピッチが短い。このため、ハロゲン加熱部4からの光照射による加熱時に温度低下が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部により多い光量の照射を行うことができる。
また、上段のハロゲンランプHLからなるランプ群と下段のハロゲンランプHLからなるランプ群とが格子状に交差するように配列されている。すなわち、上段に配置された20本のハロゲンランプHLの長手方向と下段に配置された20本のハロゲンランプHLの長手方向とが互いに直交するように計40本のハロゲンランプHLが配設されている。
ハロゲンランプHLは、ガラス管内部に配設されたフィラメントに通電することでフィラメントを白熱化させて発光させるフィラメント方式の光源である。ガラス管の内部には、窒素やアルゴン等の不活性ガスにハロゲン元素(ヨウ素、臭素等)を微量導入した気体が封入されている。ハロゲン元素を導入することによって、フィラメントの折損を抑制しつつフィラメントの温度を高温に設定することが可能となる。したがって、ハロゲンランプHLは、通常の白熱電球に比べて寿命が長くかつ強い光を連続的に照射できるという特性を有する。すなわち、ハロゲンランプHLは少なくとも1秒以上連続して発光する連続点灯ランプである。また、ハロゲンランプHLは棒状ランプであるため長寿命であり、ハロゲンランプHLを水平方向に沿わせて配置することにより上方の半導体ウェハーWへの放射効率が優れたものとなる。
また、ハロゲン加熱部4の筐体41内にも、2段のハロゲンランプHLの下側にリフレクタ43が設けられている(図1)。リフレクタ43は、複数のハロゲンランプHLから出射された光を熱処理空間65の側に反射する。
図1に示すように、チャンバー6には、上部放射温度計25および下部放射温度計20の2つの放射温度計(本実施形態ではパイロメーター)が設けられている。上部放射温度計25は、サセプタ74に保持された半導体ウェハーWの斜め上方に設置され、その半導体ウェハーWの上面から放射された赤外光を受光して上面の温度を測定する。上部放射温度計25の赤外線センサー29は、フラッシュ光が照射された瞬間の半導体ウェハーWの上面の急激な温度変化に対応できるように、InSb(インジウムアンチモン)の光学素子を備えている。一方、下部放射温度計20は、サセプタ74に保持された半導体ウェハーWの斜め下方に設けられ、その半導体ウェハーWの下面から放射された赤外光を受光して下面の温度を測定する。
制御部3は、熱処理装置1に設けられた上記の種々の動作機構を制御する。制御部3のハードウェアとしての構成は一般的なコンピュータと同様である。すなわち、制御部3は、各種演算処理を行う回路であるCPU、基本プログラムを記憶する読み出し専用のメモリであるROM、各種情報を記憶する読み書き自在のメモリであるRAMおよび制御用ソフトウェアやデータなどを記憶しておく磁気ディスクを備えている。制御部3のCPUが所定の処理プログラムを実行することによって熱処理装置1における処理が進行する。
上記の構成以外にも熱処理装置1は、半導体ウェハーWの熱処理時にハロゲンランプHLおよびフラッシュランプFLから発生する熱エネルギーによるハロゲン加熱部4、フラッシュ加熱部5およびチャンバー6の過剰な温度上昇を防止するため、様々な冷却用の構造を備えている。例えば、チャンバー6の壁体には水冷管(図示省略)が設けられている。また、ハロゲン加熱部4およびフラッシュ加熱部5は、内部に気体流を形成して排熱する空冷構造とされている。また、上側チャンバー窓63とランプ光放射窓53との間隙にも空気が供給され、フラッシュ加熱部5および上側チャンバー窓63を冷却する。
次に、熱処理装置1における処理動作について説明する。ここではまず、製品となる通常の半導体ウェハー(プロダクトウェハー)Wに対する典型的な熱処理動作について説明する。以下に説明する半導体ウェハーWの処理手順は、制御部3が熱処理装置1の各動作機構を制御することにより進行する。
まず、半導体ウェハーWの処理に先立って給気のためのバルブ84が開放されるとともに、排気用のバルブ89が開放されてチャンバー6内に対する給排気が開始される。バルブ84が開放されると、ガス供給孔81から熱処理空間65に窒素ガスが供給される。また、バルブ89が開放されると、ガス排気孔86からチャンバー6内の気体が排気される。これにより、チャンバー6内の熱処理空間65の上部から供給された窒素ガスが下方へと流れ、熱処理空間65の下部から排気される。
また、バルブ192が開放されることによって、搬送開口部66からもチャンバー6内の気体が排気される。さらに、図示省略の排気機構によって移載機構10の駆動部周辺の雰囲気も排気される。なお、熱処理装置1における半導体ウェハーWの熱処理時には窒素ガスが熱処理空間65に継続的に供給されており、その供給量は処理工程に応じて適宜変更される。
続いて、ゲートバルブ185が開いて搬送開口部66が開放され、装置外部の搬送ロボットにより搬送開口部66を介して処理対象となる半導体ウェハーWがチャンバー6内の熱処理空間65に搬入される。このときには、半導体ウェハーWの搬入にともなって装置外部の雰囲気を巻き込むおそれがあるが、チャンバー6には窒素ガスが供給され続けているため、搬送開口部66から窒素ガスが流出して、そのような外部雰囲気の巻き込みを最小限に抑制することができる。
搬送ロボットによって搬入された半導体ウェハーWは保持部7の直上位置まで進出して停止する。そして、移載機構10の一対の移載アーム11が退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12が貫通孔79を通ってサセプタ74の保持プレート75の上面から突き出て半導体ウェハーWを受け取る。このとき、リフトピン12は基板支持ピン77の上端よりも上方にまで上昇する。
半導体ウェハーWがリフトピン12に載置された後、搬送ロボットが熱処理空間65から退出し、ゲートバルブ185によって搬送開口部66が閉鎖される。そして、一対の移載アーム11が下降することにより、半導体ウェハーWは移載機構10から保持部7のサセプタ74に受け渡されて水平姿勢にて下方より保持される。半導体ウェハーWは、保持プレート75上に立設された複数の基板支持ピン77によって支持されてサセプタ74に保持される。また、半導体ウェハーWは、被処理面である表面を上面として保持部7に保持される。複数の基板支持ピン77によって支持された半導体ウェハーWの裏面(表面とは反対側の主面)と保持プレート75の保持面75aとの間には所定の間隔が形成される。サセプタ74の下方にまで下降した一対の移載アーム11は水平移動機構13によって退避位置、すなわち凹部62の内側に退避する。
図8は、熱処理時における半導体ウェハーWの表面温度の変化を示す図である。半導体ウェハーWが石英にて形成された保持部7のサセプタ74によって水平姿勢にて下方より保持された後、時刻t1にハロゲン加熱部4の40本のハロゲンランプHLが一斉に点灯して予備加熱(アシスト加熱)が開始される。ハロゲンランプHLから出射されたハロゲン光は、石英にて形成された下側チャンバー窓64およびサセプタ74を透過して半導体ウェハーWの下面に照射される。ハロゲンランプHLからの光照射を受けることによって半導体ウェハーWが予備加熱されて温度が上昇する。なお、移載機構10の移載アーム11は凹部62の内側に退避しているため、ハロゲンランプHLによる加熱の障害となることは無い。
ハロゲンランプHLからの光照射によって昇温する半導体ウェハーWの温度は下部放射温度計20によって測定される。測定された半導体ウェハーWの温度は制御部3に伝達される。制御部3は、ハロゲンランプHLからの光照射によって昇温する半導体ウェハーWの温度が所定の予備加熱温度T1に到達したか否かを監視しつつ、ハロゲンランプHLの出力を制御する。すなわち、制御部3は、下部放射温度計20による測定値に基づいて、半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1となるようにハロゲンランプHLの出力をフィードバック制御する。
半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達した後、制御部3は半導体ウェハーWをその予備加熱温度T1に暫時維持する。具体的には、下部放射温度計20によって測定される半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達した時刻t2に制御部3がハロゲンランプHLの出力を調整し、半導体ウェハーWの温度をほぼ予備加熱温度T1に維持している。
このようなハロゲンランプHLによる予備加熱を行うことによって、半導体ウェハーWの全体を予備加熱温度T1に均一に昇温している。ハロゲンランプHLによる予備加熱の段階においては、より放熱が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部の温度が中央部よりも低下する傾向にあるが、ハロゲン加熱部4におけるハロゲンランプHLの配設密度は、半導体ウェハーWの中央部に対向する領域よりも周縁部に対向する領域の方が高くなっている。このため、放熱が生じやすい半導体ウェハーWの周縁部に照射される光量が多くなり、予備加熱段階における半導体ウェハーWの面内温度分布を均一なものとすることができる。
半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1に到達して所定時間が経過した時刻t3にフラッシュ加熱部5のフラッシュランプFLがサセプタ74に保持された半導体ウェハーWの表面にフラッシュ光照射を行う。このとき、フラッシュランプFLから放射されるフラッシュ光の一部は直接にチャンバー6内へと向かい、他の一部は一旦リフレクタ52により反射されてからチャンバー6内へと向かい、これらのフラッシュ光の照射により半導体ウェハーWのフラッシュ加熱が行われる。
フラッシュ加熱は、フラッシュランプFLからのフラッシュ光(閃光)照射により行われるため、半導体ウェハーWの表面温度を短時間で上昇することができる。すなわち、フラッシュランプFLから照射されるフラッシュ光は、予めコンデンサーに蓄えられていた静電エネルギーが極めて短い光パルスに変換された、照射時間が0.1ミリセカンド以上100ミリセカンド以下程度の極めて短く強い閃光である。そして、フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射によりフラッシュ加熱される半導体ウェハーWの表面温度は、瞬間的に1000℃以上の処理温度T2まで上昇した後、急速に下降する。
フラッシュ加熱処理が終了した後、所定時間経過後にハロゲンランプHLが消灯する。これにより、半導体ウェハーWが予備加熱温度T1から急速に降温する。降温中の半導体ウェハーWの温度は下部放射温度計20によって測定され、その測定結果は制御部3に伝達される。制御部3は、下部放射温度計20の測定結果より半導体ウェハーWの温度が所定温度まで降温したか否かを監視する。そして、半導体ウェハーWの温度が所定以下にまで降温した後、移載機構10の一対の移載アーム11が再び退避位置から移載動作位置に水平移動して上昇することにより、リフトピン12がサセプタ74の上面から突き出て熱処理後の半導体ウェハーWをサセプタ74から受け取る。続いて、ゲートバルブ185により閉鎖されていた搬送開口部66が開放され、リフトピン12上に載置された半導体ウェハーWが装置外部の搬送ロボットによりチャンバー6から搬出され、半導体ウェハーWの加熱処理が完了する。
上述のような半導体ウェハーWに対する加熱処理を繰り返し実行していると、熱処理装置1を構成するハードウェアが劣化する。具体的には、ハロゲンランプHLおよびフラッシュランプFLが点灯と消灯とを繰り返すことによって経時劣化する。また、石英の上側チャンバー窓63および下側チャンバー窓64の汚染が進行する。特に、昇華する成分を多く含む薄膜が成膜された半導体ウェハーWに加熱処理を行ったときには、上側チャンバー窓63および下側チャンバー窓64に多量の汚染物質が付着して上側チャンバー窓63および下側チャンバー窓64の汚染が急速に進行する。
このようなハードウェアの劣化が生じると、半導体ウェハーWに照射される光の照度が低下してフラッシュ光照射時にも半導体ウェハーWの表面温度が処理温度T2に到達しなくなることがある。そうすると、半導体ウェハーWの加熱処理が不良となり、所望のデバイス特性が得られなくなる。
このため、本実施形態においては、以下のようにしてハードウェアの劣化を検知している。図9は、ハロゲンランプHLおよび下側チャンバー窓64の劣化を検知する手順を示すフローチャートである。
典型的には、熱処理装置1等の基板処理装置においては、半導体ウェハーWはレシピに従って処理される。レシピとは、半導体ウェハーWの処理手順および処理条件を定義したものである。本実施形態においても、制御部3が熱処理装置1の各機構をレシピに従って制御することにより半導体ウェハーWの処理が行われる。
ある任意の半導体ウェハーW(以下、第1ウェハーW1とする)についてのレシピに定出力フェーズが含まれている場合には、ステップS11からステップS12に進み、その第1ウェハーW1に加熱処理を行ったときの温度履歴が保存される。定出力フェーズとは、ハロゲンランプHLによって半導体ウェハーWを予備加熱するときに、ハロゲンランプHLの出力を一定出力にして所定温度にまで半導体ウェハーWを加熱するフェーズである。
上述したように、半導体ウェハーWの予備加熱時には、半導体ウェハーWの温度が予備加熱温度T1となるようにハロゲンランプHLの出力がフィードバック制御されるのであるが、予備加熱の初期段階では半導体ウェハーWの温度が目標温度T3(目標温度T3<予備加熱温度T1)となるまでオープンループ制御が行われる。すなわち、予備加熱が開始されてから半導体ウェハーWの温度が目標温度T3となるまではハロゲンランプHLの出力が一定出力に維持され、半導体ウェハーWの温度が目標温度T3に到達した後はフィードバック制御が行われるのである。例えば、予備加熱温度T1が600℃であり、目標温度T3が400℃であるならば、ハロゲンランプHLの出力を一定出力にして400℃まで半導体ウェハーWを加熱した後、フィードバック制御により半導体ウェハーWを600℃にまで加熱する。このようにしているのは、半導体ウェハーWの温度が比較的低温のときは下部放射温度計20が正確に半導体ウェハーWの温度を測定しがたいためである。このようなハロゲンランプHLの出力を一定出力に維持して目標温度T3にまで半導体ウェハーWを加熱するフェーズが定出力フェーズである。
第1ウェハーW1についてのレシピに定出力フェーズが含まれている場合には、第1ウェハーW1に予備加熱処理を行う初期段階でハロゲンランプHLの出力を一定出力に維持して目標温度T3にまで第1ウェハーW1が加熱されることとなる。そして、少なくとも定出力フェーズでの第1ウェハーW1の温度変化を含む第1ウェハーW1の温度履歴、すなわち第1ウェハーW1にハロゲンランプHLから一定出力にて光照射を行ったときの第1ウェハーW1の温度履歴が制御部3の記憶部に保存される。
次に、第1ウェハーW1の加熱処理が終了した後、熱処理装置1にて新たな半導体ウェハーW(以下、第2ウェハーW2とする)の加熱処理が開始される(ステップS13)。第2ウェハーW2は第1ウェハーW1の直後に処理される半導体ウェハーWに限定されるものではなく、第2ウェハーW2と第1ウェハーW1との間に他の半導体ウェハーWが処理されていても良い。
第2ウェハーW2もレシピに従って加熱処理される。第2ウェハーW2の加熱処理を開始する際に、第2ウェハーW2についてのレシピが第1ウェハーW1についてのレシピと同一であるか否かが制御部3によって判定される(ステップS14)。そして、第2ウェハーW2についてのレシピと第1ウェハーW1についてのレシピとが同一である場合には、ステップS15に進んで、第2ウェハーW2の加熱処理時における第2ウェハーW2の温度履歴が取得される。
第2ウェハーW2についてのレシピが第1ウェハーW1についてのレシピと同一である場合には、第2ウェハーW2についてのレシピにも定出力フェーズが含まれる。従って、第2ウェハーW2に予備加熱処理を行う初期段階では、ハロゲンランプHLの出力を一定出力に維持して目標温度T3にまで第2ウェハーW2が加熱されることとなる。ハロゲンランプHLから出射された光は下側チャンバー窓64を透過して第2ウェハーW2に照射される。一定出力のハロゲンランプHLからの光照射によって加熱される第2ウェハーW2の温度は、下部放射温度計20によって測定される。これにより、少なくとも定出力フェーズでの第2ウェハーW2の温度変化を含む第2ウェハーW2の温度履歴、すなわち第2ウェハーW2にハロゲンランプHLから一定出力にて光照射を行うときの第2ウェハーW2の温度履歴が取得される。
次に、ステップS12にて保存された第1ウェハーW1の温度履歴とステップS15にて取得された第2ウェハーW2の温度履歴とが制御部3によって比較される(ステップS16)。具体的には、第1ウェハーW1にハロゲンランプHLから一定出力にて光照射を行ったときに照射開始から第1ウェハーW1が目標温度T3に到達するまでの時間と、第2ウェハーW2にハロゲンランプHLから一定出力にて光照射を行ったときに照射開始から第2ウェハーW2が目標温度T3に到達するまでの時間とが比較される。そして、照射開始から第1ウェハーW1が目標温度T3に到達するまでの時間と照射開始から第2ウェハーW2が目標温度T3に到達するまでの時間とが一致しているか否かが制御部3によって判定される(ステップS17)。
図10は、到達時間の比較を示す図である。図10の点線は、ハロゲンランプHLから一定出力にて光照射を行ったときの第1ウェハーW1の温度履歴である。図10の実線は、ハロゲンランプHLから一定出力にて光照射を行ったときの第2ウェハーW2の温度履歴である。
図10の例では、ハロゲンランプHLの照射開始から第1ウェハーW1が目標温度T3に到達するまでの時間よりもハロゲンランプHLの照射開始から第2ウェハーW2が目標温度T3に到達するまでの時間の方が長い。すなわち、ハロゲンランプHLの照射開始から第1ウェハーW1が目標温度T3に到達するまでの時間と、ハロゲンランプHLの照射開始から第2ウェハーW2が目標温度T3に到達するまでの時間とが不一致であり、双方の間には時間差Δtが生じている。
第1ウェハーW1および第2ウェハーW2に対してはハロゲンランプHLから同じ一定出力にて光照射を行っているため、理論上は照射開始から目標温度T3に到達するまでの時間も第1ウェハーW1および第2ウェハーW2で同じになるはずである。しかし、第1ウェハーW1の処理時から第2ウェハーW2の処理時まで間に、ハロゲンランプHLの劣化および/または下側チャンバー窓64の汚染が生じていた場合には、同じ出力にてハロゲンランプHLから光照射を行ったとしても、第1ウェハーW1が受光する光の照度よりも第2ウェハーW2が受光する光の照度の方が小さくなる。その結果、ハロゲンランプHLの照射開始から目標温度T3に到達するまでの時間も第1ウェハーW1より第2ウェハーW2の方が長くなる。すなわち、ハロゲンランプHLの照射開始から第1ウェハーW1が目標温度T3に到達するまでの時間と、ハロゲンランプHLの照射開始から第2ウェハーW2が目標温度T3に到達するまでの時間とが不一致であることは、ハロゲンランプHLおよび/または下側チャンバー窓64が劣化していることを示している。
このため、図10の例に示すように、第1ウェハーW1の温度履歴と第2ウェハーW2の温度履歴とが不一致である場合には、ステップS17からステップS18に進み、制御部3がアラームを発報する。具体的には、例えば、制御部3が熱処理装置1の操作パネルに劣化が発生している旨のアラームを表示する。アラームが発報されたときには、熱処理装置1の作業者が熱処理装置1における処理動作を停止するようにしても良い。
一方、ハロゲンランプHLの照射開始から第1ウェハーW1が目標温度T3に到達するまでの時間と、ハロゲンランプHLの照射開始から第2ウェハーW2が目標温度T3に到達するまでの時間とが一致している場合には、ハロゲンランプHLおよび下側チャンバー窓64の劣化が生じていないと判断されるため、処理を終了する。
以上のようにして、ハロゲンランプHLおよび下側チャンバー窓64の劣化を検知することができる。なお、上述した劣化検知技術は、ハロゲンランプHLの照射開始時点における第1ウェハーW1の温度と第2ウェハーW2の温度とが等しいことを前提としている。ハロゲンランプHLの照射開始時点における第1ウェハーW1の温度と第2ウェハーW2の温度とが異なると、それに起因して目標温度T3に到達するまでの時間も異なることになるためである。通常のプロダクトウェハーの処理中はサセプタ74等のチャンバー内構造物の温度が一定の安定温度に維持されているため、ハロゲンランプHLの照射開始時点における第1ウェハーW1の温度と第2ウェハーW2の温度とは等しい。すなわち、プロダクトウェハーの処理中は上述の劣化検知技術を適用することができる。但し、プロダクトウェハーの処理を開始する前のダミー処理時には、サセプタ74等のチャンバー内構造物の温度が安定していないため、ハロゲンランプHLの照射開始時点におけるウェハー温度が一定とならず、上述の劣化検知技術を用いることは出来ない。
続いて、フラッシュランプFLおよび上側チャンバー窓63の劣化検知について説明する。図11は、フラッシュランプFLおよび上側チャンバー窓63の劣化を検知する手順を示すフローチャートである。
第1ウェハーW1についてのレシピにフラッシュフェーズが含まれている場合には、ステップS21からステップS22に進み、その第1ウェハーW1に加熱処理を行ったときの温度履歴が保存される。フラッシュフェーズとは、半導体ウェハーWの表面にフラッシュランプFLから所定出力にて所定時間のフラッシュ光照射を行って当該表面を瞬間的に加熱するフェーズである。
第1ウェハーW1についてのレシピにフラッシュフェーズが含まれている場合には、フラッシュランプFLから第1ウェハーW1にフラッシュ光が照射されて第1ウェハーW1がフラッシュ加熱されることとなる。そして、少なくともフラッシュフェーズでの第1ウェハーW1の表面の温度変化を含む第1ウェハーW1の温度履歴、すなわち第1ウェハーW1の表面にフラッシュランプFLから所定出力にて所定時間のフラッシュ光照射を行ったときの第1ウェハーW1の表面の温度履歴が制御部3の記憶部に保存される。
次に、第1ウェハーW1の加熱処理が終了した後、熱処理装置1にて新たな半導体ウェハーW(第2ウェハーW2)の加熱処理が開始される(ステップS23)。上述と同様に、第2ウェハーW2は第1ウェハーW1の直後に処理される半導体ウェハーWに限定されるものではなく、第2ウェハーW2と第1ウェハーW1との間に他の半導体ウェハーWが処理されていても良い。
第2ウェハーW2の加熱処理を開始する際に、第2ウェハーW2についてのレシピが第1ウェハーW1についてのレシピと同一であるか否かが制御部3によって判定される(ステップS24)。そして、第2ウェハーW2についてのレシピと第1ウェハーW1についてのレシピとが同一である場合には、ステップS25に進んで、第2ウェハーW2の加熱処理時における第2ウェハーW2の温度履歴が取得される。
第2ウェハーW2についてのレシピが第1ウェハーW1についてのレシピと同一である場合には、第2ウェハーW2についてのレシピにもフラッシュフェーズが含まれる。従って、第2ウェハーW2の表面にフラッシュランプFLから所定出力にて所定時間のフラッシュ光照射が行われて当該表面が瞬間的に加熱されることとなる。フラッシュランプFLから出射されたフラッシュ光は上側チャンバー窓63を透過して第2ウェハーW2の表面に照射される。フラッシュランプFLからのフラッシュ光照射によって加熱される第2ウェハーW2の表面の温度は、上部放射温度計25によって測定される。これにより、少なくともフラッシュフェーズでの第2ウェハーW2の表面の温度変化を含む第2ウェハーW2の温度履歴、すなわち第2ウェハーW2の表面にフラッシュランプFLから所定出力にて所定時間のフラッシュ光照射を行ったときの第2ウェハーW2の表面の温度履歴が取得される。
次に、ステップS22にて保存された第1ウェハーW1の温度履歴とステップS25にて取得された第2ウェハーW2の温度履歴とが制御部3によって比較される(ステップS26)。具体的には、第1ウェハーW1の表面にフラッシュランプFLから所定出力にて所定時間のフラッシュ光照射を行ったときの第1ウェハーW1の表面の最高到達温度(ピーク温度)と、第2ウェハーW2の表面にフラッシュランプFLから所定出力にて所定時間のフラッシュ光照射を行ったときの第2ウェハーW2の表面の最高到達温度とが比較される。そして、フラッシュ光照射時における第1ウェハーW1の表面の最高到達温度と第2ウェハーW2の表面の最高到達温度とが一致しているか否かが制御部3によって判定される(ステップS27)。
図12は、フラッシュ光照射時の最高到達温度の比較を示す図である。図12の点線は、フラッシュランプFLから所定出力にて所定時間のフラッシュ光照射を行ったときの第1ウェハーW1の表面の温度履歴である。図12の実線は、フラッシュランプFLから所定出力にて所定時間のフラッシュ光照射を行ったときの第2ウェハーW2の表面の温度履歴である。
図12の例では、フラッシュランプFLから所定出力にて所定時間のフラッシュ光照射を行ったときの第1ウェハーW1の最高到達温度よりも第2ウェハーW2の最高到達温度の方が低い。すなわち、フラッシュ光照射時の第1ウェハーW1の最高到達温度と第2ウェハーW2の最高到達温度とが不一致であり、双方の間には温度差ΔTが生じている。
第1ウェハーW1および第2ウェハーW2に対してはフラッシュランプFLから同様に所定出力にて所定時間のフラッシュ光照射を行っているため、理論上はフラッシュ光照射時の最高到達温度も第1ウェハーW1および第2ウェハーW2で同じになるはずである。しかし、第1ウェハーW1の処理時から第2ウェハーW2の処理時まで間に、フラッシュランプFLの劣化および/または上側チャンバー窓63の汚染が生じていた場合には、同じ出力および照射時間にてフラッシュランプFLから光照射を行ったとしても、第1ウェハーW1が受光するフラッシュ光の照度よりも第2ウェハーW2が受光するフラッシュ光の照度の方が小さくなる。その結果、フラッシュ光照射時の最高到達温度も第1ウェハーW1より第2ウェハーW2の方が低くなる。すなわち、フラッシュランプFLから所定出力にて所定時間のフラッシュ光照射を行ったときの第1ウェハーW1の最高到達温度と第2ウェハーW2の最高到達温度とが不一致であることは、フラッシュランプFLおよび/または上側チャンバー窓63が劣化していることを示している。
このため、図12の例に示すように、第1ウェハーW1の温度履歴と第2ウェハーW2の温度履歴とが不一致である場合には、ステップS27からステップS28に進み、制御部3がアラームを発報する。具体的には、例えば、制御部3が熱処理装置1の操作パネルに劣化が発生している旨のアラームを表示する。上述と同様に、アラームが発報されたときには、熱処理装置1の作業者が熱処理装置1における処理動作を停止するようにしても良い。
一方、フラッシュ光照射時の第1ウェハーW1の最高到達温度と第2ウェハーW2の最高到達温度とが一致している場合には、フラッシュランプFLおよび上側チャンバー窓63が劣化していないと判断されるため、処理を終了する。
以上のようにして、フラッシュランプFLおよび上側チャンバー窓63の劣化を検知することができる。なお、上述した劣化検知技術は、フラッシュ光の照射開始時点における第1ウェハーW1の予備加熱温度と第2ウェハーW2の予備加熱温度とが等しいことを前提としている。フラッシュ光の照射開始時点における第1ウェハーW1の予備加熱温度と第2ウェハーW2の予備加熱温度とが異なると、それに起因してフラッシュ光照射時の最高到達温度も異なることになるためである。通常のプロダクトウェハーの処理中は予備加熱温度が一定であるため、フラッシュ光の照射開始時点における第1ウェハーW1の予備加熱温度と第2ウェハーW2の予備加熱温度とは等しい。すなわち、プロダクトウェハーの処理中は上述の劣化検知技術を適用することができる。但し、プロダクトウェハーの処理を開始する前のダミー処理時には、フラッシュ光照射前の予備加熱温度が一定ではないため、上述の劣化検知技術を用いることは出来ない。
上述した2つの劣化検知技術を集約すると、本実施形態においては、まずチャンバー6内に収容された第1ウェハーW1に光源から所定のパターンにて光照射を行ったときの第1ウェハーW1の温度履歴を記憶しておく。その後、チャンバー6内に収容された第2ウェハーW2に光源から第1ウェハーW1と同じパターンにて光照射を行うときに、第2ウェハーW2の温度履歴を取得する。そして、予め記憶されている第1ウェハーW1の温度履歴と新たに取得された第2ウェハーW2の温度履歴とを比較し、それらが不一致であるときには劣化が生じている旨のアラームを発報するのである。このようにすれば、特別な機構を設けることなく、簡易な構成にて石英窓やランプ等のハードウェアの劣化を検知することができる。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、この発明はその趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したもの以外に種々の変更を行うことが可能である。例えば、上記実施形態においては、フラッシュ光照射時における第1ウェハーW1の表面の最高到達温度と第2ウェハーW2の表面の最高到達温度とを比較していたが、フラッシュ光照射時における第1ウェハーW1の裏面の最高到達温度と第2ウェハーW2の裏面の最高到達温度とを比較するようにしても良い。
フラッシュランプFLから半導体ウェハーWの表面にフラッシュ光を照射したときには、表面よりは温度変化は少ないものの半導体ウェハーWの裏面の温度も上昇する。このため、フラッシュ光照射時における第1ウェハーW1の裏面の最高到達温度と第2ウェハーW2の裏面の最高到達温度とを比較することによってもフラッシュランプFLおよび上側チャンバー窓63の劣化を検知することができる。この場合の具体的な処理手順は図11に示したのと概ね同様である。
ステップS22では、第1ウェハーW1の表面にフラッシュランプFLから所定出力にて所定時間のフラッシュ光照射を行ったときの第1ウェハーW1の裏面の温度履歴を記憶する。ステップS25では、第2ウェハーW2の表面にフラッシュランプFLから所定出力にて所定時間のフラッシュ光照射を行ったときの第2ウェハーW2の裏面の温度履歴を取得する。そして、ステップS26では、第1ウェハーW1の表面にフラッシュランプFLから所定出力にて所定時間のフラッシュ光照射を行ったときの第1ウェハーW1の裏面の最高到達温度と、第2ウェハーW2の表面にフラッシュランプFLから所定出力にて所定時間のフラッシュ光照射を行ったときの第2ウェハーW2の裏面の最高到達温度とを比較する。このようにしても、上記実施形態と同様に、フラッシュランプFLおよび/または上側チャンバー窓63の劣化を検知することができる。
ウェハー表面の最高到達温度の比較およびウェハー裏面の最高到達温度の比較の双方を行うことによってフラッシュランプFLおよび/または上側チャンバー窓63の劣化を検知するようにしても良い。或いは、ウェハー表面の最高到達温度の比較またはウェハー裏面の最高到達温度の比較のいずれか一方を行うことによってフラッシュランプFLおよび/または上側チャンバー窓63の劣化を検知するようにしても良い。これらは適宜に選択可能である。
また、図9のステップ17において、到達時間が一致していることは完全一致に限定されるものではなく、到達時間の差異が一定許容範囲内であれば一致していると判定しても良い。換言すれば、ハロゲンランプHLの照射開始から第1ウェハーW1が目標温度T3に到達するまでの時間と、ハロゲンランプHLの照射開始から第2ウェハーW2が目標温度T3に到達するまでの時間との時間差Δtが所定の閾値より大きい場合に双方が不一致であると判定するようにしても良い。
同様に、図11のステップS27において、最高到達温度が一致していることは完全一致に限定されるものではなく、最高到達温度の差異が一定許容範囲内であれば一致していると判定しても良い。換言すれば、フラッシュ光照射時の第1ウェハーW1の最高到達温度と第2ウェハーW2の最高到達温度との温度差ΔTが所定の閾値より大きい場合に双方が不一致であると判定するようにしても良い。
また、図9のステップS12および図11のステップS22では、任意の半導体ウェハーWについての温度履歴を保存していたが、例えばメンテナンス直後の石英窓およびランプの劣化が全く生じていない状態での半導体ウェハーWの温度履歴を基準温度履歴として保持するようにしても良い。そして、図9のステップS16および図11のステップS26では、その基準温度履歴と新たに取得した半導体ウェハーWの温度履歴とを比較する。このようにすれば、石英窓およびランプの劣化が全く生じていない状態での基準温度履歴との比較になるため、絶対的な石英窓およびランプの劣化を検知することができる。
また、図9のステップS12および図11のステップS22では、複数枚(例えば、10枚)の半導体ウェハーWの温度変化の移動平均を温度履歴として保存するようにしても良い。このようにすることにより、比較の基準となる温度履歴を平滑化することができ、劣化検知の精度を高めることができる。
また、上記実施形態においては、フラッシュ加熱部5に30本のフラッシュランプFLを備えるようにしていたが、これに限定されるものではなく、フラッシュランプFLの本数は任意の数とすることができる。また、フラッシュランプFLはキセノンフラッシュランプに限定されるものではなく、クリプトンフラッシュランプであっても良い。また、ハロゲン加熱部4に備えるハロゲンランプHLの本数も40本に限定されるものではなく、任意の数とすることができる。
また、上記実施形態においては、1秒以上連続して発光する連続点灯ランプとしてフィラメント方式のハロゲンランプHLを用いて半導体ウェハーWの予備加熱を行っていたが、これに限定されるものではなく、ハロゲンランプHLに代えて放電型のアークランプ(例えば、キセノンアークランプ)またはLEDランプを連続点灯ランプとして用いて予備加熱を行うようにしても良い。
また、熱処理装置1によって処理対象となる基板は半導体ウェハーに限定されるものではなく、液晶表示装置などのフラットパネルディスプレイに用いるガラス基板や太陽電池用の基板であっても良い。
1 熱処理装置
3 制御部
4 ハロゲン加熱部
5 フラッシュ加熱部
6 チャンバー
7 保持部
10 移載機構
20 下部放射温度計
25 上部放射温度計
63 上側チャンバー窓
64 下側チャンバー窓
65 熱処理空間
74 サセプタ
FL フラッシュランプ
HL ハロゲンランプ
W 半導体ウェハー

Claims (4)

  1. 基板に光を照射することによって該基板を加熱する熱処理方法であって、
    石英窓が設けられたチャンバー内に収容された第1基板に光源から所定のパターンにて光照射を行ったときの前記第1基板の温度履歴を記憶する記憶工程と、
    前記チャンバー内に収容された第2基板に前記光源から前記所定のパターンにて光照射を行うときに、前記第2基板の温度履歴を取得する取得工程と、
    前記記憶工程にて記憶された前記第1基板の温度履歴と前記取得工程にて取得された前記第2基板の温度履歴とを比較する比較工程と、
    前記第1基板の温度履歴と前記第2基板の温度履歴とが不一致であるときに警報を発報する発報工程と、
    を備えることを特徴とする熱処理方法。
  2. 請求項1記載の熱処理方法において、
    前記光源は、連続点灯ランプを含み、
    前記記憶工程では、前記第1基板に前記連続点灯ランプから所定出力にて光照射を行ったときの前記第1基板の温度履歴を記憶し、
    前記取得工程では、前記第2基板に前記連続点灯ランプから前記所定出力にて光照射を行うときの前記第2基板の温度履歴を取得し、
    前記比較工程では、前記第1基板に前記連続点灯ランプから前記所定出力にて光照射を行ったときに前記第1基板が目標温度に到達するまでの時間と前記第2基板に前記連続点灯ランプから前記所定出力にて光照射を行うときに前記第2基板が前記目標温度に到達するまでの時間とを比較することを特徴とする熱処理方法。
  3. 請求項1記載の熱処理方法において、
    前記光源は、フラッシュランプを含み、
    前記記憶工程では、前記第1基板の表面に前記フラッシュランプから所定出力にて所定時間のフラッシュ光照射を行ったときの前記第1基板の表面の温度履歴を記憶し、
    前記取得工程では、前記第2基板の表面に前記フラッシュランプから前記所定出力にて前記所定時間のフラッシュ光照射を行うときの前記第2基板の表面の温度履歴を取得し、
    前記比較工程では、前記第1基板の表面に前記フラッシュランプから前記所定出力にて前記所定時間のフラッシュ光照射を行ったときの前記第1基板の表面の最高到達温度と前記第2基板の表面に前記フラッシュランプから前記所定出力にて前記所定時間のフラッシュ光照射を行うときの前記第2基板の表面の最高到達温度とを比較することを特徴とする熱処理方法。
  4. 請求項1記載の熱処理方法において、
    前記光源は、フラッシュランプを含み、
    前記記憶工程では、前記第1基板の表面に前記フラッシュランプから所定出力にて所定時間のフラッシュ光照射を行ったときの前記第1基板の裏面の温度履歴を記憶し、
    前記取得工程では、前記第2基板の表面に前記フラッシュランプから前記所定出力にて前記所定時間のフラッシュ光照射を行うときの前記第2基板の裏面の温度履歴を取得し、
    前記比較工程では、前記第1基板の表面に前記フラッシュランプから前記所定出力にて前記所定時間のフラッシュ光照射を行ったときの前記第1基板の裏面の最高到達温度と前記第2基板の表面に前記フラッシュランプから前記所定出力にて前記所定時間のフラッシュ光照射を行うときの前記第2基板の裏面の最高到達温度とを比較することを特徴とする熱処理方法。
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