JP2022073128A - Otdr測定装置およびotdrの測定方法 - Google Patents

Otdr測定装置およびotdrの測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】試験時に被検体の光伝送路に含まれるパッチコード等の長さとその実際の長さとが異なっている場合でも、ユーザによる補正操作を必要とせずに正しいイベントの試験結果を出力すること。【解決手段】OTDR測定装置は、被検体の光伝送路に含まれるパッチコードの長さLpc(理論値)を決定し、パッチコード長Lpcと実際の長さとの誤差に起因して発生するイベント誤検知を自動判定して補正するイベント補正部を有し、基準位置Ppc、誤差範囲Rerを決定し、これらと検出した各イベントの範囲、開始点、終了点との比較結果をイベント補正条件テーブル26でケース区分して、補正処理を選択し、状況に合わせて適切な補正処理を実行する。誤差範囲Rer内にいずれかのイベントの開始点が含まれていない場合、前記基準位置に対応付けた特定イベントを追加する。【選択図】図3

Description

本発明は、OTDR測定装置およびOTDRの測定方法に関し、特に被検体がパッチコードのように複数の光ファイバを含む光伝送路である場合の適切なイベント検出のための技術に関する。
OTDR(Optical Time Domain Reflectometer)と呼ばれる光パルス試験器は、一般的に時間幅の短いパルス状の光を生成し、このパルス光を計測対象の光ファイバの一端に送り込む。光ファイバに入射した光は、光ファイバ内部を伝搬する際に、一部の光が内部のガラスによって散乱光を発生する。この散乱光には「レイリー散乱」と呼ばれるものも含まれる。光ファイバ内部で発生した散乱光の一部は光ファイバ内部を伝搬して入射端に戻るので、光パルス試験器は、光ファイバの入射端で散乱光を観測できる。
光ファイバにパルス光が入射してからこの入射端で散乱光が観測されるまでの時間差は、光ファイバの入射端と散乱光が発生した場所との距離の大小に応じて変化する。したがって、光ファイバの入射端で観測される散乱光の受光レベルの時系列変化は、この光ファイバの場所毎の散乱光発生に関する分布状況を表している。光パルス試験器は、このような分布状況を表示することができる。
例えば、光ファイバの伝送路で構成される通信網の一端にOTDR測定装置を接続すれば、通信網各部における構成や状態を表す情報を得ることができる。具体的には、光ファイバ同士を接続する光コネクタの箇所で発生する反射や通常の伝送上の損失の大きさや、接続の不具合や劣化などに起因して発生する反射や異常な損失の有無を場所毎に特定可能である。また、光ファイバにパルス光が入射してから該当する散乱光が入射端で観測されるまでの時間差に基づいて、損失が発生した場所を特定できる。
例えば、特許文献1は、多心の光ファイバケーブルに備わる各光ファイバを接続して1本の光ファイバとして光パルス試験を行った場合に、光パルス試験装置からの距離と各光ファイバの測定波形との対応関係を分かりやすくするための技術を開示している。具体的には、特許文献1の光パルス試験装置は、第1の光ファイバと第2の光ファイバとが並んで敷設され、第1の光ファイバの遠端が第2の光ファイバの遠端に接続されてなる被測定光ファイバにおける後方散乱光を測定する測定部と、測定波形から光損失地点を検出する検出部と、光損失地点のなかから第2の光ファイバの遠端及び近端を特定し、遠端から近端までを近端から遠端までの配列に反転させる反転部と、を備えている。また、被検体の複数の伝送路の間を光ファイバのパッチコードで接続することが示されている。また、パッチコードの長さを取得してその位置を特定することが示されている。
特開2018-169233号公報
特許文献1のような技術を採用することにより、光パルス試験装置は、多心の光ファイバケーブル全体に含まれている複数本の光ファイバを互いに連結し1本の光ファイバに纏めて1回の試験だけで全体を測定可能になる。また、光パルス試験装置からの距離と各光ファイバの測定波形との対応関係を分かりやすく表示することも可能である。
例えば、第1の光ファイバの遠端と第2の光ファイバの遠端とをパッチコードで接続した状態で、第1の光ファイバの近端に光パルス試験装置から光パルスを送り込み、第1の光ファイバ及び第2の光ファイバからの戻り光を第1の光ファイバの近端で観測する場合を想定する。この場合、戻り光レベルの時系列変化は、第1の光ファイバ及び第2の光ファイバを含む光伝送路の各位置における状態を反映する。
しかしながら、光パルス試験装置を使用する作業者等のユーザが事前に把握できるパッチコード長(理論値あるいは規格値)と、その実際の長さとは必ずしも一致しないのが実情である。
ユーザが光パルス試験装置に事前に入力したパッチコード長の値と、その実際の長さとが異なっている場合には、光パルス試験装置が表示する試験結果に誤りが発生する可能性がある。すなわち、光パルス試験装置が把握している戻り光の波形各部のタイミングと、第1の光ファイバの領域および第2の光ファイバの領域との対応関係にずれが発生する。その結果、例えばパッチコードで発生するイベントと被検体の光伝送路上で発生するイベントとを光パルス試験装置が誤って認識する可能性がある。
そのため、光パルス試験装置の測定後に、各イベントの発生位置についてユーザが手作業で何らかの補正操作を行わなければ、正しい試験結果が得られない場合があった。
本発明は、上記の状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、試験対象の光伝送路に含まれるパッチコード等の長さと、その実際の長さとが異なっている場合でも、ユーザによる補正操作を必要とせずに正しい試験結果を出力することが可能なOTDR測定装置およびOTDRの測定方法を提供することである。
前述した目的を達成するために、本発明に係るOTDR測定装置およびOTDRの測定方法は、下記(1)~(8)を特徴としている。
(1) 1本以上の光ファイバおよびパッチコードを含む所定の光伝送路を被検体とし、前記パッチコードの近端に光パルスを送り込み、前記光ファイバからの戻り光を前記パッチコードの近端側で観測して前記光伝送路の状態を計測するOTDR測定装置であって、
前記戻り光の時系列レベル変化の観測状態に基づいて、前記光伝送路の構成及び状態に応じて発生する各事象をイベントとして検知するイベント検知部と、
前記パッチコードの光ファイバ長の理論値をコード長として決定するコード長決定部と、
前記コード長に関連して前記イベント検知部に発生するイベント誤検知を自動判定して補正するイベント補正部と、
を備えるOTDR測定装置。
(2) 前記イベント補正部は、
前記コード長に対応する基準位置と、前記コード長の誤差範囲とを決定し、
前記イベント検知部が検知した各イベント範囲、各イベントの開始点、及び各イベントの終了点の少なくとも1つと、前記基準位置、又は前記誤差範囲とを比較した結果に応じた処理を実行する、
上記(1)に記載のOTDR測定装置。
(3) 前記イベント補正部は、
前記コード長と関連のある複数ケースのそれぞれについて、比較する条件と、前記ケース毎に実行する処理の種類との対応関係を表す情報を予め保持する条件テーブルを有する、
上記(2)に記載のOTDR測定装置。
(4) 前記イベント補正部は、前記誤差範囲内にいずれかのイベントの開始点が含まれていない場合に、前記基準位置に対応付けた特定イベントを追加する、
上記(2)に記載のOTDR測定装置。
(5) 前記イベント補正部は、前記特定イベントを追加する位置が、いずれかの前記イベントの開始点と終了点との範囲内にある場合には、該当するイベントの終了点の位置を、前記基準位置から1データポイントだけ手前側に移動して、前記特定イベントを追加する、
上記(4)に記載のOTDR測定装置。
(6) 前記イベント補正部は、前記誤差範囲内にいずれかのイベントの開始点が含まれている場合に、前記基準位置に最も開始点が近い前記イベントの種類を、前記基準位置に対応付けた特定イベントに変更する、
上記(2)に記載のOTDR測定装置。
(7) 前記イベント補正部は、重ねた状態で出力される互いに異なる範囲の複数波形のそれぞれに対して、前記コード長に関連して前記イベント検知部に発生するイベント誤検知を自動判定して補正する、
上記(1)乃至(6)のいずれかに記載のOTDR測定装置。
(8) 1本以上の光ファイバおよびパッチコードを含む所定の光伝送路を被検体とし、前記パッチコードの近端に光パルスを送り込み、前記光ファイバからの戻り光を前記パッチコードの近端側で観測して前記光伝送路の状態を計測するOTDRの測定方法であって、
前記戻り光の時系列レベル変化の観測状態に基づいて、前記光伝送路の構成及び状態に応じて発生する各事象をイベントとして検知するステップと、
前記パッチコードの光ファイバ長の理論値をコード長として決定するステップと、
前記コード長に関連して前記イベントの検知で発生するイベント誤検知を自動判定して補正するステップと、
を備えるOTDRの測定方法。
上記(1)の構成のOTDR測定装置および上記(8)の構成のOTDRの測定方法によれば、試験対象の光伝送路に含まれているパッチコードなどの長さを表すコード長と、その実際の長さとが異なっている場合でも、その長さに起因するイベント誤検知を前記イベント補正部が自動判定して補正する。したがって、測定後にユーザが特別な補正操作を行わなくても、正しい試験結果を出力することができる。
上記(2)の構成のOTDR測定装置によれば、イベント補正部が検知された各イベント範囲、各イベントの開始点、及び各イベントの終了点の少なくとも1つと、基準位置、又は誤差範囲とを比較した結果を反映して処理を実行するので、様々な状況において、その時の状況に合わせた適切な補正処理を自動的に実行できる。
上記(3)の構成のOTDR測定装置によれば、イベント補正部は、条件テーブルの内容に従い、その時のケースの条件に合わせた適切な補正処理を自動的に実行できる。
上記(4)の構成のOTDR測定装置によれば、試験対象の光伝送路に含まれているパッチコードなどの長さに誤差がある場合でも、そのパッチコードにより発生する反射や減衰のイベントの影響を正しく表示などに反映することができる。
上記(5)の構成のOTDR測定装置によれば、追加する特定イベントの位置と、その前に検出されていた別のイベントの範囲とがデータ上で、あるいは表示上で重なるのを避け、それらを区別できるように自動的に補正することができる。
上記(6)の構成のOTDR測定装置によれば、補正前に検出されていたイベントの種類を、特定イベントに変更することにより、試験対象の光伝送路に含まれているパッチコードの影響で発生する反射や減衰のイベントを正しく区分して出力することが可能になる。
上記(7)の構成のOTDR測定装置によれば、例えば往路の光伝送路で発生する波形と復路の光伝送路で発生する波形とを重ねてオーバレイ表示するような場合でも、それぞれの波形について、パッチコードの長さの誤差が影響しないように、正しくイベントを検出することが可能になる。
本発明のOTDR測定装置およびOTDRの測定方法によれば、試験対象の光伝送路にパッチコードなどが含まれている場合に、その長さに誤差がある場合でも、ユーザによる補正操作を必要とせずに正しい試験結果を出力することが可能になる。
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
図1は、本発明の実施形態におけるOTDR測定装置の構成例を示すブロック図である。 図2は、試験時における光ケーブルの接続状況の例を示すブロック図である。 図3は、OTDR測定装置の特徴的な動作例を示すフローチャートである。 図4は、イベント補正条件テーブルの構成例を示す模式図である。 図5は、補正処理テーブルの構成例を示す模式図である。 図6(a)、図6(b)、図6(c)、図6(d)、及び図6(e)は、それぞれ異なる状況における戻り光の時系列光強度分布とイベントとの関係を示すタイムチャートである。 図7(a)、図7(b)、図7(c)、図7(d)、図7(e)、及び図7(f)は、それぞれ異なる状況における戻り光の時系列光強度分布とイベントとの関係を示すタイムチャートである。 図8は、OTDR測定装置の画面表示例の主要部を示す正面図である。
本発明に関する具体的な実施形態について、各図を参照しながら以下に説明する。
<OTDR測定装置の構成>
本発明の実施形態におけるOTDR測定装置30の構成例を図1に示す。
図1に示したOTDR測定装置30は、光パルス試験器本体10およびイベント処理装置20により構成されている。光パルス試験器本体10は、被検体の光ケーブル100の一端(近端)と接続されている。
一般的な光パルス試験器と同様に、光パルス試験器本体10は、時間幅の短いパルス状の光を生成し、このパルス光を計測対象の光ファイバの一端に送り込む。光ファイバに入射した光は、この光ファイバ内部を伝搬する際に、一部の光が内部のガラスによって跳ね返され散乱光を発生する。この散乱光には「レイリー散乱」と呼ばれるものも含まれる。光ファイバ内部で発生した散乱光の一部は光ファイバ内部を伝搬して入射端に戻るので、光パルス試験器本体10は光ファイバの入射端で散乱光を戻り光として観測できる。
被検体の光ファイバにパルス光が入射してからこの入射端で散乱光が観測されるまでの時間差は、光ファイバの入射端と散乱光が発生した場所との距離の大小に応じて変化する。したがって、光ファイバの入射端で観測される散乱光の受光レベルの時系列変化は、この光ファイバの場所毎の散乱光発生に関する分布状況を表すものとなり、例えば図6(a)に示した戻り光強度波形Woのように時系列で変化する光強度分布として観測される。
光パルス試験器本体10に接続したイベント処理装置20は、光パルス試験器本体10が観測した時系列の光強度分布に基づいて、被検体の光ケーブル100等の光伝送路各部の状態を把握しその結果を表示するための機能を有している。
すなわち、被検体の光伝送路上には互いに独立した複数の光ファイバや光コネクタなど複数の部位が存在し、各部位で光の損失や反射などが発生するので、このような光伝送路の部位毎の特性をそれぞれイベントとして検出し、各イベントが正常か否かを判定する機能を有している。これにより、例えば各部の故障、接続不良、劣化などを診断することができる。
また、本実施形態のイベント処理装置20は、通常の方法で検出したイベントの誤りを自動補正するための処理機能を搭載している。
図1に示したイベント処理装置20は、観測データ記録部21、イベント検出部22、イベントデータ保持部23、イベント補正部24、パラメータ保持部25、イベント補正条件テーブル26、表示部27、及び操作入力部28を備えている。
観測データ記録部21は、試験時に光パルス試験器本体10が観測した戻り光強度波形Wo(図6(a)参照)を一定時間毎にサンプリングしデジタル化した大量のデータを記録し保持するメモリを備えている。
イベント検出部22は、観測データ記録部21が記録した戻り光強度波形Woのデータを解析して、この波形に含まれている各種イベントをそれぞれ検出する。また、各イベントにおける反射波の大きさや減衰量などのパターンを所定の閾値と比較することにより、イベントの種類をそれぞれ識別することができる。また、戻り光強度波形Wo上の時間に基づいて、各イベントが発生した位置、あるいは距離を検出することができる。
例えば、特開2012-167935号公報に記載されている公知技術を利用してイベント検出部22を構成することができる。
イベントデータ保持部23は、データの書き込み及び読み出しが自在なメモリにより構成され、イベント検出部22が検出した各イベントのデータを、検出した位置などに対応付けたデータとして保持することができる。各イベントのデータは、イベントの種類、イベント開始点、イベント終了点、イベント範囲、反射波の大きさ、該当イベント前後での損失の大きさなどの情報を含んでいる。
イベント補正部24は、イベント検出部22が検出した各イベントの誤りを修正したり、新たなイベントを追加するための特別な処理機能を備えている。この処理機能を実行するために必要な情報は、イベント補正条件テーブル26に予め保持されている。
パラメータ保持部25は、例えば不揮発性メモリにより構成され、イベント検出部22がイベントの種類を識別するために必要なパラメータや、イベント補正部24が使用するパラメータや、各イベントにおける問題の有無を判定するための各種閾値などのデータを予め保持している。パラメータ保持部25が保持している各データは、例えば操作入力部28からの入力に従い更新することができる。
パラメータ保持部25が保持している代表的なデータとしては、被検体である光伝送路の中に含まれているパッチコード(patch cord)の長さを表すパッチコード長Lpcがある。
表示部27は、フルカラーの液晶表示パネルなどにより構成される二次元表示画面を有している。表示部27は、イベントデータ保持部23が保持している測定結果を表示したり、パラメータ保持部25が保持しているパラメータを表示したり、各パラメータを更新するために必要な情報の表示に利用できる。例えば、図8に示した例のように、被検体の光ケーブル100上で検出した各イベントを複数のアイコンの表示パターンとして表示部27の画面上に表示することができる。
操作入力部28は、ユーザが操作可能な各種ボタンや、表示部27の画面に重ねて配置されたタッチパネルなどにより構成されている。操作入力部28からのユーザ入力により、OTDR測定装置30の動作を制御したり、パラメータ保持部25が保持しているパラメータを変更することができる。
なお、イベント処理装置20中の主要な制御要素については、例えば、制御用のコンピュータのハードウェアと、コンピュータの基本ソフトウェア(OS)と、イベント処理のために用意された特別なアプリケーションソフトウェアとで構成される。
<光ケーブルの接続状況>
OTDR測定装置30を用いた試験時に被検体となる光ケーブル100の接続状況の例を図2に示す。
光通信設備において、ファイバ近端101aとファイバ遠端102bとの間の中間部位には、例えは中継用の光コネクタ104などが配置される。
図2の例では、OTDR測定装置30を用いて光ケーブル100などの光伝送路を試験する場合に、一方の光ファイバ101のファイバ近端101aを光ファイバで構成されるパッチコード105の遠端105bと接続し、近端105aを光パルス試験器本体10と接続する。また、実際の試験においては光ケーブル100のファイバ遠端102bの後ろにも光パルス試験器本体10と光ケーブル100のファイバ近端101aとの間にもパッチコード105が介在するように接続する場合が想定される。
ここで、図2のようにパッチコード105が接続されている場合には、パッチコード105、光ファイバ101、光ファイバ102の各接続点でそれぞれ発生するイベントを互いに分離して正しく認識する必要がある。また、光ケーブル100のファイバ遠端102bの後ろにも光パルス試験器本体10と光ファイバ101との間にパッチコード105が存在する場合にも、それを分離して各光路上のイベントを検出する必要がある。しかし、作業者等のユーザが事前に把握可能なパッチコード105の理論値あるいは規格値(パッチコード長Lpc)と、その実際の長さとがずれている場合もある。この長さのずれに起因して、OTDR測定装置30はパッチコード105、光ファイバ101、光ファイバ102の各接続点でそれぞれ発生するイベントで発生する各イベントをそれぞれ位置がずれている状態で把握する可能性がある。そのため、作業者等のユーザは被検体の光伝送路の状態を正しく把握できない可能性がある。
本実施形態のOTDR測定装置30においては、イベント処理装置20内のイベント補正部24が、試験時に被検体の光伝送路に接続されているパッチコード105等の長さ(パッチコード長Lpc)と、その実際の長さとのずれに起因するイベント検出の誤りを自動的に補正するための処理機能を有している。この処理機能について以下に説明する。
<特徴的な動作例>
本実施形態におけるOTDR測定装置30の特徴的な動作例を図3に示す。図3に示した動作について以下に説明する。
イベント処理装置20のイベント補正部24は、被検体である光ケーブル100に接続されたパッチコード105の固有のパッチコード長Lpcを決定する(S11)。実際には、事前にユーザが把握可能なパッチコード105の長さの数値をユーザが操作入力部28から入力し、この数値をパラメータ保持部25が保持する。したがって、イベント補正部24はパラメータ保持部25からパッチコード長Lpcを取得する。
OTDR測定装置30は、次のステップS12で試験時の光路、すなわち図2に示したパッチコード105、光ファイバ101、光ファイバ102の光路に関する試験を開始する。具体的には、光パルス試験器本体10は、ユーザの入力操作に応じたスタート指示に従い、パッチコード105の近端105aからパッチコードに向かって光パルスを送り込む。そして、光パルス試験器本体10は、光路の各部からの戻り光をパッチコードの近端105aで受光し、受光強度の時系列波形を観測する。
イベント処理装置20の観測データ記録部21は、光パルス試験器本体10が観測した戻り光の時系列強度波形のデータを自動的に記録し内部メモリ上に保持する(S13)。
イベント検出部22は、イベント処理装置20の内部メモリに保持されている時系列データを解析することにより、光パルス試験器本体10の出入り口に距離が近い方の光路上の部位から順次にイベントの検出処理を実施する(S14)。
つまり、パッチコードの近端105aの位置からファイバ遠端102bの方向に向かう順番で、戻り光が光パルス試験器本体10に到達するので、到達時間の早い順にデータを処理することで、光路上の並び順に従うように各部のイベントを検出できる。
イベント検出部22は、S14で検出した各イベント毎に、その種類を特定する(S15)。例えば、光ファイバ101上の各区間で発生するファイバ自身の特性に応じた損失や、光路途中の光コネクタ、パッチコード105などの部位で発生する反射、損失などをそれぞれ部位毎に異なるイベントとして区分する。
検出対象の光路上の全てのイベントの処理が完了すると、例えば戻り光の強度レベルがノイズレベル以下まで低下してそれ以降の後方散乱光の識別が困難な状況になると、S16からS17の処理に進む。
イベント補正部24は、S11で決定したパッチコード長Lpcに基づいて、戻り光強度波形Wo上の基準位置Ppcを決定する(S17)。すなわち、OTDR測定装置30が試験する光路上で、パッチコード105の遠端105bが接続されているファイバ近端101aに相当する境界の位置を基準位置Ppcとする。
但し、メーカが製造する部品の特性ばらつきなどの影響で、S11で決定したパッチコード長Lpcとパッチコード105の実際の長さとの間に違いが発生する可能性がある。そこで、イベント補正部24はパッチコード長Lpcに基づいて誤差範囲Rerを決定する(S18)。
この誤差範囲Rerは、ファイバ遠端102bの位置や、ファイバ近端101aの位置について予想される誤差を考慮した場合に、実際に各位置が存在すると予想される範囲を表すものである。イベント補正部24は誤差範囲Rerを次のように決定する。
Rer-1=Lpc-(Lpc×Cc)
Rer-2=Lpc+(Lpc×Cc)
Rer-1:誤差範囲Rerの開始点の位置
Rer-2:誤差範囲Rerの終了点の位置
Cc:パッチコード105の固有の特性を表す相関係数(事前に定めた定数)
イベント補正部24は、基準位置Ppc、誤差範囲Rerと、イベント検出部22により検出されたイベントデータ保持部23上の各イベントとをそれぞれ比較して、イベント補正条件テーブル26上の適合するケースを特定する(S19)。
イベント補正部24は、S19で特定したケースに対応する補正処理を実行する(S20)。これにより、イベントデータ保持部23に保持されているデータに対して、新たなイベントが追加されるか、又は事前に検出されたイベントの内容が修正される。具体的には、試験光路上で、ファイバ遠端102bに相当する境界位置や、ファイバ近端101aに相当する境界位置のそれぞれについて、イベント補正部24がイベントの追加や変更を実施する。
表示部27は、S20の補正処理の後のイベントデータ保持部23上のデータに基づいて、試験結果の各イベントを画面上に表示する(S21)。これにより、例えば図8のような画面が表示される。
<イベント補正条件テーブルの構成例>
本実施形態のOTDR測定装置30が使用するイベント補正条件テーブル26の構成例を図4に示す。
図4に示すように、このイベント補正条件テーブル26はケース区分CS1~CS8のそれぞれについて、個別条件26a、26b、26c、26d、及び26eと、割り当てられた処理区分26fとを表す情報の一覧を保持している。
個別条件26aは、「指定距離」がイベント内か否かを「○/×」の違いにより表している。この「指定距離」は、図3中の基準位置Ppcに相当する距離である。
個別条件26bは、所定の「範囲C」がイベント内か否かを「○/×」の違いにより表している。この「範囲C」は、図3中の誤差範囲Rerに相当する。
個別条件26cは、所定の「範囲C」内にイベントの開始点があるか否かを「○/×」の違いにより表している。個別条件26dは、所定の「範囲C」内にイベントの終了点があるか否かを「○/×」の違いにより表している。個別条件26eは、所定の「範囲C」内に含まれるイベント数「0、1、1以上」を表している。
処理区分26fについては、処理PA、PB、及びPCのいずれか1つの区分を表している。
例えば、図4のイベント補正条件テーブル26において、ケース区分CS2の場合は、個別条件26aに非適合(×)、個別条件26bに適合(○)、個別条件26cに適合(○)、個別条件26dに非適合(×)、個別条件26eのイベント数が「1」であり、処理区分26fが処理PCである。
つまり、これらの条件の組み合わせが全て一致する場合にはケース区分CS2に区分される。したがって、その場合はケース区分CS2の処理区分26fに示されている「処理PC」をイベント補正部24が実行することを意味する。
<補正処理テーブルの構成例>
本実施形態のOTDR測定装置30が使用する補正処理テーブルTB2の構成例を図5に示す。この補正処理テーブルTB2は例えばイベント補正部24の内部メモリに保持される。
図1に示したイベント処理装置20は、イベント補正条件テーブル26の他に、図5に示した補正処理テーブルTB2も備えている。この補正処理テーブルTB2は、処理PA、PB、PC、及び共通処理Poの区分とそれらの具体的な内容との対応関係を表している。
例えば、図4に示したケース区分CS1に該当する場合には、その処理区分26fに「処理PA」が示されているので、イベント補正部24は、図5中の「処理PA」に対応する内容の処理を実行する。
また、図4のケース区分CS5に該当する場合には、その処理区分26fに「処理PB」が示されているので、イベント補正部24は、図5中の「処理PB」に対応する内容の処理を実行する。
また、図4のケース区分CS2に該当する場合には、その処理区分26fに「処理PC」が示されているので、イベント補正部24は、図5中の「処理PC」に対応する内容の処理を実行する。また、イベント補正部24は、ケース区分CS1~CS8のいずれの場合も図5中の「共通処理Po」に対応する内容の処理を実行する。
図5に示したように、「処理PA」の場合には、指定位置に「PatchCordイベント」を追加する処理が実行される。つまり、その位置が、実際にパッチコード105の後端が接続されている境界位置である。
また、「処理PB」の場合には、指定位置に「PatchCordイベント」を追加する処理が実行され、更に既存のイベントの終了点が、追加位置の1つ手前側のデータポイント位置「-1DP」に移動するように補正される。それ以外のデータはそのままとする。これにより、複数のイベントの範囲が互いに重ならないように分離することができる。
また、「処理PC」の場合には、範囲C内にあるイベントの開始地点の中で、指定距離に最も近いイベントの種類を「PatchCordイベント」に変更する。
また、処理PA、PB、PCのいずれの場合も「共通処理Po」が実行される。「共通処理Po」では、追加又は変更した「PatchCordイベント」の位置になるように、シフト長を補正する。
<波形およびイベントの具体例>
それぞれ異なる状況における戻り光の時系列光強度分布の波形とイベントとの関係の例を図6(a)~図6(e)、及び図7(a)~図7(f)に示す。各図の中に、戻り光強度波形Woと、イベント検出部22で検出された複数のイベントEV1、EV2、及びEV3と、基準位置Ppcと、誤差範囲Rerが示されている。各図において、横軸は戻り光が最初に到達した後の時間t、及び試験中の光路における試験器からの距離dを表し、縦軸が光強度を表している。
図6(a)~図6(e)、及び図7(a)~図7(f)の中に示した基準位置Ppcは、前述のようにパッチコード長Lpcに基づき決定されるので、図2に示したパッチコード遠端105bとファイバ近端101aとの接続点に相当する。しかし、パッチコード長Lpcと実際の光ケーブル100の長さとが一致しない場合には、実際のファイバ近端101aの位置は各図中の誤差範囲Rerの範囲内のいずれかの位置に存在すると考えられる。そして、実際の状況の違いに応じて基準位置Ppc、誤差範囲Rer、各イベントEV1~EV3の関係が図6(a)~図6(e)、及び図7(a)~図7(f)のように変化する可能性がある。
図6(a)、図6(b)、図6(c)、図6(d)、及び図6(e)の状況は、それぞれイベント補正条件テーブル26におけるケース区分CS1、CS2、CS3、CS4、及びCS4に該当する。また、図7(a)、図7(b)、図7(c)、図7(d)、図7(e)及び図7(f)の状況は、それぞれケース区分CS5、CS6、CS7、CS8、CS8、及びCS8に該当する。
なお、図2に示したファイバ近端102aの位置についても、図6(a)~図6(e)、及び図7(a)~図7(f)と同様に、検出される各イベントの位置と、基準位置Ppc、誤差範囲Rerとの関係が変化すると予想されるので、上記の場合と同じように処理する。
各図中の戻り光強度波形Woについては、時間tの経過に伴って光路上の距離dが大きくなるので、時間tと共に光強度が光ファイバの特性に応じて徐々に減衰する。また、試験対象の光路中で、光コネクタやパッチコード105などが存在する箇所では、反射や損失が発生するので、これらの影響に相当するイベント対応波形w1、w2、及びw3が現れる。このような波形の変化を解析することで、イベント検出部22が各イベントEV1~EV3を検出する。
<図6(a)に示した状況の説明>
この例では、基準位置Ppc、すなわち指定距離がイベントEV1、EV2、及びEV3のいずれの中にも存在しないので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26aに該当しない(×)。また、誤差範囲Rer、すなわち「範囲C」がイベントEV1、EV2、及びEV3のいずれの中にも存在しないので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26bに該当しない(×)。また、誤差範囲Rer、すなわち「範囲C」の中にイベントEV1、EV2、及びEV3のいずれの開始点も存在しないので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26cに該当しない(×)。また、誤差範囲Rer、すなわち「範囲C」の中にイベントEV1、EV2、及びEV3のいずれの終了点も存在しないので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26dに該当しない(×)。また、誤差範囲Rer、すなわち「範囲C」の中で検出されたイベント数は「0」である。
したがって、イベント補正部24はイベント補正条件テーブル26に基づいて図6(a)に示した状況をケース区分CS1として認識する。そのため、「処理PA」の補正処理が実行される。
<図6(b)に示した状況の説明>
この例では、基準位置PpcがイベントEV1、EV2、及びEV3のいずれの中にも存在しないので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26aに該当しない(×)。また、誤差範囲RerがイベントEV2のイベント範囲Rev-2内に存在するので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26bを満たす(○)。また、誤差範囲Rerの中にイベントEV2のイベント範囲Rev-2の開始点が存在するので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26cを満たす(○)。また、誤差範囲Rerの中にイベントEV2のイベント範囲Rev-2の終了点が存在しないので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26dに該当しない(×)。また、誤差範囲Rerの中で検出されたイベント数は「1」である。
したがって、イベント補正部24はイベント補正条件テーブル26に基づいて図6(b)に示した状況をケース区分CS2として認識する。そのため、「処理PC」の補正処理が実行される。
<図6(c)に示した状況の説明>
この例では、基準位置PpcがイベントEV1、EV2、及びEV3のいずれの中にも存在しないので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26aに該当しない(×)。また、誤差範囲RerがイベントEV2のイベント範囲Rev-2内に存在するので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26bを満たす(○)。また、誤差範囲Rerの中にイベントEV2のイベント範囲Rev-2の開始点が存在しないので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26cに該当しない(×)。また、誤差範囲Rerの中にイベントEV2のイベント範囲Rev-2の終了点が存在するのでイベント補正条件テーブル26中の個別条件26dを満たす(○)。また、誤差範囲Rerの中で検出されたイベント数は「1」である。
したがって、イベント補正部24はイベント補正条件テーブル26に基づいて図6(c)に示した状況をケース区分CS3として認識する。そのため、「処理PA」の補正処理が実行される。
<図6(d)に示した状況の説明>
この例では、基準位置PpcがイベントEV1、EV2、及びEV3のいずれの中にも存在しないので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26aに該当しない(×)。また、誤差範囲Rerがイベント範囲Rev-2内、及びイベント範囲Rev-3内に存在するので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26bを満たす(○)。また、誤差範囲Rerの中にイベントEV3のイベント範囲Rev-3の開始点が存在するので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26cを満たす(○)。また、誤差範囲Rerの中にイベントEV2のイベント範囲Rev-2の終了点が存在するのでイベント補正条件テーブル26中の個別条件26dを満たす(○)。また、誤差範囲Rerの中で検出されたイベント数は「1以上」である。
したがって、イベント補正部24はイベント補正条件テーブル26に基づいて図6(d)に示した状況をケース区分CS4として認識する。そのため、「処理PC」の補正処理が実行される。
<図6(e)に示した状況の説明>
この例では、基準位置PpcがイベントEV1、EV2、及びEV3のいずれの中にも存在しないので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26aに該当しない(×)。また、誤差範囲Rerがイベント範囲Rev-1、Rev-2、及びRev-3の中に存在するので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26bを満たす(○)。また、誤差範囲Rerの中にイベント範囲Rev-2、Rev-3の各開始点が存在するので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26cを満たす(○)。また、誤差範囲Rerの中にイベント範囲Rev-1、Rev-2、Rev-3の各終了点が存在するのでイベント補正条件テーブル26中の個別条件26dを満たす(○)。また、誤差範囲Rerの中で検出されたイベント数は「1以上」である。
したがって、イベント補正部24はイベント補正条件テーブル26に基づいて図6(e)に示した状況をケース区分CS4として認識する。そのため、「処理PC」の補正処理が実行される。
<図7(a)に示した状況の説明>
この例では、基準位置PpcがイベントEV2のイベント範囲Rev-2の中に存在するので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26aを満たす(○)。また、誤差範囲Rerがイベント範囲Rev-2の中に存在するので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26bを満たす(○)。また、誤差範囲Rerの中にイベント範囲Rev-1~Rev-3のいずれの開始点も存在しないので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26cに該当しない(×)。また、誤差範囲Rerの中にイベント範囲Rev-1~Rev-3のいずれの終了点も存在しないのでイベント補正条件テーブル26中の個別条件26dに該当しない(×)。また、誤差範囲Rerの中で検出されたイベント数は「1」である。
したがって、イベント補正部24はイベント補正条件テーブル26に基づいて図7(a)に示した状況をケース区分CS5として認識する。そのため、「処理PB」の補正処理が実行される。
<図7(b)に示した状況の説明>
この例では、基準位置PpcがイベントEV2のイベント範囲Rev-2の中に存在するので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26aを満たす(○)。また、誤差範囲Rerがイベント範囲Rev-2の中に存在するので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26bを満たす(○)。また、誤差範囲Rerの中にイベント範囲Rev-2の開始点が存在するので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26cを満たす(○)。また、誤差範囲Rerの中にイベント範囲Rev-1~Rev-3のいずれの終了点も存在しないのでイベント補正条件テーブル26中の個別条件26dに該当しない(×)。また、誤差範囲Rerの中で検出されたイベント数は「1」である。
したがって、イベント補正部24はイベント補正条件テーブル26に基づいて図7(b)に示した状況をケース区分CS6として認識する。そのため、「処理PC」の補正処理が実行される。
<図7(c)に示した状況の説明>
この例では、基準位置PpcがイベントEV2のイベント範囲Rev-2の中に存在するので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26aを満たす(○)。また、誤差範囲Rerがイベント範囲Rev-2の中に存在するので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26bを満たす(○)。また、誤差範囲Rerの中にイベント範囲Rev-1~Rev-3のいずれの開始点も存在しないので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26cに該当しない(×)。また、誤差範囲Rerの中にイベント範囲Rev-2の終了点が存在するので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26dを満たす(○)。また、誤差範囲Rerの中で検出されたイベント数は「1」である。
したがって、イベント補正部24はイベント補正条件テーブル26に基づいて図7(c)に示した状況をケース区分CS7として認識する。そのため、「処理PB」の補正処理が実行される。
<図7(d)に示した状況の説明>
この例では、基準位置PpcがイベントEV2のイベント範囲Rev-2の中に存在するので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26aを満たす(○)。また、誤差範囲Rerがイベント範囲Rev-2の中に存在するので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26bを満たす(○)。また、誤差範囲Rerの中にイベント範囲Rev-2の開始点が存在するので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26cを満たす(○)。また、誤差範囲Rerの中にイベント範囲Rev-2の終了点が存在するので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26dを満たす(○)。また、誤差範囲Rerの中で検出されたイベント数は「1」である。
したがって、イベント補正部24はイベント補正条件テーブル26に基づいて図7(d)に示した状況をケース区分CS8として認識する。そのため、「処理PC」の補正処理が実行される。
<図7(e)に示した状況の説明>
この例では、基準位置PpcがイベントEV2のイベント範囲Rev-2の中に存在するので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26aを満たす(○)。また、誤差範囲Rerが各イベント範囲Rev-1、Rev-2、Rev-3の中に存在するので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26bを満たす(○)。また、誤差範囲Rerの中にイベント範囲Rev-2、Rev-3の開始点が存在するので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26cを満たす(○)。また、誤差範囲Rerの中にイベント範囲Rev-1、Rev-2の終了点が存在するので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26dを満たす(○)。また、誤差範囲Rerの中で検出されたイベント数は「3(1以上)」である。
したがって、イベント補正部24はイベント補正条件テーブル26に基づいて図7(e)に示した状況をケース区分CS8として認識する。そのため、「処理PC」の補正処理が実行される。
<図7(f)に示した状況の説明>
この例では、基準位置PpcがイベントEV2のイベント範囲Rev-2の中に存在するので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26aを満たす(○)。また、誤差範囲Rerが各イベント範囲Rev-2、Rev-3の中に存在するので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26bを満たす(○)。また、誤差範囲Rerの中にイベント範囲Rev-3の開始点が存在するので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26cを満たす(○)。また、誤差範囲Rerの中にイベント範囲Rev-2の終了点が存在するので、イベント補正条件テーブル26中の個別条件26dを満たす(○)。また、誤差範囲Rerの中で検出されたイベント数は「2(1以上)」である。
したがって、イベント補正部24はイベント補正条件テーブル26に基づいて図7(f)に示した状況をケース区分CS8として認識する。そのため、「処理PC」の補正処理が実行される。
<OTDR測定装置の画面表示例>
OTDR測定装置30の画面表示例の主要部を図8に示す。
図8に示した例では、被検体である光ケーブル100に含まれている光ファイバ101、102上の光路で発生する各イベントがNo.1、No.2、No.3、及びNo.4のアイコンパターンでそれぞれ表示されている。
また、No.1、No.2、No.3、及びNo.4の各アイコンパターンは、試験器から光ケーブル100上の各地点までの距離、すなわちファイバ近端101aからの距離に合わせた位置及び並び順で表示されている。
<OTDR測定装置の利点>
上述のOTDR測定装置30においては、試験時に被検体の光伝送路に接続されているパッチコード105のパッチコード長Lpcと実際の長さとがずれている場合でも、ファイバ近端102aやファイバ近端101aで発生するイベントをイベント補正部24が自動的に補正するので、作業者等のユーザが手作業で何らかの補正操作を行わなくても、パッチコード105、光ファイバ101、及び102上の各イベントを正しく分離してそれぞれ認識することが可能になる。
特に、図4に示すようなイベント補正条件テーブル26を利用してケース区分CS1~CS8毎に予め用意された適切な補正処理を実行するので、図6(a)~図6(e)、及び図7(a)~図7(f)に示すような様々な状況に対して適切な補正を行うことができる。
上述のOTDR測定装置に関する特徴的な事項について、以下の[1]~[8]に簡潔に纏めて列挙する。
[1] 1本以上の光ファイバ(101、102)およびパッチコード105を含む所定の光伝送路(光ケーブル100)を被検体とし、前記パッチコードの近端(105a)に光パルスを送り込み、前記光ファイバからの戻り光を前記パッチコードの近端側で観測して前記光伝送路の状態を計測するOTDR測定装置(30)であって、
前記戻り光の時系列レベル変化の観測状態に基づいて、前記光伝送路の構成及び状態に応じて発生する各事象をイベントとして検知するイベント検知部(イベント検出部22)と、
前記パッチコードの光ファイバ長の理論値をコード長として決定するコード長決定部(S11)と、
前記コード長に関連して前記イベント検知部に発生するイベント誤検知を自動判定して補正するイベント補正部(24)と、
を備えるOTDR測定装置。
[2] 前記イベント補正部(24)は、
前記コード長に対応する基準位置(Ppc)と、前記コード長の誤差範囲(Rer)とを決定し(S17,S18)、
前記イベント検知部が検知した各イベント範囲、各イベントの開始点、及び各イベントの終了点の少なくとも1つと、前記基準位置、又は前記誤差範囲とを比較した結果に応じた処理を実行する(S19,S20)、
上記[1]に記載のOTDR測定装置。
[3] 前記イベント補正部(24)は、
前記コード長と関連のある複数ケース(CS1~CS8)のそれぞれについて、比較する条件(個別条件26a~26e)と、前記ケース毎に実行する処理の種類との対応関係を表す情報(処理区分26f)を予め保持する条件テーブル(イベント補正条件テーブル26)を有する、
上記[2]に記載のOTDR測定装置。
[4] 前記イベント補正部は、前記誤差範囲内にいずれかのイベントの開始点が含まれていない場合に(CS1,CS3,CS5,CS7)、前記基準位置に対応付けた特定イベントを追加する(処理PA,PB)、
上記[2]に記載のOTDR測定装置。
[5] 前記イベント補正部は、前記特定イベントを追加する位置が、いずれかの前記イベントの開始点と終了点との範囲内にある場合には(CS2~CS8)、該当するイベントの終了点の位置を、前記基準位置から1データポイントだけ手前側に移動して、前記特定イベントを追加する(処理PB)、
上記[4]に記載のOTDR測定装置。
[6] 前記イベント補正部は、前記誤差範囲内にいずれかのイベントの開始点が含まれている場合に(CS2,CS4,CS6,CS8)、前記基準位置に最も開始点が近い前記イベントの種類を、前記基準位置に対応付けた特定イベントに変更する(処理PC)、
上記[2]に記載のOTDR測定装置。
[7] 前記イベント補正部は、重ねた状態で出力される互いに異なる範囲の複数波形のそれぞれに対して、前記コード長に関連して前記イベント検知部に発生するイベント誤検知を自動判定して補正する(S17~S20)、
上記[1]乃至[6]のいずれかに記載のOTDR測定装置。
[8] 1本以上の光ファイバ(101,102)およびパッチコード(105)を含む所定の光伝送路(100)を被検体とし、前記パッチコードの近端(105a)に光パルスを送り込み、前記光ファイバからの戻り光を前記パッチコードの近端側で観測して前記光伝送路の状態を計測するOTDRの測定方法であって、
前記戻り光の時系列レベル変化の観測状態に基づいて、前記光伝送路の構成及び状態に応じて発生する各事象をイベントとして検知するステップと、
前記パッチコードの光ファイバ長の理論値をコード長として決定するステップと、
前記コード長に関連して前記イベントの検知で発生するイベント誤検知を自動判定して補正するステップと、
を備えるOTDRの測定方法。
10 光パルス試験器本体
20 イベント処理装置
21 観測データ記録部
22 イベント検出部
23 イベントデータ保持部
24 イベント補正部
25 パラメータ保持部
26 イベント補正条件テーブル
26a,26b,26c,26d,26e 個別条件
26f 処理区分
27 表示部
28 操作入力部
30 OTDR測定装置
100 光ケーブル
101,102 光ファイバ
101a,102a ファイバ近端
101b,102b ファイバ遠端
103,104 光コネクタ
105 パッチコード
CS1,CS2,CS3,CS4,CS5,CS6,CS7,CS8 ケース区分
d 距離
EV1,EV2,EV3 イベント
Lpc パッチコード長
Ppc 基準位置
Rer 誤差範囲
Rev-1,Rev-2,Rev-3 イベント範囲
t 時間
TB2 補正処理テーブル
w1,w2,w3 イベント対応波形
Wo 戻り光強度波形

Claims (8)

  1. 1本以上の光ファイバ(101,102)およびパッチコード(105)を含む所定の光伝送路(100)を被検体とし、前記パッチコードの近端(105a)に光パルスを送り込み、前記光ファイバからの戻り光を前記パッチコードの近端側で観測して前記光伝送路の状態を計測するOTDR測定装置(30)であって、
    前記戻り光の時系列レベル変化の観測状態に基づいて、前記光伝送路の構成及び状態に応じて発生する各事象をイベントとして検知するイベント検知部(22)と、
    前記パッチコードの光ファイバ長の理論値をコード長として決定するコード長決定部と、
    前記コード長に関連して前記イベント検知部に発生するイベント誤検知を自動判定して補正するイベント補正部(24)と、
    を備えるOTDR測定装置。
  2. 前記イベント補正部は、
    前記コード長に対応する基準位置(Ppc)と、前記コード長の誤差範囲(Rer)とを決定し、
    前記イベント検知部が検知した各イベント範囲、各イベントの開始点、及び各イベントの終了点の少なくとも1つと、前記基準位置、又は前記誤差範囲とを比較した結果に応じた処理を実行する、
    請求項1に記載のOTDR測定装置。
  3. 前記イベント補正部は、
    前記コード長と関連のある複数ケース(CS1~CS8)のそれぞれについて、比較する条件と、前記ケース毎に実行する処理の種類との対応関係を表す情報を予め保持する条件テーブルを有する、
    請求項2に記載のOTDR測定装置。
  4. 前記イベント補正部は、前記誤差範囲内にいずれかのイベントの開始点が含まれていない場合に、前記基準位置に対応付けた特定イベントを追加する、
    請求項2に記載のOTDR測定装置。
  5. 前記イベント補正部は、前記特定イベントを追加する位置が、いずれかの前記イベントの開始点と終了点との範囲内にある場合には、該当するイベントの終了点の位置を、前記基準位置から1データポイントだけ手前側に移動して、前記特定イベントを追加する、
    請求項4に記載のOTDR測定装置。
  6. 前記イベント補正部は、前記誤差範囲内にいずれかのイベントの開始点が含まれている場合に、前記基準位置に最も開始点が近い前記イベントの種類を、前記基準位置に対応付けた特定イベントに変更する、
    請求項2に記載のOTDR測定装置。
  7. 前記イベント補正部は、重ねた状態で出力される互いに異なる範囲の複数波形のそれぞれに対して、前記コード長に関連して前記イベント検知部に発生するイベント誤検知を自動判定して補正する、
    請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のOTDR測定装置。
  8. 1本以上の光ファイバ(101,102)およびパッチコード(105)を含む所定の光伝送路(100)を被検体とし、前記パッチコードの近端(105a)に光パルスを送り込み、前記光ファイバからの戻り光を前記パッチコードの近端側で観測して前記光伝送路の状態を計測するOTDRの測定方法であって、
    前記戻り光の時系列レベル変化の観測状態に基づいて、前記光伝送路の構成及び状態に応じて発生する各事象をイベントとして検知するステップと、
    前記パッチコードの光ファイバ長の理論値をコード長として決定するステップと、
    前記コード長に関連して前記イベントの検知で発生するイベント誤検知を自動判定して補正するステップと、
    を備えるOTDRの測定方法。
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