JP2022072822A - 油性菓子、複合油性菓子、及び複合油性菓子の製造方法 - Google Patents

油性菓子、複合油性菓子、及び複合油性菓子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】タンパク質を高含有に配合した場合であっても、生地の成形性が良好で、硬すぎないソフトな食感を呈する油性菓子を得る方法を提供する。【解決手段】この油性菓子は、油性菓子原料に加えてタンパク質及び乳化剤を含み、前記タンパク質の含有量が25質量%以上45質量%以下であり、前記乳化剤は、ショ糖エルカ酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及びレシチンから選ばれる1種又は2種以上を含む、該油性菓子である。【選択図】なし

Description

新規性喪失の例外適用申請有り
本発明は、手軽に栄養補給するのに適した油性菓子、複合油性菓子、及びその複合油性菓子の製造方法に関する。
従来、シリアルバーやグラノーラバーなど、特定の栄養素や食物繊維などを手軽に栄養補給できるようにしたバー成形食品が知られている。運動中や仕事中などにも素早く喫食することができることから、その食行為自体を楽しむことにもつながっている。近年ではタンパク質の補給を目的としたバー成形食品への要望も高まりつつある。
バー成形食品に関し、例えば、特許文献1には、少なくとも15重量%以上の完全穀粒と、約35重量%以上のバインダーと、約5重量%以上の配合コーティング剤とを含むシリアルバーであって、前記シリアルバーは、少なくとも約5重量%以上のタンパク質、約5重量%以上の繊維、およびバー28グラムあたり少なくとも120カロリー以下を提供するのに有効であり、前記シリアルバーは、約0.4から約0.6のAwを有することを特徴とするシリアルバーが開示されている(特許文献1の請求項1参照)。
しかしながら、特許文献1では、完全穀粒をバー成形食品の形態とするための成形適性や保形性の確保のために、糖シラップからなるバインダーの結着力に依拠していた。この場合、バインダーには砂糖や水飴が含まれているので、甘味の強い製品となり、甘すぎない風味のものを提供しづらいという側面があった。また、バインダー部の食感としてはヌガー状や飴状の食感となってしまうという側面があった。更に、特許文献1では、タンパク質を、押出し大豆タンパク質ナゲットの形態で配合していた(特許文献1の実施例参照)。このような形態であると、得られるバー成形食品にはそのナゲット部が硬く残ってしまい、食感に悪影響があるという側面があった。
一方、例えば、特許文献2には、油脂及び大豆蛋白を含む混練物、並びに水性液とが混合されてなり、大豆蛋白含量が生地の乾燥固形分あたり15~65重量%であり、かつ水分含量が生地中2~15重量%であることを特徴とする可塑性生地、及びその生地から得られるニュートリション・バーである加熱菓子の発明が開示されている(特許文献2の請求項1、5、6参照)。そして、予めチョコレート原料に大豆蛋白を配合して菓子生地を調製することにより、連続的な機械生産に十分耐えうる生地が得られ、その生地を焼成して得られた菓子は、適度なさくさく感がある好ましい食感であり、口溶けに優れ、歯付きを起こさないものであった、と記載されている(特許文献2の段落0035、0042参照)。
特開2007-130018号公報 特開2007-97514号公報
しかしながら、本発明者らが検討したところ、チョコレート菓子等の油性菓子にタンパク質を高含有に配合しようと試みると、生地の成形性や得られる菓子の食感に問題が生じることが明らかとなった。この点、特許文献2では、粉末状大豆蛋白を生地に混合するに際して、チョコレート製造と同じようなリファイニング工程やコンチング工程を実施しているが、一方で、そのような工程を経ないで生地を調製したところ、練り上げた生地はボロボロの状態でとても成形できる品質ではなかったことが記載されている(特許文献2の段落0032、0036、0038参照)。よって、簡便な原料の混合処理で生地を調製することができなかった。また、押出成形機などによる成形適性については、生地の途切れが生じるなど、更に改善の余地があった。
したがって、本発明の目的は、タンパク質を高含有に配合した場合であっても、生地の成形性が良好で、硬すぎないソフトな食感を呈する油性菓子を得る方法を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意研究し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、その第1の観点において、油性菓子原料に加えてタンパク質及び乳化剤を含み、前記タンパク質の含有量が25質量%以上45質量%以下であり、前記乳化剤は、ショ糖エルカ酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及びレシチンから選ばれる1種又は2種以上を含むことを特徴とする油性菓子を提供するものである。
本発明は、その第2の観点において、シェル菓子として、上記の油性菓子を有し、センター菓子として、前記シェル菓子以外の菓子を有し、前記センター菓子の少なくとも表面の一部には前記シェル菓子が配置されていることを特徴とする複合油性菓子を提供するものである。
本発明による複合油性菓子においては、前記シェル菓子以外の菓子は、脂質の含有量が10質量%以上40質量%以下であり、水の含有量が1質量%以上15質量%以下であり、タンパク質の含有量が20質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
本発明による複合油性菓子においては、該菓子は、バー形状であることが好ましい。
本発明による複合油性菓子においては、該菓子は、焼成菓子であることが好ましい。
本発明は、その第3の観点において、シェル菓子を形成するための第1の生地であって、油性菓子原料に加えてタンパク質及び乳化剤を含み、前記タンパク質の含有量が25質量%以上45質量%以下であり、前記乳化剤は、ショ糖エルカ酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及びレシチンから選ばれる1種又は2種以上を含む該第1の生地と、センター菓子を形成するための第2の生地を、前記第2の生地の少なくとも表面の一部には前記第1の生地が配置されるよう、該生地同士を接合し、所定形状に成形することを特徴とする複合油性菓子の製造方法を提供するものである。
本発明による複合油性菓子の製造方法においては、前記第2の生地は、脂質の含有量が10質量%以上40質量%以下であり、水の含有量が1質量%以上15質量%以下であり、タンパク質の含有量が20質量%以上50質量%以下であることが好ましい。
本発明による複合油性菓子の製造方法においては、バー形状に成形することが好ましい。
本発明による複合油性菓子の製造方法においては、更に、焼成することが好ましい。
本発明による複合油性菓子の製造方法においては、前記第1の生地と前記第2の生地との接合を、該生地同士を二重ノズルから押し出して成形することにより行うことが好ましい。
本発明によれば、タンパク質を高含有に配合した場合であっても、生地の成形性が良好で、硬すぎないソフトな食感を呈する油性菓子を得ることができる。
(油性菓子)
本発明により提供される油性菓子は、油性菓子原料に加えてタンパク質及び乳化剤を含み、そのタンパク質の含有量が25質量%以上45質量%以下である。タンパク質の含有量としては、場合によっては、25質量%以上40質量%以下の範囲となってもよく、25質量%以上35質量%以下の範囲となってもよい。
ここで「油性菓子」とは、典型的に、脂質含量が15質量%以上、より典型的に18質量%以上70質量%以下、更により典型的に20質量%以上50質量%以下の菓子をいうものとする。例えば、チョコレート、チョコレート風味菓子、チーズ風味菓子、バター風味菓子、抹茶風味菓子、小豆風味菓子、さつまいも風味菓子、イチゴ風味菓子等を含む意味である。例えば、油性菓子原料としてチョコレート原料を用いたチョコレート菓子などである。
本発明の一態様では、本発明により提供される油性菓子は、油性菓子原料としてチョコレート原料が用いられたチョコレート菓子である。チョコレート原料としては、一般にチョコレート、準チョコレート、ミルクチョコレート、準ミルクチョコレート等に用いられている原料であればよい。例えば、カカオマス及び/又はココア、糖類、粉乳、ココアバター及び/又はココアバター代用脂、香料等であってよい。通常、チョコレートは、これらの原料をミキシングし、リファイニングを行った後、コンチングを行うことで製造される。より具体的には、その糖類としては、例えば、砂糖、必要に応じてトレハロースなどの他の糖類や、糖アルコールなどを用いることができる。その粉乳としては、例えば、全脂粉乳、脱脂粉乳などを用いることができる。そのココアバター及び/又はココアバター代用脂としては、ヤシ油、パーム油、パーム核油を原料としたハードバター、エライジン酸を構成脂肪酸とするトランス型ハードバター等のノンテンパリング型油脂、ココアバター等のテンパリング型油脂などを用いることができる。ただし、本発明により提供されるチョコレート菓子は、規約や法規上の規定によって限定されるものではなく、カカオマス、ココア、ココアバター、ココアバター代用脂等を使用した油脂加工食品全般を意味するものとする。
本発明により提供される油性菓子においては、特定種類の乳化剤を含む必要がある。具体的には、乳化剤としてショ糖エルカ酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及びレシチンから選ばれる1種又は2種以上を含む必要がある。菓子に特定種類の乳化剤を配合することにより、タンパク質を高含有に配合した場合であっても、生地の成形性が良好で、硬すぎないソフトな食感を呈する油性菓子を得ることができる。有機酸モノグリセリドとしては、クエン酸モノグリセリド、ジアセチル酒石酸モノグリセリド、50%アセチル化ステアリン酸モノグリセリド、コハク酸モノグリセリド、酢酸モノグリセリド、乳酸モノグリセリド等が挙げられる。ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、デカグリセリンオクタエステル、ポリグリセリンエルカ酸エステル等が挙げられる。レシチンとしては、大豆由来レシチン、卵黄由来レシチン、それらの酵素処理レシチン等が挙げられる。これらの乳化剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
上記乳化剤の油性菓子中の含有量は、任意であるが、0.01質量%3質量%以下であることが典型的であり、場合によっては、0.05質量%以上1質量%以下の範囲となってもよく、0.1質量%以上0.5質量%以下の範囲となってもよい。また、本発明の目的を阻害しない範囲で、上記乳化剤以外の他の種類の乳化剤を配合してもよい。例えば、ショ糖エルカ酸エステル以外のショ糖脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド以外のモノグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等が挙げられる。この場合、本発明に必須の種類の乳化剤の油性菓子中の含有量を確保する観点から、本発明に必須でない他の種類の乳化剤の油性菓子中の含有量は、3質量%以下であることが好ましい。本発明に必須でない他の種類の乳化剤の油性菓子中の含有量は、場合によっては、0質量%以上2質量%以下の範囲となってもよく、配合されなくてもよい。
本発明により提供される油性菓子において、含有されるタンパク質の源となるタンパク質素材としては、特に制限はないが、例えば、豆タンパク質を含有する素材、乳タンパク質を含有する素材、コラーゲンを含有する素材などが挙げられる。ただし、これらの種類のタンパク質を含有する素材に限られない。タンパク質素材は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上のものを組み合わせて用いてもよい。
具体的に、豆タンパク質を含有する素材としては、大豆、脱脂大豆粉、濃縮大豆蛋白質、分離大豆蛋白質、豆乳等の原料から所定条件下で抽出した抽出物、大豆パウダーなどが挙げられる。このような大豆タンパク質素材としては、例えば、不二製油株式会社製の「フジプロAL」、「フジプロSEH」、「プロリーナ700」、「プロリーナ800」、「プロリーナ900」や、日清オイリオグループ株式会社製の「ソルピー4000H」、「ソルピー5000H」や、ADM社製の「プロファム649」、「プロファム974」、「プロファム781」、「プロファム825」や、Solae社製の「SUPRO XT219D」、「SUPRO PM」等が大豆パウダーとして市販されているので、そのような市販の素材を用いてもよい。また、特開平8-173052号公報や特開平9-121780号公報には大豆タンパク質を含有する素材の調製方法が記載されているので、そのような公知の方法に準じて調製して用いてもよい。あるいは、Emsland Food GmbH 社製の「Empro E86」や、デュポン スペシャルティ プロダクツ社製の「TRUPRO2000」や、CBC社製「PISANE C9」や、ROQUETTE社製の「NUTRALYS S85F」等、エンドウ豆由来のタンパク質素材を用いてもよい。
また、乳タンパク質を含有する素材としては、ホエイ蛋白濃縮物(WPC)、ホエイ蛋
白分離物(WPI)、ホエイ蛋白加水分解物(WPH)、濃縮ミルクたんぱく質(MPC
)、分離ミルクたんぱく質(MPI)などが挙げられる。このようなホエイ素材としては
、例えば、フォンテラ社製の「WPC392」、「WPC472」、「WPI894」、
「WPH817」や、TATUA社製の「TATUA901」、「TATUA942」や
、森永乳業社製の「W800」等がホエイパウダーとして市販されているので、そのよう
な市販の素材を用いてもよい。また、乳タンパク濃縮物としては、ミライ社製の「ミライ
MC80」や、日本新薬社製の「ミルカMPI」や、Ingredia社製の「Prod
iet 87B Fluid」などが挙げられる。また、乳タンパク質を含有する素材と
しては、カゼインカルシウム、カゼインナトリウム、カゼインカリウム、カゼインマグネ
シウム、酸カゼイン、レンネットカゼイン、カゼインペプチド等であってもよい。このよ
うなカゼイン素材としては、例えば、FrieslandCampina DMV社製の
「Excellion Calcium Caseinate S」等がカゼインカルシ
ウムとして、FrieslandCampina DMV社製の「Excellion
Sodium Caseinate S」等がカゼインナトリウムとして、それぞれ市販
されているので、そのような市販の素材を用いてもよい。
また、コラーゲンを含有する素材としては、例えば、牛骨、牛皮、豚皮、魚骨等のコラーゲン含有原料からの酸性もしくは中性条件下で抽出した熱水抽出物、ゼラチン、コラーゲンペプチド(アミノ酸が2つ以上結合)などが挙げられる。なお、一般にコラーゲンは分子量が大きいとゲル化能が強く、菓子の生地の物性や食感に影響があるので、これを避けるにはコラーゲンペプチドを用いることが好ましい。コラーゲンペプチドの分子量は、重量平均分子量として500~15000程度が適当であり、500~10000程度がより典型的である。コラーゲンペプチドの重量平均分子量が500未満であるとペプチドによる苦味が強くなり、15000を超えると粘度が高くなるので、いずれも好ましくない。コラーゲンペプチドの重量平均分子量は、例えば、パギイ法(写真用ゼラチン試験法 第10版 写真用ゼラチン試験法合同審議会)等により測定することができる。
なお、上記タンパク質素材の形状としては、原料への混合のしやすさや、得られる菓子の食感の観点から、粉状の素材を用いることが好ましい。その粒度としては、粒径100μm以下のものが80質量%以上含まれていることが好ましく、粒径60μm以下のものが90質量%以上含まれていることがより好ましい。
本発明により提供される油性菓子は、乳化剤の種類とタンパク質の含有量の条件を満たしていればよく、これを調製する態様に特に制限はない。例えば、上述したとおり、通常、チョコレートは、原料をミキシングし、リファイニングを行った後、コンチングを行うことで調製されるが、そのような、ミキシング、リファイニング、コンチング等の工程の途中や、各工程の間隙のタイミングで、乳化剤やタンパク質素材を添加・配合し得る。また、製造の簡便化の観点からは、所望のチョコレートを得た後に、必要に応じてチョコレートの溶融、流動化のための加温を適宜行い、これに混合することより乳化剤及びタンパク質素材を含有せしめてもよい。その場合、用いるチョコレートにもともと所望の乳化剤ないしはタンパク質が含まれる場合は、残り分の所望の乳化剤ないしはタンパク質素材を添加・配合するだけでもよい。
本発明により提供される油性菓子は、タンパク質を高含有に配合した場合であっても、生地の成形性が良好で、硬すぎないソフトな食感を呈する。そのような食感を呈する物性を得るための組成としては、特に限定されないが、例えば、脂質の含有量としては、10質量%以上40質量%以下であることが典型的である。脂質の含有量としては、場合によっては、15質量%以上35質量%以下の範囲となってもよく、20質量%以上30質量%以下の範囲となってもよい。また、水の含有量としては、1質量%以上15質量%以下であることが典型的である。水の含有量としては、場合によっては、1質量%以上10質量%以下の範囲となってもよく、1質量%以上5質量%以下の範囲となってもよい。また、焼成しない状態での軟らかさとして、以下の方法で測定した硬度(単位:gf)が10以上170以下であることが典型的である。焼成しない状態での軟らかさとしては、場合によっては、以下の方法で測定した硬度(単位:gf)が20以上120以下の範囲となってもよく、30以上100以下の範囲となってもよい。
(硬度の測定)
デジタルフォースゲージ(「SHIMPO FGS-50E-L」、日本電産シンポ株式会社製)を使用して、円柱(直径10mm)のプランジャーを進入速度180mm/minで進入深度7mmまで進入させたときの最大応力(単位:gf)を測定する。
本発明により提供される油性菓子には、必要に応じて含気の処理を施してもよい。含気の方法に特に制限はなく、空気を巻き込ませるように高速で攪拌する方法や、ポンプ等で空気を強制的に吹き込みながら攪拌する方法、更にその攪拌を、加熱、冷却、加圧、又は減圧しつつ行う方法など、各種の方法で行うことができる。装置としては、例えばエアレーションミキサー、モンドミキサー、オーバーミキサーなどが使用される。
本発明により提供される油性菓子には、粒状風味材として、例えば、ナッツ類破砕物、膨化型スナック食品、ビスケットチップ、キャンディーチップ、チョコレートチップなどを含有させてもよい。ナッツ類の破砕物としては、アーモンド、ピーナッツ、カシューナッツ、ヘーゼルナッツ、マカダミアナッツ、クルミ等を所望の大きさに破砕したものが好ましく用いられる。また、膨化型スナック食品としては、例えば、とうもろこし、小麦、米等の原料をエクストルーダで加圧、加熱して押出して膨化させたものや、小麦粉、米粉、各種澱粉等の澱粉質原料に、副原料、調味料、水等を加えて加熱糊化し、膨化させたものなどが好ましく用いられる。
なお、上記粒状風味材には、タンパク質、脂質、糖質、食物繊維、乳化剤等の菓子成分を含有するものであることは勿論であるが、粒状風味材として典型的に長径1mm以上、より典型的には長径1.5mm以上、更により典型的には長径2mm以上の粒状のものについては、一般に水や油脂やその他の菓子材料を合わせても、独自の食感を呈するにとどまり、当該粒状風味材以外の菓子部分の生地物性や食感に影響を与える素材ではないので、本発明の油性菓子の構成の特定に必要とされる上記成分の含有量には換算されないものとする。
本発明により提供される油性菓子は、これを他の菓子と接合して、複合油性菓子となしてもよい。以下では、その具体的な態様について、さらに詳細に説明する。
(複合油性菓子)
本発明は、別の観点では、上記した油性菓子と他の菓子を有する複合油性菓子を提供するものである。具体的には、本発明により提供される複合油性菓子は、シェル菓子として、上記した油性菓子を有し、センター菓子として、そのシェル菓子以外の菓子を有している。そして、そのセンター菓子の少なくとも表面の一部には上記シェル菓子が配置されている。
本発明により提供される複合油性菓子において、上記センター菓子は、脂質の含有量が10質量%以上40質量%以下であることが好ましく、水の含有量が1質量%以上15質量%以下であることが好ましく、タンパク質の含有量が20質量%以上50質量%以下であることが好ましい。このような組成とすることにより、上記油性菓子を含むシェル菓子とも相まって、タンパク質を高含有に配合した場合であっても、生地の成形性が良好で、硬すぎないソフトな食感を呈する複合油性菓子となる。脂質の含有量としては、場合によっては、15質量%以上35質量%以下の範囲となってもよく、20質量%以上30質量%以下の範囲となってもよい。また、水の含有量としては、場合によっては、2質量%以上10質量%以下の範囲となってもよく、3質量%以上8質量%以下の範囲となってもよい。また、タンパク質の含有量としては、場合によっては、25質量%以上45質量%以下の範囲となってもよく、30質量%以上40質量%以下の範囲となってもよい。また、焼成しない状態での軟らかさとして、上記と同様の方法で測定した硬度(単位:gf)が50以上500以下であることが典型的である。焼成しない状態での軟らかさとしては、場合によっては、以下の方法で測定した硬度(単位:gf)が50以上400以下の範囲となってもよく、50以上200以下の範囲となってもよい。
上記センター菓子は、菓子の原料として用いられる一般の食品素材を用いて調製することが可能である。すなわち、主に脂質の源となる脂質素材、主にタンパク質の源となるタンパク質素材、主に糖質の源となる糖質素材、主に食物繊維の源となる食物繊維素材などの食品素材を用いて調製することが可能である。
上記センター菓子に含有される脂質の源となる脂質素材としては、食用として使用可能な脂質素材であればよく、特に制限はない。例えば、植物性油脂、動物性油脂、それらの加工油脂のいずれでもよい。また、油脂の融点も特に限定されず、液状油脂、固形油脂のいずれでもよい。例えば、マーガリン、ショートニング、オリーブ油、サフラワー油、コーン油、やし油、カカオ脂、パーム油などが挙げられる。なかでも、より良好な風味を付与するためには、マーガリン、バター、ショートニング等の加工食用油脂などが好ましく例示される。脂質素材は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上のものを組み合わせて用いてもよい。
上記センター菓子に含有されるタンパク質の源となるタンパク質素材としては、上述したように、油性菓子において使用することができるものとして挙げたタンパク質素材などを、同様に使用し得る。タンパク質素材は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上のものを組み合わせて用いてもよい。
上記センター菓子においては、必要な場合には、その所望する製品形態に応じて、適宜、上記に説明した以外の他の素材も配合し得る。例えば、糖質、食物繊維、食塩、ビタミン、アミノ酸、甘味料、香料、調味料、粒状風味材、乳化剤、粘調剤、膨化剤、pH調整剤、卵製品、乳製品などを配合し得る。
例えば、糖質の源となる糖質素材としては、砂糖、ショ糖、蜂蜜、水飴、コーンシロップ、ブドウ糖、麦芽糖、異性化糖、トレハロース、各種オリゴ糖、更には、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、イノシトール、キシリトール、オリゴ糖アルコール等の糖アルコール、グリセリロールなどが挙げられる。なかでも、生地の結合性を高めたり、水分活性を抑制したりする観点からは、単糖又は二糖の非還元糖やグリセリロールなどを用いることが好ましい。糖質素材は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上のものを組み合わせて用いてもよい。その場合、糖質の含有量は20質量%以下であることが典型的である。糖質の含有量としては、場合によっては、0.1質量%以上18質量%以下の範囲となってもよく、1質量%以上15質量%以下の範囲となってもよい。
例えば、食物繊維の源となる食物繊維素材としては、ポリデキストロース、イヌリン、難消化性デキストリン、難消化性グルカン等の難消化性の多糖類や、フルクトオリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、キシロオリゴ糖、ゲンチオオリゴ糖等の難消化性オリゴ糖類などが挙げられる。食物繊維素材は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上のものを組み合わせて用いてもよい。その場合、食物繊維の含有量は30質量%以下であることが典型的である。食物繊維の含有量としては、場合によっては、2質量%以上28質量%以下の範囲となってもよく、5質量%以上25質量%以下の範囲となってもよい。
例えば、乳製品としては、脱脂粉乳、全粉乳、練乳、生乳、濃縮乳、発酵乳、クリームなどが挙げられる。
例えば、粒状風味材としては、レーズン、クランベリー、カレンズ、ブルーベリー、プルーン、イチジク、アプリコット、オレンジピール、イチゴ、キウイ、リンゴ、マンゴー、パイナップル、パパイヤ、バナナ、ニンジン、カボチャ、オニオン、サツマイモ、ジャガイモ等のドライフルーツ、ドライベジタブル、カシューナッツ、マカダミアナッツ、ピーナッツ、クルミ、ヘーゼルナッツ、ピスタチオ、クリ、ヒマワリの種、カボチャの種等の種実類、ビスケット、クラッカー、ワッフル、ウエハース等の粉砕物、ビスケットクラム、クッキークラム等の菓子粉砕物、小麦、オーツ麦、ライ麦、大麦、玄米、精米、トウモロコシ等の膨化物や焙煎物(例えばコーンフレーク、ブランフレーク、米フレーク)、チョコチップ、キャラメルチップ、マシュマロ、大豆パフ、ホエイパフなどが挙げられる。
なお、粒状風味材としては、脂質、タンパク質、糖質、食物繊維等、菓子成分を含有するものであることは勿論であるが、粒状風味材として典型的に長径1mm以上、より典型的には長径1.5mm以上、更により典型的には長径2mm以上の粒状のものについては、一般に水や油脂やその他の菓子材料を合わせても、独自の食感を呈するにとどまり、当該粒状風味材以外の菓子部分の生地物性や食感に影響を与える素材ではないので、上記センター菓子の構成の特定に必要とされる上記成分の含有量には換算されないものとする。
以下では、本発明により提供される複合油性菓子を製造する方法について、更に具体的に説明する。ただし、本発明により提供される複合油性菓子を得る方法としては、以下に説明する具体的な方法に限定されるものではない。
本発明により提供される複合油性菓子は、通常の当業者に公知の方法で、適宜、原料を混合して、上記シェル菓子を形成するための第1の生地と、上記センター菓子を形成するための第2の生地とを調製し、その生地同士を接合して、所定形状に成形することにより得ることができる。すなわち、上記に説明した食品素材を用いて、上記に説明した油性菓子(シェル菓子をなす)又はセンター菓子について規定される菓子成分の組成と同様の菓子生地を調製し、所定形状に成形すればよい。
上記センター菓子と、上記に説明した油性菓子(シェル菓子をなす)との接合方法には、特に制限はなく、例えば、焼き上げた上記センター菓子にエンローバーを用いて上記に説明した油性菓子(シェル菓子をなす)の生地でコーティングする方法であってもよく、あるいは、押出成形により、押出成形装置のノズルの外側部からは上記に説明した油性菓子(シェル菓子をなす)の生地を、ノズルの内側部からは上記センター菓子の生地を、それぞれが接合するように、その二重ノズルから生地同士を押し出し、所定形状になるように切断する方法であってもよい。あるいは、モールド成形により、モールド(型)内に、上記に説明した油性菓子(シェル菓子をなす)の生地によってシェル、上記センター菓子の生地によってセンター、上記に説明した油性菓子(シェル菓子をなす)の生地によってボトムを、順次作製する方法や、被覆成形により、所定形状にした上記センター菓子の生地を、エンローバーを用いて上記に説明した油性菓子(シェル菓子をなす)の生地でコーティングする方法や、ワンショットデポジターを用いて、外側ノズルから上記に説明した油性菓子(シェル菓子をなす)の生地の押出しを開始した後、内側ノズルから上記センター菓子の生地の押出しを行い、内側ノズルからの押出しを終了した後、外側ノズルからの押出しを終了させる方法、等を適宜採用することができる。
上記センター菓子と、上記に説明した油性菓子(シェル菓子をなす)との質量比としては、典型的には、例えば25:75~65:35などであり、場合によっては、例えば35:65~55:45などである。
そして、必要に応じて、上記のように接合した状態で焼成を施すことにより、その加熱により外層をなすシェル菓子の少なくとも表層を、例えば、手で持ったときにべとつかない程度に熱変性させることができる。その焼成の方法に特に制限はなく、例えば、オーブン、ガスバーナー、電子レンジ、電気ヒーター(トースター)等の焼成装置を用いることができ、所定温度で所定時間焼成することにより、焼菓子(ないし焼複合菓子)と成すことができる。焼成条件としては、100~800℃、10~300秒などであればよい。
以上のようにして得られた複合油性菓子においては、菓子全体中に含まれるタンパク質の含有量が、25質量%以上45質量%以下であることが好ましく、30質量%以上40質量%以下であることがより好ましい。これによれば、タンパク質を手軽に摂取することができる菓子となすことができる。
また、その水分活性が0.70以下であることが好ましく、0.65以下であることがより好ましい。これによれば、常温流通が可能な菓子製品を提供することができる。
また、その形状としては、棒形状、直方体形状、板形状、球形状、不定形状など、種々の形状にすることができるが、例えば棒形状(バー形状)であれば、手に持って食べやすいので、好ましい。その大きさは、厚さが10~20mm、幅が20~35mm、長さが15~130mmとなるようにすることが好ましい。大きすぎると、保形性が悪くなったり、包装から取り出しにくくなったり、手に持って食べづらくなったりするので、好ましくない。
なお、本明細書における「タンパク質の含有量」は、食品分析の周知の分析方法である、例えば、ケルダール法等で測定することができる。
また、本明細書における「脂質の含有量」は、食品分析の周知の分析方法である、例えば、塩酸分解後ソックスレー抽出法等で測定することができる。
また、本明細書における「水の含有量」は、食品分析の周知の分析方法で測定することができ、例えば、常圧加熱乾燥助剤法(105℃、5時間)等で測定することができる。
また、本明細書における「水分活性」は、食品分析の周知の分析方法で測定することができ、例えば、重量平衡法等で測定することができる。
また、本明細書における「食物繊維の含有量」は、食品分析の周知の分析方法で測定することができ、例えば、CODEX分析法AOAC Method2001.03等で測定することができる。
また、本明細書における「灰分の含有量」は、食品分析の周知の分析方法で測定することができ、例えば、直接灰化法等で測定することができる。
また、本明細書における「糖質の含有量」は、食品分析の周知の方法で算定することができ、例えば、菓子や菓子生地の総量から、上記した測定方法により求められた、水分、灰分、脂質含量、タンパク質含量、食物繊維含量や、その他の糖質以外の成分量を控除して求めることができる。
以下実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、これらの実施例は本発明の範囲を限定するものではない。
<試験例1>
油性菓子に配合するタンパク質の含有量や乳化剤の種類が、生地の成形性や菓子の物性にどのように影響を与えるかについて調べた。そのために、まず、表1に示す原料配合により、常法に従い、リファイニング、コンチングの工程を経て、チョコレート原液を調製した。次に、得られたチョコレート原液をおよそ40℃に調整し、表2に示す各種の乳化剤を添加、混合し、更に大豆由来タンパク原料を添加し、よく混合して、調製例1-1~10の油性菓子を調製した。
Figure 2022072822000001
評価は、調製した生地の成形性と得られた菓子の硬度について、以下のようにして評価した。
(成形性)
× 生地がまとまらない、もしくはまとまりが不十分である。
〇 一つの生地としてまとまり、成形適性がある。
◎ 一つの生地としてまとまり、押出成形機による成形が容易で、成型適性が高い。
(硬度の測定)
200mLのアイス用プラカップに生地を詰め、デジタルフォースゲージ(「SHIMPO FGS-50E-L」、日本電産シンポ株式会社製)を使用して、円柱(直径10mm)のプランジャーを進入速度180mm/minで進入深度7mmまで侵入させたときの最大応力(単位:gf)を測定した。
Figure 2022072822000002
その結果、以下のことが明らかとなった。
(1)調製例1-1に示されるように、タンパク質の含有量が28.7質量%では、生地のまとまりが悪くなって、成形性を確保できなかった。また、油性菓子の物性が硬くなる傾向がみられた。
(2)調製例1-2、3に示されるように、タンパク質の含有量が25.3質量%又は28.7質量%であっても、乳化剤としてショ糖エルカ酸エステルを配合すると、生地の成形性が良好となり、押出成形機に適性のある生地となった。また、軟らかな物性を有する油性菓子が得られた。
(3)調製例1-4~10に示されるように、乳化剤としてショ糖エルカ酸エステル以外の他の種類のショ糖脂肪酸エステルを用いると、調製例1-1同様に、生地のまとまりが悪くなって、成形性を確保できなかった。また、乳化剤を添加しない場合に比べ、油性菓子の物性がより硬くなる傾向がみられた。
<試験例2>
表3に示す原料配合とした以外は試験例1と同様にして、調製例2-1~6の油性菓子を調製し、配合するタンパク質の含有量や乳化剤の種類が、生地の成形性や菓子の物性にどのように影響を与えるかについて調べた。
Figure 2022072822000003
その結果、以下のことが明らかとなった。
(1)調製例2-1に示されるように、タンパク質の含有量が28.7質量%では、乳化剤としてソルビタン脂肪酸エステルを配合しても、生地のまとまりが悪くなって、成形性を確保できなかった。また、乳化剤を添加しない場合に比べ、油性菓子の物性がより硬くなる傾向がみられた。
(2)調製例2-2に示されるように、乳化剤としてプロピレングリコール脂肪酸エステルを用いると、調製例2-1同様に、生地のまとまりが悪くなって、成形性を確保できなかった。また、油性菓子の物性が硬くなる傾向がみられた。
(3)調製例2-3に示されるように、タンパク質の含有量が28.7質量%であっても、乳化剤としてクエン酸モノグリセリドを配合すると、生地の成形性が良好となり、押出成形機に適性のある生地となった。また、軟らかさのある油性菓子が得られた。
(4)調製例2-4に示されるように、タンパク質の含有量が28.7質量%であっても、乳化剤としてレシチンを用いると、成形できる程度までまとまりがある生地となった。また、軟らかさのある油性菓子が得られた。
(5)調製例2-5に示されるように、乳化剤として縮合リシノレイン酸ポリグリセリルを用いると、調製例2-4同様に、成形できる程度までまとまりがある生地となった。また、軟らかさのある油性菓子が得られた。
(6)調製例2-6に示されるように、乳化剤としてデカグリセリンオクタエステルを用いると、調製例2-4同様に、成形できる程度までまとまりがある生地となった。また、軟らかさのある油性菓子が得られた。
<試験例3>
表4に示す原料配合とした以外は試験例1と同様にして、調製例3-1~3の油性菓子を調製し、配合するタンパク質の含有量や乳化剤の種類が、生地の成形性や菓子の物性にどのように影響を与えるかについて調べた。
Figure 2022072822000004
その結果、以下のことが明らかとなった。
(1)調製例3-1に示されるように、タンパク質の含有量が28.7質量%であっても、乳化剤として有機酸モノグリセリドであるジアセチル酒石酸モノグリセリドを配合すると、生地の成形性が良好となり、押出成形機に適性のある生地となった。また、軟らかさのある油性菓子が得られた。
(2)調製例3-2に示されるように、タンパク質の含有量が28.7質量%であっても、乳化剤として有機酸モノグリセリドである50%アセチル化ステアリン酸モノグリセリドを用いると、成形できる程度までまとまりがある生地となった。また、軟らかさのある油性菓子が得られた。
(3)調製例3-3に示されるように、乳化剤として有機酸モノグリセリドであるコハク酸モノグリセリドを用いると、調製例3-2同様に、成形できる程度までまとまりがある生地となった。また、軟らかさのある油性菓子が得られた。
<試験例4>
表5に示す原料配合とした以外は試験例1と同様にして、調製例4-1~3の油性菓子を調製し、配合するタンパク質の種類や含有量が、生地の成形性や菓子の物性にどのように影響を与えるかについて調べた。
Figure 2022072822000005
その結果、以下のことが明らかとなった。
(1)調製例4-1に示されるように、タンパク質素材として他の大豆由来素材(大豆タンパクB)を用いてタンパク質の含有量を37.8質量%とした場合も、乳化剤としてショ糖エルカ酸エステルを配合すると、押出成形機に適性のある生地となり、また、軟らかな物性を有する油性菓子が得られた。
(2)調製例4-2に示されるように、タンパク質素材として乳由来素材を用いてタンパク質の含有量を32質量%とした場合も、乳化剤としてショ糖エルカ酸エステルを配合すると、押出成形機に適性のある生地となり、また、軟らかな物性を有する油性菓子が得られた。
(3)調製例4-3に示されるように、タンパク質素材としてエンドウマメ由来素材を用いてタンパク質の含有量を28.3質量%とした場合も、乳化剤としてショ糖エルカ酸エステルを配合すると、押出成形機に適性のある生地となり、また、軟らかな物性を有する油性菓子が得られた。
[製造例1]
表6に示す原料をミキサーに投入して混合することにより、センター菓子とする生地を調製した。
Figure 2022072822000006
得られたセンター菓子の生地の100質量部に対して、シェル菓子の生地として、調製例1-3で調製した油性菓子と同じ菓子生地の100質量部を用いて、二重ノズルを備えた押出成形機により、口径20×7mmのノズルを有する吐出口から200cm/分の速さで押し出し、二重ノズルの外側からはシェル菓子の生地を押し出し、二重ノズルの内側からはシェル菓子の生地を押し出して、コンベア上に延べたところをカットすることにより、幅20mm×長さ120mm×高さ7mmの形状に成形して、得られた複合成形物をコンベクションオーブンにより200℃で30秒間焼成した。
その結果、押出成形機による成形の際、シェル菓子の生地表面に途切れなく成形することができた。また、焼成の際の焼きダレによる目立った変形がなく、手指を汚さずに手に持って食べることができる、複合油性菓子を得ることができた。

Claims (10)

  1. 油性菓子原料に加えてタンパク質及び乳化剤を含み、前記タンパク質の含有量が25質量%以上45質量%以下であり、前記乳化剤は、ショ糖エルカ酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及びレシチンから選ばれる1種又は2種以上を含むことを特徴とする油性菓子。
  2. シェル菓子として、請求項1に記載の油性菓子を有し、センター菓子として、前記シェル菓子以外の菓子を有し、前記センター菓子の少なくとも表面の一部には前記シェル菓子が配置されていることを特徴とする複合油性菓子。
  3. 前記シェル菓子以外の菓子は、脂質の含有量が10質量%以上40質量%以下であり、水の含有量が1質量%以上15質量%以下であり、タンパク質の含有量が20質量%以上50質量%以下である、請求項2記載の複合油性菓子。
  4. バー形状である、請求項2又は3記載の複合油性菓子。
  5. 焼成菓子である、請求項2~4のいずれか一項に記載の複合油性菓子。
  6. シェル菓子を形成するための第1の生地であって、油性菓子原料に加えてタンパク質及び乳化剤を含み、前記タンパク質の含有量が25質量%以上45質量%以下であり、前記乳化剤は、ショ糖エルカ酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、及びレシチンから選ばれる1種又は2種以上を含む該第1の生地と、センター菓子を形成するための第2の生地を、前記第2の生地の少なくとも表面の一部には前記第1の生地が配置されるよう、該生地同士を接合し、所定形状に成形することを特徴とする複合油性菓子の製造方法。
  7. 前記第2の生地は、脂質の含有量が10質量%以上40質量%以下であり、水の含有量が1質量%以上15質量%以下であり、タンパク質の含有量が20質量%以上50質量%以下である、請求項6記載の複合油性菓子の製造方法。
  8. バー形状に成形する、請求項6又は7記載の複合油性菓子の製造方法。
  9. 更に、焼成する、請求項6~8のいずれか一項に記載の複合油性菓子の製造方法。
  10. 前記第1の生地と前記第2の生地との接合を、該生地同士を二重ノズルから押し出して成形することにより行う、請求項6~9のいずれか一項に記載の複合油性菓子の製造方法。
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