JP2022072630A - 車両用無線通信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】放熱性を向上させつつ、小型化が可能な車両用無線通信装置を提供する。【解決手段】樹脂製のアッパーケース2には、インサート成形によって受熱素子4と複数のアンテナ5が一体的に設けられている。受熱素子4と少なくとも1つのアンテナ5は互いに近接するように配置されている。受熱素子4はL字型に折り曲げられた板金であって、一部が回路基板3において送受信回路61が配置される領域に裏面と当接するように配置されている。受熱素子4が回路基板3から受け取った熱はアンテナ5に伝播し、アンテナ5周辺の樹脂へと分散される。アンテナ5がケースと一体的に形成されているとともに放熱素子としても機能するため、放熱性を向上させつつ、小型化が可能となる。【選択図】図2

Description

本開示は、車両で使用される無線通信装置に関する。
車両で使用される無線通信装置では、搭載スペースの制約があるため、小型化が求められる。特許文献1には、所定の周波数帯の無線信号を受信するためのアンテナと、受信回路等が形成されたプリント基板(以降、回路基板)と、それらを収容するケースとを備える通信装置において、ケースの天井部にアンテナが一体に形成された構成が開示されている。なお、特許文献1では、基板をケースに組み付けるためのネジ止め等の力を利用して、天井部に設けられたアンテナの端部と基板上に設けられた給電点とを圧接させる事により、回路基板とアンテナとの電気的な接続が確保している。
上記構成によれば、アンテナを回路基板上に設ける必要がないため、基板の小型化、ひいては装置の小型化を図ることができる。また、回路とアンテナの距離を離すことができるため、回路から出るノイズの影響を低減することが可能となる。
特開2005-45625号公報
車両用通信装置は、例えば送受信回路など発熱する部分を有する。装置内に熱がこもると、電子部品が正常に機能しなくなる恐れがあるため、効率的に放熱を行う仕組みを取り入れる必要がある。一般的な放熱の方法としては、例えば金属板等の熱容量が大きい部材を熱源と接触するように配置する方法が挙げられる。しかしながら、十分な放熱性を得るためには、相応の大きさを有する放熱部材を設ける必要があり、筐体サイズの増大につながる。一方、小型化を優先して、放熱部材を小さくすると、所望の放熱性能が得られない可能性がある。
本開示は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、放熱性を向上させつつ、小型化が可能な車両用無線通信装置を提供することにある。
その目的を達成するための車両用無線通信装置は、所定の周波数帯の電波を用いた無線通信を実施するための車両用無線通信装置であって、無線通信を実施するための回路(61)が実装された回路基板(3)と、回路基板を収容するケース(2)と、を備え、ケースには、電波を受信可能なアンテナ(5、51~54)と、回路基板で生じる熱を受け取るための金属製の受熱素子(4)と、が一体的に形成されており、アンテナは、受熱素子から所定の近傍距離以内となる部分を有するように設けられている。
上記の構成によれば、受熱素子が回路基板から受け取った熱の一部は、アンテナに伝播し、アンテナ周辺の樹脂へと分散される。つまり、アンテナが放熱素子としての機能を兼ねる。このようにアンテナがケースと一体的に形成されているとともに放熱素子としても機能するため、放熱性を向上させつつ、小型化が可能となる。
また、上記目的を達成するための他の車両用無線通信装置は、所定の周波数帯の電波を用いた無線通信を実施するための車両用無線通信装置であって、無線通信を実施するための回路(61)が実装された回路基板(3)と、回路基板を収容するケース(2)と、を備え、ケースには、電波を受信可能なアンテナ(5、51~54)と、アンテナにとってのグランド電位を提供する平板状の導体板である地板(8)と、回路基板で生じる熱を受け取る金属製の受熱素子(4)と、が一体的に形成されており、地板は、受熱素子から所定の近傍距離以内となる部分を有するように設けられている。
上記構成においては、受熱素子が回路基板から受け取った熱の一部は、地板に伝播し、地板周辺の樹脂部分へと分散される。つまり、地板が放熱素子としての機能を兼ねる。このように地板がケースと一体的に形成されているとともに放熱素子としても機能するため、放熱性を向上させつつ、小型化が可能となる。
なお、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
車両用無線通信装置100の全体構成を説明するための分解斜視図である。 アッパーケース2の構成を説明するための図である。 回路基板3のレイアウトの一例を示す図である。 アッパーケース2の構成の変形例を示す図である。 図4におけるV-V線での断面図である。 地板8を放熱素子として利用する構成を示す図である。
以下、本開示の実施形態について図を用いて説明する。図1は、本開示に係る車両用無線通信装置100の概略的な構成の一例を示す図である。車両用無線通信装置100は、複数のアンテナ5を備え、4Gや5Gなどのセルラー通信や、Bluetooth(登録商標)や、Wi-Fi(登録商標)、車車間通信、GNSS信号の受信といった、複数種類の通信を実施可能に構成されている。なお、GNSSはGlobal Navigation Satellite Systemの略であって、衛星測位システムを指す。
当該車両用無線通信装置100は、車室内の所定位置に設置されて使用される。例えば車両用無線通信装置100は、ダッシュボードの内部に設置される。なお、他の態様として車両用無線通信装置100は、例えばオーバーヘッドコンソール内部などの車室内の天井部や、ルーフ上、スポイラー内部などに設置されることを前提として構成されていても良い。
車両用無線通信装置100は、図1に示すように、ロアケース1、アッパーケース2、及び回路基板3を備える。アッパーケース2はロアケース1と組み合わされることで全体として、回路基板3に対して垂直な方向を厚み方向とする扁平な直方体状のケース(換言すればハウジング)を形成する。つまり、車両用無線通信装置100は、全体として扁平な直方体状の外観形状を有する。当該形状に対応するように回路基板3も略矩形状に形成されている。
以降では回路基板3に直交する方向のことを上下方向と記載する。回路基板3からロアケース1に向かう方向が、車両用無線通信装置100にとっての下方向に相当し、回路基板3からアッパーケース2に向かう方向が上方向に相当する。
回路基板3は、プリント基板に種々の電子部品が実装されてなる略矩形状の板状部材である。プリント基板としてはガラスエポキシ基板などの絶縁層をベースにして、複数の導体層をビルドアップした多層基板を採用することができる。回路基板3は、例えば3以上の導体層を備える多層基板を用いて実現されている。回路基板3は、電源ケーブルの接地線とコネクタ等を介して電気接続される導体層であるグランド層を備える。グランド層は各種回路のグランド電位を提供する。なお、回路基板3は、その他の内部導体層として電源層などを備えうる。
回路基板3において、無線信号を信号処理するためのICなどを含む送受信回路61や電源回路63などは、主として回路基板3の下側面(以降、基板下側面3A)に形成されている。特に、熱源となりうる送受信回路61は基板下側面3Aのうち、後述する受熱部41の下方に位置する領域付近に設けられる。なお、回路基板3の上側面(以降、基板上側面3B)にも、コネクタやコンデンサ等の回路素子は配置されうる。基板上側面3Bとアッパーケース2との高さ方向の離隔は、基板下側面3Aとロアケース1との離隔に比べて大きい。故に、基板上側面3Bは、コンデンサやコネクタなどといった相対的に高さが大きい回路素子の配置に好適であり、基板下側面3AはICチップなどの相対的に背の低い電子部品の配置に好適な構成となっている。
以下、車両用無線通信装置100の構成について、互いに直交するX軸、Y軸、及びZ軸を有する右手系の3次元座標系の概念を導入して説明する。図1等の種々の図に示すX軸は回路基板3の長手方向を、Y軸は回路基板3の短手方向を、Z軸は上下方向をそれぞれ表している。なお、他の態様として回路基板3が正方形状である場合には、任意の1辺に沿う方向をX軸とすることができる。これらX軸、Y軸、及びZ軸を備える3次元座標系は、車両用無線通信装置100の構成を説明するための概念である。車両用無線通信装置100が車両に搭載されている状態においては、例えばX軸は車両の左右方向に、Y軸は車両の前後方向に、Z軸は車両の高さ方向にそれぞれ対応する。なお、車両用無線通信装置100が車両に搭載されている状態においてZ軸正方向は車両の上方に対応し、Y軸正方向は車両前方に対応するものとする。故に、車両用無線通信装置100がダッシュボード内に配置されている態様においては、乗員から見てY軸負方向が手前側、換言すれば座席側となる。
ロアケース1は、回路基板3を下方から覆い、回路基板3を収容及び支持する部材である。ロアケース1は、車両用無線通信装置100のハウジングの底部を提供する部材に相当する。このようなロアケース1は、基板下側面3Aを保護するための構成に相当する。ロアケース1は、例えばポリカーボネート(PC:polycarbonate)などの合成樹脂を用いて形成されている。ロアケース1は、例えば平坦な板状に形成されている。なお、ロアケース1は、上側の面が開口している扁平な(換言すれば底が浅い)箱型に形成されていてもよい。ロアケース1の四隅には、回路基板3を挟んでアッパーケース2にネジ止めするための貫通孔11が形成されている。なお、貫通孔11の位置も適宜変更可能である。貫通孔11は4箇所以上設けられていても良い。また、ロアケース1、アッパーケース2、及び回路基板3が組み合わさった状態を維持するための方法としては、ネジ止めの他、スナップフィットなど多様な係止構造を採用可能である。
ロアケース1の材料としては、ポリカーボネートなど多様な樹脂を採用可能である。ロアケース1の材料は、車両用無線通信装置100が使用される環境の温度として想定される範囲(以降、使用温度範囲)において、所望の強度を維持可能な樹脂材料を用いて構成されていても良い。使用温度範囲は例えば-20℃~100℃とすることができる。
アッパーケース2は、回路基板3を上方から覆い、回路基板3を収容及び支持する部材である。アッパーケース2は、回路基板3を収容しつつロアケース1と嵌合可能に構成されている。アッパーケース2は、下側の面が開口している略箱型に形成されている。具体的には、基板上側面3Bと所定の間隔をおいて対向する天井部21と、天井部21の縁部から下方に向けて延設された側壁部22と、を備える。天井部21は、車両用無線通信装置100のハウジングの上面部を提供する構成に相当する。側壁部22は、その縁部(換言すればエッジ部)がロアケース1の縁部と組み合わさる寸法及び形状に形成されている。
以降では、アッパーケース2が備える4つの側壁部22のうち、Y軸正方向側に位置する側壁部22を第1側壁部22Aと称し、X軸負方向側に位置する側壁部22を第2側壁部22Bと称する。また、Y軸負方向側に位置する側壁部22を第3側壁部22Cと称し、X軸正方向側に位置する側壁部22を第4側壁部22Dと称する。第3側壁部22Cには、ケーブル等を通すための開口部221が形成されている。
また、図2に示すようにアッパーケース2の第1側壁部22Aには、回路基板3の熱をケースに逃がすための金属体である受熱素子4が配置されている。なお、図2は、樹脂部分を透過させた、アッパーケース2の斜視図である。受熱素子4は、例えば、矩形状の一枚の板金をL字型に折り曲げることで形成されている。受熱素子4は、折り曲げ部を境界として、受熱部41と伝熱部42とに区分して取り扱うことができる。受熱部41は基板上側面3Bと当接する部分である。伝熱部42は、受熱部41が回路基板3から受け取った熱をアッパーケース2に伝導する役割を担う構成である。また、伝熱部42は、受熱部41をアッパーケース2に固定する役割も担う。伝熱部42が支持部に相当する。受熱素子4は、伝熱部42が第1側壁部22Aを構成する樹脂で覆われるように、アッパーケース2とインサート成形される。ここでのインサート成形は、金型内に挿入した金属部品の周りに樹脂を注入して金属と樹脂を一体化する成形方法を指す。一枚の板金を折り曲げてなるL字型の金属板のうち、側壁部22に組み付けられる/埋没される部分が伝熱部42に相当する。また、回路基板3と直接的又は後述するシールド板7を介して間接的に接する部分が受熱部41に相当する。一例として受熱部41及び伝熱部42は何れも概ね矩形状に形成されている。
受熱部41は、伝熱部42の下端から、ケース内側に向かって張り出した金属板に相当する。このような受熱部41は、伝熱部42の下側縁部において、伝熱部42に略垂直に立設された構成とも言える。受熱素子4の横位置は、受熱部41が、回路基板3の発熱部(熱源)の裏側に位置するように設計されている。また、受熱素子4の高さ位置は、受熱部41が回路基板3と接するように設定されている。受熱部41の下側面は、熱伝導性の接着剤を用いて基板上側面3Bと接着可能なように平坦に形成されている。なお、受熱部41と基板上側面3Bとの間には、アンテナ5が発する電磁波を遮蔽する金属板或いはフィルムであるシールド部材が介在していてもよい。受熱部41の大きさや形状は適宜変更可能である。受熱部41が大きいほど、放熱性能の向上が期待できる。
伝熱部42は、受熱部41が回路基板3から受け取った熱をアッパーケース2に伝播させるための構成である。伝熱部42は、1つの観点において、受熱部41の側壁部22が存在する方の縁部において、受熱部41に略垂直に立設された構成に相当する。なお、伝熱部42は、必ずしも第1側壁部22Aに埋没されている必要はなく、第1側壁部22Aの内側面に取り付けられていても良い。伝熱部42は、第1側壁部22Aに埋没する部分と露出する部分とを有するように第1側壁部22Aに組み付けられていてもよい。伝熱部42の大きさや形状は適宜変更可能である。伝熱部42が大きいほど、放熱性能の向上が期待できる。側壁部22の高さをHとすると、伝熱部42の上下方向の長さは、例えばH/2以上に設定されている。
なお、受熱部41と伝熱部42と熱的及び物理的に接続されていればよく、別々の部材が組み合わさって実現されていても良い。また受熱部41が側壁部22に対して熱を伝播するように構成されていればよく、伝熱部42の形状は平板状でなくともよい。その他、受熱部41は例えば天井部21に設けられた凹部211によって、基板上側面3Bと当接する位置に支持されていてもよい。加えて、受熱部41の上側面には、ヒートシンクとして機能する複数の突出部(いわゆるフィン)が形成されていても良い。個々の突出部は、板状でも棒状でもよい。受熱部41の上面に設けられた複数の突出部は、凹部211の底部に設けられた孔を介してケース外側に露出していても良い。
また、アッパーケース2には、図2に示すように、複数のアンテナ5がインサート成形されている。ここでは一例として、アンテナ51~54の4つのアンテナ5が、アッパーケース2の側壁部に設けられている。各アンテナ5は、一部が樹脂内に埋没し、一部がケース内側で露出する態様でアッパーケース2に一体的に設けられている。以降では各アンテナ5が送受信の対象とする電波の波長をλとも記載する。アンテナ5ごとに送受信の対象とする電波は異なりうるため、λもまたアンテナ5毎に相違しうる。また、以降における波長λは、誘電体による波長短縮効果を考慮した値(いわゆる実効長)を指す。
アンテナ51は、例えばセルラー通信で使用される周波数帯の電波(換言すれば無線信号)を送受信するためのアンテナである。換言すればアンテナ51は、4Gや5Gの移動体通信システムを構成する無線基地局とデータ通信を行うためのアンテナである。例えばアンテナ51は、2.5GHz帯の電波を送受信可能に構成されている。アンテナ51の上記の動作周波数は一例であって、2.5GHz帯に限られない。動作周波数帯は、700MHz帯、800MHz帯、900MHz帯、1.5GHz帯、1.7GHz帯、2GHz帯、2.5GHz帯、3.4GHz帯、3.7GHz帯、4.5GHz帯、及び28GHz帯などであってもよい。
なお、アンテナ51は、送受信兼用アンテナであってもよいし、受信専用アンテナであっても良い。本開示において、或る周波数帯の無線信号を送受信するためのアンテナとの表現には、送信と受信の両方に使用されるアンテナだけでなく、受信のみに供されるアンテナを含めることができる。つまり、送受信との表現は、送受信と受信の少なくとも何れか一方と解する事ができる。送受信回路などの記載についても同様である。また、アンテナの動作として電波の送信と受信には可逆性があるため、或る電波を受信可能なアンテナとは、当該電波を送信可能なアンテナと解することができる。
アンテナ51は、第1側壁部22Aと一体的に設けられている。アンテナ51は、例えば第1側壁部22Aにおいて、伝熱部42よりもX軸負方向側に配置されている。また、アンテナ51の一部は、伝熱部42の上側となる領域まで延設されている。
アンテナ51は、例えば逆Fアンテナとして構成されている。具体的には、本体部51A、短絡用延出部51B、及び給電用延出部51Cを備える。本体部51Aの大部分または全域は、第1側壁部22Aを形成する樹脂で覆われている。本体部51Aの一部は、伝熱部42と近接している。例えば本体部51Aは、伝熱部42との離隔が所定の近傍距離未満となる部分を有している。ここでの近傍距離は、伝熱部42の近傍とみなすことができる値であって、例えば5mm~15mm程度とすることができる。近傍距離は、伝熱部42から熱を、アッパーケース2の樹脂部分に比べて優先的にアンテナ5に伝播させることができる距離の限界値と解することができる。このようにアンテナ51を伝熱部42に近接配置した構成によれば、アンテナ51が伝熱部42からの熱を受け取りやすくなる。なお、本体部51Aと伝熱部42との離隔は、最も近接しているところでも1mm以上となるように構成されている。本体部51Aと伝熱部42とが近すぎると、高周波的にこれらの部材が容量結合し、動作周波数がずれる恐れがあるためである。
短絡用延出部51B及び給電用延出部51Cは、アンテナ51が逆Fアンテナとして動作する位置に配置されている。短絡用延出部51B及び給電用延出部51Cはインピーダンスの整合性等を鑑みて適宜調整可能である。なお、短絡用延出部51B及び給電用延出部51Cは、本体部51Aと連続的に延設された帯状/線状の導体を折り曲げることで形成されうる。つまり、本体部51A、短絡用延出部51B、及び給電用延出部51Cは一枚の金属板から切り出された部材を折曲げ加工することで生成されうる。短絡用延出部51Bの一端は本体部51Aと接続しているとともに、他端は回路基板3が備えるグランド層と電気的に接続されている。給電用延出部51Cの一端は、本体部51Aと接続するとともに、他端は回路基板3が備える給電線と電気的に接続されている。なお、アンテナ51が備える各部の長さは、共振電流の経路長がλ/4の整数倍となるように設定されている。
なお、短絡用延出部51Bや給電用延出部51Cの先端部分と回路基板3との電気的な接続は、クリップ構造や、差込孔を備えるコネクタを用いて実現されればよい。クリップ構造としては、短絡用延出部51Bの先端を、金属端子が左右から挟み込む構成を採用することができる。クリップ構造を構成する金属端子は、例えば短絡用延出部51Bが差し込まれる際の押圧力によって外側に広がる(換言すれば撓む)、板バネとして構成されていればよい。なお、クリップ端子は、その弾性(換言すれば復元力)によって短絡用延出部51Bを左右から押圧するように構成されていればよく、その具体的な構造は多様な構造を採用可能である。以上では短絡用延出部51Bと回路基板3との接続構成について述べたが、給電用延出部51Cと回路基板3との接続方法についても同様とすることができる。また、以降で述べる他のアンテナ5が備える短絡用延出部と給電用延出部についても同様とすることができる。短絡用延出部51Bや給電用延出部51Cは、アンテナと回路とを接続するための構成であるため、回路接続部と呼ぶことができる。
なお、アンテナ51は、モノポールアンテナであってもよい。また、アンテナ51は、複数の周波数で動作するマルチバンドアンテナとして構成されていても良い。なお、マルチバンドアンテナは、給電素子に給電点からの経路長が対象とする周波数に応じた長さとなるような分岐素子を設けたり、無給電素子を給電素子に近接配置することで実現されうる。マルチバンドアンテナの構造としては多様な構成を採用可能である。その他、アンテナ51は板状逆Fアンテナなどの板状アンテナとして構成されていてもよい。
アンテナ52は、例えばセルラー通信で使用される周波数帯の電波のうち、アンテナ51とは異なる周波数帯の電波を送受信するためのアンテナとすることができる。例えばアンテナ52は、700MHz帯の電波と、1.5GHzの電波を送受信可能な、ダブルバンドアンテナとして構成されていてもよい。もちろん、アンテナ52は、受信ダイバーシティ等を実現するために、アンテナ51と同一の周波数で動作するように構成されていても良い。
アンテナ52もまた、第1側壁部22Aと一体的に設けられているアンテナ5である。例えばアンテナ52は、第1側壁部22Aにおいて、伝熱部42よりもX軸正方向側に配置されている。なお、アンテナ52の一部は、伝熱部42の上側となる領域まで延設されていても良い。
アンテナ52は例えばモノポールアンテナとして構成されている。つまり、アンテナ52が、λ/4の整数倍の長さを有する線状アンテナとして構成されている。給電点は、例えば図に示すように側壁部22の下端から延出された導体部分に設けられている。もちろん給電点は、給電用延出部51Cと同様の立体構造を用いて、任意の位置に形成可能である。例えばアンテナ52の大部分は、第1側壁部22Aを形成する樹脂で覆われている。
アンテナ52もまた、アンテナ51と同様に、伝熱部42と近接する部分を有していることが好ましい。例えばアンテナ52は、伝熱部42のX軸正方向側の縁部と例えば3mm~15mm程度の離隔をおいて、当該縁部と平行に延設されている部分を有している。このようにアンテナ52を伝熱部42に近接配置した構成によれば、アンテナ52が伝熱部42からの熱を受け取りやすくなる。なお、アンテナ52と伝熱部42と離隔は1mm以上となるように構成されているものとする。
アンテナ53は、例えばGNSSを構成する航法衛星からの信号を受信するためのアンテナである。このようなアンテナ53は衛星通信用のアンテナと呼ぶこともできる。GNSSとしては、GPS、GLONASS、Galileo、IRNSS、QZSS、Beidou等の衛星測位システムを採用可能である。当該アンテナ53は、例えば第2側壁部22Bと一体的に設けられている。アンテナ53もまた、アンテナ51と同様に逆Fアンテナとして動作するように構成されている。具体的には、本体部53A、短絡用延出部53B、及び給電用延出部53Cを備える。本体部53Aの大部分または全域は、第2側壁部22Bを形成する樹脂で覆われている。短絡用延出部53B及び給電用延出部53Cの構成は、短絡用延出部51B及び給電用延出部51Cと同様とすることができる。アンテナ53が備える各部の長さは、共振電流の経路長がλ/4の整数倍となるように設定されている。
アンテナ54は、例えばBluetooth(登録商標)や、Wi-Fi(登録商標)といった所定の近距離無線通信規格に準拠した無線信号を送受信するためのアンテナである。すなわち、アンテナ54は、2.4GHz帯の電波及び5GHz帯の電波の少なくとも何れか一方を送受信可能に構成されている。アンテナ54は、例えば第4側壁部22Dと一体的に設けられている。アンテナ54は、例えばパッチアンテナなどの板状アンテナとしても構成されていてもよいし、モノポールアンテナや逆Fアンテナなどの線状アンテナとして構成されていても良い。例えばアンテナ54は、板状逆Fアンテナとして構成されている。すなわち、アンテナ54は、平板状の本体部54A、短絡用延出部54B、給電用延出部54Cを備える。
本体部54Aは、周長がλ/4の偶数倍に設定されている導体板である。短絡用延出部54Bは、本体部54Aの下側端部からケース内側方向に延出されている導体部材であって、回路基板3のグランド層と電気的に接続されている。給電用延出部54Cは、本体部54AのY軸負方向側の縁部から延出されているL字型の導体部材であって、端部は回路基板3の給電線と接続されている。
なお、以上で述べたアンテナ51~54のそれぞれの役割や構成は一例であって、これに限定されない。アンテナ5の構成としてはループアンテナなども採用可能である。また、アンテナ5は、パッチアンテナとして構成されていてもよい。パッチアンテナとして構成する場合、アンテナ5は、λ/2の幅を有する金属板であるパッチ部と、パッチ部と対向配置されている地板とを備えることとなる。パッチ部は例えば側壁部22の内部に埋没するようにインサート成形されればよい。また、地板としての導体板は当該パッチ部と対向するように側壁部22の内側面に取り付けられれば良い。パッチ部の幅方向中心線上の任意の位置には、前述の給電用延出部と同様の構成を用いて給電点が形成されればよい。地板は回路グランドと接続される。地板もまた第2側壁部22Bとインサート成形等によって一体化されていても良い。その他、アンテナ5としては0次共振アンテナなどを採用可能である。
また、上述した以外にもアンテナとしては、5.9GHz帯あるいは700MHz帯の電波を用いて実施されるV2X通信用のアンテナを備えていてもよい。なお、V2Xの1文字目の「V」は自車両としての自動車を指し、「X」は、歩行者や、他車両、道路設備、ネットワーク、サーバなど、自車両以外の多様な存在を指しうる。「X」はEverything/Somethingと解することができる。車両用無線通信装置100が備えるアンテナ5の数は適宜変更可能である。
その他、アッパーケース2の内側面には、回路基板3や、短絡用延出部51B、53B、54B、給電用延出部51C、53C、54Cなどを支持するための複数の段差部が一体的に形成されている(何れも図示略)。段差部は、回路基板3を上方から抑え込む役割も兼ねうる。段差部は、天井部21から側壁部22に沿うように、下方に向かって形成されている。段差部は、所定の高さ位置まで天井部21の内側面から下方に向かって延設されている。段差部は、アッパーケース2に対する回路基板3の相対位置(離隔や姿勢)を規制する。一部の段差部の下端は、基板上側面3Bに当接するように構成されている。
<回路基板3のレイアウトについて>
基板下側面3Aには、図3に示すように、送受信回路61、インターフェース回路62、及び電源回路63などが形成されている。送受信回路61は、アンテナ5で受信した信号に対して所定の信号処理を実施したり、アンテナ5から送信する信号を生成したりする回路モジュールである。送受信回路61は、アンテナ5で受信した信号に対して所定の信号処理を行うことで受信データを取り出す回路、及び、アンテナ5に送信信号を出力して電波として送信させるための回路の少なくとも何れか一方を含む。つまり、送受信回路61は、変調回路や復調回路、検波回路、信号増幅器、周波数変換器、位相調整器などの少なくともいずれかを含む。本実施形態の回路基板3は一例として、各アンテナ51~54に対応する、4つの送受信回路61A~61Dを備える。
送受信回路61Aはアンテナ51と電気的に接続されている送受信回路61であり、送受信回路61Bはアンテナ52と電気的に接続されている送受信回路61である。送受信回路61Cはアンテナ53と電気的に接続されている送受信回路61であり、送受信回路61Dはアンテナ54と電気的に接続されている送受信回路61である。各送受信回路61には、対応するアンテナ5に給電するための給電線路が接続されている。給電線路は、例えば基板表面にパターン形成されていても良いし、内部導体層を用いて形成されていても良い。なお、1つの送受信回路61に対して、複数のアンテナ5が接続されていても良い。用途等が共通する複数のアンテナ5に対する送受信回路61は統合されていても良い。例えばアンテナ51とアンテナ52は同一の送受信回路61に接続されていても良い。
送受信回路61A~61Dは、まとまって配置されている。送受信回路61が配置されている領域が回路基板3にとってのコア領域に相当する。送受信回路61A~61Dは、受熱部41の裏側に位置する領域である吸熱領域Rd上、及び、当該吸熱領域Rdの近傍に配置されている。なお、図3において吸熱領域Rdに相当する部分に斜線パターンのハッチングを付与している。送受信回路61が配置されている領域の裏面部分が、受熱部41が直接的に又は間接的に(つまり熱的に)接続されるべき所定領域に相当する。
インターフェース回路62は、車両に接続されている他の装置と通信するための回路モジュールである。例えばインターフェース回路62は、信号形式を変換するための回路や、受信データを一時保管するためのバッファ回路、送信データを一時保管するためのバッファ回路などを含む。インターフェース回路62には、イーサネット(登録商標)やUARTなどにおいて論理信号を実際の電気的な信号に変換する構成(いわゆるI/Oデバイス)などが含めることができる。なお、種々の通信規格に対応するI/Oデバイスは、それぞれチップセット(いわゆるPHYチップ)として実現されていることが多い。インターフェース回路62には所定の通信規格のPHYチップが含まれうる。
インターフェース回路62は、図示しない通信コネクタを含む。通信コネクタは、所定の通信ケーブルが接続されるための部品である。通信コネクタは、基板上側面3Bにおいて、開口部221が設けられている方の縁部、すなわちY軸負方向側の端部に沿うように配置されている。通信コネクタから伸びる各種ケーブルは、例えば第3側壁部22Cに設けられた開口部221を介してケースの外側に引き出される。
このようなインターフェース回路62は、基板下側面3Aにおいて、通信コネクタの裏側に位置する領域に配置されている。換言すれば、インターフェース回路62は、送受信回路61A~61Dが配置されているコア領域よりもY軸負方向側となる範囲に配置されている。
電源回路63は、車両電源から供給されている電圧を、各回路の動作電圧に変換して出力する回路モジュールである。電源回路63もまた、開口部221の近傍に配置されている。例えば、電源回路63はインターフェース回路62とX軸方向に隣接するように開口部221側からY軸正方向側に向かって形成されている。このような配置態様も、電源回路63が、送受信回路61よりも吸熱領域Rdから遠い位置に配置されている態様に相当する。なお、電源回路63は、電源ケーブルと接続する電源コネクタを備えうる。電源コネクタもまた、通信コネクタ同様、基板上側面3Bにおいて、開口部221から所定距離以内となる位置に配置される。なお、電源コネクタは通信コネクタと統合されていても良い。
その他、基板下側面3A又は基板上側面3Bには、アンテナ5の短絡用延出部51B等と電気的に接続するための電極(例えばランド)が形成されている。当該電極としてのランドの上には、短絡用延出部51B等と電気的に接続するためのクリップ構造などが配されている。当該構成により、各アンテナ5は、対応する送受信回路61と電気的に接続されている。なお、アンテナ5との接続箇所を基板下側面3Aに設ける場合、回路基板3には当該アンテナ5の短絡用/給電用延出部を回路基板3の下側まで通す貫通孔が設けられているものとする。貫通孔や、クリップ構造など、回路基板3が備える、アンテナ5と電気的に接続するための構成をアンテナ接続部とも記載する。
<通信装置の製造方法>
次に以上で述べた車両用無線通信装置100の製造方法の一例について簡単に説明する。尚、アッパーケース2にはインサート成形によって受熱素子4やアンテナ5などが予め一体的に組み付けられているものとする。また、種々の電子部品が実装されたプリント基板である回路基板3も別途準備されているものとする。
車両用無線通信装置100の組付け工程としては例えば次のような手順を採用可能である。すなわち、まずは受熱素子4の受熱部41の下側面に熱伝導性の接着剤を塗布する。そして、各アンテナ5の回路接続部が回路基板3に設けられているアンテナ接続部と接続し、かつ、受熱部41が基板上側面3Bと当接するように、回路基板3をアッパーケース2に組み付ける。組み付け時の位置合わせには、アッパーケース2に設けられた段差部やガイド(溝)などを利用することができる。そして、回路基板3が組み付けられた状態のアッパーケース2の開口部にロアケース1を組付け、ネジ等を用いてこれらを締結する。以上の作業工程によって、車両用無線通信装置100は製造されうる。
<本実施形態の効果について>
以上の構成では、回路基板3が備える種々の回路モジュールのうち、相対的に熱が発しやすい送受信回路6を、他の回路モジュールよりも優先的に吸熱領域Rdの近くに配置する。当該構成によれば、各送受信回路61で発生した熱が受熱部41に吸収されやすくなる。なお、ここでの吸熱領域Rd付近とは、吸熱領域Rdから例えば3~4cm以内となる範囲を指す。また、送受信回路61以外の回路モジュールとは、インターフェース回路62や電源回路63などを指す。
また、受熱部41が回路基板3から受け取った熱は、伝熱部42に伝播し、伝熱部42から側壁部22に伝播する。側壁部22に伝播した熱の一部は側壁部22から外部に放熱されるとともに、天井部21にも伝播し、天井部21からも放熱されうる。つまり、伝熱部42が設けられている側壁部22及び天井部21から分散して放熱される。
加えて、本開示の構成によれば、伝熱部42が設けられている側壁部22には、アンテナ5が一体的に形成されている。アンテナ5を構成する導電体は、樹脂よりも熱伝導性が高い。アンテナ5を受熱素子4に近接配置した構成によれば、受熱部41が回路基板3から受け取った熱は、アンテナ5に伝播しやすい。その結果、アンテナ5自体が放熱素子として機能しうる。また、アンテナ5は、側壁部22の内部またはその表面においてλ/4以上の長さを有するように例えばX軸方向及びZ軸方向に広がって形成されているため、熱が広く分散されやすい。つまり、以上の構成によれば、熱が受熱部41及び伝熱部42付近に集中しにくい。このようにアンテナ5が熱の伝播媒体として作用するため、アッパーケース2全体から放熱されやすくなる。その結果、ケース内部、具体的には回路基板3の温度上昇を抑制することができる。特に上記構成のように受熱素子4の左右両側にアンテナ51、52を配置した構成によれば、受熱部41からの熱をより一層分散させる効果が期待できる。加えて、受熱素子4付近のアンテナ5の一部が側壁部22に埋没している構成によれば、側壁部22の表面にアンテナ5が取り付けられている構成よりも、アンテナ5と側壁部22との接触面積が大きくなる。そのため、アンテナ5への熱の伝播性を高めることができる。
その他、以上の構成ではアンテナ5がアッパーケース2の側壁部22に設けられている。当該構成によれば、アッパーケース2の側面形状によってアンテナ5の形状を変更することができる。すなわち、アンテナ形状の自由度が向上することにより、必要とするアンテナ指向性に応じたアンテナ形状を確保することが容易となる。また、アンテナ5を容易に立体的に形成可能となるので、所望のアンテナ利得を確保するための設計難度を緩和することができる。つまり、アンテナ5の指向性の設計の自由度を高めることができる。
加えて上記本実施形態では、アッパーケース2にアンテナ5が一体に形成されるとともに、回路基板3がアッパーケース2に組付けられる事により回路基板3とアンテナ5との電気的な接続が確保される。当該構成によれば、アンテナ5と回路基板3との電気的な接続状態の確保のために、アンテナ5を回路基板3にはんだ付けする必要がない。故に車両用無線通信装置100の製造工程として、アンテナ5と回路基板3とのはんだ付け工程を無くすことができる。つまり、車両用無線通信装置100の製造工程を簡素化することができる。
以上、本開示の実施形態を説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、以降で述べる種々の変形例も本開示の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。例えば下記の種々の変形例は、技術的な矛盾が生じない範囲において適宜組み合わせて実施することができる。なお、前述の実施形態で述べた部材と同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略する。また、構成の一部のみに言及している場合、他の部分については先に説明した実施形態の構成を適用することができる。
<アッパーケース2の構成の補足>
アッパーケース2には図4及び図5に示すように、基板上側面3Bと当接する位置に、電波遮断性を有する板状部材であるシールド板7が取り付けられていても良い。シールド板7は、天井部21の内側面と対向する姿勢で取り付けられている。シールド板7は、側壁部22と一体的に組み付けられている骨組みであるシールドフレームによって保持されていても良い。
シールド板7は、アンテナ5から発せられる電磁波がノイズとして送受信回路61に伝播したり、送受信回路61から発せられる電磁波がノイズとしてアンテナ5に到達することを抑制するための構成である。つまり、アンテナ5が存在する空間と回路基板3が存在する空間とを電磁波的に区切るための構成である。なお、シールド板7は、送受信回路61など、ノイズ源またはノイズの影響を受けやすい領域だけを覆う大きさに設定されている。もちろん、シールド板7は、基板上側面3Bの全域を覆うように構成されていても良い。シールド板7は、アルミニウムや銅、鉄などの金属板を用いて実現されている。なお、シールド板7は、金属粉末等を含むことによって電波遮断性が強化された樹脂板であってもよいし、電波遮断フィルムが貼り付けられた樹脂板であってもよい。ただし、回路基板3から受熱部41への熱の伝導性の観点から、シールド板7はアルミニウムなどの金属製であることが好ましい。
シールド板7のケース内における高さ位置は、受熱部41の下側面とも当接するように設定されている。このような構成は、受熱部41と基板上側面3Bに、電波遮断性を有する板状部材であるシールド板7が介在する構成に相当する。当該構成においては送受信回路61等が発する熱は、シールド板7を介して受熱部41に伝わる。そして、伝熱部42が、受熱部41からの熱をアッパーケース2やアンテナ5に伝え、分散放熱させる。シールド板7が他の金属部材に相当する。
当該構成によれば、上述した実施形態の効果に加えて、回路基板3上の電子部品やアンテナ5の動作安定性が高められるといった利点を有する。なお、他の態様として、シールド板7は、受熱部41の上側に設けられていても良い。シールド板7は、アンテナ5の本体部と回路基板3との間に設けられていればよい。また、シールド板7には、軽量化のために、直径が車両用無線通信装置が取り扱う電波の波長に対して十分に(例えば10分1以下の)小さい孔が複数設けられていてもよい。
<アンテナ5の構成の補足>
以上では複数のアンテナ5がいずれもアッパーケース2とインサート成形によって一体的に設けられている態様を開示したが、これに限らない。複数のアンテナ5の一部又は全部は、アッパーケース2の内側面にパターン形成されていてもよい。アンテナ5のパターン形状は適宜変更可能である。アンテナ5のパターン形状には、線状導体としての長さや幅なども含まれる。アンテナ5をパターン形成する方法としては、例えば電気めっきや、金属蒸着、導電塗料の塗布をあげることができる。また、アンテナ5それ以外にも、所望パターンに加工された導体箔、金属板、或いは金属線をアッパーケース2に対して接着しても良い。所望の形状に形成された金属板或いは金属線を熱かしめによりアッパーケース2に固定しても良い。
また、以上では、受熱素子4が設けられている側壁部22である受熱側壁部22αに、逆Fアンテナやモノポールといった線状アンテナを設ける態様を例示したが、これに限らない。受熱側壁部22αには、例えば板状逆Fアンテナなどの板状アンテナが設けられても良い。板状アンテナは、線状アンテナに比べて金属部分の体積及び表面積が大きい。故に、受熱側壁部22αに板状アンテナを設ける構成によれば、線状アンテナを設ける構成に比べて放熱性を高めることができる。なお、ここでの受熱側壁部22αとは、受熱部41から熱を受け取る役割を担う側壁部22であって、受熱部41が隣接している側壁部22、或いは、受熱部41から最も近い側壁部22と解することもできる。
また、上述した実施形態のようにアンテナ5を複数備える場合、受熱素子4に近接配置するアンテナ5は、複数のアンテナ5の中で最も面積が大きいアンテナ5とすることが好ましい。そのような構成によれば、受熱素子4が回路基板3から受け取った熱を最も効率よく分散させることが可能となる。なお、以上では複数のアンテナ5を備える構成を開示したがこれに限らない。車両用無線通信装置100が備えるアンテナ5は1つだけであっても良い。
以上では、受熱素子4を1つだけ設けた構成を開示したが、これに限らない。受熱素子4は複数設けられていてもよい。例えば、送受信回路61から相対的に近い、第1側壁部22Aと第2側壁部22Bのそれぞれに受熱素子4が設けられていても良い。それに伴い、受熱側壁部22αは複数存在してもよい。放熱素子として兼用するアンテナ5は複数の受熱側壁部22αの少なくとも何れか1つに設けられていればよい。
以上では複数のアンテナ5を側壁部22に設けた態様を開示したがこれに限らない。1つまたは複数のアンテナ5は、天井部21に設けられていても良い。例えば天井部21にはアンテナ5として逆Fアンテナやモノポールアンテナなどが形成されていても良い。
以上ではアンテナ5そのものを放熱素子として兼用する態様を開示したが、これに限らない。例えば図6に示すようにアンテナ51にとってのグランド電位を提供する導体板である地板8を受熱素子4の近傍に設け、当該地板8を放熱素子として援用しても良い。つまり、アンテナ5又はアンテナ5の地板8が、受熱側壁部22αに少なくとも1つ設けられていればよい。ここでの地板8とは、回路基板3のグランド層と電気的に接続されてあって、鏡像効果を提供する大きさを有する部材を指す。図6に示す例ではアンテナ51はモノポールアンテナとして動作するように構成されている。地板8のX軸方向の長さは、λ/4以上、より好ましくは0.75λ以上に設定されている。
なお、地板8は受熱素子4と接続されていても良い。また、受熱素子4を回路基板3のグランド層と接続することで地板8として援用しても良い。その他、アンテナ5は、無給電素子を用いて所望の周波数の電波を送受信するように構成されていても良い。アンテナ5の概念には、給電点が設けられている導体素子に限らず、給電点が設けられた導体と高周波的に結合して励振する構成(つまり無給電素子)も含まれる。少なくとも1つのアンテナとして機能する給電素子又は無給電素子あるいは地板8が、受熱素子4が設けられた側壁部22に設けられていればよい。
100 車両用無線通信装置、1 ロアケース、2 アッパーケース(ケース)、21 天井部、22A~22D 側壁部、22α 受熱側壁部、3 回路基板、4 受熱素子、41 受熱部、42 伝熱部(支持部)、5・51~54 アンテナ、61 送受信回路(熱源)、62 インターフェース回路、63 電源回路、Rd 吸熱領域

Claims (9)

  1. 所定の周波数帯の電波を用いた無線通信を実施するための車両用無線通信装置であって、
    前記無線通信を実施するための回路(61)が実装された回路基板(3)と、
    前記回路基板を収容するケース(2)と、を備え、
    前記ケースには、前記電波を受信可能なアンテナ(5、51~54)と、前記回路基板で生じる熱を受け取るための金属製の受熱素子(4)と、が一体的に形成されており、
    前記アンテナは、前記受熱素子から所定の近傍距離以内となる部分を有するように設けられている車両用無線通信装置。
  2. 請求項1に記載の車両用無線通信装置であって、
    前記ケースは、前記回路基板の上方を覆う天井部(21)と、前記回路基板を周りから囲む複数の側壁部(22)と、を備え、
    前記受熱素子は、複数の前記側壁部のうちの少なくとも何れか1つに設けられており、
    前記受熱素子が設けられている前記側壁部である受熱側壁部(22α)に、前記アンテナが設けられている車両用無線通信装置。
  3. 請求項2に記載の車両用無線通信装置であって、
    前記受熱素子は、前記回路基板の所定領域と、直接的に又は他の金属部材を介して間接的に接する平板状の受熱部(41)と、
    前記受熱部を支持するための構成であって、前記受熱側壁部と一体的に設けられている支持部(42)と、を備える車両用無線通信装置。
  4. 請求項3に記載の車両用無線通信装置であって、
    前記受熱素子は、前記支持部が前記受熱側壁部とインサート成形によって一体化されている車両用無線通信装置。
  5. 請求項2から4の何れか1項に記載の車両用無線通信装置であって、
    前記アンテナの少なくとも一部が、前記受熱側壁部の内部に埋没している車両用無線通信装置。
  6. 請求項2から5の何れか1項に記載の車両用無線通信装置であって、
    複数の前記アンテナを備え、
    複数の前記アンテナのうち、最も大きい前記アンテナが、前記受熱側壁部において、前記受熱素子から前記近傍距離以内となる部分を有するように配置されている車両用無線通信装置。
  7. 請求項1から6の何れか1項に記載の車両用無線通信装置であって、
    前記受熱素子から前記近傍距離以内となる部分を有する前記アンテナは、板状アンテナである車両用無線通信装置。
  8. 請求項1から6の何れか1項に記載の車両用無線通信装置であって、
    前記受熱素子から前記近傍距離以内となる部分を有する前記アンテナは、線状アンテナである車両用無線通信装置。
  9. 所定の周波数帯の電波を用いた無線通信を実施するための車両用無線通信装置であって、
    前記無線通信を実施するための回路(61)が実装された回路基板(3)と、
    前記回路基板を収容するケース(2)と、を備え、
    前記ケースには、
    前記電波を受信可能なアンテナ(5、51~54)と、
    前記アンテナにとってのグランド電位を提供する平板状の導体板である地板(8)と、
    前記回路基板で生じる熱を受け取る金属製の受熱素子(4)と、が一体的に形成されており、
    前記地板は、前記受熱素子から所定の近傍距離以内となる部分を有するように設けられている車両用無線通信装置。
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