JP2022072439A - 搬送装置、真空装置、加工システム及び物品の製造方法 - Google Patents

搬送装置、真空装置、加工システム及び物品の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】可動子を固定子と非接触の状態で安定して搬送することができる搬送装置、真空装置、加工システム及び物品の製造方法を提供する。【解決手段】搬送装置は、第1の方向に沿って配置された複数のコイルからなるコイル群と、第1の方向に沿って配置され一方向に着磁された複数の第1の磁石からなる第1の磁石群とを有する固定子と、複数のコイルに対向可能に配置された複数の第2の磁石からなる第2の磁石群と、前記第1の磁石群と対向可能に配置され、第1の磁石群と反発する方向に着磁された複数の第3の磁石からなる第3の磁石群とを有する可動子と、を有し、固定子は、コイル群と第1の磁石群とが対向するように配置された第1の部分と、第1の磁石群が配置されていない第2の部分と、を有し、第2の部分において、第1の磁石群と第3の磁石群との間に生じる反発力を補う反発力補償ユニットが設けられている。【選択図】図1

Description

本発明は、搬送装置、真空装置、加工システム及び物品の製造方法に関する。
一般に、工業製品を組み立てるための生産ラインや半導体露光装置等では、搬送装置が用いられている。特に、生産ラインにおける搬送装置は、ファクトリーオートメーション化された生産ライン内又は生産ラインの間の複数のステーションの間で、部品等のワークを搬送する。また、プロセス装置中の搬送装置として使われる場合もある。搬送装置としては、可動磁石型リニアモータによる搬送装置が既に提案されている。
可動磁石型リニアモータによる搬送装置では、リニアガイド等の機械的な接触を伴う案内装置を使って搬送装置を構成する。しかしながら、リニアガイド等の案内装置を使った搬送装置では、リニアガイドの摺動部から発生する汚染物質、例えば、レールやベアリングの摩耗片や潤滑油、あるいはそれが揮発したもの等が生産性を悪化させるという問題があった。また、高速搬送時には摺動部の摩擦が大きくなってリニアガイドの寿命を小さくするという問題があった。
そこで、特許文献1には、搬送トレイを非接触で搬送可能な磁気浮上搬送装置が記載されている。特許文献1で記載されているような磁気浮上搬送装置は、搬送トレイの搬送方向に沿って、チャンバの上部には浮上用電磁石を、チャンバの側面には固定子コイルを一定間隔で並べることで非接触での搬送を実現させている。
特表2016-532308号公報
しかしながら、浮上用電磁石または固定子コイルを一定間隔に並べることができない領域が存在すると、可動子を固定子と非接触の状態で安定して搬送することは困難であった。
本発明は、可動子を固定子と非接触の状態で安定して搬送することができる搬送装置、真空装置、加工システム及び物品の製造方法を提供することを目的としている。
上記課題を解決するための搬送装置は第1の方向に沿って配置された複数のコイルからなるコイル群と、前記第1の方向に沿って配置され一方向に着磁された複数の第1の磁石からなる第1の磁石群と、を有する固定子と、前記複数のコイルに対向可能に配置された複数の第2の磁石からなる第2の磁石群と、前記第1の磁石群と対向可能に配置され、前記第1の磁石群と反発する方向に着磁された複数の第3の磁石からなる第3の磁石群と、を有する可動子と、を有し、前記固定子は、前記コイル群と前記第1の磁石群とが対向するように配置された第1の部分と、前記第1の磁石群が配置されていない第2の部分と、を有し、前記第2の部分において、前記第1の磁石群と前記第3の磁石群との間に生じる反発力を補う反発力補償ユニットが設けられていることを特徴とする。
本発明によれば、可動子を固定子と非接触の状態で安定して搬送することができる。
本発明の第1実施形態を示す概略図である。 本発明の第1実施形態を示す概略図である。 本発明の第1実施形態を示す概略図である。 本発明の第1実施形態を示す概略図である。 本発明の第1実施形態を示す概略図である。 本発明の第1実施形態を示す概略図である。 固定子と可動子の状態を説明する図である。 本発明の第1実施形態を説明する概略図である。 本発明の第1実施形態を説明する概略図である。 本発明の第1実施形態を説明する概略図である。 本発明の第1実施形態を示す概略図である。 本発明の第1実施形態を示す概略図である。 本発明の第1実施形態を説明する概略図である。 本発明の第1実施形態を示す概略図である。 本発明の第1実施形態を示す概略図である。 本発明の第1実施形態を示す概略図である。 本発明の第1実施形態を示す概略図である。 本発明の第1実施形態を示す概略図である。 本発明の第1実施形態を説明する概略図である。 本発明の第1実施形態を説明する概略図である。 本発明の第1実施形態を説明する概略図である。 本発明の第1実施形態を説明する概略図である。 本発明の第1実施形態を説明する概略図である。 本発明の第1実施形態を説明する概略図である。 本発明の第1実施形態を説明する概略図である。 本発明の第2実施形態を示す概略図である。 本発明の第2実施形態を説明する概略図である。 本発明の第2実施形態を示す概略図である。 本発明の第2実施形態を説明する概略図である。 本発明の第2実施形態を示す概略図である。 本発明の第2実施形態を説明する概略図である。 本発明の第3実施形態を示す概略図である。
[第1実施形態]
以下、図面を参照して本発明の第1実施形態について図1乃至図19Cを用いて説明する。
まず、本実施形態による搬送装置の全体構成について図1及び図2を用いて説明する。
図1及び図2は、本実施形態による可動子101及び固定子201を含む搬送装置1の全体構成を示す概略図である。図1は、搬送装置1を後述のY方向から見た図である。図2は、搬送装置1を後述のX方向から見た図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態による搬送装置1は、台車、スライダ又はキャリッジを構成する可動子101と、搬送路を構成する固定子201とを有している。搬送装置1は、固定子201に対して非接触で可動子101を搬送する磁気浮上型の搬送装置として構成されている。なお、本実施形態では、搬送装置1の一例として、可動磁石型リニアモータ(ムービング永久磁石型リニアモータ、可動界磁型リニアモータ)による搬送装置を示すが、搬送装置1は可動コイル型リニアモータによる搬送装置であってもよい。
搬送装置1は、ワーク102に対して加工作業を施す加工装置とともに、ワーク102を加工して物品を製造する加工システムを構成することができる。この場合、加工システムにおいて、搬送装置1は、例えば、固定子201に対して可動子101を搬送することにより、可動子101とともに移動するワーク102に対して加工作業を施す加工装置に搬送する。加工装置は、ワーク102に加工作業を施して物品を製造する。本実施形態においては、加工装置の一例として蒸着装置を示す。図2に示すように、固定子201内の底部には、蒸着源140が設置されている。固定子201は、蒸着装置のチャンバとなっている。つまり、蒸着装置に、蒸着源140に対して可動子101とともにワーク102を搬送する搬送装置1が備えられている。蒸着装置は、可動子101の下面に保持された基板等のワーク102の表面に蒸着源140により金属、酸化物等の蒸着材料の薄膜を形成することができる。なお、図1及び図2では、固定子201に対して1台の可動子101を示しているが、これに限定されるものではない。搬送装置1においては、複数台の可動子101が固定子201に対して搬送されうる。
ここで、以下の説明において用いる座標軸、方向等を定義する。まず、可動子101の搬送方向である水平方向に沿ってX軸をとり、可動子101の搬送方向をX方向とする。また、X方向と直交する方向である鉛直方向に沿ってZ軸をとり、鉛直方向をZ方向とする。また、X方向及びZ方向に直交する方向に沿ってY軸をとり、X方向及びZ方向に直交する方向をY方向とする。さらに、X軸周りの回転をWx、Y軸、Z軸周りの回転を各々Wy,Wzとする。また、乗算の記号として“*”を使用する。また、可動子101の中心を原点Oとし、Y+側をR側、Y-側をL側として記載する。なお、可動子101の搬送方向は必ずしも水平方向である必要はないが、その場合も搬送方向をX方向として同様にY方向及びZ方向を定めることができる。また、X方向、Y方向及びZ方向は、必ずしも互いに直交する方向に限定されるものではなく、互いに交差する方向として定義することもできる。
次に、本実施形態による搬送装置1おける搬送対象である可動子101について図2及び図3を用いて説明する。図2は、可動子101及び固定子201をX方向から見た図である。図3Aは、可動子101をZ方向上から下に向かって見た図である。図3Bは、可動子101をZ方向下から上に向かって見た図である。図2の左半分は、図3Aの(B)-(B)線に沿った断面を示している。また、図2の右半分は、図3Aの(A)-(A)線に沿った断面を示している。
図2、図3A及び図3Bに示すように、可動子101は、上面において永久磁石103を有し、下面において永久磁石108を有している。
永久磁石103L、103Rは、可動子101のX方向に沿った上面のL側及びR側の端部にそれぞれ配置されて取り付けられている。具体的には、可動子101の上面のR側に、永久磁石103aR、103bR、103cR、103dRが取り付けられている。また、可動子101の上面のL側に、永久磁石103aL、103bL、103cL、103dLが取り付けられている。なお、以下では、特に区別する必要がない限り、可動子101の上面の永久磁石を単に「永久磁石103」と表記する。また、R側とL側とを区別する必要まではないが、各永久磁石103を個別に特定する必要がある場合、各永久磁石103に対する符号の末尾からR又はLを除いた識別子としての小文字のアルファベットまでの符号を用いて各永久磁石103を個別に特定する。この場合、「永久磁石103a」、「永久磁石103b」、「永久磁石103c」又は「永久磁石103d」と表記して、各永久磁石103を個別に特定する。なお、他の構成要素についても、符号を同様に表記して、数字のみの符号、又は数字の符号にR、L、小文字のアルファベットを付した符号を用いることがある。
永久磁石103aR、103dRは、可動子101のX方向に沿った上面のR側におけるX方向の一方の端部及び他方の端部に取り付けられている。永久磁石103bR、103cRは、可動子101の上面のR側の永久磁石103aR、103dR間に取り付けられている。永久磁石103aR、103bR、103cR、103dRは、例えば、X方向に等ピッチに配置されている。また、永久磁石103aR、103bR、103cR、103dRは、それぞれの中心が、例えば可動子101の上面の中心からR側に所定距離rx3離れたX方向に沿った直線上に並ぶように配置されている。
永久磁石103aL、103dLは、可動子101のX方向に沿った上面のL側におけるX方向の一方の端部及び他方の端部に取り付けられている。永久磁石103bL、103cLは、可動子101の上面のL側の永久磁石103aL、103dL間に取り付けられている。永久磁石103aL、103bL、103cL、103dLは、例えば、X方向に等ピッチに配置されている。また、永久磁石103aL、103bL、103cL、103dLは、それぞれの中心が、例えば可動子101の上面の中心からL側に所定距離rx3離れたX方向に沿った直線上に並ぶように配置されている。さらに、永久磁石103aL、103bL、103cL、103dLは、X方向においてそれぞれ永久磁石103aR、103bR、103cR、103dRと同位置に配置されている。
永久磁石103a、103dは、それぞれ可動子101の中心である原点OからX方向の一方及び他方の側に距離rz3だけ離れた位置に取り付けられている。永久磁石103a、103b、103c、103dは、それぞれ原点OからY方向に距離rx3だけ離れた位置に取り付けられている。永久磁石103c、103bは、それぞれ原点OからX方向の一方及び他方の側に距離ry3だけ離れた位置に取り付けられている。
永久磁石103aR、103dR、103aL、103dLは、それぞれY方向に沿って配置された2個の永久磁石のセットである。永久磁石103a、103dは、それぞれ、固定子201側を向く外側の磁極の極性が交互に異なるように2個の永久磁石がY方向に沿って並べられて構成されたものである。なお、永久磁石103a、103dを構成するY方向に沿って配置された永久磁石の数は、2個に限定されるものではなく、複数個であればよい。また、永久磁石103a、103dを構成する永久磁石が配置される方向は、必ずしも搬送方向であるX方向と直交するY方向である必要はなく、X方向と交差する方向であればよい。すなわち、永久磁石103a、103dは、それぞれ磁極の極性が交互になるようにX方向と交差する方向に沿って配置された複数の永久磁石からなる磁石群であればよい。
一方、永久磁石103bR、103cR、103bL、103cLは、それぞれX方向に沿って配置された3個の永久磁石のセットである。永久磁石103b、103cは、それぞれ、固定子201側を向く外側の磁極の極性が交互に異なるように3個の永久磁石がX方向に沿って並べられて構成されている。なお、永久磁石103b、103cを構成するX方向に沿って配置された永久磁石の数は、3個に限定されるものではなく、複数個であればよい。すなわち、永久磁石103b、103cは、磁極の極性が交互になるようにX方向に沿って配置された複数の永久磁石からなる磁石群であればよい。
各永久磁石103は、可動子101の上面のR側及びL側に設けられたヨーク107R、107Lに取り付けられている。ヨーク107R、107Lは、透磁率の大きな物質、例えば鉄で構成されている。
こうして、可動子101には、可動子101のX軸に沿った中心軸を対称軸として、複数の永久磁石103が、可動子101の上面のR側及びL側に対称に配置されている。永久磁石103が配置された可動子101は、後述するように、固定子201の複数のコイル202に電流を流すことにより永久磁石103が受ける力(電磁力)により姿勢が6軸制御されつつ移動可能に構成されている。また、永久磁石103は第2の磁石群と称することがある。第2の磁石群を構成する複数の永久磁石103a、103b、103c、103dを第2の磁石と称することがある。第2の磁石は永久磁石に限られず、電磁石等であっても構わない。
また、可動子101のX方向に沿った下面のL側およびR側の端部に、複数の永久磁石108が2列配置されて取り付けられている。具体的には、可動子101の下面のR側に、複数の永久磁石108Rが取り付けられている。また、可動子101の下面のL側に、複数の永久磁石108Lが取り付けられている。なお、以下では、特に区別する必要がない限り、可動子101の下面の永久磁石を単に「永久磁石108」と表記する。
それぞれの永久磁石108は、可動子101の下面のR側及びL側に設けられたヨーク106R、106Lに取り付けられている。ヨーク106R、106Lは、透磁率の大きな物質、例えば鉄で構成されている。
この永久磁石108と、後述する固定子201に設けられた永久磁石127との間に生じる反発力より、電源がOFFにされた場合など電磁力による制御が行われていない場合であっても可動子101の位置を保つことが可能になる。つまり、永久磁石108と、固定子201に設けられた永久磁石127との間に、重力の方向と平行な方向に反発しあう力を生じさせることができる。つまり、複数の永久磁石127を、一方向に着磁させ、複数の永久磁石127と対向する複数の永久磁石108を、前記一方向に着磁された複数の永久磁石127と反発する方向に着磁させることにより反発しあう力を生じさせることができる。また、永久磁石108は第3の磁石群と称することがある。第3の磁石群を構成する複数の永久磁石108R、108Lは第3の磁石と称することがある。第3の磁石は、永久磁石に限られず、電磁石等であっても構わない。
可動子101は、その上面又は下面に搬送すべきワーク102を載置あるいは装着した状態で搬送される。可動子101は、例えば、ワークホルダ等のワーク102を可動子101上に保持する保持機構を有していてもよい。
また、可動子101は、可動子アダプタ105(105L、105R)に取り付けられていてもよい。この場合、永久磁石103L、108Lは、可動子アダプタ105Lに取り付けられ、永久磁石103R、108Rは、可動子アダプタ105Rに取り付けられる。
可動子101が可動子アダプタ105を有していると、可動子101の形状が変化しても可動子アダプタ105に取り付け可能であれば可動子101の設計を変更することなく搬送が可能である。可動子101は、保持機構を含んでいてもよく、可動子アダプタ105を含んでいてもよい。
可動子アダプタ105L、105Rは、それぞれ、上面105aL、105aR、下面105bL、105bR及び側面105cL、105cRを有している。本実施形態においては、側面105cL、105cRのそれぞれに、側面105cL、105cRから突出する凸部105dL、105dRを備えている。凸部105dは、固定子201に取り付けられたストッパ124の、上側突出部124aと下側突出部124bとの間に突き出すように設けられている。これにより、可動子101の浮上状態が変化してもストッパ124によって凸部105dの可動範囲が上側突出部124aと下側突出部124bとの間に規制されるため、可動子101のZ方向の可動範囲を規制することができる。
次に、本実施形態による搬送装置1における固定子201について図2、図4及び図5を用いて説明する。
固定子201は、コイル群を構成する複数のコイル202を有している。図4は、固定子201のコイル202を示す概略図である。なお、図4は、コイル202をZ方向下から上に向かって見た図である。
図4は、固定子201において、可動子101の搬送方向であるX方向に沿って、複数のコイル202がそれぞれ配置されている例を示している。固定子201には、複数のコイル202が可動子101の上面のL側及びR側に配置された永久磁石103L、103Rと対向するように取り付けられている。L側の永久磁石103Lに対向して配置されるコイルを202L、R側の永久磁石103Rに対向して配置されるコイルを202R、と表記する。なお、以下では、特に区別する必要がない限り、コイルを単に「コイル202」と表記する。固定子201は、搬送方向であるX方向に延在して可動子101の搬送路を形成する。
図2に示すように、固定子201に沿って搬送される可動子101は、L側に、リニアスケール111Lと、Yターゲット110Lと、Zターゲット109Lとを有している。同様に、可動子101は、R側に、Zターゲット109Rを有している。なお、以下では、特に区別する必要がない限り、リニアスケールを単にリニアスケール111、Yターゲットを単にYターゲット110及びZターゲットを単にZターゲット109と表記する。リニアスケール111、Yターゲット110及びZターゲット109は、それぞれ例えば可動子101の側面にX方向に沿って取り付けられている。本明細書においてYターゲットとは、Yセンサの目標となる突起であり、YセンサとYターゲットとの距離を検知することにより、Y方向の位置を求めることができる。同様にZターゲットとは、Zセンサの目標となる突起であり、ZセンサとZターゲットとの距離を検知することにより、Z方向の位置を求めることができる。
図2に示すように、固定子201は、L側に、複数のコイル202Lと、複数のリニアエンコーダ204Lと、複数のYセンサ122Lと、複数のZセンサ121Lとを有している。同様に、固定子201は、R側に、複数のコイル202Rと、複数のZセンサ121Rとを有している。なお、以下では、特に区別する必要がない限り、コイルを単にコイル202、リニアエンコーダを単にリニアエンコーダ204、Yセンサを単にYセンサ122及びZセンサを単にZセンサ121と表記する。
複数のコイル202は、可動子101の上面のR側及びL側の永久磁石103と対向可能なように、X方向に沿って2列に配置されて固定子201に取り付けられている。R側において1列に配置された複数のコイル202Rは、可動子101のR側の永久磁石103aR、103bR、103cR、103dRと対向可能にX方向に沿って配置されている。また、L側において1列に配置された複数のコイル202Lは、可動子101のL側の永久磁石103aL、103bL、103cL、103dLと対向可能にX方向に沿って配置されている。こうして、固定子201のR側及びL側のそれぞれにおいて、X方向に沿って配置された複数のコイル202からなるコイル群が設置されている。
本実施形態では、可動子101のR側及びL側のコイル202の列が、それぞれ、互いに構成する複数の永久磁石の配置方向が異なる永久磁石103a、103d及び永久磁石103b、103cに対向可能に配置されている。このため、少ない列数のコイル202で、後述するように可動子101に対して搬送方向の力及び搬送方向とは異なる方向の力を印加することができ、よって可動子101の搬送制御及び姿勢制御を実現することができる。
こうして、複数のコイル202は、可動子101が搬送される方向に沿って取り付けられている。複数のコイル202は、X方向に所定の間隔で並べられている。また、各コイル202は、その中心軸がZ方向を向くように取り付けられている。なお、コイル202は、コアにコイルが巻かれており、本実施形態において、コイルの位置とは、コアの位置を示す。
複数のコイル202は、例えば3個ずつの単位で電流制御されるようになっている。そのコイル202の通電制御される単位を「コイルユニット203」と記載する。コイル202は、通電されることにより、可動子101の永久磁石103との間で電磁力を発生して可動子101に対して力を印加することができる。
図2及び図3Aに示すように、永久磁石103a、103dは、それぞれY方向に2個の永久磁石が並べられた磁石群により構成されていている。これに対して、各コイル202は、永久磁石103a、103dの2個の永久磁石のY方向の中心がコイル202のY方向の中心と合致するように配置されている。永久磁石103a、103dに対向するコイル202に通電することで、永久磁石103a、103dに対してY方向に働く力が発生する。
また、永久磁石103b、103cは、X方向に3個の永久磁石が並べられた磁石群により構成されている。これに対して、永久磁石103b、103cに対向するコイル202に通電することで、永久磁石103b、103cに対してX方向及びZ方向に働く力が発生する。
複数のリニアエンコーダ204は、それぞれ可動子101のリニアスケール111と対向可能なようにX方向に沿って固定子201に取り付けられている。各リニアエンコーダ204は、可動子101に取り付けられたリニアスケール111を読み取ることで、可動子101のリニアエンコーダ204に対する相対的な位置を検出して出力することができる。
複数のYセンサ122は、それぞれ可動子101のYターゲット110と対向可能なようにX方向に沿って固定子201に取り付けられている。各Yセンサ122は、可動子101に取り付けられたYターゲット110との間のY方向の相対距離を検出して出力することができる。
複数のZセンサ121は、それぞれ可動子101のZターゲット109と対向可能なようにX方向に沿って固定子201に2列に取り付けられている。各Zセンサ121は、可動子101に取り付けられたZターゲット109との間のZ方向の相対距離を検出して出力することができる。
また、固定子201は、複数の永久磁石127L、127Rを有している。図5は、固定子201の永久磁石127L、127Rを示す概略図である。なお、図5は、永久磁石127L、127RをZ方向上から下に向かって見た図である。
図5に示すように、固定子201には、複数の永久磁石127が、可動子101の下面のL側及びR側に配置された永久磁石108L、108Rと対向するように取り付けられている。L側の永久磁石108Lに対向して配置される永久磁石を127L、R側の永久磁石108Rに対向して配置される永久磁石を127R、と表記する。永久磁石127Lは、固定子201に設けられたヨーク126Lに取り付けられていてもよい。永久磁石127Rは、固定子201に設けられたヨーク126Rに取り付けられていてもよい。ヨーク126は、透磁率の大きな物質、例えば鉄で構成されている。永久磁石127Lはブラケット125Lを介して固定子に取り付けられていてもよく、永久磁石127Rはブラケット125Rを介して固定子に取り付けられていてもよい。
なお、以下では、特に区別する必要がない限り、永久磁石を単に「永久磁石127」と表記する場合がある。
こうして、本実施形態では、永久磁石127及び永久磁石108が、可動子101の下側において永久磁石108が永久磁石127に上側から対向可能なように配置されている。
図2において、永久磁石108L、108Rと永久磁石127L、127Rの内部の矢印は、各々の永久磁石の着磁方向を示している。例えば、矢印の先がN極、矢印の根本がS極である。図2に示すように、永久磁石108Lと永久磁石127Lは、着磁方向がZ方向に互いに逆方向を向いている。したがって、永久磁石108Lと永久磁石127Lは、近づくと互いに反発する方向に力が大きくなる。同様に、永久磁石108Rと永久磁石127Rは、着磁方向がZ方向に互いに逆方向を向いている。したがって、永久磁石108Rと永久磁石127Rは、近づくと互いに反発する方向に力が大きくなる。また、永久磁石127は第1の磁石群と称することがある。第1の磁石群を構成する複数の永久磁石127R、127Lは第1の磁石と称することがある。第1の磁石は、永久磁石に限られず、電磁石等であっても構わない。こうして、本実施形態では、永久磁石127及び永久磁石108が、永久磁石103に発生する吸引力の向きと永久磁石108に発生する反発力の向きとが同方向になるように配置されている。
永久磁石127Lは、固定子201において永久磁石108Lと対向する位置であってストッパ124による永久磁石108LのZ方向の可動範囲より離れた位置に取り付けられている。同様に、永久磁石127Rは、固定子201において永久磁石108Rと対向する位置であってストッパ124による永久磁石108Rの可動範囲より離れた位置に取り付けられている。
さらに、永久磁石108Lと永久磁石127L、永久磁石108Rと永久磁石127Rは、その中心位置がY方向に予めずらされて配置されている。図2では、永久磁石127Lが永久磁石108Lより外側に配置されている。同様に永久磁石127Rが永久磁石108Rより外側に配置されている。このように配置することで、後述するようにY方向にもポテンシャルエネルギーが極小になる位置があり、その位置の周りにおいてコイル202が通電されていない状態においても可動子101の位置がY方向に安定した位置を維持できる。
この可動子101と固定子201の状態について図6を用いて説明する。図6は、永久磁石間に働く力の大きさについての実験結果の一例を示すグラフである。図6において、横軸は可動子101のZ方向の位置、縦軸は可動子101がZ方向に受ける力の大きさを示している。
図6に示すグラフにおいて、曲線1501は、コイル202と永久磁石103との間に働く吸引力の大きさを示す。曲線1502は、永久磁石108と永久磁石127との間に働く反発力の大きさを示す。両者とも可動子101が上方向に受ける力である。曲線1503は、吸引力と反発力との合力の大きさを示す。例えば可動子101の質量が1500kgであった場合、曲線1503上の合力が15000NであるZ=Zt及びZ=Zb近傍で可動子101がZ方向に受ける力がつり合う。
特にZ=Zb近傍では、ZがZbより小さくなると、曲線1503上の合力は可動子101が受ける重力より大きくなるため、可動子101には上方向に加速度が発生する。逆にZがZbより大きくなると曲線1503上の合力は可動子101が受ける重力よりも小さくなるため、可動子101には下方向に加速度が発生する。これらのため、Z=Zb近傍では、可動子101のZ方向の位置が安定する。
また、実験の結果によれば、曲線1501上の吸引力は、ZがZ+方向に向かうほどそのグラフの勾配が大きくなることが分かった。また、曲線1502上の永久磁石同士の反発力1502は、ZがZ-方向に向かうほどグラフの勾配が大きくなることが分かった。
これらの実験結果から次のことが分かる。すなわち、コイル202及びそれと対向する永久磁石103、並びに永久磁石108及びそれと対向する永久磁石127について、位置及び大きさを適切に選択することにより、コイル202に通電しない状態でも可動子101の位置を安定させることができる。
以上の点について図7を用いてポテンシャルエネルギーの考え方に基づいて詳細に説明する。
図7は、可動子101がZ方向に受ける力の大きさを模式的に示す図である。図7では、横軸にZ+、縦軸に可動子101がZ方向に受ける力の大きさFz及び可動子101のポテンシャルエネルギーΦzをとる。
以下、コイル202には通電しない状態において可動子101がZ方向に受ける力について説明する。
可動子101がZ方向に受ける力の大きさ(Fz)は、永久磁石103がコイル202に吸引される力の大きさ(Fa)、永久磁石108が永久磁石127に押し上げられる力の大きさ(Fb)及び重力の大きさ(-mg)の合計である。コイル202はコアを有するので、コイル202に電流を印加しない状態でも吸引力(Fa)が働く。Fz、Fa、Fb及び-mgの関係は、次式で表される。
Fz=Fa+Fb-mg
図7では、簡単のためFbの符号を反転した-Fbを曲線1102aで示している。また、Fa-mgを曲線1101aで示している。とすると、Fzは次式のように書き換えられるため、Fzは図7中に示す矢印1106aの大きさになる。すなわち、可動子101は、Z=ZbからZ=Ztの区間では下向き、それ以外の区間では上向きの力を受けることになる。
Fz=Fa+Fb-mg
=(Fa-mg)-(-Fb)
これを可動子101が有するポテンシャルエネルギーΦzで説明する。
可動子101が有するポテンシャルエネルギーΦzは、可動子101が受ける力(Fz)に対抗して移動させる力の積分で定義されるので、∫を積分記号として次式で定義される。
Φz=-∫(Fa+Fb-mg)dz+定数
定数を適当にとるとポテンシャルエネルギーΦzを示す曲線1103aは、図7のようになり、Z=Zbで極小値、Z=Ztで極大値をとる。物体はポテンシャルエネルギーが極小となる位置で安定化するので、Z=Zbで可動子101は安定化する。
ここで、ストッパ124の位置を調整して可動子101のZ方向の可動範囲を位置1107aから位置1108aの範囲に限定すれば、可動子101はコイル202による電気的な制御が停止された場合でもZ=Zbの位置で安定する。
同様に、可動子101がY方向に受ける力の大きさについて図8を用いて説明する。図8は、可動子101がY方向に受ける力の大きさを模式的に示す図である。図8では、横軸にY、縦軸に可動子101がY方向に受ける力の大きさFy及び可動子101のポテンシャルエネルギーΦyをとる。
ここで、可動子101の有するポテンシャルエネルギーΦyを次式で定義する。
Φy=-∫(FyL+FyR)dy+定数
FyLは、L側の永久磁石(永久磁石127Lと永久磁石108L)から受けるY方向の力の大きさである。FyRは、R側の永久磁石(永久磁石127Rと永久磁石108R)から受けるY方向の力の大きさである。
図8において、曲線1201で示すFyLは正方向にとり、曲線1202で示すFyRは符号を反転して記載する。これらの点に注意すれば、ポテンシャルエネルギーΦyは、次式に書き換えられるため、矢印1205を積分したものになり、曲線1203のような形状になる。
Φy=-∫(FyL-(-FyR))dy+定数
曲線1203で示されるポテンシャルエネルギーΦyはY=Ycで極小値をとるので、Z方向と同様、可動子101はY方向においてY=Ycの位置で安定する。
以上の構成を取れば、可動子101は、コイル202に通電しない状態においてもZ=Zb、Y=Ycの位置で安定する。
本実施形態では、永久磁石127の中心と永久磁石108の中心は、搬送方向(X方向)と交差する方向(Y方向)において位置がずらされて配置されている。これにより、可動子101をY方向に制御可能であり、安定させることができる。つまり、永久磁石127及び永久磁石108について、搬送方向(X方向)と交差する方向(Y方向)の位置を所定距離シフトさせて配置することで、可動子101をY方向に制御可能であり安定させることができる。なお、これに限らず、例えばY方向にも別途永久磁石を設置して互いに反発するように構成することで可動子101の位置を安定させることもできる。
本実施形態では、図7に示すように、ポテンシャルエネルギーΦzの極大値をとる位置Ztと極小値を取る位置Zbとは次の関係にある。
Zb<Zt
この場合、反発用の永久磁石である永久磁石127、108がない場合にFz-mg=0となる位置、すなわちコイル202と永久磁石103との間の吸引力が可動子101の重力とつり合う位置Z0よりも可動子101はコイル202から離れた位置にある。
この構成ではコイル202と永久磁石103との間に働く推力定数はZ=Z0にある時よりも小さくなるので、その分だけ可動子101を搬送する際の電流はZ=Z0にある時よりも大きくなる場合がある。
次に、図1及び図9を用いて、第1の磁石群を有しない方式と、第1の磁石群を有する方式との接続方法について説明する。第1の磁石群は、本実施形態では前述のとおり永久磁石127のことである。図1は、搬送方向であるX方向と、重力方向であるZ方向とを可視化した図である。固定子201には、第1の磁石群を有する部分である第1の部分500と、第1の磁石群を有しない第2の部分501とがある。第2の部分501は、第1の磁石群を有しない方式による部分である。第1の部分500では、第1の磁石群(永久磁石127)と複数のコイル202からなるコイル群とがZ方向に対向するように配置されている。一方、第2の部分501では、複数のコイル202からなるコイル群が配置されているのに対して、第1の磁石群(永久磁石127)が配置されていない。
ここで、反発力を発生する固定子201の永久磁石127と、その永久磁石127に対向して可動子101に取り付けられた永久磁石108との間の距離を距離504と定義する。また、第1の部分500において、コイル202のコアと、コイル202に対向して可動子101に取り付けられた永久磁石103との間の距離を、第1の距離502と定義する。また、第2の部分501において、コイル202のコアと永久磁石103との間の距離を第2の距離503と定義する。
本実施形態による第1の部分500においては、可動子101の永久磁石108は、永久磁石127よって、重力に逆らう方向に反発力を受ける。また、可動子101の永久磁石103は、コイル202のコアとの間で吸引力が働くため、重力に逆らう方向に吸引力を受ける。他方、第2の部分501においては、固定子201側に永久磁石127が存在しないため、可動子101の永久磁石108は反発力を受けることができない。したがって、第2の部分501においては、コイル202と永久磁石103との間の第2の距離503を近づけて、反発力に相当する力を永久磁石103が受ける吸引力で補う必要がある。したがって、第1の距離502に比べて第2の距離503が短い必要がある。
第1の部分500における複数のコイル202に隣接する第2の部分501における複数のコイル202のそれぞれは、第2の距離503が第1の距離502と異なるように配置することができる。具体的には、第2の部分501における複数のコイル202のそれぞれは、第1の距離502に比べて第2の距離503が短くなるように配置することができる。これにより、第2の部分501における各コイル202は、第1の部分500において第1の磁石群(永久磁石127)と第3の磁石群(永久磁石108)との間に生じる磁気反発力を補う反発力補償ユニットとして機能することができる。第2の部分501における各コイル202は、第2の磁石群(永久磁石103)との間で吸引力を発生して磁気反発力を補う。
なお、第2の部分501における各コイル202は、第1の部分500における各コイル202とX方向、Y方向等のZ方向と交差する方向のコア幅が異なるものであっても反発力補償ユニットとして機能することができる。
図9は、本実施形態でのZ方向における力のつり合いを示すグラフである。図9の横軸は可動子101のZ方向の位置を示しており、右側に行くほど可動子101が上昇することを示す。また、縦軸は力を示しており、値が大きいほど上昇する方向に力が加わること示す。また横軸の原点は可動子101の位置を基準としている。
まず、第1の磁石群を有する部分である第1の部分500のみに可動子101が存在する状態を考える。曲線513は、可動子101が永久磁石108によって受ける反発力を示している。曲線511は、可動子101が永久磁石103によって受ける吸引力を示している。曲線514は、曲線513と曲線511との合計であり、可動子101が永久磁石108と永久磁石103とによって受ける合力を示している。例えば可動子101の質量が1500kgであった場合、合力が15000Nであるときに力がつり合う。この15000Nを直線510で示している。直線510と曲線514との交点は2点存在する。交点のZ位置は、Z0及びZ1である。第1の部分500においては、Z0は安定平衡点であり、Z<Z1の範囲で復元力が働く。本グラフでは、安定平衡であるZ0をZの原点としている。それに対しZ1は、不安定平衡点である。したがって、Z1では、コイル202を通電し力を発生させることによって少ない力で安定化させることはできるものの、コイル202の通電をやめると不安定になる。Z0でつり合うか、コイル202のコアに向かって移動してストッパ124等で可動子101が止まるまでコイル202のコアに近づくことになる。したがって、第1の部分500のみに可動子101が存在する場合、安定平衡点であるZ0を使用することによりコイル202への通電をやめた後も可動子を安定化させることができる。
次に、第1の磁石群を有しない部分である第2の部分501のみに可動子101が存在する状態を考える。第2の部分501においては、固定子201側の永久磁石127が存在しないため、反発力を得ることができない。したがって、吸引力のみでつり合いをとることになる。吸引力を大きくするには、コイル202と永久磁石103との間の距離を近づければよい。第2の距離503まで、コイル202と永久磁石103との間の距離を近づけたときの吸引力を曲線512で示している。曲線512は直線510と1点で交差する。このときの交点をZ0に合わせるように第2の距離503を決定する。第2の部分501においては、Z0は不安定平衡点となる。この場合、Z0では、コイル202を通電し力を発生させることによって少ない力で安定化させることはできるものの、コイル202の通電をやめてしまうと不安定になる。すなわち、重力に従って落下するか、コイル202のコアに向かって移動してストッパ124等で止まるまでコイル202のコアに近づくことになる。
まとめると、第1の部分500の吸引力と反発力の合力である曲線514と、第2の部分501の吸引力である曲線512と、つり合いの目標値である直線510とが1点で交差するように第1の距離502及び第2の距離503を決定すればよい。これにより、可動子101が、第1の部分500と第2の部分501との両方を含む位置にいるときでも、つり合いが取れることになる。こうして、本実施形態では、第1の磁石群を有しない方式と、第1の磁石群を有する方式とを接続して両者の間においても可動子101を円滑に安定して搬送することができる。
図10は、本実施形態において、なんらかの機構的な制約のため、固定子201において永久磁石127とコイル202とが設置されていない区間が存在し、その区間が比較的短い例を示す図である。図10に示す場合、第1の部分500の第2の部分501側の端部では、コイル202が設置されていない。第1の部分500の当該端部に隣接する第2の部分501では、永久磁石127とコイル202とが設置されていない。コイル202と永久磁石103との間の吸引力は、コイル202のコアと永久磁石103が吸引することによって発生するものである。したがって、コイル202のコアに代えて強磁性体505を設置しても、吸引力を発生させることができる。図10は、コイル202が設置されていない第1の部分500と第2の部分501とにわたる区間において、コイル202のコアに代えて強磁性体505a、505bが設置されている場合を示している。第1の部分500には強磁性体505aが設置され、第2の部分501には強磁性体505bが設置されている。
なお、図1に示す構成においても、図10に示す構成と同様に、第1の部分500に強磁性体505aを設置し、第2の部分501に強磁性体505bを設置することができる。ただし、可動子101に対向するコイル202が存在しないと搬送が困難となるので、姿勢制御及び搬送のための推力が充足する範囲でコイル202を残す必要がある。したがって、コイル202と強磁性体505aを混合して設置することになる。
前述の考えを用いれば、第1の部分500おける強磁性体505aと、可動子101の永久磁石103との間の第1の距離502は、コイル202のコアと永久磁石103との間の第1の距離502と同じにすればよい。また、第2の部分501における強磁性体505bと永久磁石103との間の第2の距離503は、図1に示す第2の部分501におけるコイル202のコアと永久磁石103との間の第2の距離503と同じにすればよい。これにより、コイル202のコアに代えて、強磁性体505a、505bを用いた場合においても、可動子101が、第1の部分500と第2の部分501との両方を含む位置にいるときにおいても、つり合いが取れることになる。
こうして、第2の部分501において、強磁性体505bは、第1の部分500において第1の磁石群(永久磁石127)と第3の磁石群(永久磁石108)との間に生じる磁気反発力を補う反発力補償ユニットとして機能することができる。強磁性体505bは、第2の磁石群(永久磁石103)との間で吸引力を発生して磁気反発力を補う。
なお、本実施形態では、曲線514と、曲線512と、直線510とを1点で交差させるために第1の距離502及び第2の距離503を決定する例を示した。しかし、コイル202のコアと永久磁石103の吸引力を調整する手段は、コイル202のコアと永久磁石103の距離のほか、コイル202のコアのX方向の幅、Y方向幅を変更することでもできる。永久磁石103と対向するコイル202のコアの底面積が増えれば、吸引力が増加するからである。したがって、コイル202のコアと永久磁石103の距離、コイル202のコアのX方向の幅、Y方向の幅のいずれか1つ以上を変更しても良い。同様に、強磁性体505と永久磁石103の吸引力を調整する手段は、強磁性体505と永久磁石103の間の距離、強磁性体505のX方向の幅、Y方向の幅のいずれか1つ以上を変更してもよい。
図11は、固定子201において永久磁石127が存在する第1の部分500と永久磁石127が存在しない第2の部分501とが細かく交互に配置された例を示す図である。可動子101に占める第1の部分500と第2の部分501との比率を変更すると、可動子101の推力定数及び復元力を調整することができる。可動子101に占める第1の部分500と第2の部分501との比率とは、可動子101に対向する第1の部分500と第2の部分501との比率のことである。
図12は、本実施形態において、可動子101に占める第1の部分500と第2の部分501との比率によって可動子101の推力定数及び復元力がどのように変化するかの概略を示すグラフである。図12に示すグラフにおいて、横軸は比率を示し、縦軸は推力定数及び復元力を示している。比率0%とは、可動子101に第1の部分500のみが対向して可動子101が第1の部分500のみで占められていることを示す。比率100%とは、可動子101に第2の部分501のみが対向して可動子101が第2の部分501のみで占められていることを示す。第2の部分501が占める比率が大きくなると、コイル202と永久磁石103との間の平均距離が近づくため、推力定数521は大きくなる。復元力522は、比率0%では正であるが、比率100%では負となる。第1の部分500のみで占められている場合は、Z0において安定平衡点を持つのに対し、第2の部分501のみで構成された場合は、Z0において安定平衡点とならず不安定平衡点を持つからである。これは、比率が大きくなるにつれて、図9において、曲線514が曲線512に無段階的に変化することを意味している。
図13A、図13B及び図13Cは、搬送装置1の真空装置への適用例を示す概略図である。図13A、図13B及び図13Cは、図10に示す構成に加えて、真空チャンバ530a、530b、ゲートバルブ昇降部531及びゲートバルブ532が追加された構成を示している。
搬送装置1は、真空チャンバ530a、530bの内部に設置されている。すなわち、固定子201は、真空チャンバ530a、530bの内部に設置されている。可動子101は、真空チャンバ530a、530bの内部において固定子201により搬送される。内部に搬送装置1が設置された真空チャンバ530a、530bは、互いに接続又は分離可能に連結されている。また、真空チャンバ530a、530bは、図示しない真空ポンプが接続されて適切な真空度に維持可能に構成されている。
ゲートバルブ昇降部531及びゲートバルブ532は、真空チャンバ530aと真空チャンバ530bとの連結部に設けられている。ゲートバルブ昇降部531は、真空チャンバ530aと真空チャンバ530bとの連結部においてゲートバルブ532を動かして昇降させる。ゲートバルブ532は、ゲートバルブ昇降部531により昇降して、真空チャンバ530a、530bの連結部において真空チャンバ530a、530bを開閉する弁部として機能する。すなわち、ゲートバルブ532は、ゲートバルブ昇降部531により上昇することにより両側の真空チャンバ530a、530bをそれぞれ開いて両者を互いに接続する。また、ゲートバルブ532は、ゲートバルブ昇降部531により下降することにより両側の真空チャンバ530a、530bをそれぞれ閉じて両者を互いに分離する。
図13Aは、ゲートバルブ532が設置された真空チャンバ530a、530bの連結部を可動子101が通過中の様子を示している。この場合、真空チャンバ530a、530bを開閉する弁部として機能するゲートバルブ532は、上昇して真空チャンバ530a、530bをそれぞれ開放している。上昇したゲートバルブ532の下端部には、強磁性体505hが取り付けられて設置されている。図13Aにおいて、ゲートバルブ532が設置してある区間は、永久磁石127を有しない第2の部分501である。したがって、強磁性体505hと可動子101の永久磁石103との間の距離は、第2の距離503となる。強磁性体505hは、強磁性体505bと同様に反発力補償ユニットとして機能することができる。
図13Bは、ゲートバルブ532が下降した状態を示している。ゲートバルブ532が下降することで、真空チャンバ530aの雰囲気と真空チャンバ530bの雰囲気とが互いに分離される。
図13Cは、ゲートバルブ532に、永久磁石127g及び強磁性体505gを取り付けた例を示している。この場合、ゲートバルブ532は、永久磁石127を有する第1の部分500となる。したがって、強磁性体505gと永久磁石103との間の距離は、第1の距離502となる。
次に、本実施形態による搬送装置1を制御する制御システムについてさらに図14を用いて説明する。図14は、本実施形態による搬送装置1を制御する制御システムを示す概略図である。
図14に示すように、制御システムは、統合コントローラ301と、コイルコントローラ302と、センサコントローラ304とを有し、可動子101と固定子201とを含む搬送装置1を制御する制御装置として機能する。統合コントローラ301には、コイルコントローラ302が通信可能に接続されている。また、統合コントローラ301には、センサコントローラ304が通信可能に接続されている。
コイルコントローラ302には、複数の電流コントローラ303が通信可能に接続されている。コイルコントローラ302及びこれに接続された複数の電流コントローラ303は、2列のコイル202(図2参照)のそれぞれの列に対応して設けられている。各電流コントローラ303には、複数のコイル202によるコイルユニット203が接続されている。電流コントローラ303は、接続されたコイルユニット203の各々のコイル202の電流の大きさを制御することができる。
コイルコントローラ302は、接続された各々の電流コントローラ303に対して目標となる電流値を指令する。電流コントローラ303は接続されたコイル202の電流量を制御する。
コイル202は、可動子101が搬送されるX方向の可動子101の上面の両側に取り付けられている。
センサコントローラ304には、複数のリニアエンコーダ204、複数のYセンサ122及び複数のZセンサ121が通信可能に接続されている。
複数のリニアエンコーダ204は、可動子101が搬送中もそのうちの1つが1台の可動子101の位置を測定できるような間隔で固定子201に取り付けられている。また、複数のYセンサ122は、そのうちの2つが1台の可動子101のYターゲット110を測定できるような間隔で固定子201に取り付けられている。また、複数のZセンサ121は、その2列のうちの3つが1台の可動子101のZターゲット109を測定できるような間隔で固定子201に取り付けられている。
統合コントローラ301は、リニアエンコーダ204、Yセンサ122及びZセンサ121からの出力に基づき、複数のコイル202に印加する電流指令値を決定して、コイルコントローラ302に送信する。コイルコントローラ302は、統合コントローラ301からの電流指令値に基づき、上述のように電流コントローラ303に対して電流値を指令する。これにより、統合コントローラ301は、制御装置として機能し、固定子201に沿って可動子101を非接触で搬送するとともに、搬送する可動子101の姿勢を6軸で制御する。
以下、統合コントローラ301により実行される可動子101の姿勢制御方法について図15を用いて説明する。図15は、本実施形態による搬送装置1における可動子101の姿勢制御方法を示す概略図である。図15は、可動子101の姿勢制御方法の概略について主にそのデータの流れに着目して示している。統合コントローラ301(図14参照)は、以下に説明するように、可動子位置算出関数401、可動子姿勢算出関数402、可動子姿勢制御関数403及びコイル電流算出関数404を用いた処理を実行する。これにより、統合コントローラ301は、可動子101の姿勢を6軸で制御しつつ、可動子101の搬送を制御する。なお、統合コントローラ301に代えて、コイルコントローラ302が統合コントローラ301と同様の処理を実行するように構成することもできる。
まず、可動子位置算出関数401は、複数のリニアエンコーダ204からの測定値及びその取り付け位置の情報から、搬送路を構成する固定子201上にある可動子101の台数及び位置を計算する。これにより、可動子位置算出関数401は、可動子101に関する情報である可動子情報406の可動子位置情報(X)及び台数情報を更新する。可動子位置情報(X)は、固定子201上の可動子101の搬送方向であるX方向における位置を示している。可動子情報406は、例えば図15中にPOS-1、POS-2、…と示すように固定子201上の可動子101ごとに用意される。
次いで、可動子姿勢算出関数402は、可動子位置算出関数401により更新された可動子情報406の可動子位置情報(X)から、各々の可動子101を測定可能なYセンサ122及びZセンサ121を特定する。次いで、可動子姿勢算出関数402は、特定されたYセンサ122及びZセンサ121から出力される値に基づき、各々の可動子101の姿勢に関する情報である姿勢情報(Y,Z,Wx、Wy,Wz)を算出して可動子情報406を更新する。可動子姿勢算出関数402により更新された可動子情報406は、可動子位置情報(X)及び姿勢情報(Y,Z,Wx、Wy,Wz)を含んでいる。
次いで、可動子姿勢制御関数403は、可動子位置情報(X)及び姿勢情報(Y,Z,Wx、Wy,Wz)を含む現在の可動子情報406及び姿勢目標値から、各々の可動子101について印加力情報408を算出する。印加力情報408は、各々の可動子101に印加すべき力の大きさに関する情報である。印加力情報408は、後述する印加すべき力Tの力の3軸成分(Tx,Ty,Tz)及びトルクの3軸成分(Twx,Twy,Twz)に関する情報を含んでいる。印加力情報408は、例えば図15中にTRQ-1、TRQ-2、…と示すように固定子201上の可動子101ごとに用意される。
次いで、コイル電流算出関数404は、印加力情報408及び可動子情報406に基づき、各コイル202に印加する電流指令値409を決定する。
こうして、統合コントローラ301は、可動子位置算出関数401、可動子姿勢算出関数402、可動子姿勢制御関数403及びコイル電流算出関数404を用いた処理を実行することにより、電流指令値409を決定する。統合コントローラ301は、決定した電流指令値409をコイルコントローラ302に送信する。
ここで、可動子位置算出関数401による処理について図16を用いて説明する。図16は、可動子位置算出関数による処理を説明する概略図である。
図16において、第1基準点Oeは、リニアエンコーダ204が取り付けられている固定子201の位置基準である。また、第2基準点Osは、可動子101に取り付けられているリニアスケール111の位置基準である。図16では、可動子101として2台の可動子101a、101bが搬送され、リニアエンコーダ204として3つのリニアエンコーダ204a、204b、204cが配置されている場合を示している。なお、リニアスケール111は、各可動子101a、101bの同じ位置にX方向に沿って取り付けられている。
例えば、図16に示す可動子101bのリニアスケール111には、1つのリニアエンコーダ204cが対向している。リニアエンコーダ204cは、可動子101bのリニアスケール111を読み取って距離Pcを出力する。また、リニアエンコーダ204cの第1基準点Oeを原点とするX軸上の位置はScである。したがって、可動子101bの位置Pos(101b)は次式(1)により算出することができる。
Pos(101b)=Sc-Pc …式(1)
例えば、図16に示す可動子101aのリニアスケール111には、2つのリニアエンコーダ204a、204bが対向している。リニアエンコーダ204aは、可動子101aのリニアスケール111を読み取って距離Paを出力する。また、リニアエンコーダ204aの第1基準点Oeを原点とするX軸上の位置はSaである。したがって、リニアエンコーダ204aの出力に基づく可動子101aのX軸上の位置Pos(101a)は、次式(2)で算出することができる。
Pos(101a)=Sa+Pa …式(2)
また、リニアエンコーダ204bは、可動子101aのリニアスケール111を読み取って距離Pbを出力する。また、リニアエンコーダ204bの第1基準点Oeを原点とするX軸上の位置はSbである。したがって、リニアエンコーダ204bの出力に基づく可動子101aのX軸上の位置Pos(101a)′は、次式(3)により算出することができる。
Pos(101a)′=Sb-Pb …式(3)
ここで、各々のリニアエンコーダ204a、204bの位置は予め正確に測定されているため、2つの値Pos(101a)、Pos(101a)′の差は十分に小さい。このように2つのリニアエンコーダ204の出力に基づく可動子101のX軸上の位置の差が十分小さい場合は、それら2つのリニアエンコーダ204は、同一の可動子101のリニアスケール111を観測していると判定することができる。
なお、複数のリニアエンコーダ204が同一の可動子101と対向する場合は、複数のリニアエンコーダ204の出力に基づく位置の平均値を算出する等して、観測された可動子101の位置を一意に決定することができる。
可動子位置算出関数401は、上述のようにしてリニアエンコーダ204の出力に基づき、可動子位置情報として可動子101のX方向における位置Xを算出して決定する。
次に、可動子姿勢算出関数402による処理について図17、図18A及び図18Bを用いて説明する。
図17では、可動子101として可動子101cが搬送され、Yセンサ122としてYセンサ122a、122bが配置されている場合を示している。図17に示す可動子101cのYターゲット110には、2つのYセンサ122a、122bが対向している。2つのYセンサ122a、122bが出力する相対距離の値をそれぞれYa、Ybとし、Yセンサ122a、122b間の間隔がLyの場合、可動子101cのZ軸周りの回転量Wzは、次式(4)により算出される。
Wz=(Ya-Yb)/Ly …式(4)
なお、可動子101の位置によっては3つ以上のYセンサ122が対向する場合もありうる。その場合、最小二乗法等を使ってYターゲット110の傾き、すなわちZ軸周りの回転量Wzを算出することができる。
また、図18A及び図18Bでは、可動子101として可動子101dが搬送され、Zセンサ121としてZセンサ121a、121b、121cが配置されている場合を示している。図18A及び図18Bに示す可動子101dのZターゲット109には、3つのZセンサ121a、121b、121cが対向している。ここで、3つのZセンサ121a、121b、121cが出力する相対距離の値をそれぞれZa、Zb、Zcとする。また、X方向のセンサ間距離、すなわちZセンサ121a、121b間の距離をLz1とする。また、Y方向のセンサ間距離、すなわちZセンサ121a、121c間の距離をLz2とする。すると、Y軸周りの回転量Wy及びX軸周りの回転量Wxは、それぞれ次式(5a)及び(5b)により算出することができる。
Wy=(Zb-Za)/Lz1 …式(5a)
Wx=(Zc-Za)/Lz2 …式(5b)
可動子姿勢算出関数402は、上述のようにして、可動子101の姿勢情報として各軸周りの回転量Wx、Wy,Wzを算出することができる。
また、可動子姿勢算出関数402は、次のようにして可動子101の姿勢情報として可動子101のY方向の位置Y及びZ方向の位置Zを算出することができる。
まず、可動子101のY方向の位置Yの算出について図17を用いて説明する。図17において、可動子101cがかかる2つのYセンサ122をそれぞれYセンサ122a、122bとする。また、Yセンサ122a、122bの測定値をそれぞれYa、Ybとする。また、Yセンサ122aの位置とYセンサ122bの位置との中点をOe′とする。さらに、式(1)~(3)で得られた可動子101cの位置をOs′とし、Oe′からOs′までの距離をdX′とする。このとき、可動子101cのY方向の位置Yは、次式により近似的に計算して算出することができる。
Y=(Ya+Yb)/2-Wz*dX′
次に、可動子101のZ方向の位置Zの算出について図18A及び図18Bを用いて説明する。可動子101dがかかる3つのZセンサ121をそれぞれZセンサ121a、121b、121cとする。また、Zセンサ121a、121b、121cの測定値をそれぞれZa、Zb、Zcとする。また、Zセンサ121aのX座標とZセンサ121cのX座標とは同一である。また、リニアエンコーダ204は、Zセンサ121aとZセンサ121cとの中間の位置にあるものとする。また、Zセンサ121a及びZセンサ121cの位置XをOe″とする。さらに、Oe″から可動子101の中心Os″までの距離をdX″とする。このとき、可動子101のZ方向の位置Zは、次式により近似的に計算して算出することができる。
Z=(Za+Zb)/2+Wy*dX″
なお、位置Y及び位置ZともにそれぞれWz、Wyの回転量が大きい場合には、さらに近似の精度を高めて算出することができる。
次に、コイル電流算出関数404による処理について図2及び図3Aを用いて説明する。なお、以下で用いる力の表記において、X方向、Y方向及びZ方向の力が働く方向をそれぞれx、y、zで示し、図2及び図3AにおけるY+側であるR側をR、Y-側であるL側をL、X+側をf、X-側をbで示す。
図3AにおいてR側及びL側の各永久磁石103に働く力をそれぞれ次のように表記する。各永久磁石103に働く力は、電流が印加された複数のコイル202により永久磁石103が受ける電磁力である。永久磁石103は、電流が印加された複数のコイル202により、可動子101の搬送方向であるX方向の電磁力のほか、X方向とは異なる方向であるY方向及びZ方向の電磁力を受ける。
R側の永久磁石103に働く力の表記は、それぞれ次のとおりである。
FzfR:R側の永久磁石103bRのZ方向に働く力
FxfR:R側の永久磁石103bRのX方向に働く力
FyfR:R側の永久磁石103aRのY方向に働く力
FxbR:R側の永久磁石103cRのX方向に働く力
FybR:R側の永久磁石103dRのY方向に働く力
FzbR:R側の永久磁石103cRのZ方向に働く力
L側の永久磁石103に働く力の表記は、それぞれ次のとおりである。
FzfL:L側の永久磁石103bLのZ方向に働く力
FxfL:L側の永久磁石103bLのX方向に働く力
FyfL:L側の永久磁石103aLのY方向に働く力
FxbL:L側の永久磁石103cLのX方向に働く力
FybL:L側の永久磁石103dLのY方向に働く力
FzbL:L側の永久磁石103cLのZ方向に働く力
また、可動子101に対して印加される力Tを次式(6)により表記する。なお、Tx、Ty、Tzは、力の3軸成分であり、それぞれ力のX方向成分、Y方向成分及びZ方向成分である。また、Twx,Twy、Twzは、モーメントの3軸成分であり、それぞれモーメントのX軸周り成分、Y軸周り成分及びZ軸周り成分である。本実施形態による搬送装置1は、これら力Tの6軸成分(Tx,Ty,Tz,Twx,Twy,Twz)を制御することにより、可動子101の姿勢を6軸で制御しつつ、可動子101の搬送を制御する。
T=(Tx,Ty,Tz,Twx,Twy,Twz) …式(6)
すると、Tx、Ty、Tz、Twx、Twy、Twzは、それぞれ次式(7a)、(7b)、(7c)、(7d)、(7e)及び(7f)により算出される。
Tx=FxfR+FxbR+FxfL+FxbL …式(7a)
Ty=FyfL+FyfR+FybL+FybR …式(7b)
Tz=FzbR+FzbL+FzfR+FzfL …式(7c)
Twx={(FzfL+FzbL)-(FzfR+FzbR)}*rx3 …式(7d)
Twy={(FzfL+FzfR)-(FzbL+FzbR)}*ry3 …式(7e)
Twz={-(FyfL+FyfR)+(FybL+FybR)}*rz3 …式(7f)
このとき、永久磁石103に働く力については、次式(7g)、(7h)、(7i)及び(7j)により表される制限を導入することができる。これらの制限を導入することにより、所定の6軸成分を有する力Tを得るための各永久磁石103に働く力の組み合わせを一意に決定することができる。
FxfR=FxbR=FxfL=FxbL …式(7g)
FyfL=FyfR …式(7h)
FybL=FybR …式(7i)
FzbR=FzbL …式(7j)
次に、コイル電流算出関数404が、各永久磁石103に働く力から各コイル202に印加する電流量を決定する方法について説明する。
まず、N極及びS極の極性がZ方向に交互に並んだ永久磁石103a、103dにZ方向の力を印加する場合について説明する。なお、コイル202は、そのZ方向の中心が永久磁石103a、103dのY方向の中心に位置するように配置されている。これにより、永久磁石103a、103dに対してX方向及びY方向に働く力は、殆ど発生しないようになっている。
Xを可動子101の位置、jを列に並んだコイル202の番号として、単位電流当たりのコイル202(j)のZ方向に働く力の大きさをFz(j、X)とし、コイル202(j)に印加する電流をi(j)とする。なお、コイル202(j)は、j番目のコイル202である。この場合、電流i(j)は、次式(8)を満足するように決定することができる。なお、次式(8)は、永久磁石103dRについての式である。他の永久磁石103aR、103aL、103dLについても同様にしてコイル202に印加する電流を決定することができる。
ここで、各コイル202に印加する電流とコイル202に働く力の線形性について説明する。図2において永久磁石103はコイル202に対向していて永久磁石103から出た磁束の多くはコイル202内を通過して再び永久磁石103に戻る。
仮に永久磁石103の起磁力を900kA/m、厚み0.01mとした場合、永久磁石の起磁力は、次のように算出されて9000Aとなる。
900kA/m*0.01m=9000A
一方、コイル202の巻き数を900回とし電流として1Aを印加した場合の起磁力は次のように算出されて900Aとなり、これよりも永久磁石103が形成する起磁力が十分大きい。
900*1A=900A
このように永久磁石103が形成する起磁力が十分大きい場合、コイル202に印加する電流量と新たに発生する力の関係は十分線形であることが一般的に知られている。そのため、この場合、次式(8)が成立する。
ΣFz(j、X)*i(j)=FzbR …式(8)
コイル電流算出関数404は、上述のようにしてコイル202(j)に印加する電流指令値を決定することができる。こうして決定される電流指令値により可動子101に印加されるZ方向の力により、可動子101は、Z方向に浮上する浮上力を得るとともに、その姿勢が制御される。
なお、複数のコイル202が永久磁石103に力を及ぼす場合には、各コイル202が及ぼす力に応じて単位電流当たりの力の大きさで電流を按分することにより、永久磁石103に働く力を一意に決定することができる。
また、図2及び図3Aに示すように、永久磁石103は、可動子101のL側及びR側に対称に配置されている。このような永久磁石103の対称配置により、永久磁石103に働く多成分の力、例えば永久磁石103a、103dに働くWxの力、すなわちX軸周りのモーメント成分をL側及びR側の力で相殺することが可能になる。この結果、より高精度な可動子101の姿勢の制御が可能になる。
次に、N極、S極及びN極の極性がX方向に交互に並んだ永久磁石103bに対してX方向及びY方向に対して独立に力を印加する方法について図19A、図19B及び図19Cを用いて説明する。図19A、図19B及び図19Cは、永久磁石103bに対してX方向及びY方向に独立に力を印加する方法を説明する概略図である。コイル電流算出関数404は、以下に従って、永久磁石103bに対してX方向及びY方向に対して独立に力を印加するためにコイル202に印加する電流指令値を決定する。なお、永久磁石103cについても、永久磁石103bと同様にX方向及びY方向に対して独立に力を印加することができる。
Xを可動子101の位置、jを列に並んだコイル202の番号として、単位電流当たりのコイル202(j)のX方向及びY方向に働く力の大きさを、それぞれFx(j、X)及びFy(j、X)とする。また、コイル202(j)の電流の大きさをi(j)とする。なおコイル202(j)は、j番目のコイル202である。
図19Aは、横にX軸、縦にY軸を取り、永久磁石103bRに対向する6個のコイル202を抜き出して示す図である。図19Bは、図19AをY方向から見た図である。コイル202には、X方向に並んだ順に1から6までの番号jを付与し、以下では例えばコイル202(1)のように表記して各コイル202を特定する。
図19A及び図19Bに示すように、コイル202は、距離Lのピッチでされている。一方、可動子101の永久磁石103は、距離3/2*Lのピッチで配置されている。
図19Cのグラフは、図19A及び図19Bに示す各々のコイル202に対して単位電流を印加した際に発生するX方向の力Fx及びZ方向の力Fzの大きさを模式的に示したグラフである。
簡単のため、図19A及び図19Bでは、コイル202のX方向の位置の原点Ocをコイル202(3)とコイル202(4)の中間とし、永久磁石103bRのX方向の中心Omを原点としている。このため、図19A及び図19Bは、OcとOmとが合致した場合、すなわちX=0の場合を示している。
このとき、例えばコイル202(4)に対して働く単位電流当たりの力は、X方向にFx(4,0)、Z方向にFz(4,0)の大きさである。また、コイル202(5)に対して働く単位電流当たりの力は、X方向にFx(5,0)、Z方向にFz(5,0)の大きさである。
ここで、コイル202(1)~202(6)に印加する電流値をそれぞれi(1)~i(6)とする。すると、永久磁石103bRに対して、X方向に働く力の大きさFxfR及びY方向に働く力の大きさFzfRは、それぞれ一般的に次式(9)及び(10)で表される。
FxfR=Fx(1,X)*i(1)+Fx(2,X)*i(2)+Fx(3,X)*i(3)+Fx(4,X)*i(4)+Fx(5,X)*i(5)+Fx(6,X)*i(6) …式(9)
FzfR=Fz(1,X)*i(1)+Fz(2,X)*i(2)+Fz(3,X)*i(3)+Fz(4,X)*i(4)+Fz(5,X)*i(5)+Fz(6,X)*i(6) …式(10)
上記式(9)及び(10)を満足する電流値i(1)~i(6)をそれぞれコイル202(1)~202(6)に印加されるように電流指令値を決定することにより、永久磁石103bRに対してX方向及びZ方向に独立に力を印加することができる。コイル電流算出関数404は、永久磁石103に対してX方向及びZ方向に独立に力を印加するために、上述のようにしてコイル202(j)に印加する電流指令値を決定することができる。
より簡単のため、図19A及び図19Bに示す場合において、永久磁石103bRに対してコイル202(1)~202(6)のうちのコイル202(3)、202(4)、202(5)だけを使う場合を例に考える。この場合、さらにこれら3つの電流値の総和が0となるように制御する。この例の場合、永久磁石103bRに対してX方向に働く力FxfR及びZ方向に働く力FzfRは、それぞれ次式(11)及び(12)により表される。
FxfR=Fx(3,X)*i(3)+Fx(4,X)*i(4)+Fx(5,X)*i(5) …式(11)
FzfR=Fz(3,X)*i(3)+Fz(4,X)*i(4)+Fz(5,X)*i(5) …式(12)
また、コイル202(1)~202(6)の電流値は、次式(13)及び(14)を満足するように設定することができる。
i(3)+i(4)+i(5)=0 …式(13)
i(1)=i(2)=i(6)=0 …式(14)
したがって、永久磁石103bRに対して必要な力の大きさ(FxfR、FzfR)が決定された場合、電流値i(1)、i(2)、i(3)、i(4)、i(5)及びi(6)を一意に決定することができる。こうして決定される電流指令値により可動子101にX方向及びZ方向に力が印加される。可動子101に印加されるX方向の力により、可動子101は、X方向に移動する推進力を得てX方向に移動する。また、こうして決定される電流指令値により可動子101に印加されるX方向及びZ方向の力により、可動子101はその姿勢が制御される。
こうして、統合コントローラ301は、複数のコイル202に印加する電流を制御することにより、可動子101に印加する力の6軸成分のそれぞれを制御する。
なお、可動子101の搬送により永久磁石103bRの中心Omに対してコイル202の中心Ocが移動した場合、すなわちX≠0の場合は、移動した位置に応じたコイル202を選択することができる。さらに、コイル202に発生する単位電流当たりの力に基づいて、上記と同様の計算を実行することができる。
上述のようにして、統合コントローラ301は、複数のコイル202に印加する電流の電流指令値を決定して制御することにより、固定子201上での可動子101の姿勢を6軸で制御しつつ、可動子101の非接触での固定子201上の搬送を制御する。すなわち、統合コントローラ301は、可動子101の搬送を制御する搬送制御手段として機能し、複数のコイル202により永久磁石103が受ける電磁力を制御することにより、固定子201上における可動子101の非接触での搬送を制御する。また、統合コントローラ301は、可動子101の姿勢を制御する姿勢制御手段として機能し、固定子201上における可動子101の姿勢を6軸で制御する。なお、制御装置としての統合コントローラ301の機能の全部又は一部は、コイルコントローラ302その他の制御装置により代替されうる。
このように、本実施形態によれば、2列に配置された複数のコイル202により、可動子101に対して、3軸の力成分(Tx,Ty,Tz)及び3軸のモーメント成分(Twx,Twy,Twz)の6軸の力を印加することができる。これにより、可動子101の姿勢を6軸で制御しつつ、可動子101の搬送を制御することができる。本実施形態によれば、制御すべき変数である力の6軸成分の数よりも少ない列数である2列のコイル202により、可動子101の姿勢の6軸制御しつつ、可動子101の搬送を制御することができる。
したがって、本実施形態によれば、コイル202の列数を少なく構成することができるため、システムの大型化や複雑化を伴うことなく、可動子101の姿勢を制御しつつ、可動子101を非接触で搬送することができる。さらに、本実施形態によれば、コイル202の列数を少なく構成することができるため、安価に小型の磁気浮上型の搬送装置を構成することができる。
また、本実施形態によれば、可動子101に占める第1の部分500と第2の部分501との比率を変更することによって、復元力と推力定数とがトレードオフの関係にあるものの無段階的に必要な性能を得ることができる。例えば、加減速が必要な区間は、復元力を犠牲にして推力定数を向上させることができる。コイル202への通電をやめても、安定な平衡点が欲しい場合は、推力定数を犠牲にして復元力を得ることができる。また、安定な平衡点が必要な個所のみ永久磁石127を配置し、安定な平衡点が不要な個所は、永久磁石127を除去して簡素な構成にすることもできる。こうして、本実施形態によれば、可動子101を固定子201と非接触の状態で安定して搬送することができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態について図20乃至図25を用いて説明する。なお、上記第1実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
第1実施形態では、可動子101のX方向に沿った下面のL側及びR側の端部に、永久磁石108が2列配置されて取り付けられている例を示した。それに対し、本実施形態においては、永久磁石1301Lが、可動子101の上面に取り付けられている例を示す。
本実施形態では、図20に示すように、L側において、永久磁石1301Lが可動子101の上面に取り付けられている。また、L側において、上側から永久磁石1301Lに対向するように永久磁石1303Lが固定子201に取り付けられている。永久磁石1301Lは、ヨーク1302Lを介して可動子101の上面に取り付けられている。永久磁石1303Lは、ヨーク1304Lを介して、固定子201に取り付けられたブラケット1305Lに取り付けられている。なお、R側については、図20中の図示及び説明を省略するが、L側と同様である。
こうして、本実施形態では、永久磁石1303及び永久磁石1301が、可動子101の上側において永久磁石1301が永久磁石1303に下側から対向可能なように配置されている。
可動子101側の永久磁石1301Lと固定子201側の永久磁石1303Lとは、互いに反発する方向に着磁されている。つまり、可動子101側の永久磁石1301Lと固定子側の永久磁石1303Lとは互いに反発しあう。
これにより、本実施形態では、可動子101が上昇すると固定子201に取り付けられた永久磁石1303Lから反発力を受ける構成となっている。すなわち、本実施形態では、永久磁石1303及び永久磁石1301が、永久磁石103に発生する吸引力の向きと永久磁石1301に発生する反発力の向きとが逆方向になるように配置されている。
なお、永久磁石1301は第3の磁石群と称することがある。第3の磁石群を構成する複数の永久磁石1301R、1301Lは第3の磁石と称することがある。第3の磁石は、永久磁石に限られず、電磁石等であっても構わない。
また、永久磁石1303は第1の磁石群と称することがある。第1の磁石群を構成する複数の永久磁石1303R、1303Lは第1の磁石と称することがある。第1の磁石は、永久磁石に限られず、電磁石等であっても構わない。
本実施形態について図21を用いてさらに詳細に説明する。図21は、第1実施形態で説明した図7に対応する図であり、本実施形態において可動子101がZ方向に受ける力を模式的に表した図である。
図7と異なり、図21では、FbがZ+方向に行くに従ってその絶対値が大きくなっている。また、反発力は下向きの力であるので、曲線1102bで示されるFbは図7と異なり図21では第二象限(Fz>0)にある。
図21に示す場合、コイル202と永久磁石103との関係を変えないとすると、Fa-mg(曲線1101b)のプロファイルは図7の場合のFa-mg(曲線1101a)と同じである。一方、Fbの大きさは、Fa-mg(曲線1101b)よりその勾配の変化が大きくなるように構成されている(曲線1102b)。
以上のように互いに反発しあう永久磁石1301、1303を構成すれば、図21に示すように、Z=ZbでそのポテンシャルエネルギーΦZは極小値をとり、Z=Ztで極大値ととる。したがって、Z=Zb近傍で可動子101の位置は安定する。
第2実施形態の場合、第1実施形態と比較してFa-mgの勾配が大きい領域で安定化させる必要があるのでFbの勾配はそれよりさらに大きくなる必要があるため互いに反発しあう永久磁石1301、1303は第1実施形態と比べて大型化しやすい。
しかしながら、本実施形態では、Z=Z0の位置に比べてコイル202に近い側で可動子101の位置が安定するのでZ=Z0又は第1実施形態と比較して推力定数が大きくなる場合がある。したがって、本実施形態では、同じ推力を発生させる場合でも、第1実施形態と比較してより小さな電流をコイル202に流すことで足りる。
一方、本実施形態では、第1実施形態と比較してポテンシャルエネルギーの深さ(矢印1105b)が第1実施形態のポテンシャルエネルギーの深さ(矢印1105a)と比較して小さくなる傾向にあるので、安定化の度合いが小さい。
次に、図22及び図23を用いて、第2実施形態における第1の磁石群を有しない方式と、第1の磁石群を有する方式との接続方法について説明する。第1の磁石群は、本実施形態では前述のとおり永久磁石1303のことである。図22は、搬送方向であるX方向と、重力方向であるZ方向とを可視化した図である。図22には、図20における可動子101の永久磁石103の断面を含む(C)-(C)線に沿った断面図と、同図における可動子101の永久磁石1301の中央の断面を含む(D)-(D)線に沿った断面図とを示している。固定子201には、第1の磁石群を有する部分である第1の部分500と、第1の磁石群を有しない第2の部分501とがある。第2の部分501は、第1の磁石群を有しない方式による部分である。
ここで、本実施形態では、反発力を発生する固定子201の永久磁石1303と、その永久磁石1303に対向して可動子101に取り付けられた永久磁石1301との間の距離を距離504と定義する。また、第1の部分500において、コイル202のコアと、コイル202に対向して可動子101に取り付けられた永久磁石103との間の距離を第1の距離502と定義する。また、第2の部分501において、コイル202のコアと永久磁石103との間の距離を第2の距離503と定義する。
本実施形態による第1の部分500においては、永久磁石1301は、永久磁石1303よって重力と同方向に反発力を受ける。また、永久磁石103は、コイル202のコアと吸引力が働くため、重力に逆らう方向に吸引力を受ける。他方、第2の部分501においては、固定子側の永久磁石1303が存在しないため、可動子101の永久磁石1301は反発力を受けない。したがって、第2の部分501においては、コイル202と永久磁石103の第2の距離503を遠ざけて、反発力に相当する力の量だけ、永久磁石103が受ける吸引力を少なくする必要がある。したがって、第1の距離502に比べて第2の距離503が長い必要がある。
第1の部分500における複数のコイル202に隣接する第2の部分501における複数のコイル202のそれぞれは、第2の距離503が第1の距離502と異なるように配置することができる。具体的には、第2の部分501における複数のコイル202のそれぞれは、第1の距離502に比べて第2の距離503が長くなるように配置することができる。これにより、第2の部分501における各コイル202は、第1の部分500において第1の磁石群(永久磁石127)と第3の磁石群(永久磁石108)との間に生じる磁気反発力を補う反発力補償ユニットとして機能することができる。第2の部分501における各コイル202は、第2の磁石群(永久磁石103)との間で吸引力を発生して磁気反発力を補う。
なお、第2の部分501における各コイル202は、第1の部分500における各コイル202とX方向、Y方向等のZ方向と交差する方向のコア幅が異なるものであっても反発力補償ユニットとして機能することができる。
図23は、本実施形態でのZ方向における力のつり合いを示すグラフである。図23の横軸は可動子101のZ方向の位置を示しており、右側に行くほど、可動子101が上昇することを示す。また、縦軸は力を示しており、値が大きいほど、上昇する方向に力が加わること示す。また横軸の原点は可動子101の位置を基準としている。
本実施形態でも、図9に示す第1実施形態の場合と同様に、まず、第1の磁石群を有する部分である第1の部分500のみに可動子101が存在する状態を考える。曲線513は、可動子101が永久磁石1301によって受ける反発力を示している。曲線511は、可動子101が永久磁石103によって受ける吸引力を示している。曲線514は、曲線513と曲線511との合計であり、可動子101が永久磁石1301と永久磁石103とによって受ける合力を示している。つり合いの目標値を示す直線510と曲線514との交点は、Z0及びZ2の2点存在する。Z0は安定平衡点であり、Z>Z2の範囲で復元力が働く。本グラフでは、安定平衡であるZ0をZの原点としている。それに対しZ2は、不安定平衡点である。したがって、Z2では、コイル202を通電し力を発生させることによって少ない力で安定化させることはできるものの、コイル202の通電をやめると不安定になる。Z0でつり合うか、重力に従って落下することになる。したがって、第1の部分500のみに可動子101が存在する場合、安定平衡点であるZ0を使用することによりコイル202への通電をやめた後も可動子を安定化させることができる。
次に、本実施形態において、第1の磁石群を有しない部分である第2の部分501のみに可動子101が存在する状態を考える。第2の部分501においては、固定子201側の永久磁石1303が存在しないため、反発力が発生しない。したがって、吸引力のみでつり合いをとることになる。反発力の量だけ吸引力を小さくするには、コイル202と永久磁石103の距離を遠ざければ良い。第2の距離503まで、コイル202と永久磁石103との間の距離を遠ざけたとき吸引力を曲線512で示している。曲線512は直線510と1点で交差する。このときの交点をZ0に合わせるように第2の距離503を決定する。第2の部分501においては、Z0は不安定平衡点となる。この場合、Z0では、コイル202を通電し力を発生させることによって少ない力で安定化させることはできるものの、コイル202の通電をやめてしまうと不安定になる。重力に従って落下するか、コイル202のコアに向かって移動しストッパ等止まるまでコイル202のコアに近づくことになる。
まとめると、第1の部分500の吸引力と反発力の合力である曲線514と、第2の部分501の吸引力である曲線512と、つり合いの目標値である直線510とが1点で交差するように第1の距離502及び第2の距離503を決定すればよい。これにより、可動子101が、第1の部分500と第の2部分501との両方を含む位置にいるときでもつり合いが取れることになる。こうして、本実施形態では、第1の磁石群を有しない方式と、第1の磁石群を有する方式とを接続して両者の間においても可動子101を円滑に安定して搬送することができる。
図24は、第2実施形態において、なんらかの機構的な制約のため、固定子201において永久磁石1303とコイル202とが設置されていない区間が存在し、その区間が比較的短い例を示す図である。図24に示す場合、第1の部分500の第2の部分501側の端部では、コイル202が設置されていない。第1の部分500の当該端部に隣接する第2の部分501では、永久磁石127とコイル202とが設置されていない。コイル202と永久磁石103との間の吸引力は、コイル202のコアと永久磁石103が吸引することによって発生するものである。したがって、コイル202のコアに代えて強磁性体505を設置しても、吸引力を発生させることができる。図24は、コイル202が設置されていない第1の部分500と第2の部分501とにわたる区間において、コイル202のコアに代えて強磁性体505a、505bが設置されている場合を示している。なお、図24の上段は図20の(C)-(C)線に沿った断面図に対応し、下段は(D)-(D)線に沿った断面図に対応する。第1の部分500には強磁性体505aが設置され、第2の部分501には強磁性体505bが設置されている。
前述の考えを用いれば、第1の部分500おける強磁性体505aと、可動子101の永久磁石103との第1の距離502は、コイル202と永久磁石103との第1の距離502と同じにすればよい。また、第2の部分501における強磁性体505bと永久磁石103との間の第2の距離503は、図22に示す第2の部分501におけるコイル202と永久磁石103との間の第2の距離503と同じにすればよい。これにより、コイル202のコアに代えて、強磁性体505a、505bを用いた場合においても、可動子101が、第1の部分500と第2の部分501との両方を含む位置にいるときにおいても、つり合いが取れることになる。
こうして、第2の部分501において、強磁性体505bは、第1の部分500において第1の磁石群(永久磁石127)と第3の磁石群(永久磁石108)との間に生じる磁気反発力を補う反発力補償ユニットとして機能することができる。強磁性体505bは、第2の磁石群(永久磁石103)との間で吸引力を発生して磁気反発力を補う。
なお、本実施形態では、曲線514と、曲線512と、直線510とを1点で交差させるために第1の距離502及び第2の距離503を決定する例を示した。しかし、コイル202のコアと永久磁石103の吸引力を調整する手段は、コイル202のコアと永久磁石103の距離のほか、コイル202のコアのX方向の幅、Y方向の幅を変更することでもできる。永久磁石103と対向するコイル202のコアの底面積が増えれば、吸引力が増加するからである。したがって、コイル202のコアと永久磁石103の距離、コイル202のコアのX方向の幅、Y方向の幅のいずれか1つ以上を変更してもよい。同様に、強磁性体505と永久磁石103の吸引力を調整する手段は、強磁性体505と永久磁石103の間の距離、強磁性体505のX方向の幅、Y方向の幅のいずれか1つ以上を変更してもよい。
図25は、本実施形態において、可動子101に占める第1の部分500と第2の部分501との比率によって可動子101の推力定数及び復元力がどのように変化するかの概略を示すグラフである。図25に示すグラフにおいて、横軸は比率を示し、縦軸は推力定数及び復元力を示している。比率0%とは、可動子101に第1の部分500のみが対向して可動子101が第1の部分500のみで占められていることを示す。比率100%とは、可動子101に第2の部分501のみが対向して可動子101が第2の部分501のみで占められていることを示す。第2の部分501が占める比率が大きくなると、コイル202と永久磁石103との間の平均距離が離れるため、推力定数521は小さくなる。復元力522は、比率0%では正であるが、比率100%では負となる。第1の部分500のみで占められている場合は、Z0において安定平衡を持つのに対し、第2の部分501のみで構成された場合は、Z0において安定平衡点とならず不安定平衡点を持つからである。これは、比率が大きくなるにつれて、図23において、曲線514が曲線512に無段階的に変化することを意味している。
本実施形態の場合、コイル202と反発用の永久磁石1301、1303とを互いに近接して配置することが可能であるため、第1実施形態の場合と比較して装置構成をよりコンパクトにすることができる。
また、加工のためのプロセス装置が可動子101の下側に設置された蒸着源140(図2参照)であるような場合、反発しあう永久磁石1301、1303が可動子101の下方に設置されていたのでは、蒸着源140の邪魔になりかねない。これに対して、本実施形態では、可動子101の下側にプロセス装置が設置されているような場合であっても、永久磁石1301、1303を蒸着源140等のプロセス装置の反対側に位置することができるため、より自由度の高い装置設計に有効である。
また、本実施形態によれば、可動子101に占める第1の部分500と第2の部分501との比率を変更することによって無段階的に必要な性能を得ることができる。第2実施形態の場合、第1の磁石群を有する部分である第1の部分500のみに可動子101が存在する場合の方が、第2の部分501のみに可動子101が存在する場合よりも推力定数、復元力ともに大きく有利である。本実施形態では、推力定数及び復元力が不要な区間を、第1の磁石群を有しない部分である第2の部分501とすることで、固定子201側の永久磁石1303を省略することができ、搬送装置1をより簡素な構成にすることができる。
なお、本実施形態においても、図13A、図13B及び図13Cに示す第1実施形態の場合と同様に真空装置を構成することができる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態について図26を用いて説明する。なお、上記第1及び第2実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付し説明を省略し又は簡略にする。
第1実施形態では、可動子101のX方向に沿った下面のL側及びR側の端部に、永久磁石108が2列配置されて取り付けられている例を示した。また、第2実施形態では、可動子101に取り付けられた永久磁石1301Lが下側、固定子201に取り付けられた永久磁石1303Lが上側になるように配置された例を示した。第2実施形態に示した例では、可動子101が上昇すると、可動子101は反発力を受けた。これらに対し、本実施形態では、可動子101に取り付けられた永久磁石1401Lが上側、固定子201に取り付けられた永久磁石1403Lが下側になるように配置された例を示す。本実施形態に示す例では、可動子101が下降すると、可動子101は反発力を受ける。
本実施形態では、図26に示すように、L側において、可動子101の上面に取り付けられた可動子アダプタ105Lに永久磁石1401Lが取り付けられている。また、L側において、固定子201に取り付けられたブラケット1405Lに、下側から永久磁石1401Lに対向するように永久磁石1403Lが取り付けられている。永久磁石1401Lは、ヨーク1402Lを介して可動子アダプタ105Lに取り付けられている。永久磁石1403Lは、ヨーク1404Lを介してブラケット1405Lに取り付けられている。なお、R側については、図26中の図示及び説明を省略するが、L側と同様である。
こうして、本実施形態では、永久磁石1403及び永久磁石1401が、可動子101の上側において永久磁石1401が永久磁石1403に上側から対向可能なように配置されている。
可動子101側の永久磁石1401Lと固定子201側の永久磁石1403Lとは、互いに反発する方向に着磁されている。つまり、可動子101側の永久磁石1401Lと固定子201側の永久磁石1403Lとは互いに反発しあう。
これにより、本実施形態では、可動子101が下降すると固定子201に取り付けられた永久磁石1403Lから反発力を受ける構成となっている。すなわち、本実施形態では、永久磁石1403及び永久磁石1401が、永久磁石103に発生する吸引力の向きと永久磁石1401に発生する反発力の向きとが同方向になるように配置されている。
なお、永久磁石1401は第3の磁石群と称することがある。第3の磁石群を構成する複数の永久磁石1401R、1401Lは第3の磁石と称することがある。第3の磁石は、永久磁石に限られず、電磁石等であっても構わない。
また、永久磁石1403は第1の磁石群と称することがある。第1の磁石群を構成する複数の永久磁石1403R、1403Lは第1の磁石と称することがある。第1の磁石は、永久磁石に限られず、電磁石等であっても構わない。
可動子アダプタ105及び固定子201のブラケット1405Lは、それぞれ永久磁石1401を上側に及び永久磁石1403を下側に配置するためのスペースを要するために大型化しやすい。しかしながら、本実施形態では、可動子101が下降すると固定子側の永久磁石1403Lから反発する力を受けるので、第1実施形態のようにポテンシャルエネルギーΦzを深くすることが容易で可動子101を安定化させやすい。
本実施形態におけるポテンシャルエネルギーΦzは、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。同様に、本実施形態における、第1の磁石群を有しない方式と、第1の磁石群を有する方式との接続方法についても、第1実施形態と同様であるので説明を省略する。これらは、本実施形態において可動子101が永久磁石1401によって受ける反発力の方向が、重力に逆らう方向であり、第1実施形態と同様なためである。
なお、本実施形態においても、図10に示す第1実施形態の場合と同様に、強磁性体505a、505bを設置することができる。また、本実施形態においても、図13A、図13B及び図13Cに示す第1実施形態の場合と同様に真空装置を構成することができる。
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、上記実施形態では、可動子101においてR側及びL側に複数の永久磁石103が配置され、固定子201においてR側及びL側に複数のコイル202が配置された場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。複数のコイル202及び複数の永久磁石103の配置場所は、互いに対向可能な場所であれば適宜変更することができる。
また、上記実施形態では、可動子101においてR側及びL側に複数の永久磁石108が配置され、固定子201においてR側及びL側に複数の永久磁石127が配置された場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。複数の永久磁石108及び複数の永久磁石127の配置場所は、互いに対向可能な場所であれば適宜変更することができる。
また、上記実施形態では、可動子101においてR側及びL側に複数の永久磁石1301が配置され、固定子201においてR側及びL側に複数の永久磁石1303が配置された場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。複数の永久磁石1301及び複数の永久磁石1303の配置場所は、互いに対向可能な場所であれば適宜変更することができる。
また、上記実施形態では、可動子101においてR側及びL側に複数の永久磁石1401が配置され、固定子201においてR側及びL側に複数の永久磁石1403が配置された場合を例に説明したが、これに限定されるものではない。複数の永久磁石1401及び複数の永久磁石1403の配置場所は、互いに対向可能な場所であれば適宜変更することができる。
また、本発明による搬送装置は、電子機器等の物品を製造する製造システムにおいて、物品となるワークに対して各作業工程を実施する工作機械等の各工程装置の作業領域にワークをキャリアとともに搬送する搬送装置として利用することができる。作業工程を実施する工程装置は、ワークに対して薄膜を成膜する成膜装置、ワークに対して部品の組み付けを実施する装置、塗装を実施する装置等、あらゆる装置であってよい。また、製造される物品も特定のものに限定されるものではなく、あらゆる部品であってよい。
このように、本発明による搬送装置を用いてワークを作業領域に搬送し、作業領域に搬送されたワークに対して作業工程を実施して物品を製造することができる。
1 搬送装置
101 可動子
102 ワーク
103 永久磁石
108 永久磁石
127 永久磁石
201 固定子
202 コイル
500 第1の部分
501 第2の部分
530a 真空チャンバ
530b 真空チャンバ
531 ゲートバルブ昇降部
532 ゲートバルブ
1301 永久磁石
1303 永久磁石
1401 永久磁石
1403 永久磁石

Claims (12)

  1. 第1の方向に沿って配置された複数のコイルからなるコイル群と、前記第1の方向に沿って配置され一方向に着磁された複数の第1の磁石からなる第1の磁石群と、を有する固定子と、
    前記複数のコイルに対向可能に配置された複数の第2の磁石からなる第2の磁石群と、前記第1の磁石群と対向可能に配置され、前記第1の磁石群と反発する方向に着磁された複数の第3の磁石からなる第3の磁石群と、を有する可動子と、を有し、
    前記固定子は、前記コイル群と前記第1の磁石群とが対向するように配置された第1の部分と、前記第1の磁石群が配置されていない第2の部分と、を有し、
    前記第2の部分において、前記第1の磁石群と前記第3の磁石群との間に生じる反発力を補う反発力補償ユニットが設けられていることを特徴とする搬送装置。
  2. 前記反発力補償ユニットは、前記第2の磁石群との間で吸引力を発生することを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
  3. 前記複数のコイルは、前記第1の部分に配置された複数の第1のコイルと、前記第2の部分に配置された複数の第2のコイルと、を含み、
    前記第1のコイルは第1のコアを有し、
    前記第2のコイルは第2のコアを有し、
    前記反発力補償ユニットは、前記複数の第2のコイルを有し、
    前記複数の第2のコイルは、前記第1のコアと前記第2の磁石群との間の第1の距離と、前記第2のコアと前記第2の磁石群との間の第2の距離とが異なるように配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送装置。
  4. 前記コイルはコアを有し、
    前記反発力補償ユニットは、強磁性体を有し、
    前記複数の強磁性体は、前記コアと前記第2の磁石群との間の第1の距離と、前記強磁性体と前記第2の磁石群との間の第2の距離とが異なるように配置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の搬送装置。
  5. 前記第1の磁石群及び前記第3の磁石群は、前記第2の磁石群に発生する吸引力の向きと前記第3の磁石群に発生する反発力の向きとが同方向になるように配置され、
    前記第1の距離に比べて前記第2の距離が短いことを特徴とする請求項3又は4に記載の搬送装置。
  6. 前記第1の磁石群及び前記第3の磁石群は、前記可動子の下側において前記第3の磁石群が前記第1の磁石群に上側から対向可能なように配置されていることを特徴とする請求項5に記載の搬送装置。
  7. 前記第1の磁石群及び前記第3の磁石群は、前記可動子の上側において前記第3の磁石群が前記第1の磁石群に上側から対向可能なように配置されていることを特徴とする請求項5に記載の搬送装置。
  8. 前記第1の磁石群及び前記第3の磁石群は、前記第2の磁石群に発生する吸引力の向きと前記第3の磁石群に発生する反発力の向きとが逆方向になるように配置され、
    前記第1の距離に比べて前記第2の距離が長いことを特徴とする請求項3又は4に記載の搬送装置。
  9. 前記第1の磁石群及び前記第3の磁石群は、前記可動子の上側において前記第3の磁石群が前記第1の磁石群に下側から対向可能なように配置されていることを特徴とする請求項8に記載の搬送装置。
  10. 真空チャンバと、
    前記真空チャンバを開閉する弁部と、
    前記真空チャンバの内部に設置された搬送装置と、を有し、
    前記搬送装置は、
    第1の方向に沿って配置された複数のコイルからなるコイル群と、前記第1の方向に沿って配置され一方向に着磁された複数の第1の磁石からなる第1の磁石群と、を有する固定子と、
    前記複数のコイルに対向可能に配置された複数の第2の磁石からなる第2の磁石群と、前記第1の磁石群と対向可能に配置され、前記第1の磁石群と反発する方向に着磁された複数の第3の磁石からなる第3の磁石群と、を有する可動子と、
    を有し、
    前記固定子は、前記コイル群と前記第1の磁石群とが対向するように配置された第1部分と、前記第1の磁石群が配置されていない第2部分と、を有し、
    前記第2部分において、前記第1の磁石群と前記第3の磁石群との間に生じる反発力を補う反発力補償ユニットが設けられ、
    前記反発力補償ユニットは、前記第2の磁石群と対向可能に前記弁部に設置されていることを特徴とする真空装置。
  11. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載された搬送装置と、
    前記可動子により搬送されるワークに対して加工を施す加工装置と
    を有することを特徴とする加工システム。
  12. 請求項1乃至9のいずれか1項に記載の搬送装置によりワークを搬送し、
    搬送された前記ワークに加工を施して物品を製造する
    ことを特徴とする物品の製造方法。
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