JP2022070147A - 含フッ素カルボン酸塩の製造方法及び含フッ素環状化合物の製造方法 - Google Patents

含フッ素カルボン酸塩の製造方法及び含フッ素環状化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、低温条件であっても高い反応性を有し、安定した高い収率で、各種のフッ素化合物に変換することができる含フッ素カルボン酸塩(4)を製造する方法を提供することを目的とする。さらに、このようにして製造される含フッ素カルボン酸塩(4)を用いることにより、低温条件であっても、高い収率で含フッ素環状化合物(5)を製造する方法を提供することを目的とする。【解決手段】含フッ素環状化合物(4)を製造する製造方法であり、含フッ素カルボン酸フッ化物(1)と、アルカリ金属炭酸塩(2)とを、エーテル系化合物(3)の存在下で反応させることを含み、含フッ素カルボン酸フッ素化物(1)の物質量(α)に対するアルカリ金属炭酸塩(2)の物質量(β)の比率(β/α)が、2以下であり、含フッ素カルボン酸フッ素化物(1)の質量(γ)に対するエーテル系化合物(3)の質量(δ)の比率(δ/γ)が、0.55を超えていることを特徴とする、含フッ素カルボン酸塩(4)の製造方法。さらに、当該方法で製造される含フッ素カルボン酸塩(4)を加熱処理することを特徴とする、含フッ素環状化合物(5)の製造方法。【選択図】なし

Description

本発明は、含フッ素カルボン酸塩の製造方法及び含フッ素環状化合物の製造方法に関するものである。
下記一般式(1):
FSOCFXCFOCF(CFY)COF (1)
(式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、又はトリフルオロメチル基であり;Yは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子である。)
で表される含フッ素カルボン酸フッ化物(1)(以下、「化合物(1)」ともいう。)より、
下記一般式(4):
FSOCFXCFOCF(CFY)COM (4)
(式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、又はトリフルオロメチル基であり;Yは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子である。Mは、Na、K、Rb、又はCsである。)
で表される含フッ素カルボン酸塩(4)(以下、「化合物(4)」ともいう。)を製造できることが知られている(特許文献1、非特許文献1)。
特許文献1では、X=F、Y=Fである含フッ素カルボン酸フッ化物(1)と炭酸ナトリウムとを、アセトニトリルの存在下、室温で1時間、40℃で1時間反応させた後、濾過、溶媒除去、減圧下で溶媒を留去することにより、X=F、Y=F、M=Naである含フッ素カルボン酸塩(4)を得る方法が開示されている。
また、得られた含フッ素カルボン酸塩(4)は、各種の有用なフッ素化合物に変換できることも開示されている。その中には、得られたX=F、Y=F、M=Naである含フッ素カルボン酸塩(4)を200℃に加熱することで、下記一般式(6)で示される含フッ素環状化合物(6)が得られることも開示されている。
Figure 2022070147000001
非特許文献1では、X=F、Y=Fである含フッ素カルボン酸フッ化物(1)と炭酸ナトリウムとを、テトラエチレングリコールジメチルエーテルの存在下、30℃以下を維持しながら3時間、40℃で1時間反応させることで、X=F、Y=F、M=Naである含フッ素カルボン酸塩(4)が生成したことを開示している。
また、得られた含フッ素カルボン酸塩(4)は、各種の有用なフッ素化合物に変換できることも開示されている。その中には、得られたX=F、Y=F、M=Naである含フッ素カルボン酸塩(4)を160℃に加熱することで、上記一般式(6)で示される含フッ素環状化合物(6)が得られることも開示されている。
国際公開第2002/062749号
Journal of Fluorine Chemistry 127巻(2006年)1087-1095頁
特許文献1では、X=F、Y=Fである含フッ素カルボン酸フッ化物(1)と、炭酸ナトリウムとを、アセトニトリル溶媒中、室温で1時間、40℃で1時間反応させることにより、X=F、Y=F、M=Naである含フッ素カルボン酸塩(4)が得られているものの、外部環境が低温となる状況においては、同様の反応成績を得るためには、反応溶液を適切な温度に加熱する必要があった。そのため、低温条件であっても、高い反応性を有し、安定した高い収率が得られる製造方法が求められている。
非特許文献1では、X=F、Y=Fである含フッ素カルボン酸フッ化物(1)と、炭酸ナトリウムとを、テトラエチレングリコールジメチルエーテル溶媒中、30℃以下を維持しながら3時間、40℃で1時間反応させることにより、X=F、Y=F、M=Naである含フッ素カルボン酸塩(4)が得られているものの、30℃以下を維持するために冷却を必要とする場合があり、また、冷却に続いて40℃とするために加熱を必要とする場合があるため、操作が煩雑となる場合があった。そのため、煩雑な操作がなくとも低温条件で高い反応性を有し、安定した高い収率が得られる製造方法が求められている。
本発明は、上記事情を鑑みなされたものであり、低温条件であっても高い反応性を有し、安定した高い収率で、各種のフッ素化合物に変換することができる含フッ素カルボン酸塩(4)を製造する方法を提供することを目的とする。さらに、このようにして製造される含フッ素カルボン酸塩(4)を用いることにより、低温条件であっても、高い収率で含フッ素環状化合物(5)を製造する方法を提供することを目的とする。
本発明者は、上述の課題を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、含フッ素カルボン酸フッ化物(1)と、特定のアルカリ金属炭酸塩(2)(以下、「化合物(2)」ともいう。)とを、特定のエーテル系化合物(3)(以下、「化合物(3)」ともいう。)の存在下で反応させる方法において、化合物(1)の物質量(α)に対する化合物(2)の物質量(β)の比率(β/α)、及び化合物(1)の質量(γ)に対する化合物(3)の質量(δ)の比率(δ/γ)を特定範囲とすることで、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
さらに、本発明者は、得られた含フッ素カルボン酸塩(4)を加熱処理して含フッ素環状化合物(5)(以下、「化合物(5)」ともいう。)を製造することにより、上記目的を達成し得ることを見出し、本発明をなすに至った。
即ち、本発明は以下のとおりである。
[1]
下記一般式(4):
FSOCFXCFOCF(CFY)COM (4)
(式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、又はトリフルオロメチル基であり;Yは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子である。Mは、K、Rb、又はCsである。)
で表される含フッ素カルボン酸塩(4)の製造方法であり、
下記一般式(1):
FSOCFXCFOCF(CFY)COF (1)
(式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、又はトリフルオロメチル基であり;Yは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子である。)
で表される含フッ素カルボン酸フッ化物(1)と、
下記一般式(2):
CO (2)
(式中、Mは、K、Rb、又はCsである。)
で表されるアルカリ金属炭酸塩(2)とを、
下記一般式(3):
(OROR (3)
(式中、R、R、Rは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、置換又は無置換のいずれでもよい脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基であり、炭素数は1~10であり;pは、2~10の整数である。)
で表されるエーテル系化合物(3)の存在下で反応させることを含み、
前記化合物(1)の物質量(α)に対する前記化合物(2)の物質量(β)の比率(β/α)が、2以下であり、
前記化合物(1)の質量(γ)に対する前記化合物(3)の質量(δ)の比率(δ/γ)が、0.55を超えている
ことを特徴とする、含フッ素カルボン酸塩(4)の製造方法。
[2]
前記エーテル系化合物(3)が、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、及びジプロピレングリコールジメチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種である、[1]に記載の含フッ素カルボン酸塩(4)の製造方法。
[3]
[1]又は[2]に記載の含フッ素カルボン酸塩(4)の製造方法により得られる含フッ素カルボン酸塩(4)を加熱処理することを特徴とする、
下記一般式(5):
Figure 2022070147000002
(式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、又はトリフルオロメチル基であり;Yは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子である。)
で表される含フッ素環状化合物(5)の製造方法。
本発明によれば、低温条件であっても高い反応性を有し、安定した高い収率で、各種のフッ素化合物に変換することができる含フッ素カルボン酸塩(4)を製造することができる。さらに、このようにして製造される含フッ素カルボン酸塩(4)を用いることにより、低温条件であっても、高い収率で含フッ素環状化合物(5)を製造することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下の本実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
本実施形態の含フッ素カルボン酸塩(4)の製造方法は、
下記一般式(4):
FSOCFXCFOCF(CFY)COM (4)
(式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、又はトリフルオロメチル基であり;Yは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子である。Mは、K、Rb、又はCsである。)
で表される含フッ素カルボン酸塩(4)の製造方法であり、
下記一般式(1):
FSOCFXCFOCF(CFY)COF (1)
(式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、又はトリフルオロメチル基であり;Yは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子である。)
で表される含フッ素カルボン酸フッ化物(1)と、
下記一般式(2):
CO (2)
(式中、Mは、K、Rb、又はCsである。)
で表されるアルカリ金属炭酸塩(2)とを、
下記一般式(3):
(OROR (3)
(式中、R、R、Rは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、置換又は無置換のいずれでもよい脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基であり、炭素数は1~10であり;pは、2~10の整数である。)
で表されるエーテル系化合物(3)の存在下で反応させることを含み、
前記化合物(1)の物質量(α)に対する前記化合物(2)の物質量(β)の比率(β/α)が、2以下であり、
前記化合物(1)の質量(γ)に対する前記化合物(3)の質量(δ)の比率(δ/γ)が、0.55を超えている
ことを特徴とする。
以下、化合物(1)、(2)、及び(3)、並びに化合物(1)から化合物(4)を製造する際の反応条件等の詳細について説明する。
<含フッ素カルボン酸フッ化物(1)(化合物(1))>
含フッ素カルボン酸フッ化物(1)は、下記一般式(1):
FSOCFXCFOCF(CFY)COF (1)
(式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、又はトリフルオロメチル基であり;Yは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子である。)
で表される。
化合物(1)は、1種単独であっても、複数種を組み合わせて用いてもよい。
Xとしては、入手又は製造が容易であり、経済性に優れる傾向にあることから、フッ素原子又はトリフルオロメチル基が好ましく、同様の観点からフッ素原子がより好ましい。
Yとしては、入手又は製造が容易であり、経済性に優れる傾向にあることから、フッ素原子又は塩素原子が好ましく、同様の観点からフッ素原子がより好ましい。
XとYの組み合わせとしては、いずれもフッ素原子(X=F、Y=F)であることが、特に好ましい。
化合物(1)の製造方法としては、特に限定されず、従来公知の方法で製造することができる。例えば、X=F、Y=Fである化合物(1)は、国際公開第1998/43952号に記載の方法により、製造することができる。また、化合物(1)は、例えば、Synquest Laboratories社から購入することもできる。
<アルカリ金属炭酸塩(2)(化合物(2))>
アルカリ金属炭酸塩(2)は、下記一般式(2):
CO (2)
(式中、Mは、K、Rb、又はCsである。)
で表される。
化合物(2)は、1種単独であっても、複数種を組み合わせて用いてもよい。
Mとしては、入手が容易であり、経済性に優れる傾向にあることから、K又はCsが好ましく、同様の観点からKがより好ましい。
化合物(2)は、必要に応じて、含水量を低減させたものを用いることもできる。特に、化合物(1)から化合物(4)を経由して、1回の反応で化合物(5)を製造する際には、副反応を抑制でき、化合物(5)の収率が高まる傾向にあることから、含水量を低減させた化合物(2)を用いることが好ましい。
化合物(2)の含水量を低減させる方法としては、一般的に利用できる方法であれば特に限定されないが、加熱する方法、真空下で加熱する方法、乾燥ガス流通下で加熱する方法などが挙げられる。
加熱する温度は、化合物(2)の含水量を低減できる温度であれば特に限定されないが、化合物(2)の分解を抑制できる傾向にあることから、600℃以下であることが好ましい。過剰な加熱を抑制し、より経済性に優れる傾向にあることから、300℃以下であることがより好ましく、同様の観点から250℃以下であることがさらに好ましく、200℃以下であることが特に好ましい。また、含水量の低減が促進する傾向にあることから、100℃以上であることが好ましく、120℃以上であることがより好ましく、150℃以上であることがさらに好ましい。
乾燥ガスとしては、一般的に用いられる乾燥ガスであれば特に限定されず、乾燥空気、乾燥窒素などが挙げられる。
<エーテル系化合物(3)(化合物(3))>
エーテル系化合物(3)は、下記一般式(3):
(OROR (3)
(式中、R、R、Rは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、置換又は無置換のいずれでもよい脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基であり、炭素数は1~10であり;pは、2~10の整数である。)で表される。
化合物(3)は、1種単独であっても、複数種を組み合わせて用いてもよい。
化合物(3)のR、R、Rは置換又は無置換のいずれでもよい脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基である。
置換基としては、特に限定されないが、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ニトリル基(-CN)、エーテル基(-O-)、カーボネート基(-OCO-)、エステル基(-CO-)、カルボニル基(-CO-)、スルフィド基(-S-)、スルホキシド基(-SO-)、スルホン基(-SO-)、及びウレタン基(-NHCO-)等が挙げられる。
、R、Rとしては、化合物(1)と化合物(2)との反応性を高める観点から、置換又は無置換のいずれでもよい脂肪族炭化水素基が好ましい。入手が容易であり、経済性に優れる傾向にあることから、無置換の脂肪族炭化水素基がより好ましい。
化合物(3)のR、R、Rの炭素数は、1~10である。
化合物(1)と化合物(2)との反応性が高まる傾向にあることから、R、Rの炭素数は6以下であることが好ましく、同様の観点から4以下であることがより好ましい。化合物(2)の安定性が高まる傾向にあることから、R、Rの炭素数は2以下であることがさらに好ましい。同様の観点から、R、Rの炭素数は1であることが特に好ましい。
化合物(1)と化合物(2)との反応性が高まる傾向にあることから、Rの炭素数は2以上であることが好ましい。化合物(1)と化合物(2)の反応性が高まる傾向にあることから、Rの炭素数は6以下であることが好ましく、同様の観点から4以下であることがより好ましい。入手が容易であり、経済性に優れる傾向にあることから、Rの炭素数は3以下であることがさらに好ましい。化合物(1)と化合物(2)の反応性が高まる傾向にあり、経済性に優れる傾向にあることから、Rの炭素数は2であることが特に好ましい。
化合物(3)のpは、2~10の整数である。入手が容易であり、経済性に優れる傾向にあることから、pは10以下であり、6以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましい。化合物(1)と化合物(2)との反応性が高まる傾向にある観点から、pは2以上である。
化合物(3)としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル等が挙げられる。
化合物(1)と化合物(2)の反応性が高まる傾向にあることから、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテルが好ましく、同様の観点から、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテルがより好ましく、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテルがさらに好ましい。
化合物(3)は、必要に応じて、含水量を低減させたものを用いることもできる。特に、化合物(1)から化合物(4)を経由して、1回の反応で化合物(5)を製造する際には、副反応を抑制でき、化合物(5)の収率が高まる傾向にあることから、含水量を低減させた化合物(3)を用いることが好ましい。
含水量が少ない化合物(3)は、購入することもできるし、化合物(3)の含水量を減少させる方法を利用することもできる。化合物(3)の含水量を減少させる方法としては、一般的に利用できる方法であれば特に限定されないが、例えば、脱水剤を利用する方法、蒸留する方法などが挙げられる。
脱水剤としては、一般的に用いられる脱水剤であれば特に限定されないが、水素化ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、塩化カルシウム、塩化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、五酸化二リン、活性アルミナ、シリカゲル、及びモレキュラーシーブなどが挙げられる。脱水剤を用いた場合、化合物(1)と化合物(2)との反応に影響がなければ脱水剤を含んだ化合物(3)を利用してもよいし、ろ過などにより脱水剤を含まない化合物(3)を利用してもよい。
<化合物(1)の物質量(α)に対する化合物(2)の物質量(β)の比率(β/α)>
化合物(1)の物質量(α)に対する化合物(2)の物質量(β)の比率(β/α)は、化合物(4)の収量が増える傾向にあり、化合物(4)を製造する方法の経済性が優れる傾向にあることから、2以下であり、1.8以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましい。
また、化合物(1)の物質量(α)に対する化合物(2)の物質量(β)の比率(β/α)は、化合物(4)の収量が増える傾向にあり、化合物(4)を製造する方法の経済性が優れる傾向にあることから、0.5以上であることが好ましく、0.8以上であることがより好ましい。未反応の化合物(1)が残ることを抑制できる傾向にあることから、1以上であることがさらに好ましい。
<化合物(1)の質量(γ)に対する化合物(3)の質量(δ)の比率(δ/γ)>
化合物(1)の質量(γ)に対する化合物(3)の質量(δ)の比率(δ/γ)は、化合物(1)と化合物(2)との反応性が高まる傾向にあることから、0.55を超える。同様の観点から、δ/γが0.8以上であることが好ましく、δ/γが1以上であることがより好ましい。
化合物(1)の質量(γ)に対する化合物(3)の質量(δ)の比率(δ/γ)の上限は、特に限定されないが、化合物(3)の使用量が低減され、化合物(4)を製造する方法の経済性が優れる傾向にあることから、δ/γが10以下であることが好ましく、同様の観点から、δ/γが7以下であることがより好ましく、δ/γが5以下であることがさらに好ましい。
<化合物(1)と化合物(2)との反応>
化合物(1)と化合物(2)との反応温度は、一般的に用いられる反応温度であれば特に限定されないが、化合物(1)と化合物(2)との反応性が高まる傾向にあることから、-40℃以上であることが好ましく、-20℃以上であることがより好ましい。同様の観点、及び工業的に温度調整する際の経済性に優れる傾向にあることから、0℃以上であることがさらに好ましい。
化合物(1)と化合物(2)との反応温度の上限は、特に限定されないが、化合物(4)の収量が増える傾向にあり、化合物(4)を製造する方法の経済性が優れる傾向にあることから、100℃以下が好ましく、60℃以下であることがより好ましく、40℃以下であることがさらに好ましい。
化合物(1)と化合物(2)との反応温度は、上記範囲であれば一定である必要はなく、途中で変化させてもよい。
化合物(1)と化合物(2)との反応時間は、一般的に用いられる範囲であれば特に限定されないが、化合物(4)の収率の安定性がより高まることから、10分以上であることが好ましく、0.5時間以上であることがより好ましい。過剰な反応時間としないことで、経済性により優れる製造方法となる傾向にあることから、100時間以下であることが好ましく、同様の観点から50時間以下であることがより好ましく、20時間以下であることがさらに好ましい。
化合物(1)と化合物(2)との反応圧力は、通常用いられる範囲であれば特に限定されず、通常は大気圧下で反応が行われる。ただし、化合物(1)及び/又は化合物(3)の種類によっては、標準状態での蒸気圧が低いため、化合物(1)及び/又は化合物(3)を液化させ、再利用しない場合には、大気圧以上の加圧を行うことが有効な手段である。化合物(1)及び/又は化合物(3)を液化させ、再利用する場合には、大気圧以下の減圧であってもよい。
化合物(1)と化合物(2)との反応の圧力は、上記範囲であれば一定である必要はなく、途中で変化させてもよい。
化合物(1)と化合物(2)との反応の雰囲気は、通常用いられる雰囲気であれば特に限定されず、通常は大気雰囲気、窒素雰囲気、及びアルゴン雰囲気等が用いられる。これらの中でも、より安全に化合物(4)を製造できる傾向にあることから、窒素雰囲気及びアルゴン雰囲気が好ましい。また、より経済性に優れる製造方法となる傾向にあることから、窒素雰囲気がより好ましい。
反応雰囲気は、1種単独で用いてもよいし、複数種の反応雰囲気を組み合わせて用いてもよい。
化合物(1)、(2)、(3)を添加する順序は特に限定されないが、化合物(1)と化合物(2)との反応は発熱反応であり、特に化合物(1)、(2)、(3)の使用量が多い場合には、副反応を抑制できる傾向にあることから、化合物(1)と化合物(3)との混合物を化合物(2)に徐々に添加する方法、化合物(1)と化合物(3)との混合物へ化合物(2)を徐々に添加する方法、化合物(2)と化合物(3)との混合物を化合物(1)に徐々に添加する方法、化合物(2)と化合物(3)の混合物へ化合物(1)を徐々に添加する方法が、好ましい方法として例示される。
本実施形態の下記一般式(5):
Figure 2022070147000003
(式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、又はトリフルオロメチル基であり;Yは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子である。)
で表される含フッ素環状化合物(5)の製造方法は、
上述の本実施形態の含フッ素カルボン酸塩(4)の製造方法により得られる含フッ素カルボン酸塩(4)を加熱処理することを特徴とする。
含フッ素環状化合物(5)は、上述の本実施形態の製造方法により得られる化合物(4)を用いることにより製造することができる。
例えば、化合物(4)を製造する際の反応液から化合物(4)を取出し、得られた化合物(4)をそのまま、若しくは反応を促進する化合物(例えば、化合物(3)のようなエーテル系化合物)を加えて加熱処理する方法や、化合物(4)を製造する際の反応液をそのまま加熱処理する方法により、化合物(5)を製造することができる。これらのうち、1回の反応で煩雑な操作がなくとも化合物(1)から化合物(5)を製造することが可能となることから、化合物(4)を製造する際の反応液をそのまま加熱処理する方法により化合物(5)を製造する方法が好ましい。
ここでいう「加熱処理」とは、化合物(4)を製造する際の反応温度以上の温度に化合物(4)を曝すことである。特に、加熱処理する温度と、化合物(4)を製造する際の反応温度とを等しくすることが、温度条件を変えるための煩雑な操作が必要なく、化合物(4)の反応時間の安定性が高まる傾向にあることから好ましい。
具体的には、加熱処理する温度は、化合物(4)を製造する際の反応温度以上の温度であれば特に限定されないが、化合物(4)の反応性が高まる傾向にあることから、40℃以上が好ましく、50℃以上がより好ましく、60℃以上がさらに好ましい。また、加熱処理する温度は、副反応が抑制できる傾向にあることから、160℃以下であることが好ましく、120℃以下がより好ましく、80℃以下であることがさらに好ましい。
加熱処理する温度は、上記範囲であれば一定である必要はなく、途中で変化させてもよい。
加熱処理する時間は、一般的に用いられる範囲であれば特に限定されないが、化合物(5)の収率の安定性がより高まることから、0.5時間以上であることが好ましく、1時間以上であることがより好ましい。過剰な反応時間としないことで、経済性により優れる製造方法となる傾向にあることから、100時間以下であることが好ましく、同様の観点から50時間以下であることがより好ましく、20時間以下であることがさらに好ましい。
加熱処理する圧力は、通常用いられる範囲であれば特に限定されず、通常は大気圧下で行われる。ただし、化合物(3)の種類によっては、標準状態での蒸気圧が低いため、化合物(3)を液化させ、再利用しない場合には、大気圧以上の加圧を行うことが有効な手段である。化合物(3)を液化させ、再利用する場合には、大気圧以下の減圧であってもよい。化合物(5)を蒸発させ、反応液から除き、液化させることで化合物(5)を得る場合には、減圧であってもよい。
加熱処理する圧力は、上記範囲であれば一定である必要はなく、途中で変化させてもよい。
加熱処理する雰囲気は、通常用いられる雰囲気であれば特に限定されず、通常は大気雰囲気、窒素雰囲気、及びアルゴン雰囲気等が用いられる。これらの中でも、より安全に化合物(5)を製造できる傾向にあることから、窒素雰囲気及びアルゴン雰囲気が好ましい。また、より経済性に優れる製造方法となる傾向にあることから、窒素雰囲気がより好ましい。
反応雰囲気は、1種単独で用いてもよいし、複数種の反応雰囲気を組み合わせて用いてもよい。
以上のように、本発明は、低温条件であっても高い反応性を有し、安定した高い収率で、各種のフッ素化合物に変換することができる含フッ素カルボン酸塩(4)を製造することができる。さらに、このようにして製造される含フッ素カルボン酸塩(4)を用いることにより、従来よりも低い温度であっても、高い収率で含フッ素環状化合物(5)を製造することができる。
以下に本実施形態を具体的に説明した実施例を例示する。本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
実施例及び比較例において使用された分析方法は、以下のとおりである。
<核磁気共鳴分析(NMR):19F-NMRによる分子構造解析>
実施例及び比較例で得られた生成物について、19F-NMRを用いて、下記測定条件にて分子構造解析を行った。
[測定条件]
測定装置:JNM-ECZ400S型核磁気共鳴装置(日本電子株式会社製)
観測核:19
溶媒:重クロロホルム
基準物質:テトラメチルシラン(0.00ppm)
観測周波数:400MHz(H)
パルス幅:6.5μ秒
待ち時間:2秒
積算回数:16回
実施例及び比較例で使用した原材料を以下に示す。
(含フッ素カルボン酸フッ化物(1)(化合物(1))
国際公開第1998/43952号に記載の方法に従い、CFCF(COF)OCFCFSOFを製造し、さらに蒸留精製することで、純度>99%のCFCF(COF)OCFCFSOFを得た。
(アルカリ金属炭酸塩(2)(化合物(2))
・炭酸カリウム(富士フィルム和光純薬株式会社製、試薬特級)
・炭酸ルビジウム(Aldrich社製、純度99%)
・炭酸セシウム(Aldrich社製、純度99%)
(エーテル系化合物(3)(化合物(3))
・ジエチレングリコールジメチルエーテル(東京化成工業株式会社製、乾燥したモレキュラーシーブ3A 1/16(富士フィルム和光純薬株式会社製)を加え、脱水し、モレキュラーシーブ3A 1/16を除去することにより調整した。)
・テトラエチレングリコールジメチルエーテル(東京化成工業株式会社製、乾燥したモレキュラーシーブ3A 1/16(富士フィルム和光純薬株式会社製)を加え、脱水し、モレキュラーシーブ3A 1/16を除去することにより調整した。)
(その他)
・炭酸ナトリウム(富士フィルム和光純薬株式会社製、試薬特級)
・アセトン(富士フィルム和光純薬株式会社製、試薬特級)
・ベンゾトリフルオリド(東京化成工業株式会社製)
・1,2-ジメトキシエタン(富士フィルム和光純薬株式会社製、試薬特級)
[実施例1]
試験管(Radley Discovery Technologies社製、RP98059、RP98062)に、攪拌子と炭酸カリウム(0.41g、2.98mmol)を入れ、加熱冷却攪拌装置(東京理化器械株式会社製、PPM-5512型、冷却する際には外部より冷却水を循環させた)に設置し、真空下150℃で5時間乾燥させ、室温に戻し、窒素雰囲気とした。加熱冷却攪拌装置を0℃に設定し、試験管にテトラエチレングリコールジメチルエーテル(1.00g)を加え、攪拌した。続いてCFCF(COF)OCFCFSOF(1.00g、2.89mmol)を10分かけて滴下した。さらに2時間攪拌した後、分析のため、アセトン(4.00g)及びベンゾトリフルオリド(0.10g)を加え、攪拌した。得られた反応混合物を、ろ過し、ろ液を19F-NMRにて分析した。分析の結果、下記一般式(7)で表される含フッ素カルボン酸カリウム塩(7)が生成していた(生成量:1.07g、生成物質量:2.79mmol、生成率:96.6%)。なお、分析においては、ベンゾトリフルオリドの質量、ベンゾトリフルオリドのCF及び含フッ素カルボン酸カリウム塩(7)のCFの積分値より、含フッ素カルボン酸カリウム塩(7)の生成量等を算出した。
また、本実施例では、β/αは1.0であり、γ/δは1.0であった。
KOCCF(CF)OCFCFSOF (7)
19F-NMR:δ(ppm)43.22(1F)、-80.32(1F)、-84.02(3F)、-83.52(1F)、-113.04(2F)、-129.05(1F)
[実施例2]
炭酸カリウムの使用量を0.60g(4.33mmol)とした以外は、実施例1と同様の方法により含フッ素カルボン酸カリウム塩(7)を製造した。分析の結果、含フッ素カルボン酸カリウム塩(7)が生成していた(生成量:1.06g、生成物質量:2.78mmol、生成率:96.1%)。
また、本実施例では、β/αは1.5であり、γ/δは1.0であった。
[実施例3]
テトラエチレングリコールジメチルエーテルの使用量を5.00gとした以外は、実施例1と同様の方法により含フッ素カルボン酸カリウム塩(7)を製造した。分析の結果、含フッ素カルボン酸カリウム塩(7)が生成していた(生成量:1.05g、生成物質量:2.75mmol、生成率:95.2%)。
また、本実施例では、β/αは1.0であり、γ/δは5.0であった。
[実施例4]
加熱冷却攪拌装置の設定を40℃とし、CFCF(COF)OCFCFSOFを10分かけて滴下した後の攪拌時間を0.5時間とした以外は、実施例1と同様の方法により含フッ素カルボン酸カリウム塩(7)を製造した。分析の結果、含フッ素カルボン酸カリウム塩(7)が生成していた(生成量:1.05g、生成物質量:2.74mmol、生成率:94.7%)。
また、本実施例では、β/αは1.0であり、γ/δは1.0であった。
[実施例5]
炭酸カリウムに変えて、炭酸ルビジウム(0.69g、2.98mmol)とし、CFCF(COF)OCFCFSOFを10分かけて滴下した後の攪拌時間を1時間とした以外は、実施例1と同様の方法により含フッ素カルボン酸ルビジウム塩(RbOCCF(CF)OCFCFSOF)を製造した。分析の結果、含フッ素カルボン酸ルビジウム塩が生成していた(生成量:1.19g、生成物質量:2.77mmol、生成率:95.8%)。
また、本実施例では、β/αは1.0であり、γ/δは1.0であった。
[実施例6]
炭酸カリウムに変えて、炭酸セシウム(0.97g、2.98mmol)とし、CFCF(COF)OCFCFSOFを10分かけて滴下した後の攪拌時間を1時間とした以外は、実施例1と同様の方法により含フッ素カルボン酸セシウム塩(CsOCCF(CF)OCFCFSOF)を製造した。分析の結果、含フッ素カルボン酸セシウム塩が生成していた(生成量:1.32g、生成物質量:2.78mmol、生成率:96.2%)。
また、本実施例では、β/αは1.0であり、γ/δは1.0であった。
[実施例7]
テトラエチレングリコールジメチルエーテルに変えて、ジエチレングリコールジメチルエーテル(1.00g)とした以外は、実施例1と同様の方法により含フッ素カルボン酸カリウム塩(7)を製造した。分析の結果、含フッ素カルボン酸カリウム塩(7)が生成していた(生成量:1.06g、生成物質量:2.76mmol、生成率:95.6%)。
また、本実施例では、β/αは1.0であり、γ/δは1.0であった。
[比較例1]
炭酸カリウムに変えて、炭酸ナトリウム(0.32g、2.98mmol)とした以外は、実施例1と同様の方法により含フッ素カルボン酸ナトリウム塩(NaOCCF(CF)OCFCFSOF)を製造した。分析の結果、含フッ素カルボン酸ナトリウム塩が生成していた(生成量:0.13g、生成物質量:0.35mmol、生成率:12.1%)。
また、本実施例では、β/αは1.0であり、γ/δは1.0であった。
[比較例2]
炭酸ナトリウムの使用量を0.46g(4.33mmol)とし、テトラエチレングリコールジメチルエーテルの使用量を5.00gとした以外は、比較例1と同様の方法により含フッ素カルボン酸ナトリウム塩を製造した。分析の結果、含フッ素カルボン酸ナトリウム塩が生成していた(生成量:0.21g、生成物質量:0.59mmol、生成率:20.3%)。
また、本実施例では、β/αは1.5であり、γ/δは5.0であった。
[比較例3]
特許文献1の実施例1を参考に、次のように実施した。
試験管(Radley Discovery Technologies社製、RP98059、RP98062)に、攪拌子と炭酸ナトリウム(0.92g、8.67mmol)を入れ、加熱冷却攪拌装置(東京理化器械株式会社製、PPM-5512型、冷却する際には外部より冷却水を循環させた)に設置し、真空下150℃で5時間乾燥させ、室温に戻し、窒素雰囲気とした。加熱冷却攪拌装置を30℃に設定し、試験管にアセトニトリル(3.38g)を加え、攪拌した。続いてCFCF(COF)OCFCFSOF(3.00g、8.67mmol)を10分かけて滴下し、1時間攪拌した。加熱冷却攪拌装置を40℃に設定し、さらに1時間攪拌した。室温に戻した後、分析のため、ベンゾトリフルオリド(0.30g)を加え、攪拌した。得られた反応混合物を、ろ過し、ろ液を19F-NMRにて分析した。分析の結果、含フッ素カルボン酸ナトリウム塩が生成していた(生成量:2.61g、生成物質量:7.13mmol、生成率:82.3%)。
また、本実施例では、β/αは1.0であり、γ/δは1.1であった。
[比較例4]
非特許文献1を参考に、次のように実施した。
試験管(Radley Discovery Technologies社製、RP98059、RP98062)に、攪拌子と炭酸ナトリウム(1.06g、9.96mmol)を入れ、加熱冷却攪拌装置(東京理化器械株式会社製、PPM-5512型、冷却する際には外部より冷却水を循環させた)に設置し、真空下150℃で5時間乾燥させ、室温に戻し、窒素雰囲気とした。加熱冷却攪拌装置を30℃に設定し、試験管にテトラエチレングリコールジメチルエーテル(3.24g)を加え、攪拌した。続いてCFCF(COF)OCFCFSOF(3.00g、8.67mmol)を10分かけて滴下し、3時間攪拌した。加熱冷却攪拌装置を40℃に設定し、さらに1時間攪拌した。室温に戻した後、分析のため、ベンゾトリフルオリド(0.30g)、アセトン(12.00g)を加え、攪拌した。得られた反応混合物を、ろ過し、ろ液を19F-NMRにて分析した。分析の結果、含フッ素カルボン酸ナトリウム塩が生成していた(生成量:2.37g、生成物質量:6.48mmol、生成率:74.7%)。
また、本実施例では、β/αは1.1であり、γ/δは1.1であった。
以上のように、実施例では、低温条件であっても高い反応性を有し、安定した高い収率で、各種のフッ素化合物に変換することができる含フッ素カルボン酸塩(4)を製造することができた。
[実施例8]
試験管(Radley Discovery Technologies社製、RP98059、RP98062)に、攪拌子と炭酸カリウム(0.41g、2.98mmol)を入れ、加熱冷却攪拌装置(東京理化器械株式会社製、PPM-5512型、冷却する際には外部より冷却水を循環させた)に設置し、真空下150℃で5時間乾燥させ、室温に戻し、窒素雰囲気とした。加熱冷却攪拌装置を0℃に設定し、試験管にテトラエチレングリコールジメチルエーテル(1.00g)を加え、攪拌した。続いてCFCF(COF)OCFCFSOF(1.00g、2.89mmol)を10分かけて滴下した。さらに2時間攪拌した後、加熱冷却攪拌装置を60℃に設定し、2時間攪拌した。室温に冷却後、分析のため、アセトン(4.00g)及びベンゾトリフルオリド(0.10g)を加え、攪拌した。得られた反応混合物を、ろ過し、ろ液を19F-NMRにて分析した。分析の結果、下記一般式(8)で表される含フッ素環状化合物(8)が生成していた(生成量:0.78g、生成物質量:2.77mmol、生成率:95.8%)。なお、分析においては、ベンゾトリフルオリドの質量、ベンゾトリフルオリドのCF及び含フッ素環状化合物(8)のCFの積分値より、含フッ素環状化合物(8)の生成量等を算出した。
また、本実施例では、β/αは1.0であり、γ/δは1.0であった。
Figure 2022070147000004
19F-NMR:δ(ppm)-124.7(1F)、-120.6(1F)、-115.4(1F)、-90.1(1F)、-80.5(3F)、-78.0(1F)
[実施例9]
試験管(Radley Discovery Technologies社製、RP98059、RP98062)に、攪拌子と炭酸カリウム(0.41g、2.98mmol)を入れ、加熱冷却攪拌装置(東京理化器械株式会社製、PPM-5512型、冷却する際には外部より冷却水を循環させた)に設置し、真空下150℃で5時間乾燥させ、室温に戻し、窒素雰囲気とした。加熱冷却攪拌装置を0℃に設定し、試験管にテトラエチレングリコールジメチルエーテル(1.00g)を加え、攪拌した。続いてCFCF(COF)OCFCFSOF(1.00g、2.89mmol)を10分かけて滴下した。さらに2時間攪拌した後、加熱冷却攪拌装置の80℃に設定し、1時間攪拌した。室温に冷却後、分析のため、アセトン(4.00g)及びベンゾトリフルオリド(0.10g)を加え、攪拌した。得られた反応混合物を、ろ過し、ろ液を19F-NMRにて分析した。分析の結果、含フッ素環状化合物(8)が生成していた(生成量:0.78g、生成物質量:2.77mmol、生成率:96.0%)。なお、分析においては、ベンゾトリフルオリドの質量、ベンゾトリフルオリドのCF及び含フッ素環状化合物(8)のCFの積分値より、含フッ素環状化合物(8)の生成量等を算出した。
また、本実施例では、β/αは1.0であり、γ/δは1.0であった。
[実施例10]
試験管(Radley Discovery Technologies社製、RP98059、RP98062)に、攪拌子と炭酸カリウム(0.41g、2.98mmol)を入れ、加熱冷却攪拌装置(東京理化器械株式会社製、PPM-5512型、冷却する際には外部より冷却水を循環させた)に設置し、真空下150℃で5時間乾燥させ、室温に戻し、窒素雰囲気とした。加熱冷却攪拌装置を60℃に設定し、試験管にテトラエチレングリコールジメチルエーテル(1.00g)を加え、攪拌した。続いてCFCF(COF)OCFCFSOF(1.00g、2.89mmol)を10分かけて滴下した。さらに2時間攪拌した後、室温に冷却し、分析のため、アセトン(4.00g)及びベンゾトリフルオリド(0.10g)を加え、攪拌した。得られた反応混合物を、ろ過し、ろ液を19F-NMRにて分析した。分析の結果、含フッ素環状化合物(8)が生成していた(生成量:0.77g、生成物質量:2.74mmol、生成率:94.8%)。なお、分析においては、ベンゾトリフルオリド及び含フッ素環状化合物(8)の質量、並びにベンゾトリフルオリドのCF及び含フッ素環状化合物(8)のCFの積分値より、含フッ素環状化合物(8)の生成量等を算出した。
また、本実施例では、β/αは1.0であり、γ/δは1.0であった。
[実施例11]
攪拌翼を取り付けたメカニカルスターラー(東京理化器械株式会社製、ZZ-1020)、滴下漏斗、受器を取り付けたリービッヒ冷却管、温度センサーを取り付けた温度計保護管を備えた1L二重管式反応容器(旭製作所製)に、あらかじめ真空下150℃で5時間乾燥させた炭酸カリウム(142.8g、1.03mol)を入れ、窒素雰囲気とした後、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(336.3g)を加え、攪拌した。1L二重管式反応容器に、循環恒温槽(LAUDA社製、RE1050G)を接続し、0℃に設定し、反応容器内容物の温度が安定するまで待った。続いてCFCF(COF)OCFCFSOF(311.4g、0.90mol)を1時間かけて滴下した。リービッヒ冷却管に0℃に設定した冷却水循環装置(アズワン株式会社製、LTC-450a)を接続し、受器を氷冷した後、循環恒温槽の設定を120℃とすると、徐々に揮発成分の留去が始まり、受器に液体(244.0g)が捕集された。得られた液体(0.10g)と、分析のため、ベンゾトリフルオリド(0.03g)及び1,2-ジメトキシエタン(1.00g)とを混合し、19F-NMRにて分析した。分析の結果、得られた液体は含フッ素環状化合物(8)であった(生成量:244.0g、生成物質量:0.87mol、生成率:96.8%)。
また、本実施例では、β/αは1.1であり、γ/δは1.1であった。
以上のように、実施例は、低温条件であっても、高い収率で含フッ素環状化合物(5)を製造することができた。
本発明によれば、低温条件であっても高い反応性を有し、安定した高い収率で、各種の有用なフッ素化合物に変換することができる含フッ素カルボン酸塩(4)を製造することができる。さらに、このようにして製造される含フッ素カルボン酸塩(4)を用いることにより、低温条件であっても、高い収率で含フッ素環状化合物(5)を製造することができる。そのため、本発明は、各種フッ素含有化合物、イオン交換樹脂、イオン交換膜、食塩電解膜、燃料電池膜、レドックスフロー電池用膜、水電解用膜等の原料の製造において好適に用いることができる。

Claims (3)

  1. 下記一般式(4):
    FSOCFXCFOCF(CFY)COM (4)
    (式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、又はトリフルオロメチル基であり;Yは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子である。Mは、K、Rb、又はCsである。)
    で表される含フッ素カルボン酸塩(4)の製造方法であり、
    下記一般式(1):
    FSOCFXCFOCF(CFY)COF (1)
    (式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、又はトリフルオロメチル基であり;Yは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子である。)
    で表される含フッ素カルボン酸フッ化物(1)と、
    下記一般式(2):
    CO (2)
    (式中、Mは、K、Rb、又はCsである。)
    で表されるアルカリ金属炭酸塩(2)とを、
    下記一般式(3):
    (OROR (3)
    (式中、R、R、Rは、それぞれ同一でも異なっていてもよく、置換又は無置換のいずれでもよい脂肪族炭化水素基又は芳香族炭化水素基であり、炭素数は1~10であり;pは、2~10の整数である。)
    で表されるエーテル系化合物(3)の存在下で反応させることを含み、
    前記含フッ素カルボン酸フッ化物(1)の物質量(α)に対する前記アルカリ金属炭酸塩(2)の物質量(β)の比率(β/α)が、2以下であり、
    前記含フッ素カルボン酸フッ化物(1)の質量(γ)に対する前記エーテル系化合物(3)の質量(δ)の比率(δ/γ)が、0.55を超えている
    ことを特徴とする、含フッ素カルボン酸塩(4)の製造方法。
  2. 前記エーテル系化合物(3)が、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールイソプロピルメチルエーテル、ジエチレングリコールブチルメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールブチルメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、及びジプロピレングリコールジメチルエーテルからなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載の含フッ素カルボン酸塩(4)の製造方法。
  3. 請求項1又は2に記載の含フッ素カルボン酸塩(4)の製造方法により得られる含フッ素カルボン酸塩(4)を加熱処理することを特徴とする、
    下記一般式(5):
    Figure 2022070147000005
    (式中、Xは、フッ素原子、塩素原子、又はトリフルオロメチル基であり;Yは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、又はヨウ素原子である。)
    で表される含フッ素環状化合物(5)の製造方法。
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