JP2022065828A - 移動体による電力取引のための入札条件決定装置及び電力取引システム - Google Patents

移動体による電力取引のための入札条件決定装置及び電力取引システム Download PDF

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Abstract

【課題】 P2P電力取引に於いて、電動車等が取引コストで有利な条件で参加でき、電力需要家の電力ピークカットにも寄与できるようにする。【解決手段】 移動体の電力取引市場に於ける入札条件決定装置は、移動体が電力需要家へ直接に電力を調達する電力の約定を行う直接取引市場にて、時間帯毎の電力需要家の電力需要量の予測値と移動体から融通可能な電力量とに基づいて決定された移動体からの入札電力量の上限値と、電力需要家の電力量の買取価格の予測値とに基づき、移動体の電力取引に於ける利益が最大となる最適条件を決定し、その条件に於ける時間帯毎に決定された電力取引市場に於ける決定された売買価格と充放電電力量との入札を入札条件として決定する。電力取引システムは、移動体の入札条件決定装置により決定された条件の入札を受容する。【選択図】 図3

Description

本発明は、電力の売買取引のためのシステム(電力取引システム)にかかり、より詳細には、自動車等の移動体が、電力のP2P(Peer to Peer)取引が実施される市場にて、電力を売買するための入札を行うための入札条件の決定装置及び移動体が電力取引を行うための電力取引システムに係る。
電力の自由化により、電力の市場での売買取引が可能となり、更に、電力会社に限らず、電力資源を有する個人・法人と別の個人・法人である需要家との間で直接に電力の売買取引を行うP2P(Peer to Peer)電力取引の導入が検討され、これに伴い、電力の自由化後の新しい電力の売買取引形態のための種々の技術が提案されている。例えば、特許文献1に於いては、工場等の大電力需要施設で電気自動車のバッテリに蓄えられた電力を活用するための電力マネジメントシステムであって、工場内設備の工場内負荷での消費電力が最大となる期間に、工場内設備に接続された電気自動車の走行の駆動源となるバッテリ又は工場内設備内の定置蓄電池を放電させ、その電力を系統電力に補填することで、系統電力の使用電力が所定電力を越えないようにするシステム(工場内設備に於ける電力のピークカットを行うシステム)が提案されている。特許文献2に於いては、所定地域に点在する電気自動車及び需要家を含むグループ全体の電力取引による収益を最大化する電力取引量を算出することが可能な電力取引量最適化装置が提案され、そこに於いては、電気自動車が関わる電力取引において電気自動車の電力需要を満たす制約条件、需要家が関わる電力取引において需要家の電力需要を満たす制約条件、電気自動車及び需要家が所定地域の送配電網を使って電力取引相手と電力取引する場合に生じる電力取引可能量の制約条件に基づいて、グループ全体の電力取引による収益の最大化を目的関数とする最適化計算を行い、グループ内の電気自動車及び需要家が、電力取引相手と取引する電力取引量を算出する構成が開示されている。特許文献3に於いては、小規模の個人住宅から企業及び自治体等の電力を適正な固定価格で売買することが可能となり、その電力に含まれる環境価値の利用を確立しながら電力と環境価値の双方を取引することが可能とするための電力取引プラットフォームとして、一般消費者と第1需要家に対し蓄電池を具備させ、各需要家等及び発電家と日本卸電力取引所の各コンピュータと、運営事業者のサーバーとをP2Pのコンピュータネットワークを介して対等に接続し、各需要家等の各コンピュータに、スマートメータとHEMSと直交流変換器を接続すると共に、これらを制御可能に構成し、各需要家等が電力ネットワークを経由して売買した電力は、ブロックチェーン技術に基づいた分散型台帳によって管理する、という構成が提案されている。特許文献4には、再エネ電力のトレーサビリティを担保する技術として、ブロックチェーンにおいて発行されたトークンを記録する運営者アカウント、電力の供給者の供給者アカウントおよび電力の需要者の需要者アカウントがブロックチェーンに管理され、取引履歴生成装置が、需要者ごとに需要者が希望する電力の調達先となる供給者を含む調達先情報を記憶し、発電装置によって発電される電力のうち所定の電力ネットワークに送電された供給量を取得し、供給量に応じた量のトークンを運営者のアカウントから供給者アカウントに送付し、電力ネットワークを介して需要者が供給者から受電した需要量を取得し、供給量、需要量および調達先情報に基づいて、供給者、需要者および供給者から需要者に送られた送電量を計算し、送電量に応じた量のトークンを、対応する供給者のアカウントから需要者アカウントに送付する、という構成の電力取引履歴生成システムが提案されている。
特開2012-196028 特開2020-43634 特開2020-9334 特開2020-91529
ところで、電気自動車やハイブリッド車などの大容量の蓄電池を搭載した車両(以下、総じて「電動車」と称する。)の普及に伴い、電動車を蓄電手段として利用することが提案され、実施されつつある。実際、上記の特許文献1の如く、工場内設備の工場内負荷での消費電力が最大となる期間に、電動車に指令を出してそのバッテリを工場内の電力ラインに接続し放電させることで、電力の補填が可能となっている。そして、電動車は、所有者の都合により、任意の場所に移動でき、充放電が可能であるので、一般の個人又は法人が、電動車を用いて、上記の如きP2P電力取引に於いて電力の売買が可能となることは有用である。
上記の如く、特に、電動車等の移動体を用いた電力の売買のP2P取引が行われる場合に、市場の形態としては、「一般取引市場」と、「直接取引市場」とが考えられている。「一般取引市場」とは、電力の売り手から系統電力網(電力会社による大規模な発電所から電力を供給するための電力網)の送電線を介して買い手へ調達される電力の約定を行う市場であり、「直接取引市場」とは、電力取引の一方が電動車などの移動体をもう一方の場所へ移動して直接に電力の伝送を行う場合の約定を行う市場である。かかる電力取引市場の形態に関して、工場、商業施設、鉄道駅、空港などの大量の電力を消費する大規模電力需要家にとっては、直接取引市場を通じて系統電力網の送電線を使用しない電力の調達が可能となることは、電力コストを低減する上で非常に有用となる。一般に、系統電力網を通じて電力を調達する場合(一般取引市場にて電力調達を行う場合も含む。)、電力料金における基本料金が過去1年間での需要電力量の最大値によって決定されるので、需要家は、電力コストの低減のために、系統電力網から受電する電力需要量の最大値の抑制を図ることとなる。しかしながら、電力需要量が過渡的に増大してしまうことがあるので、その場合、特に、大規模電力需要家などは、単位時間幅当たり(通常、30分当たり)の使用電力量が適宜設定した所定値を超える時間帯(ピーク時間帯)には、電力量の超過分を系統電力網の送電線以外から調達し、系統電力網の送電線からの電力の受電量を所定値以下に抑えるピークカットと称される処置を取る場合がある。かかるピークカット処置を実行する場合、電力量の所定値に対する超過分は、別に準備しておいた蓄電池や発電機からの電力で賄われることが一般的であるところ、蓄電池や発電機は高価格であり、大規模電力需要家などのピーク時の電力量が大きく、所定値に対する超過分も大きくなると、電力ピークを十分に下げるための蓄電池や発電機の設備導入には、多大な導入コストを要することとなる。一方、ピークカット時に、上記の如く、直接取引市場にて約定された電力を系統電力網の送電線を使わずに調達できるようになっていれば、蓄電池や発電機等の設備導入が不要となり、有利となる。
上記の如く、電力の需要規模の大きい電力需要家に於けるピークカット処置に於ける電力の調達のために、直接取引市場を通じて電力需要家が電動車等の移動体との電力取引の約定を企図する場合には、移動体に於ける電力の調達に関わる損益或いはコストも考慮することが好ましいであろう。例えば、電力需要家の電力のピークカット処置の際に、移動体の蓄電池の電力の利用を企図していても、移動体(の所有者)が直接取引市場を通じた電力需要家に対する放電に於けるコスト上のメリットを見出すことができなければ、その電力需要家の入札している直接取引市場に電動車が余り集まらず、結局、利用可能な電力量が、電力需要家の管轄し得る範囲の電動車の残存蓄電量の合計に制限されてしまうといったこととなろう。即ち、電力需要家が、電力ピークカット処置の際に、直接取引市場を介して系統電力網の送電線以外からの電力を調達できるようにするためには、移動体の電力取引がその余剰電力の供給先として電力需要家に対して放電を行うかどうかや放電量などの選択の自由が与えられたインセンティブによる経済活動の一環であることを踏まえて、直接取引市場に於いて、移動体の所有者に電力需要家の状況に応じた電力取引のメリットが把握できるように電力取引システムのための構成を構築することで、最適化された経済活動としての効率的な電力の売買取引が達成できることが期待される。
かくして、本発明の一つの課題は、P2P電力取引において電動車等の移動体が電力の売買取引に於けるコストを考慮して有利な条件の電力売買取引に参加できるようにする構成を提供することである。
本発明の更に一つの課題は、P2P電力取引において、電動車等の移動体が電力コストを最小化しながら、電力需要家の電力ピークカットにも寄与することができる構成を提供することである。
本発明のもう一つの課題は、電力需要家の電力ピークカット処置が実施される場合などの電力の需要状況に応じて、電動車等の移動体が電力の売買取引に於けるコスト又はメリットを考慮して電力の直接取引市場に入札するかどうかを決定できるようにする構成を提供することである。
上記の課題は、本発明の一つの態様によれば、移動体の、少なくとも一つの電力取引市場に於ける電力量の売買取引のための入札条件を決定する装置であって、
単位時間帯毎の前記移動体の蓄電池に於ける入札電力量上限値を決定する入札電力量上限値決定手段と、
前記単位時間帯毎の電力取引市場毎の電力量の売買価格を予測する電力量売買価格予測手段と、
前記入札電力量上限値決定手段による前記入札電力量上限値と、前記電力量売買価格予測手段による前記電力量の売買価格の予測値とに基づいて、少なくとも一つの前記単位時間帯に亙る前記移動体の蓄電池にて充放電可能な電力量の範囲での前記移動体による前記電力取引市場に於ける電力量の売買による損益を表わす指標値に於いて利益が最大となる最適条件を検出することにより、前記最適条件に於ける前記単位時間帯毎の電力取引市場と売買価格と前記移動体の蓄電池にて充放電される電力量とを決定する充放電最適化手段と、
前記少なくとも一つの電力取引市場に於ける入札条件として、前記単位時間帯毎に、前記充放電最適化手段により決定された電力取引市場に於いて、前記充放電最適化手段により決定された売買価格と充放電電力量との入札をすることを決定する入札条件決定手段と
を含み、
前記少なくとも一つの電力取引市場に於いて、前記移動体が電力需要家へ直接に電力を調達する電力取引の約定を行う直接取引市場が選択可能であり、
前記電力量売買価格予測手段が、前記電力量の売買価格の予測値として前記直接取引市場に於ける前記電力需要家の前記単位時間帯毎の電力量の買取価格を予測するよう構成され、
前記入札電力量上限値決定手段が、前記電力需要家に於ける少なくとも一つの単位時間帯に亙る電力需要量を予測する手段を含み、その電力需要量の予測値と前記移動体からの融通可能な電力量とに基づいて前記単位時間帯毎の前記入札電力量上限値を決定するよう構成されている装置
により達成される。
上記の構成に於いて、「移動体」とは、外部と充放電可能な蓄電池を搭載した電気自動車、ハイブリッド車などの電動車などの車両、或いはその他の移動体であってよい。「電力取引市場」とは、ここに於いて、移動体が入札を通じて電力の売買取引が可能な市場であってよく、上記の如く、電力の売り手から系統電力網の送電線を介して買い手へ調達される電力の約定を行う一般取引市場と、電力取引の一方が電動車などの移動体をもう一方の場所へ移動して直接に電力の伝送を行う場合の約定を行う直接取引市場とが含まれてよい(従って、直接取引市場では、電力の売り手が電動車などの移動体であるときには、電力の売り手が移動体を買い手の場所へ移動して直接に調達する電力の約定が行われることとなる。)。本発明の装置に於いて、移動体の入札先として選択可能な電力取引市場は、1箇所以上であってよい。「電力量の売買取引のための入札条件」に於いては、電力の調達を行う時間帯と、その時間帯に於ける単位時間帯毎の電力量と、その電力量の調達に対する単位時間帯毎の売買価格(本明細書に於いて、「価格」と言う場合には、特に断らない限り、単位電力量当たりの価格又は取引される電力量に対する価格であってよい。)とが条件となり、市場に於いては、電力の売り手の入札条件と電力の買い手の入札条件とが略合致すると、電力取引の約定が為されることとなる(単位時間帯とは、電力調達の行われる時間を、電力取引市場に於いて設定された所定の時間長さ毎に区切って得られる時間帯の一つを示している。現在、日本に於いては、24時間を48区分に区切っているので、一つの単位時間帯の長さは、30分間である。)。「入札電力量上限値決定手段」の決定する「単位時間帯毎の前記移動体の蓄電池に於ける入札電力量上限値」とは、単位時間帯毎に設定される移動体の蓄電池からの放電される電力量の上限値、即ち、入札時に設定される電力量の上限値、であり、電力の調達先などの条件や後述の電力の調達時に考慮する条件によって変更される量である。また、放電される電力量の上限値であるので、後述の入札条件決定手段にて決定される入札条件に於ける単位時間帯毎の電力量は、かかる入札電力量上限値以下に決定されることとなる。「単位時間帯毎の電力取引市場毎の電力量の売買価格」とは、入札先となり得る少なくとも一つ、通常は、複数存在する電力取引市場に於いて売り手と買い手とから入札される電力量の売買価格であり、「電力量売買価格予測手段」は、かかる少なくとも一つの電力取引市場での電力量の売買価格を任意の手法にて予測する手段である。売買価格の予測値は、具体的には、例えば、時期、時間帯、天気や気温を含む気候条件などを参照条件として、同様の参照条件に於ける過去の電力取引に於ける売買価格の実績、気配値などに基づいて適宜決定されてよい。なお、売買価格の予測値は、電力取引市場毎に及び単位時間帯毎に異なる値が予測されてよい。
また、上記の装置の構成に於いて、「充放電最適化手段」は、上記の如く、「入札電力量上限値」と「電力量の売買価格の予測値」とに基づいて、少なくとも一つの単位時間帯に亙る移動体の蓄電池にて充放電可能な電力量の範囲での移動体による電力取引市場に於ける電力量の売買による損益を表わす指標値に於いて利益が最大となる最適条件(「利益が最大となる」とは、取引の損益に於いて損失が利益よりも大きいときには、損失が最小となることを意味するものとする。)を検出する。ここに於いて、「移動体の蓄電池にて充放電可能な電力量の範囲」とは、移動体の蓄電池に於ける蓄電容量と蓄電量とを応じた放電可能な電力量と充電可能な電力量である。即ち、放電可能な電力量の範囲とは、蓄電池に於ける蓄電量からSOC(State Of Charge)の下限値までの電力量の範囲であり、充電可能な電力量の範囲とは、蓄電池に於ける蓄電量からSOCの上限値までの電力量の範囲である。なお、充放電可能な電力量の範囲は、移動体の移動などの使用に要する電力量を考慮して決定されてよい。「電力量の売買による損益」とは、電力の取引によって発生する損益であり、具体的には、売買電力量に売買価格を乗じて得られる量の損益であってよい。充放電最適化手段では、少なくとも一つの時間帯に亙って、一時に一つの電力取引市場を選択する条件下で、単位時間帯毎及び電力取引市場毎に予測された売買価格にて、売買する電力量を種々変更しながら、「電力量の売買による損益」を算出して、最大の利益を与える最適条件の探索が行われ、かかる最適条件に於ける電力取引市場と売買価格と時間帯毎の移動体の蓄電池にて充放電される電力量とが決定されることとなる。
そして、特に、上記の本発明の装置の構成に於いては、少なくとも一つの電力取引市場として、直接取引市場が含まれているときに、電力需要家の少なくとも一つの時間帯に於ける電力量の買取価格が予測されるとともに、電力需要家に於ける時間帯毎の電力需要量が予測されることとなる。ここで、「電力需要家」とは、電力を需要する個人、施設などであってよく、特に、大規模電力需要家は、工場、商業施設、鉄道駅、空港などの大量の電力を消費する需要家である。また、「電力量の買取価格」とは、電力需要家が電力の売り手から電力を買い取る際の売買価格である。そして、電力需要家に於ける時間帯毎の電力需要量の予測は、任意の手法にて為されてよく、電力需要量の予測値は、具体的には、例えば、時期、時間帯、天気や気温を含む気候条件などを参照条件として、同様の参照条件に於ける過去の電力需要家に於ける電力需要量の実績などに基づいて適宜決定されてよい。電力需要家に於ける時間帯毎の電力需要量の予測値は、入札電力量上限値決定手段に於いて、移動体からの融通可能な電力量と共に参照され、単位時間帯毎の入札電力量上限値に電力需要家に於ける時間帯毎の電力需要量の予測値が反映されることとなる。なお、「移動体からの融通可能な電力量」とは、移動体の蓄電池に於ける蓄電量のうちで電力需要家への電力の調達に利用できる電力量の総量である。
従って、上記の本発明の装置の構成によれば、移動体が電力取引市場に於ける電力取引の入札を行う際に、充放電最適化手段により、入札電力量上限値と各電力取引市場に於ける電力量の売買価格の予測値とを参照して、移動体にとって利益が最大となる最適条件となる入札条件が見出されることとなり、移動体の所有者にとって、電力取引へのインセンティブが与えられることが期待される。また、その際に、特に、入札先として選択され得る電力取引市場に於いて、移動体が電力需要家へ直接に電力を調達する電力取引の約定を行う直接取引市場が含まれている場合には、入札電力量上限値が直接取引市場に於ける電力需要家に於ける電力需要量の予測を参照して決定され、電力量の売買価格の予測値に直接取引市場に於ける電力需要家の電力量の買取価格の予測値が含まれることとなっていると、電力需要家に於ける電力需要が高くなるとき、移動体が直接取引市場にて電力需要家に電力を直接に調達する入札条件が、充放電最適化手段に於ける最適条件として検出されやすくなる。即ち、或る電力需要家に於ける電力需要が高いときには、その電力需要家は、或る直接取引市場を通じて電力の調達を試みることとなり、その電力需要量が大きいほど、直接取引市場に於いて入札する買取価格も高く設定されることが予想される。そうすると、本発明の装置の入札電力量上限値決定手段に於いては、かかる電力需要家の電力需要量の予測値が大きくなることに対応して、入札電力量上限値が引き上げられ、また、その電力需要家の電力量の買取価格の予測値も高くなることから、その電力需要家の入札する直接取引市場に於いて移動体が入札した場合の、電力量の売買による損益を表わす指標値に於ける利益が、他の入札条件よりも相対的に高くなり、これにより、移動体の所有者に於いて、電力需要が高い電力需要家との電力取引に対する入札に、より高いインセンティブが与えられ、その結果、電力需要が高い電力需要家ほど、移動体からより多くの電力を調達できることとなる。
かくして、本発明の装置の上記の構成によれば、移動体の電力取引に於ける入札条件の最適化に際して、電力需要家に於ける、ピークカット処置をする場合などを含む電力需要の状態が考慮されることとなり、これにより、移動体の電力取引に於ける入札条件を決定する際に、単に、移動体に於ける利益の最大化が図られるだけでなく、電力需要家の需要の増大にも、より効率的に対応できるようになることが期待される。
上記の本発明の装置にて入札条件を決定する場合に、電力需要家の電力需要量の予測値の大きいときには、移動体から給電される電力量は大きい方が望ましいので、上記の装置に於ける入札電力量上限値決定手段は、電力需要家の電力需要量の予測値の大きい単位時間帯に於ける入札電力量上限値を、電力需要家の電力需要量の予測値の小さい単位時間帯に於ける前記入札電力量上限値よりも大きくなるように、前記移動体からの融通可能な電力量を配分するよう構成されていてよい。
また、既に触れた如く、電力需要家が、系統電力網の送電線から調達する電力量を抑える目的で、その需要電力量が、適宜設定された基準値を超えるときには、ピークカット処置として、直接取引市場を通じた電力の調達を図る場合がある。そこで、電力需要家がその電力需要量に対して前記の如き直接取引市場を通じて電力の調達を実施するための基準値を設定している場合には、入札電力量上限値決定手段は、単位時間帯に於ける電力需要家の電力需要量の予測値の基準値からの超過の程度の指標値である電力逼迫度を算出する手段を有し、電力逼迫度の表わす電力需要量の予測値の基準値からの超過の程度の大きさに対応して、入札電力量上限値を大きく設定するよう構成されていてよい。実施の態様に於いては、入札電力量上限値は、電力需要量の予測値が基準値を上回る場合に設定されてよく、或いは、別の態様に於いては、入札電力量上限値は、電力需要量の予測値が基準値から適宜設定されてよい所定幅だけ低い値を上回るときから設定されてもよい。なお、入札電力量上限値は、基本的には、電力逼迫度の表わす電力需要量の予測値の基準値からの超過の程度(電力需要量の予測値から基準値を差し引いた量)に比例して大きくなるように設定されてもよいが、電力逼迫度の表わす電力需要量の予測値の基準値からの超過の程度が大きいときには、より多くの電力の調達が達成できるように、入札電力量上限値決定手段は、入札電力量上限値を、電力逼迫度の表わす前記電力需要量の予測値の前記基準値からの超過の程度に比例する量よりも大きく設定するよう構成されていてもよい。
上記の本発明の装置の入札電力量上限値決定手段に於いて、移動体の蓄電池に於ける蓄電量のうちで電力需要家への電力の調達に利用できる電力量の総量である「移動体からの融通可能な電力量」は、具体的には、移動体の蓄電池に蓄電された(又は現在から将来までに蓄電される)電力量から電力需要家への電力調達時までに予測される移動体の消費電力量を差し引いた電力量と、電力需要家に於ける移動体の停車時間の予測値と、電力需要家に於いて移動体の蓄電池から単位時間当たりに放電可能な電力量とに基づいて決定されてよい。特に、「電力需要家に於ける移動体の停車時間の予測値」とは、移動体が電力需要家の場所にあって停車した状態で放電できる時間の予測値であり、移動体の予定などに基づいて適宜決定されてよい。「電力需要家に於いて移動体の蓄電池から単位時間当たりに放電可能な電力量」とは、要すれば、電力需要家に於いて移動体の蓄電池から電力を放電する際の充放電器又は放電器の放電可能容量であり、電力需要家に装備されている充放電器又は放電器の性能によって決定されてよい。かかる構成により、「移動体からの融通可能な電力量」がより精度よく決定され、より的確な入札条件を決定できるようになることが期待される。
ところで、上記の本発明の装置に於いて、電力需要家の電力取引市場に於ける電力量の買取価格の予測値と、電力需要家に於ける単位時間帯毎の電力需要量の予測値とは、上記の如く、一つの態様として、時期、時間帯、天気や気温を含む気候条件などを参照条件として、同様の参照条件に於ける過去のデータに基づいて適宜決定されてよいが、電力需要家が直接取引市場に入札している電力量の買取価格と単位時間帯毎の電力需要量の情報が取得可能であるときには、電力量売買価格予測手段が、電力需要家の電力取引市場に於ける電力量の買取価格の予測値を、電力需要家により電力取引市場に入札されている買取価格に基づいて予測するよう構成され、入札電力量上限値決定手段が、電力需要家に於ける単位時間帯毎の前記電力需要量の予測値を、電力需要家により電力取引市場に入札されている購入希望電力量に基づいて予測するよう構成されていてよい。それぞれの予測値は、電力取引市場に入札されている値そのものであってもよいし、任意の手法にて、入札されている値を補正したものであってもよい。かかる構成により、買取価格の予測値と電力需要量の予測値との精度が向上され、より的確な入札条件を決定できるようになることが期待される。
上記の移動体の電力量の売買取引のための入札条件を決定する装置が使用される売買取引に於いては、電力需要家の側に於いても、その電力需要が増大するときに、直接取引市場を通じた移動体からの電力調達の入札を多くする入札条件の決定がなされると有利である。そこで本発明のもう一つの態様に於いて、上記の課題の一部は、電力需要家の、少なくとも一つの電力取引市場に於ける電力量の売買取引のための入札条件を決定する装置であって、
前記電力需要家の少なくとも一つの単位時間帯に亙る電力需要量を予測する手段と、
前記単位時間帯毎の前記電力需要家の電力需要量の予測値が所定の基準値を上回るときには、移動体が電力需要家へ直接に調達する電力の取引の約定を行う直接取引市場へ電力量の買取の入札をすることを入札条件として決定する入札条件決定手段と
を含み、
前記入札条件決定手段が、前記電力需要量の予測値が前記所定の基準値を上回るときには、前記電力需要量の予測値が前記所定の基準値を下回るときよりも、前記入札条件に於ける電力の買取価格を高く設定するよう構成されている装置
によっても達成される。
上記の本発明の態様の構成に於いて、電力需要家の電力需要量の予測値に対する「所定の基準値」は、電力需要量がその値を超えると、直接取引市場へ電力調達のための入札を出す基準値であり、既に触れたように、系統電力網の送電線を通じて調達する電力量を抑制するためのピークカット処置のために設定されるものであってよく、電力需要家に於いて適宜設定されてよい。そして、上記の構成によれば、電力需要家の電力需要量の予測値が所定の基準値を超えると、直接取引市場にて、電力需要量の予測値が所定の基準値を下回るときよりも、入札条件に於ける電力の買取価格が高く設定されることとなるので、電力需要量の予測値が所定の基準値を超えるときに、直接取引市場への移動体からの電力調達のための入札が多く集められることが期待され、かくして、系統電力網の送電線を通じて調達する電力量を抑制するためのピークカット処置をより容易に達成できるようになることが期待される。
また、上記の電力需要家のための入札条件決定装置に於いては、入札条件決定手段が、少なくとも一つの時間帯に於ける電力需要家に於いて直接に電力の供給の可能な移動体から調達可能な電力量を予測する手段を有し、その移動体から調達可能な電力量の予測値に基づいて、直接取引市場に於ける入札条件の電力の買取価格を設定するよう構成されていてよい。電力需要量の予測値が所定の基準値を超えるときに、電力需要家が直接取引市場への移動体からの電力調達のための入札を行う際、その入札に対してどの程度の数の移動体の入札があり、どの程度の電力が確保できるのかが全く予測できない場合には、電力需要家の入札に於ける買取価格が高くなりがちとなる。しかしながら、電力需要家が移動体からどの程度の電力量の調達が可能であるかについて予測できる場合には、より適正に入札条件に於ける買取価格の設定ができることが期待される。例えば、移動体からの調達可能な電力量の予測値が大きい場合には、移動体からの調達可能な電力量の予測値が小さい場合に比して、入札条件に於ける買取価格が低くなるように設定されてよい。
上記の移動体のための入札条件決定装置、又は更に、電力需要家のための入札条件決定装置によれば、上記の課題を達する新規な電力取引システムが提供される。かくして、本発明のもう一つの態様に於いては、移動体からの電力の売買取引の入札と電力需要家からの電力の買取の入札とを受容し、電力の売買取引を約定する電力取引システムであって、上記のいずれかの構成の移動体入札条件決定装置により決定された入札条件にて前記移動体からの入札を受けるように、或いは更に、上記のいずれかの電力需要家入札条件決定装置により決定された入札条件にて電力需要家からの入札を受けるよう構成されたシステムが提供される。
上記の本発明の移動体のための入札条件決定装置、電力需要家のための入札条件決定装置及び電力取引システムに於ける情報の通信は、任意の無線又は有線の通信ネットワークにより達成されてよい。各装置に於ける各手段の構成とそこに於ける演算等の処理は、コンピュータ装置に於けるプログラムに従って作動により実現されてよい。
上記の本発明の装置又はシステムによれば、P2P電力取引において、電動車等の移動体が、取引に於ける損益に於ける利益を最大化しつつ、電力需要家の電力需要、特に、ピークカット処置に於ける電力需要に対して、より適切に移動体からの直接の電力調達が達成されることが期待される。上記の本発明の構成に於いては、移動体は、事業者などの電力需要家の電力需要の大きさを加味した上で、電力需要家への入札の計画を作成することができることとなり、例えば、事業者のピークカットという商機を捉えて利益を得られることが期待される。また、例えば、大電力需要家での電力ピークカット処置の実行を予測し、高価格にて電力の買取がなされると判断した場合には、事前に電力を溜めておくような動きが実現されてもよい。更に、電力需要家側から見ても、電力ピークが発生する時間は人が集まる時間に多く発生するので、人と一緒に集まる移動体の蓄電池と蓄電力を使用することで、ピークカットの用定置蓄電池や発電機などの設備を削減できる利点が期待される。そして、目先の利益よりも、事業者の停電を避けることを優先することで事業者にとっての自動車電力への信頼性を増すことができ、これにより、事業者が自動車をあてにすることで、電力を需要する事業者との取引量を維持することに繋がり、自動車にとってのメリットにつながる。
本発明のその他の目的及び利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の説明により明らかになるであろう。
図1は、本実施形態が適用されるP2P電力取引市場に於いて取引される電力の送配電システムを模式的に描いた図である。 図2(A)は、P2P電力取引市場のシステムの構成を模式的に描いた図である。図2(B)は、P2P電力取引の一般取引市場に於ける入札の態様を説明する図であり、図2(C)は、P2P電力取引の直接取引市場に於ける入札の態様を説明する図である。 図3は、本実施形態による移動体(電動車)の入札条件決定装置の好ましい態様の構成をブロック図の形式で表わした図である。 図4(A)は、本実施形態による移動体(電動車)の入札条件決定装置に於いて予測される或る電力需要家の需要電力量の予測値をグラフの形式で表した図である。図4(B)は、本実施形態による移動体(電動車)の入札条件決定装置の単位時間提供可能電力量検出部にて検出される単位時間帯当たりに移動体から放電可能な電力量を説明する図である。図4(C)は、本実施形態による移動体(電動車)の入札条件決定装置の融通可能電力総量算出部にて算出される移動体(電動車)に於いて電力取引で融通可能な電力量の総量を説明する図である。図4(D)は、本実施形態による移動体(電動車)の入札条件決定装置の電力需要家の電力逼迫度予測部にて算定される電力逼迫度を説明する図である。図4(E)は、本実施形態による移動体(電動車)の入札条件決定装置の入札電力量上限値決定部にて決定される移動体(電動車)の売却入札に於ける入札電力量の上限値を説明する図である。 図5は、或る電力需要家の電力需要と、本実施形態の入札条件決定装置を用いて決定された条件にて行われた入札による電力取引によって、電動車から電力需要家へ調達される電力量との時間経過を説明する図である。 図6は、本実施形態による電力需要家の入札条件決定装置の好ましい態様の構成をブロック図の形式で表わした図である。 図7は、或る電力需要家の電力需要に於ける電力逼迫度に対する入札買取価格の設定を模式的に表わした図である。 図8(A)は、本実施形態による移動体(電動車)の入札条件決定装置に於ける電力需要家の需要予測部と直接取引市場の買取価格予測部とのそれぞれに於いて、直接取引市場での電力需要家の買取入札に於ける買取希望電力量と買取価格とを参照して電力需要家の需要予測と買取価格予測とを行うように修正した構成をブロック図の形式にて表わした図であり、図8(B)は、更に、直接取引市場での電力需要家の買取入札に於ける買取希望電力量を参照して得た電力需要家の需要予測値により、買取価格の予測値を補正するように修正した構成をブロック図の形式にて表わした図である。これらの図に於いては、図3の移動体(電動車)の入札条件決定装置の構成から変更した部分のみが記載されている。 図9は、図5(E)と同様に本実施形態による移動体(電動車)の入札条件決定装置の入札電力量上限値決定部にて決定される移動体(電動車)の売却入札に於ける入札電力量の上限値を説明する図であり、単位時間帯毎の電力量の上限値の配分比を電力逼迫度の比よりも大きくした場合を示している。 図10(A)は、本実施形態による電力需要家の入札条件決定装置に於いて、電力需要家の管轄する充放電器に接続される移動体(電動車)の数を予測する電動車接続数予測部と、かかる充放電器に於いて移動体(電動車)から調達できる電力量を予測する電動車放電量予測部とが設けられ、入札条件の決定に於いて、移動体(電動車)から調達できる電力量の予測値が参照されるよう修正された構成をブロック図の形式にて表わした図であり、図10(B)は、本実施形態による電力需要家の入札条件決定装置に於いて、入札条件の決定に於いて、直接取引市場での電動車の売却入札に於ける売却希望電力量と売却価格とを参照するよう修正された構成をブロック図の形式にて表わした図である。これらの図に於いては、図4の電力需要家の入札条件決定装置の構成から変更した部分のみが記載されている。
1…電力送配電システム
2…情報処理システムサーバ
3…通信ネットワーク
PL…送電線網
EV…電動車(移動体)
EC…充放電器装置
以下に添付の図を参照しつつ、本発明を幾つかの好ましい実施形態について詳細に説明する。図中、同一の符号は、同一の部位を示す。
電力送配電システムの構成
図1に模式的に示されている如く、電力送配電システム1に於いて、電力は、従前では、専ら、電力会社の管理する発電所から、電力を消費又は使用する種々の施設や建物、例えば、工場、ビル(会社等の事業者)、商業施設、住宅、店舗などの種々の電力需要家まで配設された送電線網PL(系統電力網)を通して供給されていたが、電力の自由化と再生可能エネルギー発電技術による分散型電源の普及と共に、P2P電力売買取引、即ち、電力の個人間での売買取引の導入が検討され、技術的には、実施可能な状態となりつつある。また、電気自動車やハイブリッド車などの大容量の蓄電池を搭載した電動車EV等の移動体の普及に伴い、電力送配電システム1に於いて、送電線網PLや電力需要家に於ける各所に、充放電器設備ECが設置され、かかる充放電器設備ECにて、電動車EVが接続されてその蓄電池の充放電が可能となっている。更に、充放電器設備ECは、電力需要家の施設にも設置され得るので、電動車EVの電力需要家にする受電又は給電は、送電線網PLを介して実行することも、電力需要家に設置された充放電器設備ECに介して直接に実行することも可能となる。そして、電動車EVを蓄電手段として利用することが提案され、実施されつつあり、電動車EV等の移動体を用いた電力の売買をP2P取引にて行うことも検討されている。
電動車EV等の移動体をも含めた電力需要家間に於けるP2P電力売買取引を実施するシステムに於いては、電動車EV、電力需要家のそれぞれに、P2P電力売買取引を実行する情報処理システム(サーバ)2との間で、通信ネットワーク3を介して情報通信の可能な通信機能を有し(典型的には、電動車EV等の移動体は、無線通信ネットワークを通じて、施設等の場所の固定された電力需要家は、有線又は無線通信ネットワークを通じて、通信が可能となっていてよい。)、システム2に於いて構成されているP2P電力売買取引の市場へアクセスして、電力の買取又は売却の入札を可能とする機能を有する処理装置(コンピュータ)が配備される。そして、端的に述べれば、電動車EV等の移動体と電力需要家とが電力の売却又は買取の売買取引を希望する際には、電動車EV又は電力需要家は、電力売買取引を行いたい市場に対して、電力を売却又は買取したい時間帯、単位時間帯毎の売却又は買取したい電力量及び売却又は買取に於ける価格を入札条件として入札し、P2P電力売買取引の市場の運営者は、任意のアルゴリズムにより、入札条件の合致する売り手と買い手との間に於いて電力売買取引の約定を発効し、条件の合致する相手の見つからない入札は、不約定として処理することとなる。なお、情報処理システムには、各所の充放電器設備ECから、充放電器設備の使用状態(使用の可否、使用中か否か、充放電実行量など)の情報が送信されるようになっており、これにより、いずれの充放電器設備ECが利用可能であるかが、電動車EV等の移動体へ通知されるようになっていてよい。
P2P電力売買取引システムの構成
上記のP2P電力売買取引システムとしては、種々の形態が検討されているところ、一つの態様としては、システムに於いては、図2(A)に描かれている如く、比較的大規模な施設、例えば、工場、商業施設、鉄道駅、空港などの需要電力量の大きい大電力需要家の入札と約定とをそれぞれ管理する各事業者エージェントと、住宅や中小の店舗などの通常の需要電力量の小電力需要家の入札と約定とをそれぞれ管理する各住宅(ホーム)エージェントと、電動車EVなどの移動体の入札と約定とをそれぞれ管理する各移動体(ベヒクル)エージェントとが存在し、電動車EV、大電力需要家、小電力需要家は、それぞれ、担当されるエージェントを介して、入札を実行することとなる。
そして、P2P電力売買取引市場を通じて取引される電力は、事業者エージェント又はホームエージェントを介して入札する受電又は給電の場所が固定した電力需要家の間では、送電線網PLを介して伝送されることとなるが、電動車EV等の移動体が取引に参加する場合、移動体の場合は、図1に関連して既に触れた如く、電力需要家の充放電器設備ECへ移動して直接に電力の受電又は給電が可能となる。そこで、電動車EV等の移動体が参加するP2P電力売買取引市場としては、電力需要家間に於ける送電線網PLを介して伝送される電力の取引を約定する「一般取引市場」と、移動体が電力需要家の下(施設内)へ移動して受電又は給電される電力の取引を約定する「直接取引市場」とが構成される。なお、移動体は、送電線網PLに接続された充放電器設備ECを介して電力の伝送が可能なので、一般取引市場にて電力の取引を行うことも可能である。これらの取引市場について、図2(A)に描かれている如く、一般取引市場は、事業者エージェント、ホームエージェント及びベヒクルエージェントのそれぞれを通じて、複数の移動体及び電力需要家からの入札を受け、売却側と買取側の入札条件が合致したものに対して約定が為されることとなる。即ち、図2(B)に模式的に描かれている如く、単位時間帯(1、2、…n)毎に、複数の買い手と売り手とが価格と電力量との組(p,q)、(P,Q)を入札することとなる。なお、単位時間帯とは、市場に於いて設定された時間幅(通常は、30分)であり、電力量の取引は、単位時間帯内で伝送される電力量(電力×単位時間帯長さ)毎に行われる。一方、直接取引市場に於いては、図2(A)の如く、充放電器設備ECの設置された固定の電力需要家に対して一つの市場が構成される。これらの直接取引市場は、図示の如く、それぞれ、各電力需要家の管理するサーバにて構成されてもよく、或いは、複数の直接取引市場が一括的に或るサーバ上にまとめて構成されていてもよい(図示せず)。かかる直接取引市場のそれぞれに於いては、図2(C)の如く、一つの需要家が、単位時間帯(1、2、…n)毎に、売り又は買いの入札をし、複数の移動体からの単位時間帯(1、2、…n)毎の売り又は買いの入札を受付け、条件が適合した入札が約定されることとなる。なお、或る移動体の所有者が或る住宅の所有者と同一であることもあり、その場合、それらの所有者は、移動体による入札と、住宅による入札を別々に行うようになっていてよい(例えば、図中の住宅Aのように、充放電器を一般開放せずに、自身の所有する移動体専用に市場を開く場合もありうる。)。後に説明される本実施形態の入札条件決定装置の特徴的な構成は、電力需要家がピークカット処置をする局面に於いて、需要家が買取入札をし、移動体が売却入札をする場合が対象となるが、直接取引市場自体に於いては、普通に、電力需要家が売却入札をし、移動体が買取入札をできるようになっている。
電動車等の移動体の入札条件決定装置の構成と作動
(a)概要
本実施形態に於いては、一つの態様として、電動車等の移動体が、上記のP2P電力売買取引市場に入札する際の入札条件として、移動体にとって、できるだけ有利な条件を探索して決定するための装置が提供される。この点に関し、電力需要家に於いて電力需要が高くなると、電力需要家の入札に於ける電力の買取価格も上昇するので、本実施形態の装置に於いては、電力需要家の電力需要が高くなるときに、移動体が電力の売却入札をして、電力の売却ができるようになっていてよく、これにより、移動体の利益を増やせることとなる。また、「発明の概要」の欄に於いて触れた如く、電力需要家、特に、大規模電力需要家に於いて、電力需要が高くなり、系統電力網からの電力の調達量が予定した最大量(基準値)に近づき、或いは、予定した最大量を超過するおそれがあるときには、電力需要家は、系統電力網からの電力の調達量を抑制すべく、即ち、ピークカット処置として、直接取引市場に於いて、直接取引による電力の調達を試みることとなる(既に述べた如く、電力需要家に於いては、系統電力網からの電力の調達量(一般取引市場での約定により調達する分も含む。)が高くなるほど、翌年の基本料金が高くなるので、かかるコストを抑えるために、系統電力網からの電力の調達量が予定した量を超えるときには、電力の調達先の変更が試みられる。)。そして、電力需要家が直接取引市場から電力の調達を試みる場合は、通常、電力需要家の需要の緊急性が高いこととなるので、買取入札は、通常よりも高い価格にて行われることが多い。従って、移動体に於いて、電力需要家のピークカット処置を行うタイミングを予測し、その処置の実施に合わせて直接取引による電力の売却の入札をし、約定が得られれば、更に、移動体の利益を増やせることとなる。また、電力需要家にとっても、電力需要が高くなり、ピークカット処置を実行しようするタイミングで、移動体から直接取引による電力の調達を受けられれば、系統電力網からの電力の調達量の抑制が可能となり、有利である。かくして、本実施形態では、特に、移動体に於いて、電力需要家の電力需要が高くなるとき、更には、電力需要家のピークカット処置として電力調達のための直接取引市場への買取入札を実行する局面を予測し、かかる予測に対応して、より的確な入札条件にて入札をすることにより、売買取引を約定して、より多くの収益を得られるように、入札条件を決定する構成が設けられる。
本実施形態による電動車等の移動体の電力取引のための入札条件決定装置に於いては、概して述べれば、一般取引市場に於ける価格と、電力需要家の直接取引市場に於ける買取価格及び需要電力量とを予測し、その予測に基づいて、電力取引に於ける利益が最大となる単位時間帯毎の取引市場と売却価格と放電電力量とを探索して、それらを入札条件とする構成が設けられる。なお、入札条件決定装置の各部の構成及び作動は、移動体のために設けられたコンピュータ装置のプログラムに従った作動により実現されてよい。コンピュータ装置は、通常の形式の、双方向コモン・バスにより相互に連結されたCPU、ROM、RAM及び入出力ポート装置を有するコンピュータ及び駆動回路を含んでいてよい。入札条件決定装置は、移動体自体に設けられたコンピュータ装置に構成されてもよく、クラウド・コンピューティングを用いて構成されてもよい。
(b)取引価格と電力需要の予測
図3を参照して、移動体の電力取引のための入札条件決定装置の構成に於いては、具体的には、まず、電動車等の移動体に於ける過去から現在までの運行データ(トリップ情報)、蓄電池のSOC変動データ、家や会社に於ける充放電器接続状況データなどの移動体の内部に於ける情報を収集する内部保持データ収集部と、天気や気温などの気候情報、日時、電力取引市場に於ける過去の気配値等の外部の情報を取り込む外部取込データ収集部とが設けられる。そして、内部保持データ収集部にて得られた情報から、ユーザ利用予測部に於いて、任意の態様にて、今後の移動体の利用状況、例えば、未来の走行データ・接続場所・停車時間などが予測される。一方、外部取込データ収集部にて得られた情報は、まず、一般取引市場価格予測部にて参照され、そこに於いて、過去の天候、日時(祝日・平日・イベントの有無)、過去の需要、過去の一般取引市場に於ける電力料金のデータなどと比較照合されて、任意の態様にて、一般電力取引市場における未来の電力の取引価格の予測値が決定される(価格予測値は、市場の単位時間帯毎に決定されてよい。)。また、外部取込データ収集部にて得られた情報は、直接取引市場買取価格予測部にて参照され、そこに於いて、過去の天候、日時(祝日・平日・イベントの有無)、過去の需要、過去の直接取引市場に於ける約定価格のデータなどと比較照合されて、任意の態様にて、直接取引市場における現在から未来に亙る電力の買取価格の予測値が決定される。なお、価格予測値は、市場の単位時間帯毎に決定されてよく、直接取引市場の買取価格の予測に於いては、複数の電力需要家がそれぞれ入札する複数の直接取引市場に於けるそれぞれの買取価格が予測されてよい。そして、更に、外部取込データ収集部にて得られた情報は、電力需要家需要予測部に於いても参照され、そこに於いて、過去の天候、日時(祝日・平日・イベントの有無)、過去の需要の推移のデータなどと比較照合されて、任意の態様にて、現在から未来に亙る電力需要家に於ける電力需要量の予測値が決定される。ここで、電力需要家に於ける電力需要量の予測値は、図4(A)に模式的に描かれている如く、市場の単位時間帯毎に決定されてよい。また、電力需要量の予測値は、移動体が入札する可能性のある直接取引市場に買取入札をする電力需要家のそれぞれについて決定されてよい。移動体が入札する可能性のある直接取引市場は、移動体と電力需要家との位置関係に基づき、移動体が電力の調達が可能な範囲の電力需要家が買取入札をする市場から任意に選択されてよい。上記の取引価格と電力需要は、任意に設定されてよい任意の数の単位時間帯に亙って予測されてよい。
(c)電力需要家の電力需要量の推移に合わせた入札電力量の配分条件の設定
上記の如く、内部保持データと外部取込データとをそれぞれ用いて、取引市場に於ける取引価格の予測と電力需要家の電力需要の予測とが為されると、それらの予測値を用いて、移動体にとって最も利益が高くなると予想される最適な入札条件の探索が実行されることとなる。かかる最適な入札条件の探索のために、特に、本実施形態の装置に於いては、電力需要家の電力需要量の予測結果に基づいて、移動体から電力需要家へ調達可能な電力量が、電力需要家の電力需要量の推移に合わせて配分できるようにする構成が設けられる。かかる電力量の配分のための構成に於いては、図3に示されている如く、単位時間提供可能電力量検出部、融通可能電力総量算出部、電力需要家電力逼迫度算定部及び入札電力量上限値決定部が設けられる。
具体的には、まず、単位時間提供可能電力量検出部に於いて、ユーザ利用予測部の予測結果を用いて、移動体が或る電力需要家の施設内の充放電器設備に接続された場合に、その充放電器設備の性能によって、図4(B)に模式的に示されている如く、単位時間帯τ当たりの移動体の蓄電池から放電可能な電力量(単位時間提供可能電力量)ΔPdが検出される。かかる単位時間提供可能電力量ΔPdは、移動体が電力調達をし得る電力需要家の充放電器設備のそれぞれについて検出されてよい。移動体が電力調達をし得る電力需要家は、ユーザ利用予測部の予測結果に於ける未来の走行データに於いて、任意の態様にて選択されてよい。融通可能電力総量算出部は、図4(C)に模式的に描かれている如く、SOC変動データなどを参照して検出又は推定される移動体の蓄電池に於ける現在の蓄電量又は将来の蓄電量の予測値から、未来の走行データから推定される移動体の走行等に消費電力量の予測値を差し引いて、外部に使用できる蓄電量(余剰電力総量)を算出し、更に、移動体が電力需要家の下に停車する予定時間とその間に充放電器設備の放電速度とから、移動体の停車中に放出できる電力量の総量(放出可能電力総量)を算出し、余剰電力総量と放出可能電力総量とのうちの小さい方を、電力需要家へ実際に調達できる電力量の総量として、融通可能電力総量を算出するように構成されていてよい。
電力需要家電力逼迫度算定部は、電力需要家需要予測部に於いて決定された電力需要家の需要電力の予測結果から、単位時間毎の需要電力量の予測値に於いて、その電力需要家が予め設定した系統電力網から調達する電力量の最大予定量(基準値)を超過する程度の大きさを表わす電力逼迫度を算出する。より詳細には、図4(A)に模式的に描かれている如く、電力逼迫度は、単位時間帯毎に決定されてよく、具体的には、例えば、電力需要家の系統電力網から調達する電力の最大予定値をλとしたとき(単位時間帯τ当たりの最大予定電力量に換算すると、λ・τ)、電力の最大予定値λ又はそれより適宜設定されてよい大きさだけ下回る所定値κからの単位時間帯毎の需要電力χの超過分(図中で斜線領域)に比例した値が、電力逼迫度として算出されてよい。即ち、電力逼迫度は、図4(D)に示されている如く、単位時間帯毎に、(χ-λ)若しくは(χ-κ)に比例する値として算出されてよい。電力需要家の系統電力網から調達する電力量の最大予定量の情報は、事前に電力需要家から取得してもよく、過去の市場に於ける取引実績から推定されてもよい。
そして、単位時間提供可能電力量、融通可能電力総量及び電力逼迫度が得られると、入札電力量上限値決定部に於いて、電力需要家の電力需要量の大きさに合わせて、入札電力量が配分されるように、単位時間帯毎の入札電力量の上限値を決定する処理が実行される。かかる処理に於いては、端的に述べれば、移動体の融通可能電力総量が電力逼迫度の大きさに対応して配分されるように、即ち、電力逼迫度が大きい単位時間帯に於いて、電力逼迫度が小さい単位時間帯に比して、入札電力量の上限値が大きく設定されるように、融通可能電力総量を単位時間帯毎に分配した値に入札電力量の上限値が設定されてよい。その際、最大値は、単位時間提供可能電力量を超えないように調整される。そうすると、例えば、電力逼迫度が、図4(D)に模式的に描かれている如く、単位時間帯τ1、τ2に於いて分布している場合には、図4(E)に模式的に描かれている如く、融通可能電力総量に相当する電力量が、単位時間提供可能電力量ΔPdを超えずに、電力逼迫度に対応して単位時間帯τ1、τ2に配分されるように入札電力量の上限値が決定されることとなる。そして、このように入札電力量の上限値が設定されることで、この後に説明される移動体にとって最も利益が高くなると予想される最適な入札条件の探索の処理に於いて、各単位時間帯に於いて、電力逼迫度が大きいほど、大きな入札電力量が許されることとなり、電力需要家の電力需要の高い単位時間帯、特に、電力逼迫度が大きい単位時間帯に、より多くの移動体から多くの電力量の入札が入ることが期待されることとなる。
(d)充放電条件の最適化処理
かくして、電力需要家の電力需要が大きいときほど、多くの電力量が調達できるようにする入札電力量の配分条件として入札電力量上限値が決定されると、かかる入札電力量の配分条件の下で、予測された取引市場に於ける取引価格を用いて、移動体にとって最も利益が大きくなる入札条件の探索が実行される。かかる処理に於いては、電力売買取引に於ける損益を表わす指標値として、電力売買取引に於いて発生するコストを算出する目的関数fcostを設定し、移動体の蓄電池に於いて満たされるべきSOCの上下限値についての制約条件(蓄電池の充放電可能な範囲)下で、目的関数fcostを最小化する売却又は買取電力量が探索される。
具体的には、まず、目的関数fcostは、下記の如く設定されてよい。
Figure 2022065828000002
ここで、k(=i~i+n、iは、現在の単位時間帯)は、単位時間帯の符合であり、rconnect(k)は、単位時間帯kのときに、移動体が一般取引市場を通じた電力調達をする場合(送電線網に接続された充放電器設備に接続される場合)には、1、それ以外では、0となる変数であり、jは、直接取引市場に入札する電力需要家の符号であり、ucoonect j(k)は、単位時間帯kのときに、移動体が電力需要家jの入札する直接取引市場を通じた電力調達をする場合(電力需要家jの充放電器設備に接続される場合)には、1、それ以外では、0となる変数である。また、Fg(k)は、単位時間帯kのときに移動体が一般取引市場を通じた電力調達をする場合のコストであり、
Figure 2022065828000003
により与えられる。ここで、Pg(k)は、単位時間帯kのときの一般取引市場に於ける(単位電力量当たりの)売買価格の予測値であり、qbuy(k)、qsell(k)は、それぞれ、単位時間帯kのときの買取希望電力量と売却希望電力量であり、δは、託送料(送電線網の使用料)の追加分である。そして、Fj(k)は、単位時間帯kのときに移動体が電力需要家jの入札する直接取引市場を通じた電力調達をする場合のコストであり、
Figure 2022065828000004
により与えられる。ここで、Pj(k)は、単位時間帯kのときの電力需要家jの直接取引市場に於ける(単位電力量当たりの)買取価格の予測値であり、qbuy(k)、qsell(k)は、それぞれ、単位時間帯kのときの買取希望電力量と売却希望電力量である。
また、移動体の蓄電池のSOCは、
Figure 2022065828000005
で与えられる。ここで、qtrip(k)は、単位時間帯kのときの移動体の走行による消費電力量の予測値であり(ユーザ利用予測部から取得されてよい。)、Cは、電力量をSOCへ換算するための換算係数である。そして、SOCに対して、上限値SOCUpperLimitと下限値SOCLowerLimitが設定され、SOCが、次の式:
SOCLowerLimit≦SOC(k)≦SOCUpperLimit …(5)
を満たすことが制約条件となる。
かくして、上記の目的関数fcostに於いて、Pg(k)、Pj(k)には、一般取引市場の売買価格の予測値、電力需要家毎の直接取引市場の売買価格の予測値を用い、一時に一箇所に移動体の蓄電池が充放電器設備に接続されるとの条件(rconnect(k)とucoonect j(k)は、単位時間帯kに於いて、一つだけが1となり、他は0となる。)と、先に説明された入力電力量の上限値の条件との下で於いて、式(5)を満たしながら、qbuy(k)、qsell(k)の値を種々変更して、目的関数fcostが最小となる条件が探索される(目的関数の最適化)。なお、かかる最適化処理は、線形計画法、凸最適化法などの任意の数値演算による処理が用いられてよい。
上記の如く、目的関数の最適化処理が実行されて、最適条件が検出されると、単位時間毎に、その最適条件にてrconnect(k)又はucoonect j(k)が1となっている取引市場が入札先に選択され、最適条件に用いられた価格の予測値と、最適条件に於いて見出された買取希望電力量又は売却希望電力量とが、入札条件として決定され、単位時間毎に入札が実行されることとなる。ここに於いて、特定の電力需要家の電力需要が高くなっていない場合には、その時々の入札価格の予測値や予測される消費電力量に応じて、移動体は、一般取引市場又は直接取引市場に於いて、電力の売却又は買取の入札を行うこととなる。
一方、或る電力需要家の電力需要が特に高いと予測される場合、若しくは、或る電力需要家に於いてピークカット処置を実行すると予測される場合には、その電力需要家によって、直接取引市場に、多くの買取希望電力量が、通常より高い買取価格にて、入札されることが予想されるので、これに対応して電力需要が高い、或いは、ピークカット処置を実行すると予測される電力需要家の入札する直接取引市場へ多くの売却希望電力量を設定したときの目的関数が最小となり、最適条件として検出されることとなる。そして、単位時間帯k毎に、検出された最適条件を与える直接取引市場に於いて、最適条件を与える価格と電力量にて入札を行うこととなる。
上記の構成に於いて、一般取引市場に於ける入札が約定した場合には、移動体は、送電線網PLに設置された充放電器設備ECにて電力の給電又は受電を実行する。なお、送電線網PLを介して約定された電力量の伝送を行うために、市場に於いては、電力伝送に於けるトレーサビリティを確保できる手段が導入される。直接取引市場に於ける入札が約定した場合には、移動体は、その市場にて約定した相手方の電力需要家に於いて設置されている充放電器設備にて売買された電力の充放電を実行する。
かくして、上記の構成によれば、電力需要が高くなる電力需要家に移動体からの電力の売却の入札が集まりやすくなり、電力需要家に於いて、より容易にピークカット処置のための電力調達が可能となることが期待される。より具体的に説明すると、本実施形態の構成によれば、直接取引市場に入札される買取価格の高さは、電力逼迫度に連動すると考えることができるので、移動体は、電力需要家がピークカットを望む時間帯(高価格で買い取ってもらえる時間帯)に電力を販売することなることが期待される。また、電力需要家に於いてピークカット処置が必要となるのは、人が集まる時間に多く発生するところ、そのような人が集まる時間には移動体が集まりやすく、電力需要家は、所望する電力量を集めやすくなる。更に、本実施形態の装置では、移動体は、自身の接続時間と電力需要家の逼迫度に基づいて、個々で入札量を算出するところ、電力需要家の電力逼迫度が高いほど、移動体が充分な台数接続され、電力需要家の需要線がならされることにもなる。例えば、図5の如く、或る電力需要家の電力需要が発生する場合、多くの移動体で、そのことを予測して、電力需要家の直接取引市場へ電力売却を希望する入札をし、ピークカット処置に必要な電力を複数の移動体から直接取引により調達できるようになることが期待される。そうすると、図中の単位時間帯2~5を参照して理解される如く、電力需要家の需要が大きいほど、多くの移動体からの電力調達を受けられることになり、上記の如く、約定後の電力需要家の需要線は、入札前に比して、なだらかとなることが期待される。即ち、本実施形態の装置を搭載した移動体は、同じ動きすることで、電力需要の高い電力需要家の下へ多数集まることとなり、入札が自律的に電力需要家の需要を満たすようになる。また更に、直接取引市場を通じた電力の調達は、電力需要家の敷地内で行われ、自動車が電気を運搬するため、送電線網を利用せず、従って、託送料がかからない取引が可能となり、省コスト化が可能であるとともに、送電線網への負担も軽減できることとなる。
上記の本実施形態の構成に於いて、図3に示されている如く、充放電最適化処理に於いて、更に、入札の結果が参照されて、充放電最適化処理が繰返され、最適条件が更新されるようになっていてよい。具体的には、移動体は、入札が約定した場合には、約定に於ける電力伝送の時間とそこで伝送される電力量とを考慮して、入札先として選択する市場、価格の予測値又は入札電力量上限値といった目的関数に使用するパラメータを修正して、再度、充放電最適化処理を実行して、新たな最適条件の探索及び入札条件の決定が実行されてよい。また、移動体は、入札が約定しなかった場合にも、約定しなかった入札条件を除外するように、入札先として選択する市場、価格の予測値又は入札電力量上限値といった目的関数に使用するパラメータを修正して、再度、充放電最適化処理を実行して、新たな最適条件の探索及び入札条件の決定が実行されてよい。
電力需要家の入札条件決定装置の構成と作動
(a)概要
本実施形態に於いては、更に、電力需要家が上記のP2P電力売買取引市場に入札する場合に、特に、電力需要家に於ける電力需要が高くなり、系統電力網からの電力の調達量が予定した最大量を超過するおそれがあるときには、そのことを捉えて、ピークカット処置として、直接取引市場を通じた電力の調達をできるようにして、入札条件を決定するための装置が提供される。上記の移動体の入札条件決定装置の説明に於いて既に触れた如く、移動体の入札条件決定装置は、電力需要家の電力需要が高くなり、ピークカット処置が実行されることを予測し、その場合には、電力需要家の電力の買取価格が通常よりも高くなることを予想して、入札条件を決定するよう構成されている。従って、電力需要家に於ける入札条件決定装置に於いては、かかる移動体からの売却入札と約定し易くすべく、ピークカット処置が必要な状況の発生が予測されると、買取価格を通常よりも高く設定した入札条件が決定されるようになっていてよい。なお、入札条件決定装置の各部の構成及び作動は、電力需要家のために設けられたコンピュータ装置のプログラムに従った作動により実現されてよい。コンピュータ装置は、通常の形式の、双方向コモン・バスにより相互に連結されたCPU、ROM、RAM及び入出力ポート装置を有するコンピュータ及び駆動回路を含んでいてよい。入札条件決定装置は、電力需要家の施設内に設けられたコンピュータ装置に構成されてもよく、クラウド・コンピューティングを用いて構成されてもよい。
(b)需要予測と入札条件の決定
図6を参照して、電力需要家の入札条件決定装置に於いても、移動体の入札条件決定装置の場合と同様に、電力需要家の内部の状態に関わる情報、例えば、過去の需要の推移、過去の電力取引価格、基本料金などを含む情報を収集する内部保持データ収集部と、天気や気温などの気候情報、日時、電力取引市場に於ける過去の気配値等の外部の情報を取り込む外部取込データ収集部とが設けられる。そして、これらで得られた情報を用いて、電力需要予測部に於いて、任意のアルゴリズムにより、電力需要家に於ける単位時間帯毎に需要電力量の予測値が決定される。なお、予測を実行する時間幅は、適宜設定されよい。ここに於いて、需要電力量の予測値が予め設定された系統電力網から調達する電力量の最大予定量を超過する単位時間帯、或いは、最大予定量に近接する単位時間帯が検出されたときには、それらの単位時間帯が電力ピーク発生期間として、ピークカット処置を実行すべき期間として特定されるようになっていてよい。即ち、図4(A)に示されている場合と同様に、需要電力の予測値が、最大予定量λ又は最大予定量に近接した所定値κを超過するときに(斜線領域)、電力ピーク発生期間として特定されてよい。
上記の如く電力需要家の需要電力の予測が得られると、入札条件決定部に於いて、単位時間毎の需要電力量の予測値に基づいて、任意のアルゴリズムにより、入札する売買希望の電力量が決定される。入札する売買希望の電力量には、単位時間毎の需要電力量の予測値がそのまま設定されてもよいし、任意の補正を施した値(例えば、需要電力量から系統電力網からの調達量を差し引いた量)が設定されてもよい。また、入札条件決定部に於いては、内部保持データ収集部にて収集した過去の需要と価格との関係と比較して、単位時間帯毎に、需要電力量の予測値に対応して、入札する売買価格が決定される。入札先の取引市場は、需要電力量の予測値に応じて決定されてよい。上記の如き需要電力の予測に於いて、電力ピーク発生期間が予測されない場合、一般取引市場又は直接取引市場が入札先として選択され、電力需要家に有利となるように設定された価格にて入札条件が決定されてよい。一方、上記の如き需要電力の予測に於いて、電力ピーク発生期間が予測された場合、ピークカット処置として、送電線網PLを介さずに電力を調達するために、直接取引市場を入札先として、電力買取の入札条件が決定される。
なお、ピークカット処置を実行する場合は、できるだけ速やかに電力の調達を達成したいので、容易に、電力の買取の約定が得られるように、入札する買取価格は、通常時よりも高く設定されてよい。買取価格の具体的な設定処理は、任意の態様にて実行されてよい。ピークカット処置の実行のための買取価格は、固定額でもよいが、需要電力量の増減に連動して増減されてよい。特に、電力需要家の装置に於いても、電力需要予測部に、電力需要家の需要電力に対して、図4(A)、(D)に関連して上記に説明された電力逼迫度を決定する構成が設けられていてよく、直接取引市場に入札されるピークカット処置の実行のための買取価格は、図7に示されている如く、電力逼迫度の増大ともに、高く設定されるようになっていてよい。
そして、入札条件が決定されると、選択された市場に於いて入札が実行される。電力取引の相手方は、一般取引市場の場合には、移動体と他の電力需要家のうちのいずれかとなり得るが、直接取引市場の場合には、移動体となる。
上記の電力需要家の装置に於いても、図6に示されている如く、入札条件決定部に於いて、更に、入札の結果が参照されて、入札条件が更新されるようになっていてよい。移動体の装置の場合と同様に、入札が約定した場合には、約定に於ける電力伝送の時間とそこで伝送される電力量とを考慮して、入札先として選択する市場、価格、電力量を修正して入札条件が設定されてよい。また、入札が約定しなかった場合にも、約定しなかった入札条件を除外するように、入札先として選択する市場、価格、電力量を修正して入札条件が設定されてよい。
かくして、上記の電力需要家の入札条件決定装置に於いては、電力需要家の電力需要を予測して、ピークカット処置が必要な場合が検知され、その場合には、送電線網を使用しない直接取引により電力の調達がより容易に達成できるように、入札条件が決定されることとなる。これにより、電動車等の移動体にとっても、電力需要家の電力ピークカット処置に応じた電力の調達が行いやすくなり、電力取引の利益をより容易に高めること(電力コストを最小化すること)が可能となる。
入札条件決定装置の他の実施形態
上記の移動体の入札条件決定装置と電力需要家の入札条件決定装置とは、以下の如く、構成の一部が変更されていてよい。
(a)移動体の入札条件決定装置の構成の変更
図3に例示の移動体の入札条件決定装置に於ける電力需要家需要予測部と直接取引市場買取価格予測部とに於いては、図8(A)に示されている如く、それぞれ、直接取引市場に於いて、電力需要家から入札されている買取希望電力量と買取希望価格との情報が取得され、それらの情報に基づいて、直接取引市場における現在から未来に亙る電力需要家に於ける電力需要量の予測値と現在から未来に亙る電力の買取価格の予測値とがそれぞれ予測されてよい。電力需要量の予測値には、直接取引市場に於ける買取希望電力量がそのまま用いられてもよく、任意の態様により、買取希望電力量が修正されて用いられてもよい。買取価格の予測値には、直接取引市場に於ける買取希望価格がそのまま用いられてもよく、任意の態様により、買取希望価格が修正されて用いられてもよい。かかる構成によれば、移動体の装置は、利益を最大化するように動作するため、直接取引市場に於ける買取価格の高い時間時間帯或いは買取希望電力量の多い単位時間帯に対して入札をかけるようになり、結果として、電力需要家側がピークカット処置のために移動体の電力を利用できるようになることが期待される。
また、上記の図8(A)の構成に加えて、図8(B)に示されている如く、直接取引市場買取価格予測部にて得られた買取価格の予測値が、更に、電力需要量の予測値を参照して補正されるようになっていてよい。かかる構成に於いては、電力需要量の予測値が高いときには、電力需要家に於ける電力需要が逼迫している状態となるので、移動体から電力の売却がし易くなるように、買取価格の予測値を高額に又は低額に書き換えられるようになっていてよい。かかる構成によれば、電力需要家側で市場に入札する価格を変動させない状態においても、移動体が自律的にピークカット処置の実行される単位時間帯を判断し、ピークカット処置に貢献することが可能となる。
更に、移動体の入札条件決定装置の入札電力量上限値決定部に於ける単位時間帯毎の入札電力量の上限値を決定する処理に於いて、移動体の融通可能電力総量が電力逼迫度の大きさに対応して配分されるように、電力逼迫度の大きさに応じて入札電力量の上限値を大きく設定する際に、融通可能電力総量の各単位時間帯への配分比が電力逼迫度の比よりも大きくなるように設定されてよい。即ち、例えば、図9を参照して、単位時間帯τ1、τ2に於ける電力逼迫度の比率が、a:b(a<b、a+b=c)だったとき、入札電力量の上限値の比率が、(a-x):(b+x)となるように、入札電力量の上限値が配分されてよい。或いは、電力逼迫度γと融通可能電力総量Poを用いて、入札電力量の上限値が、θγPo(Σθγ=1)と与えられてもよい(θは、定係数。Σは、移動体が電力を調達する単位時間帯に亙る総和)。これにより、電力需要家の電力逼迫度の高い単位時間帯の電力が優先的に調達されることとなる。
(b)電力需要家の入札条件決定装置の構成の変更
図6に例示の移動体の入札条件決定装置は、更に、図10(A)に模式的に描かれている如く、外部取込データ収集部にて取得される情報を用いて、電動車接続数予測部にて、現在から未来に於いて電力需要家の充放電器設備に接続され得る電動車等の移動体の数を予測し、電動車放電量予測部にて、その予測数から電動車等の移動体から調達できる電力量の予測値を取得できるように構成されていてよい。電動車等の移動体の接続予測数は、気候情報や日時の情報を参照して、過去の同様の状況に於いて電力需要家の周囲に集まった移動体の数、或いは、更に電力需要家の充放電器設備に接続して電力の調達をした移動体の数と比較照合するなどして、任意のアルゴリズムにて予測されるようになっていてよい。電動車等の移動体から調達できる電力量の予測値は、電動車等の移動体の接続予測数を参照して、過去の同様の状況に於いて調達できた電力量と比較照合するなどして、任意のアルゴリズムにて予測されるようになっていてよい。そして、電動車等の移動体から調達できる電力量の予測値は、入札条件決定部に於いて、入札条件の決定の際に参照されてよい。例えば、移動体から調達できる電力量の予測値が、需要電力量の予測値と比較して、十分な量となっていれば、直接取引市場に入札する買取価格を抑制し、需要電力量の予測値と比較して、不足気味である場合などでは、直接取引市場に入札する買取価格をより高額に設定して、やや遠い地域に存在している移動体に対して、電力調達のインセンティブを誘発して、電力がより確実に調達できるようになっていてよい。即ち、移動体からの購入が見込める量を事前に予測することで、より的確な入札条件の設定が可能となる。
更に、移動体の入札条件決定装置に於いては、図10(B)に示されている如く、入札条件決定部が、直接取引市場に移動体から入札されている売却電力量と売却価格の情報を取得し、それらの情報を参照して、入札条件を決定するように構成されていてよい。具体的には、直接取引市場に入札されている売却電力量が多いほど、買取価格を低額に設定し、或いは、直接取引市場に入札されている売却価格に適合するように買取価格を調整するなどの処理が実行されてよい。即ち、移動体からの購入が見込める量を事前に予測することで、より的確な入札条件の設定が可能となる。
電力取引システムの構成に関する補足
上記の如く、本実施形態に於いては、移動体に於いては、移動体にとって電力取引による利益がより大きくできるように入札条件を決定する装置が採用され、電力需要家に於いては、電力需要が高くなる時期に、的確に入札条件を設定して、系統電力網から調達する電力量の最大予定量を抑制できるように、直接取引市場を通じて電力の調達をすることを可能にする装置が採用される。従って、P2P電力取引を実施するシステムは、上記の入札条件決定装置にて決定された条件の入札を受け入れるよう構成される。また、本実施形態のいくつかに於いては、市場に入札されている電力量と価格との情報を利用して、入札条件を決定する構成が設けられているので、かかる処理が達成されるように、システムは、移動体又は電力需要家の装置へシステムから入札情報を提供できるよう構成される。
以上の説明は、本発明の実施の形態に関連してなされているが、当業者にとつて多くの修正及び変更が容易に可能であり、本発明は、上記に例示された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の概念から逸脱することなく種々の装置に適用されることは明らかであろう。

Claims (10)

  1. 移動体の、少なくとも一つの電力取引市場に於ける電力量の売買取引のための入札条件を決定する装置であって、
    単位時間帯毎の前記移動体の蓄電池に於ける入札電力量上限値を決定する入札電力量上限値決定手段と、
    前記単位時間帯毎の電力取引市場毎の電力量の売買価格を予測する電力量売買価格予測手段と、
    前記入札電力量上限値決定手段による前記入札電力量上限値と、前記電力量売買価格予測手段による前記電力量の売買価格の予測値とに基づいて、少なくとも一つの前記単位時間帯に亙る前記移動体の蓄電池にて充放電可能な電力量の範囲での前記移動体による前記電力取引市場に於ける電力量の売買による損益を表わす指標値に於いて利益が最大となる最適条件を検出することにより、前記最適条件に於ける前記単位時間帯毎の電力取引市場と売買価格と前記移動体の蓄電池にて充放電される電力量とを決定する充放電最適化手段と、
    前記少なくとも一つの電力取引市場に於ける入札条件として、前記単位時間帯毎に、前記充放電最適化手段により決定された電力取引市場に於いて、前記充放電最適化手段により決定された売買価格と充放電電力量との入札をすることを決定する入札条件決定手段と
    を含み、
    前記少なくとも一つの電力取引市場に於いて、前記移動体が電力需要家へ直接に電力を調達する電力取引の約定を行う直接取引市場が選択可能であり、
    前記電力量売買価格予測手段が、前記電力量の売買価格の予測値として前記直接取引市場に於ける前記電力需要家の前記単位時間帯毎の電力量の買取価格を予測するよう構成され、
    前記入札電力量上限値決定手段が、前記電力需要家に於ける少なくとも一つの単位時間帯に亙る電力需要量を予測する手段を含み、その電力需要量の予測値と前記移動体からの融通可能な電力量とに基づいて前記単位時間帯毎の前記入札電力量上限値を決定するよう構成されている装置。
  2. 請求項1の装置であって、前記入札電力量上限値決定手段が、前記電力需要家の電力需要量の予測値の大きい単位時間帯に於ける前記入札電力量上限値を、前記電力需要家の電力需要量の予測値の小さい単位時間帯に於ける前記入札電力量上限値よりも大きくなるように、前記移動体からの融通可能な電力量を配分して前記入札電力量上限値を決定するよう構成されている装置。
  3. 請求項2の装置であって、前記電力需要家がその電力需要量に対して前記直接取引市場を通じて電力の調達を実施するための基準値を設定しており、前記入札電力量上限値決定手段が、前記単位時間帯に於ける前記電力需要家の電力需要量の予測値の前記基準値からの超過の程度の指標値である電力逼迫度を算出する手段を有し、前記電力逼迫度の表わす前記電力需要量の予測値の前記基準値からの超過の程度の大きさに対応して、前記入札電力量上限値を大きく設定するよう構成されている装置。
  4. 請求項3の装置であって、前記入札電力量上限値決定手段が、前記入札電力量上限値を、前記電力逼迫度の表わす前記電力需要量の予測値の前記基準値からの超過の程度に比例する量よりも大きく設定するよう構成されている装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかの装置であって、前記入札電力量上限値決定手段が、前記移動体からの融通可能な電力量を、前記移動体の蓄電池に蓄電された電力量から前記電力需要家への電力調達時までに予測される前記移動体の消費電力量を差し引いた電力量と、前記電力需要家に於ける前記移動体の停車時間の予測値と、前記電力需要家に於いて前記移動体の蓄電池から単位時間当たりに放電可能な電力量とに基づいて決定するよう構成された装置。
  6. 請求項1乃至5のいずれかの装置であって、前記電力量売買価格予測手段が、前記電力需要家の前記電力取引市場に於ける前記電力量の前記買取価格の予測値を、前記電力需要家により前記電力取引市場に入札されている買取価格に基づいて予測するよう構成され、前記入札電力量上限値決定手段が、前記電力需要家に於ける前記単位時間帯毎の前記電力需要量の予測値を、前記電力需要家により前記電力取引市場に入札されている購入希望電力量に基づいて予測するよう構成されている装置。
  7. 電力需要家の、少なくとも一つの電力取引市場に於ける電力量の売買取引のための入札条件を決定する装置であって、
    前記電力需要家の少なくとも一つの単位時間帯に亙る電力需要量を予測する手段と、
    前記単位時間帯毎の前記電力需要家の電力需要量の予測値が所定の基準値を上回るときには、移動体が電力需要家へ直接に調達する電力の取引の約定を行う直接取引市場へ電力量の買取の入札をすることを入札条件として決定する入札条件決定手段と
    を含み、
    前記入札条件決定手段が、前記電力需要量の予測値が前記所定の基準値を上回るときには、前記電力需要量の予測値が前記所定の基準値を下回るときよりも、前記入札条件に於ける電力の買取価格を高く設定するよう構成されている装置。
  8. 請求項7の装置であって、前記入札条件決定手段が、前記少なくとも一つの時間帯に於ける前記電力需要家に於いて直接に電力の供給の可能な移動体のから調達可能な電力量を予測する手段を有し、前記移動体のから調達可能な電力量の予測値に基づいて、前記直接取引市場に於ける前記入札条件の電力の買取価格を設定するよう構成されている装置。
  9. 移動体からの電力の売買取引の入札と電力需要家からの電力の買取の入札とを受容し、電力の売買取引を約定する電力取引システムであって、
    請求項1乃至6のいずれかの移動体入札条件決定装置により決定された入札条件にて前記移動体からの入札を受けるよう構成されたシステム。
  10. 請求項9のシステムであって、更に、請求項7又は8の電力需要家入札条件決定装置により決定された入札条件にて前記電力需要家からの入札を受けるよう構成されたシステム。
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