JP2022065004A - ミトコンドリアを含む医薬組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】ミトコンドリアを有効成分として含む、筋肉疾患または虚血性疾患を予防または治療するための医薬組成物を提供する。【解決手段】医薬組成物は異種ミトコンドリアまたは異種ミトコンドリアを含む細胞を含み、これにより、それを投与する細胞のミトコンドリア活性を向上させることが可能である。したがって、本発明による医薬組成物は、ミトコンドリア機能の低下と関連して生じる、筋肉疾患または虚血性疾患の基礎的な予防または治療において有用であり得る。【選択図】図3

Description

本発明は、ミトコンドリアを含む医薬組成物に関する。より具体的には、ミトコンドリアを有効成分として含む、筋肉疾患または虚血性疾患を予防または治療するための医薬組成物に関する。
ミトコンドリアは、真核細胞の生存のために不可欠なオルガネラであり、エネルギー源として使用されるアデノシン三リン酸(ATP)の合成および調節に関与している。ミトコンドリアは、インビボにおける種々の代謝経路、たとえば細胞シグナル伝達、細胞分化、および細胞死、ならびに細胞周期および細胞増殖の制御に関連している。
したがって、ミトコンドリアへの損傷は、種々の疾患の原因となることがあり、既知のミトコンドリア障害のほとんどが、ミトコンドリアDNAにおける遺伝性または後天性の変異によって引き起こされる。
たとえば、ミトコンドリアの機能は、ミトコンドリア膜電位の異常による膨化により、活性酸素種およびフリーラジカル等に起因する酸化ストレスにより、ならびにミトコンドリアのエネルギー産生のための酸化的リン酸化の欠陥により変化し得る。
具体的には、ミトコンドリア機能障害は、種々の疾患、たとえば多発性硬化症、脳脊髄炎、脳神経根炎、末梢神経障害、ライ症候群、アルパー症候群(Alper syndrome)、MELAS、偏頭痛、精神病、うつ病、発作および認知症、麻痺性発作、視神経萎縮症、視神経症、網膜色素変性症、白内障、高アルドステロン症、副甲状腺機能低下症、筋疾患、ミオグロビン尿症、筋緊張低下、筋肉痛、運動耐性の低下、細尿管症、腎不全、肝不全、肝機能障害、肝肥大、担鉄赤血球貧血、好中球減少症、血小板減少症、下痢、絨毛萎縮症、多回嘔吐、嚥下障害、便秘、感音難聴、てんかん、精神発達遅滞、アルツハイマー病、パーキンソン病、およびハンチントン病の直接的または間接的原因であることで知られている(Schapira AH et al., Lancet., 1;368(9529):70-82, 2006;Pieczenik et al., Exp. Mol. Pathol., 83(1):84-92, 2007)。
特に、筋肉は、高いエネルギーレベルを必要とし、そのため比較的大量のミトコンドリアを含み、ミトコンドリア機能の障害により、筋肉における疾患が幾分急速に進行し得る。たとえば、ミトコンドリア筋肉疾患は、MELAS症候群、MERRF症候群、カーンズ・セイヤー症候群、ミオパシー、脳筋症、筋無力症、重症筋無力症、筋萎縮性側索硬化症、筋ジストロフィー、筋萎縮症、筋緊張低下、筋力低下、筋強直症等を含む。
ミトコンドリア機能障害に起因する疾患を治療するために、ミトコンドリア機能障害からミトコンドリアを保護するかまたは回復させるのに使用可能である材料、またはこのような物質を効率的に標的に送達可能である方法についての研究が行われてきた。しかし、たとえば治療範囲の幾らかの制限および有害な副作用の発生等の問題のために、ブレークスルーをもたらすような治療法は、未だ開発されていない。
技術的課題
本発明の目的は、筋肉疾患を治療するための医薬組成物およびそれを使用して筋肉疾患を治療するための方法を提供することである。
本発明の別の目的は、虚血性疾患を治療するための医薬組成物およびそれを使用して虚血性疾患を治療するための方法を提供することである。
課題の解決法
上記目的を達成するために、本発明は、ミトコンドリアを有効成分として含む、筋肉疾患を予防または治療するための医薬組成物を提供する。
また、本発明は、外因性ミトコンドリアが導入された細胞を有効成分として含む、筋肉疾患を予防または治療するための医薬組成物を提供する。
さらに、本発明は、医薬組成物を動物の患部に投与することを含む、筋肉疾患を予防または治療する方法を提供する。
さらにまた、本発明は、ミトコンドリアを有効成分として含む、虚血性疾患を予防または治療するための医薬組成物を提供する。
また、本発明は、外因性ミトコンドリアが導入された細胞を有効成分として含む、虚血性疾患を予防または治療するための医薬組成物を提供する。
さらに、本発明は、医薬組成物を動物の患部に直接注射により投与することを含む、虚血性疾患を予防または治療する方法を提供する。
発明の有利な効果
本発明の医薬組成物は、外因性ミトコンドリアまたは外因性ミトコンドリアを含む細胞を有効成分として含む。本発明の医薬組成物は、それが投与された対象のミトコンドリア活性を向上させるため、ミトコンドリア機能障害に起因する筋肉疾患の基礎的な予防または治療に効果的に使用することができる。
図1は、デキサメタゾンを投与することにより筋萎縮を誘発したラットの体重の変化を示すグラフである。 図2は、ラット骨格筋由来の細胞におけるミトコンドリアの蛍光染色を示す写真である。このとき、マーカー(Mitotracker CMXRos Red)は、その蓄積がミトコンドリア膜電位に依存する色素である。 図3は、ミトコンドリア機能を損なった筋細胞に外因性ミトコンドリアを移入した後の細胞の増殖能を分析した結果を示すグラフである。 図4は、ミトコンドリア機能を損なった筋細胞に外因性ミトコンドリアを移入した後の細胞のATP合成能を分析した結果を示すグラフである。 図5は、筋萎縮を誘発した筋細胞に外因性ミトコンドリアを移入した後の細胞内ミトコンドリアの膜電位を分析した結果を示すグラフである。 図6は、筋萎縮を誘発した筋細胞に外因性ミトコンドリアを移入した後のミトコンドリア活性酸素種を分析した結果を示すグラフである。 図7は、筋萎縮を誘発した筋細胞に外因性ミトコンドリアを移入した後の細胞内ミトコンドリアの生合成能を分析した結果を示す。 図8aは、筋萎縮を誘発した筋細胞に外因性ミトコンドリアを移入した後の細胞のAMPK活性を分析した結果を示す。 図8bは、筋萎縮を誘発した筋細胞に外因性ミトコンドリアを移入した後の細胞内に蓄積したFoxOタンパク質の量を分析した結果を示す。 図9は、筋萎縮を誘発した筋細胞に外因性ミトコンドリアを移入した後の筋萎縮マーカーであるMuRF-1の発現レベルを分析した結果を示す。 図10は、筋萎縮を誘発したラットに外因性ミトコンドリアを移入した後のヒラメ筋の重量変化を示すグラフである。 図11aは、筋萎縮を誘発したラットに外因性ミトコンドリアを移入した後の、ミトコンドリア生合成に関与するタンパク質であるPGC-1の発現レベルを確認したウエスタンブロットの結果を示す。 図11bは、筋萎縮を誘発したラットに外因性ミトコンドリアを移入した後の、ミトコンドリア生合成に関与するタンパク質であるPGC-1の発現レベルを示すグラフである。 図12aは、筋萎縮を誘発したラットに外因性ミトコンドリアを移入した後の、筋萎縮マーカーであるMuRF-1の発現レベルを確認したウエスタンブロットの結果を示す。 図12bは、筋萎縮を誘発したラットに外因性ミトコンドリアを移入した後の、筋萎縮マーカーであるMuRF-1の発現レベルを示すグラフである。 図13は、外因性ミトコンドリアの移植後の筋線維の再生プロセスを確認した組織学的検査の結果を示す写真である。 共焦点走査顕微鏡上で撮影された標的細胞およびドナー細胞のミトコンドリアを示す写真である。 図15は、重症虚血肢を誘発した動物モデルを使用した重症虚血肢に対する治療効果の目視検査の結果を示すグラフである。 図16aは、重症虚血肢を誘発した動物モデルを使用して、重症虚血肢に対する治療効果を血流により評価した結果を示す。 図16bは、重症虚血肢を誘発した動物モデルを使用して、重症虚血肢に対する治療効果を血流により評価した結果を示す。
以下、本発明を詳細に記載する。
本発明の一側面では、ミトコンドリアを有効成分として含む、筋肉疾患を予防または治療するための医薬組成物を提供する。
他に明示しない限り、本明細書で使用する用語「有効成分」は、単独で、またはそれ自体は活性を有しないアジュバント(担体)とともに、活性を示す成分を指す。
ミトコンドリアは、哺乳動物から得られたものであってもよく、ヒトから得られたものであってもよい。具体的には、ミトコンドリアは、細胞または組織から単離されたものであってもよい。細胞は、体細胞、生殖細胞、幹細胞、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つであってもよい。たとえば、ミトコンドリアは、体細胞、生殖細胞、または幹細胞から得られたものであってもよい。さらに、ミトコンドリアは、ミトコンドリア生物活性が正常である細胞から得られた正常ミトコンドリアであってもよい。さらに、ミトコンドリアは、インビトロで培養されたものであってもよい。
具体的には、体細胞は、筋細胞、肝細胞、神経細胞、線維芽細胞、上皮細胞、脂肪細胞、骨細胞、白血球、リンパ球、血小板、粘膜細胞、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つであってもよい。好ましくは、体細胞は、ミトコンドリア活性が優れた筋細胞または肝細胞から得られたものであってもよい。
さらに、生殖細胞は、減数分裂および体細胞分裂した細胞であり、精子または卵であってもよい。
幹細胞は、間葉系幹細胞、成体幹細胞、誘導多能性幹細胞、胚性幹細胞、骨髄幹細胞、神経幹細胞、角膜輪部幹細胞、および組織由来の幹細胞からなる群から選択される何れか1つであってもよい。このとき、間葉系幹細胞は、臍帯、臍帯血、骨髄、脂肪、筋肉、神経、皮膚、羊膜、および胎盤からなる群から選択される何れか1つから得られたものであってもよい。
一方、ミトコンドリアを特定の細胞から単離する場合、種々の既知の方法により、たとえば、特定の緩衝液を使用するかまたは電位差および磁場を使用することによりミトコンドリアを単離することが可能である。
ミトコンドリア活性を維持する点から、ミトコンドリアの単離は、細胞を破砕し遠心分離することにより実施してもよい。一つの態様において、ミトコンドリアの単離は、細胞を培養し、細胞を含む医薬組成物を第1の遠心分離に供してペレットを生成し、ペレットを緩衝液中に懸濁しホモジナイズし、得られたホモジナイズされた溶液を第2の遠心分離に供して上清を生成し、上清を第3の遠心分離に供してミトコンドリアを精製する工程により実施してもよい。このとき、細胞活性を維持する点から、第2の遠心分離を実施する時間を、第1および第3の遠心分離を実施する時間よりも短くなるように調整することが好ましく、遠心分離の速度は、第1の遠心分離から第3の遠心分離までに増大させてもよい。
具体的には、第1から第3の遠心分離は0~10℃、好ましくは3~5℃の温度で実施してもよい。さらに、遠心分離を実施する時間は1~50分であってもよく、遠心分離の回数および試料の量に応じて適切に調整してもよい。
さらに、第1の遠心分離は、100~1,000×g、200~700×g、または300~450×gの速度で実施してもよい。さらにまた、第2の遠心分離は1~2,000×g、25~1,800×g、または500~1,600×gの速度で実施してもよい。さらにまた、第3の遠心分離は100~20,000×g、500~18,000×g、または800~15,000×gの速度で実施してもよい。
さらに、医薬組成物を効果的に適用し得る筋肉疾患は、ミトコンドリア機能障害を含む疾患であってもよい。たとえば、筋肉疾患は、MELAS症候群、MERRF症候群、カーンズ・セイヤー症候群、ミオパシー、脳筋症、筋無力症、重症筋無力症、筋萎縮性側索硬化症、筋ジストロフィー、筋萎縮症、筋緊張低下、筋力低下、または筋強直症であってもよく、ミトコンドリア機能低下に起因するすべての筋細胞障害を含んでもよい。
すなわち、本発明の医薬組成物は、細胞活性を維持したミトコンドリアを有効成分として含み、このため、医薬組成物が適用された細胞のミトコンドリア活性を促進し、これにより、ミトコンドリア疾患の症状を改善させることができる。
さらに、上記の医薬組成物では、ミトコンドリアは0.1~500μg/ml、0.2~450μg/ml、または0.5~400μg/mlの濃度で含んでいてもよい。ミトコンドリアを上記の範囲で含むことにより、ミトコンドリアの用量は、投与時に容易に調節することができ、患部の筋肉疾患症状の改善の程度を、さらに亢進させることができる。
特に、本発明による医薬組成物は、ミトコンドリアが送達される細胞に基づいて1×10細胞当たり0.005~50μgまたは0.05~25μgのミトコンドリアが投与され得るようにミトコンドリアを含んでいてもよい。すなわち、医薬組成物が投与される細胞の数または筋肉疾患に起因する患部の細胞の数に基づいて上記の範囲の含量でミトコンドリアを投与することが、細胞活性の点から最も好ましい。さらに、1投与当たり1~80μl、10~70μl、または40~60μlの用量で医薬組成物を投与してもよい。
さらに、本発明の別の側面は、外因性ミトコンドリアが導入された細胞を有効成分として含む、筋肉疾患を予防または治療するための医薬組成物を提供する。外因性ミトコンドリアは、ミトコンドリアが導入された細胞を除く種々の細胞に由来するミトコンドリアを指す。外因性ミトコンドリアおよびこれを単離するための方法の詳細は、上記のとおりである。
さらに、細胞は、外因性ミトコンドリアを細胞質内に含む細胞であってもよく、細胞活性を維持した正常細胞であってもよい。さらに、細胞は、好ましくは筋細胞または幹細胞である。このとき、筋細胞は、筋組織から単離された細胞であってもよく、または単離された細胞をさらに培養することにより得られた細胞であってもよい。さらにまた、幹細胞は、間葉系幹細胞、成体幹細胞、誘導多能性幹細胞、胚性幹細胞、骨髄幹細胞、神経幹細胞、角膜輪部幹細胞、および組織由来の幹細胞からなる群から選択される何れか1つであってもよい。このとき、間葉系幹細胞は、臍帯、臍帯血、骨髄、脂肪、筋肉、神経、皮膚、羊膜、および胎盤からなる群から選択される何れか1つから得られてもよい。
さらに、外因性ミトコンドリアが導入される細胞および外因性ミトコンドリアを提供する細胞は、同種または異種であってもよい。さらに、外因性ミトコンドリアが導入される細胞および外因性ミトコンドリアを提供する細胞は、同一の対象から、または異なる対象から得られてもよい。
一方、外因性ミトコンドリアとそれを送達する細胞の混合物を含む医薬組成物は、遠心分離して外因性ミトコンドリアを細胞内に送達してもよい。さらに、遠心分離は0~40℃、20~38℃、または30~37℃の温度で行ってもよい。遠心分離はまた、0.5~20分間、1~15分間、または3~7分間行ってもよい。さらにまた、遠心分離は1~2,400×g、25~1,800×g、または200~700×gで行ってもよい。
細胞と外因性ミトコンドリアに遠心力を上記の条件下で同時に適用することにより、外因性ミトコンドリアを高い効率で細胞にいかなる損傷も生じさせることなく細胞に送達することができる。
さらに、底部に向かって直径が漸減した試験管内で医薬組成物を遠心分離することは、細胞とミトコンドリアに適用される遠心力、および接触効率の点から、より効率的であり得る。遠心分離は、さらに1~3回、同一条件下で実施してもよい。
さらに、遠心分離を実施する前に、医薬組成物をインキュベートする工程をさらに含んでもよい。インキュベーションは0~40℃、20~38℃、または30~37℃の温度で実施してもよい。また、インキュベーションは0.1~4時間、0.5~3.8時間または0.8~3.5時間行ってもよい。さらに、インキュベーションは、ミトコンドリアを細胞に送達した後、所定の時間実施してもよい。さらにまた、インキュベーション時間は、細胞の種類およびミトコンドリアの量に応じて適切に選択してもよい。
さらに、界面活性物質を医薬組成物に添加する工程をさらに含んでもよい。界面活性物質を使用して細胞の細胞膜透過性を向上させ、添加時間は、細胞とミトコンドリアの混合前、混合中、または混合後としてもよい。さらに、界面活性物質を細胞に添加した後、細胞膜透過性を増大させるために、一定期間にわたって細胞を静置させてもよい。具体的には、PF-68(Pluronic(登録商標)F-68)を医薬組成物に添加する工程を含んでもよい。
具体的には、界面活性物質は、好ましくは、PF-68等の非イオン性界面活性物質であり、ポロキサマー、すなわち、ポリオキシエチレンの2つの親水性鎖に隣接するポリオキシプロピレンの中央の疎水性鎖からなる非イオン性トリブロック共重合体であってもよい。さらに、医薬組成物中の界面活性物質の濃度は、1~100μg/ml、3~80mg/ml、または5~40μg/ml、好ましくは10~30μg/mlであってもよい。
さらに、医薬組成物中に含まれる細胞は、1×10細胞当たり0.1~500μg、0.2~450μg、または0.5~400μgのミトコンドリアが導入された細胞であってもよい。医薬組成物は、このような量の外因性ミトコンドリアが移入された細胞を含み、これにより、投与時に筋肉疾患の患部の細胞機能を向上させることができる。
ミトコンドリアを受け取った細胞を有効成分として含む医薬組成物の場合、投与量は2×10~2×10細胞/kg(体重)、より好ましくは1×10~1×10細胞/kg(体重)であってもよい。外因性ミトコンドリアが導入された細胞を上記の範囲内の量で含むことは、用量調節および筋肉疾患の改善の点から効果的である。
さらに、医薬組成物を効果的に適用し得る筋肉疾患は、ミトコンドリア機能障害を含む疾患であってもよい。たとえば、筋肉疾患は、MELAS症候群、MERRF症候群、カーンズ・セイヤー症候群、ミオパシー、脳筋症、筋無力症、重症筋無力症、筋萎縮性側索硬化症、筋ジストロフィー、筋萎縮症、筋緊張低下、筋力低下、または筋強直症であってもよく、ミトコンドリア機能低下に起因するすべての筋細胞障害を含んでもよい。
さらに、本発明による医薬組成物は、ミトコンドリア筋肉疾患または障害を発症し得る、または罹患している、ヒトまたは他の哺乳動物に投与してもよい。さらに、医薬組成物は、患部に直接投与可能である注射剤、好ましくは筋肉内注射用の製剤の形態であってもよい。
したがって、注射用製剤の流通の間の製品安定性を保証するために、本発明による医薬組成物は、注射剤に使用され得る酸性水溶液またはリン酸緩衝液等の緩衝液でpHを調整することにより、物理的または化学的に非常に安定な注射剤に製造されてもよい。
具体的には、本発明の医薬組成物は、注射用水を含んでいてもよい。注射用水は、固形注射剤を溶解するかまたは水性注射剤を希釈するために調製された蒸留水、具体的には、ブドウ糖注射液、キシリトール注射液、D-マンニトール注射液、果糖注射液、生理食塩水、デキストラン40注射液、デキストラン70注射液、アミノ酸注射液、リンゲル液、乳酸-リンゲル液、またはpH3.5~7.5の範囲内のリン酸緩衝液もしくはリン酸一ナトリウム-クエン酸緩衝液のために調製された蒸留水である。
さらに、本発明の医薬組成物は、安定剤または可溶化剤を含んでいてもよい。たとえば、安定剤は、ピロ亜硫酸ナトリウムまたはエチレンジアミン四酢酸であってもよく、可溶化剤は、塩酸、酢酸、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、または水酸化カリウムであってもよい。
加えて、本発明は、上述の医薬組成物を対象の患部に直接投与することを含む、筋肉疾患を予防または治療する方法を提供する。対象は、哺乳動物、好ましくはヒトであってもよい。
したがって、本発明による医薬組成物は、筋肉疾患が生じている患部に対して直接、正常な活性を有する外因性ミトコンドリアを供給することができ、このため、ミトコンドリア機能低下を有する細胞の活性を高めるのに、またはミトコンドリア機能障害を有する細胞を再生させるのに有用であり、ミトコンドリア機能障害に起因する筋肉疾患の治療または予防のために使用され得る。
さらにまた、本発明は、筋肉疾患を予防または治療するための上記の医薬組成物の使用を提供する。
さらに、本発明は、筋肉疾患を予防または治療するための薬剤の製造のための上記の医薬組成物の使用を提供する。
本発明の別の側面は、ミトコンドリアを有効成分として含む、虚血性疾患を予防または治療するための医薬組成物を提供する。
他に明示しない限り、本明細書で使用する用語「有効成分」は、単独で、またはそれ自体は活性を有しないアジュバント(担体)とともに、活性を示す成分を指す。
ミトコンドリアは、哺乳動物から得られたものであってもよく、ヒトから得られたものであってもよい。さらに、ミトコンドリアは、細胞または細胞培養物から単離されたものであってもよい。具体的には、ミトコンドリアは、細胞または組織から単離されたものであってもよい。細胞は、体細胞、生殖細胞、幹細胞、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つであってもよい。たとえば、ミトコンドリアは、哺乳動物またはヒトに由来する、体細胞、生殖細胞、幹細胞、またはこれらの組合せから得られたものであってもよい。さらに、ミトコンドリアは、ミトコンドリア生物活性が正常である細胞から得られた正常ミトコンドリアであってもよい。さらに、ミトコンドリアは、インビトロで培養されたものであってもよい。
具体的には、体細胞は、筋細胞、肝細胞、神経細胞、線維芽細胞、上皮細胞、脂肪細胞、骨細胞、白血球、リンパ球、血小板、粘膜細胞、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つであってもよい。好ましくは、体細胞は、ミトコンドリア活性が優れた筋細胞または肝細胞から得られたものであってもよい。
さらに、生殖細胞は、減数分裂および体細胞分裂した細胞であり、精子または卵であってもよい。
幹細胞は、間葉系幹細胞、成体幹細胞、誘導多能性幹細胞、胚性幹細胞、骨髄幹細胞、神経幹細胞、角膜輪部幹細胞、および組織由来の幹細胞からなる群から選択される何れか1つであってもよい。このとき、間葉系幹細胞は、臍帯、臍帯血、骨髄、脂肪、筋肉、神経、皮膚、羊膜、および胎盤からなる群から選択される何れか1つから得られたものであってもよい。
一方、ミトコンドリアを特定の細胞から単離する場合、種々の既知の方法により、たとえば、特定の緩衝液を使用するかまたは電位差および磁場を使用することによりミトコンドリアを単離することが可能である。ミトコンドリアの単離の詳細は、上記のとおりである。
さらに、上記の医薬組成物を効果的に適用し得る虚血性疾患は、血流の供給減少に起因する、組織を構成する細胞の不可逆的な損傷を伴う疾患であり、この疾患では、虚血カスケードと呼ばれるプロセスが誘発されて、脳、心臓、または末梢組織の機能の恒久的喪失を生じる。たとえば、虚血性疾患は、重症虚血肢、虚血性脳卒中、虚血性心疾患、または虚血性大腸炎であってもよい。このとき、虚血性疾患は、ミトコンドリア機能障害に起因する疾患であってもよく、ミトコンドリア機能低下に起因するすべての虚血性細胞障害を含んでもよい。
すなわち、本発明の医薬組成物は、細胞活性を維持したミトコンドリアを有効成分として含み、このため、医薬組成物が適用された細胞のミトコンドリア活性を促進し、これにより、ミトコンドリア疾患の症状を改善することができる。
さらに、上記の医薬組成物では、ミトコンドリアは0.1~500μg/ml、0.1~200μg/ml、または0.2~10μg/mlの濃度で含んでいてもよい。ミトコンドリアを上記の範囲で含むことにより、ミトコンドリアの用量は、投与時に容易に調節することができ、患部の虚血性疾患症状の改善の程度を、さらに亢進させることができる。
さらに、本発明の別の側面は、外因性ミトコンドリアが導入された細胞を有効成分として含む、虚血性疾患を予防または治療するための医薬組成物を提供する。外因性ミトコンドリアは、ミトコンドリアが導入される細胞を除く種々の正常細胞に由来するミトコンドリアを指す。外因性ミトコンドリアおよびこれを単離するための方法の詳細は、上記のとおりである。
さらに、細胞は、外因性ミトコンドリアを細胞質内に含む細胞であってもよく、細胞活性を維持した正常細胞であってもよい。さらに、細胞は、好ましくは体細胞、生殖細胞、幹細胞、またはこれらの組合せである。このとき、細胞は、単離された細胞であってもよく、または単離された細胞をさらに培養することにより得られた細胞であってもよい。さらにまた、幹細胞は、間葉系幹細胞、成体幹細胞、誘導多能性幹細胞、胚性幹細胞、骨髄幹細胞、神経幹細胞、角膜輪部幹細胞、および組織由来の幹細胞からなる群から選択される何れか1つであってもよい。このとき、間葉系幹細胞は、臍帯、臍帯血、骨髄、脂肪、筋肉、神経、皮膚、羊膜、および胎盤からなる群から選択される何れか1つから得られてもよい。
さらに、外因性ミトコンドリアが導入される細胞および外因性ミトコンドリアを提供する細胞は、同種または異種であってもよい。さらに、外因性ミトコンドリアが導入される細胞および外因性ミトコンドリアを提供した細胞は、同一の対象から、または異なる対象から得られてもよい。
さらに、医薬組成物中に含まれる細胞は、1×10細胞当たり0.1~500μg、0.2~450μg、または1~300μgのミトコンドリアが導入された細胞であってもよい。医薬組成物は、このような量の外因性ミトコンドリアが移入された細胞を含み、これにより、投与時に虚血性疾患の患部の細胞機能を向上させることができる。
一方、外因性ミトコンドリアとそれが送達される細胞の混合物を含む医薬組成物は、遠心分離して外因性ミトコンドリアを細胞内に送達してもよい。さらに、遠心分離は0~40℃、20~38℃、または30~37℃の温度で行ってもよい。遠心分離はまた、0.5~20分間、1~15分間、または3~7分間行ってもよい。さらにまた、遠心分離は1~2,400×g、25~1,800×g、または200~700×gで行ってもよい。
細胞と外因性ミトコンドリアに遠心力を上記の条件下で同時に適用することにより、外因性ミトコンドリアを高い効率で細胞にいかなる損傷も生じさせることなく細胞に送達することができる。
さらに、底部に向かって直径が漸減した試験管内で医薬組成物を遠心分離することは、細胞とミトコンドリアに適用される効果的な遠心力、および接触効率の点から、より効率的であり得る。遠心分離は、さらに1~3回、同一条件下で実施してもよい。
さらに、遠心分離を実施する前に、医薬組成物をインキュベートする工程をさらに含んでもよい。インキュベーションは0~40℃、20~38℃、または30~37℃の温度で実施してもよい。また、インキュベーションは0.1~4時間、0.5~3.8時間または0.8~3.5時間行ってもよい。さらに、インキュベーションは、ミトコンドリアを細胞に送達した後、所定の時間実施してもよい。さらにまた、インキュベーション時間は、細胞の種類およびミトコンドリアの量に応じて適切に選択してもよい。
さらに、界面活性物質を医薬組成物に添加する工程をさらに含んでもよい。界面活性物質を使用して細胞の細胞膜透過性を向上させ、添加時間は、細胞とミトコンドリアの混合前、混合中、または混合後としてもよい。さらに、界面活性物質を細胞に添加した後、細胞膜透過性を増大させるために、一定期間にわたって細胞を静置させてもよい。具体的には、PF-68(Pluronic(登録商標)F-68)を医薬組成物に添加する工程を含んでもよい。
具体的には、界面活性物質は、好ましくは、PF-68等の非イオン性界面活性物質であり、ポロキサマー、すなわち、ポリオキシエチレンの2つの親水性鎖に隣接するポリオキシプロピレンの中央の疎水性鎖からなる非イオン性トリブロック共重合体であってもよい。さらに、医薬組成物中の界面活性物質の濃度は1~100mg/ml、3~80mg/ml、または5~40mg/ml、好ましくは10~30mg/mlであってもよい。
さらに、上記の医薬組成物を効果的に適用し得る虚血性疾患は、血流の供給減少に起因する、組織を構成する細胞の不可逆的な損傷を伴う疾患であり、この疾患では、虚血カスケードと呼ばれるプロセスが誘発されて、脳、心臓、または末梢組織の機能の恒久的喪失を生じる。たとえば、虚血性疾患は、重症虚血肢、虚血性脳卒中、虚血性心疾患、または虚血性大腸炎であってもよい。このとき、虚血性疾患は、ミトコンドリア機能障害に起因する疾患であってもよく、ミトコンドリア機能低下に起因するすべての虚血性細胞障害を含んでもよい。
さらに、本発明による医薬組成物は、ミトコンドリア虚血性疾患または障害を発症し得る、または罹患している、ヒトまたは他の哺乳動物に投与してもよい。さらに、医薬組成物は、患部に直接投与可能である注射剤、好ましくは筋肉内注射用の製剤の形態であってもよい。
したがって、注射用製剤の流通の間の製品安定性を保証するために、本発明による医薬組成物は、注射剤に使用され得る酸性水溶液またはリン酸緩衝液等の緩衝液でpHを調整することにより注射剤に製造されてもよく、これは、物理的または化学的に非常に安定である。
具体的には、本発明の医薬組成物は、注射用水を含んでいてもよい。注射用水は、固形注射剤を溶解するかまたは水性注射剤を希釈するために調製された蒸留水、具体的には、ブドウ糖注射液、キシリトール注射液、D-マンニトール注射液、果糖注射液、生理食塩水、デキストラン40注射液、デキストラン70注射液、アミノ酸注射液、リンゲル液、乳酸-リンゲル液、またはpH3.5~7.5の範囲内のリン酸緩衝液もしくはリン酸一ナトリウム-クエン酸緩衝液のために調製された蒸留水である。
さらに、本発明の医薬組成物は、安定剤または可溶化剤を含んでいてもよい。たとえば、安定剤は、ピロ亜硫酸ナトリウムまたはエチレンジアミン四酢酸であってもよく、可溶化剤は、塩酸、酢酸、水酸化ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、または水酸化カリウムであってもよい。
加えて、本発明は、上述の医薬組成物を対象の患部に直接投与することを含む、虚血性疾患を予防または治療する方法を提供する。対象は、哺乳動物、好ましくはヒトであってもよい。
したがって、本発明による医薬組成物は、虚血性疾患が生じている患部に対して直接、正常な活性を有する外因性ミトコンドリアを供給することができ、このため、ミトコンドリア機能低下を有する細胞の活性を高めるのに、またはミトコンドリア機能障害を有する細胞を再生させるのに有用であり、ミトコンドリア機能障害に起因する虚血性疾患の治療または予防のために使用され得る。
さらにまた、本発明は、虚血性疾患を予防または治療するための上記の医薬組成物の使用を提供する。
さらに、本発明は、虚血性疾患を予防または治療するための薬剤の製造のための上記の医薬組成物の使用を提供する。
発明の形態
以下、本発明の理解を促進するために、本発明の好ましい態様を記載する。ただし、以下の実施例は、本発明の理解を容易にするためだけに提供し、本発明は、以下の例に制限されない。
I.ミトコンドリアおよび外因性ミトコンドリアを含む細胞の筋肉疾患を治療する効果の確認
実施例1 筋萎縮動物モデルの確立および重量変化の測定
5週齢の雌のSDラットを実験動物としてOrient Bio Co.,Ltd.(Seoul, Korea)から購入した。CHA大学の実験動物センターの清浄域内でラットを馴化させた。馴化期間中、12時間の明暗サイクル、23±2℃の室温、および40~60%の湿度にラットの環境を維持した。このような7日の馴化期間の後、ラットを実験に供した。
筋萎縮を誘発するために、デキサメタゾンをラットの腹腔内に5mg/kgの用量で5日間投与した。ラットの重量を毎日量り、デキサメタゾン投与から5日目に、デキサメタゾン処置群の重量が、正常群と比較して約30%減少したことを確認した(図1)。
実施例2 移植用ミトコンドリアの調製
ミトコンドリアのドナー細胞として、ラット骨格筋由来細胞株L6(CRL1458、ATCC, Manassas, VA, USA)を培養し、得られた細胞をミトコンドリア特異的マーカー(Mitotracker CMXRos Red)で染色した。
ミトコンドリアを抽出するために、血球計数器を使用して細胞数を測定して、約2×10細胞/mlの細胞を回収した。次いで、細胞を速度350×gの第1の遠心分離に約4℃の温度で10分間供し、得られたペレットを回収し、緩衝液中に再懸濁し、その後、ホモジナイズした。ペレットを含む医薬組成物を速度1,100×gの第2の遠心分離に約4℃の温度で3分間供して上清を得た。次いで、上清を速度12,000×gの第3の遠心分離に約4℃の温度で15分間供して、ミトコンドリアを細胞から単離した。
単離したミトコンドリアを同定するために、単離前に赤色蛍光で標識した細胞内ミトコンドリアを蛍光顕微鏡で撮影し、図2に示し、単離したミトコンドリアを同定した。特に、このとき使用するマーカー(Mitotracker CMXRos Red)は、その蓄積がミトコンドリア膜電位に依存する色素であり、これにより単離したミトコンドリアの生存率が示される(図2)。
実施例3 ミトコンドリアを受け取った細胞の増殖能の評価
細胞関連実験のために一般に使用されるラット骨格筋由来細胞株であるL6細胞を、対照として使用した。さらに、ミトコンドリアATP合成阻害物質(オリゴマイシン、Sigma-Aldrich, St. Louis, MO, USA)でL6細胞を処理してミトコンドリア機能を人工的に抑制した。その後、WRL-68肝細胞(CL48、ATCC)から抽出した健常なミトコンドリアを、異なる濃度(0.05、0.5および5μg)で1×10のL6細胞に移入し、得られた細胞を24ウェルプレート内に播種し、37℃のCOインキュベーター内でインキュベートした。
細胞の増殖能を比較するために、比色定量Cyto X(商標)細胞生存率アッセイキット(LPS溶液、Daejeon, Korea)を使用した。24時間および48時間のインキュベーション後、実験キットに含まれる反応液を各試験群と混合し、その後、37℃のCOインキュベーター内で2時間反応させた。次いで、吸光度を450nmの波長で測定した。
図3に示すように、ミトコンドリアを受け取った細胞群の吸光度の値が、ミトコンドリア機能抑制細胞群と比較して上昇したことが確認された。このとき、吸光度の上昇は、ミトコンドリアデヒドロゲナーゼの活性が高まったと同時に試料の生細胞数が増加したことを意味し、このため、細胞増殖能は、遠心分離によるミトコンドリアの移入により高まったことが確認された。
実施例4 ミトコンドリアを受け取った細胞のATP合成能の評価
ATP合成阻害物質によりミトコンドリア機能を損なった後に外因性ミトコンドリアを受け取った細胞を、実施例3と同様の方法でインキュベートし、24時間および48時間のインキュベーション後に、得られた細胞をそれぞれ回収した。
各試料におけるATPの量を測定するために、ATP生物発光性体細胞アッセイキット(Sigma-Aldrich, St. Louis, Mo., USA)を使用した。調製した試料にATP放出溶液を添加し、室温で20秒間反応させてATPを試料から放出させた。次いで、ATPアッセイ混合溶液を試料に添加し、その後、室温で10分間反応させ、ルミノメーターを使用してATPの量を測定した。各試料におけるATPの量をATP標準曲線から算出した。
図4に示すように、試料中に存在するATPの量を算出し、ATPの量の変化を対照群と比較して分析すると、外因性ミトコンドリアを受け取った細胞のATP合成能は、ミトコンドリア機能抑制細胞のATP合成能よりも高いことが見出された。
このような結果は、細胞のミトコンドリア機能が損なわれた場合、健常なミトコンドリアを細胞に移入することにより損傷が回復することを示す。
実施例5 筋萎縮を誘発した筋細胞内へ外因性ミトコンドリアを移入した後の細胞膜電位の評価
実際、ミトコンドリア機能障害を伴う筋萎縮に対する治療効果を評価するために、萎縮誘発剤(デキサメタゾン、Sigma-Aldrich, St. Louis, MO, USA)を使用して、ラット骨格筋由来細胞株であるL6において筋萎縮を誘発した。続いて、WRL-68肝細胞から抽出した健常なミトコンドリア(インタクトMT)、およびミトコンドリアATP合成阻害物質で処理することによりミトコンドリア機能を損なった、同一の細胞から抽出した損傷ミトコンドリア(損傷MT)をそれぞれ入手した。萎縮性筋細胞にミトコンドリアを1×10細胞当たり異なる濃度(0.05、0.5および5μg)で送達し、得られた細胞を24ウェルプレート内に播種し、37℃のCOインキュベーター内でインキュベートした。
48時間のインキュベーション後、JC-1色素を使用して各試料のミトコンドリア膜電位を測定した。試料をJC-1色素と反応させた後、膜電位の変化に応じて異なるスペクトルを有する色素の特性を利用して吸光度を測定した。
色素は、低濃度でモノマーとして存在し、緑色蛍光を示す。高濃度では、色素は、J凝集して赤色蛍光を示す。したがって、緑色吸光度の赤色吸光度に対する比率を算出することによりミトコンドリアの膜電位を分析した。
図5に示すように、インタクトな外因性ミトコンドリアを受け取った細胞の膜電位が、萎縮を誘発してミトコンドリアの膜電位を変化させた細胞と比較して、約12~22%回復したことが確認された。とりわけ、この効果は、損傷ミトコンドリアを受け取った群と比較した場合に有意であった。
このような結果は、外因性ミトコンドリアの移入により細胞が活性化したことを意味する。したがって、細胞のATP合成能は、外因性ミトコンドリアを受け取ることにより高まり得ることが確認された。
実施例6 筋萎縮を誘発した筋細胞内へ外因性ミトコンドリアを移入した後のミトコンドリア活性酸素種の評価
筋萎縮を誘発した筋細胞内のミトコンドリアの活性酸素種を評価するために、それぞれのミトコンドリアを萎縮性筋細胞内に、実施例5と同様の方法で移入し、48時間のインキュベーション後に活性酸素種を評価した。
MitoSOX赤色色素(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)をミトコンドリア由来活性酸素種を分析するために使用した。細胞を緩衝液で洗浄し、MitoSOX赤色色素をその溶媒と混合し、細胞に添加した。37℃のCOインキュベーター内で20分間、混合物を反応させた。反応後、細胞を緩衝液で洗浄し、細胞を播種したウェル内のカバースライドを収集し、スライド上に置き、蛍光顕微鏡下で観察した。ミトコンドリア中の活性酸素種が損傷により増加すると、赤色蛍光シグナルは増加する。各試料の蛍光密度を分析プログラムにより分析した。
図6に示すように、インタクトなミトコンドリアを受け取った細胞における活性酸素種が、本発明の方法により筋萎縮を誘発し、それによりミトコンドリア活性酸素種が増加した細胞と比較して、有意に減少することが確認された。とりわけ、この効果は、損傷ミトコンドリアを受け取った群と比較した場合に有意であった。
このような結果から、外因性ミトコンドリアを移入すると、細胞のミトコンドリアにおけるATP合成と活性酸素種産生のバランスに影響することが確認された。
実施例7 筋萎縮を誘発した筋細胞へ外因性ミトコンドリアを移入した後のミトコンドリアの生合成能の評価
PGC-1(ペルオキシソーム増殖剤活性化受容体ガンマコアクチベータ-1)のタンパク質発現レベルを測定して細胞内ミトコンドリアの生合成能を評価した。この目的を達成するために、それぞれのミトコンドリアを萎縮性筋細胞内に、実施例5と同様の方法で移入した。48時間のインキュベーション後、得られた細胞を収集し、タンパク質を抽出した。各試料の抽出したタンパク質の変化をウエスタンブロットによりPGC-1抗体(Santa Cruz Biotechnology Inc., Santa Cruz, CA, Cat no: sc-13067)を使用して分析した。
ミトコンドリア機能が正常レベルであると、ミトコンドリア生合成は活性化されPGC-1発現は高い。しかし、ミトコンドリア機能が障害レベルであるとPGC-1の発現は低下し、これは、ミトコンドリア生合成が減少したことを意味する。
図7に示すように、インタクトな外因性ミトコンドリアを受け取った細胞のミトコンドリア生合成能が、萎縮の誘発によりミトコンドリア生合成能が低下した細胞と比較して、正常細胞のレベルと同様のレベルまで改善したことが確認された。とりわけ、この効果は、損傷ミトコンドリアを受け取った群と比較した場合に有意であった。
このような結果から、ミトコンドリア生合成は、外因性ミトコンドリアの移入により活性化させることが可能であり、これにより細胞内ミトコンドリアの機能が改善することが確認された。
実施例8 筋萎縮を誘発した筋細胞へ外因性ミトコンドリアを移入した後の細胞におけるAMPK活性化およびFoxO蓄積の評価
AMPK活性化およびFoxO蓄積のタンパク質レベルを測定して、細胞ミトコンドリア機能の変化に応じてレベルを比較した。この目的を達成するために、それぞれのミトコンドリアを萎縮性筋細胞内に、実施例5と同様の方法で移入した。48時間のインキュベーション後、得られた細胞を収集し、タンパク質を抽出した。各試料の抽出したタンパク質の変化をウエスタンブロットによりAMPKα抗体(Cell Signaling Technology, Beverly, MA, #2535)、Phospho-AMPKα抗体(Cell Signaling Technology, Beverly, MA, #2532)、およびFoxO3α抗体(Cell Signaling Technology, Beverly, MA, #2497)を使用して分析した。
ミトコンドリア機能を損なった場合、細胞内のATP量が不十分となる。その結果、細胞内エネルギー代謝のセンサーである、AMPK(アデノシン一リン酸キナーゼ)が活性化される。このシグナルにより活性化されたFoxOが核内に蓄積され、これにより、MuRF-1およびMAFbx等の、筋組織の萎縮に影響を及ぼすアトロジン(atrogene)の発現が促進され、その結果、筋萎縮が生じる。
図8aおよび8bに示すように、インタクトな外因性ミトコンドリアを受け取った細胞のAMPK活性化およびFoxO蓄積のレベルが、ミトコンドリア機能抑制細胞と比較して、正常細胞のレベルと同様のレベルまで低下したことが確認された。とりわけ、この効果は、損傷ミトコンドリアを受け取った群と比較した場合に有意であった。
このような結果から、外因性ミトコンドリアの移入によって細胞内エネルギーセンサーであるAMPKのシグナル伝達を抑制し、それによってFoxO活性化を阻害することにより、筋萎縮のシグナル伝達機構が阻害され得ることが確認された。
実施例9 筋萎縮を誘発した筋細胞へ外因性ミトコンドリアを移入した後の筋萎縮マーカー、MuRF-1の発現レベルの評価
MuRF-1(muscle ring finger-1)のタンパク質発現レベルを測定して、外因性ミトコンドリアの細胞内移入による筋萎縮に対する保護効率を比較した。それぞれのミトコンドリアを萎縮性筋細胞内に、実施例5と同様の方法で移入した。48時間のインキュベーション後、細胞を収集し、タンパク質を抽出した。各試料の抽出したタンパク質の変化をウエスタンブロットによりMuRF-1抗体(Santa Cruz Biotechnology Inc., Santa Cruz, CA, Cat no: sc-27642)を使用して分析した。
筋萎縮の誘発時、ミトコンドリア機能が損なわれ、その結果、図8bに示すように、筋萎縮転写因子(たとえばMuRF-1)が、核内に蓄積したFoxOにより活性化され、これにより筋萎縮が誘発される。
図9に示すように、インタクトな外因性ミトコンドリアを移入した群におけるMuRF-1の発現レベルが、筋萎縮誘発群におけるMuRF-1の発現レベルの上昇と比較して、正常細胞のレベルと同様のレベルまで低下した。とりわけ、この効果は、損傷ミトコンドリアを受け取った群と比較した場合に有意であった。
このような結果は、筋萎縮の誘発を伴うミトコンドリア機能障害によりAMPK-FoxO/アトロジン経路が刺激されることにより筋萎縮が誘発され得るという理論と一致する。実際、健常なミトコンドリアを外部から送達し、これによりこの経路を遮断することによって筋萎縮を治療することができることが本発明により確認された。
実施例10 ミトコンドリア移植によるヒラメ筋の重量変化の測定
実施例2において単離したミトコンドリアをミトコンドリアタンパク質レベルについてBCAアッセイによりアッセイし、投与量を低濃度(MT低;0.5μg)および高濃度(MT高;5μg)に設定した。このような濃度は、筋萎縮を誘発した細胞において回復効果が確認されるのに効果的な濃度範囲内であった。調製したミトコンドリアを100μlの食塩水中に懸濁し、0.25mm(31G)×8mmのインスリン用注射器(BD Ultra-Fine II)に投入し、実施例1で準備した筋萎縮モデルラットの腓腹筋内に上下に2回注射した。筋萎縮誘発群に、同量の0.9%(v/v)食塩水を注射した。
ミトコンドリア移植後1、7および14日目に剖検を実施した。体重およびヒラメ筋の重量を各実験群について測定した。測定した重量に基づいて、体重に対するヒラメ筋の重量の変化を分析した。
結果として、筋萎縮を誘発したラットに食塩水を投与した場合、ヒラメ筋の重量は、正常対照群の重量の約2分の1まで減少した。ミトコンドリア移植後1日目から重量変化が回復し、送達されたミトコンドリアの濃度に応じてヒラメ筋の重量が増加したことが確認された。
デキサメタゾン処置後14日目に、筋萎縮誘発群もまた自然に回復したことが確認された。さらに、ミトコンドリア移植により、ヒラメ筋の重量が、正常対照群よりも増加したことが確認された(図10)。
実施例11 ミトコンドリア移植によるミトコンドリア生合成タンパク質の発現の確認
ミトコンドリア移植後1、7および14日目に収集したヒラメ筋におけるミトコンドリア生合成活性を比較するために、PGC-1の発現レベルをウエスタンブロットにより確認した。
筋萎縮の誘発後1日目に、PGC-1発現の量は、筋萎縮のため減少した。対照的に、PGC-1発現は、ミトコンドリア移植群において、移植したミトコンドリアの濃度に応じて回復した。一方、自然回復段階の7および14日目にPGC-1の発現レベルが、筋萎縮誘発群において、正常群と同様に回復したことが確認された(図11aおよび11b)。
言い換えると、ミトコンドリア生合成が、筋萎縮の誘発により阻害され、組織内ミトコンドリアのPGC-1の発現量が、外因性ミトコンドリアの移植後に増加したことが確認された。したがって、外因性ミトコンドリアを移植すると、ミトコンドリア生合成の活性を増加させることが可能であることが確認された。
実施例12 ミトコンドリア移植による筋萎縮関連タンパク質の発現
筋萎縮の特異的マーカーであるMuRF-1の発現レベルを、ミトコンドリア移植後1、7および14日目に収集したヒラメ筋においてウエスタンブロットにより確認した。7日目に、筋萎縮の誘発によりMuRF-1発現レベルが上昇したことが確認された。一方、ミトコンドリアを受け取った群において、MuRF-1の発現が、移植したミトコンドリアの濃度に応じて阻害されたことが確認された。さらに、14日目の筋萎縮誘発群においてMuRF-1の発現がないことは、筋萎縮から自然回復した時点を示す(図12aおよび12b)。
言い換えると、MuRF-1の発現は筋萎縮を誘発した筋肉において確認され、その発現は7日目まで継続した。一方、MuRF-1の発現が、外因性ミトコンドリアの移植後に抑制されたことが確認された。したがって、このような結果から、外因性ミトコンドリアを移植することにより筋萎縮を治療することが可能であることが確認された。
実施例13 ミトコンドリア移植による筋線維再生の組織学的分析
筋萎縮を誘発した後、外因性ミトコンドリアを移植し、筋萎縮を治療するそれらの効果を組織学的に分析した。H&E染色の結果として、筋萎縮誘発群において、正常対照群と比較して、移植後7日目まで、筋線維のサイズが縮小し、筋内膜が広範に広がったことが確認された。一方、外因性ミトコンドリアを移植した群においては、筋線維のサイズは増大し、その密度は高かった。14日目に、筋線維のサイズおよび筋内膜が正常対照群と同様になったという点で、筋萎縮誘発群が自然回復を示したことが確認された(図13)。
このような結果から、筋萎縮の誘発により損なわれた筋肉内に外因性ミトコンドリアを移植することによって、筋肉再生が促進され得ることが確認された。
II.ミトコンドリアおよび外因性ミトコンドリアを含む細胞の虚血性疾患を治療する効果の確認
比較例 胎盤由来間葉系幹細胞を含む医薬組成物の調製
胎盤に由来する間葉系幹細胞(CHA Bundang Medical Centerより提供、IRB No. 1044308-201511-BR-022-02)を、10%(v/v)ウシ胎仔血清(FBS、Gibco)、100μg/mlストレプトマイシンおよび100U/mlアンピシリンを含むアルファMEM(アルファ最小必須培地)中に懸濁し、72時間培養した。インキュベーション完了後、細胞をDPBS(ダルベッコリン酸緩衝食塩水、Gibco)で2回洗浄した。洗浄した細胞を0.25%トリプシン-EDTA(TE、Gibco)で処理して細胞を得た。
このようにして得られた細胞をDPBSで2回洗浄し、それぞれ1×10、1×10および5×10細胞の量で100μlの注射用水と混合し、インスリン用注射器に充填した。
実施例14 ミトコンドリアを含む医薬組成物の調製
胎盤に由来する間葉系幹細胞を、10%(v/v)ウシ胎仔血清、100μg/mlストレプトマイシンおよび100U/mlアンピシリンを含むアルファMEM中に懸濁し、72時間培養した。インキュベーション完了後、細胞をDPBSで2回洗浄した。洗浄した細胞を0.25%トリプシン-EDTAで処理して細胞を得た。
得られた細胞からミトコンドリアを抽出するために、血球計数器を使用して細胞数を計数して、約3×10細胞/mlの細胞を収集した。次いで、細胞を速度350×gの第1の遠心分離に約4℃の温度で10分間供し、得られたペレットを回収し、緩衝液中に再懸濁し、10~15分間ホモジナイズした。このようにして得られたホモジネートを速度1,100×gの第2の遠心分離に約4℃の温度で3分間供して上清を得た。次いで、上清を速度12,000×gの第3の遠心分離に約4℃の温度で15分間供してミトコンドリアを細胞から単離した。
このようにして得られたミトコンドリアをそれぞれ0.2、2および10μgの量で100μlの注射用水と混合し、インスリン用注射器に充填した。
実施例15 ミトコンドリアが移入された細胞を含む医薬組成物の調製
胎盤由来間葉系幹細胞(ドナー細胞)から実施例14の方法に従って単離されたミトコンドリアを、異なる胎盤に由来する間葉系幹細胞(標的細胞)をそれぞれ1×10、1×10および5×10細胞の量で含む3つの試験管に投入し、混合物を約4℃の温度で15分間1,500×gの速度で遠心分離した。上清を除去し、細胞をPBSで洗浄し、約4℃の温度で5分間遠心分離した。洗浄を2回、同一条件下で実施した。このとき、単離されたミトコンドリアは、それぞれ1×10、1×10および5×10細胞当たり2μgの重量で標的細胞に送達された。
このようにして得られた、ミトコンドリアが送達された細胞をそれぞれ1×10、1×10および5×10細胞の量で100μlの注射用水と混合し、インスリン用注射器に充填した。
実施例16 外因性ミトコンドリアの移入の確認
実施例15において外因性ミトコンドリアが細胞に移入されたかどうかを確認するために、ドナー細胞のミトコンドリアと標的細胞のミトコンドリアとを識別する目的で、ドナー細胞のミトコンドリアを緑色蛍光(Mitotracker green)で標識し、標的細胞のミトコンドリアを赤色蛍光(Mitotracker red)で標識した。
核染色用DAPIを含む固定液を使用して蛍光標識細胞をスライド上に固定し、共焦点走査顕微鏡(Zeiss LSM 880 Confocal microscope)を使用して撮影し、写真を図14に示す。
図14に示すように、ミトコンドリアを受け取った細胞において、黄色がかった部分が認められた。この部分は、赤色光を発する標的細胞ミトコンドリアと緑色光を発するドナー細胞ミトコンドリアとの共局在化のため、混合した発光色により形成されており、このような結果から、ドナー細胞のミトコンドリアが標的細胞に移入されたことが確認された。
実施例17 目視検査による重症虚血肢のための治療の評価
5~6週齢の雄のBalb/cヌードマウスをOrient Bio Co., Ltd.(Seoul, Korea)から購入した。CHA大学の実験動物センターの清浄域内でマウスを馴化させた。馴化期間中、12時間の明暗サイクル、23±2℃の室温、および40~60%の湿度にマウスの環境を維持した。このような7日の馴化期間の後、マウスを実験に供した。
このようにして準備したマウスの下肢の動脈血管を外科手術により結紮して重症虚血肢を誘発した。このとき、比較例、実施例14および実施例15による各100μlの医薬組成物を、外科手術を実施した大腿部に筋肉内注射(IM)により投与して、実験群1~9を準備した(以下表1を参照)。
Figure 2022065004000002
一方、注射または外科手術を受けていない正常マウスを用いて正常対照群(対照群1)を準備した。さらに、100μlの注射用水を筋肉内注射(IM)により投与したことを除いて、実験群1と同様の方法で対照群2を準備した。
7日後、症状を視覚的に評価するために、実験群1~9ならびに対照群1および2について肢喪失、足部壊死、および肢救済に分けることにより治療の効果を評価し、その結果を図15に示す。
図15に示すように、対照群1の正常マウスにおいて疾患は生じなかったが、生理食塩水を投与した対照群2のマウスは、90%超の肢損傷を受けた。さらに、胎盤由来間葉系幹細胞を投与した実験群1、2および3のマウスにおいて、40%以上の肢救済および50%以上の肢喪失が生じたことが見出された。これに対して、ミトコンドリアを投与した実験群4、5および6のマウスは、60~100%の肢救済および20%未満の肢喪失を示した。さらに、ミトコンドリア移入細胞を投与したマウスでは、実験群8および9のマウスにおいて肢喪失は認められず、実験群7のマウスにおいて、50%の肢喪失のみが生じた。
上記の結果から、本発明によるミトコンドリアまたはミトコンドリア移入細胞を含む医薬組成物を投与すると、重症虚血肢の症状を改善および治療する効果が得られることが確認された。特に、この治療効果は、単離された幹細胞のみを投与する一般的な事例の治療効果よりも優れていることが確認された。
実施例18 血流の測定による重症虚血肢のための治療の評価
実験群1~9ならびに対照群1および2について下肢の血流を評価するために、特定の時点(投与直後ならびに投与後3、5、7および14日目)で血流をレーザードップラーイメージング(LDI)により測定し、その結果を図16aおよび16bに示す。
図16aに示すように、対照群1の正常マウスにおいて、赤色および緑色の血流が測定されたが、生理食塩水を投与した対照群2のマウスにおいては、肢喪失のために血流は測定されなかったことが確認された。さらに、胎盤由来幹細胞を単独で含む医薬組成物(比較例)を投与した実験群1~3においては、対照群2と同様に血流が測定されなかったことが確認された。
あるいは、図16bに示すように、ミトコンドリアを含む医薬組成物(実施例14)を投与した実験群4および6、ならびにミトコンドリアを受け取った細胞を含む医薬組成物(実施例15)を投与した実験群8および9において、対照群1の正常マウスのレベルと同様のレベルで血流が測定されたことが確認された。さらに、ミトコンドリアを投与した実験群5、およびミトコンドリアを受け取った細胞を投与した実験群7の血流が、対照群1と比較して約50%となるレベルで測定されたことが確認された。
例示を目的として本発明を記載してきたが、当業者は、添付の特許請求の範囲に定める本発明の範囲から逸脱することなく、構成要素の追加、改変、削除、補足等により、本発明において種々の変更および改変を行ってもよく、また、このような変更および改変は、本発明の範囲内に含まれることを理解するであろう。
例示を目的として本発明を記載してきたが、当業者は、添付の特許請求の範囲に定める本発明の範囲から逸脱することなく、構成要素の追加、改変、削除、補足等により、本発明において種々の変更および改変を行ってもよく、また、このような変更および改変は、本発明の範囲内に含まれることを理解するであろう。
以下に、当初の特許請求の範囲に記載していた発明を付記する。
[1] ミトコンドリアを有効成分として含む、筋肉疾患を予防または治療するための医薬組成物。
[2] 前記ミトコンドリアが、細胞または組織から単離されたものである、[1]に記載の医薬組成物。
[3] 前記細胞が、体細胞、生殖細胞、幹細胞、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つである、[2]に記載の医薬組成物。
[4] 前記体細胞が、筋細胞、肝細胞、神経細胞、線維芽細胞、上皮細胞、脂肪細胞、骨細胞、白血球、リンパ球、血小板、粘膜細胞、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つである、[3]に記載の医薬組成物。
[5] 前記生殖細胞が、精子、卵、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つである、[3]に記載の医薬組成物。
[6] 前記幹細胞が、間葉系幹細胞、成体幹細胞、誘導多能性幹細胞、胚性幹細胞、骨髄幹細胞、神経幹細胞、角膜輪部幹細胞、組織由来の幹細胞、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つである、[3]に記載の医薬組成物。
[7] 前記間葉系幹細胞が、臍帯、臍帯血、骨髄、脂肪、筋肉、神経、皮膚、羊膜、胎盤、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つから得られたものである、[6]に記載の医薬組成物。
[8] 前記ミトコンドリアを0.1~500μg/mlの濃度で含む、[1]に記載の医薬組成物。
[9] 前記筋肉疾患が、MELAS症候群、MERRF症候群、カーンズ・セイヤー症候群、ミオパシー、脳筋症、筋無力症、重症筋無力症、筋萎縮性側索硬化症、筋ジストロフィー、筋萎縮症、または筋強直症である、[1]に記載の医薬組成物。
[10] 外因性ミトコンドリアが導入された細胞を有効成分として含む、筋肉疾患を予防または治療するための医薬組成物。
[11] 前記細胞が、筋細胞または幹細胞である、[10]に記載の医薬組成物。
[12] 前記幹細胞が、間葉系幹細胞、成体幹細胞、誘導多能性幹細胞、胚性幹細胞、骨髄幹細胞、神経幹細胞、角膜輪部幹細胞、組織由来の幹細胞、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つである、[11]に記載の医薬組成物。
[13] 前記間葉系幹細胞が、臍帯、臍帯血、骨髄、脂肪、筋肉、神経、皮膚、羊膜、胎盤、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つから得られたものである、[12]に記載の医薬組成物。
[14] 前記外因性ミトコンドリアが、前記細胞と前記外因性ミトコンドリアの混合物を遠心分離することにより前記細胞に移入されたものである、[10]に記載の医薬組成物。
[15] 1×10 細胞当たり0.1~500μgの前記ミトコンドリアが導入された前記細胞を含む、[10]に記載の医薬組成物。
[16] 前記筋肉疾患が、MELAS症候群、MERRF症候群、カーンズ・セイヤー症候群、ミオパシー、脳筋症、筋無力症、重症筋無力症、筋萎縮性側索硬化症、筋ジストロフィー、筋萎縮症、または筋強直症である、[10]に記載の医薬組成物。
[17] [1]~[16]の何れか1項に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象の患部に投与することを含む、筋肉疾患を予防または治療する方法。
[18] ミトコンドリアを有効成分として含む、虚血性疾患を予防または治療するための医薬組成物。
[19] 前記ミトコンドリアが、細胞または組織から単離されたものである、[18]に記載の医薬組成物。
[20] 前記細胞が、体細胞、生殖細胞、幹細胞、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つである、[19]に記載の医薬組成物。
[21] 前記体細胞が、筋細胞、肝細胞、神経細胞、線維芽細胞、上皮細胞、脂肪細胞、骨細胞、白血球、リンパ球、血小板、粘膜細胞、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つである、[20]に記載の医薬組成物。
[22] 前記生殖細胞が、精子、卵、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つである、[20]に記載の医薬組成物。
[23] 前記幹細胞が、間葉系幹細胞、成体幹細胞、誘導多能性幹細胞、胚性幹細胞、骨髄幹細胞、神経幹細胞、角膜輪部幹細胞、組織由来の幹細胞、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つである、[20]に記載の医薬組成物。
[24] 前記間葉系幹細胞が、臍帯、臍帯血、骨髄、脂肪、筋肉、神経、皮膚、羊膜、胎盤、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つから得られたものである、[23]に記載の医薬組成物。
[25] 前記ミトコンドリアを0.1~500μg/mlの濃度で含む、[18]に記載の医薬組成物。
[26] 前記虚血性疾患が、重症虚血肢、虚血性脳卒中、虚血性心疾患、または虚血性大腸炎である、[18]に記載の医薬組成物。
[27] 外因性ミトコンドリアが導入された細胞を有効成分として含む、虚血性疾患を予防または治療するための医薬組成物。
[28] 前記細胞が、筋細胞または幹細胞である、[27]に記載の医薬組成物。
[29] 前記幹細胞が、間葉系幹細胞、成体幹細胞、誘導多能性幹細胞、胚性幹細胞、骨髄幹細胞、神経幹細胞、角膜輪部幹細胞、組織由来の幹細胞、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つである、[28]に記載の医薬組成物。
[30] 前記間葉系幹細胞が、臍帯、臍帯血、骨髄、脂肪、筋肉、神経、皮膚、羊膜、胎盤、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つから得られたものである、[29]に記載の医薬組成物。
[31] 前記外因性ミトコンドリアが、前記細胞と前記外因性ミトコンドリアの混合物を遠心分離することにより前記細胞に移入されたものである、[27]に記載の医薬組成物。
[32] 1×10 細胞当たり0.1~500μgの前記ミトコンドリアが導入された前記細胞を含む、[27]に記載の医薬組成物。
[33] 前記虚血性疾患が、重症虚血肢、虚血性脳卒中、虚血性心疾患、または虚血性大腸炎である、[27]に記載の医薬組成物。
[34] [18]~[33]の何れか1項に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象の患部に投与することを含む、虚血性疾患を予防または治療する方法。
[35] 筋肉疾患を予防または治療するための、[1]または[10]に記載の医薬組成物の使用。
[36] 筋肉疾患を予防または治療するための薬剤の製造のための、[1]または[10]に記載の医薬組成物の使用。
[37] 虚血性疾患を予防または治療するための、[18]または[27]に記載の医薬組成物の使用。
[38] 虚血性疾患を予防または治療するための薬剤の製造のための、[18]または[27]に記載の医薬組成物の使用。

Claims (38)

  1. ミトコンドリアを有効成分として含む、筋肉疾患を予防または治療するための医薬組成物。
  2. 前記ミトコンドリアが、細胞または組織から単離されたものである、請求項1に記載の医薬組成物。
  3. 前記細胞が、体細胞、生殖細胞、幹細胞、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つである、請求項2に記載の医薬組成物。
  4. 前記体細胞が、筋細胞、肝細胞、神経細胞、線維芽細胞、上皮細胞、脂肪細胞、骨細胞、白血球、リンパ球、血小板、粘膜細胞、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つである、請求項3に記載の医薬組成物。
  5. 前記生殖細胞が、精子、卵、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つである、請求項3に記載の医薬組成物。
  6. 前記幹細胞が、間葉系幹細胞、成体幹細胞、誘導多能性幹細胞、胚性幹細胞、骨髄幹細胞、神経幹細胞、角膜輪部幹細胞、組織由来の幹細胞、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つである、請求項3に記載の医薬組成物。
  7. 前記間葉系幹細胞が、臍帯、臍帯血、骨髄、脂肪、筋肉、神経、皮膚、羊膜、胎盤、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つから得られたものである、請求項6に記載の医薬組成物。
  8. 前記ミトコンドリアを0.1~500μg/mlの濃度で含む、請求項1に記載の医薬組成物。
  9. 前記筋肉疾患が、MELAS症候群、MERRF症候群、カーンズ・セイヤー症候群、ミオパシー、脳筋症、筋無力症、重症筋無力症、筋萎縮性側索硬化症、筋ジストロフィー、筋萎縮症、または筋強直症である、請求項1に記載の医薬組成物。
  10. 外因性ミトコンドリアが導入された細胞を有効成分として含む、筋肉疾患を予防または治療するための医薬組成物。
  11. 前記細胞が、筋細胞または幹細胞である、請求項10に記載の医薬組成物。
  12. 前記幹細胞が、間葉系幹細胞、成体幹細胞、誘導多能性幹細胞、胚性幹細胞、骨髄幹細胞、神経幹細胞、角膜輪部幹細胞、組織由来の幹細胞、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つである、請求項11に記載の医薬組成物。
  13. 前記間葉系幹細胞が、臍帯、臍帯血、骨髄、脂肪、筋肉、神経、皮膚、羊膜、胎盤、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つから得られたものである、請求項12に記載の医薬組成物。
  14. 前記外因性ミトコンドリアが、前記細胞と前記外因性ミトコンドリアの混合物を遠心分離することにより前記細胞に移入されたものである、請求項10に記載の医薬組成物。
  15. 1×10細胞当たり0.1~500μgの前記ミトコンドリアが導入された前記細胞を含む、請求項10に記載の医薬組成物。
  16. 前記筋肉疾患が、MELAS症候群、MERRF症候群、カーンズ・セイヤー症候群、ミオパシー、脳筋症、筋無力症、重症筋無力症、筋萎縮性側索硬化症、筋ジストロフィー、筋萎縮症、または筋強直症である、請求項10に記載の医薬組成物。
  17. 請求項1~16の何れか1項に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象の患部に投与することを含む、筋肉疾患を予防または治療する方法。
  18. ミトコンドリアを有効成分として含む、虚血性疾患を予防または治療するための医薬組成物。
  19. 前記ミトコンドリアが、細胞または組織から単離されたものである、請求項18に記載の医薬組成物。
  20. 前記細胞が、体細胞、生殖細胞、幹細胞、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つである、請求項19に記載の医薬組成物。
  21. 前記体細胞が、筋細胞、肝細胞、神経細胞、線維芽細胞、上皮細胞、脂肪細胞、骨細胞、白血球、リンパ球、血小板、粘膜細胞、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つである、請求項20に記載の医薬組成物。
  22. 前記生殖細胞が、精子、卵、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つである、請求項20に記載の医薬組成物。
  23. 前記幹細胞が、間葉系幹細胞、成体幹細胞、誘導多能性幹細胞、胚性幹細胞、骨髄幹細胞、神経幹細胞、角膜輪部幹細胞、組織由来の幹細胞、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つである、請求項20に記載の医薬組成物。
  24. 前記間葉系幹細胞が、臍帯、臍帯血、骨髄、脂肪、筋肉、神経、皮膚、羊膜、胎盤、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つから得られたものである、請求項23に記載の医薬組成物。
  25. 前記ミトコンドリアを0.1~500μg/mlの濃度で含む、請求項18に記載の医薬組成物。
  26. 前記虚血性疾患が、重症虚血肢、虚血性脳卒中、虚血性心疾患、または虚血性大腸炎である、請求項18に記載の医薬組成物。
  27. 外因性ミトコンドリアが導入された細胞を有効成分として含む、虚血性疾患を予防または治療するための医薬組成物。
  28. 前記細胞が、筋細胞または幹細胞である、請求項27に記載の医薬組成物。
  29. 前記幹細胞が、間葉系幹細胞、成体幹細胞、誘導多能性幹細胞、胚性幹細胞、骨髄幹細胞、神経幹細胞、角膜輪部幹細胞、組織由来の幹細胞、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つである、請求項28に記載の医薬組成物。
  30. 前記間葉系幹細胞が、臍帯、臍帯血、骨髄、脂肪、筋肉、神経、皮膚、羊膜、胎盤、およびこれらの組合せからなる群から選択される何れか1つから得られたものである、請求項29に記載の医薬組成物。
  31. 前記外因性ミトコンドリアが、前記細胞と前記外因性ミトコンドリアの混合物を遠心分離することにより前記細胞に移入されたものである、請求項27に記載の医薬組成物。
  32. 1×10細胞当たり0.1~500μgの前記ミトコンドリアが導入された前記細胞を含む、請求項27に記載の医薬組成物。
  33. 前記虚血性疾患が、重症虚血肢、虚血性脳卒中、虚血性心疾患、または虚血性大腸炎である、請求項27に記載の医薬組成物。
  34. 請求項18~33の何れか1項に記載の医薬組成物を、それを必要とする対象の患部に投与することを含む、虚血性疾患を予防または治療する方法。
  35. 筋肉疾患を予防または治療するための、請求項1または10に記載の医薬組成物の使用。
  36. 筋肉疾患を予防または治療するための薬剤の製造のための、請求項1または10に記載の医薬組成物の使用。
  37. 虚血性疾患を予防または治療するための、請求項18または27に記載の医薬組成物の使用。
  38. 虚血性疾患を予防または治療するための薬剤の製造のための、請求項18または27に記載の医薬組成物の使用。
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