JP2022063921A - 内燃機関およびプレチャンバー - Google Patents

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Abstract

【課題】副室での混合気の着火性と、主燃焼室での混合気の燃焼速度とを、共に向上させることができる内燃機関を提供する。【解決手段】内燃機関10は、主燃焼室17を形成する主室形成部と、副室18を形成する副室形成部35と、副室に点火部22を配置してなる点火プラグ21と、を備える。副室形成部は、主燃焼室と副室とを連通させる複数の噴孔30を備える。複数の噴孔の各々は、主燃焼室側に近い主室側噴孔部301と副室側に近い副室側噴孔部302とを有し、主室側噴孔部と副室側噴孔部とが互いに異なる向きで形成されている。また、複数の噴孔のうち、一の噴孔と他の噴孔とは、副室の中心軸Kに対して非対称に形成されている。【選択図】図6

Description

本発明は、内燃機関およびプレチャンバーに関する。
近年、自動車のガソリンエンジンにおいては、燃費改善要求の高まりにともない、内燃機関に対して超高EGR(Exhaust Gas Recirculation)や超希薄燃焼の採用が検討されている。その場合、混合気への着火性を確保するためには点火制御などが必要になるほか、薄い混合気に対しても安定して着火できるようにリーン耐性を向上させることが必要になる。リーン耐性を向上させる手段の一つとして、副室式の内燃機関が開発されている。副室式の内燃機関は、主たる燃焼室である主燃焼室のほかに、主燃焼室よりも容積の小さい副室を備える内燃機関である。この副室は点火室とも呼ばれる。この種の内燃機関に関して、たとえば特許文献1には、プラグが備えるプラグキャップによって副室を形成し、希薄混合気に対する着火性を確保する技術が記載されている。
特許文献1に記載された技術は、予め燃料と空気とを混合して得られる混合気(以下、「予混合気」ともいう。)を主燃焼室から副室へと導入し、副室内で予混合気に点火することにより、副室から主燃焼室へと高温の燃焼ガスを噴出させて主燃焼室内の混合気を高速で燃焼させる技術である。この技術では、主燃焼室で混合気を効率良く燃焼させることができるとともに、リーン耐性を向上させることができるとされている。しかしながら、この技術では、プラグキャップが形成する副室の内部、特に点火プラグの火花放電ギャップの部分にガスが流れ込みにくく、燃焼後のガスも火花放電ギャップ付近に留まりやすい。このため、副室での混合気の着火性に劣るという問題がある。
一方、特許文献2には、副室の点火部に安定したガス流を形成するため、副室内にタンブル流を形成し、このタンブル流によって掃気性の向上を図る技術が記載されている。また、特許文献3には、副室と主燃焼室とを連通させる噴孔の角度(向き)に関して、副室側角度φsと主燃焼室側角度φmとが「φs<φm」の関係を満たす、副室式ガスエンジンに関する技術が記載されている。
特開2019-206960号公報 特開2012-36904号公報 特開2018-96250号公報
しかしながら、特許文献2に記載された技術では、副室内のガス流動を適正化するために噴孔の向きが副室用に固定される。このため、副室から噴孔を通して主燃焼室へ噴出する火炎ジェットの向きを制御できない。したがって、主燃焼室内の燃焼速度の低下や冷却損失の増加により、エンジン全体として効率の低下が懸念される。また、特許文献2に記載された技術は、副室での熱損失が大きいため、副室式の内燃機関の目的である高効率化の達成に照らして必ずしも最適とは言えない。
一方、特許文献3に記載された技術では、各々の噴孔を通して主燃焼室から副室へと導入されるガス(予混合気)が、副室の中心軸線上で合流する構成になっている。このため、副室内の点火部に向かうガス流はタンブル流とはならない。したがって、特許文献3に記載された技術では、副室内のガス流動を適正化することができず、結果的に着火性の向上を図ることはできない。
本発明の目的は、副室での混合気の着火性と、主燃焼室での混合気の燃焼速度とを、共に向上させることができる内燃機関およびプレチャンバーを提供することにある。
上記課題を解決するために、たとえば、特許請求の範囲に記載された構成を採用する。
本願は、上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一つを挙げるならば、主燃焼室を形成する主室形成部と、副室を形成する副室形成部と、副室に点火部を配置してなる点火プラグと、を備える内燃機関である。副室形成部は、主燃焼室と副室とを連通させる複数の噴孔を備える。複数の噴孔の各々は、主燃焼室側に近い主室側噴孔部と副室側に近い副室側噴孔部とを有し、主室側噴孔部と副室側噴孔部とが互いに異なる向きで形成されている。また、複数の噴孔のうち、一の噴孔と他の噴孔とは、副室の中心軸に対して非対称に形成されている。
本発明によれば、副室での混合気の着火性と、主燃焼室での混合気の燃焼速度とを、共に向上させることができる。
上記した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明によって明らかにされる。
内燃機関の構成を模式的に示す縦断面図である。 比較形態に係る内燃機関の一部を拡大した縦断面図である。 比較形態に係る内燃機関において、混合気に点火したときの様子を模式的に示す縦断面図である。 火炎ジェットが噴出する様子を模式的に示す横断面図である。 他の比較形態に係る内燃機関の一部を拡大した縦断面図である。 第1実施形態に係る内燃機関の一部を拡大した縦断面図である。 第1実施形態に係る内燃機関の動作を説明する縦断面図である。 主燃焼室と副室の配置例を示す横断面図である。 図8のB-B位置で断面した拡大図である。 副室をプレチャンバーによって形成した例を示す縦断面図である。 第2実施形態に係る内燃機関の一部を拡大した縦断面図である。 第3実施形態に係る内燃機関の一部を拡大した縦断面図である。 、図12のC-C位置で副室形成部を断面した図である。 第4実施形態に係る内燃機関の一部を拡大した縦断面図である。 第5実施形態に係る内燃機関の一部を拡大した横断面図である。 第6実施形態に係る内燃機関の一部を拡大した縦断面図である。 第7実施形態に係る内燃機関の一部を拡大した縦断面図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。本明細書および図面において、実質的に同一の機能または構成を有する要素については、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
<比較形態>
図1は、内燃機関の構成を模式的に示す縦断面図である。また、図2は、比較形態に係る内燃機関の一部を拡大した縦断面図である。
図1に示すように、内燃機関10は、ピストン11と、シリンダ12と、シリンダヘッド13とを備えている。ピストン11は、シリンダ12に案内されて往復運動する。ピストン11は、コネクティングロッド14の一端に接続されている。コネクティングロッド14は、ピストン11の動きをクランクシャフト15に伝える部品である。シリンダヘッド13は、ピストン11の冠面11aおよびシリンダ12の内壁16と共に、主燃焼室17を形成している。主燃焼室17は、主室と言い換えることができる。主燃焼室17を形成する主室形成部は、ピストン11、シリンダ12およびシリンダヘッド13によって構成される。
主燃焼室17の直上には副室18が設けられている。副室18は、主燃焼室17よりも容積が小さい点火室である。副室18は、副燃焼室と言い換えることができる。副室18は、副室形成部としてのプレチャンバー20によって形成されている。プレチャンバー20は、シリンダヘッド13に固定されている。プレチャンバー20には点火プラグ21が取り付けられている。点火プラグ21は、混合気M(図2参照)に点火するための部品である。点火プラグ21は点火部22を有している。点火部22は、点火プラグ21の下端部に設けられている。点火部22は、点火プラグ21が備える中心電極と側方電極とによって形成される。点火部22は、副室18の内部に配置されている。
シリンダヘッド13は、吸気ポート25および排気ポート26を有している。吸気ポート25および排気ポート26は、それぞれ、主燃焼室17に連通するように形成されている。連通とは、空間的につながる状態をいう。吸気ポート25は主燃焼室17に向かって開口しており、この開口部分に吸気バルブ27が設けられている。吸気バルブ27は、吸気ポート25を開閉するバルブである。一方、排気ポート26は、吸気ポート25と異なる位置で主燃焼室17に向かって開口しており、この開口部分に排気バルブ28が設けられている。排気バルブ28は、排気ポート26を開閉するバルブである。
混合気Mは、吸気行程において吸気バルブ27が開くことにより、吸気ポート25を通して主燃焼室17に流れ込む。吸気行程で主燃焼室17に流れ込んだ混合気Mは、その後、ピストン11によって圧縮される。主燃焼室17で圧縮された混合気Mは、噴孔30(図2参照)を通して副室18に流れ込む。噴孔30は、主燃焼室17と副室18とを連通する孔である。噴孔30は、プレチャンバー20の下端部に形成されている。プレチャンバー20には複数の噴孔30が形成されている。
図3は、比較形態に係る内燃機関において、混合気に点火したときの様子を模式的に示す縦断面図である。
図3において、副室18の内部および点火部22は、噴孔30を通して副室18に導入される混合気Mによって掃気される。その後、点火プラグ21は、点火部22において副室18内の混合気Mに点火する。これにより、副室18内の混合気Mが燃焼して燃焼火炎29が発生する。燃焼火炎29は、噴孔30を通して主燃焼室17内へと移動する。このとき、燃焼火炎29は、混合気Mの燃焼による副室18内の圧力上昇により、噴孔30から主燃焼室17内へと勢い良く飛び出す。これにより、各々の噴孔30から火炎ジェットJが噴出する。
副室18内で混合気Mに点火する場合は、これに先立って副室18内を混合気Mで充分に掃気し、かつ点火部22に混合気Mを誘導する必要がある。また、点火部22を良好に掃気するためには、点火部22に向かうガスの流れが一方向で、かつ時間的に変化しないことが望ましい。一方で、火炎ジェットJには、主燃焼室17内の混合気Mに素早く着火し、その混合気Mを高速に燃焼させる性質が求められる。この性質のために、火炎ジェットJは、主燃焼室17内に均一に噴出することが望ましい。火炎ジェットJが均一に噴出すると、主燃焼室17の混合気Mに均一に着火することができる。このため、主燃焼室17内の場所による混合気Mの燃焼ムラを低減することができる。また、一度の火炎ジェットJの噴出で、より多くの混合気Mに着火することができる。このため、主燃焼室17内の燃焼速度を向上させることができる。また、ピストン11やシリンダ12は図示しないウォータジャケットなどによって冷却されるため、噴孔30から噴出した火炎ジェットJがピストン11やシリンダ12の内壁16に直接触れると、大きな冷却損失が発生する。この冷却損失を低減するためには、火炎ジェットJの向きや噴孔30の位置をどのように設定するかが重要になる。
図4は、火炎ジェットが噴出する様子を模式的に示す横断面図である。
図4に示すように、主燃焼室17および副室18は、同心状(同軸)に配置されている。この場合、主燃焼室17内の混合気Mを均一に着火し、かつ冷却損失を抑えるためには、主燃焼室17に対して火炎ジェットJを放射状に噴出することが望ましい。このため、プレチャンバー20に形成された噴孔30(図3参照)の中心軸Xは、主燃焼室17に対して放射状に配置する必要がある。
一方で、副室18内を混合気Mによって掃気し、かつ点火部22に混合気Mを誘導するためには、副室18の内部に、一方向に向かう混合気Mの流れを作り出す必要がある。このような混合気Mの流れを実現するため、上記図2~図4に示す比較形態と異なる他の比較形態として、図5に示す構成が考えられる。
図5においては、プレチャンバー20に形成された複数の噴孔30a,30bのうち、噴孔30aの中心軸Xaと噴孔30bの中心軸Xbが、プレチャンバー20および副室18の中心軸Xcに対して互いに異なる角度で配置されている。具体的には、プレチャンバー20および副室18の中心軸Xcに対して、噴孔30bの中心軸Xbは噴孔30aの中心軸Xaよりも大きく傾いている。このように噴孔30a,30bを形成した場合は、各々の噴孔30a,30bから副室18内に流れ込む混合気Mがタンブル流Tを形成する。タンブル流Tは、縦渦状のガスの流れである。
このように、混合気Mによるタンブル流Tを副室18内に形成すると、副室18の内部で燃焼済みのガスが良好に掃気され、かつ点火部22に燃焼前の混合気Mが流れ込む。このため、副室18内で混合気Mの着火性を向上させることができるとともに、副室18内で燃焼火炎の伝播速度を高速化させることができる。
しかしながら、噴孔30aの中心軸Xaと噴孔30bの中心軸Xbとを互いに異なる角度で配置すると、各々の噴孔30a,30bを通して主燃焼室17に噴出する火炎ジェットが放射状に広がらなくなる。このため、主燃焼室17内の混合気Mを均一に着火できなくなる。
ここで本発明者は、内燃機関10において混合気Mに着火する際に重要な事柄として、副室18の掃気性を高めるうえで適切とされる噴孔の向きと、主燃焼室17の燃焼性を高めるうえで適切とされる噴孔の向きとが異なるという点に着目した。つまり、本発明者は、主燃焼室17および副室18のうち、どちらか一方にとって適切となるように噴孔の向きを設定すると、もう一方に対しては噴孔の向きが不適切となり、内燃機関10全体の熱効率や燃焼安定性の最大化を図ることができないという点に着目し、以下の各実施形態に係る内燃機関10の構成に想到した。
<第1実施形態>
図6は、第1実施形態に係る内燃機関の一部を拡大した縦断面図である。
図6において、副室18は、副室形成部35によって形成されている。副室形成部35は、シリンダヘッド13と一体構造をなす部分である。副室形成部35には点火プラグ21が装着されている。点火プラグ21はネジ止めによって副室形成部35に固定されている。点火プラグ21は、副室18および副室形成部35と同軸に配置されている。図6においては、副室18、点火プラグ21および副室形成部35の中心軸(中心軸線)を符号Kで示している。以降の説明では、特に区別する必要がある場合を除いて、副室18の中心軸K、または単に中心軸Kという。この中心軸Kは、複数の噴孔30が形成されている副室形成部35の底部(断面U字形の部分)の中心を通る軸線であることから、副室18の噴孔形成部の中心軸と言い換えることができる。また、中心軸Kは、内燃機関10を自動車に搭載した場合に鉛直軸と平行に配置されることが望ましい。
副室形成部35は、複数の噴孔30を備えている。複数の噴孔30は、主燃焼室17と副室18とを隔てる隔壁部分36に形成されている。隔壁部分36は、副室形成部35の底部に相当する。図6においては、シリンダヘッド13と一体に隔壁部分36が形成され、この隔壁部分36を利用して副室18が形成されているが、これ以外にも、シリンダヘッド13と別体で隔壁部分36を作製し、この隔壁部分36を溶接、ネジ止め、圧入などによってシリンダヘッド13に装着することにより、副室18を形成してもよい。
各々の噴孔30は、主燃焼室17と副室18とを連通させる孔である。噴孔30の深さ方向の一端は主燃焼室17に向かって開口し、噴孔30の深さ方向の他端は副室18に向かって開口している。各々の噴孔30は、噴孔30の深さ方向において主燃焼室17側に近い主室側噴孔部301と、副室18側に近い副室側噴孔部302とを有している。主室側噴孔部301と副室側噴孔部302とは、1つの噴孔30を形成するように噴孔30の深さ方向でつながっている。また、主室側噴孔部301と副室側噴孔部302とは、一直線上とならないように、互いに異なる向きで形成されている。
複数の噴孔30のうち、一の噴孔30と他の噴孔30とは、副室18の中心軸Kに対して非対称に形成されている。この非対称性を実現する具体的な構成の一例を以下に述べる。
まず、複数の噴孔30における副室側噴孔部302の中心軸ベルトをV1,V2,V3,V4とすると、各々の中心軸ベクトルV1,V2,V3,V4は、互いに異なる方向を向いている。噴孔30の中心軸ベクトルは、噴孔30の中心軸に直交する方向における断面積と、噴孔30の中心軸に平行な単位ベクトルとの積として定義される。したがって、噴孔30の中心軸ベクトルは、噴孔30の中心軸が延在する方向を向くベクトルとなる。また、各々の噴孔30の径が同一であれば、各々の噴孔30の中心軸ベクトルは同じ大きさを持つベクトルとなる。なお、噴孔30の中心軸に直交する方向は、噴孔30の径方向(直径方向)に相当する。
本実施形態において、1つの噴孔30を形成する主室側噴孔部301と副室側噴孔部302とは互いに向きが異なる。このため、1つの噴孔30を形成する主室側噴孔部301および副室側噴孔部302のうち、主室側噴孔部301の中心軸ベクトルと副室側噴孔部302の中心軸ベクトルも、互いに異なる向きを持つ。主室側噴孔部301の中心軸ベクトルは、主室側噴孔部301の中心軸X(図7参照)と平行に、主室側噴孔部301の開口から主燃焼室17に向かうベクトルである。副室側噴孔部302の中心軸ベクトルV1,V2,V3,V4は、副室側噴孔部302の中心軸X1,X2,X3,X4(図7参照)と平行に、副室側噴孔部302の開口から副室18に向かうベクトルである。なお、図6において、各々の中心軸ベクトルV1,V2,V3,V4の大きさは、後述する合成ベクトルVcを含めて、すべて同じ大きさで表している。
ここで、図6に示すように、複数の噴孔30は、後述する合成ベクトルVcが点火プラグ21の点火部22からずれた方向を向くように形成されている。合成ベクトルVcは、複数の噴孔30における副室側噴孔部302の中心軸ベクトルV1,V2,V3,V4を合成したベクトルであって、副室18の中心軸K上の点37を起点に描かれる。合成ベクトルVcの起点となる点37は、点火部22よりも下方に位置する。図6においては、副室18の中心軸Kが交差する副室18の底面に点37が存在している。この点37を起点とする合成ベクトルVcは、点火部22を向かないように、点火部22とは異なる方向、具体的には図6において点火部22よりも右側にずれた方向を向いている。
上記構成を備える内燃機関10においては、圧縮行程で主燃焼室17内の圧力が上昇することにより、図7に示すように、主燃焼室17内の混合気M1が複数の噴孔30を通して副室18内に流れ込む。このとき、各々の噴孔30において、混合気M1は、主室側噴孔部301および副室側噴孔部302を順に通過する。このため、噴孔30の内部において、混合気M1は、はじめに主室側噴孔部301の向きに沿って流れ、その後、副室側噴孔部302の向きに沿って流れる。また、各々の噴孔30から副室18内に流れ込む混合気M1の方向は、上述した中心軸ベクトルV1,V2,V3,V4の向きに沿う方向となる。また、副室18内に流れ込んだ混合気M1は、点火部22よりも下方の領域E1で互いに干渉し合うことにより、全体の流動方向が変わる。具体的には、副室18内における混合気M1の流動方向は、上述した合成ベクトルVcの向きに沿う方向となる。
このため、領域E1で干渉し合った混合気M1は、副室18の中心軸Kよりも一方側(図7の右側)に偏って流れる。そして、この混合気M1の流れは、副室18の側面38に向かって流れるガス流を形成する。このガス流は側面38に当たって偏向される。これにより、副室18内にタンブル流Tが形成される。タンブル流Tは点火プラグ21の点火部22に流れ込む。これにより、点火部22において燃焼済みのガスを効率良く掃気することができる。また、混合気M1からなるタンブル流Tを点火部22に誘導することができる。このため、副室18において良好な着火性を確保することができる。また、副室18におけるガスの流れは側面38によって整流される。このため、点火部22におけるガス流動は非常に強く安定したものとなる。また、このガス流は、燃焼サイクルごとのばらつき、あるいは時間変化によるばらつきが小さいものとなる。つまり、本実施形態の構成を採用すれば、副室18内のガス流動は、点火プラグ21の点火部22に対して一方向に整流され、流動強度も強化される。よって、副室18での掃気性能を高めて混合気M1の着火性を向上させることができる。
一方、主燃焼室17においては、図7に示すように、副室18等の中心軸Kを中心に、各々の噴孔30における主室側噴孔部301の中心軸Xを放射状に配置している。このため、副室18内の混合気M1を燃焼させた場合に、主燃焼室17に対して複数の噴孔30から放射状に火炎ジェットJが噴出する。これにより、上記図4に示すように主燃焼室17および副室18が同心状(同軸)に配置されている場合、主燃焼室17内の混合気M1を素早く均一に着火することができる。したがって、主燃焼室17での混合気M1の燃焼速度を向上させることができる。
また、図8に示すように、主燃焼室17の中心軸の位置P1と、副室18の中心軸の位置P2とが、シリンダ12の径方向にずれている場合は、副室18の位置を基準に主燃焼室17内の空間を見たときに、スペースの広い部分41とスペースの狭い部分42とが存在する。このような場合は、副室18の円周方向における噴孔30の配置、および/または、各々の噴孔30における主室側噴孔部301の向きに偏りを持たせるとよい。
具体的には、スペースの広い部分41に対しては副室18の円周方向における噴孔30の配置を密にし、スペースの狭い部分42に対しては副室18の円周方向における噴孔30の配置を疎にする。すなわち、主燃焼室17内のスペースの広狭に応じて、副室18の円周方向における噴孔30の疎密度合いを変える。また、スペースの広い部分41に対しては、より多くの噴孔30の主室側噴孔部301が向くように配置し、スペースの狭い部分42に対しては、より少ない噴孔30の主室側噴孔部301が向くように配置する。すなわち、主燃焼室17内のスペースの広狭に応じて、複数の噴孔30における主室側噴孔部301の向きを変える。これにより、スペースの広い部分41には、より多くの火炎ジェットJを噴出させ、スペースの狭い部分42には、より少ない火炎ジェットJを噴出させることができる。その結果、主燃焼室17内の混合気M1の燃焼ムラを低減することができる。また、主燃焼室17内の混合気M1を高速に燃焼させることができる。
図9は、図8のB-B位置で断面した拡大図である。
図9においては、一の噴孔30の主室側噴孔部301と他の噴孔30の主室側噴孔部301とが、副室18の中心軸Kに対して非対称に形成されている。また、一の噴孔30の副室側噴孔部302と他の噴孔30の副室側噴孔部302とが、副室18の中心軸Kに対して非対称に形成されている。具体的には、図9の左側に配置された噴孔30における主室側噴孔部301の向きは、副室18の中心軸Kに対して直角に近い角度になっているのに対し、図9の右側に配置された噴孔30における主室側噴孔部301の向きは、副室18の中心軸Kに対して略30度の角度で傾いている。また、図9の左側に配置された噴孔30における副室側噴孔部302の向きは、副室18の中心軸Kに対して平行に近い向きとなっているのに対し、図9の右側に配置された噴孔30における副室側噴孔部302の向きは、副室18の中心軸Kに対して大きく傾いている。
このように本実施形態においては、各々の噴孔30における主室側噴孔部301および副室側噴孔部302の向きを三次元的に自由に設定することができる。このため、主燃焼室17に対しては主室側噴孔部301の向きを適切に設定し、副室18に対しては副室側噴孔部302の向きを適切に設定することにより、主燃焼室17側の燃焼速度や冷却損失に悪影響を与えることなく、副室18内の掃気性および着火性を向上させることができる。
また、副室18においては、各々の噴孔30の副室側噴孔部302から流れ込む混合気によってタンブル流Tを形成することができる。また、主燃焼室17においては、図9の左側に形成されるスペースの広い部分41に対し、一の噴孔30の主室側噴孔部301から水平に近い向きで火炎ジェットJを噴出させ、図9の右側に形成されるスペースの狭い部分42に対して、他の噴孔30の主室側噴孔部301から斜め下向きに火炎ジェットJを噴出させることができる。すなわち、主燃焼室17に噴出する火炎ジェットJの分布を自在に変えることができる。したがって、副室18内にタンブル流Tを形成して掃気性および着火性を高めることと、主燃焼室17内のスペースの大小に応じて火炎ジェットJの分布を最適化することを、両立させることができる。
なお、上記第1実施形態においては、シリンダヘッド13と一体構造をなす副室形成部35によって副室18を形成した例を示したが、これ以外にも、たとえば図10に示すように、シリンダヘッド13と別体のプレチャンバー20によって副室18を形成するとともに、そのプレチャンバー20をシリンダヘッド13に装着した構成を採用してもよい。この構成を採用した場合は、プレチャンバー20が副室形成部に相当する。
図10においては、プレチャンバー20の底部に複数の噴孔30が形成されている。複数の噴孔30の詳細については前述したとおりである。プレチャンバー20には点火プラグ21が装着されている。この点火プラグ21を装着するために、プレチャンバー20にはネジ孔23がもうけられている。ネジ孔23は、プレチャンバー20の中心軸に設けられた孔である。ネジ孔23は副室18に通じている。一方、点火プラグ21には雄ネジ部24が設けられている。点火プラグ21は、プレチャンバー20のネジ孔23に点火プラグ21の雄ネジ部24を噛み合わせて両者(20,21)を締め付けることにより、プレチャンバー20に固定される。
シリンダヘッド13には取り付け孔19が形成されている。取り付け孔19は、プレチャンバー20を取り付けるための孔である。取り付け孔19は、主燃焼室17に通じる貫通孔である。取り付け孔19の内径D1は、プレチャンバー20の周壁部20aの外径D2に対応して設定されている。プレチャンバー20を取り付け孔19に取り付けるために、たとえばプレチャンバー20の周壁部20aの外周面には、雄ネジを構成するネジ山(図示せず)が形成され、これに対応して取り付け孔19の内周面19aには、雌ネジを構成するネジ山(図示せず)が形成されている。これにより、シリンダヘッド13の取り付け孔19に対して、プレチャンバー20をネジ止めによって固定することができる。
このように、シリンダヘッド13と別体のプレチャンバー20によって副室18を形成する場合は、副室を持たない現行の内燃機関を簡易に副室式に変更することができる。以下、具体的に説明する。
副室を持たない現行の内燃機関においては、シリンダヘッドの取り付け孔に点火プラグをネジ止めによって装着している。そこで、現行の内燃機関で使用されている点火プラグの雄ネジ部と同じ径になるように、プレチャンバー20の周壁部20aの外径D2を設定する。これにより、現行の内燃機関のシリンダヘッドにプレチャンバー20を装着することができる。このため、プレチャンバー20および点火プラグ21の部分を除いて、現行の内燃機関を何ら変更することなく副室式に変更することができる。
なお、シリンダヘッド13に対するプレチャンバー20の固定は、ネジ止めに限らず、たとえば圧入であってもよい。
<第2実施形態>
図11は、第2実施形態に係る内燃機関の一部を拡大した縦断面図である。
第2実施形態に係る内燃機関10は、前述した第1実施形態に係る内燃機関10の構成(図6参照)と比較して、複数の噴孔30における副室側噴孔部302の中心軸X1,X2,X3,X4が、副室18側の一点Qで交わるように、複数の噴孔30が形成されている点が異なる。点Qは、副室18の中心軸K上ではなく、この中心軸Kから水平方向の一方側(図11の右側)にずれた位置に存在する。点Qは、副室18内に存在していてもよいし、副室18内に存在していなくてもよい。図11においては、好ましい例として、点Qが副室18内に存在する例を示している。
第2実施形態に係る内燃機関10においては、主燃焼室17の混合気をピストン11により圧縮し、これによって主燃焼室17から複数の噴孔30を通して副室18に混合気が流れ込んだ場合に、副室18内の点Qで混合気が合流する。合流した混合気は、副室形成部35の側面38によって向きを変えられることにより、タンブル流T1を形成する。また、図示はしないが、点Qが副室18内に存在しない場合でも、各々の噴孔30の副室側噴孔部302から副室18内に流れ込んだ混合気は、副室形成部35の側面38によって向きを変えられることにより、タンブル流T1を形成する。
特に、副室18内の点Qで合流した混合気によって生成されるタンブル流T1は、流動範囲が狭く流動強度が強いという特徴を有する。したがって、このタンブル流T1に乗せて混合気を点火部22へと送り込むことにより、点火部22のような極狭い領域に対する掃気性と、副室18における着火性とを、より一層向上させることができる。また、副室18内で点Qの位置を変えることにより、タンブル流T1の流動範囲と流動強度を調整することができる。
また、図11に示す内燃機関10の構成を採用した場合は、点火部22周辺のガス流動の乱れが強くなるとともに、点火部22を通過した後にタンブル流T1が大きく乱れる。これにより、副室18でのガス流動の乱れが強くなるため、副室18内での乱流燃焼速度が向上する。したがって、副室18内で燃焼火炎の移動が速くなる。また、副室18の点火部22で混合気に着火してから、主燃焼室17に向けて火炎ジェットJが飛び出すまでの燃焼火炎の安定性が高まる。このように副室18での燃焼火炎の安定性を高めることにより、主燃焼室17に噴出する火炎ジェットJの安定性と、主燃焼室17内での混合気Mの燃焼速度とを向上させることが可能となる。
<第3実施形態>
図12は、第3実施形態に係る内燃機関の一部を拡大した縦断面図であり、図13は、図12のC-C位置で副室形成部を断面した図である。なお、図13においては、説明の便宜上、点火プラグ21と点火部22の位置を波線で示している。
図12および図13に示すように、副室形成部35の底部は、副室18の中心軸Kと直交するように平板状に形成され、この底部に複数の噴孔30が形成されている。また、副室18の内面は、側面38、天井面39および底面40によって形成されている。そして、副室18の底面40は平面状に形成され、天井面39は凹面状に形成されている。凹面状は、ラウンド形状の一例である。複数の噴孔30における副室側噴孔部302の中心軸X1,X2,X3,X4は、互いに平行に配置されている。各々の副室側噴孔部302の中心軸X1,X2,X3,X4は、副室18の中心軸Kに対して、同じ方向に同じ角度だけ傾いている。
第3実施形態に係る内燃機関10においては、複数の噴孔30における副室側噴孔部302の中心軸X1,X2,X3,X4は、互いに平行であることから、各々の副室側噴孔部302の中心軸ベクトルVは、すべて同じ方向を向くことになる。これにより、複数の噴孔30を通して副室18に導入されるガス流の方向は広範囲で同じ方向に揃えられる。また、副室18に導入されたガス流は、副室形成部35の側面38によって向きを変えられることにより、タンブル流T2を形成する。このタンブル流T2は、上記第1実施形態で形成されるタンブル流T(図7参照)および上記第2実施形態で形成されるタンブル流T1(図11参照)と比較して、混合気の流動範囲が広いタンブル流となる。したがって、このタンブル流T2に乗って点火プラグ21の点火部22に向かう混合気は、より広範囲に整流されたガス流45(図13参照)となる。よって、点火部22とその周辺に存在するガスを、ガス流45によって広範囲に掃気することができる。また、副室18内に一様なガス流動を生じさせることができる。また、副室18内で燃焼火炎を速く安定的に伝播させることができる。
また、第3実施形態に係る内燃機関10においては、副室18の天井面39を凹面状に形成している。このため、複数の噴孔30を通して副室18に流れ込む混合気によってタンブル流T2を形成する場合、このタンブル流T2は天井面39に案内されてスムーズに点火部22へと導かれる。これにより、タンブル流T2の崩れを抑制することができる。したがって、副室18内に強いガス流動を生じさせ、充分な掃気性能を発揮させることができる。また、副室18内で混合気の着火性と燃焼火炎の伝播速度を高めて、燃焼の安定性を向上させることができる。
<第4実施形態>
図14は、第4実施形態に係る内燃機関の一部を拡大した縦断面図である。
第4実施形態に係る内燃機関10は、前述した第1実施形態に係る内燃機関10の構成(図6および図7参照)と比較して、副室18の内面47が球面に沿う形状に形成されている点が異なる。球面に沿う形状は、ラウンド形状の一例である。なお、ここで記述する球面は、厳密な意味での球面を含む以外に、球面に近い形状も含む。
第4実施形態に係る内燃機関10においては、副室18の内面47が球面に沿う形状に形成されているため、複数の噴孔30を通して副室18に流れ込む混合気Mによってタンブル流Tを形成する場合、このタンブル流Tは内面47に案内されてスムーズに点火部22へと導かれる。これにより、タンブル流Tの崩れを抑制することができる。したがって、副室18内に強いガス流動を生じさせ、充分な掃気性能を発揮させることができる。また、副室18内で混合気の着火性と燃焼火炎の伝播速度を高めて、燃焼の安定性を向上させることができる。
なお、副室18の内面47は、球面に沿う形状に限らず、図14の紙面奥行き方向に同じ断面を持つ円筒面に沿う形状でもよい。その場合、円筒面の両端における端面形状は、どのような形状でもかまわない。また、副室18の内面は、図14の紙面奥行き方向の断面が一様に半円形をなす形状、すなわち半円柱面に沿う形状でもよい。その場合は、点火部22の近傍に位置する天井面の部分に、断面半円形の内面を配置すればよい。
<第5実施形態>
図15は、第5実施形態に係る内燃機関の一部を拡大した横断面図である。
第5実施形態に係る内燃機関10は、副室形成部35の底部に形成された複数の噴孔30が、第1噴孔群51と第2噴孔群52とを備えている。第1噴孔群51は、図15の波線で囲まれた領域内に存在する6つの噴孔30-1を有し、第2噴孔群52は、それ以外の2つの噴孔30-2を有する。6つの噴孔30-1は、それぞれ、主室側噴孔部(図示せず)と副室側噴孔部302とを有し、2つの噴孔30-2も、それぞれ、主室側噴孔部(図示せず)と副室側噴孔部302とを有する。
第1噴孔群51に属する6つの噴孔30-1における副室側噴孔部302の中心軸(中心軸線)X11は、副室18側の一点Q1で交わっており、第2噴孔群52に属する2つの噴孔30-2における副室側噴孔部302の中心軸(中心軸線)X12は、副室18側の他の一点Q2で交わっている。これにより、噴孔30-1の副室側噴孔部302の中心軸ベクトルV11は、すべて点Q1に向かうベクトルとなり、噴孔30-2の副室側噴孔部302の中心軸ベクトルV12は、すべて点Q2に向かうベクトルとなる。
点Q1と点Q2は、副室18の径方向で対向する位置関係となっている。また、点Q1は、副室18の中心軸K(図14などを参照)の位置Pcから見て、一方の側面38の近傍に存在し、点Q2は、それと反対側となる他方の側面38の近傍に存在している。このため、噴孔30-1の副室側噴孔部302の中心軸ベクトルV11と、噴孔30-2の副室側噴孔部302の中心軸ベクトルV12とは、互いに逆向きのベクトル成分を有している。具体的には、噴孔30-1の副室側噴孔部302の中心軸ベクトルV11は、図15の右斜め下向きのベクトル成分を有し、噴孔30-2の副室側噴孔部302の中心軸ベクトルV12は、図15の左斜め上向きのベクトル成分を有している。
第5実施形態に係る内燃機関10において、第1噴孔群51に属する6つの噴孔30-1から副室18へと流れ込んだ混合気は、点Q1で合流するとともに、副室形成部35の側面38によって向きを変えられることにより、タンブル流T3を形成する。また、第2噴孔群52に属する2つの噴孔30-2から副室18へと流れ込んだ混合気は、点Q2で合流するとともに、副室形成部35の側面38によって向きを変えられることにより、タンブル流T4を形成する。こうして形成されたタンブル流T3,T4は、副室18の上部で合流する。これにより、副室18の上部には、混合気が強く乱れた領域E2が発生する。この領域E2の発生により、副室18内での乱流燃焼速度が上昇し、副室18内の火炎成長が安定する。その結果、副室18内の掃気性および着火性が向上するとともに、副室18内での火炎成長の安定化が図られる。
なお、上記第5実施形態においては、第1噴孔群51および第2噴孔群52を備えた構成を例に挙げて説明したが、噴孔群の数は3つ以上であってもよい。また、1つの噴孔群に属する噴孔の数は2つ以上であればよい。
<第6実施形態>
図16は、第6実施形態に係る内燃機関の一部を拡大した縦断面図である。
第6実施形態に係る内燃機関10においては、前述した第1実施形態に係る内燃機関10の構成(図6参照)と比較して、複数の噴孔30(30a~30d)のうち、噴孔30aの径(直径)が、これ以外の噴孔30b,30c,30dの径よりも大きく設定されている。また、噴孔30aにおいて主室側噴孔部301の中心軸と副室側噴孔部302の中心軸とのなす角度をφ1とし、噴孔30bにおいて主室側噴孔部301の中心軸と副室側噴孔部302の中心軸とのなす角度をφ2とし、噴孔30cにおいて主室側噴孔部301の中心軸と副室側噴孔部302の中心軸とのなす角度をφ3とし、噴孔30dにおいて主室側噴孔部301の中心軸と副室側噴孔部302の中心軸とのなす角度をφ4とすると、角度φ1は、角度φ2,φ3,φ4よりも大きく設定されている。
ここで、1つの噴孔30に関して、主室側噴孔部301の中心軸と副室側噴孔部302の中心軸とのなす角度が大きくなると、この噴孔30を通して混合気Mが副室18に流入するときの圧力損失や、この噴孔30を通して火炎ジェットJが主燃焼室17に噴出するときの圧力損失が大きくなる。このため、各々の噴孔30a~30dの径を同一に設定すると、混合気の流入バランスの偏りや火炎ジェットJの噴出バランスの偏りが大きくなる。
これに対し、第6実施形態に係る内燃機関10においては、主室側噴孔部301の中心軸と副室側噴孔部302の中心軸とのなす角度φ1が大きい噴孔30aの径を、他の噴孔30b,30c,30dの径よりも大きく設定している。このため、噴孔30aにおける圧力損失を低減し、混合気Mの流入バランスの偏りや火炎ジェットJの噴出バランスの偏りを抑制することができる。その結果、主燃焼室17における燃焼速度の向上および燃焼効率の向上を図ることができる。
なお、上記第6実施形態においては、主室側噴孔部301の中心軸と副室側噴孔部302の中心軸とのなす角度が最も大きい噴孔30aの径を、他の噴孔30b,30c,30dの径よりも大きく設定したが、これに限定されない。たとえば、主室側噴孔部301の中心軸と副室側噴孔部302の中心軸とのなす角度について予め閾値を設定しておき、複数の噴孔30のうち、主室側噴孔部301の中心軸と副室側噴孔部302の中心軸とのなす角度が閾値を超える噴孔30の径を、閾値以下の噴孔30の径よりも大きく設定してもよい。また、主室側噴孔部301の中心軸と副室側噴孔部302の中心軸とのなす角度が大きいほど、噴孔30の径が大きくなるように、各々の噴孔30の径を設定してもよい。すなわち、上記図16に示す構成や、ここで例示した構成を含めて、複数の噴孔30の径は、主室側噴孔部301の中心軸と副室側噴孔部302の中心軸とのなす角度に応じて設定すればよい。
<第7実施形態>
図17は、第7実施形態に係る内燃機関の一部を拡大した縦断面図である。
第7実施形態に係る内燃機関10においては、前述した第1実施形態に係る内燃機関10の構成(図6参照)と比較して、副室形成部35が突出部55を有する点が異なる。突出部55は、副室形成部35と一体に形成されている。また、突出部55は、副室18の側面38から、副室18の径方向内側に突出するように形成されている。突出部55は案内面56を有している。案内面56は、副室18の中心軸Kに対して傾斜している。図17においては、一例として、副室18の中心軸Kに対する案内面56の傾斜角度θが45度またはそれに近い角度に設定されている。また、案内面56の始点Sと終点Eとを結ぶ仮想直線Lは、点火プラグ21に向かって延在している。案内面56は、複数の噴孔30を通して主燃焼室17から副室18へと流れ込むガス(混合気M)を点火部22へと案内する。
第7実施形態に係る内燃機関10において、複数の噴孔30から副室18へと流れ込んだ混合気Mは、副室18の側面38を伝って突出部55に到達し、案内面56によって向きを変えられる。これにより、混合気Mは、点火プラグ21の点火部22に向かって流れる。このため、突出部55が形成されていない場合に比べて、点火部22の掃気性を高めることができる。したがって、副室18での混合気Mの着火性をより一層向上させることができる。
<変形例等>
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例を含む。たとえば、上述した実施形態では、本発明の内容を理解しやすいように詳細に説明しているが、本発明は、上述した実施形態で説明したすべての構成を必ずしも備えるものに限定されない。また、ある実施形態の構成の一部を、他の実施形態の構成に置き換えることが可能である。また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、これを削除し、または他の構成を追加し、あるいは他の構成に置換することも可能である。
たとえば、上述した実施形態においては、噴孔30の縦断面形状を屈曲形状(略V字形)としているが、これに限らず、噴孔30の縦断面形状を円弧形状としてもよい。その場合、主室側噴孔部301と副室側噴孔部302の境界は、噴孔30の深さ方向の中間位置とすればよい。
また、上述した実施形態においては、1つの噴孔30が主室側噴孔部301と副室側噴孔部302とによって構成される例を示したが、これに限らず、たとえば、主室側噴孔部301と副室側噴孔部302との間に、これらをつなぐ中間噴孔部(図示せず)が存在してもよい。
10…内燃機関、11…ピストン(主室形成部)、12…シリンダ(主室形成部)、13…シリンダヘッド(主室形成部)、17…主燃焼室、18…副室、20…プレチャンバー(副室形成部)、21…点火プラグ、22…点火部、30,30-1,30-2,30a~30d…噴孔、35…副室形成部、55…突出部、56…案内面、301…主室側噴孔部、302…副室側噴孔部、K…副室の中心軸、V,V1~V4…中心軸ベクトル、Vc…合成ベクトル

Claims (9)

  1. 主燃焼室を形成する主室形成部と、
    副室を形成する副室形成部と、
    前記副室に点火部を配置してなる点火プラグと、
    を備え、
    前記副室形成部は、前記主燃焼室と前記副室とを連通させる複数の噴孔を備え、
    前記複数の噴孔の各々は、前記主燃焼室側に近い主室側噴孔部と前記副室側に近い副室側噴孔部とを有し、前記主室側噴孔部と前記副室側噴孔部とが互いに異なる向きで形成され、
    前記複数の噴孔のうち、一の噴孔と他の噴孔とは、前記副室の中心軸に対して非対称に形成されている
    内燃機関。
  2. 前記複数の噴孔における前記副室側噴孔部の中心軸ベクトルを合成した合成ベクトルが前記点火部からずれた方向を向くように、前記複数の噴孔が形成されている
    請求項1に記載の内燃機関。
  3. 前記複数の噴孔における前記副室側噴孔部の中心軸が、前記副室側の一点で交わるように、前記複数の噴孔が形成されている
    請求項1または2に記載の内燃機関。
  4. 前記複数の噴孔における前記副室側噴孔部の中心軸が互いに平行となるように、前記複数の噴孔が形成されている
    請求項1または2に記載の内燃機関。
  5. 前記複数の噴孔は、2以上の噴孔を含む第1噴孔群と、2以上の噴孔を含む第2噴孔群と、を少なくとも有する複数の噴孔群を備え、前記第1噴孔群に属する前記2以上の噴孔における前記副室側噴孔部の中心軸が前記副室側の一点で交わるとともに、前記第2噴孔群に属する前記2以上の噴孔における前記副室側噴孔部の中心軸が前記副室側の他の一点で交わるように、前記複数の噴孔が形成されている
    請求項1または2に記載の内燃機関。
  6. 前記副室は、前記副室の少なくとも一部の内面がラウンド形状に形成されている
    請求項1または2に記載の内燃機関。
  7. 前記複数の噴孔の径は、前記主室側噴孔部の中心軸と前記副室側噴孔部の中心軸とのなす角度に応じて設定されている
    請求項1または2に記載の内燃機関。
  8. 前記副室形成部は、前記副室の径方向内側に突出する突出部を有し、
    前記突出部は、前記複数の噴孔を通して前記主燃焼室から前記副室へと流れ込むガスを前記点火部へと案内する案内面を有する
    請求項1または2に記載の内燃機関。
  9. 副室を形成するとともに、主燃焼室と前記副室とを連通させる複数の噴孔を備えるプレチャンバーであって、
    前記複数の噴孔の各々は、前記主燃焼室側に近い主室側噴孔部と前記副室側に近い副室側噴孔部とを有し、前記主室側噴孔部と前記副室側噴孔部とが互いに異なる向きで形成され、
    前記複数の噴孔のうち、一の噴孔と他の噴孔とが、前記副室の中心軸に対して非対称に形成されている
    プレチャンバー。
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