JP2022061847A - 無延伸フィルム及び包装袋 - Google Patents

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直彦 倉本
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雅文 栗本
Masafumi Kurimoto
裕一郎 小川
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Abstract

【課題】植物由来の樹脂を含むことにより環境負荷が低減され、かつ透明性、機械強度、及び耐熱性に優れる無延伸フィルムを提供することを課題とする。【解決手段】ポリプロピレン系樹脂を主成分として含有する層を少なくとも備えた単層又は多層構造の無延伸フィルムであって、ポリプロピレン系樹脂を含む層のうち、少なくとも1つの層に含まれるポリプロピレン系樹脂が、植物由来ポリプロピレン系樹脂を含むことを特徴とする、無延伸フィルム。【選択図】なし

Description

本発明は、無延伸フィルム及び該フィルムからなる包装袋に関する。
ポリオレフィン系樹脂フィルムは、繊維・衣料などの日用雑貨品、食品包装用途、工業部品の包装用途など、各種製品を包装する材料として知られている。また、このような包装材料としては、透明性がよく、製袋加工などの機械適性に優れるため、無延伸ポリプロピレン系フィルムが広く用いられている。無延伸ポリプロピレン系フィルムは、基材からなる単層構造のものや、基材の両面にスキン層を設けたものなど、用途に応じて種々の形態のものが使用されている。
このようなポリプロピレン系フィルムは、石油由来のポリプロピレン系樹脂により形成されることが一般的であるが、近年、環境負荷を低減する観点から、植物由来の樹脂を含有させたフィルムの開発もなされている。
例えば特許文献1では、特定量のポリプロピレン系重合体及びポリ乳酸からなる中間層と、その両面のポリプロピレン系重合体からなる外層とを備える積層フィルムについて記載されている。ポリ乳酸は植物由来の樹脂であり、生分解性を有していることから、環境保護の観点から有用とされている。
また、植物由来のポリエチレン系樹脂を含有させたポリプロピレンフィルム(例えば特許文献2)やポリエチレンフィルム(例えば、特許文献3)なども開示されている。植物由来のポリエチレンを含有させることで、石油消費量を減らすことができ、二酸化炭素排出量を抑制することができる。
特開2011-212842号公報 特開2018-65267号公報 特開2012-167172号公報
しかしながら、ポリプロピレン系樹脂を主成分として含有する層を備える無延伸フィルムにおいて、環境負荷低減の実効性を上げるために、ポリプロピレン系樹脂の一部を植物由来ポリエチレン系樹脂に代えてしまうと、得られたフィルムの透明性、像鮮明度、機械強度、耐熱性などの諸物性が低下する問題がある。
そこで本発明では、ポリプロピレン系樹脂を主成分として含有する層を少なくとも備えた無延伸フィルムであって、環境負荷低減の観点から、植物由来の樹脂を使用した場合に、透明性、像鮮明度、機械強度、及び耐熱性の低下を抑制できる無延伸フィルム、及び該無延伸フィルムからなる包装袋を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、ポリプロピレン系樹脂を主成分として含有する層を少なくとも備えた単層又は多層構造の無延伸フィルムにおいて、植物由来ポリプロピレン系樹脂を含有するポリプロピレン系樹脂を用いることで、環境負荷が低減され、かつ透明性、像鮮明度、機械強度、及び耐熱性が良好に維持されることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、以下の[1]~[6]を提供する。
[1]ポリプロピレン系樹脂を主成分として含有する層を少なくとも備えた単層又は多層構造の無延伸フィルムであって、ポリプロピレン系樹脂を含む層のうち、少なくとも1つの層に含まれるポリプロピレン系樹脂が、植物由来ポリプロピレン系樹脂を含むことを特徴とする、無延伸フィルム。
[2]少なくとも1層の基材層と、該基材層の片面又は両面に積層されたスキン層とを備える多層構造である、上記[1]に記載の無延伸フィルム。
[3]前記基材層及びスキン層が、それぞれポリプロピレン系樹脂を主成分として含有する層である、上記[2]に記載の無延伸フィルム。
[4]少なくとも1つのスキン層に含まれるポリプロピレン系樹脂の融点が、前記基材層に含まれるポリプロピレン系樹脂の融点よりも低い、上記[3]に記載の無延伸フィルム。
[5]前記基材層がポリエチレン系樹脂を主成分として含有する層であり、前記スキン層がポリプロピレン系樹脂を主成分として含有する層である、上記[2]に記載の無延伸フィルム。
[6]上記[1]~[5]のいずれかに記載の無延伸フィルムからなる包装袋。
本発明によれば、ポリプロピレン系樹脂を主成分として含有する層を少なくとも備えた無延伸フィルムにおいて、環境負荷が低減され、かつ透明性、像鮮明度、機械強度、及び耐熱性の良好な無延伸フィルムを提供することができる。
本発明の無延伸フィルムの一実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の無延伸フィルムの他の実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の無延伸フィルムの他の実施形態を模式的に示す断面図である。 本発明の無延伸フィルムの他の実施形態を模式的に示す断面図である。
[無延伸フィルム]
本発明の無延伸フィルムは、ポリプロピレン系樹脂を主成分として含有する層を少なくとも備えた無延伸フィルムであって、ポリプロピレン系樹脂を含む層のうち、少なくとも1つの層に含まれるポリプロピレン系樹脂が、植物由来ポリプロピレン系樹脂を含むことを特徴とする。
なお、本発明において、ポリプロピレン系樹脂とは、プロピレンモノマーを主モノマーとする重合体であり、好ましくはプロピレンモノマーを50モル%以上、より好ましくは70モル%以上含む重合体である。
本発明の無延伸フィルムは、ポリプロピレン系樹脂を主成分として含有する層を少なくとも備える。ここで、ポリプロピレン系樹脂を主成分として含有する層とは、ポリプロピレン系樹脂の含有量が50質量%以上の層である。ポリプロピレン系樹脂を主成分とする層におけるポリプロピレン系樹脂の含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
(植物由来ポリプロピレン系樹脂)
本発明の無延伸フィルムにおいて、ポリプロピレン系樹脂を含む層のうち、少なくとも1つの層に含まれるポリプロピレン系樹脂は、植物由来ポリプロピレン系樹脂を含む。植物由来ポリプロピレン系樹脂を含むことで、無延伸フィルムを製造する際の石油由来の樹脂の使用比率を低下させることができ、石油資源を節約することができると共に、二酸化炭素排出量を抑制し環境負荷を低減されることができる。環境負荷をより低減させる観点から、ポリプロピレン系樹脂を含む層のうち、全ての層に含まれるポリプロピレン系樹脂が、植物由来ポリプロピレン系樹脂を含むことが好ましい。
植物由来ポリプロピレン系樹脂は、分子量、立体規則性、共重合構造などの分子鎖構造が同等であれば、石油由来ポリプロピレン系樹脂と同等の性能を有する。そのため、物性を変化させることなく、石油由来ポリプロピレン樹脂を植物由来ポリプロピレン樹脂に置き換えることができ、環境負荷を低減させることができる。
また、石油由来ポリプロピレン系樹脂の一部を植物由来ポリエチレン系樹脂に代えた無延伸フィルムでは、フィルムの透明性、像鮮明度、機械強度、耐熱性といった諸物性が低下するが、植物由来ポリプロピレン系樹脂を使用した本発明無延伸フィルムは、透明性、像鮮明度、機械強度、耐熱性といった物性が良好である。
本発明における植物由来ポリプロピレン系樹脂は、植物由来のプロピレン(モノマー)を原料として使用し製造したポリプロピレンであれば特に制限されず、植物由来のプロピレンの単独重合体、植物由来のプロピレンと他のモノマーとを共重合した植物由来のプロピレン共重合体などが挙げられる。ここで、他のモノマーとしては、炭素数2~20のプロピレン以外のα-オレフィンが挙げられ、好適に使用される他のモノマーとしては、エチレン、ブテン-1などが挙げられる。他のモノマーは、石油由来のモノマーであっても、植物由来のモノマーであってもよい。また、他のモノマーは1種であっても、2種以上を併用してもよい。
植物由来のプロピレン共重合体として好適に使用されるものは、例えば、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン-1共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン-1共重合体などが挙げられる。なお、共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。例えば、プロピレン-エチレン共重合体は、プロピレン-エチレンランダム共重合体(ランダムPP)であっても、プロピレン-エチレンブロック共重合体(ブロックPP)であってもよい。
植物由来ポリプロピレン系樹脂の原料である植物由来のプロピレンは、公知の方法で製造することができ、例えば、植物油などを熱的クラッキングをする方法(特表2018-522087号公報参照)、とうもろこしやサトウキビなどのバイオマス由来のエタノールから得られるエチレンと、n-ブテンをメタセシス反応させる方法(WO2007/055361号公報参照)、バイオマスを発酵させることで得られる1,3-プロピレングリコールを脱水反応する方法(特開2013-76192号公報)などが挙げられる。
上記のとおり得られた植物由来のプロピレンを公知の方法で単独重合又は他のモノマーと共に共重合することにより、植物由来ポリプロピレン系樹脂が得られる。
植物由来ポリプロピレン系樹脂を含有するポリプロピレン系樹脂は、植物由来ポリプロピレン系樹脂のみで構成されてもよいし、植物由来ポリプロピレン系樹脂及び石油由来ポリプロピレン系樹脂で構成されてもよい。該ポリプロピレン系樹脂における植物由来ポリプロピレン樹脂の含有量は、環境負荷低減の観点から、好ましくは1質量%以上であり、より好ましくは30質量%以上であり、さらに好ましくは60質量%以上であり、よりさらに好ましくは100質量%である。
なお、石油由来ポリプロピレン系樹脂は、石油由来のモノマーから製造され、工業的にに使用されている一般的なポリプロピレンである。石油由来ポリプロピレン系樹脂としては、プロピレン単独重合体、プロピレンと炭素数2~20のプロピレン以外のα-オレフィンとの共重合体などが挙げられる。該共重合体としては、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン-1共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン-1共重合体などが好適に使用される。なお、共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。例えば、プロピレン-エチレン共重合体は、プロピレン-エチレンランダム共重合体(ランダムPP)であっても、プロピレン-エチレンブロック共重合体(ブロックPP)であってもよい。
[層構成]
本発明の無延伸フィルムは、ポリプロピレン系樹脂を主成分として含有する単層であってもよいし、多層構造であってもよい。
無延伸フィルムが多層構造の場合は、2以上の層から構成される無延伸フィルムであって、少なくとも1つの層がポリプロピレン系樹脂を主成分として含有する層であればよい。
ポリプロピレン系樹脂を主成分として含有する層が複数存在する場合は、該複数の層のうち、少なくとも1つの層に含まれるポリプロピレン系樹脂が植物由来ポリプロピレン系樹脂を含めばよいが、環境負荷低減の観点から、該複数の層の全ての層含まれるポリプロピレン系樹脂が、植物由来ポリプロピレン系樹脂を含有することが好ましい。
多層構造の場合において、無延伸フィルムは、少なくとも1層の基材層と、該基材層の片面又は両面に積層されたスキン層とを備えることが好ましい。
基材層及びスキン層を構成する層のうち、いずれか1層がポリプロピレン系樹脂を主成分として含有する層であればよい。
基材層を形成する樹脂の種類は、無延伸フィルムの用途に応じて適宜選択すればよく、機械的強度、耐熱性などを必要とする場合は、基材層はポリプロピレン系樹脂を主成分ととして含有する層Aであることが好ましく、柔軟性や包装袋として用いた場合の風合いなど向上させる場合は、基材層はポリエチレン系樹脂を主成分として含有する層Bであることが好ましい。
したがって、多層構造の無延伸フィルムとしては、基材層及びスキン層が、それぞれポリプロピレン系樹脂を主成分として含有する層であるか、又は基材層がポリエチレン系樹脂を主成分として含有する層であり、かつスキン層がポリプロピレン系樹脂を主成分として含有する層であることが好ましい。
(基材層)
基材層は、ポリプロピレン系樹脂を主成分として含有する層又はポリエチレン系樹脂を主成分として含有する層であることが好ましい。
≪基材層:ポリプロピレン系樹脂を主成分として含有する層A≫
基材層がポリプロピレン系樹脂を主成分として含有する層Aの場合は、基材層を形成するポリプロピレン系樹脂における植物由来ポリプロピレン系樹脂の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上であり、よりさらに好ましくは50質量%以上である。植物由来ポリプロピレン系樹脂の含有量がこれら下限値以上であると、環境負荷を低減しやすくなる。
層Aに使用する植物由来ポリプロピレン系樹脂は、プロピレン単独重合体(すなわち、ホモポリプロピレン)、プロピレン-エチレン共重合体及びプロピレン-エチレン-ブテン-1共重合体からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。なお、共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。例えば、プロピレン-エチレン共重合体は、プロピレン-エチレンランダム共重合体(ランダムPP)であっても、プロピレン-エチレンブロック共重合体(ブロックPP)であってもよい。
層Aに含まれる石油由来ポリプロピレン系樹脂も同様に、プロピレン単独重合体(すなわち、ホモポリプロピレン)及びプロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン-1共重合体からなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましい。なお、共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。例えば、プロピレン-エチレン共重合体は、プロピレン-エチレンランダム共重合体(ランダムPP)であっても、プロピレン-エチレンブロック共重合体(ブロックPP)であってもよい。
基材層である層Aに使用されるポリプロピレン系樹脂(植物由来ポリプロピレン系樹脂又は石油由来ポリプロピレン系樹脂)の種類は、無延伸フィルムの用途に応じて適宜選択すればよい。
例えば、無延伸フィルムをポリスチレン発泡シートなどと積層して、熱成型用の積層シートとする場合は、耐熱性が必要となるため、ポリプロピレン系樹脂として、プロピレン単独重合体(すなわち、ホモポリプロピレン)を使用することが好ましい。
無延伸フィルムを、二軸延伸ポリプロピレンフィルム又はポリエチレンテレフタレートフィルムなどの耐熱基材とラミネートするなど、無延伸フィルムをシーラントとして使用する場合は、ポリプロピレン系樹脂として、プロピレン-エチレン共重合体及びプロピレン-エチレン-ブテン-1共重合体から選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。
無延伸フィルムを、レトルト用シーラントなどの耐衝撃性が必要とされる用途に使用する場合は、ポリプロピレン系樹脂として、プロピレン-エチレンブロック共重合体(ブロックPP)を使用することが好ましい。
なお、層Aは、ポリエチレン系樹脂を含有させると、製造された無延伸フィルムの透明性、像鮮明度、機械強度、耐熱性といった物性が低下しやすくなる。そのため、層A中のポリエチレン系樹脂の含有量は、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0質量%である。
層Aには、本発明の効果を阻害しない範囲において、ポリプロピレン系樹脂及びポリエチレン系樹脂以外のその他の樹脂を含有させてもよい。その他の樹脂としては、例えば、ポリブテン-1、ポリ4-メチル-1-ペンテン、環状ポリオレフィン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン共重合体、ポリスチレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、石油樹脂などが挙げられる。基材層中のその他の樹脂の含有量は、好ましくは3質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下であり、さらに好ましくは0質量%である。
層Aに含まれるポリプロピレン系樹脂の融点は、特に制限されないが、無延伸フィルムの耐熱性及び機械的強度を向上させる観点から、好ましくは110~170℃、より好ましくは120~165℃である。
なお本明細書において融点は、示差走査熱量計により得られる吸熱曲線において最大吸熱を示すピーク温度とする。
層Aに含まれるポリプロピレン系樹脂の230℃におけるメルトフローレート(MFR)は、特に制限されないが、製膜性やフィルムの機械強度などの観点から、好ましくは1g/10分以上20g/10分以下であり、より好ましくは2g/10分以上15g/10分以下である。なお、ポリプロピレン系樹脂のMFRは、JIS K 7210に準拠して230℃において荷重2.16kgにて測定した値である。
≪基材層:ポリエチレン系樹脂を主成分として含有する層B≫
基材層がポリエチレン系樹脂を主成分として含有する層Bにおいて、該層Bにおけるポリエチレン系樹脂の含有量は50質量%以上である。層Bにおけるポリエチレン系樹脂の含有量は、好ましくは70質量%以上、より好ましくは80質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
ポリエチレン系樹脂は、例えば、エチレンの重合体、エチレンとαオレフィンの共重合体などが挙げられ、ポリマーの主鎖にエチレンの繰り返し単位を、例えば50モル%以上、好ましくは80モル%以上含む樹脂である。
ポリエチレン系樹脂の密度は、好ましくは0.89g/cm以上0.96g/cm以下であり、より好ましくは0.91g/cm以上0.94g/cm以下である。ポリエチレン系樹脂の密度がこのような範囲であると、フィルムの柔軟性が良好になる。
ポリエチレン系樹脂のMFRは、好ましくは1g/10分以上10g/10分以下であり、より好ましくは2g/10分以上6g/10分以下である。ポリエチレン系樹脂のMFRがこのような範囲であると、フィルムの製膜を安定して行うことができる。
ポリエチレン系樹脂のMFRは、JIS K 7210に準拠して190℃において荷重2.16kgにて測定した値である。
ポリエチレン系樹脂の種類は、特に限定されず、例えば高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどが挙げられる。これらの中でも、フィルムの柔軟性と透明性を高め、さらにフィルム製造時の製膜性を良好にする観点などから、直鎖状低密度ポリエチレンが好ましい。
直鎖状低密度ポリエチレンは、エチレン-α-オレフィン共重合体であり、前記α-オレフィンは、好ましくは炭素数3~12、より好ましくは炭素数4~8のα-オレフィンである。α-オレフィンとしては、プロピレン、ブテン-1、ヘキセン-1、オクテン-1、4-メチル-1-ペンテン等のα-オレフィンであることが好ましい。
上記したエチレン-α-オレフィン共重合体の中でも、エチレン-ブテン-1共重合体、エチレン-ヘキセン-1共重合体、エチレン-オクテン-1共重合体などが好ましい。
層Bに含まれるポリエチレン系樹脂は、石油由来のポリエチレン系樹脂でもよいし、植物由来のポリエチレン系樹脂でもよい。環境負荷を低減する観点から、ポリエチレン系樹脂は、植物由来のポリエチレン系樹脂を含むことが好ましい。また、植物由来のポリエチレン系樹脂と、石油由来のポリエチレン系樹脂とを併用することも好ましい。
植物由来のポリエチレン系樹脂は、石油由来のポリエチレン系樹脂と物性等は同等であるが、石油消費量、CO2排出量を低減するため、環境負荷を抑制できる。植物由来のポリエチレン系樹脂としてはブラスケム社(Braskem S.A.)製のグリーンポリエチレンを例示することができる。
植物由来のポリエチレンの場合、大気中にC14が一定の濃度で含まれているため、一定濃度のC14が含まれている。しかし、地中に閉じ込められた石油中にはC14がほとんど存在しない。したがって、C14の濃度を加速器質量分析により測定することにより、植物由来の原料の含有割合の指標とすることができる。
例えば、フィルム中のC14の濃度の測定は、次のように行うことができる。すなわち、測定対象試料を燃焼させて二酸化炭素を発生させ、真空ラインで精製した二酸化炭素を、鉄を触媒として水素で還元し、グラファイトを精製させる。そして、このグラファイトを、タンデム加速器をベースとしたC14-AMS専用装置(NEC社製)に装着して、C14の計数、C13の濃度(C13/C12)、C14の濃度(C14/C12)の測定を行い、この測定値から標準現代炭素に対する試料炭素のC14濃度の割合を算出する。標準試料としては、米国国立標準局(NIST)から提供されるシュウ酸(HOXII)を使用する。
層Bは、上記したポリエチレン系樹脂以外に、ポリプロピレン系樹脂を含有してもよい。ポリプロピレン系樹脂を含有することで、基材層である層Bと、スキン層との接着性が向上する。ポリプロピレン系樹脂の種類は特に限定されないが、プロピレン-エチレン共重合体及びプロピレン-エチレン-ブテン-1共重合体からなる群から選択される少なくとも1種が好ましい。なお、共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。例えば、プロピレン-エチレン共重合体は、プロピレン-エチレンランダム共重合体(ランダムPP)であっても、プロピレン-エチレンブロック共重合体(ブロックPP)であってもよい。
フィルムの柔軟性、及び基材層である層Bとスキン層との接着性をより高度に両立させる観点から、ポリエチレン系樹脂100質量部に対するポリプロピレン系樹脂の含有量は、好ましくは10~30質量部であり、より好ましくは20~25質量部である。
層Bにポリプロピレン系樹脂を含有させる場合は、該ポリプロピレン系樹脂は、植物由来ポリプロピレン系樹脂を含むことが好ましい。この場合、ポリプロピレン系樹脂における植物由来ポリプロピレン系樹脂の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上であり、よりさらに好ましくは50質量%以上である。植物由来ポリプロピレン系樹脂の含有量がこれら下限値以上であると、環境負荷を低減しやすくなる。
層Bには、本発明の効果を阻害しない範囲において、ポリエチレン系樹脂及びポリプロピレン系樹脂以外のその他の樹脂を含有させてもよい。その他の樹脂としては、例えば、ポリブテン-1、ポリ4-メチル-1-ペンテン、環状ポリオレフィン、エチレン-プロピレン共重合体、エチレン-ブテン共重合体、ポリスチレン樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、石油樹脂などが挙げられる。層B中のその他の樹脂の含有量は、好ましくは3質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下であり、さらに好ましくは0質量%である。
基材層の厚さは、特に限定されないが、フィルムの柔軟性を高めつつ、包装体として使用する際の適切な機械的強度を確保する観点などから、好ましくは5~100μmであり、より好ましくは10~50μmである。
(スキン層)
スキン層は、ポリプロピレン系樹脂を主成分として含有する層であることが好ましい。無延伸フィルムが多層構造の場合、基材層に植物由来ポリプロピレン系樹脂が含まれていれば、スキン層には必ずしも植物由来ポリプロピレン樹脂が含まれていなくてもよいが、環境負荷低減の観点から、スキン層は植物由来ポリプロピレン樹脂を含むことが好ましい。この場合、スキン層を形成するポリプロピレン系樹脂は、植物由来ポリプロピレン系樹脂のみであってもよいし、植物由来ポリプロピレン系樹脂及び石油由来ポリプロピレン系樹脂の両方からなるものであってもよい。
スキン層を形成するポリプロピレン系樹脂における植物由来ポリプロピレン系樹脂の含有量は、好ましくは1質量%以上、より好ましくは5質量%以上であり、さらに好ましくは30質量%以上であり、よりさらに好ましくは50質量%以上である。植物由来ポリプロピレン系樹脂の含有量がこれら下限値以上であると、環境負荷を低減しやすくなる。
スキン層に使用する植物由来ポリプロピレン系樹脂は、特に限定されないが、プロピレン単独重合体、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン-1共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン-1共重合体から選択される少なくとも1種であることが好ましい。スキン層を構成するポリプロピレン系樹脂の融点を低くして、ヒートシール性を付与することができる。この場合、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン-1共重合体、及びプロピレン-エチレン-ブテン-1共重合体から選択される少なくとも1種であることが好ましい。なお、共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。例えば、プロピレン-エチレン共重合体は、プロピレン-エチレンランダム共重合体(ランダムPP)であっても、プロピレン-エチレンブロック共重合体(ブロックPP)であってもよい。
スキン層に使用する石油由来ポリプロピレン系樹脂も同様に、特に限定されないが、プロピレン単独重合体、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン-1共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン-1共重合体から選択される少なくとも1種であることが好ましい。スキン層を構成するポリプロピレン系樹脂の融点を低くして、ヒートシール性を付与することができる。この場合、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン-1共重合体、及びプロピレン-エチレン-ブテン-1共重合体から選択される少なくとも1種であることが好ましい。なお、共重合体は、ランダム共重合体であってもブロック共重合体であってもよい。例えば、プロピレン-エチレン共重合体は、プロピレン-エチレンランダム共重合体(ランダムPP)であっても、プロピレン-エチレンブロック共重合体(ブロックPP)であってもよい。
ヒートシールを行う場合、少なくとも1つのスキン層に含まれるポリプロピレン系樹脂の融点は、基材層に含まれるポリプロピレン系樹脂の融点よりも低いことが好ましい。無延伸フィルムにヒートシール性などを付与しやすくなる。スキン層が基材の片面及び両面の両方に設けられている場合は、少なくとも一方、好ましくは両方のスキン層に含まれるポリプロピレン系樹脂の融点が、基材層に含まれるポリプロピレン系樹脂の融点よりも低いことが好適である。
スキン層を形成するポリプロピレン系樹脂の融点は、特に限定されず、例えば110~170℃、好ましくは120~165℃である。
スキン層を形成するポリプロピレン系樹脂の230℃におけるメルトフローレート(MFR)は、特に制限されないが、好ましくは1g/10分以上20g/10分以下であり、より好ましくは2g/10分以上15g/10分以下である。
<ヒートシール層>
スキン層の種類は特に限定されず、ヒートシール層とすることができる。
ヒートシール層とは、無延伸フィルムを包装袋として使用する場合などに、ヒートシールを可能にする層であり、熱により溶融又は軟化する層である。より具体的には、無延伸フィルムを包装袋として使用する際に、内容物を収納した後、熱圧着することにより密閉することを可能とする層である。
したがって、ヒートシール層には、比較的融点の低いポリプロピレン系樹脂を含むことが好ましく、例えば融点が110~150℃のポリプロピレン系樹脂を含むことが好ましい。
スキン層の構成は、スキン層の種類に応じて、適宜調整することが好ましい。スキン層がヒートシール層の場合は、使用するポリプロピレン系樹脂は、プロピレン-エチレン共重合体、プロピレン-ブテン-1共重合体、プロピレン-エチレン-ブテン-1共重合体から選択される少なくとも1種であることが好ましい。
本発明におけるスキン層の厚みは、好ましくは1~50μmであり、より好ましくは2~40μmである。
スキン層の基材層に対する厚み(スキン層の厚み/基材層の厚み)は、好ましくは0.05~5であり、より好ましくは0.1~3である。
なお、スキン層を基材層の両面に設ける場合は、上記スキン層の厚みは、両面に設けられるそれぞれのスキン層の厚みを意味し、それぞれのスキン層の厚みは、同一であっても異なっていてもよい。
また、本発明の無延伸フィルムにおいて、少なくとも1つのスキン層を基材層と同様の組成の層としてもよい。例えば、基材層の両面に、基材層と同様の組成からなるスキン層を設けてもよいし、基材層の一方の面にヒートシール層を設けて、基材層の他方の面に基材層と同様の組成からなるスキン層を設けてもよい。
上記した基材層およびスキン層は、インクまたは接着剤との親和性ないし密着性を向上する目的などのため、コロナ放電処理やフレーム(火焔)処理などの表面処理を施したものであってもよい。
本発明の無延伸フィルムの好適な構成について、図面を用いて具体的に説明する。なお、本発明の無延伸フィルムは、図面の内容に限定されるものではない。
単層の無延伸フィルムとしては、図1に示すように、ポリプロピレン系樹脂を主成分として含有する基材層11(すなわち、上記した層A)のみで構成された無延伸フィルム10が挙げられる。
多層構造の無延伸フィルムとしては、基材層11と、該基材層11の片面に設けられたポリプロピレン系樹脂を主成分として含有するヒートシール層12(スキン層)とを備える片面ヒートシール性無延伸フィルム10(図2参照)、基材層11と、基材層11の両面に設けられたヒートシール層12(スキン層)とを備える両面ヒートシール性無延伸フィルム10(図3参照)、ポリエチレン系樹脂を主成分として含有する基材層13(すなわち、上記した層B)と該基材層13の両面に設けられたヒートシール層12(スキン層)とを備える両面ヒートシール性無延伸フィルム10(図4参照)などが挙げられる。
(添加剤)
本発明の無延伸フィルムは、添加剤として防曇剤及び帯電防止剤として機能する添加剤をを含有してもよい。該添加剤は、基材層及びスキン層の少なくともいずれかの層に含まれていればよいが、基材層に含まれることが好ましい。
防曇剤及び帯電防止剤として機能する添加剤の含有量は、該添加剤が含まれる層(基材層又はスキン層)において、好ましくは0.4~1.0質量%であり、より好ましくは0.6~0.8質量%である。
防曇剤及び帯電防止剤として機能する添加剤の種類は、一般のポリオレフィンフィルムに用いられるものであれば特に制限されないが、例えば、グリセリン、ポリエチレングリコール、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ポリプロピレングリコール等の多価アルコールと、ラウリン酸、ステアリン酸、オレイン酸等の高級脂肪酸とのエステル、高級脂肪族アミンのエチレンオキサイド付加物、高級脂肪族アルカノールアミド、高級アルコールリン酸エステル塩、及びその混合物等が挙げられる。
本発明の無延伸フィルムは、上記した防曇剤及び帯電防止剤として機能する添加剤以外のその他添加剤を含有してもよい。その他の添加剤としては、例えば、結晶化核剤、酸化防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、塩素捕捉剤、抗菌剤、鮮度保持剤等を挙げることができる。その他の添加剤は、基材層に含有させてもよいし、スキン層に含有させてもよいし、基材層及びスキン層に含有させてもよい。
[無延伸フィルムの製造方法]
本発明の無延伸フィルムの製造方法は特に制限されない。ここで無延伸とは、その製造過程において、実質的に延伸を伴わない方法で製造されることを意味し、実質的に延伸を伴わないとは、明示的な延伸工程を経由しないで製造されることを意味する。したがって、通常採用される条件下の押出工程を採用した場合に押出方向に若干の配向が生じることは許容される。
本発明の無延伸フィルムの製造方法としては、例えば、押出法、キャスト法などの方法を適宜採用することができるが、押出法により製造することが好ましい。押出法におけるダイとしては、Tダイ、環状ダイなどを使用することができるが、層の厚みを精密にコントロールして、優れた光学的特性を得る観点からは、Tダイを使用することが好ましい。
本発明の単層の無延伸フィルムを製造する方法としては、例えば押出法を採用することができる。押出法においては、ポリプロピレン系樹脂を含む組成物をダイにより押し出すことで無延伸フィルム前駆体を形成することができる。該フィルム前駆体は、1又は2以上の冷却ロールにより順次冷却されて、無延伸フィルムとすることが好ましい。
本発明の多層構造の無延伸フィルムを製造する方法としては、例えば共押出法、インラインラミネート法などの公知の方法を採用することができる。これらのうち、各層の厚みを幅方向で均一にコントロールしやすいため、共押出法が好ましい。
上記共押出法としては、例えばマルチマニホールド法、フィードブロック法などを挙げることができる。
また、共押出法においては、基材層と、基材層の片面又は両面に設けられるスキン層を形成するためのそれぞれの樹脂組成物を溶融させて、該溶融したそれぞれの樹脂組成物を別々の押出機からダイへ押し出すことで無延伸フィルム前駆体を形成することができる。該フィルム前駆体は、1又は2以上の冷却ロールにより順次冷却されて、無延伸フィルムとすることが好ましい。
上記の通り製造した無延伸フィルムは、そのまま使用してもよいし、該無延伸フィルムを二次加工して使用してもよい。二次加工としては、例えば、印刷、コーティング、蒸着などの方法により表面加工したり、あるいは他のフィルムとラミネートすることなどが挙げられる。前記した他のフィルムは、二軸延伸フィルムであっても無延伸フィルムであってもよく、その素材は特に制限されず、例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリ乳酸、脂肪族ポリエステルなど)、ポリアミド、エチレン-ビニルアルコール共重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、ポリカーボネートなどが挙げられる。二次加工は無延伸フィルムの一方の面に行ってもよいし、両面に行ってもよい。
[包装袋]
本発明の包装袋は、上記のようにして得られた無延伸フィルムからなる包装袋である。包装袋は、好ましくはスキン層を備える多層構造の無延伸フィルムを用いて製造することが好ましい。この場合、スキン層(ヒートシール層)を内側にして開口部を有する袋状に成形することにより、包装袋を得ることができる。具体的には、無延伸フィルムを、スキン層を内側にして適当な大きさに折り畳み、端部をヒートシール又は溶断シールして袋状に成形することができる。
ヒートシール温度は、スキン層同士が熱圧着しうる温度とすることが好ましく、例えば100~200℃程度とすることができる。ヒートシール圧力は例えば0.1~1.0MPa程度、ヒートシール時間は例えば0.5~5.0秒間程度とすることができる。
包装袋は、溶断シールすることによっても得ることができる。
溶断シールによる包装袋は、上記のようにして得られた無延伸フィルムを溶断することで得られる。包装袋は、市販のサイドウェルダー(溶断機)を用いて、公知の方法によって製造することができる。溶断条件としては、シール刃の温度を、例えば200~400℃とし、製袋速度を例えば60~200ショット/分とすればよい。
該包装袋は、食品、日用品、繊維類などの内容物を収容する包装袋として使用することができる。
以下、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[評価]
(1)透明性
透明性の指標として、日本電色工業(株)製、ヘーズメーター(型番:NDH5000)を用い、JIS K 7136に準拠してヘーズの測定を行った。ヘーズが4%以下の場合を「〇」と評価し、ヘーズが4%超の場合を「×」と評価した。
(2)像鮮明度
写像性の指標として、スガ試験機(株)製、写像性測定器(型番:ICM-1DP)を用い、JIS K 7105に準拠し、光学櫛(くし)のスリット幅を0.125mmとして像鮮明度の測定を行った。像鮮明度が65%以上の場合を「〇」と評価し、像鮮明度が65%未満の場合を「×」と評価した。
(3)フィルム強度
JIS K 7127に準拠して、試験片タイプ2にて、引張試験機((株)島津製作所製AG-Xplus)を用いて、引張速度20mm/分にてMD方向における引張弾性率の測定を行った。基材層がポリプロピレン系樹脂よりなる場合(実施例1~2、及び比較例1~2の場合)、引張弾性率が600MPa以上の場合を「〇」と評価し、引張弾性率が600MPa未満の場合を「×」と評価した。基材層がポリエチレン系樹脂よりなる場合(実施例3~4、及び比較例3~4の場合)、引張弾性率が250MPa以上の場合を「〇」と評価し、引張弾性率が250MPa未満の場合を「×」と評価した。
(4)ヒートシール性
MD方向を長手とした幅15mm長さ150mmの短冊状のサンプル2枚をスキン層同士が重なるように合わせ、ヒートシール機((株)安田精機製作所製 No.3 YSS TYPE HEAT SEALER)を用いて、上側テフロンシートで被覆した金属ヒートシールバー温度121~148℃、下側テフロンゴム温度90℃、ヒートシール圧力0.1MPa、ヒートシール時間1秒の条件で、ヒートシールを行った。ヒートシールは、金属ヒートシールバー温度(ヒートシール温度)を121℃から148℃まで3℃間隔で変更させて、行った。各ヒートシール温度でヒートシールしたサンプルを、引張試験機((株)島津製作所製AG-Xplus)を用いて、引張速度100mm/分で引張試験を行いヒートシール部分が剥離若しくは破断するときの最大強度をヒートシール強度(単位:N/15mm)とした。プロットしたヒートシール強度(縦軸)の最大値をヒートシール最高強度とした。ヒートシール最高強度が20N/15mm以上の場合を「〇」と評価し、それ以外を「×」と評価した。
(5)衝撃強度
耐衝撃性の指標として、(株)東洋精機製、フィルムインパクトテスターを用い、次の条件で衝撃強度の測定を行った。
試験片寸法:120mm×120mm
測定温度:0℃雰囲気
衝撃強度が0.5J以上の場合を「〇」と評価し、衝撃強度が0.5J未満の場合を「×」と評価した。
(6)環境負荷
植物由来の樹脂を含有した無延伸フィルムについては、環境負荷を低減するものとして「〇」と評価し、植物由来の樹脂を含有しない無延伸フィルムについては環境負荷を低減しないものとして「×」と評価した。
<基材層及びスキン層1に使用した樹脂>
・石油由来ポリプロピレン系樹脂1・・プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、日本ポリプロ(株)社製「FY6」、MFR(230℃):2.4g/10分、融点161℃、
・植物由来ポリプロピレン系樹脂3・・プロピレン単独重合体(ホモポリプロピレン)、SABIC社製「PP525PB」、MFR(230℃):3.0g/10分、融点161℃
・植物由来ポリエチレン系樹脂・・直鎖状低密度ポリエチレン、Braskem S.A.社製「SLH218」、MFR(190℃):2.3g/10分、密度:0.916g/cm
・石油由来ポリエチレン系樹脂・・直鎖状低密度ポリエチレン、(株)プライムポリマー社製「SP2020」、MFR(190℃):2.3g/10分、密度:0.916g/cm
<スキン層1及びスキン層2に使用した樹脂>
・石油由来ポリプロピレン系樹脂2・・プロピレン-エチレン共重合体(ランダムポリプロピレン)、サンアロマー(株)社製「PC630A」、MFR(230℃):8.0g/10分、融点140℃
・植物由来ポリプロピレン系樹脂4・・プロピレン-エチレン共重合体(ランダムポリプロピレン)、SABIC社製「PP621PB」、MFR(230℃):8.1g/10分、融点140℃
[実施例1]
表1に記載の基材層、スキン層1、及びスキン層2の原料を用い、3台の押出機のうち、基材層の原料はポリプロピレン系樹脂とし、第1の押出機により、スキン層1及び2の原料はそれぞれ第2及び第3の押出機により、それぞれ250℃で溶融混練を行い押し出し、基材層の両面にスキン層が、厚み比率1/2/1になるようにTダイ内にて積層し30℃の金属ロール上に3層共押出をして、無延伸フィルムを得た。
得られた無延伸フィルムは本発明の要件を満足するものであり、環境負荷が低減され、かつ透明性、像鮮明度、フィルム強度及びヒートシール性に優れていた。各種評価結果を表1に示した。
[実施例2、比較例1~2]
基材層、スキン層1、及びスキン層2の原料の組成を表1のとおり変更した以外は、実施例1と同様にして、無延伸フィルムを得た。
実施例2については、得られた無延伸フィルムは本発明の要件を満足するものであり、環境負荷が低減され、かつ透明性、像鮮明度、フィルム強度及びヒートシール性に優れていた。
比較例1については、原料として植物由来の樹脂を用いておらず、実施例の無延伸フィルムと比較して、環境負荷が大きいものであった。
比較例2については、植物由来ポリエチレン系樹脂と石油由来ポリプロピレン系樹脂を混合おり、像鮮明度、フィルム強度、ヒートシール性に劣っていた。また、比較例2は、実施例1及び2で使用しているポリプロピレン系樹脂の一部をポリエチレン系樹脂に置き換えている例である。そのため、実施例1及び2のフィルムの耐熱性は良好であったが、比較例2のフィルムの耐熱性は実施例1及び2と比較して劣るものであった。
[実施例3]
表2に記載の基材層、スキン層1、及びスキン層2の原料を用い、3台の押出機のうち、基材層の原料はポリエチレン系樹脂とし、第1の押出機により、スキン層1及び2の原料はそれぞれ第2及び第3の押出機により、それぞれ250℃で溶融混練を行い押し出し、基材層の両面にスキン層が、厚み比率1/2/1になるようにTダイ内にて積層し30℃の金属ロール上に3層共押出をして、無延伸フィルムを得た。
得られた無延伸フィルムは本発明の要件を満足するものであり、環境負荷が低減され、かつ透明性、像鮮明度、フィルム強度、及びヒートシール性に優れていた。各種評価結果を表2に示した。
[実施例4、比較例3~4]
基材層、スキン層1、及びスキン層2の原料の組成を表2のとおり変更した以外は、実施例3と同様にして、無延伸フィルムを得た。
実施例4については、得られた無延伸フィルムは本発明の要件を満足するものであり、環境負荷が低減され、かつ透明性、像鮮明度、フィルム強度及びヒートシール性に優れていた。
比較例3については、原料として植物由来の樹脂を用いておらず、実施例の無延伸フィルムと比較して、環境負荷が大きいものであった。
比較例4については、植物由来ポリエチレン系樹脂と石油由来ポリプロピレン系樹脂を混合おり、像鮮明度、フィルム強度、ヒートシール性に劣っていた。また、比較例4は、実施例3及び4で使用しているポリプロピレン系樹脂の一部をポリエチレン系樹脂に置き換えている例である。そのため、実施例3及び4のフィルムの耐熱性は良好であったが、比較例4のフィルムの耐熱性は実施例3及び4と比較して劣るものであった。
Figure 2022061847000001
Figure 2022061847000002
10 無延伸フィルム
11 基材層
12 ヒートシール層
13 基材層

Claims (6)

  1. ポリプロピレン系樹脂を主成分として含有する層を少なくとも備えた単層又は多層構造の無延伸フィルムであって、ポリプロピレン系樹脂を含む層のうち、少なくとも1つの層に含まれるポリプロピレン系樹脂が、植物由来ポリプロピレン系樹脂を含むことを特徴とする、無延伸フィルム。
  2. 少なくとも1層の基材層と、該基材層の片面又は両面に積層されたスキン層とを備える多層構造である、請求項1に記載の無延伸フィルム。
  3. 前記基材層及びスキン層が、それぞれポリプロピレン系樹脂を主成分として含有する層である、請求項2に記載の無延伸フィルム。
  4. 少なくとも1つのスキン層に含まれるポリプロピレン系樹脂の融点が、前記基材層に含まれるポリプロピレン系樹脂の融点よりも低い、請求項3に記載の無延伸フィルム。
  5. 前記基材層がポリエチレン系樹脂を主成分として含有する層であり、前記スキン層がポリプロピレン系樹脂を主成分として含有する層である、請求項2に記載の無延伸フィルム。
  6. 請求項1~5のいずれかに記載の無延伸フィルムからなる包装袋。



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