JP2022060160A - 紙ラベル積層体及び紙ラベル積層体の製造方法 - Google Patents

紙ラベル積層体及び紙ラベル積層体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】環境に優しい部材でありながら、高温多湿下での長時間の起立性、及び耐擦過性の両方を高いレベルで維持できる紙ラベル積層体、及び紙ラベル積層体の製造方法を提供する。【解決手段】耐水処理が施された耐水紙10と、耐水紙10の第1の表面に積層された第1の粘着層40と、第1の粘着層40に積層された第1のセロファン層20と、耐水紙10の第1の表面の反対側である第2の表面に積層された、第2の粘着層50と、第2の粘着層50に積層された第2のセロファン層30と、を含む、紙ラベル積層体1を提供する。【選択図】図1

Description

本発明は、紙ラベル積層体及び紙ラベル積層体の製造方法に関する。
近年、小売店等の店頭に陳列された商品を目立たせるために、POP(Point Of Purchase)ラベル(「POPシート」、「アイキャッチラベル」、「アテンションラベル」等と呼ばれることもある。)を商品の容器及び包装等に張り付けることが行われている。このようなPOPラベルには、販売促進効果が期待できるようなメッセージ及び情報が印刷されていたりする。
このようなPOPラベルに関するものとして、例えば、特許文献1には、容器と、容器に張り付けられたPOPラベルと、を有し、容器が、胴部と、上面部と、胴部と上面部の間に形成され、かつ、胴部の外面よりも外側に突出された突出部と、を有し、POPラベルが、積層された第1基材と第2基材を有し、第2基材が容器の上面部、突出部及び胴部に跨って貼り付けられ、第1基材の情報部が第2基材と離反して容器の上面部よりも上方に立ち上げられている、ラベル付き容器が開示されている。
そして、特許文献2には、容器と、容器に装着された結露抑制ラベルと、を有し、結露抑制ラベルが、その表面にセロファン層を有する、ラベル付き容器が開示されている。
また、特許文献3には、第1面及び第2面を有するフェースストック層、該フェースストック層の第1面及び第2面の少なくとも1つの面の1又は複数の箇所に選択的に塗布された可視的印、及び該フェースストック層の第1面の別個の部分に選択的に塗布され、該ラベル上に触感のためのはっきり識別できる隆起部分を生成する少なくとも1つの触知コーティング層、を有するラベルが開示されている。
特開2017-047945号公報 特開2018-047926号公報 特表2006-510058号公報
そして、昨今の循環型社会の構築を求める声の高まりを受けて、POPラベル等のラベルにおいても、化石燃料からの脱却が望まれており、石油由来のプラスチック材料から紙材料への置き換えが検討されている。例えば、このような脱プラスチックの流れを受けて、紙製のラベルを用いた積層体(紙ラベル積層体)の使用が検討されている。しかし、従来の紙ラベル積層体をPOPラベル等に使用した場合、環境への負荷はある程度軽減できるものの、POPラベル等に要求される性能を満たすことができないという問題がある。
例えば、POPラベル等に用いられる紙ラベル積層体には、高温多湿下であってもしっかりと起立できていること(起立性)が求められるが、従来の紙ラベル積層体は、熱や湿度による収縮等が起こりやすく、このような起立性を長時間維持することができない。
また、ラベルとして耐擦過性に優れていることも望まれているが、上述した高温多湿下での長時間の起立性、及び耐擦過性の両方を高いレベルで維持することができる紙ラベル積層体は、未だ開発されていないのが実情である。特に、環境への負荷を軽減する目的で、ラミネート材等としてセロファンを用いる場合、セロファンは熱や湿度によって収縮する性質を有するため、このような問題が顕著である。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、環境に優しい部材でありながら、高温多湿下での長時間の起立性、及び耐擦過性の両方を高いレベルで維持できる紙ラベル積層体、及び紙ラベル積層体の製造方法を提供することを主な目的とする。
本発明者は、上述した目的を達成するために鋭意検討した結果、耐水処理が施された耐水紙と、耐水紙の第1の表面に積層された第1の粘着層と、第1の粘着層に積層された第1のセロファン層と、耐水紙の第1の表面の反対側である第2の表面に積層された、第2の粘着層と、第2の粘着層に積層された第2のセロファン層と、を含む、紙ラベル積層体とすることに知見を得て、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)
耐水処理が施された耐水紙と、前記耐水紙の第1の表面に積層された第1の粘着層と、前記第1の粘着層に積層された第1のセロファン層と、前記耐水紙の前記第1の表面の反対側である第2の表面に積層された、第2の粘着層と、前記第2の粘着層に積層された第2のセロファン層と、を含む、紙ラベル積層体である。
(2)
前記第1のセロファン層及び前記第2のセロファン層が、いずれも防湿セロファンを含む、(1)に記載の紙ラベル積層体である。
(3)
前記耐水紙のMD方向の湿潤引張強さは、1.0~3.5kN/mである、(1)又は(2)に記載の紙ラベル積層体である。
(4)
前記耐水紙のCD方向の湿潤引張強さは、0.5~2.0kN/mである、(1)~(3)のいずれかに記載の紙ラベル積層体である。
(5)
前記紙ラベル積層体の前記第2のセロファン層に積層された第3の粘着層と、前記第3の粘着層に積層された剥離紙と、を更に含む、(1)~(4)のいずれかに記載の紙ラベル積層体である。
(6)
耐水処理が施された耐水紙の第1の表面に、第1の粘着層を介して、第1のセロファン層を積層させて、積層体を得る工程と、前記耐水紙の第1の表面の反対側である第2の表面に、第2の粘着層を介して、第2のセロファン層を積層させて、紙ラベル積層体を得る工程と、を含む、紙ラベル積層体の製造方法である。
本発明によれば、環境に優しい部材でありながら、高温多湿下での長時間の起立性、及び耐擦過性の両方を高いレベルで維持できる紙ラベル積層体、及び紙ラベル積層体の製造方法を提供することができる。
図1は、第1実施形態に係る紙ラベル積層体の断面図である。 図2は、第2実施形態に係る紙ラベル積層体の断面図である。
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明を以下の内容に限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施できる。
そして、図面中、同一要素には同一符号を付すこととし、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
また、本明細書中、特に断りがない限り、「(メタ)アクリル」はメタクリル及びアクリルを包含するものとする。例えば、(メタ)アクリルは、メタクリル、アクリル、又はその両方を意味するものである。
<紙ラベル積層体1,2>
図1は、第1実施形態に係る紙ラベル積層体の断面図である。
第1実施形態に係る紙ラベル積層体1は、耐水処理が施された耐水紙10と、耐水紙10の第1の表面に積層された第1の粘着層40と、第1の粘着層40に積層された第1のセロファン層20と、耐水紙10の第1の表面の反対側である第2の表面に積層された、第2の粘着層50と、第2の粘着層50に積層された第2のセロファン層30と、を含むものである。
紙ラベル積層体1は、図1の上方から下方に、順に、第1のセロファン層20、第1の粘着層40、耐水紙10、第2の粘着層50、及び第2のセロファン層30を積層した積層体である。
紙ラベル積層体1は、耐水紙10、第1のセロファン層20、及び第2のセロファン層30がいわゆるカーボンニュートラルな材料であるため、紙ラベル積層体1としても環境に優しい部材である。ここでいう「カーボンニュートラル」は、大気に放出される(二酸化炭素の排出で計測される)炭素の量に寄与もせず、その量を削減する必要がないことをいう。
そして、紙ラベル積層体1は、耐水紙10の第1の表面(例えば、図1における上方の表面)側に第1のセロファン層20と、第2の表面(例えば、図1における下方の表面)側に第2のセロファン層30と、を設けることによって、環境に優しい部材でありながら、高温多湿下での長時間の起立性、及び耐擦過性の両方を高いレベルで維持することができる。
紙ラベル積層体1は、後述するように耐水紙10の表面に印刷を施した印刷表示面を設けることで、POPラベルとして好適に使用することができる。あるいは、第1のセロファン層20又は第2のセロファン層30の表面に印刷を施した印刷表示面を設けてもよい。
POPラベルは、被着物である容器や包装等の一端に貼着され、その一部が被着物から突出するように使用されたりする。その際に、高温多湿下であっても長時間の起立性を維持できることによって、陳列棚等に商品を配置した場合でもラベルのヘタリや傾倒することがない。
POPラベルは、印刷表示面が外部から視認容易であることが求められる。この点、紙ラベル積層体1は、耐擦過性に優れるため、耐水紙10の印刷表示面に印刷された文字及び絵画が、第1のセロファン層20や第2のセロファン層30の表面のキズによって視認性が低下することがない。
以下、紙ラベル積層体1を構成する各部材について説明する。
(耐水紙10)
本実施形態では、耐水処理が施された耐水紙10を用いる。
耐水紙10には、少なくとも一方の表面が、文字や絵画等が印刷されている印刷表示面とすることができる。このような印刷表示面には、被着物(容器や包装等)の商品の販売促進効果が期待できるようなメッセージ及び情報を表示させることができる。
耐水紙10の坪量は、特に限定されないが、5~300g/mであることが好ましい。坪量の下限は、40g/m以上であることがより好ましく、60g/m以上であることが更に好ましい。また、坪量の上限は、150g/m以下であることがより好ましい。坪量の下限を上記範囲に制御することにより、紙ラベル積層体1の起立性が一層向上する。また、坪量の上限を上記範囲に制御することにより、紙ラベル積層体1の腰が強くなりすぎず、被着物(容器や包装等)が曲面を有する場合であっても追従性に優れる。よって、紙ラベル積層体1を曲面に貼着する場合であっても、紙ラベル積層体1が被着物から浮き上がらず、面着させることができる。
耐水紙10の厚さは、特に限定されないが、5~500μmであることが好ましい。厚さの下限は、10μm以上であることがより好ましく、40μm以上であることが更に好ましく、60μm以上であることがより更に好ましい。また、厚さの上限は、300μm以下であることがより好ましく、150μm以下であることが更に好ましい。厚さをこのような範囲に制御することにより、高温多湿下であっても長時間の起立性を維持することができる。
起立性の観点から、耐水紙10のMD(Machine Direction)方向の湿潤引張強さは、1.0~3.5kN/mであることが好ましい。この湿潤引張強さの下限は、1.5kN/m以上であることがより好ましい。この湿潤引張強さの上限は、3.4kN/m以下であることがより好ましい。なお、耐水紙10のMD方向とは、抄紙機の進行方向をいい、耐水紙10のMD方向の湿潤引張強さは、JIS P 8135:1998に準拠した方法によって測定することができる。具体的には実施例に記載の方法に基づいて測定した値である。
起立性の観点から、耐水紙10のCD(Cross Direction)方向の湿潤引張強さは、0.5~2.0kN/mであることが好ましい。この湿潤引張強さの下限は、0.6kN/m以上であることがより好ましく、0.7kN/m以上であることが更に好ましく、0.8kN/m以上であることが一層更に好ましい。この湿潤引張強さの上限は、1.9kN/m以下であることがより好ましく、1.6kN/m以下であることが更に好ましい。なお、耐水紙10のCD方向とは、MD方向と垂直な方向をいい、耐水紙10のCD方向の湿潤引張強さは、JIS P 8135:1998に準拠した方法によって測定することができる。具体的には実施例に記載の方法に基づいて測定した値である。
そして、起立性の観点から、CD方向の湿潤引張強さに対するMD方向に湿潤引張強さの比(MD/CD)は、0.5~4.4であることが好ましい。この比の下限は、0.6以上であることがより好ましく、1.0以上であることが更に好ましく、1.5以上であることがより更に好ましく、1.6以上であることが一層更に好ましい。また、この比の上限は、3.0以下であることがより好ましく、2.5以下であることが更に好ましく、2.3以下であることがより更に好ましく、2.2以下であることが一層更に好ましい。
本実施形態に係る紙ラベル積層体1の構成において、MD方向の湿潤引張強さ及びCD方向の湿潤引張強さがこのように制御された耐水紙10を、後述する第1のセロファン層20及び第2のセロファン層30と併用することによって、高温多湿下での長時間の起立性、及び耐擦過性の両方を一層高いレベルに維持できる。このような効果は、水分を含むと強度が大きく低下するという欠点がある上質紙やグロス紙等のような、耐水紙10以外の紙を用いた紙ラベル積層体では得ることができない。
耐水紙10の原料としては、例えば、パルプ原料、填料、耐水化剤、湿潤紙力剤、その他の添加剤等を使用することができる。
パルプ原料としては、例えば、未晒針葉樹パルプ(NUKP)、未晒広葉樹パルプ(LUKP)、晒針葉樹パルプ(NBKP)、晒広葉樹パルプ(LBKP)等の化学パルプ;ストーングランドパルプ(SGP)、加圧ストーングランドパルプ(PGW)、リファイナーグランドパルプ(RGP)、ケミグランドパルプ(CGP)、サーモグランドパルプ(TGP)、グランドパルプ(GP)、サーモメカニカルパルプ(TMP)、ケミサーモメカニカルパルプ(CTMP)、リファイナーメカニカルパルプ(RMP)等の機械パルプ;古紙からなる古紙パルプ等が挙げられる。古紙パルプとしては、例えば、雑誌古紙、チラシ古紙、オフィス古紙等から製造される離解・脱墨古紙パルプ、離解・脱墨・漂白古紙パルプ等が挙げられる。これらの中で、特に、晒針葉樹パルプ(NBKP)、晒広葉樹パルプ(LBKP)及びこれらの混合物が好ましい。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
填料としては、例えば、タルク、クレー、マイカ、ガラス(繊維、粉末)、ケイ酸カルシウム等のケイ酸塩、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩、硫酸カルシウム、硫酸バリウム等の硫酸塩、シリカ、アルミナ、酸化チタン等の酸化物、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム等の水酸化物等の各種無機化合物や、プラスチックピグメントと称される各種有機化合物が挙げられる。填料の添加により、耐水紙10の強度をより向上することができる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
填料の含有量は、特に限定されないが、3~18質量%であることが好ましい。この含有量の下限は、4質量%以上であることがより好ましい。また、この含有量の上限は、12質量%以下であることがより好ましい。
その他の添加剤としては、例えば、中和剤、定着剤、粘剤、サイズ剤、紙力増強剤、乾紙紙力剤、消泡剤、保水剤、染料、顔料等が挙げられる。
湿潤紙力剤としては、例えば、ポリアミン樹脂及びその誘導体、ポリアミドエピクロロヒドリン、尿素、メラミン、熱架橋性ポリアクリルアミド等が挙げられる。湿潤紙力剤は、耐水性を付与するための湿潤紙力増強剤として作用するものである。ポリアミン樹脂とは、アミノ基又はイミノ基を2つ以上有する、いわゆるポリアミン類とエピハロヒドリンから得られる樹脂及びその誘導体であり、例えば、星光PMC社製の商品名「WS-4010」、「WS-4011」等の市販品を使用することもできる。
湿潤紙力剤の含有量は、パルプ100質量部に対し0.2~3.0質量部であることが好ましく、0.5~2.5質量部であることがより好ましい。この含有量の下限を上記範囲とすることにより、耐水性が一層向上し、この含有量の上限を上記範囲とすることにより、過度の添加量となることなく耐水性を付与できる点で経済性に優れる。
耐水化剤としては、例えば、ポリビニルアルコール樹脂、ポリアクリルアミド、尿素ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、ジアルデヒド、デンプン、ポリアミドポリアミン、エピクロルヒドリンホルムアルデヒド、グリオキザール、ジアルデヒドデンプン、変性ポリアミド系樹脂、変性アミン樹脂、尿素・ホルムアルデヒド樹脂、メラミン・ホルムアルデヒド樹脂、ポリアミド尿素ホルムアルデヒド樹脂、ケトン樹脂、ポリアミドエピクロルヒドリン樹脂、グリセロールポリグリシジルエーテル樹脂、炭酸アンモニウムジルコニウム、硫酸亜鉛、ホウ砂、サチンホワイト、SBR(スチレン-ブタジエンゴム)ラテックス、酢酸ビニルラテックス、塩化ビニルラテックス、塩化ビニリデンラテッス等の樹脂ラテックス等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
耐水紙10は、公知の抄紙方法で製造することができる。填料、耐水化剤、湿潤紙力剤、その他の添加剤等の添加は、抄紙時にパルプスラリーに添加する内添式、抄紙後にサイズプレス等で含浸させる外添式のいずれでもよく、あるいは両方を組み合わせてもよい。
また、図示はしないが、耐水紙10には、コート液を塗布・乾燥してコート層を設けてもよい。コート層に用いる填料としては、クレー、炭酸カルシウム、二酸化チタン、タルク、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、カオリン等の無機顔料、及び、尿素樹脂、スチレン樹脂、又はメタクリル酸樹脂等を含む有機顔料が挙げられる。
コート層に用いるバインダーとしては、例えば、非水溶性樹脂、水溶性樹脂等が挙げられるが、耐水性を高める観点から、非水溶性バインダーであることが好ましい。非水溶性バインダーとしては、スチレン-ブタジエン共重合体、アクリロニトリル-ブタジエン共重合体、メタクリル酸-ブタジエン共重合体、ポリウレタン、アクリル酸エステル共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニル、エチレン-酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
耐水紙10は、湿潤紙力剤が内添された原紙であることが好ましく、湿潤紙力剤が内添された原紙の少なくとも一方の面に、コート層を設けたものであることがより好ましい。
上述した耐水紙10を紙ラベル積層体1に用いることにより、石油由来のプラスチックフィルムを使用しないため、プラスチックフィルムを用いる通常の粘着シートよりも低コストであり、かつ、プラスチックフィルムを接着した紙のように側面の隙間から水が入り込むことがない。そのため、長時間の使用が可能な紙ラベル積層体1とすることができる。また、抄紙工程中又は抄紙工程後に添加する耐水化剤は石油由来のものも多いが、紙ラベル積層体1全体の含有量としてはプラスチックフィルムをそのまま用いるよりもはるかに少なくなるため、環境問題に配慮したカーボンニュートラルな紙ラベル積層体1を得ることができる。
(第1のセロファン層20、第2のセロファン層30)
第1のセロファン層20及び第2のセロファン層30(以下、「セロファン層20,30」と総称する場合がある。)は、セロファンを含む層である。
セロファン層20,30に用いるセロファンとしては、普通セロファン(P.T.)、防湿セロファン(M.S.T.)を用いることができる。普通セロファンは、通常、再生繊維70~90質量%、アルコール類2~20質量%、水分6~15質量%であるものを用いることができる。防湿セロファンは、普通セロファンの少なくとも一方の表面、又は両面に、防湿処理を施したものを用いることができるが、普通セロファンの両面に防湿処理を施したものであることが好ましい。
これらの中でも、第1のセロファン層20及び第2のセロファン層30の少なくとも1つが、防湿セロファンを含むことが好ましく、第1のセロファン層20及び第2のセロファン層30の両方が、防湿セロファンを含むことがより好ましい。具体的には、第1のセロファン層20及び第2のセロファン層30に用いるセロファンが、いずれも同じ防湿セロファンであることが更に好ましい。
防湿セロファンの具体例としては、例えば、防湿セロファンの片面又は両面が、(i)アクリル系樹脂、(ii)塩化ビニル系樹脂、(iii)酢酸ビニル系樹脂、(iv)ポリ塩化ビニリデン系樹脂、並びに、(v)塩化ビニル系樹脂及び酢酸ビニル系樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種によってコーティングされた防湿セロファンであることが好ましい。透明性が高いアクリル系樹脂によって防湿セロファンをコーティングすることにより、防湿性及び耐擦過性を向上させるだけでなく、耐水紙10に印刷された文字や絵画等の視認性の低下を防ぐことができる。このような防湿セロファンとしては、例えば、フタムラ化学社製の商品名「AZ-1」(アクリル系樹脂によって両面コーティングされた防湿セロファン)、「G-1」(塩化ビニル系樹脂及び酢酸ビニル系樹脂によって両面コーティングされた防湿セロファン)、「G-3」(塩化ビニル系樹脂及び酢酸ビニル系樹脂によって両面コーティングされた防湿セロファン)、「G-8」(ポリ塩化ビニリデン系樹脂によって両面コーティングされた防湿セロファン)等の市販品を用いることができる。
セロファン層20,30の厚さは、特に限定されないが、10~50μmであることが好ましい。この厚さの下限は、15μm以上であることがより好ましく、18μm以上であることが更に好ましい。また、この厚さの上限は、45μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることが更に好ましく、25μm以下であることがより更に好ましい。
セロファン層20,30ののヘーズ値は、特に限定されないが、5%以下であることが好ましい。これにより、紙ラベル積層体1は十分な透明性を有するものとなり、耐水紙10等に施された印刷表示面の視認性を高く維持することができる。このヘーズ値は、例えば、ヘーズメーター(例えば、日本電色工業社製、ヘーズメーター「NDH 2000」)を用いて、JIS K 7136:2000に準拠して測定することができる。
第1のセロファン層20及び第2のセロファン層30は、同じ構成であってもよいし、異なる構成であってもよいが、起立性の観点から同じ構成であることが好ましい。セロファンは熱や湿度による収縮率が大きい素材であるところ、耐水紙10の両面を同じ収縮率のセロファンで被覆することにより、耐水紙10の表面(第1の表面)と裏面(第2の表面)が同じ収縮力により収縮される。これによって、耐水紙10のいずれか一方の表面側に傾倒することを効果的に抑制できるからである。
(第1の粘着層40、第2の粘着層50)
第1の粘着層40及び第2の粘着層50(以下、「粘着層40,50」と総称する場合がある。)は、耐水紙10の一方の面に粘着剤を含む粘着剤組成物を塗布することによって設けることができる。
粘着層40,50に用いる粘着剤としては、例えば、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、アクリル樹脂系粘着剤、ポリビニルエーテル樹脂系粘着剤、ウレタン樹脂系粘着剤、シリコーン樹脂系粘着剤等が挙げられる。
合成ゴム系粘着剤の具体例としては、スチレン-ブタジエンゴム、ポリイソブチレンゴム、イソブチレン-イソプレンゴム、イソプレンゴム、スチレン-イソプレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエンブロック共重合体、スチレン-エチレン-ブチレンブロック共重合体、エチレン-酢酸ビニル熱可塑性エラストマー等が挙げられる。
アクリル樹脂系粘着剤の具体例としては、(メタ)アクリル酸の単独重合体又は共重合体;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸-2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル等の(メタ)アクリル酸エステル;スチレン-(メタ)アクリル酸エステル共重合体等の(メタ)アクリル酸エステル共重合体;アクリロニトリル等の単独重合体又は共重合体等が挙げられる。
ウレタン樹脂系粘着剤の具体例としては、ポリウレタンポリオール等が挙げられる。
ポリビニルエーテル樹脂系粘着剤の具体例としては、ポリビニルエーテル、ポリビニルイソブチルエーテル等が挙げられる。
シリコーン樹脂系粘着剤の具体例としては、ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
これらの粘着剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
粘着剤の形態としては、溶剤型粘着剤、エマルジョン型粘着剤、ホットメルト型粘着剤等の無溶剤型粘着剤が挙げられる。
また、粘着層40,50には、必要に応じて、粘着付与剤、軟化剤、老化防止剤、填料、染料や顔料等の着色剤、架橋剤等を配合することができる。特に、粘着層40,50は、粘着剤と粘着付与剤とを含む粘着剤組成物から形成されることが好ましい。
粘着付与剤としては、ロジン樹脂、テルペンフェノール樹脂、テルペン樹脂、芳香族炭化水素変性テルペン樹脂、石油樹脂、クマロン・インデン樹脂、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、キシレン樹脂等が挙げられる。これらの中でも、植物由来の樹脂であるロジン樹脂及びテルペン樹脂から選択される1種以上を含むことが好ましい。
粘着付与剤が、植物由来の樹脂であるロジン樹脂及びテルペン樹脂から選択される1種以上を含むことによって、粘着層40,50の脱プラスチック度が向上する。これにより、紙ラベル積層体1全体として、石油由来の材料の含有量がより少なくなり、環境問題にも配慮したカーボンニュートラルな紙ラベル積層体1を得ることができる。
軟化剤としては、プロセスオイル、液状ゴム、可塑剤等が挙げられる。
填料としては、シリカ、タルク、クレー、炭酸カルシウム等が挙げられる。
粘着層40,50の厚さは、特に限定されないが、5~100μmであることが好ましい。この厚さの下限は、10μm以上であることがより好ましく、15μm以上であることが更に好ましい。また、この厚さの上限は、50μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることが更に好ましい。
粘着層40,50の粘着力は、特に限定されないが、1~50N/25mmであることが好ましい。この粘着力の下限は、2N/25mm以上であることがより好ましく、4N/25mm以上であることが更に好ましい。なお、この粘着力は、JIS Z 0237:2009に準拠して、試験片を180°の角度で剥離速度300mm/分の条件で剥離した際の粘着力である。
第1の粘着層40及び第2の粘着層50は、同じ構成であってもよいし、異なる構成であってもよいが、起立性の観点から同じ構成であることが好ましい。
図2は、第2実施形態に係る紙ラベル積層体の断面図である。
紙ラベル積層体2は、第1実施形態に係る紙ラベル積層体1の第2のセロファン層30に積層された第3の粘着層70と、第3の粘着層70に積層された剥離紙60と、を更に含むものである。すなわち、紙ラベル積層体2は、第2のセロファン層30の表面に、第3の粘着層70及び剥離紙60を更に積層させている点で、第1実施形態に係る紙ラベル積層体1と相違する。その他の点は、上述した第1実施形態に係る紙ラベル積層体1について説明したものを適宜採用することができる。
紙ラベル積層体2は、図2の上方から下方に、順に、第1のセロファン層20、第1の粘着層40、耐水紙10、第2の粘着層50、第2のセロファン層30、第3の粘着層70、及び剥離紙60を積層した積層体である。
(剥離紙60)
剥離紙60の剥離基材としては、例えば、樹脂材料、紙等が挙げられる。この剥離紙60としては、例えば、剥離基材の片面に剥離処理が施されたものを用いることができる。
樹脂材料としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、アセチルセルロースブチレート、ポリビニルアルコール、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルペンテン、ポリスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリアミド、ポリイミド、フッ素系樹脂、アクリル系樹脂、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。ポリエステルとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等が挙げられる。ポリオレフィンとしては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等が挙げられる。このような樹脂材料を用いる場合、プラスチックフィルムとして用いることができる。
紙としては、例えば、合成紙、上質紙、クレーコート紙、クラフト紙、グラシン紙、ラミネート紙等が挙げられる。
これらの中でも、環境負荷の軽減の観点からは、剥離基材は紙であることが好ましい。
剥離紙60は、剥離処理剤によって剥離基材に剥離処理が施された剥離紙であることが好ましい。剥離処理剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。剥離処理剤の具体例としては、例えば、シリコーン、長鎖アルキル系樹脂、フッ素系樹脂等が挙げられる。
上述した紙を剥離基材として用いる場合、紙をポリエチレン樹脂等でラミネートしたラミネート紙を、剥離紙60とすることができる。
上述した樹脂材料を剥離基材として用いる場合、剥離処理剤を剥離基材に塗布し、熱硬化や紫外線硬化等によって剥離層を設けた剥離紙60とすることができる。
剥離紙60の厚さは、特に限定されないが、好ましくは10~300μmである。厚さの下限は、15μm以上であることがより好ましい。また、厚さの上限は、200μm以下であることがより好ましい。
(第3の粘着層70)
第3の粘着層70は、剥離紙60と第2のセロファン層30と間に配置されている。第3の粘着層70を構成する粘着剤の種類は、特に限定されず、用途等を考慮して適宜好適な種類を選択することができる。粘着剤としては、上述した第1の粘着層40及び第2の粘着層50において説明した成分を使用することもできる。第3の粘着層70の粘着剤としては、例えば、アクリル系粘着剤、ポリエステル系粘着剤、ウレタン系粘着剤、ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤等が挙げられる。これらの中でも、アクリル系粘着剤が好ましい。
第3の粘着層70の厚さは、特に限定されないが、5~200μmであることが好ましい。平均厚さの下限は、10μm以上であることがより好ましい。また、平均厚さの上限は、100μm以下であることがより好ましく、50μm以下であることが更に好ましい。
以上説明した本実施形態に係る紙ラベル積層体1,2は、耐水紙10又はセロファン層20,30に印刷を施して、印刷表示面を設けることによって、POPラベルとして好適に使用することができる。例えば、商品等に貼付して、使用者や消費者に対する情報を表示するものとして使用することができる。そして、被着物については、特に限定されず、例えば、食品、化粧品等の各種商品(容器及び包装等)に適用される。
印刷については、印刷対象(例えば、耐水紙10、セロファン層20,30)の材質等に応じて適宜好適なインク及び印刷手法を採用することができる。
印刷の内容、形状、大きさ及びパターン等は特に限定されず、所望の形状、大きさ等を選択することができる。印刷部の形状としては、例えば、文字、図形、記号、絵、模様等の情報を構成し、表示するものが挙げられる。また、印刷は、例えば、単色のインクによるベタ印刷層であってもよい。
また、図示はしないが、必要に応じて、上述した耐水紙10、セロファン層20,30、及び剥離紙60以外の他の機能層を設けてもよい。例えば、コーティング剤や紫外線吸収剤等の成分を含む保護層や、他層へのマイグレーションを防止するバリア層等を別途設けてもよい。
紙ラベル積層体1,2の形状や大きさは、特に限定されず、用途に応じて適宜好適な形状を選択することができる。
<紙ラベル積層体1,2の製造方法>
本実施形態に係る紙ラベル積層体1は、例えば、(1)耐水処理が施された耐水紙10の第1の表面に、第1の粘着層40を介して、第1のセロファン層20を積層させて、積層体を得る工程と、(2)耐水紙10の第1の表面の反対側である第2の表面に、第2の粘着層50を介して、第2のセロファン層30を積層させて、紙ラベル積層体1を得る工程と、を含む、紙ラベル積層体の製造方法によって好適に得ることができる。
(1)工程については、例えば、剥離紙に上述した第2の粘着層50を構成する粘着性組成物を塗布し、得られた粘着層50に耐水紙10を積層する。そして、耐水紙10の第2の粘着層50とは反対側の面に印刷を施して、第1の表面を印刷表示面とし、耐水紙10/第2の粘着層50/剥離紙の構成を有する積層体(第1の積層体)を得る。次いで、上述した第1の粘着層40を構成する粘着性組成物を、別の剥離紙に塗布し、得られた粘着層40に第1のセロファン層20を構成するセロファンを積層し、第1のセロファン層20/第1の粘着層40/剥離紙の構成を有する積層体(第2の積層体)を得る。次いで、第2の積層体の剥離紙を剥がし、露出した第1の粘着層40を第1の積層体の耐水紙10の印刷表示面にラミネートする。これによって、第1のセロファン層20/第1の粘着層40/耐水紙10/第2の粘着層50/剥離紙の構成を有する積層体を得ることができる。
粘着性組成物としては、上述した、粘着剤、粘着付与剤、軟化剤、老化防止剤、填料、着色剤等を含むものを好適に使用することができる。さらに、必要に応じて、溶剤により希釈して塗布液とすることができる。
溶剤としては、例えば、アルコール類(メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-メチル-1-プロパノール、2-ブタノール、2-メチル-2-プロパノール、ジアセトンアルコール、ベンジルアルコール等)、ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等)、セロソルブ類(メチルセロソルブ、エチルセロソルブ等)、エステル類(酢酸エチル、酢酸n-ブチル、酪酸エチル、グリコール酸n-ブチルエステル、ジエチレングリコールモノアセテート等)、ハロゲン化炭化水素類(クロロホルム、ジクロロメタン、テトラクロロエチレン、四塩化炭素等)、炭化水素類(n-ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ等)等が挙げられる。
(2)工程については、例えば、(1)工程で得られた積層体の剥離紙を剥離し、露出した第2の粘着層50に第2のセロファン層30を構成するセロファンをラミネートする。これによって、第1のセロファン層20/第1の粘着層40/耐水紙10/第2の粘着層50/第2のセロファン層30の構成を有する紙ラベル積層体1(図1参照)を得ることができる。
さらに、本実施形態に係る紙ラベル積層体2は、上述した紙ラベル積層体1の第2のセロファン層30の表面(第2の粘着層50が積層された表面の反対側の表面)に、第3の粘着層70を介して、剥離紙60を積層させることによって、第1のセロファン層20/第1の粘着層40/耐水紙10/第2の粘着層50/第2のセロファン層30/第3の粘着層70/剥離紙60の構成を有する紙ラベル積層体2(図2参照)を得ることができる。
なお、(1)工程及び(2)工程における粘着剤組成物の塗布の方法は、特に限定されず、公知の手法を選択することができる。例えば、バーコート法、ナイフコート法、ロールコート法、ブレードコート法、ダイコート法、グラビアコート法、溶融押出し法等が挙げられる。そして、塗布後、必要に応じて、粘着層40,50を形成するために乾燥工程を行ってもよい。乾燥工程では、例えば、上述した溶剤を揮発させることができる温度で加熱することができる。あるいは、必要に応じて、塗布後、所定の養生期間をとってもよい。
そして、(2)工程の後、必要に応じて、紙ラベル積層体2の周囲をカットする等の加工処理や、不要な粘着紙を巻き上げたり、抜きカスの部分等を除去したりするカス取り(カス上げ)処理等を行ってもよい。
以下の実施例及び比較例により本発明を更に詳しく説明するが、本発明は以下の実施例により何ら限定されるものではない。
本実施例における処理及び測定について、その条件について特に断りがない限り、23℃、相対湿度50%の環境下において行ったものである。
<評価方法>
(MD方向の湿潤引張強さ、CD方向の湿潤引張強さ、及び湿潤引張強さ比)
サンプルのMD方向及びCD方向について、JIS P 8135:1998に準拠した。具体的には、サンプルを23℃(±1℃)×50%(±2%)RHの環境下で4時間以上調湿し、15mm×250mmのサイズにカットし、試験片とした。この試験片を120℃で2分間加熱後、直ちにイオン交換水に5分間浸漬した。その後、試験片を取り出して濾紙の上に置き、別の濾紙を試験片の上に載せ、軽く押さえて過剰の水を除き、直ちに引張試験機(東洋精機社製、「ストログラフE-S」)を用いて、速度150mm/分、チャック間の長さ180mmの条件で引張試験を行い、試験片が破断するまでの最大荷重を読み取った。CD方向及びMD方向の試験片各2枚の平均値を算出し、湿潤引張強さとした。
(厚さ)
サンプルについて、JIS K 7130:1999に準拠して、定圧厚さ測定器を用いて、等間隔で10箇所を測定した厚さの算術平均をもって厚さとした。
(ヘーズ値)
サンプルについて、JIS K 7136:2000に準拠して、ヘーズメーター(日本電色工業社製、ヘーズメーター「NDH 2000」)を用いて測定した。
(高温多湿下の起立性)
図2に示す紙ラベル積層体2の構成を有する紙ラベル積層体をサンプルとして用いた。これを50mm×50mmのサイズにカットし、剥離紙60を25mm×50mmの部分のみを剥離して、粘着層70の露出面をPET板に貼付して、90度に立設させた。その状態で、40℃、80%RHの環境下に7日間静置した。その後、サンプルの頂点部分が起立した状態を維持できているか否かを、以下の基準に基づき判断した。
・90度に立設させたPET板に貼付したサンプルの頂点が、90度以下80度以上である場合には「〇」と判断した。例えば、サンプルの頂点が90度である場合は、PET板からサンプルが直立に起立した状態を維持できたといえる。
・90度に立設させたPET板に貼付したサンプルの頂点が、80度未満60度以上である場合には「△」と判断した。
・90度に立設させたPET板に貼付したサンプルの頂点が、60度未満である場合には「×」と判断した。
(耐擦過性)
サンプルについて、JIS L 0849:2013の摩擦試験機II形に準拠した装置を用いて、綿布(JIS L 0803:2011)を用いて、荷重500gで100往復させた。その後、サンプル表面を目視で観察し、以下の基準に基づき耐擦過性を判断した。
・インクの脱落が0質%である場合(脱落が無い場合)は、「〇」と判断した。
・インクの脱落が10質量%以下である場合は、「△」と判断した。
・インクの脱落が10質量%を超える場合は、「×」と判断した。
<実施例1>
まず、以下の要領で粘着層aを準備した。剥離紙の上に、アクリル系粘着性組成物を塗布厚25μmとなるよう塗布した。そして、100℃で3分間加熱することで、粘着性組成物の塗膜とし、粘着層a(厚さ25μm、粘着力11.5N/25mm)を得た。
次いで、粘着層aに、耐水紙a(リンテック社製、MD方向の湿潤引張強さ3.4kN/m、CD方向の湿潤引張強さ1.9kN/m、CD方向の湿潤引張強さに対するMD方向に湿潤引張強さの比(MD/CD)1.8、坪量100g/m、湿潤紙力剤としてポリアミン樹脂を内添した原紙の片面にカオリン、スチレン-ブタジエン樹脂、酸化デンプン、ポリアミン樹脂を含むコート層を有する耐水紙)を積層し、耐水紙a(耐水紙10)/粘着層a(第2の粘着層50)/剥離紙の構成を有する積層体(第1の積層体)を得た。
次に、別の剥離紙の上に、アクリル系粘着性組成物を塗布厚25μmとなるよう塗布し、100℃で3分間加熱することで、粘着性組成物の塗膜とし、得られた粘着層a(厚さ25μm、粘着力11.5N/25mm)に、セロファンa(アクリル系樹脂によって両面コーティングされた防湿セロファン、フタムラ化学社製、商品名「AZ-1」、ヘーズ値5%以下、坪量20g/m、厚さ21μm)を積層し、セロファンa(第1のセロファン層20)/粘着層a(第1の粘着層40)/剥離紙の構成を有する積層体(第2の積層体)を得た。
そして、耐水紙aの一方の表面(第1の表面)に、印刷を施し、印刷表示面を設けた。その後、第2の積層体の剥離紙を剥離し、露出した粘着層a(第1の粘着層40)を耐水紙aの印刷表示面にラミネートし、セロファンa(第1のセロファン層20)/粘着層a(第1の粘着層40)/耐水紙a(耐水紙10)/粘着層a(第2の粘着層50)/剥離紙の構成を有する積層体を得た。
その後、得られた積層体から剥離紙を剥がし、露出した粘着層a(第2の粘着層50)に、セロファンa(フタムラ化学社製、商品名「AZ-1」、ヘーズ値5%以下、坪量20g/m、厚さ21μm)をラミネートし、セロファンa(第1のセロファン層20)/粘着層a(第1の粘着層40)/耐水紙a(耐水紙10)/粘着層a(第2の粘着層50)/セロファンa(第2のセロファン層30)の構成を有する紙ラベル積層体A(図1参照)を得た。
次いで、剥離紙60の上に、アクリル系粘着性組成物を塗布厚25μmとなるよう塗布し、100℃で3分間加熱することで、粘着性組成物の塗膜とし、得られた粘着層a(第3の粘着層70)に、紙ラベル積層体Aのセロファンa(第2のセロファン層30)の表面(第2の粘着層50が積層された表面の反対側の表面)を積層し、第1のセロファン層20/第1の粘着層40/耐水紙10/第2の粘着層50/第2のセロファン層30/第3の粘着層70/剥離紙60の構成を有する紙ラベル積層体A1(図2参照)を得た。
<実施例2>
耐水紙aを耐水紙b(リンテック社製、商品名「すいはく」、MD方向の湿潤引張強さ1.6kN/m、CD方向の湿潤引張強さ0.8kN/m、CD方向の湿潤引張強さに対するMD方向に湿潤引張強さの比(MD/CD)2.0、坪量83g/m)に変更した点以外は、実施例1と同様の方法によって紙ラベル積層体A2を得た。
<実施例3>
セロファンaをセロファンb(ポリ塩化ビニリデン系樹脂によって両面コーティングされた防湿セロファン、フタムラ化学社製、商品名「G-8」、ヘーズ値5%以下、坪量20g/m、厚さ21μm)に変更した点以外は、実施例1と同様の方法によって紙ラベル積層体A3を得た。
<比較例1>
耐水紙aの一方の表面(第1の表面)に、上述した粘着層を介して、セロファンaを積層し、ラミネートすることによって、セロファンa/粘着層a/耐水紙a/粘着層a/剥離紙の構成を有する積層体Bを得た。
<比較例2>
耐水紙aの表面に、上述した粘着層を介して、剥離紙を積層させることによって、耐水紙a/粘着層a/剥離紙の構成を有する積層体Cを得た。
<比較例3>
耐水紙aに替えて上質紙a(MD方向の湿潤引張強さ0.3kN/m、CD方向の湿潤引張強さ0.2kN/m、坪量80g/m、厚さ100μm)を用いた点以外は、実施例1と同様の方法によって、セロファンa/粘着層a/上質紙a/粘着層a/セロファンa/粘着層a/剥離紙の構成を有する積層体Dを得た。
<比較例4>
耐水紙aの一方の表面(第1の表面)に、上述した粘着層aを介して、セロファンaを積層させることによって、耐水紙a/粘着層a/セロファンaの構成を有する積層体を得た。次いで、剥離紙の上に粘着層aを形成し、これの粘着層a側の面を上記積層体のセロファンa側の面と張り合わせることで、耐水紙a/粘着層a/セロファンa/粘着層a/剥離紙の構成を有する積層体Eを得た。
各実施例及び各比較例の構成及び評価結果を、表1に示す。
Figure 2022060160000002
以上より、実施例1~3の紙ラベル積層体は、カーボンニュートラルな材料から構成されており、環境に優しい部材でありながら、高温多湿下での長時間の起立性、及び耐擦過性の両方を高いレベルで維持できることが、少なくとも確認された。
1,2:紙ラベル積層体
10:耐水紙
20:(第1の)セロファン層
30:(第2の)セロファン層
40:(第1の)粘着層
50:(第2の)粘着層
60:剥離紙
70:第3の粘着層

Claims (6)

  1. 耐水処理が施された耐水紙と、
    前記耐水紙の第1の表面に積層された第1の粘着層と、
    前記第1の粘着層に積層された第1のセロファン層と、
    前記耐水紙の前記第1の表面の反対側である第2の表面に積層された、第2の粘着層と、
    前記第2の粘着層に積層された第2のセロファン層と、
    を含む、紙ラベル積層体。
  2. 前記第1のセロファン層及び前記第2のセロファン層が、いずれも防湿セロファンを含む、
    請求項1に記載の紙ラベル積層体。
  3. 前記耐水紙のMD方向の湿潤引張強さは、1.0~3.5kN/mである、
    請求項1又は2に記載の紙ラベル積層体。
  4. 前記耐水紙のCD方向の湿潤引張強さは、0.5~2.0kN/mである、
    請求項1~3のいずれか一項に記載の紙ラベル積層体。
  5. 前記紙ラベル積層体の前記第2のセロファン層に積層された第3の粘着層と、
    前記第3の粘着層に積層された剥離紙と、
    を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の紙ラベル積層体。
  6. 耐水処理が施された耐水紙の第1の表面に、第1の粘着層を介して、第1のセロファン層を積層させて、積層体を得る工程と、
    前記耐水紙の第1の表面の反対側である第2の表面に、第2の粘着層を介して、第2のセロファン層を積層させて、紙ラベル積層体を得る工程と、
    を含む、紙ラベル積層体の製造方法。
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