JP2022056770A - アミン誘導体若しくはその塩、並びに、その塩及び環状アミン誘導体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】新規な化合物であるアミン誘導体若しくはその塩、及び、これを用いた環状アミン誘導体の製造方法、並びに、上記塩の製造方法の提供。【解決手段】式(VII)で表されるアミン誘導体若しくはその塩。JPEG2022056770000027.jpg4273[Aは、ブレンステッド酸;pは、0又は1;R1及びR2は互いに結合し、これらが結合している炭素原子と共に環を形成してもよく、環は、置換/非置換の環員数6~20の芳香族環、置換/非置換の環員数3~20の脂環式炭化水素環、又は置換/非置換の環員数3~20の複素環である。]【選択図】なし
Description
本開示は、アミン誘導体若しくはその塩、並びに、その塩及び環状アミン誘導体の製造方法に関する。
下記式(VI)で表される5-ブロモ-1-メチルイソインドリンは、種々の医薬品の製造中間体として用いられる有用な化合物である(特許文献1及び2)。
特許文献2には、トリフルオロボランエーテル錯体及び反応溶媒存在下、下記式(I’)で表される6-ブロモ-3-メチルイソインドリン-1-オンを、水素化ホウ素ナトリウムを用いて還元することにより、上記5-ブロモ-1-メチルイソインドリンが得られることが記載されている。
また、特許文献2には、反応溶媒及びトリエチルアミン存在下、5-ブロモ-1-メチルイソインドリンと、二炭酸ジ-tert-ブチルとを接触させることにより、下記式(V’)で表される5-ブロモ-1-メチルイソインドリン-2-カルボン酸tert-ブチルが得られることが記載されている。
本発明の目的は、新規な化合物であるアミン誘導体若しくはその塩、及び、これを用いた環状アミン誘導体の製造方法、並びに、上記塩の製造方法を提供することにある。
一実施形態によると、下記式(VII)に表されるアミン誘導体若しくはその塩が提供される。
式(VII)において、Aは、ブレンステッド酸である。pは、0又は1である。R1及びR2は、それぞれ、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、炭素数1~6のハロアルキル基、置換基を有してもよい炭素数7~20のアラルキル基、置換基を有してもよい炭素数6~20のアリール基、又はハロゲン原子である。R1及びR2は互いに結合し、これらが結合している炭素原子と共に環を形成してもよい。環は、置換基を有してもよい環員数6~20の芳香族環、置換基を有してもよい環員数3~20の脂環式炭化水素環、又は置換基を有してもよい環員数3~20の複素環である。R3及びR4は、それぞれ、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、炭素数1~6のハロアルキル基、置換基を有してもよい炭素数7~20のアラルキル基、置換基を有してもよい炭素数6~20のアリール基、又はハロゲン原子である。mは、0以上6以下である。nは、0以上6以下である。Z2は、ハロゲン原子である。
他の実施形態によると、環状アミン誘導体の製造方法が提供される。この製造方法は、塩基存在下、上記式(VII)に表されるアミン誘導体若しくはその塩と、下記式(1)に表される有機ハロゲン化物とを接触させて、下記式(VIII)で表される環状アミン誘導体を得ることを含む。なお、式(VII)に表されるアミン誘導体若しくはその塩とは、式(VII)に表されるアミン誘導体と、式(VII)に表されるアミン誘導体の塩との混合物の形態も含む。
R5-X (1)
式(1)において、R5は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいトリチル基、置換基を有してもよいベンズヒドリル基、置換基を有してもよいベンジル基、又は、置換基を有してもよい芳香環基である。Xは、ハロゲン原子である。
式(1)において、R5は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいトリチル基、置換基を有してもよいベンズヒドリル基、置換基を有してもよいベンジル基、又は、置換基を有してもよい芳香環基である。Xは、ハロゲン原子である。
式(VIII)において、R1、R2、R3、R4、m、及びnは、式(VII)のものと同義である。R5は、式(1)のものと同義である。
他の実施形態によると、アミン誘導体の塩の製造方法が提供される。この製造方法は、下記式(IIIa)に表されるアルコール誘導体とハロゲン化剤とを接触させて、上記式(VII)に表されるアミン誘導体の塩を得ることを含む。
式(IIIa)において、G1は、t-ブトキシカルボニル基又はベンジルオキシカルボニル基である。R1、R2、R3、R4、m、及びnは、式(VII)のものと同義である。
実施形態によると、新規な化合物であるアミン誘導体若しくはその塩、及び、これを用いた環状アミン誘導体の製造方法、並びに、上記塩の製造方法が提供される。
本発明者は、5-ブロモ-1-メチルイソインドリンを含む環状アミン誘導体の新たな合成経路を見出した。本発明は、この知見に基づくものである。すなわち、上記式(VII)に表されるアミン誘導体若しくはその塩と、上記式(1)に表される有機ハロゲン化物とを接触させることにより、上記式(VIII)に表される環状アミン誘導体を得ることができる。この方法によると、式(VII)に表されるアミン誘導体の窒素への有機基R5の導入と環化とが一工程で生じるため、これらの工程を別々に行う方法と比較して、環状アミン誘導体を効率的に得られる。また、式(VII)に表されるアミン誘導体の塩を用いた場合には、このアミン誘導体の脱塩も上記工程中に生じ得る。
本発明者は、この工程では、下記(i)に示す反応が生じていると推測している。すなわち、この工程では、式(VII)に表されるアミン誘導体の塩を用いた場合、先ず、脱塩してアミン誘導体が得られる。このアミン誘導体のアミノ基に、式(1)に表される有機ハロゲン化物の有機基R5が導入されて、下記式(VII-1)に表される中間体が生じる。この式(VII-1)に表される中間体においては、アミノ基の反応性が高まると考えられる。あるいは、式(VII-1)に表される中間体は、環化に有利な配向性を有すると考えられる。それゆえ、反応が円滑に進行することにより、式(VII-1)に表される中間体の環化が生じて、式(VIII)に表される環状アミン誘導体を得られる。
式(VII)に表されるアミン誘導体の塩は、例えば、上記式(IIIa)に表されるアルコール誘導体とハロゲン化剤とを接触させることにより得られる。この工程では、式(IIIa)に表されるアルコール誘導体の脱保護反応と、ハロゲノ基Zr2の導入とが一工程で生じるため、これらの工程を別々に行う方法と比較して、式(VII)に表されるアミン誘導体の塩を効率的に得られる。この方法で生成した塩は、反応系内から単離することなく、上述した(i)に示す反応の基質として用いることができる。なお、この塩を、例えば、塩基と接触させることにより脱塩させて式(VII)に表されるアミン誘導体を得、このアミン誘導体を上記反応(i)の基質に用いてもよい。
以下、実施形態の詳細について説明する。
(アミン誘導体及びその塩)
アミン誘導体若しくはその塩は、下記式(VII)に表される。このアミン誘導体若しくはその塩は、例えば、医薬品の製造中間体として使用される。
(アミン誘導体及びその塩)
アミン誘導体若しくはその塩は、下記式(VII)に表される。このアミン誘導体若しくはその塩は、例えば、医薬品の製造中間体として使用される。
pは、0又は1である。pが0である場合、上記式(VII)に表されるアミン誘導体は、下記式(VIIa)で表され得る。
pが1である場合、上記式(VII)に表されるアミン誘導体の塩は、下記式(VIIb)で表され得る。
式(VII)及び(VIIb)において、Aは、ブレンステッド酸である。ブレンステッド酸は、例えば、ハロゲン化水素、硫酸(H2SO4)、炭酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、及びリン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である。ハロゲン化水素としては、例えば、フッ化水素(HF)、塩化水素(HCl)、臭化水素(HBr)、又はヨウ化水素(HI)を用いる。Aは、塩化水素、臭化水素、又は硫酸であることが好ましい。
式(VII)、(VIIa)及び(VIIb)において、R1及びR2は、それぞれ、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、炭素数1~6のハロアルキル基、置換基を有してもよい炭素数7~20のアラルキル基、置換基を有してもよい炭素数6~20のアリール基、又はハロゲン原子である。
R1及びR2は互いに結合し、これらが結合している炭素原子と共に環を形成してもよい。環は、置換基を有してもよい環員数6~20の芳香族環、置換基を有してもよい環員数3~20の脂環式炭化水素環、又は置換基を有してもよい環員数3~20の複素環である。R3及びR4は、それぞれ、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、炭素数1~6のハロアルキル基、置換基を有してもよい炭素数7~20のアラルキル基、置換基を有してもよい炭素数6~20のアリール基、又はハロゲン原子である。
R1及びR2は、上記環を形成していることが好ましい。環は、芳香族環であることが好ましく、ベンゼン環であることがより好ましい。環は、置換基としてハロゲン原子を有していることが好ましい。ハロゲン原子は、フッ素、ヨウ素、塩素、及び臭素からなる群より選ばれる少なくとも1種である。環は、置換基として1以上のブロモ基を有していることが好ましく、1つのブロモ基を有していることがより好ましい。
R3及びR4は、それぞれ、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、炭素数1~6のハロアルキル基、置換基を有してもよい炭素数7~20のアラルキル基、置換基を有してもよい炭素数6~20のアリール基、又はハロゲン原子である。
R3は、アルキル基であることが好ましく、メチル基であることがより好ましい。R4は、水素原子であることが好ましい。
mは、0以上6以下である。mが2以上である場合、R3は、それぞれ、異なる官能基であってもよく、同一の官能基であってもよい。nは、0以上6以下である。nが2以上である場合、R4は、それぞれ、異なる官能基であってもよく、同一の官能基であってもよい。
mは、1であることが好ましく、nは、0であることが好ましい。
アミン誘導体若しくはその塩は、下記式(VIIc)で表される化合物であることが好ましい。下記式(VIIc)において、X1は、ハロゲン原子である。ハロゲン原子は、塩素、臭素、又はヨウ素であることが好ましい。A、p及びZ2は、式(VII)のものと同義である。
(アミン誘導体の塩の製造方法)
上記式(VIIb)に表されるアミン誘導体の塩は、例えば、下記式(IIIa)に表されるアルコール誘導体とハロゲン化剤とを接触させることにより得られる。すなわち、このアルコール誘導体とハロゲン化剤とを接触させることにより、アルコール誘導体の水酸基部位にハロゲノ基Z2が導入されるとともに、保護基G1が脱離して、アミン誘導体を生成する。このアミン誘導体と、ハロゲン化剤から生じたブレンステッド酸とが反応して塩が生成される。得られた化合物は、NMR分光分析により同定できる。
上記式(VIIb)に表されるアミン誘導体の塩は、例えば、下記式(IIIa)に表されるアルコール誘導体とハロゲン化剤とを接触させることにより得られる。すなわち、このアルコール誘導体とハロゲン化剤とを接触させることにより、アルコール誘導体の水酸基部位にハロゲノ基Z2が導入されるとともに、保護基G1が脱離して、アミン誘導体を生成する。このアミン誘導体と、ハロゲン化剤から生じたブレンステッド酸とが反応して塩が生成される。得られた化合物は、NMR分光分析により同定できる。
式(IIIa)において、G1は、t-ブトキシカルボニル基又はベンジルオキシカルボニル基である。R1、R2、R3、R4、m、及びnは、式(VII)のものと同義である。
アルコール誘導体は、下記式(IIIc)で表される化合物であることが好ましい。この化合物を用いると、上記式(VIIc)で表される化合物を得ることができる。下記式(IIIc)において、X1は、上記式(VIIc)のものと同義であり、G1は、式(IIIa)のものと同義である。
式(IIIa)に表されるアルコール誘導体とハロゲン化剤との接触において、接触温度は、例えば、-10℃以上100℃以下とし、好ましくは、0℃以上80℃以下とし、より好ましくは、10℃以上40℃以下とする。接触時間は、例えば、20分以上48時間以下とし、好ましくは、30分以上24時間以下とし、より好ましくは、40分以上10時間以下とする。アルコール誘導体とハロゲン化剤とは、接触時間の間、上記の接触温度に保たれた状態で攪拌されることが好ましい。
1モルの式(IIIa)に表されるアルコール誘導体に対するハロゲン化剤の量は、例えば、1モル以上10モル以下とし、好ましくは、1モル以上5モル以下とする。
ハロゲン化剤としては、脱離基Z2として、ハロゲノ基を導入でき、かつ、ブレンステッド酸Aを生成し得るものを用いる。ハロゲン化剤としては、例えば、ハロゲン化チオニル、ハロゲン化リン、トリフェニルホスフィン-四ハロゲン化炭素、ハロゲン化水素、ハロゲン化カルボニル、及び炭酸ビス(トリハロメチル)からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。
ハロゲン化チオニルの具体例には、フッ化チオニル、塩化チオニル及び臭化チオニルが挙げられる。ハロゲン化リンの具体例には、三フッ化リン、三塩化リン、三臭化リン、及び三ヨウ化リンが挙げられる。トリフェニルホスフィン-四ハロゲン化炭素に用いられる四ハロゲン化炭素の具体例としては、四塩化炭素及び四臭化炭素が挙げられる。ハロゲン化水素の具体例としては、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、及びヨウ化水素が挙げられる。ハロゲン化カルボニルの具体例としては、フッ化カルボニル、二塩化カルボニル、臭化カルボニル、及びヨウ化カルボニルが挙げられる。炭酸ビス(トリハロメチル)の具体例としては、炭酸ビス(トリクロロメチル)及び炭酸ビス(トリブロモメチル)が挙げられる。
ハロゲン化剤としては、上記のものを単独で用いてもよく、複数種類を用いてもよい。ハロゲン化剤としては、ハロゲン化チオニル及びハロゲン化水素からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
ハロゲン化剤は、2回以上に分けて式(IIIa)に表されるアルコール誘導体と接触させてもよい。例えば、アルコール誘導体と二分の一の量のハロゲン化剤とを混合して10分以上2時間以下にわたって攪拌した後、これに残りのハロゲン化剤を加えて10分以上40分以下にわたって攪拌してもよい。
式(IIIa)に表されるアルコール誘導体とハロゲン化剤との接触は、ブレンステッド酸存在下で行われることが好ましい。ブレンステッド酸は、式(IIIa)に表されるアルコール誘導体の保護基G1の脱離を促進し得る。また、ブレンステッド酸は、ハロゲン化剤から生成されるブレンステッド酸と同様に、アルコール誘導体の保護基G1が脱離して生成される塩基と反応し得るため、塩の生成を促進する。
ブレンステッド酸は、式(IIIa)に表されるアルコール誘導体とハロゲン化剤とを接触させ、これを30分以上5時間以下にわたって攪拌して得られた混合物に加えられることが好ましい。また、上記混合物にブレンステッド酸を加えた後、30分以上5時間以下にわたって更に攪拌することが好ましい。
ブレンステッド酸としては、例えば、ハロゲン化水素、硫酸(H2SO4)、炭酸、酢酸、シュウ酸、クエン酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、及びリン酸からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。ハロゲン化水素としては、例えば、フッ化水素、塩化水素、臭化水素、又はヨウ化水素を用いる。ブレンステッド酸としては、塩化水素又は硫酸を用いることが好ましい。
1モルの式(IIIa)に表されるアルコール誘導体に対する酸の量は、0.1モル以上10モル以下とすることが好ましく、0.5モル以上5モル以下とすることがより好ましい。
ブレンステッド酸の代わりに、ブレンステッド酸を水に溶解させて得られた酸溶液を用いてもよい。酸溶液としては、35質量%以上の濃塩酸、又は、98質量%以上の濃硫酸を用いることが好ましい。酸溶液を用いる場合、1gの式(IIIa)に表されるアルコール誘導体に対する酸溶液の量は、0.01g以上10g以下であることが好ましく、0.1g以上1g以下であることがより好ましい。
式(IIIa)に表されるアルコール誘導体とハロゲン化剤との接触は、第1反応溶媒存在下で行われることが好ましい。第1反応溶媒を用いる場合、先ず、アルコール誘導体を第1反応溶媒と混合して、混合液を調製した後、これにハロゲン化剤を加えることが好ましい。
第1反応溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルTHF、1,4-ジオキサン、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、1,2-ジメトキシエタン、ジグライム、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、及びヘプタンからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。第1反応溶媒としては、トルエン、塩化メチレン、酢酸イソプロピル、及び1,2-ジメトキシエタンからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
1gの式(IIIa)に表されるアルコール誘導体に対する第1反応溶媒の量は、例えば、1mL以上100mL以下であり、好ましくは、2mL以上20mL以下である。
アルコール誘導体の脱離基導入及び脱保護反応終了後、得られたアミン誘導体の塩は、下記の方法で取り出されることが好ましい。
先ず、アミン誘導体の塩を含む反応液を減圧濃縮に供して残渣を得る。この残渣に第1反応溶媒と同種の溶媒を加えた後、溶解液を得る。この溶解液を氷冷しながら攪拌して、結晶を析出させる。この結晶を濾別した後、氷冷した第1反応溶媒と同種の溶媒で洗浄する。洗浄後の結晶を減圧乾燥に供して、アミン誘導体の塩を含む生成物を得る。
先ず、アミン誘導体の塩を含む反応液を減圧濃縮に供して残渣を得る。この残渣に第1反応溶媒と同種の溶媒を加えた後、溶解液を得る。この溶解液を氷冷しながら攪拌して、結晶を析出させる。この結晶を濾別した後、氷冷した第1反応溶媒と同種の溶媒で洗浄する。洗浄後の結晶を減圧乾燥に供して、アミン誘導体の塩を含む生成物を得る。
(アミン誘導体の製造方法)
上記式(VIIa)に表されるアミン誘導体は、例えば、上記式(VIIb)に表されるアミン誘導体の塩と第1塩基とを接触させることにより得られる。すなわち、アミン誘導体の塩を構成するブレンステッド酸Aが、第1塩基との反応により中和されて、脱塩が生じる。
上記式(VIIa)に表されるアミン誘導体は、例えば、上記式(VIIb)に表されるアミン誘導体の塩と第1塩基とを接触させることにより得られる。すなわち、アミン誘導体の塩を構成するブレンステッド酸Aが、第1塩基との反応により中和されて、脱塩が生じる。
式(VIIb)に表されるアミン誘導体の塩と第1塩基との接触において、接触温度は、例えば、-10℃以上100℃以下とし、好ましくは、0℃以上80℃以下とし、より好ましくは、10℃以上40℃以下とする。接触時間は、例えば、1分以上24時間以下とし、好ましくは、5分以上10時間以下とする。アミン誘導体の塩と第1塩基とは、接触時間の間、上記の接触温度に保たれた状態で攪拌されることが好ましい。
第1塩基としては、無機塩基、有機塩基、又はこれらの混合物を用い得る。無機塩基の例には、アルカリ金属水素化物、アルカリ土類金属水素化物、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、及びアルカリ土類金属炭酸塩が挙げられる。有機塩基の例には、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジエチルアニリン、ピリジン、キノリン、4-ジメチルアミノピリジン、及び2、6-ルチジンが挙げられる。第1塩基としては、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物又は有機塩基を用いることが好ましい。
第1塩基は、アミン誘導体の塩と第1塩基とを接触させて得られる混合物のpHが、8以上になるまで加えることが好ましく、pHが8以上9以下の範囲になるまで加えることがより好ましい。
なお、第1塩基の代わりに、第1塩基を水に溶解させて得られた塩基溶液を用いてもよい。塩基溶液の具体例には、20質量%以上30質量%以下の水酸化ナトリウム溶液が挙げられる。
アミン誘導体の塩の脱塩反応終了後、得られたアミン誘導体は、下記の方法で取り出されることが好ましい。
先ず、アミン誘導体を含む反応液に、第1反応溶媒と同種の溶媒を加えて、反応液を水層と有機層とに分離させる。有機層を抽出した後、これを、水、飽和重曹水、食塩水等を用いて洗浄する。洗浄後の有機層に、硫酸マグネシウム等を加えて脱水した後、減圧濃縮することにより、アミン誘導体の生成物が得られる。
先ず、アミン誘導体を含む反応液に、第1反応溶媒と同種の溶媒を加えて、反応液を水層と有機層とに分離させる。有機層を抽出した後、これを、水、飽和重曹水、食塩水等を用いて洗浄する。洗浄後の有機層に、硫酸マグネシウム等を加えて脱水した後、減圧濃縮することにより、アミン誘導体の生成物が得られる。
(アルコール誘導体の製造方法)
上記式(IIIa)に表されるアルコール誘導体は、例えば、下記式(II)に表されるN-保護ラクタム誘導体を還元することにより得られる。すなわち、N-保護ラクタム誘導体を還元することにより、ラクタム環のカルボニル基部位が開環される。得られた化合物は、NMR分光分析により同定できる。
上記式(IIIa)に表されるアルコール誘導体は、例えば、下記式(II)に表されるN-保護ラクタム誘導体を還元することにより得られる。すなわち、N-保護ラクタム誘導体を還元することにより、ラクタム環のカルボニル基部位が開環される。得られた化合物は、NMR分光分析により同定できる。
式(II)において、R1、R2、R3、R4、G1、m、及びnは、式(IIIa)のものと同義である。
N-保護ラクタム誘導体の還元は、例えば、N-保護ラクタム誘導体と還元剤とを接触させることにより行われる。
N-保護ラクタム誘導体と還元剤との接触において、接触温度は、例えば、-70℃以上80℃以下とし、好ましくは、-20℃以上60℃以下とし、より好ましくは、0℃以上40℃以下とする。接触時間は、例えば、30分以上48時間以下とし、好ましくは、1時間以上30時間以下とし、より好ましくは、10時間以上24時間以下とする。N-保護ラクタム誘導体と還元剤とは、接触時間の間、上記の接触温度に保たれた状態で攪拌されることが好ましい。
1モルのN-保護ラクタム誘導体に対する還元剤の量は、例えば、0.1モル以上10モル以下とし、好ましくは、0.1モル以上5モル以下とし、より好ましくは、0.5モル以上2モル以下とする。
還元剤としては、例えば、水素化ホウ素アルカリ金属塩、水素化ホウ素アルカリ土類金属塩、ジイソブチルアルミニウムヒドリド(DIBAL-H)、リチウムアルミニウムヒドリド(LAH)、及び水素化ビス(2-メトキシエトキシ)アルミニウムナトリウム(Vitride)からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。
水素化ホウ素アルカリ金属塩は、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、及び水素化ホウ素カリウムからなる群より選ばれる少なくとも1種を含む。水素化ホウ素アルカリ土類金属塩は、水素化ホウ素カルシウムを含む。
還元剤としては、水素化ホウ素カルシウムを用いることが好ましい。水素化ホウ素カルシウムは、安全性が高く、かつ、コストが低い物質である。水素化ホウ素カルシウムは、カルシウムのハロゲン化物と、水素化ホウ素の1価の金属塩とを反応溶媒中で反応させることにより調製できる。水素化ホウ素の1価の金属塩としては、上述した水素化ホウ素アルカリ金属塩を用い得る。反応溶媒としては、例えば、エタノール等の炭素数1以上4以下のアルコール類を用い得る。1モルのカルシウムのハロゲン化物に対する、水素化ホウ素の1価の金属塩の量は、例えば、2モルとする。得られた水素化ホウ素カルシウムは、上記方法で製造した後、単離することなく、そのまま使用することが好ましい。水素化ホウ素カルシウムは、不安定な物質であるためである。なお、水素化ホウ素カルシウムは、精製して使用してもよい。
N-保護ラクタム誘導体と還元剤との接触は、第2反応溶媒存在下で行われることが好ましい。第2反応溶媒が存在すると、N-保護ラクタム誘導体の還元反応が促進される。
第2反応溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、プロピオニトリル、THF(テトラヒドロフラン)、2-メチルTHF、1,4-ジオキサン、メタノール、エタノール、2-プロパノール、1-ブタノール、2-ブタノール、t-ブタノール、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、及びヘプタンからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。第2反応溶媒としては、エタノール、塩化メチレン及びTHFからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
1gのN-保護ラクタム誘導体に対する第2反応溶媒の量は、例えば、1mL以上100mL以下であり、好ましくは、2mL以上20mL以下である。
なお、上記の方法で調製された水素化ホウ素カルシウムを単離することなく用いる場合、水素化ホウ素カルシウムの調製のために用いた反応溶媒は、第2反応溶媒として機能し得る。
N-保護ラクタム誘導体の還元反応終了後、得られたアルコール誘導体は、下記の方法で取り出されることが好ましい。
先ず、アルコール誘導体を含む反応液に、水及び第2反応溶媒の混合溶媒を加えた後、酢酸等のpH調整剤を加えて、反応液を有機層と水層とに分離させる。有機層を抽出した後、これを、水、飽和重曹水、食塩水等を用いて洗浄する。洗浄後の有機層に、硫酸マグネシウム等を加えて脱水した後、減圧濃縮することにより、アルコール誘導体の生成物が得られる。
先ず、アルコール誘導体を含む反応液に、水及び第2反応溶媒の混合溶媒を加えた後、酢酸等のpH調整剤を加えて、反応液を有機層と水層とに分離させる。有機層を抽出した後、これを、水、飽和重曹水、食塩水等を用いて洗浄する。洗浄後の有機層に、硫酸マグネシウム等を加えて脱水した後、減圧濃縮することにより、アルコール誘導体の生成物が得られる。
上記式(II)に表されるN-保護ラクタム誘導体は、下記式(I)に表されるラクタム誘導体とt-ブトキシカルボニル化剤又はベンジルオキシカルボニル化剤とを接触させることにより得られる。以下、式(I)に表されるラクタム誘導体を、単にラクタム誘導体とも称する。また、t-ブトキシカルボニル化剤及びベンジルオキシカルボニル化剤を、保護基導入剤とも称する。ラクタム誘導体と保護基導入剤とを接触させることによりラクタム環の窒素が保護基G1で保護される。得られた化合物は、核磁気共鳴(NMR)分光分析により同定できる。
式(I)において、R1、R2、R3、R4、m、及びnは、式(II)のものと同義である。
ラクタム誘導体としては、市販のものを用いてもよく、公知の方法で合成したものを用いてもよい。
ラクタム誘導体の具体例としては、下記式(I’)で表される6-ブロモ-3-メチルイソインドリン-1-オンが挙げられる。
ラクタム誘導体と保護基導入剤との接触において、接触温度は、例えば、-10℃以上100℃以下とし、好ましくは、0℃以上40℃以下とする。接触時間は、例えば、30分以上120時間以下とし、好ましくは、1時間以上100時間以下とし、より好ましくは、30時間以上90時間以下とする。ラクタム誘導体と保護基導入剤とは、接触時間の間、上記の接触温度に保たれた状態で攪拌されることが好ましい。
1モルのラクタム誘導体に対する保護基導入剤の量は、例えば、1モル以上5モル以下とし、好ましくは、1.5モル以上3モル以下とする。
保護基導入剤としては、市販されているものを用い得る。t-ブトキシカルボニル化剤としては、二炭酸ジ-tert-ブチル((Boc)2O)を用いることが好ましい。ベンジルオキシカルボニル化剤としては、クロロギ酸ベンジルを用いることが好ましい。
ラクタム誘導体と保護基導入剤との接触は、第2塩基存在下で行われることが好ましい。第2塩基が存在すると、ラクタム誘導体の保護基導入が促進される。
第2塩基としては、例えば、ピリジン、4-N,N-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、トリエチルアミン、N,N-ジイソプロピルエチルアミン、及びN,N-ジエチルアニリンからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。第2塩基としては、DMAPを用いることが好ましい。
1モルのラクタム誘導体に対する第2塩基の量は、例えば、0.0001モル以上5モル以下であり、好ましくは、0.001モル以上1モル以下であり、より好ましくは、0.05モル以上0.5モル以下である。
また、1モルの保護基導入剤に対する第2塩基の量は、例えば、0.0001モル以上5モル以下であり、好ましくは、0.001モル以上1モル以下であり、より好ましくは、0.01モル以上0.1モル以下である。
ラクタム誘導体と保護基導入剤との接触は、第3反応溶媒存在下で行われることが好ましい。第3反応溶媒が存在すると、ラクタム誘導体への保護基導入が促進される。第3反応溶媒を用いる場合、先ず、ラクタム誘導体を第3反応溶媒と混合して混合液を調製し、これに保護基導入剤等を加えることが好ましい。
第3反応溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルTHF、1,4-ジオキサン、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、及びヘプタンからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。第3反応溶媒としては、塩化メチレン及びTHFからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
1gのラクタム誘導体に対する第3反応溶媒の量は、例えば、1mL以上100mL以下であり、好ましくは、2mL以上20mL以下である。
以上の方法で得られたN-保護ラクタム誘導体は、減圧濃縮した後、シリカゲルカラムを用いて精製されてもよい。
(環状アミン誘導体の製造方法)
第3塩基存在下、上記式(VII)に表されるアミン誘導体若しくはその塩と、下記式(1)に表される有機ハロゲン化物とを接触させることにより、下記式(VIII)で表される環状アミン誘導体が得られる。すなわち、アミン誘導体もしくはその塩と有機ハロゲン化物とを接触させると、上記反応式(i)に示したとおり、アミン誘導体若しくはその塩のアミノ基が有機基R5で保護されるとともに環化する。この反応においては、式(VII)に表されるアミン誘導体若しくはその塩のアミノ基の保護と環化とを一工程で行えるため、第3塩基及び有機ハロゲン化物以外の試薬を用いなくともよい。なお、式(VII)に表されるアミン誘導体若しくはその塩とは、上記式(VIIa)に表されるアミン誘導体と、上記式(VIIb)に表されるアミン誘導体の塩との混合物の形態も含む。
第3塩基存在下、上記式(VII)に表されるアミン誘導体若しくはその塩と、下記式(1)に表される有機ハロゲン化物とを接触させることにより、下記式(VIII)で表される環状アミン誘導体が得られる。すなわち、アミン誘導体もしくはその塩と有機ハロゲン化物とを接触させると、上記反応式(i)に示したとおり、アミン誘導体若しくはその塩のアミノ基が有機基R5で保護されるとともに環化する。この反応においては、式(VII)に表されるアミン誘導体若しくはその塩のアミノ基の保護と環化とを一工程で行えるため、第3塩基及び有機ハロゲン化物以外の試薬を用いなくともよい。なお、式(VII)に表されるアミン誘導体若しくはその塩とは、上記式(VIIa)に表されるアミン誘導体と、上記式(VIIb)に表されるアミン誘導体の塩との混合物の形態も含む。
下記式(VIII)に表される環状アミン誘導体は、例えば、医薬品の製造中間体として使用される。
式(VIII)において、R1、R2、R3、R4、m、及びnは、式(VII)のものと同義である。R5は、式(1)のものと同義である。
式(VIII)に表される環状アミン誘導体の具体例としては、下記式(VIIIa)に表される化合物が挙げられる。下記式(VIIIc)において、X1及びR5は、式(VIII)のものと同義である。この化合物は、式(VII)に表されるアミン誘導体若しくはその塩として、上記式(VIIc)で表される化合物を用いることにより得られる。
第3塩基存在下での式(VII)に表されるアミン誘導体若しくはその塩と有機ハロゲン化物との接触において、接触温度は、例えば、-20℃以上60℃以下とし、好ましくは、-10℃以上50℃以下とし、より好ましくは、0℃以上40℃以下とする。接触時間は、例えば、10分以上24時間以下とし、好ましくは、30分以上10時間以下とし、より好ましくは、1時間以上5時間以下とする。アミン誘導体若しくはその塩と有機ハロゲン化物とは、接触時間の間、上記の接触温度に保たれた状態で攪拌されることが好ましい。
第3塩基存在下での式(VII)に表されるアミン誘導体若しくはその塩と有機ハロゲン化物との接触は、以下の方法で行うことが好ましい。先ず、-10℃以上20℃以下の温度下で、アミン誘導体若しくはその塩と第3塩基とを接触させ攪拌して混合物を得る。0℃以上40℃以下の温度下で、この混合物に有機ハロゲン化物を加え1時間以上5時間以下にわたって攪拌する。
有機ハロゲン化物は、下記式(1)に表される。
R5-X (1)
式(1)において、R5は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいトリチル基、置換基を有してもよいベンズヒドリル基、置換基を有してもよいベンジル基、又は、置換基を有してもよい芳香環基である。Xは、ハロゲン原子である。
式(1)において、R5は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいトリチル基、置換基を有してもよいベンズヒドリル基、置換基を有してもよいベンジル基、又は、置換基を有してもよい芳香環基である。Xは、ハロゲン原子である。
R5は、脱離し易いという点からは、置換基を有してもよいトリチル基、置換基を有してもよいベンズヒドリル基、置換基を有してもよいベンジル基、又は、置換基を有してもよい芳香環基であることが好ましい。芳香環基は、フェニル基であることが好ましい。Xは、塩素原子又は臭素原子であることが好ましい。
有機ハロゲン化物の具体例には、トリチルクロリド、及びトリチルブロミドが挙げられる。有機ハロゲン化物としては、トリチルクロリドを用いることが好ましい。
1モルの式(VII)に表されるアミン誘導体若しくはその塩に対する有機ハロゲン化物の量は、0.1モル以上5モル以下であることが好ましく、0.5モル以上2モル以下であることがより好ましい。
第3塩基は、式(VII)に表されるアミン誘導体若しくはその塩と有機ハロゲン化物との反応により生じる酸の中和剤、及び、触媒の役割を果たす。
第3塩基としては、有機塩基を用いることが好ましい。第3塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N-ジエチルアニリン、ピリジン、キノリン、4-ジメチルアミノピリジン(DMAP)、及び2,6-ルチジンからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
1モルの式(VII)に表されるアミン誘導体若しくはその塩に対する第3塩基の量は、0.1モル以上10モル以下であることが好ましく、1モル以上5モル以下であることがより好ましい。
また、1モルの有機ハロゲン化物に対する第3塩基の量は、0.1モル以上10モル以下であることが好ましく、1モル以上5モル以下であることがより好ましい。
第3塩基としては、DMAPと、DMAP以外の塩基とを併用することが好ましい。DMAPは、触媒効果が高い塩基である。DMAP以外の塩基は、DMAPの触媒効果をより高めることができる。DMAP以外の塩基としては、トリエチルアミンを用いることが好ましい。第3塩基としてDMAPとDMAP以外の塩基との混合物を用いる場合、この混合物におけるDMAPの割合は、1質量%以上5質量%以下であることが好ましい。
式(VII)に表されるアミン誘導体若しくはその塩と有機ハロゲン化物との接触は、第4反応溶媒存在下で行われることが好ましい。第4反応溶媒を用いる場合、先ず、アミン誘導体若しくはその塩を第4反応溶媒と混合して、混合液を調製し、これに第3塩基及び有機ハロゲン化物を加えることが好ましい。
第4反応溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸ブチル、酢酸イソプロピル、アセトニトリル、プロピオニトリル、テトラヒドロフラン(THF)、2-メチルTHF、1,4-ジオキサン、tert-ブチルメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、ジメトキシエタン、ジグライム、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン、及びヘプタンからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いる。第4反応溶媒としては、塩化メチレン及びトルエンからなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
1gの式(VII)に表されるアミン誘導体若しくはその塩に対する第4反応溶媒の量は、例えば、1mL以上100mL以下であり、好ましくは、2mL以上20mL以下である。
アミン誘導体若しくはその塩の環化反応終了後、得られた環状アミン誘導体は、下記の方法で取り出されることが好ましい。
先ず、環状アミン誘導体を含む反応液に、水若しくは第4反応溶媒と同種の溶媒を加えて反応液を水層と有機層とに分離させる。有機層を抽出した後、これを、水、飽和重曹水、食塩水等を用いて洗浄する。洗浄後の有機層に、硫酸マグネシウム等を加えて脱水した後、減圧濃縮することにより残渣を得る。この残渣をシリカゲルカラム等を用いて精製して、環状アミン誘導体の生成物が得られる。
先ず、環状アミン誘導体を含む反応液に、水若しくは第4反応溶媒と同種の溶媒を加えて反応液を水層と有機層とに分離させる。有機層を抽出した後、これを、水、飽和重曹水、食塩水等を用いて洗浄する。洗浄後の有機層に、硫酸マグネシウム等を加えて脱水した後、減圧濃縮することにより残渣を得る。この残渣をシリカゲルカラム等を用いて精製して、環状アミン誘導体の生成物が得られる。
以上の方法で得られた環状アミン誘導体において、有機基R5は、公知の方法で外すことができる。環状アミン誘導体である上記式(VIIIa)に表され、X1がBrである化合物を脱保護することにより、下記式(VI)で表される5-ブロモ-1-メチルイソインドリンを得ることができる。
上記5-ブロモ-1-メチルイソインドリンは、医薬品の製造中間体として使用され得る。
以下に例を挙げて、本発明を詳細に説明する。
<実施例1>
(アミン誘導体の塩の製造)
以下の方法で、下記式(IIId)に表されるアルコール誘導体を基質として、下記式(VIId)に表されるアミン誘導体の塩酸塩を得た。
(アミン誘導体の塩の製造)
以下の方法で、下記式(IIId)に表されるアルコール誘導体を基質として、下記式(VIId)に表されるアミン誘導体の塩酸塩を得た。
先ず、1.00g(3.03mmol)の上記式(IIId)に表されるアルコール誘導体を、10mLのトルエンに溶解させて、アルコール誘導体溶液を調製した。このアルコール誘導体溶液に、25℃の環境下で1.08g(9.08mmol)の塩化チオニルを加えて1時間にわたって攪拌して、混合液を得た。この混合液に0.5gの35質量%濃塩酸を加えて、25℃の環境下で1時間にわたって攪拌して、反応液を得た。
次に、この反応液を減圧濃縮して、残渣を得た。この残渣に5mLのトルエンを加えて、更に減圧濃縮して、残渣を得た。この残渣に10mLのトルエンを加え、氷冷しながら1時間にわたって攪拌して析出物を得た。濾過により析出物を取り出し、これを3mLの氷冷トルエン、及び5mLのヘキサンの順に洗浄した。洗浄後の析出物を、40℃で3時間にわたって減圧乾燥させて、生成物を得た。生成物の質量は0.75gであり、その収率は87.2%であった。
生成物について、重ジメチルスルホキシドを溶媒に用いた1H-NMR分光分析を行い、上記式(VIId)に表されるアミン誘導体の塩酸塩であることを確認した。NMR分光分析結果を下記に示す。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:8.445(brs、3H)、7.762-7.768(m、1H)、7.731-7.737(m、1H)、7.711-7.715(m、1H)、4.978-5.007(m、1H)、4.837-4.865(m、1H)、4.649-4.678(m、1H)、2.495-2.509(m、3H)。
また、生成物の融点は187℃~189℃であった。生成物の赤外(IR)分光スペクトルにおいては、2870cm-1にピークが確認された。
(環状アミン誘導体の製造)
以下の方法で、上記の方法で得られた式(VIId)に表されるアミン誘導体の塩酸塩を基質として、下記式(VIIId)に表される環状アミン誘導体を得た。
以下の方法で、上記の方法で得られた式(VIId)に表されるアミン誘導体の塩酸塩を基質として、下記式(VIIId)に表される環状アミン誘導体を得た。
先ず、100mg(0.40mmol)の式(VIId)に表されるアミン誘導体の塩酸塩を、1mLの塩化メチレンに溶解させてアミン誘導体溶液を調製した。このアミン誘導体溶液を10℃以下の温度になるまで冷却し、これに122mg(1.20mmol)のトリエチルアミン及び5mg(0.04mmol)の4-ジメチルアミノピリジンを加えて、25℃の環境下で2.5時間にわたって攪拌して混合液を得た。この混合液に123mg(0.44mmol)のトリチルクロリドを加え、25℃の環境下で2.5時間にわたって攪拌して反応液を得た。
この反応液に、1mLの水を加えて反応液を有機層と水層とに分離させた。有機層を抽出し、これに硫酸マグネシウムを加えて脱水し、減圧濃縮することにより、残渣を得た。残渣をシリカゲルカラムを用いて精製することにより、生成物を得た。シリカゲルカラムの展開溶媒としては、ヘキサンと酢酸エチルとを30:1の体積比で混合した混合溶媒を用いた。生成物の量は0.16gであり、収率は98%以上であった。
生成物について、重ジメチルスルホキシドを溶媒に用いた1H-NMR分光分析を行い、上記式(VIIId)に表される環状アミン誘導体であることを確認した。NMR分光分析結果を下記に示す。
1H-NMR(DMSO-d6)δ:7456~7.472(m、6H),6.758~7.200(m、12H)、4.463(d、J=16.8Hz、1H)、4.395~4.428(m、1H)、3.962(d、J=16.8Hz、1H)、1.339(d、J=6.6Hz、3H)。
また、生成物の融点は73℃~74℃であった。生成物の赤外(IR)分光スペクトルにおいては、1448cm-1にピークが確認された。
<実施例2>
(アミン誘導体の製造)
以下の方法で、下記式(IIId)に表されるアルコール誘導体を基質として、下記式(VIIe)に表されるアミン誘導体を得た。
(アミン誘導体の製造)
以下の方法で、下記式(IIId)に表されるアルコール誘導体を基質として、下記式(VIIe)に表されるアミン誘導体を得た。
先ず、200mg(0.61mmol)の上記式(IIId)に表されるアルコール誘導体を、2mLの塩化メチレンに溶解させて、アルコール誘導体溶液を調製した。このアルコール誘導体溶液を10℃まで冷却した後、216mg(1.82mmol)の塩化チオニルを加えて室温で1時間にわたって攪拌して、混合液を得た。この混合液に100mg(0.841mmol)の塩化チオニルを更に加えて30分間にわたって攪拌した後、これに100mgの35質量%濃塩酸を加えて30分間にわたって攪拌して、反応液を得た。
この反応液に2mLの水を加えた後、これのpHが8.6に達するまで24質量%水酸化ナトリウム水溶液を加えて、反応液を有機層と水層とに分離させた。有機層を抽出した。水層に1mLの塩化メチレンを加えて有機層と水層とに分離させて、有機層を抽出した。この有機層を先に抽出した有機層と合わせて総有機層を得た。総有機層を2mLの飽和食塩水で洗浄した。
洗浄後の総有機層に含まれる生成物について、重ジメチルスルホキシドを溶媒に用いた1H-NMR分光分析を行い、上記式(VIIe)に表されるアミン誘導体であることを確認した。
(環状アミン誘導体の製造)
以下の方法で、上記の方法で得られた式(VIIe)に表されるアミン誘導体を基質として、下記式(VIIId)に表される環状アミン誘導体を得た。
以下の方法で、上記の方法で得られた式(VIIe)に表されるアミン誘導体を基質として、下記式(VIIId)に表される環状アミン誘導体を得た。
先ず、上記の方法で得られた洗浄後の総有機層に、184mg(1.82mmol)のトリエチルアミン及び7mg(0.06mmol)の4-ジメチルアミノピリジンを加えて、室温で5分間にわたって攪拌して混合液を得た。この混合液に186mg(0.67mmol)のトリチルクロリドを加え、室温で2時間にわたって攪拌して反応液を得た。
この反応液を2mLの20質量%塩化アンモニウム水溶液、及び2mLの食塩水の順に洗浄した。洗浄後の反応液を減圧濃縮に供して残渣を得た。この残渣に3.9mLのイソプロピルアルコールを加えて溶液を得た。この溶液を減圧濃縮に供して残渣を得た。この残渣に3.0mLのイソプロピルアルコールを加えた後、これを10℃以下の温度で1時間にわたって攪拌して、析出物を得た。この析出物を濾過により取り出し、これを3mLの氷冷したイソプロピルアルコールで洗浄した。洗浄後の析出物を減圧乾燥に供して生成物を得た。生成物の量は120mgであり、収率は45%であった。
生成物について、重ジメチルスルホキシドを溶媒に用いた1H-NMR分光分析を行い、上記式(VIIId)に表される環状アミン誘導体であることを確認した。
実施例1及び2から明らかなように、基質として、式(VIId)に表されるアミン誘導体の塩酸塩を用いた場合にあっても、式(VIIe)に表されるアミン誘導体を用いた場合にあっても、式(VIIId)に表される環状アミン誘導体を得られた。
Claims (3)
- 下記式(VII)に表されるアミン誘導体若しくはその塩:
Aは、ブレンステッド酸であり、
pは、0又は1であり、
R1及びR2は、それぞれ、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、炭素数1~6のハロアルキル基、置換基を有してもよい炭素数7~20のアラルキル基、置換基を有してもよい炭素数6~20のアリール基、又はハロゲン原子であり、
前記R1及びR2は互いに結合し、これらが結合している炭素原子と共に環を形成してもよく、前記環は、置換基を有してもよい環員数6~20の芳香族環、置換基を有してもよい環員数3~20の脂環式炭化水素環、又は置換基を有してもよい環員数3~20の複素環であり、
R3及びR4は、それぞれ、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、ニトロ基、アミノ基、炭素数1~6のハロアルキル基、置換基を有してもよい炭素数7~20のアラルキル基、置換基を有してもよい炭素数6~20のアリール基、又はハロゲン原子であり、
mは、0以上6以下であり、
nは、0以上6以下であり、
Z2は、ハロゲン原子である。 - 塩基存在下、請求項1に記載の式(VII)に表されるアミン誘導体若しくはその塩と、下記式(1)に表される有機ハロゲン化物とを接触させて、下記式(VIII)で表される環状アミン誘導体を得ることを含む、環状アミン誘導体の製造方法:
R5-X (1)
前記式(1)において、
R5は、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいトリチル基、置換基を有してもよいベンズヒドリル基、置換基を有してもよいベンジル基、又は、置換基を有してもよい芳香環基であり、
Xは、ハロゲン原子であり、
R1、R2、R3、R4、m、及びnは、前記式(VII)のものと同義であり、
R5は、前記式(1)のものと同義である。
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