JP2022055660A - 固体電解コンデンサ、導電性高分子分散液、酸化促進剤、固体電解コンデンサの製造方法、及び導電性高分子分散液の製造方法 - Google Patents

固体電解コンデンサ、導電性高分子分散液、酸化促進剤、固体電解コンデンサの製造方法、及び導電性高分子分散液の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】導電性高分子の電気伝導度を高め、高い電気伝導度の導電性高分子を用いた固体電解コンデンサを提供することを目的とする。【解決手段】固体電解コンデンサには、導電性高分子の光吸収スペクトルの585nmの吸光度A、800nmの吸光度B及び1200nmの吸光度Cに基づき、D=(B+C)/Aで導かれる指標Dが4以上となる導電性高分子を用いる。【選択図】なし

Description

本発明は、固体電解コンデンサ、導電性高分子分散液、酸化促進剤、及びこれらの製造方法に関する。
コンデンサは、静電容量により電荷の蓄電及び放電を行う受動素子である。数十kHz超の高周波領域での情報処理が一般化しているディジタル機器においても、電解コンデンサが使用される例が多くなってきた。例えば高周波平滑用途の電解コンデンサが採用される例が多くなってきている。そのため、電解コンデンサにおいては、高周波領域での良好なESR(等価直列抵抗)が要望される。
高周波領域での良好なESRを有するコンデンサとして、電解液を用いた電解コンデンサがある。電解コンデンサは、タンタルあるいはアルミニウム等のような弁作用金属を陽極箔及び陰極箔として備えている。陽極箔は、弁作用金属を焼結体あるいはエッチング箔等の形状にすることで拡面化され、拡面化された表面に誘電体酸化皮膜層を有する。陽極箔と陰極箔の間には電解液が介在する。電解液は、陽極箔の凹凸面に密接し、真の陰極として機能する。
近年では、さらに低ESRとなるように、ポリピロール、ポリアニリン、ポリチオフェンなどの導電性高分子を含む固体電解質を用いた固体電解コンデンサが適用されるようになってきている。特に、ポリスチレンスルホン酸(PSS)がドープされたポリエチレンジオキシチオフェン(PEDOT)は、高い電気伝導度を有するため、固体電解コンデンサの低ESR化に貢献している。
国際公開第2007/091656号
PEDOT/PSSよりも高い電気伝導度を有する導電性高分子によって、更なる低ESR化が達成される固体電解コンデンサが要望されている。本発明は、上記課題を解決するために提案されたものであり、その目的は、導電性高分子の電気伝導度を高め、高い電気伝導度の導電性高分子を用いた固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
本発明は、この課題を解決すべく、固体電解コンデンサであって、陽極箔と陰極箔とを対向させて成るコンデンサ素子と、前記コンデンサ素子内に付着した導電性高分子と、を備え、前記導電性高分子の光吸収スペクトラムの585nmの吸光度A、800nmの吸光度B及び1200nmの吸光度Cに基づき、以下式で導かれる指標Dが4以上であること、を特徴とする。
(式) D=(B+C)/A
また、本発明は、導電性高分子の分散液であって、前記導電性高分子の光吸収スペクトラムの585nmの吸光度A、800nmの吸光度B及び1200nmの吸光度Cに基づき、以下式で導かれる指標Dが4以上であること、を特徴とする。この分散液を用いることで、高い電気伝導度の導電性高分子を用いた固体電解コンデンサを作製することができる。
(式) D=(B+C)/A
これら固体電解コンデンサと導電性高分子分散液の前記導電性高分子は、ポリスチレンスルホン酸がドープされたポリエチレンジオキシチオフェンであるようにしてもよい。
また、本発明は、導電性高分子を生成する化学酸化重合反応の酸化促進剤であって、サリチル酸鉄(III)錯体を含むこと、を特徴とする。この酸化促進剤を用いることで、高い電気伝導度の導電性高分子を用いた固体電解コンデンサを作製することができる。
また、本発明は、固体電解コンデンサの製造方法であって、一対の電極体を対向させたコンデンサ素子の作製工程と、前記コンデンサ素子内に導電性高分子を付着させる高分子付着工程と、を含み、前記高分子付着工程では、サリチル酸鉄(III)錯体と共役系高分子を構成するモノマーを含む溶液内で化学酸化重合させ、導電性高分子を生成する重合工程を含むこと、を特徴とする。
前記高分子付着工程では、前記重合工程により得られた分散液を前記コンデンサ素子に含浸させるようにしてもよい。
前記重合工程は、ボロジサリチル酸塩又はサリチル酸塩と鉄(III)化合物とを前記溶液に添加し、前記溶液内で前記サリチル酸鉄(III)錯体を生成する酸化促進剤生成工程を含むようにしてもよい。
また、本発明は、導電性高分子の分散液の製造方法であって、サリチル酸鉄(III)錯体と共役系高分子を構成するモノマーを含む溶液内で化学酸化重合させること、を特徴とする。この分散液を用いる工程を含めることで、高い電気伝導度の導電性高分子を用いた固体電解コンデンサを作製することができる。
ボロジサリチル酸塩又はサリチル酸塩と鉄(III)化合物とを前記溶液に添加し、前記溶液内で前記サリチル酸鉄(III)錯体を生成する酸化促進剤生成工程を含むようにしてもよい。
本発明によれば、高い電気伝導度の導電性高分子を実現できる。
以下、本発明の実施形態について説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施形態に限定されるものでない。
固体電解コンデンサは、静電容量により電荷の蓄電及び放電を行う受動素子である。固体電解コンデンサには、固体電解質層のみを用いた固体電解コンデンサ、及び固体電解質層と電解液とを併用したハイブリッド電解コンデンサが含まれる。また、この固体電解コンデンサには、陽極側にのみ意図的に誘電体酸化皮膜を形成した固体電解コンデンサ、電極双方に誘電体酸化皮膜を形成した両極性の固体電解コンデンサが含まれる。
固体電解コンデンサは、コンデンサ素子をケースに収容して、封口体でケース開口を封止して成る。コンデンサ素子は、陽極箔、陰極箔、セパレータ及び固体電解質層を備える。陽極箔と陰極箔はセパレータを介して対向する。陽極箔の表面には誘電体酸化皮膜が形成されている。陰極箔も必要に応じて誘電体酸化皮膜が形成されている。固体電解質層は、陽極箔と陰極箔との間に介在し、誘電体酸化皮膜と密着する。この固体電解質層は、コンデンサ素子を、導電性高分子の分散液に含浸及び乾燥させることにより形成される。
陽極箔及び陰極箔は弁作用金属を材料とする長尺の箔体である。弁作用金属は、アルミニウム、タンタル、ニオブ、酸化ニオブ、チタン、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス及びアンチモン等である。純度は、陽極箔に関して99.9%以上が望ましく、陰極箔に関して99%程度以上が望ましいが、ケイ素、鉄、銅、マグネシウム、亜鉛等の不純物が含まれていても良い。
陽極箔は、弁作用金属の粉体を成形した成形体、成形体を焼結した焼結体、又は圧延された箔にエッチング処理を施したエッチング箔として、表面が拡面化される。拡面構造は、トンネル状のピット、海綿状のピット、又は密集した粉体間の空隙により成る。拡面構造は、典型的には、塩酸等のハロゲンイオンが存在する酸性水溶液中で直流又は交流を印加する直流エッチング又は交流エッチングにより形成され、若しくは芯部に金属粒子等を蒸着又は焼結することにより形成される。陰極箔についても、蒸着、焼結又はエッチングによって拡面構造を有するようにしてもよい。
誘電体酸化皮膜は、典型的には、陽極箔の表層に形成される酸化皮膜である。例えば、陽極箔がアルミニウム箔であれば、誘電体酸化皮膜は、拡面構造を酸化させた酸化アルミニウムである。誘電体酸化皮膜は、アジピン酸、ホウ酸又はリン酸等の水溶液中で電圧印加する化成処理により形成される。また、陰極箔の表層に必要に応じて化成処理により薄い誘電体酸化皮膜(1~10V程度)を形成しても良い。さらに、誘電体酸化皮膜は、金属窒化物、金属炭化物、金属炭窒化物からなる層を蒸着法により形成したもの、あるいは表面に炭素を含有したものを用いて作出してもよい。
セパレータは、クラフト、マニラ麻、エスパルト、ヘンプ、レーヨン等のセルロース及びこれらの混合紙、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、それらの誘導体などのポリエステル系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、ポリフッ化ビニリデン系樹脂、ビニロン系樹脂、脂肪族ポリアミド、半芳香族ポリアミド、全芳香族ポリアミド等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、トリメチルペンテン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂等が挙げられ、これらの樹脂を単独で又は混合して用いることができる。
固体電解質層は導電性高分子を含む。導電性高分子は、ポリスチレンスルホン酸(PSS)をドーパントとして取り込んだ共役系高分子である。ドーパントして取り込むとは、共役系高分子とドーパントがそれぞれプラスとマイナスの電荷を帯びて、共役系高分子がポーラロン又はバイポーラロンになった状態をいい、導電性高分子に導電性が発現する。
導電性高分子は、次の式1により導かれる指標Dが4以上となる光吸収スペクトラムを有する。光吸収スペクトラムは、紫外線可視分光法(UV-vis)によって得ればよい。式1中、Aは、585nmの吸光度であり、Bは、800nmの吸光度であり、Cは、1200nmの吸光度である。導電性高分子は、この指標Dが4以上を満たす光吸収スペクトラムが表すドーピング状態であることにより、固体電解質層の電気伝導度が高くなり、固体電解コンデンサのESRを低く抑える。
(式1)
D=(B+C)/A
導電性高分子は、粒径が0.1μm以下となる程度にまで凝集体が解きほぐされていることが好ましい。90%の導電性高分子の0.1μmの目開きのフィルタを通る場合、導電性高分子の粒径は0.1μm以下である。導電性高分子がこの粒径であると、誘電体酸化皮膜のピット内又は空隙内に多くの導電性高分子が付着でき、固体電解コンデンサは、120Hz等の低周波領域でのCap(静電容量)、ESR及びtanδ(誘電正接)も良好になる。
共役系高分子としては、公知のものを特に限定なく使用することができる。例えば、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリフラン、ポリアニリン、ポリアセチレン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリアセン、ポリチオフェンビニレンなどが挙げられる。これら共役系高分子は、単独で用いられてもよく、2種類以上を組み合わせても良く、更に2種以上のモノマーの共重合体であってもよい。
上記の共役系高分子のなかでも、チオフェン又はその誘導体が重合されて成る共役系高分子が好ましく、3,4-エチレンジオキシチオフェン(すなわち、2,3-ジヒドロチエノ[3,4-b][1,4]ジオキシン)、3-アルキルチオフェン、3-アルコキシチオフェン、3-アルキル-4-アルコキシチオフェン、3,4-アルキルチオフェン、3,4-アルコキシチオフェン又はこれらの誘導体が重合された共役系高分子が好ましい。チオフェン誘導体としては、3位と4位に置換基を有するチオフェンから選択された化合物が好ましく、チオフェン環の3位と4位の置換基は、3位と4位の炭素と共に環を形成していても良い。アルキル基やアルコキシ基の炭素数は1~16が適している。
アルキル基やアルコキシ基の炭素数が1~16のチオフェン誘導体としては、3,4-エチレンジオキシチオフェンにアルキル基が付加された、アルキル化エチレンジオキシチオフェンでもよく、例えば、メチル化エチレンジオキシチオフェン(すなわち、2-メチル-2,3-ジヒドロ-チエノ〔3,4-b〕〔1,4〕ジオキシン)、エチル化エチレンジオキシチオフェン(すなわち、2-エチル-2,3-ジヒドロ-チエノ〔3,4-b〕〔1,4〕ジオキシン)などが挙げられる。
特に、共役系高分子としては、EDOTと呼称される3,4-エチレンジオキシチオフェンの重合体、即ち、PEDOTと呼称されるポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)が特に好ましい。PEDOTは、導電性高分子の中でも優れた電気伝導度を示し、且つ高い耐熱性を示す。
この固体電解質層は、分散液をコンデンサ素子に含浸させることにより形成される。分散液は、指標Dが4以上の光吸収スペクトラムを有する導電性高分子が分散した導電性高分子分散液である。分散液をコンデンサ素子に含浸させることにより、この導電性高分子が誘電体酸化皮膜に付着し、コンデンサ素子に導電性高分子を含む固体電解質層が形成される。コンデンサ素子への含浸の促進を図るべく、必要に応じて減圧処理や加圧処理を施してもよい。含浸工程は複数回繰り返しても良い。
尚、コンデンサ素子に固体電解質層を形成できれば、製造済みの分散液をコンデンサ素子に含浸させる以外の方法も適用できる。例えば、陽極箔や、陰極箔、およびセパレータから選択される1つ以上の部材に分散液を付着させて溶媒の一部を除去し、その部材を用いてコンデンサ素子を構成しても良い。
この分散液は、共役系高分子を構成するモノマー、ドーパントとなるポリスチレンスルホン酸(PSS)、及び酸化促進剤を溶媒に添加し、化学酸化重合を行うことで生成される。化学酸化重合の温度には厳密な制限がないが、一般的には0~60℃の範囲である。重合時間は、一般的には10分~30時間の範囲である。限外濾過、攪拌、限外濾過と濃度調整等を行うことで、分散液を精製してもよい。更に、分散液には適宜添加剤を加えてもよく、また分散液のpH調整を行ってもよい。陽イオン交換、及び陰イオン交換などの精製手段により、分散液から酸化促進剤及び残留モノマーを除去してもよい。
酸化促進剤はサリチル酸鉄(III)錯体である。サリチル酸鉄(III)錯体は、鉄(III)イオンにサリチル酸イオンが配位したキレート錯体であり、鉄(III)イオンに対して、配位子が有するオルト位のヒドロキシ基とカルボキシ基とが配位結合している。この酸化促進剤と共に共役系高分子を構成するモノマーを添加し、化学酸化重合させることにより、指標Dが4以上となる光吸収スペクトラムの導電性高分子が生成される。
この酸化促進剤は、鉄(III)化合物とサリチル酸塩又はボロジサリチル酸塩を溶媒に混合することで生成される。サリチル酸は、安息香酸のカルボキシル基に対してオルト位の水素原子がヒドロキシ基に置換されたo-ヒドロキシ安息香酸である。このサリチル酸は、鉄(III)イオンと共に酸化促進剤としての錯体を形成する。尚、m-ヒドロキシ安息香酸塩又はp-ヒドロキシ安息香酸塩は、酸化促進剤としての錯体を形成できない。
また、酸化促進剤の製造のために、サリチル酸塩又はボロジサリチル酸塩を溶媒である水に溶解させる。塩ではなく、サリチル酸やボロジサリチル酸を溶媒に添加しても、酸化促進剤としての錯体を形成できない。サリチル酸塩及びボロジサリチル酸塩は、鉄(III)化合物に対して、サリチル酸鉄(III)錯体の配位数に従って化学量論比で添加すればよい。または、鉄(III)化合物は単独で酸化促進剤として機能するため、化学量論比よりも過剰に鉄(III)化合物を添加してもよい。
サリチル酸塩及びボロジサリチル酸塩を構成する塩としては、例えばアンモニウム塩、四級アンモニウム塩、四級化アミジニウム塩、アミン塩、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。四級アンモニウム塩の四級アンモニウムイオンとしては、テトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等が挙げられる。四級化アミジニウム塩としては、エチルジメチルイミダゾリニウム、テトラメチルイミダゾリニウム等が挙げられる。アミン塩としては、一級アミン、二級アミン、三級アミンの塩が挙げられる。一級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン等、二級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、ジブチルアミン等、三級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、エチルジメチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等が挙げられる。
鉄(III)化合物としては、無機酸の鉄として、硫酸鉄(III)、塩化鉄(III)、過塩素酸鉄(III)、硝酸鉄(III)、リン酸鉄(III)、ヘキサシアノ酸鉄(III)などが挙げられる。また有機酸の鉄としては、クエン酸鉄(III)、シュウ酸鉄(III)などのカルボン酸系の鉄、トルエンスルホン酸鉄(III)、アルキルベンゼンスルホン酸鉄(III)、アルキルナフタレンスルホン酸鉄(III)、アントラキノンスルホン酸(III)などのスルホン酸系の鉄が挙げられる。これらの鉄(III)化合物は複数混合して使用しても良い。
尚、サリチル酸鉄(III)錯体に加えて、他の酸化促進剤を併用してもよい。他の酸化促進剤としては、無機酸及び有機酸の鉄塩、過硫酸塩が好ましい。例えば、塩化第二鉄六水和物、無水塩化第二鉄、硝酸第二鉄九水和物、硝酸第二鉄、硫酸第二鉄、硫酸第二鉄n水和物、硫酸第二鉄アンモニウム十二水和物、過塩素酸第二鉄n水和物、テトラフルオロホウ酸第二鉄、塩化第二銅、硫酸第二銅、テトラフルオロホウ酸第二銅、テトラフルオロほう酸ニトロソニウム、過硫酸アンモニウム、過硫酸ナトリウム、過硫酸カリウム、過ヨウ酸カリウム、過酸化水素、オゾン、ヘキサシアノ第二鉄カリウム、硫酸四アンモニウムセリウム(IV)二水和物、臭素、ヨウ素、ドデシルベンゼンスルホン酸鉄、パラトルエンスルホン酸第二鉄、ナフタレンスルホン酸第二鉄、アントラキノンスルホン酸第二鉄、過ヨウ素酸、ヨウ素酸等が挙げられる。
共役系高分子を構成するモノマーは、高周波領域におけるESRの低下の観点では特に濃度の制限を設ける必要はないが、分散液中に1mM以上6.25mM以下の濃度で添加されることが好ましい。この範囲であると、導電性高分子が凝集し難くなり、導電性高分子の粒径が0.1μm以下となる。また、この範囲であると、耐熱性が向上し、固体電解質が高温環境下に晒されたとしても、コンデンサの諸特性の劣化が抑制される。
分散液の溶媒としては、導電性高分子の粒子または粉末が分散するものであればよい。例えば、溶媒として水や有機溶媒又はそれらの混合物が用いられる。有機溶媒としては、極性溶媒、ケトン類、アルコール類、エステル類、炭化水素類、カーボネート化合物、エーテル化合物、鎖状エーテル類、複素環化合物、ニトリル化合物などを好適に例示できる。
極性溶媒としては、N-メチル-2-ピロリドン、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。ケトン類としては、アセトンが挙げられる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等が挙げられる。エステル類としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ギ酸エチル等が挙げられる。炭化水素類としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられる。カーボネート化合物としては、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等が挙げられる。エーテル化合物としては、ジオキサン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等が挙げられる。鎖状エーテル類としては、エチレングリコールジアルキルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリプロピレングリコールジアルキルエーテル等が挙げられる。複素環化合物としては、3-メチル-2-オキサゾリジノン等が挙げられる。ニトリル化合物としては、アセトニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等が挙げられる。
添加剤として分散液には、多価アルコールを含有させてもよい。多価アルコールとしては、ソルビトール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、分子量が200程度のポリエチレングリコール、ポリオキシエチレングリコール、グリセロール、ポリオキシエチレングリセリン、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、ジペンタエリスリトール、ペンタエリスリトール、又はこれらの2種以上の組み合わせが挙げられる。多価アルコールは沸点が高いために乾燥工程後も固体電解質層に残留させることができ、導電性を向上させ、ESR低減や耐電圧向上効果が得られる。更に、他の化合物を含んでもよい。例えば、有機バインダー、界面活性剤、消泡剤、カップリング剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤等の慣用の添加物を添加してもよい。
分散液は、弱酸性から中性に調整されることが好ましい。pH調整剤としては特に制限はないが、アンモニア及び水酸化ナトリウム等が挙げられる。pHが弱酸性から中性の範囲であると、ポリスチレンスルホン酸(PSS)をドーパントとして取り込んだ共役系高分子により成る導電性高分子の凝集が解きほぐされ、導電性高分子の粒径が0.1μm以下となる。即ち、PSSのスルホ基が有する水素原子が水素結合し、導電性高分子の凝集が引き起こされる。しかし、この水素原子が中和反応によりナトリウムやアンモニア等に置き換わることで、又は水素結合し難い弱酸性環境下になることで、水素結合が起こらず、導電性高分子の凝集が抑制される。但し、アルカリ側になると、共役系高分子から脱ドープが生じ易くなるので、好ましくない。
コンデンサ素子の空隙に電解液を含浸させ、電解液を併用する固体電解コンデンサの場合、電解液は、アニオン成分とカチオン成分が溶媒に添加した溶液である。アニオン成分とカチオン成分は、典型的には、有機酸の塩、無機酸の塩、又は有機酸と無機酸との複合化合物の塩であり、アニオン成分とカチオン成分に解離するイオン解離性塩によって溶媒に添加される。アニオン成分となる酸及びカチオン成分となる塩基が別々に溶媒に添加されてもよい。また、電解液は、アニオン成分又はカチオン成分、アニオン成分とカチオン成分の両者が溶媒に含まれていなくてもよい。
電解液の溶媒は、特に限定されるものではないが、プロトン性の有機極性溶媒又は非プロトン性の有機極性溶媒を用いることができる。プロトン性の有機溶媒としては、一価アルコール類、多価アルコール類及びオキシアルコール化合物類などが挙げられる。一価アルコール類としては、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール等が挙げられる。多価アルコール類及びオキシアルコール化合物類としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、メトキシプロピレングリコール、ジメトキシプロパノール、ポリエチレングリコールやポリオキシエチレングリセリンなどの多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
非プロトン性の有機極性溶媒として、スルホン系、アミド系、ラクトン類、環状アミド系、ニトリル系、オキシド系などが用いられてもよい。スルホン系としては、ジメチルスルホン、エチルメチルスルホン、ジエチルスルホン、スルホラン、3-メチルスルホラン、2,4-ジメチルスルホラン等が挙げられる。アミド系としては、N-メチルホルムアミド、N,N-ジメチルホルムアミド、N-エチルホルムアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N-メチルアセトアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-エチルアセトアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、ヘキサメチルホスホリックアミド等が挙げられる。ラクトン類、環状アミド系としては、γ-ブチロラクトン、γ-バレロラクトン、δ-バレロラクトン、N-メチル-2-ピロリドン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、イソブチレンカーボネート等が挙げられる。ニトリル系としては、アセトニトリル、3-メトキシプロピオニトリル、グルタロニトリル等が挙げられる。オキシド系としてはジメチルスルホキシド等が挙げられる。
溶質としてアニオン成分となる有機酸としては、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、マレイン酸、アジピン酸、安息香酸、トルイル酸、エナント酸、マロン酸、1,6-デカンジカルボン酸、1,7-オクタンジカルボン酸、アゼライン酸、レゾルシン酸、フロログルシン酸、没食子酸、ゲンチシン酸、プロトカテク酸、ピロカテク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のカルボン酸や、フェノール類、スルホン酸が挙げられる。また、無機酸としては、ホウ酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、炭酸、ケイ酸等が挙げられる。有機酸と無機酸の複合化合物としては、ボロジサリチル酸、ボロジ蓚酸、ボロジグリコール酸、ボロジマロン酸、ボロジコハク酸、ボロジアジピン酸、ボロジアゼライン酸、ボロジ安息香酸、ボロジマレイン酸、ボロジ乳酸、ボロジリンゴ酸、ボロジ酒石酸、ボロジクエン酸、ボロジフタル酸、ボロジ(2-ヒドロキシ)イソ酪酸、ボロジレゾルシン酸、ボロジメチルサリチル酸、ボロジナフトエ酸、ボロジマンデル酸及びボロジ(3-ヒドロキシ)プロピオン酸等が挙げられる。
また、有機酸、無機酸、ならびに有機酸と無機酸の複合化合物の少なくとも1種の塩としては、例えばアンモニウム塩、四級アンモニウム塩、四級化アミジニウム塩、アミン塩、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。四級アンモニウム塩の四級アンモニウムイオンとしては、テトラメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム等が挙げられる。四級化アミジニウム塩としては、エチルジメチルイミダゾリニウム、テトラメチルイミダゾリニウム等が挙げられる。アミン塩としては、一級アミン、二級アミン、三級アミンの塩が挙げられる。一級アミンとしては、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン等、二級アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、エチルメチルアミン、ジブチルアミン等、三級アミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、エチルジメチルアミン、エチルジイソプロピルアミン等が挙げられる。
さらに、液体には他の添加剤を添加することもできる。添加剤としては、ホウ酸と多糖類(マンニット、ソルビットなど)との錯化合物、ホウ酸と多価アルコールとの錯化合物、ホウ酸エステル、ニトロ化合物(o-ニトロ安息香酸、m-ニトロ安息香酸、p-ニトロ安息香酸、o-ニトロフェノール、m-ニトロフェノール、p-ニトロフェノール、p-ニトロベンジルアルコールなど)、リン酸エステルなどが挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
以下、実施例に基づいて本発明の導電性高分子の分散液と、この分散液を用いて作製された電解コンデンサをさらに詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものでない。
(分散液)
実施例1及び2並びに比較例1乃至3の分散液を次のように作製した。全実施例及び全比較例の分散液の作製に共通の事項は次の通りである。即ち、導電性高分子の分散液の溶媒は500mlの水とした。溶媒には、2.5mmolのEDOT(3,4-エチレンジオキシチオフェン)、5mmolのポリスチレンスルホン酸(PSS)、3mmolの過硫酸アンモニウム(APS)、2mmolの硫酸第二鉄[Fe(SO]、及び下表1に示す添加物が添加された。
(表1)
Figure 2022055660000001
表1に示すように、実施例1では、更に1.5mmolのボロジサリチル酸アンモニウムが溶媒に添加された。実施例2では、更に1.5mmolのサリチル酸アンモニウムが溶媒に添加された。比較例1で更に添加した添加物はない。比較例2では、更に5mmolのフタル酸アンモニウムが溶媒に添加された。比較例3では、更に5mmolの安息香酸アンモニウムが溶媒に添加された。
ここで、実施例1及び2の溶液は、硫酸第二鉄とボロジサリチル酸アンモニウム又はサリチル酸アンモニウムとを混合したとき、赤紫色を呈した。この溶液の色の変化は、硫酸第二鉄の鉄イオンと、ボロジサリチル酸アンモニウム又はサリチル酸アンモニウムのサリチル酸イオンとが錯形成し、サリチル酸鉄(III)錯体が生成されたことを示している。比較例2及び3は、溶液の色変化は見られず、硫酸第二鉄の鉄イオンとフタル酸や安息香酸との錯形成はなかったことが確認された。
この溶液を0~5℃の温度環境下で一晩攪拌しながら放置した。一晩放置した後、限外濾過を行い、ジェットミキシングにより分散処理した。分散処理の後、更に限外濾過を行い、導電性高分子の濃度が約2wt%の分散液となるように溶媒の量を調整した。
(光吸収スペクトルラムの取得)
実施例1及び2並びに比較例1乃至3で作製された分散液を、分散液内の固形分濃度が0.04wt%となるように水で希釈し、UV-visにより、照射光の波長と吸光度との関係を測定した。尚、分散媒である水の光吸収スペクトラムもブランクとしてUV-visにより測定した。
(電気伝導度の測定)
実施例1及び2並びに比較例1乃至3で作製された分散液(A)とエチレングリコール(B)との体積比がA:B=70:30となるように、分散液にエチレングリコールを混ぜ、100μlの混合液をガラスプレートに滴下し、乾燥させることで、ガラスプレート上に導電性高分子を成膜した。この導電性高分子の膜の電気伝導度を4探針法にて測定した。尚、同じガラスプレートの電気伝導度もブランクとして4探針法にて測定した。
(測定結果)
下表2に、実施例1及び2並びに比較例1乃至3において得られた光吸収スペクトラムにおける585nmの吸光度、800nmの吸光度及び1200nmの吸光度を示す。更に、これら吸光度から計算された指標Dを表2に示す。また、4探針法により得られた電気伝導度を表2に示す。
(表2)
Figure 2022055660000002
表2に示すように、実施例1及び2の分散液に含まれる導電性高分子は、光吸収スペクトラムの指標Dが4以上となっていることが確認された。一方、比較例1乃至3の分散液に含まれる導電性高分子は、指標Dが4未満となった。そして、指標Dが4以上となった実施例1及び2は、比較例1乃至3と比べて電気伝導度が大きく向上しており、指標Dが4以上となるスペクトラムの導電性高分子は、高い電気伝導度を示すことが確認された。
実施例1及び2の分散液が赤紫色を呈していたことにより、実施例1及び2の分散液中にはサリチル酸鉄(III)が生成されていることが確認されている。一方、比較例1乃至3の分散液は色変化がなかったので、比較例1乃至3の分散液中にはサリチル酸鉄(III)や他の錯体が含まれていないことが確認されている。この事実と指標Dの結果と電気伝導度とを合わせると、サリチル酸鉄(III)が酸化促進剤として働き、指標Dが4以上となった実施例1及び2は、比較例1乃至3と比べて電気伝導度が大きく向上したと結論づけられる。

Claims (10)

  1. 陽極箔と陰極箔とを対向させて成るコンデンサ素子と、
    前記コンデンサ素子内に付着した導電性高分子と、
    を備え、
    前記導電性高分子の光吸収スペクトラムの585nmの吸光度A、800nmの吸光度B及び1200nmの吸光度Cに基づき、以下式で導かれる指標Dが4以上であること、
    を特徴とする固体電解コンデンサ。
    (式) D=(B+C)/A
  2. 前記導電性高分子は、ポリスチレンスルホン酸がドープされたポリエチレンジオキシチオフェンであること、
    を特徴とする請求項1記載の固体電解コンデンサ。
  3. 導電性高分子の分散液であって、
    前記導電性高分子の光吸収スペクトラムの585nmの吸光度A、800nmの吸光度B及び1200nmの吸光度Cに基づき、以下式で導かれる指標Dが4以上であること、
    を特徴とする導電性高分子分散液。
    (式) D=(B+C)/A
  4. 前記導電性高分子は、ポリスチレンスルホン酸がドープされたポリエチレンジオキシチオフェンであること、
    を特徴とする請求項3記載の導電性高分子分散液。
  5. 導電性高分子を生成する化学酸化重合反応の酸化促進剤であって、
    サリチル酸鉄(III)錯体を含むこと、
    を特徴とする酸化促進剤。
  6. 一対の電極体を対向させたコンデンサ素子の作製工程と、
    前記コンデンサ素子内に導電性高分子を付着させる高分子付着工程と、
    を含み、
    前記高分子付着工程では、サリチル酸鉄(III)錯体と共役系高分子を構成するモノマーを含む溶液内で化学酸化重合させ、導電性高分子を生成する重合工程を含むこと、
    を特徴とする固体電解コンデンサの製造方法。
  7. 前記高分子付着工程では、前記重合工程により得られた分散液を前記コンデンサ素子に含浸させること、
    を特徴とする請求項6記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  8. 前記重合工程は、ボロジサリチル酸塩又はサリチル酸塩と鉄(III)化合物とを前記溶液に添加し、前記溶液内で前記サリチル酸鉄(III)錯体を生成する酸化促進剤生成工程を含むこと、
    を特徴とする請求項6又は7記載の固体電解コンデンサの製造方法。
  9. 導電性高分子の分散液の製造方法であって、
    サリチル酸鉄(III)錯体と共役系高分子を構成するモノマーを含む溶液内で化学酸化重合させること、
    を特徴とする導電性高分子分散液の製造方法。
  10. ボロジサリチル酸塩又はサリチル酸塩と鉄(III)化合物とを前記溶液に添加して前記溶液内で前記サリチル酸鉄(III)錯体を生成する酸化促進剤生成工程を含むこと、
    を特徴とする請求項9記載の導電性高分子分散液の製造方法。
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