JP2022055562A - ボタン型電気化学素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】シール性に優れたボタン型電気化学素子を提供する。【解決手段】ボタン型電気化学素子は、正負いずれかの電極端子を構成する有底筒状の第1外装缶と、他方の電極端子を構成する第2外装缶と、第1外装缶と第2外装缶によって構成された電池ケースと、電池ケースの内壁面に沿って配置されるガスケットと、電池ケースの内側空間内に収容される電気化学要素と、第1外装缶の側壁縁部と、第2外装缶とを、前記ガスケットを介して封口する構造が巻締構造である。【選択図】図2

Description

本発明はボタン型電気化学素子に関し、シール性に優れたボタン型電気化学素子に関する。
近年、エレクトロニクス技術の発達はめざましく、携帯電子機器の小型軽量化、薄型化、多機能化が図られている。それに伴い、電子機器の電源となる電池に対し、小型軽量化、薄型化、信頼性の向上が強く望まれており、電解質として固体電解質を用いる固体電解質二次電池が注目されている。従来の一方の電極端子を兼ねる第1外装缶、他方の電極端子を兼ねる第2外装缶およびその間に内在するガスケットを含むボタン型電気化学素子のシール性を確保するためには、加締めが必要である。すなわち、前記第2外装缶を前記第1外装缶の方向に強く荷重を掛ける(加締める)ことにより、その間に内在するガスケットを強く圧縮し、第1外装缶、第2外装缶およびガスケットの弾性力により、第1外装缶とガスケットとの間および第2外装缶とガスケットの間が機械的に強くシールされる。このような構造により、ボタン型電気化学素子内部からの電解液の蒸発、漏液、または、大気中からボタン型電気化学素子内部への水分、二酸化炭素などのガスの侵入を抑制していた。
特開平6-236750号公報 特開2001-6635号公報 特開2005-191439号公報
しかし、上述した構造ではボタン型電気化学素子のシール性は十分ではなかった。また、加締めるときには、第1外装缶、ガスケットおよび第2外装缶には大きな荷重がかかる。この大きな荷重を支えるために、ガスケット底部は多くの場合は第1外装缶の内底または電極ペレット上に載置されていた。このガスケット底部が電気化学素子の内容積に占める割合は大きく、ガスケットは電気化学エネルギーを生み出さないのでその体積の分、電気化学素子の容量が増えない原因になっていた。特許文献1には、2重巻締め方式もしくはプレス方式によって気密封口された角形電池であって、電池ケースおよび電池ケース蓋は片面もしくは両面が樹脂皮膜でコーティングされた金属板を成形して成る角形電池が開示されている。特許文献2の図6には、チューブ外装方式マンガン乾電池の封口部における巻締構造が示されている。特許文献3の図1には、上蓋、下蓋およびガスケットを用意した後、電気化学素体を下蓋内に収容し、ガスケットを間に挟んで上蓋を重ね合わせ、次に上蓋の端部を折り曲げて下蓋に対してかしめ密封して製造した電気化学素子が開示されている。しかし、上記特許文献に記載の電気化学素子のシール性はまだ十分ではなかった。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、シール性に優れたボタン型電気化学素子を提供することを目的とする。
本発明によるボタン型電気化学素子は、正負いずれかの電極端子を構成する有底筒状の第1外装缶と、他方の電極端子を構成する第2外装缶によって構成された電池ケースと、前記電池ケースの内壁面に沿って、前記第1外装缶と前記第2外装缶の間に配置されるガスケットと、前記電池ケースの内側空間内に収容される電気化学要素とを備え、前記第1外装缶の縁部と前記第2外装缶の縁部を、前記ガスケットを介して封口する構造が巻締構造である。この構成によれば、シール性に優れたボタン型電気化学素子を提供することができる。
また、本発明によるボタン型電気化学素子は、巻締構造を有する巻締部が平面視で電気化学要素と重なっていても構わない。この構成によれば、電気化学要素の電極体積を大きく構成することが可能となり、放電容量が大きいボタン型電気化学素子を提供することができる。
本発明によれば、シール性に優れたボタン型電気化学素子を提供することができる。
図1は、本発明の第1実施形態にかかるボタン型電気化学素子の概略構成を示す1部縦断面図である。 図2は、本発明の第2実施形態にかかるボタン型電気化学素子の概略構成を示す1部縦断面図である。 図3は、本発明の第3実施形態にかかるボタン型電気化学素子の概略構成を示す1部縦断面図である。 図4は、本発明の第4実施形態にかかるボタン型電気化学素子の概略構成を示す1部縦断面図である。 図5は、本発明の第1から第4実施形態にかかるボタン型電気化学素子の第1外装缶の各部の厚さによる効果を示す図である。 図6は、ボタン型電気化学素子の巻締構造を説明するためのボタン型電気化学素子の1部縦断面図である。 図7は、実施形態にかかるボタン型電気化学素子の電気化学要素を説明するための図である。
以下、添付図面を参照しながら、各実施形態にかかるボタン型電気化学素子1(1A、1B、1C、1D)について説明する。なお、各実施形態の説明において、図に示されるように、第2外装缶側を上方向、第1外装缶側を下方向として説明する。なお、各実施形態において実質的に同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。また、図1から図4はボタン型電気化学素子1の縦断面の右側を示しているが、全体の断面図は左右対称であり、左側の構成は各図を左右反転させればよい。
(第1実施形態)
以下に、本発明の第1実施形態にかかるボタン型電気化学素子1Aについて説明する。図1は、第1実施形態によるボタン型電気化学素子1Aの概略構成を示す1部縦断面図である。ボタン型電気化学素子としては、アルカリ電池、リチウム1次または2次電池、リチウムイオン2次電池、酸化銀電池などが知られている。ボタン型電池は直径12mm未満のものを言う場合が多く、コイン型電池は直径12mm以上のものを言う場合が多い。なお、実施形態にかかるボタン型電気化学素子1Aは、いわゆるコイン型電気化学素子も含む。
第1実施形態にかかるボタン型電気化学素子1Aは、第2外装缶10、第1外装缶12、およびガスケット20を備えている。ガスケット20は、第2外装缶10と第1外装缶12との間に、電池ケースの内壁面に沿って配置される。ガスケット20は、電池内部の気密を保つためのシール材であり、例えば、PP(ポリプロピレン)、PEEK(ピリエーテルエーテルケトン)、PPS(ポリフェニレンサルフィド)、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、PFA(パーフルオロアルコキシアルカン)などの樹脂により形成されている。
第2外装缶10は有蓋無底の蓋型形状を備える金属製蓋体であり、天井部101を有し、下方が開口する開口部を備えている。第1外装缶12は有底筒状の金属製容器であり、上方が開口する開口部を備えている。第2外装缶10と第1外装缶12は、対面して配置され、外周縁部においてガスケット20を介在させた状態で気密に巻締め固定されて封口されている。
第2外装缶10と第1外装缶12とは、その間にガスケット20を介在させることにより絶縁されている。ガスケット20は、第2外装缶10が、正極18、および第1外装缶12に電気的に接触しないように、第2外装缶10と第1外装缶12との間に配置されている。また、ガスケット20の立ち上がり部の内側に正極18を配置する。こうすることで、正極18の位置決めをすることができる。また、第2外装缶10と正極18との間の電気的接触を防止することもできる。
ボタン型電気化学素子1Aは、第2外装缶10および第1外装缶12により構成された内部空間に、電解質またはセパレータ16を挟むようにして配置された負極14、および、正極18を収納している。電解質またはセパレータ16は、固体電解質または微多孔膜からなるセパレータにより構成されている。セパレータの場合には、セパレータの微多孔膜構造が備える空隙中に、液体電解質または固体電解質が充填されている。また、セパレータと固体電解質を併用する態様とすることもできる。負極14は第2外装缶10に接触している。正極18は第1外装缶12に接触している。第2外装缶10は負極の電極端子としての機能を兼ねている。第1外装缶12は正極の電極端子としての機能を兼ねている。
第2外装缶10、および第1外装缶12は、例えば、鉄、ステンレスまたはニッケルなどにより形成されている。鉄またはステンレス缶の場合には、電気化学素子とこれを装着するデバイスとの間の接触抵抗を低下させるために、表面に例えばニッケルメッキが施されている。ニッケルメッキには、例えば、湿式法、乾式法、CVD、PVD、圧着によるクラッド化、塗布等などの手法が用いられる。
ボタン型電気化学素子1Aの電気化学要素は、正極、負極および電解質からなる。以下に説明するボタン型電気化学素子1Aは、リチウム電池またはリチウムイオン電池である。
(正極)
図7に示すように、正極18は、板状(箔状)の正極集電体18A上に、正極合剤層18Bが設けられたものである。なお、正極集電体はなくても良い。
(正極集電体)
正極集電体18Aは、充電時の酸化に耐え腐食しにくい電子伝導性の材料であれば良く、例えば、アルミニウム、ステンレス、ニッケル、チタンなどの金属、または、伝導性樹脂を用いることができる。正極集電体18Aは、粉体、箔、パンチング、エクスパンドの各形態であっても良い。
(正極合剤層)
正極合剤層18Bは、正極活物質を含み、必要に応じて、固体電解質、バインダーおよび導電助剤を含む。
(正極活物質)
正極活物質は、リチウムイオンの吸蔵・放出、挿入・脱離(インターカレーション・デインターカレーション)を可逆的に進行させることが可能であれば特に限定されず、公知のリチウムイオン二次電池に用いられている正極活物質を使用できる。正極活物質としては、例えば、リチウム含有金属酸化物、リチウム含有金属リン酸化物などが挙げられる。
リチウム含有金属酸化物としては、例えば、コバルト酸リチウム(LiCoO)、ニッケル酸リチウム(LiNiO)、リチウムマンガンスピネル(LiMn)、および、一般式:LiNiCoMn(x+y+z=1)で表される複合金属酸化物、リチウムバナジウム化合物(LiVOPO、Li(PO)、オリビン型LiMPO(ただし、Mは、Co、Ni、Mn、Feから選択される少なくとも1種を示す)、チタン酸リチウム(LiTi12)などが挙げられる。
また、リチウムを含有していない正極活物質も使用できる。このような正極活物質としては、リチウム非含有金属酸化物(MnO、Vなど)、リチウム非含有金属硫化物(MoSなど)、リチウム非含有フッ化物(FeF、VFなど)などが挙げられる。
これらのリチウムを含有していない正極活物質を用いる場合、あらかじめ負極にリチウムイオンがドープした負極、リチウム金属またはリチウム金属合金を用いればよい。
(バインダー)
正極合剤層18Bを構成する正極活物質と固体電解質と導電助剤とを相互に結合するとともに、正極合剤層18Bと正極集電体18Aとを接着するために、正極合剤層18Bにはバインダーが含まれていることが好ましい。バインダーに要求される特性としては、耐酸化性があること、接着性が良いことが挙げられる。
正極合剤層18Bに用いられるバインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)またはそのコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリアクリル酸(PA)およびその共重合体、ポリアクリル酸(PA)およびその共重合体の金属イオン架橋体、無水マレイン酸をグラフト化したポリプロピレン(PP)、無水マレイン酸をグラフト化したポリエチレン(PE)、または、これらの混合物などが挙げられる。これらの中でも、バインダーとしては、特にPVDFを用いることが好ましい。
正極合剤層18Bにおける固体電解質の含有率は、特に限定されないが、正極活物質、固体電解質、導電助剤およびバインダーの質量の総和を基準にして、1体積%~50体積%であることが好ましく、5体積%~30体積%であることがより好ましい。
正極合剤層18Bにおけるバインダーの含有率は、特に限定されないが、正極活物質、固体電解質、導電助剤およびバインダーの質量の総和を基準にして、1質量%~15質量%であることが好ましく、3質量%~5質量%であることがより好ましい。バインダー量が少な過ぎると、十分な接着強度の正極18を形成できなくなる傾向がある。逆にバインダー量が多過ぎると、一般的なバインダーは電気化学的に不活性なので放電容量に寄与せず、十分な体積または質量エネルギー密度を得ることが困難となる傾向がある。
(導電助剤)
導電助剤は、正極合剤層18Bの電子伝導性を良好にするものであれば特に限定されず、公知の導電助剤を使用できる。例えば、カーボンブラック、黒鉛、カーボンナノチューブ、グラフェンなどの炭素材料、アルミニウム、銅、ニッケル、ステンレス、鉄、アモルファス金属などの金属、ITOなどの伝導性酸化物、またはこれらの混合物が挙げられる。
前記導電助剤は、粉体、繊維の各形態であっても良い。
正極合剤層18Bにおける導電助剤の含有率は、特に限定されないが、導電助剤を添加する場合には通常、正極活物質、固体電解質、導電助剤およびバインダーの質量の総和を基準にして、0.5質量%~20質量%であることが好ましく、1質量%~5質量%とすることがより好ましい。
(負極)
図7に示すように、負極14は、負極集電体14A上に、負極合剤層14Bが設けられたものである。なお、負極集電体はなくても良い。
(負極集電体)
負極集電体14Aは、伝導性であれば良く、例えば、銅、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、鉄などの金属、または、伝導性樹脂箔を用いることができる。負極集電体14Aは、粉体、箔、パンチング、エクスパンドの各形態であっても良い。
(負極合剤層)
負極合剤層14Bは、負極活物質を含み、必要に応じて、固体電解質、バインダーおよび導電助剤を含む。
(負極活物質)
負極活物質は、リチウムイオンの吸蔵および放出、リチウムイオンの挿入および脱離を可逆的に進行させることができれば特に限定されず、公知のリチウムイオン二次電池に用いられている負極活物質を使用することができる。
負極活物質としては、例えば、天然黒鉛、人造黒鉛、メソカーボンマイクロビーズ、メソカーボンファイバー(MCF)、コークス類、ガラス状炭素、有機化合物焼成体などの炭素材料、Si、SiO、Sn、アルミニウムなどのリチウムと化合できる金属、これらの合金、これら金属と炭素材料との複合材料、チタン酸リチウム(LiTi12)、SnOなどの酸化物、金属リチウム、金属リチウム合金などが挙げられる。
(バインダー)
負極合剤層14Bを構成する負極活物質と固体電解質と導電助剤とを相互に結合するとともに、負極合剤層14Bと負極集電体14Aとを接着するために、負極合剤層14Bには、バインダーが含まれていることが好ましい。バインダーに要求される特性としては、耐還元性があること、接着性が良いことが挙げられる。
負極合剤層14Bに用いられるバインダーとしては、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)またはそのコポリマー、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド(PA)、ポリイミド(PI)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリベンゾイミダゾール(PBI)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ポリアクリル酸(PA)および共重合体、ポリアクリル酸(PA)および共重合体の金属イオン架橋体、無水マレイン酸をグラフト化したポリプロピレン(PP)、無水マレイン酸をグラフト化したポリエチレン(PE)、またはこれらの混合物などが挙げられる。これらの中でもバインダーとしては、SBR、CMC、PVDFから選ばれる1種または2種以上を用いることが好ましい。
負極合剤層14Bにおける固体電解質の含有率は、特に限定されないが、負極活物質、固体電解質、導電助剤およびバインダーの質量の総和を基準にして、1体積%~50体積%であることが好ましく、5体積%~30体積%であることがより好ましい。
負極合剤層14Bにおけるバインダーの含有率は、特に限定されないが、負極活物質、導電助剤およびバインダーの質量の総和を基準にして、1質量%~15質量%であることが好ましく、1.5質量%~10質量%であることがより好ましい。バインダー量が少な過ぎると、十分な接着強度を有する負極14を形成できなくなる傾向がある。逆にバインダー量が多過ぎると、バインダーは一般には電気化学的に不活性なので放電容量に寄与せず、十分な体積または質量エネルギー密度を得ることが困難となる傾向がある。
(導電助剤)
負極合剤層14Bに含まれてもよい導電助剤としては、炭素材料など、正極合剤層18Bに含まれてもよい上述した導電助剤と同様のものを用いることができる。
負極合剤層14Bにおける導電助剤の含有率は、特に限定されないが、導電助剤を添加する場合には通常、負極活物質に対して0.5質量%~20質量%であることが好ましく、1質量%~12質量%とすることがより好ましい。
(電解質)
電解質は液体電解質(以降、電解質溶液と呼ぶ)であっても、固体電解質であっても良い。電解質溶液(図示せず)はボタン型電気化学素子1Aの内部空間に充填され、その一部は、負極14、正極18、およびセパレータ16の内部に含有されている。電解質溶液は、リチウム塩を有機溶媒に溶解した非水電解質溶液が使用される。リチウム塩としては、例えば、LiPF、LiClO、LiBF、LiAsF、LiCFSO、LiCFCFSO、LiC(CFSO、LiN(CFSO、LiN(CFCFSO、LiN(CFSO)(CSO)、LiN(CFCFCO)等の塩が使用される。なお、これらの塩は1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。また、電解質溶液は、高分子等を添加することによりゲル状としてもよい。
リチウム塩を溶解する有機溶媒は、例えば、環状カーボネート類、鎖状カーボネート類、ラクトン類、エステル類などの単独溶媒または混合溶媒を使用することができる。より具体的には、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、および、ジエチルカーボネート等が好ましく挙げられる。これらは単独で使用してもよく、2種以上を任意の割合で混合して使用してもよい。
固体電解質は、LiLaZr12、Li3.3PO3.80.22(LIPONと略記)、LiI、LiN、Li-β―アルミナ、Li1.07Al0.69Ti1.46(PO、Li1.3Al0.3Ti1.7(PO、Li0.34La0.51TiO2.94、Li9.54Si1.741.4411.7Cl0.3、Li10GeP12(LGPS)、LiGeS-LiPS、LiSiO-LiBO、LiS-P、LiS-SiS、LiO-SiO、LiS-SiS、LiS-LiSiO、LiPSCl、LiPOCl、LiPOBr、LiBH-LiI、LiYCl、LiYBr、LiScCl、LiZrCl、LiZrOCl、LiZr(CO)Cl、LiZrSOCl、LiBH、3LiBH-LiIなどが挙げられる。
セパレータは、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの微多孔膜または不織布が用いられる。
セパレータの機能は、正極と負極とが物理的に接触しないようにするためであるが、イオン伝導性はない。従って、セパレータにイオン伝導性を付与するために、セパレータに液体電解質または固体電解質を充填する。
図1に示されるように、ボタン型電気化学素子1Aは外周縁部において巻締部22Aを備えている。ボタン型電気化学素子1Aは、巻締部22Aにおいて、第2外装缶10と第1外装缶12がガスケット20を介在させた状態で、先端部が巻締部22Aの内側に配置されるようにして巻回された構造を備えて圧接されることにより、気密に巻締め固定されて封口されている。このようにして、第2外装缶10と第1外装缶12は、ボタン型電気化学素子1Aの発電要素をその内側空間に収納する電池ケースを構成している。
巻締部22Aにおいて、第2外装缶10は、天井部101から連続してR部を経て下方に延伸する側面部102、側面部102から連続してR部を経て発電要素から離間する方向(図における右方向)に延伸する底面部103、底面部103から連続してR部を経て上方向に延伸する第1屈曲部104、第1屈曲部104から連続してR部を経て発電要素に近接する方向(図における左方向)に延伸する第2屈曲部105、および、第2屈曲部105に連続してR部を経て下方向に延伸して終端する第3屈曲部106を備える。巻締部22Aは発電要素の右端に接する側面部102の右側に接して配置される。側面部102、底面部103および屈曲部104~106は、第2外装缶10の縁部を構成する。
また、巻締部22Aにおいて、第1外装缶12は、ボタン型電気化学素子1Aの底面となる底面部121を備えている。底面部121はボタン型電気化学素子1Aの底部から発電要素から離間する方向(図における右方向)に延伸している。第1外装缶12は、底面部121から連続してR部を経て上方に延伸する側壁縁部122、側壁縁部122から連続してR部を経て発電要素に近接する方向(図における左方向)に延伸する第1屈曲部123、第1屈曲部123から連続してR部を経て下方向に延伸して終端する第2屈曲部124を備える。側壁縁部122および屈曲部123,124は、第1外装缶12の縁部を構成する。
底面部103と底面部121、第1屈曲部104と側壁縁部122、第2屈曲部105と第1屈曲部123、第3屈曲部106と第2屈曲部124は、ガスケット20を介在させて対向している。第3屈曲部106の先端と第2屈曲部124の先端の位置は略一致している。また、第2屈曲部124と側面部102はガスケット20を介在させて対向している。ガスケット20は第1外装缶12の底面部121に接する底部20aを備えている。底部20aは、底面部103と底面部121との間に挟まれている。
このように、ボタン型電気化学素子1Aは、その周縁部においてガスケット20を介して、第2外装缶10の縁部と第1外装缶12の縁部を巻締構造により封口した巻締部22Aを備えている。巻締部22Aにおいて、第2外装缶10と第1外装缶12とは、先端の位置を一致させた状態で巻回されており、第3屈曲部106と第2屈曲部124の積層部は、側壁縁部122と第1屈曲部104の積層部と、負極14の側面に配置された側面部102との間に挟まれている。この状態を一重巻締構造と称する。
上記に説明したボタン型電気化学素子1Aによれば、第2外装缶10と第1外装缶12が巻締構造により封口されているため、シール性に優れたボタン型電気化学素子を提供することができる。
(第2実施形態)
次に、図2を参照して本発明の第2実施形態にかかるボタン型電気化学素子1Bについて説明する。第2実施形態にかかるボタン型電気化学素子1Bが第1実施形態にかかるボタン型電気化学素子1Aと異なる点は、巻締部22Bにおける巻締構造が二重巻締構造となっている点である。ボタン型電気化学素子1Bにおいて、巻締部22Bは、第1実施形態の巻締部22Aに追加されて、第3屈曲部106を巻回するようにして、第2屈曲部124から連続してR部を経て発電要素から離間する方向(図における右方向)に延伸する第3屈曲部125、および、第3屈曲部125から連続してR部を経て上方向に延伸して終端する第4屈曲部126を備えている点である。側壁縁部122および屈曲部123~126は、第1外装缶12の縁部を構成する。その他の構成は第1実施形態にかかるボタン型電気化学素子1Aと同様の構成を備えている。
ここで、二重巻締構造とは、図6に示されるように、第1屈曲部104、第2屈曲部105、および第3屈曲部106で構成される断面コの字構造と、第2屈曲部124、第3屈曲部125、および第4屈曲部126で構成される断面コの字構造が、入れ子になって組み合わされた構造を意味するものとする。第2実施形態の巻締部22Bの二重巻締構造では、第2屈曲部124に連続して設けられた第3屈曲部125および第4屈曲部126が第3屈曲部106の左右両側を取り巻くように配置された状態で巻締められる。このため、第1実施形態の巻締部22Aの一重巻締構造よりも、より強固に封口することが可能となる。このため、さらにシール性に優れたボタン型電気化学素子を提供することができる。
(第3実施形態)
次に、図3を参照して本発明の第3実施形態にかかるボタン型電気化学素子1Cについて説明する。ボタン型電気化学素子1Cにおいては、第1実施形態にかかるボタン型電気化学素子1A、および、第2実施形態にかかるボタン型電気化学素子1Bと異なり、ガスケット20は第2外装缶10と第1外装缶12との間に配置され、第2外装缶10と第1外装缶12との間を絶縁している。ボタン型電気化学素子1Cにおいて、セパレータ16の端部は第1外装缶12の側壁縁部122に配置されている。負極14の上部は第2外装缶10の天井部101が接触して配置されている。負極14の右端にはガスケット20が配置されている。
負極14の右端において、第1外装缶12(側壁縁部122)と負極14との間にガスケット20が介在し、両者を絶縁している。ガスケット20は、負極14の右端部に配置している。ガスケット20は、負極14と第1外装缶12との絶縁を図ればよいので、左右方向に延伸する底部がない。第3実施形態にかかるボタン型電気化学素子1Cの巻締部22Cは、第1実施形態にかかるボタン型電気化学素子1Aと同様に一重巻締構造となっている。巻締部22Cは電気化学要素の右端上部に配置される。巻締部22Cが配置される下方に負極14が配置しており、第1実施形態および第2実施形態の場合よりも、ボタン型電気化学素子の放電容量を大きくすることができる。巻締部22Cの上面は第2外装缶10の天井部101の上面に連続するように構成されているが、天井部101の上面高さ>巻締部22Cの上面高さであっても良い。
第3実施形態にかかるボタン型電気化学素子1Cによれば、第1実施形態にかかるボタン型電気化学素子1Aと同様の効果を奏する。また第3実施形態にかかるボタン型電気化学素子1Cによれば、ガスケット20の底部がなく、巻締部22Cが平面視で負極14、正極18および固体電解質またはセパレータ16からなる発電要素と重なっていることから、その分、電気化学要素の電極体積を大きく構成することが可能となり、放電容量を大きくすることができる。
(第4実施形態)
次に、図4を参照して、本発明の第4実施形態にかかるボタン型電気化学素子1Dについて説明する。第4実施形態にかかるボタン型電気化学素子1Dにおいて、第3実施形態にかかるボタン型電気化学素子1Cと異なる点は、ボタン型電気化学素子1Dの巻締部22Dが、第2実施形態にかかるボタン型電気化学素子1Bの巻締部22Bと同様に、二重巻締構造となっている点である。その他の構成は第3実施形態にかかるボタン型電気化学素子1Cと同様の構成を備えている。
第4実施形態にかかるボタン型電気化学素子1Dによれば、第1から第3実施形態にかかるボタン型電気化学素子1A、1B、および1Cと同様の効果を奏する。
(第1外装缶の各部の厚さによる効果)
次に、図5を参照して、第1外装缶12の各部の厚さによるシール効果について説明する。ボタン型電気化学素子1A、1B、1Cおよび1Dの第1外装缶12の各部の厚さを以下のように定義する。
側壁縁部122の厚さ =t1
第2屈曲部124の厚さ=t2
第4屈曲部126の厚さ=t3
ここでt1、t2、t3の厚さの関係を図5に示すように設定する。図5は、ボタン型電気化学素子1の60℃、90%の相対湿度での30日保存後の容量保持率および初期放電容量を比較している。なお、容量維持率は下式(1)で定義する。
容量維持率(%)=(初期放電容量―60℃90%相対湿度下30日保管後の放電容量)/初期放電容量×100 ・・・(1)
なお、電池の放電条件は1次電池の場合には、JIS8515:2017を参考にすれば良い。これによるとCR2032というボタン型電池の場合、放電負荷抵抗が15KΩ、放電カットオフ電圧は2Vである。2次電池の場合には規格はなく、各2次電池において異なる条件での充放電条件となる。例えば、リチウムイオン2次電池の場合は、公称容量をC(mAh)とした場合、0.5Cの電流値すなわち0.5C(mA)の充電電流で充電カットオフ電圧まで定電流充電を行い、前記充電カットオフ電圧において電流値が0.05C(mA)になるまで定電圧充電を行ういわゆるCCCV(定電流定電圧充電)を行い、放電は0.2C(mA)の放電電流で放電カットオフ電圧まで放電する。
図5の実施例1は第1実施形態のボタン型電気化学素子1Aに対応している。実施例2は第2実施形態のボタン型電気化学素子1Bに対応している。実施例3は第3実施形態のボタン型電気化学素子1Cに対応している。実施例4は第4実施形態のボタン型電気化学素子1Dに対応している。比較例は一般的な加締め構造の場合を示している。全ての実施例において、60℃90%相対湿度下30日保管後の容量維持率が大きく、シール性が向上した。
また、ガスケット20の底部なし構造(実施例3および4)の場合では電気化学要素の電極体積を大きくすることができたため放電容量が大きくなった。
さらに、t1>t2である実施例1の変形例において、放電容量が実施例1に比較して増加した。これは、t1>t2とすることで電気化学要素の電極体積を大きくすることができたため放電容量が大きくなった。
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
例えば、上述した第1から第4実施形態にかかるボタン型電気化学素子1A、1B、1Cおよび1Dにおいて、負極14と正極18とを入れ替えてもよい。
1、1A、1B、1C、1D ボタン型電気化学素子
10 第2外装缶
101 天井部
102 側面部
103 底面部
104 第1屈曲部
105 第2屈曲部
106 第3屈曲部
12 第1外装缶
12a 上面
121 底面部
122 側壁縁部
123 第1屈曲部
124 第2屈曲部
125 第3屈曲部
126 第4屈曲部
14 負極
14A 負極集電体
14B 負極合剤層
16 固体電解質またはセパレータ
18 正極
18A 正極集電体
18B 正極合剤層
20 ガスケット
22A、22B、22C、22D 巻締部

Claims (3)

  1. 正負いずれかの電極端子を構成する有底筒状の第1外装缶と、他方の電極端子を構成する第2外装缶によって構成された電池ケースと、
    前記電池ケースの内壁面に沿って、前記第1外装缶と前記第2外装缶の間に配置されるガスケットと、
    前記電池ケースの内側空間内に収容される電気化学要素と、を備え、
    前記第1外装缶の縁部と前記第2外装缶の縁部を、前記ガスケットを介して封口する構造が巻締構造であるボタン型電気化学素子。
  2. 側壁縁部122の厚さt1>第2屈曲部124の厚さt2、第4屈曲部126の厚さt3である請求項1に記載のボタン型電気化学素子。
  3. 前記巻締構造を有する巻締部は、平面視で前記電気化学要素と重なることを特徴とする請求項1または2に記載のボタン型電気化学素子。
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