JP2004199938A - 非水電解液二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】電極群の最外周に位置する電極に接続されたリード端子の形状を改良することにより、外装缶と電極群とのデッドスペースを削減(減少)して電極群を外装缶内に緊密に収納する構造においても電極群を外装缶に円滑に挿入することを可能にした非水電解液二次電池を提供する。
【解決手段】正、負の電極およびこれらの電極間に介在されたセパレータを捲回した構造を有し、かつ前記正、負の電極にそれぞれ接続して外部に延出されたリード端子を有する電極群を外装缶内に非水電解液とともに収納した非水電解液二次電池であって、前記電極群の最外周に位置する一方の電極に接続された前記リード端子は、少なくとも前記一方の電極の接続部においてその接続面と反対の面が凸状に湾曲していることを特徴とする。
【選択図】 図2
【解決手段】正、負の電極およびこれらの電極間に介在されたセパレータを捲回した構造を有し、かつ前記正、負の電極にそれぞれ接続して外部に延出されたリード端子を有する電極群を外装缶内に非水電解液とともに収納した非水電解液二次電池であって、前記電極群の最外周に位置する一方の電極に接続された前記リード端子は、少なくとも前記一方の電極の接続部においてその接続面と反対の面が凸状に湾曲していることを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解液二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話やVTRなどの電子機器の小型化と需要の増大に伴い、これら電子機器の電源である二次電池に対する高容量化が要求されている。また、自動車からの排ガスによる大気汚染が社会問題となっており、電気自動車用電源として軽量で高性能な二次電池を用いることが期待されている。
【0003】
特に、リチウムイオン二次電池は電池電圧が高く、高いエネルギー密度が得られるため、電池の小型、軽量化が可能であり、ポータブル機器用の電源としても期待されている。このリチウムイオン二次電池は、高エネルギー密度化を図ることができるため、需要が拡大している。このようなリチウムイオン二次電池において、正極活物質や負極活物質などの電極材料をより高容量の材料に改善したり、セパレータの薄膜化、電池構造の改善したりすることにより高容量および高エネルギー密度化が図られている。
【0004】
しかしながら、これらの改善では十分なレベルには到達せず、更なる小型化、軽量化、薄型化、大容量化、コストダウンが求められている。
【0005】
リチウムイオン二次電池においては、一層の高容量化を図るため、特に電池構造の面で、外装缶と電極群とのデッドスペースを削減(減少)することが望まれている。
【0006】
例えば、円筒型リチウムイオン二次電池の電極群の構成要素である正、負極の電極の集電体には電気的な接続経路である断面が矩形状のリード端子の一端がそれぞれ溶接され、これらリード端子の他端が外装缶、蓋体にそれぞれ電気的に接続されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、外装缶と電極群とのデッドスペースを削減(減少)して電極群を外装缶内に緊密に収納する形態において、最外周に位置する電極に断面が矩形状のリード端子を接続した電極群を外装缶に挿入すると、前記断面が矩形状のリード端子が電極群の外装缶への挿入を阻害し、その挿入時にセパレータが破断されて電極群の短絡発生、歩留まりの低下につながる問題があった。
【0008】
本発明は、電極群の最外周に位置する電極に接続されたリード端子の形状を改良することにより、外装缶と電極群とのデッドスペースを削減(減少)して電極群を外装缶内に緊密に収納する構造においても電極群を外装缶に円滑に挿入することを可能にした非水電解液二次電池を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る非水電解液二次電池は、正、負の電極およびこれらの電極間に介在されたセパレータを捲回した構造を有し、かつ前記正、負の電極にそれぞれ接続して外部に延出されたリード端子を有する電極群を外装缶内に非水電解液とともに収納した非水電解液二次電池であって、
前記電極群の最外周に位置する一方の電極に接続された前記リード端子は、少なくとも前記一方の電極の接続部においてその接続面と反対の面が凸状に湾曲していることを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る非水電解液二次電池において、他方の電極に接続されたリード端子は少なくとも前記他方の電極の接続部においてその接続面と反対の面が凸状に湾曲していることが好ましい。
【0011】
本発明に係る別の非水電解液二次電池は、正、負の電極およびこれらの電極間に介在されたセパレータを捲回した構造を有し、かつ前記正、負の電極にそれぞれ接続して外部に延出されたリード端子を有する電極群を外装缶内に非水電解液とともに収納した非水電解液二次電池であって、
前記電極群の最外周に位置する一方の電極に接続された前記リード端子は、少なくとも前記一方の電極の接続部においてその長さ方向に沿う稜にアールまたはテーパを付した形状を有することを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係る別の非水電解液二次電池において、他方の電極に接続されたリード端子は少なくとも前記他方の電極の接続部においてその長さ方向に沿う稜にアールまたはテーパを付した形状を有することが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
(第1実施形態)
この第1実施形態の非水電解液二次電池は、電極群を備え、この電極群は正、負の電極およびこれらの電極間に介在されたセパレータを捲回した構造(例えば円筒状の構造)を有し、かつ前記正、負の電極にそれぞれ接続して外部に延出されたリード端子を有する。前記電極群は、外装缶内に非水電解液とともに収納される。前記電極群の最外周に位置する一方の電極に接続された前記リード端子は、少なくとも前記一方の電極の接続部においてその接続面と反対の面(外面)が凸状に湾曲している。
【0015】
前記正極、負極、セパレータ、非水電解質は、次のような構成を有する。
【0016】
1)正極
この正極は、例えば正極活物質、導電剤および結着剤を適当な溶媒に分散させて得られる正極材ペーストを集電体に片側もしくは両面に所望の面積の露出部を残して塗布し、乾燥した後に所望する大きさに裁断することにより作製される。正極リード端子は、前記正極材層が形成されず、露出した前記集電体に溶接等により接続されている。
【0017】
前記正極活物質としては、リチウム複合金属酸化物を使用することができる。具体的には、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn2O4などが用いられる.前記結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレンの共重合体、ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−6フッ化プロピレンの3元共重合体、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレンの共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレンの共重合体、あるいは他のフッ素系のモノマーとフッ化ビニリデンを共重合体させたものを挙げることができる。この他のフッ素系モノマーとフッ化ビニリデンとの共重合体としては、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデンの共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)−フッ化ビニリデンの3元共重合体、テトラフルオロエチレン−へキサフルオロプロピレン(FEP)−フッ化ビニリデンの3元共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン−フッ化ビニリデンの共重合体、クロロトリフルオロエチレン−フッ化ビニリデンの共重合体、クロロトリフルオロエチレン−エチレン−フッ化ビニリデンの3元共重合体、フッ化ビニル−フッ化ビニリデンの共重合体を挙げることができる。前記結着剤は、これらを単独で使用してもよい。
【0018】
前記結着剤を分散させるための有機溶媒としては、例えばN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、アセトン、酢酸エチル等を使用することができる。
【0019】
前記導電剤としては、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、グラファイト等を挙げることができる。
【0020】
前記結着剤の配合量は、前記活物質と前記結着剤を合わせて100重量部(前記導電剤を含む場合には導電剤も合わせて100重量部)に対して2重量%〜8重量%の範囲にすることが好ましい。
【0021】
前記正極材ペーストを調製するための分散装置としては、例えばボールミル、ビーズミル、ディゾルバー、サンドグラインダー、ロールミル等を用いることができる。
【0022】
前記集電体としては、例えば厚さ10〜40μmのアルミニウム箔、ステンレス箔、チタン箔等を用いることができる。
【0023】
前記正極リード端子は、軟質金属であるアルミニウムまたはアルミニウム合金の条から作られることが望ましい。このような条は、完全焼純材であることが望ましい。
【0024】
2)負極
この負極は、例えばリチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物またはカルコゲン化合物から選ばれる負極材料、導電剤および結着剤を適当な溶媒に分散させて得られる負極材ペーストを集電体に片側もしくは両面に所望の面積の露出部を残して塗布し、乾燥した後に所望する大きさに裁断することにより作製される。負極リード端子は、前記負極材層の形成されず、露出した前記集電体に溶接等により接続されている。
【0025】
前記リチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物としては、例えばコークス、炭素繊維、熱分解気相炭素物、黒鉛、樹脂焼成体、メソフェーズピッチ系炭素繊維またはメソフェーズ球状カーボンの焼成体などを挙げることができる。中でも、2500℃以上で黒鉛化したメソフェーズピッチ系炭素繊維を用いると電極容量が高くなるため好ましい。
【0026】
前記リチウムイオンを吸蔵・放出するカルコゲン化合物としては、二硫化チタン(TiS2)、二硫化モリブデン(MoS2)、セレン化ニオブ(NbSe2)などを挙げることができる。このようなカルコゲン化合物を負極に用いると、二次電池の電圧は降下するものの前記負極の容量が増加するため、二次電池の容量を向上できる。更に、前記負極はリチウムイオンの拡散速度が大きいため、二次電池の急速充放電性能を向上できる。
【0027】
前記負極(例えば炭素材からなる負極)は、具体的には前記炭素材、導電剤および結着剤を適当な溶媒に分散させて得られる負極材ペーストを集電体に片側、もしくは両面に所望する大きさより大きな面積に、連続もしくは所望する長さと未塗布部分との交互に塗布し、乾燥して薄板状にしたものを所望する大きさに裁断することにより作製する。
【0028】
前記負極材料、結着剤の配合割合は、負極材料80〜98重量%、結着剤2〜20重量%にすることが好ましい。
【0029】
前記集電体としては、例えば銅箔、ニッケル箔等を用いることができるが、電気化学的な安定性および捲回時の柔軟性等を考慮すると、銅箔がもっとも好ましい。この箔の厚さは、8〜20μmにすることが好ましい。
【0030】
なお、負極は軽金属から形成することを許容する。この軽金属としては、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、リチウム金属、リチウム合金などを挙げることができる。
【0031】
前記負極リード端子は、電子管用ニッケル条、電子管陰極用ニッケル条、常炭素ニッケル条または低炭素ニッケル条、または無酸素銅条、タフピッチ銅条または、リン脱酸銅条等により作ることができる。このような条は、完全焼純材であることが望ましい。特に、軟質金属で無酸素銅条、タフピッチ銅条または、リン脱酸銅条が好ましい。
【0032】
3)セパレータ
このセパレータは、多孔質シートから形成される。
【0033】
前記多孔質シートとしては、例えば多孔質フィルム、もしくは不織布を用いることができる。特に、前記多孔質シートは例えばポリオレフィンおよびセルロースから選ばれる少なくとも1種類の材料からなることが好ましい。前記ポリオレフィンとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレンを挙げることができる。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、または両者からなる多孔質フィルムは、二次電池の安全性を向上できるために好ましい。
【0034】
前記多孔質シートの厚さは、30μm以下、より好ましくは25μm以下にすることが望ましい。前記多孔質シートの厚さの下限値は、5μm、より好ましくは8μmである。
【0035】
前記多孔質シートは、120℃、1時間での熱収縮率が20%以下、より好ましくは15%以下であることが望ましい。
【0036】
前記多孔質シートは、多孔度が30〜60%、より好ましくは35〜50%であることが望ましい。
【0037】
前記多孔質シートは、空気透過率が600秒/100cm3以下であることが好ましい。空気透過率は、100cm3の空気が多孔質シートを透過するのに要した時間(秒)を意味する。空気透過率は、500秒/100cm3以下にすることがより好ましい。また、空気透過率の下限値は50秒/100cm3、より好ましくは80秒/100cm3であることが望ましい。
【0038】
このような正、負の電極およびこれらの電極間に介在されたセパレータを捲回した構造を有する電極群において、前記電極群の最外周に位置する一方の電極に接続された前記リード端子は、少なくとも前記一方の電極の接続部においてその接続面と反対の面(外面)が凸状に湾曲している。
【0039】
前記リード端子は、前記電極の接続部、つまり前記電極群に位置される外面部分のみならず、全体に亘る外面を凸状に湾曲させた形状にしてもよい。
【0040】
前記凸状に湾曲した面を有するリード端子としては、例えば断面がかまぼこ状、断面が三日月状のものを挙げることができる。
【0041】
なお、他方の電極に接続されたリード端子において、少なくとも前記電極の接続部においてその接続面と反対の面(外面)が凸状に湾曲させた形状にすることを許容する。この他方の電極に接続されたリード端子は、前記電極群の最外周を除く箇所に位置する。特に電極群の最内周に位置する他方の電極に前記形状のリード端子を接続することが好ましい。
【0042】
4)電解液
この電解液は、非水溶媒に電解質を溶解した組成を有する。
【0043】
前記非水溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)などの環状カーボネート、例えばジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)などの鎖状カーボネート、1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジエトキシエタン(DEE)などの鎖状エーテル、テトラヒドロフラン(THF)や2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeTHF)などの環状エーテルやクラウンエーテル、γ−ブチロラクトン(γ−BL)などの脂肪酸エステル、アセトニトリル(AN)などの窒素化合物、スルホラン(SL)やジメチルスルホキシド(DMSO)などの硫黄化合物などから選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
【0044】
中でも、EC、PC、γ−BLから選ばれる少なくとも1種からなるものや、EC、PC、γ−BLから選ばれる少なくとも1種とDMC、MEC、DEC、DME、DEE、THF、2−MeTHF、ANから選ばれる少なくとも1種とからなる混合溶媒を用いることが望ましい。また、負極に前記リチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物を含むものを用いる場合に、前記負極を備えた二次電池のサイクル寿命を向上させる観点から、ECとPCとγ−BL、ECとPCとMEC、ECとPCとDEC、ECとPCとDEE、ECとAN、ECとMEC、PCとDMC、PCとDEC、またはECとDECからなる混合溶媒を用いることが望ましい。
【0045】
また、添加剤としてビニレンカーボネート(VC)、トリオキシルリン酸エステル等が上げられる。
【0046】
前記電解質としては、例えば過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、四塩化アルミニウムリチウム(LiAlCl4)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF3SO2)2]などのリチウム塩を挙げることができる。中でもLiPF6、LiBF4、LiN(CF3SO2)2を用いると、導電性や安全性が向上されるために好ましい。
【0047】
前記電解質の前記非水溶媒に対する溶解量は、0.5モル/L〜2.5モル/Lの範囲にすることが好ましい。
【0048】
前記非水電解質は、例えば非水溶媒およびリチウム塩を主体とする液状非水電解質、非水溶媒とリチウム塩とポリマーを含むゲル状非水電解質等を用いることができる。
【0049】
なお、ゲル状非水電解質を保持する電極群は次のような方法により作製できる。
【0050】
(1)非水溶媒とリチウム塩とゲル化剤とを含むスラリーをセパレータに含浸させた後、セパレータを正極および負極の間に介在させるより作製するか、非水溶媒とリチウム塩とゲル化剤とを含むスラリーを正極または、負極に塗布し、この正負極間にセパレータを介在させることにより作製することができる。
【0051】
(2)非水溶媒とリチウム塩とゲル化剤とを含むスラリーを正極、負極に塗布し、張り合わせ、セパレータを介在させないことにより作製することができる。
【0052】
(3)セパレータ、正極、負極の電極群に、モノマーと電解液、さらに重合剤の混合溶液(電解質原料)を含浸させた。その後、熱を加え、熱重合することにより、電解質をゲル化させる。
【0053】
なお、本発明に係る非水電解液二次電池は安全機構として、安全弁、PTC等の機構または電流遮断弁機構、PTC等の機構を内蔵することを許容する。
【0054】
以上、本発明の第1実施形態によれば電極群の最外周に位置する一方の電極に接続された前記リード端子を少なくとも前記一方の電極の接続部においてその接続面と反対の(外面)を凸状に湾曲させた形状にすることによって、セパレータの破断を防いで電極群の短絡発生を防止でき、歩留まりの向上を図ることができる。
【0055】
すなわち、前記リード端子を少なくとも前記一方の電極の接続部においてその接続面と反対の(外面)を凸状に湾曲させた形状にすることによって、前記リード端子の外面を電極群の円周形状にマッチングできるため、外装缶と電極群とのデッドスペースを削減(減少)して電極群を外装缶内に緊密に収納する構造において、電極群を外装缶内面に当たることなく、円滑かつスムーズに挿入できる。その結果、セパレータの破断を防いで電極群の短絡発生を防止でき、歩留まりの向上を図ることができる。
【0056】
また、電極群の最内周に位置する他方の電極に接続されたリード端子を少なくとも前記他方の電極の接続部においてその接続面と反対の(外面)を凸状に湾曲させた形状にすれば、リード端子の外面によりセパレータを突き破るのを防いで、電極群の短絡発生を防止することができる。
【0057】
すなわち、従来のように電極群の最内周に位置する他方の電極に接続されたリード端子を断面矩形状にし、この電極群を外装缶に収納した構造において、外装缶と電極群とのデッドスペースを削減(減少)して電極群を外装缶内に緊密に収納すると、他方の電極の接続面と反対側のリード端子における面の鋭い稜がセパレータを突き破り、電極群の短絡を生じる虞がある。特に、電極群の最内周に位置する他方の電極に接続された前記リード端子は、その外面がセパレータに向けて加わる力が大きくなるため、前記リード端子における面の鋭い稜がセパレータを突き破り、電極群の短絡を生じる頻度が高くなる。
【0058】
このようなことから、電極群の最内周に位置する他方の電極に接続されたリード端子を少なくとも前記他方の電極の接続部においてその接続面と反対の(外面)を凸状に湾曲させた形状にすることによって、前記リード端子の外面を電極群の円周形状にマッチングさせて滑らかな面をセパレータに接触させることができるため、セパレータに向けて加わる力を緩和することができる。その結果、外装缶と電極群とのデッドスペースを削減(減少)して電極群を外装缶内に緊密に収納する構造において、リード端子の外面によりセパレータを突き破るのを防いで、電極群の短絡発生を防止することができる。
【0059】
(第2実施形態)
この第2実施形態の非水電解液二次電池は、電極群を備え、この電極群は正、負の電極およびこれらの電極間に介在されたセパレータを捲回した構造(例えば円筒状の構造)を有し、かつ前記正、負の電極にそれぞれ接続して外部に延出されたリード端子を有する。前記電極群は、外装缶内に非水電解液とともに収納される。前記電極群の最外周に位置する一方の電極に接続された前記リード端子は、少なくとも前記一方の電極の接続部においてその長さ方向に沿う稜にアールまたはテーパを付した形状を有する。
【0060】
前記正極、負極、セパレータ、非水電解質は、前述した第1実施形態と同様な構成を有する。
【0061】
前記リード端子は、前記電極の接続部、つまり前記電極群に位置される外面部分のみならず、全体に亘る外面を凸状に湾曲させた形状にしてもよい。
【0062】
なお、他方の電極に接続されたリード端子において、少なくとも前記他方の電極の接続部においてその長さ方向に沿う稜にアールまたはテーパを付した形状にすることを許容する。この他方の電極に接続されたリード端子は、前記電極群の最外周を除く箇所に位置する。特に、電極群の最内周に位置する他方の電極に前記形状のリード端子を接続することが好ましい。
【0063】
以上、本発明の第2実施形態によれば電極群の最外周に位置する一方の電極に接続された前記リード端子を少なくとも前記一方の電極の接続部においてその長さ方向に沿う稜にアールまたはテーパを付した形状にすることによって、セパレータの破断を防いで電極群の短絡発生を防止でき、歩留まりの向上を図ることができる。
【0064】
すなわち、前記リード端子を少なくとも前記一方の電極の接続部においてそその長さ方向に沿う稜にアールまたはテーパを付した形状にすることによって、外装缶と電極群とのデッドスペースを削減(減少)して電極群を外装缶内に緊密に収納する構造において、電極群が前記リード端子形状に起因して外装缶内面に当たることなく、円滑かつスムーズに挿入できる。その結果、セパレータの破断を防いで電極群の短絡発生を防止でき、歩留まりの向上を図ることができる。
【0065】
また、電極群の最内周に位置する他方の電極に接続されたリード端子を少なくとも前記他方の電極の接続部においてその長さ方向に沿う稜にアールまたはテーパを付した形状にすれば、リード端子の外面によりセパレータを突き破るのを防いで、電極群の短絡発生を防止することができる。
【0066】
すなわち、従来のように電極群の最内周に位置する他方の電極に接続されたリード端子を断面矩形状にし、この電極群を外装缶に収納した構造において、外装缶と電極群とのデッドスペースを削減(減少)して電極群を外装缶内に緊密に収納すると、他方の電極の接続面と反対側のリード端子における面の鋭い稜がセパレータを突き破り、電極群の短絡を生じる虞がある。特に、電極群の最内周に位置する他方の電極に接続された前記リード端子は、その外面がセパレータに向けて加わる力が大きくなるため、前記リード端子における面の鋭い稜がセパレータを突き破り、電極群の短絡を生じる頻度が高くなる。
【0067】
このようなことから、電極群の最内周に位置する他方の電極に接続されたリード端子を少なくとも前記他方の電極の接続部においてその長さ方向に沿う稜にアールまたはテーパを付した形状にすることによって、前記リード端子の角のないアールまたはテーパ面をセパレータに接触させることができるため、セパレータに向けて加わる力を緩和することができる。その結果、外装缶と電極群とのデッドスペースを削減(減少)して電極群を外装缶内に緊密に収納する構造において、リード端子の外面によりセパレータを突き破るのを防いで、電極群の短絡発生を防止することができる。
【0068】
【実施例】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0069】
(実施例1)
<正極の作製>
LiCoO2粉末100重量部と平均粒径50nmのアセチレンブラック2量部および平均粒径1μmの燐片状黒鉛(人造黒鉛)3重量部とをミキサで混合し、さらに結着剤であるポリフッ化ビニリデン5重量部を加えた混合物をN−メチルピロリドンに分散させて正極ペーストを調製した。このペーストを集電体であるアルミニウム箔の両面に両端付近が活物質未塗布領域として残るように塗布し、乾燥後、圧延することにより正極を作製した。その後、この正極の集電体の活物質未塗布領域にアルミニウム材からなり、厚さ100μm、幅3mm、長さ70mmで断面かまぼこ状の正極リード端子を超音波溶接して接続した。
【0070】
<負極の作製>
メソフェーズピッチを原料としたメソフェーズピッチ炭素繊維を黒鉛化することによりメソフェーズピッチ系炭素繊維を作った。つづいて、メソフェーズピッチ系炭素繊維90重量部に天然黒鉛10重量部を加えた炭素材料粉末100重量部に対し、ポリフッ化ビニリデン7重量部を添加し、この混合物をN−メチルピロリドンに分散させて負極ペーストを調製した。このペーストを集電体である銅箔の両面に両端付近が活物質未塗布領域として残るように塗布し、乾燥後、ロールプレスを行い充填密度1.4g/cm3の負極を作製した。その後、この正極の集電体の活物質未塗布領域にニッケル材からなり、厚さ100μm、幅4mm、長さ70mmで断面かまぼこ状の負極リード端子を超音波溶接して接続した。捲回して電極群を作製した。
【0071】
<電解液の調製>
エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)の混合溶媒(混合体積比1:2)に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1モル溶解して電解液を調製した。
【0072】
前記正極、ポリエチレン製多孔質フィルムからなるセパレータおよび前記負極をそれぞれこの順序で積層した後、前記負極が外側に位置するように渦巻き状に捲回して電極群を作製し、この電極群および前記電解液をステンレス製の有底円筒状容器内にそれぞれ収納することにより図1〜図4、図5の(A)に示す設計定格容量1800mAhの電流遮断弁機構を内蔵した円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0073】
すなわち、図1においてステンレス製の有底円筒状容器1は底部に絶縁体2が配置されている。電極群3は、前記容器1内に収納され、かつ電解液が収容されている。前記電極群3は、図2に示すように帯状の正極4、セパレータ5および負極6をこの順序で積層し、この積層物を前記負極6が外側に位置するように渦巻き状に捲回した構造を有する。
【0074】
前記正極4は、図3に示すように例えばアルミニウム箔からなる集電体7両面上にその両端付近が活物質層未形成領域8a、8bとして露出するように正極活物質層9がそれぞれ形成され、かつ一端側(例えば左端側)の活物質層未形成領域8aに例えばアルミニウム条からなる正極リード端子10が上端を上方に向けて延出するように例えば超音波溶接されている。この正極リード端子10は、図5の(A)に示すように断面がかまぼこ形をなし、その平坦面を前記集電体7の活物質層未形成領域8aに接続している。前記正極リード端子10は、前記電極群3の最内周から上方(後述する蓋体側)に向けて延出されている。
【0075】
前記負極6は、図4に示すように例えば銅箔からなる集電体11両面上にその両端付近が活物質層未形成領域12a、12bとして露出するように負極活物質層13がそれぞれ形成され、かつ一端側(例えば右端側)の活物質層未形成領域12bに例えば無酸素銅条からなる負極リード端子14が下端が下方に向けて延出するように例えば超音波溶接されている。この負極リード端子14は、図5の(A)に示すように断面がかまぼこ形をなし、その平坦面を前記集電体11の活物質層未形成領域12bに接続している。前記負極リード端子14は、前記電極群3の最外周から下方(前記有底円筒状容器1の底部側)に向けて延出されている。
【0076】
押さえ板15は、前記電極群3の上部に配置されている。下面に正極リード接続板16を有する遮断弁17と中央部に孔が開口されたPTC素子18と帽子形状の正極端子19とがこの順序で積層され、これらの積層部材は周縁が前記容器1の上部開口部に絶縁ガスケット20を介してかしめ固定されている。なお、前記正極リード接続板16を有する遮断弁17およびPTC素子18により電流遮断弁21を構成している。前記正極端子19には、ガス抜き孔(図示しない)が開口されている。
【0077】
パイプ22は、前記電極群3の中央に挿入されている。前記正極4に接続された前記正極リード端子10の上端は、前記正極リード接続板16に接続されている。前記負極6に接続された前記負極リード端子14の下端は、負極端子を兼ねる前記容器1の底部に接続されている。
【0078】
(実施例2)
図5の(B)に示すように断面がそれぞれ台形状で、傾斜した辺を曲面とした正極リード端子10および負極リード端子14を用いた以外、実施例1と同様で図1〜図4に示す設計定格容量1800mAhの電流遮断弁機構を内蔵した円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0079】
(実施例3)
図5の(C)に示すようにそれぞれ長手方向に沿う稜にアールを付した形状の正極リード端子10および負極リード端子14を用いた以外、実施例1と同様で図1〜図4に示す設計定格容量1800mAhの電流遮断弁機構を内蔵した円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0080】
(実施例4)
図5の(D)に示すようにそれぞれ長手方向に沿う稜に二段のテーパを付した形状の正極リード端子10および負極リード端子14を用いた以外、実施例1と同様で図1〜図4に示す設計定格容量1800mAhの電流遮断弁機構を内蔵した円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0081】
(実施例5)
図5の(E)に示すようにそれぞれ長手方向に沿う稜に一段のテーパを付した形状の正極リード端子10および負極リード端子14を用いた以外、実施例1と同様で図1〜図4に示す設計定格容量1800mAhの電流遮断弁機構を内蔵した円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0082】
(実施例6)
図5の(F)に示すように断面がそれぞれ三日月形状の正極リード端子10および負極リード端子14を用いた以外、実施例1と同様で図1〜図4に示す設計定格容量1800mAhの電流遮断弁機構を内蔵した円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0083】
(比較例1)
図6に示すように断面がそれぞれ矩形状の正極リード端子101および負極リード端子104を用いた以外、実施例1と同様で図1〜図4に示す設計定格容量1800mAhの電流遮断弁機構を内蔵した円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0084】
得られた実施例1〜6および比較例1の二次電池について、以下の項目の評価を行った。
【0085】
(電極群の電池外装缶への挿入歩留まり)
前記各二次電池100個の電極群の電池外装缶への挿入性について最外周に位置する負極のリード端子に起因する挿入の可否の可否から歩留まりを評価した。その結果、下記表1に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
前記表1から明らかなように実施例1〜6の二次電池は、歩留まりが95%以上と高く、電池外装缶への電極コイル群の挿入性が優れている。これに対し、比較例1の二次電池は歩留まりが75%と実施例1〜6の二次電池に比べて低いことがわかる。
【0088】
(電極コイル群の電池外装缶への挿入後の短絡歩留まり)
前記各二次電池100個の電極群を電池外装缶に挿入し、最内周に位置する正極のリード端子に起因する短絡発生による歩留まりを評価した。その結果、下記表2に示す。
【0089】
【表2】
【0090】
前記表2から明らかなように実施例1〜6の二次電池は、短絡発生による歩留まりが比較例1の二次電池のそれ(85%)に比べて96%以上と高い値を示すことがわかる。
【0091】
なお、前述した実施例においては、円筒形非水電解液二次電池に適用した例を説明したが、有底矩形筒状の容器内に正極、負極、セパレータ及び非水電解液が収納された構造の角形非水電解液二次電池にも同様に適用することができる。また、外装材としてラミネートフィルムを使用する非水電解液二次電池、ゲル状非水電解質を用いる二次電池にも同様に適用することができる。
【0092】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、電極群の電池外装缶への挿入が容易になり、電極群の短絡がない信頼性に優れた非水電解液二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施例1の円筒形リチウム二次電池を示す部分切欠斜視図。
【図2】本発明に係る実施例1の円筒形リチウム二次電池における電極群を示す斜視図。
【図3】本発明に係る実施例1の電極群を構成する正極示す斜視図。
【図4】本発明に係る実施例1の電極群を構成する負極示す斜視図。
【図5】本発明に係わる実施例1〜6の正極リード端子および負極リード端子を示す断面図。
【図6】比較例1の正極リード端子および負極リード端子を示す断面図。
【符号の説明】
1…容器、3…電極群、4…正極、5…セパレータ、6…負極、7…正極集電体、11…負極集電体、8a,8b…正極活物質層未形成領域、9…正極活物質層、10…正極リード端子、12a,12b…負極活物質層未形成領域、13…負極活物質層、14…負極リード端子、17…遮断弁、18…PTC素子、20…絶縁ガスケット、21…電流遮断弁。
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解液二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、携帯電話やVTRなどの電子機器の小型化と需要の増大に伴い、これら電子機器の電源である二次電池に対する高容量化が要求されている。また、自動車からの排ガスによる大気汚染が社会問題となっており、電気自動車用電源として軽量で高性能な二次電池を用いることが期待されている。
【0003】
特に、リチウムイオン二次電池は電池電圧が高く、高いエネルギー密度が得られるため、電池の小型、軽量化が可能であり、ポータブル機器用の電源としても期待されている。このリチウムイオン二次電池は、高エネルギー密度化を図ることができるため、需要が拡大している。このようなリチウムイオン二次電池において、正極活物質や負極活物質などの電極材料をより高容量の材料に改善したり、セパレータの薄膜化、電池構造の改善したりすることにより高容量および高エネルギー密度化が図られている。
【0004】
しかしながら、これらの改善では十分なレベルには到達せず、更なる小型化、軽量化、薄型化、大容量化、コストダウンが求められている。
【0005】
リチウムイオン二次電池においては、一層の高容量化を図るため、特に電池構造の面で、外装缶と電極群とのデッドスペースを削減(減少)することが望まれている。
【0006】
例えば、円筒型リチウムイオン二次電池の電極群の構成要素である正、負極の電極の集電体には電気的な接続経路である断面が矩形状のリード端子の一端がそれぞれ溶接され、これらリード端子の他端が外装缶、蓋体にそれぞれ電気的に接続されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、外装缶と電極群とのデッドスペースを削減(減少)して電極群を外装缶内に緊密に収納する形態において、最外周に位置する電極に断面が矩形状のリード端子を接続した電極群を外装缶に挿入すると、前記断面が矩形状のリード端子が電極群の外装缶への挿入を阻害し、その挿入時にセパレータが破断されて電極群の短絡発生、歩留まりの低下につながる問題があった。
【0008】
本発明は、電極群の最外周に位置する電極に接続されたリード端子の形状を改良することにより、外装缶と電極群とのデッドスペースを削減(減少)して電極群を外装缶内に緊密に収納する構造においても電極群を外装缶に円滑に挿入することを可能にした非水電解液二次電池を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る非水電解液二次電池は、正、負の電極およびこれらの電極間に介在されたセパレータを捲回した構造を有し、かつ前記正、負の電極にそれぞれ接続して外部に延出されたリード端子を有する電極群を外装缶内に非水電解液とともに収納した非水電解液二次電池であって、
前記電極群の最外周に位置する一方の電極に接続された前記リード端子は、少なくとも前記一方の電極の接続部においてその接続面と反対の面が凸状に湾曲していることを特徴とするものである。
【0010】
本発明に係る非水電解液二次電池において、他方の電極に接続されたリード端子は少なくとも前記他方の電極の接続部においてその接続面と反対の面が凸状に湾曲していることが好ましい。
【0011】
本発明に係る別の非水電解液二次電池は、正、負の電極およびこれらの電極間に介在されたセパレータを捲回した構造を有し、かつ前記正、負の電極にそれぞれ接続して外部に延出されたリード端子を有する電極群を外装缶内に非水電解液とともに収納した非水電解液二次電池であって、
前記電極群の最外周に位置する一方の電極に接続された前記リード端子は、少なくとも前記一方の電極の接続部においてその長さ方向に沿う稜にアールまたはテーパを付した形状を有することを特徴とするものである。
【0012】
本発明に係る別の非水電解液二次電池において、他方の電極に接続されたリード端子は少なくとも前記他方の電極の接続部においてその長さ方向に沿う稜にアールまたはテーパを付した形状を有することが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0014】
(第1実施形態)
この第1実施形態の非水電解液二次電池は、電極群を備え、この電極群は正、負の電極およびこれらの電極間に介在されたセパレータを捲回した構造(例えば円筒状の構造)を有し、かつ前記正、負の電極にそれぞれ接続して外部に延出されたリード端子を有する。前記電極群は、外装缶内に非水電解液とともに収納される。前記電極群の最外周に位置する一方の電極に接続された前記リード端子は、少なくとも前記一方の電極の接続部においてその接続面と反対の面(外面)が凸状に湾曲している。
【0015】
前記正極、負極、セパレータ、非水電解質は、次のような構成を有する。
【0016】
1)正極
この正極は、例えば正極活物質、導電剤および結着剤を適当な溶媒に分散させて得られる正極材ペーストを集電体に片側もしくは両面に所望の面積の露出部を残して塗布し、乾燥した後に所望する大きさに裁断することにより作製される。正極リード端子は、前記正極材層が形成されず、露出した前記集電体に溶接等により接続されている。
【0017】
前記正極活物質としては、リチウム複合金属酸化物を使用することができる。具体的には、LiCoO2、LiNiO2、LiMnO2、LiMn2O4などが用いられる.前記結着剤としては、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン−6フッ化プロピレンの共重合体、ポリフッ化ビニリデン−テトラフルオロエチレン−6フッ化プロピレンの3元共重合体、フッ化ビニリデン−ペンタフルオロプロピレンの共重合体、フッ化ビニリデン−クロロトリフルオロエチレンの共重合体、あるいは他のフッ素系のモノマーとフッ化ビニリデンを共重合体させたものを挙げることができる。この他のフッ素系モノマーとフッ化ビニリデンとの共重合体としては、テトラフルオロエチレン−フッ化ビニリデンの共重合体、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル(PFA)−フッ化ビニリデンの3元共重合体、テトラフルオロエチレン−へキサフルオロプロピレン(FEP)−フッ化ビニリデンの3元共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン−フッ化ビニリデンの共重合体、クロロトリフルオロエチレン−フッ化ビニリデンの共重合体、クロロトリフルオロエチレン−エチレン−フッ化ビニリデンの3元共重合体、フッ化ビニル−フッ化ビニリデンの共重合体を挙げることができる。前記結着剤は、これらを単独で使用してもよい。
【0018】
前記結着剤を分散させるための有機溶媒としては、例えばN−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、アセトン、酢酸エチル等を使用することができる。
【0019】
前記導電剤としては、例えばアセチレンブラック、ケッチェンブラック、グラファイト等を挙げることができる。
【0020】
前記結着剤の配合量は、前記活物質と前記結着剤を合わせて100重量部(前記導電剤を含む場合には導電剤も合わせて100重量部)に対して2重量%〜8重量%の範囲にすることが好ましい。
【0021】
前記正極材ペーストを調製するための分散装置としては、例えばボールミル、ビーズミル、ディゾルバー、サンドグラインダー、ロールミル等を用いることができる。
【0022】
前記集電体としては、例えば厚さ10〜40μmのアルミニウム箔、ステンレス箔、チタン箔等を用いることができる。
【0023】
前記正極リード端子は、軟質金属であるアルミニウムまたはアルミニウム合金の条から作られることが望ましい。このような条は、完全焼純材であることが望ましい。
【0024】
2)負極
この負極は、例えばリチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物またはカルコゲン化合物から選ばれる負極材料、導電剤および結着剤を適当な溶媒に分散させて得られる負極材ペーストを集電体に片側もしくは両面に所望の面積の露出部を残して塗布し、乾燥した後に所望する大きさに裁断することにより作製される。負極リード端子は、前記負極材層の形成されず、露出した前記集電体に溶接等により接続されている。
【0025】
前記リチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物としては、例えばコークス、炭素繊維、熱分解気相炭素物、黒鉛、樹脂焼成体、メソフェーズピッチ系炭素繊維またはメソフェーズ球状カーボンの焼成体などを挙げることができる。中でも、2500℃以上で黒鉛化したメソフェーズピッチ系炭素繊維を用いると電極容量が高くなるため好ましい。
【0026】
前記リチウムイオンを吸蔵・放出するカルコゲン化合物としては、二硫化チタン(TiS2)、二硫化モリブデン(MoS2)、セレン化ニオブ(NbSe2)などを挙げることができる。このようなカルコゲン化合物を負極に用いると、二次電池の電圧は降下するものの前記負極の容量が増加するため、二次電池の容量を向上できる。更に、前記負極はリチウムイオンの拡散速度が大きいため、二次電池の急速充放電性能を向上できる。
【0027】
前記負極(例えば炭素材からなる負極)は、具体的には前記炭素材、導電剤および結着剤を適当な溶媒に分散させて得られる負極材ペーストを集電体に片側、もしくは両面に所望する大きさより大きな面積に、連続もしくは所望する長さと未塗布部分との交互に塗布し、乾燥して薄板状にしたものを所望する大きさに裁断することにより作製する。
【0028】
前記負極材料、結着剤の配合割合は、負極材料80〜98重量%、結着剤2〜20重量%にすることが好ましい。
【0029】
前記集電体としては、例えば銅箔、ニッケル箔等を用いることができるが、電気化学的な安定性および捲回時の柔軟性等を考慮すると、銅箔がもっとも好ましい。この箔の厚さは、8〜20μmにすることが好ましい。
【0030】
なお、負極は軽金属から形成することを許容する。この軽金属としては、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、リチウム金属、リチウム合金などを挙げることができる。
【0031】
前記負極リード端子は、電子管用ニッケル条、電子管陰極用ニッケル条、常炭素ニッケル条または低炭素ニッケル条、または無酸素銅条、タフピッチ銅条または、リン脱酸銅条等により作ることができる。このような条は、完全焼純材であることが望ましい。特に、軟質金属で無酸素銅条、タフピッチ銅条または、リン脱酸銅条が好ましい。
【0032】
3)セパレータ
このセパレータは、多孔質シートから形成される。
【0033】
前記多孔質シートとしては、例えば多孔質フィルム、もしくは不織布を用いることができる。特に、前記多孔質シートは例えばポリオレフィンおよびセルロースから選ばれる少なくとも1種類の材料からなることが好ましい。前記ポリオレフィンとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレンを挙げることができる。中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、または両者からなる多孔質フィルムは、二次電池の安全性を向上できるために好ましい。
【0034】
前記多孔質シートの厚さは、30μm以下、より好ましくは25μm以下にすることが望ましい。前記多孔質シートの厚さの下限値は、5μm、より好ましくは8μmである。
【0035】
前記多孔質シートは、120℃、1時間での熱収縮率が20%以下、より好ましくは15%以下であることが望ましい。
【0036】
前記多孔質シートは、多孔度が30〜60%、より好ましくは35〜50%であることが望ましい。
【0037】
前記多孔質シートは、空気透過率が600秒/100cm3以下であることが好ましい。空気透過率は、100cm3の空気が多孔質シートを透過するのに要した時間(秒)を意味する。空気透過率は、500秒/100cm3以下にすることがより好ましい。また、空気透過率の下限値は50秒/100cm3、より好ましくは80秒/100cm3であることが望ましい。
【0038】
このような正、負の電極およびこれらの電極間に介在されたセパレータを捲回した構造を有する電極群において、前記電極群の最外周に位置する一方の電極に接続された前記リード端子は、少なくとも前記一方の電極の接続部においてその接続面と反対の面(外面)が凸状に湾曲している。
【0039】
前記リード端子は、前記電極の接続部、つまり前記電極群に位置される外面部分のみならず、全体に亘る外面を凸状に湾曲させた形状にしてもよい。
【0040】
前記凸状に湾曲した面を有するリード端子としては、例えば断面がかまぼこ状、断面が三日月状のものを挙げることができる。
【0041】
なお、他方の電極に接続されたリード端子において、少なくとも前記電極の接続部においてその接続面と反対の面(外面)が凸状に湾曲させた形状にすることを許容する。この他方の電極に接続されたリード端子は、前記電極群の最外周を除く箇所に位置する。特に電極群の最内周に位置する他方の電極に前記形状のリード端子を接続することが好ましい。
【0042】
4)電解液
この電解液は、非水溶媒に電解質を溶解した組成を有する。
【0043】
前記非水溶媒としては、例えばプロピレンカーボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)などの環状カーボネート、例えばジメチルカーボネート(DMC)、メチルエチルカーボネート(MEC)、ジエチルカーボネート(DEC)などの鎖状カーボネート、1,2−ジメトキシエタン(DME)、ジエトキシエタン(DEE)などの鎖状エーテル、テトラヒドロフラン(THF)や2−メチルテトラヒドロフラン(2−MeTHF)などの環状エーテルやクラウンエーテル、γ−ブチロラクトン(γ−BL)などの脂肪酸エステル、アセトニトリル(AN)などの窒素化合物、スルホラン(SL)やジメチルスルホキシド(DMSO)などの硫黄化合物などから選ばれる少なくとも1種を用いることができる。
【0044】
中でも、EC、PC、γ−BLから選ばれる少なくとも1種からなるものや、EC、PC、γ−BLから選ばれる少なくとも1種とDMC、MEC、DEC、DME、DEE、THF、2−MeTHF、ANから選ばれる少なくとも1種とからなる混合溶媒を用いることが望ましい。また、負極に前記リチウムイオンを吸蔵・放出する炭素質物を含むものを用いる場合に、前記負極を備えた二次電池のサイクル寿命を向上させる観点から、ECとPCとγ−BL、ECとPCとMEC、ECとPCとDEC、ECとPCとDEE、ECとAN、ECとMEC、PCとDMC、PCとDEC、またはECとDECからなる混合溶媒を用いることが望ましい。
【0045】
また、添加剤としてビニレンカーボネート(VC)、トリオキシルリン酸エステル等が上げられる。
【0046】
前記電解質としては、例えば過塩素酸リチウム(LiClO4)、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)、ホウフッ化リチウム(LiBF4)、六フッ化砒素リチウム(LiAsF6)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCF3SO3)、四塩化アルミニウムリチウム(LiAlCl4)、ビストリフルオロメチルスルホニルイミドリチウム[LiN(CF3SO2)2]などのリチウム塩を挙げることができる。中でもLiPF6、LiBF4、LiN(CF3SO2)2を用いると、導電性や安全性が向上されるために好ましい。
【0047】
前記電解質の前記非水溶媒に対する溶解量は、0.5モル/L〜2.5モル/Lの範囲にすることが好ましい。
【0048】
前記非水電解質は、例えば非水溶媒およびリチウム塩を主体とする液状非水電解質、非水溶媒とリチウム塩とポリマーを含むゲル状非水電解質等を用いることができる。
【0049】
なお、ゲル状非水電解質を保持する電極群は次のような方法により作製できる。
【0050】
(1)非水溶媒とリチウム塩とゲル化剤とを含むスラリーをセパレータに含浸させた後、セパレータを正極および負極の間に介在させるより作製するか、非水溶媒とリチウム塩とゲル化剤とを含むスラリーを正極または、負極に塗布し、この正負極間にセパレータを介在させることにより作製することができる。
【0051】
(2)非水溶媒とリチウム塩とゲル化剤とを含むスラリーを正極、負極に塗布し、張り合わせ、セパレータを介在させないことにより作製することができる。
【0052】
(3)セパレータ、正極、負極の電極群に、モノマーと電解液、さらに重合剤の混合溶液(電解質原料)を含浸させた。その後、熱を加え、熱重合することにより、電解質をゲル化させる。
【0053】
なお、本発明に係る非水電解液二次電池は安全機構として、安全弁、PTC等の機構または電流遮断弁機構、PTC等の機構を内蔵することを許容する。
【0054】
以上、本発明の第1実施形態によれば電極群の最外周に位置する一方の電極に接続された前記リード端子を少なくとも前記一方の電極の接続部においてその接続面と反対の(外面)を凸状に湾曲させた形状にすることによって、セパレータの破断を防いで電極群の短絡発生を防止でき、歩留まりの向上を図ることができる。
【0055】
すなわち、前記リード端子を少なくとも前記一方の電極の接続部においてその接続面と反対の(外面)を凸状に湾曲させた形状にすることによって、前記リード端子の外面を電極群の円周形状にマッチングできるため、外装缶と電極群とのデッドスペースを削減(減少)して電極群を外装缶内に緊密に収納する構造において、電極群を外装缶内面に当たることなく、円滑かつスムーズに挿入できる。その結果、セパレータの破断を防いで電極群の短絡発生を防止でき、歩留まりの向上を図ることができる。
【0056】
また、電極群の最内周に位置する他方の電極に接続されたリード端子を少なくとも前記他方の電極の接続部においてその接続面と反対の(外面)を凸状に湾曲させた形状にすれば、リード端子の外面によりセパレータを突き破るのを防いで、電極群の短絡発生を防止することができる。
【0057】
すなわち、従来のように電極群の最内周に位置する他方の電極に接続されたリード端子を断面矩形状にし、この電極群を外装缶に収納した構造において、外装缶と電極群とのデッドスペースを削減(減少)して電極群を外装缶内に緊密に収納すると、他方の電極の接続面と反対側のリード端子における面の鋭い稜がセパレータを突き破り、電極群の短絡を生じる虞がある。特に、電極群の最内周に位置する他方の電極に接続された前記リード端子は、その外面がセパレータに向けて加わる力が大きくなるため、前記リード端子における面の鋭い稜がセパレータを突き破り、電極群の短絡を生じる頻度が高くなる。
【0058】
このようなことから、電極群の最内周に位置する他方の電極に接続されたリード端子を少なくとも前記他方の電極の接続部においてその接続面と反対の(外面)を凸状に湾曲させた形状にすることによって、前記リード端子の外面を電極群の円周形状にマッチングさせて滑らかな面をセパレータに接触させることができるため、セパレータに向けて加わる力を緩和することができる。その結果、外装缶と電極群とのデッドスペースを削減(減少)して電極群を外装缶内に緊密に収納する構造において、リード端子の外面によりセパレータを突き破るのを防いで、電極群の短絡発生を防止することができる。
【0059】
(第2実施形態)
この第2実施形態の非水電解液二次電池は、電極群を備え、この電極群は正、負の電極およびこれらの電極間に介在されたセパレータを捲回した構造(例えば円筒状の構造)を有し、かつ前記正、負の電極にそれぞれ接続して外部に延出されたリード端子を有する。前記電極群は、外装缶内に非水電解液とともに収納される。前記電極群の最外周に位置する一方の電極に接続された前記リード端子は、少なくとも前記一方の電極の接続部においてその長さ方向に沿う稜にアールまたはテーパを付した形状を有する。
【0060】
前記正極、負極、セパレータ、非水電解質は、前述した第1実施形態と同様な構成を有する。
【0061】
前記リード端子は、前記電極の接続部、つまり前記電極群に位置される外面部分のみならず、全体に亘る外面を凸状に湾曲させた形状にしてもよい。
【0062】
なお、他方の電極に接続されたリード端子において、少なくとも前記他方の電極の接続部においてその長さ方向に沿う稜にアールまたはテーパを付した形状にすることを許容する。この他方の電極に接続されたリード端子は、前記電極群の最外周を除く箇所に位置する。特に、電極群の最内周に位置する他方の電極に前記形状のリード端子を接続することが好ましい。
【0063】
以上、本発明の第2実施形態によれば電極群の最外周に位置する一方の電極に接続された前記リード端子を少なくとも前記一方の電極の接続部においてその長さ方向に沿う稜にアールまたはテーパを付した形状にすることによって、セパレータの破断を防いで電極群の短絡発生を防止でき、歩留まりの向上を図ることができる。
【0064】
すなわち、前記リード端子を少なくとも前記一方の電極の接続部においてそその長さ方向に沿う稜にアールまたはテーパを付した形状にすることによって、外装缶と電極群とのデッドスペースを削減(減少)して電極群を外装缶内に緊密に収納する構造において、電極群が前記リード端子形状に起因して外装缶内面に当たることなく、円滑かつスムーズに挿入できる。その結果、セパレータの破断を防いで電極群の短絡発生を防止でき、歩留まりの向上を図ることができる。
【0065】
また、電極群の最内周に位置する他方の電極に接続されたリード端子を少なくとも前記他方の電極の接続部においてその長さ方向に沿う稜にアールまたはテーパを付した形状にすれば、リード端子の外面によりセパレータを突き破るのを防いで、電極群の短絡発生を防止することができる。
【0066】
すなわち、従来のように電極群の最内周に位置する他方の電極に接続されたリード端子を断面矩形状にし、この電極群を外装缶に収納した構造において、外装缶と電極群とのデッドスペースを削減(減少)して電極群を外装缶内に緊密に収納すると、他方の電極の接続面と反対側のリード端子における面の鋭い稜がセパレータを突き破り、電極群の短絡を生じる虞がある。特に、電極群の最内周に位置する他方の電極に接続された前記リード端子は、その外面がセパレータに向けて加わる力が大きくなるため、前記リード端子における面の鋭い稜がセパレータを突き破り、電極群の短絡を生じる頻度が高くなる。
【0067】
このようなことから、電極群の最内周に位置する他方の電極に接続されたリード端子を少なくとも前記他方の電極の接続部においてその長さ方向に沿う稜にアールまたはテーパを付した形状にすることによって、前記リード端子の角のないアールまたはテーパ面をセパレータに接触させることができるため、セパレータに向けて加わる力を緩和することができる。その結果、外装缶と電極群とのデッドスペースを削減(減少)して電極群を外装缶内に緊密に収納する構造において、リード端子の外面によりセパレータを突き破るのを防いで、電極群の短絡発生を防止することができる。
【0068】
【実施例】
以下、本発明の実施例を詳細に説明する。
【0069】
(実施例1)
<正極の作製>
LiCoO2粉末100重量部と平均粒径50nmのアセチレンブラック2量部および平均粒径1μmの燐片状黒鉛(人造黒鉛)3重量部とをミキサで混合し、さらに結着剤であるポリフッ化ビニリデン5重量部を加えた混合物をN−メチルピロリドンに分散させて正極ペーストを調製した。このペーストを集電体であるアルミニウム箔の両面に両端付近が活物質未塗布領域として残るように塗布し、乾燥後、圧延することにより正極を作製した。その後、この正極の集電体の活物質未塗布領域にアルミニウム材からなり、厚さ100μm、幅3mm、長さ70mmで断面かまぼこ状の正極リード端子を超音波溶接して接続した。
【0070】
<負極の作製>
メソフェーズピッチを原料としたメソフェーズピッチ炭素繊維を黒鉛化することによりメソフェーズピッチ系炭素繊維を作った。つづいて、メソフェーズピッチ系炭素繊維90重量部に天然黒鉛10重量部を加えた炭素材料粉末100重量部に対し、ポリフッ化ビニリデン7重量部を添加し、この混合物をN−メチルピロリドンに分散させて負極ペーストを調製した。このペーストを集電体である銅箔の両面に両端付近が活物質未塗布領域として残るように塗布し、乾燥後、ロールプレスを行い充填密度1.4g/cm3の負極を作製した。その後、この正極の集電体の活物質未塗布領域にニッケル材からなり、厚さ100μm、幅4mm、長さ70mmで断面かまぼこ状の負極リード端子を超音波溶接して接続した。捲回して電極群を作製した。
【0071】
<電解液の調製>
エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)の混合溶媒(混合体積比1:2)に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を1モル溶解して電解液を調製した。
【0072】
前記正極、ポリエチレン製多孔質フィルムからなるセパレータおよび前記負極をそれぞれこの順序で積層した後、前記負極が外側に位置するように渦巻き状に捲回して電極群を作製し、この電極群および前記電解液をステンレス製の有底円筒状容器内にそれぞれ収納することにより図1〜図4、図5の(A)に示す設計定格容量1800mAhの電流遮断弁機構を内蔵した円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0073】
すなわち、図1においてステンレス製の有底円筒状容器1は底部に絶縁体2が配置されている。電極群3は、前記容器1内に収納され、かつ電解液が収容されている。前記電極群3は、図2に示すように帯状の正極4、セパレータ5および負極6をこの順序で積層し、この積層物を前記負極6が外側に位置するように渦巻き状に捲回した構造を有する。
【0074】
前記正極4は、図3に示すように例えばアルミニウム箔からなる集電体7両面上にその両端付近が活物質層未形成領域8a、8bとして露出するように正極活物質層9がそれぞれ形成され、かつ一端側(例えば左端側)の活物質層未形成領域8aに例えばアルミニウム条からなる正極リード端子10が上端を上方に向けて延出するように例えば超音波溶接されている。この正極リード端子10は、図5の(A)に示すように断面がかまぼこ形をなし、その平坦面を前記集電体7の活物質層未形成領域8aに接続している。前記正極リード端子10は、前記電極群3の最内周から上方(後述する蓋体側)に向けて延出されている。
【0075】
前記負極6は、図4に示すように例えば銅箔からなる集電体11両面上にその両端付近が活物質層未形成領域12a、12bとして露出するように負極活物質層13がそれぞれ形成され、かつ一端側(例えば右端側)の活物質層未形成領域12bに例えば無酸素銅条からなる負極リード端子14が下端が下方に向けて延出するように例えば超音波溶接されている。この負極リード端子14は、図5の(A)に示すように断面がかまぼこ形をなし、その平坦面を前記集電体11の活物質層未形成領域12bに接続している。前記負極リード端子14は、前記電極群3の最外周から下方(前記有底円筒状容器1の底部側)に向けて延出されている。
【0076】
押さえ板15は、前記電極群3の上部に配置されている。下面に正極リード接続板16を有する遮断弁17と中央部に孔が開口されたPTC素子18と帽子形状の正極端子19とがこの順序で積層され、これらの積層部材は周縁が前記容器1の上部開口部に絶縁ガスケット20を介してかしめ固定されている。なお、前記正極リード接続板16を有する遮断弁17およびPTC素子18により電流遮断弁21を構成している。前記正極端子19には、ガス抜き孔(図示しない)が開口されている。
【0077】
パイプ22は、前記電極群3の中央に挿入されている。前記正極4に接続された前記正極リード端子10の上端は、前記正極リード接続板16に接続されている。前記負極6に接続された前記負極リード端子14の下端は、負極端子を兼ねる前記容器1の底部に接続されている。
【0078】
(実施例2)
図5の(B)に示すように断面がそれぞれ台形状で、傾斜した辺を曲面とした正極リード端子10および負極リード端子14を用いた以外、実施例1と同様で図1〜図4に示す設計定格容量1800mAhの電流遮断弁機構を内蔵した円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0079】
(実施例3)
図5の(C)に示すようにそれぞれ長手方向に沿う稜にアールを付した形状の正極リード端子10および負極リード端子14を用いた以外、実施例1と同様で図1〜図4に示す設計定格容量1800mAhの電流遮断弁機構を内蔵した円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0080】
(実施例4)
図5の(D)に示すようにそれぞれ長手方向に沿う稜に二段のテーパを付した形状の正極リード端子10および負極リード端子14を用いた以外、実施例1と同様で図1〜図4に示す設計定格容量1800mAhの電流遮断弁機構を内蔵した円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0081】
(実施例5)
図5の(E)に示すようにそれぞれ長手方向に沿う稜に一段のテーパを付した形状の正極リード端子10および負極リード端子14を用いた以外、実施例1と同様で図1〜図4に示す設計定格容量1800mAhの電流遮断弁機構を内蔵した円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0082】
(実施例6)
図5の(F)に示すように断面がそれぞれ三日月形状の正極リード端子10および負極リード端子14を用いた以外、実施例1と同様で図1〜図4に示す設計定格容量1800mAhの電流遮断弁機構を内蔵した円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0083】
(比較例1)
図6に示すように断面がそれぞれ矩形状の正極リード端子101および負極リード端子104を用いた以外、実施例1と同様で図1〜図4に示す設計定格容量1800mAhの電流遮断弁機構を内蔵した円筒形リチウムイオン二次電池(18650サイズ)を組み立てた。
【0084】
得られた実施例1〜6および比較例1の二次電池について、以下の項目の評価を行った。
【0085】
(電極群の電池外装缶への挿入歩留まり)
前記各二次電池100個の電極群の電池外装缶への挿入性について最外周に位置する負極のリード端子に起因する挿入の可否の可否から歩留まりを評価した。その結果、下記表1に示す。
【0086】
【表1】
【0087】
前記表1から明らかなように実施例1〜6の二次電池は、歩留まりが95%以上と高く、電池外装缶への電極コイル群の挿入性が優れている。これに対し、比較例1の二次電池は歩留まりが75%と実施例1〜6の二次電池に比べて低いことがわかる。
【0088】
(電極コイル群の電池外装缶への挿入後の短絡歩留まり)
前記各二次電池100個の電極群を電池外装缶に挿入し、最内周に位置する正極のリード端子に起因する短絡発生による歩留まりを評価した。その結果、下記表2に示す。
【0089】
【表2】
【0090】
前記表2から明らかなように実施例1〜6の二次電池は、短絡発生による歩留まりが比較例1の二次電池のそれ(85%)に比べて96%以上と高い値を示すことがわかる。
【0091】
なお、前述した実施例においては、円筒形非水電解液二次電池に適用した例を説明したが、有底矩形筒状の容器内に正極、負極、セパレータ及び非水電解液が収納された構造の角形非水電解液二次電池にも同様に適用することができる。また、外装材としてラミネートフィルムを使用する非水電解液二次電池、ゲル状非水電解質を用いる二次電池にも同様に適用することができる。
【0092】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、電極群の電池外装缶への挿入が容易になり、電極群の短絡がない信頼性に優れた非水電解液二次電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施例1の円筒形リチウム二次電池を示す部分切欠斜視図。
【図2】本発明に係る実施例1の円筒形リチウム二次電池における電極群を示す斜視図。
【図3】本発明に係る実施例1の電極群を構成する正極示す斜視図。
【図4】本発明に係る実施例1の電極群を構成する負極示す斜視図。
【図5】本発明に係わる実施例1〜6の正極リード端子および負極リード端子を示す断面図。
【図6】比較例1の正極リード端子および負極リード端子を示す断面図。
【符号の説明】
1…容器、3…電極群、4…正極、5…セパレータ、6…負極、7…正極集電体、11…負極集電体、8a,8b…正極活物質層未形成領域、9…正極活物質層、10…正極リード端子、12a,12b…負極活物質層未形成領域、13…負極活物質層、14…負極リード端子、17…遮断弁、18…PTC素子、20…絶縁ガスケット、21…電流遮断弁。
Claims (4)
- 正、負の電極およびこれらの電極間に介在されたセパレータを捲回した構造を有し、かつ前記正、負の電極にそれぞれ接続して外部に延出されたリード端子を有する電極群を外装缶内に非水電解液とともに収納した非水電解液二次電池であって、
前記電極群の最外周に位置する一方の電極に接続された前記リード端子は、少なくとも前記一方の電極の接続部においてその接続面と反対の面が凸状に湾曲していることを特徴とする非水電解液二次電池。 - 他方の電極に接続されたリード端子は、少なくとも前記他方の電極の接続部においてその接続面と反対の面が凸状に湾曲していることを特徴とする請求項1記載の非水電解液二次電池。
- 正、負の電極およびこれらの電極間に介在されたセパレータを捲回した構造を有し、かつ前記正、負の電極にそれぞれ接続して外部に延出されたリード端子を有する電極群を外装缶内に非水電解液とともに収納した非水電解液二次電池であって、
前記電極群の最外周に位置する一方の電極に接続された前記リード端子は、少なくとも前記一方の電極の接続部においてその長さ方向に沿う稜にアールまたはテーパを付した形状を有することを特徴とする非水電解液二次電池。 - 他方の電極に接続されたリード端子は、少なくとも前記他方の電極の接続部においてその長さ方向に沿う稜にアールまたはテーパを付した形状を有することを特徴とする請求項3記載の非水電解液二次電池。
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