JP2022055185A - 組織充填材 - Google Patents
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Abstract
【課題】組織充填材の内部への宿主細胞の迅速な進入及び該内部での宿主細胞の生着、並びに十分な機械的強度を有する組織充填材の提供。【解決手段】内部にハニカム構造を含む多孔質コラーゲンスポンジ、及び該ハニカム構造の内腔に収容された線維状コラーゲンを含む、組織充填材。【選択図】図1
Description
本発明は、組織再建に適した組織充填材に関する。
人工真皮は重度の火傷など、広範囲に皮膚を欠損する創傷を負った際に再生医療として用いられている人工の組織充填材である。人工真皮は完全に人工の工業製品であり、移植医療につきまとうドナー不足の問題を回避し、拒絶反応のリスクも制御できる、優れた移植医療である。
人工の細胞外マトリックスを組織充填材として体内に埋め込む再生医療では、組織充填材への宿主細胞の進入・生着の程度及び迅速性が重要である。人工真皮では、宿主細胞が十分に生着し、新生血管が進入して、真皮様結合組織が出来てから表皮の分層植皮が可能となる。
人工の細胞外マトリックスを組織充填材として体内に埋め込む再生医療では、組織充填材への宿主細胞の進入・生着の程度及び迅速性が重要である。人工真皮では、宿主細胞が十分に生着し、新生血管が進入して、真皮様結合組織が出来てから表皮の分層植皮が可能となる。
従来の人工真皮として、ペルナック(グンゼ製)、テルダーミス(オリンパステルモバイオマテリアル製)、インテグラ(インテグラライフサイエンス製)などの製品がある。これら従来の人工真皮におけるコラーゲン層は、凍結乾燥によって成形されるコラーゲンスポンジが架橋されたものであり、ハニカム構造を有する。また、例えば、凍結乾燥によって形成し、架橋したコラーゲンスポンジを用いて、組織再生基材を製造する方法が報告されている(特許文献1)。
上記のような従来の人工真皮や組織再生基材が持つ、ハニカム構造を有するコラーゲン層は、ハニカム構造内の各内腔に宿主細胞が進入する際に、内腔の壁が障壁となるため、その進入に時間を要する。その結果、時間的に宿主細胞の生着の遅い部分が無細胞組織となり、それが移植先からの人工真皮の脱落の一因となって、施術の成功率を低下させている。さらに、表皮の分層植皮が可能となるまでに通常は数週間の時間を要し、その間、感染症や体液漏出を防がねばならず、患者のQOLを悪くする要因ともなっている。
一方、本発明者らは、コラーゲンを線維形成させ、2-メチル-2-プロパノール(tert(t)-butylalcohol)を用いて真空乾燥することで、生体組織によく似たコラーゲン線維構造を再現した組織充填材を開発した(非特許文献1)。この線維状コラーゲンは緻密な線維構造による、脱脂綿のような吸水性を有するため、組織充填材への宿主細胞の迅速な進入が可能であり、また、細胞の生着に適する足場構造を持つため、宿主細胞の生着に適している。
Advances in Wound Care, Vol.9, No.6 (2019)
非特許文献1に記載の線維状コラーゲンは、組織充填材への宿主細胞の迅速な進入と宿主細胞の生着に適しているが、緻密な線維構造を有しており、架橋をすると細胞が進入しにくくなるため、当該線維状コラーゲンは機械的強度の観点で改良の余地がある。
本発明は、組織充填材の内部への宿主細胞の迅速な進入及び該内部での宿主細胞の生着
、並びに十分な機械的強度を有する組織充填材の提供を課題とする。
本発明は、組織充填材の内部への宿主細胞の迅速な進入及び該内部での宿主細胞の生着
、並びに十分な機械的強度を有する組織充填材の提供を課題とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、内部にハニカム構造を含む従来の多孔質コラーゲンスポンジの該ハニカム構造の内腔に、非特許文献1に記載の線維状コラーゲンを収容することによって、上記課題を解決できることを見出し、本発明に完成するに至った。本発明は以下の通りである。
〔1〕内部にハニカム構造を含む多孔質コラーゲンスポンジ、及び
該ハニカム構造の内腔に収容された線維状コラーゲン
を含む、組織充填材。
〔2〕前記多孔質コラーゲンスポンジの一方の表面から他方の表面に貫通する複数の貫通穴を有する、〔1〕に記載の組織充填材。
〔3〕前記線維状コラーゲンが、前記多孔質コラーゲンスポンジの孔を通じて前記ハニカム構造の隣接する内腔同士に跨るように配置されている、〔1〕又は〔2〕に記載の組織充填材。
〔4〕前記線維状コラーゲンが、前記貫通穴を通じて前記ハニカム構造の二以上の内腔を跨るように配置されている、〔2〕又は〔3〕に記載の組織充填材。
〔5〕前記多孔質コラーゲンスポンジが熱架橋され、かつ前記線維状コラーゲンが架橋されていない、〔1〕~〔4〕いずれかに記載の組織充填材。
〔6〕前記多孔質コラーゲンスポンジの表面の少なくとも一方がコラーゲン薄膜で被覆されている、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の組織充填材。
〔7〕人工真皮である、〔6〕に記載の組織充填材。
〔8〕内部にハニカム構造を含む多孔質コラーゲンスポンジを準備する工程、
該準備工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジを架橋する工程、
該架橋工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジの一方の表面から他方の表面に貫通する複数の貫通穴を形成する工程、
該貫通穴形成工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジをコラーゲン溶液に浸漬する工程、
該浸漬工程により該多孔質コラーゲンスポンジに含ませたコラーゲンをゲル化してゲル体を形成する工程、
該ゲル体形成工程後に、該ゲル体の溶媒を2-メチル-2-プロパノールに置換する工程、及び、
該置換工程後に、該2-メチル-2-プロパノールを除去する工程
を含む、組織充填材の製造方法。
〔9〕内部にハニカム構造を含む多孔質コラーゲンスポンジを準備する工程、
該準備工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジを架橋する工程、
該架橋工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジの一方の表面から他方の表面に貫通する複数の貫通穴を形成する工程、
該貫通穴形成工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジをコラーゲン溶液に浸漬する工程、
該浸漬工程により該多孔質コラーゲンスポンジに含ませたコラーゲンをゲル化してゲル体を形成する工程、
該ゲル体形成工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジの表面の少なくとも一方にコラーゲン溶液を塗布する工程、
該塗布工程後に、該ゲル体の溶媒及び該塗布したコラーゲン溶液の溶媒を2-メチル-2-プロパノールに置換する工程、及び、
該置換工程後に、該2-メチル-2-プロパノールを除去する工程
を含む、組織充填材の製造方法。
〔10〕前記組織充填材が人工真皮である、〔9〕に記載の製造方法。
該ハニカム構造の内腔に収容された線維状コラーゲン
を含む、組織充填材。
〔2〕前記多孔質コラーゲンスポンジの一方の表面から他方の表面に貫通する複数の貫通穴を有する、〔1〕に記載の組織充填材。
〔3〕前記線維状コラーゲンが、前記多孔質コラーゲンスポンジの孔を通じて前記ハニカム構造の隣接する内腔同士に跨るように配置されている、〔1〕又は〔2〕に記載の組織充填材。
〔4〕前記線維状コラーゲンが、前記貫通穴を通じて前記ハニカム構造の二以上の内腔を跨るように配置されている、〔2〕又は〔3〕に記載の組織充填材。
〔5〕前記多孔質コラーゲンスポンジが熱架橋され、かつ前記線維状コラーゲンが架橋されていない、〔1〕~〔4〕いずれかに記載の組織充填材。
〔6〕前記多孔質コラーゲンスポンジの表面の少なくとも一方がコラーゲン薄膜で被覆されている、〔1〕~〔5〕のいずれかに記載の組織充填材。
〔7〕人工真皮である、〔6〕に記載の組織充填材。
〔8〕内部にハニカム構造を含む多孔質コラーゲンスポンジを準備する工程、
該準備工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジを架橋する工程、
該架橋工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジの一方の表面から他方の表面に貫通する複数の貫通穴を形成する工程、
該貫通穴形成工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジをコラーゲン溶液に浸漬する工程、
該浸漬工程により該多孔質コラーゲンスポンジに含ませたコラーゲンをゲル化してゲル体を形成する工程、
該ゲル体形成工程後に、該ゲル体の溶媒を2-メチル-2-プロパノールに置換する工程、及び、
該置換工程後に、該2-メチル-2-プロパノールを除去する工程
を含む、組織充填材の製造方法。
〔9〕内部にハニカム構造を含む多孔質コラーゲンスポンジを準備する工程、
該準備工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジを架橋する工程、
該架橋工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジの一方の表面から他方の表面に貫通する複数の貫通穴を形成する工程、
該貫通穴形成工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジをコラーゲン溶液に浸漬する工程、
該浸漬工程により該多孔質コラーゲンスポンジに含ませたコラーゲンをゲル化してゲル体を形成する工程、
該ゲル体形成工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジの表面の少なくとも一方にコラーゲン溶液を塗布する工程、
該塗布工程後に、該ゲル体の溶媒及び該塗布したコラーゲン溶液の溶媒を2-メチル-2-プロパノールに置換する工程、及び、
該置換工程後に、該2-メチル-2-プロパノールを除去する工程
を含む、組織充填材の製造方法。
〔10〕前記組織充填材が人工真皮である、〔9〕に記載の製造方法。
本発明によれば、組織充填材の内部への宿主細胞の迅速な進入及び該内部での宿主細胞の生着、並びに十分な機械的強度を有する組織充填材を提供することができる。
該組織充填材は、十分な機械的強度を有する上に、組織充填材に宿主細胞が迅速に進入し、且つ宿主細胞の生着にも優れるため、生着不全による組織充填材の脱落を低減させることができる。また、宿主細胞が十分に生着するまでの期間が短く、素早く新生血管が進入して結合組織が形成される。そのため、人工真皮として移植された際は、表皮移植までの期間を短く抑えることができ、細菌感染のリスクや体液漏出を低減できる。
さらに、該組織充填材を移植した際、生来の結合組織に近い構造が再現され、これを長期にわたって維持できるため、傷跡の拘縮が起こりにくく、痛みを低減し美容に問題を生じにくい。
該組織充填材は、十分な機械的強度を有する上に、組織充填材に宿主細胞が迅速に進入し、且つ宿主細胞の生着にも優れるため、生着不全による組織充填材の脱落を低減させることができる。また、宿主細胞が十分に生着するまでの期間が短く、素早く新生血管が進入して結合組織が形成される。そのため、人工真皮として移植された際は、表皮移植までの期間を短く抑えることができ、細菌感染のリスクや体液漏出を低減できる。
さらに、該組織充填材を移植した際、生来の結合組織に近い構造が再現され、これを長期にわたって維持できるため、傷跡の拘縮が起こりにくく、痛みを低減し美容に問題を生じにくい。
本発明の一態様は、内部にハニカム構造を含む多孔質コラーゲンスポンジ、及び該ハニカム構造の内腔に収容された線維状コラーゲンを含む、組織充填材である。
本態様に係る組織充填材は、内部にハニカム構造を含む多孔質コラーゲンスポンジを含む。該多孔質コラーゲンスポンジは従来のものであってよく、例えば、特許文献1に記載のコラーゲンスポンジであってよい。
前記ハニカム構造とは、前記多孔質コラーゲンスポンジが、その表面である外壁の内に複数の内腔(部屋)をハニカム状に含んだ構造のことである。ただし、本明細書における「ハニカム構造」や「ハニカム状」との文言は、厳密な正六角柱を隙間なく並べた構造である必要はなく、また、その断面が厳密な正六角形である構造である必要はなく、従来のコラーゲンスポンジにおける「ハニカム構造」や「ハニカム状」を意味するものとする。
前記ハニカム構造とは、前記多孔質コラーゲンスポンジが、その表面である外壁の内に複数の内腔(部屋)をハニカム状に含んだ構造のことである。ただし、本明細書における「ハニカム構造」や「ハニカム状」との文言は、厳密な正六角柱を隙間なく並べた構造である必要はなく、また、その断面が厳密な正六角形である構造である必要はなく、従来のコラーゲンスポンジにおける「ハニカム構造」や「ハニカム状」を意味するものとする。
前記多孔質コラーゲンスポンジは、ハニカム構造の外壁により組織充填材に機械的な強度を与える。また、生体に移植された後は一定期間経過後に該外壁が膨潤し、難分解性の細胞外コラーゲンマトリクスを形成する。この難分解性コラーゲンは、細胞の足場として長期間作用し、再建された組織の維持に寄与する。
本態様に係る組織充填材は、前記多孔質コラーゲンスポンジの該ハニカム構造の内腔に、線維状コラーゲンを収容している。
前記線維状コラーゲンは、前記多孔質コラーゲンスポンジの孔を通じて前記ハニカム構造の隣接する内腔同士に跨るように配置されていることが好ましい。
前記多孔質コラーゲンスポンジの孔とは、前記多孔質コラーゲンスポンジの通常の製法における低温凍結及び真空乾燥等により自然に形成される小孔やクラックにより生じた裂け目、及び人為的な手段で内腔の外壁に開けた小孔やクラックを含む。すなわち、線維状コラーゲンは、多孔質コラーゲンスポンジの通常の製法における凍結及び真空乾燥等により自然に形成される小孔やクラックにより生じた裂け目を通じて、隣接する内腔同士を含む二以上の内腔を跨るように配置されていてよく、人為的な手段で内腔の外壁に開けた小孔やクラックを通じて、隣接する内腔同士を含む二以上の内腔を跨るように配置されてい
てよく、これらが組み合わされたものでもよい。
前記多孔質コラーゲンスポンジの孔とは、前記多孔質コラーゲンスポンジの通常の製法における低温凍結及び真空乾燥等により自然に形成される小孔やクラックにより生じた裂け目、及び人為的な手段で内腔の外壁に開けた小孔やクラックを含む。すなわち、線維状コラーゲンは、多孔質コラーゲンスポンジの通常の製法における凍結及び真空乾燥等により自然に形成される小孔やクラックにより生じた裂け目を通じて、隣接する内腔同士を含む二以上の内腔を跨るように配置されていてよく、人為的な手段で内腔の外壁に開けた小孔やクラックを通じて、隣接する内腔同士を含む二以上の内腔を跨るように配置されてい
てよく、これらが組み合わされたものでもよい。
前記線維状コラーゲンが、前記多孔質コラーゲンスポンジの孔を通じて前記ハニカム構造の隣接する内腔同士に跨るように配置されていることで、前記多孔質コラーゲンスポンジに、毛細管現象によって速やかに体液を浸透させることができる。例えば、生理食塩水等に浸水する工程を経ずに、浸出液のみで創部に体液を馴染ませることができる。また、線維状コラーゲンは宿主細胞の足場として適しているため、内腔に宿主細胞を迅速に進入させ、生着させることができる。
また、前記線維状コラーゲンは生体の内部において、宿主細胞の動員とともに分解して消失するが、同時期にハニカム構造の外壁が膨潤して難分解性コラーゲン線維が形成され、進入した宿主細胞群と理想的に混じり合う。これらの機構により、本態様に係る組織充填材を用いれば、正常な組織に近い構造の組織を早期に再建できる。
また、前記線維状コラーゲンは生体の内部において、宿主細胞の動員とともに分解して消失するが、同時期にハニカム構造の外壁が膨潤して難分解性コラーゲン線維が形成され、進入した宿主細胞群と理想的に混じり合う。これらの機構により、本態様に係る組織充填材を用いれば、正常な組織に近い構造の組織を早期に再建できる。
前記ハニカム構造の内腔に収容された前記線維状コラーゲンのコラーゲン線維の直径及びコラーゲン線維間の距離については、コラーゲン線維間の間隙が宿主細胞の大きさより大きい場合、宿主細胞はコラーゲン線維間を進入することができる。一方で、コラーゲン線維間の間隙が宿主細胞の大きさより小さい、すなわち、コラーゲン線維が緻密に収容されている場合であっても、宿主細胞はコラーゲン線維を押し分けて進入することができる。
そのため、前記コラーゲン線維の直径は、好ましくは60nm以上、より好ましくは80nm以上、さらに好ましくは95nm以上である。一方で、好ましくは140nm以下であり、より好ましくは120nm以下であり、さらに好ましくは105nm以下である。
前記コラーゲン線維の直径は、例えば、以下のようにして求めることができる。
電子顕微鏡で内腔内の線維状コラーゲンの写真を取得し、コラーゲン線維の直径を測定する。同様にして複数のコラーゲン線維の直径を測定し、平均して算出した値を前記「コラーゲン線維の直径」とする。サンプリング数としては、60以上が好ましい。
電子顕微鏡で内腔内の線維状コラーゲンの写真を取得し、コラーゲン線維の直径を測定する。同様にして複数のコラーゲン線維の直径を測定し、平均して算出した値を前記「コラーゲン線維の直径」とする。サンプリング数としては、60以上が好ましい。
また、前記コラーゲン線維の線維間の距離は、好ましくは80nm以上、より好ましくは250nm以上、さらに好ましくは350nm以上である。一方で、好ましくは680nm以下、より好ましくは550nm以下、さらに好ましくは450nm以下である。
前記コラーゲン線維間の距離は、例えば、以下のようにして求めることができる。
電子顕微鏡で多孔質コラーゲンスポンジ内の線維状コラーゲンの写真を取得し、交差するコラーゲン線維を格子に見立てた上で、同一平面上にある格子間の最大幅を測定する。同様にして複数の最大幅を測定し、平均して算出した値を前記「コラーゲン線維間の距離」とする。サンプリング数としては、60以上が好ましい。
電子顕微鏡で多孔質コラーゲンスポンジ内の線維状コラーゲンの写真を取得し、交差するコラーゲン線維を格子に見立てた上で、同一平面上にある格子間の最大幅を測定する。同様にして複数の最大幅を測定し、平均して算出した値を前記「コラーゲン線維間の距離」とする。サンプリング数としては、60以上が好ましい。
前記多孔質コラーゲンスポンジは、架橋されたものであることが好ましい。架橋した場合、多孔質コラーゲンスポンジの機械的強度が向上する。また、当該架橋により、多孔質コラーゲンスポンジに含まれる架橋されたコラーゲンは、架橋されていない場合のコラーゲンよりも分解されにくいため、より長期間の間、細胞の足場として機能する。
架橋としては、化学架橋(例えば、グルタールアルデヒドによる化学架橋)や熱架橋などが挙げられる。このうち、多孔質コラーゲンスポンジのハニカム構造の外壁が膨潤を起こしやすく、滲出液の貯留を防ぎやすく、また炎症反応の賦活や好中球の集簇による組織充填材の脱落のリスクが小さいことから、熱架橋が好ましい。
一方で、前記線維状コラーゲンは架橋されていてもよいが、前述の通り、前記線維状コラーゲンは前記内腔に収容されており、架橋をすると組織充填材へ細胞が進入しにくくなるため、架橋されていないことが好ましい。
前記多孔質コラーゲンスポンジは、その一方の表面から他方の表面に貫通する貫通穴を有することが好ましい。
ここで、前記多孔質コラーゲンスポンジは、後述する実施例のように、使用時には形状を略球体にして使用することもできるが、通常の製法では、仕上がりとして、厚みのあるシート状の多孔質コラーゲンスポンジとなる型枠内で製造するため、多孔質コラーゲンスポンジは厚みのあるシート状のものとして製造される。前記「一方の表面から他方の表面に貫通する」とは、例えば、図4のDに示すように、厚みのあるシート状の多孔質コラーゲンスポンジにおいて、一方の底面から他方の底面に貫通することであってよい。
ここで、前記多孔質コラーゲンスポンジは、後述する実施例のように、使用時には形状を略球体にして使用することもできるが、通常の製法では、仕上がりとして、厚みのあるシート状の多孔質コラーゲンスポンジとなる型枠内で製造するため、多孔質コラーゲンスポンジは厚みのあるシート状のものとして製造される。前記「一方の表面から他方の表面に貫通する」とは、例えば、図4のDに示すように、厚みのあるシート状の多孔質コラーゲンスポンジにおいて、一方の底面から他方の底面に貫通することであってよい。
前記線維状コラーゲンは、前記貫通穴を通じてハニカム構造の二以上の内腔を跨るように配置されていることが好ましい。
線維状コラーゲンが前記貫通穴を通じてハニカム構造の二以上の内腔を跨ることで、次のような効果が得られる。すなわち、体液、宿主細胞、毛細血管、神経、細胞外マトリクスなど、組織を形成する物質が、多孔質コラーゲンスポンジの小孔やクラックのみを通じて内腔に進入する場合と比較して、より効率よく迅速に内腔に進入することができる。また、体液などの水分が十分に多孔質コラーゲンスポンジに進入することで、移植後に滲出液が浸透していく過程で多孔質コラーゲンスポンジが萎縮することを防止できる。
線維状コラーゲンが前記貫通穴を通じてハニカム構造の二以上の内腔を跨ることで、次のような効果が得られる。すなわち、体液、宿主細胞、毛細血管、神経、細胞外マトリクスなど、組織を形成する物質が、多孔質コラーゲンスポンジの小孔やクラックのみを通じて内腔に進入する場合と比較して、より効率よく迅速に内腔に進入することができる。また、体液などの水分が十分に多孔質コラーゲンスポンジに進入することで、移植後に滲出液が浸透していく過程で多孔質コラーゲンスポンジが萎縮することを防止できる。
そのため、貫通穴の個数は、一つであっても複数であってもよいが、上記の効果が多孔質コラーゲンスポンジの広範囲で得られることから複数であることが好ましい。一方で、多孔質コラーゲンスポンジの表面積の都合から、所定の個数以下であることが好ましい。例えば、前記多孔質コラーゲンスポンジにおいて、ある一の表面において、面積135 cm2
あたりの個数として、例えば、2個以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上などであり、一方で、例えば、80個以下、70個以下、60個以下などである。
あたりの個数として、例えば、2個以上、10個以上、20個以上、30個以上、40個以上などであり、一方で、例えば、80個以下、70個以下、60個以下などである。
貫通穴が複数個であるとき、その間隔は、上記の効果が多孔質コラーゲンスポンジの広範囲で得られること、更に水分が浸透する際の多孔質コラーゲンスポンジの萎縮への影響を最小限にとどめ組織充填材として移植できる形状を保持しやすいために、好ましくは1.0mm以上、より好ましくは1.5mm以上、さらに好ましくは2.0mm以上であり、一方で、好ましくは5.0mm以下、より好ましくは3.0mm以下、さらに好ましくは2.5mm以下である。
貫通穴の直径は、上記の効果よりも、水分が浸透する際の多孔質コラーゲンスポンジの萎縮への影響の方が大きいため、組織充填材として移植できる形状を保持しやすいために、好ましくは1.5mm以下、より好ましくは1.0mm以下、さらに好ましくは0.8mm以下である。一方、上記の効果を得るために、好ましくは0.2mm以上、より好ましくは0.4mm以上、さらに好ましくは0.6mm以上である。
本態様に係る組織充填材は、その内部に細胞や血管を進入・生着させ、組織の増殖や再生を行う材であり、皮下組織あるいは体内に埋め込むいわゆる組織充填材、及び真皮の再生に用いる人工真皮を含む。
本態様に係る組織充填材は、前記多孔質コラーゲンスポンジの表面の少なくとも一方がコラーゲン薄膜で被覆されていることが好ましい。
ここで、既出の通り、前記多孔質コラーゲンスポンジは、後述する実施例のように、使用時には形状を略球体にして使用することもできるが、通常の製法では、仕上がりとして
、厚みのあるシート状の多孔質コラーゲンスポンジとなる型枠内で製造するため、多孔質コラーゲンスポンジは厚みのあるシート状のものとして製造される。前記「前記多孔質コラーゲンスポンジの表面の少なくとも一方」とは、例えば、図4のDに示すように、厚みのあるシート状の多孔質コラーゲンスポンジにおいて、一の底面及び他の底面のうち少なくとも一方であってよい。
ここで、既出の通り、前記多孔質コラーゲンスポンジは、後述する実施例のように、使用時には形状を略球体にして使用することもできるが、通常の製法では、仕上がりとして
、厚みのあるシート状の多孔質コラーゲンスポンジとなる型枠内で製造するため、多孔質コラーゲンスポンジは厚みのあるシート状のものとして製造される。前記「前記多孔質コラーゲンスポンジの表面の少なくとも一方」とは、例えば、図4のDに示すように、厚みのあるシート状の多孔質コラーゲンスポンジにおいて、一の底面及び他の底面のうち少なくとも一方であってよい。
本態様に係る組織充填材は、前記多孔質コラーゲンスポンジの表面の少なくとも一方がコラーゲン薄膜で被覆されている場合、本態様に係る組織充填材は、人工真皮として利用することができる。
非特許文献1は、組織充填材がその表面にコラーゲン薄膜で被覆されている場合、表皮細胞による再上皮化を促すことができると教示している。本態様に係る組織充填材を人工真皮として利用する場合には、当該被膜により同様の効果を得ることができる。この点、例えば、市販品であるペルナック(グンゼ製)、テルダーミス(オリンパステルモバイオマテリアル製)等では、コラーゲン薄膜ではなくシリコン薄膜が用いられている。しかし、シリコン薄膜上では表皮は再生できないため、本態様に係る組織充填材がその表面にコラーゲン薄膜で被覆されている場合、市販品に比べて有利である。
非特許文献1は、組織充填材がその表面にコラーゲン薄膜で被覆されている場合、表皮細胞による再上皮化を促すことができると教示している。本態様に係る組織充填材を人工真皮として利用する場合には、当該被膜により同様の効果を得ることができる。この点、例えば、市販品であるペルナック(グンゼ製)、テルダーミス(オリンパステルモバイオマテリアル製)等では、コラーゲン薄膜ではなくシリコン薄膜が用いられている。しかし、シリコン薄膜上では表皮は再生できないため、本態様に係る組織充填材がその表面にコラーゲン薄膜で被覆されている場合、市販品に比べて有利である。
前記コラーゲン薄膜の厚さは、上記のように、表皮細胞による再上皮化を促すことができれば特に制限されず、また、均一でなくてもよいが、好ましくは1μm以上、より好ましくは3μm以上、さらに好ましくは5μm以上であり、一方で、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは8μm以下である。
前記ハニカム構造の各内腔の容積は、従来の多孔質コラーゲンスポンジの製法で製造される多孔質コラーゲンスポンジの各内腔の容積であってよい。例えば45万μm3以上、好ましくは500万μm3以上、より好ましくは800万μm3以上であり、一方で、例えば4600万μm3以下、好ましくは2400万μm3以下、より好ましくは1200万μm3以下である。
前記多孔質コラーゲンスポンジの各内腔の容積は、例えば、以下のようにして求めることができる。
電子顕微鏡で多孔質コラーゲンスポンジの写真を取得し、各内腔を直方体と見なして、その最大幅を測定する。同様にして複数の最大幅を測定し、平均して算出した値を一辺の平均とする。その後、該平均を三乗したものを、前記「多孔質コラーゲンスポンジの各内腔の容積」とする。サンプリング数としては、60以上が好ましい。
電子顕微鏡で多孔質コラーゲンスポンジの写真を取得し、各内腔を直方体と見なして、その最大幅を測定する。同様にして複数の最大幅を測定し、平均して算出した値を一辺の平均とする。その後、該平均を三乗したものを、前記「多孔質コラーゲンスポンジの各内腔の容積」とする。サンプリング数としては、60以上が好ましい。
前記多孔質コラーゲンスポンジが含むコラーゲンの種類、前記線維状コラーゲンの種類、前記コラーゲン薄膜が含むコラーゲンの種類は、いずれも、本発明の効果を発揮できる限り特に限定されない。また、これらのコラーゲンの種類は、すべて同一種でもよいし、すべて異なる種でもよいし、これらのうち二が同一種であってもよく、本発明の効果を発揮できる限り特に限定されない。
前記コラーゲンはいずれも線維状コラーゲンでも非線維状コラーゲンでもよいが、線維状コラーゲンが好ましい。線維状コラーゲンとしては、例えば、I型コラーゲン、II型コラーゲン、III型コラーゲン、V型コラーゲン、XI型コラーゲンなどが挙げられる。これらの中でも、臨床試験の実績があり従来から使用されているI型コラーゲンが好ましい。また、その性質も本発明の効果を発揮できる限り特に限定されず、例えば、ペプシン可溶性のものであってよい。さらに、抗原性が低いことで知られるアテロコラーゲン(テロペプチド領域がプロテアーゼ処理によって切断され、除去されたコラーゲン)も好ましく、I型アテロコラーゲンがより好ましい。
また、前記コラーゲンの由来は、ウシ由来であってよく、ブタ由来であってよく、ミズ
クラゲ由来であってよく、本発明の効果を発揮できる限り特に限定されない。
また、前記コラーゲンの由来は、ウシ由来であってよく、ブタ由来であってよく、ミズ
クラゲ由来であってよく、本発明の効果を発揮できる限り特に限定されない。
本発明の他の態様は、
内部にハニカム構造を含む多孔質コラーゲンスポンジを準備する工程、
該準備工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジを架橋する工程、
該架橋工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジの一方の表面から他方の表面に貫通する複数の貫通穴を形成する工程、
該貫通穴形成工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジをコラーゲン溶液に浸漬する工程、
該浸漬工程により該多孔質コラーゲンスポンジに含ませたコラーゲンをゲル化してゲル体を形成する工程、
該ゲル体形成工程後に、該ゲル体の溶媒を2-メチル-2-プロパノールに置換する工程、及び、
該置換工程後に、該2-メチル-2-プロパノールを除去する工程
を含む、組織充填材の製造方法である。
尚、本明細書において、本態様を「製造方法1」と記載することがある。
内部にハニカム構造を含む多孔質コラーゲンスポンジを準備する工程、
該準備工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジを架橋する工程、
該架橋工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジの一方の表面から他方の表面に貫通する複数の貫通穴を形成する工程、
該貫通穴形成工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジをコラーゲン溶液に浸漬する工程、
該浸漬工程により該多孔質コラーゲンスポンジに含ませたコラーゲンをゲル化してゲル体を形成する工程、
該ゲル体形成工程後に、該ゲル体の溶媒を2-メチル-2-プロパノールに置換する工程、及び、
該置換工程後に、該2-メチル-2-プロパノールを除去する工程
を含む、組織充填材の製造方法である。
尚、本明細書において、本態様を「製造方法1」と記載することがある。
本態様に係る製造方法1は、内部にハニカム構造を含む多孔質コラーゲンスポンジを準備する工程を含む。
本工程では、内部にハニカム構造を含む多孔質コラーゲンスポンジが準備できれば、その態様は特に制限されない。該コラーゲンスポンジは従来のものであってよく、例えば、特許文献1に記載のコラーゲンスポンジであってよい。したがって、該コラーゲンスポンジは従来法によって製造することができ、例えば、特許文献1に記載のコラーゲンスポンジの製法により製造することができる。
本工程では、内部にハニカム構造を含む多孔質コラーゲンスポンジが準備できれば、その態様は特に制限されない。該コラーゲンスポンジは従来のものであってよく、例えば、特許文献1に記載のコラーゲンスポンジであってよい。したがって、該コラーゲンスポンジは従来法によって製造することができ、例えば、特許文献1に記載のコラーゲンスポンジの製法により製造することができる。
本工程は、コラーゲンをゲル化する工程、及び該ゲル化したコラーゲンを低温で凍結させ、真空乾燥して、内部にハニカム構造を含む、多孔質コラーゲンスポンジを得る工程を含んでよい。その方法は常法に従えばよい。例えば、コラーゲンを低濃度の酢酸等に溶解し、高濃度の酢酸等で透析した後にゲル化してよい。ゲル化は、例えばリン酸緩衝生理食塩水(PBS)等を終濃度1倍になるように加えて中性化し、37℃付近に加温して行って
よい。ゲル化したコラーゲンは型枠中でそのまま低温で凍結させ、真空乾燥して、多孔質コラーゲンスポンジを得てよい。具体的には後述する実施例のようにすることができる。
よい。ゲル化したコラーゲンは型枠中でそのまま低温で凍結させ、真空乾燥して、多孔質コラーゲンスポンジを得てよい。具体的には後述する実施例のようにすることができる。
本態様に係る製造方法1は、前記準備工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジを架橋する工程を含む。
前記架橋の好ましい態様等については、既出の内容を援用する。
前記架橋の好ましい態様等については、既出の内容を援用する。
前記架橋が熱架橋の場合には、下記の条件で熱架橋することができる。下記の条件で熱架橋することで、多孔質コラーゲンスポンジのハニカム構造の外壁が膨潤を起こしやすく、滲出液の貯留を防ぎやすい組織充填材が製造され、また炎症反応の賦活や好中球の集簇による組織充填材の脱落のリスクが小さい。
架橋時の温度は、不可逆的な変質が生じることから、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、さらに好ましくは95℃以上であり、一方で、好ましくは160℃以下、より好ましくは140℃以下、さらに好ましくは120℃以下、よりさらに好ましくは110℃以下である。
架橋処理の時間は、好ましくは3時間以上、より好ましくは4時間以上、さらに好ましくは5時間以上であり、一方で、例えば12時間以下、好ましくは10時間以下、より好ましくは8時間以下である。
架橋時の温度は、不可逆的な変質が生じることから、好ましくは80℃以上、より好ましくは90℃以上、さらに好ましくは95℃以上であり、一方で、好ましくは160℃以下、より好ましくは140℃以下、さらに好ましくは120℃以下、よりさらに好ましくは110℃以下である。
架橋処理の時間は、好ましくは3時間以上、より好ましくは4時間以上、さらに好ましくは5時間以上であり、一方で、例えば12時間以下、好ましくは10時間以下、より好ましくは8時間以下である。
前記架橋が化学架橋の場合、前記熱架橋後に該化学架橋を行う。
多孔質コラーゲンスポンジを化学架橋するためには、従来の架橋条件を用いることができる。前記化学架橋が、例えば、グルタールアルデヒドによる架橋である場合は、例えば、下記の条件で架橋することができる。
架橋時のグルタールアルデヒドの濃度(v/v)は、例えば0.005%以上、好ましくは0.5%以上、より好ましくは2.0%以上であり、一方で、例えば10%以下、好ましくは5.0%以下、より好ましくは3.0%以下である。
架橋時の温度は、例えば0℃以上、好ましくは2℃以上、より好ましくは3℃以上であり、一方で、例えば10℃以下、好ましくは8℃以下、より好ましくは5℃以下である。
架橋処理の時間は、例えば4時間以上、好ましくは8時間以上、より好ましくは10時間以上であり、一方で、例えば36時間以下、好ましくは24時間以下、より好ましくは16時間以下である。
尚、架橋が化学架橋の場合、架橋後に水洗する工程や、化学架橋に用いた薬剤の官能基を処理する工程、及び、低温で凍結させ真空乾燥する工程を含んでよい。例えば、化学架橋がグルタールアルデヒドによる架橋である場合、例えば、後述する実施例のように、架橋後に水洗をし、グリシンでアルデヒド基を処理し、水洗をし、その後に-30℃などの低温で凍結させ、真空乾燥してよい。
多孔質コラーゲンスポンジを化学架橋するためには、従来の架橋条件を用いることができる。前記化学架橋が、例えば、グルタールアルデヒドによる架橋である場合は、例えば、下記の条件で架橋することができる。
架橋時のグルタールアルデヒドの濃度(v/v)は、例えば0.005%以上、好ましくは0.5%以上、より好ましくは2.0%以上であり、一方で、例えば10%以下、好ましくは5.0%以下、より好ましくは3.0%以下である。
架橋時の温度は、例えば0℃以上、好ましくは2℃以上、より好ましくは3℃以上であり、一方で、例えば10℃以下、好ましくは8℃以下、より好ましくは5℃以下である。
架橋処理の時間は、例えば4時間以上、好ましくは8時間以上、より好ましくは10時間以上であり、一方で、例えば36時間以下、好ましくは24時間以下、より好ましくは16時間以下である。
尚、架橋が化学架橋の場合、架橋後に水洗する工程や、化学架橋に用いた薬剤の官能基を処理する工程、及び、低温で凍結させ真空乾燥する工程を含んでよい。例えば、化学架橋がグルタールアルデヒドによる架橋である場合、例えば、後述する実施例のように、架橋後に水洗をし、グリシンでアルデヒド基を処理し、水洗をし、その後に-30℃などの低温で凍結させ、真空乾燥してよい。
本態様に係る製造方法1は、前記架橋工程後に、前記多孔質コラーゲンスポンジの一方の表面から他方の表面に貫通する複数の貫通穴を形成する工程を含む。
前記貫通穴を形成するための好ましい態様等については、既出の内容を援用する。
前記貫通穴を形成するための好ましい態様等については、既出の内容を援用する。
貫通穴は、注射針やパンチなど、穴をあけるための器具で開けることができる。貫通穴の間隔及び直径は、穴をあけるための器具を調節することで制御できる。例えば、注射針を用いる場合、針の直径によって穴の直径を調節し、任意の間隔で穴をあけることができる。
本態様に係る製造方法1は、前記貫通穴形成工程後に、前記多孔質コラーゲンスポンジをコラーゲン溶液に浸漬する工程を含む。また、本態様に係る製造方法1は、該浸漬工程により該多孔質コラーゲンスポンジに含ませたコラーゲンをゲル化してゲル体を形成する工程を含む。
該浸漬工程により該多孔質コラーゲンスポンジに含ませ、その後にゲル化したコラーゲンが、最終的に前記態様における線維状コラーゲンとなる。当該コラーゲンの好ましい態様等については、既出の内容を援用する。
該浸漬工程により該多孔質コラーゲンスポンジに含ませ、その後にゲル化したコラーゲンが、最終的に前記態様における線維状コラーゲンとなる。当該コラーゲンの好ましい態様等については、既出の内容を援用する。
前記多孔質コラーゲンスポンジをコラーゲン溶液に浸漬する際の、該コラーゲン溶液の濃度は、好ましくは0.01mg/mL以上、より好ましくは0.1mg/mL、さらに好ましくは0.5mg/mL以上であり、一方で、好ましくは10mg/mL以下、より好ましくは5mg/mL、さらに好ましくは2mg/mL以下である。
ゲル体の形成は、前記多孔質コラーゲンスポンジをコラーゲン溶液に浸漬した状態で行う。
ゲル体形成の際の時間は、十分なゲル化が生じるだけの時間であればよく、例えば8時間以上、好ましくは10時間以上、より好ましくは12時間以上であり、一方で、例えば24時間以下、好ましくは18時間以下、より好ましくは16時間以下である。
ゲル体形成の際の温度は、例えば30℃以上、好ましくは32℃以上、より好ましくは35℃以上であり、一方で、例えば42℃以下、好ましくは40℃以下、より好ましくは38℃以下である。
ゲル体形成の際の時間は、十分なゲル化が生じるだけの時間であればよく、例えば8時間以上、好ましくは10時間以上、より好ましくは12時間以上であり、一方で、例えば24時間以下、好ましくは18時間以下、より好ましくは16時間以下である。
ゲル体形成の際の温度は、例えば30℃以上、好ましくは32℃以上、より好ましくは35℃以上であり、一方で、例えば42℃以下、好ましくは40℃以下、より好ましくは38℃以下である。
尚、当該コラーゲンを架橋すると、製造される組織充填材への細胞が進入しにくくなる。そのため、本態様は、前記多孔質コラーゲンスポンジに含ませたコラーゲンを架橋する
工程を含んでもよいが、含まないことが好ましい。
工程を含んでもよいが、含まないことが好ましい。
本態様に係る製造方法1は、前記ゲル体形成工程後に、前記ゲル体の溶媒を2-メチル-2-プロパノールに置換する工程を含む。
置換の方法としては、前記ゲル体を2-メチル-2-プロパノールで洗浄する方法が挙げられる。
尚、本工程の前に、前記ゲル体をアルコールで洗浄する工程を含んでもよい。該アルコールとしては、例えば、100%エタノールなどが挙げられる。洗浄方法は常法に従えばよい。
置換の方法としては、前記ゲル体を2-メチル-2-プロパノールで洗浄する方法が挙げられる。
尚、本工程の前に、前記ゲル体をアルコールで洗浄する工程を含んでもよい。該アルコールとしては、例えば、100%エタノールなどが挙げられる。洗浄方法は常法に従えばよい。
本態様に係る製造方法1は、前記置換工程後に、前記2-メチル-2-プロパノールを除去する工程を含む。
前記2-メチル-2-プロパノールを除去する方法としては、例えば、真空乾燥処理などが挙げられる。該真空乾燥処理は低温真空乾燥処理であってよい。すなわち、低温で凍結させ、真空乾燥してよい。例えば-70℃などの低温で凍結させた後に真空乾燥処理を施してよい。
前記2-メチル-2-プロパノールを除去する方法としては、例えば、真空乾燥処理などが挙げられる。該真空乾燥処理は低温真空乾燥処理であってよい。すなわち、低温で凍結させ、真空乾燥してよい。例えば-70℃などの低温で凍結させた後に真空乾燥処理を施してよい。
本発明の他の態様は、
内部にハニカム構造を含む多孔質コラーゲンスポンジを準備する工程、
該準備工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジを架橋する工程、
該架橋工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジの一方の表面から他方の表面に貫通する複数の貫通穴を形成する工程、
該貫通穴形成工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジをコラーゲン溶液に浸漬する工程、
該浸漬工程により該多孔質コラーゲンスポンジに含ませたコラーゲンをゲル化してゲル体を形成する工程、
該ゲル体形成工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジの表面の少なくとも一方にコラーゲン溶液を塗布する工程、
該塗布工程後に、該ゲル体の溶媒及び該塗布したコラーゲン溶液の溶媒を2-メチル-2-プロパノールに置換する工程、及び、
該置換工程後に、該2-メチル-2-プロパノールを除去する工程
を含む、組織充填材の製造方法である。
尚、本明細書において、本態様を「製造方法2」と記載することがある。
内部にハニカム構造を含む多孔質コラーゲンスポンジを準備する工程、
該準備工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジを架橋する工程、
該架橋工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジの一方の表面から他方の表面に貫通する複数の貫通穴を形成する工程、
該貫通穴形成工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジをコラーゲン溶液に浸漬する工程、
該浸漬工程により該多孔質コラーゲンスポンジに含ませたコラーゲンをゲル化してゲル体を形成する工程、
該ゲル体形成工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジの表面の少なくとも一方にコラーゲン溶液を塗布する工程、
該塗布工程後に、該ゲル体の溶媒及び該塗布したコラーゲン溶液の溶媒を2-メチル-2-プロパノールに置換する工程、及び、
該置換工程後に、該2-メチル-2-プロパノールを除去する工程
を含む、組織充填材の製造方法である。
尚、本明細書において、本態様を「製造方法2」と記載することがある。
前記製造方法1と本態様に係る製造方法2とは次の点で相違する。すなわち、本態様に係る製造方法2は、前記製造方法1のゲル体形成工程後に、前記多孔質コラーゲンスポンジの表面の少なくとも一方にコラーゲン溶液を塗布する工程、及び該塗布工程後に、該ゲル体の溶媒及び該塗布したコラーゲン溶液の溶媒を2-メチル-2-プロパノールに置換する工程を含む。
本態様に係る製造方法2は、前記ゲル体形成工程後に、前記多孔質コラーゲンスポンジの表面の少なくとも一方にコラーゲン溶液を塗布する工程を含む。本工程により、前記多孔質コラーゲンスポンジの表面の少なくとも一方がコラーゲン薄膜で被覆される。当該コラーゲン薄膜の好ましい態様等については、既出の内容を援用する。
前記塗布の際の該コラーゲン溶液の濃度は、好ましくは0.01mg/mL以上、より好ましくは0.1mg/mL、さらに好ましくは0.5mg/mL以上であり、一方で、好ましくは10mg/mL以下、より好ましくは5mg/mL、さらに好ましくは2mg/mL以下である。
塗布量は、既出のコラーゲン薄膜の厚さとなるように設定すればよく、常法に従うこと
ができる。また、予め様々な塗布量で塗布し、塗布量と厚さの関係を明らかにしてから塗布量を設定してもよい。
塗布量は、既出のコラーゲン薄膜の厚さとなるように設定すればよく、常法に従うこと
ができる。また、予め様々な塗布量で塗布し、塗布量と厚さの関係を明らかにしてから塗布量を設定してもよい。
また、塗布前に、前記ゲル体をアルコールで洗浄する工程や脱塩する工程を含んでもよい。該アルコールとしては、例えば、85%エタノールなどが挙げられる。洗浄方法は常法に従えばよい。また、脱塩の方法も常法に従えばよい。
本態様に係る製造方法2は、前記塗布工程後に、前記ゲル体の溶媒及び前記塗布したコラーゲン溶液の溶媒を2-メチル-2-プロパノールに置換する工程を含む。
本工程は、前記製造方法1における前記置換工程において、前記塗布したコラーゲン溶液の溶媒を2-メチル-2-プロパノールに置換することが加えられたものであるが、置換の方法としては、前記製造方法1における、「前記ゲル体形成工程後に、前記ゲル体の溶媒を2-メチル-2-プロパノールに置換する工程」と同一であるため、その説明を援用する。
本工程は、前記製造方法1における前記置換工程において、前記塗布したコラーゲン溶液の溶媒を2-メチル-2-プロパノールに置換することが加えられたものであるが、置換の方法としては、前記製造方法1における、「前記ゲル体形成工程後に、前記ゲル体の溶媒を2-メチル-2-プロパノールに置換する工程」と同一であるため、その説明を援用する。
本態様に係る製造方法2で製造される組織充填材は、人工真皮として利用することができる。
すなわち、本態様の好ましい態様は、
内部にハニカム構造を含む多孔質コラーゲンスポンジを準備する工程、
該準備工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジを架橋する工程、
該架橋工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジの一方の表面から他方の表面に貫通する複数の貫通穴を形成する工程、
該貫通穴形成工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジをコラーゲン溶液に浸漬する工程、
該浸漬工程により該多孔質コラーゲンスポンジに含ませたコラーゲンをゲル化してゲル体を形成する工程、
該ゲル体形成工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジの表面の少なくとも一方にコラーゲン溶液を塗布する工程、
該塗布工程後に、該ゲル体の溶媒及び該塗布したコラーゲン溶液の溶媒を2-メチル-2-プロパノールに置換する工程、及び、
該置換工程後に、該2-メチル-2-プロパノールを除去する工程
を含む、人工真皮の製造方法である。
すなわち、本態様の好ましい態様は、
内部にハニカム構造を含む多孔質コラーゲンスポンジを準備する工程、
該準備工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジを架橋する工程、
該架橋工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジの一方の表面から他方の表面に貫通する複数の貫通穴を形成する工程、
該貫通穴形成工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジをコラーゲン溶液に浸漬する工程、
該浸漬工程により該多孔質コラーゲンスポンジに含ませたコラーゲンをゲル化してゲル体を形成する工程、
該ゲル体形成工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジの表面の少なくとも一方にコラーゲン溶液を塗布する工程、
該塗布工程後に、該ゲル体の溶媒及び該塗布したコラーゲン溶液の溶媒を2-メチル-2-プロパノールに置換する工程、及び、
該置換工程後に、該2-メチル-2-プロパノールを除去する工程
を含む、人工真皮の製造方法である。
前記製造工程1及び製造方法2において、前記準備工程が、コラーゲンをゲル化する工程、及び該ゲル化したコラーゲンを低温で凍結させ、真空乾燥して、内部にハニカム構造を含む、多孔質コラーゲンスポンジを得る工程を含む場合、該ゲル化工程における該コラーゲンを含むコラーゲン溶液中のコラーゲン濃度に対する、前記浸漬工程におけるコラーゲン溶液中のコラーゲン濃度の割合は、製造される組織充填材が真皮により近い組織を再現できることから、好ましくは10倍以下、より好ましくは5倍以下、さらに好ましくは3倍以下であり、一方で、例えば0.5倍以上、好ましくは0.8倍以上である。
前記製造方法1及び製造方法2は、貫通穴形成工程を含まなくてもよい。その場合に製造される組織充填材は、貫通穴を有しない。
すなわち、前記製造方法1及び製造方法2では、前記架橋工程後に、貫通穴形成工程を含まずに、前記多孔質コラーゲンスポンジをコラーゲン溶液に浸漬する工程に進んでもよい。
すなわち、前記製造方法1及び製造方法2では、前記架橋工程後に、貫通穴形成工程を含まずに、前記多孔質コラーゲンスポンジをコラーゲン溶液に浸漬する工程に進んでもよい。
以下、具体的な実施例を示し、本発明を説明するが、本発明は以下の態様に限定されない。
〔実施例1〕
以下のようにして組織充填材を製造した。
コラーゲンの溶解液として、ウシ由来であるペプシン可溶性I型コラーゲン乾燥体(ニッピコラーゲン、ペプシン可溶化ウシ真皮コラーゲン粉末、型番PSC-1-100PW)を、0.
5M酢酸で溶解し、5mM酢酸で透析した。
その後、型枠として(日新EM、シリコン包埋板II型、型番4201)を用いてコラーゲンをゲル化した。ゲル化は、25倍濃縮リン酸緩衝生理食塩水(25×PBS)を終濃度1倍になるよう加えて中性化し、37℃に加温することによって行った。このときのコラーゲンの濃度は、1.0mg/mlであった。その後、作製したコラーゲンゲルを型枠中でそのまま-30℃で凍結し、真空乾燥して多孔質コラーゲンスポンジを得た。
次に、得られた多孔質コラーゲンスポンジを100℃で6時間の条件で乾熱処理による熱架橋を行った。次に、2.5%グルタールアルデヒドで4℃、12時間処理をし、水洗し、50mMグリシンを用いてアルデヒド基を処理し、再び水洗し、-30℃で凍結し、真空乾燥して、多孔質コラーゲンスポンジを得た。
次に、作成した多孔質コラーゲンスポンジに、23G注射針を用いて、135cm2の底面積あたり32(4×8)個の貫通穴を開けた。各貫通穴の直径は0.6mm、貫通穴の間隔は2.0mmとした。
次に、多孔質コラーゲンスポンジを1.0mg/ml中性化I型アテロコラーゲン溶液に浸漬し、37℃に加温して、14時間かけて、I型アテロコラーゲンをゲル化し、ゲル体とした。このゲル体を85%エタノールで洗浄し、脱塩し、ゲル体の表面の一方に1.0mg/ml中性化I型アテロコラーゲン溶液10μlを塗布して、薄い被膜を形成させた。
次に、ゲル体を100%エタノール、次いで2-メチル-2-プロパノールで洗浄(溶媒置換)し、-70℃で凍結し、真空乾燥させた。2-メチル-2-プロパノール中で真空乾燥した中性化I型アテロコラーゲンは、ハニカム構造をとらず、コラーゲン線維の形状をそのまま保った線維状コラーゲンであった。
以下のようにして組織充填材を製造した。
コラーゲンの溶解液として、ウシ由来であるペプシン可溶性I型コラーゲン乾燥体(ニッピコラーゲン、ペプシン可溶化ウシ真皮コラーゲン粉末、型番PSC-1-100PW)を、0.
5M酢酸で溶解し、5mM酢酸で透析した。
その後、型枠として(日新EM、シリコン包埋板II型、型番4201)を用いてコラーゲンをゲル化した。ゲル化は、25倍濃縮リン酸緩衝生理食塩水(25×PBS)を終濃度1倍になるよう加えて中性化し、37℃に加温することによって行った。このときのコラーゲンの濃度は、1.0mg/mlであった。その後、作製したコラーゲンゲルを型枠中でそのまま-30℃で凍結し、真空乾燥して多孔質コラーゲンスポンジを得た。
次に、得られた多孔質コラーゲンスポンジを100℃で6時間の条件で乾熱処理による熱架橋を行った。次に、2.5%グルタールアルデヒドで4℃、12時間処理をし、水洗し、50mMグリシンを用いてアルデヒド基を処理し、再び水洗し、-30℃で凍結し、真空乾燥して、多孔質コラーゲンスポンジを得た。
次に、作成した多孔質コラーゲンスポンジに、23G注射針を用いて、135cm2の底面積あたり32(4×8)個の貫通穴を開けた。各貫通穴の直径は0.6mm、貫通穴の間隔は2.0mmとした。
次に、多孔質コラーゲンスポンジを1.0mg/ml中性化I型アテロコラーゲン溶液に浸漬し、37℃に加温して、14時間かけて、I型アテロコラーゲンをゲル化し、ゲル体とした。このゲル体を85%エタノールで洗浄し、脱塩し、ゲル体の表面の一方に1.0mg/ml中性化I型アテロコラーゲン溶液10μlを塗布して、薄い被膜を形成させた。
次に、ゲル体を100%エタノール、次いで2-メチル-2-プロパノールで洗浄(溶媒置換)し、-70℃で凍結し、真空乾燥させた。2-メチル-2-プロパノール中で真空乾燥した中性化I型アテロコラーゲンは、ハニカム構造をとらず、コラーゲン線維の形状をそのまま保った線維状コラーゲンであった。
〔実施例2〕
化学架橋に1.0%グルタールアルデヒドを用いたこと以外は、実施例1と同様の手法で、組織充填材を製造した。
化学架橋に1.0%グルタールアルデヒドを用いたこと以外は、実施例1と同様の手法で、組織充填材を製造した。
〔実施例3〕
化学架橋に0.01%グルタールアルデヒドを用いたこと以外は、実施例1と同様の手法で、組織充填材を製造した。
化学架橋に0.01%グルタールアルデヒドを用いたこと以外は、実施例1と同様の手法で、組織充填材を製造した。
〔実施例4〕
化学架橋ではなく、作製したコラーゲンゲルを100℃で6時間の条件の乾熱処理による熱架橋を行って、多孔質コラーゲンスポンジを得たこと以外は、実施例1と同様の手法で、組織充填材を製造した。製造した組織充填材を、図4のDに示した。
化学架橋ではなく、作製したコラーゲンゲルを100℃で6時間の条件の乾熱処理による熱架橋を行って、多孔質コラーゲンスポンジを得たこと以外は、実施例1と同様の手法で、組織充填材を製造した。製造した組織充填材を、図4のDに示した。
〔実施例5〕
化学架橋ではなく、作製したコラーゲンゲルを140℃で6時間の条件の乾熱処理による熱架橋を行って、多孔質コラーゲンスポンジを得たこと以外は、実施例1と同様の手法で、組織充填材を製造した。
化学架橋ではなく、作製したコラーゲンゲルを140℃で6時間の条件の乾熱処理による熱架橋を行って、多孔質コラーゲンスポンジを得たこと以外は、実施例1と同様の手法で、組織充填材を製造した。
〔実施例6〕
化学架橋ではなく、作製したコラーゲンゲルを160℃で6時間の条件の乾熱処理による熱架橋を行って、多孔質コラーゲンスポンジを得たこと以外は、実施例1と同様の手法で、組織充填材を製造した。
化学架橋ではなく、作製したコラーゲンゲルを160℃で6時間の条件の乾熱処理による熱架橋を行って、多孔質コラーゲンスポンジを得たこと以外は、実施例1と同様の手法で、組織充填材を製造した。
〔実施例7〕
多孔質コラーゲンスポンジに貫通穴を開ける際、直径1.5mmのパンチ穴を、135cm2の底面積あたり2個に開けた以外は、実施例4と同様の手法で組織充填材を製造した。貫通穴の間隔は5mmとした。製造した組織充填材を、図4のDに示した。
多孔質コラーゲンスポンジに貫通穴を開ける際、直径1.5mmのパンチ穴を、135cm2の底面積あたり2個に開けた以外は、実施例4と同様の手法で組織充填材を製造した。貫通穴の間隔は5mmとした。製造した組織充填材を、図4のDに示した。
〔実施例8〕
多孔質コラーゲンスポンジに貫通穴を開けなかった以外は、実施例4と同様の手法で組織充填材を製造した。製造した組織充填材を、図4のDに示した。
多孔質コラーゲンスポンジに貫通穴を開けなかった以外は、実施例4と同様の手法で組織充填材を製造した。製造した組織充填材を、図4のDに示した。
〔実施例9〕
多孔質コラーゲンスポンジの作製に用いるペプシン可溶性I型コラーゲンの濃度を0.5mg/mlとした以外は、実施例4と同様の手法で組織充填材を製造した。
多孔質コラーゲンスポンジの作製に用いるペプシン可溶性I型コラーゲンの濃度を0.5mg/mlとした以外は、実施例4と同様の手法で組織充填材を製造した。
〔比較例1〕
市販されている人工真皮であるテルダーミス(オリンパステルモバイオマテリアル製)を用いた。本製品は熱架橋型の人工真皮である。
市販されている人工真皮であるテルダーミス(オリンパステルモバイオマテリアル製)を用いた。本製品は熱架橋型の人工真皮である。
〔比較例2〕
市販されている人工真皮であるペルナック(グンゼ製)を用いた。本製品は化学架橋型の人工真皮である。
市販されている人工真皮であるペルナック(グンゼ製)を用いた。本製品は化学架橋型の人工真皮である。
〔比較例3〕
非特許文献1に記載の方法で製造した組織充填材を用いた。すなわち、本発明における線維状コラーゲンのみの組織充填材であり、架橋はされていないものである。
非特許文献1に記載の方法で製造した組織充填材を用いた。すなわち、本発明における線維状コラーゲンのみの組織充填材であり、架橋はされていないものである。
〔実施例10〕
製造した組織充填材を以下の手法で評価した。マウス背部皮膚に直径6mmの穴を開けた皮膚欠損創傷モデルマウスを用意し、略球体(直径:約6mm)とした各組織充填剤を載せて創部を被覆し、絆創膏と縫合糸で固定した。3週間後、組織充填材上における創傷治療を組織学的に観察し、皮膚再生の評価を行った。染色方法や観察方法は常法に従った。
製造した組織充填材を以下の手法で評価した。マウス背部皮膚に直径6mmの穴を開けた皮膚欠損創傷モデルマウスを用意し、略球体(直径:約6mm)とした各組織充填剤を載せて創部を被覆し、絆創膏と縫合糸で固定した。3週間後、組織充填材上における創傷治療を組織学的に観察し、皮膚再生の評価を行った。染色方法や観察方法は常法に従った。
結果を図1に示す。尚、参考のために、正常皮膚組織の画像と創傷後の瘢痕組織の画像も示す。
正常な皮膚組織は細胞の周囲に適度な量のコラーゲンが存在し、コラーゲンは様々な方向に流紋を形成していた。創傷後の瘢痕組織は炎症細胞の浸潤のため、細胞数が多めであり、流紋の形成は見られなかった。
実施例4の組織充填材を用いた場合では、細胞集団の周囲をコラーゲン線維の構造体が隔て、流紋を形成しており、真皮に似た構造の組織を形成した。
一方で、比較例1のテルダーミスを用いた場合では、細胞の進入及び生着細胞数が十分でなかった。また、比較例2のペルナックを用いた場合では、瘢痕組織との混合組織となっていた。比較例1のテルダーミスを用いた場合も、比較例2のペルナックを用いた場合も、ハニカム構造の内腔を瘢痕組織が満たしている構造となっており、真皮の構造とは異なっていた。比較例3の組織充填材を用いた場合では、殆どのコラーゲンが分解され、移植片は瘢痕組織に置換されていた。
正常な皮膚組織は細胞の周囲に適度な量のコラーゲンが存在し、コラーゲンは様々な方向に流紋を形成していた。創傷後の瘢痕組織は炎症細胞の浸潤のため、細胞数が多めであり、流紋の形成は見られなかった。
実施例4の組織充填材を用いた場合では、細胞集団の周囲をコラーゲン線維の構造体が隔て、流紋を形成しており、真皮に似た構造の組織を形成した。
一方で、比較例1のテルダーミスを用いた場合では、細胞の進入及び生着細胞数が十分でなかった。また、比較例2のペルナックを用いた場合では、瘢痕組織との混合組織となっていた。比較例1のテルダーミスを用いた場合も、比較例2のペルナックを用いた場合も、ハニカム構造の内腔を瘢痕組織が満たしている構造となっており、真皮の構造とは異なっていた。比較例3の組織充填材を用いた場合では、殆どのコラーゲンが分解され、移植片は瘢痕組織に置換されていた。
実施例4の組織充填材を用いて、組織充填材による組織再構築が適切に進んでいることを検証するため、血管内皮細胞を以下の方法で染色した。血管内皮細胞は、既知のマーカーであるCD31をもとに染色した。染色方法は常法に従った。
結果を図2に示す。多孔質コラーゲンスポンジに進入した細胞は、外壁のコラーゲンを足場として定着し集団を形成した。この時点で線維状コラーゲンは分解され、又は生体に吸収されていた。多孔質コラーゲンスポンジのハニカム構造の外壁が膨潤することによって難分解性コラーゲンの隔壁を形成し、それが流紋を形成することで一方向に細胞を配向させず、傷跡の拘縮を抑止していた。マーカーCD31の染色によって、細胞の集団に沿って毛細血管が張り巡らされていることが分かった。
また、架橋方法の違いが皮膚再生に与える影響について、結果を図3に示す。実施例4の組織充填材を用いた場合では、多孔質コラーゲンスポンジのハニカム構造の外壁が十分に膨潤し、貯留液の吸収、過剰な免疫反応の抑制が観察された。一方で、実施例1~3、5、6の組織充填材を用いた場合では、いずれも組織充填材として利用できる程度ではあるが、いずれも滲出液の貯留と、多数の好中球の集簇が観察された。
また、多孔質コラーゲンスポンジが有する貫通穴の態様が皮膚再生に与える影響について、結果を図4に示す。図中の破線は、移植片の形状を示す。
実施例4の組織充填材を用いた場合、実施例7の組織充填材を用いた場合、及び実施例8の組織充填材を用いた場合のすべてで、細胞の進入と、それを取り囲む多孔質コラーゲンスポンジのハニカム構造の外壁の膨潤が観察された。実施例4の組織充填材を用いた場合では、多孔質コラーゲンスポンジが元の形状を維持していたが、実施例7の組織充填材を用いた場合、及び実施例8の組織充填材を用いた場合では、組織充填材として利用できる程度ではあるが、多孔質コラーゲンスポンジの若干の萎縮が観察された。
実施例4の組織充填材を用いた場合、実施例7の組織充填材を用いた場合、及び実施例8の組織充填材を用いた場合のすべてで、細胞の進入と、それを取り囲む多孔質コラーゲンスポンジのハニカム構造の外壁の膨潤が観察された。実施例4の組織充填材を用いた場合では、多孔質コラーゲンスポンジが元の形状を維持していたが、実施例7の組織充填材を用いた場合、及び実施例8の組織充填材を用いた場合では、組織充填材として利用できる程度ではあるが、多孔質コラーゲンスポンジの若干の萎縮が観察された。
また、多孔質コラーゲンスポンジの作成のためのゲル化の際に用いたコラーゲン溶液中のコラーゲン濃度に対する、多孔質コラーゲンスポンジをコラーゲン溶液に浸漬してゲル化する際のコラーゲン溶液中のコラーゲン濃度の割合が皮膚再生に与える影響について、結果を図5に示す。
実施例4の組織充填材を用いた場合、及び実施例9の組織充填材を用いた場合のいずれにおいても、細胞の進入と、それを取り囲む多孔質コラーゲンスポンジのハニカム構造の外壁の膨潤が観察された。実施例4の組織充填材を用いた場合では、真皮に近い密度の組織を形成した。また、実施例9の組織充填材を用いた場合では、実施例4の組織充填材を用いた場合と比較してより隙間が多く緩い組織を形成したため、密度が低い軟組織などへの移植に適している。
実施例4の組織充填材を用いた場合、及び実施例9の組織充填材を用いた場合のいずれにおいても、細胞の進入と、それを取り囲む多孔質コラーゲンスポンジのハニカム構造の外壁の膨潤が観察された。実施例4の組織充填材を用いた場合では、真皮に近い密度の組織を形成した。また、実施例9の組織充填材を用いた場合では、実施例4の組織充填材を用いた場合と比較してより隙間が多く緩い組織を形成したため、密度が低い軟組織などへの移植に適している。
Claims (10)
- 内部にハニカム構造を含む多孔質コラーゲンスポンジ、及び
該ハニカム構造の内腔に収容された線維状コラーゲン
を含む、組織充填材。 - 前記多孔質コラーゲンスポンジの一方の表面から他方の表面に貫通する複数の貫通穴を有する、請求項1に記載の組織充填材。
- 前記線維状コラーゲンが、前記多孔質コラーゲンスポンジの孔を通じて前記ハニカム構造の隣接する内腔同士に跨るように配置されている、請求項1又は2に記載の組織充填材。
- 前記線維状コラーゲンが、前記貫通穴を通じて前記ハニカム構造の二以上の内腔を跨るように配置されている、請求項2又は3に記載の組織充填材。
- 前記多孔質コラーゲンスポンジが熱架橋され、かつ前記線維状コラーゲンが架橋されていない、請求項1~4いずれか一項に記載の組織充填材。
- 前記多孔質コラーゲンスポンジの表面の少なくとも一方がコラーゲン薄膜で被覆されている、請求項1~5のいずれか一項に記載の組織充填材。
- 人工真皮である、請求項6に記載の組織充填材。
- 内部にハニカム構造を含む多孔質コラーゲンスポンジを準備する工程、
該準備工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジを架橋する工程、
該架橋工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジの一方の表面から他方の表面に貫通する複数の貫通穴を形成する工程、
該貫通穴形成工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジをコラーゲン溶液に浸漬する工程、
該浸漬工程により該多孔質コラーゲンスポンジに含ませたコラーゲンをゲル化してゲル体を形成する工程、
該ゲル体形成工程後に、該ゲル体の溶媒を2-メチル-2-プロパノールに置換する工程、及び、
該置換工程後に、該2-メチル-2-プロパノールを除去する工程
を含む、組織充填材の製造方法。 - 内部にハニカム構造を含む多孔質コラーゲンスポンジを準備する工程、
該準備工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジを架橋する工程、
該架橋工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジの一方の表面から他方の表面に貫通する複数の貫通穴を形成する工程、
該貫通穴形成工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジをコラーゲン溶液に浸漬する工程、
該浸漬工程により該多孔質コラーゲンスポンジに含ませたコラーゲンをゲル化してゲル体を形成する工程、
該ゲル体形成工程後に、該多孔質コラーゲンスポンジの表面の少なくとも一方にコラーゲン溶液を塗布する工程、
該塗布工程後に、該ゲル体の溶媒及び該塗布したコラーゲン溶液の溶媒を2-メチル-2-プロパノールに置換する工程、及び、
該置換工程後に、該2-メチル-2-プロパノールを除去する工程
を含む、組織充填材の製造方法。 - 前記組織充填材が人工真皮である、請求項9に記載の製造方法。
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JP2020162634A JP2022055185A (ja) | 2020-09-28 | 2020-09-28 | 組織充填材 |
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JP2020162634A Pending JP2022055185A (ja) | 2020-09-28 | 2020-09-28 | 組織充填材 |
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