JP2022054759A - スパイクシューズ - Google Patents

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【課題】投球動作時や打撃動作時に足に感じる違和感を解消し、体重移動をスムーズに行って、力強い投球や打撃が可能となるスパイクシューズを提供する。【解決手段】アウトソール1の基底面1aに隆起する複数の土台部2が配置され、これらの土台部2から金属製のスパイク3の板状の歯が突出するスパイクシューズにおいて、アウトソール1の前足部内甲側領域に位置するスパイク3は、歯がアウトソール1の長手方向の周縁に並行するように配置され、このスパイク3を保持する土台部2には、スパイク3の歯の根元側からアウトソール1の内甲側周縁1bにかけて、アウトソール1の基底面1aからの隆起高さが減少する傾斜面2aが形成されているものとする。【選択図】図1

Description

特許法第30条第2項適用申請有り 提供日 令和2年6月1日、令和2年7月7日 提供場所 阪神甲子園球場 阪神タイガースロッカー(兵庫県西宮市甲子園町1-82)
この発明は、野球の投球動作や打撃動作に適したスパイクシューズに関する。
従来、野球用のスパイクシューズとして、下記特許文献1乃至2に記載されたようなものが知られている。
特許文献1に記載のスパイクシューズでは、アウトソールの前足部に配置された金属製の複数のスパイクが根元で連結されており、その連結部がアウトソールの主な接地面となる基底面にリベットにより固定されている。そして、スパイクの歯のうち、前足部内甲側領域に位置するものがアウトソールの基底面に対して根元から内側へ傾けられている。
これにより、投手の投球動作や打者の打撃動作において、軸足のスパイクのアウトソールの基底面に対して傾いた歯が地面に直角に食い込みやすくなり、地面に対する係合力が増大して、軸足が安定するとされている。
また、特許文献2には、アウトソールの基底面に隆起する複数の土台部が配置され、これらの土台部から金属製のスパイクの板状の歯が突出し、アウトソールの前足部内甲側に位置するスパイクの土台部がアウトソールの周縁から離れて存在しているスパイクシューズが記載されている。このスパイクシューズでは、打撃動作時に地面との間に最適な係合力が生じるとされている。
特開2014-124401号公報 特開2018-68944号公報
ところで、投手がマウンドから投球する際には、プレートに軸足を掛け、本塁方向へ軸足を蹴り出す。このとき、スパイクシューズは、軸足の母指球付近に対応するアウトソールの前足部内甲側が地面に強く押し付けられ、外甲側が浮き上がるように傾く。
この軸足の蹴り出し時に、特許文献1に記載されたようなスパイクシューズでは、アウトソールの前足部内甲側が地面に強く押し付けられたとき、金属製のスパイクの連結部やリベットによる突き上げ感を感じる場合があり、この突き上げ感が違和感となって投球に悪影響を与える恐れがある。また、前足部内甲側のスパイクの根元から内側へ傾斜した歯により抵抗が生じ、違和感を感じることがある。
一方、特許文献2に記載のスパイクシューズでは、投手が使用して投球する場合の軸足において、図11(I)に示すように、アウトソール51が地面に平行になった状態から軸足を蹴り出すと、図11(II)に示すように、アウトソール51の内側の土台部52の側端部を軸にしてアウトソール51が傾き始め、その後、図11(III)に示すように、アウトソール51の内甲側周縁が接地する。
また、踏み出した足が着地する際、図12(I)に示すように、アウトソール51が傾いた状態で、アウトソール51の内甲側周縁と内側の土台部52の側端部とが接地し、図12(II)に示すように、アウトソール51の傾きが小さくなるにしたがって、アウトソール51の内甲側周縁が地面から離れ、その後、図12(III)に示すように、アウトソール51が地面に平行になる。
このように、アウトソールの前足部内甲側において、空間を介して分散した小さな面積の土台部52の側端部とアウトソール51の内甲側周縁とで段階的に地面からの反力を受け止めると、アウトソール51から足に伝わる感覚に違和感が生じ、軸足で地面を強く蹴ることができず、また、踏み出した足で体が流れないようにしっかりと踏み留まることができず、投球動作における体重移動の連続性に悪影響が及ぶ恐れがある。
同様に、打者の打撃動作時においても、踏み出した足でしっかりと踏み留まることができず、スムーズな体重移動に支障が生じる恐れがある。
そこで、この発明は、投球動作時や打撃動作時に足に感じる違和感を解消し、体重移動をスムーズに行って、力強い投球や打撃が可能となるスパイクシューズを提供しようとするものである。
上記のような課題を解決するため、この発明は、アウトソールの基底面に隆起する複数の土台部が配置され、これらの土台部から金属製のスパイクの板状の歯が突出するスパイクシューズにおいて、
前記アウトソールの前足部内甲側領域に位置するスパイクは、歯が前記アウトソールの長手方向の周縁に並行するように配置され、
前記スパイクを保持する土台部には、前記スパイクの歯の根元側から前記アウトソールの内甲側周縁にかけて、前記アウトソールの基底面からの隆起高さが減少する傾斜面が形成されているものとしたのである。
また、前記スパイクの歯は、平面視で前記アウトソールの内甲側周縁に沿うように湾曲しており、前記土台部の傾斜面も前記アウトソールの内甲側周縁に沿うように湾曲しているものとしたのである。
また、前記傾斜面を有する土台部同士の間には、これらの土台部と前記アウトソールの基底面からの高さが同一となるように隆起する補助支持部が設けられ、
前記補助支持部には、頂部から前記アウトソールの内甲側周縁にかけて、前記土台部の傾斜面と同一の角度の傾斜面が形成されているものとしたのである。
また、前記補助支持部と、前記アウトソールの長手方向でその前後に配置されている前記土台部とは、溝状部分を介して分断されているものとしたのである。
さらに、前記アウトソールの長手方向における前記補助支持部の長さは、その前後に配置されている前記土台部同士の間隔の50%以上の大きさを有するものとしたのである。
この発明に係るスパイクシューズでは、足の母指球側のスパイクの土台部にアウトソールの内甲側周縁との空間を埋める傾斜面が存在し、投手が投球時に軸足を蹴り出す際、アウトソールの傾きに伴い、前足部内甲側領域に位置するスパイクの土台部の広い傾斜面が接地して、この傾斜面で蹴り出す力を受け止めるため、違和感を感じることなく、軸足で地面を強く蹴って、体の重心を移動させ、スムーズに次の動作に移ることができる。
そして、踏み出した足が着地する際、アウトソールが傾いた状態で、前足部内甲側領域に位置するスパイクの土台部の広い傾斜面が接地して、この傾斜面で体重移動を受け止めるため、踏み出した足で体が流れないようにしっかりと踏み留まることができ、充分に体重が乗った力強く正確なコントロールの投球が可能となる。
また、打者が打撃を行う際においても、軸足で立った状態から投手方向へ体重を移動させていき、これに伴い、踏み出した足が着地するとき、アウトソールが傾いた状態で、前足部内甲側領域に位置するスパイクの土台部の広い傾斜面が接地して、この傾斜面で体重移動を受け止めるため、踏み出した足で体が流れないように踏み留まることができ、しっかりと体が支えられた状態で、強い回転を生む打撃が可能となる。
この発明に係るスパイクシューズの実施形態をアッパー側から示す斜視図 同上のスパイクシューズの実施形態を底面側から示す斜視図 同上のアウトソールを示す底面図 同上の前足部内甲側領域を示す拡大底面図 図4のV-V線に沿った断面図 投手の投球動作(軸足の蹴り出し時)を示す図 この発明における軸足の蹴り出し時の作用概略図 投手の投球動作(踏み出した足の着地時)を示す図 この発明における踏み出した足の着地時の作用概略図 打者の打撃動作(踏み出した足の着地時)を示す図 従来のスパイクシューズにおける軸足の蹴り出し時の作用概略図 同上の踏み出した足の着地時の作用概略図
以下、この発明の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
図1及び図2に示すように、このスパイクシューズ10は、アッパー11とソール12とから構成され、ソール12のアウトソール1は、合成樹脂製とされている。アウトソール1の主な接地面となる基底面1aには、隆起する複数の土台部2が配置され、これらの土台部から金属製のスパイク3の板状の歯が突出している。
スパイク3は、歯に対して基部が直角に折れ曲がり、土台部2に基部が埋め込まれてアウトソール1に保持されている(図5参照)。スパイク3の歯のエッジとなる先端部は、安全性を考慮して、縦方向断面で曲面となるように仕上げられている。
図3に示すように、アウトソール1の前足部内甲側領域には、スパイク3がアウトソール1の長手方向に並んで複数個(この実施形態では3個)設けられている。
アウトソール1の前足部内甲側領域に位置するスパイク3は、歯がアウトソール1の長手方向の周縁に並行するように配置され、これらのスパイク3の歯は、平面視でアウトソール1の内甲側周縁1bに沿うように湾曲している。
なお、スパイク3の歯は、図示した形状に限られず、平面視でアウトソール1の内甲側周縁1bに並行する配置であれば、屈曲していてもよく、平板状であってもよい。
図4及び図5に示すように、これらのスパイク3のうち、前寄り(爪先寄り)の2個を保持する土台部2には、スパイク3の歯の露出部分の根元側からアウトソール1の内甲側周縁1bにかけて、アウトソール1の基底面1aからの隆起高さが減少する傾斜面2aが形成されている。
これらの土台部2の傾斜面2aもまた、アウトソール1の内甲側周縁1bに沿うように湾曲している。
また、傾斜面2aを有する土台部2同士の間には、これらの土台部2とアウトソール1の基底面1aからの高さが同一となるように隆起する補助支持部4が設けられ、補助支持部4には、頂部からアウトソール1の内甲側周縁1bにかけて、土台部2の傾斜面2aと同一の角度の傾斜面4aが形成されている。
そして、補助支持部4と、アウトソール1の長手方向でその前後に配置されている土台部2とは、基底面1aの延長である溝状部分1cを介して分断されている。
アウトソール1の長手方向における補助支持部4の長さSは、その前後に配置されている土台部2同士の間隔Bの50%以上の大きさを有するものとされ、この実施形態では、約70%とされている。
いま、図6に示すように、上記のようなスパイクシューズ10を履いた投手がマウンドから投球する際には、まず、体20を支える軸足21をプレートPに触れつつ、反対側の踏出足22を前方向(打者方向)に上げ、軸足21で蹴り出して、体20の重心を前方向に移動させていく。
このとき、軸足21に履いたスパイクシューズ10においては、図7(I)に示すように、アウトソール1の基底面1aが地面に平行な状態から、図7(II)に示すように、アウトソール1が傾き始め、前足部内甲側領域に位置するスパイク3の土台部2の広い傾斜面2aが接地して、この傾斜面2aで蹴り出す力を受け止める。その後、図7(III)に示すように、アウトソール1の内甲側周縁1bが接地することとなる。
このため、土台部2から空間を介して離れたアウトソール1の内甲側周縁1bが、体重移動から遅れて接地するような違和感を感じることなく、図6に示すように、軸足21で力の損失が極力生じないように地面を強く蹴って、体20の重心を移動させ、スムーズに次の動作に移ることができる。
そして、図8に示すように、前方向へ踏み出した踏出足22が着地すると、踏出足22に履いたスパイクシューズ10においては、図9(I)に示すように、アウトソール1が傾いた状態で、前足部内甲側領域に位置するスパイク3の土台部2の広い傾斜面2aが接地して、この傾斜面2aで体重移動を受け止めるため、踏出足22で体が流れないようにしっかりと踏み留まることができる。
続いて、図9(II)に示すように、アウトソール1が水平方向へ向くにしたがい、アウトソール1の内甲側周縁1bが地面から離れ、その後、図9(III)に示すように、アウトソール1が地面に平行になると、アウトソール1の内側と外側のスパイク3の歯がともに地面の土に食い込んだ状態となる。
このように、一連の投球動作において、前足部内甲側領域に位置するスパイク3の土台部2の広い傾斜面2aにより、体重移動が安定して受け止められるので、充分に体重が乗った力強く正確なコントロールの投球が可能となる。
一方、図10に示すように、上記のようなスパイクシューズ10を履いた打者の打撃動作に際しては、まず、体30を支える軸足31の太腿の内側の内転筋に力を入れ、次第に重心を前方向(投手方向)へ移動させていき、反対側の踏出足32を着地する。
このとき、図9(I)に示すように、アウトソール1が傾いた状態で、前足部内甲側領域に位置するスパイク3の土台部2の広い傾斜面2aが接地して、この傾斜面2aで体重移動を受け止めるため、踏み出した足で体が流れないように踏み留まることができる。
続いて、図9(II)に示すように、アウトソール1が水平方向へ向くにしたがい、アウトソール1の内甲側周縁1bが地面から離れ、図9(III)に示すように、アウトソール1の内側と外側のスパイク3の歯がともに地面の土に食い込んだ状態となる。
このように、一連の打撃動作において、前足部内甲側領域に位置するスパイク3の土台部2の広い傾斜面2aにより、体重移動が安定して受け止められるので、しっかりと体が支えられた状態で、強い回転を生む打撃が可能となる。
また、図1乃至図3に示すように、上記のようなスパイクシューズ10では、スパイク3が1つずつ樹脂製のアウトソール1の土台部2に基部を埋め込むことにより保持されているため、スパイク3同士を連結する金属製の連結部がなく、スパイク3をアウトソール1に固定するリベットもないため、突き上げ感を感じることがなくなり、軽量化を図ることもできる。
さらに、傾斜面2aを有する土台部2同士の間に、これらの土台部2と同様に傾斜面4aを有する補助支持部4を備えているので、投球動作や打撃動作で強い力が作用するアウトソール1の前足部内甲側領域において、土台部2だけでなく、補助支持部4によっても体重移動をスムーズに安定して受け止めることができる。
また、図4に示すように、アウトソール1の長手方向において、補助支持部4とその前後に配置されている土台部2とは、溝状部分1cを介して分断され、補助支持部4の長さSは、その前後に配置されている土台部2同士の間隔Bの50%以上の大きさを有するものとされているので、アウトソール1の前足部内甲側領域が接地する際、補助支持部4とその前後の土台部2とが一体となって体重移動を効果的に受け止める役割を果たすとともに、アウトソール1の前足部での屈曲を妨げないエリアが確保されることになる。
1 アウトソール
1a 基底面
1b 内甲側周縁
1c 溝状部分
2 土台部
2a 傾斜面
3 スパイク
4 補助支持部
4a 傾斜面
10 スパイクシューズ
11 アッパー
12 ソール
20 体(投手)
21 軸足
22 踏出足
30 体(打者)
31 軸足
32 踏出足

Claims (5)

  1. アウトソール(1)の基底面(1a)に隆起する複数の土台部(2)が配置され、これらの土台部(2)から金属製のスパイク(3)の板状の歯が突出するスパイクシューズにおいて、
    前記アウトソール(1)の前足部内甲側領域に位置するスパイク(3)は、歯が前記アウトソール(1)の長手方向の内甲側周縁(1b)に並行するように配置され、
    前記スパイク(3)を保持する土台部(2)には、前記スパイク(3)の歯の根元側から前記アウトソール(1)の内甲側周縁(1b)にかけて、前記アウトソール(1)の基底面(1a)からの隆起高さが減少する傾斜面(2a)が形成されていることを特徴とするスパイクシューズ。
  2. 前記スパイク(3)の歯は、平面視で前記アウトソール(1)の内甲側周縁(1b)に沿うように湾曲しており、前記土台部(2)の傾斜面(2a)も前記アウトソール(1)の内甲側周縁(1b)に沿うように湾曲していることを特徴とする請求項1に記載のスパイクシューズ。
  3. 前記傾斜面(2a)を有する土台部(2)同士の間には、これらの土台部(2)と前記アウトソール(1)の基底面(1a)からの高さが同一となるように隆起する補助支持部(4)が設けられ、
    前記補助支持部(4)には、頂部から前記アウトソール(1)の内甲側周縁(1b)にかけて、前記土台部(2)の傾斜面(2a)と同一の角度の傾斜面(4a)が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のスパイクシューズ。
  4. 前記補助支持部(4)と、前記アウトソール(1)の長手方向でその前後に配置されている前記土台部(2)とは、溝状部分(1c)を介して分断されていることを特徴とする請求項3に記載のスパイクシューズ。
  5. 前記アウトソール(1)の長手方向における前記補助支持部(4)の長さ(SL)は、その前後に配置されている前記土台部(2)同士の間隔(BL)の50%以上の大きさを有することを特徴とする請求項3又は4に記載のスパイクシューズ。
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