JP2022054392A - プラズマ処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】被処理体の中央部及びエッジ部でのイオンとラジカルとの比率を独立に制御する。【解決手段】プラズマ処理装置は、被処理体が載置される載置面を有する載置台が内部に設けられ、プラズマ処理が実施される処理容器と、載置台の載置面に対向する対向面を有する誘電体と、誘電体の対向面とは反対側の面に設けられ、誘電体を介して誘導電界を導入することによりプラズマを生成するアンテナと、処理容器の外周の、載置台の載置面よりも高い位置に設けられ、載置台の載置面の上方に第1の磁場を形成する第1の電磁石群と、載置台の内部に設けられた第2の電磁石群と、処理容器の外周の、第2の電磁石群に対応する位置に設けられ、載置台の載置面の周囲に第2の磁場を形成する第3の電磁石群とを有する。【選択図】図1
Description
本開示は、プラズマ処理装置に関する。
誘導電界によるプラズマの励起を利用して半導体ウエハ等の被処理体に対してプラズマ処理を行うプラズマ処理装置がある。このようなプラズマ処理装置は、誘導結合型プラズマ処理装置と呼ばれる。
特許文献1には、被処理体を収容する処理容器の外周に沿って電磁石群を設け、処理容器内にプラズマを横断する磁場やプラズマの周囲を囲む磁場を形成することにより、被処理体に到達するイオンの量を抑制する、誘導結合型プラズマ処理装置が開示されている。
本開示は、被処理体の中央部及びエッジ部でのイオンとラジカルとの比率を独立に制御することができる技術を提供する。
本開示の一態様によるプラズマ処理装置は、被処理体が載置される載置面を有する載置台が内部に設けられ、被処理体に対するプラズマ処理が実施される処理容器と、前記載置台の載置面に対向する対向面を有する誘電体と、前記誘電体の対向面とは反対側の面に設けられ、前記誘電体を介して前記処理容器内に誘導電界を導入することによりプラズマを生成するアンテナと、前記処理容器の外周の、前記載置台の載置面よりも高い位置に設けられ、前記載置台の載置面の上方に前記処理容器を横断する第1の磁場を形成する第1の電磁石群と、前記載置台の外周に沿って前記載置台の内部に設けられた第2の電磁石群と、前記処理容器の外周の、前記第2の電磁石群に対応する位置に設けられ、前記第2の電磁石群と協働して前記載置台の載置面の周囲に第2の磁場を形成する第3の電磁石群とを有する。
本開示によれば、被処理体の中央部及びエッジ部でのイオンとラジカルとの比率を独立に制御することができるという効果を奏する。
以下、図面を参照して本願の開示するプラズマ処理装置の実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を付すこととする。また、本実施形態により、開示する処理装置が限定されるものではない。
ところで、処理容器の外周に沿って電磁石群を設ける誘導結合型プラズマ処理装置では、被処理体の中央部及びエッジ部でのイオンとラジカルとの比率を独立に制御する点で改善の余地があった。
そこで、被処理体の中央部及びエッジ部でのイオンとラジカルとの比率を独立に制御することが期待されている。
(プラズマ処理装置の構成例)
まず、本実施形態にかかるプラズマ処理装置100の構成例について図面を参照しながら説明する。ここでは、平面状の高周波アンテナに高周波電力を印加して処理容器内に励起した処理ガスのプラズマによって、被処理体である半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」とも称する)Wに所定のプラズマ処理を施す誘導結合型プラズマ処理装置を例に挙げる。図1は、本実施形態に係るプラズマ処理装置100の概略構成を示す断面図である。
まず、本実施形態にかかるプラズマ処理装置100の構成例について図面を参照しながら説明する。ここでは、平面状の高周波アンテナに高周波電力を印加して処理容器内に励起した処理ガスのプラズマによって、被処理体である半導体ウエハ(以下、単に「ウエハ」とも称する)Wに所定のプラズマ処理を施す誘導結合型プラズマ処理装置を例に挙げる。図1は、本実施形態に係るプラズマ処理装置100の概略構成を示す断面図である。
図1に示すように、プラズマ処理装置100は、金属製(例えばアルミニウム製)の筒状(例えば円筒状)に形成された処理容器(チャンバ)102を備える。なお、処理容器102の形状は円筒状に限られるものではない。例えば角筒状(例えば箱状)であってもよい。
処理容器102の底部には、ウエハWを載置するための載置台110が設けられている。載置台110は、アルミニウムなどで略柱状(例えば円柱状)に成形されている。載置台110の上面は、ウエハWの載置される載置面110aとされている。なお、載置台110の形状についても円柱状に限られるものではない。例えば角柱状(例えば多角柱状)であってもよい。なお、図示はしないが、載置台110にはウエハWをクーロン力により吸着保持する静電チャック、ヒータや冷媒流路などの温度調整機構等、必要に応じて様々な機能を設けることができる。
処理容器102の天井部には、例えば石英ガラスやセラミックなどで構成された板状の誘電体104が載置台110に対向するように設けられている。具体的には誘電体104は例えば円板状に形成され、処理容器102の天井部に形成された開口を塞ぐように気密に取り付けられている。誘電体104は、載置台110の載置面110aに対向する対向面104aを有する。
処理容器102には、ウエハWを処理するための処理ガスなどを供給するガス供給部120が設けられている。ガス供給部120は例えば図1に示すように構成される。すなわち、処理容器102の側壁部にはガス導入口121が形成されており、ガス導入口121にはガス供給配管123を介してガス供給源122が接続されている。ガス供給配管123の途中には処理ガスの流量を制御する流量制御器、例えばマスフローコントローラ124、開閉バルブ126が介在している。ガス供給部120によれば、ガス供給源122からの処理ガスは、マスフローコントローラ(MFC)124により所定の流量に制御されて、ガス導入口121から処理容器102内に供給される。
図1では説明を簡単にするため、ガス供給部120を一系統のガスラインで表現しているが、ガス供給部120は単一のガス種の処理ガスを供給する場合に限られるものではなく、複数のガス種を処理ガスとして供給するものであってもよい。この場合には、複数のガス供給源を設けて複数系統のガスラインで構成し、各ガスラインにマスフローコントローラを設けてもよい。また、図1ではガス供給部120を処理容器102の側壁部からガスを供給するように構成した場合を例に挙げているが、必ずしもこれに限られるものではない。例えば処理容器102の天井部からガスを供給するように構成してもよい。この場合には、例えば誘電体104の例えば中央にガス導入口を形成し、そこからガスを供給するようにしてもよい。
ガス供給部120により処理容器102内に供給する処理ガスとしては、例えば酸化膜のエッチングでは、CとFを含むフルオロカーボン系ガスが用いられる。具体的にはSiO2膜などのシリコン酸化膜をエッチングする場合には、CHF3ガスなどが処理ガスとして用いられる。また、HfO2、HfSiO2、ZrO2、ZrSiO4などの高誘電体薄膜をエッチングする場合には、BCl3ガスを処理ガスとしたり、BCl3ガスとO2ガスとの混合ガスを処理ガスとして用いられる。
処理容器102の底部には、処理容器102内の雰囲気を排出する排気部130が排気管132を介して接続されている。排気部130は例えば真空ポンプにより構成され、処理容器102内を所定の圧力まで減圧し得るようになっている。処理容器102の側壁部にはウエハ搬出入口134が形成され、ウエハ搬出入口134にはゲートバルブ136が設けられている。例えばウエハWの搬入する際には、ゲートバルブ136を開いて図示しない搬送アームなどの搬送機構によってウエハWを処理容器102内の載置台110上に載置し、ゲートバルブ136を閉じてウエハWの処理を行う。
誘電体104の対向面104aの反対側の面104bには、平面状の高周波アンテナ140が配置される。高周波アンテナ140は、誘電体104を介してプラズマ励起用の誘導電界を処理容器102内に導入する。高周波アンテナ140は、例えば銅、アルミニウム、ステンレスなどの導体で構成された渦巻き状のアンテナ素子142を複数の挟持体144で挟持してなる。
アンテナ素子142には、高周波電源150が接続されている。高周波電源150は、所定の周波数(例えば27.12MHz)の高周波電力をアンテナ素子142に供給する。そして、高周波電力が供給されたアンテナ素子142により、誘電体104を介して処理容器102内に誘導電界が導入される。そして、処理容器102内に導入された誘導電界により、処理容器102内に導入されたガスが励起されプラズマが生成される。これにより、アッシング処理、エッチング処理、成膜処理などウエハWに対する所定のプラズマ処理が実行される。高周波電源150から出力される高周波電力は、27.12MHzに限られるものではない。例えば13.56MHz、60MHzなどであってもよい。但し、高周波電源150から出力される高周波電力に応じてアンテナ素子142の電気的長さを調整する必要がある。
なお、高周波アンテナ140は、アクチュエータ148によって高さ調整ができるようになっている。
処理容器102の天井部には、高周波アンテナ140を覆うように略筒状(例えば円筒状)のシールド部材160が設けられている。なお、シールド部材160の形状は、円筒状に限られるものではない。シールド部材160の形状を例えば角筒状など他の形状にしてもよいが、処理容器102の形状に合わせることが好ましい。ここでは、例えば処理容器102を略円筒状としているので、シールド部材160も略円筒状に形成している。また、処理容器102が略角筒状であれば、シールド部材160も略角筒状とするのが好ましい。なお、シールド部材160は、アクチュエータ168によって高さ調整ができるようになっている。
処理容器102の外周には、第1の電磁石群170が設けられている。例えば、処理容器102の側壁の外側面には、処理容器102及び載置台110の中心軸を中心として同心円状に第1の電磁石群170が設けられている。第1の電磁石群170は、載置台110の載置面110aよりも高い位置となるように、処理容器102の側壁の外側面に設けられている。第1の電磁石群170は、載置台110の載置面110aの上方にプラズマを横断する磁場を形成する。第1の電磁石群170の構成については、後述する。
処理容器102内の載置台110の内部には、第2の電磁石群180が設けられている。本実施形態では、載置台110に、処理容器102内に露出しない空洞状の内部空間110bが形成される。そして、内部空間110bの内壁面に、載置台110の外周に沿って第2の電磁石群180が設けられている。例えば、内部空間110bの内壁面には、処理容器102及び載置台110の中心軸を中心として同心円状に第2の電磁石群180が設けられている。第2の電磁石群180は、載置台110の内部(つまり、内部空間110bの内壁面)に設けられることにより、載置台110の載置面110aよりも低い位置に配置される。
処理容器102の外周には、第3の電磁石群190が設けられている。例えば、処理容器102の側壁の外側面には、処理容器102及び載置台110の中心軸を中心として同心円状に第3の電磁石群190が設けられている。第3の電磁石群190は、第2の電磁石群180に対応する位置となるように、処理容器102の側壁の外側面に設けられている。本実施形態では、第3の電磁石群190は、第2の電磁石群180と同一の高さ位置となるように、処理容器102の側壁の外側面に設けられている。なお、第3の電磁石群190は、第2の電磁石群180と同一の高さ位置よりも高い位置に設けられてもよい。第3の電磁石群190は、第2の電磁石群180と協働して載置台の載置面110aの周囲に磁場を形成する。第2の電磁石群180及び第3の電磁石群190の構成については、後述する。
プラズマ処理装置100には、CPUを備える制御部200が接続されており、この制御部200によってプラズマ処理装置100の各部が制御される。また、制御部200には、オペレータがプラズマ処理装置100を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボードや、プラズマ処理装置100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイ等からなる操作部210が接続されている。
さらに、制御部200には、プラズマ処理装置100で実行される各種処理を制御部200の制御にて実現するためのプログラムやプログラムを実行するために必要なレシピデータなどが記憶された記憶部220が接続されている。
記憶部220には、例えばウエハWのプロセス処理を実行させるための複数のプロセス処理レシピの他、処理容器102内のクリーニング処理など必要な処理を行うためのレシピなどが記憶されている。レシピは、プラズマ処理装置100の各部を制御する制御パラメータ、設定パラメータなどの複数のパラメータ値をまとめたデータである。例えばプロセス処理レシピは、例えば処理ガスの流量比、処理容器内圧力、高周波電力などのパラメータ値を有する。
なお、レシピはハードディスクや半導体メモリに記憶されていてもよく、またCD-ROM、DVD等の可搬性のコンピュータにより読み取り可能な記憶媒体に収容された状態で記憶部220の所定位置にセットするようになっていてもよい。
制御部200は、操作部210からの指示等に基づいて所望のプロセス処理レシピを記憶部220から読み出して各部を制御することで、プラズマ処理装置100での所望の処理を実行する。また、操作部210からの操作によりレシピを編集できるようになっている。
(第1の電磁石群の構成)
次に、図2を参照して、第1の電磁石群170の構成について説明する。図2は、本実施形態に係る第1の電磁石群170を模式的に示す水平断面図である。図2に示す断面は、処理容器102内の載置台110を上方から見た水平断面に相当する。図2には、円板状に載置台110の載置面110aが示されるとともに、載置台110の載置面110aに載置されたウエハWが示されている。第1の電磁石群170は、処理容器102の外周の、載置台110の載置面110aよりも高い位置に設けられる。
次に、図2を参照して、第1の電磁石群170の構成について説明する。図2は、本実施形態に係る第1の電磁石群170を模式的に示す水平断面図である。図2に示す断面は、処理容器102内の載置台110を上方から見た水平断面に相当する。図2には、円板状に載置台110の載置面110aが示されるとともに、載置台110の載置面110aに載置されたウエハWが示されている。第1の電磁石群170は、処理容器102の外周の、載置台110の載置面110aよりも高い位置に設けられる。
第1の電磁石群170は、複数の電磁石171が処理容器102及び載置台110の中心軸を中心として同心円状(リング状)に配置されて構成される。図2の例では、16個の電磁石171がリング状に配置されている。第1の電磁石群170の周方向に分割された2つのゾーンに配置された電磁石171は、磁極の向きが異なる。すなわち、第1の電磁石群170の周方向に分割された2つのゾーンの一方のゾーンに配置された電磁石171の磁極の向きと他方のゾーンに配置された電磁石171の磁極の向きとが互いに逆向きとなるように、各電磁石171の磁極が設定される。図2の例では、第1の電磁石群170の周方向に分割された左側のゾーンと右側のゾーンとが存在し、左側のゾーンに配置された8個の電磁石171の磁極の向きと、右側のゾーンに配置された8個の電磁石171の磁極の向きとが互いに逆向きとなっている。第1の電磁石群170は、図2のように設定された各電磁石171の磁極に基づいて、載置台110の載置面110aの上方に処理容器102を横断する磁場を形成する。第1の電磁石群170により形成される磁場を、以下では「第1の磁場」と呼ぶ。
プラズマ処理装置100では、アンテナ素子142からの誘導電界により処理容器102内にプラズマが生成された状態で第1の電磁石群170によって第1の磁場が形成される。第1の磁場は、処理容器102内に生成されたプラズマを横断する水平磁場である。処理容器102内に第1の磁場が形成されると、プラズマ中の電子は、水平磁場である第1の磁場の磁力線に巻きついて磁束線に沿って往復運動をする。また、磁束密度が高いほどラーマ半径が小さくなるので、磁束密度が高い磁石の高さの位置の電子密度は高くなり、周辺(磁石中心から上下)の電子密度は低くなる。また、プラズマ中の陽イオンは、電気的中性を保つために電子に引き寄せられるので、陽イオンの高さ方向の密度も磁石中心高さで一番高くなる。第1の磁場は、処理容器102内に生成されたプラズマを横断することにより、載置台110の載置面110aの上方に位置するプラズマ中のイオン(例えば、陽イオン)を捕捉する。これにより、載置台110の載置面110a上のウエハWの中央部及びエッジ部の両方において、ウエハWに到達するイオンの量が抑制される。一方、電気的に中性である、プラズマ中のラジカルは、第1の磁場を透過して、載置台110の載置面110a上のウエハWに向かって降下する。
(第2の電磁石群及び第3の電磁石群の構成)
次に、図3を参照して、第2の電磁石群180及び第3の電磁石群190の構成について説明する。図3は、本実施形態に係る第2の電磁石群180及び第3の電磁石群190を模式的に示す水平断面図である。図3に示す断面は、処理容器102内の載置台110を上方から見た水平断面に相当する。図3には、円板状に載置台110の載置面110aが示されるとともに、載置台110の載置面110aに載置されたウエハWが示されている。第2の電磁石群180は、載置台110の外周に沿って載置台110の内部に設けられ、第3の電磁石群190は、処理容器102の外周の、第2の電磁石群180と同一の高さ位置に設けられる。
次に、図3を参照して、第2の電磁石群180及び第3の電磁石群190の構成について説明する。図3は、本実施形態に係る第2の電磁石群180及び第3の電磁石群190を模式的に示す水平断面図である。図3に示す断面は、処理容器102内の載置台110を上方から見た水平断面に相当する。図3には、円板状に載置台110の載置面110aが示されるとともに、載置台110の載置面110aに載置されたウエハWが示されている。第2の電磁石群180は、載置台110の外周に沿って載置台110の内部に設けられ、第3の電磁石群190は、処理容器102の外周の、第2の電磁石群180と同一の高さ位置に設けられる。
第2の電磁石群180は、複数の電磁石181が処理容器102及び載置台110の中心軸を中心として同心円状(リング状)に配置されて構成される。図3の例では、16個の電磁石181がリング状に配置されている。
第3の電磁石群190は、複数の電磁石191が処理容器102及び載置台110の中心軸を中心として同心円状(リング状)に配置されて構成される。図3の例では、16個の電磁石191が16個の電磁石181と1対1で対応するようにリング状に配置されている。第3の電磁石群190は、第2の電磁石群180とは磁極の向きが異なる。すなわち、全ての電磁石191の磁極の向きと全ての電磁石181の磁極の向きとが互いに逆向きとなるように、各電磁石191の磁極及び各電磁石181の磁極が設定される。図3の例では、16個の電磁石191の磁極の向きと16個の電磁石181の磁極の向きとが互いに逆向きとなっている。第3の電磁石群190及び第2の電磁石群180は、図3のように設定された各電磁石191の磁極及び各電磁石181の磁極に基づいて、載置台110の載置面110aの周囲に載置台110の側面から径方向に放射状に延びる磁場を形成する。第3の電磁石群190及び第2の電磁石群180により形成される、径方向に放射状に延びる磁場を、以下では「第2の磁場」と呼ぶ。
プラズマ処理装置100では、アンテナ素子142からの誘導電界により処理容器102内にプラズマが生成された状態で第1の電磁石群170によって第1の磁場が形成され且つ第2の電磁石群180及び第3の電磁石群190によって第2の磁場が形成される。第1の磁場は、処理容器102内に生成されたプラズマを横断する水平磁場であり、第2の磁場は、載置台110の載置面110aの周囲において形成される水平磁場である。処理容器102内に第1の磁場及び第2の磁場が形成されると、プラズマ中の電子は、水平磁場である第1の磁場及び第2の磁場の各々の磁力線に巻きついて磁束線に沿って往復運動をする。また、磁束密度が高いほどラーマ半径が小さくなるので、磁束密度が高い磁石の高さの位置の電子密度は高くなり、周辺(磁石中心から上下)の電子密度は低くなる。また、プラズマ中の陽イオンは、電気的中性を保つために電子に引き寄せられるので、陽イオンの高さ方向の密度も磁石中心高さで一番高くなる。第1の磁場は、処理容器102内に生成されたプラズマを横断することにより、載置台110の載置面110aの上方に位置するプラズマ中のイオン(例えば、陽イオン)を捕捉する。プラズマ中のイオン(例えば、陽イオン)の大部分は、第1の磁場によって捕捉される。しかし、プラズマ中のイオンの他の一部は、第1の磁場によって捕捉されることなく、載置台110の載置面110a上のウエハWに向かって降下する。第2の磁場は、第1の磁場によって捕捉されることなく降下するイオンを載置台110の載置面110aの周囲において捕捉する。これにより、載置台110の載置面110a上のウエハWの中央部付近でのイオン密度が維持されつつ、ウエハWのエッジ部付近でのイオン密度のみが上昇する。一方で、電気的に中性であるプラズマ中のラジカルは、第1の磁場及び第2の磁場からの力を受けることなく、ウエハWに向けて降下する。結果として、ウエハWの中央部及びエッジ部でのイオンとラジカルとの比率を独立に制御することができる。
また、第3の電磁石群190は、処理容器102の外周に沿って上下方向に移動するように構成されてもよい。第3の電磁石群190の移動は、図示しない移動機構によって実現される。図4は、本実施形態に係る第3の電磁石群190の移動を説明するための図である。図4(A)は、第3の電磁石群190が第2の電磁石群180と同一の高さ位置にある状態を示している。アンテナ素子142からの誘導電界により処理容器102内にプラズマが生成された状態で、第3の電磁石群190及び第2の電磁石群180によって載置台110の載置面110aの周囲に第2の磁場Mが形成されている。第3の電磁石群190は、処理容器102の外周に沿って、第2の電磁石群180と同一の高さ位置から上方向に移動する。図4(B)は、第3の電磁石群190が移動した後の状態を示している。第3の電磁石群190が処理容器102の外周に沿って第2の電磁石群180と同一の高さ位置よりも高い位置まで移動することにより、第2の磁場Mは、載置台110の載置面110aの周囲の全周において、載置面110aの外縁に近づく方向に傾斜する。これにより、載置台110の載置面110a上にプラズマが閉じ込められる。これにより、ウエハWのエッジ部付近でのイオン密度の上昇が促進される。結果として、ウエハWのエッジ部でのイオンとラジカルとの比率の制御性を向上させることができる。
(効果)
以上のように、本実施形態に係るプラズマ処理装置100は、処理容器102と、誘電体104と、高周波アンテナ140と、第1の電磁石群170と、第2の電磁石群180と、第3の電磁石群190とを有する。処理容器102は、ウエハWが載置される載置面110aを有する載置台110が内部に設けられ、ウエハWに対するプラズマ処理が実施される。誘電体104は、載置台110の載置面110aに対向する対向面104aを有する。高周波アンテナ140は、誘電体104の対向面104aとは反対側の面104bに設けられ、誘電体104を介して処理容器102内に誘導電界を導入することによりプラズマを生成する。第1の電磁石群170は、処理容器102の外周の、載置台110の載置面110aよりも高い位置に設けられ、載置台110の載置面110aの上方に処理容器102を横断する第1の磁場を形成する。第2の電磁石群180は、載置台110の外周に沿って載置台110の内部に設けられる。第3の電磁石群190は、処理容器102の外周の、第2の電磁石群180に対応する位置に設けられ、第2の電磁石群180と協働して載置台110の載置面110aの周囲に第2の磁場を形成する。これにより、プラズマ処理装置100は、被処理体(一例として、ウエハW)の中央部及びエッジ部でのイオンとラジカルとの比率を独立に制御することができる。
以上のように、本実施形態に係るプラズマ処理装置100は、処理容器102と、誘電体104と、高周波アンテナ140と、第1の電磁石群170と、第2の電磁石群180と、第3の電磁石群190とを有する。処理容器102は、ウエハWが載置される載置面110aを有する載置台110が内部に設けられ、ウエハWに対するプラズマ処理が実施される。誘電体104は、載置台110の載置面110aに対向する対向面104aを有する。高周波アンテナ140は、誘電体104の対向面104aとは反対側の面104bに設けられ、誘電体104を介して処理容器102内に誘導電界を導入することによりプラズマを生成する。第1の電磁石群170は、処理容器102の外周の、載置台110の載置面110aよりも高い位置に設けられ、載置台110の載置面110aの上方に処理容器102を横断する第1の磁場を形成する。第2の電磁石群180は、載置台110の外周に沿って載置台110の内部に設けられる。第3の電磁石群190は、処理容器102の外周の、第2の電磁石群180に対応する位置に設けられ、第2の電磁石群180と協働して載置台110の載置面110aの周囲に第2の磁場を形成する。これにより、プラズマ処理装置100は、被処理体(一例として、ウエハW)の中央部及びエッジ部でのイオンとラジカルとの比率を独立に制御することができる。
また、第3の電磁石群190は、第2の電磁石群180とは磁極の向きが異なってもよい。これにより、プラズマ処理装置100は、第3の電磁石群190の各電磁石の磁極及び第2の電磁石群180の各電磁石の磁極に基づいて載置台110の載置面110aの周囲にイオンを捕捉可能な第2の磁場を形成することができる。
また、第3の電磁石群190は、処理容器102の外周の、第2の電磁石群180と同一の高さ位置、又は第2の電磁石群180と同一の高さ位置よりも高い位置に設けられてもよい。これにより、プラズマ処理装置100は、載置台110の載置面110aの周囲にイオンを捕捉可能な第2の磁場を効率よく形成することができる。
また、第3の電磁石群190は、処理容器102の外周沿って上下方向に移動可能に設けられてもよい。これにより、プラズマ処理装置100は、被処理体(一例として、ウエハW)のエッジ部でのイオンとラジカルとの比率の制御性を向上させることができる。
(変形例)
上述した実施形態では、第1の電磁石群170によって載置台110の載置面110aの上方の全エリアに第1の磁場を形成する場合を例に説明したが、開示の技術はこれに限定されない。例えば、第1の電磁石群170は、第1の電磁石群170の各電磁石171を選択的にON/OFFすることにより、載置台110の載置面110aの上方に第1の磁場が形成されるエリアと形成されないエリアとを形成してもよい。第1の電磁石群170の各電磁石171のON/OFFは、制御部200による制御に従って、実行される。図5は、エリア毎に形成される第1の磁場の一例を示す図である。例えば、第1の電磁石群170は、載置台110の載置面110aを挟んで配置される4個の電磁石171をOFFし且つ他の電磁石171をONすることにより、載置面110aの外縁付近のエリアのみに第1の磁場を形成する。すると、第1の磁場は、載置面110aの外縁付近のエリアに対応するプラズマ中のイオンを捕捉する。これにより、載置台110の載置面110a上のウエハWのエッジ部付近において、イオンの量が局所的に抑制される。図6は、エリア毎に形成される第1の磁場の他の一例を示す図である。例えば、第1の電磁石群170は、載置台110の載置面110aを挟んで配置される4個の電磁石171をONし且つ他の電磁石171をOFFすることにより、載置面110aの中央付近のエリアのみに第1の磁場を形成する。すると、第1の磁場は、載置面110aの中央付近のエリアに対応するプラズマ中のイオンを捕捉する。これにより、載置台110の載置面110a上のウエハWの中央部付近において、イオンの量が局所的に抑制される。
上述した実施形態では、第1の電磁石群170によって載置台110の載置面110aの上方の全エリアに第1の磁場を形成する場合を例に説明したが、開示の技術はこれに限定されない。例えば、第1の電磁石群170は、第1の電磁石群170の各電磁石171を選択的にON/OFFすることにより、載置台110の載置面110aの上方に第1の磁場が形成されるエリアと形成されないエリアとを形成してもよい。第1の電磁石群170の各電磁石171のON/OFFは、制御部200による制御に従って、実行される。図5は、エリア毎に形成される第1の磁場の一例を示す図である。例えば、第1の電磁石群170は、載置台110の載置面110aを挟んで配置される4個の電磁石171をOFFし且つ他の電磁石171をONすることにより、載置面110aの外縁付近のエリアのみに第1の磁場を形成する。すると、第1の磁場は、載置面110aの外縁付近のエリアに対応するプラズマ中のイオンを捕捉する。これにより、載置台110の載置面110a上のウエハWのエッジ部付近において、イオンの量が局所的に抑制される。図6は、エリア毎に形成される第1の磁場の他の一例を示す図である。例えば、第1の電磁石群170は、載置台110の載置面110aを挟んで配置される4個の電磁石171をONし且つ他の電磁石171をOFFすることにより、載置面110aの中央付近のエリアのみに第1の磁場を形成する。すると、第1の磁場は、載置面110aの中央付近のエリアに対応するプラズマ中のイオンを捕捉する。これにより、載置台110の載置面110a上のウエハWの中央部付近において、イオンの量が局所的に抑制される。
また、上述した実施形態では、第2の電磁石群180及び第3の電磁石群190によって載置台110の載置面110aの周囲の全エリアに第2の磁場を形成する場合を例に説明したが、開示の技術はこれに限定されない。例えば、第2の電磁石群180及び第3の電磁石群190は、各電磁石181、191を選択的にON/OFFすることにより、載置台110の載置面110aの周囲に第2の磁場が形成されるエリアと形成されないエリアとを形成してもよい。第2の電磁石群180及び第3の電磁石群190の各電磁石181、191のON/OFFは、制御部200による制御に従って、実行される。図7は、エリア毎に形成される第2の磁場の一例を示す図である。例えば、第2の電磁石群180及び第3の電磁石群190は、載置台110の載置面110aを挟んで配置される16個の電磁石181、191をOFFし且つ他の電磁石をONすることにより、載置面110aを挟んで配置されるエリアに第2の磁場を形成する。すると、第2の磁場は、載置面110aを挟んで配置されるエリアに対応するプラズマ中のイオンを捕捉する。これにより、載置台110の載置面110a上のウエハWのエッジ部付近において、イオンの量が局所的に抑制される。
また、上述した実施形態において、第1の電磁石群170、第2の電磁石群180及び第3の電磁石群190は、形成する磁場(つまり、第1の磁場又は第2の磁場)を処理容器102の中心軸に対して回転させるようにしてもよい。これにより、処理容器102の周方向のイオン密度の分布を均一化することができる。なお、磁場の回転は、図示しない回転機構を用いて実現される。また、第1の電磁石群170、第2の電磁石群180及び第3の電磁石群190の各電磁石の磁極を変更することにより、磁場を回転させてもよい。
以上、実施形態について説明してきたが、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。実に、上記した実施形態は、多様な形態で具現され得る。また、上記の実施形態は、請求の範囲およびその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更されてもよい。
100 プラズマ処理装置
102 処理容器
104 誘電体
104a 対向面
104b 面
110 載置台
110a 載置面
140 高周波アンテナ
142 アンテナ素子
170 第1の電磁石群
171、181、191 電磁石
180 第2の電磁石群
190 第3の電磁石群
200 制御部
210 操作部
220 記憶部
W ウエハ
102 処理容器
104 誘電体
104a 対向面
104b 面
110 載置台
110a 載置面
140 高周波アンテナ
142 アンテナ素子
170 第1の電磁石群
171、181、191 電磁石
180 第2の電磁石群
190 第3の電磁石群
200 制御部
210 操作部
220 記憶部
W ウエハ
Claims (7)
- 被処理体が載置される載置面を有する載置台が内部に設けられ、被処理体に対するプラズマ処理が実施される処理容器と、
前記載置台の載置面に対向する対向面を有する誘電体と、
前記誘電体の対向面とは反対側の面に設けられ、前記誘電体を介して前記処理容器内に誘導電界を導入することによりプラズマを生成するアンテナと、
前記処理容器の外周の、前記載置台の載置面よりも高い位置に設けられ、前記載置台の載置面の上方に前記処理容器を横断する第1の磁場を形成する第1の電磁石群と、
前記載置台の外周に沿って前記載置台の内部に設けられる第2の電磁石群と、
前記処理容器の外周の、前記第2の電磁石群に対応する位置に設けられ、前記第2の電磁石群と協働して前記載置台の載置面の周囲に第2の磁場を形成する第3の電磁石群と
を有する、プラズマ処理装置。 - 前記第3の電磁石群は、前記第2の電磁石群とは磁極の向きが異なる、請求項1に記載のプラズマ処理装置。
- 前記第3の電磁石群は、前記処理容器の外周の、前記第2の電磁石群と同一の高さ位置、又は前記第2の電磁石群と同一の高さ位置よりも高い位置に設けられる、請求項2に記載のプラズマ処理装置。
- 前記第3の電磁石群は、前記処理容器の外周に沿って上下方向に移動可能に設けられる、請求項1~3のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
- 前記第1の電磁石群、前記第2の電磁石群及び前記第3の電磁石群は、形成する磁場を前記処理容器の中心軸に対して回転させる、請求項1~4のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
- 前記第1の電磁石群は、前記第1の電磁石群の各電磁石を選択的にON/OFFすることにより、前記載置台の載置面の上方に前記第1の磁場が形成されるエリアと形成されないエリアとを形成する、請求項1~5のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
- 前記第2の電磁石群及び前記第3の電磁石群は、前記第2の電磁石群及び前記第3の電磁石群の各電磁石を選択的にON/OFFすることにより、前記載置台の載置面の周囲に前記第2の磁場が形成されるエリアと形成されないエリアとを形成する、請求項1~6のいずれか一つに記載のプラズマ処理装置。
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---|---|---|---|
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2020161377 | 2020-09-25 | ||
JP2020161377 | 2020-09-25 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2022054392A true JP2022054392A (ja) | 2022-04-06 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2021081751A Pending JP2022054392A (ja) | 2020-09-25 | 2021-05-13 | プラズマ処理装置 |
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Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2022054392A (ja) |
-
2021
- 2021-05-13 JP JP2021081751A patent/JP2022054392A/ja active Pending
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