JP2022054185A - 仮撚加工糸 - Google Patents

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徹治 大林
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Abstract

Figure 2022054185000001
【課題】十分なハリコシ感、麻ライクな風合を有する織物を得ることが可能となる仮撚加工糸の提供。
【解決手段】ポリエステルフィラメントからなり、糸条長手方向に未解撚部と解撚部が交互に存在する仮撚加工糸であって、糸条長手方向に長さが0.3~12mmである未解撚部を、糸条1mあたり40~110個有し、未解撚部と解撚部の糸条幅方向の長さの比(未解撚部/解撚部)が1/2~1/14である仮撚加工糸。さらには、未解撚部として、長さが0.3~3mm未満の未解撚部Aと長さが3~12mmの未解撚部Bを有し、未解撚部Aを、糸条1mあたりに30~85個有し、未解撚部Bを、糸条1mあたりに3~25個有する、仮撚加工糸。
【選択図】図1

Description

本発明は、ポリエステルフィラメントであって、糸条長手方向に未解撚部と解撚部が存在する仮撚加工糸に関するものである。
従来、ポリエステルマルチフィラメントを用いて麻ライクな特殊風合を付与する加工方法としては、ポリエステルマルチフィラメントを融着高温領域で仮撚加工を施し、単繊維相互を部分的に融着させ、同時に未解撚部をも生じさせる方法が周知である。
つまり、このような加工糸は、仮撚加工時に加熱されたマルチフィラメントが部分的に融着し、撚り方向と同一方向に融着固定された未解撚部と、撚り方向と反対方向に解撚された解撚部とを、糸条の長手方向に交互に存在させた構造のものである。
特許文献1には、糸中の未解撚部の長さと数をある数量以上存在させることにより、実撚糸様の風合いや淡い絣模様を呈する布帛を形成し得る融着延伸仮撚加工糸が提案されている。
また、特許文献2には、融着延伸仮撚加工糸の未解撚長を短くすることにより、豊かな表情の編織物を作製可能な融着仮撚加工糸が提案されている。
これらの仮撚加工糸は、未解撚部と解撚部を有しているが、仮撚加工を施した後の糸条全体はほぼ均一な太さとなっており、見た目上の変化は若干量にとどまるため、糸条全体で良好な風合いを醸し出しているとは言い難いという問題があった。そこで、特許文献3においては、原糸の一部に加熱処理を施して加撚時の撚りを融着保持した細い未解撚部と、原糸の他部に過剰に解撚処理を施して膨らみを持たせた太いオーバー解撚部とを備えた仮撚加工糸が提案されている。
しかしながら、いずれの仮撚加工糸においても、製織することにより十分なハリコシ感、麻ライクな風合を有する織物を得ることはできていなかった。
特開昭55-67025号公報 特開平8-100340号公報 特開2002-161445号公報
本発明は、上記のような問題点を解決するものであり、十分なハリコシ感、麻ライクな風合を有する織物を得ることが可能となる仮撚加工糸を提供することを技術的な課題とするものである。
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討を行ったところ、未解撚部と解撚部の糸条長手方向の長さ、幅方向の長さ及び個数を特定の範囲のものにすることにより、上記の課題を解決することができることを見出し、本発明に到達したものである。
すなわち、本発明は、以下を要旨とするものである。
(1)ポリエステルフィラメントからなり、糸条長手方向に未解撚部と解撚部が交互に存在する仮撚加工糸であって、糸条長手方向に長さが0.3~12mmである未解撚部を、糸条1mあたり40~110個有し、未解撚部と解撚部の糸条幅方向の長さの比(未解撚部/解撚部)が1/2~1/14である仮撚加工糸。
(2)未解撚部として、長さが0.3~3mm未満の未解撚部Aと長さが3~12mmの未解撚部Bを有し、未解撚部Aを、糸条1mあたりに30~85個有し、未解撚部Bを、糸条1mあたりに3~25個有する、(1)に記載の仮撚加工糸。
(3)糸条1mあたりの未解撚部の総長さと前記糸条1mあたりの解撚部の総長さの比が、未解撚部の総長さ/解撚部の総長さ=1/3~1/10である(1)又は(2)に記載の仮撚加工糸。
(4)仮撚加工糸を構成する単繊維は、単繊維繊度が5~20dtexであり、繊維長手方向に対して垂直な断面が凸部を3~8個有する多葉形状である(1)~(3)のいずれかに記載の仮撚加工糸。
本発明の仮撚加工糸は、糸条長手方向に未解撚部と解撚部が交互に存在し、未解撚部と解撚部の糸条長手方向の長さ、幅方向の長さ及び個数が特定の範囲を満足するものであるため、製織することにより十分なハリコシ感、麻ライクな風合、さらには染色性にも優れた織物を得ることが可能となる。
本発明の仮撚加工糸の一実施態様を示す、拡大模式図である。 本発明の仮撚加工糸の製造方法の一例を示す工程図である。 比較例の仮撚加工糸の製造方法を示す工程図である。
以下、本発明の仮撚加工糸について図面を用いて説明する。
図1は、本発明の仮撚加工糸の部分拡大図であり、図1(a)は未解撚部1の拡大図、図1(b)は解撚部2の拡大図である。
本発明の仮撚加工糸は、高配向未延伸糸、もしくは延伸糸である原糸に対して、仮撚加工を施すことによって、糸条長手方向に未解撚部1と解撚部2が交互に形成される。
前記未解撚部1は、原糸の一部が加撚されながら高温で加熱されて溶融し、原糸を構成する単繊維が互いに融着することによって形成されており、加撚状態の撚りを保持している。解撚部2は、仮撚加工時に原糸の融着されていない箇所を過剰に解撚させることにより形成されており、単繊維同士の間隔が拡がることによって大きな膨らみを有している。
上記の未解撚部1及び解撚部2は、糸条長手方向に交互に存在する。そして、未解撚部1の糸条長手方向の長さは0.3~12mmであり、かつ糸条1mあたりに存在する未解撚部1の個数が40~110個/mである。未解撚部1の個数が40個/m未満であったり、110個/mを超えると、得られる織物は、ハリコシ感や麻ライクな風合い(シャリ感)に乏しいものとなる。
中でも、このようなハリコシ感や麻ライクな風合いに優れた織物を得るには、本発明の仮撚加工糸は、未解撚部1として、糸条1mあたりに長さが0.3~3mm未満の未解撚部分Aが35~85個存在し、長さが3~12mmの未解撚部分Bが5~25個存在することが好ましい。
そして、糸条1mあたりの未解撚部1の総長さと糸条1mあたりの解撚部2の総長さの比が、未解撚部の総長さ/解撚部の総長さ=1/3~1/10であることが好ましく、中でも1/4~1/8であることが好ましい。
さらに、本発明の仮撚加工糸は、未解撚部と解撚部の糸条幅方向の長さの比(未解撚部/解撚部)が1/2~1/14であり、中でも1/3~1/12であることが好ましい。
本発明の仮撚加工糸は、上記したように、単繊維同士が融着した未解撚部と単繊維同士が融着していない解撚部の糸条長手方向の長さ、幅方向の長さの比が上記の範囲内のものであることにより、糸条全体の外観は複雑で変化に富むものとなり、布帛にした際に麻ライクな風合いとハリコシ感を呈することが可能となる。したがって、これらの長さの比が上記範囲外となる場合には、得られる布帛は麻ライクな風合いとハリコシ感に乏しいものとなる。
前記した、仮撚加工糸における未解撚部の糸条長手方向の長さと個数、未解撚部と解撚部の糸条幅方向の長さは、以下のようにして測定するものである。
仮撚加工糸に0.0882cN/dtexの初荷重をかけ、1mの所に印をつける。次に軽荷重0.00882cN/dtexの荷重下で光学顕微鏡(キーエンス社製「マイクロスコープVHX-900」)を用いて未解撚部の長さを測定し、かつ、糸条1mあたりに長さが0.3~3mm未満の未解撚部分A及び3~12mmの未解撚部分Bに区分けし個数を求める。このとき、未解撚部と解撚部の糸条幅も測定する。N=5で測定し、その平均値を算出する。
なお、未解撚部と解撚部の糸条幅は、目視にて最大となる糸幅部分を測定するものとする。
本発明の仮撚加工糸は、ポリエステルフィラメントからなるものである。ポリエステルフィラメントとしては、ポリアルキレンテレフタレートに代表されるポリエステルから構成されるものであればよい。具体的には、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレートなどが挙げられる。また、粘度、熱的特性、相溶性などに鑑みて、イソフタル酸、5-スルホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、コハク酸、スベリン酸、セバシン酸、ドデカン二酸などの脂肪族ジカルボン酸、及びエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノールなどの脂肪族ジオールや、グリコール酸、ヒドロキシ酪酸、ヒドロキシ吉草酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシペンタン酸、ヒドロキシヘプタン酸、ヒドロキシオクタン酸などのヒドロキシカルボン酸、ε-カプロラクトンなどの脂肪族ラクトンなどを共重合させてもよい。
また、上記のポリエステルフィラメントには、機能性を付与するための帯電防止剤、抗菌剤、消臭剤等が添加されていてもよい。
そして、本発明の仮撚加工糸を構成する単繊維は、単繊維繊度が5~20dtexであることが好ましく、中でも8~18dtexであることが好ましい。また、これらの単繊維は、繊維長手方向に対して垂直な断面が凸部を3~8個有する多葉形状であることが好ましく、中でも凸部を4個有する十字型断面形状であることが好ましい。このように、仮撚加工糸を構成する単繊維の単繊維繊度が比較的大きく、かつ凸部を有する断面形状のものであることにより、糸条全体の外観は複雑で変化に富むものとなる。
つまり、仮撚加工の際に、各単繊維の凸部同士が歯車のごとく絡み合い、容易に離れないように交絡された部分は未解撚部となり、糸条幅方向の長さが小さいものとなる。一方、各単繊維の凸部同士が絡み合わない部分は解撚部となり、交絡されずに存在することから、各単繊維が有する凸部形状により嵩高く、ふくらみが大きいものとなり、糸条幅方向の長さが大きいものとなる。
また、本発明の仮撚加工糸の総繊度は90~200dtexであることが好ましく、中でも100~180dtexであることが好ましい。
さらに、本発明の仮撚加工糸の捲縮率は、20~60%であることが好ましく、中でも30~50%であることが好ましい。このような捲縮率とすることで、織物にした際のふかつきがなくソフトになり過ぎない。未解撚部と解撚部のバランスと融合する事によりシャリ、ハリコシ感も良好な織物が得られる。
上記の捲縮率は以下のようにして測定するものである。仮撚加工糸を枠周1.125mの検尺機を用いて巻き数5回で試料をカセ取りした後、カセを室温下フリー状態でスタンドに一昼夜吊り下げる。次に、カセに0.000147cN/dtexの荷重を掛けたまま沸水中に投入し30分間湿熱処理する。その後、カセを取り出し、水分を濾紙で軽く取り、室温下フリー状態で30分間放置する。そして、カセに0.000147cN/dtexの荷重及び0.00177cN/dex(軽重荷)を掛け、長さXを測定する。続いて、0.000147cN/dtexの荷重は掛けたまま、軽重荷に代えて0.044cN/dtexの荷重(重荷重)を掛け、長さYを測定する。その後、以下の式により捲縮率を算出する。
捲縮率(%)=(Y-X)/Y×100
捲縮率の測定は、N=5とし、その平均を捲縮率とする。
また、本発明の仮撚加工糸は、トルクが90~140T/Mであることが好ましく、中でも100~130T/Mであることが好ましい。トルクをこの範囲にすることで仮撚加工糸に過剰な絡みが生じず、織物を形成する際の工程通過時において、ビリやシボの発生が抑えられ、トラブルが生じることなく、品質のよい織物を操業性よく得ることができる。そして、本発明の仮撚加工糸はZ撚を有していることが好ましい。
上記のトルクは以下のようにして測定するものである。仮撚加工糸に旋回しないように0.0294(cN/dtex)の荷重をかけ、試料長200cmを採取する。次に、採取した試料の両端間の距離を2cmにしてほぼ平行に把持し、中心部(100cmの所)に0.00294(cN/dtex)の荷重をかけてV字型とし、V字型下部をテンションフリーの状態とする。このとき、試料の残留トルクによる旋回が発生し、その旋回が静止するまで放置する。旋回が静止した後、その旋回数を検撚機にて測定し、この測定により得られた値をトルク数とする。
次に、本発明の仮撚加工糸の製造方法について図2を用いて説明する。
本発明の仮撚加工糸は、ポリエステルフィラメントに仮撚加工を施すことにより得られるものであるが、仮撚加工に施すフィラメントとしては、ポリエステルの原料ポリマーを溶融紡糸した後、延伸、熱処理を施した延伸糸(FDY)、もしくは、溶融紡糸後、好ましくは紡速2000m/分~3500m/分の速度で巻き取った部分配向未延伸糸(POY)を使用することが好ましい。
本発明においては、延伸糸(FDY)としては、伸度が20~40%のものが好ましく、部分配向未延伸糸(POY)としては、伸度が80~110%のものが好ましい。
仮撚加工は、供給ローラ1と第1引取ローラ4の間に設けられた熱処理ヒータ2と仮撚付与装置3にて施される。
仮撚加工を施すフィラメントとして延伸糸を使用する場合には、延伸倍率0.90~1.20倍、好ましくは0.95~1.10倍の条件が挙げられ、高配向未延伸糸を使用する場合には、延伸倍率1.10~1.70倍、好ましくは1.20~1.50倍の条件が挙げられる。延伸糸を使用する場合には、延伸を施すことなく、仮撚オーバーフィード率を1.8~5.0%として仮撚加工することも好ましい。
なお、延伸倍率及び仮撚オーバーフィード率は、供給ローラ1と第1引取ローラ4のローラ速度の差にて調整するものであり、供給ローラ1よりも第1引取ローラ4の速度を早くする場合に延伸となり、供給ローラ1よりも第1引取ローラ4の速度を遅くする場合にオーバーフィードとなる。
オーバーフィード率は、仮撚付与装置3に導入される直前の糸速をV1、仮撚付与装置3を通過した直後の糸速をV2として、下記式にて算出される値である。つまり、図2においては、糸速V1は、供給ローラ1の速度であり、糸速V2は、第1引取ローラ4の速度である。
オーバーフィード率(%)={(V1-V2)/V2}×100
そして、仮撚数2000~5000T/M、好ましくは2200~4000T/M、熱処理ヒータ2の温度(仮撚温度)150~240℃、好ましくは170~230℃の条件で仮撚加工を施すことが好ましく、K値(解撚張力/加撚張力)は、1.5~3.0とすることが好ましい。
得られる仮撚加工糸に、原糸の単繊維糸同士が融着した未解撚部を形成するには、中でも熱処理ヒータ温度を、原糸となるポリエステルフィラメントの軟化点以上、融点以下にすることが好ましく、熱処理ヒータ温度を調整することによって糸条の長手方向に解撚部と未解撚部が形成され、これらの長さや幅を調整することができる。
仮撚加工で使用される仮撚付与装置については、例えば、ピン、フリクションディスク、ベルト等が挙げられるが、中でもピンタイプが好ましい。
そして、供給ローラ1と第1引取ローラ4の間に設けられた熱処理ヒータ2と仮撚付与装置3にて仮撚が施された仮撚加工糸は、巻取ローラ5を経て巻き取られ、仮撚加工糸のパッケージ6を得る。
上記のようにして得られた本発明の仮撚加工糸を用いて織物を得る際には、さらに追撚を行ってから製織工程に供することが好ましい。追撚は、仮撚加工糸がZ撚を有している場合、S撚にて200~400T/Mとすることが好ましい。
本発明の仮撚加工糸を用いた織物としては、本発明の仮撚加工糸を経糸、緯糸のいずれか、もしくは両方に用いることができるが、中でも経糸に使用することが好ましい。そして、緯糸に使用することが好ましいものとしては、中でもポリエステル繊維と綿の混紡紡績糸(20~50番手)が挙げられる。このような緯糸は柔らかさと吸湿性を有し、経糸の麻ライクな風合いと十分なハリコシ感とが相まって、着心地の良い織物となる。
等が挙げられる。
そして、得られる織物の組織としては、特に限定されず、平織、綾織、朱子織等が挙げられ、必要に応じて多重組織としてもよい。中でも平織が好ましい。
また、カバーファクター(CF)は、特に限定されるものではないが1500~2600であることが好ましい。カバーファクター(CF)とは、織編物の粗密を数値化したものであり、以下の式により算出される。ここで、式中、Dは経糸の総繊度を示す。Eは緯糸の総繊度を示す。
CF=D1/2×経糸密度(本/2.54cm)+E1/2×緯糸密度(本/2.54cm)
以下、本発明を実施例に従って更に詳細に説明する。実施例おける各種の特性値の測定方法、評価方法について示す。
(1)糸条長手方向の未解撚部の長さ、個数、未解撚部と解撚部の糸条幅方向の長さ
前記した方法により測定した。
(2)単繊維繊度、総繊度
JIS L1013 8.3.1に基づいて測定した。
(3)捲縮率、トルク
前記した方法により測定した。
(4)織物評価
得られた織物(染色反)のハリコシ感及びシャリ感を触感にて、染色時の品位を目視にて、下記の基準に従ってそれぞれ4段階で評価した。
<ハリコシ感>
◎:非常によい
○:良い
△:普通
×:悪い
<シャリ感(麻調なリネンタッチ)>
◎:非常によい
○:良い
△:普通
×:悪い
<染色時の品位(麻調杢感)>
◎:非常によい
○:良い
△:普通
×:悪い
実施例1
供給糸として、伸度34%、単繊維繊度10.9dtex、単繊維の断面形状が4葉であるポリエステル延伸糸(109dtex/10フィラメント)を用いた。そして、図2に示す工程に従い、仮撚加工を施し、仮撚加工糸を得た。
このとき、仮撚付与装置3として、スピンドルピンタイプの装置を使用し、加工速度(第1ローラ速度);113.2m/分、仮撚温度(熱処理ヒータ温度);220℃、仮撚オーバーフィード率;3.92%、仮撚数;S撚、2557T/M、K値;2の条件で仮撚加工を行った。なお、加撚張力は、熱処理ヒータ2と仮撚付与装置3の間で測定したものであり、解撚張力は、仮撚付与装置3と第1引取ローラ4の間で測定したものである。
得られた仮撚加工糸(117dtex/10フィラメント)は、未解撚部と解撚部を有した捲縮糸(捲縮率38.7%)であり、未解撚部と解撚部の長さ、幅、個数は表1に示すとおりのものであった。
この仮撚加工糸を追撚(S-300T/M)して経糸に用い、緯糸は30番手のポリエステル繊維と綿糸の混紡紡績糸を用いて、経糸密度84本/2.54cm、緯糸密度66本/2.54cmで平織物を製織した。
得られた織物を非イオン系界面活性剤(日華化学製サンモールFL)2g/lで80℃×20分で精練し、180℃×30分でプレセット処理をした。
次に、下記染色条件で、染色処理し、170℃で仕上げセットし、経糸密度87本/2.54cm、緯糸密度87本/2.54cm、カバーファクター1698の織物を得た。得られた織物は、ハリコシ感及びシャリ感に非常に優れており、麻調杢感のある染色品位も非常に優れていた。
(染色条件)
・染料:ダイアニックスブルーUN-SE(ダイアニックス社製) 1%o.m.f
・助剤:ニッカサンソルトSN-130(日華化学社製) 0.5g/L
:酢酸 0.2cc/L
・温度×時間:130℃×30分
・浴比:1:30
実施例2
供給糸として、伸度94%、単繊維繊度17.8dtex、糸断面形状が4葉であるポリエステル高配向未延伸糸(178dtex/10フィラメント)を用いた。そして、図2に示す工程に従い、仮撚加工を施し、仮撚加工糸を得た。
このとき、仮撚時に延伸を行い、仮撚加工条件を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にして行った。
得られた仮撚加工糸の特性値を表1に示す。
そして、得られた仮撚加工糸を用いて、経糸密度、緯糸密度を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様に製織し、平織物を得た。
続いて、得られた平織物に実施例1と同様の精練、染色加工を施し、織物を得た。
得られた織物は、ハリコシ感及びシャリ感が非常に優れており、麻調杢感のある染色品位も非常に優れていた。
実施例3
実施例1と同じ供給糸を使用し、仮撚オーバーフィード率を2%に変更した以外は、実施例1と同様にして、仮撚加工を行った。
得られた仮撚加工糸の特性値を表1に示す。
そして、得られた仮撚加工糸を用いて、経糸密度、緯糸密度を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様に製織し、平織物を得た。
続いて、得られた平織物に実施例1と同様の精練、染色加工を施し、織物を得た。
得られた仮撚加工糸は、未解撚部A、B共に個数が好ましい範囲よりも少なかったため、この仮撚加工糸を用いて、得られた織物は、ハリコシ感、シャリ感、染色品位ともに良好であった。
実施例4
供給糸として、伸度32%、単繊維繊度5.4dtex、単繊維の断面形状が4葉であるポリエステル延伸糸(54dtex/10フィラメント)を用いた。そして、図2に示す工程に従い、仮撚温度を180℃に変更した以外は、実施例1と同様にして仮撚加工を行った。
得られた仮撚加工糸の特性値を表1に示す。
そして、得られた仮撚加工糸を用いて、経糸密度、緯糸密度を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様に製織し、平織物を得た。
続いて、得られた平織物に実施例1と同様の精練、染色加工を施し、織物を得た。
得られた織物は、ハリコシ感、シャリ感、染色品位ともに良好であった。
実施例5
実施例2と同じ供給糸を使用し、仮撚付与装置において解撚張力と加撚張力を表1に示す値に変更した以外は、実施例2と同様にして、仮撚加工を行った。
得られた仮撚加工糸の特性値を表1に示す。
そして、得られた仮撚加工糸を用いて、実施例2と同様に製織し、平織物を得た。
続いて、得られた平織物に実施例1と同様の精練、染色加工を施し、織物を得た。
得られた織物は、ハリコシ感、シャリ感、染色品位ともに良好であった。
比較例1
実施例1と同じ供給糸を使用し、図3に示す工程に従い、仮撚時に延伸を行い、かつ仮撚付与装置3と第1引取ローラ4との間に設けた第2熱処理ヒータ7で熱処理を行い、仮撚加工条件を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にして行った。なお、表1に示す熱処理オーバーフィード率は、第1引取ローラ4と第2引取ローラ8の速度により算出するものである。
得られた仮撚加工糸の特性値を表1に示す。得られた仮撚加工糸は、未解撚部と解撚部を有しておらず、トルクも有していない平端な糸となった。
そして、得られた仮撚加工糸を用いて、経糸密度、緯糸密度を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様に製織し、平織物を得た。
続いて、得られた平織物に実施例1と同様の精練、染色加工を施し、織物を得た。
得られた織物は、剛直でハリコシ感、シャリ感に劣るものであった。
比較例2
実施例1と同じ供給糸を使用し、仮撚温度を250℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、仮撚加工を行った。
得られた仮撚加工糸の特性値を表1に示す。得られた仮撚加工糸は、単繊維同士が融着し、未解撚部と解撚部を有しておらず、捲縮、トルクともに有していない平端な糸となった。
そして、得られた仮撚加工糸を用いて、経糸密度、緯糸密度を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様に製織し、平織物を得た。
続いて、得られた平織物に実施例1と同様の精練、染色加工を施し、織物を得た。
得られた織物は、剛直でハリコシ感、シャリ感、染色品位の全てに劣るものであった。
比較例3
実施例1と同じ供給糸を使用し、仮撚加工を施し、仮撚加工糸を得た。
このとき、仮撚時に延伸を行い、仮撚加工条件を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様にして行った。
得られた仮撚加工糸の特性値を表1に示す。得られた仮撚加工糸は、未解撚部を有していないものであった。
そして、得られた仮撚加工糸を用いて、経糸密度、緯糸密度を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様に製織し、平織物を得た。
続いて、得られた平織物に実施例1と同様の精練、染色加工を施し、織物を得た。
得られた織物は、仮撚加工糸が未解撚部を有していないため、生地の表面感及び触感も異なる物となり、ハリコシ感、シャリ感、染色品位全てに劣るものであった。
比較例4
実施例2と同じ供給糸を使用し、仮撚延伸倍率を1.55に変更し、解撚、加撚張力を表1に示すものに変更した以外は、実施例2と同様にして仮撚加工を行った。
得られた仮撚加工糸の特性値を表1に示す。得られた仮撚加工糸は、未解撚部Aのみを有し、かつ数が少ないものであった。
そして、得られた仮撚加工糸を用いて、経糸密度、緯糸密度を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様に製織し、平織物を得た。
続いて、得られた平織物に実施例1と同様の精練、染色加工を施し、織物を得た。
得られた織物は、ハリコシ感、シャリ感に劣るものであった。
比較例5
実施例2と同じ供給糸を使用し、仮撚温度を190℃に変更した以外は、比較例4と同様にして仮撚加工を行った。
得られた仮撚加工糸の特性値を表1に示す。得られた仮撚加工糸は、未解撚部Aのみを有し、かつ数が少ないものであった。
そして、得られた仮撚加工糸を用いて、経糸密度、緯糸密度を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様に製織し、平織物を得た。
続いて、得られた平織物に実施例1と同様の精練、染色加工を施し、織物を得た。
得られた織物は、ハリコシ感、シャリ感に劣るものであった。
比較例6
実施例2と同じ供給糸を使用し、仮撚温度を240℃、仮撚延伸倍率を1.35に変更し、解撚、加撚張力を表1に示すものに変更した以外は、実施例2と同様にして仮撚加工を行った。
得られた仮撚加工糸の特性値を表1に示す。得られた仮撚加工糸は、未解撚部A、Bの個数が多いものであった。
そして、得られた仮撚加工糸を用いて、経糸密度、緯糸密度を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様に製織し、平織物を得た。
続いて、得られた平織物に実施例1と同様の精練、染色加工を施し、織物を得た。
得られた織物は、仮撚温度が高いため、剛直になりすぎハリコシ感、シャリ感が悪く、染色品位にも劣るものであった。
比較例7
実施例2と同じ供給糸を使用し、仮撚数、解撚、加撚張力を表1に示すものに変更した以外は、実施例2と同様にして仮撚加工を行った。
得られた仮撚加工糸の特性値を表1に示す。得られた仮撚加工糸は、解撚部が開繊しており、未解撚部と解撚部の糸条幅方向の長さの比が大きいものとなった。
そして、得られた仮撚加工糸を用いて、経糸密度、緯糸密度を表1に示すものに変更した以外は、実施例1と同様に製織し、平織物を得た。
続いて、得られた平織物に実施例1と同様の精練、染色加工を施し、織物を得た。
得られた織物は、ハリコシ感、シャリ感、染色品位の全てに劣るものであった。
Figure 2022054185000002
1 供給ローラ
2 熱処理ヒータ
3 仮撚付与装置
4 第1引取ローラ
5 巻取ローラ
6 仮撚糸のパッケージ
7 第2熱処理ヒータ
8 第2引取ローラ

Claims (4)

  1. ポリエステルフィラメントからなり、糸条長手方向に未解撚部と解撚部が交互に存在する仮撚加工糸であって、糸条長手方向に長さが0.3~12mmである未解撚部を、糸条1mあたり40~110個有し、未解撚部と解撚部の糸条幅方向の長さの比(未解撚部/解撚部)が1/2~1/14である仮撚加工糸。
  2. 未解撚部として、長さが0.3~3mm未満の未解撚部Aと長さが3~12mmの未解撚部Bを有し、未解撚部Aを、糸条1mあたりに30~85個有し、未解撚部Bを、糸条1mあたりに3~25個有する、請求項1に記載の仮撚加工糸。
  3. 糸条1mあたりの未解撚部の総長さと前記糸条1mあたりの解撚部の総長さの比が、未解撚部の総長さ/解撚部の総長さ=1/3~1/10である請求項1又は2に記載の仮撚加工糸。
  4. 仮撚加工糸を構成する単繊維は、単繊維繊度が5~20dtexであり、繊維長手方向に対して垂直な断面が凸部を3~8個有する多葉形状である請求項1~3のいずれかに記載の仮撚加工糸。
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