JP2022053860A - 溶接継手及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】低温靭性に優れた高Mn鋼溶接継手の提供。【解決手段】15.0質量%以上のMnと2.5質量%のCrとを含有する高Mn鋼材同士を溶接接合してなる溶接継手の溶接熱影響部組織を、該溶接熱影響部組織に存在する炭化物の楕円近似の長軸長さの平均が0.50μm以下、アスペクト比が平均で5.0以下であり、炭化物として析出しているCrが、鋼材全量に対する質量%で800質量ppm以下であり、かつ粒界Cr欠乏層が、幅800nm以下で、該粒界Cr欠乏層のCr欠乏量が母相Cr量基準で1.5質量%以下である組織とする。このような組織を有する溶接熱影響部は、被溶接材が板厚10mmを超える鋼材の場合には、溶接時の入熱量が1パス3.0kJ/mm以下、被溶接材が板厚10mm以下の鋼材の場合には、溶接時の入熱量が1パス2.0kJ/mm以下、である溶接で得られ、このような組織を有する溶接熱影響部は、優れた低温靭性を有する。【選択図】なし

Description

本発明は、液化ガス貯槽用タンク等の、極低温環境下で使用される溶接構造物用の溶接継手に係り、とくに、溶接継手における溶接熱影響部の低温靭性の向上に関する。
液化ガス貯槽用タンク等の溶接構造物は使用環境が極低温となるため、使用する鋼材(鋼板)に対しては高強度であることに加えて、極低温での靱性に優れることが要求される。例えば、液化天然ガス用貯槽に使用する鋼材(鋼板)では、液化天然ガスの沸点:-164℃以下の温度域で優れた低温靱性を保持していることが必要となる。使用する鋼材の低温靱性が劣ると、液化ガス貯槽用構造物としての安全性を維持できなくなる可能性があるため、液化ガス貯槽用鋼材として、優れた低温靭性を有する鋼材が強く要望されている。
このような要望に対して、極低温で使用される鋼材として、従来は、9%Ni鋼や、極低温でも脆性を示さないオーステナイト相を基地組織とするオーステナイト系ステンレス鋼などの鋼材が使用されてきた。なお、鋼材ではないが、極低温用材料として、5000系アルミニウム合金が使用される場合もあった。しかしながら、これら材料は、合金コストや製造コストが高く、高価であるという問題があった。
このようなことから、極低温環境下で使用される溶接構造物に好適な鋼材として、安価で、低温靭性に優れた鋼材が要望されている。
このような要望に対し、例えば特許文献1には、「母材靭性及び溶接熱影響部靭性に優れた極低温用高Mn鋼材」が提案されている。特許文献1に記載された極低温用高Mn鋼材は、質量%で、C:0.001~0.80%、Mn:15.0~35.0%、S:0.0001~0.01%、Cr:0.01~10.0%、Ti:0.001~0.05%、N:0.0001~0.10%、O:0.001~0.010%を含有し、P:0.02%以下に制限し、Si:0.001~5.0%、Al:0.001~5.0%の一方又は両方を含有し、更にMg:0.01%以下、Ca:0.01%以下、REM:0.01%以下の1種または2種以上を合計で0.0002%以上含有し、30C+0.5Mn+Ni+0.8Cr+1.2Si+0.8Mo≧25‥(1)、O/S≧1‥(2)を満足し、残部がFe及び不可避的不純物からなり、オーステナイトの体積率が95%以上であり、オーステナイトの粒径が20~200μm、オーステナイトの結晶粒界における炭化物被覆率が50%以下である高Mn鋼材である。これにより、オーステナイト粒径を適切なサイズに制御して結晶粒界に生成する炭化物が破壊の起点や亀裂の伝播の経路となることを回避でき、母材及び溶接熱影響部の靭性に優れた極低温用高Mn鋼材の提供が可能となる、としている。
また、特許文献2には、「低温用厚鋼板」が記載されている。特許文献2に記載された低温用厚鋼板は、質量%で、C:0.30~0.65%、Si:0.05~0.30%、Mn:20.00%を超え30.00%未満、Ni:0.10~3.00%未満、Cr:3.00%以上8.00%未満、Al:0.005~0.100%、N:0.0050%以上0.0500%未満を含み、P:0.040%以下、S:0.020%以下、O:0.0050%以下に制限し、残部Feおよび不純物からなり、Mn濃化部のMn濃度Mn1と希薄部のMn濃度Mn0から算出されるMn偏析比XMn(=Mn1/Mn0)が1.6以下であり、室温における降伏応力が400MPa以上、引張応力が800MPa以上、溶接熱影響部のシャルピー衝撃吸収エネルギー(vE-196)が70J以上である高Mn鋼材である。特許文献2に記載された技術によれば、Mnの偏析を抑えることで、溶接熱影響部靱性が向上し、低温靭性と溶接性に優れた高Mn鋼材を熱間圧延ままで提供できるとしている。
また、特許文献3には、「被削性および溶接熱影響部における極低温靭性にすぐれたオーステナイト系鋼材」が記載されている。特許文献3に記載されたオーステナイト系鋼材は、重量%で、Mn:15~35%、23.6C+Mn≧28及び33.5C-Mn≦23を満たすC、Cu:5%以下(0%は除く)、28.5C+4.4Cr≦57を満たすCr(0%は除く)、残部鉄及びその他の不可避的不純物からなる組成を有し、さらに、S:0.03~0.1%、Ca:0.001~0.01%を含み、被削性に優れ、かつ溶接熱影響部の-196℃でのシャルピー衝撃値が41J以上である溶接熱影響部における極低温靭性に優れた高Mn鋼材である。また、溶接熱影響部の冷却速度を10℃/s以上に制限することが好ましく、これにより、溶接熱影響部が面積分率で95%以上のオーステナイトからなる微細組織と、溶接熱影響部のオーステナイト粒界に存在する炭化物が面積分率で5%以下となる組織とすることができ、母材に加えて溶接熱影響部の低温靱性が向上するとしている。
特開2016-196703号公報 特開2017-71817号公報 特表2015-508452号公報
上記した液化ガス貯槽用タンク等の液化ガス貯槽用構造物は、基本的には、鋼材等の材料を溶接により接合する溶接構造物である。このため、使用する材料は、溶接部の特性が重要となる。とくに、溶接熱影響部では、母材と比較して新たな熱履歴が付与されるため、材質が変化し、低温靭性が低下しやすいという問題がある。そこで、使用する材料には、溶接部の低温靱性に優れることが要求される。
しかしながら、特許文献1に記載された技術では、ピーク温度:1400℃とする再現熱サイクルによる溶接ボンド部相当の低温靭性について評価しているだけである。また、特許文献2に記載された技術では、ピーク温度:600~850℃で5秒保持し急冷する条件の溶接再現熱サイクルを施した溶接熱影響部相当の低温靭性について評価しているだけである。また、特許文献3に記載された技術では、鋼材同士を溶接して得た溶接熱影響部について冷却速度を10℃/s以上と変化させて低温靭性を評価しているが、冷却速度の調整温度域が不明であり、また、特許文献1には、それ以外の要件についての記載もない。
溶接継手の溶接熱影響部では、被溶接材の板厚や溶接入熱条件等により、熱履歴が様々に変化し、到達温度や板厚により冷却速度を一定に調整することは難しい。さらに、板厚15mm未満、特に10mm以下のような薄鋼板を用いる溶接構造物では、溶接熱影響部の材質変化が構造物全体の特性に大きく影響するため、とくに溶接熱影響部の特性確保が重要となる。
本発明は、かかる従来技術の問題を解決し、例えば、液化ガス貯槽用タンク、リニアモーターカー、超電導発電機等の、極低温域(-164℃以下の温度域)で使用される溶接構造物向けとして好適な、高Mn鋼材を用いた、溶接熱影響部の低温靭性に優れた溶接継手およびその製造方法を提供することを目的とする。なお、ここでいう「低温靭性に優れた」とは、JIS Z 2242の規定に準拠して行った、試験温度:-196℃におけるシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーvE-196が41J以上(試験片:フルサイズ)、27J以上(試験片:ハーフサイズ)を有する場合をいうものとする。また、本発明で使用する高Mn鋼材は、上記した低温靱性を有し、さらに、降伏強さ:400MPa以上、引張強さ:800MPa以上、伸び:30%以上の常温引張特性を有する鋼材とする。
本発明者らは、上記した目的を達成するため、高Mn鋼材を対象として、とくに溶接熱影響部の低温靱性に及ぼす各種要因について鋭意検討した。その結果、溶接熱影響部における粒界炭化物の形態や結晶粒界の形態が、溶接熱影響部の低温靱性に大きく影響することを知見した。
極低温においても脆性破壊を生ずることがない高Mn鋼材では、破壊が発生する場合には、結晶粒界から発生する。そのため、結晶粒界の形状が低温靱性に大きく影響を与える。また、溶接熱影響部においては、溶接による熱履歴により、結晶粒界の炭化物形態が母材と異なり、また、この粒界炭化物(Cr炭化物)の形成に伴い、結晶粒界にはCrの欠乏層(粒界Cr欠乏層)が形成される。溶接による熱履歴により生じる、粒界Cr炭化物の形成量、形態(サイズ、アスペクト比)や、粒界Cr欠乏層の形態を含めた組織変化が、溶接熱影響部の低温靱性に大きな影響を及ぼす。このような組織変化は、特に、溶接入熱条件に大きく影響されるため、溶接入熱量の制限が重要であることを知見した。
本発明は、かかる知見に基づき、さらに検討を進めて完成されたものである。すなわち、本発明の要旨はつぎの通りである。
[1]鋼材同士を溶接接合してなる溶接継手であって、
前記鋼材は、質量%で、Mnを15.0%以上、Crを2.5%以上含有する高Mn鋼材であり、かつ
前記溶接継手の溶接熱影響部は、該溶接熱影響部に存在する炭化物の楕円近似の長軸長さの平均が0.50μm以下であり、該炭化物のアスペクト比の平均が5.0以下であり、炭化物として析出しているCrが、鋼材全体に対する質量%で、800質量ppm以下であり、
かつ結晶粒界のCr欠乏層が、幅:800nm以下で、該Cr欠乏層のCr欠乏量が前記鋼材の母相Cr含有量を基準として1.5質量%以下である組織を有することを特徴とする溶接継手。
[2]前記高Mn鋼材が、質量%で、
C:0.10~0.70%、 Si:0.05~1.0%、
Mn:15.0~30.0%、 Cr:2.5~7.0%、
Al:0.01~0.07%
を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、オーステナイト相を基地相とする組織と、を有する高Mn鋼材であることを特徴とする[1]に記載の溶接継手。
[3]前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:0.5%以下、Ni:0.3%以下、Ca:0.010%以下のうちの1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする[2]に記載の溶接継手。
[4]鋼材同士を溶接して溶接継手とするにあたり、
前記鋼材が、[2]または[3]に記載された組成を有する高Mn鋼材であり、
前記鋼材が板厚10mmを超える鋼材である場合には、前記溶接の溶接入熱量が1パス3.0kJ/mm以下、あるいは前記鋼材が板厚10mm以下の鋼材である場合には、前記溶接の溶接入熱量が1パス2.0kJ/mm以下、であることを特徴とする溶接継手の製造方法。
[5]前記鋼材の板厚が、15mm未満であることを特徴とする[4]に記載の溶接継手の製造方法。
[6]前記溶接継手の溶接熱影響部は、該溶接熱影響部に存在する炭化物の楕円近似の長軸長さの平均が0.50μm以下であり、該炭化物のアスペクト比の平均が5.0以下であり、炭化物として析出しているCrが、鋼材全体に対する質量%で、800質量ppm以下であり、
かつ結晶粒界のCr欠乏層が、幅:800nm以下で、該Cr欠乏層のCr欠乏量が前記鋼材の母相Cr含有量を基準として1.5質量%以下である組織を有することを特徴とする[4]または[5]に記載の溶接継手の製造方法。
本発明によれば、生産性の低下および製造コストの高騰を招くことなく安価に、極低温用溶接構造物向けとして好適な、溶接熱影響部低温靱性に優れた溶接継手を提供できるという、産業上格段の効果を奏する。また、本発明によれば、液化ガス貯槽用タンク、リニアモーターカー、超電導発電機等の、極低温環境下で使用される溶接構造物の安全性や寿命が向上するという効果もある。
本発明溶接継手は、鋼材同士を溶接してなる溶接継手であり、被溶接材である鋼材として、質量%で、Mnを15.0%以上、Crを2.5%以上含有する高Mn鋼材を用いる。
用いる高Mn鋼材は、質量%で、C:0.10~0.70%、Si:0.05~1.0%、Mn:15.0~30.0%、Cr:2.5~7.0%、Al:0.01~0.07%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有することが好ましい。以下、組成に関する質量%は、単に%で記す。まず、高Mn鋼材の組成限定理由について説明する。
C:0.10~0.70%
Cは、安価なオーステナイト安定化元素であり、本発明では重要な元素である。このような効果を得るためには、0.10%以上の含有を必要とする。一方、0.70%を超えて含有すると、Cr炭化物が過度に生成され、低温靱性が低下する。このため、Cは0.10~0.70%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.20~0.60%である。
Si:0.05~1.0%
Siは、脱酸剤として作用するとともに、鋼中に固溶して固溶強化により高強度化に寄与する元素である。このような効果を得るために、Siは0.05%以上の含有を必要とする。一方、1.0%を超えて含有すると、溶接性が低下する。このため、Siは0.05~1.0%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.07~0.5%である。
Mn:15.0~30.0%
Mnは、比較的安価なオーステナイト安定化元素であり、本発明では、母材強度の増加と極低温靱性の向上に寄与する重要な元素である。このような効果を得るために、Mnは15.0%以上の含有を必要とする。一方、30.0%を超えて含有すると、極低温靱性を改善する効果が飽和し、含有量に見合う効果を期待できなくなり、合金コストの高騰を招くとともに、溶接線から離れた位置の溶接熱影響部で極低温靭性が低下する場合がある。また、溶接性、切断性の低下を招く。さらに、Mnは偏析を助長し、応力腐食割れの発生を助長する。このため、Mnは15.0%以上好ましくは30.0%以下の範囲に限定した。なお、より好ましくは18.0~28.0%である。
Cr:2.5~7.0%
Crは、適量の含有でオーステナイト相を安定化させ、極低温靱性の向上および母材強度の増加に有効に寄与する元素である。また、Crは、微細結晶域の形成に効果的に寄与する元素である。このような効果を得るためには、2.5%以上の含有を必要とする。一方、7.0%を超えて含有すると、Cr炭化物が多量に生成し、極低温靭性および耐応力腐食割れ性が低下する。このため、Crは2.5~7.0%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは3.5~6.5%である。
Al:0.01~0.07%
Alは、脱酸剤として作用する元素であり、溶鋼の脱酸プロセスにおいてもっとも汎用的に使われる脱酸剤である。このような効果を得るためには、Alは0.01%以上の含有を必要とする。一方、0.07%を超えて含有すると、溶接時に溶接金属部に混入して、溶接金属の靭性を低下させる。このため、Alは0.01~0.07%の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.010~0.070%、さらに好ましくは0.020~0.060%である。
上記した成分が基本の成分であるが、この基本の成分に加えてさらに選択元素として、必要に応じて、Cu:0.5%以下、Ni:0.3%以下、Ca:0.010%以下のうちから選ばれた1種または2種以上を含有できる。
Cu、Ni、Caはいずれも、低温靱性の向上に寄与する元素であり、必要に応じて選択して含有できる。
Cuは、低温靱性の向上に加えてさらに、母材の強度増加にも有効に寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.04%以上含有することが好ましいが、0.5%を超えて含有すると、鋼材の表面割れの危険性が増大するとともに、材料コストの高騰を招く。そのため、含有する場合には、0.5%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.3%以下である。
Niは、低温靱性の向上に加えてさらに、オーステナイト相の安定化、母材の強度増加、耐食性、耐応力腐食割れ性の向上、さらに、鋼材の表面割れ防止にも寄与する元素である。このような効果を得るためには、0.04%以上含有することが好ましい。一方、0.3%を超えて含有すると、材料コストの高騰に加え、上記した耐応力腐食割れ性の向上効果が飽和する。このため、含有する場合には、Niは0.3%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.2%以下である。
Ca:0.010%以下
Caは、鋼中の介在物の形態制御や硫化物形成による固溶S低減を介して、低温靱性の向上に有効に寄与する。このような効果を得るためには、0.0002%以上含有することが好ましい。一方、0.010%を超えて含有すると、介在物そのものが粗大化し、逆に低温靱性の低下を招く。このため、含有する場合には、Caは0.010%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.0005~0.0050%である。
上記した成分以外の残部は、Feおよび不可避的不純物である。
不可避的不純物として、本発明では、P:0.030%以下、S:0.010%以下、N:0.050%以下、O:0.0050%以下に調整することが好ましい。
Pは、0.030%を超えて含有すると、結晶粒界に偏析し、応力腐食割れの発生起点となるため、0.030%を上限としてできるだけ低減することが好ましい。なお、より好ましくは0.028%以下、さらに好ましくは0.024%以下である。なお、Pを0.002%未満に低減するには、多大の精錬コストを必要とする。このため、経済性の観点から、0.002%以上とすることが好ましい。
Sは、低温靭性や延性を低下させるため、可能なかぎり低減することが望ましいが、0.010%までは許容できる。このため、Sは0.010%以下に限定することが好ましい。なお、より好ましくは0.005%以下である。なお、Sを0.0005%未満に低減するには、多大の精錬コストを必要とする。このため、経済性の観点から、0.0005%以上とすることが好ましい。
Nは、不可避的に含有する元素であるが、オーステナイト安定化元素でもあり、極低温靱性の向上に有効に寄与する元素でもある。このため、Nは0.050%以下に限定することが好ましい。0.050%を超えて含有すると、粗大な炭化物や窒化物が増加し、低温靭性が低下する。このため、Nは0.050%以下の範囲に限定することが好ましい。なお、より好ましくは、0.040%以下である。
O(酸素)は、酸化物を形成し、極低温靱性を低下させる。このため、Oは0.0050%以下に限定することが好ましい。より好ましくは、0.0045%以下である。なお、O(酸素)を0.0005%未満に低減するには、多大の精錬コストを必要とする。このため、経済性の観点から、O(酸素)は0.0005%以上とすることが好ましい。
なお、上記した成分以外の不可避的不純物としては、Mg、Ti、Nb、V、B、Mo、W等が挙げられるが、合計で0.05%以下であれば許容できる。
本発明で使用する高Mn鋼材は、上記した組成を有し、面積率で95%以上のオーステナイト相を基地相とする組織を有し、降伏強さ:400MPa以上、引張強さ:800MPa以上、伸び:30%以上の高強度と、試験温度:-196℃におけるシャルピー衝撃試験の吸収エネルギーが41J以上(試験片:フルサイズ)、27J(試験片:ハーフサイズ)となる、優れた低温靱性を有する鋼材である。なお、本発明で使用する高Mn鋼材は、板厚:15mm未満、好ましくは10mm以下とすることが好ましい。
本発明で使用する高Mn鋼材の好ましい製造方法は、つぎのとおりである。
上記した高Mn鋼組成を有する溶鋼を、転炉、電気炉等の、常用の溶製方法で溶製し、ついで、連続鋳造法あるいは造塊-分塊圧延法等の常用の鋳造方法により、所定寸法のスラブ等の鋼素材とする。なお、真空脱ガス炉を用いて、二次精錬を行ってもよい。得られた鋼素材は、ついで、通常の熱間圧延等の鋼材製造プロセスにより、加工されて所定寸法の鋼材とされる。また、圧延後に、必要に応じて、加熱・冷却等の熱処理を行い、所望の強度、低温靱性等の特性を満たす鋼材となるように、調整してもよい。なお、本発明では、所望の鋼材特性が満足できれば、上記した製造方法に限定されない。
本発明溶接継手は、上記した特性を有する高Mn鋼材を被溶接材とし、鋼材同士を溶接接合して製造される。本発明溶接継手における溶接熱影響部は、該溶接熱影響部に存在する炭化物の大きさ(楕円近似の長軸長さの平均)が0.50μm以下であり、該炭化物のアスペクト比の平均が5.0以下であり、炭化物として析出しているCrが、鋼材全体に対する質量%で、800質量ppm以下であり、かつ結晶粒界のCr欠乏層が幅:800nm以下で、該Cr欠乏層のCr欠乏量が鋼材の母相のCr含有量基準として1.5質量%以下である組織を有する。
このような組織を有する溶接熱影響部は、優れた低温靱性を有する。炭化物、とくに粒界炭化物は破壊の起点となるため、その形態が低温靭性に影響し、また粒界Cr欠乏層は、そのCr欠乏量により粒界近傍の変形特性に影響を与え、低温靭性に影響すると考えられる。
以下、溶接熱影響部組織の限定理由について説明する。
炭化物として析出しているCr:800質量ppm以下
炭化物は、溶接熱影響部においては高温からの冷却過程で、粒界に優先的に形成される。この粒界の炭化物は、低温における破壊進行過程において、炭化物/母相の界面から、あるいは炭化物内部からクラック(き裂)を発生する。そのため、この粒界の炭化物は、溶接熱影響部の低温靱性を評価するうえで重要になる。炭化物の析出量が少ないほど粒界の特性は向上するが、溶接熱影響部においては炭化物の析出を完全に抑制することは困難である。炭化物の析出量が、炭化物として析出しているCrで、鋼材全量に対する質量%で、800質量ppmを超えて多くなると、粒界の破壊起点が増加するため、低温靱性が低下する。このため、炭化物として析出しているCrで、鋼材全量に対する質量%で、800質量ppm以下に限定した。なお、好ましくは600質量ppm以下である。
Crを含有する鋼材の溶接熱影響部では、Crは、炭化物中に一定量含有されるため、抽出残渣分析を行い、析出物中のCr量を分析すれば、精度よく炭化物析出量を評価できる。
炭化物:大きさが、楕円近似の長軸長さの平均で0.50μm以下、平均アスペクト比5.0以下
析出した各炭化物を楕円近似して、それぞれの長軸長さ、短軸長さを求め、その長軸長さの平均値を、炭化物の大きさ(サイズ)と定義する。また、各炭化物の長軸長さと短軸長さの比を求め、その平均値を炭化物のアスペクト比とする。
形成された炭化物、とくに粒界の炭化物の形状は、クラックの発生や進展を考えるうえで重要である。炭化物の大きさ(サイズ)が平均で0.50μmを超えて大きくなると、また、アスペクト比が平均で5.0を超えて大きくなると、低温における破壊進行過程において、炭化物/母相の界面から、あるいは炭化物内部からクラック(き裂)を発生しやすくなり、低温靱性が低下する。このため、析出した炭化物の大きさ(サイズ)を平均で0.50μm以下、アスペクト比を平均で5.0以下に限定した。
粒界Cr欠乏層の幅:800nm以下、粒界Cr欠乏量:母相Cr含有量基準で1.5質量%以下
溶接継手の溶接熱影響部では、溶接線からの距離に応じて熱履歴が相違し、その違いにより粒界の炭化物形成やCr欠乏層形成に違いが生じる。粒界のCr濃度は、粒界近傍での変形に影響を与えるため、粒界Cr欠乏層の幅が大きく、かつ母相Cr含有量との差であるCr欠乏層のCr欠乏量が大きいほど、粒界近傍の強度が低下して、粒界近傍の変形特性に影響を与え、低温靱性が低下する。本発明では、上記した粒界Cr欠乏層の幅および粒界Cr欠乏層のCr欠乏量を、同時に満足することが肝要となる。
粒界Cr欠乏層の幅が800nmを超えて大きくなり、粒界Cr欠乏層のCr欠乏量の最大値が、母相Cr含有量基準で1.5質量%を超えて大きくなると、粒界近傍の強度が著しく低下し、変形が容易になり低温靱性が低下する。このため、粒界Cr欠乏層の幅は800nm以下、かつ粒界Cr欠乏層のCr欠乏量は、母相Cr含有量基準で1.5質量%以下に限定した。なお、好ましくは、粒界Cr欠乏層の幅は500nm以下、粒界Cr欠乏層のCr欠乏量は母相Cr含有量基準で1.0質量%以下である。
なお、溶接熱影響部では、溶接線からの距離によりその熱履歴が異なるため、溶接線(ボンド部)から2~10mmの範囲について組織観察を実施して、上記した組織の有無を確認し、低温靭性に優れた溶接熱影響部となるためには、上記したすべての位置で上記した組織を満足することが肝要となる。
次に、本発明溶接継手の製造方法について説明する。
鋼材同士を溶接して溶接継手とする。溶接に際しては、鋼材に開先を付して溶接することが好ましい。開先としては、通常の、レ型、X開先、Y開先等がいずれも適用できる。なお、本発明では、溶接材料、溶接方法については、とくに限定しないが、溶接熱影響部の炭化物の形態等を調整する必要があり、溶接入熱量を限定する。
被溶接材である鋼材の板厚が10mmを超える場合には1パスの溶接入熱量は3.0kJ/mm以下、板厚が10mm以下の場合は1パスの溶接入熱量は2.0kJ/mm以下とすることが望ましい。なお、溶接は、鋼材板厚に応じて複数盛としてもよい。
また、溶接熱影響部の冷却については、とくに限定されないが、ガス吹付による冷却制御を行ってもよい。溶接熱影響部を急冷することは、炭化物の形成を抑制する方法として、効果的な手段である。しかし、鋼板板厚が10mm以下の薄物の場合、鋼板を急冷すると、熱歪による内部応力により板反りの発生が大きくなり、溶接部の拘束条件等に問題が発生する。
上記した溶接時の入熱量の制限により、溶接熱影響部各位置の組織を、上記した所望の、炭化物の形成量、形態(サイズ、アスペクト比)や、所望の粒界Cr欠乏層の形態を満足する組織とすることができる。
なお、本発明で使用する溶接材料としては、溶接により形成される溶接金属部が、鋼材と同等またはそれ以上の強度と低温靭性とを保持できる、極低温用溶接材料とすることが肝要となる。また、溶接方法としては、ヒューム低減による安全性向上とフラックス由来の酸化物低減による低温靭性向上の観点からガスメタルアーク溶接とすることが好ましい。
以下、実施例に基づきさらに、本発明について説明する。なお、本発明は以下の実施例に限定されない。
表1に示す組成の溶鋼を真空溶解炉で溶製し、鋳造して鋼塊とし、ついで熱間圧延(分塊圧延)を施して鋼素材(スラブ:肉厚50~150mm)とした。得られた鋼素材(スラブ)を加熱炉に装入し1250℃に加熱した後、仕上圧延終了温度:950℃とする熱間圧延を施し、ついで、仕上圧延終了温度から650℃までの温度域を冷却速度:5℃/sで冷却し、その後空冷する冷却を行って、鋼板(板厚6~12mm)とした。なお、熱間圧延における鋼板の温度は、鋼板の板厚方向中心部に熱電対を挿入して測定した。
得られた各鋼板から試験片を採取し、引張試験、衝撃試験を実施し、鋼板特性を調査した。試験方法はつぎのとおりとした。
(1)引張試験
得られた各鋼板より、JIS 5号引張試験片を採取し、JIS Z 2241(1998)の規定に準拠して引張試験を実施し、引張特性(降伏強さ、引張強さ、伸び)を調査した。
(2)衝撃試験
得られた各鋼板の板厚1/2位置で、圧延方向と垂直な方向から、JIS Z 2202(1998)の規定に準拠して、シャルピー衝撃試験片(Vノッチ)を採取し、JIS Z 2242(1998)の規定に
準拠して、シャルピー衝撃試験を実施し、衝撃特性(吸収エネルギー)を求めた。試験温度は、-196℃とし、各鋼板について試験片3本とした。なお、板厚12mm鋼板では、フルサイズ(10mm)の試験片を、板厚8mmおよび板厚6mm鋼板では、ハーフサイズ(5mm)の試験片を採取した。
得られた鋼板特性を表2に示す。
Figure 2022053860000001
Figure 2022053860000002
表2から、得られた鋼板(高Mn鋼板)はいずれも、降伏強さ:400MPa以上、引張強さ:800MPa以上、伸び:30%を満足する引張特性を有し、試験温度:-196℃におけるシャルピー吸収エネルギーvE-196が平均で、41J以上(試験片:フルサイズ)、27J以上(試験片:ハーフサイズ)を有する、高強度高靱性鋼板であることを確認した。
つぎに、得られた各鋼板から、溶接継手作製用試験片(幅200mm×長さ500mm)を採取し、得られた試験片同士を突き合わせて、ソリッドワイヤ(溶接材料)を用いてガスメタルアーク溶接(シールドガス:80%Ar+20%CO2)で積層し溶接継手を作製した。なお、開先はレ型開先とし、溶接入熱量は0.8~3.8kJ/mmとした。
なお、溶接材料は、C:0.45%、Si:0.55%、Mn:21.3%、Ni:2.3%、Cr:1.7%、Mo:1.6%を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成を有するソリッドワイヤを使用した。
得られた溶接継手の溶接熱影響部各位置から、試験片を採取し、シャルピー衝撃試験、および組織解析を行った。溶接熱影響部各位置は、溶接線(ボンド部)から3mm、6mm、9mmの位置とした。
試験方法はつぎのとおりとした。
(3)溶接熱影響部の衝撃試験
溶接熱影響部各位置(溶接線(ボンド部)から3mm、6mm、9mmの各位置)がノッチ位置となるように、シャルピー衝撃試験片(Vノッチ)を採取し、JIS Z 2242(1998)の規定に準拠して、
シャルピー衝撃試験を実施し、吸収エネルギーを求めた。試験温度は-196℃とし、各鋼板について試験片3本とした。なお、板厚12mm鋼板では、フルサイズ(10mm)の試験片を、板厚8mmおよび板厚6mm鋼板では、ハーフサイズ(5mm)の試験片をそれぞれ採取した。
(4)溶接熱影響部の組織解析
溶接熱影響部各位置から分析用サンプルを採取し、抽出残渣分析を行った。分析用サンプルを10%アセチルアセトン溶液中で電解抽出し、得られた抽出残渣について、ICP(高周波誘導結合プラズマ)発光分光分析により析出物中のCr量を定量分析した。Crは、炭化物中に一定量含有されるため、残渣の析出物中のCr量を分析すれば、精度よく炭化物析出量を評価できる。
また、溶接熱影響部各位置から電子顕微鏡観察用薄膜試験片を採取し、透過型電子顕微鏡を用いて組織観察を行い、炭化物の形態および粒界Cr欠乏層の形態を調査した。
得られた組織写真を用いて、各炭化物について、楕円近似を行い、長軸長さおよび短軸長さを測定した。この測定は、50個以上の炭化物について行った。得られた各炭化物の長軸長さの平均値を求め、炭化物の大きさ(サイズ)とした。また、得られた各炭化物について、長軸長さと短軸長さの比(アスペクト比)を求め、その平均値を炭化物のアスペクト比とした。
また、溶接熱影響部各位置から電子顕微鏡観察用薄膜試験片を採取し、透過型電子顕微鏡を用いて、粒界近傍の組織観察を行い、析出物が無い粒界を横断して、エネルギー分散型X線分光分析(EDS)を用いてCr量の分布状況を測定した。得られたCr量について、母相Cr量と比較して、粒界Cr欠乏層のCr欠乏量および粒界Cr欠乏層の幅を測定した。この測定は、10個以上の粒界について行い、その平均値を求めた。
なお、参考として、溶接継手の溶接金属中央位置から、シャルピー衝撃試験片(Vノッ
チ)を採取し、JIS Z 2242(1998)の規定に準拠して、シャルピー衝撃試験を実施し、吸収エネルギーを求めた。試験温度は-196℃とし、各溶接金属から試験片3本とした。板厚12mm鋼板では、フルサイズ(10mm)の試験片を、板厚8mmおよび板厚6mm鋼板では、ハーフサイズ(5mm)の試験片をそれぞれ採取した。また、溶接継手の溶接金属中央位置から引張試験片(平行部:6mmφ)を採取し、JIS Z 2241の規定に準拠して引張試験を実施し、溶接金属部の引張特性(0.2%耐力、引張強さ)を求めた。
得られた結果を表3、表4に示す。
Figure 2022053860000003
Figure 2022053860000004
本発明例はいずれも、溶接熱影響部各位置で、優れた低温靱性を有している。一方、本発明の範囲を外れる比較例は、低温靱性が低下している。
溶接入熱量が本発明の範囲を外れる比較例(継手No.B)では、溶接熱影響部の3mmの位置で、炭化物の大きさ(長軸長さ)、アスペクト比が本発明の範囲を外れ、溶接熱影響部の6mmの位置で、炭化物の大きさ(長軸長さ)、粒界Cr欠乏層のCr欠乏量が本発明の範囲を外れ、それぞれ低温靱性が低下している。
また、溶接入熱量が本発明の範囲を外れる比較例(継手No.D)では、溶接熱影響部の6mmの位置で、炭化物の大きさ(長軸長さ)、アスペクト比、粒界Cr欠乏層の幅が本発明の範囲を外れ、また、溶接熱影響部の9mmの位置で、粒界Cr欠乏層の幅が本発明の範囲を外れ、それぞれ低温靱性が低下している。
また、溶接入熱量が本発明の範囲を外れる継手No.Hでは、溶接熱影響部の3mmの位置で、炭化物の大きさ(長軸長さ)、粒界Cr欠乏層の幅、Cr欠乏量が本発明の範囲を外れ、また、溶接熱影響部の6mmの位置で、炭化物の大きさ(長軸長さ)、粒界Cr欠乏層のCr欠乏量が本発明の範囲を外れ、低温靱性が低下している。
また、鋼板組成がMn含有量で本発明の好ましい範囲を外れる継手No.Kでは、溶接熱影響部の9mmの位置で、低温靭性が低下している。
また、鋼板組成がCr含有量で本発明の好ましい範囲を外れる継手No.Lでは、溶接熱影響部の3mmの位置で、炭化物として析出しているCr、炭化物の大きさ(長軸長さ)、粒界Cr欠乏層の幅、Cr欠乏量が本発明の範囲を外れ、また、溶接熱影響部の6mmの位置で、炭化物として析出しているCr、炭化物の大きさ(長軸長さ)、粒界Cr欠乏層の幅が本発明の範囲を外れ、また、溶接熱影響部の9mmの位置で、炭化物として析出しているCrが本発明の範囲を外れ、それぞれ低温靱性が低下している。
なお、溶接金属部は、表4に示すように、本発明で使用する高Mn鋼板と同等以上の高強度(0.2%耐力:400MPa以上)と、優れた低温靭性(試験温度:-196℃におけるシャルピー衝撃試験吸収エネルギーvE-196が平均で、41J以上(試験片:フルサイズ)、27J以上(試験片:ハーフサイズ))を有していることを確認した。

Claims (5)

  1. 鋼材同士を溶接接合してなる溶接継手であって、
    前記鋼材は、質量%で、Mnを15.0%以上、Crを2.5%以上含有する高Mn鋼材であり、かつ前記溶接継手の溶接熱影響部は、該溶接熱影響部に存在する炭化物の楕円近似の長軸長さの平均が0.50μm以下であり、該炭化物のアスペクト比の平均が5.0以下であり、炭化物として析出しているCrが、鋼材全量に対する質量%で、800質量ppm以下であり、
    かつ結晶粒界のCr欠乏層が、幅:800nm以下で、該Cr欠乏層のCr欠乏量が前記鋼材の母相Cr含有量を基準として1.5質量%以下である組織を有することを特徴とする溶接継手。
  2. 前記高Mn鋼材が、質量%で、
    C:0.10~0.70%、 Si:0.05~1.0%、
    Mn:15.0~30.0%、 Cr:2.5~7.0%、
    Al:0.01~0.07%
    を含有し、残部Feおよび不可避的不純物からなる組成と、オーステナイト相を基地相とする組織と、を有する高Mn鋼材であることを特徴とする請求項1に記載の溶接継手。
  3. 前記組成に加えてさらに、質量%で、Cu:0.5%以下、Ni:0.3%以下、Ca:0.010%以下のうちの1種または2種以上を含有する組成とすることを特徴とする請求項2に記載の溶接継手。
  4. 鋼材同士を溶接して溶接継手とするにあたり、
    前記鋼材が、請求項2または3に記載された組成を有する高Mn鋼材であり、
    前記鋼材が板厚10mmを超える鋼材である場合には、前記溶接の溶接入熱量が1パス3.0kJ/mm以下、あるいは前記鋼材が板厚10mm以下の鋼材である場合には、前記溶接の溶接入熱量が1パス2.0kJ/mm以下、であることを特徴とする溶接継手の製造方法。
  5. 前記鋼材の板厚が、15mm未満であることを特徴とする請求項4に記載の溶接継手の製造方法。
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