JP2022052308A - 焼結機械部品の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】焼結機械部品の製造コストを低減する。【解決手段】焼結機械部品の製造方法は、圧粉体5aを誘導加熱処理することにより焼結体5bを形成する焼結工程と、焼結体5bに浸炭処理又は浸炭窒化処理を行う高強度化工程と、を備える。【選択図】図1
Description
本発明は、粉末冶金法によって機械部品を製造する方法に関する。
粉末冶金とは、「金属粉の製造及び金属粉(非金属粉を配合する場合を含む)の成形と焼結による、材料又は製品の製造についての技術」のことである。粉末冶金法は、鋳造や鍛造とは異なる技術であり、以下のような工程で製品を製造するのが一般的である。
(1)原料となる金属、潤滑剤、黒鉛等粉末の混合
(2)加圧プレス等による圧粉成形
(3)融点以下での焼結(昇温・温度保持および冷却)
(4)矯正(サイジング)
(5)(必要に応じた)浸炭熱処理等の後加工
(1)原料となる金属、潤滑剤、黒鉛等粉末の混合
(2)加圧プレス等による圧粉成形
(3)融点以下での焼結(昇温・温度保持および冷却)
(4)矯正(サイジング)
(5)(必要に応じた)浸炭熱処理等の後加工
以上の工程の中でも、(3)の焼結工程は、原料が鉄系材料の場合、1100℃以上の高温域で専用の炉を使って処理されるのが一般的であり、処理に長時間を要する。したがって焼結工程のコストは、機械部品の製造コスト全体の1/4~1/2を占めるとされている。さらに、高温での焼結工程により、圧粉体は膨脹・収縮する。圧粉体を目的の寸法ないし精度に収めるために、(4)の矯正工程、場合によっては必要な強度を確保するために、(5)の後工程が必要となる。
例えば特許文献1には、自動車などに搭載したエンジンのタイミング伝達機構のスプロケットを粉末冶金法によって製造する技術が記載されている。この製造方法では、まず、潤滑剤と黒鉛粉とが混合された鉄系粉末を圧縮成形し、スプロケット形状の圧粉体とする。次に、圧粉体を窒素雰囲気ガス中で、1150℃の温度で焼結して焼結体を形成する。さらに、焼結体に浸炭熱処理(後工程)を行い、最後に焼結体に強サイジングを施すことで、強度及び耐摩耗性が高められたスプロケットが製造される。
一般に、歯車、スプロケットといった中型又は大型の焼結機械部品を大量に焼結するためには、複数個の圧粉体を収容したトレイを専用の加熱炉に挿入する工程、あるいは搬送ベルト上に複数個の圧粉体を載置して加熱炉内に搬送する工程が必要となる。
上記の工程を用いる場合、圧粉体の温度を1100℃以上に昇温させるために長時間が費やされる。焼結機械部品の生産量を確保するには、この加熱炉を大型とするか、または搬送ベルトを長くしなければならず、設備の設置面積が大きくなる。昇温に時間がかかるのは、製品への熱の伝わりが輻射及び熱伝導のためであることと、トレイや搬送ベルトも一緒に昇温しなければならないという理由による。
また、焼結工程を実施する際、高温に保持するために熱応力等によって焼結体に歪が生じることから、製品としての寸法精度を満足させるために、当該焼結工程後に矯正(サイジング)工程を設ける必要がある。従来のような専用の加熱炉の場合、冷却のためのスペースを広く確保する必要があり、さらに設備構成が大きくなる。しかも、後工程では、焼結工程を行った後に、再度昇温して浸炭処理を行う必要があり、2度にわたる加熱工程を経ることも相俟って、機械部品に係る製造コストの高騰化を招いていた。
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、焼結機械部品の製造コストを低減することを目的とする。
本発明に係る焼結機械部品の製造方法は上記の課題を解決するためのものであり、圧粉体を誘導加熱処理することにより焼結体を形成する焼結工程と、前記焼結体に浸炭処理又は浸炭窒化処理を行う高強度化工程と、を備えることを特徴とする。
本発明によれば、従来のように加熱炉及び搬送装置の昇温工程を経ることなく、圧粉体を誘導加熱処理によって直接的に加熱できる。これにより、従来よりも短時間で焼結工程を行うことで焼結機械部品の製造コストを可及的に低減できる。
前記高強度化工程は、前記焼結工程と共に行われてもよい。これにより、製造設備を小型化できるとともに、焼結機械部品の製造時間を一層短縮できる。
前記高強度化工程では、前記焼結工程後に、所定温度に維持された保持炉内に前記焼結体が配置されてもよい。予め保持炉を所定温度に昇温させて維持することで、焼結工程後に再度の昇温を待つことなく焼結工程から高強度化工程へと短時間で移行できる。したがって、製造時間の短縮化によって焼結機械部品の製造コストを低減できる。
焼結機械部品の製造方法は、前記高強度化工程後に、前記焼結体を窒素ガスによって冷却する冷却工程を備えてもよい。これにより、焼結機械部品をより高強度のものにできる。
焼結機械部品の製造方法は、前記焼結体の歪を矯正するサイジング工程を備え、前記サイジング工程は、前記冷却工程と共に行われてもよい。これにより、焼結機械部品を精度良くかつ効率良く製造できる。
前記焼結工程では、非磁性体で被覆される加熱炉内に前記圧粉体を配置し、前記加熱炉に備えられるコイルにより前記圧粉体を誘導加熱してもよい。これにより、加熱炉自体の発熱を防止するとともに、圧粉体のみを加熱して焼結させることができる。
前記焼結工程では、前記加熱炉に窒素ガスが導入されてもよい。これにより、圧粉体の焼結処理を安定して行うことができる。
前記高強度化工程では、前記焼結工程の実行中に、前記加熱炉に浸炭性ガス又は浸炭し窒化性ガスが導入されてもよい。焼結工程と高強度化工程とを加熱炉で実行すれば、各工程に係る設備を一体化して、省スペース化を図ることができ、しかも焼結機械部品の製造時間を可及的に短縮できる。
本発明によれば、焼結機械部品の製造コストを低減することが可能になる。
本発明では、歯車、スプロケット、プーリ、カム、コネクティングロッド等の各種焼結機械部品を製造できる。焼結機械部品の用途は特に限定されず、自動車用、建機用、事務機器用等の各種分野の機械部品として広く用いることができる。
焼結機械部品の製造方法は、圧粉体を形成する成形工程と、圧粉体に焼結処理を施して焼結体とする焼結工程と、焼結体の表面を硬化させる高強度化工程と、冷却工程とを備える。以下、各工程について詳細に説明する。
[原料粉]
圧粉体を構成する原料粉としては、機械部品の強度確保のため、鉄を93.0wt%以上(好ましくは95.0wt%以上)含む鉄基粉末が用いられる。この鉄基粉末の一例として、Fe-Ni-Mo-C系等の鉄系合金粉を使用することができる。鉄基粉末としては、拡散合金粉、プレアロイ粉、プレミックス粉など種類を問わず使用することができる。また、適用する熱処理の条件や要求特性(強度、硬さ等)に応じて、含有する元素の種類やその比率を選定すればよく、特定の組成のものには限定されない。粉末の製法(アトマイズ法、還元法、スタンプ法、カルボニル法等)も特に限定されない。
圧粉体を構成する原料粉としては、機械部品の強度確保のため、鉄を93.0wt%以上(好ましくは95.0wt%以上)含む鉄基粉末が用いられる。この鉄基粉末の一例として、Fe-Ni-Mo-C系等の鉄系合金粉を使用することができる。鉄基粉末としては、拡散合金粉、プレアロイ粉、プレミックス粉など種類を問わず使用することができる。また、適用する熱処理の条件や要求特性(強度、硬さ等)に応じて、含有する元素の種類やその比率を選定すればよく、特定の組成のものには限定されない。粉末の製法(アトマイズ法、還元法、スタンプ法、カルボニル法等)も特に限定されない。
また、原料粉には、被成形粉末と金型の間、および、粉末同士の間を潤滑する圧粉体成形用の固体潤滑剤が添加される。この固体潤滑剤としては、金属石けんやアミドワックス等を用いるのが一般的である。この固体潤滑剤を上記の鉄基粉末と均一に混合することで原料粉が調整される。
[成形工程]
以上に述べた原料粉は、例えば一軸加圧成形機等を用いて完成品に対応する形状(例えば歯車形状)を有する圧粉体として成形される。成形手法の代表例として一軸加圧成形を挙げたが、粉末が押し固められるのであれば圧粉成形の手法は問わず、例えば多軸CNCプレスによる成形、射出成形(MIM)などを採用することもできる。成形後の圧粉体の密度は、強度(例えば圧環強さ)向上のために6.6~7.0g/cm3にすることが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。なお、ここでの圧粉密度は寸法測定法による。同様の観点から、圧粉体の相対密度は92%以上にすることが好ましい。成形工程後に、圧粉体に対して固体潤滑剤を除去する完全脱脂処理(脱脂工程)を施すことが好ましい。
以上に述べた原料粉は、例えば一軸加圧成形機等を用いて完成品に対応する形状(例えば歯車形状)を有する圧粉体として成形される。成形手法の代表例として一軸加圧成形を挙げたが、粉末が押し固められるのであれば圧粉成形の手法は問わず、例えば多軸CNCプレスによる成形、射出成形(MIM)などを採用することもできる。成形後の圧粉体の密度は、強度(例えば圧環強さ)向上のために6.6~7.0g/cm3にすることが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。なお、ここでの圧粉密度は寸法測定法による。同様の観点から、圧粉体の相対密度は92%以上にすることが好ましい。成形工程後に、圧粉体に対して固体潤滑剤を除去する完全脱脂処理(脱脂工程)を施すことが好ましい。
[焼結工程]
図1は、本方法を実施するために使用される焼結機械部品の製造装置の一実施形態を示す。製造装置1は、焼結工程を行う加熱炉2と、高強度化工程を行う保持炉3と、冷却工程を行う冷却室4とを備える。
図1は、本方法を実施するために使用される焼結機械部品の製造装置の一実施形態を示す。製造装置1は、焼結工程を行う加熱炉2と、高強度化工程を行う保持炉3と、冷却工程を行う冷却室4とを備える。
成形工程後、圧粉体5aは、加熱炉2内の昇温ポジションに配置される。加熱炉2は、函状に構成されるとともに、その全体が非磁性体により被覆されている。加熱炉2の外周には誘導加熱用コイル6が配されている。加熱炉2は、圧粉体5aが通過可能な搬入部7及び搬出部8を有する。搬入部7及び搬出部8は、シャッタ(扉)9,10により開閉自在に構成される。焼結工程において、圧粉体5aは、誘導加熱用コイル6により、例えば周波数1~5kHz、出力20~30kW、加熱時間60~100秒の条件にて電磁誘導加熱される。これにより圧粉体5aは、例えば1100~1200℃(好ましくは1150℃)まで昇温する。加熱炉2には、給気部11及び排気部12が設けられており、焼結工程においては、給気部11を介して窒素ガスが加熱炉2内に供給される。排気部12は真空ポンプを備えており、窒素ガスが供給される前に加熱炉2を真空状態にできる。
焼結工程では、電磁誘導によって圧粉体5aを加熱することから、短時間で昇温可能であり、圧粉体5aを一個ずつ直接的に熱処理できる。したがって、金属粒子間の融着、ネッキングという焼結工程全体としてみた場合の処理時間を可及的に短縮できる。この焼結工程を経ることで、圧粉体5aは焼結体(以下「焼結機械部品」という)5bとなる。
[高強度化工程]
高強度化工程において、焼結機械部品5bは、加熱炉2から取り出され、保持炉3内に導入される。保持炉3は、加熱炉2に隣接しており、焼結機械部品5bが通過可能な搬入部13及び搬出部14を備える。搬入部13及び搬出部14は、シャッタ10,15により開閉自在に構成される。保持炉3は加熱炉2の搬出部8から取り出された焼結機械部品5bを搬入部13から内部に導入できる。
高強度化工程において、焼結機械部品5bは、加熱炉2から取り出され、保持炉3内に導入される。保持炉3は、加熱炉2に隣接しており、焼結機械部品5bが通過可能な搬入部13及び搬出部14を備える。搬入部13及び搬出部14は、シャッタ10,15により開閉自在に構成される。保持炉3は加熱炉2の搬出部8から取り出された焼結機械部品5bを搬入部13から内部に導入できる。
保持炉3は、所定温度(例えば1100~1200℃、好ましくは1150℃)に維持されている。また、保持炉3には、給気部16及び排気部17が設けられており、給気部16を通じて浸炭性ガス又は浸炭窒化性ガスが内部に充填される。焼結機械部品5bは、保持炉3内の所定位置(強化ポジション)に一定時間(例えば20~30分間)配置される。これにより、焼結機械部品5bに対して浸炭処理又は浸炭窒化処理(表面硬化処理)が施される。高強度化工程が終了すると、焼結機械部品5bは、搬出部14から取り出され、冷却室4へと移送される。
[冷却工程]
冷却室4は、保持炉3に隣接しており、焼結機械部品5bが通過可能な搬入部18と搬出部19とを備える。搬入部18及び搬出部19は、シャッタ15,20により開閉自在に構成される。
冷却室4は、保持炉3に隣接しており、焼結機械部品5bが通過可能な搬入部18と搬出部19とを備える。搬入部18及び搬出部19は、シャッタ15,20により開閉自在に構成される。
冷却工程では、保持炉3の搬出部14から取り出された焼結機械部品5bが搬入部18から冷却室4内へと導入される。冷却室4は、給気部21及び排気部22を備えており、給気部21を介して常温の窒素ガスが内部に充填される。焼結機械部品5bは、冷却室4内の所定位置(冷却ポジション)に一定時間配置されることで冷却(焼入れ)される。冷却工程が終了すると、焼結機械部品5bは冷却室4の搬出部19から取り出される。
[後加工工程]
その後、必要に応じて、サイジング(矯正)、旋削あるいは研削等の後加工(仕上げ加工)により表面を仕上げることで焼結機械部品5bが製品として完成する。必要に応じて、焼結機械部品5bの空孔に潤滑油を含浸させてもよい。
その後、必要に応じて、サイジング(矯正)、旋削あるいは研削等の後加工(仕上げ加工)により表面を仕上げることで焼結機械部品5bが製品として完成する。必要に応じて、焼結機械部品5bの空孔に潤滑油を含浸させてもよい。
以上説明した本実施形態に係る焼結機械部品5bの製造方法によれば、圧粉体5aを誘導加熱処理することで、従来のように搬送装置を備える焼結炉に対する昇温工程を経ることなく、圧粉体5aを直接的に加熱することができる。また、焼結工程後に、所定温度に維持された保持炉3で高強度化工程を行うことで、従来のように焼結工程と高強度化工程とによる2度の昇温工程を経ることなく、より短時間で各工程を行うことができる。これにより、焼結機械部品5bの製造コストを可及的に低減できる。
本実施形態では、加熱炉2における加熱手段を誘導加熱用コイル6により構成することで、従来のように、大型の焼結炉や大型の搬送装置(搬送ベルト)を不要にする。これにより、加熱炉2、保持炉3及び冷却室4を近接させて配置することができ、従来の製造設備と比較して、製造装置1の設置面積を半減させることができる。
図2は、焼結機械部品の製造方法の他の実施形態を示す。本実施形態に係る製造装置1は、焼結工程を行う加熱炉2と、高強度化工程を行う保持炉3と、冷却工程及びサイジング工程を行う冷却室4とを備える。加熱炉2及び保持炉3の構成は、図1の実施形態と同じである。
冷却室4の内部には、サイジング工程を行う加圧プレス機23が配されている。加圧プレス機23は、ダイ24(金型)と、コアロッド25と、上パンチ26と、下パンチ27とを備える。サイジング工程では、ダイ24の内側に焼結機械部品5bを配置するとともに、コアロッド25を焼結機械部品5bに挿通した状態で、上パンチ26及び下パンチ27によって当該焼結機械部品5bを上下に挟んでプレスする。
冷却室4には、冷却剤を焼結機械部品5bに向かって噴出する噴射装置28が配されている。冷却工程では、加圧プレス機23によってサイジング工程を行いながら、噴射装置28から冷却剤を焼結機械部品5bに供給する。
本実施形態に係る焼結機械部品5bの製造方法によれば、サイジング工程を冷却工程と共に行うことで、冷却工程における焼結機械部品5bの収縮過程で、その真円度、そり歪を矯正することができる。これにより、高強度で耐摩耗性に優れた焼結機械部品5bを精度良く、かつ短時間で製造することが可能になる。
図3は、焼結機械部品の製造方法の他の実施形態を示す。本実施形態において、製造装置1は、図1の実施形態に係る保持炉3を備えておらず、加熱炉2と冷却室4とが隣接した構成を有する。製造装置1は、加熱炉2にて焼結工程と高強度化工程とを行うように構成される。加熱炉2は、焼結工程用の処理ガス(窒素ガス)を供給する第一給気部29と高強度化工程に係る処理ガス(浸炭性ガス又は浸炭窒化性ガス)を供給する第二給気部30と、排気部31とを備える。
本実施形態に係る製造方法では、図1の実施形態と同様に、加熱炉2で焼結工程を実行した後、同じ加熱炉2内で高強度化工程を実行する。あるいは、本実施形態では、焼結工程の実行中に高強度化工程を実行することも可能である。
具体的には、まず、成形工程後に圧粉体5aが加熱炉2内の昇温ポジションに配される。焼結工程において、加熱炉2は、排気部31により真空引きされた後、第一給気部29から窒素ガスが内部に導入されることで復圧する。その後、誘導加熱用コイル6に電流を流し、電磁誘導によって圧粉体5aを昇温させる。
焼結工程では、その初期において第一給気部29から窒素ガスが加熱炉2内に供給されるが、途中から窒素ガスの供給が終了し、第二給気部30から浸炭性ガスまたは浸炭窒化性ガスが加熱炉2内に供給される。この場合において、誘導加熱用コイル6による加熱は継続される。すなわち、焼結工程の実行中に高強度化工程が開始する。このように本実施形態では、高強度化工程を焼結工程と共に行うことで、焼結機械部品5bに対する加熱処理を効率良く行うことができる。
焼結工程及び高強度化工程が終了すると、焼結機械部品5bは昇温ポジション(加熱炉2)から取り出され、冷却室4内に配置される。その後、図1に示す実施形態と同様に、焼結機械部品5bに対して冷却工程が行われる。これに限らず、図2の実施形態と同様に冷却室4内において冷却工程と共にサイジング工程を実行してもよい。
本実施形態では、加熱炉2によって焼結工程と共に高強度化工程を実行することで、各工程に係る設備を共通化でき、従来の設備と比較して設置面積を80%減とする省スペース化を実現できる。しかも、焼結機械部品5bの製造時間を可及的に短縮できる。
本発明者は、本発明の効果を確認するために焼結機械部品の製造試験を行った。試験では、3%Ni-1%Mo-2%Cu-0.6%C-残Feの粉末と固体潤滑剤とを含む混合粉体を用いて圧粉体を成形した。焼結工程において、例えば周波数1~5kHz、出力20~30kW、加熱時間60~100秒間の条件にて圧粉体を電磁誘導加熱し、焼結機械部品として、外径96mm、内径30mm、幅6mmのギア(実施例)を製造した。製造試験では、従来のように焼結炉及び浸炭処理用の炉を使用して焼結機械部品としてのギア(比較例)を製造した。この試験では、実施例と比較例に係る製造時間の比較評価を行った。
この製造試験において、比較例を製造する場合に、各炉に対する2回の挿入、取り出しに係る製造時間が16時間であったのに対し、実施例に係る製造時間は約4時間であった。これにより、本発明に係る製造方法は、従来よりも短時間で焼結機械部品を製造できることが確認された。
また、寸法精度をみると、比較例では、焼結工程後のそり歪が、最大100μmであったのに対し、実施例では50μm以下であった。加えて、実施例では、歯すじ誤差がほぼゼロであった。以上のように、本発明に係る製造方法を実施することで、焼結機械部品の寸法精度を向上させることが可能となった。
2 加熱炉
3 保持炉
5a 圧粉体
5b 焼結機械部品(焼結体)
6 コイル
3 保持炉
5a 圧粉体
5b 焼結機械部品(焼結体)
6 コイル
Claims (8)
- 圧粉体を誘導加熱処理することにより焼結体を形成する焼結工程と、前記焼結体に浸炭処理又は浸炭窒化処理を行う高強度化工程と、を備えることを特徴とする焼結機械部品の製造方法。
- 前記高強度化工程は、前記焼結工程と共に行われる請求項1に記載の焼結機械部品の製造方法。
- 前記高強度化工程では、前記焼結工程後に、所定温度に維持された保持炉内に前記焼結体が配置される請求項1に記載の焼結機械部品の製造方法。
- 前記高強度化工程後に、前記焼結体を窒素ガスによって冷却する冷却工程を備える請求項1から3のいずれか一項に記載の焼結機械部品の製造方法。
- 前記焼結体の歪を矯正するサイジング工程を備え、前記サイジング工程は、前記冷却工程と共に行われる請求項4に記載の焼結機械部品の製造方法。
- 前記焼結工程では、非磁性体で被覆される加熱炉内に前記圧粉体を配置し、前記加熱炉に備えられるコイルにより前記圧粉体を誘導加熱する請求項1から5のいずれか一項に記載の焼結機械部品の製造方法。
- 前記焼結工程では、前記加熱炉内に窒素ガスが供給される請求項6に記載の焼結機械部品の製造方法。
- 前記高強度化工程では、前記焼結工程の実行中に、前記加熱炉内に浸炭性ガス又は浸炭窒化性ガスが供給される請求項6又は7に記載の焼結機械部品の製造方法。
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