JP2022049292A - 核物質測定システム及び核物質の測定方法 - Google Patents

核物質測定システム及び核物質の測定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】原子力プラントからの廃棄物及び保管物並びに破損・溶融燃料含有物質に含まれる核分裂性物質を正確に測定する。【解決手段】電子線加速器と、電子線加速器から発せられたパルス高エネルギ電子線を受けてパルス制動放射線及びパルス高速中性子を発生させるターゲットと、透過制動放射線検出器と、中性子検出器と、を備えた核物質測定システムであって、同一のパルス高エネルギ電子線の照射によりターゲットから放出されるパルス制動放射線及びパルス高速中性子を測定対象物に照射する構成を有し、透過制動放射線検出器は、パルス制動放射線のうち測定対象物を透過したものを測定し、中性子検出器は、パルス高速中性子の照射により測定対象物から放出される高速中性子を測定する。【選択図】図1

Description

本発明は、核物質測定システム及び核物質の測定方法に関する。
従来の手法として、測定対象物にパルス高速中性子を照射し、パルス高速中性子の照射時刻を基準とした、高速中性子及び測定対象物によりエネルギを減速した中性子と核分裂性物質との反応(核分裂反応)により生成する核分裂中性子の生成率の経時変化を測定することで、核分裂性物質を検知測定する手法がある。
特許文献1によれば、核分裂反応により生成する核分裂中性子は、ある一定の時定数(消滅時間)で指数関数的に減衰する。この消滅時間は、測定対象物内に含まれる物質の中性子吸収及び減速特性に依存し、核分裂中性子を中性子検出器で測定した総カウント数は、核分裂性物質の量に比例し、かつ、測定対象物内に含まれる物質の中性子吸収及び減速特性で変化する。そこで、事前に校正試験を行い、測定対象物内に含まれる物質の中性子吸収及び減速性能を示す物性値を変化させて、既知の核分裂性物質を既知の量含んだ状態で検出される核分裂性中性子の消滅時間と総カウント数の関係を求めておく。この関係をもとに、測定対象物中の未知の核分裂性物質の量を導出する手法である。
特許文献2では、X線CT装置の利用による燃料デブリを対象とした核分裂性物質の計測方法が提案されている。破損あるいは溶融した核燃料中の核物質または同様に挙動する核種のガンマ線の測定結果を、X線CTによる密度測定結果で補正することで、核物質量を測定する手法である。
特許文献3では、電子線形加速器及びX線発生用コンバータを用いて、X線CT、光核反応、光中性子混合線の利用、及び、中性子放射化分析法を組み合わせたシステムが提案されている。
特許文献4には、互いにエネルギ域が異なる2種類以上のX線を計測対象物に照射し、透過した透過X線を検出するX線CT装置と、計測対象物に中性子線を照射し、計測対象物から出射する中性子数を計数する中性子計測装置と、を備える核物質量計測装置が開示されている。
特許第6179885号公報 特許第6468931号公報 特許第4649580号公報 特開2020-94906号公報
特許文献1の手法では、測定対象物内に含まれる物質の中性子吸収及び減速性能を示す物性値のデータベースが無い場合は、核分裂性物質の量を導出することができない。特に、福島第一原子力発電所では、燃料集合体内の核分裂性物質が溶融状態となり、構造材、中性子吸収材及びコンクリート材が混合した状態であると想定されており、測定対象内に含まれる物質の中性子吸収及び減速性能を示す物性値のデータベースを事前に構築することは困難な状況となっている。
特許文献2の手法では、X線CTによる密度補正をしても、核分裂性物質からのガンマ線のエネルギが低いことから、直接核分裂性物質を計測することは困難である。
特許文献3の手法では、X線CTにおいては、密度分布情報のみで核分裂性物質を測定することは困難であり、光核反応においては、例えば、よう素129のような難測定核種の測定は可能であるが、核分裂性物質の計測は困難である。光中性子混合線の利用においては、光核反応で生成する中性子と中性子による核分裂反応により生成する中性子を区別して測定することが困難であることから、核分裂性物質の計測は困難である。中性子放射化分析法においては、塩素や鉛等の含有量の計測は可能であるが、やはり核分裂性物質の計測は困難である。
特許文献4に記載の核物質量計測装置においては、X線CT装置と中性子計測装置との間に搬送機構が設けられ、計測対象物を移動してX線及び中性子の計測を別々に行うようになっている。このため、X線及び中性子が計測対象物に照射される際の条件を統一することは困難であり、システムも大型になる。
X線CT及びアクティブ中性子法といった複数の測定手法を適用することは可能であるが、電子ビームの条件、及び、ターゲット等の変更を伴わない複数手法を適用した計測は困難であった。
以上のように、原子力プラントからの廃棄物及び保管物並びに破損・溶融燃料含有物質中の核分裂性物質を検知・測定するシステム及び測定方法について、有効なシステム及び測定方法が提案されていない状況にある。
本発明の目的は、原子力プラントからの廃棄物及び保管物並びに破損・溶融燃料含有物質に含まれる核分裂性物質を正確に測定することにある。
本発明の核物質測定システムは、電子線加速器と、電子線加速器から発せられたパルス高エネルギ電子線を受けてパルス制動放射線及びパルス高速中性子を発生させるターゲットと、透過制動放射線検出器と、中性子検出器と、を備え、同一のパルス高エネルギ電子線の照射によりターゲットから放出されるパルス制動放射線及びパルス高速中性子を測定対象物に照射する構成を有し、透過制動放射線検出器は、パルス制動放射線のうち測定対象物を透過したものを測定し、中性子検出器は、パルス高速中性子の照射により測定対象物から放出される高速中性子を測定する。
本発明によれば、原子力プラントからの廃棄物及び保管物並びに破損・溶融燃料含有物質に含まれる核分裂性物質を正確に測定することができる。
実施例1の核分裂性物質測定システムの一例を示す構成図である。 電子線照射による制動放射線生成量の一例を示すグラフである。 制動放射線照射により、中性子を1個生成する反応の反応断面積の一例を示すグラフである。 実施例1のパルス高エネルギ電子線の強度、パルス制動放射線の強度及びパルス高速中性子の強度の経時変化の一例を示すグラフである。 図1の核物質測定システムを示すブロック図である。 実施例1の中性子検出器の波高値スペクトルの一例を示すグラフである。 実施例1の中性子検出器の波高値スペクトルの他の一例を示すグラフである。 実施例1の高速中性子計数率の経時変化の一例を示すグラフである。 実施例2の核分裂性物質測定システムを示す斜視図である。 図9の核分裂性物質測定システムの上面図である。 実施例3の核分裂性物質測定システムを示す斜視図である。 実施例4の核分裂性物質測定システムを示す斜視図である。
以下、本開示の実施形態についてまとめて説明する。
電子線加速器、電子線加速器制御部、パルス制動放射線及びパルス高速中性子発生用ターゲット、中性子検出器、透過制動放射線検出器、データ処理・解析装置で構成される核物質測定システムにおいて、電子線加速器により加速されたパルス高速電子をパルス制動放射線及びパルス高速中性子発生用ターゲットに照射する。
ここで、制動放射線とは、電子と強い電磁界との相互作用で放出される電磁波(X線等)をいい、高速で運動する荷電粒子、例えば電子が原子核の近傍を通過するときに、その電界によって減速され、その際失ったエネルギが放出されたものである。このため、制動X線ともいう。
パルス制動放射線及びパルス高速中性子発生用ターゲットとして、金や鉛等の重金属を用いることで、パルス高速電子の照射時刻、照射時刻幅に対応したパルス制動放射線及びパルス高速中性子が生成する。生成したパルス制動放射線及びパルス高速中性子を測定対象物に照射する。測定対象物を透過し減衰したパルス制動放射線は、透過制動放射線検出器で測定される。
透過制動放射線検出器は、検出素子がアレイ状に配置されたものであり、それぞれの検出素子の位置での透過制動放射線を測定することで、透過制動放射線の強度分布を測定する。測定対象物内には、ガンマ線を放出する核種が含有している場合があると考えられる。このガンマ線は、一定の放出率で時刻によらず放出される。一方、パルス制動放射線は、パルスの時刻範囲内で非常に高強度の制動放射線を生成し、パルスの時刻範囲外では、生成されない。
したがって、パルス制動放射線が発生している時刻範囲のみ、透過制動放射線を測定することで、ガンマ線を放出する核種からのガンマ線と比較して、非常に高強度の制動放射線が測定され、ガンマ線を放出する核種からのガンマ線の透過制動放射線測定に対する影響を非常に小さく抑えることができる。
測定対象物回転用台の上に、測定対象物を設置し回転させることで、測定対象物からの透過制動放射線の強度分布をさまざまな方向から測定する。360度の全方向からの透過制動放射線の強度分布データから、測定対象物の密度分布を算出する。
測定対象物に照射されたパルス高速中性子は、測定対象物内、または、測定対象物の外部に設置した中性子反射体によっても減速される。減速されたパルス高速中性子は、測定対象物内の核分裂性物質と核反応を起こし、高速中性子を生成する。この高速中性子を、測定対象物の外部に設置した中性子検出器で測定する。
パルス高速電子の照射時刻、照射時刻幅に対応したパルス高速中性子が生成することから、パルス高速電子のタイミング信号を用いることで、パルス高速中性子の生成時刻を基準にした中性子検出器からの測定信号の波高値及び測定時刻を計測する。各測定時刻における波高値データを集めることで、中性子検出器における波高値スペクトルの経時変化を算出する。
各測定時刻における波高値データ数が少ない場合は、十分な量の波高値データを収集するまで、パルス高速中性子の照射を複数回繰り返してもよい。
中性子検出器における波高値スペクトルにおいて、ある一定値以下においては、中性子による信号ではないノイズ信号が含まれる。ノイズ信号としては、電気的なノイズ信号に加えて、測定対象物中に、ガンマ線を放出する核種が含まれている場合、このガンマ線によるノイズ信号も含まれる。このガンマ線によるノイズ信号も、電気的なノイズ信号と同様に、中性子による信号と比較して、波高値が低いことから、予め測定しておいたノイズ信号の波高値以上の信号の計数率の経時変化を算出する。
この計数率の経時変化をもとに、パルス制動放射線及びパルス高速中性子発生用ターゲットからのパルス高速中性子、測定対象物内の核分裂性物質と中性子による反応により生成した中性子、及び、測定対象物内に含まれる自発核分裂核種から生成された中性子のそれぞれの成分を推定する。予め測定しておいた核分裂性物質と中性子との反応により生成した中性子の量と、核分裂核種の量との関係から、核分裂性物質の量を算出する。
測定対象物内の密度分布から導出した核分裂性物質量と、中性子の測定結果から導出した核分裂性物質量を比較する。両測定結果が一定の範囲内で一致した場合、測定対象物内の密度分布から導出した核分裂性物質量、または、中性子の測定結果から導出した核分裂性物質量を、測定対象物内に含有する核分裂性物質量の測定結果とする。両測定結果が一定の範囲外となり異なる場合は、核分裂性物質量の測定結果が多い方を、測定対象物内に含有する核分裂性物質量としてもよい。
以下、実施例について、図面を参照して説明する。
実施例1の核物質測定システムの一例について、図1~図8に基づいて説明する。
図1は、本実施例の核物質測定システムの構成の一例を示したものである。
本図に示す核物質測定システムは、電子線加速器1と、電子線加速器制御装置2と、信号変換器15と、透過制動放射線検出器アレイ40と、中性子検出器50と、データ処理・解析装置60と、を備えている。
電子線加速器1から発せられたパルス高エネルギ電子線10は、パルス制動放射線及びパルス高速中性子を発生させるためのターゲット20に照射される。これにより、パルス制動放射線21及びパルス高速中性子22が発生し、これらが測定対象物30に照射される。測定対象物30を透過し減衰した制動放射線は、透過制動放射線検出器アレイ40で測定される。一方、測定対象物30に照射されたパルス高速中性子22は、測定対象物30内で減速される。減速された高速中性子は、測定対象物30内の核分裂性物質と核反応を起こし、高速中性子を生成する。この高速中性子は、測定対象物30の外部に設置した中性子検出器50で測定される。ターゲット20としては、金や鉛等の重金属が用いられる。
電子線加速器制御装置2は、電子線加速器1に対して制御信号3を発するとともに、信号変換器15に対してタイミング信号4を発する。制御信号3を受けた電子線加速器1がパルス高エネルギ電子線10を発するように構成されている。また、タイミング信号4を受けた信号変換器15は、トリガー及びゲート信号5をデータ処理・解析装置60に発するように構成されている。透過制動放射線検出器アレイ40及び中性子検出器50で測定されたデータは、データ処理・解析装置60に送られる。
図2は、電子線照射による制動放射線生成量の一例を示すグラフである。
金や鉛等の重金属に電子線を照射すると、制動放射線が生成する。
本図に示すように、生成する制動放射線の最大エネルギは、電子線のエネルギとほぼ等しい値である。制動放射線は、低いエネルギのものほど大量に発生する。
図3は、制動放射線照射により中性子を1個生成する反応の反応断面積の一例を示すグラフである。
金や鉛等の重金属に対して一定のエネルギ以上の制動放射線を照射すると、中性子を生成する反応が起こり、中性子が生成する。したがって、制動放射線照射により中性子を生成する反応の反応閾値以上のエネルギの電子線を金や鉛等の重金属に照射すると、制動放射線及び中性子が生成する。
本図に示すように、金の場合は、制動放射線照射により中性子を1個生成する反応の反応閾値は約8MeVである。
鉛の場合、制動放射線照射により中性子を1個生成する反応の反応閾値は約7MeVである。よって、約7~8MeV以上のエネルギの電子を金や鉛等の重金属に照射することで、制動放射線と中性子の両方を生成することができる。この際に生成する中性子エネルギのほとんどは、0.1MeV以上の高速中性子である。また、電子線をパルス化し、パルス高エネルギ電子線10を金や鉛等の重金属に照射することで、パルス制動放射線21とパルス高速中性子22の両方を生成することができる。
図4は、パルス高エネルギ電子線の強度、パルス制動放射線の強度及びパルス高速中性子の強度の経時変化の一例を示すグラフである。
パルス高エネルギ電子線の照射時刻及び照射時間幅に対応して、パルス制動放射線及びパルス高速中性子が生成する。言い換えると、同一のパルス高エネルギ電子線の照射によりターゲットから放出されるパルス制動放射線及びパルス高速中性子を測定対象物に照射する。パルス高速電子線を照射していない時刻範囲には、パルス制動放射線とパルス高速中性子のどちらも生成しない。
本図においては、パルスの時間幅は、1μs~数μs程度である。また、パルスを発する時間間隔は、2~10ms程度である。
また、本図においては、パルス高速中性子のそれぞれの終端時刻を基準時刻としている。
測定対象物内には、ガンマ線を放出する核種が含有している場合があると考えられる。このガンマ線は、一定の放出率で時刻によらず放出される。一方、パルス制動放射線は、パルスの時刻範囲内で非常に高強度の制動放射線を生成し、パルスの時刻範囲外では、生成されない。したがって、パルス制動放射線が発生している時刻範囲のみ、透過制動放射線を測定することで、ガンマ線を放出する核種からのガンマ線と比較して、非常に高強度の制動放射線が測定され、ガンマ線を放出する核種からのガンマ線の透過制動放射線測定に対する影響を非常に小さく抑えることができる。
図5は、図1の核物質測定システムを示すブロック図である。
図5においては、データ処理・解析装置60の内部における処理を示している。すなわち、データ処理・解析装置60においては、透過制動放射線検出器アレイ40からのデータを受けて測定対象物の密度分布を算出し、中性子検出器50からのデータを受けて中性子の経時変化を測定する。これにより、核分裂性物質の定量を行う。
また、本図においては、測定対象物30を回転可能な構成としている。
測定対象物30を回転させることで、測定対象物からの透過制動放射線の強度分布をさまざまな方向から測定する。360度の全方向からの透過制動放射線の強度分布データから、データ処理・解析装置60により測定対象物の密度分布を導出する。
測定対象物30に照射されたパルス高速中性子22は、測定対象物30内で減速される。減速されたパルス高速中性子は、測定対象物内の核分裂性物質と核反応を起こし、高速中性子を生成する。この高速中性子を、測定対象物の外部に設置した中性子検出器50で測定する。中性子検出器50の外側(周囲)に、カドミウム等の中性子吸収材を設置し、中性子吸収材で熱中性子を吸収することで、高速中性子のみを測定することができる。カドミウム等は、測定対象物に混入していないと考えられる物質である。
パルス高速電子の照射時刻及び照射時刻幅に対応したパルス高速中性子が生成することから、パルス高速電子のタイミング信号を用いることで、パルス高速中性子の生成時刻を基準にした中性子検出器からの測定信号の波高値及び測定時刻を計測する。各測定時刻における波高値データを集めることで、中性子検出器50における波高値スペクトルの経時変化を導出する。各測定時刻における波高値データ数が少ない場合は、十分な量の波高値データを収集するまで、パルス高速中性子の照射を複数回繰り返してもよい。
図6及び図7は、中性子検出器の波高値スペクトルの例を示すグラフである。
中性子検出器50(図5)における波高値スペクトルにおいて、ある一定値以下においては、中性子による信号ではないノイズ信号が含まれる。ノイズ信号としては、電気的なノイズ信号に加えて、測定対象物中に、ガンマ線を放出する核種が含まれている場合、このガンマ線によるノイズ信号も含まれる。このガンマ線によるノイズ信号も、電気的なノイズ信号と同様に、中性子による信号と比較して波高値が低いことから、予め測定しておいたノイズ信号の波高値以上の信号の計数率の経時変化を導出する。制動放射線によるノイズ信号も含まれるが、高速中性子の経時変化の測定は、制動放射線が生成されている時刻範囲以外で測定することから、高速中性子の経時変化の測定に影響はない。
図8は、本実施例の高速中性子計数率の経時変化の一例を示すグラフである。
高速中性子計数率の経時変化(実線)をもとに、パルス制動放射線及びパルス高速中性子発生用ターゲットからのパルス高速中性子(破線)、測定対象物内の核分裂性物質と中性子による反応により生成した中性子(一点鎖線)、及び、測定対象物内に含まれる自発核分裂核種から生成された中性子(二点鎖線)のそれぞれの成分を導出する。
予め測定しておいた核分裂性物質と中性子との反応により生成した中性子の量と、核分裂核種の量との関係から、核分裂性物質の量を導出する。測定対象物内の密度分布から導出した核分裂性物質量と、中性子の測定結果から導出した核分裂性物質量を比較する。両測定結果が一定の範囲内で一致した場合、測定対象物内の密度分布から導出した核分裂性物質量、または、中性子の測定結果から導出した核分裂性物質量を、測定対象物内に含有する核分裂性物質量の測定結果とする。両測定結果が一定の範囲外となり異なる場合は、核分裂性物質量の測定結果が多い方を、測定対象物内に含有する核分裂性物質量としてもよい。
図9は、実施例2の核分裂性物質測定システムを示す斜視図である。
本図においては、測定対象物回転用台31に測定対象物用容器33及び中性子検出器50が設置されている。中性子検出器50は、測定対象物用容器33の周囲を取り囲むように配置されている。なお、測定対象物用容器33は、単に「容器」とも呼ぶ。
パルス高エネルギ電子線10をターゲット20に照射することにより、パルス制動放射線21及びパルス高速中性子22を発生させる。測定対象物用容器33を透過した制動放射線は、透過制動放射線検出器アレイ40により検出される。
透過制動放射線検出器アレイ40は、透過制動放射線検出器40aと透過制動放射線検出器用遮蔽体40bとを交互に積層した構成を有し、アレイ状に配置したものである。それぞれの透過制動放射線検出器40aの位置での透過制動放射線を測定することで、透過制動放射線の強度分布を測定する。本図においては、高さ方向に積層されているため、高さ方向の強度分布を正確に測定することができる。なお、透過制動放射線検出器40a及び透過制動放射線検出器用遮蔽体40bの配置は、本図に限定されるものではない。
図10は、図9の核分裂性物質測定システムの上面図である。
図10においては、図9の測定対象物回転用台31が省略されている。
測定対象物(図示しない)を、測定対象物用容器33の内部に設置する。測定対象物用容器33は、円筒状のような回転対称な形状が望ましい。透過制動放射線検出器アレイ40を測定対象物用容器33の外部に、測定対象物用容器33の高さ方向に検出器アレイが並ぶような位置に設置する。また、測定対象物用容器33の外部に、ターゲット20と透過制動放射線検出器アレイ40を結ぶ直線上ではない位置に、一個または複数個の中性子検出器50を設置する。複数個の中性子検出器50は、回転対称位置に設置してもよい。測定対象物用容器33を、測定対象物回転用台31の上に設置する。測定対象物回転用台31の回転に伴い、測定対象物用容器33が回転するが、透過制動放射線検出器アレイ40及び中性子検出器50は回転しない。パルス制動放射線21及びパルス高速中性子22を測定対象物に照射し、1パルス照射後、測定対象物用容器33を回転させ、静止後、また、1パルス照射を繰り返し、360度の回転をさせてパルス照射を行う。
一つの静止位置において、複数パルスの照射を行ってもよい。360度回転させた透過制動放射線の強度分布データを収集し、収集データをもとに、測定対象物の密度分布を導出する。静止させずに、回転させながら測定してもよい。高速中性子においても、360度回転させた高速中性子計数率の経時変化データを収集し、各位置における収集データを平均化することで、測定対象物内に核分裂性物質が偏って存在した場合においても、測定対象物内の核分裂性物質量を導出することができる。
図11は、実施例3の核分裂性物質測定システムを示す斜視図である。
本図においては、実施例2の構成に加え、中性子反射体35と、透過制動放射線検出器アレイ用遮蔽体41と、が更に設置されている。
中性子反射体35は、測定対象物用容器33の側面を取り囲むように設置されている。中性子反射体35は、中性子を反射させるとともに、高速中性子を減速させる役割を持つ。測定対象物用容器33と中性子反射体35との間には、中性子検出器50が設置されている。中性子反射体35の一部には、開口部が2箇所設けられている。1箇所は、開口部を臨む位置にあり、透過制動放射線検出器アレイ40を設置する。もう1箇所の内部には、ターゲット20を設置する。中性子反射体35は、グラファイト、鉄、鉛等を含む。
図12は、実施例4の核分裂性物質測定システムを示す斜視図である。
本図においては、実施例2の測定対象物回転用台31(図9)に代えて、測定対象物回転及び上下移動用台32が設置されている。また、透過制動放射線検出器アレイ40を構成する透過制動放射線検出器40aと透過制動放射線検出器用遮蔽体40bとが水平方向に交互に積層されている。
測定対象物(図示しない)は、測定対象物用容器33の内部に設置する。測定対象物用容器33は、測定対象物回転及び上下移動用台32の上に設置する。
パルス高エネルギ電子線10をターゲット20に照射することによりパルス制動放射線及びパルス高速中性子を発生させ、これらを測定対象物に照射する。この場合において、1パルス照射後、測定対象物用容器33を回転させ、静止後、また、1パルス照射を繰り返し、360度の回転をさせてパルス照射を行う。一つの静止位置において、複数パルスの照射を行ってもよい。360度回転させた透過制動放射線の強度分布データを収集した後、測定対象物用容器33を上方に移動する。移動後、パルス制動放射線21及びパルス高速中性子22を測定対象物に照射し、1パルス照射後、測定対象物用容器33を回転させ、静止後、また、1パルス照射を繰り返し、360度の回転をさせてパルス照射を行う。再び、上方に移動し、これを繰り返すことで、上下方向すべてにおける透過制動放射線の強度分布データを収集する。
なお、回転と上下移動を同時に行い、ヘルカル状に移動させながら、測定してもよい。言い換えると、回転方向及び上下方向に静止することなく移動し、移動中に、パルス制動放射線及びパルス高速中性子を測定対象物に照射しながら、測定してもよい。
本開示のシステムによれば、パルス高速中性子の発生時刻を基準とした高速中性子の計数率の経時変化と、同時に、測定対象物を透過する制動放射線の強度分布を測定することができ、電子ビーム条件、ターゲット及び測定体系を変えることなく、アクティブ中性子法とX線CTといった複数の測定手法による原子力プラントからの廃棄物及び保管物並びに破損・溶融燃料含有物質中の核分裂性物質を測定することが可能となる。
1:電子線加速器、2:電子線加速器制御装置、3:制御信号、4:タイミング信号、5:トリガー及びゲート信号、10:パルス高エネルギ電子線、15:信号変換器、20:ターゲット、21:パルス制動放射線、22:パルス高速中性子、30:測定対象物、31:測定対象物回転用台、32:測定対象物回転及び上下移動用台、33:測定対象物用容器、35:中性子反射体、40:透過制動放射線検出器アレイ、40a:透過制動放射線検出器、40b:透過制動放射線検出器用遮蔽体、41:透過制動放射線検出器アレイ用遮蔽体、50:中性子検出器、60:データ処理・解析装置。

Claims (15)

  1. 電子線加速器と、
    前記電子線加速器から発せられたパルス高エネルギ電子線を受けてパルス制動放射線及びパルス高速中性子を発生させるターゲットと、
    透過制動放射線検出器と、
    中性子検出器と、を備え、
    同一の前記パルス高エネルギ電子線の照射により前記ターゲットから放出される前記パルス制動放射線及び前記パルス高速中性子を測定対象物に照射する構成を有し、
    前記透過制動放射線検出器は、前記パルス制動放射線のうち前記測定対象物を透過したものを測定し、
    前記中性子検出器は、前記パルス高速中性子の照射により前記測定対象物から放出される高速中性子を測定する、核物質測定システム。
  2. 前記パルス高速中性子は、前記パルス高エネルギ電子線のエネルギを、前記パルス制動放射線の前記ターゲットへの照射により中性子を生成する反応の反応閾値以上のエネルギとすることにより生成する、請求項1記載の核物質測定システム。
  3. 前記中性子検出器の周囲には、中性子吸収材が設置されている、請求項1又は2に記載の核物質測定システム。
  4. 前記測定対象物の容器の外部には、中性子反射体が設置され、
    前記中性子検出器は、前記容器と前記中性子反射体との間に設置されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の核物質測定システム。
  5. 前記測定対象物の前記容器は、回転可能に設置されている、請求項4記載の核物質測定システム。
  6. 前記測定対象物の前記容器は、360度回転可能に設置されている、請求項5記載の核物質測定システム。
  7. 前記測定対象物の前記容器は、その回転軸方向に移動可能に設置されている、請求項5又は6に記載の核物質測定システム。
  8. データ処理・解析装置を更に備え、
    前記データ処理・解析装置は、前記透過制動放射線検出器の測定データから、前記測定対象物の密度分布を算出し、前記密度分布から前記測定対象物に含まれる核分裂性物質の量を算出する、請求項1~7のいずれか一項に記載の核物質測定システム。
  9. 前記データ処理・解析装置は、前記中性子検出器の測定データから、前記測定対象物に含まれる自発核分裂核種を特定する、請求項8記載の核物質測定システム。
  10. 電子線加速器からパルス高エネルギ電子線をターゲットに照射し、パルス制動放射線及びパルス高速中性子を発生させ、測定対象物に照射する工程と、
    前記パルス制動放射線のうち前記測定対象物を透過したものを透過制動放射線検出器により測定する工程と、
    前記パルス高速中性子の照射により前記測定対象物から放出される高速中性子を中性子検出器により測定する工程と、を含み、
    前記パルス制動放射線及び前記パルス高速中性子は、同一の前記パルス高エネルギ電子線の照射により前記ターゲットから放出されるものである、核物質の測定方法。
  11. 前記測定対象物の容器を回転させる工程を更に含む、請求項10記載の核物質の測定方法。
  12. 前記測定対象物の前記容器は、360度回転させる、請求項11記載の核物質の測定方法。
  13. 前記測定対象物の前記容器をその回転軸方向に移動させる工程を更に含む、請求項11又は12に記載の核物質の測定方法。
  14. 前記透過制動放射線検出器の測定データから、前記測定対象物の密度分布を算出し、前記密度分布から前記測定対象物に含まれる核分裂性物質の量を算出する工程を更に含む、請求項10~13のいずれか一項に記載の核物質の測定方法。
  15. 前記中性子検出器の測定データから、前記測定対象物に含まれる自発核分裂核種を特定する、請求項10~14のいずれか一項に記載の核物質の測定方法。
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