JP2022048698A - 高炉の制御装置、高炉の操業方法、及びプログラム - Google Patents

高炉の制御装置、高炉の操業方法、及びプログラム Download PDF

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Shinroku Matsuzaki
昂平 竹田
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【課題】炉熱指標と出銑量とを関連付けて制御することで、炉熱と出銑量を共に所望の範囲に制御することが可能な、高炉の制御装置、高炉の操業方法、及びプログラムを提供する。【解決手段】高炉の制御装置500は、高炉の炉熱指標を算出する炉熱指標算出部120と、炉熱指標と炉熱目標範囲に基づいて炉熱調整アクション量を決定する炉熱調整アクション量決定部130と、高炉の計算出銑量を算出する計算出銑量算出部150と、計算出銑量と出銑量目標範囲に基づいて出銑量調整アクション量を決定する出銑量調整アクション量決定部160と、炉熱調整アクション量に基づいて炉熱指標を制御し、出銑量調整アクション量に基づいて計算出銑量を制御する高炉制御部180と、を備える。【選択図】図3

Description

本発明は、高炉の制御装置、高炉の操業方法、及びプログラムに関する。
高炉操業においては、溶銑温度に代表される炉熱指標を適切に制御することが重要である。例えば下記の特許文献1には、出銑時の単位時間当たりの溶銑と溶滓の排出速度と、それぞれの基準生産速度との偏差に基づき、炉熱を制御する高炉操業方法が記載されている。これは、炉況不調(主として炉冷)の50~70%が残銑滓量に起因しているとして、残銑滓量を把握することで炉熱を制御しようとするものである。
また、下記の特許文献2には、目標溶銑温度に対応する炉熱指数基準レベルからの現時点における炉熱指数変位量、目標溶銑温度に対応する炉頂の荷下がり速度基準レベルからの現時点における荷下がり速度変位量、および両変位量の溶銑温度への影響時間とから特定時間後の溶銑温度を順次推定し、その推定結果に基づいて溶銑温度変動を小さくするように炉熱制御をする炉熱制御方法が記載されている。これは、荷下がり速度変動を加味して溶銑温度の変化状態を予測することで、炉熱制御における逆操作や過剰操作を回避しようとするものである。
特開平1-219113号公報 特開平2-115311号公報
高炉操業においては、炉熱指標の制御とともに、計画通りの出銑量で溶銑を生産することも重要である。炉熱指標と出銑量とは相互に密接に関連しており、炉熱指標を変化させると出銑量が変化し、また出銑量を変化させると炉熱指標が変化する。
しかしながら、上記特許文献に記載された技術は、いずれも、炉熱指標のみの制御に着目しており、炉熱指標と密接に関連する出銑量の制御は考慮していない。このため、炉熱指標を制御できたとしても、所望の出銑量で溶銑を生産できない事態が生じ得る。
そこで、本発明は、炉熱指標と出銑量とを関連付けて制御することで、炉熱と出銑量をともに所望の範囲に制御することが可能な、高炉の制御装置、高炉の操業方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
本開示の要旨は以下のとおりである。
(1)
高炉の炉熱指標を算出する炉熱指標算出部と、
前記炉熱指標と炉熱目標範囲に基づいて炉熱調整アクション量を決定する炉熱調整アクション量決定部と、
高炉の計算出銑量を算出する計算出銑量算出部と、
前記計算出銑量と出銑量目標範囲に基づいて出銑量調整アクション量を決定する出銑量調整アクション量決定部と、
前記炉熱調整アクション量に基づいて前記炉熱指標を制御し、前記出銑量調整アクション量に基づいて前記計算出銑量を制御する高炉制御部と、
を備える、高炉の制御装置。
(2)
前記炉熱調整アクション量決定部は、高炉数学モデルまたは過去に観測した実績データに基づく高炉予測モデルを用いて前記炉熱調整アクション量を決定する、(1)に記載の高炉の制御装置。
(3)
前記出銑量調整アクション量決定部は、高炉数学モデルまたは過去に観測した実績データに基づく高炉予測モデルを用いて前記出銑量調整アクション量を決定する、(1)又は(2)に記載の高炉の制御装置。
(4)
前記炉熱指標算出部は、高炉数学モデルまたは過去に観測した実績データに基づく高炉予測モデルを用いて将来時刻の炉熱指標を予測し、
前記炉熱調整アクション量決定部は、前記炉熱指標が前記炉熱目標範囲から外れると予測される場合に、前記炉熱調整アクション量を決定する、(1)~(3)のいずれか1つに記載の高炉の制御装置。
(5)
前記計算出銑量算出部は、高炉数学モデルまたは過去に観測した実績データに基づく高炉予測モデルを用いて将来時刻の計算出銑量を予測し、
前記出銑量調整アクション量決定部は、前記計算出銑量が前記出銑量目標範囲から外れると予測される場合に、前記出銑量調整アクション量を決定する、(1)~(4)のいずれか1つに記載の高炉の制御装置。
(6)
高炉の炉熱指標を算出するステップと、
前記炉熱指標と炉熱目標範囲に基づいて炉熱調整アクション量を決定するステップと、
高炉の計算出銑量を算出するステップと、
前記計算出銑量と出銑量目標範囲に基づいて出銑量調整アクション量を決定するステップと、
前記炉熱調整アクション量に基づいて前記炉熱指標を制御し、前記出銑量調整アクション量に基づいて前記計算出銑量を制御するステップと、
を備える、高炉の操業方法。
(7)
前記炉熱調整アクション量を決定するステップでは、高炉数学モデルまたは過去に観測した実績データに基づく高炉予測モデルを用いて前記炉熱調整アクション量を決定する、(6)に記載の高炉の操業方法。
(8)
前記出銑量調整アクション量を決定するステップでは、高炉数学モデルまたは過去に観測した実績データに基づく高炉予測モデルを用いて前記出銑量調整アクション量を決定する、(6)又は(7)に記載の高炉の操業方法。
(9)
前記炉熱指標を算出するステップでは、高炉数学モデルまたは過去に観測した実績データに基づく高炉予測モデルを用いて将来時刻の炉熱指標を予測し、
前記炉熱調整アクション量を決定するステップでは、前記炉熱指標が前記炉熱目標範囲から外れると予測される場合に、前記炉熱調整アクション量を決定する、(6)~(8)のいずれか1つに記載の高炉の操業方法。
(10)
前記計算出銑量を算出するステップでは、高炉数学モデルまたは過去に観測した実績データに基づく高炉予測モデルを用いて将来時刻の計算出銑量を予測し、
前記出銑量調整アクション量を決定するステップでは、前記計算出銑量が前記出銑量目標範囲から外れると予測される場合に、前記出銑量調整アクション量を決定する、(6)~(9)のいずれか1つに記載の高炉の操業方法。
(11)
高炉の炉熱指標を算出する手段、
前記炉熱指標と炉熱目標範囲に基づいて炉熱調整アクション量を決定する手段、
高炉の計算出銑量を算出する手段、
前記計算出銑量と出銑量目標範囲に基づいて出銑量調整アクション量を決定する出銑量調整アクション量を決定する手段、
前記炉熱調整アクション量に基づいて前記炉熱指標を制御し、前記出銑量調整アクション量に基づいて前記計算出銑量を制御する手段、
としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
本発明によれば、炉熱指標と出銑量とを関連付けて制御することで、炉熱と出銑量をともに所望の範囲に制御することが可能になるという効果を奏する。
本発明の一実施形態に係る高炉の操業方法が適用される高炉と、その周辺の構成を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係る、高炉の制御システムの構成例を示す模式図である。 制御装置のプロセッサの機能ブロックを示す模式図である。 制御装置のプロセッサが所定の制御周期毎に行う処理を示すフローチャートである。 本実施形態に係る高炉の制御システムにより炉熱指標と出銑量の同時制御を行った結果、溶銑温度と計算出銑量が時系列に変化する様子を示す推移図である。 計算出銑量と出銑量目標値の二乗平均平方根誤差を示すグラフであって、本実施形態に係る高炉の操業方法を適用しなかった比較例、オペレータによる経験的制御により本実施形態に係る高炉の操業方法行った本発明例1、および本実施形態に係る高炉の制御システムにより本実施形態に係る高炉の操業方法を行った本発明例2を対比して示す図である。
以下、本発明に係る幾つかの実施形態について図を参照しながら説明する。しかしながら、これらの説明は、本発明の好ましい実施形態の単なる例示を意図するものであって、本発明をこのような特定の実施形態に限定することを意図するものではない。
[高炉とその周辺の構成例]
図1は、本発明の一実施形態に係る高炉の操業方法が適用される高炉10と、その周辺の構成を示す模式図である。鉱石原料、コークスなどの高炉原料は、装入コンベア12により炉頂装入装置14まで搬送され、炉頂から高炉10内に装入される。なお、高炉原料には、一般的な鉱石原料、コークスの他、副原料、いわゆる非焼成含炭塊成鉱やフェロコークスなども含まれる。一般的な鉱石原料には、例えば焼結鉱、塊鉱石、ペレットといった種類がある。
炉頂装入装置14は、高炉10内の装入物の最上面の高さ位置が所定位置を維持するように、装入物が降下した分を補充するように鉱石原料、コークスなどの装入物を高炉10内に装入する。この際、鉱石原料とコークスは、高炉10内で交互に層を作るように装入され、その層状態を維持して炉内を下降する。高炉10の下部にある送風羽口16からは、空気(熱風)とコークスの補完還元材である微粉炭(Pulverized Coal: PC)などが吹き込まれる。この熱風で微粉炭やコークスが燃焼し、一酸化炭素や水素などの高温ガス(還元ガス)が発生する。
還元ガスは上昇気流となって炉内を吹き昇り、炉内を下降する鉄鉱石を昇温させながら酸素を奪い取っていく(間接還元)。軟化溶融した酸化鉄はコークス層内を滴下しながらコークスの炭素と接触して更に還元(直接還元)され、炭素5%弱を含む溶銑となり炉底の湯溜まり部に溜まる。この溶銑は炉底横に設けられた出銑口18から取り出され、次の製鋼プロセスへと運ばれる。
[高炉の操業アクションについて]
高炉10の操業においては、溶銑温度や直接還元量(ソリューションロスカーボン量)などの炉熱指標を制御することが重要である。炉熱指標は、高炉10を安定的に操業するための指標で、高炉10の投入される熱量と排出される熱量が逐次的にバランスしているか、さらには溶銑滓の排出が順調に行われるか、を表す指標である。炉熱指標として、溶銑温度や直接還元量(ソリューションロスカーボン量)のほか、溶銑Si(溶銑中のSi濃度)などがあげられる。このほか、炉熱指標として、所定領域へのインプット熱量とアウトプット熱量との差である熱バランスを用いることができ、送風羽口16から吹き込む熱風の送風顕熱と送風羽口16の前で燃焼するカーボンの燃焼熱とを含むインプット熱量と、送風羽口16から吹き込む送風湿分の分解熱と直接還元反応・ソリューションロス反応による反応熱と各種還元熱を含むアウトプット熱量と、の差を表す「羽口上熱バランス」が好適に用いられる。
炉熱指標の制御は、送風羽口16からの微粉炭吹き込み量、送風羽口16から送風する熱風の湿分または温度などの羽口先条件を調整することにより実施される。例えば、炉熱が低下した場合、微粉炭吹込み量を増加する、送風湿分を低下する、または送風温度を増加することが行われる。また、より大きな炉熱低下が生じた場合には、炉頂から装入するコークスを増加し、コークス比を増加することで、炉熱低下に対処する。なお、炉熱が低下した場合とは、溶銑温度が低下した場合、直接還元量が増加した場合、または羽口上熱バランスが低下した場合を含む。本実施形態では、炉熱指標制御のための操業アクションを「炉熱調整アクション」と称し、炉熱調整アクションは上記のものに限定されず別途公知の操業アクションを含む。
また、上述の通り、高炉操業においては、炉熱指標の制御にあわせて、計画通りの出銑量(生産量)で溶銑を生産することも重要である。出銑量の調整は、送風羽口16からの熱風の送風量、また、または送風羽口16から送風する熱風の酸素富化量を調整することにより実施される。例えば、出銑量が増加したときは、送風羽口16からの熱風の送風量、または送風羽口16から送風される熱風の酸素富化量を減少するなどして、送風羽口16から吹き込まれる総酸素量を低下させる。また、出銑量が減少したときは、これとは逆に総酸素量を増加させる。本実施形態では、出銑量制御のためのこれらの操業アクションを「出銑量調整アクション」と称する。
ここで、本明細書においての出銑量とは、高炉炉頂から装入される物質バランスや炉頂ガス成分から計算される推定の出銑量である「計算出銑量」をいい、次のような公知の方法により計算される。(A)酸素バランスによるA法では、鉱石原料によって持ち込まれる酸化鉄中の酸素が送風羽口16等で発生した一酸化炭素COにより還元除去されて溶銑となることから、炉頂のガス成分を用いて計算出銑量を推定する。(B)炉内への装入をベースにしたB法では、単位時間あたりに炉頂から装入された鉱石量から計算出銑量を推定する。計算出銑量の計算方法は特に限定せず、例えばA法とB法の任意の加重平均値を用いることもできる。なお、出銑口18から出銑される溶銑の量を測定することによる出銑量は計算出銑量ではなく、本発明の制御の対象とする出銑量ではない。
炉熱指標と出銑量とは相互に密接に関連しており、炉熱調整アクションを行うと出銑量が変化し、また、出銑量調整アクションを行うと炉熱指標が変化する。以下では、これらの操業アクションにおいて、炉熱指標と出銑量との相関について例を挙げて詳細に説明する。
[溶銑温度低下時の操業アクション]
溶銑温度が低下した場合、炉熱調整アクションとして、送風羽口16からの微粉炭吹き込み量が増加される。なお、微粉炭吹込み量は、単位時間(1時間)当たりに送風羽口16から吹き込まれる微粉炭の質量で表される。微粉炭吹き込み量が増加されると、溶銑温度が上昇する。
このとき、送風羽口16から送風する熱風の送風量、酸素富化量が一定であると、送風羽口16から投入される総酸素量は一定であるため、微粉炭で消費される酸素量の分だけコークスが消費する酸素量が減る。これにより、コークスが消費されなくなるため、コークスの降下速度(荷下がり速度)が低下し、またコークスのみならず鉱石原料も合わせた装入物の降下速度が低下する。結果として、還元、溶解される鉱石原料の量が減少し、溶銑の出銑量が低下する。
このため、溶銑温度低下時に、溶銑温度を上げ、且つ溶銑の出銑量を一定にするためには、送風羽口16からの熱風の送風量を増加させる、または送風羽口16から送風する熱風の酸素富化量を増加させる、といった出銑量調整アクションを併せて行う必要がある。ただし、送風量または酸素富化量を増加すると、高炉10内の装入物の降下速度も増加するため、鉱石原料への還元材の供給遅延を招き、直接還元量が増大することで溶銑温度が低下する可能性がある。
したがって、溶銑温度低下時には、炉熱調整アクションを行うとともに、出銑量調整アクションを適切に行うことで、溶銑温度を上昇させながら、出銑量の低下を抑制した操業アクションが求められる。
[直接還元量が増加した場合の操業アクション]
高炉10内では、一酸化炭素や水素などの還元ガスによる鉄鉱石の間接還元に加え、溶融した鉄分がコークスと直接接触することで、還元ガスを介さない直接還元が行われている。この直接還元量が増加すると、直接還元に消費されるコークスの量が増加するため、高炉10内の装入物の降下速度が増加し、結果として溶銑の出銑量が増加する。また、直接還元は吸熱反応であるため、直接還元量が増加すると、高炉10内での吸熱反応量が増加し、溶銑の顕熱に高炉10内の熱が消費される。これを放置すると、炉熱が大幅に低下する可能性がある。
このため、直接還元量の増加を防止するための操業アクションとして、高炉10内の装入物の降下速度、すなわち溶銑の出銑量を低減するための出銑量調整アクション、または、送風羽口16からの微粉炭吹き込み量を増加させる炉熱調整アクションが行われる。
出銑量調整アクションとして、送風羽口16からの熱風の送風量、または送風羽口16から送風する熱風の酸素富化量を減少させると、出銑量が低下する。この場合、高炉10内の装入物の昇温状況と鉄鉱石の間接還元量が改善するため、結果として直接還元量が低下する。但し、この時に微粉炭吹き込み量を一定にして操業すると、送風量または酸素富化量の減少により送風羽口16近傍の領域でのコークスによる酸素消費量が低下するので、溶銑の出銑量との兼ね合いでは、還元材比が低下し、熱不足になる可能性も生じる。
また、炉熱調整アクションとして微粉炭吹き込み量を増加することで、直接還元量の低下を図った場合、微粉炭吹き込み量の増加のみでは、微粉炭に酸素が消費されてしまい、コークスによる酸素消費量が低下するので、高炉10内の装入物の降下速度、すなわち溶銑の出銑量が低下する。微粉炭吹き込み量を増加しつつ溶銑の出銑量を一定に保つためには、微粉炭吹き込み量の増加と併せて、送風羽口16からの熱風の送風量、または送風羽口16から送風する熱風の酸素富化量の増加が必要であり、結果として、微粉炭吹き込み量を増加した分だけ還元材比が増加する。
[出銑量が低下した場合の操業アクション]
出銑量の低下時には、出銑量を一定に保つため、送風羽口16からの熱風の送風量、または送風羽口16から送風する熱風の酸素富化量を増加させる出銑量調整アクションが行われる。微粉炭吹き込み量を一定にして、送風量または酸素富化量を増加すれば、コークスによる酸素消費量が増加し、降下速度が増加するため、直接還元量が増加する可能性がある。また、この時、コークス比は一定なので、微粉炭吹き込み量を一定にして、かつ溶銑の出銑量が回復すれば、還元材比が低下することになり、結果として熱不足の可能性が生じる。
仮に直接還元量が増加した場合には、上記の「直接還元量が増加した場合の操業アクション」が行われることになり、仮に溶銑温度が低下した場合には、上記の「溶銑温度低下時の操業アクション」が行われることになる。
以上のような炉熱指標または出銑量の変化が検知または予測される場合は、初期段階から適切なアクションを行うことが望ましい。例えば出銑量の増加に対して、出銑量調整アクションを実施しないと、鉱石原料の昇温状態や還元状態が悪化し、鉄鉱石の還元不足が生じて直接還元量が増加し、さらに必要な送風空気量が低下するため、さらに出銑量が上昇し、結果的に還元材比の低下、炉熱低下および直接還元量増加といった悪循環に陥る。なお、炉熱指標や出銑量が変動すること自体、高炉10内の充填構造の変化やそれに伴うガス流れの変動といった現象が生じ、操業が不安定な状態となっている可能性が高い。これらに起因して、高炉10内に形成される融着帯の位置が変動することで、通気性への悪影響など様々な悪影響に繋がる。そのため、例えば出銑量が増加した場合、この悪循環が生じる初期段階である出銑量の増加の時点で必要な出銑量調整アクション、例えば送風量減少を実施することで、悪循環を断ち切り、高炉操業を安定化できる。同様に、炉熱指標の変化に対しても、変化が認められる初期段階から適切なアクションを行うことが求められる。
本発明者らは、上記のような炉熱指標と出銑量との関連性を詳細に検討した結果、「炉熱調整アクション」と「出銑量調整アクション」とを同時に制御することについての知見を得、これに基づいて炉熱指標と出銑量を両立させることが可能な高炉の操業を想到するに至った。この知見によれば、炉熱指標を目標値に制御するための炉熱調整アクションと、出銑量を目標値に制御するための出銑量調整アクションとが、両者の兼ね合いを考慮して行われる。以下、本実施形態に係る高炉10の操業について詳細に説明する。
[高炉の制御システムの構成例]
図2は、本発明の一実施形態に係る、高炉の制御システム1000の構成例を示す模式図である。図2に示すように、この制御システム1000は、高炉10と、各種センサ20と、各種駆動装置30と、入力装置40と、表示装置50と、制御装置500と、を有して構成されている。
各種センサ20は、高炉10またはその周辺に備えられた複数のセンサであって、送風量や、微粉炭吹込み量等を計測するセンサに加え、溶銑温度を検出するセンサ、送風羽口16に設けられた羽口監視カメラが備える撮像センサ、炉頂ガス成分を検出するセンサ、炉頂から装入される鉄鉱石量またはコークス量を検出するセンサ等を含んでいてもよい。そのほか、各種センサ20は、日本鉄鋼協会編:鉄鋼便覧第1巻製銑・製鋼(第5版、2014)158ページの図5.51に開示されるような公知のセンサを含んでいてもよい。
各種駆動装置30は、高炉10またはその周辺に備えられた複数の駆動装置であって、炉熱指標または出銑量を調整するために駆動される。炉熱指標を制御対象とする駆動装置30として、送風羽口16から吹き込む微粉炭の吹込み量を調整する装置、送風羽口16から送風する熱風の湿分を調整する装置、送風羽口16から送風する熱風の温度を調整する装置が挙げられる。また、出銑量を制御対象とする駆動装置30として、送風羽口16からの熱風の送風量、または送風羽口16から送風する熱風の酸素富化量を調整する装置が挙げられる。
入力装置40は、例えば操作パネルやキーボード等の装置であり、オペレータにより操作され、例えば炉熱目標値、出銑目標値、計画出銑量など、炉熱指標または出銑量に関する各種情報が入力される。なお、これらの各種情報はオペレータによらず、不図示の関連機器から入力装置40に入力されてもよい。
表示装置50は、例えば液晶表示装置(LCD)等から構成され、炉熱指標、出銑量など高炉10に関わる各種情報を表示する。また、表示装置50は、これらの情報に何らかの異常が生じている場合は、必要に応じて警告を表示することができる。
制御装置500は、本施形態に係る高炉の制御システム1000を制御する構成要素であり、高炉の制御装置の一態様である。制御装置500は、プロセッサ100と、メモリ200と、通信インターフェース300とを有する。プロセッサ100は、1個または複数個のCPU(Central Processing Unit)及びその周辺回路を有する。プロセッサ100は、論理演算ユニット、数値演算ユニットあるいはグラフィック処理ユニットといった他の演算回路をさらに有していてもよい。メモリ200は、例えば、揮発性の半導体メモリ及び不揮発性の半導体メモリ、ハードディスク等を含み、本実施形態に係る処理に関連するデータ、高炉数学モデル、データベースによる高炉予測モデル等を記憶する。通信インターフェース300は、制御装置500を各種センサ20、各種駆動装置30、入力装置40、表示装置50等に接続するためのインターフェース回路を有する。
図3は、制御装置500のプロセッサ100の機能ブロックを示す模式図である。制御装置500のプロセッサ100は、操業データ取得部110、炉熱指標算出部120、炉熱調整アクション量決定部130、炉熱目標値設定部140、計算出銑量算出部150、出銑量調整アクション量決定部160、出銑目標値設定部170、高炉制御部180、を有している。プロセッサ100が有するこれらの各部は、例えば、プロセッサ100上で動作するコンピュータプログラムにより実現される機能モジュールである。つまり、プロセッサ100の機能ブロックは、プロセッサ100とこれを機能させるためのプログラム(ソフトウェア)から構成される。また、そのプログラムは、制御装置500が備えるメモリ200または外部から接続される記録媒体に記録されていてもよい。あるいは、プロセッサ100が有するこれらの各部は、プロセッサ100に設けられる専用の演算回路であってもよい。
操業データ取得部110は、各種センサ20の検出値を高炉10の操業データとして取得する。具体的に、操業データ取得部110は、溶銑温度、炉頂ガス成分、鉄鉱石またはコークスの装入量、鉄鉱石中のFe量、溶銑中のFe濃度などを操業データとして取得する。
炉熱指標算出部120は、操業データ取得部110が取得した操業データに基づいて、炉熱指標を算出する。炉熱指標は、溶銑温度、直接還元量、または溶銑Siを含む群から選択される一以上の指標とすることができ、例えば以下の方法で算出される。
炉熱指標算出部120は、羽口監視カメラが備える撮像センサが撮像した溶銑の画像に基づいて、画素値によって表される輝度と溶銑温度との関係を規定したマップ等を参照することで、炉熱指標としての溶銑温度を算出することができる。
また、炉熱指標算出部120は、炉頂や送風羽口16から高炉10に投入されるカーボン量と、炉頂ガスの一酸化炭素CO、二酸化炭素COの分析値などのカーボンバランスに基づいて、炉熱指標としての直接還元量を算出することができる。炉熱指標算出部120は、例えば特開2019-65352号公報に記載された手法を用いて、直接還元量(ソリューションロスカーボン量)を算出してもよい。
なお、炉熱指標算出部120は、熱電対により溶銑温度が検出される場合や、サンプリングにより溶銑中のSi濃度が測定される場合など、操業データ自体を炉熱指標として用いることができる場合は、操業データを炉熱指標とすることができる。
炉熱調整アクション量決定部130は、炉熱指標算出部120から入力された炉熱指標と、炉熱目標値設定部140により設定された炉熱目標値とに基づいて、炉熱調整アクション量を決定する。なお、炉熱目標値設定部140は、入力装置40から入力された値に基づいて炉熱目標値を設定する。例えば、溶銑温度の目標範囲は下限値によって規定され、例えば1480℃以上とされる。また、直接還元量(ソリューションロスカーボン量)の目標範囲は上限値によって規定され、例えば100kg/t-pig以下である。また例えば、炉熱指標について上限値及び下限値を両方設定してもよく、また目標値を一の値に定めてもよい。
炉熱調整アクション量は、炉熱指標を調整するためのアクション量であり、送風羽口16から高炉10内に供給される微粉炭の吹込み量、またはその他の補助還元材(LNG、オイルなど)の量、送風羽口16から高炉10内に送風される熱風の湿分、温度などの羽口先条件、または炉頂から装入される鉱石原料に対するコークスの比などを含む。
炉熱指標と炉熱目標値とに基づいて炉熱調整アクション量を決定する方法は、特に限定せず、一般的なフィードバック制御やフィードフォワード制御を適用することができる。
好ましくは、炉熱調整アクション量決定部130は、高炉数学モデルまたはデータベースによる高炉予測モデルを用いて炉熱調整アクション量を決定する。または、炉熱調整アクション量決定部130は、別途規定されたルールベースのエキスパートシステムによる高炉予測モデルを用いて炉熱調整アクション量を決定する。
ここで、高炉数学モデルとは、高炉内に小領域を規定し、小領域内での挙動を塊状帯や融着帯での物質移動、反応、及び伝熱などの計算結果に基づいてシミュレーションするものであり、高炉操業条件や原料性状から炉況を把握又は予測するために用いることができる。例えば三次元高炉数学モデルであれば、高炉の内部領域を高さ方向、径方向、周方向に分割することで複数のメッシュ(小領域)を規定し、各メッシュ内での挙動をシミュレーションする。または、高炉の内部領域を高さ方向と径方向とに分割することで複数のメッシュを規定する二次元高炉数学モデルであってもよい。
高炉数学モデルについては種々の論文等が出されているが、例えば西岡浩樹らの「高度数学モデルの開発」、新日鉄住金技報第410号(2018)、p.73-79に記載の高炉数学モデルを好適に用いることができる。この高炉数学モデルによれば、境界条件として、炉頂から装入する原料の組成、半径方向の粒径分布、O/C分布(鉱石原料とコークスの重量比)を設定し、あわせて送風量、送風温度、送風湿分、微粉炭吹き込み量等の操業条件を指定することで、炉内のガス流速分布、ガス濃度分布、温度分布、鉱石原料の還元率分布、コークスの粒径分布等が計算される。
高炉数学モデルに種々の炉熱調整アクション(調整対象とその調整量)を入力すると、当該炉熱調整アクションによって操業状態がどのように変化するかが予測され出力される。炉熱調整アクション量決定部130は、高炉数学モデルを用いて、複数の炉熱調整アクションについて複数の予測結果を得て、最適な予測結果を生じさせる炉熱調整アクションを選択することにより、炉熱調整アクション量を決定することができる。
また、データベースによる高炉予測モデルとは、過去に観測した実績データ群が有する情報を用いて、対象時点での操業状態を把握又は予測するモデルである。例えば伊藤雅浩らの「高炉操業における大規模データベースオンラインモデリング」、鉄と鋼Vol.90(2004)、p59-66に記載の大規模データベースオンラインモデリング(LOM)が含まれる。データベースによる高炉予測モデルには、RNN(Recurrent Neural Network)などニューラルネットワークを用いたモデルも含む。高炉数学モデルの場合と同様に、例えば大規模データベースオンラインモデリング(LOM)に種々の炉熱調整アクション(調整対象とその調整量)を入力すると、当該炉熱調整アクションによって操業状態がどのように変化するかが、過去類似例をもとに予測され出力される。炉熱調整アクション量決定部130は、データベースによる高炉予測モデルを用いて、複数の炉熱調整アクションについて複数の予測結果を得て、最適な予測結果を生じさせる炉熱調整アクションを選択することにより、炉熱調整アクション量を決定することができる。
また、ルールベースのエキスパートシステムとしては、例えば特開昭62-270708号公報若しくは特開平3-120305号公報等に記載された、高炉の各データを用いて炉熱推移および高炉に対するアクション量を推論するための知識をルール化したいわゆるエキスパートシステムを好適に用いることができる。エキスパートシステムにおいても同様であり、エキスパートシステムに種々の炉熱調整アクション(調整対象とその調整量)を入力すると、当該炉熱調整アクションによって操業状態がどのように変化するかがルール化された結果をもとに予測され出力される。炉熱調整アクション量決定部130は、ルールベースのエキスパートシステムを用いて、複数の炉熱調整アクションについて複数の予測結果を得て、最適な予測結果を生じさせる炉熱調整アクションを選択することにより、炉熱調整アクション量を決定することができる。
計算出銑量算出部150は、操業データに基づいて、計算出銑量を算出する。計算出銑量は、高炉10の炉頂から装入される物質バランスや炉頂ガス成分から算出される推定出銑量であり、単位は例えばトン/日である。計算出銑量算出部150は、計算出銑量を算出する手法として、例えば特開2019-65352号公報に記載された手法を用い、炉頂装入装置14が炉頂から高炉10へ装入した鉱石原料中のFe量と、溶銑中のFe濃度の分析結果に基づいて、計算出銑量を算出する。
出銑量調整アクション量決定部160は、計算出銑量算出部150から入力された計算出銑量と、出銑目標値設定部170により設定された出銑目標値とに基づいて、出銑量調整アクション量を決定する。なお、出銑目標値設定部170は、入力装置40から入力された、予め計画的に定められた計画出銑量に基づいて、目標値である出銑目標値を設定することができる。例えば、出銑目標範囲は計画出銑量との差分が所定量以内(例えば±2σ;σは所定期間内での出銑量データの標準偏差)とすることができる。また例えば、出銑目標値を一の値に定めてもよい。
出銑量調整アクション量は、出銑量を調整するためのアクション量であり、送風羽口16からの熱風の送風量、また、または送風羽口16から送風する熱風の酸素富化量を含む。より詳細には、出銑量調整アクション量決定部160は、炉熱調整アクション量決定部130と同様に、高炉数学モデル、データベースまたはルールベース(エキスパートシステム)による高炉予測モデルを用いて出銑量調整アクション量を決定する。
高炉制御部180は、炉熱調整アクション量と出銑量調整アクション量とに基づいて、炉熱指標または出銑量を制御対象とする各種駆動装置30に制御指令を与え、炉熱指標と出銑量を同時に制御する。この際、高炉制御部180は、一方の制御対象についてアクションを行うのと同時に他方の制御対象についてもアクションを行ってもよく、また一方の制御対象についてアクションを行ったのち他方の制御対象が悪化し始めたときにアクションを行ってもよい。すなわち、高炉制御部180は炉熱指標と出銑量とを調整するアクションを必ずしも同時には行わない。また、他方の制御対象が目標を外れたときに限らずに、他方についてもアクションを行ってもよい。
[高炉の操業方法の処理の流れ]
図4は、制御装置500のプロセッサ100が所定の制御周期毎に行う処理を示すフローチャートであり、すなわち、本発明の一実施形態に係る高炉の操業方法を示すフローチャートである。先ず、操業データ取得部110が各種センサ20から操業データを取得する(ステップS10)。次に、炉熱指標算出部120が、操業データに基づいて、炉熱指標を算出する(ステップS12)。
次に、炉熱調整アクション量決定部130が、炉熱指標算出部120が算出した炉熱指標と、炉熱目標値設定部140が設定した炉熱目標値とを比較し、炉熱指標算出部120が算出した炉熱指標が炉熱目標値の範囲内であるか否かを判定する(ステップS14)。例えば、炉熱調整アクション量決定部130は、炉熱指標と炉熱目標値の差分の絶対値が閾値TH1以下であるか否かを判定し、炉熱指標と炉熱目標値の差分の絶対値が閾値TH1以下の場合は炉熱指標が炉熱目標値の範囲内であると判定する。
ステップS14の判定の結果、炉熱指標が炉熱目標値の範囲内から外れている場合は、ステップS16へ進む。ステップS16では、炉熱調整アクション量決定部130が、炉熱指標算出部120が算出した炉熱指標と、炉熱目標値設定部140により設定された炉熱目標値に基づいて、炉熱調整アクション量を決定する。一方、ステップS12で炉熱指標が炉熱目標値の範囲内の場合は、ステップS16の処理を行うことなく、ステップS18へ進む。
次に、ステップS18では、計算出銑量算出部150が、操業データに基づいて、計算出銑量を算出する。次に、出銑量調整アクション量決定部160が、計算出銑量算出部150が算出した計算出銑量と、出銑目標値設定部170が設定した出銑目標値とを比較し、計算出銑量算出部150が算出した計算出銑量が出銑目標値の範囲内であるか否かを判定する(ステップS20)。具体的には、出銑量調整アクション量決定部160は、計算出銑量と出銑目標値の差分の絶対値が閾値TH2以下であるか否かを判定し、計算出銑量と出銑目標値の差分の絶対値が閾値TH2以下の場合は計算出銑量が出銑目標値の範囲内であると判定する。
ステップS20の判定の結果、計算出銑量が出銑目標値の範囲内から外れている場合は、ステップS22へ進む。ステップS22では、出銑量調整アクション量決定部160が、計算出銑量算出部150が算出した計算出銑量と、出銑目標値設定部170により設定された出銑目標値に基づいて、出銑量調整アクション量を決定する。一方、ステップS20で計算出銑量が出銑目標値の範囲内の場合は、ステップS22の処理を行うことなく、ステップS24へ進む。
ステップS24では、高炉制御部180が、炉熱調整アクション量と出銑量調整アクション量とに基づいて、炉熱指標または出銑量を調整するための制御対象である駆動装置30に制御指令を与え、炉熱指標および出銑量を制御する。
ステップS24の後は、本制御周期における処理を終了し、ステップS10に戻る(RETURN)。ステップS24での制御によっても炉熱指標および/または出銑量が適切に調整されなかった場合、ステップS10に戻って以降の処理を行うことで、再び炉熱調整アクション量および/または出銑量調整アクション量が決定される。
なお、ステップS24の前段階として、炉熱調整アクション量と出銑量調整アクション量とを両者の兼ね合いで再調整しても良く、さらに、ステップS24で行われる制御後の操業状態を予測することにより、ステップS24における炉熱調整アクション量と出銑量調整アクション量との最適な組み合わせを事前に求めておくことが可能となる。
図4の処理では、ステップS14における閾値TH1の値を調整することにより、所望の炉熱調整アクションが実現される。例えば、TH1>0であれば、炉熱指標と炉熱目標値の差分の絶対値が閾値TH1を超えた場合に、ステップS16で炉熱調整アクション量が決定され、ステップS24で炉熱調整アクションが実行される。この場合、炉熱指標と炉熱目標値の差分の絶対値が閾値TH1以下であれば、ステップS16の処理が行われず、その制御周期では炉熱調整アクションが実行されない。したがって、TH1>0の場合は、炉熱指標と炉熱目標値の差分の絶対値が閾値TH1以内となるようにフィードバック制御が行われることになる。なお、閾値TH1の値は、例えば目標値に対するバラツキを示す標準偏差σの2倍(=2σ)としてもよい。
一方、TH1=0とすると、炉熱指標と炉熱目標値が一致しない限り、ステップS16で炉熱調整アクション量が決定され、ステップS24で炉熱調整アクションが実行される。したがって、この場合は、炉熱指標が炉熱目標値と一致するようにフィードバック制御が行われることになる。
同様に、ステップS20における閾値TH2の値を調整することにより、所望の出銑量調整アクションが実現される。例えば、TH2>0であれば、計算出銑量と出銑目標値の差分の絶対値が閾値TH2を超えた場合に、ステップS22で出銑量調整アクション量が決定され、ステップS24で出銑量調整アクションが実行される。この場合、計算出銑量と出銑目標値の差分の絶対値が閾値TH2以下であれば、ステップS22の処理が行われず、その制御周期では出銑量調整アクションが実行されない。したがって、TH2>0の場合は、計算出銑量と出銑目標値の差分の絶対値が閾値TH2以内となるようにフィードバック制御が行われることになる。なお、閾値TH2の値も、例えば目標値に対するバラツキを示す標準偏差σの2倍(=2σ)としてもよい。
一方、TH2=0とすると、計算出銑量と出銑目標値が一致しない限り、ステップS22で出銑量調整アクション量が決定され、ステップS24で出銑量調整アクションが実行される。したがって、この場合は、計画出銑量が出銑目標値と一致するようにフィードバック制御が行われることになる。
なお、炉熱調整アクション量決定部130は、1回の制御周期における炉熱調整アクション量を所定量以下に制限してもよい。この場合、高炉制御部180は、1回の制御周期毎に、所定量ずつ炉熱指標を制御する。同様に、出銑量調整アクション量決定部160は、1回の制御周期における出銑量調整アクション量を所定量以下に制限してもよい。この場合、高炉制御部180は、1回の制御周期毎に、所定量ずつ計算出銑量を制御する。これにより、大きいアクション量で炉熱調整アクションまたは出銑量調整アクションを行う場合に比べて、高炉10内の通気状態または炉熱に変動が生じることを抑制できる。
[本実施形態に係る高炉の制御システムによる効果]
図5は、上述の実施形態に係る高炉の制御システム1000により炉熱指標と出銑量の同時制御を行った結果、溶銑温度と計算出銑量が時系列に変化する様子を示す推移図である。図5に示す例は、溶銑温度と計算出銑量を、いずれも目標値に制御した場合(上述した閾値TH1,TH2を0とした場合)を示している。炉熱目標値(溶銑温度目標値)は1525℃であり、出銑量目標値(計画出銑量、図5では出銑比で示す)は2.48t/d/mである。なお出銑比とは、高炉の一日の出銑量(t/d)を炉容積(m)で割った値である。図5に示すように、炉熱(例として溶銑温度)と計算出銑量の同時制御を行うことで、計算出銑量、および溶銑温度が共に目標値の±2σ以内に制御することが達成された。
図6は、計算出銑量と出銑量目標値の二乗平均平方根誤差(RMSE:Root Mean Square Error)を示すグラフである。図6では、左から順に、上述の実施形態に係る高炉の操業方法を適用しなかった比較例、上述の実施形態に係る高炉の操業方法により炉熱指標および出銑量をオペレータが経験的に制御した本発明例1、上述の実施形態に係る高炉の制御システム1000によるフィードバック制御を行った発明例2、をそれぞれ示している。なお、比較例では、オペレータが従来方法に基づき溶銑温度が目標値になるように炉熱を制御して高炉操業を行った。
本実施形態に係る高炉の操業方法を行うことにより、本発明例1、本発明例2では、従来の溶銑温度のみによる炉熱制御を行った高炉操業(比較例)に比べて、出銑量を適切に制御できていることがわかる。さらに本実施形態に係る高炉の制御システム1000によるフィードバック制御を行うことにより、本発明例2では、比較例1、本発明例1と比べてさらに制御性が向上したことが判る。
(変形例)
高炉数学モデルまたはデータベースによる高炉予測モデルを用いることで、将来的に炉熱指標が炉熱目標値から外れることが予測される場合がある。すなわち、実炉操業と並行して、高炉数学モデルまたはデータベースによる高炉予測モデル予測により時々刻々と所定時間後の炉況を予測していくと、将来的に炉熱指標が炉熱目標値から外れることを予測できる。このため、炉熱調整アクション量決定部130は、高炉数学モデルまたはデータベースによる高炉予測モデルにより炉熱指標が炉熱目標値から外れると予測される場合に、炉熱指標の予測値と炉熱目標値とに基づいて、炉熱調整アクション量を決定してもよい。炉熱指標の予測値は、操業データに基づいて、高炉数学モデルまたはデータベースによる高炉予測モデルを用いて、炉熱指標算出部120により算出される。
同様に、高炉数学モデルまたはデータベースによる高炉予測モデルを用いることで、計算出銑量が出銑量目標値から外れることが予測される場合がある。このため、出銑量調整アクション量決定部160は、高炉数学モデルまたはデータベースによる高炉予測モデルにより計算出銑量が出銑量目標値から外れると予測される場合に、計算出銑量の予測値と出銑量目標値とに基づいて、出銑量調整アクション量を決定してもよい。計算出銑量の予測値は、操業データに基づいて、高炉数学モデルまたはデータベースによる高炉予測モデルを用いて、計算出銑量算出部150により算出される。
以上説明したように本実施形態によれば、相互に密接に関連する炉熱指標と計算出銑量とを組み合わせて制御することにより、炉熱指標と溶銑生産量とが同時に所望の目標範囲に制御される。これにより、高炉10内に形成される融着帯の高さが一定に制御され、高炉10内の通気変動が抑制されるため、安定した高炉操業が実現される。
10 高炉
12 装入コンベア
14 炉頂装入装置
16 送風羽口
18 出銑口
20 各種センサ
30 各種駆動装置
40 入力装置
50 表示装置
100 プロセッサ
110 操業データ取得部
120 炉熱指標算出部
130 炉熱調整アクション量決定部
140 炉熱目標値設定部
150 計算出銑量算出部
160 出銑量調整アクション量決定部
170 出銑目標値設定部
180 高炉制御部
200 メモリ
300 通信I/F
500 制御装置
1000 高炉の制御システム

Claims (11)

  1. 高炉の炉熱指標を算出する炉熱指標算出部と、
    前記炉熱指標と炉熱目標範囲に基づいて炉熱調整アクション量を決定する炉熱調整アクション量決定部と、
    高炉の計算出銑量を算出する計算出銑量算出部と、
    前記計算出銑量と出銑量目標範囲に基づいて出銑量調整アクション量を決定する出銑量調整アクション量決定部と、
    前記炉熱調整アクション量に基づいて前記炉熱指標を制御し、前記出銑量調整アクション量に基づいて前記計算出銑量を制御する高炉制御部と、
    を備える、高炉の制御装置。
  2. 前記炉熱調整アクション量決定部は、高炉数学モデルまたは過去に観測した実績データに基づく高炉予測モデルを用いて前記炉熱調整アクション量を決定する、請求項1に記載の高炉の制御装置。
  3. 前記出銑量調整アクション量決定部は、高炉数学モデルまたは過去に観測した実績データに基づく高炉予測モデルを用いて前記出銑量調整アクション量を決定する、請求項1又は2に記載の高炉の制御装置。
  4. 前記炉熱指標算出部は、高炉数学モデルまたは過去に観測した実績データに基づく高炉予測モデルを用いて将来時刻の炉熱指標を予測し、
    前記炉熱調整アクション量決定部は、前記炉熱指標が前記炉熱目標範囲から外れると予測される場合に、前記炉熱調整アクション量を決定する、請求項1~3のいずれか1項に記載の高炉の制御装置。
  5. 前記計算出銑量算出部は、高炉数学モデルまたは過去に観測した実績データに基づく高炉予測モデルを用いて将来時刻の計算出銑量を予測し、
    前記出銑量調整アクション量決定部は、前記計算出銑量が前記出銑量目標範囲から外れると予測される場合に、前記出銑量調整アクション量を決定する、請求項1~4のいずれか1項に記載の高炉の制御装置。
  6. 高炉の炉熱指標を算出するステップと、
    前記炉熱指標と炉熱目標範囲に基づいて炉熱調整アクション量を決定するステップと、
    高炉の計算出銑量を算出するステップと、
    前記計算出銑量と出銑量目標範囲に基づいて出銑量調整アクション量を決定するステップと、
    前記炉熱調整アクション量に基づいて前記炉熱指標を制御し、前記出銑量調整アクション量に基づいて前記計算出銑量を制御するステップと、
    を備える、高炉の操業方法。
  7. 前記炉熱調整アクション量を決定するステップでは、高炉数学モデルまたは過去に観測した実績データに基づく高炉予測モデルを用いて前記炉熱調整アクション量を決定する、請求項6に記載の高炉の操業方法。
  8. 前記出銑量調整アクション量を決定するステップでは、高炉数学モデルまたは過去に観測した実績データに基づく高炉予測モデルを用いて前記出銑量調整アクション量を決定する、請求項6又は7に記載の高炉の操業方法。
  9. 前記炉熱指標を算出するステップでは、高炉数学モデルまたは過去に観測した実績データに基づく高炉予測モデルを用いて将来時刻の炉熱指標を予測し、
    前記炉熱調整アクション量を決定するステップでは、前記炉熱指標が前記炉熱目標範囲から外れると予測される場合に、前記炉熱調整アクション量を決定する、請求項6~8のいずれか1項に記載の高炉の操業方法。
  10. 前記計算出銑量を算出するステップでは、高炉数学モデルまたは過去に観測した実績データに基づく高炉予測モデルを用いて将来時刻の計算出銑量を予測し、
    前記出銑量調整アクション量を決定するステップでは、前記計算出銑量が前記出銑量目標範囲から外れると予測される場合に、前記出銑量調整アクション量を決定する、請求項6~9のいずれか1項に記載の高炉の操業方法。
  11. 高炉の炉熱指標を算出する手段、
    前記炉熱指標と炉熱目標範囲に基づいて炉熱調整アクション量を決定する手段、
    高炉の計算出銑量を算出する手段、
    前記計算出銑量と出銑量目標範囲に基づいて出銑量調整アクション量を決定する出銑量調整アクション量を決定する手段、
    前記炉熱調整アクション量に基づいて前記炉熱指標を制御し、前記出銑量調整アクション量に基づいて前記計算出銑量を制御する手段、
    としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
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