JP2022048688A - フィルタ - Google Patents

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致瑩 錢
Chih-Ying Chien
幸久 岡田
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Abstract

【課題】捕捉される粒子に対して影響を与えずに、効果的に飲料の油分を除去することができるフィルタを提供する。【解決手段】一実施形態に係るフィルタでは、複数の濾過層3は、外層3bと、外層3bよりも通気抵抗が大きい中間層3cと、中間層3cよりも通気抵抗が大きい内層3dと、を含んでおり、複数の濾過層3は、更に、2つの中間層3cの間、中間層3cと内層3dの間、又は内層3dとコアの間に位置する粗目濾過層3fを含み、粗目濾過層3fの通気抵抗は、粗目濾過層3fの外周側に隣接する濾過層3の通気抵抗よりも小さい。【選択図】図4

Description

本開示の一側面は、フィルタに関する。
従来から、フィルタについては種々のものが知られている。特許文献1には、多孔筒に不織布が巻回されて多層構造を形成してなるカートリッジフィルタが記載されている。カートリッジフィルタは、平均繊維径0.5~25μm、平均孔径10~300μmの不織布からなる複数の緻密層と、平均孔径が緻密層を形成するいずれかの不織布よりも平均孔径が大きくかつ500μm以下である不織布からなる拡散層とが積層されている。カートリッジの内側に存在する緻密層ほど平均孔径が小さい。緻密層と拡散層との間に、平均孔径がこれらの中間にある中間層が存在する。
特開平3-278810号公報
前述したカートリッジフィルタでは、内側に存在する緻密層ほど平均孔径が小さい。ところで、飲料の製造の過程において飲料に油分が存在することがあり、飲料を濾過するフィルタにおいて当該油分を除去することが望まれる場合がある。
本開示の一つの観点は、フィルタの濾過性能を変化させることなく、飲料の油分を効果的に除去することができるフィルタを提供することである。
本開示の一側面に係るフィルタは、フィルタの中心に設けられるコアと、コアの外周に積層されており通気抵抗が異なる複数の濾過層と、を含む飲料の濾過又は処理を行うフィルタであって、複数の濾過層は、同一の通気抵抗を有する濾過層から構成される外層と、外層よりもフィルタの中心側に位置しており、外層よりも通気抵抗が大きく、且つ同一の通気抵抗を有する濾過層から構成されるか、又は異なる通気抵抗を有する複数の濾過層から構成される中間層と、中間層よりもフィルタの中心側に位置しており、中間層よりも通気抵抗が大きく、且つ同一の通気抵抗を有する濾過層から構成される内層と、を含んでおり、異なる通気抵抗を有する複数の濾過層から構成される中間層では、フィルタの中心側に向かうにつれて通気抵抗が大きくなっており、複数の濾過層は、更に、複数の濾過層から構成される中間層における隣接する2つの濾過層の間、中間層と内層の間、又は内層とコアの間、のいずれかに位置する粗目濾過層を含み、粗目濾過層の通気抵抗は、粗目濾過層の外周側に隣接する濾過層の通気抵抗よりも小さい。
この形態に係るフィルタは、複数の濾過層がコアの外周に積層されたフィルタであって、飲料原液を通して飲料の濾過又は処理を行う。複数の濾過層は、外層、中間層、及び内層を含んでおり、外層の通気抵抗は中間層の通気抵抗よりも小さく、内層の通気抵抗は中間層の通気抵抗よりも大きい。そして、中間層が複数の濾過層から構成される場合、フィルタの中心側に向かうにつれて通気抵抗が大きくなっている。従って、フィルタの外周側から外層に飲料原液を供給すると、飲料原液が外層、中間層及び内層に流れる過程で大きい粒子(固形分)が外層において捕捉され、中程度の大きさの粒子が中間層において捕捉され、そして、小さい粒子が内層において捕捉される。よって、飲料原液に含まれる異なる大きさの粒子を外層、中間層及び内層のそれぞれにおいて捕捉することができるので、所望の大きさの粒子を飲料原液から除去することができる。
また、このフィルタは、複数の中間層における2つの濾過層の間、中間層と内層の間、又は内層とコアの間、のいずれかに粗目濾過層を備え、粗目濾過層の通気抵抗は、粗目濾過層の外周側に隣接する濾過層の通気抵抗よりも小さい。すなわち、フィルタの中心(コア)側に位置する粗目濾過層は、粗目濾過層の外周側に隣接する濾過層よりも通気抵抗が小さいので、粗目濾過層においては、当該外周側に隣接する濾過層によって除去された粒子より小さい粒子が除去されることはなく、また、より大きな粒子は、粗目濾過層の外周側に隣接する濾過層より更に外周側に位置する濾過層において捕捉されている。従って、粗目濾過層においては、飲料原液の油分が集中的に捕捉される。このように、飲料原液が粗目濾過層に流入する前に、捕捉されるべき粒子が捕捉された状態になっているので、粗目濾過層において飲料の油分を効果的に捕捉することができる。
更に、このフィルタは、当該濾過層の中心側に粗目濾過層を備えているので、例えば、巻回される当該濾過層の長さが粗目濾過層の長さと同一である場合、コアにより近い粗目濾過層の層積層方向の厚さは、当該濾過層の層積層方向の厚さよりも厚くなる。このように、粗目濾過層をフィルタの中心(コア)側に配置することにより、フィルタ内の粗目濾過層の厚さを厚くできるため、より多くの油分を捕捉可能となる。なお、外周側に隣接する濾過層の中心側に粗目濾過層を配置することに代えて、当該隣接する濾過層と同一の濾過層を粗目濾過層の厚みと同じ厚みになるように配置した場合、飲料原液の油分は除去される。しかしながら、粒子も更に除去されてしまい、結果として、飲料原液から除去される粒子の分布等に変化が生じ、フィルタの濾過性能に影響を与える場合がある。これに対し、前述したように、当該隣接する濾過層の中心側に粗目濾過層を備える場合には、捕捉される粒子について影響を与えずに、つまり、フィルタの濾過性能を変化させることなく、油分のみを効果的に除去することができる。
粗目濾過層は、内層とコアの間に位置してもよい。
粗目濾過層の通気抵抗は、中間層の通気抵抗以下であってもよい。
粗目濾過層の通気抵抗は、外層の通気抵抗以下であってもよい。
粗目濾過層の材料、外層の材料、中間層の材料、及び内層の材料は、互いに同一であってもよい。
粗目濾過層の材料は、ポリプロピレンを含んでもよい。
粗目濾過層の通気抵抗は、0.33mmHO以下であってもよい。
飲料は、コーヒーであってもよい。
本開示によれば、捕捉される粒子について影響を与えずに、フィルタの濾過性能を変化させることなく、効果的に飲料の油分を除去することができる。
実施形態に係るフィルタ、及びフィルタを収容するハウジングの一例を示す側面図である。 図1のフィルタの縦断面図である。 図2のフィルタの濾過層を模式的に示す横断面図である。 図3の濾過層を飲料が通過する様子を模式的に示す図である。 図3の濾過層における粗目濾過層に油分が吸着している様子を模式的に示す図である。 (a)、(b)、(c)及び(d)のそれぞれは、複数の濾過層を構成する外層、中間層、内層、及び粗目濾過層の配置の例を模式的に示す図である。 最大油分吸着量の実験結果を示すグラフである。 油分吸着量の実験結果を示すグラフである。 油分捕捉率の実験結果を示すグラフである。 フィルタにおけるライフ試験の結果を示すグラフである。 フィルタにおける飲料の粒子の除去率を測定した実験の結果を示すグラフである。 通気抵抗が異なる粗目濾過層を配置して最大油分吸着量を測定した実験の結果を示すグラフである。 通気抵抗が異なる粗目濾過層を配置して油分捕捉率を測定した実験の結果を示すグラフである。 通気抵抗が異なる粗目濾過層を配置して飲料の粒子の除去率を測定した実験の結果を示すグラフである。
以下では、図面を参照しながら本開示に係るフィルタを実施するための形態について詳細に説明する。図面の説明において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。また、図面は、理解の容易のため、一部を簡略化又は誇張して描いている場合があり、寸法比率等は図面に記載のものに限定されない。
まず、本開示に係る用語「フィルタ」は、液体が通されて当該液体に混入されている粒子(固形分)等、又は油分等を捕捉するものをいう。「油分」は油を含む成分を示している。「捕捉」は、フィルタに粒子を濾過、又は油分を吸着させることによってフィルタが当該粒子又は油分を捉えることを示しており、捉えた粒子又は油分をフィルタ外へ通過させないことを示している。例えば、フィルタは、コアに複数の濾過層が巻き付けられて筒状に形成されている。「コア」は、フィルタの中心に設けられる。「コア」は、例えば筒状に形成されたフィルタの芯材である。「フィルタの中心」は、フィルタの中心、及び当該中心を通る線分を含んでおり、例えば、フィルタが筒状とされている場合、フィルタの中心はフィルタの中心軸線を示している。「中心側」は中心寄りの位置であることを示しており、「外周側」は中心とは反対寄りの位置であることを示している。
フィルタは、飲料の濾過又は処理を行う。「原液」は、濾過前若しくは処理前、又は濾過中若しくは処理中の液体を示している。「飲料」は、飲用される液体又は半固体を示している。「飲料」は、コーヒー、ココア、牛乳、豆乳、紅茶、緑茶、又は烏龍茶であってもよい。「濾過」は、液体を濾過層に通して当該液体に含まれている粒子(固形分)を捕捉(物理的濾過)することを示している。「処理」は、液体を濾過に通して当該液体に含まれている油分を捕捉(吸着)することを示している。「処理」は、フィルタが繊維によって構成されている場合には、繊維表面に油分を吸着させることを示している。「濾過層」は、例えば、フィルタを構成するシート状の部材であって、飲料原液が通されて当該飲料の粒子(固形分)等、又は油分等を捕捉する機能を有する。
複数の濾過層は、外層と、中間層と、内層とを含む。「外層」はフィルタの外周側に位置する濾過層であり、「内層」はフィルタの中心側に位置する濾過層であり、「中間層」は外層と内層の間に位置する濾過層を示している。フィルタにおいて、内層の通気抵抗は中間層の通気抵抗よりも大きく、外層の通気抵抗は中間層の通気抵抗よりも小さい。
「通気抵抗」は、流体が流れるときの抵抗の大きさを示している。濾過層の通気抵抗は、濾過層の目の粗さと相関があり、濾過層の目が細かいほど通気抵抗が大きくなり、濾過層の目が粗いほど通気抵抗が小さくなる。また、濾過層が織布又は不織布からなる場合、通気抵抗は織布又は不織布を構成する繊維の太さ(例えば平均繊維径)と相関があり、繊維の太さが細いほど通気抵抗は大きくなり、繊維の太さが太いほど通気抵抗は小さくなる。複数の濾過層は、更に、粗目濾過層を含んでおり、粗目濾過層の通気抵抗は当該粗目濾過層の外周側に隣接する濾過層の通気抵抗よりも小さい。すなわち、「粗目濾過層」は、粗目濾過層の外周側に隣接する濾過層の通気抵抗よりも通気抵抗が小さい濾過層を示している。
図1は、実施形態に係るフィルタ1、及びフィルタ1を収容するハウジング10を模式的に示す図である。図2は、フィルタ1の断面図である。図1及び図2に示されるように、フィルタ1は、ハウジング10の内部に収容された状態で、ハウジング10に流入した飲料を濾過する。ハウジング10は、飲料原液が流入する流入部11と、飲料が流出する流出部12とを備え、流出部12はフィルタ1によって濾過された飲料をハウジング10の外部に流出させる。ハウジング10の材料は、例えば金属であるが、金属以外の材料で構成されていてもよく、特に限定されない。
フィルタ1の濾過対象の飲料としては、例えば、コーヒーが挙げられる。以下では、飲料がコーヒーである例について説明する。この場合、フィルタ1は、コーヒー原液に混入しているコーヒー豆のかす等の粒子(以下では単に「粒子」とすることもある)を捕捉する。コーヒーの製造方法の一例について簡潔に説明する。まず、コーヒー豆が粉砕機によって粉砕され、挽かれたコーヒー豆からコーヒー原液が抽出され、遠心分離の工程を経たコーヒー原液がフィルタ1によって濾過される。そして、フィルタ1で濾過されたコーヒーは、砂糖又はミルクを含む調味料等が入れられて味の調和がなされた後に殺菌工程を経て缶又はペットボトル等の容器に収容される。
フィルタ1は、例えば、軸線方向D1に延びる中心軸線Lを有する筒状を呈する。フィルタ1は、フィルタ1の中心に設けられるコア2と、コア2の外周に積層される複数の濾過層3と、コア2及び濾過層3をハウジング10の下側で保持する下側保持部材4と、コア2及び濾過層3をハウジング10の上側で保持する上側保持部材5とを備える。コア2の材料は、例えば、プラスチックであるが、特に限定されない。
コア2及び濾過層3は、中心軸線Lに沿って延在する筒状を呈する。濾過層3には、その径方向D2の外側(外周側)からコーヒー原液が流入し、流入したコーヒー原液から粒子を捕捉してコーヒーの濾過を行う。濾過されたコーヒーは濾過層3の中心側(径方向D2の内側)に位置するコア2を通過する。コア2は内側に内部流路2bを有し、コア2を径方向D2に通過したコーヒーが内部流路2bを通ってフィルタ1から流出する。
下側保持部材4は、例えば、コア2及び濾過層3が載せられる第1環状部4bと、ハウジング10に固定される第2環状部4cとを有する。第1環状部4bは、コア2及び濾過層3が載せられる環状の載置面4dと、載置面4dの径方向D2の内側においてコア2の内面に入り込む環状の突出部4fとを含む。載置面4dには、フィルタ1の濾過層3に食い込む突部4gが形成されており、例えば、複数の突部4gが径方向D2に沿って並ぶように配置されている。
第2環状部4cは、径方向D2の外側に突出する鍔部4hと、鍔部4hから下方に突出する筒部4jとを含んでおり、筒部4jの外周にはパッキン4qが入り込む環状凹部4kが形成されている。一例として、第2環状部4cは、軸線方向D1に沿って並ぶ複数の環状凹部4k及び複数のパッキン4qを備える。例えば、環状に形成されたハウジング10の底部10bの内側に第2環状部4cが入り込み、鍔部4hが底部10bに載せられると共にパッキン4qが底部10bの内面に密着することによってハウジング10にフィルタ1が装着される。
上側保持部材5は、例えば、コア2及び濾過層3に載せられる蓋部5bと、蓋部5bから上方に突出する突出部5gとを有する。蓋部5bは、コア2及び濾過層3に接触する接触面5cと、接触面5cの径方向D2の内側においてコア2の内面に入り込む環状の突出部5fとを含む。接触面5cには、濾過層3に上から食い込む突部5dが形成されており、突部5dの数及び配置態様は、例えば、前述した突部4gと同様である。
以上のように構成されたフィルタ1には、まず、濾過層3の外周側からコーヒー原液が流入する。濾過層3に流入したコーヒー原液は、濾過層3によって濾過された後にコア2の径方向D2の内側に通過して、内部流路2bで下方に流れ込む。内部流路2bを下方に流れるコーヒーは、第1環状部4bの内側、及び第2環状部4cの内側に形成された下側保持部材4の下部流路4pを介して流出部12からハウジング10の外部に流出する。
次に、図3及び図4を参照しながら、濾過層3の構成の例について説明する。図3は、軸線方向D1に沿って濾過層3を見た複数の濾過層3の層構造(すなわち、軸線方向D1に直交する複数の濾過層3の断面形状)を示す図である。図4は、径方向D2に沿って積層される複数の濾過層3における各濾過層3の孔(ポア)3gを模式的に示す図である。図4では、上側がフィルタ1の径方向D2の外周側を示しており、下側がフィルタ1の径方向D2の中心側を示している。
図3及び図4に示されるように、例えば、複数の濾過層3は、フィルタ1の外周を構成する外層3bと、外層3bよりもフィルタ1の中心側に位置する複数の中間層3cと、中間層3cよりもフィルタ1の中心側に位置する内層3dと、内層3dよりもフィルタ1の中心側に位置する粗目濾過層3fとを含む。本実施形態において、通気抵抗は、試験法 ASTM F778-88に従って32L/分の流量の空気流を濾過層に通したときの圧力低下値を示している。
図3及び図4に示される実施形態においては、外層3b及び粗目濾過層3fは、それぞれ同一の通気抵抗を有する。上述のように、粗目濾過層3fは、複数の濾過層3の最内層を構成している。この場合、粗目濾過層3fは、濾過層3のうち径方向D2の最も内側に位置する。しかしながら、粗目濾過層3fの位置は、径方向D2の最も内側に限定されない。なお、中間層3cを構成する濾過層の数は1つであってもよい(図3及び図4では中間層3cの数が3つである例を示している)。
濾過層3は、例えば、不織布によって構成されている。濾過層3は、静電紡糸不織布、メルトブロー不織布、スパンボンド不織布、及び湿式不織布の少なくともいずれかを含んでいてもよい。濾過層3の材料は、例えば、ポリプロピレンを含む。また、濾過層3の材料は、ポリエステル、ポリエチレンポリエチレングリコール、部分けん化ポリビニルアルコール、完全けん化ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、フッ素重合体、ポリエチレン若しくはポリプロピレン等のポリオレフィン等の有機材料、及び、石英ガラス等の無機材料、の少なくともいずれかを含んでいてもよい。
複数の濾過層3のそれぞれは、コーヒー原液に含まれる粒子を捕捉すると共にコーヒー原液の液状成分を通過する複数の孔3gを有する。例えば、外層3b、中間層3c、内層3d及び粗目濾過層3fがこの順で径方向D2に沿って並んでおり、外層3b、中間層3c、内層3d及び粗目濾過層3fをコーヒー原液が通ることによってコーヒーが濾過される。例えば、外層3bの孔3g(平均孔径又は平均繊維径)が最も大きく、次に中間層3cの孔3gが大きく、内層3dの孔3gが最も小さい。
フィルタ1において、内層3dの通気抵抗が最も大きく、中間層3cの通気抵抗が次に大きく、内層3dの通気抵抗が最も小さい。従って、外層3bから中間層3cを介して内層3dを通るコーヒーでは、まず、外層3b、及び複数の中間層3cのうちの外周側に位置する中間層3cにおいて大きな粒子P1が捕捉される。複数の中間層3cのうちの中心側の中間層3cは、粒子P1より小さい粒子P2を捕捉し、内層3dは粒子P2より小さい粒子P3を捕捉する。複数の中間層3cではフィルタ1の中心側に向かうにつれて通気抵抗が大きくなっているので、外周側の中間層3cは大きな粒子P1を捕捉し、中心側の中間層3cは小さな粒子P2を捕捉する。
粗目濾過層3fの孔3gは、一般的に、粗目濾過層3fの外周側に隣接する隣接濾過層3h(図4の例では内層3d)の孔3gよりも大きい。すなわち、粗目濾過層3fの通気抵抗は隣接濾過層3hの通気抵抗よりも小さい。従って、外層3bから中間層3cを介して内層3dを通るコーヒー原液のうち、粒子P3以上の大きさの粒子は、コーヒー原液が隣接濾過層3hを通過するまでに捕捉されているので、粗目濾過層3fには粒子P3以上の大きさの粒子が除去された状態のコーヒー原液が流入する。
図5に模式的に示されるように、粗目濾過層3fは、例えば、コーヒー原液に含まれる油分Aを捕捉する油分捕捉層である。なお、コーヒー原液の油分Aは、外層3b、中間層3c及び内層3dのそれぞれにおいても捕捉され得ることがあり、例えば、外層3b、中間層3c及び内層3dで捕捉しきれなかった油分Aが粗目濾過層3fによって捕捉される。粗目濾過層3fは不織布によって構成されており、粗目濾過層3fを構成する複数の繊維3jの間に油分Aが吸着することによって粗目濾過層3fに油分Aが捕捉される。粗目濾過層3fには、粒子P3以上の大きさの粒子が除去された状態のコーヒー原液が流入するので、例えば、粒子P3以上の大きさの粒子が入り込むことはない。従って、隣接濾過層3hより小さい通気抵抗(大きい孔3g)を有する粗目濾過層3fでは、コーヒー原液の油分Aを集中的に捕捉することが可能となる。
粗目濾過層3fの通気抵抗は、例えば、0.33mmHO以下である。なお、粗目濾過層3fの通気抵抗は、0.30mmHO以下、0.25mmHO以下、又は0.20mmHO以下であってもよい。粗目濾過層3fの材料は、例えば、粗目濾過層3f以外の他の濾過層3(外層3b、中間層3c及び内層3d)の材料と同一である。粗目濾過層3fの材料は、一例として、親油性のポリプロピレンを含む。この場合、粗目濾過層3fで油分Aをより効果的に捕捉することが可能となる。
次に、濾過層3の外層3b、中間層3c、内層3d及び粗目濾過層3fの構成の例について図6(a)、図6(b)、図6(c)及び図6(d)を参照しながら説明する。まず、図6(a)に示されるように、粗目濾過層3fは、内層3dよりもフィルタ1の中心側に配置されていてもよい。この場合、フィルタ1の外周側から中心側に向かって、外層3b、中間層3c、内層3d及び粗目濾過層3fがこの順で積層される。また、粗目濾過層3fの外周側に隣接する隣接濾過層3hは内層3dである。
例えば、外層3b、中間層3c、内層3d及び粗目濾過層3fのそれぞれは、不織布からなるシートであってもよい。図6(a)~図6(d)の例においては、外層3bを構成する濾過層(シート)の大きさ(幅と長さ)、中間層3cを構成する濾過層(シート)の大きさ(幅と長さ)、内層3dを構成する濾過層(シート)の大きさ(幅と長さ)、及び粗目濾過層3fを構成する濾過層(シート)の大きさ(幅と長さ)は、互いに同一である。図6(a)の例では、コア2の外周に粗目濾過層3fの濾過シートが巻き付けられ、次に内層3dの濾過シートが巻き付けられる。そして、内層3dの外周側に巻き付けられた中間層3cの濾過シートの外周側に外層3bの濾過シートが巻き付けられている。よって、フィルタ1の中心側に位置する濾過シートほど径方向D2の厚さが厚くなる。図6(a)の例では、各層を構成する濾過層(シート)1枚当たりの径方向D2の厚さについて、粗目濾過層3fが最も厚く、内層3dが次に厚く、中間層3cがその次に厚く、外層3bが最も薄い。
外層3b、中間層3c及び内層3dを構成する濾過層の数は、特に限定されず、飲料の種類等に応じて適宜調整可能である。ここで、外層3bは同一の通気抵抗を有する濾過層から構成されており、内層3dも同一の通気抵抗を有する濾過層から構成されている。一方、中間層3cは、同一の通気抵抗を有する濾過層から構成されるか、又は異なる通気抵抗を有する複数の濾過層から構成される。中間層3cが異なる通気抵抗を有する複数の濾過層から構成される場合には、フィルタの中心側に向かうにつれて通気抵抗が大きくなるように配置されている。また、粗目濾過層3fの数は、粗目濾過層3fを用いない場合のフィルタに比べて、フィルタの濾過性能に影響を与えない範囲であれば、特に限定されない。図6(a)では、複数の濾過層3が、同一の通気抵抗を有する2つの濾過層から構成される外層3b、5つの濾過層から構成される中間層3c、1つの濾過層から構成される内層3d、及び2つの濾過層から構成される粗目濾過層3fによって構成される例を示している。濾過層3のそれぞれにおける通気抵抗の例を以下の表1に示す。
Figure 2022048688000002

図6(a)では、外層3bに2つの例1の濾過層3、内層に1つの例6の濾過層3を用いている。そして、中間層3cとして、外周側から中心側に向かって、2つの例2の濾過層3、1つの例3の濾過層3、1つの例4の濾過層3、及び1つの例5の濾過層3、が並んでいる。例えば、粗目濾過層3fとして、径方向D2に沿って2つの例1の濾過層3が並んでいる。
図6(b)に示されるように、粗目濾過層3fは、複数の中間層3cにおける2つの濾過層3の間に配置されていてもよい。この場合、フィルタ1の外周側から中心側に向かって、外層3b、中間層3c、粗目濾過層3f、中間層3c及び内層3dがこの順で積層されている。また、粗目濾過層3fの外周側に隣接する隣接濾過層3hは中間層3cである。以下では、粗目濾過層3fの外周側に位置する中間層3cを第1中間層3p、粗目濾過層3fの中心側に位置する中間層3cを第2中間層3qとして説明する。第1中間層3p及び第2中間層3qのそれぞれの数は特に限定されない。
図6(b)の例では、コア2の外周に内層3dの濾過シートが巻き付けられ、次に第2中間層3qの濾過シートが巻き付けられ、第2中間層3qの外周側に粗目濾過層3fの濾過シートが巻き付けられている。そして、粗目濾過層3fの外周側に巻き付けられた第1中間層3pの更に外周側に外層3bの濾過シートが巻き付けられている。各層を構成する濾過層(シート)1枚当たりの径方向D2の厚さについては、内層3dが最も厚く、第2中間層3qが次に厚く、粗目濾過層3fが3番目に厚く、第1中間層3pが4番目に厚く、外層3bが最も薄い。
図6(b)では、複数の濾過層3が、2つの濾過層から構成される外層3b、2つの濾過層から構成される第1中間層3p、2つの濾過層から構成される粗目濾過層3f、3つの濾過層から構成される第2中間層3q、及び1つの濾過層から構成される内層3dによって構成される例を示している。例えば、2つの例1の外層3b、及び1つの例6の内層3dが設けられる。そして、外周側から中心側に向かって、2つの例2の第1中間層3p、2つの例1の粗目濾過層3f、1つの例3の第2中間層3q、1つの例4の第2中間層3q、及び1つの例5の第2中間層3q、がこの順で並んでいる。
図6(c)に示されるように、フィルタ1の外周側から中心側に向かって、外層3b、第1中間層3p、粗目濾過層3f、第2中間層3q及び内層3dがこの順で積層されていてもよい。粗目濾過層3fの外周側に隣接する隣接濾過層3hは第1中間層3pである。図6(c)では、複数の濾過層3が、2つの濾過層から構成される外層3b、3つの濾過層から構成される第1中間層3p、2つの濾過層から構成される粗目濾過層3f、2つの濾過層から構成される第2中間層3q、及び1つの濾過層から構成される内層3dによって構成される例を示している。
例えば、2つの例1の外層3b、及び1つの例6の内層3dが設けられる。そして、外周側から中心側に向かって、2つの例2の第1中間層3p、及び1つの例3の第1中間層3pが並んでいる。更に中心側には、2つの例1の粗目濾過層3f、1つの例4の第2中間層3q、及び1つの例5の第2中間層3q、が並んでいる。
図6(d)に示されるように、フィルタ1の外周側から中心側に向かって、外層3b、中間層3c、粗目濾過層3f及び内層3dがこの順で積層されていてもよい。粗目濾過層3fの外周側に隣接する隣接濾過層3hは中間層3cである。図6(d)では、複数の濾過層3が、2つの濾過層から構成される外層3b、5つの濾過層から構成される中間層3c、2つの濾過層から構成される粗目濾過層3f、及び1つの濾過層から構成される内層3dによって構成される例を示している。例えば、2つの例1の外層3b、及び1つの例6の内層3dが設けられる。そして、中間層3cとして、外周側から中心側に向かって、2つの例2の濾過層3、1つの例3の濾過層3、1つの例4の濾過層3、及び1つの例5の濾過層3が並んでいる。更に中心側には、2つの例1の粗目濾過層3fが並んでいる。
次に、実施形態のフィルタの作用効果について説明する。
実施形態のフィルタは、図3、図4及び図5に例示されるように、複数の濾過層3が積層されたフィルタ1であって、コーヒー原液を通してコーヒーの濾過又は処理を行う。複数の濾過層3は、外層3b、中間層3c、及び内層3dを含んでおり、外層3bの通気抵抗は中間層3cの通気抵抗よりも小さく、内層3dの通気抵抗は中間層3cの通気抵抗よりも大きい。
そして、複数の中間層3cを備える場合、複数の中間層3cではフィルタ1の中心側に向かうにつれて通気抵抗が大きくなっている。従って、外周側から外層3bにコーヒー原液を供給すると、コーヒーが外層3b、中間層3c及び内層3dを流れる過程で大きい粒子P1が外層3bにおいて捕捉され、中程度の大きさの粒子P2が中間層3cにおいて捕捉され、そして、小さい粒子P3が内層3dにおいて捕捉される。よって、異なる大きさの粒子P1,P2,P3を外層3b、中間層3c及び内層3dのそれぞれにおいて捕捉することができるので、濾過性能を損なうことなく粒子P1,P2,P3を除去することができる。
また、フィルタ1は、複数の中間層3cにおける2つの濾過層3の間、中間層3cと内層3dの間、又は内層3dの中心側、のいずれかに粗目濾過層3fを備え、粗目濾過層3fの通気抵抗は、外周側に隣接する隣接濾過層3hの通気抵抗よりも小さい。つまり、外周側に隣接する隣接濾過層3hよりも粗目濾過層3fの方が目が粗いので、粗目濾過層3fにおいては、隣接濾過層3hによって除去される粒子より小さい粒子が除去されることはなく、また、より大きな粒子は、隣接濾過層3hより外周側に位置する濾過層において捕捉されている。このように、粗目濾過層3fにおいては、新たに捕捉される粒子がなく、そのため、フィルタ全体として捕捉される粒子分布等には変化がなく、フィルタ1の濾過性能に変化を与えない。よって、油分Aのみをより多く捕捉して、油分Aのみをより効果的に除去することができる。
また、隣接濾過層3hの中心側に粗目濾過層3fが配置されるので、例えば、巻回される隣接濾過層3hの大きさ(幅と長さ)が粗目濾過層3fの大きさ(幅と長さ)と同一である場合、コア2により近い粗目濾過層3fの層積層方向(径方向D2)の厚さを、隣接濾過層3hの層積層方向の厚さよりも厚くすることができる。従って、粗目濾過層3fを備えることによって、より多くの油分Aを捕捉可能となる。
なお、外周側に隣接する隣接濾過層3hの中心側に粗目濾過層3fを配置することに代えて、隣接濾過層3hと同一の濾過層3を粗目濾過層3fの厚みと同じ厚みとなるように配置した場合、コーヒー原液の油分Aは除去されるものの、粒子も更に除去されてしまい、結果として、コーヒーの原液から除去される粒子の分布等に変化が生じ、フィルタ1の濾過性能に影響を与える場合がある。これに対し、隣接濾過層3hの中心側に粗目濾過層3fを備える場合には、捕捉される粒子について影響を与えずに、つまり、フィルタ1の濾過性能を変化させることなく、油分Aのみを効果的に除去することができる。
粗目濾過層3fは、内層3dとコア2の間に位置してもよい。この場合、粗目濾過層3fを最内層に配置することが可能となるので、粗目濾過層3fの径方向D2の長さ(厚さ)を他の濾過層3の径方向D2の長さ(厚さ)よりも長く(厚く)することができる。従って、コーヒーが通る粗目濾過層3fの径方向D2の長さ(厚さ)をより長く(厚く)することができるので、より効果的にコーヒーの油分Aを除去することができる。
粗目濾過層3fの通気抵抗は、中間層3cの通気抵抗以下であってもよい。この場合、粗目濾過層3fの通気抵抗が中間層3cの通気抵抗以下であることにより、油分Aを捕捉する性能を維持しつつ、粒子P1、P2,P3等の捕捉等の濾過性能に対する影響を低減させることができる。具体的には、粗目濾過層の通気抵抗が大きすぎる場合、油分Aの捕捉性能を高めることはできるものの、フィルタのそのものの通気抵抗(差圧)が大きくなって、これまで発揮されていた濾過性能に影響が及ぶ可能性がある。
これに対し、本実施形態では、通気抵抗がある程度小さい濾過層であっても、コーヒーの油分Aの捕捉性能を十分発揮できることを確認している。そして、粗目濾過層3fの通気抵抗が中間層3cの通気抵抗以下である場合には、粗目濾過層3fの通気抵抗を適度な値にすることができるので、これまで発揮されていた濾過性能への影響を低減させることができる。その結果、コーヒーの風味等への影響を抑えることができる。
粗目濾過層3fの通気抵抗は、外層3bの通気抵抗以下であってもよい。この場合、粗目濾過層3fの通気抵抗が外層3bの通気抵抗以下であることにより、油分Aを捕捉する性能を維持しつつ、粒子P1,P2,P3等の捕捉等の濾過性能に対する影響をより低減させることができる。
粗目濾過層3fの材料、外層3bの材料、中間層3cの材料、及び内層3dの材料は、互いに同一であってもよい。この場合、油分Aを捕捉する粗目濾過層3fとして他の濾過層3と同一の材料を用いることができるので、他の濾過層3と同一の材料を用いてコーヒーの油分Aを確実に除去することができる。また、粗目濾過層3fの材料が他の濾過層の材料と異なると、異なる材料の準備において手間を要する場合があり、また、場合によっては、異なる材料を用いることによって濾過性能等に影響が生じる懸念がある。これに対し、粗目濾過層3fの材料が他の濾過層3の材料と同一である場合、他の濾過層3と同一の材料で粗目濾過層3fを形成できると共に、濾過性能に対する影響を抑えることができる。すなわち、油分Aのみをより効果的に捕捉すると共に濾過性能への影響を抑えることができるフィルタを、異なる材料を用いずに得ることができる。
粗目濾過層3fの材料は、ポリプロピレンを含んでもよい。ポリプロピレンは親油性の材料であるため、粗目濾過層3fがポリプロピレン製である場合、粗目濾過層3fに、より効果的に油分Aを吸着させることができる。従って、更なる油分Aの捕捉性能の向上に寄与する。
粗目濾過層3fの通気抵抗は、0.33mmHO以下であってもよい。この場合、粗目濾過層3fの通気抵抗を十分に小さくすることができるので、濾過性能への影響を抑えることができる。
(実施例)
次に、実施例及び比較例を示しながら、本開示を更に詳細に説明する。なお、本開示は、以下の実施例に限定されることはない。
(実施例1)
前述した図6(c)と同様、複数の濾過層3を備え、複数の濾過層3が外層3b、中間層3c、内層3d及び粗目濾過層3fを含んでおり、粗目濾過層3fを例3の中間層3cと例4の中間層3cとの間に配置したフィルタを、実施例1に係るフィルタとして用いた。
(実施例2)
前述した図6(a)と同様、複数の濾過層3を備え、複数の濾過層3が外層3b、中間層3c、内層3d及び粗目濾過層3fを含んでおり、粗目濾過層3fが内層3dとコア2の間に位置するフィルタを、実施例2に係るフィルタとして用いた。
(参考例)
前述した図6(a)と同様、複数の濾過層3を備え、複数の濾過層3が外層3b、中間層3c及び内層3dを含んでおり、ただし、粗目濾過層3fを含まないフィルタを、参考例に係るフィルタとして用いた。
<最大油分吸着量の検証>
大きさを2インチとした実施例1,2及び参考例のそれぞれのフィルタを、サラダオイルに4時間浸し、その後、1000mL/分の流量の水を実施例1,2及び参考例のそれぞれのフィルタに流して余分なサラダオイルを除去する前処理を行った。
前処理を行った実施例1,2及び参考例のそれぞれのフィルタに対し、JIS K 0102-24に定められている方法で油分分析を行った。具体的には、実施例1,2及び参考例のそれぞれのフィルタをオーブンに入れて70℃として一日乾燥させ、その後、フィルタを(1インチのサイズとなるように)分解し、濾過層のみを取り出して長さ2cmとなるように切断した。切断した濾過層を200mLのn-ヘキサンに浸し、スターラーで60分間抽出を行った。そして、フィルタの濾過層で濾過を行って濾過済みの液体を収集し、この液体のn-ヘキサンを蒸発させ、70℃で2時間かけて乾燥を行い、その結果残った抽出物の重量を最大油分吸着量として測定した。
その結果得られた実施例1,2及び参考例の最大油分吸着量の測定結果を図7に示す。図7に示されるように、粗目濾過層3fを有しない参考例に係るフィルタでは、最大油分吸着量は18.29(g/2inch)であった。これに対し、粗目濾過層3fを2つの中間層3cの間に有する実施例1のフィルタ、及び粗目濾過層3fを内層3dとコア2の間に有する実施例2のフィルタでは最大油分吸着量が参考例よりも高く、実施例1では21.01(g/2inch)、実施例2では22.59(g/2inch)であった。このように、実施例1,2のフィルタでは、粗目濾過層3fを有しない参考例のフィルタと比べて、最大油分吸着量を少なくとも15%程度高められることが分かった。
<コーヒーの油分の捕捉能力>
コーヒーの濾過における油分の捕捉能力について検証した。
前述したように、実施例1,2のフィルタ、及び参考例のフィルタをそれぞれ用意し、2インチフィルタに対して、1Lのコーヒー原液を1L/分の濾過速度で濾過を行った。その後、濾過済みのコーヒーにおける油分の量を、JIS K 0102-24に定められている方法で測定した。
その結果得られた実施例1,2及び参考例の油分吸着量の結果を図8に示す。図8に示されるように、参考例に係るフィルタの油分吸着量は81.2(mg/2inch)であり、実施例1に係るフィルタの油分吸着量は94.4(mg/2inch)、実施例2に係るフィルタの油分吸着量は108.2(mg/2inch)であった。このように、粗目濾過層3fを有する実施例1,2では油分の捕捉能力を高められることが分かった。更に、内層3dとコア2の間に粗目濾過層3fを有する実施例2のフィルタでは、参考例のフィルタと比較して油分の捕捉量を33%程度高められることが分かった。
このように、不織布である粗目濾過層3fを備えることでコーヒーの油分の捕捉能力を向上させることができる。更に、内層3dとコア2の間に粗目濾過層3fを備える実施例2の場合、粗目濾過層3fの径方向の長さ(厚さ)をより長くすることができる。その結果、コーヒー原液をより長時間粗目濾過層3fに通すことができ、コーヒー原液の油分と粗目濾過層3fとの接触時間を長くして、粗目濾過層3fの繊維との接触頻度を高くすることができるので、より効果的にコーヒーの油分を捕捉できたものと考える。
<油分を含む液体の濾過の検証>
油分を含む液体を実施例1,2のフィルタ、及び参考例のフィルタに濾過させる実験を行った。まず、1Lの水に1.0gのtween80を加えて15分間撹拌し、その後10.0gのサラダオイルを2時間撹拌しながら加えた。こうして得られた液体200mLを更に撹拌しながら20Lの水に加えて模擬液体を作製した。
実施例1,2及び参考例のそれぞれの2インチフィルタに対し、模擬液体を1L/分の速度で通して濾過を行った。その後、得られた濾液に対し、JIS K 0102-24に定められている方法で油分分析を行って、フィルタを通る前後における油分捕捉率を算出した。
算出した油分捕捉率の実施例1,2及び参考例のそれぞれの結果を図9に示す。図9に示されるように、参考例のフィルタでは油分捕捉率が48%であったのに対し、2つの中間層3cの間に粗目濾過層3fを配置した実施例1では54%、内層3dとコア2の間に粗目濾過層3fを配置した実施例2では62%であった。実施例1のフィルタでは、参考例のフィルタよりも油分捕捉率を13%高められ、実施例2のフィルタでは、参考例のフィルタよりも油分捕捉率を29.2%程度高められた。よって、コーヒーの場合と同様、粗目濾過層3fを有する実施例1,2では油分の捕捉能力を高めることができ、更に、実施例2では実施例1よりも更に捕捉能力を高められることが分かった。
<濾過性能の検証>
続いて、実施例2に係るフィルタ、及び参考例のフィルタのそれぞれに対し、濾過性能の検証を行った。具体的には、以下の(1)~(3)の実験を行った。
(1)ライフ試験
パフォーマンス試験機を用いてISO TEST DUST懸濁液をフィルタに通過させ、圧力損失ΔPが0.2MPaに達するまでの処理量をライフ(寿命)として測定した。このライフ試験では、30インチフィルタを使用、ISO TEST DUST FINEが20mg/L入った液体をISO TEST DUST懸濁液として用い、濾過速度を75L/minとした。
(2)圧力損失の測定試験
実施例2及び参考例のそれぞれのフィルタに水を通し、水を通しているときにおけるフィルタの圧力損失ΔPを測定した。
(3)粒度分布測定試験
パフォーマンス試験機を用いてISO TEST DUST懸濁液をフィルタに通過させ、圧力損失ΔPが0.1MPaに達したときにおける濾液の粒子径ごとの粒子数をパーティクルカウンタによって測定した。この粒度分布測定試験では、30インチフィルタを使用、ISO TEST DUST FINEが20mg/L入った液体をISO TEST DUST懸濁液として用い、濾過速度を75L/minとした。
以上の試験のうち、ライフ試験の結果を図10に示す。図10に示されるように、参考例のフィルタではライフが1852(L/10inch)であり、実施例2のフィルタではライフが1960(L/10inch)であった。このように、粗目濾過層3fを備える実施例2のフィルタ、及び参考例のフィルタにおいて、ライフ(寿命)は変わらず、粗目濾過層3fの追加がライフに影響を及ぼさないことが分かった。
後述の表2は、圧力損失(差圧)の測定試験の結果を示している。表2の「10L/min」は現行のコーヒー原液の濾過における使用流量(10インチ換算)である。表2に示されるように、圧力損失については、実施例2における「使用流量の10L/minの差圧」が、参考例と同様、推奨使用差圧の0.01MPa以下であり、実施例2のフィルタも参考例と同等の流速で使用可能である、つまり粗目濾過層3fの追加が濾過性能に変化を与えていないことが分かった。
Figure 2022048688000003
図11、及び後述の表3は、前述した粒度分布測定試験、すなわち濾過性能の測定結果を示している。このように、粗目濾過層3fを備える実施例2のフィルタ、及び参考例のフィルタにおいて、有意差検定の結果、有意差なしの結果となり、濾過性能は変わらず、粗目濾過層3fの追加が濾過性能に影響を及ぼさないことが分かった。
Figure 2022048688000004
<濾過層の粗さと最大油分吸着量との関係の検証>
次に、前述した図6(a)に従い、外層3b(2つの例1の濾過層)、複数の中間層3c(外周側から中心側に向かって、2つの例2の濾過層、1つの例3の濾過層、1つの例4の濾過層、及び1つの例5の濾過層が配置されたもの)、内層3d(1つの例6の濾過層)及び粗目濾過層3fがこの順で積層される、実施例3,4及び比較例1の複数の濾過層3において、粗目濾過層3fの通気抵抗と最大油分吸着量との関係を検証する実験を行った。実施例3,4及び比較例1のそれぞれのフィルタの仕様は以下のとおりである。
(実施例3)
粗目濾過層3fとして内層3dとコア2の間に前述した例1(通気抵抗が0.33(mmHO))の濾過層を配置した。
(実施例4)
粗目濾過層3fとして内層3dとコア2の間に前述した例4(通気抵抗が1.5(mmHO))の濾過層を配置した。
(比較例1)
粗目濾過層3fとして内層3dとコア2の間に前述した例6(通気抵抗が4.49(mmHO))の濾過層(内層3dと同一の通気抵抗を有する濾過層)を配置した。
以上の実施例3,4及び比較例1に対し、最大油分吸着量を測定する実験を行った。最大油分吸着量の測定は、前述した<最大油分吸着量の検証>と同一の方法で行った。
以上の最大油分吸着量の測定結果を図12に示す。図12に示されるように、
実施例3の最大油分吸着量は17.91(g/2inch)、
実施例4の最大油分吸着量は18.77(g/2inch)、
比較例1の最大油分吸着量は19.21(g/2inch)、
であった。このように、内層3dとコア2の間に配置した粗目濾過層3fの通気抵抗が大きくなるほど、最大油分吸着量が増加することが分かった。
<濾過層の粗さと油分捕捉量との関係の検証>
実施例3,4及び比較例1に対し、油分捕捉率を測定する実験を行った。油分捕捉率の測定は、前述した<油分を含む液体の濾過の検証>と同一の方法で行った。
図13は、上記の測定の結果を示すグラフである。図13に示されるように、
実施例3の油分捕捉率は62(%)、
実施例4の油分捕捉率は72(%)、
比較例1の油分捕捉率は75(%)、
であった。
このように、内層3dとコア2の間に配置した粗目濾過層3fの通気抵抗が大きくなるほど、油分捕捉能力が高まることが分かった。
<濾過層の粗さと濾過性能との関係>
続いて、実施例3,4、比較例1及び前述した参考例(粗目濾過層3fを有しないフィルタ)のそれぞれに対し、濾過性能の検証(前述した(3)粒度分布測定試験)を行った。なお、濾過性能の検証における濾過流量を1.5L/min/inch、試験ISO TEST DUST懸濁液の濃度は200mg/L、1インチフィルタを使用とした。
図14のグラフ、後述の表4及び表5は、実施例3,4、比較例1及び参考例に対する濾過性能の測定結果を示している。図14、表4及び表5に示されるように、濾過性能において、通気抵抗が0.33(mmHO)である実施例3は、参考例とほとんど差異がない(差異1%)となることが分かった。また、通気抵抗が1.5(mmHO)である実施例4は参考例よりも若干濾過性能に変動が生じているものの許容範囲(差異5%)であることが分かり、通気抵抗が4.49(mmHO)の比較例1では実施例4よりも濾過性能に大きな変動が生じている(差異17%)ことが分かった。
Figure 2022048688000005

Figure 2022048688000006
以上、内層3dとコア2の間に通気抵抗が4.49(mmHO)である濾過層を配置した比較例1では、参考例と比べて濾過性能に変動が生じた。一方、通気抵抗が0.33(mmHO)である粗目濾過層3fを配置した実施例3、及び通気抵抗が1.5(mmHO)である粗目濾過層3fを配置した実施例4では、参考例と比べて濾過性能に大きな差異が生じないことが確認された。
1…フィルタ、2…コア、2b…内部流路、3…濾過層、3b…外層、3c…中間層、3d…内層、3f…粗目濾過層、3g…孔、3h…隣接濾過層、3j…繊維、3p…第1中間層、3q…第2中間層、4…下側保持部材、4b…第1環状部、4c…第2環状部、4d…載置面、4f…突出部、4g…突部、4h…鍔部、4j…筒部、4k…環状凹部、4p…下部流路、4q…パッキン、5…上側保持部材、5b…蓋部、5c…接触面、5d…突部、5f,5g…突出部、10…ハウジング、10b…底部、11…流入部、12…流出部、A…油分、D1…軸線方向、D2…径方向、L…中心軸線、P1,P2,P3…粒子。

Claims (8)

  1. フィルタの中心に設けられるコアと、
    前記コアの外周に積層されており通気抵抗が異なる複数の濾過層と、
    を含む飲料の濾過又は処理を行うフィルタであって、
    前記複数の濾過層は、
    同一の通気抵抗を有する濾過層から構成される外層と、
    前記外層よりも前記フィルタの中心側に位置しており、前記外層よりも通気抵抗が大きく、且つ同一の通気抵抗を有する濾過層から構成されるか、又は異なる通気抵抗を有する複数の濾過層から構成される中間層と、
    前記中間層よりも前記フィルタの中心側に位置しており、前記中間層よりも通気抵抗が大きく、且つ同一の通気抵抗を有する濾過層から構成される内層と、
    を含んでおり、
    前記複数の濾過層から構成される中間層では、前記フィルタの中心側に向かうにつれて通気抵抗が大きくなっており、
    前記複数の濾過層は、更に、前記複数の濾過層から構成される前記中間層における隣接する2つの前記濾過層の間、前記中間層と前記内層の間、又は前記内層と前記コアの間、のいずれかに位置する粗目濾過層を含み、
    前記粗目濾過層の通気抵抗は、前記粗目濾過層の外周側に隣接する前記濾過層の通気抵抗よりも小さい、
    フィルタ。
  2. 前記粗目濾過層は、前記内層と前記コアの間に位置する、
    請求項1に記載のフィルタ。
  3. 前記粗目濾過層の通気抵抗は、前記中間層の通気抵抗以下である、
    請求項1又は2に記載のフィルタ。
  4. 前記粗目濾過層の通気抵抗は、前記外層の通気抵抗以下である、
    請求項1~3のいずれか一項に記載のフィルタ。
  5. 前記粗目濾過層の材料、前記外層の材料、前記中間層の材料、及び前記内層の材料は、互いに同一である、
    請求項1~4のいずれか一項に記載のフィルタ。
  6. 前記粗目濾過層の材料は、ポリプロピレンを含む、
    請求項1~5のいずれか一項に記載のフィルタ。
  7. 前記粗目濾過層の通気抵抗は、0.33mmHO以下である、
    請求項1~6のいずれか一項に記載のフィルタ。
  8. 前記飲料はコーヒーである、
    請求項1~7のいずれか一項に記載のフィルタ。
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