JP2004195418A - 液/液分離フィルタ - Google Patents
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Abstract
【課題】1つのフィルタエレメントで実現したコンパクトな液/液分離フィルタを提供する。
【解決手段】フィルタエレメント3の濾材部8を、内周空間12に導入された流体(燃料等)が通過する順に、流体に含まれる固形物を捕捉除去する固形物除去部5と、流体に含まれる水を凝集させて水滴化する水凝集部6と、下部に開口部7aを有し、流体を通過させるとともに水滴を遮断する水分離部7とで構成し、水凝集部6で凝集させて水滴化した水を開口部7aから析出させて外周空間13の下部に沈降させることにより、固形物の捕捉性能と遊離水分の分離性能を向上させて一つのフィルタエレメント3で液/液分離フィルタ1を実現する。
【選択図】 図1
【解決手段】フィルタエレメント3の濾材部8を、内周空間12に導入された流体(燃料等)が通過する順に、流体に含まれる固形物を捕捉除去する固形物除去部5と、流体に含まれる水を凝集させて水滴化する水凝集部6と、下部に開口部7aを有し、流体を通過させるとともに水滴を遮断する水分離部7とで構成し、水凝集部6で凝集させて水滴化した水を開口部7aから析出させて外周空間13の下部に沈降させることにより、固形物の捕捉性能と遊離水分の分離性能を向上させて一つのフィルタエレメント3で液/液分離フィルタ1を実現する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料等の流体に含まれる固形物を捕捉除去するとともに遊離水分を分離除去する液/液分離フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
灯油、軽油、ガソリン等の燃料には固形物や遊離水分が混入されていることがあるため、出荷時等にこれらの燃料に含まれる固形物を捕捉除去するとともに遊離水分を分離除去して燃料を清浄にすることを目的に液/液分離フィルタが利用されている。液/液分離フィルタは、フィルタエレメントに燃料等の流体を通過させ、この流体に含まれる固形物を捕捉除去するとともに遊離水分を凝集させて水滴に成長させることによりこの水滴の自重で液/液分離フィルタの下方に沈降させて流体から分離除去している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、フィルタエレメントで凝集されて水滴化した水のうち、小さな水滴は下方に沈降せずに流体とともに液/液分離フィルタから流出してしまうため、液/液分離フィルタにおける遊離水分の分離性能を悪化させる。このため、図5に示すように、凝集されて水滴化した水を分離するための別のフィルタエレメントを用意してこのフィルタエレメントで水滴を分離してから流体を流出させるという構造のものが利用されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
図5は2つのフィルタエレメント23,24を用いて流体に含まれる固形物と遊離水分の除去を行う液/液分離フィルタ21を示している。この液/液分離フィルタ21は、流入孔25から導入された流体を第1のフィルタエレメント23を通過させてこの流体に含まれる固形物を捕捉除去するとともに遊離水分を凝集させて水滴化する(この第1のフィルタエレメント23を「コアレッサカートリッジ23」と呼ぶ)。ある程度の大きさに凝集されて水滴化した水は自重で液/液分離フィルタ21の内部空間22の下方に沈降して水Mとして溜まるが、小さな水滴は流体と共に液/液分離フィルタ21から流出しようとする。そのため、第2のフィルタエレメント24を配設し、この第2フィルタエレメント24で小さな水滴を分離して流体だけを流出孔26から流出させるように構成している(この第2のフィルタエレメント24を「セパレータカートリッジ24」と呼ぶ)。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−1814号公報
【特許文献2】
特開平8−38805号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コアレッサカートリッジ23とセパレータカートリッジ24の2つのフィルタエレメントを設けた場合、流体に含まれる遊離水分の分離性能は向上するが、2つのフィルタエレメントを収納するため液/液分離フィルタ21が大型化してしまうという課題があった。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みなされたものであり、コアレッサカートリッジとセパレータカートリッジの機能を一つのフィルタエレメントで実現してコンパクト化した液/液分離フィルタを提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明に係る液/液分離フィルタは、流入孔及び流出孔が形成されたケースと、このケース内に配設され濾材部を有するフィルタエレメントとを有し、フィルタエレメントがケース内を流入孔が連通する流入空間(例えば、実施形態における内周空間12)と流出孔が連通する流出空間(例えば、実施形態における外周空間13)とに分離するように配設され、流入孔から流入空間に導入された流体を濾材部を通過させて流出空間に流出させ、流出孔から外部に流出させるように構成される。そして、この濾材部が、流入空間に導入された流体を通過させて流体に含まれる固形物を捕捉除去する固形物除去部と、固形物除去部を通過した流体を通過させて、流体に含まれる水を凝集させて水滴化する水凝集部と、下部に開口する開口部を有し、水凝集部を通過した流体を通過させるとともに、水凝集部で凝集させて水滴化した水を遮断して水凝集部内を下方に沈降させてさらに成長させ、成長した水滴を開口部から流出空間に析出させる水分離部とから構成される。
【0009】
このような構成によれば、1つのフィルタエレメントだけで、固形物の捕捉除去をするとともに、流体に含まれる遊離水分を凝集させてより大きな水滴にすることができるため、この水滴は自重で液/液分離フィルタの下部に沈降して溜まり、流体に含まれる遊離水分は分離されて除去することができる。そのため、2つのフィルタエレメントで液/液分離フィルタを構成したときに比べて、液/液分離フィルタをコンパクト化することができる。
【0010】
なお、濾材部の流入空間側の面の下部に、流入空間に導入された流体を固形物除去部の上部から通過させるようにガイドするガイド部(例えば、実施形態における無孔部4b)を有するように構成することが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、フィルタエレメントを構成する濾材部の上部を流体が流れるようになるため、水凝集部で凝集させて水滴化した水は水分離部で遮断され、この水滴は水凝集部内を下方に沈降する。このため、水滴化した水はさらに成長して大きくなり、開口部から流出空間に析出した水滴は、この流出空間においてより沈降しやすくなるため、水滴が流体とともに流出孔から流出することがなくなり、液/液分離フィルタの遊離水分の分離性能を向上させることができる。
【0012】
また、濾材部を構成する水凝集部が、流体が通過する順に、流体に含まれる水を凝集させて水滴化する第1の濾材と、流体に含まれる水をさらに凝集させて水滴化する第2の濾材と、第1及び第2の濾材で水滴化された水をさらに成長させる第3の濾材とから構成することが好ましい。
【0013】
このような構成によると、水凝集部で凝集させて水滴化した水が大きくなるため、開口部から流出空間に析出した水滴はこの流出空間においてより沈降しやすくなるため、液/液分離フィルタの水分離性能が向上する。
【0014】
このとき、第3の濾材の上部を開口部から流出空間に突出させ、水凝集部において第2の濾材と水分離部との間に空間を有するように構成し、第1及び第2の濾材で凝集して水滴化した水をこの空間において下方に沈降させ、さらに第3の濾材を通過させて水滴化した水をさらに成長させ、成長した水滴を開口部から流出空間に析出させるように構成することが好ましい。
【0015】
このような構成によると、第1及び第2の濾材で凝集して水滴化した水が第2の濾材と水分離部との間に形成された空間を容易に下方に沈降するため、水分離部と水凝集部の境界に水滴が滞留してこの水分離部を通過する水滴がなくなり、液/液分離フィルタの水分離性能を向上させることができる。
【0016】
また、固形物除去部は、100μm以下の濾過精度を有する天然繊維、化学繊維、無機繊維若しくは金属繊維のいずれかの素材を蛇腹状に折り畳んで環状に形成して構成され、水凝集部の第1の濾材は、マット形状に形成された100μm以下の濾過精度を有する天然繊維、化学繊維、無機繊維若しくは金属繊維のいずれかの素材で構成され、第2の濾材は、マット形状に形成された100μm以下の濾過精度を有する天然繊維、化学繊維、無機繊維若しくは金属繊維のいずれかの素材で構成され、第3の濾材は、マット形状に形成された100μm以下の濾過精度を有する天然繊維、化学繊維、無機繊維若しくは金属繊維のいずれかの素材で構成され、水分離部は、撥水処理を施したメッシュ数508以下の樹脂製素材、または、撥水処理を施した200/1400以下の金属メッシュ若しくは焼結品で構成されることが好ましい。
【0017】
このような構成よれば、固形物除去部での固形物の捕捉性能が上がるとともに、水凝集部の第1〜3の濾材での遊離水分の凝集性能が向上し、また、水分離部で流体を通過させるとともに水の遮断性能を向上させることができるため、この濾材部で凝集される水滴の径が大きくなって沈降しやすくなり、液/液分離フィルタにおける水の分離性能を向上させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。まず、本発明に係る液/液分離フィルタ1を図2及び図3を用いて説明する。なお、以降の説明では、流体として灯油、軽油、ガソリン等の燃料を本発明に係る液/液分離フィルタ1で濾過する場合について説明する。液/液分離フィルタ1は、有底円筒状のケース2と、このケース2内に配設されるフィルタエレメント3とから構成されている。フィルタエレメント3は、その円周面に多数の開孔4aが形成された円筒状のインナーチューブ4と、このインナーチューブ4の内周面に密接して配設された固形物除去部5,インナーチューブ4の外周面に密接して配設された水凝集部6、水凝集部6の外周面に密接して配設された水分離部7とから構成される円筒状の濾材部8とを有している。さらに、水凝集部6はインナーチューブ4の外周面に密接して配設された第1の濾材6a、第1の濾材6aの外周面に密接して配設された第2の濾材6b及び第2の濾材6bの外周面に密接して配設された第3の濾材6cとから構成されている。そして、フィルタエレメント3は、インナーチューブ4と濾材部8とが円筒軸方向両端に配設されたエンドプレート11,11で挟持されて構成されている。なお、エンドプレート11には、開口11aが形成されており、この開口11aが、フィルタエレメント3を構成する濾材部8の内周面及びエンドプレート11,11で囲まれた内周空間12に連通している。
【0019】
なお、水分離部7は固形物除去部5及び水凝集部6より円筒軸方向長さが短く形成されており、濾材部8の外周面の円筒軸方向の一端から所定の円筒軸方向幅を有して水凝集部6(第3の濾材6c)の外周面が露出するように開口部7aが形成されている。また、濾材部8の開口部7aと対向するインナーチューブ4の円周面には、上述の開孔4aを有しない無孔部4bが所定の円筒軸方向幅を有して形成されている。なお、開口部7aと無孔部4bの円筒軸方向幅は略同一になるように形成されている。
【0020】
この液/液分離フィルタ1は、フィルタエレメント3の円筒軸方向が略鉛直方向に向くように配設されており、このとき、上述の開口部7a及び無孔部4bは共にフィルタエレメント3の下端にあるようにフィルタエレメント3が配設される。また、ケース2内に配設されたフィルタエレメント3は、このケース2内を、フィルタエレメント3の内周面で囲まれた内周空間12と、フィルタエレメント3の外周面とケース2の内面で囲まれた外周空間13とに分離するように配設される。さらに、ケース2の下部にはケース2の外部からケース2内に延びる流入孔14が形成され、ケース2の上部にはケース2の外部から外周空間13に連通する流出孔15が形成されている。このとき、フィルタエレメント3は、流入孔14がフィルタエレメント3の下部に配設されるエンドプレート11の開孔11aから挿入されて内周空間12に連通するように配設される。なお、流入孔14と下部のエンドプレート11の開孔11aの間には図示しないシール部材等が配設され、外周空間13からこの下部のエンドプレート11の開孔11aを通って燃料が内周空間12に流入することはない。また、フィルタエレメント3の上部のエンドプレート11の開孔11aは、図示しない部材により塞がれるように構成されており、上部のエンドプレート11の開孔11aを通って燃料が内周空間12に流入することもない。
【0021】
以上より、液/液分離フィルタ1は流入孔14から燃料を内周空間12に導入し、この内周空間12に導入された燃料をフィルタエレメント3を構成する濾材部8の内周面から内部を外周面に向かって通過させて外周空間13に流出させ、さらに、外周空間13から流出孔15を通って外部に流出させるように構成されている。
【0022】
次に、以上のように構成された液/液分離フィルタ1により燃料を濾過する場合について図1を用いて説明する。燃料は流入孔14より液/液分離フィルタ1の内周空間12に導入される。内周空間12に導入された燃料は固形物除去部5を通過する。固形物除去部5では燃料に含まれる固形物を捕捉して除去する。固形物除去部5を通過した燃料は、インナーチューブ4の開孔4aを通って水凝集部6の第1の濾材6aを通過する。第1の濾材6aでは燃料に含まれる遊離水分を凝集させて水滴化する。第1の濾材6aを通過した燃料及びこの第1の濾材6aで凝集されて水滴化した水は第2の濾材6bを通過する。第2の濾材6bでも燃料に含まれる遊離水分を凝集させて水滴化する。第2の濾材6bを通過した燃料及び水滴化した水と第2の濾材6bで凝集されて水滴化した水は第3の濾材6cを通過する。第3の濾材6cでは、第1及び第2の濾材6a,6bで凝集されて水滴化した水をより大きな水に成長させる。第3の濾材6cを通過した燃料は水分離部7を通過して外周空間13に流出する。
【0023】
このとき、水凝集部6で凝集されて水滴化した水は水分離部7で遮断されてこの水分離部7を通過することができず、自重で水凝集部6の第3の濾材6cの内部を下方に沈降して通過する。そのため、この水滴化された水は第3の濾材6cで大きな水に成長させられる。そして、上述のように、フィルタエレメント3の濾材部8の外周面の下部には水分離部7に覆われておらず水凝集部6の第3の濾材6cが外周面に露出した開口部7aを有しているため、第3の濾材6cを沈降した水は、この開口部7aから水滴として外周空間13に析出し、自重で外周空間13の下部に沈降して外周空間13の底面に水Mとして溜まる。
【0024】
流入孔14より内周空間12に導入された燃料は、濾材部8を水平方向に放射状に通過するように流れて外周空間13に流出する。よって、濾材部8の開口部7aに対向する部分のインナーチューブ4に無孔部4bを設けることにより、この無孔部4bにガイドされて燃料の多くは濾材部8の上部を流れて水分離部7を通過するため、水凝集部6で凝集されて水滴化した水はこの水分離部7で遮断されて水凝集部6の第3の濾材6cを下方に向かって沈降することになり、水をより大きく成長させることができ遊離水分の分離性能を向上させることができる。
【0025】
濾材部8を通過して外周空間13に流出した燃料は固形物が捕捉除去されるとともに遊離水分が分離除去されて清浄な燃料となっており、流出孔15から外部に流出する。流出孔15は上述の通り、ケース2の上部に形成されているため、濾材部8で水滴化してケース2の下部に溜まった水Mがこの流出孔15から流出することはない。
【0026】
以上のように構成された液/液分離フィルタ1において、フィルタエレメント3を構成する濾材部8は、固形物の捕捉性能及び遊離水分の分離性能を高めるために、次のような素材及び形状とすることが好ましい。固形物除去部5は、100μm以下の濾過精度を有する天然繊維、化学繊維、無機繊維若しくは金属繊維のいずれかの素材を蛇腹状に折り畳んで環状にし、断面菊花状に形成して構成する。水凝集部6の第1の濾材6aは、マット形状に形成された100μm以下の濾過精度を有する天然繊維、化学繊維、無機繊維若しくは金属繊維のいずれかの素材で構成する。第2の濾材6bは、マット形状に形成された100μm以下の濾過精度を有する天然繊維、化学繊維、無機繊維若しくは金属繊維のいずれかの素材で構成する。第3の濾材6cはマット形状に形成され、100μm以下の濾過精度で且つ第1及び第2の濾材6b,6cの濾過精度より粗い濾過精度を有する天然繊維、化学繊維、無機繊維若しくは金属繊維のいずれかの素材で構成する。そして、水分離部7は、撥水処理を施したメッシュ数508以下の樹脂製素材、または、撥水処理を施した200/1400以下の金属メッシュ若しくは焼結品で構成する。
【0027】
以上のように液/液分離フィルタ1を構成することにより、1つのフィルタエレメント3でも、図5に示すような2つのフィルタエレメント23,24を有する従来の液/液分離フィルタ21と同等あるいはそれ以上の固形物の除去性能及び遊離水分の分離性能を実現することができる。そして、フィルタエレメントを1つとすることにより、液/液分離フィルタ1をコンパクト化することができる。
【0028】
なお、上述の実施例では、濾材部8を構成する固形物除去部5、インナーチューブ4、水凝集部6及び水分離部7を密接するように配設して構成している。このように構成した場合、フィルタエレメント3を通過する燃料の流量が多い場合等は、水凝集部6で凝集されて水滴化した水が水凝集部6の外周面側(水分離部7と第3の濾材6cとの境界面)に滞留して下方に沈降しにくくなる場合がある。水分離部7と第3の濾材6cとの境界面に水滴が滞留すると、一部の水滴は水分離部7から外周空間13に析出してしまう。この水分離部7から析出した水滴は比較的小さく燃料とともに流出孔15から外部に流出することがある。
【0029】
そのため、図4に示すように、水凝集部6の第3の濾材6cを開口部7aから外部に突出させて水分離部7の外周面に密接して巻き付ける突出部6dを設けるように構成する。このとき、水凝集部6において、第2の濾材6bと水分離部7の間には空間6eが形成される。このように構成することにより、第2の濾材6bを通過した燃料及び水滴のうち、上述の通り燃料は水分離部7を通過するが、水滴は水分離部7で遮断されて、この空間6eを下方に沈降する。空間6eが形成されているため、第2の濾材6bを通過した水滴は容易に下方に沈降することができる。空間6eを下方に沈降した水滴は、第3の濾材6cを通過するためさらに大きな水滴に成長させられて、開口部7aを通って外周空間13に析出し、外周空間13の下部に溜まる。よって、水滴が水分離部7から外周空間13に析出することはなく、液/液分離フィルタ1における遊離水分の分離性能を向上させることができる。
【0030】
なお、以上の実施例において、流入孔14をケース2の下部に形成した場合について説明を行ったが、この流入孔14はケース2の上部に形成されても良く、その場合、流入孔14はフィルタエレメント3の内周空間12に連通する上部のエンドプレート11に形成された開孔11aから挿入される。また、上述の説明では、フィルタエレメント3を構成するインナーチューブ4の下部に無孔部4bを設けて濾材部9の内周面の上部から燃料が通過するようにガイドしていたが、インナーチューブ4の円周面上に均一に開孔4aを形成し、インナーチューブ4の内周面の下端にこの開孔4aを塞ぐように円筒状のガイド板を設けて無孔部4bを構成することも可能である。
【0031】
また、以上の実施例では円筒状の液/液分離フィルタ1及びフィルタエレメント3を例に説明を行ったが、本発明がこの形状に限定されるものではなく、他の形状でも同様の効果を得ることが出来る。また、以上の実施例では本発明に係る液/液分離フィルタ1を灯油、軽油、ガソリン等の燃料の濾過に用いる場合について説明したが、潤滑油等の濾過にも用いることができる。
【0032】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る液/液分離フィルタによれば、流体(燃料等)を濾過して固形物及び遊離水分を除去するフィルタエレメントの濾材部を、流体が通過する順に、固形物を捕捉除去する固形物除去部と、流体に含まれる水分を凝集して水滴にする水凝集部と、流体を通過させるとともに水滴を遮断する水分離部とで構成し、この水分離部の下部に開口部を形成して、この開口部から凝集して水滴化した水を析出させて液/液分離フィルタの下部に沈降させるように構成されているので、このフィルタエレメント1つで、固形物の捕捉除去及び遊離水分の分離除去を実現することができ、液/液分離フィルタのコンパクト化が図れる。
【0033】
また、濾材部の流入空間側の下面に、流入空間に導入された流体がこの濾材部の上部から通過するようにガイドするガイド部を有するように構成することにより、濾材部の上部を流体が流れるようになる。このため、水凝集部で凝集して水滴化した水は水分離部で遮断されて水凝集部の第3の濾材中を沈降するため成長して大きくなり、開口部より水滴として析出した水は、流出空間内を沈降しやすくなるため水の分離性能を向上させることができる
【0034】
また、濾材部を構成する水凝集部が、流体が通過する順に、流体に含まれる水を凝集させて水滴化する第1の濾材と、流体に含まれる水をさらに凝集させて水滴化する第2の濾材と、第1及び第2の濾材で水滴化された水をさらに成長させる第3の濾材とで構成することにより、この水凝集部で凝集されて水滴化した水が大きくなる。そのため、開口部から流出空間に析出した水滴はこの流出空間において沈降しやすくなるため、液/液分離フィルタの水分離性能が向上する。
【0035】
このとき、第3の濾材の上部を開口部から流出空間に突出させ、水凝集部において第2の濾材と水分離部との間に空間を有するように構成すると、第1及び第2の濾材で凝集して水滴化した水をこの空間において下方に容易に沈降させることができる。この空間を沈降した水滴は、第3の濾材を通過して大きく成長し、開口部から流出空間に析出する。このため、水分離部から析出する水滴が無くなり、液/液分離フィルタの水分離性能を向上することができる。
【0036】
また、濾材部を構成する固形物除去部、水凝集部及び水分離部をそれぞれの機能を実現するために最適な素材を選定することにより、固形物除去部での固形物の捕捉分離の性能が上がるとともに、水凝集部での遊離水分の水滴への凝集性能が向上し、また、水分離部で流体を通過させるとともに水滴の遮断性能を向上させることができるため、この濾材部で凝集されて水滴化する水がより大きくなって濾材部から析出するため、この水滴は流出空間内を沈降しやすくなり、液/液分離フィルタにおける遊離水分の分離性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液/液分離フィルタに用いられるフィルタエレメントの左側の断面図であり、燃料を通過させて固形物及び遊離水分を除去する場合を説明する図である。
【図2】本発明に係る液/液分離フィルタを表す概要図である。
【図3】本発明に係る液/液分離フィルタのフィルタエレメントの左側の構成を示す図であり、(A)は円筒軸方向の断面図であり、(B)は図3(A)のIII−III断面図である。
【図4】本発明に係る液/液分離フィルタのフィルタエレメントの別の実施例を示す構成図であり、(A)は円筒軸方向の断面図であり、(B)は図4(A)のIV−IV断面図である。
【図5】従来の液/液分離フィルタを表す概要図である。
【符号の説明】
1 液/液分離フィルタ
2 ケース
3 フィルタエレメント
4b 無孔部(ガイド部)
5 固形物除去部
6 水凝集部
6a 第1の濾材
6b 第2の濾材
6c 第3の濾材
6d 突出部
6e 空間
7 水分離部
7a 開口部
8 濾材部
12 内周空間(流入空間)
13 外周空間(流出空間)
14 流入孔
15 流出孔
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料等の流体に含まれる固形物を捕捉除去するとともに遊離水分を分離除去する液/液分離フィルタに関する。
【0002】
【従来の技術】
灯油、軽油、ガソリン等の燃料には固形物や遊離水分が混入されていることがあるため、出荷時等にこれらの燃料に含まれる固形物を捕捉除去するとともに遊離水分を分離除去して燃料を清浄にすることを目的に液/液分離フィルタが利用されている。液/液分離フィルタは、フィルタエレメントに燃料等の流体を通過させ、この流体に含まれる固形物を捕捉除去するとともに遊離水分を凝集させて水滴に成長させることによりこの水滴の自重で液/液分離フィルタの下方に沈降させて流体から分離除去している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
しかし、フィルタエレメントで凝集されて水滴化した水のうち、小さな水滴は下方に沈降せずに流体とともに液/液分離フィルタから流出してしまうため、液/液分離フィルタにおける遊離水分の分離性能を悪化させる。このため、図5に示すように、凝集されて水滴化した水を分離するための別のフィルタエレメントを用意してこのフィルタエレメントで水滴を分離してから流体を流出させるという構造のものが利用されている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
図5は2つのフィルタエレメント23,24を用いて流体に含まれる固形物と遊離水分の除去を行う液/液分離フィルタ21を示している。この液/液分離フィルタ21は、流入孔25から導入された流体を第1のフィルタエレメント23を通過させてこの流体に含まれる固形物を捕捉除去するとともに遊離水分を凝集させて水滴化する(この第1のフィルタエレメント23を「コアレッサカートリッジ23」と呼ぶ)。ある程度の大きさに凝集されて水滴化した水は自重で液/液分離フィルタ21の内部空間22の下方に沈降して水Mとして溜まるが、小さな水滴は流体と共に液/液分離フィルタ21から流出しようとする。そのため、第2のフィルタエレメント24を配設し、この第2フィルタエレメント24で小さな水滴を分離して流体だけを流出孔26から流出させるように構成している(この第2のフィルタエレメント24を「セパレータカートリッジ24」と呼ぶ)。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−1814号公報
【特許文献2】
特開平8−38805号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、コアレッサカートリッジ23とセパレータカートリッジ24の2つのフィルタエレメントを設けた場合、流体に含まれる遊離水分の分離性能は向上するが、2つのフィルタエレメントを収納するため液/液分離フィルタ21が大型化してしまうという課題があった。
【0007】
本発明はこのような課題に鑑みなされたものであり、コアレッサカートリッジとセパレータカートリッジの機能を一つのフィルタエレメントで実現してコンパクト化した液/液分離フィルタを提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明に係る液/液分離フィルタは、流入孔及び流出孔が形成されたケースと、このケース内に配設され濾材部を有するフィルタエレメントとを有し、フィルタエレメントがケース内を流入孔が連通する流入空間(例えば、実施形態における内周空間12)と流出孔が連通する流出空間(例えば、実施形態における外周空間13)とに分離するように配設され、流入孔から流入空間に導入された流体を濾材部を通過させて流出空間に流出させ、流出孔から外部に流出させるように構成される。そして、この濾材部が、流入空間に導入された流体を通過させて流体に含まれる固形物を捕捉除去する固形物除去部と、固形物除去部を通過した流体を通過させて、流体に含まれる水を凝集させて水滴化する水凝集部と、下部に開口する開口部を有し、水凝集部を通過した流体を通過させるとともに、水凝集部で凝集させて水滴化した水を遮断して水凝集部内を下方に沈降させてさらに成長させ、成長した水滴を開口部から流出空間に析出させる水分離部とから構成される。
【0009】
このような構成によれば、1つのフィルタエレメントだけで、固形物の捕捉除去をするとともに、流体に含まれる遊離水分を凝集させてより大きな水滴にすることができるため、この水滴は自重で液/液分離フィルタの下部に沈降して溜まり、流体に含まれる遊離水分は分離されて除去することができる。そのため、2つのフィルタエレメントで液/液分離フィルタを構成したときに比べて、液/液分離フィルタをコンパクト化することができる。
【0010】
なお、濾材部の流入空間側の面の下部に、流入空間に導入された流体を固形物除去部の上部から通過させるようにガイドするガイド部(例えば、実施形態における無孔部4b)を有するように構成することが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、フィルタエレメントを構成する濾材部の上部を流体が流れるようになるため、水凝集部で凝集させて水滴化した水は水分離部で遮断され、この水滴は水凝集部内を下方に沈降する。このため、水滴化した水はさらに成長して大きくなり、開口部から流出空間に析出した水滴は、この流出空間においてより沈降しやすくなるため、水滴が流体とともに流出孔から流出することがなくなり、液/液分離フィルタの遊離水分の分離性能を向上させることができる。
【0012】
また、濾材部を構成する水凝集部が、流体が通過する順に、流体に含まれる水を凝集させて水滴化する第1の濾材と、流体に含まれる水をさらに凝集させて水滴化する第2の濾材と、第1及び第2の濾材で水滴化された水をさらに成長させる第3の濾材とから構成することが好ましい。
【0013】
このような構成によると、水凝集部で凝集させて水滴化した水が大きくなるため、開口部から流出空間に析出した水滴はこの流出空間においてより沈降しやすくなるため、液/液分離フィルタの水分離性能が向上する。
【0014】
このとき、第3の濾材の上部を開口部から流出空間に突出させ、水凝集部において第2の濾材と水分離部との間に空間を有するように構成し、第1及び第2の濾材で凝集して水滴化した水をこの空間において下方に沈降させ、さらに第3の濾材を通過させて水滴化した水をさらに成長させ、成長した水滴を開口部から流出空間に析出させるように構成することが好ましい。
【0015】
このような構成によると、第1及び第2の濾材で凝集して水滴化した水が第2の濾材と水分離部との間に形成された空間を容易に下方に沈降するため、水分離部と水凝集部の境界に水滴が滞留してこの水分離部を通過する水滴がなくなり、液/液分離フィルタの水分離性能を向上させることができる。
【0016】
また、固形物除去部は、100μm以下の濾過精度を有する天然繊維、化学繊維、無機繊維若しくは金属繊維のいずれかの素材を蛇腹状に折り畳んで環状に形成して構成され、水凝集部の第1の濾材は、マット形状に形成された100μm以下の濾過精度を有する天然繊維、化学繊維、無機繊維若しくは金属繊維のいずれかの素材で構成され、第2の濾材は、マット形状に形成された100μm以下の濾過精度を有する天然繊維、化学繊維、無機繊維若しくは金属繊維のいずれかの素材で構成され、第3の濾材は、マット形状に形成された100μm以下の濾過精度を有する天然繊維、化学繊維、無機繊維若しくは金属繊維のいずれかの素材で構成され、水分離部は、撥水処理を施したメッシュ数508以下の樹脂製素材、または、撥水処理を施した200/1400以下の金属メッシュ若しくは焼結品で構成されることが好ましい。
【0017】
このような構成よれば、固形物除去部での固形物の捕捉性能が上がるとともに、水凝集部の第1〜3の濾材での遊離水分の凝集性能が向上し、また、水分離部で流体を通過させるとともに水の遮断性能を向上させることができるため、この濾材部で凝集される水滴の径が大きくなって沈降しやすくなり、液/液分離フィルタにおける水の分離性能を向上させることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について図面を参照して説明する。まず、本発明に係る液/液分離フィルタ1を図2及び図3を用いて説明する。なお、以降の説明では、流体として灯油、軽油、ガソリン等の燃料を本発明に係る液/液分離フィルタ1で濾過する場合について説明する。液/液分離フィルタ1は、有底円筒状のケース2と、このケース2内に配設されるフィルタエレメント3とから構成されている。フィルタエレメント3は、その円周面に多数の開孔4aが形成された円筒状のインナーチューブ4と、このインナーチューブ4の内周面に密接して配設された固形物除去部5,インナーチューブ4の外周面に密接して配設された水凝集部6、水凝集部6の外周面に密接して配設された水分離部7とから構成される円筒状の濾材部8とを有している。さらに、水凝集部6はインナーチューブ4の外周面に密接して配設された第1の濾材6a、第1の濾材6aの外周面に密接して配設された第2の濾材6b及び第2の濾材6bの外周面に密接して配設された第3の濾材6cとから構成されている。そして、フィルタエレメント3は、インナーチューブ4と濾材部8とが円筒軸方向両端に配設されたエンドプレート11,11で挟持されて構成されている。なお、エンドプレート11には、開口11aが形成されており、この開口11aが、フィルタエレメント3を構成する濾材部8の内周面及びエンドプレート11,11で囲まれた内周空間12に連通している。
【0019】
なお、水分離部7は固形物除去部5及び水凝集部6より円筒軸方向長さが短く形成されており、濾材部8の外周面の円筒軸方向の一端から所定の円筒軸方向幅を有して水凝集部6(第3の濾材6c)の外周面が露出するように開口部7aが形成されている。また、濾材部8の開口部7aと対向するインナーチューブ4の円周面には、上述の開孔4aを有しない無孔部4bが所定の円筒軸方向幅を有して形成されている。なお、開口部7aと無孔部4bの円筒軸方向幅は略同一になるように形成されている。
【0020】
この液/液分離フィルタ1は、フィルタエレメント3の円筒軸方向が略鉛直方向に向くように配設されており、このとき、上述の開口部7a及び無孔部4bは共にフィルタエレメント3の下端にあるようにフィルタエレメント3が配設される。また、ケース2内に配設されたフィルタエレメント3は、このケース2内を、フィルタエレメント3の内周面で囲まれた内周空間12と、フィルタエレメント3の外周面とケース2の内面で囲まれた外周空間13とに分離するように配設される。さらに、ケース2の下部にはケース2の外部からケース2内に延びる流入孔14が形成され、ケース2の上部にはケース2の外部から外周空間13に連通する流出孔15が形成されている。このとき、フィルタエレメント3は、流入孔14がフィルタエレメント3の下部に配設されるエンドプレート11の開孔11aから挿入されて内周空間12に連通するように配設される。なお、流入孔14と下部のエンドプレート11の開孔11aの間には図示しないシール部材等が配設され、外周空間13からこの下部のエンドプレート11の開孔11aを通って燃料が内周空間12に流入することはない。また、フィルタエレメント3の上部のエンドプレート11の開孔11aは、図示しない部材により塞がれるように構成されており、上部のエンドプレート11の開孔11aを通って燃料が内周空間12に流入することもない。
【0021】
以上より、液/液分離フィルタ1は流入孔14から燃料を内周空間12に導入し、この内周空間12に導入された燃料をフィルタエレメント3を構成する濾材部8の内周面から内部を外周面に向かって通過させて外周空間13に流出させ、さらに、外周空間13から流出孔15を通って外部に流出させるように構成されている。
【0022】
次に、以上のように構成された液/液分離フィルタ1により燃料を濾過する場合について図1を用いて説明する。燃料は流入孔14より液/液分離フィルタ1の内周空間12に導入される。内周空間12に導入された燃料は固形物除去部5を通過する。固形物除去部5では燃料に含まれる固形物を捕捉して除去する。固形物除去部5を通過した燃料は、インナーチューブ4の開孔4aを通って水凝集部6の第1の濾材6aを通過する。第1の濾材6aでは燃料に含まれる遊離水分を凝集させて水滴化する。第1の濾材6aを通過した燃料及びこの第1の濾材6aで凝集されて水滴化した水は第2の濾材6bを通過する。第2の濾材6bでも燃料に含まれる遊離水分を凝集させて水滴化する。第2の濾材6bを通過した燃料及び水滴化した水と第2の濾材6bで凝集されて水滴化した水は第3の濾材6cを通過する。第3の濾材6cでは、第1及び第2の濾材6a,6bで凝集されて水滴化した水をより大きな水に成長させる。第3の濾材6cを通過した燃料は水分離部7を通過して外周空間13に流出する。
【0023】
このとき、水凝集部6で凝集されて水滴化した水は水分離部7で遮断されてこの水分離部7を通過することができず、自重で水凝集部6の第3の濾材6cの内部を下方に沈降して通過する。そのため、この水滴化された水は第3の濾材6cで大きな水に成長させられる。そして、上述のように、フィルタエレメント3の濾材部8の外周面の下部には水分離部7に覆われておらず水凝集部6の第3の濾材6cが外周面に露出した開口部7aを有しているため、第3の濾材6cを沈降した水は、この開口部7aから水滴として外周空間13に析出し、自重で外周空間13の下部に沈降して外周空間13の底面に水Mとして溜まる。
【0024】
流入孔14より内周空間12に導入された燃料は、濾材部8を水平方向に放射状に通過するように流れて外周空間13に流出する。よって、濾材部8の開口部7aに対向する部分のインナーチューブ4に無孔部4bを設けることにより、この無孔部4bにガイドされて燃料の多くは濾材部8の上部を流れて水分離部7を通過するため、水凝集部6で凝集されて水滴化した水はこの水分離部7で遮断されて水凝集部6の第3の濾材6cを下方に向かって沈降することになり、水をより大きく成長させることができ遊離水分の分離性能を向上させることができる。
【0025】
濾材部8を通過して外周空間13に流出した燃料は固形物が捕捉除去されるとともに遊離水分が分離除去されて清浄な燃料となっており、流出孔15から外部に流出する。流出孔15は上述の通り、ケース2の上部に形成されているため、濾材部8で水滴化してケース2の下部に溜まった水Mがこの流出孔15から流出することはない。
【0026】
以上のように構成された液/液分離フィルタ1において、フィルタエレメント3を構成する濾材部8は、固形物の捕捉性能及び遊離水分の分離性能を高めるために、次のような素材及び形状とすることが好ましい。固形物除去部5は、100μm以下の濾過精度を有する天然繊維、化学繊維、無機繊維若しくは金属繊維のいずれかの素材を蛇腹状に折り畳んで環状にし、断面菊花状に形成して構成する。水凝集部6の第1の濾材6aは、マット形状に形成された100μm以下の濾過精度を有する天然繊維、化学繊維、無機繊維若しくは金属繊維のいずれかの素材で構成する。第2の濾材6bは、マット形状に形成された100μm以下の濾過精度を有する天然繊維、化学繊維、無機繊維若しくは金属繊維のいずれかの素材で構成する。第3の濾材6cはマット形状に形成され、100μm以下の濾過精度で且つ第1及び第2の濾材6b,6cの濾過精度より粗い濾過精度を有する天然繊維、化学繊維、無機繊維若しくは金属繊維のいずれかの素材で構成する。そして、水分離部7は、撥水処理を施したメッシュ数508以下の樹脂製素材、または、撥水処理を施した200/1400以下の金属メッシュ若しくは焼結品で構成する。
【0027】
以上のように液/液分離フィルタ1を構成することにより、1つのフィルタエレメント3でも、図5に示すような2つのフィルタエレメント23,24を有する従来の液/液分離フィルタ21と同等あるいはそれ以上の固形物の除去性能及び遊離水分の分離性能を実現することができる。そして、フィルタエレメントを1つとすることにより、液/液分離フィルタ1をコンパクト化することができる。
【0028】
なお、上述の実施例では、濾材部8を構成する固形物除去部5、インナーチューブ4、水凝集部6及び水分離部7を密接するように配設して構成している。このように構成した場合、フィルタエレメント3を通過する燃料の流量が多い場合等は、水凝集部6で凝集されて水滴化した水が水凝集部6の外周面側(水分離部7と第3の濾材6cとの境界面)に滞留して下方に沈降しにくくなる場合がある。水分離部7と第3の濾材6cとの境界面に水滴が滞留すると、一部の水滴は水分離部7から外周空間13に析出してしまう。この水分離部7から析出した水滴は比較的小さく燃料とともに流出孔15から外部に流出することがある。
【0029】
そのため、図4に示すように、水凝集部6の第3の濾材6cを開口部7aから外部に突出させて水分離部7の外周面に密接して巻き付ける突出部6dを設けるように構成する。このとき、水凝集部6において、第2の濾材6bと水分離部7の間には空間6eが形成される。このように構成することにより、第2の濾材6bを通過した燃料及び水滴のうち、上述の通り燃料は水分離部7を通過するが、水滴は水分離部7で遮断されて、この空間6eを下方に沈降する。空間6eが形成されているため、第2の濾材6bを通過した水滴は容易に下方に沈降することができる。空間6eを下方に沈降した水滴は、第3の濾材6cを通過するためさらに大きな水滴に成長させられて、開口部7aを通って外周空間13に析出し、外周空間13の下部に溜まる。よって、水滴が水分離部7から外周空間13に析出することはなく、液/液分離フィルタ1における遊離水分の分離性能を向上させることができる。
【0030】
なお、以上の実施例において、流入孔14をケース2の下部に形成した場合について説明を行ったが、この流入孔14はケース2の上部に形成されても良く、その場合、流入孔14はフィルタエレメント3の内周空間12に連通する上部のエンドプレート11に形成された開孔11aから挿入される。また、上述の説明では、フィルタエレメント3を構成するインナーチューブ4の下部に無孔部4bを設けて濾材部9の内周面の上部から燃料が通過するようにガイドしていたが、インナーチューブ4の円周面上に均一に開孔4aを形成し、インナーチューブ4の内周面の下端にこの開孔4aを塞ぐように円筒状のガイド板を設けて無孔部4bを構成することも可能である。
【0031】
また、以上の実施例では円筒状の液/液分離フィルタ1及びフィルタエレメント3を例に説明を行ったが、本発明がこの形状に限定されるものではなく、他の形状でも同様の効果を得ることが出来る。また、以上の実施例では本発明に係る液/液分離フィルタ1を灯油、軽油、ガソリン等の燃料の濾過に用いる場合について説明したが、潤滑油等の濾過にも用いることができる。
【0032】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明に係る液/液分離フィルタによれば、流体(燃料等)を濾過して固形物及び遊離水分を除去するフィルタエレメントの濾材部を、流体が通過する順に、固形物を捕捉除去する固形物除去部と、流体に含まれる水分を凝集して水滴にする水凝集部と、流体を通過させるとともに水滴を遮断する水分離部とで構成し、この水分離部の下部に開口部を形成して、この開口部から凝集して水滴化した水を析出させて液/液分離フィルタの下部に沈降させるように構成されているので、このフィルタエレメント1つで、固形物の捕捉除去及び遊離水分の分離除去を実現することができ、液/液分離フィルタのコンパクト化が図れる。
【0033】
また、濾材部の流入空間側の下面に、流入空間に導入された流体がこの濾材部の上部から通過するようにガイドするガイド部を有するように構成することにより、濾材部の上部を流体が流れるようになる。このため、水凝集部で凝集して水滴化した水は水分離部で遮断されて水凝集部の第3の濾材中を沈降するため成長して大きくなり、開口部より水滴として析出した水は、流出空間内を沈降しやすくなるため水の分離性能を向上させることができる
【0034】
また、濾材部を構成する水凝集部が、流体が通過する順に、流体に含まれる水を凝集させて水滴化する第1の濾材と、流体に含まれる水をさらに凝集させて水滴化する第2の濾材と、第1及び第2の濾材で水滴化された水をさらに成長させる第3の濾材とで構成することにより、この水凝集部で凝集されて水滴化した水が大きくなる。そのため、開口部から流出空間に析出した水滴はこの流出空間において沈降しやすくなるため、液/液分離フィルタの水分離性能が向上する。
【0035】
このとき、第3の濾材の上部を開口部から流出空間に突出させ、水凝集部において第2の濾材と水分離部との間に空間を有するように構成すると、第1及び第2の濾材で凝集して水滴化した水をこの空間において下方に容易に沈降させることができる。この空間を沈降した水滴は、第3の濾材を通過して大きく成長し、開口部から流出空間に析出する。このため、水分離部から析出する水滴が無くなり、液/液分離フィルタの水分離性能を向上することができる。
【0036】
また、濾材部を構成する固形物除去部、水凝集部及び水分離部をそれぞれの機能を実現するために最適な素材を選定することにより、固形物除去部での固形物の捕捉分離の性能が上がるとともに、水凝集部での遊離水分の水滴への凝集性能が向上し、また、水分離部で流体を通過させるとともに水滴の遮断性能を向上させることができるため、この濾材部で凝集されて水滴化する水がより大きくなって濾材部から析出するため、この水滴は流出空間内を沈降しやすくなり、液/液分離フィルタにおける遊離水分の分離性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る液/液分離フィルタに用いられるフィルタエレメントの左側の断面図であり、燃料を通過させて固形物及び遊離水分を除去する場合を説明する図である。
【図2】本発明に係る液/液分離フィルタを表す概要図である。
【図3】本発明に係る液/液分離フィルタのフィルタエレメントの左側の構成を示す図であり、(A)は円筒軸方向の断面図であり、(B)は図3(A)のIII−III断面図である。
【図4】本発明に係る液/液分離フィルタのフィルタエレメントの別の実施例を示す構成図であり、(A)は円筒軸方向の断面図であり、(B)は図4(A)のIV−IV断面図である。
【図5】従来の液/液分離フィルタを表す概要図である。
【符号の説明】
1 液/液分離フィルタ
2 ケース
3 フィルタエレメント
4b 無孔部(ガイド部)
5 固形物除去部
6 水凝集部
6a 第1の濾材
6b 第2の濾材
6c 第3の濾材
6d 突出部
6e 空間
7 水分離部
7a 開口部
8 濾材部
12 内周空間(流入空間)
13 外周空間(流出空間)
14 流入孔
15 流出孔
Claims (5)
- 流入孔及び流出孔が形成されたケースと、前記ケース内に配設され濾材部を有するフィルタエレメントとを有し、
前記フィルタエレメントが、前記ケース内を、前記流入孔が連通する流入空間と前記流出孔が連通する流出空間とに分離するように配設され、
前記流入孔から前記流入空間に導入された流体を前記濾材部を通過させて前記流出空間に流出させ前記流出孔から外部に流出させるように構成した液/液分離フィルタにおいて、
前記濾材部が、前記流入空間に導入された前記燃料を通過させて前記流体に含まれる固形物を捕捉除去する固形物除去部と、
前記固形物除去部を通過した前記流体を通過させて、前記流体に含まれる水を凝集させて水滴化する水凝集部と、
下部に開口する開口部を有し、前記水凝集部を通過した前記流体を通過させるとともに、前記水凝集部で凝集させて水滴化した水を遮断して前記水凝集部内を下方に沈降させてさらに成長させ、成長した水滴を前記開口部から前記流出空間に析出させる水分離部とで構成されることを特徴とする液/液分離フィルタ。 - 前記濾材部の前記流入空間側の面の下部に、前記流入空間に導入された前記流体を前記固形物除去部の上部から通過させるようにガイドするガイド部を有するように構成したことを特徴とする請求項1に記載の液/液分離フィルタ。
- 前記濾材部の前記水凝集部が、前記流体が通過する順に、
前記流体に含まれる水を凝集して水滴化する第1の濾材と、
前記流体に含まれる水をさらに凝集して水滴化する第2の濾材と、
前記第1及び第2の濾材で水滴化された水をさらに成長させる第3の濾材とから構成されることを特徴とする請求項1または2に記載の液/液分離フィルタ。 - 前記第3の濾材の上部を前記開口部から前記流出空間に突出させ、前記水凝集部において前記第2の濾材と前記水分離部との間に空間を有するように構成し、前記第1及び第2の濾材で凝集されて水滴化した水を前記空間において下方に沈降させ、さらに前記第3の濾材を通過させて前記水滴化した水をさらに成長させ、成長した水滴を前記開口部から前記流出空間に析出させるように構成したことを特徴とする請求項3に記載の液/液分離フィルタ。
- 前記固形物除去部は、100μm以下の濾過精度を有する天然繊維、化学繊維、無機繊維若しくは金属繊維のいずれかの素材を蛇腹状に折り畳んで環状に形成して構成され、
前記水凝集部の第1の濾材は、マット形状に形成された100μm以下の濾過精度を有する天然繊維、化学繊維、無機繊維若しくは金属繊維のいずれかの素材で構成され、
前記第2の濾材は、マット形状に形成された100μm以下の濾過精度を有する天然繊維、化学繊維、無機繊維若しくは金属繊維のいずれかの素材で構成され、
前記第3の濾材は、マット形状に形成された100μm以下の濾過精度を有する天然繊維、化学繊維、無機繊維若しくは金属繊維のいずれかの素材で構成され、
前記水分離部は、撥水処理を施したメッシュ数508以下の樹脂製素材、または、撥水処理を施した200/1400以下の金属メッシュ若しくは焼結品で構成されることを特徴とする請求項3または4に記載の液/液分離フィルタ。
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