JP2022047639A - ポリオレフィン微多孔膜、非水電解液系二次電池用セパレータ、及び非水電解液系二次電池 - Google Patents

ポリオレフィン微多孔膜、非水電解液系二次電池用セパレータ、及び非水電解液系二次電池 Download PDF

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Abstract

【課題】非水電解液系二次電池用セパレータとして好適な、電池に安全性と耐衝撃性を付与することができるポリオレフィン微多孔膜を提供する。【解決手段】ダイヤモンド製のBerkovich(三角錐)型圧子を垂直方向に16.67μN/secの速度で500μNまで印加して30秒保持し、16.67μN/secの速度で除荷した時の押込み弾性率が280MPa以上のポリオレフィン微多孔膜。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリオレフィン微多孔膜、非水電解液系二次電池用セパレータ、及び非水電解液系二次電池に関するものである。
微多孔膜は、フィルターや電池用セパレータ、電解コンデンサー用セパレータなどの種々の分野に用いられる。これらの中でも、ポリオレフィンを主原料とするポリオレフィン微多孔膜は、耐薬品性、絶縁性、機械的強度などに優れ、特にシャットダウン特性を有するため安全性に優れることから電池用セパレータとして広く用いられる。
二次電池、例えばリチウムイオン二次電池は、エネルギー密度が高いため、パーソナルコンピュータ、携帯電話などに用いる電池として広く使用され、近年は電気自動車やハイブリッド自動車のモータ駆動用電源としても用いられている。特に、車載用の大型高容量リチウムイオン二次電池の場合、電池の充放電性能を表すレート特性や長期使用時の容量維持率を示すサイクル特性が良好であるとともに、電池が高温に曝されたり、電池内部で異常な発熱が発生したりした際にも発煙や発火に至らない高い安全性が求められる。
特許文献1には、長期の充放電サイクルを行った場合のセパレータの変形の度合いに相当する、10回目の負荷-除荷サイクルにおける変位量と50回目の負荷-除荷サイクルにおける変位量との比率が特定の範囲の非水電解液二次電池用セパレータを用いた電池がサイクル特性に優れることが開示されている。
特許文献2には、ポリオレフィン微多孔膜の機械的強度等を容易に調整できる手段としてポリオレフィン微多孔膜の製造方法が開示されている。
特許文献3には、突刺強度が大きく、電気抵抗因子が小さく、孔閉塞温度が低く、かつ孔が閉塞する温度での熱収縮が小さなポリオレフィン微多孔膜およびその製造方法が開示されている。
特許文献4には、電池特性と安全性に優れた2層以上からなるポリオレフィン製積層微多孔膜が開示されている。
特開2018-147886号公報 特表2013-530261号公報 特開2003-020357号公報 特開2015-208893号公報
近年、電池の高容量化に伴い、ポリオレフィン微多孔膜の安全性は更なる向上が求められている。電池の安全性を高めるためには、微多孔膜の孔が閉塞する温度であるシャットダウン温度を低下させる方法があり、その手法としては、微多孔膜の主成分であるポリオレフィンの分子量や融点を低下させる方法が知られている。また、電池捲回時や電池内の異物などによる短絡を防ぐ観点から、微多孔膜の突刺強度を高める事も求められており、その手法としては、延伸倍率増加による配向制御や超高分子量ポリオレフィンを用いる方法が知られている。
しかし、微多孔膜の突刺強度を高めるため、延伸時に分子鎖へ高応力を付加するような延伸条件を設定すると、微多孔膜の孔が溶融しにくくなることでセパレータのシャットダウン温度が上昇してしまうため、微多孔膜の突刺強度を高めつつシャットダウン温度を低下させる事はこれまで困難であった。
また、電池製造工程においてセパレータと電極からなる捲回体を耐電圧試験(ハイポット試験)により選別する際、セパレータの突刺強度を向上させることにより耐電圧試験の合格率を向上させることができる。耐電圧試験で不合格となった捲回体を電池に用いることはできないため、セパレータの突刺強度を向上させることは電池作製時の歩留まりを上げることにも繋がる。
特許文献1は、セパレータの微小領域に対し、膜厚方向に繰り返しの変形を与えた時の圧縮変形量の増加率が小さいほど、優れた電池サイクル特性が得られる事が開示されているものの、シャットダウン温度は開示されていない。特許文献2は高い突刺強度が得られているものの、シャットダウン温度の開示が無く、特許文献3,4は突刺強度に劣る。
本発明では上記事情に鑑みて、電池のレート特性やサイクル特性、電池倦回時の耐異物耐性、更には電池が高温に曝されたときに孔が閉塞しやすく安全性に優れた、非水電解液系二次電池用セパレータとして好適なポリオレフィン微多孔膜を提供することを目的とする。
本発明者らは、ポリオレフィン微多孔膜の押込み弾性率を特定の値にする事により、本発明の微多孔膜を用いた電池において、レート特性やサイクル特性を向上させ、且つ、異物耐性である耐電圧特性や電池安全性を向上させた。すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)ダイヤモンド製のBerkovich(三角錐)型圧子を垂直方向に16.67μN/secの速度で500μNまで印加して30秒保持し、16.67μN/secの速度で除荷した時の押込み弾性率が280MPa以上のポリオレフィン微多孔膜。
(2)前記(1)記載のSD温度が140℃未満であるポリオレフィン微多孔膜。
(3)前記(2)記載の膜厚が5~12μmであるポリオレフィン微多孔膜。
(4)前記(1)~(3)いずれかに記載のポリオレフィン微多孔膜を用いる非水電解液系二次電池用セパレータ。
(5)前記(4)に記載の電池用セパレータを用いた非水電解液系二次電池。
本発明では、電池のサイクル特性やレート特性、異物耐性に優れ、電池安全性を付与することができるポリオレフィン微多孔膜を提供することができる。
[膜厚]
ポリオレフィン微多孔膜の膜厚は、特に限定されないが、電池高容量化の観点から薄い方が望ましい。好ましくは16μm以下、より好ましくは12μm以下、さらに好ましくは10μm以下である。一方、膜厚の下限は特に限定されないが、電池安全性の観点から好ましくは4μm以上、より好ましくは6μm以上である。膜厚が前記範囲である場合、実用的な突刺強度と孔閉塞機能を保有させることができ、さらなる電池の高容量化の要求にも適するものとなる。
[透気抵抗度]
ポリオレフィン微多孔膜の透気抵抗度の上限は、電池サイクル特性の観点から好ましくは300sec./100cc未満、より好ましくは250sec./100cc未満、更に好ましくは200sec./100cc以下である。一方、透気抵抗度の下限は電池安全性の観点から、好ましくは80sec./100cc以上、より好ましくは100sec/100cc以上、更に好ましくは120sec/100cc以上である。透気抵抗度の下限が前期範囲である場合、電池内部で異常な大電流が流れにくくなり、電池の安全性向上に寄与する。
[空孔率]
ポリオレフィン微多孔膜の空孔率の下限は、電池のレート特性とサイクル特性の観点から好ましくは30%以上、より好ましくは33%以上、更に好ましくは35%以上である。空孔率の上限は特に限定されないが、電池安全性の観点から好ましくは55%以下、より好ましくは50%以下、更に好ましくは45%以下である。空孔率を上記の範囲内にすることにより、良好な電池レート特性とサイクル特性を得られながら、電池安全性を担保する事が出来る。
[目付]
ポリオレフィン微多孔膜の目付の下限は、電池安全性の観点から好ましくは4.0g/m以上、より好ましくは4.5g/m以上、更に好ましくは5.0g/m以上である。目付の上限は特に限定されないが、電池のレート特性やサイクル特性の観点から7.0g/m以下である。
[目付換算突刺強度]
ポリオレフィン微多孔膜の目付換算の突刺強度は、微多孔膜の耐異物耐性を向上させる観点から好ましくは0.70N/(g/m)以上、より好ましくは0.80N/(g/m)以上、更に好ましくは0.85N/(g/m)以上である。目付換算突刺強度の上限は、特に限定されないが、例えば0.90N/(g/m)未満である。突刺強度が前記範囲内であることにより、二次電池のセパレータとして用いたときに、電極の凸部や異物に対する耐性に優れると同時に、良好なシャットダウン特性を有することができる。
[押込み弾性率]
ポリオレフィン微多孔膜の押込み弾性率は、好ましくは280MPa以上、より好ましくは350MPa以上、更に好ましくは400MPa以上である。押込み弾性率が280Mpa以上であると、電池の耐電圧特性が向上する効果があり、350MPa以上であると電池を繰り返し充放電した際に電極の膨張収縮に微多孔膜が追従しやすくなることによりサイクル特性も向上する。押込み弾性率の上限は特に限定されないが、微多孔膜の生産工程や電池生産工程での搬送安定性の観点から600MPa以下である。
[シャットダウン(SD)温度]
ポリオレフィン微多孔膜のシャットダウン温度は、電池安全性の観点から好ましくは140℃以下、より好ましくは139℃以下、更に好ましくは138℃以下である。シャットダウン温度の下限は、特に限定されないが、ポリオレフィン微多孔膜の良好な強度を得る観点から130℃以上である。
次に、本実施形態のポリオレフィン微多孔膜の製造方法について説明する。なお、以下の説明は、製造方法の一例であって、この方法に限定するものではない。本実施形態のポリオレフィン微多孔膜の製造方法は、以下の工程を含むことが好ましい。
(a)ポリオレフィンと可塑剤とを溶融混練してポリオレフィン樹脂組成物を調製する工程。
(b)ポリオレフィン樹脂組成物を口金から押し出してシート状のポリオレフィン樹脂組成物を形成する工程。
(c)工程(b)で得られたシート状のポリオレフィン樹脂組成物を延伸しフィルムを得る工程。
(d)工程(c)で得られたフィルムから可塑剤を抽出し乾燥する工程。
(e)必要に応じて工程(d)にて得られた微多孔膜を幅方向に熱固定・延伸・熱弛緩処理する工程。
(a)ポリオレフィン樹脂組成物の調製工程
原料となるポリオレフィン樹脂と可塑剤とを溶融混練して、ポリオレフィン樹脂組成物を調製する。溶融混練方法としては、例えば日本国特許第2132327号および日本国特許第3347835号の明細書に記載の二軸押出機を用いる方法を利用することができる。
ポリオレフィン微多孔膜を構成する樹脂は、ポリエチレン樹脂を主成分とする。ポリエチレン樹脂の割合は、ポリエチレン微多孔膜全体を100質量%としたときに、好ましくは80質量%以上、より好ましくは90質量%以上、更に好ましくは100%である。ポリオレフィン微多孔膜に含まれるポリエチレン樹脂の割合が前記範囲である場合、実用的な透過性と突刺強度を得る事ができる。
本実施形態においては、ポリオレフィン微多孔膜の押込み弾性率とシャットダウン温度を特定の値とするために、原料には、末端ビニル基濃度が炭素原子10,000個当たり2.0個以上のポリエチレン樹脂を用いる必要がある。そのポリエチレン樹脂の含有割合の下限は、微多孔膜の押込み弾性率を良好な値にする観点から、ポリオレフィン微多孔膜全体を100質量%とした時に好ましくは20%以上、より好ましくは30%以上、さらに好ましくは40%以上含む必要がある。また、その上限は微多孔膜の強度と透過性を維持する観点からポリオレフィン微多孔膜全体を100質量%とした時に60%以下である必要がある。
なお、ポリオレフィン微多孔膜は、本発明の効果を損なわない範囲でポリエチレン樹脂以外の樹脂を含んでもよい。例えば、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル1-ペンテン、1-ヘキセンなどを重合した単独重合体、2段階重合体、共重合体またはこれらの混合物等が挙げられ、特にポリプロピレンの添加は、微多孔膜が高温に曝された時に形状を保持できる温度(メルトダウン温度)を向上させる事が知られている。
(b)シート状のポリオレフィン樹脂組成物を形成する工程
次いで、(a)工程で調製したポリオレフィン樹脂組成物を押出機からダイに送給しシート状に押し出す。押し出された樹脂組成物を冷却ロールに接触させることにより、シート状のポリオレフィン樹脂組成物を形成する。冷却はポリオレフィン樹脂の結晶分散温度(Tcd)以下である90℃まで冷却することが好ましく、より好ましくは50℃以下、さらに好ましくは40℃以下まで行う。冷却により、可塑剤によって分離されていたポリオレフィンのミクロ相を固定化することができる。冷却速度が上記範囲内であると結晶化度が適度な範囲に保たれ、延伸に適したシートとなる。冷却方法としては冷風、冷却水等の冷媒に接触させる方法、冷却ロールに接触させる方法等を用いることができるが、冷媒で冷却したロールに接触させて冷却させることが好ましい。シート状のポリオレフィン樹脂組成物の形成方法として、例えば日本国特許第2132327号公報および日本国特許第3347835号公報に開示の方法を利用することができる。
(c)シート状のポリオレフィン樹脂組成物を延伸する工程
次いで、シート状のポリオレフィン樹脂組成物を延伸する。本実施形態における延伸方法は、ロール延伸機によるMD一軸延伸を行った後にテンターによりTD一軸延伸を行う。
MD一軸延伸を行う際の延伸倍率の下限は、膜厚や物性均一性の観点から好ましくは3倍以上、より好ましくは4倍以上、更に好ましく5倍以上である。MD一軸延伸倍率の上限は特に定めないが、延伸倍率を高く設定すると延伸中に破膜が発生するため10倍以下が好ましい。
MD一軸延伸を行う際の延伸温度は、ポリオレフィンの結晶分散温度(Tcd)以上、ポリオレフィンの融点以下の範囲内にするのが好ましく、例えば、ポリエチレン樹脂の場合は80~130℃であり、より好ましくは100~125℃である。延伸後はこれら温度以下まで冷却を行う。なお、ポリオレフィンの融点とは、シート状のポリオレフィン樹脂組成物中のポリオレフィンの融点をいう。延伸温度がポリオレフィンの融点以下である場合、シート状のポリオレフィン樹脂組成物中のポリオレフィンの溶融を抑制し、延伸によって分子鎖を効率的に配向することができる。また、延伸温度がポリオレフィンの結晶分散温度(Tcd)以上である場合、シート状のポリオレフィン樹脂組成物中のポリオレフィンを十分に軟化させ、延伸張力を低くすることができるため、製膜性が良好となり、延伸時の破膜を抑制し、高倍率での延伸が可能となる。
MD一軸延伸を行った後、テンターに導きTD一軸延伸を行う。その際の延伸倍率は、好ましくは5倍以上、より好ましくは6倍以上、更に好ましくは7倍以上であり、微多孔膜の引張強度を等方的にする観点から、前述のMD一軸延伸の総倍率よりも高い延伸倍率に設定する必要がある。MD一軸延伸後にTD一軸延伸を行う際の延伸温度は、ポリオレフィンの結晶分散温度(Tcd)以上、ポリオレフィンの融点以下の範囲内にするのが好ましく、例えば、ポリエチレン樹脂の場合は100~135℃であり、より好ましくは110~130℃であり、前述のMD一軸延伸よりも高い延伸温度に設定する必要がある。
(d)可塑剤を抽出し乾燥する工程
工程(c)で得られたポリオレフィン樹脂組成物フィルムから可塑剤を抽出除去して微多孔膜を得る。可塑剤の除去は、洗浄溶媒を用いて洗浄を行う。ポリオレフィン相は可塑剤相と相分離しているので、可塑剤を除去すると、微細な三次元網目構造を形成するフィブリルからなり、三次元的に不規則に連通する孔(空隙)を有する多孔質の膜が得られる。洗浄溶媒およびこれを用いた可塑剤の除去方法は公知であるので説明を省略する。例えば日本国特許第2132327号明細書や特開2002-256099号公報に開示の方法を利用することができる。
次いで、可塑剤を除去した微多孔膜を、加熱乾燥法又は風乾法により乾燥する。乾燥温度はポリオレフィンの結晶分散温度(Tcd)以下であることが好ましく、特にTcdより5℃以上低いのが好ましい。乾燥は、微多孔膜フィルムを100質量%(乾燥重量)として、残存洗浄溶媒が3質量%以下になるまで行うことが好ましく、1質量%以下になるまで行うことがより好ましい。残存洗浄溶媒が上記範囲内である場合、ポリオレフィン微多孔膜の空孔率が維持され、透過性の悪化が抑制される。
(e)熱固定・延伸・熱弛緩処理する工程
必要に応じて乾燥後の微多孔膜を熱固定処理、幅方向に延伸・熱弛緩処理を行ってもよい。熱固定処理や熱緩和処理を行う事により、結晶が安定化しラメラ層が均一化され、強度や熱収縮率に優れた微多孔膜を作製できる。
熱固定温度については、ポリオレフィン微多孔膜の結晶分散温度以上から融点以下の温度範囲内で行い、テンター方式、ロール方式又は圧延方式により行うことができる。
延伸・熱弛緩温度については、ポリオレフィン微多孔膜の結晶分散温度以上から融点以下の温度範囲内で行い、延伸率については、1倍から2倍が好ましく、その後の弛緩率については、1%から30%が好ましく、熱収縮率と微多孔膜の平面性の観点からより好ましくは1%から20%が好ましい。20%より高い弛緩率で処理を行うと微多孔膜が幅方向にたるみが発生することで設備と干渉することで破膜が発生しやすくなる。
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。なお、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
[末端ビニル基濃度]
ポリオレフィン微多孔膜中に含まれるポリエチレン樹脂の末端ビニル基濃度は、赤外分光法により求めることが出来る。具体的には、フーリエ変換赤外分光光度計(型番:FREEXACT‐II、(株)堀場製作所製)により微多孔膜の910cm-1における吸収ピークの吸光度[A=log(I0/I)(ここで、Aは吸光度を表し、I0はブランクセルの透過光強度を表し、Iはサンプルセルの透過光強度を表す)]を測定し、下記の式よりポリオレフィン樹脂10,000個の炭素原子当たりの末端ビニル基の個数(個/10,000C)を算出できる。
式:末端ビニル基濃度(個/10,000C)=(11.4×吸光度A)/(ポリエチレンの密度(g/cm)×サンプルの厚さ(mm)]
[膜厚]
微多孔膜から50mm×50mmの大きさでサンプルを切り出し、その範囲内における5点の膜厚を接触厚み計(株式会社ミツトヨ製ライトマチック、接触圧0.01N、10.5mmφプローブを用いた)により測定し、平均値を求め、微多孔膜の膜厚とした。
[透気抵抗度]
微多孔膜から50mm×50mmの大きさでサンプルを10個切り出し、その中心1点をJIS P-8117:2009に準拠し、透気抵抗度計(旭精工株式会社製、EGO-1T)を用いて透気抵抗度(sec/100cm)を測定した。測定点は試料の中央部の1点として、測定値を当該試料の透気抵抗度とした。同様の測定を任意の位置から採取した10個の試験片について行い、その測定値の平均値を微多孔膜の透気抵抗度(sec/100ml)とした。
[空孔率]
ポリオレフィン微多孔膜を50mm×50mmの大きさに切り出し、その体積(mm)と重量(g)を求め、それらと膜密度(g/cm)より、次式を用いて計算した。
式:空孔率=((体積-重量/膜密度)/体積)×100
ここで、膜密度は0.99とした。また、体積の算出には、前述の測定した厚み[膜厚]を使用した。
[目付]
ポリオレフィン微多孔膜を50mm×50mmの大きさに切り出して重量を求め、次式により計算した。
式:目付=重量/0.050/0.050
[突刺強度]
微多孔膜から50mm×50mmの大きさでサンプルを5個切り出し、先端が球面(曲率半径R:0.5mm)の直径1mmの針で、微多孔質膜を2mm/秒の速度で突刺したときの最大荷重L1(N)を測定し、L1/T1(N/μm)により膜厚当たりの突刺強度を求めた。
[目付換算突刺強度]
前述の目付と突刺強度を用いて下記式から目付換算突刺強度を算出した。
式:目付換算突刺強度=突刺強度/目付
[押込弾性率]
アントンパール社製UNHT3を用いて、幅30~40mm、長さ150mm程度に切り出した微多孔膜の押込み弾性率を測定した。曲率半径300mmの鏡面仕上げのSUS台座に皺が入らないように微多孔膜を固定した。次いで、固定した微多孔膜にダイヤモンド製のBerkovich(三角錐)型圧子を垂直方向に16.67μN/secの速度で500μNまで印加して30秒保持し、16.67μN/secの速度で除荷して押込み弾性率の測定を実施した。この際、MD方向に100μm間隔で5点、TD方向に50μm間隔で5点の合計25点の押込み弾性率を測定し、測定結果から上下2点を除いた21点の平均値を微多孔膜の押込み弾性率とした。
[シャットダウン(SD)温度]
微多孔膜のシャットダウン温度は、国際公開第2007/052663号に開示されている方法によって測定した。この方法に従い、ポリオレフィン製微多孔膜を30℃の雰囲気中にさらして、5℃/分の速度で昇温し、その間に膜の透気度を測定する。微多孔膜の透気度が最初に100,000秒/100cmを超える時の温度を、微多孔膜のシャットダウン温度と定義した。なお、微多孔膜の透気抵抗度は、透気度計(旭精工株式会社製、EGO-1T)を用いてJIS P8117:2009に従って測定した。
<評価用円筒型電池の作成>
下記の手順に従って円筒型電池を作成した。
<正極の作製>
活物質としてリチウムコバルト複合酸化物LiCoOを92.2質量%、導電剤としてリン片状グラファイトとアセチレンブラックをそれぞれ2.3質量%、バインダーとしてポリフッ化ビニリデン(PVDF)3.2質量%をN-メチルピロリドン(NMP)中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを、活物質塗付量250g/m、活物質嵩密度3.00g/cmにて、正極集電体となる厚さ20μmのアルミニウム箔の片面にダイコーターで塗布した。そして、130℃で3分間乾燥し、ロールプレス機で圧縮成形した後、幅約57mmに切断して帯状にした。
<負極の作製>
活物質として人造グラファイト96.9質量%、バインダーとしてカルボキシメチルセルロースのアンモニウム塩1.4質量%とスチレン-ブタジエン共重合体ラテックス1.7質量%を精製水中に分散させてスラリーを調製した。このスラリーを、活物質塗付量106g/m、活物質嵩密度1.55g/cmという高充填密度にて、負極集電体となる厚さ12μmの銅箔の片面にダイコーターで塗付した。そして、120℃で3分間乾燥し、ロールプレス機で圧縮成形した後、幅約58mmに切断して帯状にした。
<非水電解液の調製>
エチレンカーボネート/エチルメチルカーボネート=1/2(体積比)の混合溶媒に、溶質としてLiPFを濃度1.0mol/Lとなるように溶解させて調製した。
<セパレータ>
実施例、比較例で得られたポリオレフィン微多孔膜を、60mmにスリットして帯状にした。
<電池組立て>
帯状負極、セパレータ、帯状正極、セパレータの順に重ね、250gfの巻取張力で渦巻状に複数回捲回することで電極板積層体を作製した。この電極板積層体を、外径が18mmで高さが65mmのステンレス製容器に収納し、正極集電体から導出したアルミニウム製タブを容器蓋端子部に、負極集電体から導出したニッケル製タブを容器壁に溶接した。そして、真空下80℃で12時間の乾燥を行った後、アルゴンボックス内にて容器内に上記非水電解液を注入し、封口して円筒型電池を作成した。
[電池耐電圧試験]
前述の評価用円筒型電池の作成にて電解液注入前の電池10個用意し、日本テクナート社製のIMP-1090を用いて耐電圧試験を行い、1個でも短絡が発生したものを不可、短絡が発生しなかったものを優と評価した。
[レート特性]
前述の作成した評価用円筒型電池を電池電圧4.2Vまで1.0Cの電流値で定電流充電して、次いで電池電圧4.2Vで0.05Cの電流値になるまで定電圧充電を行った後、0.2Cの電流値で電池電圧が3.0Vになるまで放電(定電流放電)して放電容量を測定した。続いて、前述の手順にて再度4.2Vまで充電した後、5Cの電流値で電池電圧が3.0Vになるまで放電(定電流放電)して放電容量を測定した。下記の式により放電容量比を算出し、放電容量比が90%以上のものを優、80%以上90%未満のものを良、80%未満のものを不可と評価した。
式:放電容量比=5Cでの放電容量×100/0.2Cでの放電容量
[サイクル特性]
前述の作成した評価用円筒型電池を電池電圧4.2Vまで1.0Cの電流値で定電流充電した後、電池電圧4.2Vで0.05Cの電流値になるまで定電圧充電を行った。10分の休止後、1.0Cの電流値で電池電圧が3.0Vになるまで定電流放電を行い、10分休止した。この充放電を1サイクルとして、500回充放電を繰り返し行った。下記の式により残存容量比を算出し、残存容量比が90%以上のものを優、80%以上90%未満のものを良、80%未満のものを不可と評価した。
式:残存容量比=500サイクル目放電容量×100/1サイクル目放電容量
[安全性評価]
前述の作成した評価用円筒型電池を500mAの定電流で充電し、電池電圧が4.20Vに到達した後は、定電圧で電流値が10mA以下になるまで充電して満充電状態の電池を得た。次いで、満充電状態の円筒型電池を長辺が横となるように設置し、61cmの高さから質量9.1kgの直径15.8mmの棒を電池の中心平坦面上に落下させて電池に衝撃を与えた。電池10個を評価し、1つでも電池が発火・発煙を生じたものを不良(×)、発火や発煙が確認されなかったものを優良(○)と評価した。
(実施例1)
重量平均分子量(Mw)が2.4×10の超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)40質量%と、末端ビニル基濃度が10,000個の炭素原子当たり6.5個であり、且つMwが3.0×10の長鎖分岐を含む高密度ポリエチレン(HDPE)60質量%をドライブレンドし混合物を得た。得られた混合物25質量%を流動パラフィン75質量%と二軸押出機で溶融混練し、ポリエチレン樹脂組成物を調製した。このポリエチレン樹脂組成物を、二軸押出機からTダイに供給し押し出すことで得た成形体を、冷却ロールで引き取りながら冷却し、シート状のポリエチレン樹脂組成物を形成した。シート状のポリエチレン樹脂組成物を、ロール延伸機を用いて113℃にて7.0倍に延伸を行った後、テンターに導き123℃にて7.0倍にTD延伸を行った。その後、塩化メチレンの洗浄槽にて洗浄し、流動パラフィンを除去し乾燥させた。乾燥した膜をテンター内にて132.5℃にて1.59倍にTD延伸した後、132.5℃にて4.3%弛緩して熱固定処理を行うことにより、厚さ9.4μmのポリエチレン微多孔膜を得た。表1に得られたポリオレフィン微多孔膜の物性を示す。電池の耐異物試験やレート試験、サイクル試験、安全性試験を行ったところいずれも優れていた。
(実施例2)
実施例1と同様の方法でシート状のポリエチレン樹脂組成物を形成した。ロール延伸機を用いて113℃にて7.0倍に延伸を行った後、テンターに導き122.5℃にて7.0倍にTD延伸を行った。その後、塩化メチレンの洗浄槽にて洗浄し、流動パラフィンを除去し乾燥させた。乾燥した膜をテンター内にて132.1℃にて1.60倍にTD延伸した後、132.1℃にて4.2%弛緩して熱固定処理を行うことにより、厚さ8.8μmのポリエチレン微多孔膜を得た。表1に得られたポリオレフィン微多孔膜の物性を示す。電池の耐異物試験やレート試験、サイクル試験、安全性試験を行ったところいずれも優れていた。
(実施例3)
実施例1と同様の方法でシート状のポリエチレン樹脂組成物を形成した。ロール延伸機を用いて113℃にて7.6倍に延伸を行った後、テンターに導き125℃にて7.6倍にTD延伸を行った。
その後、塩化メチレンの洗浄槽にて洗浄し、流動パラフィンを除去し乾燥させた。乾燥した膜をテンター内にて131.9℃にて1.60倍にTD延伸した後、131.9℃にて4.2%弛緩して熱固定処理を行うことにより、厚さ9.0μmのポリエチレン微多孔膜を得た。表1に得られたポリオレフィン微多孔膜の物性を示す。電池の耐異物試験やレート試験、サイクル試験、安全性試験を行ったところいずれも優れていた。
(実施例4)
実施例1と同様の方法でシート状のポリエチレン樹脂組成物を形成した。ロール延伸機を用いて111℃にて5.5倍に延伸を行った後、テンターに導き125℃にて8.9倍にTD延伸を行った。
その後、塩化メチレンの洗浄槽にて洗浄し、流動パラフィンを除去し乾燥させた。乾燥した膜をテンター内にて130.5℃にて1.67倍にTD延伸した後、130.5℃にて3.8%弛緩して熱固定処理を行うことにより、厚さ9.0μmのポリエチレン微多孔膜を得た。表1に得られたポリオレフィン微多孔膜の物性を示す。電池の耐異物試験やレート試験、サイクル試験、安全性試験を行ったところいずれも優れていた。
(実施例5)
実施例1と同様の方法でシート状のポリエチレン樹脂組成物を形成した。ロール延伸機を用いて111℃にて5.5倍に延伸を行った後、テンターに導き125℃にて9.0倍にTD延伸を行った。
その後、塩化メチレンの洗浄槽にて洗浄し、流動パラフィンを除去し乾燥させた。乾燥した膜をテンター内にて130.0℃にて1.50倍にTD延伸した後、130.0℃にて5.6%弛緩して熱固定処理を行うことにより、厚さ9.4μmのポリエチレン微多孔膜を得た。表1に得られたポリオレフィン微多孔膜の物性を示す。電池の耐異物試験やレート試験、サイクル試験、安全性試験を行ったところいずれも優れていた。
(実施例6)
Mwが2.4×10の超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)40質量%と、末端ビニル基濃度が10,000個の炭素原子当たり6.5個であり、且つMwが3.0×10の長鎖分岐を含む高密度ポリエチレン(HDPE)60質量%をドライブレンドし混合物を得た。得られた混合物23質量%を流動パラフィン77質量%と二軸押出機で溶融混練し、ポリエチレン樹脂組成物を調製した。このポリエチレン樹脂組成物を、二軸押出機からTダイに供給し押し出すことで得た成形体を、冷却ロールで引き取りながら冷却し、シート状のポリエチレン樹脂組成物を形成した。シート状のポリエチレン樹脂組成物を、ロール延伸機を用いて110℃にて6.1倍に延伸を行った後、テンターに導き125℃にて9.1倍にTD延伸を行った。
その後、塩化メチレンの洗浄槽にて洗浄し、流動パラフィンを除去し乾燥させた。乾燥した膜をテンター内にて130.0℃にて1.56倍にTD延伸した後、130.0℃にて5.6%弛緩して熱固定処理を行うことにより、厚さ9.5μmのポリエチレン微多孔膜を得た。表1に得られたポリオレフィン微多孔膜の物性を示す。電池の耐異物試験やレート試験、サイクル試験、安全性試験を行ったところいずれも優れていた。
(実施例7)
Mwが1.5×10の超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)40質量%と、末端ビニル基濃度が10,000個の炭素原子当たり6.5個であり、且つMwが3.0×10の長鎖分岐を含む高密度ポリエチレン(HDPE)60質量%をドライブレンドし混合物を得た。得られた混合物25質量%を流動パラフィン75質量%と二軸押出機で溶融混練し、ポリエチレン樹脂組成物を調製した。このポリエチレン樹脂組成物を、二軸押出機からTダイに供給し押し出すことで得た成形体を、冷却ロールで引き取りながら冷却し、シート状のポリエチレン樹脂組成物を形成した。シート状のポリエチレン樹脂組成物を、ロール延伸機を用いて111℃にて5.8倍に延伸を行った後、テンターに導き125℃にて8.4倍にTD延伸を行った。その後、塩化メチレンの洗浄槽にて洗浄し、流動パラフィンを除去し乾燥させた。乾燥した膜をテンター内にて132.0℃にて1.53倍にTD延伸した後、132.0℃にて5.6%弛緩して熱固定処理を行うことにより、厚さ9.6μmのポリエチレン微多孔膜を得た。表1に得られたポリオレフィン微多孔膜の物性を示す。電池の耐異物試験やレート試験、サイクル試験、安全性試験を行ったところいずれも優れていた。
(比較例1)
Mwが2.4×10の超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)40質量%と、Mwが2.8×10の高密度ポリエチレン(HDPE)60質量%をドライブレンドし混合物を得た。得られた混合物25質量%と流動パラフィン75質量%を二軸押出機で溶融混練し、ポリエチレン樹脂組成物を調製した。このポリエチレン樹脂組成物を、二軸押出機からTダイに供給し押し出すことで得た成形体を、冷却ロールで引き取りながら冷却し、シート状のポリエチレン樹脂組成物を形成した。シート状のポリエチレン樹脂組成物を、ロール延伸機を用いて113℃にて7.0倍に延伸を行った後、テンターに導き123℃にて7.0倍にTD延伸を行った。その後、塩化メチレンの洗浄槽にて洗浄し、流動パラフィンを除去し乾燥させた。乾燥した膜をテンター内にて134.8℃にて1.47倍にTD延伸した後、134.8℃にて4.4%弛緩して熱固定処理を行うことにより、厚さ9.0μmのポリエチレン微多孔膜を得た。表1に得られたポリオレフィン微多孔膜の物性を示す。電池の耐異物試験やレート試験、サイクル試験は優れていたが、シャットダウン温度が139℃を超えていたため、安全性試験で不可となった。
(比較例2)
比較例1と同様の方法でシート状のポリエチレン樹脂組成物を形成し、ロール延伸機を用いて113℃にて7.0倍に延伸を行った後、テンターに導き118℃にて7.0倍にTD延伸を行った。その後、塩化メチレンの洗浄槽にて洗浄し、流動パラフィンを除去し乾燥させた。乾燥した膜をテンター内にて134.3℃にて1.47倍にTD延伸した後、134.3℃にて4.4%弛緩して熱固定処理を行うことにより、厚さ9.3μmのポリエチレン微多孔膜を得た。表1に得られたポリオレフィン微多孔膜の物性を示す。電池の耐異物試験やレート試験、サイクル試験は優れていたが、シャットダウン温度が139℃を超えていたため、安全性試験で不可となった。
(比較例3)
比較例1と同様の方法でシート状のポリエチレン樹脂組成物を形成し、ロール延伸機を113℃にて7.0倍に延伸を行った後、テンターに導き123℃にて7.0倍にTD延伸を行った。その後、塩化メチレンの洗浄槽にて洗浄し、流動パラフィンを除去し乾燥させた。乾燥した膜をテンター内にて135.7℃にて1.47倍にTD延伸した後、135.7℃にて4.4%弛緩して熱固定処理を行うことにより、厚さ9.3μmのポリエチレン微多孔膜を得た。表1に得られたポリオレフィン微多孔膜の物性を示す。電池の耐異物試験やレート試験、サイクル試験は優れていたが、シャットダウン温度が139℃を超えていたため、安全性が劣っていた。
(比較例4)
Mwが2.4×10の超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)30質量%と、Mwが2.8×10の高密度ポリエチレン(HDPE)70質量%をドライブレンドし混合物を得た。得られた混合物29質量%と流動パラフィン71質量%を二軸押出機で溶融混練し、ポリエチレン樹脂組成物を調製した。このポリエチレン樹脂組成物を、二軸押出機からTダイに供給し押し出すことで得た成形体を、冷却ロールで引き取りながら冷却し、シート状のポリエチレン樹脂組成物を形成した。シート状のポリエチレン樹脂組成物を、ロール延伸機を用いて116℃にて5.8倍に延伸を行った後、テンターに導き124℃にて7.0倍にTD延伸を行った。その後、塩化メチレンの洗浄槽にて洗浄し、流動パラフィンを除去し乾燥させた。乾燥した膜をテンター内にて133.2℃にて1.40倍にTD延伸した後、133.2℃にて3.8%弛緩して熱固定処理を行うことにより、厚さ10.0μmのポリエチレン微多孔膜を得た。表1に得られたポリオレフィン微多孔膜の物性を示す。電池のレート特性や安全性試験では優れていたものの、押込み弾性率が280MPaを下回っていたため、サイクル特性と耐異物耐性に劣っていた。
(比較例5)
比較例4と同様の方法でシート状のポリエチレン樹脂組成物を形成し、ロール延伸機を用いて114℃にて5.1倍に延伸を行った後、テンターに導き122℃にて7.5倍にTD延伸を行った。その後、塩化メチレンの洗浄槽にて洗浄し、流動パラフィンを除去し乾燥させた。乾燥した膜をテンター内にて129.7℃にて1.40倍にTD延伸した後、129.7℃にて5.8%弛緩して熱固定処理を行うことにより、厚さ9.8μmのポリエチレン微多孔膜を得た。表1に得られたポリオレフィン微多孔膜の物性を示す。電池のレート特性や安全性試験では優れていたものの、押込み弾性率が280MPaを下回っていたため、サイクル特性と耐異物耐性に劣っていた。
(比較例6)
比較例4と同様の方法でシート状のポリエチレン樹脂組成物を形成し、ロール延伸機を用いて124℃にて7.5倍に延伸を行った後、テンターに導き124.5℃にて9.8倍にTD延伸を行った。その後、塩化メチレンの洗浄槽にて洗浄し、流動パラフィンを除去し乾燥させた。乾燥した膜をテンター内にて132.4℃にて1.62倍にTD延伸した後、132.4℃にて5.6%弛緩して熱固定処理を行うことにより、厚さ11.8μmのポリエチレン微多孔膜を得た。表1に得られたポリオレフィン微多孔膜の物性を示す。電池のレート特性や安全性試験では優れていたものの、押込み弾性率が280MPaを下回っていたため、サイクル特性と耐異物耐性に劣っていた。
(比較例7)
Mwが2.4×10の超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)40質量%と、Mwが2.8×10の高密度ポリエチレン(HDPE)60質量%をドライブレンドし混合物を得た。得られた混合物25質量%と流動パラフィン75質量%を二軸押出機で溶融混練し、ポリエチレン樹脂組成物を調製した。このポリエチレン樹脂組成物を、二軸押出機からTダイに供給し押し出すことで得た成形体を、冷却ロールで引き取りながら冷却し、シート状のポリエチレン樹脂組成物を形成した。シート状のポリエチレン樹脂組成物を、ロール延伸機を用いて116℃にて7.0倍に延伸を行った後、テンターに導き123℃にて12.6倍にTD延伸を行った。その後、塩化メチレンの洗浄槽にて洗浄し、流動パラフィンを除去し乾燥させた。乾燥した膜をテンター内にて131.0℃にて1.70倍にTD延伸した後、131.0℃にて3.0%弛緩して熱固定処理を行うことにより、厚さ11.2μmのポリエチレン微多孔膜を得た。表1に得られたポリオレフィン微多孔膜の物性を示す。電池のレート特性やサイクル特性は優れていたものの、押込み弾性率が280MPaを下回っていたため、耐異物耐性に劣り、また、シャットダウン温度が139℃を上回っていたため、安全性も劣っていた。
(比較例8)
Mwが2.4×10の超高分子量ポリエチレン(UHMwPE)30質量%と、Mwが2.8×10の高密度ポリエチレン(HDPE)70質量%をドライブレンドし混合物を得た。得られた混合物29質量%と流動パラフィン71質量%を二軸押出機で溶融混練し、ポリエチレン樹脂組成物を調製した。このポリエチレン樹脂組成物を、二軸押出機からTダイに供給し押し出すことで得た成形体を、冷却ロールで引き取りながら冷却し、シート状のポリエチレン樹脂組成物を形成した。シート状のポリエチレン樹脂組成物を、テンターを用いて120℃の温度にて5×5倍に同時二軸延伸を行った。その後、塩化メチレンの洗浄槽にて洗浄し、流動パラフィンを除去し乾燥させた。乾燥した膜をテンター内にて128.6℃にて1.40倍にTD延伸した後、128.6℃にて3.6%弛緩して熱固定処理を行うことにより、厚さ15.0μmのポリエチレン微多孔膜を得た。表1に得られたポリオレフィン微多孔膜の物性を示す。電池のレート特性や安全性は優れていたものの、耐異物耐性に劣っていた。
Figure 2022047639000001
本発明のポリオレフィン微多孔膜は、押込み弾性率とシャットダウン温度に優れているため、非水電解液系二次電池用セパレータとして好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. ダイヤモンド製のBerkovich(三角錐)型圧子を垂直方向に16.67μN/secの速度で500μNまで印加して30秒保持し、16.67μN/secの速度で除荷した時の押込み弾性率が280MPa以上のポリオレフィン微多孔膜。
  2. SD温度が140℃未満である請求項1または2に記載のポリオレフィン微多孔膜。
  3. 膜厚が5~12μmである請求項1~3いずれかに記載のポリオレフィン微多孔膜。
  4. 請求項1~3いずれかに記載のポリオレフィン微多孔膜を用いる非水電解液系二次電池用セパレータ。
  5. 請求項4に記載の電池用セパレータを用いた非水電解液系二次電池。

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